JP2003267217A - 鉄道車両用振動制御装置 - Google Patents

鉄道車両用振動制御装置

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JP2003267217A JP2002074660A JP2002074660A JP2003267217A JP 2003267217 A JP2003267217 A JP 2003267217A JP 2002074660 A JP2002074660 A JP 2002074660A JP 2002074660 A JP2002074660 A JP 2002074660A JP 2003267217 A JP2003267217 A JP 2003267217A
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淳一 寺井
Takao Wada
多加夫 和田
Yukinobu Kono
行伸 河野
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成昭 東
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 速度センサ及び変位センサ等に比して機械的
に強固であり、かつ、安価に製造することができる加速
度センサ又は荷重センサ等を用い、その出力に基づいて
鉄道車両の車体の振動を抑制すべく制御することができ
る振動制御装置を提供する。 【解決手段】 振動制御装置100は、車体速度取得部
110,相対速度取得部120,及び演算部130を備
える。車体速度取得部110は、車体加速度センサから
車体加速度信号を受け付けて車体の速度を取得し、相対
速度取得部120は、前記車体加速度信号と台車加速度
センサから入力される台車加速度信号とを受け付け、相
対速度の正負に関する情報を少なくとも取得する。車体
速度取得部110及び相対速度取得部120にて取得さ
れた情報に基づき、演算部130は振動を抑制するため
の減衰力を示す指示情報(抑制力情報)を取得し、出力
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両の台車と
車体との間に生じる振動を制御するための鉄道車両用振
動制御装置、特に、減衰力可変ダンパを用いたセミアク
ティブサスペンション装置として用いる鉄道車両用振動
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両には、走行時における乗客の乗
り心地の向上を図るため、特に、鉄道車両の進行方向に
対する左右方向の振動を抑制又は制御することが望まれ
ている。そこで従来、特開平8-82338号公報,特開平9-3
01164号公報などにおいて振動制御装置に関する様々の
提案がなされている。
【0003】ところで鉄道車両は、レール上を回動する
車輪を軸支する台車と、該台車上に設けられる車体とか
らおおまかに構成され、前記台車と車体との間には、空
気バネ及び左右動ダンパ(振動抑制部)等が備えられて
いる。前記空気バネは主として、台車に生じる上下左右
方向の振動が車体へ伝達されるのを抑制するための緩衝
装置として用いられている。また、前記左右動ダンパ
は、車体の左右方向への振動を抑制し、制御するために
用いられ、特に、前記左右動ダンパとして減衰力可変ダ
ンパを使用するサスペンション装置(振動制御装置)
は、セミアクティブサスペンション装置と呼ばれる。
【0004】該セミアクティブサスペンション装置を用
いて車体の左右方向の振動を制御する場合の制御則には
公知のものがあり、以下にその概略を説明する。図1
3,14は、前記制御則を説明するための説明図であ
り、図において1は鉄道車両の台車、2は前記台車1上
に設けられる車体、3は前記台車1及び車体2の間に設
けられるダンパを示している。該ダンパ3は、シリンダ
内に粘性流体(作動油など)が充填されており、シリン
ダ内に設けられたオリフィス(調圧弁)の開口径を調節
することにより減衰力が可変となっている。また、図1
3,14には、鉄道車両の進行方向に対する左右方向を
向き、一方向を正とするx軸が示されており、x軸方向
における台車1の速度をv1,車体2の速度をv2と仮定
する。
【0005】ここで、v2>0であり、かつ、台車1を
基準としたときの車体2の相対速度をvaとしてva=v
2−v1>0である場合(図13)、車体2は、台車1に
比して大きい速度でx軸の正方向へ変位していることが
わかる。従ってこの場合、車体2の左右方向の振動を抑
制するために、ダンパ3の減衰力を大きくし、台車1及
び車体2の間の結合を強固にする。
【0006】他方、v2>0であり、かつ、相対速度va
がva=v2−v1<0の関係にある場合(図14)、台
車1は、車体2に比して大きい速度でx軸の正方向へ変
位していることがわかる。ここで仮に、台車1及び車体
2の間の結合を強固にすると、x軸の正方向へより大き
な速度で変位する台車1により車体2が同方向へ引っ張
られてしまい、かえって車体2は左右方向へ大きく振動
してしまう。従ってこの場合、車体2の左右方向の振動
を抑制するために、ダンパ3の減衰力を小さくし(0で
もよい)、台車1及び車体2の間の結合を弱める。
【0007】このように、セミアクティブサスペンショ
ン装置を用いる場合の制御則は、車体2の速度v2と、
台車1を基準としたときの車体2の相対速度vaとに基
づいて行われる。即ち、v2>0かつva>0である場合
は減衰力を大きくなるように制御し、v2>0かつva
0である場合は減衰力を小さくなるように制御する。ま
た、相対速度vaの大きさに応じた重み付けを行って減
衰力の値を適宜制御することも可能である。従って、v
2及びvaを取得することにより、セミアクティブサスペ
ンション装置を用いて車体2の振動の制御を行うことが
できる。
【0008】上記の公開公報は、共にセミアクティブサ
スペンション装置を用いるものに関して記載してあり、
一方では車体に速度センサ,車体及び台車間に変位セン
サを設け、また他方では、車体に加速度センサ,車体及
び台車間に速度センサを設けることにより、v2及びva
を取得し、車体2の振動の制御に供している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、速度セ
ンサ及び変位センサは機械的に動作する必要があり、ま
た、台車と共に激しく振動するため、高度の耐久性が要
求され、概して高価なものとなっている。また、変位セ
ンサは一般にダンパに内蔵されるため、該ダンパは変位
センサを内蔵するための特殊な形状となっており、高価
なものとなっている。
【0010】本発明は、上記のような事情に鑑みてなさ
れたものであり、機械的に強固であり、かつ、安価に製
造することができるセンサの出力を用い、車体の振動を
抑制すべく制御することができる鉄道車両用制御装置を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る鉄道車両用振動制御装置は、車輪を軸
支する台車と、該台車上に設けられる車体と、該車体に
生じる振動を抑制するための振動抑制部とを備える鉄道
車両にて、前記車体に生じる振動を制御するための鉄道
車両用振動制御装置において、前記台車の加速度を示す
台車加速度信号を受け付ける手段と、前記車体の加速度
を示す車体加速度信号を受け付ける手段と、受け付けた
台車加速度信号及び車体加速度信号に基づき、少なくと
も前記台車及び車体の相対速度又は該相対速度の正負を
示す情報を取得する相対速度取得手段と、受け付けた車
体加速度信号に基づき、前記車体の速度を取得する車体
速度取得手段と、前記相対速度取得手段にて取得された
少なくとも相対速度又は相対速度の正負を示す情報、及
び、前記車体速度取得手段にて取得された車体の速度に
基づき、前記車体に生じる振動を抑制するための抑制力
情報を取得する抑制力情報取得手段と、取得した抑制力
情報を出力する手段とを備え、出力された抑制力情報に
基づいて前記振動抑制部が抑制力を発生することによ
り、前記車体の振動を制御する。
【0012】このような構成とすることにより、速度セ
ンサ及び変位センサを用いず、これらに比して機械的に
強固であり、かつ非常に安価である加速度センサを台車
及び車体の双方に備えさせ、車体の速度と、車体及び台
車の相対速度(又は、該相対速度の正負を示す情報)と
を得ることができ、車体の振動を抑制すべく、減衰力可
変ダンパ等の振動抑制部を制御することができる。
【0013】また、本発明に係る鉄道車両用振動制御装
置は、車輪を軸支する台車と、該台車上に設けられる車
体と、該車体に生じる振動を抑制するための振動抑制部
とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振動を制御
するための振動制御装置において、前記台車の加速度を
示す台車加速度信号を受け付ける手段と、前記車体の速
度を示す車体速度信号を受け付ける手段と、受け付けた
台車加速度信号及び車体速度信号に基づき、少なくとも
前記台車及び車体の相対速度又は該相対速度の正負を示
す情報を取得する相対速度取得手段と、前記相対速度取
得手段にて取得された少なくとも相対速度又は該相対速
度の正負を示す情報、及び、受け付けた車体速度信号に
基づき、前記車体に生じる振動を抑制するための抑制力
情報を取得する抑制力情報取得手段と、取得した抑制力
情報を出力する手段とを備え、出力された抑制力情報に
基づいて前記振動抑制部が抑制力を発生することによ
り、前記車体の振動を制御する。
【0014】このような構成とすることにより、変位セ
ンサを用いず、これに比して機械的に強固かつ安価であ
る加速度センサを台車に備えさせ、該加速度センサにて
検出される台車の加速度と、車体が備える速度センサに
て検出される車体の速度に基づき、振動抑制部を制御し
て振動を抑制させることができる。
【0015】また、前記相対速度取得手段は、受け付け
た信号に含まれる特定の周波数成分を除去するフィルタ
と、積分器とを有する。
【0016】入力される信号のうち、車体の振動を抑制
するための測定の対象となるのは、例えば1〜10Hz
などのように所定の周波数帯域における信号に限定され
ている。従ってこのような構成とすることにより、入力
された信号のうち、測定の対象外である周波数(上述し
た例で言えば1Hz以下及び10Hz以上の周波数)を
有する信号を除去した上で、所望する周波数を有する信
号のみを積分器により処理して相対速度を取得すること
ができ、車体の振動の抑制制御に供することができる。
【0017】また、前記相対速度取得手段は、オブザー
バ又はカルマンフィルタを有する。
【0018】一例として、入力値として台車の加速度、
出力値として車体の加速度とし、途中の状態量として台
車及び車体の間の相対速度を取得できるオブザーバを相
対速度取得手段として構成する。このような構成とする
ことにより、速度センサ及び変位センサを用いずとも、
例えば台車加速度センサ及び車体加速度センサを用い
て、比較的正確に相対速度を取得することができ、車体
の振動の抑制制御に供することができる。
【0019】また、本発明に係る鉄道車両振動装置は、
車輪を軸支する台車と、該台車上に設けられる車体と、
該車体に生じる振動を抑制するための振動抑制部とを備
える鉄道車両にて、前記車体に生じる振動を制御するた
めの鉄道車両用振動制御装置において、前記台車及び車
体の間に作用する荷重を示す荷重信号を受け付ける手段
と、前記車体の加速度を示す車体加速度信号を受け付け
る手段と、受け付けた荷重信号に基づき、少なくとも前
記台車及び車体の相対速度及び該相対速度の正負を示す
情報を取得する相対速度取得手段と、受け付けた車体加
速度信号に基づき、前記車体の速度を取得する車体速度
取得手段と、前記相対速度取得手段にて取得された少な
くとも相対速度又は該相対速度の正負を示す情報、及
び、前記車体速度取得手段にて取得された車体の速度に
基づき、前記車体に生じる振動を抑制するための抑制力
情報を取得する抑制力情報取得手段と、取得した抑制力
情報を出力する手段とを備え、出力された抑制力情報に
基づいて前記振動抑制部が抑制力を発生することによ
り、前記車体の振動を制御する。
【0020】このような構成とすることにより、速度セ
ンサ及び変位センサを用いず、これらに比して機械的に
強固であり、かつ非常に安価である加速度センサ及び荷
重センサを用い、車体の速度と、車体及び台車の相対速
度(又は、該相対速度の正負を示す情報)とを得ること
ができ、車体の振動を抑制すべく、減衰力可変ダンパ等
の振動抑制部を制御することができる。
【0021】なお、ダンパの減衰指令値(抑制力情報)
に応じ、発生する荷重と相対速度との関係を予め取得し
ておくことにより、前記相対速度取得手段は、前記荷重
信号から比較的正確に相対速度を演算することができ、
前記振動抑制部を適切に制御することができる。
【0022】また、本発明に係る鉄道車両用振動制御装
置は、車輪を軸支する台車と、該台車上に設けられる車
体と、該車体に生じる振動を抑制するための振動抑制部
とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振動を制御
するための鉄道車両用振動制御装置において、前記台車
及び車体の間に作用する荷重を示す荷重信号を受け付け
る手段と、前記車体の速度を示す車体速度信号を受け付
ける手段と、受け付けた荷重信号に基づき、少なくとも
前記台車及び車体の相対速度又は相対速度の正負を示す
情報を取得する相対速度取得手段と、前記相対速度取得
手段にて取得された少なくとも相対速度又は相対速度の
正負を示す情報、及び、受け付けた車体速度信号に基づ
き、前記車体に生じる振動を抑制するための抑制力情報
を取得する抑制力情報取得手段と、取得した抑制力情報
を出力する手段とを備え、出力された抑制力情報に基づ
いて前記振動抑制部が抑制力を発生することにより、前
記車体の振動を制御する。
【0023】このような構成とすることにより、変位セ
ンサを用いず、これに比して機械的に強固かつ安価であ
る荷重センサを用い、該荷重センサにて検出される台車
及び車体の相対速度(又は、該相対速度の正負を示す情
報)と、車体が備える速度センサにて検出される車体の
速度に基づき、振動抑制部を制御して振動を抑制させる
ことができる。
【0024】また、本発明に係る鉄道車両用振動制御装
置は、車輪を軸支する台車と、該台車上に設けられる車
体と、該車体に生じる振動を抑制するためのダンパとを
備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振動を制御する
ための鉄道車両用振動制御装置において、前記ダンパ
は、外力に応じた導電率を有する弾性体である感圧導電
ゴムからなるゴムブッシュを具備する軸受部を端部に有
し、前記ゴムブッシュが有する導電率を示す信号に基づ
き、少なくとも前記台車及び車体の相対速度又は該相対
速度の正負を示す情報を取得する相対速度取得手段と、
該相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速度
又は該相対速度の正負を示す情報に基づき、前記車体に
生じる振動を抑制するための抑制力情報を取得する抑制
力情報取得手段と、取得した抑制力情報を出力する手段
とを備え、出力された抑制力情報に基づいて前記ダンパ
が抑制力を発生することにより、前記車体の振動を制御
する。
【0025】このような構成とすることにより、機械的
に強固であり安価な荷重センサを構成することができる
上に、該荷重センサを用いて車体及び台車の相対的な変
位がダンパへ及ぼす外力に応じた信号を検出でき、検出
した該信号に基づいて少なくとも前記車体及び台車の相
対的な速度、又は該相対速度の正負を示す情報を取得す
ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面を参照しながら具体的に詳述する。
【0027】(実施の形態1)図1は、本発明に係る鉄
道車両用振動制御装置(以下、振動制御装置、という)
をセミアクティブサスペンション装置として適用した鉄
道車両の実施の形態1における構成を示す模式図であ
る。図において1は、下部に車輪を軸支する台車であ
り、該台車1の上側には乗客及び乗員が搭乗する車体2
が、所定間隔を有して備えられている。また、鉄道車両
の進行方向を正面方向とした場合に、台車1と車体2と
の間における両脇には、空気バネ4が、その上端及び下
端を夫々車体2及び台車1に取り付けられている。該空
気バネ4は、台車1と車体2との間に生じる垂直方向及
び水平方向の振動を吸収するためのものである。
【0028】台車1と車体2との夫々には、棒状のダン
パ支持部材1a,2aが設けられている。該ダンパ支持
部材1a,2aは、進行方向における位置が略一致し、
左右方向に所定間隔を有して位置し、前記ダンパ支持部
材1aは台車1の上部に立設し、前記ダンパ支持部材2
aは車体2の下部に垂設されている。該ダンパ支持部材
1a,2aの間には、減衰力を調節することができる減
衰力可変ダンパ(振動抑制部)3が、その長手方向を左
右方向と一致させた状態で介装されている。該減衰力可
変ダンパ3は、台車1と車体2との間に生じる左右方向
の振動を抑制するためのものであり、例えば、内部に充
填された粘性流体の通路をなすオリフィスの開口径を開
閉することにより、減衰力を調整することができる。
【0029】また、台車1には台車加速度センサ11が
備えられ,車体2には車体加速度センサ21及び振動制
御装置100が備えられている。前記振動制御装置10
0と車体加速度センサ21とは図示しない信号ケーブル
を介して接続され、また、振動制御装置100と台車加
速度センサ11とは、図示しない信号ケーブルを介して
接続されている。
【0030】図2は、本実施の形態に係る前記振動制御
装置100の概略構成を示すブロック図である。図に示
すように振動制御装置100は、車体速度取得部11
0,相対速度取得部120,及び演算部130とを備え
ている。前記車体速度取得部110は、前記車体加速度
センサ21との間で信号線により接続されており、該車
体加速度センサ21から入力された車体2の加速度を示
す信号に基づいて該車体2の速度を取得する。また、前
記相対速度取得部120は、前記台車加速度センサ11
及び車体加速度センサ21との間で信号線により接続さ
れており、該台車加速度センサ11から入力された台車
1の加速度を示す信号と、車体加速度センサ21から入
力された車体2の加速度を示す信号とに基づいて、台車
1及び車体2の間の相対速度を取得する。車体速度取得
部110にて取得した車体2の速度と、相対速度取得部
120にて取得した相対速度とは、演算部130へ入力
される。演算部130は、入力された信号が示す情報に
基づき、所定の減衰力を示す指示信号を、減衰力可変ダ
ンパ3のオリフィスを開閉させるドライバ(図示せず)
へ出力する。
【0031】図3は、前記車体速度取得部110の概略
構成を示すブロック図であり、図4は、前記相対速度取
得部120の概略構成を示すブロック図である。図3,
4に示すように、車体速度取得部110及び相対速度取
得部120は同様の構成をなしており、車体速度取得部
110はバンドパスフィルタ(以下、BPF)111及
び積分器112を備え、相対速度取得部120はBPF
121及び積分器122を備えている。
【0032】前述したように、車体速度取得部110に
は、車体加速度センサ21にて検出された車体2の加速
度を示す信号が入力される。ところで、車体2の振動を
抑制すべく減衰力可変ダンパ3を制御する場合、本実施
の形態において必要となる車体の加速度を示す信号は、
0.1〜10Hz程度の周波数帯域の信号である。しか
し、車体加速度センサ21からBPF111へ入力され
る信号には更に広い周波数帯域の信号が含まれている。
従って、前記BPF111は、0.1〜10Hz程度の
周波数帯域の信号のみを通過させる特性を有するものを
用いる。このようにBPF111を通過した所定の周波
数帯域の信号は積分器112へ入力され、車体2の速度
2が得られる。得られた車体2の速度v2を示す信号
は、前記演算部130へ出力される。
【0033】同様に、相対速度取得部120には、台車
加速度センサ11にて検出された台車1の加速度を示す
信号と、車体加速度センサ21にて検出された車体2の
加速度を示す信号とが入力される。即ち、本実施の形態
においては、台車1を基準としたときの車体2の相対加
速度aaがBPF121へ入力される。該BPF121
も前記BPF111と同様に、0.1〜10Hz程度の
周波数帯域の信号のみを通過させる。BPF121を通
過した信号は積分器122へ入力され、台車1を基準と
したときの車体2の相対速度vaが得られる。得られた
相対速度vaを示す信号は、前記演算部130へ出力さ
れる。
【0034】なお、前記BPF111,121に換えて
ハイパスフィルタを用いてもよい。この場合、1次のハ
イパスフィルタは、その後に積分器を配することにより
全体としてローパスフィルタとなるため、2次以上のハ
イパスフィルタを用いることが望ましい。
【0035】次に、上述したような構成をなす振動制御
装置100の動作の流れを、図5に示すフローチャート
を用いて説明する。前述したように、振動制御装置10
0が備える車体速度取得部110は、車体2の加速度を
示す信号を受け付け(S1)、受け付けた信号に基づい
て車体2の速度v2を取得し(S2)、取得した速度v2
を示す信号を演算部130へ出力する(S3)。また、
相対速度取得部120は、相対加速度aaを示す信号を
受け付け(S4)、受け付けた信号に基づいて台車1を
基準とする車体2の相対速度vaを取得し(S5)、取
得した相対速度vaを示す信号を演算部130へ出力す
る(S6)。
【0036】速度v2を示す信号,及び相対速度vaを示
す信号が入力された演算部130は(S7)、これらに
基づいて減衰力を算出する(S8)。例えば、予め速度
2及び/又は相対速度vaをパラメータとする演算式を
設定しておき、実際にステップ7にて入力された速度v
2及び相対速度vaを前記演算式へ代入して算出すればよ
い。なお、速度v2及び/又は相対速度vaに基づいて減
衰力を得る方法は公知のものであり、ここでの詳説は省
略する。
【0037】次に演算部130は、入力された速度v2
及び相対速度vaの両者を比較し、v a*v2>0である
か否かを判別する(S9)。既に説明したように、va
*v2>0のときは、台車1に比して車体2はより大き
い速度で一方へ振動していることになるため、減衰力可
変ダンパ3がステップ8にて算出した減衰力を有するよ
うに指示信号を出力する(S10)。また、va*v2
0のときは、車体2に比して台車1はより大きい速度で
一方へ振動していることになるため、ステップ8にて算
出した減衰力は採用せず、代わりに、減衰力可変ダンパ
3が最小の減衰力を有するように指示信号(抑制力情
報)を出力する(S11)。
【0038】ステップ10又は11にて出力された指示
信号は、ドライバへ入力され、該ドライバが指示信号に
基づいて駆動することにより、減衰力可変ダンパ3が有
するオリフィスの開口径は開閉される。
【0039】以上に説明したように、本実施の形態1に
係る振動制御装置100は、速度センサ及び変位センサ
等を用いていない。その代わりに台車加速度センサ11
及び車体加速度センサ21を用い、それらにて検出した
台車1及び車体2の夫々の加速度に基づき、減衰力可変
ダンパ3が発揮する減衰力を制御し、車体2の振動を抑
制することができる。また、加速度センサは、速度セン
サ及び変位センサと比べて機械的に強固でありかつ安価
であるため、鉄道車両の振動の制御を精度の低下を招く
ことなく、耐故障性に優れたシステムを低価格にて実現
することができる。
【0040】なお、車体加速度センサ21に替えて速度
センサを用いた場合であっても、振動の激しい台車1に
前記台車加速度センサ11を用いることにより、上記実
施の形態1と同等の効果を得ることができる。
【0041】(実施の形態2)実施の形態1に係る振動
制御装置100では、バンドパスフィルタ又はハイパス
フィルタを用いるものを説明したが、鉄道車両における
セミアクティブサスペンション装置としては比較的低周
波の振動を制御する必要があるため、取得した速度及び
相対速度により高い精度を求めることができない場合が
ある。従って、本実施の形態2では、セミアクティブサ
スペンション装置としてオブザーバを用いた振動制御装
置について説明する。
【0042】なお、本実施の形態2では、振動制御装置
を除く鉄道車両の構成は実施の形態1に示す構成(図1
参照)と同様であり、台車加速度センサ11及び車体加
速度センサ21を用いる。また、カルマンフィルタは、
使用の用途が異なるが、その構成は基本的にオブザーバ
と同一であるため、本実施の形態2にて説明する振動制
御装置は、カルマンフィルタを用いて実現することも可
能である。
【0043】台車1,車体2,減衰力可変ダンパ3,及
び空気バネ4からなる系を、台車1の強制加振によって
生じる車体2の振動を抑制するものとした場合、全体系
は図6のブロック図のように示される。即ち、台車1の
加速度をa1,車体2の加速度をa2とした場合に、加速
度a1を入力とし、加速度a2を出力とした系で表され
る。ここで系の状態量として、台車1の加速度をa1
速度をv1,変位をx1とし、車体2の加速度をa2,速
度をv2,変位をx2とする。また、減衰力可変ダンパ3
のダンパ定数をC、空気バネ4のバネ定数をK、車体2
の質量をM2とする。なお、図6では、より複雑な構成
をなす実際の系を簡略にモデル化して示してある。
【0044】前記系を具体的に説明すると、台車加速度
センサ11にて検出された系の入力である台車1の加速
度a1には外乱として直流ドリフトD1が入力され、併せ
て積分器へ入力されることにより台車1の速度v1が得
られる。得られた速度v1が更に積分器へ入力されるこ
とにより台車1の変位x1が得られる。他方、車体加速
度センサ21にて検出された車体2の加速度a2には外
乱として直流ドリフトD2が入力され、併せて積分器へ
入力されることにより車体2の速度v2が得られる。得
られた速度v2が更に積分器へ入力されることにより車
体2の変位x2が得られる。
【0045】次に、台車1の速度v1と車体2の速度v2
とについて、速度v1を正として差分が取られることに
より相対速度vaが得られる。また、台車1の変位x1
車体2の変位x2とについて、変位x1を正として差分が
取られることにより相対変位xaが得られる。
【0046】この様にして得られた相対速度vaにダン
パ定数Cが乗ぜられたものと、相対変位xaにバネ定数
Kが乗ぜられたものとを加算し、更に車体2の質量M2
の逆数を乗ずることにより、車体2の加速度a2が得ら
れる。
【0047】ところで、上述した系は、相対加速度aa
(=a1−a2)と相対速度va(=v 1−v2)とを新た
な状態量とした場合、図7のブロック図のように示され
る。即ち、台車加速度センサ11にて検出された台車1
の加速度a1を系への入力とし、車体加速度センサ21
にて検出された車体2の加速度a2との差分が取られる
ことにより相対加速度aaが得られる。得られた相対加
速度aaには外乱として直流ドリフトDが入力され、併
せて積分器へ入力されることにより相対速度vaが得ら
れる。得られた相対速度vaが更に積分器へ入力される
ことにより相対変位xaが得られる。そして、相対速度
aにダンパ定数Cが乗ぜられたものと、相対変位xa
バネ定数Kが乗ぜられたものとを加算し、更に、車体2
の質量M2の逆数を乗ずることにより、車体2の加速度
2が得られる。
【0048】図6,7にて示した系において、台車1及
び車体2の相対速度vaを直接的にセンサで検出して得
ることはできない。従って、本実施の形態2では、オブ
ザーバ(又は、カルマンフィルタ)200を用いること
により、前記相対速度vaを取得する。図8は、図6,
7に示した系に対してオブザーバ200を付加した系を
示すブロック図である。
【0049】オブザーバ200は、入力及び出力が得ら
れる場合に、その系の途中の状態量を得る(観察する)
ために用いることができる。従って、台車の加速度a1
を入力とし、車体2の加速度a2を出力とした場合に、
途中の状態量である相対速度vaを得ることができる。
【0050】具体的には、オブザーバ200として、図
7に示した系と略同一の系を設け、これを図7に示した
系に並列に接続する(図8参照)。このように、系とオ
ブザーバ200とは略同一の構成としているが、系にて
用いられている積分器の出力値については予め必ずしも
正確に知りえないため、系の出力であるa2とオブザー
バ200の出力との差を示す前記差分値を用い、オブザ
ーバ200の積分器の値について順次修正を施してい
る。即ち、差分値に対し、定数(図8においてk 1
2,k3)を乗じたものを用い、外乱の入力,加速度a
1,a2が入力される積分器の値,及び相対速度vaが入
力される積分器の値等が修正される。
【0051】この結果、系とオブザーバ200との夫々
の出力が同一となった場合、このときにオブザーバ20
0にて得られる相対速度の推定値va’は、実際の相対
速度vaと高い精度で略同一と推定することができる。
【0052】図9は、図8に示したように系に付加され
たオブザーバ200を用いて構成した振動制御装置によ
り、時間と共に変化する相対速度vaを推定する実験を
行い、該実験により得られた相対速度の推定値va’と
実測値vaとの時間変化を示す図表である。なお、前記
実験の初期設定として、本制御系には所定の初期値が与
えられ、振動制御装置には、前記本制御系とは異なる初
期値が与えられている。また、図に示す破線は、台車1
及び車体2の相対速度の実測値vaであり、実線は、本
実施の形態に係る振動制御装置にて得られた相対速度の
推定値va’である。
【0053】図に示すように、オブザーバ200を用い
て構成した振動制御装置によれば、系と振動制御装置と
が全く異なる初期値を有している場合であっても、得ら
れた推定値va’は比較的短時間の間に、極めて高い精
度で実測値vaと同様の値に収束していることがわか
る。
【0054】このように、本実施の形態に係る振動制御
装置によれば、オブザーバ200を用いて構成すること
により、相対速度vaの推定値va’をダイナミックかつ
より正確に得ることができ、これを用いて車体2の振動
の制御をより適切に行うことができる。
【0055】なお、図6乃至8にて示した系及びオブザ
ーバ200は一例である。即ち、状態量の選び方によっ
て系は如何様にも表すことができるため、これに伴いオ
ブザーバも如何様にも表すことができ、本発明に係る振
動制御装置は、本実施の形態2にて図示したものに限ら
れない。また、実施の形態1と同様、車体加速度センサ
21に替えて速度センサを用いた場合であっても、振動
の激しい台車1に前記台車加速度センサ11を用いるこ
とにより、上記実施の形態2と同等の効果を得ることが
できる。
【0056】(実施の形態3)図13,14を用いて説
明したように、車体2の振動を制御するためには、車体
の速度v2の他、少なくとも相対速度vaの正負がわかれ
ばよい。本実施の形態3ではこのような観点から、外力
に応じて導電率が変動する感圧導電ゴムを利用して相対
速度vaの正負を検出し、車体2の振動の制御に供する
場合について説明する。
【0057】図10は、本実施の形態3に係る鉄道車両
の構成を示す模式図である。図に示すように本実施の形
態に係る鉄道車両は、実施の形態1にて用いた図1に示
された台車加速度センサ11が設けられておらず、代わ
りに荷重センサ30が減衰力可変ダンパ3の一方の軸受
部に設けられている。なお、図1と同符号のものは、実
施の形態1にて示したものと同様の機能を有するもので
あるため、ここでの説明は省く。また、図10には、図
13,14と同方向を正とするx軸が設けてある。
【0058】図11は、前記減衰力可変ダンパ3の本実
施の形態3に係る構成を示した模式図である。図におい
て31は減衰力可変ダンパ3を構成する円筒形状をなす
シリンダである。該シリンダ31の一方又は両方の端部
には、該シリンダ31と同軸的に設けられた棒状のピス
トンロッド32を介し、略円筒形状をなして該ピストン
ロッド32と直交する向きを軸方向とする軸受部33が
設けられている。
【0059】前記軸受部33は、前記ピストンロッド3
2に接続される大径で円筒形状の外殻部33aと、該外
殻部33aと同軸をなして内側に設けられた小径で円筒
形状の内殻部33bとを備え、前記外殻部33aと内殻
部33bとの間には感圧導電ゴムからなるゴムブッシュ
33cが充填されている。また、前記ゴムブッシュ33
cにおけるピストンロッド32側には、一対の電極3
4,34が所定の間隔を有して埋め込まれ、該電極3
4,34の夫々には信号ケーブル(図示せず)の一端が
接続されている。一般にゴムブッシュ33cは、台車1
及び車体2の間の位置ずれ,及び振幅の小さい振動など
を吸収することができる。
【0060】前記ゴムブッシュ33cの材質として用い
られる感圧導電ゴムは、導電粉として金属又はカーボン
がゴム内に混入されている。そして感圧導電ゴムは、外
力が加わることによりゴムブッシュ33cが変形した場
合、ゴムブッシュ33c内の導電紛の密度の変動に応じ
て導電率が変動するという特徴を有している。 即ち、
ゴムブッシュ33cを圧縮する向きに外力が加わった場
合は、混入されている導電紛の密度が大きくなるため導
電率は低下し、逆に拡張する向きに外力が加わった場合
は、混入されている導電紛の密度が小さくなるため導電
率は高上する。
【0061】従って、ゴムブッシュ33c内に埋め込ま
れた一対の電極34,34間の電気抵抗値を測定するこ
とにより、前記電極34近傍のゴムブッシュ33cに加
わる外力が圧縮方向か拡張方向かを検出でき、本実施の
形態3に係る減衰力可変ダンパ3の軸受部33は荷重セ
ンサ35として機能する。即ち、図10に示す本実施の
形態3に係る鉄道車両において、振動が生じていない場
合の電極34,34間の電気抵抗値を基準値として予め
測定しておく。そして、振動が生じたときに荷重センサ
35が検出した電気抵抗値が前記基準値より大きい場合
は、ゴムブッシュ33cに対して拡張する向きに外力が
加わったと判別でき、従って、台車1に対する車体2の
速度は正の値を有すると判別することができる。逆に、
振動が生じたときに荷重センサ35が検出した電気抵抗
値が前記基準値より小さい場合は、ゴムブッシュ33c
に対して圧縮する向きに外力が加わったと判別でき、従
って、台車1に対する車体2の速度は負の値を有すると
判別することができる。
【0062】なお、荷重センサ35が検出した電気抵抗
値を示す信号は、振動制御装置へ入力されて相対速度の
正負の判断に供されるが、この際に用いる振動制御装置
としては、実施の形態1にて説明した振動制御装置10
0などを用いればよい。但しこの場合、実施の形態1で
の説明に用いた図2において、相対速度取得部120に
は、台車加速度センサ11から出力される台車の加速度
を示す信号に替わり、ゴムブッシュ33cに埋め込まれ
た電極34から出力される信号が入力される。
【0063】次に、本実施の形態3に係る減衰力可変ダ
ンパ3を用いた車体2の振動制御について、図12に示
すフローチャートを用いて説明する。
【0064】振動制御装置100が備える車体速度取得
部110は、車体2の加速度を示す信号を受け付け(S
21)、受け付けた信号に基づいて車体2の速度v2
取得し(S22)、取得した速度v2を示す信号を演算
部130へ出力する(S23)。また、相対速度取得部
120は、荷重センサ35から電気抵抗値を示す信号を
受け付け(S24)、受け付けた信号に基づいて台車1
を基準とする車体2の相対速度vaの正負を判断し(S
25)、判断結果を示す信号を演算部130へ出力する
(S26)。
【0065】車体速度取得部110及び相対速度取得部
120から夫々出力された信号は演算部130へ入力さ
れ(S27)、該演算部130は、入力された信号のう
ち、車体の速度v2を示す信号に基づいて減衰力を算出
する(S28)。減衰力を算出する方法は実施の形態1
にて説明した方法と同様であるので、その説明は省略す
る。
【0066】次に演算部130は、入力された信号に基
づき、相対速度va及び車体の速度v2の正負の符号が互
いに同一であるか否かを判別する(S29)。正負の符
号が同一であると判別した場合は(S29:YES)、
即ちva*v2>0となり、台車1に比して車体2はより
大きい速度で一方へ振動していることになるため、減衰
力可変ダンパ3がステップ28にて算出した減衰力を有
するように指示信号を出力する(S30)。また、正負
の符号が互いに異なると判別した場合は(S29:N
O)、即ちva*v2<0となり、車体2に比して台車1
はより大きい速度で一方へ振動していることになるた
め、ステップ28にて算出した減衰力は採用せず、代わ
りに、減衰力可変ダンパ3が最小の減衰力(例えば、
0)を有するように指示信号を出力する(S31)。
【0067】ステップ30又は31にて出力された指示
信号は、ドライバへ入力され、該ドライバが指示信号に
基づいて駆動することにより、減衰力可変ダンパ3が有
するオリフィスの径の絞りは開閉される。
【0068】このように本実施の形態3に係る減衰力可
変ダンパ3によれば、ゴムブッシュ33cに埋め込まれ
た電極34,34間の電気抵抗値を検出することによ
り、台車1及び車体2の相対速度の正負を判別すること
ができ、車体2に設けた速度センサまたは加速度センサ
等から得られる車体2の速度v2と、判別された正負の
結果に基づいて、振動制御装置は車体2の振動を制御す
ることができる。
【0069】また、本実施の形態3によれば、振動制御
装置から出力された指示信号が示す減衰力の値と、荷重
センサ30での検出により得られる荷重の値とを比較す
ることができるため、指示信号に基づいて減衰力可変ダ
ンパ3が適切に動作しているか否かを判別することも可
能であり、フィードバック制御により更に精度の高い制
御を実現することが可能となる。
【0070】なお、減衰力指令値(例えば、図12にお
けるステップ31にて演算部130が出力する指示信号
が示す減衰力の値)に応じた相対速度と荷重との関係を
取得しておくことにより、荷重センサから得られる信号
に基づいて比較的正確に相対速度を取得することが可能
である。従って、取得した相対速度を利用して適切な減
衰力を得、ダンパの高精度の制御を実現することも可能
である。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、機械的に強固であり、
かつ、安価に製造することができるセンサの出力を用
い、車体の振動を抑制すべく制御することができる制御
装置、及び、該制御装置と共に用いるダンパを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動制御装置をセミアクティブサ
スペンション装置として適用した鉄道車両の実施の形態
1における構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1に係る振動制御装置の概略構成を
示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係る車体速度取得部の概略構成
を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る相対速度取得部の概略構成
を示すブロック図である。
【図5】実施の形態1に係る振動制御装置の動作の流れ
を説明するためのフローチャートである。
【図6】台車,車体,減衰力可変ダンパ,及び空気バネ
からなる実施の形態2に係る全体系を示すブロック図で
ある。
【図7】図6にて、相対加速度及び相対速度を新たな状
態量とした場合の本実施の形態2に係る全体系を示すブ
ロック図である。
【図8】図7に示す全体系にオブザーバを付加した系を
示すブロック図である。
【図9】系に付加されたオブザーバを用いて構成した振
動制御装置により、時間と共に変化する相対速度を推定
する実験を行い、該実験により得られた相対速度の推定
値と実測値との時間変化を示す図表である。
【図10】実施の形態3に係る鉄道車両の構成を示す模
式図である。
【図11】減衰力可変ダンパの本実施の形態3に係る構
成を示した模式図である。
【図12】実施の形態3に係る減衰力可変ダンパを用い
た車体の振動制御について説明するためのフローチャー
トである。
【図13】制御則を説明するための説明図である。
【図14】制御則を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 台車 2 車体 3 減衰力可変ダンパ 4 空気バネ 11 台車加速度センサ 21 車体加速度センサ 30 荷重センサ 31 シリンダ 32 ピストンロッド 33 軸受部 33a 外殻部 33b 内殻部 33c ゴムブッシュ 34 電極 100 振動制御装置 110 車体速度取得部 111 バンドパスフィルタ(BPF) 112 積分器 120 相対速度取得部 121 バンドパスフィルタ(BPF) 122 積分器 130 演算部 200 オブザーバ(カルマンフィルタ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺井 淳一 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番18 号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 (72)発明者 和田 多加夫 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 河野 行伸 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 東 成昭 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 松嶋 博英 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 江崎 秀明 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 Fターム(参考) 3J048 AA02 AB08 AB09 AB11 AC04 AD03 BE01 CB21 DA04 EA36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を軸支する台車と、該台車上に設け
    られる車体と、該車体に生じる振動を抑制するための振
    動抑制部とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振
    動を制御するための鉄道車両用振動制御装置において、 前記台車の加速度を示す台車加速度信号を受け付ける手
    段と、 前記車体の加速度を示す車体加速度信号を受け付ける手
    段と、 受け付けた台車加速度信号及び車体加速度信号に基づ
    き、少なくとも前記台車及び車体の相対速度又は該相対
    速度の正負を示す情報を取得する相対速度取得手段と、 受け付けた車体加速度信号に基づき、前記車体の速度を
    取得する車体速度取得手段と、 前記相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速
    度又は該相対速度の正負を示す情報、及び、前記車体速
    度取得手段にて取得された車体の速度に基づき、前記車
    体に生じる振動を抑制するための抑制力情報を取得する
    抑制力情報取得手段と、 取得した抑制力情報を出力する手段とを備え、 出力された抑制力情報に基づいて前記振動抑制部が抑制
    力を発生することにより、前記車体の振動を制御するこ
    とを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
  2. 【請求項2】 車輪を軸支する台車と、該台車上に設け
    られる車体と、該車体に生じる振動を抑制するための振
    動抑制部とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振
    動を制御するための鉄道車両用振動制御装置において、 前記台車の加速度を示す台車加速度信号を受け付ける手
    段と、 前記車体の速度を示す車体速度信号を受け付ける手段
    と、 受け付けた台車加速度信号及び車体速度信号に基づき、
    少なくとも前記台車及び車体の相対速度又は該相対速度
    の正負を示す情報を取得する相対速度取得手段と、 前記相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速
    度又は該相対速度の正負を示す情報、及び、受け付けた
    車体速度信号に基づき、前記車体に生じる振動を抑制す
    るための抑制力情報を取得する抑制力情報取得手段と、 取得した抑制力情報を出力する手段とを備え、 出力された抑制力情報に基づいて前記振動抑制部が抑制
    力を発生することにより、前記車体の振動を制御するこ
    とを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記相対速度取得手段は、受け付けた信
    号に含まれる特定の周波数成分を除去するフィルタと、
    積分器とを有することを特徴とする請求項1又は2に記
    載の鉄道車両用振動抑制装置。
  4. 【請求項4】 前記相対速度取得手段は、オブザーバ又
    はカルマンフィルタを有することを特徴とする請求項1
    又は2に記載の鉄道車両用振動制御装置。
  5. 【請求項5】 車輪を軸支する台車と、該台車上に設け
    られる車体と、該車体に生じる振動を抑制するための振
    動抑制部とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振
    動を制御するための鉄道車両用振動制御装置において、 前記台車及び車体の間に作用する荷重を示す荷重信号を
    受け付ける手段と、 前記車体の加速度を示す車体加速度信号を受け付ける手
    段と、 受け付けた荷重信号に基づき、少なくとも前記台車及び
    車体の相対速度又は該相対速度の正負を示す情報を取得
    する相対速度取得手段と、 受け付けた車体加速度信号に基づき、前記車体の速度を
    取得する車体速度取得手段と、 前記相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速
    度又は該相対速度の正負を示す情報、及び、前記車体速
    度取得手段にて取得された車体の速度に基づき、前記車
    体に生じる振動を抑制するための抑制力情報を取得する
    抑制力情報取得手段と、 取得した抑制力情報を出力する手段とを備え、 出力された抑制力情報に基づいて前記振動抑制部が抑制
    力を発生することにより、前記車体の振動を制御するこ
    とを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
  6. 【請求項6】 車輪を軸支する台車と、該台車上に設け
    られる車体と、該車体に生じる振動を抑制するための振
    動抑制部とを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振
    動を制御するための鉄道車両用振動制御装置において、 前記台車及び車体の間に作用する荷重を示す荷重信号を
    受け付ける手段と、 前記車体の速度を示す車体速度信号を受け付ける手段
    と、 受け付けた荷重信号に基づき、少なくとも前記台車及び
    車体の相対速度又は該相対速度の正負を示す情報を取得
    する相対速度取得手段と、 前記相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速
    度又は該相対速度の正負を示す情報、及び、受け付けた
    車体速度信号に基づき、前記車体に生じる振動を抑制す
    るための抑制力情報を取得する抑制力情報取得手段と、 取得した抑制力情報を出力する手段とを備え、 出力された抑制力情報に基づいて前記振動抑制部が抑制
    力を発生することにより、前記車体の振動を制御するこ
    とを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
  7. 【請求項7】 車輪を軸支する台車と、該台車上に設け
    られる車体と、該車体に生じる振動を抑制するためのダ
    ンパとを備える鉄道車両にて、前記車体に生じる振動を
    制御するための鉄道車両用振動制御装置において、 前記ダンパは、外力に応じた導電率を有する弾性体であ
    る感圧導電ゴムからなるゴムブッシュを具備する軸受部
    を端部に有し、 前記ゴムブッシュが有する導電率を示す信号に基づき、
    少なくとも前記台車及び車体の相対速度又は該相対速度
    の正負を示す情報を取得する相対速度取得手段と、 該相対速度取得手段にて取得された少なくとも相対速度
    又は該相対速度の正負を示す情報に基づき、前記車体に
    生じる振動を抑制するための抑制力情報を取得する抑制
    力情報取得手段と、 取得した抑制力情報を出力する手段とを備え、 出力された抑制力情報に基づいて前記ダンパが抑制力を
    発生することにより、前記車体の振動を制御することを
    特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
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