JP2003260746A - 積層繊維シート - Google Patents

積層繊維シート

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JP2003260746A JP2002064560A JP2002064560A JP2003260746A JP 2003260746 A JP2003260746 A JP 2003260746A JP 2002064560 A JP2002064560 A JP 2002064560A JP 2002064560 A JP2002064560 A JP 2002064560A JP 2003260746 A JP2003260746 A JP 2003260746A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式法により形成した不織布のように、繊維
の密着の程度が高くなく、各種用途に適合させることの
できる積層繊維シートを提供すること。 【解決手段】 本発明の積層繊維シートは、繊維径が4
μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維、及び/又は
繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊維長が
10mm以下の細繊維からなり、しかも付着物の付着率
が0.5mass%以下である不織布を少なくとも1層
有する2層以上からなる積層繊維シートであり、平均繊
維径の点において相違する隣接した繊維シート層領域を
含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層繊維シートに関
する。特に、濾過性能が優れているため、液体又は気体
の濾過材として好適に使用できる積層繊維シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】繊維シート、特に不織布は構成繊維、繊
維ウエブの形成方法、及び繊維ウエブの結合方法を適宜
組み合わせることにより、各種機能を付与できるため、
各種用途に適用されている。
【0003】例えば、湿式法により得られる不織布は地
合いが優れており、濾過性能に優れているため、液体や
気体用の濾過材として好適に使用することができ、ま
た、分離性能にも優れているため、セパレータ(例え
ば、電池用セパレータ)として好適に使用することがで
きる。
【0004】しかしながら、湿式法により得られる不織
布は製造時における繊維の分散媒体が通常水であるた
め、この水中から繊維を抄き上げる際に、繊維が密着し
て密度の高い状態となるため、各種用途に適用する場合
に障害となる場合があった。例えば、前述のような濾過
材として使用する場合には、圧力損失が高くなりすぎる
場合があり、電池用セパレータとして使用する場合に
は、イオン透過性が悪くなる場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解決するためになされたもので、湿式法により
形成した不織布のように、繊維の密着の程度が高くな
く、各種用途に適合させることのできる積層繊維シート
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の積層繊維シート
は、「下記のA〜Dの要件を満足する繊維シート層を2
層以上有する積層繊維シートであって、平均繊維径の点
において相違する隣接した繊維シート層領域を含む繊維
シートからなることを特徴とする積層繊維シート(但
し、Dの要件を満足する繊維シートのみからなる積層繊
維シートは除く)。 記 A:繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊
維からなり、付着物の付着率が0.5mass%以下で
ある不織布 B:繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊維
長が10mm以下の細繊維からなり、付着物の付着率が
0.5mass%以下である不織布 C:繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊
維と、繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊
維長が10mm以下の細繊維とからなる、付着物の付着
率が0.5mass%以下である不織布 D:上記A〜Cの要件を満足しない繊維シート」であ
る。
【0007】このように、本発明の積層繊維シートは少
なくとも1層が付着物の付着率が0.5mass%以下
と界面活性剤や糊剤などの付着物量が極めて少ない不織
布(上記A〜C)から構成されているため、繊維同士の
密着性が低いものである。つまり、従来のような湿式法
により得られる不織布は、繊維を分散させるために界面
活性剤を使用し、繊維同士を固定するために糊剤などを
使用していることによって繊維同士の密着性が高くなる
のに対して、本発明においては付着物量が極めて少ない
ため、繊維同士が密着しにくく、密度の高い状態である
ことができる。
【0008】また、本発明の積層繊維シートは、平均繊
維径の点において相違する隣接した繊維シート層領域を
含んでいることによって、各種用途に適合させることが
できる。例えば、濾過材として使用すると、優れた濾過
性能と低圧力損失とを両立できる濾過材であり、電池用
セパレータとして使用すると、優れた分離性能と高いイ
オン透過性とを両立できる電池用セパレータである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の要件Aを満足する不織布
は、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊
維(以下、「極細繊維A」と表記する)からなり、付着
物の付着率が0.5mass%以下である不織布(以
下、「不織布A」と表記する)である。この不織布Aは
濾過性、分離性、隠蔽性、或いは柔軟性など各種特性に
優れているように、繊維径が4μm以下で繊維長が3m
m以下の極細繊維Aから構成されている。
【0010】この極細繊維Aの繊維径は小さければ小さ
い程、各種特性に優れているため、極細繊維Aの繊維径
は3μm以下であるのが好ましく、2μm以下であるの
がより好ましい。なお、極細繊維Aの繊維径の下限は特
に限定するものではないが、0.01μm程度が適当で
ある。
【0011】本発明における「繊維径」は、繊維の横断
面形状が円形である場合には、その直径をいい、繊維の
横断面形状が非円形である場合には、横断面積と面積の
同じ円の直径をいう。
【0012】不織布Aを構成する極細繊維Aの繊維長
は、極細繊維Aの分散性に優れているように、3mm以
下である。より好ましい繊維長は2mm以下である。極
細繊維Aの繊維長の下限は特に限定するものではない
が、0.1mm程度が適当である。また、繊維長が均一
であるように、切断された極細繊維Aであるのが好まし
い。
【0013】本発明における「繊維長」は、JIS L
1015(化学繊維ステープル試験法)B法(補正ス
テープルダイヤグラム法)により得られる長さをいう。
【0014】この極細繊維Aはどのような成分から構成
されていても良く、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリビ
ニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポ
リ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリ
ロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポ
リエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ
スチレン系樹脂(例えば、結晶性ポリスチレン、非晶性
ポリスチレンなど)、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂などの有機成分、ガラス、炭素、チタン酸
カリウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化亜鉛、ホウ酸アル
ミニウム、ワラストナイトなどの無機成分から構成する
ことができる。
【0015】なお、不織布Aの形態を保つために、極細
繊維A同士が結合している必要があるが、極細繊維Aが
融着可能であると、極細繊維Aの融着によって形態を保
つことができ、極細繊維Aが脱落しにくいため好適であ
る。この融着可能な極細繊維Aは、極細繊維Aの表面を
構成する成分の少なくとも一部が熱可塑性樹脂から構成
されていれば良い。例えば、極細繊維Aの表面を構成す
る成分が、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレ
ン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニ
リデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、結晶性ポリスチレン系樹脂などの結晶性の熱可塑性
樹脂、或いはポリ塩化ビニル系樹脂、非晶性ポリスチレ
ン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルア
ルコール系樹脂などの非晶性の熱可塑性樹脂で構成され
ていれば良い。
【0016】この融着可能な極細繊維Aが2種類以上の
成分から構成されていると、1種類の成分が融着したと
しても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維
持することができるため好適である。この2種類以上の
成分から構成されている場合の極細繊維Aの横断面形状
は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイ
ド型、多重バイメタル型、オレンジ型であることがで
き、特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好ま
しい。
【0017】本発明の極細繊維Aは不織布Aの地合いが
優れているように、個々の極細繊維Aの直径が繊維軸方
向において、実質的に同じであるのが好ましい。このよ
うな直径が繊維軸方向において実質的に同じである極細
繊維Aは、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制し
て島成分を押し出して複合する複合紡糸法で得た海島型
繊維の海成分を除去して得ることができる。
【0018】また、極細繊維Aは未延伸状態であること
もできるが、強度的に優れているように、延伸状態にあ
るのが好ましい。
【0019】なお、本発明の不織布Aは、繊維径、繊維
長、及び/又は成分の相違する極細繊維Aを2種類以上
含んでいても良い。
【0020】本発明の不織布Aにおいては、極細繊維A
同士が密着しにくいように、不織布Aに付着した付着物
(界面活性剤や糊剤など)の付着率が0.5mass%
以下と、極めて少ない量である。この付着物の付着率が
少なければ少ない程、前記効果に優れているため、順
に、0.3mass%以下、0.1mass%以下、
0.08mass%以下、0.06mass%以下、
0.04mass%以下、0.02mass%以下であ
るのが好ましく、理想的には0mass%である。な
お、付着物量が少ないことによって、汚染物質を発生さ
せる確率が極めて低くなるという、副次的効果を奏す
る。このことは、汚染物質が問題となる用途、例えば、
濾過材用途、電池用セパレータに使用する場合に大きな
意味をもつ。
【0021】本発明における「付着物の付着率」は、付
着物の質量の不織布の質量に対する百分率をいう。つま
り、次の式により得られる値をいう。 A=(ms/mf)×100 ここで、Aは付着物の付着率(%)、msは付着物の付
着質量(g)、mfは不織布の質量(g)を、それぞれ
意味する。また、「付着物」とは、不織布を熱水に15
分間浸漬することによって得られる抽出物と、不織布を
熱メタノール溶液に15分間浸漬することによって得ら
れる抽出物の、両方の抽出物を意味する。前者の抽出物
として、糊剤(例えば、アクリルアミド、ポリアクリル
酸ソーダ、ポリアルギン酸ソーダ、ポリエチレンオキサ
イド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ルなど)があり、後者の抽出物として、界面活性剤(親
水基と親油基の両方を有する化合物、例えば、ノニオン
系界面活性剤)がある。
【0022】なお、界面活性剤や糊剤の付着した不織布
に対して、水流などを作用させたとしても、付着物の付
着率を0.5mass%以下とすることは困難である。
【0023】このような不織布Aの見掛密度は極細繊維
Aが密着した状態にないため、0.005g/cm
いう非常に低い見掛密度であることもできる。なお、不
織布Aが採りうる見掛密度は、0.005〜0.8g/
cm程度である。この不織布Aは極細繊維Aが分散し
ており、地合いが優れているため、不織布Aの目付は1
g/mという非常に低い目付であることもできる。な
お、不織布Aの採りうる目付は1〜100g/m程度
である。
【0024】本発明における「見掛密度」は、目付(g
/cm)を厚さ(cm)で除した値であり、「目付」
はJIS L1085:1998.6.2に規定された
方法で測定した単位面積あたりの質量の値をいい、「厚
さ」はJIS L1085:1998、6.1(厚さ)に規
定されているA法により得られる値をいう。
【0025】本発明の要件Bを満足する不織布は、繊維
径が4μmを超え、50μm以下であり、繊維長が10
mm以下の細繊維(以下、「細繊維B」と表記する)か
らなり、付着物の付着率が0.5mass%以下である
不織布(以下、「不織布B」と表記する)である。この
不織布Bは比較的太い細繊維Bから構成されているた
め、積層繊維シートに対して適度な強度、寸法安定性、
保型性、或いは厚さ保持性を付与することができる。な
お、不織布B層を含む積層繊維シートを濾過材用途に使
用した場合には、圧力損失を低くすることができ、通気
性や通液性を高めることができる。また、前述のような
不織布A層を含む積層繊維シートを構成する層の1つと
して不織布B層を含んでいる場合には、不織布Aの支持
材或いは保持材として作用することができる。
【0026】この細繊維Bの繊維径が4μm以下である
と、積層繊維シートに対して適度な強度、寸法安定性、
保型性、或いは厚さ保持性を付与することが難しくな
り、不織布B層を含む積層繊維シートを濾過材用途に使
用した場合には、圧力損失を低くしたり、通気性や通液
性を高めることが難しくなる傾向があるためである。他
方、細繊維Bの繊維径が50μmを超えると、積層した
繊維シートの濾過性、分離性、隠蔽性、或いは柔軟性な
どの各種特性を低下させる恐れがあるため、細繊維Bの
繊維径は4μmを超え、50μm以下である。より好ま
しい繊維径は8μm〜45μmであり、更に好ましい繊
維径は10μm〜40μmである。
【0027】不織布Bを構成する細繊維Bの繊維長は、
細繊維Bの分散性に優れているように10mm以下であ
る。より好ましい繊維長は8mm以下であり、更に好ま
しい繊維長は5mm以下である。細繊維Bの繊維長の下
限は特に限定するものではないが、0.1mm程度が適
当である。また、繊維長が均一であるように、切断され
た細繊維Bであるのが好ましい。
【0028】この細繊維Bはどのような成分から構成さ
れていても良く、前述のような極細繊維Aと同様の成分
から構成することができる。
【0029】なお、不織布Bの形態を保つために、細繊
維B同士が結合している必要があるが、細繊維Bが融着
可能であると、細繊維Bの融着によって形態を保つこと
ができ、細繊維Bが脱落しにくいため好適である。この
融着可能な細繊維Bは、細繊維Bの表面を構成する成分
の少なくとも一部が熱可塑性樹脂から構成されていれば
良い。例えば、細繊維Bの表面を構成する成分が、ポリ
オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリ
プロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、結晶性ポリス
チレン系樹脂などの結晶性の熱可塑性樹脂、或いはポリ
塩化ビニル系樹脂、非晶性ポリスチレン系樹脂、ポリア
クリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂な
どの非晶性の熱可塑性樹脂で構成されていれば良い。
【0030】この融着可能な細繊維Bが2種類以上の成
分から構成されていると、1種類の成分が融着したとし
ても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維持
することができるため好適である。この2種類以上の成
分から構成されている場合の細繊維Bの横断面形状は、
例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド
型、多重バイメタル型、オレンジ型であることができ、
特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好まし
い。
【0031】また、細繊維Bは未延伸状態であることも
できるが、強度的に優れているように、延伸状態にある
のが好ましい。
【0032】なお、本発明の不織布Bは、繊維径、繊維
長、及び/又は成分の相違する細繊維Bを2種類以上含
んでいても良い。
【0033】本発明の不織布Bにおいては、細繊維B同
士が密着しにくいように、不織布Bに付着した付着物
(界面活性剤や糊剤など)の付着率が0.5mass%
以下と、極めて少ない量である。この付着物の付着率が
少なければ少ない程、前記効果に優れているため、順
に、0.3mass%以下、0.1mass%以下、
0.08mass%以下、0.06mass%以下、
0.04mass%以下、0.02mass%以下であ
るのが好ましく、理想的には0mass%である。な
お、付着物量が少ないことによって、汚染物質を発生さ
せる確率が極めて低くなるという、副次的効果を奏す
る。このことは、汚染物質が問題となる用途、例えば、
濾過材用途、電池用セパレータに使用する場合に大きな
意味をもつ。
【0034】このような不織布Bの見掛密度は細繊維B
が密着した状態にないため、0.005g/cmとい
う非常に低い見掛密度であることもできる。なお、不織
布Bが採りうる見掛密度は、0.005〜0.6g/c
程度である。この不織布Bは細繊維Bが分散してお
り、地合いが優れているため、不織布Bの目付は5g/
という非常に低い目付であることもできる。なお、
不織布Bの採りうる目付は5〜300g/m程度であ
る。
【0035】本発明の要件Cを満足する不織布は、繊維
径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維(以
下、「極細繊維C」と表記する)と、繊維径が4μmを
超え、50μm以下であり、繊維長が10mm以下の細
繊維(以下、「細繊維C」と表記する)とからなる、付
着物の付着率が0.5mass%以下である不織布(以
下、「不織布C」と表記する)である。この不織布C
は、濾過性、分離性、隠蔽性、液体保持性、或いは柔軟
性など各種特性と、適度な強度、寸法安定性、保型性、
或いは厚さ保持性とを両立できるように、前述のような
極細繊維Cと細繊維Cとから構成されている。
【0036】この不織布Cを構成する極細繊維Cの繊維
径は、濾過性、分離性、隠蔽性、液体保持性、液体保持
性、或いは柔軟性など各種特性に優れているように4μ
m以下であり、3μm以下であるのが好ましく、2μm
以下であるのがより好ましい。なお、極細繊維Cの繊維
径の下限は特に限定するものではないが、0.01μm
程度が適当である。
【0037】不織布Cを構成する極細繊維Cの繊維長
は、極細繊維Cの分散性に優れているように、3mm以
下である。より好ましい繊維長は2mm以下である。極
細繊維Cの繊維長の下限は特に限定するものではない
が、0.1mm程度が適当である。また、繊維長が均一
であるように、切断された極細繊維Cであるのが好まし
い。
【0038】この極細繊維Cはどのような成分から構成
されていても良く、前述のような極細繊維Aと同様の成
分から構成することができる。
【0039】なお、極細繊維Cが融着可能であると、極
細繊維Cの融着によって極細繊維Cが脱落しにくく、し
かも不織布Cの形態を保つことができるため好適であ
る。この融着可能な極細繊維Cは、極細繊維Cの表面を
構成する成分の少なくとも一部が熱可塑性樹脂から構成
されていれば良い。例えば、極細繊維Cの表面を構成す
る成分が、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレ
ン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニ
リデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂、結晶性ポリスチレン系樹脂などの結晶性の熱可塑性
樹脂、或いはポリ塩化ビニル系樹脂、非晶性ポリスチレ
ン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルア
ルコール系樹脂などの非晶性の熱可塑性樹脂で構成され
ていれば良い。
【0040】この融着可能な極細繊維Cが2種類以上の
成分から構成されていると、1種類の成分が融着したと
しても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維
持することができるため好適である。この2種類以上の
成分から構成されている場合の極細繊維Cの横断面形状
は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイ
ド型、多重バイメタル型、オレンジ型であることがで
き、特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好ま
しい。
【0041】本発明の極細繊維Cは不織布Cの地合いが
優れているように、極細繊維Cの直径が繊維軸方向にお
いて、実質的に同じであるのが好ましい。このような直
径が繊維軸方向において実質的に同じである極細繊維C
は、例えば、紡糸口金部で海成分中に口金規制して島成
分を押し出して複合する複合紡糸法で得た海島型繊維の
海成分を除去して得ることができる。
【0042】また、極細繊維Cは未延伸状態であること
もできるが、強度的に優れているように、延伸状態にあ
るのが好ましい。
【0043】なお、本発明の不織布Cは、繊維径、繊維
長、及び/又は成分の相違する極細繊維Cを2種類以上
含んでいても良い。
【0044】本発明の要件Cを満足する不織布Cは、前
述のような極細繊維Cに加えて、繊維径が4μmを超
え、50μm以下であり、繊維長が10mm以下の細繊
維(以下、「細繊維C」と表記する)を含んでいる。こ
の細繊維Cを含んでいることによって、積層繊維シート
に対して適度な強度、寸法安定性、保型性、或いは厚さ
保持性を付与することができる。なお、不織布C層を含
む積層繊維シートを濾過材用途に使用した場合には、圧
力損失を低くすることができ、通気性や通液性を高める
ことができる。また、前述のような不織布A層を含む積
層繊維シートを構成する層の1つとして不織布C層を含
んでいる場合には、不織布Aの支持材或いは保持材とし
て作用することができる。
【0045】この細繊維Cの繊維径が4μm以下である
と、適度な強度、寸法安定性、保型性、或いは厚さ保持
性を付与することが難しく、積層繊維シートを濾過材用
途に使用した場合には圧力損失を低くすることが困難で
あり、50μmを超えると、前述のような極細繊維Cと
の繊維径の差があまりにも大きすぎて、不織布Cの構造
上のバランスが保てなくなるため、細繊維Cの繊維径は
4μmを超え、50μ以下である。より好ましい繊維径
は6〜40μmであり、更に好ましい繊維径は8〜30
μmである。
【0046】不織布Cを構成する細繊維Cの繊維長は、
細繊維Cの分散性に優れているように10mm以下であ
る。より好ましい繊維長は8mm以下であり、更に好ま
しい繊維長は5mm以下である。細繊維Cの繊維長の下
限は特に限定するものではないが、0.1mm程度が適
当である。また、繊維長が均一であるように、切断され
た細繊維Cであるのが好ましい。
【0047】この細繊維Cはどのような成分から構成さ
れていても良く、前述のような極細繊維Aと同様の成分
から構成することができる。
【0048】なお、この細繊維Cが融着可能であると、
細繊維Cの融着によって不織布Cの形態を保つことがで
き、細繊維Cが脱落しにくいため好適である。この融着
可能な細繊維Cは、細繊維Cの表面を構成する成分の少
なくとも一部が熱可塑性樹脂から構成されていれば良
い。例えば、細繊維表面を構成する成分が、ポリオレフ
ィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピ
レン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、結晶性ポリスチレン
系樹脂などの結晶性の熱可塑性樹脂、或いはポリ塩化ビ
ニル系樹脂、非晶性ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロ
ニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの非
晶性の熱可塑性樹脂で構成されていれば良い。
【0049】この融着可能な細繊維Cが2種類以上の成
分から構成されていると、1種類の成分が融着したとし
ても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維持
することができるため好適である。この2種類以上の成
分から構成されている場合の細繊維Cの横断面形状は、
例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド
型、多重バイメタル型、オレンジ型であることができ、
特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好まし
い。
【0050】また、細繊維Cは未延伸状態であることも
できるが、強度的に優れているように、延伸状態にある
のが好ましい。
【0051】なお、本発明の不織布Cは、繊維径、繊維
長、及び/又は成分の相違する細繊維Cを2種類以上含
んでいても良い。
【0052】本発明の不織布Cは上述のような極細繊維
Cと細繊維Cとから構成されているが、濾過性、分離
性、隠蔽性、液体保持性、或いは柔軟性など各種特性
と、適度な強度、寸法安定性、保型性、或いは厚さ保持
性とのバランスがより優れているように、不織布Cの平
均繊維径は0.1〜8μmであるのが好ましく、0.5
〜5μmであるのがより好ましい。また、不織布Cにお
ける平均繊維径が上記範囲内にあるように、極細繊維C
と細繊維Cとの質量比率は(極細繊維C):(細繊維
C)=10〜90:90〜10であるのが好ましく、2
0〜80:80〜20であるのがより好ましい。
【0053】本発明における「平均繊維径」は次のよう
にして得られる値をいう。 (1)繊維シートを構成する繊維の中で、繊維径及び/
又は比重の異なる繊維ごとに分類する。 (2)前記繊維径及び/又は比重の異なる繊維を、それ
ぞれX繊維(繊維径:径dμm、比重:ρg/c
、繊維シートの目付あたりにおけるX繊維の質
量:Zg/m)、X繊維(繊維径:dμm、比
重:ρg/cm、繊維シートの目付あたりにおける
繊維の質量:Zg/m)、・・・、X繊維
(繊維径:径dμm、比重:ρg/cm、繊維シ
ートの目付あたりにおけるX繊維の質量:Zg/m
)とする。 (3)繊維シートの目付あたりにおける全繊維の全体積
(Vt(cm))を次の式により算出する。 Vt=Z/ρ+Z/ρ+・・+Z/ρ (4)繊維シートの目付あたりにおける全繊維の総繊維
長(Lt(cm))を次の式により算出する。 Lt=4×10×(1/π)×(N+N+・・+
) ここで、N=Z/(d ・ρ)、N=Z
(d ・ρ)、N =Z/(d ・ρ)をそ
れぞれ意味する。 (5)前記(3)及び(4)の結果をもとに、繊維の単
位長さあたりの平均断面積(Sav(cm))を次の
式により算出する。 Sav=Vt/Lt (6)前記(5)の結果をもとに、平均繊維径(dav
(μm))を次の式により算出する。 dav=2×10×√(S/π)
【0054】本発明の不織布Cにおいては、極細繊維C
及び/又は細繊維Cが密着しにくいように、不織布Cに
付着した付着物(界面活性剤や糊剤など)の付着率が
0.5mass%以下と、極めて少ない量である。この
付着物の付着率が少なければ少ない程、前記効果に優れ
ているため、順に、0.3mass%以下、0.1ma
ss%以下、0.08mass%以下、0.06mas
s%以下、0.04mass%以下、0.02mass
%以下であるのが好ましく、理想的には0mass%で
ある。なお、付着物量が少ないことによって、汚染物質
を発生させる確率が極めて低くなるという、副次的効果
を奏する。このことは、汚染物質が問題となる用途、例
えば、濾過材用途、電池用セパレータに使用する場合に
大きな意味をもつ。
【0055】このような不織布Cの見掛密度は極細繊維
C及び細繊維Cが密着した状態にないため、0.005
g/cmという非常に低い見掛密度であることもでき
る。なお、不織布Cが採りうる見掛密度は、0.005
〜0.7g/cm程度である。この不織布Cは極細繊
維C及び細繊維Cが分散しており、地合いが優れている
ため、不織布Cの目付は2g/mという非常に低い目
付であることもできる。なお、不織布Cの採りうる目付
は2〜200g/m程度である。
【0056】本発明の要件Dを満足する繊維シート(以
下、「繊維シートD」と表記する)は上記A〜Cの要件
を満足しない繊維シート、つまり、前述のような不織布
A、不織布B、或いは不織布Cのいずれにも該当しない
繊維シートである。このような繊維シートDとして、例
えば、(1)極細繊維Aからなる、付着物の付着率が
0.5mass%を越える繊維シート、(2)細繊維B
からなる、付着物の付着率が0.5mass%を越える
繊維シート、(3)極細繊維Cと細繊維Cとからなる、
付着物の付着率が0.5mass%を越える繊維シー
ト、(4)繊維径が4μm以下で繊維長が3mmを超え
るか、実質的に長繊維からなる繊維シート、(5)繊維
径が4μmを超え、繊維長が10mmを超えるか、実質
的に長繊維からなる繊維シート、などを挙げることがで
きる。より具体的には、繊維シートDとして、カード不
織布、エアレイ不織布、湿式不織布、メルトブロー不織
布、スパンボンド不織布、織物、編物などを挙げること
ができる。
【0057】本発明の積層繊維シートは上述のような繊
維シートからなる層を2層以上有するものであり、かつ
平均繊維径の点において相違する隣接した繊維シート層
領域を含むため、各種用途に適合するものである。例え
ば、濾過材として使用すると、優れた濾過性能と低圧力
損失とを両立できる濾過材であり、電池用セパレータと
して使用すると、優れた分離性能と高いイオン透過性と
を両立できる電池用セパレータである。なお、繊維シー
トDのみからなる積層繊維シートは繊維同士が密着した
状態にあるため、本発明では採用することができない。
また、本発明の積層繊維シートは異なる要件を満足する
繊維シートからなる必要はなく、前記条件を満足するの
であれば、同じ要件を満足する繊維シートのみから構成
されていても良い。例えば、平均繊維径の点で異なる2
種類以上の不織布Cのみから構成されていても良い。
【0058】本発明の積層繊維シートは前述のような繊
維シートからなる層を2層以上有していれば良く、その
層の数は用途によって適宜設定することができ、特に限
定するものではない。
【0059】また、平均繊維径の点において相違する隣
接した繊維シート層領域を含んでいれば良く、隣接した
繊維シート層の全てが平均繊維径の点で相違している必
要はない。しかしながら、隣接した繊維シート層の全て
が平均繊維径の点で相違しているのが好ましく、特に、
積層繊維シートの一方の表面を構成する繊維シート層か
ら他方の表面を構成する繊維シート層にかけて、隣接す
る繊維シートの平均繊維径が順に大きく又は小さくなっ
ているのが好ましい。このような状態となっていること
によって、前述のような各種効果がより優れているため
である。このような場合、その平均繊維径の差は一定で
あっても不規則であっても良い。
【0060】なお、前記領域においては、隣接する繊維
シート平均繊維径の点において相違していれば良く、そ
の程度は特に限定するものではない。一般的には、隣接
する繊維シート間における平均繊維径の差は0.1〜2
0μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであるの
がより好ましく、0.1〜5μmであるのが更に好まし
い。
【0061】本発明の積層繊維シートは隣接する繊維シ
ート層間の繊維が互いに絡合しているのが好ましい。こ
のように絡合していることによって、繊維シート間にお
ける剥離が生じにくくなるためである。なお、この絡合
は流体流(特に水流)及び/又はニードルによって実施
することができる。前者の流体流により絡合している
と、比較的密な絡合構造になりやすく、後者のニードル
により絡合していると、比較的粗な絡合構造になりやす
いため、適用用途によって、適宜選択することができ
る。なお、絡合の程度は平均繊維径の点において相違す
る隣接した繊維シート層領域が消失しない限り特に限定
するものではなく、実験的に絡合条件を確認することが
できる。
【0062】本発明の積層繊維シートは構成繊維(極細
繊維A、細繊維B、極細繊維C、細繊維C、及び/又は
繊維シートDの構成繊維)が融着しているのが好まし
い。構成繊維が融着していることによって、積層繊維シ
ートの形態が安定するとともに、構成繊維の脱落が生じ
にくくなり、しかも極細繊維A及び/又は極細繊維Cの
配置が乱れることなく結合できるため、繊維同士が密着
しておらず、適度な空隙を保った状態であることができ
るためである。なお、構成繊維全てが融着している必要
はなく、一部の構成繊維が融着しているだけでも前記効
果を奏する。
【0063】本発明の積層繊維シートは熱成型されてい
るのが好ましい。熱成型されていることによって、各種
用途に適合しやすいという効果を奏する。その形状は用
途によって異なるため、特に限定するものではないが、
例えば、平板状、ジグザグ状、袋状、円筒状、お椀状な
どを挙げることができる。
【0064】本発明の積層繊維シートは前述の通り、不
織布A、不織布B、不織布C、及び繊維シートDの中か
ら選ばれる繊維シート層を2層以上(繊維シートDのみ
からなる場合を除く)有し、かつ平均繊維径の点におい
て相違する隣接した繊維シート層領域を含むものである
ため、本発明の積層繊維シートを構成する繊維シートの
組合せは無限に存在する。これらの中でも、次の4つの
組合せからなる積層繊維シートが特に好適である。
【0065】(1)繊維シートDからなる層と不織布A
からなる層とを含む積層繊維シート。この積層繊維シー
トは濾過性、分離性、隠蔽性、或いは柔軟性など各種特
性に加えて、形態保持性に優れており、特に濾過材用途
に好適に使用することができる。この積層繊維シートに
おいては、隣接する繊維層間の繊維が流体流及び/又は
ニードルによって互いに絡合しているのが好ましく、絡
合に加えて又は替えて構成繊維が融着しているのが好ま
しい。なお、熱成型されているのも好適な実施態様であ
る。
【0066】この積層繊維シートにおいては、更に不織
布Cからなる層を備えているのが好ましい。この積層繊
維シートは濾過性能や液体保持性が更に向上するととも
に、優れた形態保持性を有し、濾過材として使用した場
合には、低圧力損失の濾過材とすることができる。この
積層繊維シートにおいては、積層繊維シートの一方の表
面を構成する繊維シート層から他方の表面を構成する繊
維シート層にかけて、隣接する繊維シートの平均繊維径
が順に大きく又は小さくなっているのが好ましく、繊維
シートD、不織布C、不織布Aの順に積層した状態にあ
り、順に平均繊維径が小さくなるのが好ましい。
【0067】(2)繊維シートDからなる層と不織布C
からなる層とを含む積層繊維シート。この積層繊維シー
トは濾過性、分離性、隠蔽性、液体保持性、或いは柔軟
性など各種特性と、適度な強度、寸法安定性、保型性、
或いは厚さ保持性との両立性に特に優れている。特に濾
過材用途に使用すると、優れた濾過性能と低い圧力損失
を両立することができる。この積層繊維シートにおいて
は、積層繊維シートの一方の表面を構成する繊維シート
層から他方の表面を構成する繊維シート層にかけて、隣
接する繊維シートの平均繊維径が順に大きく又は小さく
なっているのが好ましい。また、前述のように、隣接す
る繊維層間の繊維が流体流及び/又はニードルによって
互いに絡合しているのが好ましく、絡合に加えて又は替
えて構成繊維が融着しているのが好ましい。なお、熱成
型されているのも好適な実施態様である。
【0068】(3)不織布Aからなる層と不織布Bから
なる層とを含む積層繊維シート。この積層繊維シートは
濾過性、分離性、隠蔽性、或いは柔軟性など各種特性に
加えて、適度な強度、寸法安定性、保型性、或いは厚さ
保持性を有するものである。また、付着物量が少ないた
め、汚染物質の発生を好まない用途、例えば、濾過材用
途や電池用セパレータ用途に好適に使用できる。この積
層繊維シートにおいては、積層繊維シートの一方の表面
を構成する繊維シート層から他方の表面を構成する繊維
シート層にかけて、隣接する繊維シートの平均繊維径が
順に大きく又は小さくなっているのが好ましい。また、
前述のように、隣接する繊維層間の繊維が流体流及び/
又はニードルによって互いに絡合しているのが好まし
く、絡合に加えて又は替えて構成繊維が融着しているの
が好ましい。なお、熱成型されているのも好適な実施態
様である。
【0069】(4)不織布Cのみからなる積層繊維シー
ト。この積層繊維シートは濾過性、分離性、隠蔽性、液
体保持性、或いは柔軟性など各種特性と、適度な強度、
寸法安定性、保型性、或いは厚さ保持性との両立性に特
に優れている。特に濾過材用途に使用すると、優れた濾
過性能と低い圧力損失を両立することができる。この積
層繊維シートにおいては、積層繊維シートの一方の表面
を構成する繊維シート層から他方の表面を構成する繊維
シート層にかけて、隣接する繊維シートの平均繊維径が
順に大きく又は小さくなっているのが好ましい。また、
前述のように、隣接する繊維層間の繊維が流体流及び/
又はニードルによって互いに絡合しているのが好まし
く、絡合に加えて又は替えて構成繊維が融着しているの
が好ましい。なお、熱成型されているのも好適な実施態
様である。
【0070】本発明の積層繊維シートは繊維が密着して
おらず、しかも平均繊維径の点において相違する隣接し
た繊維シート層領域を含んでいるため、各種用途に適用
することができる。例えば、気体用濾過材(例えば、ヘ
パフィルタ用濾過材、ウルパフィルタ用濾過材、インテ
ークフィルタ用濾過材、ケミカルフィルタ用濾過材、脱
臭フィルタ用濾過材、消臭フィルタ用濾過材、バグフィ
ルタ用濾過材など)、液体用濾過材(例えば、カートリ
ッジフィルタ用濾過材、アフィニティー分離用濾過材、
イオン交換フィルタ用濾過材など)、マスク用濾過材
(手術用、産業用など)として使用すると、高効率かつ
低圧力損失の濾過材として使用することができる。この
他にも、フィルタプレス、手術用ドレープ、手術用ガウ
ン、おむつカバーリング、電池用セパレータ、吸水シー
ト(加湿器用など)、触媒担持材料などの各種用途に使
用することができる。
【0071】なお、本発明の積層繊維シートは各種用途
に適合するように、各種後処理が施されていても良い。
例えば、コロナ放電などの帯電処理、フッ素ガス処理、
プラズマ処理、硫酸処理などの親水化処理、撥水処理な
どを挙げることができる。
【0072】また、各種機能を付加するために、各種粉
体が固着していても良い。例えば、脱臭粉体、イオン交
換樹脂粉体、重金属吸着粉体、ケミカル除去粉体、アフ
ィニティー分離粉体、脱ガス粉体などを挙げることがで
きる。
【0073】本発明の積層繊維シートは、例えば、個々
の繊維シートを形成した後に、繊維シートを積層し、繊
維シート間を、例えば、流体流及び/又はニードルによ
る絡合、繊維シートを構成する繊維による融着、エマル
ジョン、サスペンジョン、或いは溶液状のバインダによ
る接着、或いはこれらを併用して製造することができ
る。或いは、繊維シートD、不織布A〜Cの基となる繊
維ウエブA〜C、或いは繊維シートDの基となる繊維ウ
エブD上に、不織布A〜Cの基となる繊維ウエブA〜C
及び/又は繊維シートDの基となる繊維ウエブDを積層
し、繊維ウエブA〜Cから不織布A〜Cを形成、及び/
又は繊維シートDを形成すると同時に、例えば、流体流
及び/又はニードルによる絡合、繊維ウエブA〜D及び
/又は繊維シートDを構成する繊維による融着、エマル
ジョン、サスペンジョン、或いは溶液状のバインダによ
る接着、或いはこれらを併用し、繊維シート間を結合し
て製造することができる。以下、前者の方法をもとに説
明するが、積層する段階が異なるだけで、全く同様にし
て製造することができる。
【0074】まず、不織布Aの製造方法について説明す
ると、まず、付着物の付着率が0.5mass%以下
(順に、0.3mass%以下、0.1mass%以
下、0.08mass%以下、0.06mass%以
下、0.04mass%以下、0.02mass%以
下、であるのが好ましい)の極細繊維Aの集合体を用意
する。この集合体は前述のような極細繊維Aが集合した
ものであり、その数は特に限定されるものではない。ま
た、その集合状態も特に限定されるものではないが、例
えば、規則正しく一定方向に極細繊維Aが配向した束状
態、ランダムに配向した凝集状態、などを挙げることが
できる。これらの中でも、束状態であると、後述の圧縮
気体の作用による分散性に優れているため好適である。
なお、極細繊維Aが絡んだ状態にあると、後述のような
圧縮気体の作用によっても、極細繊維Aを個々の極細繊
維Aに開繊し、均一に分散させるのが困難になる傾向が
あるため、極細繊維Aは絡んだ状態にないのが好まし
い。例えば、機械的に分割可能な分割性繊維をビーター
などによって叩解した極細繊維の集合体、ビーターなど
によって叩解したパルプ、或いはフラッシュ紡糸法によ
り得られた極細繊維は、極細繊維同士が絡んだ状態にあ
るため使用しないのが好ましい。なお、圧縮気体の作用
によって極細繊維Aを発生し、極細繊維Aが絡んだ状態
となる、極細繊維A発生可能繊維(例えば、全芳香族ポ
リアミド繊維、溶剤抽出法により得られたセルロース繊
維など)の集合体は使用することができる。
【0075】この極細繊維Aの集合体として、繊維径、
繊維長、或いは成分の点で異なる極細繊維Aの集合体を
組み合わせて使用しても良い。
【0076】このような極細繊維Aの集合体は、例え
ば、複合紡糸法又は混合紡糸法により製造した海島型繊
維の海成分を除去することによって、島成分からなる極
細繊維Aを発生させたり、スーパードロー法で製造する
ことができる。なお、2成分以上からなる極細繊維Aは
海島型繊維を紡糸する際に島成分が2成分以上となるよ
うに樹脂を供給したり、スーパードロー法により製造す
る際に、2成分以上の樹脂を供給して製造することがで
きる。また、好適である束状態の極細繊維Aの集合体
は、複合紡糸法又は混合紡糸法により製造した海島型繊
維の海成分を除去することによって、得ることができ
る。
【0077】なお、スーパードロー法により製造した場
合には、例えば、アセトン、エタノール、或いはメタノ
ールなどの溶媒によって付着物の付着率が0.5mas
s%以下となるまで洗浄する。一方、海島型繊維の海成
分を抽出して形成した極細繊維Aの集合体は付着物の付
着率が0.5mass%以下の状態にあるが、この海島
型繊維の海成分を抽出して形成した極細繊維Aの集合体
であっても、アセトン、エタノール、或いはメタノール
などの溶媒によって洗浄し、付着物量を更に少なくする
のが好ましい。
【0078】このように界面活性剤や糊剤などの付着物
の付着率が低いことによって、後述のノズルと極細繊維
Aとの摩擦によって静電気が発生し、極細繊維A相互が
反発しあって、均一に分散しやすいという効果も奏す
る。
【0079】次いで、極細繊維Aの集合体をノズルへ供
給するとともに、圧縮気体の作用によりノズルから気体
中に噴出し、極細繊維Aの集合体から極細繊維Aを発生
させ、分散させる。
【0080】このノズルは極細繊維Aの供給側から噴出
側へ向かって、一定の横断面積を有するものであっても
良いし、連続的に又は不連続的に横断面積が小さくなる
ものであっても良いし、連続的に又は不連続的に横断面
積が大きくなるものであっても良いし、連続的に又は不
連続的に横断面積が大きくなった後に小さくなるもので
あっても良いし、或いは連続的に又は不連続的に横断面
積が小さくなった後に大きくなるものであっても良い。
【0081】なお、ノズルへ供給される圧縮気体の流れ
が渦巻き状であると、極細繊維A同士が絡み合って毛玉
を発生させたり、均一分散させることが困難になる傾向
があるため、ノズルへ供給される圧縮気体の流れは実質
的に層流であるのが好ましい。このように実質的に層流
である圧縮気体を供給できるノズルとして、例えば、ベ
ンチュリー管を挙げることができる。
【0082】また、ノズルの噴出部の前方に、極細繊維
Aの集合体及び/又は極細繊維Aと衝突して、個々の極
細繊維Aの発生を促進したり、発生した極細繊維Aの分
散を促進するために、衝突部材を設けるのが好ましい。
この衝突部材はどのような形状であっても良いが、前記
効果に優れるように、平板状衝突部材、釣鐘状の衝突部
材、円錐状の衝突部材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突
部とが一体化した衝突部材、或いは円錐状の突起部と平
板状の衝突部とが一体化した衝突部材、などを使用する
のが好ましく、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一
体化した衝突部材、又は円錐状の突起部と平板状の衝突
部とが一体化した衝突部材がより好ましい。
【0083】このような衝突部材は噴出された極細繊維
Aと衝突できるように、ノズル噴出口の前方に配置され
ていれば良いが、極細繊維Aの開繊性及び分散性に優れ
ているように、この衝突部材の平坦部(例えば、突起部
と衝突部を有する衝突部材においては衝突部のノズル噴
出口側表面、円錐状の衝突部材の場合は円錐の底面、釣
鐘状の衝突部材の場合は釣鐘の底面)とノズル噴出口と
の最短距離が1〜100mmであるように設置するのが
好ましく、5〜40mmであるように設置するのがより
好ましく、5〜30mmであるように設置するのが更に
好ましく、10〜30mmであるように設置するのが更
に好ましく、10〜20mmであるように設置するのが
最も好ましい。
【0084】また、釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部
材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化された
衝突部材、或いは円錐状の突起部と平板状の衝突部とが
一体化された衝突部材からなる場合、極細繊維Aの開繊
性及び分散性に優れているように、釣鐘状、円錐状、或
いは突起部の軸がノズル噴出口の中心と一致するように
配置するのが好ましい。また、これら衝突部材を設置す
る場合には、繊維の開繊性及び分散性に優れているよう
に、釣鐘状、円錐状、或いは突起部の頂点がノズル噴出
口と対向するように設置するのが好ましい。
【0085】この圧縮気体はどのような気体を利用して
も良いが、空気を用いるのが製造上好適である。また、
圧縮気体は極細繊維Aの集合体から極細繊維Aを発生さ
せるとともに、極細繊維Aの分散を十分に行なうことが
できるように、ノズル噴出口における気体通過速度が1
00m/sec以上であるのが好ましい。同様の理由
で、圧縮気体の圧力は2kg/cm以上であるのが好
ましい。なお、この「気体通過速度」は、ノズルから噴
出された気体の1気圧における流量(m/sec)
を、ノズル噴出口における横断面積(m)で除した値
をいう。
【0086】また、ノズルから噴出された極細繊維Aを
分散させる分散媒体としての気体は、特に限定されるも
のではないが、空気であるのが製造上好適である。
【0087】次いで、この分散した極細繊維Aを集積し
て極細繊維ウエブAを形成する。この極細繊維Aの集積
は、例えば、多孔性のロールやネットなどの支持体を利
用して実施することができる。なお、極細繊維Aは自然
落下させて集積しても良いし、支持体の下方から気体を
吸引して集積しても良い。気体を吸引して集積する場
合、吸引力を強くすると、極細繊維A同士が密着した状
態となりやすいため、所望用途に応じて適宜設定するの
が好ましい。
【0088】次いで、この極細繊維ウエブAを結合して
不織布Aを製造することができる。この結合方法は不織
布Aを構成する繊維が密着しない方法であれば良く、特
に限定されるものではないが、例えば、極細繊維Aを融
着する方法、エマルジョン、ラテックス、或いは溶液状
のバインダーにより接着する方法、水流などの流体流や
ニードルにより絡合する方法、などを単独で、或いは併
用して結合することができる。これらの中でも極細繊維
Aを融着させる方法であると、極細繊維が密着していな
い状態を維持した状態で結合でき、しかも付着物量を増
やすこともないため好適である。
【0089】以上は、不織布Aの基本的な製造方法であ
るが、極細繊維Aがより均一に分散しやすいように、極
細繊維Aの集合体を圧縮気体の作用によりノズルから気
体中へ噴出させる前に、ミキサーなどを利用して極細繊
維Aの集合体をほぐすのが好ましい。また、極細繊維ウ
エブAを形成した後、極細繊維ウエブAを結合する前
に、極細繊維ウエブAを再度ノズルに供給し、極細繊維
Aをノズルから気体中に再噴出させて再分散させ、再
度、極細繊維ウエブAを形成することを繰り返し行って
も良い。
【0090】次に、本発明の不織布Aの製造方法につい
て、本発明の不織布Aを製造することのできる製造装置
の模式的断面図である図1をもとに説明する。
【0091】まず、極細繊維Aの集合体は混合装置10
によって適度に解される。
【0092】次いで、圧縮気体導入口20からノズル3
0へ圧縮気体を導入することによって、前記解された極
細繊維Aの集合体はノズル30へ供給される。この解さ
れた極細繊維Aの集合体は圧縮気体導入口20から導入
された圧縮気体の作用によって、ノズル30から勢いよ
く気体40へと噴出される。この気体40へ噴出される
際に、ノズル30内と気体40との気圧差、噴出された
圧縮気体と気体40との間に形成される乱流、圧縮気体
の膨張力、或いはノズル30の噴出口前方に設けた衝突
部材45との衝突、などの相互作用によって、極細繊維
A(70)を発生し、分散する。
【0093】この気体40中に分散した極細繊維A(7
0)は多孔性の支持体50上に集積して、極細繊維ウエ
ブA(80)を形成する。この製造装置においては、支
持体50の下方に位置する気体吸引装置60によって気
体を吸引できる。
【0094】このように形成した極細繊維ウエブA(8
0)はそのまま熱融着装置90へ供給され、この熱融着
装置90の熱の作用により極細繊維Aが融着して不織布
A(83)を形成する。そして、この不織布A(83)
は巻き取り装置100により巻き取られる。
【0095】次に、不織布Bの製造方法について説明す
る。まず、付着物の付着率が0.5mass%以下(順
に、0.3mass%以下、0.1mass%以下、
0.08mass%以下、0.06mass%以下、
0.04mass%以下、0.02mass%以下、で
あるのが好ましい)の細繊維Bの集合体を用意する。こ
の集合体は前述のような細繊維Bが集合したものであ
り、その数は特に限定されるものではない。また、その
集合状態も特に限定されるものではないが、例えば、規
則正しく一定方向に細繊維Bが配向した束状態、ランダ
ムに配向した凝集状態、などを挙げることができる。こ
れらの中でも、束状態であると、後述の圧縮気体の作用
による分散性に優れているため好適である。なお、細繊
維Bが絡んだ状態にあると、後述のような圧縮気体の作
用によっても、細繊維Bを均一に分散させるのが困難に
なる傾向があるため、細繊維Bは絡んだ状態にないのが
好ましい。この細繊維Bの集合体として、繊維径、繊維
長、或いは成分の点で異なる細繊維Bの集合体を組み合
わせて使用しても良い。このような細繊維Bの集合体
は、例えば、市販の繊維を、例えば、アセトン、エタノ
ール、或いはメタノールなどの溶媒によって付着物の付
着率が0.5mass%以下となるまで洗浄して得るこ
とができる。このように界面活性剤や糊剤などの付着物
の付着率が低いことによって、後述のノズルと細繊維B
との摩擦によって静電気が発生し、細繊維B相互が反発
しあって、均一に分散しやすいという効果も奏する。
【0096】本発明の不織布Bは上述のような細繊維B
の集合体を使用すること以外は不織布Aと全く同様にし
て製造することができる。つまり、(1)前述のような
細繊維Bの集合体を圧縮気体の作用によりノズルから気
体中に噴出させて、細繊維Bの集合体から細繊維Bを発
生させ、分散させる工程、(2)分散した細繊維Bを集
積して細繊維ウエブBを形成する工程、(3)細繊維ウ
エブBを結合させる工程、により不織布Bを製造するこ
とができる。
【0097】次に、不織布Cの製造方法について説明す
ると、前述の極細繊維Aの集合体と同様の極細繊維Cの
集合体、及び前述の細繊維Bの集合体と同様の細繊維C
の集合体とを用意し、これら極細繊維Cの集合体と細繊
維Cの集合体を使用すること以外は不織布Aと全く同様
にして製造することができる。つまり、(1)前述のよ
うな極細繊維Cの集合体と細繊維Cの集合体を圧縮気体
の作用によりノズルから気体中に噴出させて、極細繊維
Cの集合体から極細繊維Cを発生させ、分散させると同
時に、細繊維Cの集合体から細繊維Cを発生させ、分散
させる工程、(2)分散した極細繊維C及び細繊維Cを
集積して混合繊維ウエブCを形成する工程、(3)混合
繊維ウエブCを結合させる工程、により不織布Cを製造
することができる。
【0098】なお、不織布Cの製造方法においては、極
細繊維Cと細繊維Cとの質量比率を適宜調整(好ましく
は、(極細繊維C):(細繊維C)=10〜90:90
〜10)し、不織布Cの平均繊維径が0.1〜8μmと
なるように、極細繊維Cの集合体と細繊維Cの集合体を
配合するのが好ましい。
【0099】また、極細繊維Cの集合体と細繊維Cの集
合体の配合比率を、連続的に又は不連続的に変化させな
がらノズルへ供給しても良い。このようにすると、極細
繊維Cの量と細繊維Cの量が連続的又は不連続的に変化
する不織布Cを製造することができる。
【0100】そして、繊維シートDは常法により製造す
ることができる。
【0101】例えば、(1)極細繊維Aからなる付着物
の付着率が0.5mass%を越える繊維シートは、例
えば、前述のような不織布Aを製造する方法において、
極細繊維Aとして付着物の付着率が0.5mass%を
超えるものを使用したり、常法の湿式法により製造する
ことができる。
【0102】(2)細繊維Bからなる付着物の付着率が
0.5mass%を越える繊維シートは、前述のような
不織布Bを製造する方法において、細繊維Bとして付着
物の付着率が0.5mass%を超えるものを使用した
り、常法の湿式法により製造することができる。
【0103】(3)極細繊維Cと細繊維Cとからなる付
着物の付着率が0.5mass%を越える繊維シート
は、前述のような不織布Cを製造する方法において、極
細繊維C及び/又は細繊維Cとして付着物の付着率が
0.5mass%を超えるものを使用したり、常法の湿
式法により製造することができる。
【0104】(4)繊維径が4μm以下で繊維長が3m
mを超えるか、実質的に長繊維からなる繊維シートは、
例えば、常法のメルトブロー法や湿式法により製造する
ことができる。
【0105】(5)繊維径が4μmを超え、繊維長が1
0mmを超えるか、実質的に長繊維からなる繊維シート
は、例えば、常法のカード法、エアレイ法、湿式法、メ
ルトブロー法、スパンボンド法、或いは常法の織機又は
編機によって製造することができる。
【0106】次いで、不織布A、不織布B、不織布C、
繊維シートDから平均繊維径の点において相違する2種
類以上の繊維シートを所望特性にしたがって選択(但
し、不織布A〜Cの少なくとも1種類は必ず含む)し、
積層する。なお、3種類以上の繊維シートを選択した場
合には、一方の表面を構成する繊維シート層から他方の
表面を構成する繊維シート層にかけて、隣接する繊維シ
ートの平均繊維径が順に大きく又は小さくなるように積
層するのが好ましい。好ましい繊維シートの組合せとし
ては、(1)繊維シートDと不織布Aの組合せ、(2)
繊維シートDと不織布Cの組合せ、(3)不織布Aと不
織布Bの組合せ、(4)不織布Cのみの組合せ、であ
る。
【0107】次いで、例えば、流体流(好ましくは水
流)及び/又はニードルによる絡合、繊維シートを構成
する繊維による融着、エマルジョン、サスペンジョン、
或いは溶液状のバインダーによる接着、或いはこれらを
併用し、積層した繊維シートの繊維シート間を結合し
て、本発明の積層繊維シートを製造することができる。
なお、流体流(好ましくは水流)及び/又はニードルに
よる絡合は、積層繊維シートを構成する繊維が密着しす
ぎないように、各用途に応じて適宜調整すれば良く、絡
合条件は特に限定するものではない。また、積層繊維シ
ートを構成する繊維により融着する場合、繊維シート間
の融着が強固であるように、構成繊維が密着しすぎない
程度の圧力を加えても良い。この場合の圧力も各用途に
応じて適宜調整すれば良く、圧力条件は特に限定するも
のではない。また、繊維シート間を融着させるのと同時
又は別に、熱成型し、各種用途に適合する形状とするこ
ともできる。
【0108】以上は、個々の繊維シートを製造した後に
積層して積層繊維シートを製造する方法であるが、繊維
シートを形成するのと同時に積層繊維シートを製造する
場合には、前述のような不織布A、不織布B、或いは不
織布Cの基となる極細繊維ウエブA、細繊維ウエブB、
或いは混合繊維ウエブCを、不織布A、極細繊維ウエブ
A、不織布B、細繊維ウエブB、不織布C、混合繊維ウ
エブC、或いは繊維シートD(場合により繊維シートD
の基となる繊維ウエブD)の上に形成又は積層した後
に、上述と同様に、例えば、流体流(好ましくは水流)
及び/又はニードルによる絡合、繊維シートを構成する
繊維による融着、エマルジョン、サスペンジョン、或い
は溶液状のバインダーによる接着、或いはこれらを併用
して、繊維ウエブから不織布又は繊維シートを形成する
のと同時に、積層繊維シートを製造することができる。
【0109】なお、本発明の積層繊維シートが各種用途
に適合するように、各種後処理を実施することができ
る。例えば、コロナ放電などの帯電処理、フッ素ガス処
理、プラズマ処理、硫酸処理などの親水化処理、撥水処
理などを挙げることができる。
【0110】また、各種機能を付加するために、各種粉
体が固着していても良い。例えば、脱臭粉体、イオン交
換樹脂粉体、重金属吸着粉体、ケミカル除去粉体、アフ
ィニティー分離粉体、脱ガス粉体などを挙げることがで
きる。
【0111】また、各種機能を付加するために、各種粉
体が固着させることができる。例えば、脱臭粉体、イオ
ン交換樹脂粉体、重金属吸着粉体、ケミカル除去粉体、
アフィニティー分離粉体、脱ガス粉体などを固着させる
ことができる。
【0112】以下に、本発明の実施例を記載するが、本
発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0113】
【実施例】(各種繊維の準備) (極細繊維A1)ポリ乳酸からなる海成分中に、高密度
ポリエチレンとポリプロピレンとからなる島成分が25
個存在する、複合紡糸法により得た海島型繊維(繊度:
1.7dtex、長さ:1mmに切断されたもの)を用
意した。この海島型繊維を10mass%水酸化ナトリ
ウム水溶液中に浸漬して、海成分であるポリ乳酸を加水
分解により抽出除去した後、風乾して、高密度ポリエチ
レンとポリプロピレンとが混在した極細繊維A1(繊維
径:2μm、切断繊維長:1mm、フィブリル化してい
ない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同
じ直径を有する、付着物の付着率:0.02mass%
未満、横断面形状:海島型)が束状となった、極細繊維
A1の束状集合体を用意した。
【0114】(極細繊維A2)ポリ乳酸からなる海成分
中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在す
る、複合紡糸法により得た海島型繊維(繊度:1.7d
tex、長さ:1mmに切断されたもの)を用意した。
この海島型繊維を10mass%水酸化ナトリウム水溶
液中に浸漬して、海成分であるポリ乳酸を加水分解によ
り抽出除去した後、風乾して、ポリプロピレン極細繊維
A2(繊維径:2μm、切断繊維長:1mm、フィブリ
ル化していない、延伸されている、繊維軸方向において
実質的に同じ直径を有する、付着物の付着率:0.02
mass%未満、横断面形状:海島型)が束状となっ
た、極細繊維A2の束状集合体を用意した。
【0115】(極細繊維A3)ポリ乳酸からなる海成分
中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在す
る、複合紡糸法により得た海島型繊維(繊度:6.0d
tex、長さ:1mmに切断されたもの)を用意した。
この海島型繊維を10mass%水酸化ナトリウム水溶
液中に浸漬して、海成分であるポリ乳酸を加水分解によ
り抽出除去した後、風乾して、ポリプロピレン極細繊維
A3(繊維径:4μm、切断繊維長:1mm、フィブリ
ル化していない、延伸されている、繊維軸方向において
実質的に同じ直径を有する、付着物の付着率:0.02
mass%未満、横断面形状:海島型)が束状となっ
た、極細繊維A3の束状集合体を用意した。
【0116】(細繊維B1)ポリエチレンを鞘成分と
し、ポリプロピレンを芯成分とする芯鞘型複合細繊維
(繊維径:11.2μm、切断繊維長:3mm、延伸状
態にある、チッソ(株)製)の束状集合体を、温度80
℃の熱水及びエチルアルコール中で繊維油剤を十分除去
し、付着物の付着率を0.02mass%未満とした、
芯鞘型複合細繊維B1の束状集合体を用意した。
【0117】(細繊維B2)ポリエチレンを鞘成分と
し、ポリプロピレンを芯成分とする芯鞘型複合細繊維
(繊維径:21.6μm、切断繊維長:3mm、延伸状
態にある、チッソ(株)製)の束状集合体を、温度80
℃の熱水及びエチルアルコール中で繊維油剤を十分除去
し、付着物の付着率を0.02mass%未満とした、
芯鞘型複合細繊維B2の束状集合体を用意した。
【0118】(極細繊維C1)極細繊維A1の束状集合
体と同じ束状集合体を極細繊維C1の束状集合体とし
た。
【0119】(極細繊維C3)極細繊維A3の束状集合
体と同じ束状集合体を極細繊維C3の束状集合体とし
た。
【0120】(細繊維C1)細繊維B1の束状集合体と
同じ集合体を細繊維C1の束状集合体とした。
【0121】(細繊維C2)細繊維B2の束状集合体と
同じ集合体を細繊維C2の束状集合体とした。
【0122】(実施例1)細繊維B1の束状集合体をミ
キサーに供給して解すとともに混合した後、噴出口にお
ける横断面形状が円形(直径:8.5mm)のベンチュ
リー管へ圧縮気体導入口から圧縮空気(圧力:6kg/
cm、実質的に層流)を導入することにより、前記解
した細繊維B1の束状集合体をベンチュリー管へ供給し
て、前記ベンチュリー管から前記細繊維B1の束状集合
体を空気中に噴出(ベンチュリー管の噴出口における気
体通過速度:147m/s、噴出口からの噴出量:約
0.5m/min.)し、前記ベンチュリー管の噴出
口前方に設けた衝突部材(円錐状の突起部と平板状の衝
突部とが一体化した衝突部材、衝突部材の衝突部のノズ
ル噴出部側表面との距離:15mm)に衝突させて、細
繊維B1を分散させた。
【0123】次いで、この分散させた細繊維B1を、移
動する支持体(ネット)上に載置しておいたポリエチレ
ンテレフタレート繊維からなる湿式不織布(目付:10
g/m、平均繊維径:10μm、)上に集積させ、細
繊維ウエブB1−湿式不織布積層体を形成した。なお、
集積させる際には、支持体の下に設置されたサクション
ボックスにより空気を吸引(0.7m/min.)し
た。
【0124】次いで、極細繊維A1の束状集合体と極細
繊維A2の束状集合体とを、50対50の質量比率でミ
キサーに供給して解すとともに混合した後、噴出口にお
ける横断面形状が円形(直径:8.5mm)のベンチュ
リー管へ圧縮気体導入口から圧縮空気(圧力:6kg/
cm、実質的に層流)を導入することにより、前記解
した極細繊維A1の束状集合体と極細繊維A2の束状集
合体をベンチュリー管へ供給して、前記ベンチュリー管
から前記極細繊維A1の束状集合体と極細繊維A2の束
状集合体を空気中に噴出(ベンチュリー管の噴出口にお
ける気体通過速度:147m/s、噴出口からの噴出
量:約0.5m/min.)し、前記ベンチュリー管
の噴出口前方に設けた衝突部材(円錐状の突起部と平板
状の衝突部とが一体化した衝突部材、衝突部材の衝突部
のノズル噴出部側表面との距離:15mm)に衝突させ
て、極細繊維A1及び極細繊維A2を分散させた。
【0125】次いで、この分散させた極細繊維A1及び
極細繊維A2を、前記のようにして形成した細繊維ウエ
ブB1−湿式不織布積層体の細繊維ウエブB1上に集積
させ、極細繊維ウエブA1、A2−細繊維ウエブB1−
湿式不織布積層体を形成した。なお、集積させる際に
は、支持体の下に設置されたサクションボックスにより
空気を吸引(0.7m/min)した。
【0126】次いで、前記極細繊維ウエブA1、A2−
細繊維ウエブB1−湿式不織布積層体を、温度140℃
に設定されたサクションドラムドライヤーに供給し、3
分間熱処理を実施して、極細繊維A1の高密度ポリエチ
レン成分及び細繊維B1のポリエチレン成分を融着さ
せ、不織布A1、A2−不織布B1−湿式不織布複合体
を製造した。その後、不織布A1、A2−不織布B1−
湿式不織布複合体から湿式不織布を剥離して、不織布A
1、A2−不織布B1積層不織布(目付:160g/m
、厚さ:3.2mm)を製造した。なお、不織布A
1、A2の目付は80g/mで、平均繊維径は2μm
であり、不織布B1の目付は80g/m、平均繊維径
は11.2μmであった。また、不織布A1、A2、不
織布B1ともに、付着物の付着率は0.02mass%
未満であった。
【0127】この不織布A1、A2−不織布B1積層不
織布の不織布B1側を上流側とし、DOP(粒子径:
0.3μm)、風速5.3cm/sec.の条件下でフ
ィルター試験を行った結果、捕集効率が99.98%で
圧力損失が235PaのHEPAフィルタレベルの性能
を満足した。また、この不織布A1、A2−不織布B1
積層不織布は良好な保型性を示し、プリーツ加工しやす
いものであった。
【0128】(実施例2)極細繊維C1の束状集合体、
極細繊維C3の束状集合体、及び細繊維C2の束状集合
体を、10:40:40の質量比でミキサーに供給した
こと以外は、実施例1と全く同様にして、混合繊維ウエ
ブC1−湿式不織布積層体を形成した。
【0129】次いで、極細繊維A1の束状集合体と極細
繊維A3の束状集合体とを、50対50の質量比でミキ
サーに供給したこと以外は、実施例1と全く同様にして
分散させた極細繊維A1及び極細繊維A3を、前記のよ
うにして形成した混合繊維ウエブC1−湿式不織布積層
体の混合繊維ウエブC1上に集積させ、極細繊維ウエブ
A1、A3−混合繊維ウエブC1−湿式不織布積層体を
形成した。
【0130】次いで、前記極細繊維ウエブA1、A3−
混合繊維ウエブC1−湿式不織布積層体を、温度140
℃に設定されたプレス機により加圧して、極細繊維A1
の高密度ポリエチレン成分、極細繊維C1の高密度ポリ
エチレン成分、及び細繊維C2のポリエチレン成分を融
着させ、不織布A1、A3−不織布C1−湿式不織布複
合体を製造した。その後、不織布A1、A3−不織布C
1−湿式不織布複合体から湿式不織布を剥離して、不織
布A1、A3−不織布C1積層不織布(目付:170g
/m、厚さ:1.5mm)を製造した。なお、不織布
A1、A3の目付は80g/m、平均繊維径は2.5
μmであり、不織布C1の目付は90g/m、平均繊
維径は4.2μmであった。また、不織布A1、A3、
不織布C1ともに、付着物の付着率は0.02mass
%未満であった。更に、この不織布A1、A3−不織布
C1積層不織布は適度な密度勾配と細孔径分布を有し、
液体用濾過材として適した構造を有していた。
【0131】(実施例3)ポリエステル繊維(繊維径:
17.5μm、繊維長:51mm、油剤付着量:0.3
%)をカード機により開繊して、繊維ウエブを形成し
た。次いで、この繊維ウエブをアクリルエマルジョンバ
インダ浴中に浸漬し、前記バインダを含浸し、熱風ドラ
イヤーで乾燥すると同時に前記バインダを架橋させて、
バインダ接着不織布D(目付:75g/m、厚さ:
0.6mm、繊維質量:バインダ質量=50:50、平
均繊維径:17.5μm)を製造した。
【0132】次いで、極細繊維A1の束状集合体と極細
繊維A3の束状集合体とを、50対50の質量比でミキ
サーに供給したこと、及び支持体上に前記バインダ接着
不織布Dを載置したこと以外は、実施例1と全く同様に
して、極細繊維ウエブA1、A3−バインダ接着不織布
積層体を形成した。
【0133】次いで、前記極細繊維ウエブA1、A3−
バインダ接着不織布積層体を、温度140℃に設定され
たサクションドラムドライヤーに供給し、3分間熱処理
を実施して、極細繊維A1の高密度ポリエチレン成分を
融着させ、不織布A1、A3−バインダ接着不織布積層
シート(目付:120g/m、厚さ:1.5mm)を
製造した。なお、不織布A1、A3の目付は45g/m
、平均繊維径は2.5μmであった。また、不織布A
1、A3の付着物の付着率は0.02mass%未満で
あった。
【0134】この不織布A1、A3−バインダ接着不織
布積層シートの不織布A1、A3側を上流側とし、大気
塵(0.3−0.5μm粒子)、風速10cm/sの条
件下でフィルタ試験を行なった結果、捕集効率が95.
3%で圧力損失が87Paの、捕集効率に優れ、圧力損
失の低いものであった。また、この不織布A1、A3−
バインダ接着不織布積層シートは良好な保型性を示し、
プリーツ加工しやすいものであった。
【0135】(実施例4)混合繊維ウエブC1の目付が
45g/mであること以外は、実施例2と全く同様の
混合繊維ウエブC1−湿式不織布積層体を形成した。
【0136】次いで、極細繊維C1の束状集合体、極細
繊維C3の束状集合体、及び細繊維C1の束状集合体と
を、10:40:40の質量比でミキサーに供給して解
すとともに混合した後、噴出口における横断面形状が円
形(直径:8.5mm)のベンチュリー管へ圧縮気体導
入口から圧縮空気(圧力:6kg/cm、実質的に層
流)を導入することにより、前記解した極細繊維C1の
束状集合体、極細繊維C3の束状集合体、及び細繊維C
1をベンチュリー管へ供給して、前記ベンチュリー管か
ら空気中に噴出(ベンチュリー管の噴出口における気体
通過速度:147m/s、噴出口からの噴出量:約0.
5m/min.)し、前記ベンチュリー管の噴出口前
方に設けた衝突部材(円錐状の突起部と平板状の衝突部
とが一体化した衝突部材、衝突部材の衝突部のノズル噴
出部側表面との距離:15mm)に衝突させて、極細繊
維C1、極細繊維C3、及び細繊維C1とを分散させ
た。
【0137】次いで、この分散させた極細繊維C1、極
細繊維C3、及び細繊維C1を、前記混合繊維ウエブC
1−湿式不織布積層体の混合繊維ウエブC1上に集積さ
せ、混合繊維ウエブC2−混合繊維ウエブC1−湿式不
織布積層体を形成した。なお、集積させる際には、支持
体の下に設置されたサクションボックスにより空気を吸
引(0.7m/min)した。
【0138】次いで、前記混合繊維ウエブC2−混合繊
維ウエブC1−湿式不織布積層体を、温度140℃に設
定されたサクションドラムドライヤーに供給し、3分間
熱処理を実施して、極細繊維C1の高密度ポリエチレン
成分、細繊維C1のポリエチレン成分、及び細繊維C2
のポリエチレン成分を融着させ、不織布C2−不織布C
1−湿式不織布複合体を製造した。その後、不織布C2
−不織布C1−湿式不織布複合体から湿式不織布を剥離
して、不織布C2−不織布C1積層不織布(目付:90
g/m、厚さ:1.8mm)を製造した。なお、不織
布C1の目付は45g/m、平均繊維径は4.2μm
であり、不織布C2の目付は45g/m 、平均繊維径
は4.1μmであった。また、不織布C1、不織布C2
ともに、付着物の付着率は0.02mass%未満であ
った。
【0139】この不織布C2−不織布C1積層不織布の
不織布C1側を上流側とし、大気塵(0.3−0.5μ
m粒子)、風速10cm/sの条件下でフィルタ試験を
行なった結果、捕集効率が93.0%で圧力損失が77
Paの、捕集効率に優れ、圧力損失の低いものであっ
た。また、この不織布C2−不織布C1積層不織布は良
好な保型性を示し、適度な密度勾配を有するものであっ
た。
【0140】(実施例5)実施例3と同様のバインダ接
着不織布D(目付:75g/m、厚さ:0.6mm、
繊維質量:バインダ質量=50:50、平均繊維径:1
7.5μm)を製造した。
【0141】次いで、極細繊維C1の束状集合体、極細
繊維C3の束状集合体、及び細繊維C2の束状集合体と
を、10:40:40の質量比でミキサーに供給したこ
と、及び支持体上に前記バインダ接着不織布Dを載置し
たこと以外は、実施例1と全く同様にして、混合繊維ウ
エブC1−バインダ接着不織布積層体を形成した。
【0142】次いで、前記混合繊維ウエブC1−バイン
ダ接着不織布積層体を、温度140℃に設定されたサク
ションドラムドライヤーに供給し、3分間熱処理を実施
して、極細繊維C1の高密度ポリエチレン成分及び細繊
維C2のポリエチレン成分を融着させて、不織布C1−
バインダ接着不織布融着積層シートを製造した。次い
で、この不織布C1−バインダ接着不織布融着積層シー
トを水圧10kg/cm で水流絡合して、不織布C1
−バインダ接着不織布融着絡合積層シート(目付:15
5g/m、厚さ:1.45mm)を製造した。なお、
不織布C1の目付は80g/m、平均繊維径は4.2
μmであった。また、不織布C1の付着物の付着率は
0.02mass%未満であった。
【0143】この不織布C1−バインダ接着不織布融着
絡合積層シートの不織布C1側を上流側とし、大気塵
(0.3−0.5μm粒子)、風速10cm/sの条件
下でフィルタ試験を行なった結果、捕集効率が90.1
%で圧力損失が84Paの、捕集効率に優れ、圧力損失
の低いものであった。また、この不織布C1−バインダ
接着不織布融着絡合積層シートは良好な保型性を示し、
プリーツ加工しやすいものであった。
【0144】(実施例6)細繊維B2の束状集合体をミ
キサーに供給したこと以外は、実施例1と同様にして、
細繊維ウエブB2−湿式不織布D積層体を形成した。
【0145】次いで、極細繊維C1の束状集合体、極細
繊維C3の束状集合体、及び細繊維C1の束状集合体と
を、10:40:40の質量比率でミキサーに供給した
こと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維C1、極
細繊維C3、及び細繊維C1を、前記細繊維ウエブB2
−湿式不織布D積層体の細繊維ウエブB2上に集積さ
せ、混合繊維ウエブC2−前記細繊維ウエブB2−湿式
不織布D積層体を形成した。
【0146】次いで、前記混合繊維ウエブC2−前記細
繊維ウエブB2−湿式不織布D積層体を、針密度80本
/cmで絡合させた後、温度140℃に設定されたサ
クションドラムドライヤーに供給し、3分間熱処理を実
施して、極細繊維C1の高密度ポリエチレン成分、細繊
維C1のポリエチレン成分、及び細繊維B2のポリエチ
レン成分を融着させ、不織布C2−不織布B2−湿式不
織布D複合体(目付:170g/m、厚さ:2.0m
mを製造した。なお、不織布C2の目付は80g/
、平均繊維径は4.1μmであり、不織布B2の目
付は80g/m、平均繊維径は21.6μmであり、
湿式不織布Dの目付は10g/m、平均繊維径は10
μmであった。また、不織布C2、不織布B2ともに、
付着物の付着率は0.02mass%未満であった。
【0147】この不織布C2−不織布B2−湿式不織布
D複合体は、互いの繊維が層(厚さ)方向によく絡み合
い、厚さ方向に孔径分布を有する、気体あるいは液体用
濾過材として優れた構造を有していた。
【0148】(比較例)実施例3と全く同様に、バイン
ダ接着不織布D(目付:75g/m、厚さ:0.6m
m、繊維質量:バインダ質量=50:50、平均繊維
径:17.5μm)を製造した。
【0149】このバインダ接着不織布Dの大気塵(0.
3−0.5μm粒子)、風速10cm/sの条件下でフ
ィルタ試験を行なった結果、捕集効率が16%で圧力損
失が12Paの、非常に捕集効率の悪いものであった。
また、バインダ接着不織布Dから繊維油剤や界面活性
剤、及びバインダの一部のオリゴマーが溶出するため、
液体用濾過材や高性能空調用フィルタの濾過材として不
適であった。
【0150】
【発明の効果】本発明の積層繊維シートは繊維同士の密
着性が低く、各種用途に適合させることができる。例え
ば、濾過材として使用すると、優れた濾過性能と低圧力
損失を両立できる濾過材であり、電池用セパレータとし
て使用すると、優れた分離性能と高いイオン透過性を両
立できる電池用セパレータである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の不織布A、不織布B、及び不織布C
を製造することのできる不織布製造装置の模式的断面図
【符号の説明】
10 混合装置 20 圧縮気体導入口 30 ノズル 40 気体 45 衝突部材 50 支持体 60 気体吸引装置 70 極細繊維A、細繊維B、極細繊維C及び細繊維C 80 極細繊維ウエブA、細繊維ウエブB、混合繊維ウ
エブC 83 不織布A、不織布B、不織布C 90 熱融着装置 100 巻き取り装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK04 AK05 AK07 AK42 AT00B BA02 BA03 BA04 BA05 BA14 DG01A DG01B DG06A DG06B DG15A DG19A DG20 EC09 EJ17 GB56 JL11 YY00A 4L031 AB34 BA11 CA01 DA00 4L047 AA27 AB02 AB07 AB08 BA03 BA04 BA21 CA02 CC12 DA00 5H021 CC02 CC04 EE02 EE03 EE04 EE05 EE07 EE08 HH01 HH03

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のA〜Dの要件を満足する繊維シー
    ト層を2層以上有する積層繊維シートであって、平均繊
    維径の点において相違する隣接した繊維シート層領域を
    含むことを特徴とする積層繊維シート(但し、Dの要件
    を満足する繊維シートのみからなる積層繊維シートは除
    く)。 記 A:繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊
    維からなり、付着物の付着率が0.5mass%以下で
    ある不織布 B:繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊維
    長が10mm以下の細繊維からなり、付着物の付着率が
    0.5mass%以下である不織布 C:繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊
    維と、繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊
    維長が10mm以下の細繊維とからなる、付着物の付着
    率が0.5mass%以下である不織布 D:上記A〜Cの要件を満足しない繊維シート
  2. 【請求項2】 要件Cを満足する不織布における、極細
    繊維と細繊維との質量比率が10〜90:90〜10で
    あることを特徴とする、請求項1記載の積層繊維シー
    ト。
  3. 【請求項3】 要件Cを満足する不織布の平均繊維径が
    0.1〜8μmであることを特徴とする、請求項1又は
    請求項2記載の積層繊維シート。
  4. 【請求項4】 積層繊維シートの一方の表面を構成する
    繊維シート層から他方の表面を構成する繊維シート層に
    かけて、隣接する繊維シートの平均繊維径が順に大きく
    又は小さくなっていることを特徴とする、請求項1〜請
    求項3のいずれかに記載の積層繊維シート。
  5. 【請求項5】 隣接する繊維シート層間の繊維が互いに
    絡合していることを特徴とする、請求項1〜請求項4の
    いずれかに記載の積層繊維シート。
  6. 【請求項6】 前記絡合が流体流及び/又はニードルに
    よってなされたものであることを特徴とする、請求項5
    に記載の積層繊維シート。
  7. 【請求項7】 積層繊維シートを構成している繊維が融
    着していることを特徴とする、請求項1〜請求項6のい
    ずれかに記載の積層繊維シート。
  8. 【請求項8】 熱成型されていることを特徴とする、請
    求項1〜請求項7のいずれかに記載の積層繊維シート。
  9. 【請求項9】 要件Dを満足する繊維シート層と要件A
    を満足する不織布層とを含むことを特徴とする、請求項
    1〜請求項8のいずれかに記載の積層繊維シート。
  10. 【請求項10】 要件Dを満足する繊維シート層と要件
    Cを満足する不織布層とを含むことを特徴とする、請求
    項1〜請求項9のいずれかに記載の積層繊維シート。
  11. 【請求項11】 要件Aを満足する不織布層と要件Bを
    満足する不織布層とを含むことを特徴とする、請求項1
    〜請求項10のいずれかに記載の積層繊維シート。
  12. 【請求項12】 要件Cを満足する不織布層のみからな
    ることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに
    記載の積層繊維シート。
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