JP2003262616A - キャピラリーアレイ電気泳動装置 - Google Patents

キャピラリーアレイ電気泳動装置

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JP2003262616A JP2003019636A JP2003019636A JP2003262616A JP 2003262616 A JP2003262616 A JP 2003262616A JP 2003019636 A JP2003019636 A JP 2003019636A JP 2003019636 A JP2003019636 A JP 2003019636A JP 2003262616 A JP2003262616 A JP 2003262616A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャピラリーアレイ電気泳動装置において、
複数キャピラリーにレーザ光を同時照射し、試料成分か
らの蛍光を検出するオンカラム蛍光計測を行なう。 【解決手段】 キャピラリーゲル1の泳動開始点より所
定の位置で、所定の長さで各キャピラリーのポリイミド
被覆を除去してレーザ照射部とする。キャピラリーゲル
をキャピラリー軸を平行に保ちガラス平面板3の上に平
面状に固定配列する。蛍光像は第1カメラレンズ3で平
行光束にし、像を垂直方向に分割する像分割プリズム及
び像を結ぶ光束に対応させた4種の組み合わせフィルタ
ー5を透過させ、第2カメラレンズ6で2次元CCDカ
メラ7に結像させる。キャピラリーの外半径、内半径、
キャピラリー外部の媒質の屈折率、キャピラリーの材料
の屈折率、ゲルの屈折率の間に所定の関係を満足させ
て、レーザのキャピラリーによる屈折を小さくし全ての
キャピラリーに十分な強度のレーザ光を照射する。 【効果】 高感度、高速、高スループットが簡便に実現
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNA、RNA、
又は蛋白質等の分離分析装置に係る技術分野に属し、特
にDNA、RNAの塩基配列決定、あるいは個体の塩基
配列の多様性に基づく制限酵素断片の多型性の計測を行
なうキャピラリーアレイ電気泳動装置に係る技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】DNA、RNA等の分析技術は、遺伝子
解析や遺伝子診断を含む医学、生物学の分野でますます
重要になってきている。特に最近、特にゲノム解析計画
に関連して、高速、高スループットのDNA解析装置の
開発が進んでいる。DNA解析では、蛍光標識された試
料をゲル電気泳動によって分子量分離し、試料にレーザ
を照射して蛍光標識から発する蛍光を検出し、検出され
る一連の信号を解析する。ゲル電気泳動では、0.3m
m程度の間隔に保持された2枚のガラス板の間で、アク
リルアミドを重合させた平板ゲルが広く使用されている
(スラブゲル電気泳動)。平板ゲルの上端(一端)の泳
動開始点に注入された試料は、平板ゲルの両端に印加さ
れた電界により分子量分離されながら下端(他端)方向
に泳動される。泳動開始点から一定距離の位置におい
て、平板ゲルの側面からレーザを照射して、全ての泳動
路を一度に照射し、レーザ照射部を通過する蛍光標識さ
れた試料の泳動分離された成分を励起する。レーザ照射
により発する蛍光の検出は、一定時間間隔で連続して周
期的に検出する。この検出結果を解析することによりD
NA塩基配列を決定している。
【0003】最近では平板ゲルに替わり、溶融石英製の
毛細管内にゲルを重合させたキャピラリーゲルが使用さ
れるようになった。キャピラリーゲル電気泳動は、上記
のスラブゲル電気泳動に比較して、大きな電界を加える
ことができ、高速、高分離が可能な方法として注目を集
めている(Analytical Chemistry
62、900(1990))。通常、キャピラリーゲ
ル電気泳動装置では、1本のキャピラリー管を用い、そ
の下端近傍のキャピラリー中をレーザ照射し、蛍光標識
された試料から発する蛍光を検出するオンカラム計測を
行なっている。キャピラリーの外表面全体はポリイミド
コーティングされているので、蛍光を検出する位置のコ
ーティングを除去してガラスを露出させておく(米国特
許5312535(May 17、1994))。この
ガラスが露出した位置に照射されるレーザにより、電気
泳動によってキャピラリー内部を泳動する蛍光標識され
た試料の泳動分離された成分が励起され蛍光を発する。
この蛍光を一定時間間隔で連続して周期的に検出し、解
析することによりDNA塩基配列を決定している。しか
し、上記のオンカラム計測装置では、レーザビームのキ
ャピラリー表面での屈折が大きいために、1度に1本の
キャピラリーしか使用できず、スループットが上がらな
いという難点があった。そこで最近、複数本のキャピラ
リーをアレイ化して、多くの試料を同時に高速分析する
高スループットなキャピラリーアレイゲル電気泳動装置
がいくつか報告されている。
【0004】第1の報告例は、キャピラリーアレイスキ
ャン方式(Nature、359、167(199
2))であり、複数本のキャピラリーを1本づつ順番に
レーザ照射し、オンカラム蛍光計測するものである。こ
の装置では、レーザビームがキャピラリー中で最も絞ら
れる位置と、蛍光受光光学系に入射する光源位置とが一
致する共焦点構造が採用されており、1本づつのキャピ
ラリーを独立に計測できる。レーザ照射及び蛍光受光光
学系は固定し、キャピラリーアレイを保持したステージ
を1次元方向に移動させて、各キャピラリーを順番にレ
ーザ照射している。第2の報告例は、キャピラリーアレ
イシースフロー方式(Nature、361、565−
566(1993)、特開平06−138037号公
報)である。この装置では、キャピラリーアレイの下端
を緩衝液中に浸し、ゲル電気泳動によって分子量分離さ
れた試料の成分をそのまま緩衝液中に溶出させ、キャピ
ラリーの存在しない空間部分で、試料の成分から発する
蛍光を検出する、オフカラム計測(キャピラリーにレー
ザ照射して試料の成分を検出するオンカラム計測に対比
して、本願明細書では、キャピラリーの存在しない空間
にレーザ照射して試料の成分を検出する方式を、簡単の
ためオフカラム計測と呼ぶことにする。)を行なってい
る。
【0005】また、緩衝液を泳動方向にゆっくり流すこ
とによって、異なるキャピラリーゲルから溶出された分
離成分の緩衝液中での混合、あるいは1本のキャピラリ
ーゲル中で分離されていた異なる2つの成分の緩衝液中
での混合を防止している。キャピラリーアレイの出口近
傍で、キャピラリーが存在せず緩衝液が存在する空間部
分を、レーザ照射してキャピラリーの表面でのレーザビ
ームの散乱の問題を回避し、複数のキャピラリーから溶
出された成分を、実質的に一括して励起し、実質的に同
時に蛍光検出することが可能になっている。
【0006】第3の報告例では、複数のキャピラリーを
機械的にスキャンすることなく、複数のキャピラリーを
同時にオンカラム計測するために、単一のレーザ光源か
らのレーザ光をビームスプリッター等により分割して、
複数のキャピラリーのそれぞれに同時照射している(A
nalytical Chemistry 65、95
6(1993))。
【0007】第4の報告例では、レーザ光をシリンドリ
カルレンズでキャピラリー配列方向に拡げて、複数のキ
ャピラリーに一括して照射している(Analytic
alChemistry 66、1424(199
4))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記第1の報告例のキ
ャピラリーアレイスキャン方式では、蛍光計測をキャピ
ラリー1本づつ順番に行なうため、1本当たりの蛍光検
出に要する時間が、1本のキャピラリーを使用する通常
のオンカラム計測と比較して減少してしまう。n本のキ
ャピラリーアレイを使用する場合、通常のオンカラム計
測と比較して、1本当たりの蛍光検出に要する時間は最
大で1/n、実際には試料の分離成分が通過しないキャ
ピラリーのガラス部分もスキャンされるので1/n以下
になってしまう。この結果、蛍光検出感度が低下する問
題が生じる。即ち、n本のキャピラリーアレイを使用す
る場合に、1本のキャピラリーを使用する通常のオンカ
ラム計測と同等の蛍光検出感度を得るためには、通常の
オンカラム計測における蛍光を検出時間のn倍以上の時
間を要することになってしまう。
【0009】また、1本のキャピラリー中で分離される
成分の電気泳動パターンの隣り合うピークの時間間隔
は、高速分析になるほど小さくなるが、この隣り合うピ
ークの時間間隔に対して、n本のキャピラリーアレイの
1回のスキャンに要する時間が無視できないほど大きく
なると、分離された成分の電気泳動パターンの分離能が
低下する問題が生じる。更に、本装置では、スキャンを
機械的に行なうためのステージ可動部を有しており、故
障が多発する構造となっている。
【0010】上記第2の報告例のキャピラリーアレイシ
ースフロー方式では、分子量分離された成分から得られ
る蛍光強度が、オンカラム蛍光計測の場合と比較して、
分子量が多きくなるほど小さくなってしまうという問題
がある。この問題は、次の理由により生じる。キャピラ
リーゲルの下端より緩衝液中に溶出さた分離成分が、緩
衝液中で拡散等によって混合しないようにするために
は、緩衝液を泳動方向に一定の速度以上で定常的に流す
必要がある。一方、キャピラリーゲル中を分子量分離さ
れながら泳動する試料成分の泳動速度は、その分子量が
多きいほど小さくなる。緩衝液のフロー速度に対して、
キャピラリーゲル中での試料成分の泳動速度が小さいほ
ど、その試料成分はキャピラリーゲルから緩衝液中に溶
出される際に、泳動方向に大きく引き伸ばされることに
なる。その結果、蛍光強度が小さくなり、計測感度が低
下する原因となる。
【0011】上記第3、第4の報告例では、キャピラリ
ー1本当たりに照射されるレーザ光強度が低下するた
め、電気泳動により分離される試料成分を感度よく検出
できないという問題がある。
【0012】本発明の目的は上記した各種の問題を解決
するために、オンカラム蛍光計測を行ないながら、複数
のキャピラリーを機械的にスキャンせず、あるいはレー
ザをスキャンすることなく、複数のキャピラリーを実質
的に同時にレーザ照射して、複数のキャピラリー中の試
料成分から発する蛍光を、実質的に同時に一括して計測
できるキャピラリーアレイ電気泳動装置を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のキャピラリーア
レイ電気泳動装置は、泳動する試料の成分を検出するた
めの複数のキャピラリーの少なくとも一部が平面状に配
列され、複数のキャピラリーにレーザ光を照射するキャ
ピラリーアレイ電気泳動装置において、(1)レーザ光
を、上記少なくとも一部が配列する平面に平行な方向か
ら、複数のキャピラリーに照射すること、(2)レーザ
光を、上記少なくとも一部が配列する平面の1つ又は2
つの側方より、上記平面に平行な方向から複数のキャピ
ラリーに照射すること、(3)キャピラリーの外半径、
内半径、キャピラリー外部の媒質の屈折率、キャピラリ
ーの材料の屈折率、キャピラリー内部の媒質の屈折率の
間に所定の関係を満足させて、上記レーザ光のキャピラ
リーによる屈折を十分小さくし、全てのキャピラリーに
十分な強度を有するレーザ光を照射すること、(4)キ
ャピラリーアレイ又はレーザ光のスキャンを行なうこと
なく、複数のキャピラリーにレーザ光を実質的に同時に
照射して、上記の各キャピラリー中を泳動する試料の成
分から発する蛍光を実質的に同時に検出するために、上
記レーザ光を、上記少なくとも一部が配列する平面の1
つ又は2つの側方より、前上平面に平行な方向から複数
のキャピラリーに照射すること、(5)キャピラリーア
レイ又は前記レーザ光のスキャンを行なうことなく、複
数のキャピラリーにレーザ光を実質的に同時に照射し
て、上記の各キャピラリー中を泳動する試料の成分から
発する蛍光を実質的に同時に検出するために、キャピラ
リーの外半径、内半径、前記キャピラリー外部の媒質の
屈折率、キャピラリーの材料の屈折率、キャピラリー内
部の媒質の屈折率の間に所定の関係を満足させて、レー
ザ光のキャピラリーによる屈折を十分小さくし、全ての
キャピラリーに十分な強度を有するレーザ光を照射する
こと、に特徴を有するキャピラリーアレイ電気泳動装置
である。
【0014】さらに、本発明のキャピラリーアレイ電気
泳動装置は、上記特徴(1)から(5)に加えて、
(a)上記各キャピラリーのレーザ光が照射される部分
が透明であること、上記レーザ光が、少なくとも3つの
異なる屈折率をもつ媒質を透過すること、(b)上記レ
ーザ光が通過する各キャピラリーの外半径をR、内半径
をr、屈折率をn2とし、レーザ光が通過する各キャピ
ラリーの外部の媒質の屈折率をn1とし、レーザ光が通
過する各キャピラリーの内部の媒質の屈折率をn3とす
るとき、 (360/π)│sin-1{r/(2R)}−sin-1
{rn1/(2Rn2)}}+sin-1{n1/(2
2)}}−sin-1{n1/(2n3)}│≦6.2° なる関係を満たすこと、あるいは、 (c)(360/π)│sin-1{r/(2R)}−s
in-1{rn1/(2Rn2))}+sin-1{n1
(2n2)}}−sin-1{n1/(2n3)}│≦1.
2°なる関係を満たすこと、(d)レーザ光の通過する
各キャピラリーの外部の媒質が、屈折率n1=1.33
からn1=1.37の範囲にある水又は緩衝液であり、
上記外半径と上記内半径の比R/rがR/r=2±0.
2であり、レーザ光の通過する各キャピラリーが、屈折
率n2=1.46±0.02である石英ガラスからな
り、レーザ光が通過する各キャピラリーの内部の媒質の
屈折率がn3=1.37±0.04であり、この媒質が
アクリルアミドゲルからなること、(e)レーザ光の通
過する各キャピラリーの外部の媒質が、屈折率n1
1.33からn1=1.37の範囲にある水又は緩衝液
であり、上記外半径と内半径の比R/rがR/r=2±
0.2であり、レーザ光の通過する各キャピラリーが、
屈折率n2=1.46±0.02である石英ガラスから
なり、レーザ光が通過する各キャピラリーの内部の媒質
の屈折率がn3=1.40±0.04であり、この媒質
がホルムアミドを混入させたアクリルアミドゲルからな
ること、(f)レーザ光の通過する各キャピラリーの外
部の媒質が、屈折率n1=1.00の空気であり、上記
外半径と内半径の比R/rがR/r=5±0.5であ
り、レーザ光の通過する各キャピラリーが、屈折率n2
=1.46±0.02である石英ガラスからなり、レー
ザ光が通過する各キャピラリーの内部の媒質の屈折率が
3=1.37±0.04であり、この媒質がアクリル
アミドゲルからなること、(g)レーザ光の通過する各
キャピラリーの外部の媒質が、屈折率n1=1.00の
空気であり、上記外半径と内半径の比R/rがR/r=
3±0.3であり、レーザ光の通過する各キャピラリー
が、屈折率n2=1.60±0.02であるガラスから
なり、レーザ光が通過する各キャピラリーの内部の媒質
の屈折率がn3=1.37±0.04であり、この媒質
がアクリルアミドゲルからなること、等にも特徴を有す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して詳細に説明する。図1は、複数のキャピラリー
1(図1では、6本の例を示す)を同一平面上に配列
し、この平面と平行であり、試料成分の泳動方向とほぼ
直交する方向からレーザ2を照射して、複数のキャピラ
リーを実質的に同時に励起して、各キャピラリー中で分
離される試料成分をオンカラム計測して検出するキャピ
ラリーアレイ電気泳動装置の主要部分を示す。図1
(a)は、複数のキャピラリーアレイの平面図、図1
(b)は、その断面図である。レーザ2が照射される複
数のキャピラリーは、試料成分を分離するための分離用
キャピラリー、もしくは分離用キャピラリーに接続され
泳動分離された試料成分を検出するための計測用キャピ
ラリーのいずれかである。レーザ2が照射される複数の
キャピラリーが分離用キャピラリーである場合には、試
料の泳動開始点から所定の距離でレーザ2を照射する。
これらの各キャピラリーには、ゲルが充填されている。
本発明のキャピラリーアレイ電気泳動装置で泳動分析、
又は解析される試料は、蛍光標識されている複数の成分
を含んでいる。また、試料に含まれる成分自身が、レー
ザの照射により蛍光を発する性質をもっている場合に
は、蛍光標識は不要である。なお、図1を含め以下で参
照する各図では、泳動のための電界を印加するための、
電源、電極、電極及び電解液を収納する電極層等の各手
段、更に、キャピラリーゲル1の中を泳動する試料成分
からの蛍光を検出した後、これら検出信号を処理する演
算処理装置、演算処理結果の表示を行なう表示器、キャ
ピラリーアレイ電気泳動装置の各部を制御する制御装
置、レーザ光源等は省略してある。
【0016】(第1の実施形態)本実施形態は、5本の
キャピラリーゲル電気泳動によるDNA塩基配列決定の
ための装置であり、その装置の基本構成を図2に示し
た。但し、図2には、5本のキャピラリーゲル1の中を
泳動する試料成分を検出する蛍光計測部分近傍のみを示
す。キャピラリーゲル1は、長さ50cm、外径0.2
mm(外半径、R=0.1mm)、内径0.1mm(内
半径、r=0.05mm)の溶融石英管(屈折率=1.
46)に、変性剤として7Mのウレアを含んだ4%T
(Totalmonomer concentrati
on)、5%C(Crosslinking mate
rial concentration)の濃度のアク
リルアミドを注入した後ゲル化させて調製した(屈折率
=1.37)。試料注入側のキャピラリー末端より30
cmの位置で、長さ10mmにわたり、各キャピラリー
のポリイミド被覆を除去してレーザ照射部とした。図2
のように、このキャピラリーゲル5本をそれぞれキャピ
ラリー軸を平行に保ち、0.2mmピッチに揃えてガラ
ス平面板3の上に固定して平面状に配列させた。図3に
示すように、キャピラリーゲルを取り巻く媒質は、空気
9である(屈折率=1.00)。
【0017】図3は、蛍光計測部分のキャピラリー軸に
垂直な断面図であり、YAGレーザ(532nm、20
mW)、及びHe−Neレーザ(594nm、10m
W)を同軸にした後、ビーム2の径を0.1mmに絞
り、キャピラリーが配列する平面に平行であり、キャピ
ラリー軸にほぼ垂直な方向から入射させた(即ち、キャ
ピラリーアレイの側方からビーム2を入射させる)。蛍
光の計測は、キャピラリーゲルが配列する平面に対して
垂直方向からガラス平面板3を通して行なった。図3に
示すように、蛍光の計測は、ガラス平面板3の反対の側
から行なうこともできる水平方向に幅0.8mmに、
0.2mm間隔で1列に並ぶ5個の蛍光発光点群を、図
2に示す構成により、第1カメラレンズ3でほぼ平行光
束にし、像を垂直方向に4つに分割する像分割プリズム
及び4つの像を結ぶ光束に対応させた4種の組み合わせ
フィルター5を透過させ、第2カメラレンズ6で、2次
元CCDカメラ7に結像させた。なお、この蛍光選別法
は特開平02−269936号公報に詳しく記されてい
る。5×4=20個からなる2次元状に展開された蛍光
発光点群を、冷却型の2次元CCDカメラ7に一度に露
光させ計測した。この計測は、露光時間1.0秒、デー
タ取得間隔1.5秒で連続的に行なった。
【0018】5種のDNA試料の塩基配列決定はサンガ
ー法に従って行なった。試料は5種ともに標準試料のM
13mp18である。調製されたDNA試料成分には、
末端塩基種C、G、A、Tに対応して4種の蛍光体Cy
3(極大発光波長565nm)、TRITC(極大発光
波長580nm)、Texas Red(極大発光波長
615nm)、Cy5(極大発光波長665nm)を標
識した。ここで、蛍光体Cy3、Cy5は、バイオロジ
カル・ディテクション・システム社(米国)より販売さ
れている蛍光体、TRITC、Texas Redはモ
レキュラー・プローブ社より販売されている蛍光体であ
る。これら4種の蛍光体から発する蛍光が、波長選別さ
れて2次元CCDカメラ7に結像されるように、4種の
組み合わせフィルター5を用いた。末端塩基種に対応し
た4種の反応物を試料種毎に混合した後、エタノール沈
殿によって10倍に濃縮して試料溶媒をホルムアミドに
置換した。5本のキャピラリーゲルのそれぞれの試料注
入端を、5種のDNA試料液中に対応させて浸し、キャ
ピラリーゲルの両端に100V/cm(3kV)の一定
電界強度を2秒間印加して試料注入を行なった。この結
果、5本のキャピラリーゲルのそれぞれの泳動開始点
に、異なるDNA試料が添加される。
【0019】電気泳動は一定電界強度100V/cm
(3kV)で約3時間行なった。2次元CCDカメラ7
で得られた4種の蛍光に対応する4種の信号の時間変化
をコンピュータで解析し、塩基配列決定を行なうことが
できたが、レーザ2が出射する側の2本のキャピラリー
からの蛍光強度は、レーザの入射する側のキャピラリー
より一桁近く低かった。
【0020】(第2の実施形態)複数のキャピラリーに
対して、より効率の良い同時レーザ照射を実現するため
に、レーザ光の収束条件を検討し、最適条件下で計測を
行なった例を、以下に説明する。キャピラリーが円筒形
状であるため、各キャピラリーそのものがレンズ作用を
もち、照射されたレーザビームは1本目のキャピラリー
を透過する際に大きく屈折を受ける。屈折は全てのキャ
ピラリーで起こるので、各キャピラリーに到達し入射す
るレーザ光の強度は、ほぼ指数関数的に減少してしまう
ので、従って各キャピラリー中の試料成分から発する蛍
光の強度も、使用するキャピラリーの本数に応じて、ほ
ぼ指数関数的に減少してしまうことになる。
【0021】図4は、外半径R(23)、内半径r(2
4)をもつキャピラリー断面図であり、キャピラリーの
軸から、距離x(10)だけ離れた位置に入射した無限
小幅のレーザビーム2の1本のキャピラリーによる屈折
の様子を示している。図4では、複数のキャピラリーの
各軸が配列するキャピラリー配列軸19上の、キャピラ
リーの軸Oをもつ1本のキャピラリーの断面を示し、他
の複数のキャピラリーは省略している。
【0022】キャピラリー外部の媒質20の屈折率はn
1、キャピラリーの材料21の屈折率はn2、キャピラリ
ー内部の媒質22の屈折率はn3である。キャピラリー
に入射する前のレーザビームと、キャピラリーを透過後
のレーザビームとがなす角を屈折角Δθとすると、Δθ
は図4から、(数1)で与えられる。なお、θ1はキャ
ピラリー外部の媒質からキャピラリーへの入射角11、
θ2はキャピラリー外部の媒質からキャピラリーへの屈
折角12、θ3はキャピラリー材料からキャピラリー内
部の媒質への入射角13、θ4はキャピラリー材料から
キャピラリー内部の媒質への屈折角14、θ5はキャピ
ラリー内部の媒質からキャピラリー材料への入射角1
5、θ6はキャピラリー内部の媒質からキャピラリー材
料への屈折角16、θ7はキャピラリー材料からキャピ
ラリー外部の媒質への入射角17、θ8はキャピラリー
材料からキャピラリー外部の媒質への屈折角18であ
る。
【0023】
【数1】 Δθ=(θ1−θ2)+(θ3−θ4)−(θ5−θ6)−(θ7−θ8) =2(θ1−θ2+θ3−θ4) …(数1) ここでθ1=θ8、θ2=θ7、θ3=θ6、θ4=θ5の関係
を用いた。図4に示すレーザビーム2のたどる光路の幾
何学的関係、及び異なる媒質の界面におけるSnell
の法則を用いると、(数1)から(数5)が成立し、
(数6)を得る。
【0024】
【数2】 sinθ1=x/R …(数2)
【0025】
【数3】 sinθ1/sinθ2=n2/n1 …(数3)
【0026】
【数4】 sinθ2/sinθ3=r/R …(数4)
【0027】
【数5】 sinθ3/sinθ4=n3/n2 …(数5)
【0028】
【数6】 Δθ=2{sin-1(x/R)−sin-1(xn1/(Rn2)) +sin-1(xn1/(rn2))−sin-1(xn1/(rn3))} …(数6) (数6)で与えられるΔθの大きさが十分に小さけれ
ば、レーザ光強度の減衰をより少なくして、図1から図
3に示す構成により、複数のキャピラリーに対して、よ
り効率の良い同時レーザ照射を実現し、各キャピラリー
を泳動する試料成分を実質的に同時に励起することがで
きる。
【0029】通常、キャピラリーへのレーザ照射は、レ
ーザをキャピラリーの内径程度に絞って行なう。通常の
場合、レーザ強度は、レーザビームの中心軸を対称軸と
したガウス分布になっている。即ち、レーザビームの中
心軸がキャピラリーの中心軸に入射した場合、複数のキ
ャピラリーの中心軸が配列する配列軸から垂直な方向
に、キャピラリーの内半径のほぼ半分の距離の位置で、
レーザ強度はほぼ、上記ガウス分布の半価幅を与える強
度となる。そこで、簡単のためキャピラリーの配列軸1
9より内半径rの1/2の距離だけ離れた位置に入射し
たレーザビーム(即ち、x=r/2)のみに着目すると
(数6)は、
【0030】
【数7】 │Δθ│=(360/π)│sin-1{x/(2R)} −sin-1{rn1/(2Rn2)}+sin-1{n1/(2n2)} −sin-1{n1/(2n3)}│ …(数7) と表わせる。
【0031】複数のキャピラリーの中を泳動する試料を
同時に励起するために、レーザビームが空間的にどの程
度広がるかを考える。はじめにレーザビームが入射する
1本目のキャピラリーから、N本先のキャピラリーの位
置で、キャピラリーの中心軸が配列する配列軸の方向と
垂直な方向への、レーザビームの変位は、近似的に、│
NRΔθ│により、与えられる。N本目のキャピラリー
でのレーザ強度が、1本目のキャピラリーでのレーザ強
度の(1/10)以上であることが、N本目のキャピラ
リーの中を泳動する試料を同時に励起するための、同時
励起条件であるとすると、この条件は上記の変位が、r
/2の{√(10)−1}倍以下であればよいと言い換
えることができる。即ち、(数8)が成立し、
【0032】
【数8】 │NRΔθ│≦{√(10)−1}r/2 …(数8) (数8)が、N本のキャピラリーの上記同時励起条件と
なる。
【0033】ここで、同時に励起すべきキャピラリーの
本数を5本以上(N≧5)とする。キャピラリーの外形
と内径の比R/rは、通常R/r≧2であることを考え
ると、(数8)は│Δθ│≦6.2°となり、(数7)
から上記同時励起条件は(数9)と表わすことができ
る。
【0034】
【数9】 (360/π)│sin-1{r/(2R)}−sin-1{rn1/(2Rn2)} } +sin-1{n1/(2n2)}}−sin-1{n1/(2n3)}│≦6.2 ° …(数9) N本目のキャピラリーでのレザー強度が、1本目のキャ
ピラリーでのレザー強度の(1/2)以上であること
が、N本目のキャピラリーでの上記同時励起条件である
とすると、この条件は、(数8)と同様にして、(数1
0)となる。
【0035】
【数10】 │NRΔθ│≦{√(2)−1}r/2 …(数10) N≧5、及びR/r≧2を考慮して、│Δθ│≦1.2
°となり(数7)から、上記同時励起条件は(数11)
と表わすことができる。
【0036】
【数11】 (360/π)│sin-1{r/(2R)}−sin-1{rn1/(2Rn2)} } +sin-1{n1/(2n2)}}−sin-1{n1/(2n3)}│≦1.2 ° …(数11) 図5は、|Δθ|の変化を(数7)を用いて計算した結
果であり、キャピラリーの外半径R=0.1mm、内半
径r=0.05mm、キャピラリーの材料を石英(n2
=1.46)と仮定し、キャピラリーの外部の媒質を空
気(n1=1.00)、水(n1=1.33)、及び石英
(n1=1.46)と仮定した場合の、キャピラリーの
外部の媒質の屈折率(n3)の変化に対する|Δθ|の
変化を、キャピラリーの外部の各媒質に関して示してい
る。アクリルアミドゲルの屈折率は1.37程度である
と見積もられる。
【0037】(第1の実施形態)の場合、n1=1.0
0(空気)、n3=1.37(アクリルアミドゲル)で
あるから、(数7)から|Δθ|=6.48°と計算さ
る。図5の結果から、キャピラリー外部の媒質を水で満
たせば(n1=1.33)、|Δθ|=1.26°とな
り、キャピラリーに入射する前のレーザビームと、キャ
ピラリーを透過後のレーザビームとがなす屈折角Δθが
小さくなり、より多くのキャピラリーの中を泳動する試
料成分からの蛍光を同時計測できる。キャピラリー外部
の媒質をキャピラリーと同じ材料、即ち石英ガラス(n
1=1.46)で満たした場合を想定すると、|Δθ|
=4.40°となるので、キャピラリー外部の媒質を水
とするほうがより有利である。
【0038】(数7)による解析から、屈折率が空気と
水の間の値をもつ媒質、具体的にはn1=1.28なる
媒質でキャピラリー外部を満たすことができれば、最も
|Δθ|を小さくすることができるが、実際にはそのよ
うな媒質は通常存在し得ないので、上記の条件では、キ
ャピラリー外部を水で満たすのが最も良い。ここで更に
|Δθ|を小さくするためには、図5から、アクリルア
ミドゲルの屈折率をn3=1.37からn3=1.40に
上昇させてやれば良いことがわかる。(数7)でn3
1.40とすれば|Δθ|=0.10°となり、かなり
屈折が小さくなる。アクリルアミドゲルの屈折率を上昇
させる方法としては、例えばホルムアミド(屈折率1.
45)を適当濃度混入させてやれば良い。ホルムアミド
はウレア同様変成剤であり、10%程度の混入は電気泳
動の分解能を上昇させる効果があり、20%以上の混入
は泳動速度を低下させてしまう欠点がある(Elect
rophoresis、13、484−486(199
2))。もっともアクリルアミドゲルの屈折率を1.3
7から1.40に上昇させるには、10%程度のホルム
アミドの混入で十分である。
【0039】図6は、図5の結果を得る際に仮定した条
件のうち、キャピラリーの外半径をR=0.1mmから
R=0.25mmに変更した場合の、キャピラリーの外
部の媒質の屈折率(n3)の変化に対する|Δθ|の変
化を(数7)を用いて計算し、キャピラリーの外部の各
媒質に関して示している。図6と図5とを比較すると、
キャピラリーの内半径rはそのままにして外半径Rを
2.5倍に増大することで、n1=1.00、n1=1.
33の場合の曲線が、右側にシフトしているのがわか
る。その結果、アクリルアミドゲルの屈折率n3=1.
37に対して、キャピラリー外部を空気(n1=1.0
0)で満たしたとき、|Δθ|=0.87°と屈折が小
さくなり、より多数のキャピラリーの中を泳動する試料
成分からの蛍光を同時計測するに適当な条件であると判
断できる。
【0040】図7は、キャピラリーの材料が屈折率n2
=1.46で、キャピラリー内部の媒質が屈折率n3
1.37からなるアクリルアミドゲルであるとき、キャ
ピラリー外部の媒質を、空気(屈折率n1=1.0
0)、仮想媒質(屈折率n1=1.28)、水(屈折率
1=1.33)とした場合に、キャピラリーの外径2
Rと内径2rの比R/rに対する│Δθ│の変化を、
(数7)を使用して計算した結果を示す。キャピラリー
外部の媒質が空気(屈折率n1=1.00)であると
き、R/rが約6.6のとき、│Δθ│は最小となり、
R/rの低下とともに│Δθ│は増大する。図5、図6
に示す結果と同様に、R/r=5では│Δθ│=0.8
7°、R/r=2では│Δθ│=6.48°となり、R
/r=5の場合の方が、より多くのキャピラリーを同時
に照射するに適した条件である。
【0041】キャピラリー外部の媒質が水(屈折率n1
=1.33)であるとき、R/rが約1.4のとき、│
Δθ│は最小となり、R/rの増加とともに│Δθ│は
増大する。通常利用できるキャピラリーでは、2≦R/
r≦8であり、R/r=1.4を有するキャピラリーは
実際には使用できない。図5、図6に示す結果と同様
に、R/r=2では│Δθ│=1.26°、R/r=5
では│Δθ│=2.86°となり、R/r=2の場合の
方が、より多くのキャピラリーを同時に照射するに適し
た条件である。キャピラリー外部の媒質が仮想媒質(屈
折率n1=1.28)であるとき、R/r=2のとき、
│Δθ│は最小となるが、屈折率n1=1.28を有す
る媒質は、通常存在し得ないので、実際にはこのような
仮想媒質を使用ことはできない。
【0042】図8は、図5の結果を得る際に仮定した条
件のうち、キャピラリーの外半径をR=0.1mmから
R=0.15mmに、キャピラリーの材料の屈折率をn
2=1.46からn2=1.60に変更した場合の、キャ
ピラリーの外部の媒質の屈折率(n3)の変化に対する
|Δθ|の変化を(数7)を用いて計算し、キャピラリ
ーの外部の各媒質に関して示している。屈折率=1.6
0をもつ材料には、(株)オハラより発売されているP
HM53(ガラス品番)がある。図8の結果は図6の場
合と同様、アクリルアミドゲルの屈折率n3=1.37
に対して、キャピラリー外部を空気(n1=1.00)
で満たしたとき、|Δθ|=0.84°と屈折が小さく
なり、より多数のキャピラリーの中を泳動する試料成分
からの蛍光を同時計測するに適当な条件であると判断で
きる。
【0043】本実施形態では、5本のキャピラリーゲル
電気泳動によるDNA塩基配列決定を実施した。使用し
た装置は図2に示す装置の基本構成のうち、ガラス平面
板3の代わりに、蛍光計測用セル25を使用する(図
9)。キャピラリーゲルは、長さ50cm、外径0.2
mm(外半径、R=0.1mm)、内径0.1mm(内
半径、r=0.05mm)の溶融石英管(n2=1.4
6)に、変性剤として7Mのウレアを含んだ4%T(T
otal monomer concentratio
n)、5%C(Crosslinking mater
ial concentration)の濃度のアクリ
ルアミドを注入した後、ゲル化させて調製した(n3
1.37)。上記のR、r、n1、n2、n3の値を(数
7)に代入すると、|Δθ|=1.26°となる。本実
施形態ではキャピラリーゲルによる屈折が十分小さく、
5本以上のキャピラリー中を泳動する試料成分から発す
る蛍光の同時計測に適した条件となっている。試料注入
側のキャピラリー末端から30cmの位置で、長さ10
mmにわたり、各キャピラリーのポリイミド被覆を除去
してレーザ照射部とした。図9のように、このキャピラ
リーゲル5本を、0.2mmピッチに揃えて配列し、水
(n1=1.33)を満たした蛍光計測セル25内に固
定した。但し、図9はキャピラリーゲルの蛍光計測セル
25が配置される近傍のみを示した。
【0044】図10は、蛍光計測セル25の部分のキャ
ピラリー軸に垂直な断面図を示す。この断面図におい
て、少なくとも、レーザビームが入射、出射する側の面
(全面、又は入射、出射する部分のみでも良い)、及び
キャピラリー中を泳動する試料成分から発する蛍光を検
出する側の面(全面、又は各キャピラリー中から蛍光を
検出する複数の部分のみでも良い)は透明な材料から構
成される。蛍光計測セル25内には、各キャピラリーの
軸が平行に配置され、各キャピラリーの軸がほぼ同一面
となるように固定され、各キャピラリーの外部は水(n
1=1.33)で満たされている。(第1の実施形態)
で使用したと同様の2種のレーザを同軸にした後、ビー
ム径0.1mmに絞り、蛍光計測セル25の透明壁を介
して、各キャピラリーゲルの軸が配列する平面の側方よ
り入射させた。(第1の実施形態)では、蛍光の計測
は、キャピラリーゲルが配列する平面に対して垂直方向
からガラス平面板3を通して行なうのに対して、本実施
形態では、蛍光計測セル25の透明な材料から構成され
る部分から蛍光の計測を行なう。この点を除けば、蛍光
の計測のための構成、条件、蛍光の計測の方法は、(第
1の実施形態)と全く同一である。さらに、使用した5
種のDNA試料、標識蛍光体、泳動開始点への試料の添
加を含む電気泳動条件等も、(第1の実施形態)と全く
同一である。このようにして、電気泳動を約3時間行な
い、2次元CCDカメラで得られた4種の蛍光に対応す
る4種の信号の時間変化をコンピュータで解析し、5種
の試料のDNA塩基配列を決定した。
【0045】図11は、本実施形態で得られたDNAシ
ーケンス結果のうち、TexasRedで標識されたA
成分の電気泳動パターンを示す。図11は、泳動時間3
0分から60分の範囲の電気泳動パターンを示し、プラ
イマーから約130塩基長までのA成分のパターンを示
している(分析した試料は5種ともに標準試料のM13
mp18である)。図11の右欄に示す数字はキャピラ
リー番号を示し、番号1、2、3、4、5のキャピラリ
ー順にレーザビームが入射する。即ち、最上段のキャピ
ラリー1に、最初にレーザビームが入射し、次に次段の
キャピラリー2に、キャピラリー1を通過したレーザビ
ームが入射し、最後に、キャピラリー5に、キャピラリ
ー1から4を通過したレーザビームが入射する。図11
は、レーザビームが最初に入射するキャピラリー1から
遠ざかるキャピラリーの順に、電気泳動パターンを示し
ている。ピーク強度は、キャピラリー1から遠ざかるに
従い減少しているが、これはキャピラリーによるレーザ
の屈折が完全にゼロではないために生じている。キャピ
ラリー5のピーク強度は、キャピラリー1の1/3以下
になっているが、それでも十分に高いS/N(塩基長9
1に相当する位置で、S/N=734である)で泳動ピ
ーク検出が可能である。なお、キャピラリー1のピーク
におけるS/Nは、塩基長91に相当する位置で、S/
N=3300である。
【0046】他の蛍光体で標識された試料成分の電気泳
動パターンも同様に得られており、5本のキャピラリー
ゲルを使用する電気泳動により、断片を高感度に検出し
てDNA塩基配列決定を実現できた。なお、図11で
は、縦軸はそれぞれ、キャピラリー1の所定の塩基長の
ピークを1として規格化した相対蛍光強度を表してお
り、各キャピラリーから得る泳動パターンが、厳密に相
似形を示していない理由は、各キャピラリーの長さが厳
密に同一でないこと、各キャピラリーに充填されるゲル
の濃度が厳密に同一でないことによる(後で説明する図
13、図14においても同様である)。
【0047】(第3の実施形態)本実施形態は、(第2
の実施形態)において、キャピラリーの本数を10本に
増やし、キャピラリーゲルを変性剤として7Mのウレア
を含んだ4%T(Total monomer con
centration)、5%C(Crosslink
ing material concentratio
n)の濃度のアクリルアミドに10%のホルムアミドを
添加して重合させて調製した実施形態である。キャピラ
リーゲルの組成を(第2の実施形態)と異ならせた結
果、アクリルアミドゲルの屈折率はn3=1.40まで
上昇した。これら以外の実験条件は(第2の実施形態)
と全く同一とした。(数7)から、|Δθ|=0.10
°と計算され、以下に説明する(第4の実施形態)と同
様に、キャピラリーによる屈折がより小さくなり、泳動
する試料成分から発する蛍光を高感度に計測でき、10
種の試料を10本のキャピラリーゲルを使用する電気泳
動により、DNA塩基配列決定を実現できた。
【0048】(第4の実施形態)本実施形態は、空気中
にキャピラリーを配置した実施形態である。図12は、
空気9中に配置される、ゲル8が充填される10本のキ
ャピラリー1に、レーザビーム2を照射して蛍光を計測
する部分のキャピラリー軸に垂直な断面図を示す。使用
するキャピラリーは、外径を0.5mm(外半径、R=
0.25mm)、内径を0.1mm(内半径、r=0.
05mm)とする溶融石英管(n2=1.46)とし、
10本のキャピラリー1の配列は、図12のようにガラ
ス平面板3上に0.5mmピッチで、図3と同様にし
て、各キャピラリー軸を平行に配置し各キャピラリー軸
がほぼ同一面を成すように固定した。本実施形態では、
蛍光計測セルは使用せず、キャピラリー外部の媒質は空
気(n1=1.00)とした。これら以外の実験条件は
(第2の実施形態)と全く同一とした。(数7)から、
|Δθ|=0.87°と計算され、キャピラリーによる
屈折が十分小さくなるので、この実験条件は、各キャピ
ラリーに照射されるレーザ光強度を大きく減衰させるこ
となしに、10本以上のキャピラリー中を泳動する試料
成分から発する蛍光を、同時に励起できる条件である。
図12に示すように、蛍光の検出は、ガラス平面板3の
側、あるいはガラス平面板3の反対側から行なう。
【0049】図13、図14は本実施形態で得られたD
NAシーケンス結果のうち、Texas Redで標識
されたA成分の電気泳動パターンである。これは泳動時
間30分から60分の電気泳動パターンであり、プライ
マーから約120塩基長までのA成分のパターンを示し
ている(分析した試料は10種ともに標準試料のM13
mp18である)。図13、図14の右欄の数字は、図
11と同様にキャピラリー番号を示し、レーザビーム
は、各キャピラリーを、キャピラリー1、キャピラリー
2、…、キャピラリー10の順に照射する。縦軸の相対
蛍光強度の意味は図11と同じである。レーザビーム
は、最初にキャピラリー1に照射され、次いでキャピラ
リー1を通過したレーザビームがキャピラリー2に照射
され、…、キャピラリー1からキャピラリー9を通過し
たレーザビームがキャピラリー10に照射される。図1
3、図14は、レーザビームが最初に照射されるキャピ
ラリー1から遠ざかるキャピラリー2、3、…、10か
ら得られる電気泳動パターンを示しており、10本のキ
ャピラリーとも十分なS/N(塩基長91を与えるピー
クにおいてS/Nは、キャピラリー1で237、キャピ
ラリー4で237、キャピラリー7で110、キャピラ
リー10で142でありる(キャピラリー10でのS/
Nがキャピラリー7でのS/Nより大きいのは、測定の
ばらつきと考えられる))で蛍光を計測できた。他の蛍
光体で標識された試料成分の電気泳動パターンも図1
3、図14同様に得られており、10本のキャピラリー
ゲルを使用する電気泳動により、泳動する試料成分から
発する蛍光を高感度に計測でき、DNA塩基配列決定を
実現できた。
【0050】(第5の実施形態)本実施形態では(第4
の実施形態)において、使用するキャピラリーの外径を
0.3mm(外半径、R=0.15mm)、内径を0.
1mm(内半径、r=0.05mm)とし、キャピラリ
ーの材料の屈折率はn2=1.60である。具体的には
キャピラリーの材料として、(株)オハラより発売され
ているPHM53(n2=1.60)を用いた。これら
以外の実験条件は、(第4の実施形態)と全く同一とし
た。(数7)から、|Δθ|=0.84°と計算され、
(第4の実施形態)における|Δθ|=0.87°より
もキャピラリーによる屈折がより小さくなる。従って、
レーザビームにより10本のキャピラリー中を泳動する
試料成分を実質的に同時に励起でき、10種の試料を1
本のキャピラリーゲルを使用する電気泳動により、泳動
する試料成分から発する蛍光を高感度に計測でき、DN
A塩基配列決定を実現できた。
【0051】(第6の実施形態)本実施形態では、図1
5に示すように、使用するキャピラリーは2種のキャピ
ラリーから構成され、各キャピラリーは異なる径寸法を
有している。使用するキャピラリー10本はそれぞれ、
電気泳動分離部分では、外径0.2mm(外半径、R=
0.1mm)、内径0.1mm(内半径、r=0.05
mm)の寸法を有するキャピラリー(分離用キャピラリ
ー27)、レーザビーム2を照射して蛍光を計測する部
分では、外径0.5mm(外半径、R=0.25m
m)、内径0.1mm(内半径、r=0.05mm)の
寸法を有するキャピラリー(計測キャピラリー28)か
ら構成される。図15に示すように、分離用キャピラリ
ー27と計測用キャピラリー28とを接続させて、図
3、図12と同様にして、ガラス平面上に0.5mmピ
ッチで、計測キャピラリー28の軸を平行に保ち、各計
測キャピラリー28の軸が平面を成すように、ガラス平
面板上に配列固定した。この時、10組の対向する分離
用キャピラリーと計測用キャピラリーの中心軸がそれぞ
れ一致するようにした。両キャピラリーの材料はいずれ
も石英(n2=1.46)であり、接続面は、予め研磨
してフラットにした。
【0052】両キャピラリーには、変性剤として7Mの
ウレアを含んだ4%T(Totalmonomer c
oncentration)、5%C(Crossli
nking material concentrat
ion)の濃度のアクリルアミドを注入した後ゲル化さ
せた。キャピラリーの接続部分は電気的に断線しないよ
うに緩衝液に浸し、分離用キャピラリーを泳動し分離し
た試料成分が、そのまま対向する計測用キャピラリーを
泳動するようにした。
【0053】分離用キャピラリーは長さ25cm、計測
用キャピラリーは長さ15cmとした。但し、図15に
は両キャピラリーの接続部分付近のみを記した。分離用
キャピラリーと計測用キャピラリーの接続位置から5c
mの位置で、長さ10mmにわたり計測用キャピラリー
のポリイミド被覆を予め除去して、この位置に図15に
示したように、レーザビーム2を照射した。この時、泳
動距離は(25+5)cm=30cmとなる。これら以
外の実験条件は(第4の実施形態)と全く同一とした。
即ち、本実施形態での装置構成条件は、レーザのキャピ
ラリーによる屈折は十分に小さくして、各キャピラリー
に照射されるレーザ光強度を大きく減衰させることなし
に、10本のキャピラリーを泳動する試料成分を実質的
に同時に励起できる条件であり、10種の試料を10本
のキャピラリーゲルを使用する電気泳動により、泳動す
る試料成分から発する蛍光を高感度に計測でき、DNA
塩基配列決定を実現できた。なお、図15に図示してい
ないが、蛍光の検出は、ガラス平面板の側、もしくはガ
ラス平面板の反対側より行なう。
【0054】一般にキャピラリーの価格は、外径が大き
く内径が小さいほど、即ち、肉厚になるほどガラスの体
積にほぼ比例して高価になる。即ち、本実施形態で用い
た分離用キャピラリーと計測用キャピラリーの単位長さ
当たりの価格は、後者のほうが8倍も高い。本実施形態
では、分離用キャピラリーと計測用キャピラリーの脱着
が可能なので、1つの試料に関する計測終了後に分離用
キャピラリーのみを交換して、次の試料に関する計測を
でき、コストを低減できる。このことは本実施形態のも
う一つの効果である。
【0055】本実施形態で使用した、図15に示す各キ
ャピラリーが異なる径寸法をもつ2種のキャピラリーか
ら構成されるキャピラリーを、図10で説明した(第2
の実施形態)に適用しても、本実施形態とほぼ同様の結
果が得られることは言うまでもない。
【0056】(第7の実施形態)以上(第1の実施形
態)から(第6の実施形態)では、平面状に配列された
キャピラリーゲルの成す平面に平行に、1方向から各キ
ャピラリー軸を通るようにレーザビームを照射する構成
について説明したが、(第1の実施形態)から(第6の
実施形態)において、図16に示すように、2方向から
各キャピラリー軸を通るようにレーザビームを照射する
構成としても良い。図16(a)の構成は、レーザビー
ム2(単一波長のレーザ光、又は複数のレーザ光源から
の複数波長のレーザ光を混合して同軸にしたレーザ光で
も良い)を、半透明鏡29、及び30−1、30−2、
30−3により、分岐させて2方向から各キャピラリー
軸を通るようにレーザビームを照射する構成である。図
16(b)の構成は、2つのレーザビーム2−1、2−
2を、対向する2方向から複数のキャピラリーに照射す
るする構成であり、レーザビーム2−1、2−2はそれ
ぞれ単一波長のレーザ光、又は複数のレーザ光源からの
複数波長のレーザ光を混合して同軸にしたレーザ光でも
良い。図16(a)、(b)の構成では、(第1の実施
形態)から(第6の実施形態)において、各キャピラリ
ーに照射されるレーザ光の強度の不均一を、改善してよ
り一様な強度のレーザ光を各キャピラリーに照射するこ
とができる。この結果、より多数の本数を使用するキャ
ピラリーアレイ電気泳動が可能となる。なお、図16
(a)の構成では、分岐させて2方向から各キャピラリ
ー軸を通るようにレーザビームを照射するため、レーザ
光照射強度が減少するので、高出力のレーザ光源の使用
が望ましい。更に、(第1の実施形態)から(第6の実
施形態)に、図16(b)の構成を適用する際に、レー
ザビーム2−1が含む単数、又複数のレーザ光の波長
と、レーザビーム2−2が含む単数、又複数のレーザ光
の波長とが、同一となるように構成されても、異なるよ
うに構成されてもいずれでも構わない。
【0057】(第8の実施形態)以上(第1の実施形
態)から(第7の実施形態)では、全てアクリルアミド
ゲルを用いたが、もちろんこれ以外の分離用媒体を用い
ても良い。分離媒体として交換可能なものを用いて、キ
ャピラリーそのものは再利用しても良い。但し、それぞ
れ分離媒体の屈折率に応じて、例えば、(数7)に基づ
いて各媒質の屈折率、キャピラリーの径寸法の最適化を
行なうことが、複数のキャピラリー中を泳動する試料成
分から発する蛍光を高感度に効率的に同時計測する場合
に重要である。また(数7)から、|Δθ|はキャピラ
リーの外径2R、内径2rそれぞれ単独で決まるのでは
なく、|Δθ|は外径と内径の比R/rで決定される。
従って、以上に示した各実施形態について、異なる外径
2R、内径2rのキャピラリーを用いた場合でも、外径
と内径の比(R/r)が等しければ、ほぼ同様の効果を
得ることができる。
【0058】(第9の実施形態)以上(第1の実施形
態)から(第8の実施形態)では、複数のキャピラリー
ゲルを使用したが、単一のキャピラリーゲルを使用して
も良いことは言うまでもない。単一のキャピラリーゲル
を使用する場合にも、(数7)により与えれるキャピラ
リーゲルによる、レーザビームの屈折|Δθ|を最小化
して、試料成分が泳動するゲルにレーザビームを照射し
て、効率良く試料成分からの蛍光を検出することができ
る。
【0059】最後に簡単に本発明を要約すると、キャピ
ラリーアレイ電気泳動装置において、キャピラリーアレ
イ又はレーザ光のスキャンを行なうことなく、複数のキ
ャピラリーにレーザ光を実質的に同時に照射して、各キ
ャピラリー中を泳動する試料成分から発する蛍光を実質
的に同時に検出し、オンカラム蛍光計測を行なう。即
ち、複数のキャピラリーを一平面上に配列させ、配列平
面の1つ又は2つの側方よりレーザを、配列平面に平行
に照射する。キャピラリーの外半径、内半径、キャピラ
リー外部の媒質の屈折率、キャピラリーの材料の屈折
率、キャピラリー内部の媒質の屈折率の間に所定の関係
を満足させて、レーザのキャピラリーによる屈折を十分
に小さくし、全てのキャピラリーに十分な強度のレーザ
光を照射することにより、高感度、高速、高スループッ
トが簡便に実現する。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、キャピラリーアレイ電
気泳動装置において、キャピラリーアレイ又はレーザ光
のスキャンを行なうことなく、複数のキャピラリーにレ
ーザ光を実質的に同時に照射して、各キャピラリー中を
泳動する試料成分から発する蛍光を実質的に同時に検出
し、高感度、高速、高スループットな分析を簡便に達成
できるオンカラム蛍光計測を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であり、同一平面上に配列
される複数のキャピラリーにこの平面と平行で、試料成
分の泳動方向とほぼ直交する方向からレーザを照射する
キャピラリーアレイ電気泳動装置の主要部分を示す、
(a)複数のキャピラリーアレイの平面図、(b)その
断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態であり、5本のキャピ
ラリーゲルを使用する電気泳動によるDNA塩基配列決
定のための装置の基本構成を示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態であり、キャピラリー
ゲルを取り巻く媒質を空気とする蛍光計測部分のキャピ
ラリー軸に垂直な断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態であり、外半径R、内
半径rをもつキャピラリー断面図であり、キャピラリー
の軸から、距離xだけ離れた位置に入射した無限小幅の
レーザビームの1本のキャピラリーによる屈折の様子を
示す図。
【図5】本発明の第2の実施形態であり、キャピラリー
の外半径、内半径、キャピラリー材料の屈折率、ゲルの
屈折率、及びキャピラリーの外部の媒質の屈折率と、キ
ャピラリーゲルによるレーザ光の屈折の大きさ|Δθ|
との関係−1を示す図。
【図6】図5の結果を得る際に仮定した条件のうち、キ
ャピラリーの外半径を変更した場合の、キャピラリーの
外部の媒質の屈折率の変化に対する|Δθ|の変化を、
キャピラリーの外部の各媒質に関して示す図。
【図7】キャピラリーの外半径と内半径の比、及びキャ
ピラリーの外部の媒質の屈折率を変更した場合の|Δθ
|の変化を示す図。
【図8】図5の結果を得る際に仮定した条件のうち、キ
ャピラリーの外半径、及びキャピラリーの材料の屈折率
を変更した場合の、キャピラリーの外部の媒質の屈折率
の変化に対する|Δθ|の変化を、キャピラリーの外部
の各媒質に関して示す図。
【図9】本発明の第2の実施形態であり、図2に示す装
置の基本構成のうち、ガラス平面板の代わりに、蛍光計
測用セルを使用するキャピラリーゲル電気泳動装置の構
成を示す図。
【図10】図9の蛍光計測セルの部分のキャピラリー軸
に垂直な断面図。
【図11】本発明の第2の実施形態で得られたDNAシ
ーケンス結果のうち、TexasRedで標識されたA
成分の電気泳動パターンを示す図。
【図12】本発明の第4の実施形態であり、空気中に配
置される、ゲルが充填される10本のキャピラリーに、
レーザビームを照射して蛍光を計測する部分のキャピラ
リー軸に垂直な断面図。
【図13】本発明の第4の実施形態において、得られた
DNAシーケンス結果のうち、Texas Redで標
識されたA成分の電気泳動パターンを示す図。
【図14】本発明の第4の実施形態において、得られた
DNAシーケンス結果のうち、Texas Redで標
識されたA成分の電気泳動パターンを示す図。
【図15】本発明の第6の実施形態であり、各キャピラ
リーが異なる径寸法をもつ2本のキャピラリーから構成
されるキャピラリーを使用するキャピラリー電気泳動装
置のレーザ照射部位を示す図。
【図16】本発明の第7の実施形態であり、2方向から
各キャピラリー軸を通るようにレーザビームを照射する
構成を示し、(a)はレーザビームを半透明鏡によりレ
ーザビームを分岐させて2方向から各キャピラリー軸を
通るように照射する構成、(b)は2つのレーザビーム
を、対向する2方向から複数のキャピラリーに照射する
構成を示す図。
【符号の説明】 1…キャピラリー、2、2−1、2−2…レーザ光、3
…ガラス平面板、4…第1レンズ、5…像分割プリズム
及び組み合わせフィルター、6…第2レンズ、7…2次
元CCDカメラ、8…アクリルアミドゲル、9…空気、
10…入射レーザのキャピラリー軸からのずれの距離
(x)、11…キャピラリー外部の媒質からキャピラリ
ーへの入射角(θ1)、12…キャピラリー外部の媒質
からキャピラリーへの屈折角(θ2)、13…キャピラ
リー材料からキャピラリー内部の媒質への入射角
(θ3)、14…キャピラリー材料からキャピラリー内
部の媒質への屈折角(θ4)、15…キャピラリー内部
の媒質からキャピラリー材料への入射角(θ5)、16
…キャピラリー内部の媒質からキャピラリー材料への屈
折角(θ6)、17…キャピラリー材料からキャピラリ
ー外部の媒質への入射角(θ7)、18…キャピラリー
材料からキャピラリー外部の媒質への屈折角(θ8)、
19…各キャピラリーの軸が配列するキャピラリー配列
軸、20…キャピラリー外部の媒質の屈折率(n1)、
21…キャピラリー材料の屈折率(n2)、22…キャ
ピラリー内部の媒質の屈折率(n3)、23…キャピラ
リーの外半径、24…キャピラリーの内半径、25…蛍
光計測用セル、26…水、27…分離用キャピラリー、
28…計測用キャピラリー、29−1、29−2、29
−3、29−4…半透明鏡。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神原 秀記 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 2G043 BA16 CA03 EA01 EA19 FA06 GA07 GB01 GB02 GB16 HA01 HA08 JA02 KA02 KA05 KA09 LA03 NA01 4B029 AA07 AA23 BB15 BB20 CC01 FA12 FA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一部が平面状に配列される複数
    のキャピラリーと、平面状に配列される前記複数のキャ
    ピラリーの各軸のなす平面に平行な方向から前記各キャ
    ピラリーの透明部分にレーザを照射する手段と、前記各
    キャピラリーを泳動する試料の成分から発する蛍光を検
    出する手段とを有し、前記レーザが通過する前記各キャ
    ピラリーの外半径をR、内半径をr、屈折率をn
    し、前記レーザが通過する前記各キャピラリーの外部の
    媒質の屈折率をnとし、前記レーザが通過する前記各
    キャピラリーの内部の媒質の屈折率をnとするとき、 (360/π)|sin−1{r/(2R)}−sin
    −1{rn/(2Rn )}+sin−1{n
    (2n)}−sin−1{n/(2n)}|≦
    6.2° なる関係を満たすことを特徴とするキャピラリーアレイ
    電気泳動装置。
  2. 【請求項2】少なくとも一部が平面状に配列される複数
    のキャピラリーと、平面状に配列される前記複数のキャ
    ピラリーの各軸のなす平面に平行な方向から前記各キャ
    ピラリーの透明部分にレーザを照射する手段と、前記各
    キャピラリーを泳動する試料の成分から発する蛍光を検
    出する手段とを有し、前記レーザが通過する前記各キャ
    ピラリーの外半径をR、内半径をr、屈折率をn
    し、前記レーザが通過する前記各キャピラリーの外部の
    媒質の屈折率をnとし、前記レーザが通過する前記各
    キャピラリーの内部の媒質の屈折率をnとするとき、 (360/π)|sin−1{r/(2R)}−sin
    −1{rn/(2Rn )}+sin−1{n
    (2n)}−sin−1{n/(2n)}|≦
    1.2° なる関係を満たすことを特徴とするキャピラリーアレイ
    電気泳動装置。
  3. 【請求項3】前記レーザが通過する前記キャピラリーの
    外部の媒質が、空気であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載のキャピラリーアレイ電気泳動装置。
  4. 【請求項4】前記レーザが通過する前記キャピラリーの
    外部の媒質は、その屈折率が1.00から1.33の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のキャピラリ
    ーアレイ電気泳動装置。
  5. 【請求項5】前記レーザが通過する前記キャピラリーの
    外部の媒質は、その屈折率が1.28であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のキャピラリーアレイ電気泳
    動装置。
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