JP2003269105A - タービン翼、タービン翼製造方法、及び、タービン翼応力及びタービン翼温度測定方法 - Google Patents

タービン翼、タービン翼製造方法、及び、タービン翼応力及びタービン翼温度測定方法

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JP2003269105A
JP2003269105A JP2002074961A JP2002074961A JP2003269105A JP 2003269105 A JP2003269105 A JP 2003269105A JP 2002074961 A JP2002074961 A JP 2002074961A JP 2002074961 A JP2002074961 A JP 2002074961A JP 2003269105 A JP2003269105 A JP 2003269105A
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turbine blade
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tial
turbine
based alloy
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Kentaro Shindo
健太郎 新藤
Toshimitsu Tetsui
利光 鉄井
Kazuhiko Yoshino
一彦 吉野
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】TiAl基合金を用いたタービン翼あるいはタ
ービンホイールの靭性及び耐熱性を向上する。 【解決手段】TiAl基合金を含むタービン翼本体と、
タービン翼本体2よりも靭性の高いNiを含む材料で、
タービン翼本体2を覆うようにメッキ法により形成され
た第1被膜3とを具備するタービン翼を用いる。第1被
膜3がCd4を含み、Crのような第1被膜3よりも耐
熱性の高い第2被膜で、第1被膜3を覆っても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タービン翼、ター
ビン翼製造方法、及び、タービン翼応力及びタービン翼
温度測定方法に関し、特に、表面に被膜を形成されたタ
ービン翼を用いたタービン翼、タービン翼製造方法、及
び、タービン翼応力及びタービン翼温度測定方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車ターボ用タービンやマイクロガス
タービン、産業用蒸気タービン,産業用/航空用ガスタ
ービンのタービンに用いられる材料としては、耐熱鋼や
超合金が知られている。
【0003】一方、TiAl基合金は、耐熱鋼や超合金
と比較して、比重が約1/2であるが、比強度が耐熱鋼
の3倍,超合金以上という優れた特性を有しており、注
目されている。この材料をガスタービン動翼及びタービ
ンホイール等に適用することで、翼の軽量化による発生
応力の低減及び高回転化、翼の大型化による大出力化、
運転温度の高温化による効率の向上等の高性能化が達成
できる。
【0004】しかし、TiAl基合金は、靭性が低く、
ターボ機械製品のタービン部の事故原因となる異物衝突
により、脆性的に破壊することが問題となっている。特
に、ターボ機械のような回転機械の部品において脆性的
に破損し、翼の破片が飛散すると、破壊は広範囲に及ぶ
こととなり、重大事故を招く恐れがある。
【0005】タービン翼あるいはタービンホイールに適
用するTiAl基合金の信頼性を向上することが可能な
技術が求められている。TiAl基合金を用いたタービ
ン翼あるいはタービンホイールの靭性を向上する技術が
求められている。
【0006】ところで、実機運転状況下における翼の破
壊現象を把握し,TiAl基合金の靭性を考慮した翼設
計を行うためには、構造部材に発生する応力あるいはメ
タル温度等を測定することが重要である。それらの測定
において、応力は歪みゲージのような歪みセンサ、メタ
ル温度は熱電対のような温度センサを用いる必要があ
る。その場合、歪みセンサや温度センサ及びその配線
を、スポット溶接で構造部材に溶着固定するのが一般的
である。
【0007】特に、ターボ機械製品の運転時におけるタ
ービン動翼での発生応力及びメタル温度の測定では、遠
心力でそれらが飛ばないように強力に固定する必要があ
る。しかし、TiAl基合金のスポット溶接では、十分
な溶着強度が得られない。
【0008】TiAl基合金の表面に歪みセンサや温度
センサ、その配線等を、強力に固着できる技術が求めら
れている。特に回転機器において、遠心力で歪みセンサ
や温度センサ、その配線等が飛散しないように固着可能
な技術が求められている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、TiAl基合金を適用したタービン翼あるいはター
ビンホイールの耐異物衝突性を改善し信頼性を向上させ
ること、及び、タービン翼応力及びタービン翼温度測定
方法を提供することである。
【0010】また、本発明の他の目的は、TiAl基合
金を用いたタービン翼あるいはタービンホイールの耐異
物衝突性を改善することが可能なタービン翼あるいはタ
ービンホイールの製造方法を提供することである。
【0011】本発明の更に他の目的は、TiAl基合金
を用いたタービン翼あるいはタービンホイールの耐熱性
を向上させることが可能なタービン翼、タービン翼製造
方法を提供することである。
【0012】本発明の別の目的は、TiAl基合金の表
面に歪みセンサや温度センサ、その配線を、強力に固着
することで、安全かつ高い信頼性を有するタービン翼応
力及びタービン翼温度測定方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】以下に、[発明の実施の
形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決す
るための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特
許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応
関係を明らかにするために付加されたものである。ただ
し、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載
されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならな
い。
【0014】従って、上記課題を解決するために、本発
明のタービン翼は、タービン翼本体(2)と、タービン
翼本体(2)よりも靭性の高い材料で、タービン翼本体
(2)を覆うように形成された第1被膜(3)とを具備
する。
【0015】また、本発明のタービン翼は、タービン翼
本体(2)は、TiAl基合金を含み、第1被膜(3)
は、Niを含む。
【0016】また、本発明のタービン翼は、第1被膜
(3)は、更に、Cd(4)を含む。
【0017】更に、本発明のタービン翼は、第1被膜
(3)は、メッキ法により形成されている。
【0018】更に、本発明のタービン翼は、第1被膜
(3)よりも耐熱性の高い材料で、第1被膜(3)を覆
うように形成された第2被膜(5)を更に具備する。
【0019】更に、本発明のタービン翼は、第2被膜
(5)は、Crを含む。
【0020】上記課題を解決するための本発明のガスタ
ービンは、上記のいずれか一項に記載のタービン翼
(1)と、タービン翼(1)を取り付けられたタービン
ロータ(6)とを具備する。
【0021】上記課題を解決するための、本発明のター
ビン翼製造方法は、TiAl基合金を用いてタービン翼
本体(2)を形成するステップと、タービン翼本体
(2)を覆うようにNiの被膜(3)を形成するステッ
プとを具備する。
【0022】更に、本発明のタービン翼製造方法は、N
iの被膜(3)を形成するステップは、Cdの被膜
(4)を形成するステップと、Ni(3)及びCd
(4)の被膜を熱処理するステップとを具備する。
【0023】更に、本発明のタービン翼製造方法は、N
i(3)及びCd(4)の内少なくとも一つは、メッキ
法により形成されている。
【0024】上記課題を解決するための本発明のタービ
ン翼応力測定方法は、タービン翼本体にNi被膜(3)
を形成するステップと、Ni被膜(3)上にタービン翼
本体(2)にかかる歪みを計測可能な歪みセンサ(7)
を固着するステップと、タービン翼本体(2)を回転さ
せて、歪みセンサ(7)により歪みを計測するステップ
と、歪みに基づいて、タービン翼本体(2)にかかる応
力を計測するステップとを具備する。
【0025】上記課題を解決するための、本発明のター
ビン翼温度測定方法は、タービン翼本体(2)にNi被
膜(3)を形成するステップと、Ni被膜(3)上にタ
ービン翼本体(2)の温度を計測可能な温度センサ
(8)を固着するステップと、タービン翼本体(2)を
回転させて、温度センサ(8)により温度を計測するス
テップとを具備する。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明であるタービン翼、
タービン翼製造方法、及び、タービン翼応力及びタービ
ン翼温度測定方法の実施の形態に関して、添付図面を参
照して説明する。本実施例においては、タービンの動翼
を例に説明する。ただし、タービンの静翼やタービンホ
イールについても同様に適用可能である。なお、各実施
の形態において同一又は相当部分には同一の符号を付し
て説明する。
【0027】本発明においては、TiAl基合金で作ら
れたタービン翼の表面に、母材(TiAl基合金)より
も靭性の高い材料(例示:Ni合金)の被膜(第1被
膜)を、例えばメッキ法を用いて形成する。この第1被
膜により、TiAl基合金で作られたタービン翼の靭性
が向上する。それに伴い、TiAl基合金で作られたタ
ービン翼の耐異物衝撃性が改善する。その結果、タービ
ン翼(動翼、静翼及びタービンホイールを含む)の脆性
破壊を緩和できる。従って、TiAl基合金をタービン
翼に適用する際に問題となるタービン翼の飛散による重
大事故を防ぐことが可能となる。本発明では、更に、第
1被膜の表面にCdを拡散させる(例示:Ni−Cd拡
散被膜)ことにより、耐熱性も改善できる。
【0028】また、本発明においては、TiAl基合金
で作られたタービン翼の試験時に必要な歪みゲージ及び
熱電対等の固定を、スポット溶接で簡便に行うためにタ
ービン翼表面にNiメッキの被膜を形成する。通常Ti
Al基合金にスポット溶接する場合、十分な溶着強度は
得られないが、Niメッキを施すことによりセンサーを
強固に固定でき、回転試験中の振動応力及びメタル温度
の測定が可能となる。
【0029】(実施例1)本発明であるタービン翼及び
タービン翼製造方法の第1の実施の形態に関して、添付
図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明であ
るタービン翼及びタービン翼製造方法の第1の実施の形
態に関わる構成を示す図である。図1は、タービン翼1
の外観図(正面図)であり、図2は、タービン翼の外縁
部近傍の断面図である。
【0030】図1を参照して、タービン翼1は、タービ
ンに属する動翼である。タービンロータに取り付けら
れ、タービン運転時に、作動流体のエネルギーを回転エ
ネルギーに変換する。タービン翼1は、タービン翼本体
2と第1被膜3とを具備する(後述)。
【0031】図2を参照して、タービン翼本体2と第1
被膜3とを説明する。タービン翼本体2は、タービン翼
1に属し、タービン翼としての基本的形状を有する。表
面に第1被膜等(後述)を形成されている。タービン翼
本体の材質は、TiAl基合金、あるいはそれを主成分
とする材料である。本実施例では、Ti−42Al−5
Mn(at%)(=42at%Al、5at%Mn、残
部Ti)を用いる。TiAl基合金の組成範囲として
は、Al:38〜48at%,Mn,CrまたはVのう
ち1種以上:3〜10at%,残部:Tiおよび不可避
不純物からなることが好ましい。タービン翼(動翼、静
翼及びタービンホイールを含む)用TiAl基合金とし
てより好ましいのはNb:1〜8at%を含有する成分
である。前述の範囲のNbを添加したTiAl基合金
は,耐酸化性に優れたTiAl基合金である。また,耐
酸化性に優れたTiAl基合金として,Mo,W,Zr
から選ばれる1種以上の元素を0.5〜2at%含有す
る構成とすることもできる。さらに好ましくは,0.1
〜0.4at%のC(炭素)を含有する成分のTiAl
基合金である。前述の範囲の炭素を含有するTiAl基
合金は,高温強度に優れたTiAl基合金である。ま
た,高温強度に優れたTiAl基合金として,Si,N
i,Taから選ばれる1種以上の元素を0.2〜1.0
at%含有する構成とすることもできる。各添加元素の
範囲は、少なすぎると効果が無く、多過ぎる場合は効果
が飽和する、又は副作用(悪影響)が発生することに基
づいて決まる。
【0032】TiAl基合金は、耐熱鋼と比較して、比
重が約1/2であるが、高温強度が1.5倍である。す
なわち、比強度が3倍という優れた特性を有している。
この材料をガスタービン動翼及びタービンホイール等に
適用することで、翼の軽量化による発生応力の低減及び
高回転化、翼の大型化による大出力化、運転温度の高温
化による効率の向上等の高性能化が達成できる。
【0033】第1被膜3は、タービン翼に属し、タービ
ン翼本体2の全体を覆うように形成された膜である。タ
ービン翼本体2(TiAl基合金)よりも靭性の高い材
料で形成される。ただし、タービンロータとの接合部の
ような作動流体に対して露出しない部分は、無くても良
い。本実施例では、Ni又はNi合金である。高い靭性
を有する材料で被覆することで、タービン翼1の耐異物
衝撃性を向上することが可能となる。
【0034】第1被膜3の製膜は、メッキ法、CVD
法、溶射法などで行うことが好ましい。より好ましくは
無電解メッキ法である。低コストで,膜を均一に形成し
やすく、形成された膜の粒子が小さいなどの理由によ
る。本実施例では無電解メッキ法を用いる。第1被膜3
の厚みは、0.1〜0.8mmとする。より好ましくは
0.4〜0.6mmである。薄過ぎると、タービン膜全
体を覆うことが難しくなり、かつタービン翼の靭性の向
上には不充分である。また、厚すぎるとコストや重量増
が問題となるためである。本実施例では、0.5mmと
する。
【0035】次に、タービン翼の製造方法について説明
する。 (1)TiAl基合金(Ti−42Al−5Mn)を用
いて、タービン翼形状のタービン翼本体2を形成する。
これは、従来行われているタービン翼本体の形成方法を
用いることができる。 (2)タービン翼本体2の表面に、無電解Niメッキを
行う。そして、膜厚0.5mmのNi膜(第1被膜3)
を形成する。無電解Niメッキのプロセス(前処理行程
−無電解メッキ行程)は、従来行われている方法を用い
て行うことが出来る。
【0036】以上のような製造方法により、図1及び図
2に示すようなタービン翼1が形成される。
【0037】次に、Ni被膜を形成されたTiAl基合
金の特性(耐異物衝撃性)の改善に関する実験について
説明する。Ni被膜を形成されたTiAl基合金の耐異
物衝撃性の試験として、弾丸衝突試験を行った。弾丸衝
突試験とは、弾丸を、試験片に衝突させて、試験片の割
れ具合と速度との関係を比較することにより耐異物衝撃
性を計測する方法である。
【0038】試験条件は以下の通りである。 ・弾丸衝突試験 弾丸:真鍮球(直径2mm) 試験片:TiAl基合金 Ti−42Al−5Mn(at%) サイズ 縦20×横20×厚さ2〜2.5mm Ni被膜 0.5mm(無電解メッキ)
【0039】上記弾丸衝突試験の結果から、Ni被膜を
形成されたTiAl基合金の方が、Ni被膜を形成して
いないTiAl基合金に比較して、より速い速度まで割
れが発生しないことが判明した。このことから、TiA
l基合金の耐異物衝撃性が向上したことがわかる。
【0040】(実施例2)本発明であるタービン翼及び
タービン翼製造方法の第2の実施の形態に関して、添付
図面を参照して説明する。図1及び図3は、本発明であ
るタービン翼及びタービン翼製造方法の実施の形態に関
わる構成を示す図である。図1は、タービン翼1の外観
図であり、図2は、タービン翼の外縁部近傍の断面図で
ある。
【0041】図1を参照して、タービン翼1は、実施例
1と同様であるのでその説明を省略する。
【0042】図2を参照して、タービン翼1は、タービ
ン翼本体2、第1被膜3及びCd膜4を有する。ここ
で、タービン翼本体2及び第1被膜3は、実施例1と同
様であるのでその説明を省略する。
【0043】Cd膜4は、タービン翼に属し、タービン
翼本体2の全体を覆うように形成された第1被膜を覆う
ように形成される。Cd膜4は、膜形成時には第1被膜
上に存在するが、その後の熱処理により、第1被膜内部
に拡散し、第1被膜に含まれるようになる。Cdは、第
1被膜を形成する材料の結晶粒界に拡散し、第1被膜の
結晶粒の成長を抑制するように働くと考えられる。そし
て、結晶粒の成長が抑制されるので、第1被膜の脆化を
抑制することが可能となる。
【0044】Cd膜4の製膜は、メッキ法、CVD法、
溶射法などで行うことが好ましい。より好ましくは無電
解メッキ法である。低コストで,膜を均一に形成しやす
く、形成された膜の粒子が小さいなどの理由による。本
実施例では無電解メッキ法を用いる。Cd膜4の厚み
は、Niメッキの厚さにもよるが,第1被膜の1/5〜
1/12程度が好ましい。薄過ぎると、結晶粒成長の抑
制効果が少なくなる。また厚すぎると、Cdが表面に残
り、成状のよいNi−Cdメッキとならない。本実施例
では、0.1mmとする。
【0045】次に、タービン翼の製造方法について説明
する。 (1)TiAl基合金(Ti−42Al−5Mn)を用
いて、タービン翼形状のタービン翼本体2を形成する。
これは、従来行われているタービン翼本体の形成方法を
用いることができる。 (2)タービン翼本体2の表面に、無電解Niメッキを
行う。そして、膜厚0.5mmのNi膜(第1被膜3)
を形成する。無電解Niメッキのプロセス(前処理行程
−無電解メッキ行程)は、従来行われている方法を用い
て行うことが出来る。 (3)タービン翼本体2の表面のNi膜の表面に、無電
解Cdメッキを行う。そして、膜厚0.5mmのCd膜
4を形成する。無電解Cdメッキのプロセス(前処理行
程−無電解メッキ行程)は、従来行われている方法を用
いて行うことが出来る。 (4)タービン翼1を熱処理する。この処理により、C
d膜はNi膜(第1被膜3)中へ拡散する。なお、熱処
理条件として、熱処理温度は、Cdの融点付近の高温が
好ましい。250〜350℃が好ましく、より好ましく
は、275〜300℃である。本実施例では、290℃
とする。また、熱処理時間は、Cdが十分にNi被膜中
に拡散可能な時間であり、Ni被膜の厚み,熱処理温度
及び粒界の状況に依存する。おおむね1時間以上が好ま
しい。本実施例では2時間である。
【0046】以上のような製造方法により、図1及び図
3に示すようなタービン翼1が形成される。
【0047】次に、上記のようなNi−Cd膜メッキ及
び熱拡散処理(Ni−Cd拡散メッキ)を施されたNi
−Cd拡散メッキ膜付TiAl基合金の特性(耐熱性及
び耐異物衝撃性)の改善に関する実験について説明す
る。Ni−Cd拡散メッキ膜付TiAl基合金の耐熱性
の試験として、高温加熱試験を行った。高温加熱試験と
は、高温雰囲気に長時間曝露した場合の、Niメッキの
結晶粒径の変化を見ることにより、その脆化具合(粒径
の増大=脆化の進行)を評価する方法である。
【0048】試験条件は以下の通りである。 ・高温加熱試験 試験片:TiAl基合金 Ti−42Al−5Mn(at%) サイズ 縦20×横20×厚さ2〜2.5mm 被膜 Ni 0.5mm+Cd 0.1mm (無電解メッキ)+熱拡散処理 加熱条件:400℃−50時間
【0049】上記加熱試験の結果から、本実施例のNi
−Cd拡散メッキ膜の方が、Niメッキ膜に比較して、
結晶粒径が小さいことが判明した。このことから、本実
施例のNi−Cd拡散メッキ膜での結晶粒の成長が抑制
され、脆化が抑制され、より高い耐熱性が認められた。
【0050】また、実施例1と同様に、高温加熱試験後
の供試体を用いて弾丸衝突試験を行った。試験条件は以
下の通りである。 ・弾丸衝突試験 弾丸:真鍮球(直径2mm) 試験片:TiAl基合金 Ti−42Al−5Mn(at%) サイズ 縦20×横20×厚さ2〜2.5mm 被膜 Ni 0.5mm+Cd 0.1mm (無電解メッキ)+熱拡散処理
【0051】上記弾丸衝突試験の結果、高温加熱試験後
のNi−Cd拡散メッキ膜を形成されたTiAl基合金
は、Ni−Cd拡散メッキ膜を形成していない高温加熱
試験後のTiAl基合金及びNiメッキ膜を形成してい
るTiAl基合金に比較して、破損の程度が小さかっ
た。このことから、TiAl基合金の耐異物衝撃性が更
に向上したことがわかる。
【0052】本発明において、無電解メッキでは、電
源、電極が不要であり、単にメッキ浴中に素材を浸せき
するだけで密着力に優れた均一厚さの均質な膜を得るこ
とが出来る。従って、タービン翼のような大きくかつ複
雑な形状の部剤においても良好な膜を得ることが出来
る。
【0053】上記本発明により、TiAl基合金製のタ
ービン翼の耐異物衝撃性を向上させることが可能とな
る。そして、タービン翼の破壊が軽微化されるため、製
品の信頼性が向上し、修復コストが軽減される。
【0054】なお、実施例1及び2において、耐熱性を
向上させるために、図4に示すように第2被膜としての
耐熱合金5を更にタービン翼1を覆うように製膜するこ
とも可能である。例えば、耐熱性の金属としてCrある
いはCr合金をメッキなどの方法により、実施例1及び
実施例2で製造されたタービン翼1(のNiメッキ膜あ
るいはNi−Cd拡散メッキ膜3’)上に製膜する。そ
うすることにより、更に耐熱性を向上することが可能と
なる。
【0055】(実施例3)本発明であるタービン翼応力
及びタービン翼温度測定方法の実施の形態に関して、添
付図面を参照して説明する。
【0056】本実施例では、TiAl基合金製のタービ
ン翼本体2のタービン翼としての性能試験の際、タービ
ン翼本体2を実施例1で形成されたNi被膜(第1被
膜)付のタービン翼1にすることにより、歪みセンサと
しての歪みゲージ及び温度センサとしての熱電対を強固
にタービン翼1表面に固着することが可能とする。
【0057】図5は、本発明であるタービン翼応力及び
タービン翼温度測定方法の実施の形態に関わる構成を示
す図である。図5は、タービン翼1とタービンロータ6
の外観図(断面図)である。
【0058】タービン翼1は、Ni被膜付のTiAl基
合金製タービン翼1であり、実施例1の図1及び図2に
説明したタービン翼1と同様であるのでその説明を省略
する。
【0059】歪みセンサ7(−1〜3)は、材料に生じ
る微小な歪みを電気信号等として検出するものである。
歪みセンサ7は、歪みゲージ(金属抵抗線又は箔、半導
体などの抵抗が歪みにより変化する減少を利用した電気
抵抗歪みゲージなど)で例示される。温度センサ8(-
1〜3)は、材料の温度を電気信号等として検出するも
のである。温度センサ7は、熱電対(白金−白金ロジウ
ム熱電対(R熱電対)など)で例示される。
【0060】次に、本発明であるタービン翼応力及びタ
ービン翼温度測定方法の実施の形態の動作について図5
を参照して説明する。タービンの設計に際しては、構造
部材(本実施例では、TiAl基合金)に発生する応力
あるいはメタル温度を測定する必要がある。そのため
に、以下のような方法により、応力及びメタル温度を求
める。
【0061】(A)応力測定方法は、以下のようにな
る。 (A−1)TiAl基合金(Ti−42Al−5Mn)
を用いて、タービン翼形状のタービン翼本体2を形成す
る。これは、従来行われているタービン翼本体の形成方
法を用いることができる。 (A−2)タービン翼本体2の表面に、無電解Niメッ
キを行う。そして、膜厚0.5mmのNi膜(第1被
膜)を形成する。無電解Niメッキのプロセス(前処理
行程−無電解メッキ行程)は、従来行われている方法を
用いて行うことが出来る。 (A−3)タービン翼1のNi被膜上の応力を計測する
場所に、然るべき大きさの歪みを計測可能な歪みセンサ
7(−1〜3)をスポット溶接で固着する。固着方法
は、スポット溶接に限らず、従来用いられている方法を
利用することが出来る。 (A−4)タービン翼1(タービン翼本体)を回転させ
て、歪みセンサ7(−1〜3)により歪みを計測する。 (A−5)計測した歪みに基づいて、応力を計算する。
【0062】(B)メタル温度測定方法は、以下のよう
になる。 (B−1)TiAl基合金(Ti−42Al−5Mn)
を用いて、タービン翼形状のタービン翼本体2を形成す
る。これは、従来行われているタービン翼本体の形成方
法を用いることができる。 (B−2)タービン翼本体2の表面に、無電解Niメッ
キを行う。そして、膜厚0.5mmのNi膜(第1被
膜)を形成する。無電解Niメッキのプロセス(前処理
行程−無電解メッキ行程)は、従来行われている方法を
用いて行うことが出来る。 (B−3)タービン翼1のNi被膜上の温度を計測する
場所に、然るべき温度範囲の温度を計測可能な温度セン
サ8(−1〜3)をスポット溶接で固着する。固着方法
は、スポット溶接に限らず、従来用いられている方法を
利用することが出来る。 (B−4)タービン翼1(タービン翼本体)を回転させ
て、温度センサ8(−1〜3)により温度を計測する。
【0063】TiAl基合金では、スポット溶接は、十
分な溶着強度が得られない。しかし、Ni被膜を施すこ
とにより、歪みセンサ7(−1〜3)及び温度センサ8
(−1〜3)を強固にタービン翼1に固着することが可
能となる。すなわち、歪みセンサ7(−1〜3)につい
ては、振動応力の測定時に歪みゲージが外れることは無
く、良好に測定可能である。また、温度センサ8(−1
〜3)については、温度の測定時にハンマーで加振して
も、熱電対が外れることは無く、測定可能である。そし
て、ターボ機械製品の運転時におけるタービン翼での発
生応力及びメタル温度を得ることが可能となる。
【0064】上記本発明により、TiAl基合金製のタ
ービン翼の性能評価の精度が向上する。従って、最適な
タービン翼設計を迅速且つ容易に行うことができる。
【0065】本発明により、TiAl基合金で作られた
タービン翼の表面に、TiAl基合金よりも靭性の高い
材料の被膜を形成することにより、TiAl基合金で作
られたタービン翼の靭性が向上させ、耐異物衝撃性を改
善することが可能となる。その結果、タービン翼の脆性
破壊を緩和でき、TiAl基合金をタービン翼に適用す
ることが可能となる。本発明では、更に、第1被膜の表
面にCdを拡散させることにより、耐熱性も改善でき
る。
【0066】また、本発明においては、TiAl基合金
で作られたタービン翼の試験時に必要な歪みゲージ及び
熱電対等の固定を、スポット溶接で簡便に行うためにタ
ービン翼表面にNiメッキの被膜を形成する。それによ
りセンサーを強固に固定でき、回転試験中の振動応力及
びメタル温度の測定が可能となる。
【0067】
【発明の効果】本発明により、TiAl基合金を用いた
タービン翼あるいはタービンホイールの靭性及び耐熱性
を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明であるタービン翼及びタービン翼製造方
法の実施の形態に関わるタービン翼の構成を示す正面図
である。
【図2】本発明であるタービン翼及びタービン翼製造方
法の実施の形態に関わるタービン翼の外縁部近傍の断面
を示す図である。
【図3】本発明であるタービン翼及びタービン翼製造方
法の実施の形態に関わるタービン翼の外縁部近傍の他の
断面を示す図である。
【図4】本発明であるタービン翼及びタービン翼製造方
法の実施の形態に関わるタービン翼の外縁部近傍の別の
断面を示す図である。
【図5】本発明であるタービン翼応力及びタービン翼温
度測定方法の実施の形態に関わる構成を示す図である。
【符号の説明】
1 タービン翼 2 タービン翼本体 3 第1被膜 3’ 第1被膜 4 Cd膜 5 Cr膜 6 タービンロータ 7(−1〜3) 歪みセンサ 8(−1〜3) 温度センサ 9’−1〜5 補助溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 一彦 長崎県諫早市津久葉町5番地47号 ミカロ ーム工業株式会社長崎工場内 Fターム(参考) 3G002 EA05 EA06

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タービン翼本体と、 前記タービン翼本体よりも靭性の高い材料で、前記ター
    ビン翼本体を覆うように形成された第1被膜と、 を具備する、 タービン翼。
  2. 【請求項2】前記タービン翼本体は、TiAl基合金を
    含み、 前記第1被膜は、Niを含む、 請求項1に記載のタービン翼。
  3. 【請求項3】前記第1被膜は、更に、Cdを含む、 請求項2に記載のタービン翼。
  4. 【請求項4】前記第1被膜は、メッキ法により形成され
    ている、 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のタービン翼。
  5. 【請求項5】前記第1被膜よりも耐熱性の高い材料で、
    前記第1被膜を覆うように形成された第2被膜を更に具
    備する、 請求項1乃至4に記載のタービン翼。
  6. 【請求項6】前記第2被膜は、Crを含む、 請求項5に記載のタービン翼。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6のいずれか一項に記載のタ
    ービン翼と、 前記タービン翼を取り付けられたタービンロータと、 を具備する、 ターボ機械。
  8. 【請求項8】TiAl基合金を用いてタービン翼本体を
    形成するステップと、 前記タービン翼本体を覆うようにNiの被膜を形成する
    ステップと、 を具備する、 タービン翼製造方法。
  9. 【請求項9】前記Niの被膜を形成するステップは、 Cdの被膜を形成するステップと、 前記Ni及び前記Cdの被膜を熱処理するステップと、 を具備する、 請求項8に記載のタービン翼製造方法。
  10. 【請求項10】前記Ni及び前記Cdの内少なくとも一
    つは、メッキ法により形成されている、 請求項9に記載のタービン翼製造方法。
  11. 【請求項11】タービン翼本体にNi被膜を形成するス
    テップと、 前記Ni被膜上に前記タービン翼本体にかかる歪みを計
    測可能な歪みセンサを固着するステップと、 前記タービン翼本体を回転させて、前記歪みセンサによ
    り前記歪みを計測するステップと、 前記歪みに基づいて、前記タービン翼本体にかかる応力
    を計測するステップと、 を具備する、 タービン翼応力測定方法。
  12. 【請求項12】タービン翼本体にNi被膜を形成するス
    テップと、 前記Ni被膜上に前記タービン翼本体の温度を計測可能
    な温度センサを固着するステップと、 前記タービン翼本体を回転させて、前記温度センサによ
    り前記温度を計測するステップと、 を具備する、 タービン翼温度測定方法。
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