JP2003253477A - 腐食防止剤および強アルカリ媒体中の金属材料を保護する方法 - Google Patents

腐食防止剤および強アルカリ媒体中の金属材料を保護する方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 強アルカリ媒体、特に水酸化ナトリウムを含
有する媒体による金属材料の腐食を著しく低下させる方
法を提供する。 【解決手段】 腐食防止剤が窒素に結合した少なくとも
1個のCH基を有するアミンを含有するものであり、そ
れらのアミンは、窒素が1個のフェニル基と結合し、他
はC1〜C6−アルキル基、H、または置換基を有する
ベンジル基であるアミンでありまた、ジクロロエタンま
たはエチレンオキシドと、アンモニアおよび/または他
のアミンとの反応生成物からなる群から選択されるポリ
アミンである腐食防止剤。またそれを使用する強アルカ
リ媒体中の金属材料を保護する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規腐食防止剤およ
び強アルカリ媒体中の金属材料を保護するためのその使
用に関する。
【0002】
【従来の技術】金属材料が温度、圧力および組成に依存
して酸性媒体およびアルカリ性媒体により腐食されるこ
とは知られている。従って化学装置またはその他で信頼
できる作業を保証するために、実験室の試験で腐食率が
決定され、後で作業中の装置での測定により確認され
る。試験にもとづく値は金属材料からなる装置の構造が
なお適当であると思われるかまたは保全の間隔にあるか
を評価するための制限を定める。
【0003】極端な条件、例えば50℃をこえる高い温
度および/または濃厚な酸性媒体または13より高いp
H値を有するアルカリ性媒体の場合は、適当な金属材料
の追求が困難である。酸性媒体の場合にしばしば内側を
被覆した材料(エナメル)が使用されるにもかかわら
ず、アルカリ性媒体の場合はエナメルがアルカリにより
腐食されるのでこれは不可能である。装置の有効期間中
に、これは費用のかかる保全または装置の運転中止を引
き起こす。
【0004】水酸化ナトリウムは水溶液または水性溶融
物中で種々の濃度を生じる多くの方法により製造するこ
とができる。例としては隔膜法、メンブラム法およびア
マルガム法である。類似する状況は水酸化カリウムまた
は他のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水
酸化物の強いアルカリ溶液に該当する。工程中に得られ
た水性水酸化ナトリウムの濃度が低すぎる場合は、蒸発
により高める。メンブラム法でのNaOHの濃度は約3
0%である。しかし標準的な市販されるNaOHの濃度
は約50%である。
【0005】従って30%からより高い濃度に濃度を生
じるNaOH溶液の蒸発が必要である。この高温法で許
容できる損失を有してこの蒸発に安全に耐えることがで
きる金属材料はわずかしかない。挙げることができる材
料には、例えばステンレス鋼または他の合金鋼が含まれ
る。しかし水酸化ナトリウム溶液が方法の結果として、
ppmの範囲で塩素酸塩または酸素またはFe のよ
うな他の酸化剤を含有する場合は、腐食がかなり増加
し、蒸発装置の運転がより困難になり、より高価にな
る。これは膜アルカリまたは隔膜アルカリを使用して運
転すべき装置に該当する。前者は50ppmまでの塩素
酸塩を含有し、後者は5000ppmまでの塩素酸塩を
含有する。その場合は蒸発装置は増加する腐食のために
もはや経済的に運転できないかまたは方法が温度に依存
するので約50%までのみの濃度を生じる。更に腐食
は、それぞれの場合に装置に使用される金属材料に依存
して、金属イオン、多くはニッケル、マンガン、クロム
等での水酸化ナトリウムの汚染を生じる。これらの汚染
物は引き続く化学工程または他の工程に不利に作用する
かまたはこれらの工程を妨げることがある。ほとんどす
べての場合に、これらのイオンはすぐにまたは後で周囲
に排出され、これは好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、強ア
ルカリ媒体、特に水酸化ナトリウムを含有する媒体によ
る金属材料の腐食を著しく低下する方法を提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明により、窒素に結
合した少なくとも1個のCH基を有するアミンまたはそ
の塩を含有することを特徴とする腐食防止剤が提供され
る。
【0008】完全な一覧表を構成するものでない例は、
プロピレンアミンおよび式(I):
【0009】
【化4】
【0010】[式中、RはC〜C−アルキル基、
Hまたはベンジル基を表し、RはC〜C−アルキ
ル基、Hまたはベンジル基を表し、ベンジル基は他の置
換基、特にC〜C−アルキルまたは塩素のようなハ
ロゲンを有することができる]のベンジルアミン、ジベ
ンジルアミン、トリベンジルアミン、メチルベンジルア
ミンのようなベンジルアミンである。
【0011】ジクロロエタンとアンモニアおよび/また
は他のアミンとの反応生成物からなる群またはエチレン
オキシドとアンモニアまたは他のアミンとの反応生成物
からなる群から選択されるポリアミンを使用することが
有利である。これらの生成物は一般に水溶性/水と混和
性の液体または固体の水和物である。
【0012】水蒸気中のその揮発性の結果として蒸発工
程中に処理流から再び除去されるかまたは蒸発から検出
されないかまたは凝縮液中できわめて低い濃度でのみ検
出される水蒸気中の低い揮発性を有するポリアミンを使
用することが特に有利である。本発明の目的のためにポ
リアミンは変動する数の第2級アミノ官能基および/ま
たは第3級アミノ官能基および/または第4級アミノ官
能基により中断された、末端のアミノ官能基との飽和炭
化水素鎖を有する化合物である。
【0013】以下の式(II)および(III): H−N(CH−CH−[NH−(CH−CH−NH (II) NH−CH−CH−CH−[NH−(CH−CH−CH−NH (III) [式中、nは0または1〜300の整数であり、p、
q、sおよびtはそれぞれ1または2であり、rは0ま
たは1であり、それぞれの窒素上の置換基の合計が3で
あるかまたは窒素原子が4個の置換基に結合している場
合に電荷を均衡にするためにアニオンAnが付加的に存
在する]の1つを有するポリアミンがきわめて有利であ
る。有利なアニオンは特に塩化物、硫酸塩または硝酸塩
である。
【0014】ポリアミンは電荷がないかまたは特に第4
級窒素(テトラ置換窒素)によりイオン性であってもよ
い。反対イオンは塩化物、硫酸塩、硝酸塩または他のア
ニオンである。ポリアミンは他の試薬により、例えばジ
クロロエタン、エチレンイミンまたはアクリロニトリル
との引き続く反応により、適当な場合は引き続き還元し
て、架橋されてまたは分枝状であってもよい。
【0015】窒素含有複素環、特にピペラジンまたはそ
の誘導体、特に式(IV):
【0016】
【化5】
【0017】(式中、yはHまたはアミノアルキル基、
特にアミノエチル基を表す)の複素環が有利である。
【0018】更に有利な物質は、以下の式(V)および
(VI): NH−CH−CH−[NH−CH−CH−NH (V) NH−CH−CH−CH−[NH−CH−CH−CH−NH (VI) [式中、nは0または1〜300の整数である]の物質
である。
【0019】以下のものがきわめて有利である。
【0020】通俗名称 商標名 EDA エチレンジアミン DETA ジエチレントリアミン TETA トリエチレンテトラミン TEPA テトラエチレンペンタミン PEHA ペンタエチレンヘキサミン HEHA ヘキサエチレンヘプタミン または前記物質の製造中に蒸留残留物として残留する高
級アミン混合物、特にPEHAまたはHEHAまたはT
EPA。
【0021】前記物質は工業用製品としてその化学組成
に関して一般に沸点が異なる数百までの個々の成分の混
合物である。EDAおよびPEHAが有利であり、PE
HAがきわめて有利である。
【0022】本発明は更に、腐食防止剤がアミンまたは
ポリアミンを含有することを特徴とする、腐食防止剤を
使用して強アルカリ媒体中の金属材料を保護する方法を
提供する。この目的のために適したアミンおよびポリア
ミンはすでに記載した上記のものである。
【0023】アルカリ媒体による金属材料の腐食を防ぐ
かまたは著しく減少するために、0.001ppm〜2
00000ppmのアミンをアルカリ媒体に添加する。
添加は0〜500℃の温度および−1〜+1000バー
ルの圧力で行う。−1〜+15バールの圧力および50
〜300℃の温度での0.1〜1000ppmのアミン
の添加が有利である。必要によりアミンのアリコートと
アルカリ流を混合する。
【0024】アミンを連続的または不連続的に添加し、
工程をバッチ式でまたは連続的に運転する。アルカリ媒
体、特に13またはこれより高いpH値を有するアルカ
リ媒体へのアミンの添加が有利である。5〜95質量
%、特に30〜90質量%の濃度および13より高いp
H値を有する水酸化ナトリウム水溶液へのアミンの添加
が特に有利である。
【0025】文献に記載されるすべての腐食防止剤を、
酸化剤を含有しないかまたは前記媒体と反応しない限り
で、一般に腐食保護を改良するために腐食防止剤に添加
することができる。特に還元特性を有する物質が腐食防
止剤の有効性を改良することができる。
【0026】
【実施例】本発明を試験にもとづく以下の実施例により
説明するが、本発明は実施例に限定されず、記載される
%は質量%である。
【0027】実施例 試験方法 腐食防止作用を測定するために、銀からなる試験容器中
で検査を行った。金属物質はPTFEホルダーを使用し
て互いにおよび試験容器から絶縁した。きわめて濃縮し
たClO 不含のNaOH溶液、ClO 含有Na
OH溶液およびClO およびアミンの両方を含有す
る溶液中で種々の金属および合金の腐食挙動を検査し
た。使用される材料の腐食挙動に対する添加剤の影響を
決定する試験において、溶液中のこれらの添加剤の含量
を分析により監視し、適当な添加剤による14日の試験
の全期間にわたり最初の水準に維持した。金属材料の表
面からの材料の除去率をmm/年(mm/a)で決定し
た。
【0028】例1 沸騰する濃度80%NaOH溶液(約220℃)中で塩
素酸塩(塩素酸ナトリウムとして)およびアミンを添加
してまたは添加せずに以下の試験結果が得られた。これ
らの試験においてニッケル(材料No.2.4068)お
よびインコネル(Inconel)600(材料No.
2.4816)からなる溶接した材料を使用した。
【0029】 表1 試験 材料 試験媒体 腐食率(mm/a) 1. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.10 2. インコネル600 濃度 80%NaOH 0.10 3. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.40 +ClO 25ppm 4. インコネル600 濃度 80%NaOH 0.50 +ClO 25ppm 5. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.03 +ClO 25ppm +PEHA 300ppm 6. インコネル600 濃度 80%NaOH 0.03 +ClO 25ppm +PEHA 300ppm 結果はClO 含有水酸化ナトリウム溶液へのPEH
Aの添加が10より大きい腐食率の減少を生じ、測定
した腐食率がClO 不含の水酸化ナトリウム溶液よ
り2/3低くできることを示す。
【0030】例2 濃度80%NaOH溶融液(約220℃)中でNaCl
として塩素酸塩25ppmを添加して、塩素酸塩を
更に導入して、分析により塩素酸塩含量を監視して、窒
素で被覆して以下の腐食試験を実施した。
【0031】試験の目的はPEHA濃度へのニッケル
(材料No.2.4068)の腐食率の依存性を決定する
ことであった。これらの試験においてニッケル(材料N
o.2.4068)からなる溶接した材料を使用した。
【0032】 表2 試験 材料 試験媒体 腐食率(mm/a) 7. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.40 +ClO 25ppm 8. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.11 +ClO 25ppm +PEHA 20ppm 9. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.05 +ClO 25ppm +PEHA 50ppm 10. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.03 +ClO 25ppm +PEHA 300ppm 結果はClO 含有水酸化ナトリウム溶液へのPEH
A300ppmの添加が10より大きい腐食率の減少
を生じ、 ClO 含有水酸化ナトリウム溶液へのP
EHA20ppmのみの添加がほぼ3/4の腐食率の減
少を生じることを示す。
【0033】例3 PTFEで被覆した高圧オートクレーブ中で、窒素で被
覆して濃度80%NaOH溶融液(約220℃)中でN
aClOとして塩素酸塩25ppmおよびエチレンジ
アミン300ppmを添加して以下の腐食試験を実施し
た。
【0034】 表3 試験 材料 試験媒体 腐食率(mm/a) 11. ニッケル 濃度 80%NaOH 0.04 +ClO 25ppm +エチレンジアミン 300ppm
フロントページの続き (72)発明者 スティリアノス サヴァキス ドイツ連邦共和国 ケルン オデンターラ ー シュトラーセ 309 (72)発明者 ヘルムート ディークマン ドイツ連邦共和国 ブルシャイト ローゼ ンクランツ 22 (72)発明者 エバーハルト ツィルンギーブル ドイツ連邦共和国 ケルン レオポルト− グメリン−シュトラーセ 84 Fターム(参考) 4K062 AA03 BB12 BB18 CA03 DA05 FA16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素に結合した少なくとも1個のCH基
    を有するアミンを含有することを特徴とする腐食防止
    剤。
  2. 【請求項2】 アミンが以下の式(I): 【化1】 [式中、RはC〜C−アルキル基、Hまたはベン
    ジル基を表し、RはC〜C−アルキル基、Hまた
    はベンジル基を表し、ベンジル基は更に置換基、特にC
    〜C−アルキルまたはハロゲンを有することができ
    る]を有する請求項1記載の腐食防止剤。
  3. 【請求項3】 アミンがジクロロエタンとアンモニアお
    よび/または他のアミンとの反応生成物からなる群また
    はエチレンオキシドとアンモニアまたは他のアミンとの
    反応生成物からなる群から選択されるポリアミンである
    請求項1記載の腐食防止剤。
  4. 【請求項4】 ポリアミンが以下の式(II)および
    (III): H−N(CH−CH−[NH−(CH−CH−NH (II) NH−CH−CH−CH−[NH−(CH−CH−CH−NH (III) [式中、nは0または1〜300の整数であり、p、
    q、sおよびtはそれぞれ1または2であり、rは0ま
    たは1であり、それぞれの窒素上の置換基の合計が3で
    あるかまたは窒素原子が4個の置換基に結合している場
    合に電荷を均衡にするためにアニオンAnが付加的に存
    在する]の1つを有する請求項3記載の腐食防止剤。
  5. 【請求項5】 ポリアミンが以下の式(IV); 【化2】 [式中、yはHまたはアミノアルキル基、特にアミノエ
    チルを表す]を有する請求項3記載の腐食防止剤。
  6. 【請求項6】 ポリアミンが以下の式(V)および(V
    I): NH−CH−CH−[NH−CH−CH−NH (V) NH−CH−CH−CH−[NH−CH−CH−CH−N H (VI) [式中、nは0または1〜300の整数である]の1つ
    を有する請求項3記載の腐食防止剤。
  7. 【請求項7】 腐食防止剤が窒素に結合した少なくとも
    1個のCH基を有するアミンを含有することを特徴とす
    る腐食防止剤を使用して強アルカリ媒体中の金属材料を
    保護する方法。
  8. 【請求項8】 アミンが以下の式(I): 【化3】 [式中、RはC〜C−アルキル基、Hまたはベン
    ジル基を表し、RはC〜C−アルキル基、Hまた
    はベンジル基を表し、ベンジル基は更に置換基、特にC
    〜C−アルキルまたはハロゲンを有することができ
    る]を有する請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 アミンがジクロロエタンとアンモニアお
    よび/または他のアミンとの反応生成物からなる群また
    はエチレンオキシドとアンモニアまたは他のアミンとの
    反応生成物からなる群から選択されるポリアミンである
    請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 ポリアミンが以下の式(II)および
    (III): H−N(CH−CH−[NH−(CH−CH−NH (II) NH−CH−CH−CH−[NH−(CH−CH−CH−NH (III) [式中、nは0または1〜300の整数であり、p、
    q、sおよびtはそれぞれ1または2であり、rは0ま
    たは1であり、それぞれの窒素上の置換基の合計が3で
    あるかまたは窒素原子が4個の置換基に結合している場
    合に電荷を均衡にするためにアニオンAnが付加的に存
    在する]の1つを有する請求項9記載の方法。
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