JP2003268005A - 包接体の製造法 - Google Patents

包接体の製造法

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JP2003268005A
JP2003268005A JP2002069630A JP2002069630A JP2003268005A JP 2003268005 A JP2003268005 A JP 2003268005A JP 2002069630 A JP2002069630 A JP 2002069630A JP 2002069630 A JP2002069630 A JP 2002069630A JP 2003268005 A JP2003268005 A JP 2003268005A
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cyclodextrin
clathrate
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water
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JP2002069630A
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Takashi Fujii
尊 藤井
Keiko Yamazaki
啓子 山崎
Hideki Yokoyama
英輝 横山
英利 ▲濱▼本
Hidetoshi Hamamoto
Akihiko Hirata
彰彦 平田
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MedRx Co Ltd
Original Assignee
MedRx Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬品を始め、医薬部外品、化粧品、食品な
どの製造に際し、難溶性物質の可溶化や安定化を図るた
めにシクロデキストリンによる包接技術が利用されてい
るが、包接後、その精製、結晶化についは、凍結乾燥な
どが行われているが、大量に処理する場合には、大きな
設備を必要とする。そこで、簡単な操作により、しかも
大量に精製できる方法が待たれている。 【解決手段】 加温した水溶液中でシクロデキストリン
により難溶性物質を包接した後、その水溶液を極低温下
に置くことにより、包接体を水溶液中に析出させた。そ
して、直ちに、これを濾過や冷却遠心などにより分離
し、乾燥させ結晶を得る製造法を発明したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、水に難溶性の物質
にシクロデキストリンポリマー用いて水溶性に変えた包
接体を作製した際に、これを収率よく簡便に精製する製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シクロデキストリンは、α―D―グルコ
ピラノーズが、1,4位置で結合された環状構造を有す
るもので、その構成単位分子の数が、6個のものがα、
7個のものがβ、8個のものがγ―シクロデキストリン
と呼称され、その特異な環状分子構造に起因する疎水性
部分の存在によって、主として、水溶液中に疎水性残基
を含む化合物が、溶存又は分散して存在する場合、その
環状構造の内部に、この疎水性残基を取り込み、包接体
を生成する性質を持っている。
【0003】このような特長は、特に、医薬品を始め、
医薬部外品、化粧品、食品などの製造に際し、難溶性物
質を水溶液中で包接した後、他の材料と混和され、可溶
化や安定化を図るために汎用されている。
【0004】しかしながら、最も汎用されているβ―シ
クロデキストリンのように、水に対する溶解度が著しく
低いような場合には、シクロデキストリンの溶解度を向
上させるか、あるいは、包接後、結晶化させて使用する
以外に、高濃度の難溶性を含む包接体を使用することは
困難であった。
【0005】シクロデキストリンの溶解性を改善するた
めに、エピクロルヒドリロンを使って架橋高分子化した
様々なシクロデキストリンポリマーの利用が提唱されて
いる(特願昭61−97025、特願昭61−2836
01)。
【0006】一方、包接体そのものの精製、結晶化につ
いは、凍結乾燥について行われていること(特開昭61
−97025)が、若干散見されているにすぎない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、シク
ロデキストリンは、α、β、γの3種類の同族体が利用
されているが、包接対象が広く、入手が容易なことから
β体が最もよく利用されている。事実、β―シクロデキ
ストリンを用いた種々の物質の可溶化や安定化について
は数多く報告されている。
【0008】しかし、β体は、それ自身、水に対する溶
解度が、25℃で1.85%(化学と教育、2001,1月
号、7ページ)と低いために、多量の包接体を凍結乾燥
法などにより精製するためには、多量の水溶液を処理す
る必要がある。
【0009】一方、β―シクロデキストリンに比べて、
25℃で14.5%、あるいは23.2%と溶解度が比
較的高いα体、γ体においても(化学と教育、200
1、1月号、 4ページ)、処理する溶液の量が少なく
なるというだけで、結晶化すること手間そのものが容易
になるという訳ではなく、安価で簡便な精製法が待望さ
れる。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような状況に鑑み、
本発明者らは、鋭意検討した結果、水溶液中でシクロデ
キストリンにより難溶性物質を包接後、その水溶液を極
低温下に置くことにより、包接体を水溶液中に析出させ
た。そして、直ちに、これを濾過や冷却遠心などにより
分離し、乾燥させることにより結晶を得る製造法を発明
したものである。
【0011】本発明は、シクロデキストリンの包接体を
含んだ水溶液を、極低温下に置くことにより、析出させ
て結晶化する製造法を提供するものである。
【0012】ここで極低温とは、0℃にほぼ近く、水が
決して凍結しない温度を表す。
【0013】濾過は、メッシュの細かい、例えば、ガラ
スフィルター(VIDREX. PG-4)を用いて、温度上昇がな
いように速やかに吸引濾過する。
【0014】冷却遠心は、すでに使用されている冷却遠
心機を用いて行うが、大量の水溶液を処理するには、機
外への循環式のものが利用できる。
【0015】しかしならが、経済性と簡便さを加味すれ
ば、冷却遠心機を使用するよりも、吸引濾過法がより好
ましい。
【0016】前記シクロデキストリンポリマーは、水に
対する溶解度が、25℃の水100mlに対し5g以下である
ことが好ましいが、より好ましくは、2g以下である。
【0017】本発明は、水に難溶性でシクロデキストリ
ンポリマーと包接体を作る全ての物質に適用できるが、
各種の医薬品、香料、色素など矯味剤等への利用が特に
有効であり、前記安定化の具体的効果として、例えば、 水に不溶性ないし水に難溶性の物質で、水性溶媒中
での均一な溶解ないし分散状態の保持(水性溶媒からの
分離の防止) 空気中の酸素、熱、太陽光線による物理的又は化学
的変化の防止、 揮散しやすい物質の保存性向上 が挙げられる。
【0018】本発明を使用した場合に、特に有利な結果
が得られる対象物質の具体例を列挙すれば、以下の通り
である。
【0019】まず、医薬品としては、非ステロイド性消
炎鎮痛剤、ステロイド性抗炎症剤、殺菌剤、ビタミン
類、化学療法剤、ホルモン剤などが挙げられる。
【0020】これらのうち非ステロイド性消炎鎮痛剤と
しては、例えば、アスピリン、サリチルメチル酸、ジク
ロフェナックナトリウム、イブプロフェン、ケトプロフ
ェン、インドメタシンなどがあり、副腎皮質ホルモン剤
としては、デキサメタゾン、ブレドニゾロン、ヒドロコ
ルチゾンなどがあり、殺菌剤としては、ヨード、クロル
ヘキシジン、塩化デカリニウムなどが挙げられる。
【0021】更に、ビタミン類として例えば、ビタミン
A油、エルゴカルシフェロール、サリン酸ピリドキサー
ル、葉酸、ビオチン、メコバラミン、酢酸トコフェノー
ル、などがあり、化学療法剤としては、ナリジクス酸、
ピロミド酸、サラゾスルファピリジンなどがあり、ホル
モン剤としては、例えば、メチルテストステロン、エチ
ニルエストラジオール、プロゲステロン、プレグナンジ
オール、プロスタグランジンなどがある。
【0022】本発明の方法を効果的に利用できる香料と
しては、麝香などの天然動物香料や、香水薄荷油、ジャ
スミン油、スペアミント油、オレンジ油、レモン油など
があり、単体香料としては、炭化水素及びその誘導体と
してBromostyrol, Cadinene, Camphene, Cedrene, Limo
neneなどがあり、アルコールとしては、Benzyl alcoho
l, Cedrenol, Citronellol, l-mentolなどが、エステル
としては、Allyl-salicylate, Benzyl-benzoate, Methy
l-salicylate, Octyl-acetate, Phenylethyl-salicylat
e, Terpinyl-acetateなどが、アルデヒドとしては、Ald
ehyde C14(Peach),Aldehyde C16(Strawberry), Benzald
ehyde, Vanillineなどが、ケトンとしては、Acetopheno
ne, Ethylamyl ketone(Octanone-3), l-Menthone, Musc
one, Muskketone, Thujone(Tanacetone) などが、エー
テルとしては、Anethole, Cineole(Eucalyptol), Methy
l-chavicol(Estragol), β-Naphthol ethylether(Neoli
n)などが、フェノールとしては、Tymol, Carvacrol, Eu
genolなどが、ラクトンとしては、Exaltolide, Coumari
nなどが、酸としては、Benzoic acid, Cinnamic acid,
Phenylacetic acidなどが、更に、その他の窒素化合物
としては、Indole, Musk xylol, Skatolなどが挙げられ
る。
【0023】更に、本発明に使用できる色素としては、
オイルレッドXO(赤色5号)、ナフトールイエローS(黄
色1号)、イエローOB(黄色3号)、ローダミンBステア
レート(赤色215号)、フルオレセン(黄色201号)、キ
ノリンイエローSS(黄色204号)、キニザリングリー
ンSS(緑色202号)、スダンブルーB(青色403号)など
がある。
【0024】また、矯味剤に使用としては、甘味剤での
利用、特にジヒドロカルコン類への利用が有効で、ジヒ
ドロカルコン類の例として、ブルニンジヒドロカルコ
ン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ヘスペレチン
ジヒドロカルコンなどが挙げられる。
【0025】このように、本発明を使用した場合に、特
に有利な結果が得られる対象物質の具体例を上記のよう
に列挙したが、本発明は、これにより何ら制限されるも
のでない。
【0026】
【発明の実施の形態】25℃の水に対して5%以下の溶
解度を示すシクロデキストリンに、各種の医薬品、香
料、色素など矯味剤等の揮発性物質や難溶性物質を包接
した後、その水溶液を極低温下に置くことにより、包接
体を水溶液中に析出させた。ここで極低温とは、0℃に
ほぼ近く、水が決して凍結しない温度を表す。その後、
ガラスフィルター(VIDREX. PG-4)を用いて、温度上昇
がないように速やかに吸引濾過するか、あるいは、すで
に汎用されている冷却遠心機を用いて超遠心により、上
清を捨てた後、難溶性物質の包摂体の沈殿物を得る。そ
して、これらを掻き集めて、乾燥し、これらの結晶を得
る。
【0027】
【発明の効果】医薬品を始め、医薬部外品、化粧品、食
品などの製造に際し、揮発性物質あるいは難溶性物質の
可溶化や安定化を図るためにシクロデキストリンによる
包接技術に関するもので、加温した水溶液中でシクロデ
キストリンによりこれらの物質を包接した後、その水溶
液を極低温下に置くことにより、包接体を水溶液中に析
出させ、直ちに、これを濾過や冷却遠心などにより分離
し、乾燥させ結晶を得る製造法で、本法により、シクロ
デキストリンよる包接体が、簡単に大量に精製できる。
【0028】
【実施例1】60℃に加温した100mlの精製水に、α、
β及びγ体の3種類のシクロデキストリンをそれぞれ10
g溶解し、水温を40℃、35℃、30℃、25℃、2
0℃、15℃、10℃、5℃および0℃に下げて、析出
の有無を調べた。
【0029】
【表1】
【0030】析出の程度は、肉眼により行い、析出なし
(―)と析出ありを3段階(+<++<+++)で判定
した。
【0031】
【実施例2】実施例1で調製した3種類のシクロデキス
トリンを溶解した水溶液を、それぞれ20℃、10℃及
び5℃で、マグネチックバーを使って緩やかに2時間攪
拌した後、析出したシクロデキストリンをガラスフィル
ターで吸引ろ過して捕集した。
【0032】ここに、およそ100mlのエーテルで3回洗
浄した後、析出したシクロデキストリンを採取した。そ
して、スパーテルを使って300mlのナス型瓶に移し入れ
た後、40℃で2時間減圧乾燥し、シクロデキストリン
の結晶を得た。
【0033】
【表2】
【0034】実施例1に従って、各水温下で析出した3
種類のシクロデキストリンの回収量(g)、 及び回収率
(%)は表2の通りである。最も溶解度の低いβ―シクロ
デキストリンは、すでに40℃で析出が見られ、氷温下
0℃でほぼ100%回収することができた。
【0035】しかしながら、溶解度の高いα―シクロデ
キストリンでは、25℃で、最も溶解度の高いγ―シク
ロデキストリンでは、15℃で析出が見られ、0℃の氷
温下での回収率は、それぞれ10%及び7%と低かっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 彰彦 徳島県鳴門市撫養町立岩字元地87番地302 Fターム(参考) 4B047 LB08 LE06 LG05 LG28 LP16 4C076 AA99 EE39 FF23 FF70 4C083 AD25 EE50 FF01 4C090 AA03 AA07 BA11 BB04 BB12 BB32 BB36 BB52 BD05 BD23 CA46 DA23 DA26 DA27

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難溶性物質をシクロデキストリンポリマ
    ーで包接後、20度℃以下に冷却し、包接体を析出させ
    て結晶化する製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1項のシクロデキストリンポリマ
    ーとして、25℃の水に対する溶解度が5%以下のもの
    を使用する包接体の製造法。
JP2002069630A 2002-03-14 2002-03-14 包接体の製造法 Pending JP2003268005A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011111458A (ja) * 2009-11-27 2011-06-09 Lab Servier ストロンチウム塩、ビタミンdおよびシクロデキストリンを含む薬学的組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011111458A (ja) * 2009-11-27 2011-06-09 Lab Servier ストロンチウム塩、ビタミンdおよびシクロデキストリンを含む薬学的組成物

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