JP2003262670A - 電波監視装置 - Google Patents

電波監視装置

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JP2003262670A
JP2003262670A JP2002063393A JP2002063393A JP2003262670A JP 2003262670 A JP2003262670 A JP 2003262670A JP 2002063393 A JP2002063393 A JP 2002063393A JP 2002063393 A JP2002063393 A JP 2002063393A JP 2003262670 A JP2003262670 A JP 2003262670A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不法に使用されている電波等の目的波を監視
する電波監視装置においては、従来では、受信信号の中
から不要な電波(この場合、合法的に使用されている電
波)等を手動で削除していたため、時間がかかり、また
誤入力をおこすという問題があった。本発明は、受信信
号から目的波を自動的に選別する電波監視装置を得るこ
とを目的とする。 【解決手段】 受信信号を周波数値、帯域幅、出現時間
幅、変調方式のいずれか一つまたは複数の条件で限定
し、当該限定条件に該当する信号を上位装置に通知し、
それ以外の信号成分を不要波として通知しないことで、
受信信号から目的波を自動的に選別する電波監視装置を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、受信した信号の中
から目的の信号を抽出し、抽出した目的の信号を上位装
置に通知する電波監視装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、本来使用が許可されていない
周波数帯域で使用されている不法電波等を監視する電波
監視装置では、従来では不要電波(この場合、合法的に
使用されている電波)を上位装置に通知しないようにす
るために、放送波など予め周波数などの諸元が分かって
いるものについては手動で表示器などの上位装置から入
力、設定し、それらの不要電波が検出されても上位装置
に通知しないようにしていた。
【0003】しかし、上位装置に通知の必要のない不要
電波には、あらかじめ出現するタイミングが分かってい
ない、例えば、移動通信の基地局から発信される制御信
号などの断続波や、その他、周波数が連続的に変化する
変調波なども含まれている。これらは、例えば周波数帯
がHFである場合、使用電波が増加する夜間ともなると
1000波近く存在する。そのため、これらの電波は手
動でマスクする必要があり、入力のための時間や負担が
大きく、また誤入力を起こすといった問題があった。
【0004】マイクロ波領域に限っては、不要電波があ
っても目的の信号を検出する信号検出装置として、例え
ば、特開平10−307180号公報に示されたマイク
ロ波検出装置などがある。図13は特開平10−307
180号公報に示されたレーダ式スピード測定器から発
射されるマイクロ波を検知するための車載用のマイクロ
波検出装置を示すブロック図である。図において、1は
ホーンアンテナ、2は局部発振器、3はミキサ、4は中
間周波数増幅回路、5は検波器、6は信号識別回路、7
は警報回路、8は警報器、9は制御電圧発生器、10は
マイコン、11はメモリ、12はADコンバータ、15
は強制妨害電波検出スイッチ、16はリセットスイッチ
である。
【0005】同図に示すようにホーンアンテナ1の入力
と局部発振器2の出力とがミキサ3にて周波数混合され
る。これによって得られた中間周波数信号が、次段の中
間周波数増幅器(BPF+AMP)4を経て帯域増幅さ
れた後、検波器5に入力される。そして、検波器5から
出力される検波信号に基いて信号識別回路6にて目的と
するマイクロ波が存在するか否かを判断し、マイクロ波
が存在する場合には、検出信号を警報回路7に送る。そ
して、警報回路7は、検出信号を受け取ると、警報器8
を動作させて報知する。なお、警報器8としては、ブザ
ー・アラーム等の音声や、ランプ等の視覚によるもの等
がある。
【0006】上記局部発振器2は、制御電圧発生器9か
ら発生される鋸歯状波や三角波により制御され、受信信
号と周波数混合する局部発振器2の出力の周波数は、受
信信号帯域内を周期的に掃引する。よって、図14
(a)に示すように掃引制御電圧が変化すると、検波器
5の出力は、同図(b)に示すように対応する周波数の
マイクロ波が存在すると、大きなピークが現れ、それ以
外の領域ではホワイトノイズが現れる。そこで、信号識
別回路7として、例えば、ホワイトノイズと弁別できる
ような閾値Thを基準電圧としたコンパレータを用いる
ことにより、同図(c)に示すように、目的とする所定
周波数で一定の電界強度以上のマイクロ波が受信された
時のみパルスがONになるようにできる。つまり、係る
パルスがONになることが、上記した検出信号となる。
そして、警報回路7は、係るパルス(ON)を受け取る
と一定時間(少なくとも1回の掃引時間以上)警報器8
を動作させる。
【0007】上記の構成が一般的に用いられるスーパー
ヘテロダイン型のマイクロ波検出器である。ここで、本
従来例では、妨害電波検出手段としてのマイコン10
を、信号識別回路6の出力に接続し、検出信号を取得で
きるようにしている。そして、マイコン10が検出信号
の出現状態を監視し、それが妨害電波と判断した場合に
は、その妨害電波に関する情報をメモリ11に格納す
る。
【0008】また、マイコン10は、検出信号が妨害電
波の場合には、その検出信号を無効にし、その妨害電波
によっては警報回路7及びまたは警報器8が動作しない
ようにしている。つまり、メモリ11に格納された情報
に基づいて検出信号が妨害電波であるか否かを判断し、
妨害電波と判断した場合には警報を出力しないようにし
ている。
【0009】妨害波の検出は、次のようにして行う。検
出対象のマイクロ波の場合には、ある期間だけ検出され
るが、車両の移動に伴いマイクロ波の発信源となるレー
ダ式スピード測定器の設置位置を通過すると係るマイク
ロ波はなくなる。一方、妨害電波の場合には、車室内に
存在する電子機器等から発射される電磁波とすると、そ
の電子機器等を使用している間は車両の移動に関係なく
常時発生する。そこで、一定時間以上連続して同一の周
波数の信号を受信した場合に妨害電波と判断し、その情
報をメモリ11に格納する。これにより、以後メモリ1
1に格納された妨害電波と同一の信号が受信された場合
には、それを検知し警報回路7を作動させないようにす
る。
【0010】特開平10−307180号公報は以上の
ように構成されており、電波監視装置としては断続波で
あっても不要電波である場合や、通信のような連続波で
あっても不法電波等の目的波である場合があり、電波諸
元に合わせて目的波を自動的に選別する構成となってい
なかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明に係わる電波監
視装置は、以上のような問題点を解決するためになされ
たもので、受信信号を周波数値、帯域幅、出現時間幅、
変調方式のいずれか一つまたは複数の条件で限定し、当
該限定条件に該当する信号を上位装置に通知し、それ以
外の信号成分を不要波として通知しないことで、受信信
号から目的波を自動的に選別する電波監視装置を得るこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる電波監視
装置は、無線信号を受信して中間周波数に変換する受信
装置と、当該中間周波数の受信信号をAD変換するAD
変換器と、当該AD変換された受信信号に逐次高速フー
リエ変換を行い周波数分布を算出する高速フーリエ変換
器と、目的波の周波数値、帯域幅、出現時間幅のいずれ
か一つまたは複数の条件を入力する入力装置と、当該入
力された周波数ピーク位置、当該周波数ピークの帯域
幅、出現時間幅のいずれか一つまたは複数の条件と、当
該条件に対応する受信信号の周波数分布に含まれたピー
クの周波数値、帯域幅、出現時間幅のいずれか一つまた
は複数の条件と一致するか否かを判定し、一致したピー
クを上位装置に報知する信号抽出器とを備えるものであ
る。
【0013】また、前記信号抽出器はあらかじめ設定さ
れた値以上の信号レベルが測定された場合にピークが存
在すると判定するものである。
【0014】また、無線信号を受信して中間周波数に変
換する受信装置と、当該中間周波数の受信信号をAD変
換するAD変換器と、当該AD変換された受信信号を同
相成分と直交成分とに分配する分配手段と、当該同相成
分と直交成分にそれぞれ高速フーリエ変換を行い比較す
ることで周波数分布および各周波数値における位相を算
出する高速フーリエ変換手段と、目的波の周波数値、帯
域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまたは複数
の条件を入力する入力装置と、当該入力した周波数値、
帯域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまたは複
数の条件と、受信信号の周波数分布に含まれる周波数
値、帯域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまた
は複数の条件と一致するか否かを判定し、一致したピー
クを上位装置に報知する信号抽出器とを備えるものであ
る。
【0015】また、上記信号抽出器は、あらかじめ設定
された変調方式および変調速度から周波数分布を合成す
る周波数分布合成手段を備え、受信信号の周波数帯域を
走査して、前記合成した周波数分布波形と一致するピー
クが存在するか否かを判定し、一致したピークを上位装
置に報知するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形
態1に係わる電波監視装置は、受信信号に含まれる信号
成分を、表示器等の上位装置からあらかじめ入力された
周波数値、帯域幅、出現時間幅の条件によって限定し、
当該限定条件と合致する信号成分を目的波として上位装
置に通知するものである。
【0017】図1は、本実施の形態1に係わる電波監視
装置の構成を表すブロック図である。図において、1は
アンテナ、2は高周波数増幅器、3はミキサ、4は中間
周波数増幅器、100は高周波数増幅器2、ミキサ3、
中間周波数増幅器4からなる受信機、200は不要波除
去装置、201はAD変換器、202はメモリ、203
は信号処理器、204は制御装置、300は表示器およ
び入力装置等の上位装置である。
【0018】次に、動作について説明する。アンテナ1
で受信された電波は、高周波増幅器2、ミキサ3、中間
周波数増幅器4を介して無線周波数から中間周波数への
変換が行われ、その中間周波数信号が不要波除去装置2
00に入力される。不要波除去装置200では、あらか
じめ上位装置から目的波の電波諸元が入力されている。
まず、AD変換器201においてアナログ信号からデジ
タル信号への変換が行われ、メモリ202にて順次サン
プリングされたデジタル信号が記憶される。メモリ20
2に記憶されたデジタル信号は信号処理装置203に入
力され、高速フーリエ変換処理され、その処理結果と上
記あらかじめ上位装置から入力された目的波の電波諸元
とを比較して信号抽出し、制御装置204が目的波およ
び不要波の判定を行い、目的波と判定されたもののみ上
位装置300に通知する。
【0019】ここで、信号処理装置203の信号処理に
ついて詳しく説明する。図2は不要波除去装置200の
詳細な構成を表すブロック図である。250は信号処理
器203内部のダウンコンバータ、251は不要の高周
波成分を除去するフィルタ、252は高速フーリエ変換
器、253は信号抽出器、254はメモリである。
【0020】次に、信号処理装置203の動作について
説明する。メモリ202から信号処理装置203に入力
されたデジタル信号は、ダウンコンバータ250によっ
て中間周波数からベースバンドまで帯域を落され、フィ
ルタ251で不要の高周波を除去して高速フーリエ変換
器252にて高速フーリエ変換処理を施され、周波数ス
ペクトルが求められる。
【0021】図3は高速フーリエ変換器252で受信信
号を高速フーリエ変換処理を行った後の周波数スペクト
ルを表す図である。図3(a)は時刻T1における高速
フーリエ変換による周波数スペクトルである。(b)は
時刻T2における高速フーリエ変換による周波数スペク
トルである。(c)は時刻Tnにおける高速フーリエ変
換による周波数スペクトルである。
【0022】図3の例の場合、信号が2波あった場合で
ある。通常、高速フーリエ変換を実施すると、高速フー
リエ変換を行う帯域幅と、その計算される離散周波数の
点数で帯域分割数および離散周波数の一点ごとの周波数
幅が決まる。この離散周波数の一点ごとに信号レベルを
比較してピークが存在する離散周波数値を算出する。
【0023】まず、時刻T1において、図3(a)のよ
うに周波数値の低い方から信号レベルを比較していき、
信号のレベルが低くなる前を信号のピークとして記録す
る。即ち、この場合は同図中f4およびf7の離散周波
数値にピーク50および51が存在する。次に、時刻T
2において、時刻T1のときと同様に、図3(b)に示
した周波数スペクトルの周波数値の低い方から順に信号
レベルを比較していく。ピーク50は存在するが、時刻
T1において存在したピーク51は消失している。以
下、同様の処理をくりかえし、メモリ254に記憶して
いく。そして、図3(c)のように時刻Tnにおけるピ
ーク50は3番目の離散周波数値に存在し、一方、ピー
ク51が再び存在している。
【0024】次に、これらの記憶したデータを元に、信
号の同一性の判定および帯域幅を決定する。例えば、図
4のように図3に基いてメモリ上にピークの存在する離
散周波数値が記憶されると、時間とピークの存在する離
散周波数値の変動の有無などにより、信号の種類を判定
する。例えば、周波数値がほぼ一定で連続して存在して
いるならば連続波、一定の周波数帯域内でピークが時間
的に変動する場合は変調波、途中ピークが消失してか
ら、また現れる場合は断続波と判定する。図4の場合、
周波数f4に存在するピークが連続波、周波数f7に存
在するピークは断続波と判定する。
【0025】ここで、例えば、あらかじめ上位装置30
0から目的波がピークの周波数値がf4、帯域幅がf2
〜f5、の連続波という設定が行われた場合、ピーク5
0が図3(c)のように周波数のピークから3dBだけ
信号レベルが落ちる周波数帯域幅を信号の周波数帯域幅
と規定し、このピークの存在する周波数値およびその帯
域幅、出現時間を測定し、一致した場合には、この信号
を目的波として上位装置に通知し、それ以外のピーク5
1については不要信号として上位装置に通知は行わな
い。
【0026】また、仮に上位装置から目的波の諸元が、
f5の離散周波数値から例えば図3(c)の帯域幅A内
に存在する断続波とした場合には、ピーク50は目的波
の条件と合致しなくなるため、ピーク51と同様に不要
信号として上位装置への通知は行わない。
【0027】以上のように、本実施の形態1では、電波
監視装置において、上位装置から入力した目的波の条件
と、受信信号の周波数分布の時間変化とを比較し、目的
波の条件と合致する場合のみ上位装置に通知し、それ以
外は不要信号として上位装置に通知しないため、各種の
不要電波を手動で除去する必要がなく、さまざまな種類
の不要波があっても目的波の電波諸元に合わせて自動的
に不要波、目的波を選別する電波監視装置を得る。
【0028】実施の形態2.上記実施の形態1では、不
要信号除去部200内の信号抽出器253で各周波数に
ついて信号レベルの比較を行ったが、本実施の形態2で
は、あらかじめ設定した閾値と信号レベルとを比較し、
閾値より大きい場合は、その周波数値において1を出力
し、またその閾値より小さい場合は、その周波数値にお
いて0を出力することで、2値化する。これによって、
信号抽出器253内のメモリ使用量を減らすことがで
き、処理負荷の低減を図るものである。
【0029】本実施の形態2の装置構成は、図1および
2に示した実施の形態1の装置構成と同様であるが、信
号抽出器253において信号抽出の際、信号レベルに一
定の閾値を設け、その閾値と信号レベルとを比較して信
号を抽出する。
【0030】あらかじめ設定した一定の閾値以上の信号
レベルを示す周波数の分布状態から信号の帯域幅を決定
する。図4に本実施の形態2の信号抽出の処理内容を示
す。図5(a)、(b)、(c)はそれぞれ時間T1、
T2、およびTNにおける信号の周波数成分を表す図で
ある。各図において、Aは信号抽出のための閾値を表
す。時間T1において、図5(a)のように周波数f2
〜f4およびf7において閾値以上の信号レベルが観測
されたため、図6(a)のように、その周波数における
信号分布を1とし、それ以外を0としてメモリ254に
記憶する。また、時間T2においては、図5(b)のよ
うに周波数f2〜f4のピークは連続して存在している
が、f7のピークは消失している。そのため、時間T2
における周波数分析の結果は、図6(b)のようにメモ
リ254に記憶する。この動作を各サンプリング時間ご
とに行い、時間TNにおいては図5(c)のように、周
波数f2〜f4のピークとともに、再び周波数f7にお
いて閾値以上のピークが存在しているため、図6(c)
のようにメモリ254に記憶する。
【0031】以上のようにメモリ254に蓄積された周
波数分析結果から、信号の出現時間および消失時間を測
定し、あらかじめ上位装置300から入力された目的波
の帯域幅、出現時間、時間間隔などの諸元が一致するか
を判定し、一致する場合のみ上位装置300に出力す
る。
【0032】以上のように、本実施の形態2では、信号
抽出の際にあらかじめ閾値を設け、信号レベルがこの閾
値以上の値ならば信号が存在するとして、信号の周波数
分布を求めるため、上記実施の形態1と比べて信号抽出
器のメモリ使用量が少なくて済み、処理負荷の軽減を図
ることができる。
【0033】実施の形態3.本実施の形態3では、受信
信号をI、Q信号に分配し、そこから各時間における位
相を算出し、その位相変化から変調方式を分析して目的
波の抽出を行う電波監視装置を得る。
【0034】図6は本実施の形態3に係る電波監視装置
の信号処理部200aの構成を表すブロック図である。
図2と同じ構成要素には同じ符号を付す。255はフィ
ルタ251で帯域制限された受信信号を同相成分(I成
分)と直交成分(Q成分)とに分配する分配器、252
aは受信信号のI成分を高速フーリエ変換する高速フー
リエ変換器手段、252bは受信信号のQ成分を高速フ
ーリエ変換する高速フーリエ変換手段、253aは実施
の形態1または2の信号抽出器253の機能に加えて、
受信信号のI、Q成分を比較して位相を検出し、各時間
間での位相差を検出する位相差検出手段256を含んで
いる。
【0035】次に動作について説明する。信号処理部2
00aに入力された中間周波数の受信信号は、AD変換
器201においてデジタル変換され、信号処理器203
に入力される。信号処理器203では、まずダウンコン
バータ250によって中間周波数からベースバンドまで
周波数変換され、フィルタ251で不要周波数帯の帯域
制限が行われ、分配器255に入力される。分配器25
5では受信信号をI成分と、それに直交するQ成分とに
分配し、それぞれに高速フーリエ変換手段252a、2
52bにおいて高速フーリエ変換を行い、それらを比較
することで各周波数について信号成分Aejθが算出さ
れる。ここでAは振幅、θが位相である。算出された信
号成分から周波数分布が求められ、信号抽出器253a
に入力される。信号抽出器253aでは上記実施の形態
1、2と同様にピークの周波数値、ピークの帯域幅、出
現時間幅の分析の他に、位相差検出手段256によっ
て、各時間における位相の差分を検出する。
【0036】例えば、PSK(Phase Shift
Keying)は位相差で情報を伝える変調方式だ
が、位相識別のための基準信号も伝送しない限り受信側
ではどの位相が0ラジアン(0°)なのか解らない。そ
こで、PSKの一種であるDPSK(Defferen
tial Phase Shift Keying)で
は現在の一つ前に伝送されてきた正弦波の位相をその都
度0°(基準)と解釈して位相を判別する方法が採られて
いる。例えば、4相DPSKでは、+π/2、0、+3
π/2、+πのいずれかの位相差をとる。そのため、変
調方式が4相DPSKであると上位装置300より制御
部204に設定を行った場合、高速フーリエ変換装置2
52a、252bの算出結果が入力された信号抽出器2
53では、図7に示したように、上記のように各周波数
において算出された位相θを各時間ごとに比較し、各時
間ごとの位相差が常に上記+π/2、0、+3π/2、
+πのいずれかとなるピークを探す。
【0037】図7は受信信号のI成分の周波数分布、図
8は受信信号のQ成分の周波数分布を表す図である。図
7(a)はある時刻T1、図7(b)は時刻T1の次の
サンプリングタイミングである時刻T2、図7(c)は
時刻TNにおける受信信号のI成分の周波数分布であ
る。また、図8(a)はある時刻T1、図8(b)は時
刻T1の次のサンプリングタイミングである時刻T2、
図8(c)は時刻TNにおける受信信号のQ成分の周波
数分布である。時刻T1において、信号抽出器253は
I成分から周波数f4の信号成分をピーク52a、およ
びf7の信号成分をピーク53b、および、Q成分から
ピーク52bおよびピーク53bをそれぞれ比較して位
相を検出する。次いで、時刻T2における周波数f4と
f7におけるI、Q成分からピークの位相を検出し、時
刻T1と時刻T2の位相の差分を算出する。この動作を
各時間ごとに行い、位相の差分を算出する。図9は各時
刻T1、T2…TNにおける各離散周波数における算出
された信号成分の位相θを表している。4相DPSKで
はビット00、01、10、11に対応する位相差を例
えば、+π/2、0、+3π/2、+πなどのようにそ
れぞれ割り当てるが、図7および図8の例ではピーク5
2aおよび52bを比較しても位相変化がないため、ピ
ーク52については上位装置300に報知しない。一
方、ピーク53については各時間の位相差分が+π/
2、0、+3π/2、+πのいずれかの値をとるもので
あれば、ピーク53を上位装置300に報知する。図7
および図8ではf8より高周波側は図示していないが、
当然のことながら、f8より高周波側でさらに各時間の
位相の差分が+π/2、0、+3π/2、+πのいずれ
かの値をとるものである信号が発見された場合は、その
信号成分を上位装置300に報知する。
【0038】その際、さらに上位装置300より目的波
の存在する周波数帯域、出現時間幅等を指定すれば、こ
れらと位相変化とを合わせて分析することで、さらに効
率よく、目的波を抽出することができる。
【0039】即ち、検出した位相差を、ピークの周波数
値、帯域幅、出現時間幅と合わせて分析することで変調
方式を識別し、より正確な目的波の抽出を行うことがで
きる。例えば、アナログ変調ではAM(Amplitu
de Modulation)やFM(Frequen
cy Modulation)、また、デジタル変調で
は、ASK(Amplitude Shift Key
ing)、PSK(Phase Shift Keyi
ng)、FSK(Frequency Shift K
eying)、QAM(Quadrature Amp
litudeModulation)などの変調方式を
識別することで、AM、FM放送波、デジタル無線、音
声信号やデータ信号などの受信波の種類が分かり、目的
波か否かの識別が容易になる。
【0040】以上のように、本実施の形態3では、受信
信号をI、Q成分に分配し、このI、Q成分から各時間
における位相から各時間間の位相差を検出し、この位相
差が、上位装置からあらかじめ設定した変調方式により
もたらされる位相差と一致するか否かを判定すること
で、より正確に目的信号のみを抽出することができる。
【0041】実施の形態4.上記実施の形態3では、受
信信号をI、Q成分に分配し、このI、Q成分の周波数
分布を比較して位相を検出し、各サンプリング時刻にお
ける位相の差分から変調方式を識別し、目的波の変調方
式と一致する信号のみを上位装置に報知する電波監視装
置を示したが、本実施の形態4では、上位装置で設定さ
れた変調方式、変調速度から周波数分布の波形を合成
し、この合成した周波数分布と、実際の受信信号の周波
数分布とを比較し、周波数分布が一致する信号について
のみ抽出する電波監視装置について説明する。
【0042】図10は本実施の形態4に係わる電波監視
装置中の電波抽出器の構成を表すブロック図である。上
記実施の形態3の図6と同じ構成要素には同じ符号を付
す。261は制御部204内の波形合成手段である。
【0043】次に、動作について説明する。受信信号を
I、Q成分に分配し、高速フーリエ変換して周波数分布
を求め、それらを比較して位相検出を行う点は実施の形
態3と同様である。ここで、本実施の形態4では、上位
装置300から設定される変調方式および変調速度か
ら、信号抽出器253に組み込まれた波形合成手段25
7によって周波数分布波形を合成し、この合成波形を各
時間ごとに低周波数から高周波数へ、または高周波数か
ら低周波数へ順次移動して波形が一致するか否かを走査
する。
【0044】図11は、本実施の形態4に係る目的波の
走査方法である。例えば、目的波の変調方式がFSK、
および変調速度が、例えば2400ボー(ボーレートは
1秒間に何回信号が変化するかを表す尺度)として適当
な値が上位装置300から設定入力が行われると、制御
部204内の波形合成手段257では、FSKの周波数
波形を合成し、当該合成ピークを低周波側、もしくは高
周波側から順次走査し、一致する波形が存在するかを走
査する。その際、FSKは0と1にそれぞれ対応する2
つの周波数を用いて送信を行う変調方式であるため、変
調速度にしたがって一定の時間間隔で2つの周波数のい
ずれか一方にピークが現れ、各時間における周波数分布
を積算すると合成周波数分布60のような2つのピーク
が存在する周波数分布が得られる。また、変調速度が速
ければその分ピークの帯域幅が広くなり、逆に変調速度
が遅ければその分ピークの帯域幅が狭くなる。そのた
め、本実施の形態4では、一定時間だけ周波数分布を積
算し、当該積算した周波数分布と波形合成手段257で
合成した周波数分布60とを比較し、一致するピークを
走査する。
【0045】走査の結果、周波数分布が一致するピーク
54を検出した場合、そのピーク54を目的波として上
位装置300に報知する。なお、波形合成手段257と
しては既存のスペクトラムアナライザ等を信号抽出器2
53に組み込んで用いればよい。
【0046】さらに、上記実施の形態1、2、3のよう
に上位装置から、目的波の周波数値、帯域幅、出現時間
幅等を設定し、走査範囲に限定を加えることで、より効
率の良い電波監視を行うことができる。
【0047】以上の例では、目的波の変調方式がFSK
である場合について説明したが、当然のことながら波形
合成手段257で合成する変調方式はFSKに限られな
い。
【0048】また、本実施の形態4の他、上記実施の形
態1、2、3いずれにおいてもアンテナは無指向性のも
のを指すが、指向性のあるアレイアンテナ等に適用して
もよい。図12に本発明の電波監視装置を複数用いたア
レイアンテナの構成図を示す。このように本発明の電波
監視装置を複数用いてアレイアンテナを構成すること
で、受信電波の到来方位を限定することができ、より効
率の良い電波監視を行うことも可能である。このことは
本実施の形態4の他、上記実施の形態1、2、3いずれ
の電波監視装置においても適用可能である。
【0049】以上のように、本実施の形態4では、上位
装置から設定された変調方式および変調速度にしたがっ
て信号抽出器253に組み込んだ波形合成手段257が
周波数分布波形を合成し、この合成波形を一定時間積算
した周波数波形と一致するか否かを走査するため、より
正確に目的信号のみを抽出することができる。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明に係わる電波監視
装置は、無線信号を受信して中間周波数に変換する受信
装置と、当該中間周波数の受信信号をAD変換するAD
変換器と、当該AD変換された受信信号に逐次高速フー
リエ変換を行い周波数分布を算出する高速フーリエ変換
器と、目的波の周波数値、帯域幅、出現時間幅のいずれ
か一つまたは複数の条件を入力する入力装置と、当該入
力された周波数ピーク位置、当該周波数ピークの帯域
幅、出現時間幅のいずれか一つまたは複数の条件と、当
該条件に対応する受信信号の周波数分布に含まれたピー
クの周波数値、帯域幅、出現時間幅のいずれか一つまた
は複数の条件と一致するか否かを判定し、一致したピー
クを上位装置に報知する信号抽出器とを備えるため、受
信信号から目的波を自動的に抽出することができるもの
である。
【0051】また、前記信号抽出器はあらかじめ設定さ
れた値以上の信号レベルが測定された場合にピークが存
在すると判定するため、信号抽出器中のメモリの使用量
を低減することができるものである。
【0052】また、無線信号を受信して中間周波数に変
換する受信装置と、当該中間周波数の受信信号をAD変
換するAD変換器と、当該AD変換された受信信号を同
相成分と直交成分とに分配する分配手段と、当該同相成
分と直交成分にそれぞれ高速フーリエ変換を行い比較す
ることで周波数分布および各周波数値における位相を算
出する高速フーリエ変換手段と、目的波の周波数値、帯
域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまたは複数
の条件を入力する入力装置と、当該入力した周波数値、
帯域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまたは複
数の条件と、受信信号の周波数分布に含まれる周波数
値、帯域幅、出現時間幅、変調方式のいずれか一つまた
は複数の条件と一致するか否かを判定し、一致したピー
クを上位装置に報知する信号抽出器とを備えるため、受
信信号から目的波を自動的に抽出できるものである。
【0053】また、上記信号抽出器は、あらかじめ設定
された変調方式および変調速度から周波数分布を合成す
る周波数分布合成手段を備え、受信信号の周波数帯域を
走査して、前記合成した周波数分布波形と一致するピー
クが存在するか否かを判定し、一致したピークを上位装
置に報知するため、より正確に受信信号から目的波を自
動的に抽出できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係わる電波監視装置
の構成を表すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係わる不要波除去装
置の構成を表すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の目的波の抽出方法を
表すブロック図である。(a)時刻T1における受信信
号の周波数分布である。(b)時刻T2における受信信
号の周波数分布である。(c)時刻TNにおける受信信
号の周波数分布である。
【図4】 本発明の実施の形態1に係わる信号抽出器中
のメモリに記憶されるデータである。(a)時刻T1に
おけるピークの周波数値である。(b)時刻T2におけ
るピークの周波数値である。(c)時刻TNにおけるピ
ークの周波数値である。
【図5】 本発明の実施の形態2の目的波の抽出方法を
表すブロック図である。(a)時刻T1における受信信
号の周波数分布および信号レベルの閾値を示す。(b)
時刻T2における受信信号の周波数分布および信号レベ
ルの閾値を示す。(c)時刻TNにおける受信信号の周
波数分布および信号レベルの閾値を示す。
【図6】 本発明の実施の形態3に係わる不要波除去装
置の構成を表すブロック図である。
【図7】 本発明の実施の形態3の目的波の抽出方法を
表す図である。(a)時刻T1における受信信号のI成
分の周波数分布である。(b)時刻T2における受信信
号のI成分の周波数分布である。(c)時刻TNにおけ
る受信信号のI成分の周波数分布である。
【図8】 本発明の実施の形態3の目的波の抽出方法を
表す図である。(a)時刻T1における受信信号のQ成
分の周波数分布である。(b)時刻T2における受信信
号のQ成分の周波数分布である。(c)時刻TNにおけ
る受信信号のQ成分の周波数分布である。
【図9】 本発明の実施の形態3に係わる信号処理器中
のメモリに記憶されるデータである。(a)時刻T1に
おける各周波数における位相である。(b)時刻T2に
おける各周波数における位相である。(c)時刻TNに
おける各周波数における位相である。
【図10】 本発明の実施の形態4に係わる不要波除去
装置の構成を表すブロック図である。
【図11】 本発明の実施の形態4の目的波の抽出方法
を表す図である。
【図12】 本発明の実施の形態4の電波監視装置を複
数用いてアレイアンテナを構成した場合の図である。
【図13】 従来のマイクロ波検出装置の構成を表すブ
ロック図である。
【図14】 マイクロ波検出の一般的な動作を説明する
図である。
【符号の説明】
1 アンテナ、 2 高周波増幅器、 3 ミキ
サ、4 中間周波数増幅器、 100 受信機、
200 不要波除去装置、201 AD変換器、 2
02 メモリ、 203 信号処理器、204 制御
装置、 250 ダウンコンバータ、 251 フ
ィルタ、252 高速フーリエ変換器、 253 信
号抽出器、 254 メモリ、256 変調方式検出
手段、 257 波形合成手段、300 上位装置。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受信電波信号を時間領域から周波数領域
    に変換する変換器と、この変換器の出力に含まれるピー
    クの周波数、帯域幅、出現時間の少なくとも一つが予め
    設定された周波数、帯域幅、出現時間と一致するか否か
    を判定し、判定結果を出力する信号抽出器とを備えるこ
    とを特徴とする電波監視装置。
  2. 【請求項2】 前記信号抽出器はあらかじめ設定された
    値以上の信号レベルが測定された場合にピークが存在す
    ると判定することを特徴とする請求項1記載の電波監視
    装置。
  3. 【請求項3】 受信電波信号を同相成分と直交成分とに
    分配する分配手段と、当該分配した同相成分と直交成分
    を時間領域から周波数領域に変換する変換器と、この変
    換器から出力される同相成分と直交成分とを比較し、受
    信電波信号の位相を検出する位相検出手段と、前記変換
    器の出力に含まれるピークの周波数、帯域幅、出現時間
    および前記位相検出手段から出力される差分位相の少な
    くとも一つが、予め設定された周波数、帯域幅、出現時
    間、および変調方式から定まる差分位相と一致するか否
    かを判定し、判定結果を出力する信号抽出器とを備える
    ことを特徴とする電波監視装置。
  4. 【請求項4】 上記信号抽出器は、あらかじめ設定され
    た変調方式および変調速度から周波数分布を合成する周
    波数分布合成手段を備え、受信電波信号の周波数帯域を
    走査して、前記合成した周波数分布波形と一致するピー
    クが存在するか否かを判定し、一致したピークを上位装
    置に報知することを特徴とする請求項3記載の電波監視
    装置。
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