JP2003254070A - 火花点火式直噴エンジンの制御装置 - Google Patents

火花点火式直噴エンジンの制御装置

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JP2003254070A
JP2003254070A JP2002050781A JP2002050781A JP2003254070A JP 2003254070 A JP2003254070 A JP 2003254070A JP 2002050781 A JP2002050781 A JP 2002050781A JP 2002050781 A JP2002050781 A JP 2002050781A JP 2003254070 A JP2003254070 A JP 2003254070A
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Japan
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engine
region
cylinder
injection
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JP2002050781A
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Hiroyuki Yamashita
洋幸 山下
Suketoshi Seto
祐利 瀬戸
Muneyuki Oota
統之 太田
Keiji Araki
啓二 荒木
Fumihiko Saito
史彦 斉藤
Yoichi Kuji
洋一 久慈
Hiroyuki Yoshida
浩之 吉田
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B23/00Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation
    • F02B23/08Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with positive ignition
    • F02B23/10Other engines characterised by special shape or construction of combustion chambers to improve operation with positive ignition with separate admission of air and fuel into cylinder
    • F02B2023/106Tumble flow, i.e. the axis of rotation of the main charge flow motion is horizontal
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B75/00Other engines
    • F02B75/12Other methods of operation
    • F02B2075/125Direct injection in the combustion chamber for spark ignition engines, i.e. not in pre-combustion chamber
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃焼室6の周縁部にインジェクタ18を配設
し、気筒2の圧縮行程で該燃焼室6のタンブル流Tに対
向するように燃料を噴射させて、混合気を点火プラグ1
6の電極周りに成層化するようにした火花点火式直噴エ
ンジン1において、成層燃焼領域(S)内で燃料の噴射
量が多いときでも空気との混合や気化霧化を促進して燃
費の改善やスモークの抑制を図りながら、燃料噴霧の貫
徹力とタンブル流の強さとの均衡を維持して、混合気の
着火安定性を確保する。 【解決手段】 成層燃焼領域(S)内で相対的に高速且
つ高負荷側に分割噴射領域(S1)を設定し、この領域
(S1)以外ではインジェクタ18により燃料を気筒2
の圧縮行程中期以降の期間内で一括して噴射させるとと
もに、TCV25は全閉として、燃焼室6に所要の強さ
のタンブル流Tを生成させる。分割噴射領域(S1)で
は、インジェクタ18により燃料を気筒2の圧縮行程中
期以降の期間内で2等分して噴射させるとともに、これ
に伴う燃料噴霧の貫徹力の低下に対して、タンブル流T
が相対的に弱くなるようにTCV25を半開とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成層燃焼運転時に
気筒内の燃焼室を流れるタンブル流に対向するように燃
料を噴射して、点火プラグの電極周りに混合気を成層化
するようにした火花点火式直噴エンジンの制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の火花点火式直噴エン
ジンとして、例えば特開2000−204954号公報
に開示されるように、インジェクタによる燃料噴霧の貫
徹力を気筒の半径方向に対向するタンブル流の強さに応
じて変更するようにしたものがある。このものでは、エ
ンジンの気筒内燃焼室の周縁部に配設したインジェクタ
により斜め下方のピストン冠面側に向かって燃料を噴射
させて、該ピストン冠面に沿って流れる強いタンブル流
に対し略均衡する貫徹力でもって燃料噴霧を略正面から
衝突させ、その燃料噴霧をタンブル流に載せて燃焼室天
井部の略中央に位置する点火プラグの電極側に輸送し
て、該電極の周りに混合気を成層化させるようにしてい
る。
【0003】また、前記のエンジンでは、スロットル弁
よりも下流の吸気通路に絞り弁(タンブルコントロール
バルブ:以下、TCVという)を設け、このTCVをア
クチュエータにより開閉することで燃焼室におけるタン
ブル流の強さを調節するとともに、これに対応するよう
にインジェクタからの燃料噴射圧力を調節して、燃料噴
霧の貫徹力をタンブル流と均衡させるようにしている。
こうすることで、エンジン回転速度の上昇とともにタン
ブル流の強さが大きくなっても、そのことに拘わらず、
インジェクタからの燃料噴霧流の強さを気筒の半径方向
についてタンブル流と略均衡させることができ、これに
より、燃焼室天井部の略中央に位置する点火プラグの電
極付近に混合気を輸送することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、火
花点火式直噴エンジンは、回転速度や負荷がある程度以
上に高くなると均一燃焼状態とせざるを得ず、このとき
には成層燃焼による燃費低減効果が得られない。これ
は、負荷が高くて燃料噴射量が多いときに混合気を点火
プラグ周りに成層化させようとすると、該点火プラグの
電極付近に燃料が過度に集中して空気との混合が難しく
なるからであり、また、エンジン回転速度が高いときに
は、気筒内の空気流動が強くなって燃料噴霧が拡散し易
くなる一方、燃料の噴射から点火までの時間間隔は相対
的に短くなるので、燃料の気化霧化が不十分なものとな
り易いからである。
【0005】この点について、特開平11−15938
2号公報には、エンジンが成層燃焼領域でも相対的に高
速且つ高負荷の状態のときに燃料を気筒の圧縮行程で複
数回に分割して噴射させることで(分割噴射)、燃料の
気化霧化のための時間を適度に確保しながら、点火プラ
グ周りの燃料の過集中を防止するという技術が開示され
ている。
【0006】しかし、そのような分割噴射の技術を前記
前者の従来例(特開2000−204954号公報)の
直噴エンジンに適用したところ、上述した燃料噴霧の貫
徹力とタンブル流との均衡が崩れてしまい、混合気形成
が阻害されて着火安定性が低下することが判明した。こ
れは、前者の従来例のように、成層燃焼状態のときに燃
料噴霧流とタンブル流とを均衡させて混合気の成層化を
図るようにしたものにおいては、燃料の分割噴射に伴い
燃料噴霧の貫徹力が小さくなると、点火プラグの電極付
近に混合気を到達させることができなくなるからである
と考えられる。
【0007】本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、成層燃焼運転時に燃
料を燃焼室のタンブル流に対向するように噴射させて、
点火プラグの電極の周りに混合気を成層化させるように
した火花点火式直噴エンジンにおいて、成層燃焼領域内
で相対的に高速且つ高負荷の運転状態のときのエンジン
の制御手順に工夫を凝らし、燃料の噴射量が多くなって
も、その空気との混合や気化霧化を促進して混合気の燃
焼性を向上させ、これにより燃費の改善やスモークの抑
制を図りながら、燃料噴霧の貫徹力とタンブル流の強さ
との均衡を維持して混合気の着火安定性を確保すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、成層燃焼運転時に燃料噴霧
と対向するタンブル流とを均衡させて点火プラグ電極の
周りに混合気を成層化するようにした火花点火式直噴エ
ンジンにおいて、成層燃焼領域内の相対的に高速且つ高
負荷の運転状態のときに燃料を気筒の圧縮行程で複数回
に分けて噴射させるとともに、これに伴う燃料噴霧の貫
徹力の低下に対応してタンブル流を相対的に弱くするよ
うにした。
【0009】具体的に、請求項1の発明では、エンジン
の気筒内燃焼室の天井部略中央に点火プラグを配設する
一方、該燃焼室の周縁部に燃料噴射弁を配設し、エンジ
ンが低速低負荷側の成層燃焼領域にあるときに前記燃料
噴射弁により燃料を燃焼室のタンブル流に対向するよう
に噴射させて、前記点火プラグの電極の周りに混合気を
成層化するようにした火花点火式直噴エンジンの制御装
置を前提とする。そして、前記燃焼室のタンブル流の強
さを調節するタンブル強さ調節手段と、エンジンが前記
成層燃焼領域内で相対的に高速且つ高負荷の第1設定領
域にあるときに前記燃料噴射弁により燃料を気筒の圧縮
行程で複数回に分けて噴射させる一方、相対的に高速且
つ低負荷の第2設定領域にあるときには燃料を気筒の圧
縮行程で一括して噴射させる燃料噴射制御手段と、エン
ジンが前記第1設定領域にあるときには、そのときと同
じ回転速度で且つ第2設定領域にあるときに比べてタン
ブル流が弱くなるように前記タンブル強さ調節手段を制
御するタンブル強さ制御手段とを備える構成とする。
【0010】前記の構成により、エンジンが成層燃焼領
域にあるときには、気筒内の燃焼室を流れるタンブル流
に向かい略正面から衝突するように燃料噴射弁により燃
料が噴射され、この燃料噴霧がタンブル流により減速さ
れて、気筒の点火時期までに可燃混合気となって点火プ
ラグの電極付近に到達するようになる。その際、エンジ
ンが相対的に高速且つ高負荷の第1設定領域にあれば、
燃料噴射制御手段による燃料噴射弁の制御によって、燃
料が気筒の圧縮行程で複数回に分けて噴射されるように
なり、このことで、燃料噴射量の多いときであっても燃
料噴霧の空気との混合や気化霧化が良好なものとなっ
て、混合気の燃焼性が向上するとともに、該混合気の濃
度分布が適度のものとなって、燃料の過集中に起因する
スモークの生成が回避される。
【0011】また、前記の如き燃料の分割噴射では、燃
料を一括して噴射するときに比べると全体として燃料噴
霧の貫徹力が弱くなるが、このことに対応してタンブル
強さ制御手段により、燃焼室のタンブル流が相対的に弱
くなるようにタンブル強さ調節手段が制御される。つま
り、分割噴射に伴う燃料噴霧貫徹力の低下に見合うよう
にタンブル流の強さが低下して両者の均衡が維持される
ことになり、これにより、混合気が点火プラグの電極付
近に狙い通りに形成されて、良好な着火安定性が確保さ
れる。
【0012】請求項2の発明では、燃料噴射制御手段
は、エンジンが第1設定領域にあるときに燃料噴射弁に
より燃料を気筒の圧縮行程の中期以降の期間内に2等分
して噴射させるものとする。
【0013】このことで、燃料噴射弁の前段の噴射作動
による燃料噴霧がやや大きく拡がって良好に気化霧化さ
れるとともに、その噴霧との間に空気層を挟んで後段の
噴射作動による燃料噴霧が分布し、両者が一体となって
点火プラグの電極周りに最適な濃度分布の混合気層を形
成する。これにより、請求項1の発明の作用効果が十分
に得られる。
【0014】請求項3の発明では、燃料噴射弁へ供給す
る燃料の圧力を調節する燃圧調節手段と、エンジンが成
層燃焼領域にあるときにエンジン回転速度の上昇に対応
して燃料の圧力が高くなるように前記燃圧調節手段を制
御する燃圧制御手段とを備えるものとする。
【0015】このことで、エンジン回転速度の上昇に伴
い燃焼室のタンブル流の速度が高くなるときに、これに
対応するように燃料の噴射圧力が高くなって燃料噴霧の
貫徹力が大きくなるから、エンジンの運転状態が変化し
ても、タンブル流の強さと燃料噴霧の貫徹力とを均衡さ
せることが容易になる。
【0016】請求項4の発明では、エンジンの吸気系に
排気の一部を還流させる排気還流通路と、この排気還流
通路を開閉する開閉弁と、少なくともエンジンが第1設
定領域にあるときに前記開閉弁を開いて排気の還流を行
わせる排気還流制御手段とを備えるものとする。
【0017】このことで、少なくともエンジンが成層燃
焼状態の第1設定領域にあるときに排気の一部が吸気に
還流されて燃焼室に供給されることになり、これによ
り、燃焼に伴うNOxの生成が抑制されるとともに、高
温の排気が供給されることで燃料噴霧の気化霧化が促進
されて、混合気の燃焼性がさらに向上する。
【0018】一方、そのように高温の排気によって燃料
噴霧の気化霧化が促進されると、そのことによって燃料
噴霧の貫徹力が小さくなる傾向があるので、このときに
は、タンブル流の強さを低下させることによって燃料噴
霧との均衡を維持するようにした請求項1の発明の作用
効果が特に有効なものとなる。
【0019】請求項5の発明では、タンブル強さ調節手
段として、エンジンのスロットル弁よりも下流の吸気通
路に絞り弁を配設し、タンブル強さ制御手段を、エンジ
ンが成層燃焼領域にあるときに前記絞り弁を全開状態よ
りも閉じて吸気通路を絞るとともに、そのうちの第1設
定領域では同じ回転速度の第2設定領域と比べて前記絞
り弁による吸気通路の絞り量を小さくするものとする。
【0020】すなわち、エンジンが低速低負荷側の成層
燃焼領域にあるときには、スロットル弁よりも下流の絞
り弁を閉じることで、エンジン回転速度が低いときでも
吸気の流速をある程度高くして、所期の強さのタンブル
流を得ることができる。そして、燃料の分割噴射を行う
相対的に高速且つ高負荷の第1設定領域では、前記絞り
弁による吸気通路の絞り量を相対的に小さくすること
で、タンブル流を第2設定領域に比べて弱めることがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0022】図1は、本発明に係る火花点火式直噴エン
ジンの制御装置Aの全体的な構成を示す。同図において
エンジン1は、複数の気筒2,2,…(1つのみ図示す
る)が直列に設けられたシリンダブロック3と、このシ
リンダブロック3上に配置されたシリンダヘッド4とを
有し、それら各気筒2内にピストン5が上下方向に往復
動可能に嵌挿されていて、そのピストン5の冠面とシリ
ンダヘッド4の下面との間の気筒2内に燃焼室6が区画
形成されたものである。また、前記気筒2,2,…を囲
むシリンダブロック3の側壁部には、図示しないがウオ
ータジャケットが形成されており、さらに、該シリンダ
ブロック3の下側部分には、気筒2,2,…に連通する
ようにクランク室7が形成され、その内部にクランク軸
8が回転自在に配設されている。このクランク軸8の一
端側にはその回転角度を検出するための電磁式のクラン
ク角センサ9が配設されている。
【0023】前記各気筒2の燃焼室6は、図2に拡大し
て示すように、天井部の略中央で2つの傾斜面が互いに
差し掛けられた屋根のような形状をなすいわゆるペント
ルーフ型のものである。そして、該2つの傾斜面にそれ
ぞれ吸気ポート10及び排気ポート11が2つずつ開口
していて、その各ポート開口部に吸気及び排気弁12,
13が配置されている。前記吸気ポート10,10は、
それぞれ燃焼室6から斜め上方に向かって直線的に延び
ていて、エンジン1の一側面(図1の右側面)に互いに
独立して開口しており、一方、前記2つの排気ポート1
1,11は途中で1つに合流して略水平に延び、エンジ
ン1の他側面(図1の左側面)に開口している。
【0024】前記吸気弁12及び排気弁13は、シリン
ダヘッド4の内部に軸支された2本のカム軸14,14
により弁軸方向に押圧されて開作動されるもので、該2
本のカム軸14,14がそれぞれ前記クランク軸8に同
期して回転されることで、吸気弁12及び排気弁13が
それぞれ各気筒2毎に所定のタイミングで開閉作動され
るようになっている。また、吸気側のカム軸14にはク
ランク軸8に対する回転位相を所定の角度範囲において
連続的に変化させる周知構造の可変動弁機構15が付設
されていて、この可変動弁機構15により前記吸気弁1
2の開閉作動時期が変更される。
【0025】前記燃焼室6の上方には、4つの吸排気弁
12,13に取り囲まれるようにして点火プラグ16が
配設されている。この点火プラグ16の先端の電極は燃
焼室6の天井部から所定距離だけ突出しており、該点火
プラグ16の基端部には点火回路17が接続されてい
て、各気筒2毎に所定の点火タイミングで点火プラグ1
6に通電するようになっている。一方、前記燃焼室6の
底部となるピストン5の冠面にはレモン形状の凹部5a
が設けられるとともに、該凹部5aよりも外側のピスト
ン5冠面は、対向する燃焼室6天井部と略平行になるよ
う山型に形成されている。
【0026】また、前記燃焼室6の周縁部には、2つの
吸気ポート10,10の下方に挟まれるようにしてイン
ジェクタ(燃料噴射弁)18が配設されている。このイ
ンジェクタ18は、先端部の噴口から燃料を旋回流とし
て噴出させて、インジェクタ18の軸心の延びる方向に
沿うようにホローコーン状に噴射する公知のスワールイ
ンジェクタである。このスワールインジェクタ18によ
る燃料噴霧は大気圧下では中空の円錐状となり、雰囲気
圧力が低いときほど燃料噴霧の拡がり角θが大きくなる
一方、雰囲気圧力が高くなると拡がり角θが小さくなっ
て、全体として円錐形状ではあっても中心部の燃料の密
度が高い液柱状となる。また、燃料の噴射圧力(燃圧)
が高いほど燃料噴霧の貫徹力が大きくなる。
【0027】ここで、前記ピストン5冠面の凹部5aと
インジェクタ18との配置関係についてさらに詳しく説
明すると、図3に示すように気筒中心線Zに沿って見た
ときに、ピストン5冠面の凹部5aは、その長さ方向が
インジェクタ18による燃料の噴射方向(燃料噴霧の中
心線Fが延びる方向)と大略一致するように配設されて
いる。これは、吸気ポート10,10から燃焼室6へ吸
気の流入する方向と凹部5aの長さ方向とが略一致する
ということであり、このことで、気筒2の吸気行程から
圧縮行程にかけてタンブル流Tが前記凹部5aの壁面に
沿ってインジェクタ18に向かうように流れ、このタン
ブル流Tが比較的弱いものであっても気筒2の圧縮行程
後期まで安定して保持されるようになる。
【0028】また、図4に示すように気筒中心線Zに直
交する方向から見ると、前記インジェクタ18は、その
軸心(この実施形態では燃料噴霧の中心線Fに一致す
る)が気筒2の横断面に対して所定の傾斜角度δ(好ま
しくはδ=25°〜40度、図例では略30°)をなす
ように配置されている。このインジェクタ18による燃
料噴霧の拡がり角θは、前記の如く燃焼室6の圧力状態
によって変化するものであるが、この実施形態では、気
筒2の圧縮行程における噴霧拡がり角θが所定の範囲
(例えはθ=略20°〜略60°)に収まるようなイン
ジェクタを用いている。
【0029】このことで、即ち噴霧中心線Fの傾斜角度
δと噴霧拡がり角θとをそれぞれ前記のように設定した
ことで、詳しくは後述するが、エンジン1の各気筒2の
燃料噴射時点(図9参照)において前記の如くピストン
5冠面の凹部5aに沿って流れるタンブル流Tに対し、
燃料噴霧の大部分を略正対して衝突させることができ、
その燃料噴霧をタンブル流Tにより徐々に減速させて燃
焼室6の略中央に適度な濃度状態の混合気塊を滞留させ
ることができる。
【0030】そして、そのように滞留する混合気に対し
て確実に点火できるように、点火プラグ16はその電極
が気筒中心線Zに沿って燃焼室6の天井部から所定量だ
け突出するように配置されている。すなわち、点火プラ
グ16の電極はシリンダブロック3とシリンダヘッド4
との合わせ面に掛かるように位置付けられ、このこと
で、点火プラグ16の電極が燃料の噴射から点火までの
間、タンブル流Tの渦の中心寄りに位置することにな
り、その周囲に混合気の滞留し易い状態に保たれる。
尚、インジェクタ18により燃料を斜め下方のピストン
5冠面側に噴射させるようにしたこの実施形態において
は、点火プラグ16の電極は、インジェクタ18の噴孔
よりも下方(気筒中心線Zの延びる方向についてピスト
ン5の冠面に近い方)に位置するということもできる。
【0031】前記したように各気筒2毎に配設されたイ
ンジェクタ18,18,…は、全て共通の燃料分配管1
9に接続されていて、燃料供給系20から供給される高
圧の燃料が該燃料分配管19により各気筒2に分配され
るようになっている。詳しくは、このエンジンの燃料供
給系20は例えば図5に示すように構成され、燃料分配
管19と燃料タンク20aとを連通する燃料通路20b
の上流側から下流側に向かって、低圧燃料ポンプ20
c、低圧レギュレータ20d、燃料フィルタ20e、高
圧燃料ポンプ20f及び高圧レギュレータ20gが順に
配設されている。前記高圧燃料ポンプ20f及び高圧レ
ギュレータ20gはそれぞれリターン通路20hにより
燃料タンク20a側に接続されており、そのリターン通
路20hには、燃料タンク20a側に戻す燃料の圧力状
態を整える低圧レギュレータ20iが配設されている。
また、前記燃料分配管19には、その内部の燃料の圧
力、即ちインジェクタ18へ供給される燃料の圧力(燃
圧)を検出するための燃圧センサ19aが設けられてい
る。
【0032】そして、前記燃料供給系20において、低
圧燃料ポンプ20cにより燃料タンク20aから吸い上
げられた燃料は低圧レギュレータ20dにより調圧さ
れ、燃料フィルタ20eにより濾過されて、高圧燃料ポ
ンプ20fに送給される。この高圧燃料ポンプ20fは
燃料をさらに昇圧して、その一部を高圧レギュレータ2
0gにより流量調節して燃料分配管19へ供給する。一
方、余剰の燃料はリターン通路20hにより燃料タンク
20a側に戻される。この際、前記高圧レギュレータ2
0g(燃圧調節手段)は、後述のECU40からの制御
信号を受けて作動し、燃圧センサ19aによる検出値が
適正範囲(例えば略3MPa〜略20MPa)に収まる
ように、燃料の流量を調節する。尚、燃料供給系20の
構成は前記のものに限られず、例えばリターンレスシス
テムとしてもよい。
【0033】前記図2に示すように、エンジン1の一側
面には、各気筒2の吸気ポート10,10にそれぞれ連
通する吸気通路21が接続されている。この吸気通路2
1は、エンジン1の燃焼室6に対し図外のエアクリーナ
で濾過した吸気を供給するものであり、その上流側から
下流側に向かって順に、エンジン1に吸入される吸入空
気量を検出するホットワイヤ式エアフローセンサ22
と、吸気通路21を絞る電気式スロットル弁23と、サ
ージタンク24とがそれぞれ配設されている。前記電気
式スロットル弁23は、図外のアクセルペダルに対し機
械的には連結されておらず、図示しない電動式駆動モー
タにより駆動されて開閉するようになっている。
【0034】また、前記サージタンク24よりも下流側
の吸気通路21は、各気筒2毎に分岐する独立通路とさ
れていて、該各独立通路の下流端部がさらに2つに分岐
してそれぞれ吸気ポート10,10に連通している。こ
の2つの吸気ポート10,10の双方の上流側には、燃
焼室6におけるタンブル流の流速を調節するために吸気
通路21を絞る絞り弁25(Tunble Conrol Valve:以
下、TCVという)が配設され、例えばステッピングモ
ータ25a(図2にのみ示す)によって開閉作動される
ようになっている。このTCV25,25はいずれもバ
タフライバルブの一部を切り欠いたもので、この実施形
態では弁軸よりも下側の部分を切り欠いている。そし
て、TCV25が閉じられたときには吸気が前記の切り
欠き部分のみから下流側に流れて、燃焼室6に強いタン
ブル流を生成する。一方、TCV25が開かれるに従
い、吸気は該切り欠き部分以外からも流通するようにな
り、タンブル流の強さが徐々に低下する。
【0035】尚、前記吸気ポート10やTCV25の形
状は上述したものに限られず、例えば、吸気ポートは上
流側で1つに合流するいわゆるコモンポートであっても
よい。この場合、TCVはコモンポートの断面形状に対
応する形状のバタフライバルブをベースとして、前記し
たものと同様に該バタフライバルブの一部分を切り欠い
た形状とすればよい。
【0036】一方、エンジン1の他側面には、燃焼室6
から既燃ガス(排気)を排出する排気通路26が接続さ
れている。この排気通路26の上流端部は、各気筒2毎
に分岐して排気ポート11に連通する排気マニホルド2
7であり、該排気マニホルド27の集合部には排気中の
酸素濃度を検出するリニアO2センサ28が配設されて
いる。このリニアO2センサ28は排気中の酸素濃度に
基づいて空燃比を検出するために用いられるもので、理
論空燃比を含む所定の空燃比範囲において酸素濃度に対
しリニアな出力が得られるようになっている。
【0037】また、前記排気マニホルド27の集合部よ
りも下流側の排気通路26は排気管29により構成され
ていて、この排気管29にはその上流側から略理論空燃
比近傍の排気中のHC、CO、NOxを浄化する三元触
媒30と、この三元触媒30の劣化状態を判定するため
のラムダO2センサ31と、理論空燃比よりもリーンな
排気中のNOxを浄化可能ないわゆるリーンNOx触媒
32(NOx吸蔵還元触媒、NOx吸着還元触媒を含
む)とが順に配設されている。
【0038】さらに、前記排気マニホルド27の下流側
には、そこから分岐するようにして排気の一部を吸気系
に還流させる排気還流通路33(以下、EGR通路とい
う)の上流端が接続されている。このEGR通路33の
下流端は前記スロットル弁23とサージタンク24との
間の吸気通路21に接続され、その近傍には開度調整可
能な電気式のEGR弁34(開閉弁)が配設されてい
る。このEGR弁34の開度が図示しない電磁ソレノイ
ド等により調整されることで、EGR通路33を流れる
排気の還流量が調節される。
【0039】(エンジン制御の概要)前記可変動弁機構
15、点火回路17、インジェクタ18、燃料供給系2
0(高圧レギュレータ20g)、スロットル弁23、T
CV25、EGR弁34等は、いずれもエンジンコント
ロールユニット40(以下、ECUという)によって作
動制御される。一方、このECU40には、少なくと
も、前記クランク角センサ9、エアフローセンサ22、
リニアO2センサ28、ラムダO2センサ31等からの各
出力信号が入力され、加えて、アクセルペダルの開度
(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ38
からの出力信号と、エンジン回転速度(クランク軸8の
回転速度)を検出する回転速度センサ39からの出力信
号とが入力されるようになっている。
【0040】すなわち、ECU40は、各センサから入
力される信号に基づいて、吸排気弁12,13の開閉作
動時期、各気筒2毎の点火プラグ16による点火時期、
インジェクタ18による燃料噴射量、噴射時期及び噴射
圧力、スロットル弁23の開度、TCV25の開度、E
GR弁34の開度等をそれぞれ制御するものである。具
体的には、例えば図6に示すように、エンジン1の温間
の全運転領域のうち低速低負荷側に成層燃焼領域(S)
が設定されていて、ここでは、図7(a)(b)にそれぞれ示
すように、インジェクタ18により気筒2の圧縮行程で
燃料を噴射させて、点火プラグ16の電極の周りに混合
気が層状に偏在する状態で燃焼させる。また、このとき
にはエンジン1の吸気損失を低減するためにスロットル
弁23の開度を相対的に大きくするようにしており、こ
のときの燃焼室6の平均的な空燃比は理論空燃比よりも
大幅にリーンな状態(例えばA/F>30)になる。
【0041】尚、詳しくは後述するが、成層燃焼領域
(S)内で相対的に高速且つ高負荷側に設定した領域
(S1)(第1設定領域)では、図7(b)に示すように
インジェクタ18により燃料を気筒2の圧縮行程の中期
以降の期間に2等分して噴射させるようにしており(以
下、この領域を分割噴射領域という)、それ以外の成層
燃焼領域(S)内(成層燃焼領域(S)内で相対的に高
速且つ低負荷の領域(第2設定領域)を含む)では、図
7(a)の如く燃料を一括して噴射させるようにしてい
る。
【0042】一方、前記成層燃焼領域(S)以外はいわ
ゆる均一燃焼領域(H)であり、ここではインジェクタ
18により主に気筒2の吸気行程で燃料を噴射させて吸
気と十分に混合し、燃焼室6全体に均一な混合気を形成
した上で燃焼させる。この均一燃焼領域(H)の大部分
の領域では、燃料噴射量やスロットル弁23の開度等を
均一な混合気の空燃比が略理論空燃比(A/F≒14.
7)になるように制御するが、全負荷付近では理論空燃
比よりもリッチな状態(例えばA/F=12〜14)に
なるように制御して、高負荷に対応した大出力を得られ
るようにしている。
【0043】そのようにエンジン1の負荷や回転速度に
応じて燃焼状態を切換えるインジェクタ18やスロット
ル弁23の制御は、ECU40において所定の制御プロ
グラムが実行されることにより実現するものであり、換
言すれば、ECU40はインジェクタ18による燃料の
噴射作動を制御する噴射制御部40aを備えている。
【0044】また、エンジン温間時は、前記図6に斜線
を入れて示す領域でEGR弁34を開弁させて、EGR
通路33により排気の一部を吸気通路21に還流させる
ようにしている。この際、該EGR弁34の開度はエン
ジン1の運転状態に応じて、負荷が高くなるほど排気の
還流割合(以下、EGR率ともいう)が小さくなるよう
に調節する。このことで、エンジン1の燃焼安定性を損
なうことなく、排気の還流によりNOxの生成を抑制す
ることができる。このようなEGR弁34の制御もEC
U40において所定の制御プログラムが実行されること
により実現するものであり、換言すれば、ECU40
は、少なくともエンジン1が前記分割噴射領域(S1)
にあるときにEGR弁34を開いて排気の還流を行わせ
る排気還流制御部40bを備えている。
【0045】尚、前記EGR率としては、例えば、前記
EGR通路33により吸気通路21に還流される排気還
流量の新気量に対する割合を用いればよい。この新気と
いうのは気筒2に吸入される気体のうちから前記の還流
排気や燃料ガス等を除いた外気のことである。また、エ
ンジン冷間時には燃焼安定性の確保を最優先とし、エン
ジン1をその全ての運転領域において均一燃焼状態で運
転するとともに、EGR弁34は全閉とする。
【0046】(成層燃焼運転時の混合気形成)この実施
形態の直噴エンジン1の特徴は、成層燃焼状態のとき
に、各気筒2毎に圧縮行程でインジェクタ18により噴
射した燃料噴霧を主に燃焼室6のタンブル流Tにより案
内して、点火プラグ16の電極の周りに適切に成層化す
るようにしたことにある。以下、この点について説明す
る。
【0047】まず、図8に示すように、気筒2の吸気行
程では、ピストン5の下降によって吸気ポート10から
燃焼室6に空気が吸い込まれ、この吸気が気筒2の排気
側の内周面からピストン5冠面、さらに気筒2の吸気側
の内周面に沿うように大きく縦方向に旋回して、タンブ
ル流Tが生成される。そして、当該気筒2が圧縮行程に
移行すると、タンブル流Tはピストン5の上昇に伴い徐
々に潰れてコンパクトになるが、燃焼室6天井部とピス
トン5冠面の凹部5aとの間に適切な形状の空間が残さ
れているため、タンブル流Tは圧縮行程の中期以降まで
崩壊することなく保存される。
【0048】続いて、図9に示すように当該気筒2の燃
料噴射時期になると、インジェクタ18により適切な貫
徹力でもって燃料が噴射され、この燃料噴霧の大部分が
ピストン5冠面の凹部5aに沿って流れるタンブル流T
の主流に略正面から衝突する。そして、その燃料噴霧が
タンブル流Tにより徐々に減速されながら気筒2中心に
向かって進み、その間に燃料液滴の気化霧化や空気との
混合が促進されて、図10に示す当該気筒2の点火時期
において同図に斜線を入れて示すように混合気塊となっ
て、点火プラグ16の電極付近に滞留するようになる。
【0049】そのように燃料噴霧が減速されて滞留する
様子を数値流体力学(CFD)の適用により計算で求め
た結果を図11に示す。同図には、前記気筒2の点火時
期近傍における燃焼室6の流れ場が示されており、図に
太い矢印でそれぞれ表すように、タンブル流及び燃料噴
霧流が図の左右両側から気筒中央に向かって流れてい
て、それらが図に+印で示す点火プラグ電極の付近で略
均衡しているのが分かる。これにより、図12に示すよ
うに、当該気筒2の点火時期近傍において、適切な濃度
状態の混合気塊が点火プラグ16の電極(点火位置)の
周りに滞留するようになる。
【0050】前記のような混合気の成層化を実現するた
めには、インジェクタ18による燃料噴霧の貫徹力を対
向するタンブル流Tの強さに略均衡させるとともに、気
筒2の点火時期から逆算した所定のタイミングで燃料を
噴射させる必要がある。また、タンブル流Tの強さと燃
料噴霧の貫徹力とはいずれも相対的に弱いことが好まし
い。これは、タンブル流Tや燃料噴霧流が強いときに
は、たとえ両者が略均衡していても衝突によって燃料噴
霧が大きく飛散し、混合気が全体に希薄になってしまう
からである。
【0051】そこで、この実施形態に係る直噴エンジン
1では、各気筒2毎の吸気ポート10,10を大径のス
トレートポートとして、低速域での吸気流速が基本的に
あまり高くならないようにしておいて、その各吸気ポー
ト10の直上流に配設したTCV25により吸気の流れ
を絞ることによって、吸気の流速を調節するようにして
いる。具体的には、エンジン1が成層燃焼領域(S)に
あるときにはTCV25を閉じて、相対的に吸気流量の
少ない状態でも所要の強さのタンブル流Tが生成される
ようにする。こうすると、図13に実線で示すようにエ
ンジン回転速度neの上昇に略比例してタンブル流Tの流
速が増大するが、それでも成層燃焼領域(S)(ne≦ne
*)ではタンブル流速は過度に高くなることはなく、気
筒2の吸気行程におけるタンブル比は略1.1〜略2.
3の範囲に留まることになる。尚、図に実線で示すグラ
フはTCV25を全閉とした場合のものであり、また、
仮想線で示すのはTCV25を全開とした場合のもので
ある。
【0052】そのようにエンジン回転速度に応じたTC
V25の開度の制御は、ECU40において所定の制御
プログラムが実行されることにより実現するものであ
り、換言すれば、ECU40は、エンジン1が成層燃焼
領域(S)にあるときにTCV25を全開状態よりも閉
じて吸気通路21を絞るTCV制御部40c(タンブル
強さ制御手段)を備えている。そして、このTCV制御
部40cは、TCV25による吸気通路21の絞り量を
成層燃焼領域(S)内の分割噴射領域(S1)では半開
とし、それ以外の成層燃焼領域(S)では全閉とする一
方、均一燃焼領域(H)では全開とするように構成され
ている。尚、上述したが、TCV25は全閉状態であっ
ても切り欠き部分を介して吸気が流通するものであり、
このTCV25が半開というのは、吸気の流通量が全閉
状態と全開状態との略半分になる状態のことである。
【0053】また、この実施形態の直噴エンジン1の制
御装置Aでは、前記のようにタンブル流Tの強さがエン
ジン回転速度に応じて変化するのに対応して、そのタン
ブル流Tの強さと燃料噴霧の貫徹力とを略均衡させるた
めに、インジェクタ18からの燃料の噴射圧力(燃圧)
をエンジン回転速度に応じて変更するようにしている。
具体的には、図14に示すように燃料噴霧の貫徹力をエ
ンジン回転速度に応じて増大させればよいのだが、燃料
噴霧の貫徹力は燃圧に正比例するものではなく、また、
インジェクタ18の開弁時間間隔によっても変化するの
で、実際には、或る燃料噴射量に対応する燃圧及び噴射
パルス幅とそのときの燃料噴霧の貫徹力との対応関係を
実験的に求め、エンジン回転速度と噴霧貫徹力との関係
が前記図14に示す関係となるように、エンジン回転速
度に対応付けてインジェクタ18への供給燃圧を記録し
たテーブルを作成する。そして、このテーブルに従って
燃料供給系20の高圧レギュレータ20gを制御するよ
うにしている。
【0054】斯かる燃圧の制御は、ECU40において
メモリに電子的に記憶させた前記テーブルに従って所定
の制御プログラムが実行されることにより実現するもの
であり、換言すれば、ECU40は、エンジン1が成層
燃焼領域(S)にあるときに、エンジン回転速度の上昇
に対応して燃圧が高くなるように燃料供給系20の高圧
レギュレータ20gを制御する燃圧制御部40dを備え
ている。
【0055】(分割噴射領域での制御)ところで、エン
ジン1が成層燃焼領域(S)において相対的に高速側に
あるときには、インジェクタ18による燃料の噴射時点
から混合気の点火までの時間間隔が相対的に短くなっ
て、混合気の気化霧化が不十分なものとなり易い。ま
た、相対的に高負荷側にあるときには燃料噴射量が多く
なるから、燃料噴霧全体として燃料の密度が高くなって
燃料と空気との混合が不十分なものとなり易く、その結
果として混合気の燃焼性が悪化するとともに、特に点火
プラグ16の電極の付近で混合気の濃度が過度に高くな
れば、スモークの生成を招く虞れもある。
【0056】この点について、この実施形態では、上述
の如く成層燃焼領域(S)内の高速且つ高負荷側に分割
噴射領域(S1)を設定して、ここではインジェクタ1
8により燃料を気筒2の圧縮行程の中期以降の期間に2
等分して噴射させるようにしている(図7(b)参照)。
すなわち、気筒2の圧縮行程で燃焼室6の雰囲気圧力が
高いときにインジェクタ18により短い間隔を空けて2
回の噴射作動を行わせると、図15に模式的に示すよう
に、前段の噴射作動によってインジェクタ18のノズル
nから噴出する燃料噴霧S1が密度の高い空気との衝突
によって分裂し、多数の液滴になって徐々に拡散しなが
ら蒸発するとともに(同図(a)〜(c))、この燃料噴霧S
1に後段の噴射作動による燃料噴霧S2が追いつき(同
図(d))、両者が一体となって1つの燃料噴霧Sを形成
する(e)。
【0057】このときに、前段の燃料噴射作動は一括噴
射のときと比べて進角側で開始されるから、これによる
燃料噴霧S1は相対的に大きく拡がって良好に気化霧化
されることになり、さらにその噴霧S1との間に空気層
を挟んで後段の燃料噴霧S2が適度に分散することにな
るので、相対的に燃料噴射量の多いときであっても、燃
料の空気との混合や気化霧化が促進されて、混合気の燃
焼性が向上するとともに、点火プラグ15の電極の周り
に滞留する混合気の濃度分布が最適なものとなって、ス
モークは殆ど生成されない。
【0058】しかしながら、前記のような燃料の分割噴
射では、一括噴射の場合に比べて燃料噴霧の貫徹力が相
対的に小さくなってしまう。すなわち、一括噴射の場合
について図16に模式的に示すように、インジェクタ1
8のノズルnから高圧の燃焼室6に噴出する燃料噴霧S
は、高密度の空気の壁を押し退けながら進行し(同図
(a)〜(d))、このことによって運動量を失って、燃焼室
6を漂うようになる(図(e))。しかし、噴口が開いて
いる間は連続して噴出する後続の燃料が燃料燃料噴霧を
発達させるので(図(a)〜(c))、その到達距離は相対的
に長くなる。つまり、インジェクタ18の開弁している
間は燃料噴霧が発達してその分、貫徹力も大きくなるの
である。
【0059】これに対し、前記図15に示す分割噴射の
場合には、前段の噴射作動によりインジェクタ18の噴
口から燃焼室6に噴出する燃料噴霧S1は、噴口が一
旦、閉じられるときまでしか発達せず(同図(a)、
(b))、続く後段の噴射作動による燃料噴霧S2は再び
高密度の空気の壁に衝突することになるので(図
(c))、両者を合わせても全体として燃料噴霧Sの到達
距離が相対的に短くなると考えられる(図(e))。
【0060】そこで、前記の如く分割噴射に伴い燃料噴
霧の貫徹力が低下することを考慮して、この実施形態の
制御装置Aでは、エンジン1が分割噴射領域(S1)に
あるときにECU40のTCV制御部40cによってT
CV25を半開状態として、それ以外の成層燃焼領域
(S)でTCV25が全閉にされたときに比較して、略
同じエンジン回転速度であっても吸気の流速が低くなる
ようにし、これにより、燃焼室6のタンブル流Tの強さ
を相対的に弱くするようにしている。
【0061】以下に、ECU40によるインジェクタ1
8等の具体的な制御手順を図17に示すフローチャート
図に基づいて説明すると、まず、スタート後のステップ
S1では、クランク角センサ9、エアフローセンサ2
2、アクセル開度センサ38、回転速度センサ39等か
らの出力信号を入力し、続くステップS2では、回転速
度センサ39により検出されたエンジン回転速度とアク
セル開度センサ38により検出されたアクセル開度とに
基づいて、エンジン1の目標負荷を演算する。この目標
負荷は、主に運転者のアクセル操作から推定されるエン
ジン1への要求出力に対応するものであり、アクセル開
度とエンジン回転速度とに対応する最適値が予め実験的
に求められてマップとして記録され、このマップがEC
U40のメモリに電子的に格納されており、現在のアク
セル開度とエンジン回転速度とに対応する値が該マップ
から読み出される。
【0062】続いて、ステップS3において、前記ステ
ップS2にて演算した目標負荷とエンジン回転速度とに
基づいて、前記図6に示す制御マップからエンジン1の
現在の運転領域を判定する。そして、ステップS4にお
いてエンジン1が成層燃焼領域(S)にあるかどうか判
定し、この判定がNOで均一燃焼領域(H)であれば後
述のステップS12に進む一方、判定がYESであれば
ステップS5に進んで、今度はエンジン1が分割噴射領
域(S1)にあるかどうか判定する。この判定がYES
でエンジン1が分割噴射領域(S1)にあれば、後述の
ステップS9に進む一方、判定がNOであればステップ
S6に進んで、エンジン1が成層燃焼状態になるように
インジェクタ18やスロットル弁23等を制御する。
【0063】すなわち、まず、目標負荷とエンジン回転
速度とに基づいて目標空燃比を演算する。これは、成層
燃焼運転時の出力及び制御性を確保しながら燃費を低減
し且つ排気有害成分生成を抑えるために、予めエンジン
1の運転状態に対応する最適な空燃比を実験的に求め
て、これを目標負荷とエンジン回転速度とに対応付けて
マップとして記録しておき、このマップから読み出すよ
うにしている。続いて、目標空燃比に対応する燃料噴射
量及び吸入空気量を決定し、この吸入空気量が得られる
ようにスロットル弁23の開度を制御する。具体的に
は、前記目標空燃比とエンジン回転速度とに対応付けて
予め実験的に求めた最適なスロットル開度を記録したマ
ップから値を読み出して、これに応じてスロットル弁2
3の駆動モータに制御信号を出力する。
【0064】また、エンジン1が成層燃焼状態となるよ
うにインジェクタ18による燃料噴射量、燃料噴射時
期、燃料噴射圧力等を制御する。具体的には、例えばエ
アフローセンサ22からの出力とエンジン回転速度とに
基づいて現在の吸気充填効率を演算し、この演算結果と
目標空燃比とに基づいて目標燃料噴射量を演算する。こ
の目標燃料噴射量と現在の燃圧(燃圧センサ19aによ
る検出値)とに基づいて、インジェクタ18の流量特性
を表す所定の演算式によりインジェクタ18の開弁時間
間隔(噴射パルス幅)を演算する。また、目標負荷とエ
ンジン回転速度とに基づいて、気筒2の圧縮行程で一括
して噴射する場合の燃料噴射時期(インジェクタ18の
開弁開始時期)を演算する。そして、それらの演算結果
に基づいてインジェクタ18に制御信号を出力する。
【0065】尚、前記の燃料噴射時期はエンジン1の運
転状態に対応する基本的なものであり、各気筒2の点火
時期において点火プラグ16の電極周りに混合気を適切
に成層化できるように当該気筒2の点火時期に対応付け
て、目標負荷とエンジン回転速度とに対応する最適値が
マップとして設定されている。
【0066】さらに、エンジン回転速度に基づいて、E
CU40のメモリに記憶されているテーブルから目標燃
圧を読み出し、これに応じて燃料供給系20へ制御信号
を出力する。尚、各気筒2毎の点火時期制御も前記イン
ジェクタ18やスロットル弁23等の制御と同様に、目
標負荷とエンジン回転速度とに対応付けて予め実験的に
求めた最適値を記録したマップから制御目標値を読み出
して、これに応じて点火回路17に制御信号を出力す
る。
【0067】ステップS7において、EGR弁34の目
標開度を目標負荷及びエンジン回転速度に基づいて演算
し、これに応じてEGR弁34のソレノイドへ制御信号
を出力する。この演算もまた、前記目標空燃比等の演算
と同様に目標負荷とエンジン回転速度とに対応付けて予
め実験的に求めた最適値を記録したマップからEGR弁
34の目標開度を読み出すことによって行われる。ま
た、ステップS8において、TCV25が全閉となるよ
うに該TCV25のアクチュエータ25aへ制御信号を
出力し、しかる後にリターンする。
【0068】以上、要するに、エンジン1の成層燃焼状
態では、要求される出力が得られるような仮の燃料噴射
量に対応する目標空燃比を決定し、この空燃比になるよ
うにスロットル開度を制御して必要な吸入空気量を確保
しながら、実際の吸入空気量に応じて燃料噴射量を制御
するようにしている。これにより、優れた制御性と燃費
経済性とを得ながら、排気有害成分の低減が図られる。
【0069】ここで、前記ステップS5において分割噴
射領域(S1)であるYESと判定して進んだステップ
S9では、前記の如き成層燃焼を気筒2の圧縮行程での
分割噴射により実現すべく、インジェクタ18やスロッ
トル弁23等を制御する。すなわち、まず、前記ステッ
プS6と同様に目標空燃比を決定し、スロットル弁23
の開度を制御するとともに、前記と同様にして求めた目
標燃料噴射量を所定量だけ増量補正した上で2等分し、
この各燃料噴射量と現在の燃圧とに基づいて、インジェ
クタ18の前段及び後段の2回の開弁時間間隔(噴射パ
ルス幅)をそれぞれ演算する。
【0070】また、目標負荷とエンジン回転速度とに基
づいて、気筒2の圧縮行程で2等分して噴射する場合の
燃料噴射時期(インジェクタ18の開弁開始時期)を演
算し、それらの演算結果に基づいてインジェクタ18に
制御信号を出力する。また、エンジン回転速度に基づい
てマップから目標燃圧を読み出し、これに応じて燃料供
給系20へ制御信号を出力する。尚、前記の如く目標燃
料噴射量を一括噴射の場合に比べて増量補正するのは、
前段の噴射による燃料噴霧がやや大きく拡散する結果と
してその部分での燃焼速度が低下するので、燃料噴射量
が同じであると若干、出力が低下してしまうからであ
る。
【0071】ステップS10では、前記ステップS7と
同様にEGR弁34の目標開度を目標負荷及びエンジン
回転速度に基づいて演算し、これに応じてEGR弁34
のソレノイドへ制御信号を出力する。ステップS11で
は、TCV25が半開となるように該TCV25のアク
チュエータ25aへ制御信号を出力し、しかる後にリタ
ーンする。
【0072】つまり、成層燃焼領域(S)内でも高速且
つ高負荷側の分割噴射領域(S1)では、相対的に多い
燃料を2等分して噴射することにより、燃料噴霧の空気
との混合や気化霧化を促進して燃焼性を向上するととも
に、これに伴う燃料噴霧貫徹力の低下に対応するよう、
TCV25を半開状態とすることで、燃焼室6のタンブ
ル流Tの強さを相対的に弱くするようにしている。
【0073】一方、前記ステップS4においてエンジン
1が成層燃焼領域(S)にないNOと判定されて進んだ
ステップS12では、エンジン1が均一燃焼状態になる
ようにインジェクタ18やスロットル弁23等を制御す
る。すなわち、まず、目標空燃比は殆どの領域において
A/F=14.7とし、全負荷近傍では例えば12〜1
3とする。また、スロットル弁23の目標開度はアクセ
ル開度に基づいて演算し、目標燃料噴射量は前記目標空
燃比、吸気充填効率及びエンジン回転速度に基づいて演
算する。そして、目標燃料噴射量と燃圧とに基づいて噴
射パルス幅を演算するとともに、吸気充填効率とエンジ
ン回転速度とに基づいて燃料噴射時期を演算し、さら
に、エンジン回転速度に基づいて目標燃圧を演算する。
そして、点火回路17、インジェクタ18、スロットル
弁23の駆動モータ、燃料供給系20へそれぞれ制御信
号を出力する。
【0074】ステップS13では、前記ステップS7や
ステップS10と同様にEGR弁34の目標開度を目標
負荷及びエンジン回転速度に基づいて演算し、これに応
じてEGR弁34のソレノイドへ制御信号を出力する。
ステップS14では、TCV25が全開となるように該
TCV25のアクチュエータ25aへ制御信号を出力
し、しかる後にリターンする。
【0075】つまり、エンジン1の均一燃焼状態では、
混合気を略理論空燃比ないしそれよりもリッチな所定値
とすることを前提として、要求される出力に対応する分
量の混合気が得られるようにスロットル開度を制御する
とともに、実際の吸入空気量に応じて燃料噴射量を制御
するようにしており、これにより、十分な出力と優れた
制御性を得ながら、触媒30,32により排気を効率良
く浄化することができる。
【0076】前記図17示すフローチャート図におい
て、ステップS6及びステップS9は、エンジンが成層
燃焼領域(S)内で相対的に高速且つ高負荷の分割噴射
領域(S1)にあるときに、インジェクタ18により燃
料を気筒2の圧縮行程で2等分して噴射させる一方、そ
れ以外の成層燃焼領域(S)において燃料を気筒2の圧
縮行程で一括して噴射させるという噴射制御部40aの
制御手順に対応している。
【0077】また、前記ステップS10は排気還流制御
部40bによるEGR弁34の制御手順に対応し、さら
に、ステップS11は、エンジン1が分割噴射領域(S
1)にあるときに、そのときと同じエンジン回転速度で
あって且つ分割噴射領域(S1)以外の成層燃焼領域
(S)にあるときと比べてタンブル流Tの強さが弱くな
るようにTCV25の開度を制御するというTCV制御
部40cの制御手順に対応している。
【0078】したがって、この実施形態に係る火花点火
式直噴エンジン1の制御装置Aによると、直噴エンジン
1が低速低負荷側の成層燃焼領域(S)にあるときに、
気筒2の燃焼室6におけるタンブル流Tに略正対させて
燃料を噴射し、この燃料噴霧をタンブル流Tにより徐々
に減速させて点火プラグ16の電極の付近に滞留させる
ことで、着火安定性に優れて点火時期制御の自由度も高
い良好な成層燃焼状態とすることができる。
【0079】しかも、成層燃焼領域(S)内では比較的
燃料の噴射量が多く、しかも燃料噴射から点火までの時
間間隔が確保し難い分割噴射領域(S1)において、燃
料を気筒2の圧縮行程の中期以降の期間に2等分して噴
射させるようにしたので、燃料噴霧の空気との混合や気
化霧化が良好なものとなり、また、点火プラグ16周り
の混合気の濃度分布を最適化することができ、これによ
りスモークの生成を防止できる。
【0080】その際、前記の分割噴射に起因して燃料噴
霧の貫徹力が低下することになるが、これに対してTC
V25を半開状態とすることにより、燃焼室6のタンブ
ル流Tの強さを燃料噴霧の貫徹力の低下に見合うように
適度に低下させることができ、このことで、両者の均衡
を維持して混合気を点火プラグ16周りに狙い通りに成
層化することができる。
【0081】また、この実施形態では、エンジン回転速
度の上昇に伴い燃焼室6のタンブル流Tが徐々に強くな
ることに着目し、これに対応するようにインジェクタ1
8へ供給する燃圧を徐々に上昇させるようにしており、
この燃圧の上昇によって燃料噴霧の貫徹力も大きくなる
から、エンジン1の運転状態が変化しても、タンブル流
Tの強さと燃料噴霧の貫徹力とを均衡させ易い。
【0082】さらに、この実施形態では、前記の如く燃
料の分割噴射を行うときでもEGR通路33により排気
の一部を吸気通路21に還流させるようにしており、こ
のときには高温の排気によって燃料噴霧の気化霧化が促
進されることから、燃料噴霧の貫徹力がさらに小さくな
る傾向がある。従って、前記したようにタンブル流Tの
強さを低下させることによって燃料噴霧との均衡を維持
できるようにしたことが特に有効なものとなる。
【0083】(他の実施形態)本発明の構成は前記実施
形態のものに限定されることはなく、その他の種々の構
成を包含するものである。すなわち、前記実施形態で
は、燃料噴射弁として、燃料を旋回流としてホローコー
ン状に噴射するスワールインジェクタ18を用いている
が、これに限らず、例えば、先端部にスリットを設けて
扁平状の燃料噴霧を形成するようにしたスリットタイプ
のインジェクタや、複数の微小な噴口から燃料を噴射
し、それらを一体として1つの燃料噴霧を形成するよう
にした多噴口タイプのインジェクタを用いてもよい。ま
た、芯弁を圧電素子によって動作させる構成のものを用
いることもできる。
【0084】また、前記実施形態では、エンジン1が分
割噴射領域(S1)にあるときに、燃料を気筒2の圧縮
行程の中期以降の期間において2等分して噴射させるよ
うにしているが、これに限らず、例えば、各噴射作動に
よる燃料の噴射量をそれぞれ異ならせてもよいし、ま
た、燃料噴射回数を3回以上にしてもよい。
【0085】また、前記実施形態では、エンジン1が分
割噴射領域(S1)以外の成層燃焼領域(S)にあると
きには、いつでも燃料を気筒2の圧縮行程の中期以降の
期間において一括して噴射させるようにしているが、こ
れに限るものではない。すなわち、例えば、前記分割噴
射領域(S1)の低負荷側に隣接するように別の領域を
設定し(第2設定領域)、この別の設定領域においては
燃料を圧縮行程で一括して噴射させるようにする一方、
それ以外の成層燃焼領域(S)では燃料を気筒2の圧縮
行程で複数回に分割して噴射させたり、或いは吸気行程
と圧縮行程とに分けて噴射させたりしてもよい。
【0086】さらに、前記実施形態では、エンジン1が
分割噴射領域(S1)にあるときに、EGR弁34を開
いて排気の一部を還流させるようにしているが、分割噴
射領域(S1)では排気の還流を行わないようにしても
よい。
【0087】さらにまた、前記実施形態では、燃焼室6
におけるタンブル流Tの強さを調節するためにTCV2
5を配設しているが、これに限らず、例えば、可変動弁
機構15として吸気弁12のリフト量を変更可能なもの
を設けておいて、これにより吸気流速を変更すること
で、タンブル流Tの強さを調節するようにしてもよい。
【0088】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1の発明
に係る火花点火式直噴エンジンの制御装置によると、気
筒内燃焼室の周縁部に燃料噴射弁を配設し、低速低負荷
側の成層燃焼領域において該燃料噴射弁により燃料を燃
焼室のタンブル流に対向するように噴射させて、点火プ
ラグの電極の周りに混合気を成層化させるようにしたも
のにおいて、層燃焼領域内の相対的に高速且つ高負荷の
第1設定領域では燃料を気筒の圧縮行程で複数回に分け
て噴射させることで、燃料の噴射量が比較的多くてもそ
の空気との混合や気化霧化を良好なものとし、混合気の
燃焼性を向上させ且つ点火プラグ周りの混合気の濃度分
布を適度なものとして、スモークの生成を防止すること
ができる。また、燃料の分割噴射に伴う燃料噴霧の貫徹
力の低下に対応して、タンブル強さ調節手段によりタン
ブル流を相対的に弱くすることで、燃料噴霧の貫徹力と
タンブル流の強さとの均衡を維持して、混合気を狙い通
りに点火プラグ電極付近に形成し、良好な着火安定性を
確保することができる。
【0089】請求項2の発明によると、燃料噴射弁によ
り燃料を気筒の圧縮行程の中期以降の期間内に2等分し
て噴射することで、前段の噴射作動による燃料噴霧と後
段の噴射作動による燃料噴霧とを一体として点火プラグ
の電極周りに最適な濃度分布の混合気層を形成すること
ができ、これにより、請求項1の発明の効果を十分に得
ることができる。
【0090】請求項3の発明によると、エンジン回転速
度の上昇に応じて燃圧を高めることで、タンブル流速の
上昇に対応するように燃料噴霧の貫徹力を大きくするこ
とができ、タンブル流の強さと燃料噴霧の貫徹力とを均
衡させることが容易になる。
【0091】請求項4の発明によると、排気の還流によ
って燃焼に伴うNOxの生成を抑制できるとともに、高
温の排気によって燃料噴霧の気化霧化を促進して混合気
の燃焼性を向上できる。そして、そのように燃料噴霧の
気化霧化が促進されることによって貫徹力が小さくなる
ことに対して、タンブル流の強さを低下させて燃料噴霧
との均衡を維持するという請求項1の発明の効果が特に
有効なものとなる。
【0092】請求項5の発明によると、スロットル弁よ
りも下流に設けた絞り弁によって吸気通路の絞り量を変
更することで、吸気の流速を調節してタンブル流の強さ
を狙い通りのものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る火花点火式直噴エンジ
ンの制御装置の全体構成を示す図である。
【図2】ピストン冠面、吸気ポート、点火プラグ及びイ
ンジェクタの配置構成を示す斜視図である。
【図3】気筒中心線に沿って見て、ピストン冠面の凹
部、タンブル流及び燃料噴霧の位置関係を示す説明図で
ある。
【図4】気筒中心線に直交する方向から見た図3相当図
である。
【図5】燃料供給系の構成を模式的に示す説明図であ
る。
【図6】エンジンを成層燃焼状態又は均一燃焼状態とす
る運転領域をそれぞれ設定した制御マップの一例を示す
図である。
【図7】インジェクタの燃料噴射作動を模式的に示す説
明図である。
【図8】気筒の吸気行程において燃焼室に生成されるタ
ンブル流の様子を示す図である。
【図9】気筒の燃料噴射時期においてタンブル流に衝突
するように噴射される燃料噴霧の様子を示す図である。
【図10】気筒の点火時期において点火プラグの電極付
近に滞留する混合気の様子を示す説明図である。
【図11】燃焼室でタンブル流と燃料噴霧とが均衡する
CFD解析の結果を示す説明図である。
【図12】点火プラグの電極近傍に滞留する混合気の濃
度分布を示す説明図である。
【図13】エンジン回転速度の変化に対するタンブル流
速の変化を示すグラフ図である。
【図14】エンジン回転速度の変化に対する噴霧貫徹力
の変化を示すグラフ図である。
【図15】燃料を2等分して噴射したときの燃料噴霧の
挙動を時間の経過に沿って模式的に示す説明図である。
【図16】燃料を一括噴射したときの燃料噴霧の挙動を
時間の経過に沿って模式的に示す説明図である。
【図17】エンジンの制御手順の概略を示すフローチャ
ート図である。
【符号の説明】
A 火花点火式直噴エンジンの制御装置 1 エンジン 2 気筒 5 ピストン 6 燃焼室 16 点火プラグ 18 インジェクタ(燃料噴射弁) 20 燃料供給系 20g 高圧レギュレータ(燃圧調節手段) 21 吸気通路 23 スロットル弁 25 TCV(絞り弁) 33 EGR通路(排気還流通路) 34 EGR弁(開閉弁) 40 ECU(エンジンコントロールユニット) 40a 噴射制御部(燃料噴射制御手段) 40b EGR制御部(排気還流制御手段) 40c TCV制御部(タンブル強さ制御手段) 40d 燃圧制御部(燃圧制御手段) T タンブル流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 9/02 351 F02D 9/02 351M 3G301 361 361A 21/08 301 21/08 301A 301C 41/02 325 41/02 325F 325G 41/04 325 41/04 325C 345 345C 41/34 41/34 H 43/00 301 43/00 301G 301J 301N 301U 45/00 312 45/00 312B 312H F02M 25/07 570 F02M 25/07 570A (72)発明者 太田 統之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 荒木 啓二 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 斉藤 史彦 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 久慈 洋一 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 吉田 浩之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G023 AA01 AB03 AC05 AD05 AD07 AD09 AD12 AG01 AG03 3G062 AA07 BA05 CA08 DA01 EA10 GA04 GA06 3G065 AA00 CA12 DA04 GA05 GA10 GA46 HA02 3G084 AA04 BA11 BA14 BA15 BA20 BA21 CA03 CA04 CA09 DA28 FA08 FA10 FA29 FA33 FA38 3G092 AA01 AA06 AA09 AA10 AA11 AA17 BB06 BB08 BB12 BB13 BB19 DC06 DC08 EA11 FA15 GA05 GA06 GA18 HA01Z HD05Z HE01Z HE03Z HF08Z 3G301 HA01 HA04 HA13 HA16 HA17 JA21 KA08 KA09 KA25 LA05 LB06 MA19 MA26 MA27 PA04Z PD04Z PE01Z PE03Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの気筒内燃焼室の天井部略中央
    に点火プラグを配設する一方、該燃焼室の周縁部に燃料
    噴射弁を配設し、エンジンが低速低負荷側の成層燃焼領
    域にあるときに前記燃料噴射弁により燃料を燃焼室のタ
    ンブル流に対向するように噴射させて、前記点火プラグ
    の電極の周りに混合気を成層化するようにした火花点火
    式直噴エンジンの制御装置において、 前記燃焼室のタンブル流の強さを調節するタンブル強さ
    調節手段と、 エンジンが前記成層燃焼領域内で相対的に高速且つ高負
    荷の第1設定領域にあるときに、前記燃料噴射弁により
    燃料を気筒の圧縮行程で複数回に分けて噴射させる一
    方、相対的に高速且つ低負荷の第2設定領域にあるとき
    には燃料を気筒の圧縮行程で一括して噴射させる燃料噴
    射制御手段と、 エンジンが前記第1設定領域にあるときには、そのとき
    と同じエンジン回転速度で且つ第2設定領域にあるとき
    に比べてタンブル流が弱くなるように、前記タンブル強
    さ調節手段を制御するタンブル強さ制御手段とを備える
    ことを特徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 燃料噴射制御手段は、エンジンが第1設定領域にあると
    きに燃料噴射弁により燃料を気筒の圧縮行程の中期以降
    の期間内に2等分して噴射させるように構成されている
    ことを特徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のいずれかにおいて、 燃料噴射弁へ供給する燃料の圧力を調節する燃圧調節手
    段と、 エンジンが成層燃焼領域にあるときに、エンジン回転速
    度の上昇に対応して燃料の圧力が高くなるように前記燃
    圧調節手段を制御する燃圧制御手段とを備えることを特
    徴とする火花点火式直噴エンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 エンジンの吸気系に排気の一部を還流させる排気還流通
    路と、 前記排気還流通路を開閉する開閉弁と、 少なくともエンジンが第1設定領域にあるときに前記開
    閉弁を開いて排気の還流を行わせる排気還流制御手段と
    が設けられていることを特徴とする火花点火式直噴エン
    ジンの制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 タンブル強さ調節手段は、エンジンのスロットル弁より
    も下流の吸気通路に配設された絞り弁であり、 タンブル強さ制御手段は、エンジンが成層燃焼領域にあ
    るときに前記絞り弁を全開状態よりも閉じて吸気通路を
    絞るとともに、その絞り量を第1設定領域ではエンジン
    回転速度が同じであっても第2設定領域と比べて小さく
    するように構成されていることを特徴とする火花点火式
    直噴エンジンの制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009022218A2 (en) * 2007-08-13 2009-02-19 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Piston for internal combustion engine
JP2009167972A (ja) * 2008-01-18 2009-07-30 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射型内燃機関の燃料噴射装置
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