JP2003270453A - プラスチック光ファイバケーブル及びその製造方法 - Google Patents
プラスチック光ファイバケーブル及びその製造方法Info
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Abstract
えずに被覆層を被覆して、伝送損失の増加を抑制したプ
ラスチック光ファイバケーブルを得る。 【解決手段】 流動開始温度Tfが100℃の低密度ポ
リエチレン(PE)を高圧法により重合した。このPE
をPMMAからなるGI型プラスチック光ファイバ素線
(ガラス転移温度最低値Tgmin 85℃、伝送損失18
0dB/km)11の外周に被覆層33aとして被覆し
た。被覆する際のPEの温度は、温度センサ35から1
20℃であった。減圧装置36によりニップル内部32
aを大気圧より−50kPa減圧にした。外径が1.6
mmのケーブル15が得られ、伝送損失は、183dB
/kmであり、Tgmin より45℃高い温度で被覆した
ため、素線11へのダメージはほとんど生じなかった。
Description
り被覆されたプラスチック光ファイバケーブル及びその
製造方法に関し、さらに詳しくは、屈折率分布型プラス
チック光ファイバケーブル及びその製造方法に関するも
のである。
のプラスチック光ファイバ素線(以下、素線と称する)
は、そのコア部分に高い屈折率を有する化合物を中心に
向かうほど高い濃度で分布させることで得られる。たと
えば、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと称
する)からなるGI型素線の場合、あらかじめPMMA
からなる中空円筒状の管(以下、クラッド部と称する)
を作製し、この内部にコア部となる原料を仕込んで重合
することで作製できる。コア部の原料としては、メチル
メタクリレート(以下、MMAと称する)と、重合開始
剤、連鎖移動材などPMMAの重合に必要な添加物と、
MMAおよびPMMAに対して良好な溶解性を有しかつ
MMAよりも高い屈折率を有する非反応性物質(以下、
ドーパントと称する)などとが用いられる。また、ドー
パントには、ジフェニルスルフィド(硫化ジフェニル)
などが用いられる。コア部の重合は、クラッド部の内壁
の膨潤によって円周方向から進行するいわゆる界面ゲル
重合法によって行われ、ドーパントは反応液内の拡散に
よって中心部ほど高濃度で存在することになり、その結
果半径方向で屈折率の分布を有するGI型素線が得られ
る。
型素線は、光通信用途に好適に使用することができる
が、素線のみの状態では耐候性、耐衝撃性、機械的強度
が不十分なため素線の外側に被覆層を設けて、プラスチ
ック光ファイバケーブル(以下、ケーブルと称する)と
して用いられている。こうした被覆層は、一般的には熱
可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を被覆して設けられるが、G
I型素線に対してこのような樹脂を被覆すると、素線に
ダメージを与えてしまい、伝送損失が増加するといった
問題があった。
に素線へダメージを与えず、伝送損失の増加を防ぐプラ
スチック光ファイバケーブル及びその製造方法を提供す
ることにある。
行なった結果、被覆によるケーブルの伝送損失の増加
は、被覆する際に素線が熱的なダメージを受けることが
原因であることを見出した。そこで、熱可塑性樹脂を被
覆する際の溶融温度と素線のガラス転移温度との関係を
ある範囲内に保つことで、伝送損失の増加を防いで被覆
を行なうことができるという本発明を完成するに至っ
た。また、前記溶融温度は、熱可塑性樹脂の流動開始温
度に関係するものであり、この流動開始温度とガラス転
移温度との関係をある範囲内に保つことも本発明では重
要である。
は、半径方向に異なる屈折率を有するプラスチック光フ
ァイバ素線の全周にわたって熱可塑性樹脂を密着させて
被覆してなるプラスチック光ファイバケーブルであっ
て、前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式
(1)の範囲にあり、被覆された前記熱可塑性樹脂の厚
さが、前記プラスチック光ファイバ素線の直径の2倍以
下である。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)・・(1) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。
は、半径方向に異なる屈折率を有するプラスチック光フ
ァイバ素線の全周にわたって空隙を有して熱可塑性樹脂
により被覆してなるプラスチック光ファイバケーブルで
あって、前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式
(2)の範囲にある。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +70)・・(2) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。また、前記空隙
が、0.1mm〜10mmの範囲であることが好まし
い。さらに、前記プラスチック光ファイバ素線より高い
弾性率を有する繊維および/または金属線を前記熱可塑
性樹脂に含有させることが好ましい。
の製造方法は、半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって熱可塑性樹脂を
密着させて被覆したプラスチック光ファイバケーブルの
製造方法において、前記熱可塑性樹脂の流動開始温度T
fが下記式(1)の範囲にあるものを用いて、その熱可
塑性樹脂を前記プラスチック光ファイバ素線の直径の2
倍以下に被覆する。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)・・(1) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。
ァイバ素線に被覆する際に、前記プラスチック光ファイ
バ素線を15kPa〜80kPaの範囲に減圧した流路
に通すことが好ましい。
の製造方法は、半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって空隙を有して熱
可塑性樹脂により被覆したプラスチック光ファイバケー
ブルの製造方法において、前記熱可塑性樹脂の流動開始
温度Tfが下記式(2)の範囲にあるものを用いる。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +70)・・(2) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。
して、前記熱可塑性樹脂を被覆することが好ましい。ま
た、前記プラスチック光ファイバ素線より高い弾性率を
有する繊維および/または金属線を前記熱可塑性樹脂に
含有させたものを用いることが好ましい。
本発明において用いられる素線の種類、材質などは特に
限定されない。なお、素線は、前述した様にコア部の全
周に渡って、コア部より屈折率が低いクラッド部が形成
されている。
合体が伝送される光に対して光透過性である限り特に制
約はないが、伝送される光信号の伝送損失が少ない材料
を用いるのが好ましい。原料のモノマーとしては例え
ば、メチルメタクリレート(MMA)、重水素化メチル
メタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、
ヘキサフルオロイソプロピル−2−フルオロアクリレー
トなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。これら各モノマーからポリマーを重合してコア部と
して用いる。また、これらモノマーを2種以上用いて、
共重合体(コポリマー)からコア部を形成してもよい。
しかしながら、塊状重合が容易であるMMAを選択し、
ストレートポリマー(ホモポリマー)であるポリメチル
メタクリレート(PMMA)にてコア部を形成するのが
好ましい。また、これらのモノマーが有する水素原子を
重水素原子(D)またはハロゲン原子(X)で置換した
モノマーを用いて、ポリマーを重合することもできる。
特定の波長領域において、C−H結合に起因する光伝送
損失が生じるが、HをDまたはXで置換することによ
り、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することが
でき、伝送信号光の損失を軽減することができる。
に、重合開始剤および重合調整剤を添加することができ
る。重合開始剤としては、重合されるポリマーに応じて
適宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BP
O)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート
(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PB
I)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)パラレート(PHV)などが挙げられるが、これら
に限定されるものではない。重合調整剤は、主に重合体
(ポリマー)の分子量の調整のために用いられ、ポリマ
ーの重合度に応じて適宜選択することができるが、1−
ブタンチオール、ドデシルメルカプタンなどが挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。また、2種類
以上の重合調整剤を併用してもよい。
の分布を有しているGI型であると、高い伝送容量を有
するケーブルが得られるので好ましい。屈折率調整剤
は、これを含有するポリマーが無添加のポリマーと比較
して、屈折率が高くなる性質を有するものをいう。この
性質を有し、ポリマーと安定して共存可能で、且つ前述
の原料であるモノマーの重合条件(加熱および加圧等の
重合条件)下において安定であるものを、いずれも用い
ることができる。例えば、安息香酸ベンジル(BE
N)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル
(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BB
P)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(D
P)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジ
ル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)な
どが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DP
SOが好ましい。
送する光がそれらの界面で全反射するために、コア部の
屈折率より低い屈折率を有し、非晶性であり、コア部と
の密着性が良く、タフネスに優れ、耐熱性に優れている
ものが好ましく用いられる。例えば、クラッド部の原料
であるモノマーとしてはコア部と同様に、メチルメタク
リレート、重水素化メチルメタクリレート、トリフルオ
ロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル
−2−フルオロアクリレートなどが挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。これらのモノマーを2種
以上用いて、共重合体からなるクラッド部を作製しても
よい。
重合する際にも、コア部の形成に用いた前述した重合開
始剤および重合調整剤(例えば、連鎖移動剤等)を添加
することができる。
下させない範囲で、その他の添加剤を添加することがで
き、添加剤は、前記原料モノマーに添加した後に、モノ
マーからポリマーを重合することによってクラッド部に
含有させることができる。前記添加剤としては、耐候性
や耐久性などを向上させる安定剤、光伝送性能を向上さ
せる光信号増幅用の誘導放出機能化合物等が挙げられ
る。誘導放出機能化合物を添加することにより、減衰し
た信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝
送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ
増幅器として使用することができる。なお、これらの添
加剤は、コア部の形成時にモノマーに添加させて、コア
部に含有させることもできる。
(SI型)の素線を形成する際に、コア部にPMMAを
用いた場合には、クラッド部にはフッ素樹脂を用いるこ
とが、屈折率及び強度の点から好ましいが、これに限定
されるものではない。また、また、GI型素線は、PM
MAからなる重合管をクラッド部とし、その管内にMM
Aと高屈折率のベンジルメタクリレートを入れ、界面ゲ
ル重合法によりポリマーを重合することによりコア部を
形成することができる。さらに、本発明の素線には、単
一モード型(SM型)素線を用いることも可能である。
なお、本発明に用いられる素線の直径は0.2〜1.5
mmの範囲であることが好ましいが、この範囲に限定さ
れるものではない。また、その素線のコア部の直径は、
0.1〜1.0mmが好ましが、この範囲に限定される
ものではない。なお、本発明においてその断面の形状が
真円状でないものについては、もっとも径が大きくなっ
た値を直径の値とみなす。
方法]本発明のプラスチック光ファイバケーブルの製造
に用いられる被覆ラインは、従来から知られている電気
ケーブルや石英ガラス製光ファイバと同様な被覆ライン
を使用することができる。図1にその被覆ライン10の
概略図を示す。素線11は、送出機12より送り出さ
れ、冷却装置13により5〜35℃の温度まで冷却する
ことが、被覆する際に素線11へのダメージを抑制する
ために好ましいが、この冷却装置13は省略することも
可能である。その後に、被覆装置14により素線11に
被覆材を被覆してケーブル15が得られる。なお、この
被覆については後に図2ないし図5を用いて詳しく説明
する。ケーブル15は、水槽16で冷水により冷却され
た後に、水分除去装置17によりその表面の水分が除去
される。なお、ケーブル15の冷却は、水槽に限定され
ず、他の装置を用いてもよい。そして、ローラ18によ
り搬送されて巻取機19に巻き取られる。なお、図1で
は、素線11を送出機12から供給する形態を示した
が、本発明は図示した形態に限定されるものではない。
例えば、被覆ラインに素線形成用の線引き装置(図示し
ない)を一体に組み込んだラインを用いることもでき
る。この場合には、線引き装置から線引きされて連続的
に供給される素線に被覆材を被覆することが可能とな
る。
した図である。被覆装置14には、クロスダイヘッド付
き被覆押出機が備えられおり、その押出機の要部である
クロスダイヘッド30には、ダイス31とニップル32
とが備えられている。クロスダイヘッド30には、被覆
材である熱可塑性樹脂33の温度調節装置34が取り付
けられている。また、被覆した後の熱可塑性樹脂33の
温度を測定するためにダイス31の出口側に温度センサ
35が取り付けられていてもよい。温度センサ35に
は、公知のいずれのものをも用いることができ、例えば
熱電温度計が挙げられるが、これに限定されるものでは
ない。また、素線11に熱可塑性樹脂33を均一に被覆
するために、ニップル32の内部32aを減圧にする減
圧装置36が設けられている。本発明において内部32
aを大気圧より15kPa〜80kPa減圧にすること
が、均一に熱可塑性樹脂を被覆するために好ましいが、
この範囲に限定されるものではない。
ド部11bとからなる素線11が、クロスダイヘッド3
0に送り込まれる。熱可塑性樹脂33は、温度調節装置
34により後に説明する温度に調節された後に、ダイス
31とニップル32との間に送り込まれる。ダイス31
出口側で素線11の全周を覆って、被覆層33aを形成
し、ケーブル15が得られる。
す。図から明らかなようにコア部11aとクラッド部1
1bとからなる素線11の全周に渡って被覆層33aが
形成されている。以下、この形態のケーブルを密着型と
称する。本発明において、素線11の直径Dに対して、
被覆層33aの厚さW1が2倍以下であることが必要で
ある。被覆層33aの厚さW1が素線11の直径Dの2
倍よりも大きいと、素線11に被覆層33aを被覆する
際にダメージを与えてしまい、ケーブル15の伝送損失
が悪化する。一方、あまり薄すぎると被覆の際に、樹脂
切れが発生し、断続的に被覆されない欠陥部分が生じ
る。そこで、本発明において、被覆層33aの厚さW1
の好ましい範囲は、0.1mm≦W1≦1.8×D(m
m)であり、より好ましくは、0.2mm≦W1≦1.
6×D(mm)である。
ック光ファイバケーブルの製造に用いられる被覆押出機
の要部であるクロスヘッドダイ40を示した。このクロ
スヘッドダイ40もダイス41とニップル42とが備え
られている。また、熱可塑性樹脂33を温度調節するた
めの温度調節装置43が取り付けられている。さらに、
ダイス41の出口側には前述したクロスダイヘッド30
と同様な温度センサ44が取り付けられていてもよい。
このクロスダイヘッド40は、図2に示したクロスヘッ
ドダイ30と異なり、ニップルの出口42a側が嵩高く
なっており、ダイス41とニップル42との間を流れて
いる熱可塑性樹脂33が、素線11に密着することを防
いでいる。このようにすることで、素線11の周りに空
隙45を有して被覆層33bが形成されたケーブル46
が得られる。
チック光ファイバケーブル46の断面図を図5に示す。
図から明らかなように、ケーブル46は、素線11の周
りに空隙45を有し、被覆層33bが形成されている。
以下、この形態のケーブルをルーズ型と称する。本発明
において空隙45の間隔W2は、0.1〜10mmの範
囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0mmであ
り、最も好ましくは0.1〜0.5mmの範囲である
が、これらの範囲に限定されるものではない。また、こ
のケーブル46の被覆層33bの厚さW3は、特に限定
されないが、0.2〜5.0mmの範囲であることが好
ましい。
樹脂33は、下記に記す物性を備えたものが用いられ
る。密着型ケーブルの場合には、熱可塑性樹脂33の流
動開始温度Tfが下記の(1)式を満たすことが必須で
ある。また、ルーズ型ケーブルの場合には(2)式を満
たすことが必須である。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)・・(1) 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +70)・・(2) いずれも、Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線
の断面におけるガラス転移温度の最低値である。
塑性樹脂を細穴の開いた加熱可能のシリンダ状の容器に
入れ、その樹脂にピストン状の加圧具で一定加重を加え
つつ容器を加熱し、溶融流動するにしたがって変化する
ピストンの移動量を計測することで測定された値であ
る。測定条件は、島津製作所(株)製フローテスタCF
T−500D型を用い、シリンダ圧力4.9MPa、ダ
イ穴径0.5mm、ダイ長さ1.0mm、室温から5℃
/minの昇温速度で加熱した。
0℃に満たない熱可塑性樹脂を用いた場合は、被覆して
得られたケーブルの耐熱温度が被覆材の流動開始温度で
制限され実用上耐熱性が不足したものとなる。また、密
着型ケーブルの場合に、流動開始温度Tfが式(1)の
範囲を超えた熱可塑性樹脂を使用すると、被覆の際に熱
可塑性樹脂33を溶融するための温度を素線11のガラ
ス転移温度の最低値よりも非常に高くする必要が生じ、
被覆の際に素線11は熱的なダメージを受けて、素線が
本来有している伝送損失値が悪化する。そこで、密着型
ケーブルの製造の際には、熱可塑性樹脂33の好ましい
流動開始温度Tfは、70≦Tf(℃)≦(Tgmin +
45)であり、最も好ましくは、80≦Tf(℃)≦
(Tgmin +40)である。
性樹脂33の好ましい流動開始温度Tfは、70≦Tf
(℃)≦(Tgmin +65)であり、最も好ましくは、
70≦Tf(℃)≦(Tgmin +60)である。
は、素線の伝送損失の悪化を防ぐ観点からは低いことが
好ましい。しかしながら、溶融温度が低すぎると熱可塑
性樹脂の溶融不良が生じ、被覆の際樹脂切れを起こしや
すいため安定な被覆ができない。また、得られた被覆層
は引っ張り強度や曲げ強度が均一ではなく、かつ十分溶
融して得られた被覆層よりも低いものとなる。
可塑性樹脂33の溶融温度Tm1は、(Tf+3)℃〜
(Tf+30)℃であり、さらに好ましくは(Tf+
5)℃〜(Tf+20)℃である。なお、熱可塑性樹脂
33の溶融温度は、図2中の温度センサ35により測定
された値を意味している。
熱可塑性樹脂33の溶融温度Tm2は、(Tf+3)℃
〜(Tf+50)℃であり、さらに好ましくは(Tf+
5)℃〜(Tf+30)℃である。なお、熱可塑性樹脂
33の溶融温度は、図4中の温度センサ44により測定
された値を意味している。
前述した物性を有するものであれば特に制限されるもの
ではない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ナイロン(ナイロン−
6、ナイロン−66、ナイロン−11など)、ポリ塩化
ビニルなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂はその
分子量、分子量分布、枝分かれ度、架橋度、末端官能基
の種類などを変えることにより、種々の溶融挙動を示
し、流動開始温度Tfの値を制御することが可能とな
る。また、これらの樹脂を適宜混合して本発明の流動開
始温度Tfの範囲に調整してよい。また同様に流動開始
温度を低下するために、前述したポリマーの共重合体を
用いたり、酢酸ビニル成分を共重合したりしてもよい。
または、可塑剤などの添加剤量を調整することにより、
流動開始温度Tfを制御してもよい。
を有する繊維(以下、抗張力繊維と称す)および/また
は金属線を熱可塑性樹脂33に含有すると、得られるケ
ーブル15、46の力学的強度を補強することができる
ことから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラ
ミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げら
れる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金
線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したも
のに限定されるものではない。
るが、本発明の態様(材料、試薬、それらの割合、温度
等の製造条件など)はこれらに限定されない。また、説
明においては、実施例1で詳細に説明し、その他の実施
例及び比較例については、実施例1と同じ点については
説明を省略している。また、実験条件及び実験結果につ
いては後に表1にまとめて示す。
MMAからなる円筒管型のクラッド部を公知の回転重合
法で製造した。次に、界面ゲル重合法によりMMAを主
原料にコア部を重合した。この際に、ドーパントとして
DPS(硫化ジフェニル)を用いて、MMAに対して1
2.5重量%加えた。こうして直径22mm、長さ55
cmのプリフォームを製作した。このプリフォームのガ
ラス転移温度Tgは、コア中心部85℃、クラッド部1
07℃であり、コア部の中心からクラッド部にかけてガ
ラス転移温度はゆるやかに上昇していた(Tgmin =8
5℃)。また、このプリフォームの屈折率は、コア部の
中心で1.504、クラッド部1.491であり、コア
部の中心からクラッド部にかけて屈折率はゆるやかに下
降していた。このプリフォームを235℃で加熱して延
伸し、外径750μm、コア径500μmのGI型素線
11を得た。この素線11の屈折率は、コア部の中心
1.504、クラッド部1.491であった。また、こ
の素線11の波長650nmの光を用いた伝送損失値は
180dB/kmであった。
低密度ポリエチレン(以下、PEと称する)を高圧法に
より重合した。このPEの物性値を公知の方法により測
定したところ、メルトフローレート(JIS K 69
22−2)が80g/10minであり、密度が0.9
16g/cm3 であった。
イヘッド付の被覆押し出し機(ダイス直径3.7mm、
ニップル直径2.7mm)を用いた被覆ライン10(図
1参照)により、素線11の搬送速度を50m/min
として被覆を行なった。被覆する際のPEの溶融温度T
m1を温度センサ35により測定したところ120℃で
あった。このときに、減圧装置36によりニップル内部
32aを大気圧より−50kPa減圧にした。素線11
の全周にPEを密着させたケーブル15を直ちに10℃
の水を満たした長さ10mの水槽16中に導いて十分冷
却した後に、外周に付着した水を水分除去装置17中の
圧縮空気で除去した後に、巻取機19に巻き取った。外
径が1.6mmのケーブル15を得た。このケーブルの
伝送損失を測定したところ、183dB/kmであり、
被覆による素線へのダメージはほとんど生じなかった
(○)。
エチレン−酢酸ビニル(20重量%)共重合体(EV
A)を重合した。このEVAの物性値は、還元粘度が
0.75dL/g(但し、トルエン溶媒、濃度0.25
g/100ml、温度30℃で測定)、メルトフローレ
ートが150g/10min(JIS K 6730)
であり、密度0.94g/cm3 (JIS K 673
0)であった。このEVAを被覆層として、溶融温度T
m1を100℃として実施例1と同様に実験を行ない、
外径が2.0mmのケーブルを得た。このケーブルの伝
送損失を測定したところ、181dB/kmであり、被
覆による素線へのダメージはほとんど生じなかった
(○)。
のポリ塩化ビニル(PVC)を重合した。このPVCの
物性値は、比重が1.38(JIS K 7112)で
あり、加熱変形率が25%(JIS K 6723)で
あった。このPVCを被覆層として用いた。また被覆装
置14には、図4に示したクロスダイヘッド付き被覆押
出機を用いて、被覆する際の溶融温度Tm2を155℃
とした。また、ニップル内部の減圧は行なわず、空隙W
2が0.2mmとなるようにした。その他は実施例1と
同様に実験を行ない、外径が2.0mmのケーブルを得
た。このケーブルの伝送損失を測定したところ、182
dB/kmであり、被覆による素線へのダメージはほと
んど生じなかった(○)。
を被覆層として用いて、溶融温度Tm2を120℃とし
た。その他は実施例3と同様に実験を行ない、外径が
1.6mmのケーブルを得た。このケーブルの伝送損失
を測定したところ、180dB/kmであり、被覆によ
る素線へのダメージはほとんど生じなかった(○)。
のPVCを重合した。このPVCの物性値は、比重が
1.45(JIS K 7112)であり、加熱変形率
が8.5%(JISK 6723)であった。このPV
Cを被覆層として用い、溶融温度Tm1を170℃とし
て実施例1と同様に実験を行ない、外径が1.6mmの
ケーブルを得た。このケーブルの伝送損失を測定したと
ころ、497dB/kmであり、被覆による素線へのダ
メージが極めて大きく、光ファイバとして用いることが
できなかった(×)。
のナイロン11(NY)を重合した。このNYの物性値
は、比重が1.05(JIS K 7112)であっ
た。このNYを被覆層として用いて、溶融温度Tm2を
200℃として実施例3と同様に実験を行ない、外径が
2.0mmのケーブルを得た。このケーブルの伝送損失
を測定したところ、622dB/kmであり、被覆によ
る素線へのダメージが極めて大きく、光ファイバとして
用いることができなかった(×)。
ルの製造方法によれば、半径方向に異なる屈折率を有す
るプラスチック光ファイバ素線の全周にわたって熱可塑
性樹脂を密着させて被覆したプラスチック光ファイバケ
ーブルの製造方法において、前記熱可塑性樹脂の流動開
始温度Tfが、60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)
の範囲にあるものを用いて、その熱可塑性樹脂を前記プ
ラスチック光ファイバ素線の直径の2倍以下に被覆する
から、被覆の際にプラスチック光ファイバ素線へのダメ
ージがなく被覆による性能低下を引き起こさず、伝送損
失の増加のない良好な性能を有するプラスチック光ファ
イバケーブルを安定的に高い生産性で作製することがで
きる。なお、Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素
線の断面におけるガラス転移温度の最低値である。
ーブルの製造方法によれば、半径方向に異なる屈折率を
有するプラスチック光ファイバ素線の全周にわたって空
隙を有して熱可塑性樹脂により被覆したプラスチック光
ファイバケーブルの製造方法において、前記熱可塑性樹
脂の流動開始温度Tfが、60≦Tf(℃)≦(Tg
min +70)にしても、流動開始温度Tfがより高い熱
可塑性樹脂を用いても、前記空隙を有しているから前記
素線へのダメージを防いで被覆することが可能となる。
を製造するための被覆ラインの概略図である。
る。
の断面図である。
て示す概略断面図である。
ルの断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって熱可塑性樹脂を
密着させて被覆してなるプラスチック光ファイバケーブ
ルであって、 前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式(1)の
範囲にあり、 被覆された前記熱可塑性樹脂の厚さが、前記プラスチッ
ク光ファイバ素線の直径の2倍以下であることを特徴と
するプラスチック光ファイバケーブル。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)・・(1) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。 - 【請求項2】 半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって空隙を有して熱
可塑性樹脂により被覆してなるプラスチック光ファイバ
ケーブルであって、 前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式(2)の
範囲にあることを特徴とするプラスチック光ファイバケ
ーブル。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +70)・・(2) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。 - 【請求項3】 半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって熱可塑性樹脂を
密着させて被覆したプラスチック光ファイバケーブルの
製造方法において、 前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式(1)の
範囲にあるものを用いて、 その熱可塑性樹脂を前記プラスチック光ファイバ素線の
直径の2倍以下に被覆することを特徴とするプラスチッ
ク光ファイバケーブルの製造方法。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +50)・・(1) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。 - 【請求項4】 半径方向に異なる屈折率を有するプラス
チック光ファイバ素線の全周にわたって空隙を有して熱
可塑性樹脂により被覆したプラスチック光ファイバケー
ブルの製造方法において、 前記熱可塑性樹脂の流動開始温度Tfが下記式(2)の
範囲にあるものを用いることを特徴とするプラスチック
光ファイバケーブルの製造方法。 60≦Tf(℃)≦(Tgmin +70)・・(2) Tgmin は前記プラスチック光ファイバ素線の断面にお
けるガラス転移温度の最低値である。
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JP2002075128A JP2003270453A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | プラスチック光ファイバケーブル及びその製造方法 |
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JP2002075128A JP2003270453A (ja) | 2002-03-18 | 2002-03-18 | プラスチック光ファイバケーブル及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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2002
- 2002-03-18 JP JP2002075128A patent/JP2003270453A/ja active Pending
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