JP2003260456A - 土壌浄化剤及び土壌浄化方法 - Google Patents
土壌浄化剤及び土壌浄化方法Info
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Abstract
直接、迅速にこの有機ハロゲン化物等を除去する土壌浄
化方法、及びこの方法に有利に利用することができる土
壌浄化剤を提供する。 【解決手段】 汚染された土壌を浄化するための土壌浄
化剤であって、還元作用を有する金属微粒子と、シリカ
微粒子とが水中に分散された水性懸濁液からなる土壌浄
化剤、及びこれを用いる浄化方法。
Description
物、6価クロム、シアン化合物等の汚染物質で汚染され
た土壌からこの汚染物質を無毒化又は除去するために使
用される土壌浄化剤及び汚染された土壌を浄化する方法
に関する。
は、これまでトリクロロエチレン等の有機ハロゲン化物
が大量に使用されてきた。環境汚染の観点から、最近で
はこのような有機ハロゲン化物の使用が規制されるよう
になってきている。しかしながら、既に多量の有機ハロ
ゲン化物が使用されており、このためその土壌汚染ある
いは水質汚染も進んでいる。即ち、トリクロロエチレン
等の有機ハロゲン化物は、安定で微生物に分解され難
く、自然環境に投棄された有機ハロゲン化物は、土壌を
汚染するだけでなく、最終的には河川や地下水を汚染
し、これが飲料水の原水となることがあり、問題とな
る。またこのような自然環境の汚染は、メッキ工場等の
工場跡地に残された6価クロムによっても同様に起こっ
ていることが知られている。
合物で汚染された土壌を浄化する方法としては、土壌ガ
ス吸引法、地下水揚水法、土壌掘削法等が知られてい
る。土壌ガス吸引法は、不飽和帯に存在する対象物質を
強制的に吸引するものであり、ボーリングにより地盤中
に吸引用井戸を設置し、真空ポンプによって吸引用井戸
内を減圧にし、気化した有機化合物を吸引井戸内に集
め、地下に導いて土壌ガス中の有機化合物を活性炭に吸
着させるなどの方法によって処理するものである。上記
有機化合物による汚染が帯水層にまで及んでいる場合に
は、吸引用井戸内に水中ポンプを設置し、土壌ガスと同
時に揚水して処理する方法が採用される。
し、汚染地下水を揚水して処理する方法である。さら
に、土壌掘削法は、汚染土壌を掘削し、掘削した土壌を
風力乾燥、加熱処理を施して有機化合物の除去回収を行
う方法である。
地下水等の汚染水を浄化する方法としては、例えば特許
公報第2636171号に、汚染水中の溶存酸素を除去
した後、汚染水を鉄等の金属表面に接触させ、汚染水中
に含まれる有機ハロゲン化物を還元除去する方法が開示
されている。このような鉄の還元作用を利用した汚染水
の浄化方法は、特開平3−106496号公報、特開平
3−30895号公報、特表平6−501521号公
報、特開平8−257570号公報、特開平10−26
3522号公報等にも記載されている。これらの方法は
いずれも汚染水を、鉄を含む層、フィルター等の一定部
分を通過させて処理を行う方法である。
接浄化する方法ではなく、上記土壌ガス吸引法、地下水
揚水法等により集められた汚染水、あるいは河川、地下
水等の汚染水を浄化する方法であり、対象は極めて大量
であること、また処理速度も大きくないことから、処理
は長期間を要する場合が多い。また処理工程が複雑とな
る場合が多いのも欠点である。
ついては、硫酸第1鉄等の還元剤で浄化する方法が知ら
れているが、クロム鉱滓のように3価及び6価クロムの
塊状で存在する場合には、硫酸第1鉄では還元作用を示
す時間が短いため、十分な還元を行うことができない。
従って、長期に亘って還元作用を示す浄化剤とはいえな
い。
付与することができ、しかも土壌内に容易に浸透し、迅
速な浄化が可能な浄化剤として、平均粒径が10μm未
満の鉄微粒子の水性懸濁液が提案されている。この浄化
剤を使用することにより、直接、効率よくこの汚染物質
を還元して、無毒化、或いは無毒化後除去することがで
き、従来の土壌浄化剤の欠点を改良するものである。
ば、鉄微粒子として、従来から使用されているもののよ
うに粒径が数十〜数百μmと大きいものを使用すると、
土壌の浸透性が遅くなるだけでなく、その表面積が急激
に小さくなり浄化速度が低下する。従って、有機ハロゲ
ン化物等の汚染物質を一層速く還元分解する作用(いわ
ゆる脱ハロゲン化作用)を示すように改善する必要があ
る。
クロム等の汚染物質により汚染された土壌から、効率よ
くこの汚染物質を還元することにより無毒化、或いは無
毒化後除去することができる土壌浄化剤、及びこの土壌
浄化剤を用いる浄化方法を提供することにある。特に、
汎用性のある材料からも得ることができ、直接、迅速に
この汚染物質を還元することにより無毒化、或いは無毒
化後除去することができる土壌浄化剤、及びこの土壌浄
化剤を用いる浄化方法を提供することにある。
ゲン化物を還元分解する作用(いわゆる脱ハロゲン化作
用)を示す鉄などの金属に基づく土壌浄化剤について、
その浄化作用を高めるために検討を重ねてきた。その結
果、還元性を有する金属微粒子、特に鉄微粒子の水性懸
濁液に、シリカ微粒子を添加することにより浄化作用が
格段に向上することが明らかとなった。シリカ微粒子の
作用は明確ではないが、例えば鉄微粒子の表面にまずシ
リカ微粒子が吸着し、有機ハロゲン化物等の汚染物質と
の接触を容易にし、還元反応を促進していることが考え
られる。
作用は、有機ハロゲン化物以外でも、還元され得る汚染
物質であれば効果があり、特に6価クロムに対して有効
であることも見出した。
めの土壌浄化剤であって、還元作用を有する金属微粒子
と、シリカ微粒子とが水中に分散された水性懸濁液から
なる土壌浄化剤により達成することができる。
く、入手しやすいことから鉄微粒子が好ましい。金属微
粒子の平均粒径は、一般に0.1〜500μmの範囲で
あり、0.1〜200μmが好ましく、さらに0.1〜
100μm、特に0.1〜50μm、とりわけ0.1〜
15μmが好ましい。また金属微粒子の水性懸濁液全体
に対する含有量が、0.1〜40質量%の範囲にあり、
且つ前記シリカ微粒子の水性懸濁液全体に対する含有量
が、0.01〜5質量%の範囲にあることが、懸濁液の
粘度、安定性、有効性を考慮すると好ましい。前記シリ
カ微粒子の平均粒径が1nm〜10μmの範囲、さらに
5nm〜1μmの範囲、特に5〜50nmの範囲にある
ことが好ましい。
範囲にあることが金属微粒子の酸化防止の観点から好ま
しい。前記汚染された土壌の汚染物質の内、有機ハロゲ
ン化物及び/または6価クロムに対して、特に有機ハロ
ゲン化物に対して有効である。
汚染された土壌に浸透させることからなる、汚染土壌か
ら汚染物質(例、有機ハロゲン化物、6価クロム等、特
に有機ハロゲン化物)を無毒化、或いは無毒化、除去す
る方法により達成することができる。好ましくは、土壌
浄化剤の浸透を、土壌浄化剤を土壌表面の略全面に散布
することにより行う方法;汚染された土壌(特に有機ハ
ロゲン化物で汚染された土壌)に、上記の土壌浄化剤を
供給するための注入管を挿入し、該土壌浄化剤をその注
入管に導入することからなる方法を挙げることができ
る。このような浄化方法において、有機ハロゲン化物で
汚染された土壌の表面を、更にシートで覆うこともでき
る(一般に、シートの覆いは浄化剤注入後に設置され
る)。
ゲン化物、6価クロム、シアン化物等の汚染物質で汚染
された土壌から、汚染物質を還元等により迅速に無毒
化、或いは無毒化後除去するために使用されるものであ
り、金属微粒子とシリカ微粒子が水中に分散した水性懸
濁液である。
有機ハロゲン化物、6価クロム、シアン化物を挙げるこ
とができ、有機ハロゲン化物、6価クロムが適当であ
り、特に有機ハロゲン化物が適当である。有機ハロゲン
化物の例としては、1,1−ジクロロエチレン、1,2
−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロ
ロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジ
クロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,
1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラク
ロロエタン、ジクロロジフルオロエタン、1,2,4−
トリクロロベンゼン等を挙げることができる。これらの
有機ハロゲン化物は、鉄の脱ハロゲン化作用(還元作
用)により、ハロゲンを失って対応する炭化水素とな
り、土壌より除去されると考えられる。有機ハロゲン化
物としては、有機塩化物(有機塩素置換化合物)に特に
有効である。また、6価クロムは、長期間に亘る有効な
鉄の還元作用により、効率良く3価クロムに還元するこ
とができ、その後必要により土壌より除去することがで
きる。さらに、シアン化物(シアンイオン)は、鉄イオ
ンと錯体を形成して無毒化される。
付与できるように、即ち付与後土壌内に浸透できるよう
に金属粉としては微粒子のものを使用する。金属微粒子
の平均粒径が0.1〜500μmの範囲が一般的で、
0.1〜200μmの範囲が好ましく、更に0.1〜1
00μmの範囲、特に0.1〜50μmの範囲、とりわ
け0.1〜15μmの範囲が好ましい。
例えばFe、Mn、Mg、Zn、Al、Ti等を挙げる
ことができるが、還元反応が速く、入手しやすいことか
ら鉄が好ましい。また鉄微粒子の形状は一般に不定形で
あるが、球状のものも用いることができ、好ましい。
微粒子とは、純鉄を成分とする微粒子を意味するが、純
鉄の一部が酸化鉄などに変化したものや、鉄以外の成分
を少量含んでいても良い。鉄微粒子の形状は一般に不定
形であるが、球状のものを用いることができ、球状のも
のは比表面積がより大きくなることから還元作用効率が
高く、好ましい。鉄微粒子の平均粒径も、前記と同様
0.1〜500μmの範囲であることが好ましく、0.
1〜200μmの範囲であることがより好ましく、更に
0.1〜100μmの範囲、特に0.1〜50μmの範
囲、とりわけ0.1〜15μmの範囲であることが好ま
しい。
定装置(例えば、マスターサイザー2000、マルバー
ン社製)を用いて測定することができる。なお、容積%
に金属微粒子の平均密度を掛けることにより質量%とな
るので、容積%の分布はそのままで質量%の分布とみな
すことができる。金属微粒子の平均粒径が500μmよ
り大きいと金属の比表面積が小さく還元作用効率が低下
するため、また土壌内への浸透性が低下し、土壌中への
注入作業性も悪化するので好ましくない。金属微粒子の
配合量としては水性懸濁液全体に対し0.1〜40重量
%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜1
0重量%である。配合量0.1重量%より少ないと還元作
用が発現しにくく、40重量%より多いと土壌内への浸
透性が低下し、土壌中への注入作業性も悪化するので好
ましくない。
上記の鉄以外の金属を併用することができる。
は、メディアレス粉砕機、メディア粉砕機などを用いて
粉砕してもよい。例えばロールミル、サンドミル、ボー
ルミル、アトライター、ニーダー、ジェットミル等の各
種粉砕機を用いることができる。また粉砕機を用いるこ
とにより金属微粒子の表面を摩砕活性化し、還元作用を
高めることができる。
は、非晶質シリカがよく、一般に、合成シリカである粉
体状シリカ(一般に湿式法シリカ又は乾式法シリカ)ま
たはコロイダルシリカが使用される。また天然の非晶質
シリカも使用することができ、その平均粒径は一般に大
きく0.1〜10μm程度である。合成の非晶質シリカ
である粉体状シリカまたはコロイダルシリカの平均粒径
が、1〜100nm程度である。本発明では合成シリカ
が好ましい。本発明において、シリカ微粒子の平均粒径
は、一般に1nm〜10μmの範囲、さらに5nm〜1
μmの範囲、特に5〜100nmの範囲にあることが好
ましい。
質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であり、
好ましくは球状である。シリカ微粒子の比表面積は0.
1〜3000m2/gであり、好ましくは10〜150
0m2/gである。これらのシリカ微粒子の使用形態は
乾燥状態の粉末、もしくは水もしくは有機溶剤で分散し
た状態で用いることができ、コロイダルシリカとして知
られている微粒子状のシリカ微粒子の分散液を直接用い
ることができる。
(株)製のアエロジル130、アエロジル200(比表
面積=200m2/g)、アエロジル300、アエロジ
ル380(比表面積=380m2/g)、アエロジルT
T600及びアエロジルOX50、旭硝子(株)製のシ
ルデックスH31、H32、H51、H52、H12
1、H122、日本シリカ工業(株)製のE220A、
E220、富士シリシア(株)製のサイリシア470、
日本板硝子(株)製のSGフレ−ク等を挙げることがで
きる。
利用も好ましい。コロイダルシリカの分散溶媒が水の場
合、その水素イオン濃度はpH値として2〜10の範囲
であり、好ましくはpH3〜7の酸性コロイダルシリカ
が用いられる。また、コロイダルシリカの分散溶媒が有
機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノ−ル、イソプロピ
ルアルコ−ル、エチレングリコ−ル、ブタノ−ル、エチ
レングリコ−ルモノプロピルエ−テル、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、
ジメチルホルムアミド等の溶剤もしくはこれらと相溶す
る有機溶剤もしくは水との混合物として用いても良い。
好ましい分散溶剤はメタノ−ル、イソプロピルアルコ−
ル、メチルエチルケトン、キシレンである。シリカ微粒
子の市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして
は日産化学工業(株)製のスノーテックスS、メタノ−
ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−
ST、XBA−ST、DMAC−STおよびST−U
P、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−
C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を
あげることができる。上記アエロジル、スノーテックス
は一般に球状である。
液全体に対し0.01〜10質量%が一般的で、0.1〜
1質量%が好ましい。
アミノ酸を含んでいても良い。一般に、浄化速度をさら
に向上させることができる。例えば、グリシン、アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオ
ニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタ
ミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギ
ニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリ
プトファン、プロリン及びオキシプロリン等のα−アミ
ノ酸、β−アミノプロピオン酸等のβ−アミノ酸、γ-
アミノ酪酸等のγ−アミノ酸、アントラニル酸及びm−
アミノ安息香酸等の芳香族アミノ酸を挙げることができ
る。また、グルタミン酸一ナトリウム等の、上記記載ア
ミノ酸の各種金属、酸及び/又はアルカリとの塩も挙げ
ることができる。これらの中では、硫黄原子を含まない
アミノ酸が好ましい。これらは、単独で使用しても良い
し、2種類以上使用することもできる。
体に対し0.01〜5質量%が一般的で、0.1〜1質量
%が好ましい。
懸濁液のpHは、調整されることが好ましい。本発明で
用いられるpH調整法としては、浄化剤である水性液中
に各種酸性、アルカリ性物質を添加するか、あるいは浄
化剤に調整の際に使用する炭酸水などを用いて行うこと
ができる。水性懸濁液のpHは6〜13の範囲が一般的
で、7〜10の範囲が好ましい。pHが6より小さい場
合には、鉄微粒子の表面酸化が急速に進行し、不動態化
されるため有機ハロゲン化合物の分解作用が低下する。
また、pHが13より大きい場合には、鉄の還元作用が
低下し、有機ハロゲン化合物の分解無害化までの時間が
長期間要することになるため好ましくない。
整の際に用いる水としては、鉄の酸化を極力抑制する観
点から還元性電解水(pH=6〜13が好ましい)が好
ましい。金属微粒子においても同様である。
いは炭酸水への分散は、水あるいは炭酸水及び、金属微
粒子とシリカ微粒子を混合することにより行われるが、
分散機を使用することが好ましい。分散機としては、懸
濁化あるいは乳化に通常使用されるミキサーが用いられ
る。例えば、ホモミキサー、歯付円盤型ミキサー、アヂ
ホモミキサー、コンビミックス、ケディミル、シャフロ
ー等の回分式ミキサーあるいはパイプラインミキサー、
コロイドミル、ハイラインミル、ホモミックラインフロ
ー、高圧式ホモジナイザー等の連続式ミキサーを用いる
ことができる。また、水性懸濁液の分散を安定化させる
ために分散時に金属微粒子の周囲に気泡を形成させる、
あるいは分散剤などの添加剤を添加することも有効であ
る。本発明で用いる金属微粒子は微細なため、長期保存
中あるいは水への分散過程で一部凝集体を形成する可能
性があるので、使用前に再分散することもできる。
には、鉄微粒子と水の混合物に気泡剤を加えて混合(好
ましくは強力に混合)するか、或いは鉄微粒子と水の混
合物に空気等の気体を導入するか、あるいは両者を組み
合わせて行えば良い。所望により、発泡剤を用いても良
い。泡を鉄微粒子に付着させて、水中で安定化させる必
要があることから、気泡剤を使用することが好ましい。
物[例、商品名:エスコートK((株)マノール
製)]、くず松脂(アビエンチン酸ナトリウム)の鹸化
物[商品名:ヴィンソル、山栄化学(株)製]、高級ア
ルコール硫酸塩[商品名:ファインフォーム、(株)エ
ヌエムビー製]が好ましい。気泡剤は、金属微粒子に対
して0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%の範囲
で使用することが好ましい。
属粉は、表面積が大きく表面に酸化(不働態化)され易
いため、これを防止するため親水性バインダー及び/又
は金属ハロゲン化物を併用しても良い。
MgCl2、CaCl2等を挙げることができ、特にN
aClが好ましい。金属ハロゲン化物は、鉄の水酸化
物、酸化物を金属鉄に還元する働きがある。その使用量
は、金属微粒子に対して10〜200重量%が一般的
で、10〜50重量%が好ましい。
覆い、有機ハロゲン化物を還元作用を示すまでに酸化さ
れないように保護する機能を有する。親水性バインダー
の例としては、スクロース等の二糖類、スクロース誘導
体(例、スクロース高級脂肪酸エステル)、グルコース
等の単糖類、アルギン酸;プルラン、PVA(ポリビニ
ルアルコール)、CMC(カルボキシルメチルセルロー
ス)、ポリアクリルアミド、グアガム、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性樹脂を挙げ
ることができる。プルラン(水溶液にした際の粘度が低
く特に好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、スク
ロース、グルコース、PVAが好ましい。親水性バイン
ダーとして生分解性ポリマーを用いると二次的な環境汚
染に対して特に有効である。その使用量は、金属微粒子
に対して10〜200重量%が一般的で、10〜100
重量%が好ましい。
ポリマー(例、生分解性ポリカプロラクトン)を用いる
と二次的な環境汚染に対して特に有効である。
元剤として金属硫酸塩(特に硫酸第一鉄)を含有するこ
とが好ましい。これは空気中の酸素と反応するため、金
属微粒子の表面の酸化を防ぐことができる。
炭酸塩系鉱物を含有していても良い。これらの例として
は、炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、珊瑚化石石灰岩、石灰岩、ドロマイトを挙げ
ることができ、特に沈降性炭酸カルシウムが好ましい。
本発明の土壌浄化剤は微粒子の鉄を使用しているため、
土壌内の土壌粒子の間隙に注入することが可能である。
しかしながら、微粒子にすることにより地下水等に溶出
する可能性も高くなることから、本発明では上記炭酸塩
を用いて、溶出した鉄イオンを固定し、これを防止する
ことが好ましい。
のように、上記金属微粒子、シリカ微粒子及び水を、混
合等することにより得られるものである。その際分散に
用いる水としては、鉄等の酸化を極力抑制する観点か
ら、前述のように還元性電解水(pH=6〜13が好ま
しい)を用いることが好ましい。分散剤として、ナフタ
レンスルホン酸系等を使用しても良い。分散剤の使用量
は、鉄微粒子に対して0.01〜10重量%が一般的
で、0.1〜5重量%が好ましい。また酸化防止剤とし
て有機酸(例、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、
エリソルビン酸)及びこれらの塩を使用することができ
る。酸化防止剤の使用量は、鉄微粒子に対して0.01
〜10重量%が一般的で、0.1〜3重量%が好まし
い。
化方法は、有機ハロゲン化物等で汚染された土壌(地
盤)に上記土壌浄化剤を浸透するように付与することに
より行われる。好ましくは、土壌浄化剤の浸透を、土壌
浄化剤を散布することにより行う方法(1);あるいは
有機ハロゲン化物等で汚染された土壌に、上記の土壌浄
化剤を供給するための注入管を挿入し、該土壌浄化剤を
その注入管に注入することからなる方法(2)を挙げる
ことができる。
うに行うことができる。有機ハロゲン化物で汚染された
土壌を例にとって説明する。
うことができる。
ーリングにより土壌浄化剤を供給するための注入管を設
ける。注入管は必要により間隔を隔てて複数設けること
ができる。土壌浄化剤を供給用注入管に注入する。これ
により、汚染土壌内に金属微粒子等が浸透し、有機ハロ
ゲン化物と徐々に接触し、有機ハロゲン化物を分解除去
する。注入管で注入する前に、注入管から地下水を排出
し、その後土壌浄化剤を注入しても良い。注入液が土壌
表面からあふれ出ないように土壌表面に不透水性シート
(例、ベントナイトシート)で覆っても良い。あるいは
土壌内にシートを埋め込んでも良い。
も良い。即ち、図1に示すように、汚染土壌の周囲を、
地下の不透水性地盤11に至る不通気層12で遮断し、
その内側の土壌中に注入管9、必要により通気性柱状部
2及び水平通気層4を設置し、これらの上に不通気性の
シート6(例、高密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、
ポリウレタン等の高分子化合物からなるシート)で覆
い、その周縁部を不通気層の外側で糊材を混入させた埋
め戻し土砂からなる不通気層7によって遮断することが
できる。上記水平通気層4内には、通気性材3を透過し
ない大きさの孔の多数からなる多孔管である吸気管5が
埋設されている。
して排水し、注入管から本発明の洗浄剤を注入し、必要
により減圧して、洗浄剤の拡散と、鉄による還元作用等
により発生する物質を除去することができる。
汚染された土壌の表面を、不通気性のシートで覆うこと
(一般に、シートの覆いは浄化剤注入後に設置される)
が好ましく、必要により通気性柱状部(上記発生物質の
除去に有用)を設けることができる。
子、シリカ微粒子と水から構成される。即ち金属微粒子
の周囲に付着して存在すると考えられ、このため比較的
粘性は低く、優れた流動性を示す。従って、上記のよう
に土壌に注入され易く、金属微粒子は土壌の奥深く侵入
し、直ちに迅速な浄化作用を示すことになる。
れた土壌も、上記と同様に行うことができる。また、汚
染された土壌(特に6価クロムで汚染された土壌)を、
土壌掘削法により掘削土壌を反応槽等に投入して本発明
の土壌浄化剤で処理することもでき、そして、処理した
クロム化合物等を除去することも有利な場合がある。
の注入量は、一般に土壌1m3当たり鉄微粒子1〜40
0kgであり、10〜200kgが好ましい。
子を含有する水性懸濁液からなる土壌浄化剤の注入と、
他の材料の注入を分けて行っても良い。またその材料の
組合せも適宜行うことができる。例えば、鉄微粒子を含
有する水性懸濁液からなる土壌浄化剤を注入後、シリカ
微粒子、あるいは炭酸塩等の水溶液、分散液を注入して
も良い。
が、本発明はこれに限定されるものではない。
及び処理した廃水中の有機ハロゲン化物の測定は下記の
ように行った。
00;マルバーン社製)湿式、乾式ユニットを用いて測
定した。 (II)有機ハロゲン化物の測定方法 JISK0125(用水・排水の揮発性有機化合物試験
方法)に基づき測定した。
出法により有機ハロゲン化物を抽出し、ガスクロマトグ
ラフ(GC−14A、(株)島津製作所製)を用いて定
量した。
号は下記の通りである。
微粒子 鉄B: 平均粒径=144μm、形状=不定形の鉄微粒
子 シリカA: 平均粒径=12nm、比表面積=200m
2/g、形状=球状のシリカ微粒子(商品名:アエロジ
ル#200、日本アエロジル(株)製;) シリカB: 平均粒径=8〜11nm、pH9.5〜1
0.5の溶液のコロイダルシリカ(商品名:スノーテッ
クスS、日産化学(株)製) シリカC: 平均粒径=0.55μm、比表面積=約5
m2/g、形状=真球状のシリカ微粒子(商品名:CO
SMO55、触媒化成工業(株)製) 前記粒子形状はSEM(走査型電子顕微鏡)観察により
決定した。
子、シリカ微粒子、還元電解水を表1に示す割合(質量
比)で攪拌機を用いて混合し、水性懸濁液(土壌浄化
剤)を得た。
土壌浄化剤を汚染土壌200m3に対し注入量40
m3、注入ピッチ(注入管の間隔)2mの条件でトリク
ロロエチレン(TCE)で汚染された土壌中に注入し
た。注入後、2週間放置し、土壌中の4箇所からサンプ
リングをした試料をJISK0125に基づき測定し
た。
及び比較例1、2の土壌浄化剤について実施例1A、2
A及び比較例1A、2Aとして示す。
機能は、土壌を用いない水系でも簡易に確認することが
できる。以下に示すように実験を行った。
CEを表3の初期濃度となるように試験管に入れ、セプ
タムキャップで栓をし、振とうした。静置後、注射器を
セプタムキャップに刺して中の浄化液をサンプリング
し、上記と同様TCE含有量を測定した。
化剤について実施例1B〜6Bとして示す。
併用することにより浄化速度が大幅に向上していること
が分かる。即ち、鉄微粒子のみ用いた場合(比較例
1)、シリカ微粒子のみ用いた場合(比較例2)の浄化
率の合計より、本願発明のこれらを併用した実施例1の
浄化率が高いことから明らかである。またシリカ量を増
やすことにより、効果も向上することも分かる。
準は検液1Lにつき0.03mg以下である(人の健康
の保護に関する環境基準値は0.03mg/L以下)。
本発明の土壌浄化剤は、このような値を大幅に下回るよ
うにすることができるものであることが分かる。
すること等により無毒化、あるいは無毒化後除去するこ
とが可能となる。本発明のシリカ微粒子の使用により、
高速な浄化処理が可能となるため、浄化速度の遅い比較
的大きな粒度の鉄微粒子等の金属微粒子が使用可能とな
ること、また低濃度の鉄等の金属の使用で高速な浄化が
可能となり、浄化に使用する金属の使用を大幅に減少さ
せることもできる。
示す断面図である。
Claims (13)
- 【請求項1】 汚染された土壌を浄化するための土壌浄
化剤であって、金属微粒子とシリカ微粒子とが水中に分
散された水性懸濁液からなる土壌浄化剤。 - 【請求項2】 前記金属微粒子が鉄微粒子である請求項
1に記載の土壌浄化剤。 - 【請求項3】 前記金属微粒子の平均粒径が0.1〜5
00μmの範囲にある請求項1又は2に記載の土壌浄化
剤。 - 【請求項4】 前記シリカ微粒子の平均粒径が1nm〜
10μmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の
土壌浄化剤。 - 【請求項5】 前記金属微粒子の水性懸濁液全体に対す
る含有量が、0.1〜40質量%の範囲にあり、且つ前
記シリカ微粒子の水性懸濁液全体に対する含有量が、
0.01〜5質量%の範囲にある請求項1〜4のいずれ
かに記載の土壌浄化剤。 - 【請求項6】 前記水性懸濁液のpHが、6〜13の範
囲にある請求項1〜4のいずれかに記載の土壌浄化剤。 - 【請求項7】 前記汚染された土壌の汚染物質が、有機
ハロゲン化物及び/または6価クロムである請求項1〜
6のいずれかに記載の土壌浄化剤。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の土壌浄
化剤を、汚染された土壌に浸透させることからなる土壌
浄化方法。 - 【請求項9】 前記汚染された土壌の汚染物質が、有機
ハロゲン化物及び/または6価クロムである請求項8に
記載の土壌浄化方法。 - 【請求項10】 前記土壌浄化剤の注入を、土壌浄化剤
を土壌表面の略全面に散布することにより行う請求項8
又は9に記載の土壌浄化方法。 - 【請求項11】 汚染された土壌中に、請求項1〜7の
いずれかに記載の土壌浄化剤を供給するための注入管を
挿入し、該土壌浄化剤をその注入管に導入することから
なる土壌浄化方法。 - 【請求項12】 前記汚染された土壌の汚染物質が、有
機ハロゲン化物である請求項11に記載の土壌浄化方
法。 - 【請求項13】 前記汚染された土壌の表面を、更にシ
ートで覆う請求項11又は12に記載の土壌浄化方法。
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