JP2003193884A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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JP2003193884A
JP2003193884A JP2001395966A JP2001395966A JP2003193884A JP 2003193884 A JP2003193884 A JP 2003193884A JP 2001395966 A JP2001395966 A JP 2001395966A JP 2001395966 A JP2001395966 A JP 2001395966A JP 2003193884 A JP2003193884 A JP 2003193884A
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pressure
injection
combustion mode
engine
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JP2001395966A
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Hiroshi Tokushige
大志 徳重
Hiromi Yoshioka
浩見 吉岡
Kunikimi Minamitani
邦公 南谷
Hiroshi Haebara
洋 南風原
Hiroyuki Arakawa
博之 荒川
Takuo Hirano
拓男 平野
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 直噴エンジンにおける燃料供給系の異常に伴
い実燃圧と目標燃圧との偏差が大きくなったときの改良
した対応策を提供することを課題とする。 【解決手段】 燃焼室6内に直接燃料を噴射する燃料噴
射弁18を備え、運転状態に基いて燃焼モードを成層燃
焼モードと均質燃焼モードとの間で切り換えるようにし
たエンジン1において、燃料噴射弁18に燃料を供給す
る燃料供給系20と、該供給系20により燃料噴射弁1
8に供給される燃料の圧力を検出する燃圧センサ53
と、エンジン1の運転状態に基いて燃料噴射弁18に供
給する燃料の圧力の目標値を設定し、かつ該目標燃圧と
上記センサ53で検出される実燃圧との偏差が小さくな
るように上記燃料供給系20を制御し、そして成層燃焼
モードの実行中に燃圧偏差が所定値より大きくなったと
きは燃料噴射弁18による燃料噴射の態様を変更して成
層燃焼モードを続行するECU50とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの制御装
置、特に、燃焼室内に直接燃料を噴射するようにした筒
内噴射式エンジンの制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、燃費向上と出力確保の両立を図る
ため、エンジンの運転状態に基いて燃焼モードを成層燃
焼モードと均質燃焼モードとの間で切り換えるようにし
たエンジンが知られている。このようなエンジンでは、
一般に、燃料噴射弁は気筒内の燃焼室に臨むように配設
され、この燃料噴射弁から燃料が燃焼室内に直接噴射さ
れる。
【0003】成層燃焼モードでは、燃料は圧縮行程で噴
射される。噴射された燃料は、ピストン冠面に形成され
たキャビティ(ウオールガイド)や、タンブル流等の吸
気流動(エアガイド)を利用して点火プラグの電極周り
に集められ、着火可能な空燃比状態となって成層化す
る。燃焼室内全体の混合気の平均空燃比は理論空燃比よ
り大きく(例えばA/F>25)、リーンな状態で、燃
費の向上が図られる。成層燃焼モードは、さほど出力が
要求されない、例えば低負荷低回転領域で実行される。
【0004】一方、均質燃焼モードでは、燃料は吸気行
程で噴射される。噴射された燃料は、吸気と十分に混合
され、燃焼室内に燃焼容易な均質混合気が充満する。混
合気の空燃比はほぼ理論空燃比(A/F=14.7)、
あるいはやや小さくされ(例えばA/F=13)、リッ
チな状態で、高出力が確保される。均質燃焼モードは、
高出力が要求される、例えば高負荷高回転領域で実行さ
れる。
【0005】このような筒内噴射式エンジンでは、高圧
の燃焼室内に所定量の燃料を短時間のうちに直接噴射す
る必要上、燃料噴射弁に高圧(例えば3〜13MPa)
の燃料を供給する手段としての高圧燃料供給系が備えら
れる。この燃料供給系は高圧燃料ポンプや高圧レギュレ
ータ等を含む。そして、この高圧燃料供給系により燃料
噴射弁に供給される燃料の圧力を燃圧センサで検出し、
その実燃圧と、エンジンの運転状態(例えばエンジン回
転速度、燃料噴射量、燃焼室の温度状態等)に基いて別
途設定される目標燃圧との偏差が小さくなるように、上
記燃料供給系がフィードバック制御される。これによ
り、燃料噴射弁に所定パルス幅(開弁時間)の駆動パル
ス信号を出力したときに、所定量の燃料が燃焼室内に噴
射され、エンジンの運転状態ないし燃焼モードに合致し
た最適空燃比が達成される。
【0006】このような燃料供給系の制御、ひいては燃
圧の制御は、例えば高圧燃料ポンプとして電動式の高圧
ポンプを用いた場合は、該電動式ポンプを制御すること
により達成される。あるいは高圧レギュレータとして電
磁弁を用いた場合は、該電磁弁を制御することにより達
成される。
【0007】それゆえ、例えば高圧燃料ポンプや高圧レ
ギュレータ等、燃料供給系に異常や故障が生じ、燃圧の
コントロールができなくなって、実燃圧が目標燃圧から
大きくずれるようなことが起こると、同じパルス幅を与
えても燃料噴射弁からの燃料噴射量が増減変動して最適
空燃比が達成されなくなる。特に、成層燃焼モードの実
行中に、実燃圧と目標燃圧との燃圧偏差が大きくなる
と、次のような種々の不具合が発生する。
【0008】すなわち、成層燃焼モードは、できるだけ
混合気をリーンな状態にし、燃料噴霧をプラグ周りに偏
在化させて爆発燃焼エネルギを得ようとするものであ
る。そのために、前述したように、噴射された燃料は、
ピストン冠面のキャビティやタンブル流等の吸気流動を
利用してプラグ周りに集められ、成層化する。このよう
な成層化がうまくいくかどうかは、キャビティ形状、タ
ンブル流速に加えて、燃料噴霧の貫徹力にも依存する。
よって、燃料噴射弁に供給される実燃圧が目標燃圧から
低いほうにずれてもまた高いほうにずれても、燃料噴射
弁からの燃料の噴射圧力が低下し又は過大となり、燃料
噴霧の貫徹力が弱まり又は強まって、いずれにしても燃
料噴霧の貫徹力とキャビティ形状又はタンブル流速との
対向のバランスが崩れて成層化がうまくいかず、着火が
困難となる。
【0009】たとえ、成層化がうまくいっても、実燃圧
が目標燃圧から低いほうにずれている場合は、燃料噴射
量が不足し、空燃比が過度にリーンになっているから、
可燃性が足りず、やはり失火の可能性が大きくなる。も
っとも、この場合、駆動パルス信号のパルス幅を長くし
て燃料噴射量を増やすことは可能である。しかし、そう
すると、今度は開弁時間が長くなるぶん燃圧がさらに低
下し、燃料噴霧の貫徹力が余計に弱まって、ますます吸
気流動に対向できなくなり、成層化が一層困難なものと
なってしまう。また、燃圧がさらに低下することによ
り、燃料の微粒化・微霧化の促進が阻害されるという不
具合も併発する。
【0010】一方、実燃圧が目標燃圧から高いほうにず
れた場合には、燃料噴霧の貫徹力が強まることから、ピ
ストン冠面やキャビティ壁面等への燃料の付着量が多く
なり、排気中の未燃炭化水素(HC)が増大するといっ
た不具合が併発する。のみならず、燃料の気化霧化の時
間が確保できないために、燃料が吸気流動に乗り難くな
り、これが成層化困難の一因ともなる。
【0011】これに対処し得る技術として、特開200
0−145517号公報には、実燃圧が目標燃圧より低
いときは、燃焼モードを均質燃焼モードに固定すること
が開示されている。こうすれば、たとえエンジンの運転
状態に基き成層燃焼モードが選択されても、均質燃焼モ
ードから成層燃焼モードへの切換えが禁止される。ある
いは、成層燃焼モードの実行中であれば、強制的に均質
燃焼モードに切り換えられる。これにより、上記のよう
に成層化がうまくいかずに失火が起こってエンジンスト
ールが発生するというような不具合が回避できる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記技術で
は、実燃圧が目標燃圧より低いことをもって直ちに成層
燃焼モードを規制するから、成層燃焼モードの最大の特
徴の1つである燃費の良さが犠牲になって好ましくな
く、エンジンの商品性が低下する。また、実燃圧が目標
燃圧より高いときの対策が提供されておらず、その場合
の成層化不良の問題及び排気エミッション低下の問題が
解決できない。
【0013】本発明は、このような現状に鑑みてなされ
たもので、筒内噴射式エンジンにおける高圧燃料供給系
の異常や故障に伴い、燃圧制御が不能となって、実燃圧
が目標燃圧から低いほうにあるいは高いほうにずれたと
きの対応策を提供すること、特に、燃費、燃料噴霧の成
層化、排気エミッション等の種々の観点から改良された
対応策を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に記
載の発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁
を備え、エンジンの運転状態に基いて燃焼モードを成層
燃焼モードと均質燃焼モードとの間で切り換えるように
したエンジンの制御装置であって、燃料噴射弁に燃料を
供給する燃料供給手段と、該供給手段により燃料噴射弁
に供給される燃料の圧力を検出する燃圧検出手段と、エ
ンジンの運転状態に基いて燃料噴射弁に供給する燃料の
圧力の目標値を設定する目標燃圧設定手段と、該設定手
段で設定される目標燃圧と上記検出手段で検出される実
燃圧との偏差が小さくなるように上記燃料供給手段を制
御する燃圧制御手段と、成層燃焼モードの実行中に上記
燃圧偏差が所定値より大きくなったときは、燃料噴射弁
による燃料噴射の態様を変更して成層燃焼モードを続行
する噴射態様変更手段とを備えていることを特徴とす
る。
【0015】この発明によれば、成層燃焼モードの実行
中に実燃圧が目標燃圧から低いほうあるいは高いほうを
問わず所定値以上ずれたとしても、当面は燃料噴射弁に
よる燃料噴射の態様を変更することによって、成層燃焼
モードが続行されるから、成層燃焼モードの最大の特徴
の1つである燃費の良さが最大限に維持・活用され、エ
ンジンの商品性が損なわれない。その場合、燃料噴射態
様の変更によって成層燃焼モードが良好に続行されるこ
とで、成層化不良の問題及び排気エミッション低下の問
題も解消される。
【0016】次に、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、成層燃焼モードの実行中に燃圧
偏差がより大きい第2の所定値より大きくなったとき
は、燃焼モードを均質燃焼モードに切り換える燃焼モー
ド切換手段を備えていることを特徴とする。
【0017】この発明によれば、成層燃焼モードの実行
中に実燃圧が目標燃圧からよほど大きくずれたときに初
めて燃焼モードが均質燃焼モードに切り換えられる。す
なわち、燃料噴射の態様の変更では対処しきれないほど
の大きな燃圧のずれが生じたときには、無理をせずに燃
焼モードを均質燃焼モードに切り換えて、失火ひいては
エンジンストールの問題、あるいは排気エミッション低
下の問題を確実に回避するようにしたのである。
【0018】次に、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、燃圧偏差が所定値より大
きくなった場合において、実燃圧が目標燃圧より低いと
きは、噴射態様変更手段は、燃料を分割噴射するものと
し、かつ、噴射タイミングを全体に早期化することを特
徴とする。
【0019】この発明によれば、実燃圧が目標燃圧より
低いほうにずれたときの燃料噴射の態様の変更が具体化
される。すなわち、燃料噴射弁に供給される実燃圧が低
い場合は、まず燃料を分割噴射することにより、1回の
開弁時間を短くして、燃圧ないし燃料噴霧の貫徹力の過
度の落ち込みを防ぐ。これにより、燃料噴霧の貫徹力と
キャビティ形状又はタンブル流速との対向のバランスを
可及的に保持して良好な成層化に寄与する。燃料噴霧は
吸気流動に対向可能な状態に維持される。
【0020】加えて、噴射タイミングを全体に早期化す
ることにより、低下気味の燃料噴霧の貫徹力を時間で補
い、やはりキャビティ形状又はタンブル流速との良好な
対向のバランスを保って燃料噴霧をプラグ周りに近づ
け、良好な成層化と、プラグ周りの空燃比の適正化を図
る。これにより、実燃圧が目標燃圧より低いときにおけ
る成層化不良の問題が解決される。
【0021】次に、請求項4に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、燃圧偏差が所定値より大
きくなった場合において、実燃圧が目標燃圧より高いと
きは、噴射態様変更手段は、燃料を分割噴射するものと
し、かつ、早く噴射するほうの噴射タイミングを早期化
することを特徴とする。
【0022】この発明によれば、実燃圧が目標燃圧より
高いほうにずれたときの燃料噴射の態様の変更が具体化
される。すなわち、燃料噴射弁に供給される実燃圧が高
い場合は、まず燃料を分割噴射することにより、1回の
燃料噴射量を低減させ、ピストン冠面やキャビティ壁面
等への燃料の付着量を可及的に少なくし、排気エミッシ
ョン低下の問題を抑制する。
【0023】加えて、早く噴射するほうの噴射タイミン
グを早期化することにより、後で噴射するほうの燃料
(噴射量は分割噴射により是正されている)でキャビテ
ィ形状又はタンブル流速との良好な対向のバランスを保
って燃料噴霧をプラグ周りに近づけ、良好な成層化と、
プラグ周りの空燃比の適正化とを図る。早く噴射したほ
うの燃料は気化霧化の時間が確保されて、弱成層燃焼状
態となる。これにより、実燃圧が目標燃圧より高いとき
における成層化不良の問題及び排気エミッション低下の
問題が解決される。
【0024】なお、以上において、燃料を分割噴射する
かどうかは、本来的には、エンジン制御の別の側面から
定められるのが通例である。よって、例えばエンジンの
運転状態が非分割噴射(単一噴射)の運転領域にあると
きは、噴射態様変更手段は、燃料の噴射態様を強制的に
分割噴射に切り換えることになる。これに対し、エンジ
ンの運転状態がもともと分割噴射の運転領域にあるとき
には、噴射態様変更手段は、燃料の噴射態様をそのまま
分割噴射に維持すればよいことになる。以下、発明の実
施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
筒内噴射式エンジン1の全体構成を示す。このエンジン
1は複数の気筒2…2(1つのみ図示)が直列に配置さ
れたシリンダブロック3と該シリンダブロック3に載置
されたシリンダヘッド4とを有する。各気筒2内にピス
トン5が上下に往復動自在に嵌挿されて燃焼室6を画成
している。シリンダブロック3にクランク軸7が回転自
在に支持され、該クランク軸7にピストン5がコネクテ
ィングロッド8で連結されている。クランク軸7の一端
側にクランク角を検出する電磁ピックアップ式のクラン
ク角センサ9が配設されている。
【0026】燃焼室6はペントルーフ型である。燃焼室
6の天井部はシリンダヘッド4の下端部まで延びる2つ
の傾斜面で屋根形状に構成されている。各傾斜面に2つ
の吸気ポート10,10又は排気ポート11,11(そ
れぞれ1つのみ図示)が開口している。各開口に吸気弁
12又は排気弁13が備えられている。吸気ポート1
0,10は燃焼室6から斜め上方に直線的に延び、エン
ジン1の側面(図1の右側面)にそれぞれ独立して開口
している。排気ポート11,11は燃焼室6からすぐに
水平に延び、途中で1つに合流してエンジン1の他の側
面(図1の左側面)に開口している。
【0027】このエンジン1は周知の可変動弁機構1
4,14を備えている。すなわち、吸気弁12及び排気
弁13を開閉動作させる吸気側及び排気側の各カム軸
(図示せず)のクランク軸7に対する回転位相がそれぞ
れ可変動弁機構14,14により所定角度範囲内で連続
的に変化され、これにより、吸気弁12及び排気弁13
の開閉作動時期が独立に変更される。
【0028】燃焼室6の頂上部に上記4つの吸排気弁1
2,12,13,13に囲まれて点火プラグ16が配設
されている。点火プラグ16の先端の電極は燃焼室6の
天井部から所定長さだけ突出した位置にある。一方、点
火プラグ16の基端部は点火回路17に接続され、該点
火回路17から各気筒2毎に所定の点火タイミングで各
点火プラグ16が通電される。燃焼室6の底部を構成す
るピストン5の冠面は対向する燃焼室6の天井部に沿う
ような形状である。ピストン5の冠面の中央部に所定形
状の凹部5a(図3参照)が形成されている。
【0029】燃焼室6の天井部において吸気ポート1
0,10に挟まれるようにインジェクタ(燃料噴射弁)
18が燃焼室6を臨んで配置されている。このインジェ
クタ18は吸気ポート10,10のやや下方の位置から
燃料を燃焼室6内に直接噴射する。このインジェクタ1
8は先端部の噴孔から燃料を旋回流にして噴出させる公
知のスワールインジェクタである。噴射された燃料はイ
ンジェクタ18の軸心と同軸にホローコーン状となる。
このインジェクタ18では、燃料の噴射圧力を高くする
ほど、また噴霧の拡がり角を小さくするほど、燃料噴霧
の貫徹力が高くなる。
【0030】各インジェクタ18…18の基端部は全気
筒2…2に共通の燃料分配管19に接続されている。燃
料分配管19は燃料供給系20から供給される高圧の燃
料を各気筒2…2に分配する。高圧燃料供給系20は例
えば図2(a)に示すように構成される。燃料分配管1
9と燃料タンク21とを連通する燃料通路22の上流側
から下流側に順に低圧燃料ポンプ23と低圧レギュレー
タ24と燃料フィルタ25と高圧燃料ポンプ26と高圧
レギュレータ27とが配設されている。
【0031】低圧燃料ポンプ23により燃料タンク21
から吸い上げられた燃料が低圧レギュレータ24で調圧
され、フィルタ25で濾過され、高圧燃料ポンプ26に
圧送される。高圧燃料ポンプ26及び高圧レギュレータ
27はリターン通路29で燃料タンク21と接続してい
る。リターン通路29には燃料タンク21に戻す燃料の
圧力を整えるための低圧レギュレータ28が備えられて
いる。高圧燃料ポンプ26によって昇圧した燃料の一部
が高圧レギュレータ27によって流量調節されながらリ
ターン通路29を通って燃料タンク21に戻される。
【0032】高圧レギュレータ27は電磁弁を用いて構
成されている。すなわち、電磁弁に対する通電時間や通
電時期を制御することにより高圧レギュレータ27を制
御し、その結果、燃料分配管19へ供給する燃料の圧力
状態を適正値(例えば3〜13MPa、成層燃焼運転時
は4〜7MPa)に調節する。この図2(a)の燃料供
給系20では、高圧レギュレータ27がインジェクタ1
8による燃料の噴射圧力つまり燃料噴霧の貫徹力を調節
することになる。燃料分配管19に燃料供給系20から
インジェクタ18に供給される燃圧を検出する燃圧セン
サ53が設けられている。
【0033】これに代えて図2(b)に示すような構成
の高圧燃料供給系20′を採用してもよい。この燃料供
給系20′では、高圧燃料ポンプとして燃料の吐出量を
広い範囲に亘って変更可能な電動式の高圧ポンプ26′
を用いている。この電動式ポンプ26′を制御すること
により該ポンプ26′から燃料分配管19への燃料の吐
出量を調整することができ、これにより、燃料分配管1
9へ供給する燃料の圧力状態を制御することが可能とな
る。この場合、電動式高圧ポンプ26′がインジェクタ
18による燃料の噴射圧力を調節することになる。この
図2(b)の燃料供給系20では、高圧レギュレータ2
7やリターン通路29が省略できる。
【0034】図1に戻り、エンジン1の側面(図1の右
側面)に吸気通路30が配設されている。吸気通路30
は各気筒2の吸気ポート10,10に連通し、図外のエ
アクリーナで濾過した吸気を燃焼室6に供給する。吸気
通路30には上流側から下流側に順にエンジン1に吸入
される吸入空気量を検出するホットワイヤ式のエアフロ
ーセンサ31と吸気通路30の開度を調節する電気式の
スロットル弁32とサージタンク33等が配設されてい
る。スロットル弁32は、図示しないが、アクセルペダ
ルと機械的に連結されておらず、電動式の駆動モータに
より駆動される。
【0035】サージタンク33より下流側の吸気通路3
0は各気筒2毎に分岐する独立通路である。各独立通路
の下流端部がさらに2つに分岐して各吸気ポート10,
10に連通している。各吸気ポート10の上流側に燃焼
室6内に生成するタンブル流T(図3参照)の流速を調
節するための吸気流動(エアモーション、エアガイド)
調節弁34が配設されている。この弁34は円形のバタ
フライ弁の一部を切り欠いた形状であり、好ましくはス
テッピングモータで精密に開閉駆動される。吸気流動調
節弁34が閉じると吸気が該弁34の切り欠き部分のみ
から下流側に流れて燃焼室6に強いタンブル流Tが生成
する。一方、吸気流動調節弁34が開くに従い吸気は該
弁34の切り欠き部分以外からも流通するようになり、
タンブル流Tの強度は徐々に弱められる。
【0036】図3(b)〜(c)に示すように、気筒2
の圧縮行程において点火プラグ16の電極とピストン5
の冠面との間をインジェクタ18に向うようにタンブル
流Tが流れている。吸気流動調節弁34及びステッピン
グモータはこのタンブル流Tの流速を増減制御すること
になる。
【0037】図1に戻り、エンジン1の他の側面(図1
の左側面)に燃焼室6から既燃ガス(排気)を排出する
排気通路36が配設されている。排気通路36の上流端
部は各気筒2毎に分岐して排気ポート11に連通する排
気マニホルド37である。排気マニホルド37の集合部
に排気中の残存酸素濃度を検出するリニアOセンサ3
8が配設されている。このセンサ38の検出結果により
燃焼室6内の混合気の空燃比が検出される。このセンサ
38は理論空燃比を含む所定の空燃比範囲において酸素
濃度に対しリニアな出力を生成する。
【0038】排気マニホルド37の集合部に排気管39
の上流端が接続され、排気管39の下流端に排気浄化の
ための触媒装置40が接続されている。この触媒装置4
0は排気中の酸素濃度が高い雰囲気下でNOxを吸収す
る一方、排気中の酸素濃度が低下すると吸収したNOx
を放出しかつ還元浄化するNOx吸収還元型の触媒装置
である。この触媒装置40は理論空燃比近傍では三元触
媒と同じレベルの高い排気浄化性能を発揮する。触媒装
置40の下流側に該触媒装置40の劣化状態の判定に用
いる公知のラムダOセンサ41が配設されている。こ
のセンサ41は理論空燃比を境に出力がステップ状に反
転する。なお、NOx吸収還元型触媒装置40に直列に
三元触媒を配置してもよい。
【0039】排気管39の上流部にEGR通路43の上
流端が開口している。EGR通路43は排気通路36を
流れる排気の一部を吸気通路30に還流させる。EGR
通路43の下流端はスロットル弁32の下流で吸気通路
30に接続されている。EGR通路43の下流端近傍に
電気式のEGR弁44が配設され、この弁を用いてEG
R通路43を通る排気の還流量を調節する。
【0040】エンジンコントロールユニット(ECU)
50は、上記の可変動弁機構14,14、各気筒2…2
毎の点火プラグ16…16の点火回路17、インジェク
タ18…18、燃料供給系20の高圧レギュレータ27
(図2(a)の構成の場合)もしくは電動式高圧ポンプ
26′(図2(b)の構成の場合)、電気式スロットル
弁32(の駆動モータ)、吸気流動調節弁34(のステ
ッピングモータ)、電気式EGR弁44等の作動を制御
する。ECU50は、少なくとも、クランク角センサ
9、エアフローセンサ31、リニアOセンサ38、ラ
ムダOセンサ41等からの各出力信号を入力すると共
に、アクセルペダルの開度(アクセル操作量)を検出す
るアクセル開度センサ51からの出力信号、エンジン1
の回転速度(クランク軸7の回転速度)を検出する回転
速度センサ52からの出力信号、燃料供給系20からイ
ンジェクタ18に供給される燃圧を検出する燃圧センサ
53からの出力信号等を入力する。
【0041】ECU50は、これらの入力信号が示すエ
ンジン1の運転状態に基いて、吸排気弁12,12,1
3,13の開閉作動時期、インジェクタ18による燃料
噴射量・噴射時期・噴射圧力(燃料噴霧の貫徹力)、ス
ロットル弁32により調節される吸入空気量、吸気流動
調節弁34により調節されるタンブル流Tの流速・強
さ、EGR弁44により調節される排気の還流割合等を
制御する。
【0042】図4に1例を示すように、エンジン1の温
間状態では、低負荷かつ低回転側の運転領域が成層燃焼
を実行すべき領域とされる。この成層燃焼領域では、気
筒2の圧縮行程における所定時期(例えば、成層燃焼運
転時において、図(a)に示すように、圧縮上死点前B
TDC40°〜140°の範囲)に、インジェクタ18
から燃料が噴射される。燃料噴霧は点火プラグ16の電
極の近傍で層状に偏在し、この状態で点火プラグ16に
より火花点火されて燃焼される(成層燃焼モード)。こ
の成層燃焼モードでは、エンジン1の吸気損失を低減さ
せるためにスロットル弁32の開度が相対的に大きくさ
れる。これにより燃焼室6内の平均的な空燃比が理論空
燃比よりもリーンな状態(大きな値)となり(例えばA
/F>25)、燃費の向上が図られる。
【0043】一方、成層燃焼領域以外の、高負荷〜高回
転側の運転領域は均質燃焼を実行すべき領域とされる。
この均質燃焼領域では、気筒2の吸気行程でインジェク
タ18から燃料が噴射される。噴射された燃料は吸気と
十分に混合し、混合気は燃焼室6内に均質な状態で充満
し、この状態で点火プラグ16により火花点火されて燃
焼される(均質燃焼モード)。この均質燃焼モードで
は、ほとんどの運転領域において、混合気の空燃比が略
理論空燃比(A/F≒14.7)になるように、燃料噴
射量やスロットル開度等が制御される。ただし、全負荷
領域等では、空燃比を理論空燃比よりもリッチな状態
(小さな値)にする(例えばA/F=13)。これによ
り、高負荷に対応した高出力が得られる。
【0044】さらに、エンジン1の温間時において、図
4に斜線で示す領域がEGR領域である。この領域で
は、EGR弁44を開いて排気の一部を吸気通路30側
に還流させ、NOxの生成を抑制する。このとき、EG
R弁44の開度が、エンジン1の負荷状態及び回転速度
に応じて、少なくとも高負荷側ほどEGR率(排気の還
流割合)が小さくなるように調節される。これにより、
高出力要求時にエンジン1の出力不足、及び燃焼安定性
の低減等が防がれる。なお、エンジン1の冷間時は、燃
焼安定性の確保を最優先に考えて、エンジン1の全ての
運転領域で均質燃焼モードとする。また、EGR領域を
なくし、EGR弁44を常に全閉とする。
【0045】また、図5に1例を示すように、比較的低
負荷低回転の運転領域と、極低負荷で高回転の運転領域
とでは、燃料はインジェクタ18から単一噴射される。
つまりインジェクタ18の1回の開弁で燃料の全量を噴
ききるようにする(図10(a)参照)。よって単一噴
射領域は燃料要求量が比較的少ない低負荷低回転領域に
設定されている。これに対し、比較的高負荷の運転領域
では、回転速度に関係なく、燃料はインジェクタ18か
ら分割噴射される。つまりインジェクタ18の複数回
(典型的には2回)の開弁で燃料の全量を噴ききるよう
にする(図11(a)参照)。よって分割噴射領域は燃
料要求量が比較的多い高負荷領域に設定されている。図
4に示す制御マップと図5に示す制御マップとはそれぞ
れ別の目的達成のために用いられる。よって、成層燃焼
モードで単一噴射されることもあるし分割噴射されるこ
ともある。均質燃焼モードでも同様である。
【0046】このエンジン1では、上述のように、成層
燃焼モードで運転するときに、燃焼室6内に発生するタ
ンブル流Tを最大限に活用し、このタンブル流Tによっ
て燃料噴霧の挙動を制御して、混合気の適切な成層化、
及び成層圏の空燃比の適正化を図っている。つまり、エ
ンジン1の運転状態が成層燃焼領域にあるときは、図3
(a)に示すように、各気筒2の吸気行程で生成される
タンブル流Tを、図3(b)に示すように、該気筒2の
圧縮行程の後期まで保持させる。そして、このタンブル
流Tに対向して、インジェクタ18から燃料をほぼ正対
する方向から衝突させるように噴射する。
【0047】こうすることにより、燃料噴霧はタンブル
流Tにより徐々に減速されながら点火プラグ16側に移
動していき、その間に燃料液滴の気化霧化や空気との混
合が促進される。そして、当該気筒2の点火時期におい
て、図3(c)に濃く示すように可燃混合気となって点
火プラグ16の電極付近に滞留する。そのために、高圧
レギュレータ27又は電動式高圧ポンプ26′で調節さ
れるインジェクタ18からの燃料噴霧の貫徹力が、吸気
流動調節弁34で調節されるタンブル流Tの流速に応じ
て調節される。また、気筒2の点火時期から逆算した所
定のタイミングでインジェクタ18が所定パルス幅だけ
開弁されて燃料が所定量噴射される。このようなインジ
ェクタ18の作動制御は、ECU50により、所定の制
御プログラムに従って行われる。
【0048】次に、このエンジン1における燃焼モード
の切換制御を図6〜図7に示すフローチャートに従って
説明する。このプログラムはエンジン1の運転中所定の
制御周期で繰り返し実行される。まず、ステップS1
で、エンジン回転速度、エンジン負荷、エンジン温度、
実燃圧、運転モード(図4の燃焼モードや図5の噴射モ
ードを含む)等の各種状態量を検出する。
【0049】次いで、ステップS2で、エンジン回転速
度、エンジン負荷、エンジン温度、運転モード等の各種
パラメータに基いて目標燃圧を設定したのち、ステップ
S3で、燃圧偏差ΔFを算出する。ここで、燃圧偏差Δ
Fは(実燃圧−目標燃圧)とする。すなわち、実燃圧が
目標燃圧より高いときは、燃圧偏差ΔFはプラスの値と
なり、逆に実燃圧が目標燃圧より低いときは、燃圧偏差
ΔFはマイナスの値となる。
【0050】次いで、ステップS4で、燃焼モードを判
定し、成層燃焼モードであればステップS5に進み、均
質燃焼モードであればステップS12に進む。ステップ
S5では(成層燃焼モードの実行中は)、燃圧偏差ΔF
がプラス側の第1の所定値ΔF1より大きいか否かを判
定する。この所定値ΔF1は、図8に示すように、後述
する他の所定値ΔF1′,ΔF2,ΔF2′と同様、エ
ンジン回転速度に応じて設定される。
【0051】ステップS5でNOのとき(ΔF≦ΔF1
のとき)は、ステップS6で、燃圧偏差ΔFがマイナス
側の第1の所定値ΔF1′のマイナス値より小さいか否
かを判定する。このマイナス側の所定値ΔF1′は、図
8に示すように、上記プラス側所定値ΔF1より大きい
値とされる。そして、ステップS6でもNOのとき(Δ
F≧−ΔF1′のとき)は、ステップS7において、噴
射パルス及び噴射タイミングの適正化制御を行い、成層
燃焼モードをそのまま通常実行する。
【0052】すなわち、この場合は、高圧燃料供給系2
0が正常で燃圧制御ができており、その結果、燃圧偏差
ΔFがプラス側にもマイナス側にも第1所定値ΔF1,
ΔF1′より大きくなっておらず、燃圧偏差ΔFは第1
所定値ΔF1,ΔF1′以内に収まっている(−ΔF
1′≦ΔF≦ΔF1)。換言すれば、燃圧偏差ΔFは、
もしあったとしても、許容範囲内又は誤差範囲内にあ
る。よって、図9に示すように、このような場合は、そ
のまま通常通り成層燃焼モードを実行し、燃費の向上を
図るのである。
【0053】なお、このとき、燃圧偏差ΔFが可及的に
小さくなるように、上記高圧燃料供給系20の高圧レギ
ュレータ27あるいは電動高圧ポンプ26′がフィード
バック制御される。これにより、適正化した噴射パルス
幅(開弁時間)の駆動パルス信号をインジェクタ18に
出力したときに、該インジェクタ18から適正量の燃料
が燃焼室6内に噴射され、空燃比がエンジンの運転状態
ないし燃焼モードに合致した最適の空燃比に収束する。
【0054】これに対し、ステップS5でYESのとき
(ΔF>ΔF1のとき)は、ステップS8に進んで、燃
圧偏差ΔFがプラス側の第2の所定値ΔF2より大きい
か否かを判定する。この第2の所定値ΔF2は、図8に
示すように、上記第1所定値ΔF1より大きい値とされ
る。そして、ステップS8でYESのとき(ΔF>ΔF
2のとき)は、ステップS12に進んで、この成層燃焼
モードから均質燃焼モードに移行する。
【0055】同様に、ステップS6でYESのとき(Δ
F<−ΔF1′のときは)、ステップS10に進んで、
燃圧偏差ΔFがマイナス側の第2の所定値ΔF2′のマ
イナス値より小さいか否かを判定する。このマイナス側
の第2の所定値ΔF2′は、図8に示すように、上記マ
イナス側第1所定値ΔF1′やプラス側第2所定値ΔF
2より大きい値とされる。そして、ステップS10でY
ESのとき(ΔF<−ΔF2′のとき)は、ステップS
12に進んで、やはりこの成層燃焼モードから均質燃焼
モードに移行する。
【0056】すなわち、この場合は、高圧燃料供給系2
0の高圧燃料ポンプ26又は26′やレギュレータ27
等の異常や故障に起因して、燃圧偏差ΔFがプラス側又
はマイナス側に第1所定値ΔF1,ΔF1′よりもさら
に大きな第2所定値ΔF2,ΔF2′より大きくなって
いる(ΔF1<ΔF2<ΔF又はΔF<−ΔF2′<−
ΔF1′)。換言すれば、実燃圧が目標燃圧から高いほ
うあるいは低いほうに大きくずれており、このまま成層
燃焼モードを維持していると、失火し、ひいてはエンジ
ンストールが起こり、あるいは排気エミッションが低下
する。よって、図9に示すように、このような場合は、
無理をせずに燃焼モードを成層燃焼モードから均質燃焼
モードに切り換えて、上記問題を確実に回避するのであ
る。
【0057】これに対し、ステップS8でNOのとき
(ΔF≦ΔF2のとき)、及びステップS10でNOの
とき(ΔF≧−ΔF2′のとき)は、それぞれステップ
S9又はS11に進んで、いずれもインジェクタ18に
よる燃料噴射の態様を変更することにより成層燃焼モー
ドを継続する。
【0058】すなわち、この場合は、高圧燃料供給系2
0の高圧燃料ポンプ26又は26′やレギュレータ27
等に異常や故障が生じて、その結果、燃圧偏差ΔFがプ
ラス側又はマイナス側に第1所定値ΔF1,ΔF1′よ
り大きくはなっているが、第2所定値ΔF2,ΔF2′
より大きくはなっていない(ΔF1<ΔF≦ΔF2又は
−ΔF2′≦ΔF<−ΔF1′)。換言すれば、実燃圧
が目標燃圧から高いほうあるいは低いほうにずれてお
り、このまま通常通りの成層燃焼モードを続行している
と、失火ひいてはエンジンストールの問題、あるいは排
気エミッション低下の問題が起こる可能性があるが、当
面はインジェクタ18による燃料噴射の態様を変更する
ことで対処可能な状態である。
【0059】よって、図9に示すように、このような場
合には、燃焼モードを直ちに均質燃料モードに切り換え
ることはせず、インジェクタ18による燃料噴射の態様
を変更することによって、成層燃焼モードをできるだけ
維持・継続するように努めるのである。これにより、成
層燃焼モードの最大の特徴の1つである燃費の良さが最
大限活かされ、このエンジン1の商品性が損なわれな
い。しかも、燃料噴射態様の変更によって成層燃焼モー
ドを良好な状態で維持・継続することで、成層化不良の
問題や排気エミッション低下の問題も抑制される。
【0060】具体的には、ステップS9のように、実燃
圧が目標燃圧より高いとき(燃圧偏差ΔFがプラスの値
のとき)は、燃料を分割噴射するものとし(図5の単一
噴射領域にあるときは分割噴射に切り換え、あるいは分
割噴射領域にあるときはそのまま分割噴射を維持す
る)、かつ、早く噴射するほうの噴射タイミングを早期
化する。
【0061】例えば、図10(a)に示すように、通常
の成層燃焼モードで燃料を圧縮上死点前BTDC40°
〜140°の範囲で単一噴射していたとすると、図10
(b)に示すように、燃料噴射を2つに分割したうえ
で、先に噴射するほうの噴射タイミングをBTDC40
°より前に進角させる。あるいは、図11(a)に示す
ように、通常の成層燃焼モードで燃料を圧縮上死点前B
TDC40°〜140°の範囲で分割噴射していたとす
ると、図11(b)に示すように、先に噴射するほうの
噴射開始タイミングをBTDC40°より前に進角させ
る。
【0062】このように、インジェクタ18に供給され
る実燃圧(燃料の噴射圧力ひいては燃料噴霧の貫徹力)
が高い場合は、まず燃料を分割噴射することによって、
1回の燃料噴射量を低減させ、ピストン5の冠面や凹部
5a等への燃料の付着量を可及的に少なくし、排気エミ
ッション低下の問題を抑制する。なお、もともと分割噴
射しているときに(例えば2回)さらに分割噴射(例え
ば3回)するようにしてもよい。
【0063】加えて、早く噴射するほうの噴射タイミン
グを早期化することによって、後で噴射するほうの燃料
(その噴射量は分割噴射により是正されている)でタン
ブル流Tの流速との良好な対向のバランスを保って燃料
噴霧を点火プラグ16の電極の周りに近づけ、良好な成
層化と、プラグ16周りの空燃比の適正化とを図る。ま
た、早く噴射した燃料は気化霧化の時間が確保されて、
弱成層燃焼状態となる。以上により、実燃圧が目標燃圧
より高いときにおける成層化不良の問題及び排気エミッ
ション低下の問題が抑制できる。
【0064】これに対し、ステップS11のように、実
燃圧が目標燃圧より低いとき(燃圧偏差ΔFがマイナス
の値のとき)は、同じく燃料を分割噴射するものとし、
かつ、噴射タイミングを全体的に早期化する。
【0065】例えば、図10(a)に示すように、通常
の成層燃焼モードで燃料を圧縮上死点前BTDC40°
〜140°の範囲で単一噴射していたとすると、図10
(c)に示すように、燃料噴射を2つに分割したうえ
で、両方の噴射タイミングを前に進角させる(後で噴射
するほうの噴射終了タイミングをBTDC140°より
前に進角させる)。あるいは、図11(a)に示すよう
に、通常の成層燃焼モードで燃料を圧縮上死点前BTD
C40°〜140°の範囲で分割噴射していたとする
と、図11(c)に示すように、両方の噴射タイミング
を前に進角させる。
【0066】このように、インジェクタ18に供給され
る実燃圧(燃料の噴射圧力ひいては燃料噴霧の貫徹力)
が低い場合は、まず燃料を分割噴射することによって、
1回の開弁時間を短くし、燃料の噴射圧力ないし燃料噴
霧の貫徹力が過度に低下することを防ぐ。これにより、
燃料噴霧の貫徹力とタンブル流Tの流速との対向のバラ
ンスを可及的に保持して良好な成層化に寄与する。燃料
噴霧はタンブル流Tに対向可能な状態に維持される。な
お、もともと分割噴射しているときに(例えば2回)さ
らに分割噴射(例えば3回)するようにしてもよい。
【0067】加えて、噴射タイミングを全体に早期化す
ることにより、低下気味の燃料噴霧の貫徹力を時間で補
い(噴射圧力が低いと燃料噴霧がタンブル流Tと衝突・
対向すべき位置まで到達するのに長い時間がかかるの
を、早く噴射することにより時間でカバーする)、これ
によっても、タンブル流Tとの良好な対向のバランスを
保って燃料噴霧を点火プラグ16の電極の周りに近づ
け、良好な成層化と、プラグ16周りの空燃比の適正化
を図る。以上により、実燃圧が目標燃圧より低いときに
おける成層化不良の問題が抑制できる。
【0068】ここで、図8(a)及び(b)に示したよ
うに、各判定用所定値ΔF1,ΔF1′,ΔF2,ΔF
2′は、エンジン回転速度が低いほど小さい値に設定さ
れる。つまり、エンジン回転速度が低いときは、高いと
きに比べて、通常の成層燃焼運転から燃料噴射態様を変
更しての成層燃焼維持運転への切換え、及び成層燃焼維
持運転から均質燃焼運転への切換えが行われ易い傾向と
なる。これは、エンジン回転速度が低いほど燃焼が不安
定であるから(すなわち低回転領域は燃焼安定性に足ら
ない領域であるから)、失火ないしエンジンストールの
可能性をできるだけ早期に払拭するためである。
【0069】また、図8(a)と(b)とを比較して明
らかなように、プラス側の判定用所定値ΔF1,ΔF2
は、対応するマイナス側の判定用所定値ΔF1′,ΔF
2′より小さい値とされている。つまり、実燃圧が目標
燃圧より高いときは、低いときに比べて、通常の成層燃
焼運転から燃料噴射態様を変更しての成層燃焼維持運転
への切換え、及び成層燃焼維持運転から均質燃焼運転へ
の切換えが行われ易い傾向となる。
【0070】これは、燃圧が高いときは、前述したよう
に、成層化不良の問題だけでなく排気エミッション低下
の問題も余分に発生すること、及び燃料噴射態様を変更
しての成層燃焼維持運転が比較的困難であることを主た
る理由とする。これに対し、燃圧が低いときは、燃料の
噴射態様(分割噴射や噴射時期)を変更しなくても、例
えば駆動パルス信号のパルス幅を長くして燃料噴射量を
増やすことにより成層化の維持を図ることが可能であ
り、また、燃料噴射態様を変更して成層燃焼運転を維持
・継続することのできる範囲が比較的広いのである。
【0071】図7のステップS12以下の均質燃焼モー
ドはおよそ次のように行われる。ステップS12で、実
燃圧に基き噴射パルス及び噴射タイミングの適正値を演
算し、その結果、演算された噴射パルス幅が、所定の最
小限界値τminより小さいこともなく、また所定の最
大限界値τmaxより大きいこともない場合は、ステッ
プS13,S14を経由して、ステップS15で、噴射
パルス及び噴射タイミングの適正化制御を行い、均質燃
焼モードを通常通りに実行する。ここで、噴射パルス幅
の最小限界値τmin及び最大限界値τmaxは、イン
ジェクタ18の能力的・機械的要素から決定される。
【0072】噴射パルス幅が最小限界値τminより小
さいときは、ステップS16で、噴射パルス幅を該最小
限界値τminとし、噴射タイミングを例えばステップ
S12で演算した噴射タイミングとする。併せて、無負
荷の場合は、エンジン回転数を上昇させ、有負荷の場合
は、点火時期及びスロットル開度を制御して、トルク及
び空燃比の適正化を図る。
【0073】噴射パルス幅が最大限界値τmaxより大
きいときは、ステップS17で、噴射パルス幅を該最大
限界値τmaxとし、噴射タイミングを例えばステップ
S12で演算した噴射タイミングとする。
【0074】なお、この実施の形態に係るエンジンは、
タンブル流等の吸気流動(エアモーション、エアガイ
ド)を利用して燃料をプラグ周りに集め、偏在化させ
て、成層化を図るものであったが、これに代えて、ピス
トン冠面に形成したキャビティ(ウオールガイド)を利
用して燃料の成層化を図るものであってもよい。
【0075】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、筒内噴
射式エンジンにおける高圧燃料供給系の異常や故障に伴
い、燃圧制御が不能となって、実燃圧が目標燃圧から低
いほうにあるいは高いほうにずれたときの対応策、特
に、燃費、燃料噴霧の成層化、排気エミッション等の種
々の観点から改良された対応策が提供される。本発明
は、燃焼室内に直接燃料を噴射し、燃焼モードが成層燃
焼モードと均質燃焼モードとの間で切換可能な構成のエ
ンジン一般への幅広い利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係るエンジンのシステ
ム構成図である。
【図2】 同エンジンの燃料供給系の構成図である。
【図3】 同エンジンの気筒の吸気行程でタンブル流が
生成される様子と、該気筒の圧縮行程後期の点火時期に
おいて上記タンブル流を利用して点火プラグの電極周辺
に可燃混合気が滞留する様子とを示す説明図である。
【図4】 同エンジンを成層燃焼モード又は均質燃焼モ
ードとする運転領域を設定した制御マップの1例を示す
図である。
【図5】 同エンジンを単一噴射モード又は分割噴射モ
ードとする運転領域を設定した制御マップの1例を示す
図である。
【図6】 同エンジンの燃焼モード切換制御プログラム
のフローチャートの1例であり、専ら成層燃焼の動作部
分を示すものである。
【図7】 同じく燃焼モード切換制御プログラムのフロ
ーチャートの1例であり、専ら均質燃焼の動作部分を示
すものである。
【図8】 燃圧偏差の判定用所定値とエンジン回転速度
との関係、及び所定値間の大小関係を例示するマップで
ある。
【図9】 プラス方向又はマイナス方向の燃圧偏差と燃
焼モードとの関係を示す説明図である。
【図10】 成層燃焼モードを維持・継続するために行
う燃料噴射態様の変更の1例を示す説明図であり、エン
ジンの運転状態が単一噴射領域にある場合のものであ
る。
【図11】 同じく燃料噴射態様の変更の1例を示す説
明図であり、エンジンの運転状態が分割噴射領域にある
場合のものである。
【符号の説明】
1 エンジン(筒内噴射式) 2 気筒 5 ピストン 6 燃焼室 10 吸気ポート 11 排気ポート 12 吸気弁 13 排気弁 16 点火プラグ 18 インジェクタ(燃料噴射弁) 20 燃料供給系(燃料供給手段) 26 高圧燃料ポンプ 27 高圧レギュレータ 50 ECU(目標燃圧設定手段、燃圧制御手段、
噴射態様変更手段、燃焼モード切換手段) 53 燃圧センサ(燃圧検出手段) T タンブル流
フロントページの続き (72)発明者 南谷 邦公 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 南風原 洋 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 荒川 博之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 (72)発明者 平野 拓男 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G301 HA13 HA15 HA17 HA19 JA02 JA21 JA31 KA08 KA09 KA24 KA25 LA07 LB07 LC04 MA01 MA18 MA19 MA26 MA27 NA08 NC02 ND01 NE11 NE14 NE15 PA01Z PB08A PB08Z PD03Z PD04Z PD09Z PE01Z PF03Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射
    弁を備え、エンジンの運転状態に基いて燃焼モードを成
    層燃焼モードと均質燃焼モードとの間で切り換えるよう
    にしたエンジンの制御装置であって、燃料噴射弁に燃料
    を供給する燃料供給手段と、該供給手段により燃料噴射
    弁に供給される燃料の圧力を検出する燃圧検出手段と、
    エンジンの運転状態に基いて燃料噴射弁に供給する燃料
    の圧力の目標値を設定する目標燃圧設定手段と、該設定
    手段で設定される目標燃圧と上記検出手段で検出される
    実燃圧との偏差が小さくなるように上記燃料供給手段を
    制御する燃圧制御手段と、成層燃焼モードの実行中に上
    記燃圧偏差が所定値より大きくなったときは、燃料噴射
    弁による燃料噴射の態様を変更して成層燃焼モードを続
    行する噴射態様変更手段とを備えていることを特徴とす
    るエンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 成層燃焼モードの実行中に燃圧偏差がよ
    り大きい第2の所定値より大きくなったときは、燃焼モ
    ードを均質燃焼モードに切り換える燃焼モード切換手段
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
    ンの制御装置。
  3. 【請求項3】 燃圧偏差が所定値より大きくなった場合
    において、実燃圧が目標燃圧より低いときは、噴射態様
    変更手段は、燃料を分割噴射するものとし、かつ、噴射
    タイミングを全体に早期化することを特徴とする請求項
    1又は2に記載のエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 燃圧偏差が所定値より大きくなった場合
    において、実燃圧が目標燃圧より高いときは、噴射態様
    変更手段は、燃料を分割噴射するものとし、かつ、早く
    噴射するほうの噴射タイミングを早期化することを特徴
    とする請求項1又は2に記載のエンジンの制御装置。
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JP2007218106A (ja) * 2006-02-14 2007-08-30 Mitsubishi Motors Corp 筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置
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