JP2003263924A - Sf6ガス絶縁機器用繊維強化プラスチック - Google Patents

Sf6ガス絶縁機器用繊維強化プラスチック

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JP2003263924A
JP2003263924A JP2002065775A JP2002065775A JP2003263924A JP 2003263924 A JP2003263924 A JP 2003263924A JP 2002065775 A JP2002065775 A JP 2002065775A JP 2002065775 A JP2002065775 A JP 2002065775A JP 2003263924 A JP2003263924 A JP 2003263924A
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gas
fiber reinforced
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coating composition
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Masamichi Ono
正道 大野
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】SF分解ガスに対して安定で、かつ、電気
的、機械的強度に優れたSFガス絶縁機器用繊維強化
プラスチックを得る。 【解決手段】粉体塗料組成物からなる被膜層21が表面
に形成されたSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチッ
クであって、粉体塗料組成物は、エポキシ樹脂、硬化
剤、充填剤、硬化促進剤および流れ調整剤を含み、粉体
塗料組成物に対し、エポキシ樹脂を30〜60重量%、
ダイマー酸変性エポキシ樹脂を2〜20重量%、硬化剤
を10〜20重量%、充填剤を20〜50重量%、硬化
促進剤を1〜10重量%含有したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器や電気部
品の絶縁材料として好適な繊維強化プラスチックに係
り、特に、機械的特性、かつ、SFガス分解ガス抵抗
性に優れたSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチック
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遮断器は、電気設備の保守点検のほか、
故障が生じたときに自動的に回路を切り放すための装置
である。回路の短絡などの故障時には、大きな電流が流
れるが、このような条件下でも回路を切り放せる必要が
ある。電流が流れている回路を機械的に切り放してもア
ークが発生し、電流が流れ続けるが、発生したアークを
消弧して回路を切り放すために種々の改良が行われてお
り、空気遮断器、油遮断器、真空遮断器、ガス遮断器な
どの各種遮断器が開発されている。
【0003】上記遮断器の中でも、ガス遮断器はガスを
絶縁媒体とし、圧縮したガスを直接アークに吹き付けて
消弧する。アークに吹き付けるガスとしては、熱的およ
び化学的に安定であり、高い絶縁耐力と優れた消弧性を
有するSFガスが絶縁媒体として使用されている。な
お、SFガスは、遮断器の他にも、断路器などの高電
圧機器の絶縁媒体として使用されている。
【0004】図9は、ガス遮断器の断面構造を概略的に
示す図である。
【0005】図9に示すガス遮断器1は、タンク2と、
このタンク2に接続して設けられた機構部3とを備え
る。タンク2内には遮断部4および導体5a,5bが設
けられ、遮断部4は、固定電極部6および可動電極部7
を有し、この固定電極部6と可動電極部7との極間に電
気機器用絶縁物からなる絶縁ロッド8が配置されてい
る。
【0006】固定電極部6および可動電極部7は、全体
として棒状であり、複数本の絶縁ロッド8により固定さ
れ、図示しない操作機構により開路または閉路するよう
になっている。
【0007】図10は、図9に示す絶縁ロッド8を拡大
して示す図である。
【0008】図10に示すように、絶縁ロッド8は、中
心部に繊維強化プラスチックからなる絶縁物9と、この
絶縁物9の両端に配置された電極を兼ねた取り付け金具
10a,10bとを備える。
【0009】このように構成され、電気機器に組み込ま
れた絶縁物9は、絶縁媒体であるSFガスが機器内の
放電で分解する分解生成物によって浸食や変質を受けな
いことが必要であり、かつ、高電圧や高負荷にも耐え、
長い年月に渡って安定した特性を維持することが必要で
ある。
【0010】ところで、各種の電気絶縁用で構造部品と
して使用されている繊維強化プラスチックは、通常、板
の状態で成形され、それを所望の形状に加工して使用す
る。所望の形状に加工する際、加工面の繊維が露出し、
SF分解ガスに侵される可能性があることから、繊維
を積層するときに予め積層表面に耐SF分解ガス性に
優れた繊維を配置するなどして、表面に繊維が露出しな
いように工夫を施して使用している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、予め積
層表面に耐SF分解ガス性に優れた繊維を配置する場
合、所望の形状に繊維を充填した後に樹脂を含浸させる
ため、複雑形状になると繊維を密に充填することが困難
となり、樹脂が密になりすぎる部分が生じてクラック発
生源となる可能性があり、構造部材として使用できない
という欠点を有していた。
【0012】また、加工面をスプレーでコーティングす
る場合には、均一塗装が困難であることから、数十μm
程度の薄い塗膜を繰り返しコーティングする必要があ
り、コストアップにつながるという問題を有していた。
【0013】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、SF分解ガスに対して安定で、か
つ、電気的、機械的強度に優れたSFガス絶縁機器用
繊維強化プラスチックを得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、SFガス
絶縁機器用繊維プラスチック表面に弾性体である粉体塗
料組成物を被覆することで、本発明を完成するに至った
ものである。
【0015】すなわち、請求項1記載のSFガス絶縁
機器用繊維強化プラスチックは、粉体塗料組成物からな
る被膜層が表面に形成されたSFガス絶縁機器用繊維
強化プラスチックであって、前記粉体塗料組成物は、エ
ポキシ樹脂、硬化剤、充填剤、硬化促進剤および流れ調
整剤を含み、前記粉体塗料組成物に対し、エポキシ樹脂
を30〜60重量%、ダイマー酸変性エポキシ樹脂を2
〜20重量%、硬化剤を10〜20重量%、充填剤を2
0〜50重量%、硬化促進剤を1〜10重量%含有した
ことを特徴とする。
【0016】本発明によれば、粉体塗料組成物に含有さ
せる各成分を規定することで、粉体塗料組成物の物性を
弾性体とし、高電圧によるSFガス絶縁機器用繊維強
化プラスチックの膨脹、収縮のストレスを吸収すること
ができる。
【0017】また、粉体塗料組成物内の各成分の含有量
を上記範囲とした理由については、以下に説明する。
【0018】粉体塗料組成物に対して、エポキシ樹脂の
含有量を30〜60重量%と規定したが、30重量%未
満では、粉体塗料組成物のガラス転移温度が高くなり、
伸長量が減り、もろく割れやすくなり、高電圧によるS
ガス絶縁機器用繊維強化プラスチックの膨脹、収縮
のストレスを吸収することができずに、塗装面に欠陥を
生じてしまう。一方、エポキシ樹脂の含有量が60重量
%を超えると、粉体塗料組成物のガラス転移温度が低く
なり、伸長量が増加して変形しやすくなり、高電圧によ
るSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチックの膨脹、
収縮のストレスを吸収することができずに塗装面に欠陥
を生じるためである。
【0019】また、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の含有
量を2〜20重量%と規定したが、2重量%未満では、
粉体塗料組成物のガラス転移温度が高くなり伸長量が減
ってしまい、もろく割れやすくなり、高電圧によるSF
ガス絶縁機器用繊維強化プラスチックの膨脹、収縮の
ストレスを吸収することができずに、塗装面に欠陥が生
じるためである。一方、含有量が20重量%を超える
と、粉体塗料組成物のガラス転移温度が低くなり伸長量
が増加して変形しやすくなり、高電圧によるSF ガス
絶縁機器用繊維強化プラスチックの膨脹、収縮のストレ
スを吸収することができずに、塗装面に欠陥が生じるた
めである。これらの結果から、ダイマー酸変性エポキシ
樹脂の含有量を2〜20重量%とすることで、繊維強化
プラスチック表面を被覆する粉体塗料組成物の弾性を損
なうことがない。
【0020】硬化剤の含有量を10〜20重量%と規定
したが、10重量%未満では樹脂の硬化反応が遅くな
り、溶融水平流れ率が10%未満となり、流れ性に効果
がなくなるためである。一方、含有量が20重量%を超
えると、樹脂の硬化反応が著しく速くなり、粉体塗料の
保存性が悪化して溶融水平流れ率が25%を超え、塗装
時の溶融状態の悪化により塗装面の平滑性不良が発生す
るためである。従って、本発明において硬化剤の含有量
を10〜20重量%とすることで、硬化反応の変動に影
響されず平滑な塗装面を得ることができる。
【0021】また、充填剤の含有量を20〜50重量%
と規定したが、20重量%未満では、粉体塗料のバイン
ダーと充填剤の相互作用の発現が弱く、接着強度が2k
N/m未満となる。一方、充填剤の含有量が50重量%
を超えると充填剤とエポキシ樹脂とのぬれ性が低下して
接着強度が2kN/m未満となってしまう。従って、本
発明において充填剤の含有量を20〜50重量%とする
ことで、粉体塗料のバインダーと充填剤の相互作用が保
たれ、繊維強化プラスチックと良好に接着する粉体塗料
組成物を得ることができる。
【0022】さらに、硬化促進剤の含有量を1〜10重
量%と規定したが、1重量%未満では、樹脂の硬化反応
が著しく遅くなり硬化不足状態となり、ゲル化時間が5
0secを超えて、未硬化物が粉体塗料組成物中に残存
することになる。一方、硬化促進剤の含有量が10重量
%を超えると、樹脂の硬化反応が著しく速くなり、ゲル
化時間が30sec未満となり、粉体塗料の保存性が悪
化することで塗装時の溶融状態が悪化するため、塗装面
の平滑性不良が発生してしまう。これらの結果から、硬
化促進剤の含有量を1〜10重量%とすることにより、
硬化反応を制御でき、保存安定性および塗装面の平滑性
が良好な粉体塗料組成物を得ることができる。
【0023】請求項2記載の発明は、エポキシ樹脂が、
ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノ
ールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラ
ック型、脂環式型、グリシジルエーテル型およびグリシ
ジルエステル型から選択される少なくとも1分子中に2
個以上のエポキシ基を有する樹脂であることを特徴とす
る請求項1記載のSFガス絶縁機器用繊維強化プラス
チックである。
【0024】本発明において、エポキシ樹脂としては、
ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノ
ールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラ
ック型、脂環式型、グリシジルエーテル型、グリシジル
エステル型等が挙げられ、これらの化合物は、単独また
は2種類以上の混合物として使用される。また、請求項
1に記載したように、エポキシ樹脂の含有量を30〜6
0重量%とすることにより、良好な弾性を有する粉体塗
料組成物を得られる。
【0025】請求項3記載の発明は、ダイマー酸変性エ
ポキシ樹脂が、オレイン酸、リノール酸、およびリノレ
イン酸から選択される脂肪酸2量体の端部にエポキシ基
を有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1
記載のSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチックであ
る。
【0026】本発明によれば、ダイマー酸変性エポキシ
樹脂とは、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の
ような長鎖の脂肪酸の2量体であり、分子的に長鎖部分
の伸縮性が良好である。この化合物の末端部にエポキシ
基を導入することによりダイマー酸変性エポキシ樹脂を
得ることができる。また、請求項1に記載したように、
ダイマー酸変性エポキシ樹脂の含有量を2〜20重量%
とすることにより、塗装むら、ボイドなどを伴うことな
く、品質の安定した粉体塗料組成物を得ることができ
る。
【0027】請求項4記載の発明は、硬化剤が、無水フ
タル酸、無水テトロヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロ
フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無
水マレイン酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリ
ット酸から選択される酸無水物であることを特徴とする
請求項1記載のSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチ
ックである。
【0028】本発明において、硬化剤としては、無水フ
タル酸、無水テトロヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロ
フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無
水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット
酸等の酸無水物が挙げられ、これらの化合物は、単独ま
たは2種類以上の混合物として使用すると良い。そし
て、請求項1に記載したように、硬化剤の含有量を10
〜20重量%とすることにより硬化反応の変動に影響さ
れず、また、塗装面の平滑性が良好な粉体塗料組成物を
得られる。
【0029】請求項5記載の発明は、充填剤の平均粒子
径が、1〜10μmであることを特徴とする請求項1記
載のSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチックであ
る。
【0030】塗装むらを防ぐために、粉体塗装時の塗料
の粘度範囲として10〜10Pa・secを必要と
するが、充填剤の平均粒子径が1μm未満では塗料粘度
が10Pa・secを超えて塗料が増粘するため均一
な塗装ができなくなる。一方、充填剤の平均粒子径が1
0μmを超えた場合には、粉体塗装後の液垂れ発生を起
こし易く、硬化後の鏡面光沢度が急激に低下し、平潤な
塗膜を得ることができなくなるため、本発明のように、
充填剤の平均粒子径を1〜10μmとすることで、最適
な塗料粘度を持ち、かつ、平潤な仕上がり塗膜を得るこ
とができる。
【0031】請求項6記載の発明は、充填剤が、アルミ
ナ(Al)であることを特徴とする請求項1記載
のSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチックである。
【0032】充填剤としてアルミナを含有した粉体塗料
組成物は、10000時間を超過しても絶縁抵抗値が1
10Ω・cm以上の範囲にある。従って、本発明によ
れば、SFガスの分解ガスに対する耐食性に優れた粉
体塗料組成物を得ることができる。
【0033】請求項7記載の発明は、硬化促進剤が、イ
ミダゾール誘導体、第3級アミン類、第4級アンモニウ
ム塩および第4級ホスホニウム塩から選択される硬化触
媒であることを特徴とする請求項1記載のSFガス絶
縁機器用繊維強化プラスチックである。
【0034】本発明における硬化促進剤としては、イミ
ダゾール誘導体、第3級アミン類、第4級アンモニウム
塩、第4級ホスホニウム塩等が挙げられ、これらの化合
物は、単独または2種類以上の混合物として使用され
る。そして、請求項1に記載したように、硬化促進剤の
含有量を1〜10重量%とすることにより、硬化反応を
制御でき、保存安定性、かつ、塗装面の平滑性が良好な
粉体塗料組成物を得られる。
【0035】請求項8記載の発明は、被膜層の厚さが、
70〜300μmであることを特徴とする請求項1記載
のSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチックである。
【0036】繊維強化プラスチックの表面に被覆される
被膜層の厚さが70μm未満の場合には、分解ガス浸透
率が10%を超えてしまい分解ガスの浸透を防止できな
い。また、粉体塗料組成物からなる被膜層が長期安定し
て繊維強化プラスチック表面と接着するには接着強度が
2kN/m以上必要となるが、被膜層の厚さが300μ
mを超えると粉体塗料組成物が脆く剥がれやすくなり、
接着強度が2kN/m未満に低下して、長期安定して繊
維強化プラスチックおよび被膜層を接着することができ
ない。従って、本発明のように被膜層の厚さを70〜3
00μmとすることにより、分解ガスの浸透を防止で
き、かつ、良好な接着強度のコーティング層を有する粉
体塗料組成物を得られる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明のSFガス絶縁機
器用繊維強化プラスチックについて、図1〜図8および
表1〜表2を用いて説明する。
【0038】第1実施形態(図1、表1〜表2) 本実施形態においては、遮断器に適用される絶縁ロッド
を挙げて、表1の実施例1〜実施例5および比較例1〜
比較例3に示すように、粉体塗料組成物の含有を種々変
化させて絶縁ロッドを形成して各種特性を評価した。
【0039】
【表1】
【0040】表1に示すように、実施例1〜実施例5
は、粉体塗料組成物に含有される各成分を本発明の範囲
内としたものである。具体的には、実施例1の粉体塗料
組成物は、主剤として、エポキシ樹脂を30重量%、ダ
イマー酸変性エポキシ樹脂を9重量%、硬化剤を10重
量%、充填剤として平均粒径が2μmのアルミナAl
を50重量%、硬化促進剤を1重量%添加した粉体
塗料組成物の原料材料を用いたものである。
【0041】一方、比較例1は、充填剤であるアルミナ
を56重量%添加して、本発明の範囲外としたものであ
る。また、比較例2は、充填剤であるアルミナの平均粒
径を30μmとし、比較例3は、アルミナの平均粒径を
45μmとしたものである。
【0042】表1に示す割合で各成分を含有し、ヘンシ
ェルミキサーにて予備混合後、2軸押出機を使用し、樹
脂温度130±5℃で溶融混練し、冷却後、微粉砕して
粉体塗料組成物を得た。
【0043】上記各種粉体塗料組成物を繊維強化プラス
チック表面に被覆し、さらに、両端部に取り付け金具を
接続して絶縁ロッドを得た。これを図1に示す。
【0044】図1に示すように、絶縁ロッド20は、表
面に粉体塗料組成物からなる被膜層21が形成された繊
維強化プラスチックからなる絶縁物22と、この絶縁物
22の両端に接続配置された電極を兼ねた取り付け金具
23a,23bとを備える。
【0045】次に、得られた各種絶縁ロッド20を用い
て、ガラス転移温度(℃)、溶融水平流れ率(%)、接
着強度(kN/m)、液垂れ発生率(%)、絶縁抵抗値
(Ω)を調査して、実施例および比較例の対照評価を行
った。評価結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2に示すように、実施例1ないし実施例
5は、ガラス転移温度が、−50〜10℃の範囲である
ことから良好な弾性体であり、また、実施例1ないし実
施例5は液垂れ発生率も0%であり、比較例1〜比較例
3と比較すると、より信頼性の高い繊維強化プラスチッ
ク製絶縁物を得られた。
【0048】なお、本発明によるSFガス絶縁機器用
繊維強化プラスチックは、上述した実施例1〜実施例5
の含有成分に限定されるものではなく、各種材料を選択
的に使用可能であり、この場合にも実施例1〜実施例5
と同様に優れた電気的、機械的特性を得ることができ
る。
【0049】第2実施形態(図2〜図8) 本実施形態においては、粉体塗料組成物に含有される各
種成分の含有量を種々変化させて、含有量の違いによる
各種特性を調査したものである。
【0050】まず、粉体塗料組成物中におけるエポキシ
樹脂の含有量を0〜80重量%の範囲で変化させ、各粉
体塗料組成物について、ガラス転移温度(℃)およびヤ
ング率(Pa)を調査した。その結果を図2に示す。
【0051】また、ダイマー酸変性エポキシ樹脂の含有
量を0〜50重量%の範囲で変えて調整した各粉体塗料
組成物について、エポキシ樹脂の含有量を変化させた場
合と同様にガラス転移点(℃)を調べた。その結果を同
様に図2に示す。
【0052】図2に示すように、粉体塗料組成物のガラ
ス転移点が−50〜10℃の範囲であるとヤング率は1
〜10Paの範囲となり良好な弾性体となる。本
実施形態において、エポキシ樹脂を30〜60重量%、
また、ダイマー酸変性エポキシ樹脂を2〜20重量%含
有させることで、ガラス転移点が−50〜10℃の範囲
となり、良好な弾性を有する被覆層が得られる。
【0053】次に、粉体塗料組成物中の硬化剤の含有量
を、0〜30重量%の範囲で変えて調整した各粉体塗料
組成物について溶融水平流れ率(%)を調べた。この結
果を図3に示す。
【0054】粉体塗装時の溶融水平流れ率は、10〜2
5%の範囲であると良好であるが、図3に示すように、
硬化剤の含有量を10〜20重量%とすることで、硬化
反応の変動に影響されず、塗装面の平滑性が良好な粉体
塗料組成物を得ることができる。
【0055】さらに、粉体塗料組成物中における充填剤
の含有量を、0〜80重量%の範囲で変えて調整した各
粉体塗料組成物について、接着強度(kN/m)を調べ
た。その結果を図4に示す。
【0056】繊維強化プラスチック表面に形成される被
膜層は衝撃荷重を受けることから、繊維強化プラスチッ
クと被膜層とは良好に接着する必要があり、実際、2.
0kN/m以上の接着強度が必要である。接着強度と充
填剤の含有量との関係には、接着強度に極大値のあるこ
とが認められているが、図4に示すように、充填剤の含
有量が20〜50%の範囲で接着強度が極大となってい
るため、充填剤の含有量を20〜50%の範囲とすると
良い。
【0057】さらに、充填剤の含有量の他に充填剤の平
均粒子径を種々変化させた各粉体塗料組成物について粘
度(Pa・sec)を測定した。その結果を図5に示
す。
【0058】粘度は塗装時のむらの発生に影響するもの
であるが、塗装むらを防ぐためには粉体塗装時の塗料の
粘度範囲として10〜10Pa・secを必要とす
る。従って、図5に示すように、充填剤の平均粒子径を
1〜10μmにすることで、最適な塗料粘度を持ち、か
つ、平潤な仕上がり塗膜を得ることができる。
【0059】なお、上述した粉体塗料組成物では、充填
剤としてアルミナを用いている。このアルミナを用いた
粉体塗料組成物について、SFの分解ガスを模擬した
フッ酸蒸気中に晒した場合におけるフッ酸暴露時間と絶
縁抵抗との関係を調べ、この結果を図6に示した。
【0060】粉体塗料組成物の絶縁抵抗値は絶縁破壊を
防ぐため、1010Ω・cm以上を必要とするが、図6
に示すように、充填剤としてアルミナを含有した粉体塗
料組成物の絶縁抵抗値は10000時間を超過した場合
においても、1010Ω・cm以上の範囲にあることか
ら、充填剤がアルミナである場合、SFガスの分解ガ
スに対して、耐食性に優れた粉体塗料組成物を得ること
ができる。
【0061】さらに次に、粉体塗料組成物中における硬
化促進剤の含有量を、0〜50重量%の範囲で変化させ
て調整した各粉体塗料組成物について、ゲル化時間を調
べた。この結果を図7に示す。
【0062】図7に示すように、硬化促進剤の含有量を
1〜10重量%とすることで、粉体塗装時のゲル化時間
は30〜50secの範囲で良好となる。従って、本実
施形態において、硬化促進剤の含有量を1〜10重量%
とすると良い。
【0063】最後に、繊維強化プラスチックの表面に形
成する被膜層の厚さを変化させて、分解ガス浸透率
(%)および接着強度(kN/m)を測定した。その結
果を図8に示す。
【0064】粉体塗料組成物の絶縁抵抗値は絶縁破壊を
防ぐため、粉体塗料組成物のSFの分解ガス浸透率は
10%未満を必要とする。図8に示すように、被膜層の
厚さが70μm未満の場合には、分解ガス浸透率が10
%を超えてしまい分解ガスの浸透を防止できず、一方、
被膜層の厚さが300μmを超えると粉体塗料組成物が
脆く剥がれやすくなることから、本実施形態において、
被膜層の厚さを70〜300μmとすることで、分解ガ
スの浸透を防止でき、かつ、良好な接着強度のコーティ
ング層を有する粉体塗料組成物を得られる。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のSF
ス絶縁機器用繊維強化プラスチックによれば、従来のガ
ス絶縁機器用として使用されている繊維強化プラスチッ
ク製絶縁物に比べ、耐SF分解ガス性に優れ、粉体塗
料組成物が弾性体であるので、高電圧による繊維強化プ
ラスチックの膨脹、収縮のストレスを吸収することがで
き、その結果、信頼性の高いSFガス絶縁機器用繊維
強化プラスチックを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】粉体塗料組成物からなる被膜層を被覆した繊維
強化プラスチックを適用したSFガス絶縁機器用絶縁
物の断面図。
【図2】本発明の第1実施形態を説明する図で、エポキ
シ樹脂の含有量(%)またはダイマー酸変性エポキシ樹
脂の含有量(%)と、ガラス転移点(℃)またはヤング
率との関係を示す図。
【図3】硬化剤の含有量(%)および溶融水平流れ率
(%)の関係を示す図。
【図4】充填剤の含有量(%)および接着強度(kN/
m)の関係を示す図。
【図5】充填剤の平均粒子径(μm)および粘度(Pa
・sec)の関係を示す図。
【図6】フッ酸暴露時間(h)および絶縁抵抗(Ω)の
関係を示す図。
【図7】硬化促進剤の含有量(%)およびゲル化時間
(sec)の関係を示す図。
【図8】被膜層の厚さ(μm)と分解ガス浸透率(%)
および接着強度(kN/m)との関係を示す図。
【図9】従来における、SFガス絶縁機器用絶縁物を
適用した遮断器の断面構造を概略的に示す図。
【図10】従来における、絶縁ロッドを拡大して示す
図。
【符号の説明】
20 絶縁ロッド 21 被膜層 22 絶縁物 23a,23b 取り付け金具
フロントページの続き Fターム(参考) 4J036 AA05 AB01 AD08 AD20 AF06 AF08 AG03 AG04 AJ09 DA05 DB18 DB21 DB22 DC05 DC41 FA06 GA21 GA23 JA03 5G305 AA05 AA11 AB28 AB40 BA03 BA09 CA15 CA55 CD01 CD08 5G333 AA11 AB05 AB28 BA06 CB14 CB15 DA03 DA11 DA23 FB11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体塗料組成物からなる被膜層が表面に
    形成されたSFガス絶縁機器用繊維強化プラスチック
    であって、前記粉体塗料組成物は、エポキシ樹脂、硬化
    剤、充填剤、硬化促進剤および流れ調整剤を含み、前記
    粉体塗料組成物に対し、エポキシ樹脂を30〜60重量
    %、ダイマー酸変性エポキシ樹脂を2〜20重量%、硬
    化剤を10〜20重量%、充填剤を20〜50重量%、
    硬化促進剤を1〜10重量%含有したことを特徴とする
    SFガス絶縁機器用繊維強化プラスチック。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型、
    ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノール
    ノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環式型、グ
    リシジルエーテル型およびグリシジルエステル型から選
    択される少なくとも1分子中に2個以上のエポキシ基を
    有する樹脂であることを特徴とする請求項1記載のSF
    ガス絶縁機器用繊維強化プラスチック。
  3. 【請求項3】 ダイマー酸変性エポキシ樹脂が、オレイ
    ン酸、リノール酸、およびリノレイン酸から選択される
    脂肪酸2量体の端部にエポキシ基を有するエポキシ樹脂
    であることを特徴とする請求項1記載のSFガス絶縁
    機器用繊維強化プラスチック。
  4. 【請求項4】 硬化剤が、無水フタル酸、無水テトロヒ
    ドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ナジッ
    ク酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸、無水ト
    リメリット酸および無水ピロメリット酸から選択される
    酸無水物であることを特徴とする請求項1記載のSF
    ガス絶縁機器用繊維強化プラスチック。
  5. 【請求項5】 充填剤の平均粒子径が、1〜10μmで
    あることを特徴とする請求項1記載のSFガス絶縁機
    器用繊維強化プラスチック。
  6. 【請求項6】 充填剤が、アルミナ(Al)であ
    ることを特徴とする請求項1記載のSFガス絶縁機器
    用繊維強化プラスチック。
  7. 【請求項7】 硬化促進剤が、イミダゾール誘導体、第
    3級アミン類、第4級アンモニウム塩および第4級ホス
    ホニウム塩から選択される硬化触媒であることを特徴と
    する請求項1記載のSFガス絶縁機器用繊維強化プラ
    スチック。
  8. 【請求項8】 被膜層の厚さが、70〜300μmであ
    ることを特徴とする請求項1記載のSFガス絶縁機器
    用繊維強化プラスチック。
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