JP3931099B2 - 繊維ウエブ製造装置、繊維ウエブの製造方法、及び不織布 - Google Patents

繊維ウエブ製造装置、繊維ウエブの製造方法、及び不織布 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維ウエブ製造装置、繊維ウエブの製造方法、及び不織布に関する。特に、地合いの優れる繊維ウエブを製造することのできる装置、その製造方法、及び地合いの優れる不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布は構成繊維、繊維ウエブの形成方法、及び繊維ウエブの結合方法を適宜組み合わせることにより、各種機能を付与できるため、各種用途に適用されている。
【0003】
このような不織布のもととなる繊維ウエブとして、特開昭50−160563号公報には、「同種又は異種の連続剛性繊維束を等長、または二種以上の不等長短繊維束に連続的に切断しつつ、高速渦噴気流発生装置に供給し該渦噴気流によって短繊維束を解繊または開繊するとともに渦噴気流噴気口部に付設した概略円錐台形状のフードの作用により所定範囲に均一に分散混合落下させ、吸気堆積捕集したことを特徴とする繊維強化複合材料基材用の異品種混合および繊維長混合短繊維マット。」が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記公報には、フードの形状、フードと吸気堆積捕集するネットとの距離、吸引量などが繊維の均一分散性に大きな影響をもち、特に前記フードの形状が概略円錐台形状である場合に均一分散性に優れていることが開示されている。
【0005】
しかしながら、本願発明者らの検討によると、前記公報に記載のような概略円錐台形状のフードを使用しても繊維を均一に開繊することができず、地合いの悪い不織布しか製造できないことがわかった。
【0006】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたもので、圧縮気体を使用して、地合いの優れる繊維ウエブを製造できる装置、この製造方法、及び地合いの優れる不織布を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の繊維ウエブ製造装置は、「繊維を噴出できるノズルと、前記ノズルへの圧縮気体導入手段と、前記ノズルの噴出口の前方に位置し、前記ノズルから噴出した繊維と衝突して繊維を分散できる衝突部材と、前記衝突部材を囲むとともに、前記衝突部材との衝突によって分散する繊維を導く囲い部材、前記囲い部材によって導かれた繊維を捕集して繊維ウエブを形成できる捕集部材、とを備えている繊維ウエブ製造装置であり、前記囲い部材は前記捕集部材方向へ伸びており、かつ前記囲い部材の衝突部材側端部における横断面形状が円形であり、囲い部材の捕集部材側端部における横断面形状が長方形であることを特徴とする、繊維ウエブ製造装置。」である。このように本発明の繊維ウエブ製造装置は、衝突部材を設けること、及び囲い部材の横断面形状が変化することによって、繊維の均一分散性が向上し、結果として地合いの優れる不織布を製造できることを見出したものである。
【0008】
本発明の繊維ウエブの製造方法は、「繊維を噴出できるノズルへ繊維及び/又は繊維集合体を供給するとともに、前記ノズルへ圧縮気体を導入して、ノズルから繊維及び/又は繊維集合体を噴出させる工程と、前記ノズルの噴出口の前方に位置する衝突部材に、前記ノズルから噴出させた繊維及び/又は繊維集合体を衝突させて、繊維を分散させる工程と、前記衝突部材を囲む囲い部材によって、前記分散させた繊維を導く工程と、前記導かれた繊維を捕集部材で捕集して繊維ウエブを形成する工程、とを備えた繊維ウエブの製造方法であり、前記囲い部材として、前記捕集部材方向へ伸びており、かつ前記囲い部材の衝突部材側端部における横断面形状が円形であり、囲い部材の捕集部材側端部における横断面形状が長方形のものを使用することを特徴とする、繊維ウエブの製造方法。」である。このように、基本的に前記繊維ウエブ製造装置を使用する繊維ウエブの製造方法であるため、地合いの優れる繊維ウエブを製造できる方法である。
【0009】
本発明の不織布は上記製造方法により製造した、地合いの優れる繊維ウエブを用いたものであるため、地合いの優れる不織布である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維ウエブ製造装置について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明の繊維ウエブ製造装置を、捕集部材に対して垂直かつ捕集部材の流れ方向と平行な平面で切断した時の模式的断面図であり、図2は本発明の繊維ウエブ製造装置を、捕集部材に対して垂直かつ捕集部材の幅方向と平行な平面で切断した時の模式的断面図である。また、図3は捕集部材を除いた、本発明の繊維ウエブ製造装置の斜視図である。これらの図から明らかなように、本発明の繊維ウエブ製造装置10はノズル2、圧縮気体導入口3、衝突部材4、囲い部材5、及び捕集部材6とを備えている。
【0012】
図1におけるノズル2は供給された繊維及び/又は繊維集合体を、後述のような圧縮気体の作用によって、ノズル噴出口21から後述のような囲い部材5で形成された空間へ噴出する。
【0013】
図1におけるノズル2は圧縮気体供給側(紙面上、上側)からノズル噴出口21へ向かって、一定の横断面積を有するものであるが、本発明におけるノズルはこのようなノズルに限定されず、例えば、圧縮気体供給側からノズル噴出口21へ向かって、連続的に又は不連続的に横断面積が小さくなるノズル、連続的に又は不連続的に横断面積が大きくなるノズル、連続的に又は不連続的に横断面積が大きくなった後に小さくなるノズル、或いは連続的に又は不連続的に横断面積が小さくなった後に大きくなるノズルも使用することができる。これらの中でも、圧縮気体供給側からノズル噴出口21へ向かって、連続的に横断面積が大きくなるノズルは、繊維のつまりが発生せず、繊維を均一に分散させることができるため好適である。このようなノズルとして、例えば、ベンチュリー管を挙げることができる。
【0014】
このようなノズル2には、図1で示すように、圧縮気体導入口3が接続されている。そのため、圧縮気体導入手段によって、圧縮気体導入口3を介して圧縮気体を導入することによって、材料供給口1から繊維及び/又は繊維集合体をノズル2へ供給することができるとともに、ノズル2から繊維及び/又は繊維集合体が噴出された場合の圧縮気体の膨張力によって、開繊され、個々の繊維に分散させることができる。この圧縮気体導入手段(図示していない)としては、例えば、コンプレッサーなどを挙げることができる。この圧縮気体はどのような気体を利用しても良いが、空気を用いるのが製造上好適である。
【0015】
なお、圧縮気体導入手段によるノズル2への圧縮気体の供給が渦巻き状であると、繊維同士が絡み合い、繊維の分散性を低下させる傾向があるため、圧縮気体の流れが実質的に層流であるように、ノズル2へ圧縮気体を供給できるのが好ましい。
【0016】
また、圧縮気体は繊維の開繊性及び分散性を高めることができるように、ノズル噴出口21における気体通過速度が100m/sec以上であるように導入するのが好ましい。同様の理由で、圧縮気体の圧力は2kg/cm以上で導入するのが好ましい。更に、後述のような囲い部材5を設けることによって、囲い部材5の内壁に繊維が付着し、堆積しやすいため、長時間繊維ウエブを製造すると、堆積した繊維堆積物が脱落して、繊維ウエブの地合いを損なう場合があるため、後述のような囲い部材5の捕集部材側端部52における気体流速が1m/s以上(より好ましくは2m/s以上)であるように、圧縮気体を導入できる圧縮気体導入手段を使用するのが好ましい。なお、この「ノズル噴出口21における気体通過速度」は、ノズル2から噴出された気体の1気圧における流量(m/sec)を、ノズル噴出口21の横断面積(m)で除した値をいい、「囲い部材の捕集部材側端部における気体流速」は、囲い部材5の捕集部材側端部52からの気体流出量(m/sec)を、囲い部材5の捕集部材側端部52の横断面積(m)で除した値をいう。
【0017】
前述のようなノズル噴出口21の前方には、衝突部材4が配置されている。この衝突部材4が配置されていることによって、ノズル2から噴出された繊維及び/又は繊維集合体と衝突して、繊維の分散を促進させる。図1においては、この衝突部材4として、円錐状の突起部41と平板状の衝突部42とを備えたものを使用している。この衝突部材4の場合、円錐状の突起部41との衝突による開繊と、その突起部41の表面に沿って平板状の衝突部42へ到達した時の衝突部42との衝突により、開繊と繊維の移動方向を変更させて繊維の分散を促進させることができる。しかしながら、本発明の衝突部材はこのような衝突部材に限定されず、例えば、平板状衝突部材、釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材(図1又は図2の突起部41が釣鐘状となった衝突部材)などを使用することができる。図1又は図2の衝突部材4と同様の理由で、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化した衝突部材を好適に使用できる。
【0018】
このような衝突部材4は噴出された繊維と衝突できるように、ノズル噴出口21の前方に配置されていれば良いが、繊維の開繊性及び分散性に優れているように、この衝突部材4の平坦部(例えば、図1又は図2においては衝突部42のノズル噴出口21側表面、円錐状の衝突部材の場合は円錐の底面、釣鐘状の衝突部材の場合は釣鐘の底面)とノズル噴出口21との最短距離が1〜100mmであるように設置するのが好ましく、5〜40mmであるように設置するのがより好ましく、5〜30mmであるように設置するのが更に好ましく、10〜30mmであるように設置するのが更に好ましく、10〜20mmであるように設置するのが最も好ましい。
【0019】
また、衝突部材4が釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化された衝突部材、或いは円錐状の突起部41と平板状の衝突部42とが一体化された衝突部材4からなる場合、繊維の開繊性及び分散性に優れているように、釣鐘状、円錐状、或いは突起部の軸がノズル噴出口21の中心と一致するように配置するのが好ましい。また、これら衝突部材4を設置する場合には、繊維の開繊性及び分散性に優れているように、釣鐘状、円錐状、或いは突起部の頂点がノズル噴出口21と対向するように設置するのが好ましい。
【0020】
本発明の繊維ウエブ製造装置10においては、前述のような衝突部材4を囲むとともに、後述のような捕集部材6の方向へ伸びており、衝突部材4との衝突によって分散した繊維を捕集部材6へ導く囲い部材5を配置している。本発明においては、この囲い部材5として、衝突部材側端部51における横断面形状と、捕集部材側端部52における横断面形状が相違しているものを使用することによって、繊維を均一に分散させることができ、結果として地合いの優れる不織布を製造できることを見出した点に、特に特徴がある。
【0021】
図1、図2及び図3においては、衝突部材側端部51における横断面形状が円形であり、捕集部材側端部52における横断面形状が長方形である囲い部材5を使用している。このような囲い部材5においては、衝突部材4によって繊維を四方八方に分散させることができるのに加えて、囲い部材5の横断面形状が円形から長方形に変化することによって、衝突部材直下近傍において乱流が発生することによって、更に繊維が均一に分散できるのではないかと考えている。そのため、図1又は図2のような衝突部材側端部51における横断面形状が円形であり、捕集部材側端部52における横断面形状が長方形である囲い部材5である必要はなく、衝突部材4による繊維の分散を確保できるように、衝突部材側端部51における横断面形状が円形、楕円、或いは長円であり、捕集部材側端部52における横断面形状が非円形である囲い部材を好適に使用できる。特に、衝突部材側端部51における横断面形状が円形であり、捕集部材側端部52における横断面形状が非円形である囲い部材が好ましい。より具体的には、(衝突部材側端部51における横断面形状)−(捕集部材側端部52における横断面形状)の組合せが、(円形)−(多角形)、(円形)−(長円)、(円形)−(楕円)、(楕円)−(多角形)、(楕円)−(長円)、(長円)−(多角形)、(長円)−(楕円)などを挙げることができる。
【0022】
なお、囲い部材5は囲い部材5の最も広い横断面積(Smax)に対する、最も狭い横断面積(Smin)の比(Smin/Smax)が、0.5〜1であるのが好ましい。この比(Smin/Smax)が0.5未満であると、囲い部材5の横断面積の変化量が大きいことによって、繊維が囲い部材5の内壁に付着しやすく、堆積して、堆積量が一定量を超えた場合に脱落して、繊維の分散性を損なう可能性があるためで、0.6以上であるのがより好ましい。理想的な比(Smin/Smax)は1、つまり囲い部材5の任意の横断面積が同じ面積である。なお、この囲い部材5の最も広い横断面積が囲い部材5の衝突部材側端部51であり、最も狭い横断面積が囲い部材5の捕集部材側端部52であると、繊維の分散性のより優れる繊維ウエブを製造することができる。
【0023】
また、ノズル噴出口21から囲い部材5の捕集部材側端部52までの距離が3cm以上、10cm以下であるのが好ましい。この距離が3cm未満であると、衝突部材4の周辺における乱流の影響を受けて、繊維の分散性を損ねる傾向があるためで、より好ましくは4cm以上である。他方、この距離が10cmを超えると、気体の流れが乱れたり、流速が遅くなることにより、帯電した繊維が囲い部材5の内壁に付着しやすく、堆積して、堆積量が一定量を超えた場合に脱落して、繊維ウエブの地合いを損なう可能性があるためで、9cm以下であるのがより好ましい。この距離は、囲い部材5の任意の箇所において、横断面の中心を通るように、ノズル噴出口21の中心と囲い部材5の捕集部材側端部52によって形成される面の中心とをつないだ道のりをいう。なお、前記道のりが屈曲又は湾曲していると、繊維が囲い部材5の内壁に付着しやすくなるため、前記道のりは直線であるのが好ましい。
【0024】
このような囲い部材5は衝突部材4を囲っているが、その状態は特に限定するものではなく、衝突部材4による繊維の分散を妨げないように適度な距離をおいて囲っていれば良い。この距離は実験を繰り返すことにより適宜設定することができる。また、囲い部材5は衝突部材4により分散する繊維の飛散を防ぐために、図1又は図2に示すように、ノズル2と連結しているのが好ましい。
【0025】
また、囲い部材5は捕集部材方向へ伸びているが、その状態は特に限定するものではないが、例えば、繊維移動経路が直線状、繊維移動経路が湾曲状、繊維移動経路が屈曲状、或いはこれらの組み合せを挙げることができる。これらの中でも、繊維移動経路が直線状であると、囲い部材5の内壁へ繊維が付着しにくいため、好適な実施態様である。
【0026】
なお、繊維移動経路方向における、囲い部材5の横断面形状の変化は連続的であっても、不連続的であっても良いが、囲い部材5の内壁に繊維が付着しにくいように、横断面形状の変化は連続的であるのが好ましい。
【0027】
このような囲い部材5によって導かれた繊維を捕集して繊維ウエブを形成できるように、捕集部材6を備えている。この捕集部材6が移動可能であると、連続的に繊維ウエブを製造することができる。この捕集部材6は繊維を捕集できるものであれば良く、特に限定するものではないが、図1及び図2においては、多孔性ネットを配置している。その他にも、多孔性ロール、無孔フィルム、無孔ロールなども使用することができる。これらの中でも、多孔性の捕集部材(多孔性ネット、多孔性ロールなど)は捕集部材の裏面へ気体を透過させることができるため、繊維ウエブの形成を安定して行なうことができ、しかも捕集部材の下方から気体を吸引して繊維を捕集することにより、地合いの優れる繊維ウエブを形成することができるため好適である。つまり、捕集部材上の繊維量の多い領域は圧力損失が高いため、繊維量がより少なく、圧力損失がより低い領域へ繊維が吸引されやすいため、地合いのより優れる繊維ウエブを形成することができるのである。
【0028】
以上は本発明の繊維ウエブ製造装置10の基本的な構造であるが、前記構造に加えて、繊維の分散性を高めるために、ノズル2の手前に繊維及び/又は繊維集合体をほぐす装置(例えば、ミキサー)を設置することができる。また、捕集部材6が多孔性ネットや多孔性ロールなど、多孔性である場合には、捕集部材6の下方に繊維を吸引することのできる吸引装置(例えば、サクションボックス)を設置するのが好ましい。なお、図1〜図2の態様は、1つのノズル2に対して1つの囲い部材5を使用した態様であるが、2つ以上のノズルに対して1つの囲い部材を使用する態様であっても良い。また、図1〜図2の態様は、1つのノズル2と1つの囲い部材5からなる繊維ウエブ製造装置10であるが、このような繊維ウエブ製造装置10を2組以上並べることもできる。この場合、幅の広い繊維ウエブを製造することができ、繊維ウエブの生産性を飛躍的に高めることができる。更に、図1及び図2においては、囲い部材5の捕集部材側端部の横断面形状が長方形であり、その長辺方向を捕集部材6の幅方向と一致させる態様であるが、このように配置する必要はなく、長辺方向を捕集部材6の流れ方向と一致させるように配置しても、同様に地合いの優れる繊維ウエブを製造することができる。同様に、囲い部材5の捕集部材側端部の横断面形状が非円形である場合、どのように囲い部材5を配置しても、同様に地合いの優れる繊維ウエブを製造することができる。
【0029】
また、囲い部材5の捕集部材側端部52と捕集部材6との相対的な位置を移動させることのできる手段(移動手段)を備えていることによって、地合いのより優れる繊維ウエブを製造することができる。この移動手段は、例えば、囲い部材5の捕集部材側端部52を繊維ウエブの流れ方向及び/又は巾方向に往復運動をさせたり、円又は楕円を描くように移動させたり、或いは捕集部材6を繊維ウエブの流れ方向及び/又は巾方向に往復運動させることができる。
【0030】
本発明の繊維ウエブの製造方法は、基本的に上述の繊維ウエブ製造装置10を使用した製造方法である。つまり、繊維を噴出できるノズル2へ繊維及び/又は繊維集合体を供給するとともに、前記ノズル2へ圧縮気体を導入して、ノズル2から繊維及び/又は繊維集合体を噴出させる工程と、前記ノズル2の噴出口の前方に位置する衝突部材4に、前記ノズル2から噴出させた繊維及び/又は繊維集合体を衝突させて、繊維を分散させる工程と、前記衝突部材4を囲む囲い部材5によって、前記分散させた繊維を導く工程と、前記導かれた繊維を捕集部材6で捕集して繊維ウエブを形成する工程、とを備えた繊維ウエブの製造方法であり、前記囲い部材として、前記捕集部材方向へ伸びており、かつ前記囲い部材の衝突部材側端部における横断面形状と、囲い部材の捕集部材側端部における横断面形状が相違するものを使用する方法である。
【0031】
まず、繊維を噴出できるノズル2へ繊維及び/又は繊維集合体を供給するとともに、前記ノズル2へ圧縮気体を導入して、ノズル2から繊維及び/又は繊維集合体を噴出させる工程(以下、「噴出工程」ということがある)において供給する繊維(繊維集合体の場合には個々の繊維)は特に限定されるものではないが、例えば、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維、繊維径が4μmを超え、50μm以下であり、繊維長が10mm以下の細繊維などを挙げることができる。なお、本発明においては、繊維及び/又は繊維集合体のみに限定されず、各種機能性粉体も一緒に供給することができる。本発明の製造方法においては、繊維径が4μm以下で繊維長が3mm以下の極細繊維であっても均一に分散できるという効果を奏する。
【0032】
本発明の製造方法で使用する繊維として、前記のような極細繊維を使用する場合には、付着物(界面活性剤や糊剤など)の付着率が0.5mass%以下であるのが好ましい。このように付着物量が少ないことによって極細繊維同士の密着性を低くすることができるし、付着物の脱落を抑えることができるため、結果として、各種用途に適用できる不織布を製造できるためである。また、付着物量が少ないことによってノズル2との摩擦によって静電気が発生し、極細繊維同士が反発しあい、極細繊維の分散性が向上するという効果も奏する。この付着物の付着率が少なければ少ない程、前記効果に優れているため、順に、0.3mass%以下、0.1mass%以下、0.08mass%以下、0.06mass%以下、0.04mass%以下、0.02mass%以下であるのが好ましく、理想的には0mass%である。なお、極細繊維以外の繊維を使用する場合は、極細繊維と同様に付着物の付着率が低い繊維を使用することもできるし、付着物の付着率の高い繊維を使用することができる。なお、不織布の用途によって、付着物の脱落が好ましくない用途(例えば、濾過材用途、電池用セパレータ用途)に使用する場合には、極細繊維以外の繊維も極細繊維と同様に付着物の付着率が低いのが好ましい。
【0033】
この「付着物の付着率」は付着物の質量の繊維の質量に対する百分率をいう。つまり、次の式により得られる値をいう。
A=(ms/mf)×100
ここで、Aは付着物の付着率(%)、msは付着物の付着質量(g)、mfは繊維の質量(g)を、それぞれ意味する。また、「付着物」とは、繊維を熱水に15分間浸漬することによって得られる抽出物と、繊維を熱メタノール溶液に15分間浸漬することによって得られる抽出物の、両方の抽出物を意味する。前者の抽出物として、糊剤(例えば、アクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアルギン酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなど)があり、後者の抽出物として、界面活性剤(親水基と親油基の両方を有する化合物、例えば、ノニオン系界面活性剤)がある。このように付着物量の少ない状態は、例えば、アセトン、エタノール、或いはメタノールなどによって繊維を洗浄することによって達成することができる。
【0034】
本発明の製造方法で使用できる繊維はどのような成分から構成されていても良く、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリスチレン系樹脂(例えば、結晶性ポリスチレン、非晶性ポリスチレンなど)、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などの有機成分、ガラス、炭素、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ワラストナイトなどの無機成分から構成することができる。
【0035】
なお、繊維が融着可能であると、繊維の融着によって不織布に強度を付与できるため好適である。この融着可能な繊維は繊維表面を構成する成分の少なくとも一部が熱可塑性樹脂から構成されていれば良い。例えば、繊維表面を構成する成分が、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、結晶性ポリスチレン系樹脂などの結晶性の熱可塑性樹脂、或いはポリ塩化ビニル系樹脂、非晶性ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの非晶性の熱可塑性樹脂から構成されていれば良い。
【0036】
この融着可能な繊維が2種類以上の成分から構成されていると、1種類の成分が融着したとしても、少なくとも1種類の成分によって繊維形態を維持することができるため好適である。この2種類以上の成分から構成されている繊維の横断面形状は、例えば、芯鞘型、偏芯型、海島型、サイドバイサイド型、多重バイメタル型、オレンジ型であることができ、特に芯鞘型、偏芯型、或いは海島型であるのが好ましい。
【0037】
また、繊維は未延伸状態であることもできるが、強度的に優れているように、延伸状態にあるのが好ましい。
【0038】
なお、繊維集合体は上述のような繊維が集合したものであり、その数は特に限定されるものではない。また、その集合状態も特に限定されるものではないが、例えば、規則正しく一定方向に繊維が配向した束状態、ランダムに配向した凝集状態、などを挙げることができる。これらの中でも、束状態であると、後述の圧縮気体の作用による繊維の分散性に優れているため好適である。
【0039】
また、繊維径、繊維長、或いは成分の相違する繊維を2種類以上、及び/又は繊維径、繊維長、或いは成分の点で異なる繊維集合体を2種類以上組み合わせて供給しても良い。また、経時変化に伴って、その配合量を変化させても良い。
【0040】
このような繊維及び/又は繊維集合体のノズル2への供給は、例えば、ノズル2への圧縮気体の導入によって行なわれる。この圧縮気体は繊維同士の絡みが生じにくいように、圧縮気体の流れが実質的に層流であるように、ノズル2へ供給するのが好ましい。また、繊維の開繊及び分散性を高めることができるように、ノズル噴出口21における気体通過速度が100m/sec以上であるように導入するのが好ましい。同様の理由で、圧縮気体の圧力は2kg/cm以上で導入するのが好ましい。更に、囲い部材5の内壁に繊維が付着しにくいように、囲い部材5の捕集部材側端部52における気体流速が1m/s以上(より好ましくは2m/s以上)であるように、圧縮気体を導入するのが好ましい。
【0041】
この噴出工程においては、圧縮気体の作用によって、繊維及び/又は繊維集合体をノズル2から勢いよく噴出させる。この噴出させた時の圧縮気体の膨張力、ノズル2の内部とノズル2の外部との気圧差、或いは噴出させた圧縮気体により形成される乱流、などの相互作用によって、個々の繊維に開繊され、分散する。
【0042】
次いで、ノズル噴出口21の前方に位置する衝突部材4に、ノズル2から噴出させた繊維及び/又は繊維集合体を衝突させて、繊維を分散させる。この衝突部材4としては、例えば、平板状衝突部材、釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化された衝突部材、円錐状の突起部41と平板状の衝突部42とが一体化された衝突部材4などを使用することができ、円錐状の突起部41と平板状の衝突部42とが一体化された衝突部材4を好適に使用できる。このような衝突部材4を使用した場合、噴出された繊維及び/又は繊維集合体はまず円錐状の突起部41と衝突して開繊され、その突起部41の表面に沿って平板状の衝突部42へ到達し、この衝突部42と衝突をして、更に開繊されると同時に繊維の移動方向が変更させられて、繊維は分散する。
【0043】
このような衝突部材4は繊維及び/又は繊維集合体の開繊性及び分散性に優れているように、衝突部材4の平坦部(例えば、図1又は図2においては衝突部42、円錐状の衝突部材の場合は円錐の底面、釣鐘状の衝突部材の場合は釣鐘の底面)とノズル噴出口21との距離が1〜100mm(5〜40mm、5〜30mm、10〜30mm、10〜20mmであるのが順に好ましい)であるように設置するのが好ましい。また、衝突部材が釣鐘状の衝突部材、円錐状の衝突部材、釣鐘状の突起部と平板状の衝突部とが一体化された衝突部材、或いは円錐状の突起部41と平板状の衝突部42とが一体化された衝突部材4からなる場合、釣鐘状、円錐状、或いは突起部41の軸がノズル噴出口21の中心と一致するように配置するのが好ましい。更に、これら衝突部材4は釣鐘状、円錐状、或いは突起部41の頂点がノズル噴出口21と対向するように設置しているのが好ましい。
【0044】
このような衝突部材4によって分散させた繊維を、衝突部材4を囲むとともに、後述のような捕集部材方向へ伸び、かつ衝突部材側端部51における横断面形状と捕集部材側端部52における横断面形状が相違する囲い部材5により、捕集部材6へ導く。このように囲い部材5によって繊維の移動経路が規制されているため、繊維は確実に捕集部材6へ導かれるとともに、囲い部材5の横断面形状が変化することによって、地合いの優れる繊維ウエブを製造できる。
【0045】
この衝突部材側端部51の横断面形状が円形、楕円、或いは長円であり、捕集部材側端部52の横断面形状が非円形である囲い部材を好適に使用できる。特に、衝突部材側端部51の横断面形状が円形であり、捕集部材側端部52の横断面形状が非円形である囲い部材が好ましい。より具体的には、(衝突部材側端部51における横断面形状)−(捕集部材側端部52における横断面形状)の組合せが、(円形)−(多角形)、(円形)−(長円)、(円形)−(楕円)、(楕円)−(多角形)、(楕円)−(長円)、(長円)−(多角形)、(長円)−(楕円)の囲い部材を使用できる。
【0046】
なお、囲い部材5は囲い部材5の最も広い横断面積(Smax)に対する、最も狭い横断面積(Smin)の比(Smin/Smax)が、0.5〜1であるのが好ましい。また、この囲い部材5の最も広い横断面積が囲い部材5の衝突部材側端部51であり、最も狭い横断面積が囲い部材5の捕集部材側端部52であるのが好ましい。更に、ノズル噴出口21から囲い部材5の捕集部材側端部52までの距離が3cm以上(好ましくは4cm以上)、10cm以下(好ましくは9cm以下)であるのが好ましい。
【0047】
このような囲い部材5は衝突部材4を囲っているが、その状態は特に限定するものではなく、衝突部材4による繊維の分散を妨げないように適度な距離をおいて囲っていれば良い。また、囲い部材5は衝突部材4により分散する繊維の飛散を防ぐために、ノズル2と連結しているのが好ましい。
【0048】
また、囲い部材5は捕集部材方向へ伸びているが、その状態は特に限定するものではないが、例えば、繊維移動経路が直線状、繊維移動経路が湾曲状、繊維移動経路が屈曲状、或いはこれらの組み合せを挙げることができる。
【0049】
なお、繊維移動経路方向における、囲い部材5の横断面形状の変化は連続的であっても、不連続的であっても良い。
【0050】
このように導かれた繊維を捕集部材6で捕集して、本発明の繊維ウエブを製造することができる。この捕集部材6は繊維を捕集できるものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、多孔性ネット、多孔性ロール、無孔フィルム、無孔ロールなどを使用することができる。
【0051】
なお、多孔性ネットや多孔性ロールなどの多孔性の捕集部材6を使用し、捕集部材6の下方から気体を吸引すると、繊維ウエブの形成を安定して行なうことができ、しかも地合いのより優れる繊維ウエブを形成することができる。この吸引する際の吸引力は所望とする繊維ウエブによって適宜調節することができるが、圧縮気体のノズル噴出口からの噴出風量に対して、1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.3倍以上の風量で吸引すると、地合いのより優れる繊維ウエブを形成できるため好適である。なお、上限は特に限定するものではないが、前記噴出風量の3倍以下であるのが経済的である。
【0052】
また、捕集部材6が移動可能であると、連続的に繊維ウエブを製造することができる。その移動速度は所望とする繊維ウエブの目付、使用繊維、ノズル等の能力等によって適宜調節することができる。例えば、高目付の繊維ウエブを製造する場合には捕集部材6の移動速度を遅くし、低目付の繊維ウエブを製造する場合には捕集部材6の移動速度を速くすれば良い。
【0053】
なお、繊維を捕集部材6で集積する際に、囲い部材5の捕集部材側端部52と捕集部材6との相対的な位置を移動させると、地合いのより優れる繊維ウエブを製造することができる。この移動として、例えば、囲い部材5の捕集部材側端部52の繊維ウエブの流れ方向及び/又は巾方向の往復運動、円移動又は楕円移動、或いは捕集部材6の繊維ウエブの流れ方向及び/又は巾方向の往復運動などを挙げることができる。
【0054】
本発明の不織布は上述のような製造装置を用いる製造方法により製造した、地合いの優れる繊維ウエブを用いたものであるため、地合いの優れる不織布である。一般的に繊維ウエブの状態では機械的強度が悪いため、繊維ウエブを結合して不織布とするのが好ましい。この結合方法は特に限定するものではないが、例えば、繊維を融着する方法、エマルジョンやラテックスなどのバインダーにより接着する方法、水流などの流体流やニードルにより絡合する方法、などを単独で、或いは併用して結合することができる。繊維を融着させたり、バインダーにより接着する方法であると、繊維同士の密着の程度の低い嵩高な不織布とすることができ、絡合する方法であると、繊維同士の密着の程度の高い緻密な構造の不織布とすることができる。
【0055】
本発明の不織布は、前述のように繊維同士の密着の程度の異なる繊維ウエブを形成できることに加えて、繊維同士の密着の程度が異なるように結合できるため、本発明の不織布は0.005〜0.9g/cmという幅広い見掛密度を採ることができる。なお、この不織布のもととなる繊維ウエブは地合いの優れるものであるため、不織布の目付は1〜100g/mであることができる。また、不織布の厚さも0.001mm〜50mmであることができる。本発明における「見掛密度」は、目付(g/cm)を厚さ(cm)で除した値であり、「目付」はJIS L1085:1998.6.2に規定された方法で測定した単位面積あたりの質量の値をいい、「厚さ」はJIS L1085:1998、6.1(厚さ)に規定されているA法により得られる値をいう。
【0056】
本発明の不織布は地合いが優れており、各種特性の均一性に優れているため、各種用途に適用することができる。例えば、気体用濾過材(例えば、ヘパフィルタ用濾過材、ウルパフィルタ用濾過材、インテークフィルタ用濾過材、ケミカルフィルタ用濾過材、脱臭フィルタ用濾過材、消臭フィルタ用濾過材、バグフィルタ用濾過材など)、液体用濾過材(例えば、カートリッジフィルタ用濾過材、アフィニティー分離用濾過材、イオン交換フィルタ用濾過材など)、マスク用濾過材(手術用、産業用など)、フィルタプレス、手術用ドレープ、手術用ガウン、おむつカバーリング、電池用セパレータ、吸水シート(加湿器用など)、触媒担持材料などの各種用途に使用することができる。
【0057】
なお、本発明の不織布は各種用途に適合するように、各種後処理が施されていても良い。例えば、帯電処理、硫酸処理、フッ素処理などの親水化処理、プラズマ処理などの放電処理、撥水処理などを挙げることができる。
【0058】
また、各種機能を付加するために、各種機能性粉体が固着していても良い。例えば、脱臭粉体、消臭性粉体、イオン交換樹脂粉体、重金属吸着粉体、低分子ケミカル除去粉体(微量の低分子物質(溶媒やオリゴマーなど)を吸着、或いは不活化できる触媒)、脱ガス粉体(微量のガス状不純物を吸着、或いは不活化できる触媒)、接着性粉体などを挙げることができる。なお、機能製粉体は繊維及び/又は繊維集合体と一緒にノズルへ供給して、繊維ウエブを形成する際に混在させ、固着しても、繊維ウエブに対して機能性粉体を付与し、固着させても良い。
【0059】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0060】
【実施例】
(実施例1)
ポリ乳酸からなる海成分中に、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た海島型繊維(繊度:1.7dtex、長さ1mmに切断されたもの)を用意した。この海島型繊維を10mass%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、海成分であるポリ乳酸を加水分解により抽出除去した後、風乾して、高密度ポリエチレンとポリプロピレンとが混在した極細繊維A(繊維径:2μm、繊維長:1mm、フィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する、付着物の付着率:0.02mass%未満、断面形状:海島型)の束状集合体を得た。
【0061】
ポリ乳酸からなる海成分中に、ポリプロピレンからなる島成分が25個存在する、複合紡糸法により得た海島型繊維(繊度:1.7dtex、長さ1mmに切断されたもの)を用意した。この海島型繊維を10mass%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、海成分であるポリ乳酸を加水分解により抽出除去した後、風乾して、ポリプロピレンからなる極細繊維B(繊維径:2μm、繊維長:1mm、フィブリル化していない、延伸されている、繊維軸方向において実質的に同じ直径を有する、付着物の付着率:0.02mass%未満、断面形状:海島型)の束状集合体を得た。
【0062】
次いで、図1〜図3に示すような繊維ウエブ製造装置10により、極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体を製造した。つまり、極細繊維Aの束状集合体と極細繊維Bの束状集合体とを、50:50の質量比で、ミキサーに供給して解すとともに混合する一方で、ノズル噴出口21における横断面形状が円形(直径:8.5mm)のベンチュリー管へ、コンプレッサーから圧縮気体導入口3を通じて圧縮空気(圧力=6kg/cm、実質的に層流)を導入することにより、前記解した束状集合体を材料供給口1からベンチュリー管へ供給し、ベンチュリー管から極細繊維Aの束状集合体と極細繊維Bの束状集合体を空気中に噴出(ベンチュリー管の噴出口における気体通過速度:147m/s、噴出口からの噴出量:約0.5m/min.)し、ベンチュリー管の噴出口前方に設けた、円錐状の突起部41と平板状衝突部42(横断面形状:円形、直径:25mm)とを備えた衝突部材4に衝突させて、極細繊維A及び極細繊維Bを分散させた。なお、衝突部材4は平板状衝突部42までの距離が15mmであり、しかも突起部41の軸が、ノズル噴出口21の中心と一致するように、突起部41の頂点がノズル噴出口21と対向するように配置した。
【0063】
次いで、この分散させた極細繊維A及び極細繊維Bを、前記衝突部材4を囲むとともにベンチュリー管と連結しており、極細繊維A及び極細繊維Bを集積できるネットの方向へ直線状に伸びている囲い部材5(比(Smin/Smax)=0.92、1つの囲い部材5で1つの衝突部材4を囲む)により、ネット(捕集部材6)へ供給し、移動するネット上に載置しておいたポリエチレンテレフタレート繊維からなる湿式不織布(目付:10g/m、平均繊維径:3.2μm)上に集積させて、極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体を形成した。なお、ネットの下方に配置したサクションボックスにより、0.7m/min.で吸引した。また、囲い部材5は衝突部材側端部51における横断面形状が円形(内径:50mm、断面積19.6cm)で、捕集部材側端部52における横断面形状が長方形(30mm×60mm、断面積:18cm)であるように、横断面形状が連続的に変化したものを使用した。また、ノズル噴出口21から囲い部材5の捕集部材側端部52までの距離は8cmであり、囲い部材5の捕集部材側端部52における空気流速は4.6m/sであった。更に、この衝突部材4の捕集部材側端部52は、長方形の長辺がネットの幅方向と平行であるように配置した。
【0064】
この極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体形成に際に、囲い部材5の内壁への極細繊維付着量が少なく、脱落も生じないため、地合いの優れる極細繊維ウエブを形成することができた。
【0065】
(実施例2)
囲い部材5として、衝突部材側端部51における横断面形状が円形(内径:50mm、断面積19.6cm)で、捕集部材側端部52における横断面形状が長方形(20mm×60mm、断面積:12cm、比(Smin/Smax)=0.61、1つの囲い部材5で1つの衝突部材4を囲む)であるように、横断面形状が連続的に変化したものを使用したこと以外は、実施例1と全く同じ条件で極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体を形成した。この製造の際に、囲い部材5の内壁への極細繊維付着量が少なく、脱落も生じないため、地合いの優れる極細繊維ウエブを形成することができた。
【0066】
(実施例3)
囲い部材5として、衝突部材側端部51における横断面形状が円形(内径:50mm、断面積19.6cm)で、捕集部材側端部52における横断面形状が長方形(70mm×60mm、断面積:42cm、比(Smin/Smax)=0.47、1つの囲い部材5で1つの衝突部材4を囲む)であるように、横断面形状が連続的に変化したものを使用したこと以外は、実施例1と全く同じ条件で極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体を形成した。この製造の際に、囲い部材5の内壁への極細繊維付着量が実施例1及び実施例2よりもやや多いものの、地合いの優れる極細繊維ウエブを形成することができた。
【0067】
(比較例)
囲い部材5として、衝突部材側端部51と捕集部材側端部52のいずれの横断面形状も円形(内径:50mm、断面積19.6cm)の覆い部材(比(Smin/Smax)=1、1つの囲い部材5で1つの衝突部材4を囲む)を使用したこと以外は、実施例1と全く同じ条件で極細繊維ウエブ−湿式不織布複合体を形成した。この製造の際に、囲い部材5の内壁への極細繊維付着量は少ないものの、得られた極細繊維ウエブは中央部おける極細繊維量が多く、両端部における極細繊維量が非常に少ない、地合いの劣るものであった。
【0068】
【発明の効果】
本発明の繊維ウエブ製造装置は地合いの優れる繊維ウエブを製造することができる。
【0069】
本発明の繊維ウエブの製造方法は地合いの優れる繊維ウエブを製造できる。
【0070】
本発明の不織布は地合いが優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の繊維ウエブ製造装置を、捕集部材に対して垂直かつ捕集部材の流れ方向と平行な平面で切断した時の模式的断面図
【図2】 本発明の繊維ウエブ製造装置を、捕集部材に対して垂直かつ捕集部材の幅方向と平行な平面で切断した時の模式的断面図
【図3】 囲い部材の斜視図
【符号の説明】
1 材料供給口
2 ノズル
21 ノズル噴出口
3 圧縮気体導入口
4 衝突部材
41 突起部
42 衝突部
5 囲い部材
51 衝突部材側端部
52 捕集部材側端部
6 捕集部材
10 繊維ウエブ製造装置

Claims (7)

  1. 繊維を噴出できるノズルと、前記ノズルへの圧縮気体導入手段と、前記ノズルの噴出口の前方に位置し、前記ノズルから噴出した繊維と衝突して繊維を分散できる衝突部材と、前記衝突部材を囲むとともに、前記衝突部材との衝突によって分散する繊維を導く囲い部材、前記囲い部材によって導かれた繊維を捕集して繊維ウエブを形成できる捕集部材、とを備えている繊維ウエブ製造装置であり、前記囲い部材は前記捕集部材方向へ伸びており、かつ前記囲い部材の衝突部材側端部における横断面形状が円形であり、囲い部材の捕集部材側端部における横断面形状が長方形であることを特徴とする、繊維ウエブ製造装置。
  2. 囲い部材の最も広い横断面積(Smax)に対する、最も狭い横断面積(Smin)の比(Smin/Smax)が、0.5〜1であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維ウエブ製造装置。
  3. ノズル噴出口から囲い部材の捕集部材側端部までの距離が3cm以上、10cm以下であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の繊維ウエブ製造装置。
  4. 前記ノズルへの圧縮気体導入手段が、囲い部材の捕集部材側端部からの気体流出量(m /sec)を、囲い部材の捕集部材側端部の横断面積(m )で除した値である、囲い部材の捕集部材側端部における気体流速が1m/s以上であるように圧縮気体を導入可能であることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の繊維ウエブ製造装置。
  5. 前記ノズルへの圧縮気体導入手段は、圧縮気体の流れが実質的に層流であるように、ノズルへ供給できることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の繊維ウエブ製造装置。
  6. 繊維を噴出できるノズルへ繊維及び/又は繊維集合体を供給するとともに、前記ノズルへ圧縮気体を導入して、ノズルから繊維及び/又は繊維集合体を噴出させる工程と、前記ノズルの噴出口の前方に位置する衝突部材に、前記ノズルから噴出させた繊維及び/又は繊維集合体を衝突させて、繊維を分散させる工程と、前記衝突部材を囲む囲い部材によって、前記分散させた繊維を導く工程と、前記導かれた繊維を捕集部材で捕集して繊維ウエブを形成する工程、とを備えた繊維ウエブの製造方法であり、前記囲い部材として、前記捕集部材方向へ伸びており、かつ前記囲い部材の衝突部材側端部における横断面形状が円形であり、囲い部材の捕集部材側端部における横断面形状が長方形のものを使用することを特徴とする、繊維ウエブの製造方法。
  7. 請求項に記載の繊維ウエブの製造方法により製造した繊維ウエブを用いていることを特徴とする不織布。
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