JP2003260620A - 細穴放電加工機の電極ガイド装置 - Google Patents

細穴放電加工機の電極ガイド装置

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JP2003260620A JP2002063551A JP2002063551A JP2003260620A JP 2003260620 A JP2003260620 A JP 2003260620A JP 2002063551 A JP2002063551 A JP 2002063551A JP 2002063551 A JP2002063551 A JP 2002063551A JP 2003260620 A JP2003260620 A JP 2003260620A
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electrode guide
hole
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細穴放電加工の接触感知による位置決めは、電
極ガイドが細径のものになると正確、確実性を欠くだけ
でなく、細穴電極が屈折したり損傷したりする問題があ
った。 【解決手段】回転する細穴加工用電極の先端を貫通させ
て放電加工部に案内する電極ガイドを備えた電極ガイド
装置の前記電極ガイドとして、ダイスガイドを設けた案
内孔に正確に同芯に形成された円柱外周面を有する円柱
状体に構成し、放電加工部のガイド取付けベースに該ベ
ースの下端面から所定長突出した状態に、かつ、電極ガ
イドの外周面が接触感知手段の一方の端子に自動接続さ
れる取付け構成として、電極ガイドの外周面と基準球と
の間で接触感知による位置決めを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術】細穴放電加工機の細穴加工用電極
の先端が挿通可能にかつ回転自在に保持される案内孔を
有する電極ガイドを備えた細穴放電加工機に関し、特に
電極ガイドの交換時などに放電加工機特有の接触感知に
より細穴加工用電極の位置決め操作を容易にかつ確実に
自動的に行われる電極ガイド装置を備えた細穴放電加工
機に関する。
【0002】
【従来の技術】細穴放電加工機1は、導電性の細い長尺
パイプを電極とし、放電加工により被加工物に細穴を加
工する装置である。その構成は、例えば、図9と図10
に示すように構成されている。
【0003】図において、2はベッド、3はY軸駆動装
置、4は、ベッド2上に備えられてY軸駆動装置3によ
りY軸方向に移動するサドル、5はX軸駆動装置、6
は、サドル4上に設けられてX軸駆動装置5によりX軸
方向に移動するテーブル、7は、テーブル6上に備えら
れる加工槽である。
【0004】8は被加工物、9は後述する接触感知のた
めの基準球で、これらはテーブル6上の一定の基準位置
に設けられる。
【0005】10は、ベッド2の後方上に設けられるコ
ラム、11はW軸駆動装置で、図ではボールネジ11A
と回転形の電動機11Bを使用し、直線案内11Cを介
してコラム10に保持されたW軸スライダ12とスライ
ダ本体12Aを上下に移動させる。11Dはスライダ1
2、12Aの位置を検出して電動機11BをNC指令通
りに制御するロータリィエンコーダ、13はZ軸駆動装
置で、図では磁石板13Aと電磁石13Bとの組み合わ
せからなるリニアモータ13を使用している。14は直
線案内14Aを介してスライダ本体12Aに保持された
Z軸スライダで、スライダ本体12Aに備えられたZ軸
駆動装置13によりZ軸方向に移動する加工ヘッドを構
成する。
【0006】15は主軸回転駆動装置、16は、加工ヘ
ッド14に設けられ主軸回転駆動装置15により回転駆
動される加工主軸、18は、加工主軸16に交換可能に
装着される電極ホルダ18Aに保持された細穴加工用電
極で、加工ヘッド14によりZ軸の加工送りが制御され
る。
【0007】20は、電極ガイド装置で、次のような電
極ガイド21とガイドベース22と連結ブラケット23
と中間ガイド24から構成される。
【0008】21は、細穴加工用電極18の先端部を挿
通して放電加工部にガイドする電極ガイド、22は、電
極ガイド21を保持して被加工物8の表面に接近した所
定加工位置に配置するガイド取付けベースである。
【0009】23は、スライダ本体12Aにガイド取付
けベース22を連結支持させる連結ブラケット、24
は、電極ホルダ18Aと電極ガイド21の取付けべース
22との間に必要に応じて移動可能に設けられた電極1
8の中間部の振れを防止する1個以上の中間ガイドであ
る。
【0010】このような細穴放電加工機1においては、
円形断面の細線状の棒電極、あるいはパイプ状電極が、
細穴加工用電極18(以下電極18)として使用され
る。電極18は、加工穴径に対応する外径のものが夫々
電極ホルダ18Aに取り付けて用意され、加工主軸16
の先端に把持されて放電加工中に電極ガイド21の案内
孔に回転状態で遊嵌挿通される。
【0011】電極ガイド21は、電極の外径に応じた内
径を有したルビーなどからなるダイスガイドが案内孔中
に設けられ、鉛直方向(W軸方向)に移動可能なスライ
ダ本体12Aに取り付けられた連結ブラケット23に保
持された取付けベース22に、着脱可能に保持される。
そして、電極ガイド21の下端面が被加工物8の加工部
上面にほぼ密接する位置になるように、取付けベース2
2の高さがスライダ本体12AのW軸上下移動により位
置決めされて、電極18の先端が被加工物8の表面に接
近した加工位置に正確に位置決めされる。
【0012】この状態で、電極18と被加工物8との間
に加工電圧パルスが印加され、加工液介在下で放電させ
ると、加工が開始されて加工穴が形成される。この加工
穴の中に進入するように電極18にZ軸駆動装置13に
よりサーボ送りを与えると細穴加工が行なわれる。ま
た、電極18と電極ガイド21とを被加工物8に対して
水平方向に所定の加工軌跡に沿って相対的に移動するよ
うにサーボ送りを与えることにより創成加工を行なうこ
とも出来る。
【0013】電極18が被加工物8の所望の加工位置に
正確に位置決めされた細穴放電加工が行なわれるために
は、加工開始前に被加工物8の座標位置、電極先端部の
中心座標位置が正確に放電加工機の制御装置に記憶され
なければならない。このため、通常、電極18または電
極側基準部位の基準球9に対する座標位置が、接触感知
手段によって検出されて記憶される。また、簡易的に基
準球9の設置が省略されて、被加工物8の所定の位置と
電極18の中心または側面位置とが、両者間の接触感知
によって検出されて記憶される。なお、接触感知は、加
工主軸16側に取り付けられた接触感知の検出部材また
は電極18と、被加工物8などの被位置決め部材または
基準球9との間にわずかな直流又は交流電圧を印加して
両者を接近させ、両者が接触して導通したときの接触部
位の座標位置から、加工主軸16や電極18、あるいは
基準球9や被加工物8のそれぞれの中心や端面などの座
標位置を検知し算出する機能である。
【0014】この接触感知を利用する位置決めは公知の
技術であるが、基準球9が用いられる例によって以下簡
単に示される。まず、放電加工開始前の準備段階で接触
感知が行なわれる。このとき、図7のように、接触感知
の電極側検出部材として、導電性の例えば円柱部材(以
下、スタイラス40と称する)が加工主軸16、または
電極ガイド21に装着される。具体的には、電極ガイド
21の下まで達する長尺のスタイラス40が加工主軸1
6に取り付けられるか、短いスタイラス40が電極ガイ
ド21または取付けベース22に装着される。そして、
スタイラス40又はガイド21と基準球9との水平方向
の相対移動により、スタイラス40が水平面内の直交2
軸の4方向から基準球9に接触感知して、そのときのス
タイラス40との接触座標位置がそれぞれ検出される。
これらの座標位置の中心座標位置(平均座標位置)が図
示しない制御装置で算出されて基準球9の中心座標位置
として記憶される(電極中心位置出し)。
【0015】被加工物8の位置は、スタイラス40と被
加工物8間の接触感知により、次のようにして求めら
れ、制御装置に記憶される。被加工物8の1基準側面に
対してスタイラス40が水平1方向から接触感知して
(図示省略)、被加工物8の端面に接触した座標位置が
検出され、この座標位置からスタイラス40の半径距離
が補正された座標位置が被加工物8の1基準端面位置と
して設定される(端面位置出し)。また、上記基準球9
に対する接触感知と同様に、被加工物8の両側側面に対
してスタイラス40が正逆水平2方向から接触感知して
(図示省略)、検出した2座標位置の中心値(平均値)
から被加工物8の中心座標位置がその中心位置として設
定される(中心位置出し)。
【0016】こうして被加工物8の基準球9に対する相
対座標位置が検出される。多くの場合、基準球9と被加
工物8の座標位置は、それぞれの別の座標系の原点とし
て制御装置に設定される。オペレータは、これらの座標
原点位置を基準にして以後の加工プログラムや必要に応
じて行なわれる接触感知のための制御軸移動プログラム
を作成し、以後放電加工や接触感知がこのプログラムに
よって自動的に行なわれる。
【0017】つぎに、細穴放電加工の場合、電極18が
加工主軸16に取り付けられ、その電極径に対応した電
極ガイド21が取付けベース22に装着される。そし
て、図7および図8に示すように、電極ガイド21より
下に突き出して回転している電極18を、座標原点とな
った基準球9に対して、水平面内の直交2軸の4方向か
ら接触感知するのであるが、これは、相対的に見てみる
と、基準球9を電極18に対して、水平面内の直交2軸
の4方向から接触感知することでもあるので、電極中心
位置の座標を求めることができる。電極ガイド21は、
ダイスガイドが磨耗したときや、異径の電極18を使用
するときに交換されるが、この電極ガイド21の交換後
に、ガイド21によって位置決めされる電極中心位置が
微妙に変化することが多い。このため電極ガイド21を
交換する度にガイドされる電極中心位置座標を求めて補
正する必要がある。また、電極18を回転させる必要が
あるのは、加工性能上の理由に加えて電極18と電極ガ
イド21の案内孔およびダイスガイドとの間にわずかな
隙間があるからである。
【0018】以上のような準備作業が行なわれた後、電
極18が所望の加工位置上に正確に位置決めされて放電
加工が開始される。なお、基準球9が設置されず、被加
工物8のみに対して接触感知される場合には、被加工物
8の中心位置、あるいは、基準端面の基準位置に対して
スタイラスの中心軸が一致するように設定される。この
ときの接触感知動作は、上記、被加工物8に対するそれ
と同様に行われる。
【0019】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、上述した従来
の技術においては、前記細穴加工用電極18の径が約φ
0.5mm前後程度以上で太い場合には、電極の剛性が
あるのでその回転振れや変形が発生せず、基準球9に対
して上記のように接触感知の押圧操作もできるのである
が、電極18がより細径である場合には、以下の理由に
より基準球9による接触感知では、精密な座標検出の位
置決めは困難であった。即ち、図8に示すように、基準
球9の接触感知部が球である場合、電極18の電極ガイ
ド21からの突き出し代が少なくともこの球の半径以上
でなければならず、電極18の突き出し代が大きくな
る。加えて電極18の剛性が小さい。それで、電極18
の回転振れが大きくなって、回転電極が球に接触すると
きに球の側面に衝突することが多くなり、電極が偏倚、
変形しやすくなる。その結果、電極18が基準球9に接
触感知するたびに不定の偏倚や変形をして、接触感知に
よる位置検出が不正確になっていた。
【0020】そこで従来、電極18が細径である場合に
は、電極18の突き出し代が小さくなるように被加工物
8の基準端面に接触感知して電極中心位置が求められて
いる。しかしながら、この中心位置出しにおいても不正
確さが避けられない。電極の突き出し代のばらつきによ
って芯ぶれ量が変化して、電極径の補正のための電極半
径に対して見掛けの電極半径が変化するからである。加
えて、この接触感知の際の電極の偏倚、変形の外、電極
先端が損傷すると、加工穴の真直性に悪影響がでる。
【0021】細穴放電加工用電極の中心位置出しがこの
ような接触感知によらざるを得ない状況下にあって、近
年、電極自動交換装置を備え、同一径または直径の異な
る複数種類の電極18を交換しながら連続加工する細穴
放電加工機が増えている。この種の細穴放電加工機にお
いては、電極ガイド21も自動交換される。この電極ガ
イド21の交換後には、電極18の中心位置出しが必ず
必要になる。このため、接触感知による、正確な電極1
8の位置出しの必要性が益々増加している。
【0022】以上に鑑み本発明は、接触感知がより容易
にかつ正確にでき、かつ自動化対応も簡単である細穴放
電加工機を提供する。すなわち、細径電極の場合の接触
感知を上述の不都合が発生することがなく、また、電極
ガイドの自動交換に対応できる細穴放電加工機を提供す
ることを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述の本発明の目的は、
(1)同一または異なる径の回転する細穴加工用電極の
先端を貫通させて放電加工部に案内する複数個の電極ガ
イドと、該電極ガイドを所望複数個収納する電極マガジ
ンと放電加工部の電極ガイド取付けベースとの間で取り
付け交換する取付け手段を有する細穴放電加工機の電極
ガイド装置において、前記各電極ガイドは、外周形状が
全体として円柱状体で、前記電極を挿通する案内孔と案
内孔内に設けられた位置決めガイドを有し、かつ、前記
案内孔内の位置決めガイドに同芯に形成されると共に、
水平方向の位置決めの接触感知の基準部材と接離する導
体材からなる円柱外周面を有して成り、該電極ガイド
は、前記取付け手段によって放電加工部の取付けベース
に取り付けられたとき、ガイドの下方先端側が取付けベ
ースの下端面から所定長突出した状態に取り付けられる
とともに、ガイドの前記外周面が接触感知手段の一方の
端子に前記取付けベース部において自動接続される構成
を備えて成る細穴放電加工機の電極ガイド装置とするこ
とにより達成される。
【0024】また、前述の本発明の目的は、(2)同一
または異なる径の回転する細穴加工用電極を貫通させて
放電加工部に案内する複数個の電極ガイドと、該複数の
電極ガイドを電極の軸線方向と交叉する方向の直線また
は円弧線上に所定の間隔で保持する電極ガイド取付けベ
ースと、該取付けベースを電極の軸線方向と交叉する前
記方向に駆動し、前記複数の電極ガイドの内所要の1つ
を前記放電加工部上に位置させる駆動手段とを有する細
穴放電加工機の電極ガイド装置において、前記各電極ガ
イドは、外周形状が全体として円柱状体で、前記電極を
挿通する案内孔と案内孔内に設けられた位置決めガイド
を有し、かつ、前記案内孔内いの位置決めガイドに同芯
に形成されると共に、前記交叉する方向の位置決めの接
触感知の基準部材と接離する導体材からなる円柱外周面
を有して成り、該電極ガイドは、前記保持手段のガイド
取付けベースにその下端面から下方に所定長突出した状
態に取り付けられ、前記駆動手段により所定の放電加工
部上に配置された対応電極ガイドの前記外周面が、接触
感知手段の一方の端子に電気的に自動接続される手段を
備えて成る細穴放電加工機の電極ガイド装置とすること
により達成される。
【0025】また、前述の本発明の目的は、(3)前記
電極ガイドは、さらに下端下面に、電極軸線方向の位置
決め接触感知の基準部材と接離する前記案内孔を中心と
する同芯円状の基準下端面が形成されて成る前記(1)
または(2)に記載の細穴放電加工機の電極ガイド装置
とすることにより達成される。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の電極ガイドの装
置の電極ガイド部分の一実施例の縦断面図である。図に
おいて電極ガイド25は、外周形状が全体として長尺状
の円柱状体でステンレス材などの導体材から成る外筒2
5Aと、セラミックス製の内筒スリーブ25Bとから成
る。内筒25Bは、電極18を挿通案内する案内孔25
Cと挿通位置決めするルビー製などのダイスガイド25
Dを一個または図示のように所定間隔を置いて複数個有
する。外筒25Aの円柱外周面25Eは、後述する水平
方向の接触感知による位置決めのときに、基準部材と接
離させるための基準面となるものであるから、前記内筒
スリーブ25Bの案内孔25Cと担持するダイスガイド
25Dと精密に同芯に仕上げられている。
【0027】また、前記電極ガイド25は、下端の下面
に、挿通案内する電極18軸線方向、即ち加工細穴の深
さ方向の接触感知による位置決めの、基準部材と接離さ
せるための、前記案内孔25Cを中心とする同芯円状の
基準下端面25Fが正確に寸法管理されて形成されてい
る。なお、25Gは、C形止め輪を取り付ける環状溝
で、後述するように、電極ガイド25を電極ガイド装置
のガイド取付けベースに挿設して取り付けるときの取付
け位置基準に兼用させることもできる。
【0028】図2は、電極ガイド25の他の実施例の縦
断面図で、前述実施例の外筒25Aと内筒25Bとから
成る本体部分の全部25ABが、ステンレス材などの導
体材から構成されているものを示したもので、この外の
部分の構成は、前述図1のものと実質上同一のものであ
る。本発明においては、後述するように、円柱状体の電
極ガイド25の外周面25A、そして少なくともガイド
25先端部の外周面は、接触感知の用に供するために導
体材から構成するか、何らかの導電性付与処理などによ
り導電性に構成しておくことが必要である一方で、取付
けベース22に取り付けられたとき、該取付けベース2
2、連結ブラケット23、或いはさらにスライド本体1
2Aなどを介して、加工機本体や接地に接続されないよ
うに絶縁保持される必要があるものである。そして場合
によっては、導電性の部分は、電極18との絶縁が保た
れていることが好ましいことも多いものである。
【0029】図3は、前述のような電極ガイド25を、
細穴放電加工機の電極ガイド装置のガイド取付けベース
22部分に1個設けた本発明一実施例の要部拡大断面図
である。なお、図には示していないが、同一または異な
る径の電極18を挿通案内して位置決めする複数の電極
ガイド25、または該各電極ガイドを取り付けた適宜の
構成の電極ガイドホルダを所望複数個格納した電極ガイ
ドまたは電極ガイドホルダマガジンと、電極ガイドまた
は電極ガイドホルダを、前記電極ガイドマガジンと電極
ガイド装置のガイド取付けベース2との間で取り付けま
たは交換して取り付ける電極ガイド交換手段、およびそ
れらの自動作動の制御装置などは、周知のものであるか
ら示していないが、例えば、図示の場合電極ガイド25
は、ダイスガイド25Dの摩耗や異径電極18の使用な
どに対応して、ガイド取付けベース22の挿設孔22A
に、前記ガイド交換手段により上方より自動挿脱により
交換取り付けられているものとする。なお、19は電極
の案内を兼ねる保護蓋である。
【0030】電極ガイド25は、W軸スライダ本体12
Aにガイド取付けベース22を取り付ける連結ブラケッ
ト23に、さらには取付けベース22に適宜のセラミッ
クスやエンジニアリングプラスチック、さらには、その
スリーブやブッシングなどを用いて、電気的に絶縁した
状態に取り付けられている。そして、電極ガイド25は
図示のように案内孔25Cとダイスガイド25Dと精密
に同芯に形成された円柱外周面25Eを、取付けベース
22の下端面から下方に所定長さ突出させて取付けベー
ス22に挿設して取り付けられたとき、外筒25Aの外
周面に接触感知手段26の電圧印加の一方の端子26A
に、取付けベース22に設けたブラシ27を介して自動
接続されるように構成されている。前記ブラシ27は、
図示の場合、回転ロ―ラ型の通電子をばねで保持する構
成のものを示したが、これに限定されるものではない。
上記接触感知手段26の電圧印加の他方の端子26B
は、図示の場合、接触感知の一方の基準部材である基準
球9に接続されているが、前記基準球に代えて、図示し
ない被加工体8や加工テーブルなどの所定基準部位とす
ることができる。
【0031】上記構成にて本発明の電極ガイド25を利
用した接触感知は、つぎのように行なわれる。特に重要
な点は、接触感知が電極ガイド21のガイド取付けベー
ス22下面から所定長突き出した外周面25Eを利用し
ておこなわれ、電極18を使用しないこと、さらに言え
ば、電極ガイド25がセットされた後、電極18が電極
ガイド25に挿通セットされる前に接触感知することで
ある。なお、前記電極ガイド25の所定長の突出長さと
しては、例えば、基準球9の直径がφ5mmのとき、約
3.5mmまたはそれ以上に選定される。
【0032】以下、基準球9を使用する場合が説明され
る。基準球9を使用せずに被加工物8に対して接触感知
される場合は、同様であるから説明が省略される。ま
ず、従来のように基準球9と被加工物8がそれらの相対
位置が一定になるように配置される。そして、それらの
相対位置関係が、所定部位などの座標値基準データとし
て予め制御装置に記憶される。
【0033】つぎに細穴加工用電極18の径に対応する
案内孔25Cおよびダイスガイド25Dを有する電極ガ
イド25が、ガイド取付けベース22に装着され、この
電極ガイド25の取付けベース22下方に突き出した外
周面25Eが基準球9に対して接触感知する。電極ガイ
ド25による接触感知の動作は、図7と同様であるから
その動作図が省略されているが、図3によりその動作の
態様が説明される。
【0034】接触感知は、予めオペレータによって作成
された接触感知のプログラムによって行なわれる。この
プログラムでは、基準球9の位置が上記したように予め
1つの原点に設定されているので、この原点に対して電
極ガイド25が相対的に移動して接触感知が行なわれ
る。まず、電極ガイド25は、基準球9の原点上方の所
定位置に移動して、そこから、例えばX軸+方向に、所
定距離離れた位置に移動する。つぎに、電極ガイド25
は、ガイド取付けベース22の下面が基準球9の頂上よ
りも上に位置する範囲で充分下降してから、基準球9に
向かって水平に、即ち、例えば、X軸−方向に移動す
る。そして、基準球9と電極ガイド25の円柱外周面2
5Eとが所定に接触感知した位置で接触感知手段26か
ら図示しない制御装置に検知信号26Cが出力すると、
電極ガイド25の座標位置が制御装置に記憶され、電極
ガイド21が水平移動を開始した位置まで戻る。
【0035】つぎに、電極ガイド25は、そこから上昇
して、今度は、基準球9を水平方向に挟んで先程とは対
称な位置に、例えばX軸−方向に、所定距離離れた位置
に移動する。そして電極ガイド25は、先程と同様に、
ガイド取付けベース22と干渉しない高さになるまで下
降して、基準球9に向かって水平に、即ち、例えば、X
軸+方向に移動する。そして接触感知した座標位置が制
御装置に記憶され、電極ガイド25が水平移動の開始位
置まで戻る。そこから電極ガイド25が上昇して、基準
球9の上方まで戻る。
【0036】制御装置は、上記記憶した電極ガイド25
の2つの座標位置の中心座標位置を演算して、その座標
位置を、現在の移動軸方向の電極18の中心位置とし
て、上記例では電極18の中心のX軸座標位置として、
記憶する。
【0037】水平面のもう一方の直交軸についても、基
準球9と電極ガイド25が同様に動作して、制御装置
は、その中心座標位置を、上記例では電極18の中心の
Y軸座標位置を、算出し記憶する。
【0038】こうして、電極ガイド25の中心座標位置
が基準球9中心位置に正確に一致するように自動的に設
定され、その結果、この電極ガイド25の中心位置が電
極18の中心位置として制御装置に記憶される。電極ガ
イド25の外周面25Eと案内孔25Cおよびダイスガ
イド25Dとが正確に同芯に形成されているからであ
る。そして、基準球9に対する被加工物8の位置関係に
基づいて、電極18が被加工物8の所望の加工位置に正
確に位置決めされる。
【0039】ところで、電極ガイド25の下端面は、放
電加工の際に被加工物上面に接近した所定隙間を保たな
ければならない。しかし電極ガイド25が電極径に合わ
せて交換されると、電極ガイド25の下端面の取付けベ
ース22下端面に対する高さ位置がずれてしまう。それ
で、従来、オペレータが隙間ゲージを電極ガイドと被加
工物との間に挿入することによって、これらの隙間が確
認され、調整されていた。しかし、本発明の細穴放電加
工機は、電極ガイド下端面25Fを基準球9に対して接
触感知することができるので、電極ガイド下端面25F
の高さ位置を接触感知によって検出し、この高さ位置を
基に電極ガイド25を被加工物上面高さ位置に対しW軸
スライダ本体12Aを駆動して調整することができる。
これによって、電極ガイド下端面25Fと被加工物8上
面との隙間の確認が不要になるばかりでなく隙間調整が
自動化される。なお、基準球9、被加工物8の高さ位置
は、あらかじめ上記スタイラス40によって基準球9、
被加工物8に対して鉛直方向に接触感知することによっ
て、それぞれ正確にかつ容易に求められている。
【0040】この下端面位置出しにおいては、電極ガイ
ド25の下端面25Fが基準球9に垂直方向に接触感知
して、検出された下端位置が、電極ガイド21の下端面
位置として記憶され、例えばW軸座標値として設定され
る。即ち、まず、電極ガイド25は、基準球9の上方
の、電極ガイド25の中心が基準球9中心から水平方向
に所定距離離れた位置に、移動する。そしてその位置
で、電極ガイド25は、基準の下端面25Fが基準球9
と接触するまで下降して、接触感知する。そして、接触
感知したW軸座標位置が記憶され、電極ガイド25が下
降開始位置まで上昇する。こうして、電極ガイド25の
下端面25Fの高さ位置は、制御装置で電極ガイド25
の下端面25Fの高さ位置に換算されて記憶される。そ
して、基準球9に対する被加工物8の高さ位置関係に基
づいて、放電加工開始前に、電極ガイド25が被加工物
8上面に接近した所定間隔の位置に自動的に位置決めさ
れる。
【0041】図4は、前述電極ガイド25の下端面25
Fの高さ位置検出後、細穴放電加工の実施に移行する
時、取付けベース22の下端面より下方に突出した電極
ガイド先端部を保護すると共に良好な加工環境を確保す
るための保護キャップ33とその着脱機構の一例を示し
たものである。前記保護キャップ33は、電極ガイド2
5の取付けベース22下端面からの下方突出長さよりも
僅かに厚さ高さの大きい板状体で、電極ガイド25の先
端が嵌挿する貫通孔33Aを有し、前記着脱機構は、前
記保護キャップ33を適宜のマニピュレータ機構などを
介して電極ガイド25先端に挿脱させるシリンダ33B
と挿脱位置と退避位置とに往復移動させるシリンダ33
Cとが、図示実施例の場合連結ブラケット23に設けて
ある。このようにして、保護キャップ33が被加工体8
の上面の放電加工部廻りと取付けベース22下端面とに
接触した状態で、かつ、被加工体8表面の電極18の廻
りに小さな空間を形成した状態で加工を進行させられる
ので、加工液及び加工屑の排出に支障なく加工が行なわ
れ、電極ガイド25の下端面25Fなどの損耗を回避す
ることができる。
【0042】図5は、前述図3と同じく本発明の他の実
施例の要部側面図で、前記同一または異なる径の細穴加
工用電極18に対応する複数個の電極ガイド25を。放
電加工部に直近の前記ガイド取付けベース22と同等の
回転割り出し可能な取付けベース22Bに、電極の軸線
方向と交叉する方向の直線または円弧線上に所定の間隔
で保持させ、所要に応じ複数の電極ガイド25の内の1個
を放電加工部上に前記交叉する方向の移動により位置さ
せ得るようにしたものである。
【0043】図示実施例の場合、前記取付けベース22
Bは、円盤状体で、等角な放散同形の同一円弧線上に、
好ましくは相互に電気絶縁された複数個の電極ガイド保
持部22B−1、・・・、22B−nを有し、その中心
が回転割り出しの検出制御ロータリィエンコーダ28B
を取り付けたサーボモータ28の回転軸28Aに連結さ
れ、該サーボモータ28を連結ブラケット23によりW
軸スライダ本体12Aに連結支持されることにより、前
記取付けベース22BはW軸スライダ12と一体に昇降
が制御される。そして各電極ガイド25−1、・・・、
25−i、・・・、25−nは、細穴放電加工の開始に
先立ち、取付けベース22Bの各保持部22B−1、・
・・、22B−nに嵌設されたとき、例えば図6の部分
の拡大断面図で示すように、電極ガイド25−1の導電
材である外筒25Aの頂部円弧面が弾圧接触するリボン
形など適宜のコネクタ29A−1が設けられていて、該
コネクタ29A−1に接触した状態で、取付けベース保
持部22B−1に保持されている。
【0044】細穴放電加工を開始しようとするとき、ま
たは加工を繰り返し実行していて使用中の電極ガイド2
5の内筒スリーブ25Bやダイスガイド25Dが所定限
度以上に摩耗や損傷したとき、または次に加工すべき細
穴の穴径が今迄加工して来た穴径のものと異なる穴径の
ものであるとき、図示しない制御装置は検知した信号や
解読したNCプログラムに応じてサーボモータ28に駆
動指令を与え、目的の電極ガイド25−1を保持する取
付けベース22Bの保持部22B−1が、所定の放電加
工部上に位置するようロータリィエンコーダ28Bの検
出フィードバック信号を受け取りながら取付けベース2
2Bを制御回動させ位置決めして停止する。そしてこの
とき、電極ガイド25−1と接触している前記コネクタ
29A−1の他端の端子29B−1は、軸28Aに設け
た端子台30上において、接触感知手段26の電圧印加
の一方の端子26Aが接続されるブラシ31と接触して
接続するように、コネクタ29A−1から絶縁状態で誘
導されている。
【0045】そして、本発明によれば、前述本発明の構
成を有する各電極ガイド25−1、・・・、25−n
は、取付けベース22Bの各保持部22B−1、・・
・、22B−nに、下端面から下方に所定長突出した状
態に取り付けられているので、所定に設置されている基
準球9と電極ガイド25−1の円柱外周面25Eとの間
の前述水平2軸方向の接触感知による中心や端面の位置
検出が行なわれるだけでなく、前記電極ガイド25−1
の案内孔25Cを中心とする同芯円状の基準下端面25
Fと基準球9との間のW軸による垂直方向の接触感知に
より、電極ガイド25−1の前記下端面25Fの位置を
検知することができる。
【0046】以上は、本発明を図示した実施例により説
明を加えたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で各部に
変更を加えて実施が可能なことは明らかである。例え
ば、図5に例示した複数の電極ガイドを予め設置した取
付けベース22Bの円盤状体やその回転割出し機構に替
えて、直線状体の取付けベースに直線方向に所定の間隔
を置いて本発明に依る電極ガイドを複数個設け、該直線
状の取付けベースを、位置検出フィードバック機能付き
サーボモータ制御のボールねじ若しくはラックとピニオ
ン、またはピストン作動のシリンダアクチュエータ機構
などの直線移動機構を使用する構成とすることが出来る
が如くである。
【0047】
【発明の効果】以上、本発明の細穴放電加工機によれ
ば、電極でなく、特定の形状、精度構成と組付け構成を
有する電極ガイドが基準球に接触感知することによって
電極ガイド中心位置が求められるので、電極の剛性に影
響されることなく正確に電極中心位置出しができる。し
かも、電極が接触感知によって基準球あるいは被加工物
に衝突することがないので、放電加工開始前に細穴加工
用電極の先端が損傷することがない。加えて、本発明の
細穴放電加工機によって、電極ガイド下端面の位置出し
ができるので、電極ガイド下端面と被加工物上面と隙間
の確認が不要になるばかりでなく隙間調整が自動化され
る。
【0048】さらに、電極ガイドがガイド装置に着脱自
在に交換される場合、あるいは電極ガイドがガイド装置
において移動交換される場合には、交換設置された電極
ガイドのみに選択的に接触感知の電圧印加が行なわれる
構成となっているので、電極の中心位置出しや電極ガイ
ドの端面位置出しが、より簡便に、正確に、かつ自動的
にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極ガイド装置の電極ガイド部分の一
実施例の縦断面図。
【図2】電極ガイド部分の異なる実施例の縦断面図。
【図3】本発明の電極ガイド装置の一実施例の要部拡大
断面図。
【図4】細穴放電加工時の電極ガイド部分の側面図。
【図5】異なる実施例の要部側面図。
【図6】図5の一部の拡大断面図。
【図7】接触感知による電極中心位置出しの説明図。
【図8】接触感知による従来の測定技術の説明図。
【図9】従来例の細穴放電加工機の要部の1部を切り欠
いて示した側面図。
【図10】図9の細穴放電加工機をカバーなどを取り除
いて示した正面図。
【符号の説明】
1 細穴放電加工機 2 ベッド 3 Y軸駆動装置 4 サドル 5 X軸駆動装置 6 テーブル 7 加工槽 8 被加工物 9 基準球 10 コラム 11 Y軸駆動装置 11A ボールねじ 11B 電動機 11C 直線案内 11D ロータリィエンコーダ 12 W軸スライダ 12A スライダ本体 13 リニアモータ 13A 磁石板 13B 電磁石 14 Z軸スライダ 15 主軸回転駆動装置 16 加工主軸 18 細穴加工用電極 18A 電極ホルダ 19 案内保護蓋 20 電極ガイド装置 21、25、25−1、25−n 電極ガイド 22、22B、22B−1、22B−n 電極ガイド取
付けベース 22A 挿設孔 23 連結ブラケット 24 中間ガイド 25A 導体外筒 25B 内筒セラミックススリーブ 25C 案内孔 25D ダイスガイド 25E 円柱外周面 25F 円弧状下端面 25G 環状溝 26 接触感知手段 26A、26B 接触感知電圧端子 27 ブラシ 28 サーボモータ 28A 回転軸 28B ロータリィエンコーダ 29A−1、29A−n コネクタ 29B−1、29B−n 端子 30 端子台 31 ブラシ 33 保護キャップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一または異なる径の回転する細穴加工用
    電極の先端を貫通させて放電加工部に案内する複数個の
    電極ガイドと、該電極ガイドを所望複数個収納する電極
    マガジンと放電加工部の電極ガイド取付けベースとの間
    で取り付け交換する取付け手段を有する細穴放電加工機
    の電極ガイド装置において、 前記各電極ガイドは、外周形状が全体として円柱状体
    で、前記電極を挿通する案内孔と案内孔内に設けられた
    位置決めガイドを有し、かつ、前記案内孔内の位置決め
    ガイドに同芯に形成されると共に、水平方向の位置決め
    の接触感知の基準部材と接離する導体材からなる円柱外
    周面を有して成り、該電極ガイドは、前記取付け手段に
    よって放電加工部の取付けベースに取り付けられたと
    き、ガイドの下方先端側が取付けベースの下端面から所
    定長突出した状態に取り付けられるとともに、ガイドの
    前記外周面が接触感知手段の一方の端子に前記取付けベ
    ース部において自動接続される構成を備えて成ることを
    特徴とする細穴放電加工機の電極ガイド装置。
  2. 【請求項2】同一または異なる径の回転する細穴加工用
    電極を貫通させて放電加工部に案内する複数個の電極ガ
    イドと、該複数の電極ガイドを電極の軸線方向と交叉す
    る方向の直線または円弧線上に所定の間隔で保持する電
    極ガイド取付けベースと該取付けベースを電極の軸線方
    向と交叉する前記方向に駆動し、前記複数の電極ガイド
    の内所要の1つを前記放電加工部上に位置させる駆動手
    段とを有する細穴放電加工機の電極ガイド装置におい
    て、 前記各電極ガイドは、外周形状が全体として円柱状体
    で、前記電極を挿通する案内孔と案内孔内に設けられた
    位置決めガイドを有し、かつ、前記案内孔内の位置決め
    ガイドに同芯に形成されると共に、前記交叉する方向の
    位置決めの接触感知の基準部材と接離する導体材からな
    る円柱外周面を有して成り、該電極ガイドは、前記保持
    手段のガイド取付けベースにその下端面から下方に所定
    長突出した状態に取り付けられ、前記駆動手段により所
    定の放電加工部上に配置された対応電極ガイドの前記外
    周面が、接触感知手段の一方の端子に電気的に自動接続
    される手段を備えて成ることを特徴とする細穴放電加工
    機の電極ガイド装置。
  3. 【請求項3】前記電極ガイドは、さらに下端下面に、電
    極軸線方向の位置決め接触感知の基準部材と接離する前
    記案内孔を中心とする同芯円状の基準下端面が形成され
    て成るものであることを特徴とする請求項1または2に
    記載の細穴放電加工機の電極ガイド装置。
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