JP2003262582A - 液体物性測定装置および測定方法 - Google Patents

液体物性測定装置および測定方法

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JP2003262582A
JP2003262582A JP2002065293A JP2002065293A JP2003262582A JP 2003262582 A JP2003262582 A JP 2003262582A JP 2002065293 A JP2002065293 A JP 2002065293A JP 2002065293 A JP2002065293 A JP 2002065293A JP 2003262582 A JP2003262582 A JP 2003262582A
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gap
reaction force
measuring
liquid
physical property
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Application number
JP2002065293A
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Inventor
Mari Sakai
真理 酒井
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Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 液体の粘弾性係数を精度良く測定する。 【解決手段】 互いに向かい合わせた一対の測定板の間
隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを周期的に変更
したときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析
することによって、該試料液体の粘弾性係数を測定す
る。ここで、測定板は間隙の大きさを測定してサーボシ
ステムによって制御される。更に測定板は、間隙の測定
分解能の100倍以上の振幅で、50Hz以上の周波数
で駆動される。こうしたサーボシステムにおいては、間
隙センサの出力値が間隙の大きさに対して非線形性とな
ってしまうので、これを補正した出力を用いて測定板を
駆動する。こうすれば、測定板の駆動精度が大幅に向上
するので、試料液体の粘弾性係数を精度良く測定するこ
とが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液体の物性値を
測定する技術に関し、詳しくは、液体の粘性係数および
弾性係数を精度良く測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】向かい合わせた平板間に試料液体を充填
した状態で該平板間隔を変動させながら、該試料液体の
粘性係数を測定する粘性係数測定装置が提案されている
(特開2001−83064号)。ここでは、この様な
粘性係数測定装置を「平板型粘性係数測定装置」と呼ぶ
ものとする。かかる平板型粘性係数測定装置では、平板
間隔を変動させることで平板間に充填した試料液体に剪
断変形を生じさせ、このときに平板が受ける反力に基づ
いて試料液体の粘性係数を計測する。「粘性」とは簡単
に言えば、流体が剪断変形を受けたときに、変形速度に
比例した力で変形に抗しようとする流体の性質である。
こうした測定装置では、平板間の間隔を小さく設定して
おくことで試料液体に高剪断速度の変形を高い精度で加
えることができるので、高剪断速度領域での粘性係数を
精度良く計測することができる。
【0003】試料液体が粘性に加えて弾性を有している
場合は、平板間隔を変動させたときに平板が受ける反力
には、試料液体の剪断変形速度に比例した反力成分に加
えて、剪断変形量に比例した反力成分も現れる。「弾
性」とは簡単に言えば、物体が剪断変形を受けたときに
変形量に比例して変形に抗しようとする性質である。粘
性に加えて弾性をも示す流体は粘弾性流体と呼ばれる。
このことから、平板が受ける反力から、剪断変形速度に
比例した反力成分(流体の粘性に基づく反力成分)と、
剪断変形量に比例した反力成分(流体の弾性に基づく反
力成分)とを分離すれば、前述した平板型粘性測定装置
を用いて、粘弾性流体の粘性係数および弾性係数を測定
することができる。実際に、平板間隔を周期的に変動さ
せれば、粘性に基づく反力成分と弾性に基づく反力成分
とは位相が90度ずれて発生するので、位相差に基づい
てこれら成分を分離することが可能であり、これらの反
力成分から、試料液体の粘性係数および弾性係数をそれ
ぞれ求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし実際には、平板
型粘性係数測定装置を使用しても、試料液体の弾性係数
を精度良く測定することは困難であった。これは、変動
する荷重成分の計測値に誤差が含まれていると、誤差を
異なる位相の荷重成分が含まれていると誤って判断して
しまうので、試料液体の粘性に基づく反力成分と弾性に
基づく反力成分とを精度良く分離することが困難なため
である。このことから、平板型粘性係数測定装置を用い
て液体の粘性係数および弾性係数を精度良く計測するた
めに、平板の変位に対する位相も含めて平板が受ける反
力を、より一層精度良く計測することが望まれている。
【0005】この発明は、従来技術における上述した課
題を解決するためになされたものであり、平板型粘性係
数測定装置において、平板が受ける反力を平板の変位に
対する位相も含めて精度良く計測することで、粘弾性流
体の粘性係数および弾性係数を精度よく評価可能な技術
の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第
1の液体物性測定装置は、次の構成を採用した。すなわ
ち、互いに向かい合わせた一対の測定板の間隙に試料液
体を充填して該間隙の大きさを変動させたときに、該試
料液体が該測定板に与える反力を解析することによっ
て、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体物性測定装
置であって、前記測定板の少なくとも一方を駆動して前
記間隙の大きさを変動させる測定板駆動手段と、前記間
隙の大きさを測定する間隙測定手段と、前記間隙の目標
値を時間の経過とともに更新する間隙目標値更新手段
と、前記間隙の測定値が前記目標値と一致するように、
前記測定板の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、前
記測定板駆動手段は、前記間隙測定手段が測定可能な分
解能の500倍以上の振幅で且つ50Hz以上の周波数
で、前記測定板の少なくとも一方を振動可能な手段であ
り、前記間隙測定手段は、前記間隙の大きさに関する物
理量を検出する間隙センサと、前記間隙センサの出力値
の、前記間隙の大きさに対する非線形性を補正して、前
記間隙の測定値として出力する測定値出力手段とを備え
ていることを要旨とする。
【0007】かかる本発明の第1の液体物性測定装置に
おいては、試料液体を充填した間隙の大きさを測定しな
がら、測定値が目標値と一致するように、測定板の少な
くとも一方を駆動する。測定板は、間隙を測定する分解
能の500倍以上の振幅で且つ50Hz以上の高い周波
数で振動させる場合がある。より好ましくは、分解能の
1000倍以上の振幅で、あるいは75Hz以上の周波
数で、更に好ましくは100Hz以上の高い周波数で振
動可能なことが望ましい。このような測定板の間隙の大
きさを測定可能な間隙センサは、間隙あるいは変位に対
して非線形性を有するセンサとなってしまう。しかし本
発明の第1の液体物性測定装置では、センサ出力の非線
形性を補正しているので、センサの非線形性に起因した
誤差が混入することを回避することができる。このた
め、試料液体の粘性係数および弾性係数を精度良く測定
することが可能となる。
【0008】あるいは、前記測定板が受ける反力を解析
する際に、センサ出力の非線形性を補正して解析するこ
とも可能である。この場合は、測定板の実際の間隙は、
間隙の目標値とは異なった値となる。しかし、反力の解
析時に、実際の間隙の値と目標値との乖離を考慮しなが
ら解析することで、センサの非線形性に起因した誤差が
混入することを回避することが可能であり、延いては、
試料液体の粘性係数および弾性係数を精度良く測定する
ことが可能となる。
【0009】これらの第1の液体物性測定装置において
は、前記間隙センサの非線形性を、該間隙センサの出力
値の多項式を用いて補正することとしてもよい。更に、
多項式の各次数の係数は、前記間隙に所定のバネを挿入
して、前記測定板の少なくとも一方を所定の方法で駆動
したときに、該バネが該測定板に与える反力を周波数解
析することによって設定することとしてもよい。
【0010】こうすれば、間隙センサの非線形性を、簡
便に且つ正確に補正することができる。特に、該間隙セ
ンサの非線形性は経時的に変化する場合が多い。このこ
とから、多項式の各次数の係数を、こうして簡便な方法
によって設定することができれば、必要に応じて何時で
も係数を更新することが可能となり、延いては試料液体
の粘弾性係数を精度良く測定することが可能となるので
好ましい。
【0011】また、本発明の第2の液体物性測定装置
は、前述した課題の少なくとも一部を解決するために、
次の構成を採用した。すなわち、互いに向かい合わせた
一対の測定板の間隙に試料液体を充填して該間隙の大き
さを変動させたときに、該試料液体が該測定板に与える
反力を解析することによって、該試料液体の粘弾性係数
を測定する液体物性測定装置であって、前記測定板の少
なくとも一方を駆動して前記間隙の大きさを変動させる
測定板駆動手段と、前記間隙の大きさに関する物理量を
検出する間隙センサと、前記間隙の目標値を時間の経過
とともに更新する間隙目標値更新手段と、前記間隙の測
定値が前記目標値と一致するように、前記測定板の駆動
を制御する駆動制御手段とを備え、前記測定板駆動手段
は、前記間隙測定手段が測定可能な分解能の500倍以
上の振幅で且つ50Hz以上の周波数で、前記測定板の
少なくとも一方を振動可能な手段であり、前記間隙目標
値更新手段は、前記間隙センサの出力値の前記間隙の大
きさに対する非線形性を考慮して、該非線形性を補正し
た目標値を出力する手段であることを要旨とする。
【0012】かかる第2の液体物性測定装置において
も、試料液体を充填した間隙の大きさを測定しながら、
測定値が目標値と一致するように、測定板の少なくとも
一方を駆動する。測定板は、前述の第1の液体物性測定
装置と同様に、間隙を測定する分解能の500倍以上の
振幅で且つ50Hz以上の高い周波数で振動させる場合
がある。より好ましくは、分解能の1000倍以上の振
幅で、あるいは75Hz以上の周波数で、更に好ましく
は100Hz以上の高い周波数で振動可能なことが望ま
しい。本発明の第2の液体物性測定装置では、こうした
測定板の間隙に関する値を測定する間隙センサの、非線
形性に起因した誤差が発生することを回避するために、
間隙の大きさの目標値を該センサの非線形性を考慮して
補正しておき、補正済みの目標値を出力する。間隙セン
サによる測定値が、このような目標値と一致するように
制御すれば、センサの非線形性に起因する誤差の混入を
回避して、試料液体の粘性係数および弾性係数を精度良
く測定することが可能となる。
【0013】こうした第2の液体物性測定装置において
は、前記間隙センサの非線形性を、該間隙センサの出力
値の多項式による表現形式で記憶しておくこととしても
よい。更に、多項式の各次数の係数は、前記間隙に所定
のバネを挿入して、前記測定板の少なくとも一方を所定
の方法で駆動したときに、該バネが該測定板に与える反
力を周波数解析することによって設定することとしても
よい。
【0014】こうすれば、第1の液体物性測定装置と同
様に、間隙センサの非線形性を、簡便に且つ正確に補正
することができる。また、多項式の各次数の係数を、こ
うして簡便な方法によって設定することができれば、必
要に応じて何時でも係数を更新することが可能となり、
延いては試料液体の粘弾性係数を精度良く測定すること
が可能となる。
【0015】本発明の第3の液体物性測定装置は、前述
した課題の少なくとも一部を解決するために、次の構成
を採用した。すなわち、互いに向かい合わせた一対の測
定板の間隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動
させたときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解
析することによって、該試料液体の粘弾性係数を測定す
る液体物性測定装置であって、前記測定板の少なくとも
一方を駆動して、前記間隙の大きさを変動させる測定板
駆動手段と、前記間隙の大きさをhとし、hの時間微分
値をuとしたときに、u/h3 によって定義される一時
変数を算出する一時変数算出手段と、前記算出した一時
変数の変化に対する前記反力の応答を解析することによ
り、前記試料液体の粘弾性係数を算出する粘弾性係数算
出手段とを備えることを要旨とする。
【0016】また、かかる第3の液体物性測定装置に対
応した本発明の液体物性の測定方法は、互いに向かい合
わせた一対の測定板の間隙に試料液体を充填して該間隙
の大きさを変動させたときに、該試料液体が該測定板に
与える反力を解析することによって、該試料液体の粘弾
性係数を測定する液体物性測定方法であって、前記測定
板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大きさを変動
させる工程と、前記測定板の間隙をhとし、hの時間微
分値をuとしたときに、u/h3 によって定義された一
時変数を算出する工程と、前記算出した一時変数の変化
に対する前記反力の応答を解析することにより、前記試
料液体の粘弾性係数を算出する工程とを備えることを要
旨とする。
【0017】かかる第3の液体物性測定装置および液体
物性の測定方法においては、測定板の間隙に試料液体を
充填し、該測定板の間隙の大きさを変動させ、このとき
に試料液体が測定板に与える反力を解析して試料液体の
粘弾性係数を算出する。粘弾性係数の算出に際しては、
u/h3 によって定義される一時変数を算出し、この一
時変数の変化に対する前記反力の応答を解析して粘弾性
係数を算出する。詳細には後述するが、こうすれば、u
/h3 を近似したことによる誤差の混入を回避すること
ができるので、試料液体の粘性係数および弾性係数を精
度良く測定することが可能となる。
【0018】こうした第3の液体物性測定装置において
は、測定板の間に形成された間隙の大きさに関する物理
量を測定する間隙センサを備え、かかる間隙センサによ
り検出した測定値を用いて前記一時変数を算出すること
としてもよい。
【0019】こうして、間隙の大きさhを測定しておけ
ば、測定値を微分することによってuを算出することが
できるので、一時変数を簡便に求めることができる。ま
た、間隙の大きさhは、測定板を駆動するための目標値
から求めることもできるが、間隙の大きさhを測定すれ
ば、精度良く一時変数を算出することができるという利
点もある。
【0020】上述した本発明の第1、第2、第3の液体
物性測定装置においては、間隙センサとして、対象に照
射された光の反射光を検出することにより、非接触で該
対象との距離を測定するセンサを用いることができる。
【0021】こうしたセンサは、測定板の間隔が高い周
波数で、且つセンサの分解能に対して大きな振幅で振動
している場合でも、間隙の大きさを精度良く検出するこ
とができるので、本発明の液体物性測定装置の間隙セン
サとして好適に適用することができる。
【0022】本発明の第4の液体物性測定装置は、前述
した課題の少なくとも一部を解決するために、次の構成
を採用した。すなわち、互いに向かい合わせた一対の測
定板の間隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動
させたときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解
析することによって、該試料液体の粘弾性係数を測定す
る液体物性測定装置であって、前記測定板の少なくとも
一方を駆動して前記間隙の大きさを変動させる測定板駆
動手段と、前記間隙の大きさを変更することに伴って前
記測定板が受ける反力を測定する反力測定手段と、前記
間隙の大きさに対する前記反力の応答を解析して、前記
試料液体の粘弾性係数を算出する粘弾性係数算出手段
と、前記反力による変形の影響を考慮して、前記算出し
た粘弾性係数の値を補正する係数補正手段とを備えるこ
とを要旨とする。
【0023】また、かかる第4の液体物性測定装置に対
応した本発明の液体物性の測定方法は、互いに向かい合
わせた一対の測定板の間隙に試料液体を充填して該間隙
の大きさを変動させたときに、該試料液体が該測定板に
与える反力を解析することによって、該試料液体の粘弾
性係数を測定する液体物性測定方法であって、前記測定
板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大きさを変動
させる工程と、前記間隙の大きさを変動させることに伴
って前記測定板が受ける反力を測定する工程と、前記間
隙の大きさに対する前記反力の応答を解析して、前記試
料液体の粘弾性係数を算出する工程と、前記反力による
変形の影響を考慮して、前記算出した粘弾性係数の値を
補正する工程とを備えることを要旨とする。
【0024】かかる第4の液体物性測定装置あるいは液
体物性の測定方法においては、測定板の間隙に試料液体
を充填し、該測定板の間隙の大きさを変動させ、このと
きに試料液体が測定板に与える反力を解析して試料液体
の粘弾性係数を算出する。ここで、試料液体が測定板に
及ぼす反力によって、測定板を支える部材を含めて測定
板が変形するので、間隙の大きさが変わってしまう。そ
こで、第4の液体物性測定装置では、この様な変形の影
響を考慮して間隙の大きさを補正し、補正した間隙の大
きさに対する反力の応答を解析する。こうして、試料液
体の粘弾性係数を求めれば、これらの測定精度を大きく
改善することが可能となる。
【0025】こうした第4の液体物性測定装置において
は、前記間隙の大きさを正弦波状に変更することとして
もよい。こうすれば、応答を解析して粘弾性係数を算出
する処理を、大幅に簡略化することが可能となるので好
ましい。
【0026】前述した第1ないし第4のそれぞれの液体
物性測定装置においては、前記間隙の目標値を更新する
に際して、複数の周波数成分を含んで変動するような数
値によって該目標値を更新するとともに、試料液体が前
記測定板に与える反力を、フーリエ変換法を用いて解析
することとしてもよい。
【0027】複数の周波数成分を含んで変動するような
数値によって、間隙の目標値を更新してやれば、複数の
周波数成分が含まれるように測定板の間隙を変動させる
ことができる。間隙にこの様な変動を与えて、試料液体
が測定板に与える反力をフーリエ変換法を用いて解析す
れば、各周波数成分に対応した粘弾性係数を同時に測定
することができる。
【0028】特に、複数の周波数成分での粘弾性係数を
同時に測定するこうした方法では、センサ出力の非線形
性に起因して発生する高調波成分が、粘弾性係数の測定
精度を悪化させる。これに対して、本発明の第1の液体
物性測定装置および第2の液体物性測定装置では、セン
サの非線形性を補正することができる。同様に、第3あ
るいは第4の液体物性測定装置では、近似による影響あ
るいは反力による変形の影響を補正した測定を行うこと
ができる。このため、これら第1ないし第4の液体物性
測定装置においては、フーリエ変換法を適用して粘弾性
係数を測定すれば、複数の周波数成分に対応した粘弾性
係数を同時に計測した場合でも、計測精度を悪化させる
ことなく粘弾性係数を測定することが可能となって好ま
しい。
【0029】上述した本発明の第1、第2、第3、第4
の液体物性測定装置においては、試料液体の粘性係数お
よび弾性係数を次のようにして算出することとしても良
い。すなわち、前記測定板が受ける反力から、前記間隙
の大きさの変動とは逆位相の反力成分と、位相が90度
異なる反力成分とを抽出する。こうして抽出された逆位
相の反力成分に基づいて前記試料液体の弾性係数を算出
し、位相が90度異なる反力成分に基づいて該試料液体
の粘性係数を算出する。
【0030】試料液体の粘性に起因した反力は、前記間
隔の大きさの変動と位相が90度異なっており、また試
料液体の弾性に起因した反力は、間隙の大きさの変動と
は逆位相となっている。従って、試料液体が測定板に与
える反力から、位相が90度異なる成分と逆位相の成分
とを抽出すれば、それぞれ試料液体の粘性係数および弾
性係数を算出することが可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、次に示す順序に従って、本
発明の実施の形態を実施例に基づいて詳細に説明する。 A.液体物性測定装置の概要: A−1.装置構成: A−2.粘弾性係数の測定原理: B.第1実施例: B−1.粘弾性係数測定の概要: B−2.感度係数の設定方法: B−3.変形例: C.第2実施例: D.第3実施例:
【0032】A.液体物性測定装置の概要: A−1.装置構成:本発明の実施の形態を、実施例に基
づいて説明する。図1は、本発明の液体物性測定装置1
0の全体構成を示す説明図である。図示するように、液
体物性測定装置10は、試料液体に所定の変形を加える
とともに、所定項目についてのデータを出力する試料液
体変形部100と、得られたデータを解析して液体物性
を算出するコンピュータ50とから構成されている。
【0033】試料液体変形部100は大まかには、上部
円板122と、上部円板122を駆動するサーボ機構1
10と、下部円板124と、下部円板124に加わる外
力を検出するロードセル128などから構成されてい
る。サーボ機構110と上部円板122とはロッド12
0で接続されており、下部円板124とロードセル12
8とはロッド126で接続されている。上部円板122
と下部円板124とは、所定の間隔(以下、ギャップと
いう)で平行に設定されている。また、上部円板122
と下部円板124とのギャップの大きさは、サーボ機構
110とは別体に設けられた図示しないギャップ調整機
構により調整することができる。
【0034】サーボ機構110は、上部円板122を駆
動するアクチュエータ118と、上部円板122の変位
の目標値を出力する目標変位出力器112と、上部円板
122の変位を測定する変位センサ114と、変位セン
サ114の出力値が目標変位に一致するようにアクチュ
エータ118の動作を制御する制御回路116などから
構成されている。
【0035】コンピュータ50は、各種の演算処理を行
うCPUを中心として、ROM、RAM、ハードディス
ク、周辺機器とのデータを入出力するための周辺機器イ
ンターフェースなどを、バスで相互に接続して構成され
た周知の算術論理演算回路である。また、コンピュータ
50には、アナログ信号をデジタル信号に変換したり、
あるいはデジタル信号をアナログ信号に変換するAD/
DA変換器も搭載されている。コンピュータ50は、A
D/DA変換器を介して各種センサからの信号を取り込
んだり、あるいはアクチュエータ118に対するアナロ
グ電圧を出力することができる。
【0036】尚、ここでは、目標変位出力器112はサ
ーボ機構110に組み込まれているものとして説明した
が、コンピュータ50に搭載されているAD/DA変換
器を利用して、目標変位出力器を構成しても良い。すな
わち、コンピュータ50上で、アクチュエータ118に
出力すべき目標変位のデジタル信号を発生させ、このデ
ジタル信号をアナログ信号に変換して、アクチュエータ
118に出力することとしても構わない。
【0037】試料液体の液体物性を測定する場合には、
上部円板122と下部円板124との間に形成されたギ
ャップに試料液体を充填した後、サーボ機構110を用
いて上部円板122に所定波形の変位を加える。する
と、ギャップ間の試料液体が変位に応じた変形を受け
て、ロードセル128に、変位に応じた荷重が現れる。
この荷重の変位に対する応答を、後述する方法により、
コンピュータ50を用いて解析すれば、試料液体の粘性
係数および弾性係数を算出することができる。尚、本明
細書では、粘性係数および弾性係数をまとめて粘弾性係
数と呼ぶことがあるものとする。
【0038】A−2.粘弾性係数の測定原理:先ず初め
に、図1の液体物性測定装置10を用いて試料液体の粘
性係数および弾性係数を測定する原理について、簡単に
説明しておく。図2は、試料液体変形部100の上部円
板122および下部円板124の部分を拡大して示した
説明図である。図2(a)に示すように、上部円板12
2と下部円板124との間に形成されたギャップに試料
液体を充填すると、試料液体は、液体自身の表面張力に
よってギャップ間から流れ出ることなく保持される。図
2(a)では、こうしてギャップ間に充填されている試
料液体を、斜線を付して示している。こうして試料液体
を充填した状態で、上部円板122に荷重Pを加えて上
部円板122を下部円板124に近づける。すると試料
液体がギャップから押し出され、このとき試料液体には
剪断変形が生じることになる。以下、図2(b)を参照
しながら詳しく説明する。
【0039】図2(b)は、上部円板122と下部円板
124との間に試料液体が充填されている様子を示した
横断面図である。2つの円板の間隔をhとする。上部円
板122に荷重Pを加えて間隔hを小さくすると、ギャ
ップ間の試料液体は円板の半径方向に向かって流れ出
す。実在する全ての流体には、壁面と接する部分では流
体は壁面に対して相対的に滑り得ないという性質があ
る。このため、円板の間を半径方向に向かう流れは、上
部円板122および下部円板124と接する部分で、円
板表面に引きずられるようにして急激に減速する現象が
起きる。その結果、試料液体の流れは、図2(b)中に
細い破線で示すように、放物線状の速度分布を示すこと
になる。また、試料液体の流れが円板表面で引きずられ
るようにして減速する結果、試料液体には剪断変形が生
じ、剪断変形の速度は、図2(b)に太い実線で示すよ
うに、円板表面で最も大きくなるような速度分布を示
す。
【0040】液体に剪断変形を起こさせると変形速度に
比例した反力が生じる。この比例係数が粘性係数であ
る。上部円板122を押し下げてギャップから試料液体
を押し出すために要する荷重Pは、ギャップ間の試料液
体に図2(b)のような剪断変形を生じさせるときの反
力の積分値に等しくなる。上部円板122の半径や、ギ
ャップの間隔h、上部円板122の速度uが分かってい
れば、ギャップ内に生じる剪断変形の速度分布を解析的
に求めることができるから、上部円板122の荷重Pを
計測すれば、剪断変形の変形速度に対する荷重Pの比例
係数、すなわち試料液体の粘性係数を算出することがで
きる。算出式の詳細については後述する。以上が、液体
物性測定装置10を用いて粘性係数を測定する原理であ
る。
【0041】次に、試料液体が粘弾性流体、すなわち粘
性に加えて弾性も有する流体である場合には、液体物性
測定装置10を用いて液体の弾性係数も測定することが
できる。以下、液体の弾性係数を測定する原理について
説明する。
【0042】液体の弾性係数の測定は、ギャップの間隔
を周期的に変動させることによって行う。説明を簡単に
するために、ここでは上部円板122に正弦波状の変位
を加えるものとする。図3(a)は、時間の経過ととも
に、ギャップの間隔hが正弦波状に変化する様子を示し
ている。図2を用いて説明したように、ギャップ間隔h
を変化させると、これに伴って試料液体には剪断変形が
生じる。上部円板122が速く動けば剪断変形の変形速
度が大きくなることから明らかなように、剪断変形の変
形速度は上部円板122の速度uに応じて変化する。図
3(b)は、ギャップ間隔hの変化に伴って上部円板1
22の速度uが変化する様子を示している。
【0043】図3(c)は、上部円板122を正弦波状
に動かすために要する荷重Pを示している。図中に実線
で示しているのは、試料液体の弾性に起因した荷重成分
(すなわち試料液体の剪断変形速度に比例した荷重成
分)である。ギャップ間の試料液体に生じる剪断変形の
速度は、上部円板122の速度uに応じて変化するか
ら、剪断変形させるための荷重成分は上部円板122の
速度変化と同じ位相で変化することになる。
【0044】試料液体が粘弾性流体である場合は、試料
液体の剪断変形量に比例した荷重成分も現れる。この比
例係数が弾性係数である。試料液体の剪断変形は、ギャ
ップの間隔を変動させることによって生じるから、剪断
変形の大きさはギャップの変動量に比例する。今、ギャ
ップを狭くしたときに生じる剪断変形をプラス方向の剪
断変形とし、ギャップを広げたときに生じる剪断変形を
マイナス方向の剪断変形とすれば、剪断変形量に比例し
た荷重成分(すなわち、試料液体の弾性によって生じる
荷重成分)は、図3(a)に示したギャップの間隔hの
変化に対して逆の位相で変化することになる。図3
(c)に一点鎖線で示しているのは、試料液体の有する
弾性に起因した荷重成分の変化を示している。
【0045】以上の説明から明らかなように、液体物性
測定装置10のギャップ間に粘弾性流体を充填してギャ
ップ間隔を変動させるための荷重は、剪断変形速度に比
例した荷重成分(試料液体の粘性による成分)と、剪断
変形量に比例した荷重成分(試料液体の弾性による成
分)との合計荷重となる。従って、試料液体の粘性係数
および弾性係数を算出するためには、粘性による荷重成
分と、弾性による荷重成分とを分離する必要が生じる。
これら2つの荷重成分は、図3(c)に示すように、互
いに位相が異なっているので、この位相の違いを利用し
て分離することができる。すなわち、上部円板122に
加えた荷重Pの時系列データを解析して、荷重データか
らギャップの間隔hと位相が90度異なる成分を分離す
れば、剪断変形の速度に比例した荷重成分を得ることが
できる。解析手法としては、周波数解析あるいは相互相
関分析などの周知の手法を適用することができる。ま
た、ギャップの間隔hと逆位相の成分を分離すれば、剪
断変形量に比例した荷重成分を得ることができる。こう
して2つの荷重成分を分離してやれば、剪断変形速度に
比例した荷重成分からは試料液体の粘性係数を求めるこ
とが可能となり、剪断変形量に比例した荷重成分からは
試料液体の弾性係数を求めることが可能となるのであ
る。
【0046】上述したように、試料液体が粘弾性流体で
ある場合には、液体物性測定装置10を用いれば、原理
上は、粘性係数に加えて弾性係数も測定可能である。し
かし実際には、試料液体の弾性係数を実用に耐える精度
で測定することは容易なことではない。これは、変動す
る荷重成分の計測値に誤差が含まれていると、誤差を異
なる位相の荷重成分が含まれていると誤って判断してし
まい、上部円板122に加えた荷重Pから、ギャップの
間隔と逆位相の荷重成分と、位相が90度だけ異なる位
相の荷重成分とを精度良く分離することが困難なためで
ある。
【0047】図4には、一例として、「水」を使用液体
に用いて、粘性係数および弾性係数を測定した結果を示
している。横軸を周波数Hz、縦軸を荷重成分Paにと
って、ギャップの間隔と逆位相の荷重成分の測定結果
と、位相が90度異なる荷重成分の測定結果とを、周波
数に対して表したものである。図では、それぞれの荷重
成分は、単位体積あたりに働く荷重(すなわち応力)と
して表示されており、図中の一点鎖線が逆位相の応力、
実線が位相が90度異なる応力をそれぞれ示している。
粘性係数は、一点鎖線で示した応力値を剪断変形速度で
除算することによって求めることができる。また、弾性
係数は、実線で示した応力値を剪断変形量で除算するこ
とによって求めることができる。前述したように、剪断
変形速度あるいは剪断変形量は、解析的な手法によって
求めることができる。
【0048】図4から明らかなように、一点鎖線で示し
た応力は充分な精度で求められているので、かかる応力
値から求められる粘性係数も、充分な精度で算出するこ
とができる。これに対して、実線で示した応力には、大
きなノイズが重畳しており、かかる応力値から求める弾
性係数は、充分な精度で算出することは困難である。
【0049】更に、例え、移動平均法あるいはローパス
フィルタなどの手法を用いてノイズを除去した場合で
も、妥当な弾性係数を得ることは困難である。何故な
ら、「水」は純粋な粘性流体であり弾性は示さないと考
えられていることから弾性係数の値は「0」となり、荷
重成分は周波数が変化しても一定になるはずである。と
ころが計測された荷重成分は右肩上がりとなっているこ
とから、例え何らかの方法によってノイズを除去したと
しても、依然として、妥当な弾性係数を得ることはでき
ないと考えられるのである。
【0050】このように弾性係数の算出精度が悪いの
は、測定板の間隔の変動に対する反力の測定値に測定誤
差が含まれていた場合、この誤差を異なる位相の荷重成
分が含まれていると誤って判断してしまうことによると
考えられる。このことから、弾性係数を精度良く計測す
るためには、こうしたノイズを、粘性係数の少なくとも
2桁程度小さな値に収めておく必要がある。以下では、
測定板の間隙を変動させたことに代って生じた反力を精
度良く測定し、十分な精度の弾性係数を得ることができ
る各種実施例について説明する。
【0051】B.第1実施例: B−1.粘弾性係数測定の概要:図5は、第1実施例の
流体物性測定装置における粘弾性係数測定の概要を表し
たブロック図である。前述したように、液体物性測定装
置では、上部円板122と下部円板124のの間隙に試
料液体を充填した状態で、アクチュエータ118で間隙
の寸法を周期的に変更し、このときに要する駆動力を解
析する。アクチュエータ118は制御回路116によっ
て駆動されており、上部円板122の変位は変位センサ
114によって測定されて、制御回路116に入力され
ている。目標変位出力器112は、制御回路116に対
して上部円板122の目標変位Vtを出力する。制御回
路116は、上部円板122が目標変位Vt となるよう
にアクチュエータ118を制御する。
【0052】ここで、第1実施例の液体物性測定装置1
0の制御回路116には補正器130が内蔵されてい
て、変位センサ114からの出力Vs は、後述する所定
の多項式を用いて変換された後、比較器132に入力さ
れる。制御回路116はこうして変換された出力が目標
変位Vt と一致するように、アクチュエータ118を駆
動する。尚、変位センサ114は、上部円板122と下
部円板124との間隔hを計測するものでも良く、ある
いは上部円板122の変位、すなわち間隔の変動成分の
みを計測するものであっても良い。また、目標変位Vt
としては、周期的な変位であればどのような波形も用い
ることができるが、解析を容易とするために、ここでは
正弦変位を用いることとする。
【0053】上部円板122は、50Hz以上の周波数
で、好ましくは75Hz以上、より好ましくは100H
z以上の周波数で変更する必要がある。このためアクチ
ュエータ118には、ピエゾ素子などのいわゆる電歪素
子や磁歪素子が使用される。磁歪素子を用いれば、上部
円板122を高い周波数で駆動することができる。ま
た、ヒステリシス特性を有するという電歪素子や磁歪素
子の欠点は、変位センサ114を用いて上部円板122
の変位を測定しながら、目標変位Vt と一致するように
フィードバック制御することによって補うことができ
る。変位センサ114は、このような上部円板122の
変位を、最大振幅の500分の1以上、より好ましくは
1000分の1以上の分解能で測定可能であることが望
ましい。一般に用いられている変位センサでは、こうし
た厳しい仕様を満足することは困難であり、液体物性測
定装置に適用可能なセンサは、光学式の非接触型変位セ
ンサを代表例とする、いくつかの方式のセンサに限られ
てくる。こうした変位センサは、変位に対する出力電圧
の線形性がそれほど高くはない。特に、粘弾性流体の弾
性係数を測定する場合には、こうした変位センサの非線
形は大きなノイズ要因となっている。
【0054】そこで、第1実施例の液体物性測定装置1
0では、変位センサ114の出力を変数とする多項式の
(1)式を用いてセンサの非線形性を補正する。 V=α・Vs +β・Vs2+γ・Vs3 …(1) ここで、各項の係数α,β,γは後述する方法によって
適切な値に設定されている。以下では、これら係数を感
度係数と呼ぶことにする。こうして変位に対して線形化
した出力Vと、目標変位Vt とが一致するようにアクチ
ュエータ118をフィードバック制御する。こうすれ
ば、上部円板122を極めて高い精度で駆動することが
できる。尚、ここでは、変位センサの非線形性を(1)
式に示すように3次の多項式を用いて補正しているが、
必要に応じてより高次の多項式を用いることとしても良
いのはもちろんである。より高次の多項式を用いれば、
センサの非線形性を更に正確に補正することができる。
【0055】こうして上部円板122に高い精度の変位
を加えて、そのときに下部円板124に加わる荷重をロ
ードセル128を用いて測定する。試料液体を変形させ
るために上部円板122に荷重を加えると、その反力が
下部円板124に現れるので、ロードセル128を用い
てこの反力を測定すれば、上部円板122に加えた荷重
を測定することができる。こうして得られた荷重を、解
析装置(すなわちコンピュータ50)で解析する。以下
に、解析の概要について説明する。
【0056】上部円板122と下部円板124との間の
間隙に試料液体を充填して、上部円板122を速度uで
下部円板124に近づけるために要する駆動力Pは、次
の(2)式によって与えられることが知られている(図
2参照)。
【0057】
【数1】
【0058】ここで、aは上部円板の半径であり、hは
上部円板122と下部円板124との間に形成されたギ
ャップの間隔である。また、ηは試料液体の複素粘性係
数である。今、上部円板122に正弦変位を加えるもの
として、ギャップ間隔の直流成分をh0 とすれば、ギャ
ップの間隔hは次の(3)式によって表される。
【0059】
【数2】
【0060】ここで、Aは交流成分の振幅である。
(3)式を(2)式に代入して整理すれば、次の(4)
式が得られる。
【0061】
【数3】
【0062】(4)式中のGは、複素弾性係数(=iω
η)である。上部円板122の振幅がギャップの間隔に
対して充分に小さいものと仮定して(4)式を近似する
と、次の(5)式が得られる。
【0063】
【数4】
【0064】(5)式から明らかなように、複素弾性係
数Gは、ロードセル128で測定した荷重P(t)と、
上部円板122の変位の交流成分との比として求めるこ
とができる。これを、単一の周波数ではなく、広い範囲
の周波数を含んだランダムノイズA(t)に拡張する場
合は、荷重Pのフーリエ変換fP(t)および変位A
(t)のフーリエ変換fA(t)を用いて、次の(6)
式によって求めることができる。
【0065】
【数5】
【0066】試料液体の粘性係数は、こうして求めた複
素弾性係数Gの虚数部として求められ、試料液体の弾性
係数は実数部として求めることができる。
【0067】以上に説明したように、第1実施例の液体
物性測定装置10では、変位センサの非線形性を、セン
サの出力値を変数とする多項式によって補正し、線形化
した数値を用いてフィードバック制御を行っている。こ
のため、上部円板122を目標変位どおりに精度良く駆
動することができる。上述したように、変位センサに要
求される厳しい仕様を満足するセンサは限られており、
これらセンサは粘弾性流体の弾性係数を精度良く測定で
きるほどには線形性が良くない。しかし、第1実施例の
液体物性測定装置10によれば、センサの非線形性に起
因するノイズの混入を回避して、試料液体の粘性係数お
よび弾性係数を精度良く測定することが可能となる。
【0068】尚、以上に説明した第1実施例の液体物性
測定装置10では、多項式を用いて変位センサの非線形
性を補正し、正しい変位に変換してからフィードバック
制御を行うことで、上部円板122を目標変位どおりに
精度良く駆動している。もっとも、変位センサの非線形
性を補正せず、そのままの出力を用いてフィードバック
制御を行い、その代わりに次のようにして、反力の解析
時にセンサの非線形性を考慮して解析することとしても
良い。先ず、変位センサの非線形性を補正することなく
フィードバック制御を行う。こうすると、上部円板12
2の実際の変位は、センサの非線形性の分だけ目標変位
とは異なった変位となる。そこで、目標変位に対してセ
ンサの非線形性を考慮した実変位を算出し、ロードセル
128で測定した荷重は、このような実変位に対して得
られた荷重であるものとして、反力の解析を行う。この
ようにすれば、変位センサの非線形性をコンピュータ5
0側で補正することができるので、液体物性測定装置1
0の制御回路の構成を簡素なものとすることが可能とな
る。
【0069】こうした液体物性測定装置において、セン
サの出力が変位に対して線形となるように補正するため
には、多項式に含まれる各項の感度係数が適切な値に設
定されていることが前提となる。これら感度係数は、簡
便な方法により適切な値に設定することが可能である。
以下では、感度係数を設定する方法について説明する。
【0070】B−2.感度係数の設定方法:図6は、第
1実施例の液体物性測定装置10において、変位センサ
114の非線形性を補正するための感度係数を設定する
方法を示したブロック図である。感度係数を設定するに
は、試料液体の代わりにバネ定数が既知な校正用スプリ
ング134を、上部円板122と下部円板124の間に
挿入する。そして、目標変位出力器112から所定の正
弦変位を制御回路116に入力し、変位センサ114か
らの出力Vs が目標変位Vt と一致するようにアクチュ
エータ118を駆動する。こうして変位センサ114の
出力を用いてフィードバック制御すると、変位センサ1
14の出力に含まれている歪みが上部円板122の変位
に反映される。従って、この変位を精度良く測定して解
析すれば変位センサの歪みを求めることができ、こうし
て求めた歪みに基づいて、以下のようにして適切な感度
係数を設定することができる。変位は、次のようにすれ
ば精度良く測定することができる。上部円板122と下
部円板124との間に校正用スプリング134を挿入し
ておき、ロードセル128で荷重を測定する。こうして
得られた荷重は、変位に正確に比例しているので、荷重
をバネ定数で除算することにより、上部円板122の変
位を精度良く求めることができる。以下では、変位を解
析して感度係数を設定する方法について説明する。
【0071】今、ギャップの間隔hを、直流成分h0 と
変位成分yとに分けて、 h=h0 +y …(7) とする。変位センサが変位に対して線形であれば、変位
成分yに対して y=α・Vs が成り立つようなαを決めることができる。ここで、V
s はセンサ出力であり、αは1次の感度係数である。と
ころが、センサが変位に対して非線形である場合は、セ
ンサ出力Vs に感度係数αを乗算した値は正確な変位を
示さない。ここでは、正確な変位成分yを、前述したよ
うに、センサ出力Vs の多項式によって近似することが
できるものとする。 y=α・Vs +β・Vs2+γ・Vs3 …(1) ここで、βは2次の感度係数であり、γは3次の感度係
数である。
【0072】目標変位出力器112から出力される正弦
変位を、 Vt =ν・sin(ωt) …(8) とする。制御回路116は、変位センサの出力が目標変
位Vt と一致するように制御しているから、変位センサ
の出力値は目標変位と等しくなる。今、変位センサがV
s を出力しているときの実際の変位成分は(1)式によ
って求められるとしているから、結局、(8)式に示す
目標変位を加えたときの、上部円板122の実際の変位
成分yexctは、(8)式を(1)式に代入した値とな
る。(8)式を代入して整理すると、(9)式が得られ
る。
【0073】
【数6】
【0074】(9)式から明らかなように、実際の変位
成分yexctには、目標変位の角周波数ωに加えて、2次
の角周波数2ωの成分と、3次の周波数3ωの成分とが
含まれている。そこで、ロードセル128で測定した荷
重から求めた正確な変位成分を周波数解析して、それぞ
れの角周波数ω、2ω、3ωの成分の振幅を求めれば、
適切な感度係数を求めることができる。すなわち、角周
波数ω、2ω、3ωの成分の振幅をそれぞれy1 、y2
、y3 とすれば、 y1 =α・ν+(3/4)γ・ν3 y2 =−(1/2)β・ν2 y3 =−(1/4)γ・ν3 となるので、この連立方程式を解くことにより、それぞ
れの感度係数α、β、γを求めることができる。
【0075】以上に説明した方法によれば、上部円板1
22と下部円板124との間に、校正用スプリング13
4を挿入してロードセル128の出力を周波数解析する
だけで、極めて簡便な方法によって感度係数を適切な値
に設定することができる。感度係数は、厳密には経時的
に変動するので、このように簡便な方法によって設定す
ることができれば、常に適切な値を設定して、粘弾性流
体の粘弾性係数を精度良く測定することが可能となるの
で好ましい。
【0076】B−3.変形例:上述した第1実施例で
は、変位センサ114の出力を変位に対して線形となる
ように補正し、補正後の出力と目標変位とが一致するよ
うにフィードバック制御していた。こうすれば、目標変
位の通りに上部円板122を正確に駆動することができ
るので、粘弾性係数の測定精度を大きく改善することが
できた。これに対して、上部円板122が目標変位の通
りに駆動されるような、擬似的な目標変位を用いてフィ
ードバック制御を行っても良い。以下では、こうした変
形例の液体物性測定装置10について簡単に説明する。
【0077】図7は、第1実施例の変形例において、粘
弾性流体の粘弾性係数を測定する方法を示すブロック図
である。変形例においては、目標変位出力器112から
出力された変位Vt は、作用器136で逆関数F-1(V
t )が作用された後、比較器132に入力される。ここ
で、逆関数F-1(Vt )は、(1)式の逆関数である。
こうすれば、変位センサ114の出力がF-1(Vt )と
なるようにフィードバック制御されるので、センサの非
線形性がキャンセルされて、上部円板122を目標変位
Vt の通りに正確に駆動することができる。
【0078】C.第2実施例:上述した第1実施例で
は、目標変位Vt に対して上部円板122を正確に駆動
することによって、粘弾性流体の粘弾性係数の測定精度
を改善した。これに対して、ロードセル128で計測し
た反力の解析方法を改良することによっても、粘弾性係
数の測定精度を改善することができる。以下では、こう
した第2実施例の液体物性測定装置10について説明す
る。
【0079】図8は、第2実施例の液体物性測定装置1
0において、試料液体の粘弾性係数を測定する様子を示
すブロック図である。図示されているように、第2実施
例の液体物性測定装置10では、変位センサ114の出
力Vs を応答解析部に入力する前に、演算部138で一
旦、一時的な変数に変換し、変換した一時変数に対する
ロードセル128の荷重の伝達関数を求めている。ここ
で一時変数は、 (一時変数)=u/h3 =u/(h0 +Vs)3 によって算出される。ここでuには、変位センサ114
の出力Vs の時間微分を用いることができる。このよう
に、一時変数に対する伝達関数に基づいて粘弾性係数を
求めれば、以下の理由から算出精度を改善することがで
きる。
【0080】前述したように、粘弾性係数は(6)式に
よって求めることができるが、この式は、上部円板12
2の変位の直流成分すなわち(3)式のh0 に比べて、
交流成分の振幅Aが十分に小さいという仮定の下で導か
れたものである。しかし、実際には振幅Aはh0 に比べ
て無視できるほどには小さくないので、(6)式には近
似による誤差が含まれていることになる。そこで第2実
施例では、(2)式をそのまま使用して、一時変数u/
3 に対する荷重Pの伝達関数から、(10)式によっ
て複素粘性係数ηを算出する。
【0081】
【数7】
【0082】ここで(10)式は、(2)式の両辺をフ
ーリエ変換したものであり、(10)式中のfP(t)
は荷重Pのフーリエ変換を示し、f(u/h3 )は一時
変数u/h3 のフーリエ変換を示す。このようにして導
かれた(10)式には、(5)式のような近似は含まれ
ていない。従って、(10)式によって複素粘性係数η
を求めれば、粘弾性係数の算出精度を改善することがで
きる。
【0083】D.第3実施例:上述した第1実施例およ
び第2実施例はいずれも、上部円板122や、下部円板
124、ロッド120,126、更にはサーボ機構11
0を支える筐体などは十分な剛性を有しており、従っ
て、荷重Pによって変形することはないと仮定してい
る。しかし実際には、荷重Pによる変形の影響でギャッ
プの間隔hが広がっており、その分の誤差が含まれてい
る。このことから、荷重Pによる変形を考慮すれば、粘
弾性係数の測定精度を改善することが可能である。以下
では、こうした第3実施例の液体物性測定装置10につ
いて説明する。
【0084】図9は、第3実施例の液体物性測定装置1
0において、試料液体の粘弾性係数を測定する様子を示
すブロック図である。図示されているように、第3実施
例の液体物性測定装置10においても第2実施例と同様
に、変位センサ114の出力Vs を応答解析部に入力す
る前に、演算部138で、一時変数(=u/h3 )に一
旦変換する。応答解析部では、こうして得られた一時変
数に対して、ロードセル128で測定した荷重の伝達関
数を算出する。次いで、撓み補正部140では、こうし
て得られた伝達関数に、荷重による変形を考慮した補正
を加えた後、(11)式を用いて複素粘性係数ηを算出
する。(11)式の導出方法については後述する。
【0085】
【数8】
【0086】ここでTFは、一時変数u/h3 に対する
荷重Pの伝達関数、すなわち、 TF=fP(t)/f(u/h3 ) であり、Cは次式で与えられる定数である。 C=3πa4 /(2h03) また、kは、ギャップ間隔のバネ定数である。すなわ
ち、上部円板122に荷重Pを加えると、荷重を受けて
下部円板124は下方向に変形し、また上部円板122
は荷重Pの反力を受けて上方向に変形するが、変形量は
さほど大きくないと考えられるから、ギャップの間隔が
広がる変位量λは、荷重Pに対して線形近似することが
できる。従って、ギャップ間に荷重Pを加えたときのギ
ャップの広がり量(すなわちλ)を実測することによ
り、k(=P/λ)なるギャップ間隔のバネ定数kを求
めることができる。
【0087】(11)式によって複素粘性係数ηが得ら
れたら、この値の実数部を取ることによって試料液体の
粘性係数を、虚数部を取ることによって弾性係数をそれ
ぞれ求めることができる。こうして、荷重Pを受けてギ
ャップの間隔が広がることも考慮して粘性係数および弾
性係数を求めれば、算出精度を大きく改善することがで
きる。
【0088】以下では、(11)式の導出方法について
説明する。ギャップ間のバネ定数をkとすると、荷重P
が作用したことによる撓みによって、ギャップの間隔は
λ(=P/k)だけ広がるから、撓みを考慮したギャッ
プの間隔hは(12)式によって与えられる。
【0089】
【数9】
【0090】(12)式を(2)式に代入すると(1
3)式の微分方程式が得られる。
【0091】
【数10】
【0092】ここで、(2)式に現れるu(上部円板1
22の速度)は、間隔hの時間微分を使用する。この微
分方程式を解くと(14)式が得られ、これをηを求め
る式に変形すれば、前述の(11)式を得ることができ
る。
【0093】
【数11】
【0094】尚、以上の説明では、一時変数u/h3
対する荷重Pの伝達関数TF、 TF=fP(t)/f(u/h3 ) に基づいて粘弾性係数を算出したが、もちろん簡便に
は、第1実施例のように変位成分に対する荷重Pの伝達
関数を用いて粘弾性係数を算出することもできる。この
場合は、伝達関数TFは(15)式によって与えられ
る。
【0095】
【数12】
【0096】この式を、複素弾性係数Gを求める式に変
形すれば、(16)式を得ることができる。
【0097】
【数13】
【0098】従って、(16)式により求めた複素弾性
係数の実数部を取れば、試料液体の弾性係数を、虚数部
を取れば粘性係数を求めることができる。
【0099】図10は、上述した各実施例の内容を1つ
の液体物性測定装置に盛り込んで、試料液体の粘性係数
および弾性係数を測定した様子を例示した説明図であ
る。前述した図4と同様に「水」を試料液体として使用
し、上部円板122に正弦変位を加えたときの反力をロ
ードセル128で測定する。こうして得られた荷重を、
剪断変形の速度に比例する成分と剪断変形の大きさに比
例する成分とに分離すると、図10に示すような結果が
得られる。図10では、前述した図4と同様に、それぞ
れの荷重成分の応力値が示されている。図中で一点鎖線
で示されているのは剪断変形の速度に比例する応力値で
あり、実線で示されているのは剪断変形の大きさに比例
する応力値である。
【0100】実線で示した応力値に着目すると、図10
に示した測定結果は、図4の測定結果に比べてノイズが
大幅に減少している。加えて、前述したように、水は弾
性は示さないことから弾性係数は「0」となるはずであ
る。図4では、実線で示した応力値は右肩上がりとなっ
ているのに対して、図10では、ほぼ水平で、絶対値も
充分に小さな値となっている。従って、移動平均法ある
いはローパスフィルタなどを用いてノイズを除去してや
れば、妥当な弾性係数を求めることが可能である。
【0101】以上の説明から明らかなように、上述した
各実施例はいずれも、試料液体の粘弾性係数の測定精度
を向上させることができる。もちろん、これら実施例の
全ての内容を盛り込めば、測定精度を更に大きく向上さ
せて、試料液体の弾性係数を充分な精度で測定すること
が可能となる。
【0102】以上、各種の実施例について説明してきた
が、本発明は上記すべての実施例に限られるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実
施することができる。
【0103】例えば、上述した第3実施例では、荷重P
を加えたときのギャップ間の広がりを実測して、ギャッ
プ間隔のバネ定数kを求めていたが、簡便には次のよう
な方法を用いることもできる。すなわち、ギャップの変
動と逆位相の荷重成分(図中で実線で示した荷重成分)
が右肩上がりになるのは、主に、荷重Pによってギャッ
プ間隔が広がることによる影響であると思われる。従っ
て、実線で示した荷重成分が水平となるように、適切な
バネ定数kを試行錯誤によって定めることとしてもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の液体物性測定装置の概略構成図であ
る。
【図2】液体物性測定装置を用いて試料液体の粘弾性係
数を測定する原理の概要を示す説明図である。
【図3】位相の違いを利用して試料液体の粘性に起因す
る荷重成分と弾性に起因する荷重成分とを分離可能なこ
とを示す説明図である。
【図4】水の粘弾性係数を測定した結果を例示する説明
図である。
【図5】第1実施例の液体物性測定装置を用いて試料液
体の粘弾性係数を測定する方法を示したブロック図であ
る。
【図6】第1実施例において使用する感度係数の設定方
法を示すブロック図である。
【図7】第1実施例の変形例の液体物性測定装置を用い
て試料液体の粘弾性係数を測定する方法を示したブロッ
ク図である。
【図8】第2実施例の液体物性測定装置を用いて試料液
体の粘弾性係数を測定する方法を示したブロック図であ
る。
【図9】第3実施例の液体物性測定装置を用いて試料液
体の粘弾性係数を測定する方法を示したブロック図であ
る。
【図10】各実施例の内容を盛り込んで試料液体の粘弾
性係数を測定した結果を例示する説明図である。
【符号の説明】
10…液体物性測定装置 50…コンピュータ 100…試料液体変形部 110…サーボ機構 112…目標変位出力器 114…変位センサ 116…制御回路 118…アクチュエータ 120…ロッド 122…上部円板 124…下部円板 126…ロッド 128…ロードセル 130…補正器 132…比較器 134…校正用スプリング 136…作用器 138…演算部

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに向かい合わせた一対の測定板の間
    隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させたと
    きに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析するこ
    とによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体物
    性測定装置であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる測定板駆動手段と、 前記間隙の大きさを測定する間隙測定手段と、 前記間隙の目標値を時間の経過とともに更新する間隙目
    標値更新手段と、 前記間隙の測定値が前記目標値と一致するように、前記
    測定板の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、 前記測定板駆動手段は、前記間隙測定手段が測定可能な
    分解能の500倍以上の振幅で且つ50Hz以上の周波
    数で、前記測定板の少なくとも一方を振動可能な手段で
    あり、 前記間隙測定手段は、 前記間隙の大きさに関する物理量を検出する間隙センサ
    と、 前記間隙センサの出力値の、前記間隙の大きさに対する
    非線形性を補正して、前記間隙の測定値として出力する
    測定値出力手段とを備えている液体物性測定装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液体物性測定装置であっ
    て、 前記測定値出力手段は、前記間隙センサの非線形性を、
    該間隙センサの出力値の多項式を用いて補正する手段で
    ある液体物性測定装置。
  3. 【請求項3】 互いに向かい合わせた一対の測定板の間
    隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させたと
    きに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析するこ
    とによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体物
    性測定装置であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる測定板駆動手段と、 前記間隙の大きさに関する物理量を間隙センサによって
    検出し、該間隙の大きさを測定する間隙測定手段と、 前記間隙の目標値を時間の経過とともに更新する間隙目
    標値更新手段と、 前記間隙の測定値が前記目標値と一致するように、前記
    測定板の駆動を制御する駆動制御手段と、 前記測定板に加わる反力を検出して、前記間隙の変動に
    対する該反力の応答を解析する反力解析手段とを備え、 前記測定板駆動手段は、前記間隙測定手段が測定可能な
    分解能の500倍以上の振幅で且つ50Hz以上の周波
    数で、前記測定板の少なくとも一方を振動可能な手段で
    あり、 前記反力解析手段は、前記間隙センサの出力値の、前記
    間隙の大きさに対する非線形性を考慮して、前記反力の
    応答を解析する手段である液体物性測定装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の液体物性測定装置であっ
    て、 前記反力解析手段は、前記間隙センサの非線形性を、該
    間隙センサの出力値の多項式を用いて補正して、前記反
    力の応答を解析する手段である液体物性測定装置。
  5. 【請求項5】 請求項2または請求項4に記載の液体物
    性測定装置であって、 前記多項式に含まれる各次数の係数は、前記間隙に所定
    のバネを挿入して、前記測定板の少なくとも一方を所定
    の方法で駆動したときに、該バネが該測定板に与える反
    力を周波数解析することによって設定された係数である
    液体物性測定装置。
  6. 【請求項6】 互いに向かい合わせた一対の測定板の間
    隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させたと
    きに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析するこ
    とによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体物
    性測定装置であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる測定板駆動手段と、 前記間隙の大きさに関する物理量を間隙センサによって
    検出し、該間隙の大きさを測定する間隙測定手段と、 前記間隙の目標値を時間の経過とともに更新する間隙目
    標値更新手段と、 前記間隙の測定値が前記目標値と一致するように、前記
    測定板の駆動を制御する駆動制御手段とを備え、 前記測定板駆動手段は、前記間隙測定手段が測定可能な
    分解能の500倍以上の振幅で且つ50Hz以上の周波
    数で、前記測定板の少なくとも一方を振動可能な手段で
    あり、 前記間隙目標値更新手段は、前記間隙センサの出力値の
    前記間隙の大きさに対する非線形性を考慮して、該非線
    形性を補正した目標値を出力する手段である液体物性測
    定装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の液体物性測定装置であっ
    て、 前記間隙目標値更新手段は、 前記間隙センサの非線形性を、該間隙センサの出力値の
    多項式によって表現された形式で記憶している記憶手段
    と、 前記記憶された非線形性を考慮して、該非線形性を補正
    した目標値を出力する目標値出力手段とを備える液体物
    性測定装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の液体物性測定装置であっ
    て、 前記多項式に含まれる各次数の係数は、前記間隙に所定
    のバネを挿入して、前記測定板の少なくとも一方を所定
    の方法で駆動したときに、該バネが該測定板に与える反
    力を周波数解析することによって設定された係数である
    液体物性測定装置。
  9. 【請求項9】 互いに向かい合わせた一対の測定板の間
    隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させたと
    きに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析するこ
    とによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体物
    性測定装置であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して、前記間隙の大
    きさを変動させる測定板駆動手段と、 前記間隙の大きさをhとし、hの時間微分値をuとした
    ときに、u/h3 によって定義される一時変数を算出す
    る一時変数算出手段と、 前記算出した一時変数の変化に対する前記反力の応答を
    解析することにより、前記試料液体の粘弾性係数を算出
    する粘弾性係数算出手段とを備える液体物性測定装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の液体物性測定装置であ
    って、 前記測定板の間に形成された間隙の大きさに関する物理
    量を測定する間隙センサを備え、 前記一時変数算出手段は、前記間隙の測定結果を用いて
    前記一時変数を算出する手段である液体物性測定装置。
  11. 【請求項11】 請求項1、請求項3、請求項6、また
    は請求項10のいずれかに記載の液体物性測定装置であ
    って、 前記間隙センサは、対象に照射された光の反射光を検出
    することにより、非接触で該対象との距離を測定するセ
    ンサである液体物性測定装置。
  12. 【請求項12】 互いに向かい合わせた一対の測定板の
    間隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させた
    ときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析する
    ことによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体
    物性測定装置であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる測定板駆動手段と、 前記間隙の大きさを変更することに伴って前記測定板が
    受ける反力を測定する反力測定手段と、 前記間隙の大きさに対する前記反力の応答を解析して、
    前記試料液体の粘弾性係数を算出する粘弾性係数算出手
    段と、 前記反力による変形の影響を考慮して、前記算出した粘
    弾性係数の値を補正する係数補正手段とを備える液体物
    性測定装置。
  13. 【請求項13】 前記測定板駆動手段は、前記間隙の大
    きさを正弦波状に変更する手段である請求項12記載の
    液体物性測定装置。
  14. 【請求項14】 請求項1または請求項6に記載の液体
    物性測定装置であって、 前記試料液体が前記測定板に与える反力の、前記間隙の
    変動に対する応答を、フーリエ変換法を用いて解析する
    反力解析手段を備えるとともに、 前記間隙目標値更新手段は、前記間隙の目標値を、複数
    の周波数成分を含んで変動する数値によって更新する手
    段である液体物性測定装置。
  15. 【請求項15】 請求項3記載の液体物性測定装置であ
    って、 前記反力解析手段は、前記反力の応答をフーリエ変換法
    を用いて解析する手段であり、 前記間隙目標値更新手段は、前記間隙の目標値を、複数
    の周波数成分を含んで変動する数値によって更新する手
    段である液体物性測定装置。
  16. 【請求項16】 請求項9または請求項12に記載の液
    体物性測定装置であって、 前記粘弾性係数算出手段は、前記反力の応答をフーリエ
    変換法を用いて解析することによって、前記試料液体の
    粘弾性係数を算出する手段であり、 前記間隙目標値更新手段は、前記間隙の目標値を、複数
    の周波数成分を含んで変動する数値によって更新する手
    段である液体物性測定装置。
  17. 【請求項17】 請求項1または請求項6に記載の液体
    物性測定装置であって、 前記測定板が受ける反力から、前記間隙の大きさの変動
    とは逆位相の反力成分と、位相が90度異なる反力成分
    とを抽出する反力成分抽出手段と、 前記抽出された逆位相の反力成分から前記試料液体の弾
    性係数を算出するとともに、前記位相が90度異なる反
    力成分から該試料液体の粘性係数を算出する物性値算出
    手段とを備える液体物性測定装置。
  18. 【請求項18】 請求項3記載の液体物性測定装置であ
    って、 前記反力解析手段は、 前記測定板が受ける反力から、前記間隙の大きさの変動
    とは逆位相の反力成分と、位相が90度異なる反力成分
    とを抽出する反力成分抽出手段と、 前記抽出された逆位相の反力成分から前記試料液体の弾
    性係数を算出するとともに、前記位相が90度異なる反
    力成分から該試料液体の粘性係数を算出する物性値算出
    手段とを備える液体物性測定装置。
  19. 【請求項19】 請求項9または請求項12に記載の液
    体物性測定装置であって、 前記粘弾性係数算出手段は、 前記測定板が受ける反力から、前記間隙の大きさの変動
    とは逆位相の反力成分と、位相が90度異なる反力成分
    とを抽出する反力成分抽出手段を備えるとともに、 前記抽出された逆位相の反力成分から前記試料液体の弾
    性係数を算出するとともに、前記位相が90度異なる反
    力成分から該試料液体の粘性係数を算出する手段である
    液体物性測定装置。
  20. 【請求項20】 互いに向かい合わせた一対の測定板の
    間隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させた
    ときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析する
    ことによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体
    物性測定方法であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる工程と、 前記測定板の間隙をhとし、hの時間微分値をuとした
    ときに、u/h3 によって定義された一時変数を算出す
    る工程と、 前記算出した一時変数の変化に対する前記反力の応答を
    解析することにより、前記試料液体の粘弾性係数を算出
    する工程とを備える液体物性の測定方法。
  21. 【請求項21】 互いに向かい合わせた一対の測定板の
    間隙に試料液体を充填して該間隙の大きさを変動させた
    ときに、該試料液体が該測定板に与える反力を解析する
    ことによって、該試料液体の粘弾性係数を測定する液体
    物性測定方法であって、 前記測定板の少なくとも一方を駆動して前記間隙の大き
    さを変動させる工程と、 前記間隙の大きさを変動させることに伴って前記測定板
    が受ける反力を測定する工程と、 前記間隙の大きさに対する前記反力の応答を解析して、
    前記試料液体の粘弾性係数を算出する工程と、 前記反力による変形の影響を考慮して、前記算出した粘
    弾性係数の値を補正する工程とを備える液体物性の測定
    方法。
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