JP2003252910A - 重合体の製造条件を決定する方法およびこれを用いた重合体の製造方法 - Google Patents
重合体の製造条件を決定する方法およびこれを用いた重合体の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ラジカル重合において、重合体の製造条件を
精度良く、効率的に決定する方法及びそのような方法で
決定した製造条件により、当該重合体を製造する方法を
提供すること。 【解決手段】 ラジカル重合反応による重合体の製造に
おいて、少なくとも、分子軌道計算により得られる、そ
の重合反応の反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギ
ー、並びに重合反応制御因子をコンピュータに入力し
て、重合時間と生成する当該重合体の特性値の関係を演
算し、所望の当該重合体の特性値に合致する演算値をも
たらす重合反応制御因子の組み合わせを選択することに
より、当該重合体の製造条件を決定する方法及びその応
用が提供される。
精度良く、効率的に決定する方法及びそのような方法で
決定した製造条件により、当該重合体を製造する方法を
提供すること。 【解決手段】 ラジカル重合反応による重合体の製造に
おいて、少なくとも、分子軌道計算により得られる、そ
の重合反応の反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギ
ー、並びに重合反応制御因子をコンピュータに入力し
て、重合時間と生成する当該重合体の特性値の関係を演
算し、所望の当該重合体の特性値に合致する演算値をも
たらす重合反応制御因子の組み合わせを選択することに
より、当該重合体の製造条件を決定する方法及びその応
用が提供される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラジカル重合によ
る各種の重合体の製造に関し、更に詳しくは、ラジカル
重合または乳化重合において、重合体の製造条件を精度
良く、効率的に決定する方法及びそのような方法で決定
した製造条件により、当該重合体を製造する方法に関す
る。
る各種の重合体の製造に関し、更に詳しくは、ラジカル
重合または乳化重合において、重合体の製造条件を精度
良く、効率的に決定する方法及びそのような方法で決定
した製造条件により、当該重合体を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ラジカル重合反応において、各反応素過
程の反応速度式を求め、これらの複数の反応速度式を連
立方程式とし、時間発展的に解くことにより、重合時間
と生成する重合体の特性値の関係を演算して求めること
(以下、「シミュレーション」ともいう。)が行われて
いる。そしてこのような手法においては、各反応素過程
の頻度因子及び活性化エネルギーとして実験的手法によ
り求めた値が用いられている(“Free Radic
al Polymerization of MM
A”、Jounal of Applied Poly
mer Science、Vol.74、2561−2
570(1999))。しかし、2元共重合程度の簡単
な系であっても、ラジカル重合反応の反応素過程は19
もあり、実験的手法により求めた頻度因子及び活性化エ
ネルギーを求めようとすると、膨大な回数の重合実験と
各重合実験当たり多数回数のデータの取得が必要となる
ため、ラジカル重合反応のシミュレーションをすること
が困難であり、実際の重合体の製造条件を決定すること
は困難であった。
程の反応速度式を求め、これらの複数の反応速度式を連
立方程式とし、時間発展的に解くことにより、重合時間
と生成する重合体の特性値の関係を演算して求めること
(以下、「シミュレーション」ともいう。)が行われて
いる。そしてこのような手法においては、各反応素過程
の頻度因子及び活性化エネルギーとして実験的手法によ
り求めた値が用いられている(“Free Radic
al Polymerization of MM
A”、Jounal of Applied Poly
mer Science、Vol.74、2561−2
570(1999))。しかし、2元共重合程度の簡単
な系であっても、ラジカル重合反応の反応素過程は19
もあり、実験的手法により求めた頻度因子及び活性化エ
ネルギーを求めようとすると、膨大な回数の重合実験と
各重合実験当たり多数回数のデータの取得が必要となる
ため、ラジカル重合反応のシミュレーションをすること
が困難であり、実際の重合体の製造条件を決定すること
は困難であった。
【0003】一方、種々の化学反応について、反応中間
体の分子軌道計算により得られる基底状態エネルギーと
分配関数から、当該反応の頻度因子及び活性化エネルギ
ーが計算で求められることが知られている。しかし、こ
のような分子軌道計算により頻度因子及び活性化エネル
ギーを求めることは、比較的簡単な反応系での適用がさ
れているだけであり、しかも定性的な解析に使われる程
度であった。例えば、“A Density Func
tional Study of Nickel(I
I) Diimide Polymerization
of Ethylene”(Journal of
American Chemical Society
1997、119、1094−1100)では、Zi
egler−Natta系触媒によるエチレンの重合等
簡単な重合反応の、反応機構の定性的な解析に、分子軌
道計算により求めた頻度因子及び活性化エネルギーが使
用されている。
体の分子軌道計算により得られる基底状態エネルギーと
分配関数から、当該反応の頻度因子及び活性化エネルギ
ーが計算で求められることが知られている。しかし、こ
のような分子軌道計算により頻度因子及び活性化エネル
ギーを求めることは、比較的簡単な反応系での適用がさ
れているだけであり、しかも定性的な解析に使われる程
度であった。例えば、“A Density Func
tional Study of Nickel(I
I) Diimide Polymerization
of Ethylene”(Journal of
American Chemical Society
1997、119、1094−1100)では、Zi
egler−Natta系触媒によるエチレンの重合等
簡単な重合反応の、反応機構の定性的な解析に、分子軌
道計算により求めた頻度因子及び活性化エネルギーが使
用されている。
【0004】以上の様に、従来から知られているシミュ
レーションでは、ラジカル重合反応による重合体の製造
条件を精度良く、効率的に決定することができなかっ
た。
レーションでは、ラジカル重合反応による重合体の製造
条件を精度良く、効率的に決定することができなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ラジ
カル重合において、重合体の製造条件を精度良く、効率
的に決定する方法及びそのような方法で決定した製造条
件により、当該重合体を製造する方法を提供することに
ある。
カル重合において、重合体の製造条件を精度良く、効率
的に決定する方法及びそのような方法で決定した製造条
件により、当該重合体を製造する方法を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、複雑な反
応系であるラジカル重合反応の反応素過程についても頻
度因子及び活性化エネルギーを分子軌道計算により得ら
れること、得られた頻度因子及び活性化エネルギーを定
量的解析であるシミュレーションに用いることができる
こと、並びに必要な頻度因子及び活性化エネルギーの値
のうち少なくとも一部に当該分子軌道計算により得られ
た値を用いてシミュレーションを行うことによりラジカ
ル重合による重合体の製造条件を精度良く効率的に決定
できることを見出した。
応系であるラジカル重合反応の反応素過程についても頻
度因子及び活性化エネルギーを分子軌道計算により得ら
れること、得られた頻度因子及び活性化エネルギーを定
量的解析であるシミュレーションに用いることができる
こと、並びに必要な頻度因子及び活性化エネルギーの値
のうち少なくとも一部に当該分子軌道計算により得られ
た値を用いてシミュレーションを行うことによりラジカ
ル重合による重合体の製造条件を精度良く効率的に決定
できることを見出した。
【0007】更に、本発明者らは、上記のような方法で
決定した製造条件で重合することにより、所望の特性値
に合致した重合体を効率的に製造できることを見出し
た。
決定した製造条件で重合することにより、所望の特性値
に合致した重合体を効率的に製造できることを見出し
た。
【0008】かくして、本発明によれば、「ラジカル重
合反応による重合体の製造において、少なくとも、(1
−1)分子軌道計算により得られる、その重合反応の反
応素過程の頻度因子及び活性化エネルギー、並びに
(2)重合反応制御因子をコンピュータに入力して、重
合時間と生成する当該重合体の特性値の関係を演算し、
所望の当該重合体の特性値に合致する演算値をもたらす
重合反応制御因子の組み合わせを選択することにより、
当該重合体の製造条件を決定する方法。」、「ラジカル
重合反応による重合体の製造において、少なくとも、
(1−1)分子軌道計算により得られる、その重合反応
の反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギー、(1−
2)実験的手法により得られる、その重合反応の反応素
過程の頻度因子及び活性化エネルギー、並びに(2)重
合反応制御因子をコンピュータに入力して、重合時間と
生成する当該重合体の特性値の関係を演算し、所望の当
該重合体の特性値に合致する演算値をもたらす重合反応
制御因子の組み合わせを選択することにより、当該重合
体の製造条件を決定する方法。」、これらの方法の乳化
重合の場合として、「乳化剤を用いた乳化重合反応によ
る重合体の製造において、少なくとも、(1−1)分子
軌道計算により得られる、その重合反応の反応素過程の
頻度因子及び活性化エネルギー、(2)重合反応制御因
子、並びに(3)生成する重合体粒子への単位表面積当
たりのラジカル進入速度、生成するミセル粒子への単位
表面積当たりのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミ
セル濃度、当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマ
ーの水への溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度
をコンピュータに入力して、重合時間と生成する当該重
合体の特性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性
値に合致する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み
合わせを選択することにより、当該重合体の製造条件を
決定する方法。」、「乳化剤を用いた乳化重合反応によ
る重合体の製造において、少なくとも、(1−1)分子
軌道計算により得られる、その重合反応の反応素過程の
頻度因子及び活性化エネルギー、(1−2)実験的手法
により得られる、その重合反応の反応素過程の頻度因子
及び活性化エネルギー、(2)重合反応制御因子、並び
に(3)生成する重合体粒子への単位表面積当たりのラ
ジカル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積当
たりのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃
度、当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水
への溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度をコン
ピュータに入力して、重合時間と生成する当該重合体の
特性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合
致する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせ
を選択することにより、当該重合体の製造条件を決定す
る方法。」、以上の方法の多元共重合体への応用とし
て、「重合体が二元共重合以上の多元共重合体である上
記のいずれかに記載の製造条件を決定する方法。」、お
よびこれらの方法の利用として、「上記のいずれかに記
載の方法で決定した製造条件により、当該重合体を製造
する方法。」が提供される。
合反応による重合体の製造において、少なくとも、(1
−1)分子軌道計算により得られる、その重合反応の反
応素過程の頻度因子及び活性化エネルギー、並びに
(2)重合反応制御因子をコンピュータに入力して、重
合時間と生成する当該重合体の特性値の関係を演算し、
所望の当該重合体の特性値に合致する演算値をもたらす
重合反応制御因子の組み合わせを選択することにより、
当該重合体の製造条件を決定する方法。」、「ラジカル
重合反応による重合体の製造において、少なくとも、
(1−1)分子軌道計算により得られる、その重合反応
の反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギー、(1−
2)実験的手法により得られる、その重合反応の反応素
過程の頻度因子及び活性化エネルギー、並びに(2)重
合反応制御因子をコンピュータに入力して、重合時間と
生成する当該重合体の特性値の関係を演算し、所望の当
該重合体の特性値に合致する演算値をもたらす重合反応
制御因子の組み合わせを選択することにより、当該重合
体の製造条件を決定する方法。」、これらの方法の乳化
重合の場合として、「乳化剤を用いた乳化重合反応によ
る重合体の製造において、少なくとも、(1−1)分子
軌道計算により得られる、その重合反応の反応素過程の
頻度因子及び活性化エネルギー、(2)重合反応制御因
子、並びに(3)生成する重合体粒子への単位表面積当
たりのラジカル進入速度、生成するミセル粒子への単位
表面積当たりのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミ
セル濃度、当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマ
ーの水への溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度
をコンピュータに入力して、重合時間と生成する当該重
合体の特性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性
値に合致する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み
合わせを選択することにより、当該重合体の製造条件を
決定する方法。」、「乳化剤を用いた乳化重合反応によ
る重合体の製造において、少なくとも、(1−1)分子
軌道計算により得られる、その重合反応の反応素過程の
頻度因子及び活性化エネルギー、(1−2)実験的手法
により得られる、その重合反応の反応素過程の頻度因子
及び活性化エネルギー、(2)重合反応制御因子、並び
に(3)生成する重合体粒子への単位表面積当たりのラ
ジカル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積当
たりのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃
度、当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水
への溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度をコン
ピュータに入力して、重合時間と生成する当該重合体の
特性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合
致する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせ
を選択することにより、当該重合体の製造条件を決定す
る方法。」、以上の方法の多元共重合体への応用とし
て、「重合体が二元共重合以上の多元共重合体である上
記のいずれかに記載の製造条件を決定する方法。」、お
よびこれらの方法の利用として、「上記のいずれかに記
載の方法で決定した製造条件により、当該重合体を製造
する方法。」が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】<ラジカル重合反応>本発明の方
法に係るラジカル重合反応は、開始剤またはモノマー自
身が熱反応、光化学反応、触媒反応、酸化還元反応など
によりラジカルを発生し、その発生したラジカルにモノ
マーが連続的に反応することにより高分子である重合体
が生成する反応を言う。このようなラジカル重合反応に
は、反応の場の違いにより、モノマーのみ(バルク重
合)、モノマーを溶解する溶媒中(溶液重合)、水とモ
ノマーを攪拌した状態(懸濁重合)、水と乳化剤とモノ
マーを攪拌した状態(乳化重合)などがある。本発明の
方法は、これらの各種のラジカル重合反応に対して用い
ることができるが、その中でも特に系が複雑な乳化重合
に対して用いた場合に、従来の方法に比べてより効率的
に重合体の製造条件を決定することができ、好適であ
る。乳化重合についての実施態様については後述する。
法に係るラジカル重合反応は、開始剤またはモノマー自
身が熱反応、光化学反応、触媒反応、酸化還元反応など
によりラジカルを発生し、その発生したラジカルにモノ
マーが連続的に反応することにより高分子である重合体
が生成する反応を言う。このようなラジカル重合反応に
は、反応の場の違いにより、モノマーのみ(バルク重
合)、モノマーを溶解する溶媒中(溶液重合)、水とモ
ノマーを攪拌した状態(懸濁重合)、水と乳化剤とモノ
マーを攪拌した状態(乳化重合)などがある。本発明の
方法は、これらの各種のラジカル重合反応に対して用い
ることができるが、その中でも特に系が複雑な乳化重合
に対して用いた場合に、従来の方法に比べてより効率的
に重合体の製造条件を決定することができ、好適であ
る。乳化重合についての実施態様については後述する。
【0010】本発明の方法に係るモノマーは、分子内に
炭素−炭素不飽和結合若しくは1,2−エポキシド構造
を有し、開始剤若しくは当該モノマー自身から発生した
ラジカル、アニオン若しくはカチオンにより、又は錯体
触媒、固体触媒を用いることにより、連続的に反応して
高分子量体である重合体になりうるものをいう。その具
体的な例としては、エチレンやプロピレンなどのオレフ
ィン類;ブタジエンやイソプレンなどのジエン類;アク
リル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル体等のア
クリル類;アクリロニトリル、スチレン、ビニルエステ
ル、ビニルアルコール及びハロゲン化ビニルなどのビニ
ル類;酸化エチレンや酸化プロピレンなどの1,2−エ
ポキシド化合物;などを挙げることができる。
炭素−炭素不飽和結合若しくは1,2−エポキシド構造
を有し、開始剤若しくは当該モノマー自身から発生した
ラジカル、アニオン若しくはカチオンにより、又は錯体
触媒、固体触媒を用いることにより、連続的に反応して
高分子量体である重合体になりうるものをいう。その具
体的な例としては、エチレンやプロピレンなどのオレフ
ィン類;ブタジエンやイソプレンなどのジエン類;アク
リル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル体等のア
クリル類;アクリロニトリル、スチレン、ビニルエステ
ル、ビニルアルコール及びハロゲン化ビニルなどのビニ
ル類;酸化エチレンや酸化プロピレンなどの1,2−エ
ポキシド化合物;などを挙げることができる。
【0011】本発明の方法に係るラジカル重合反応は、
上記のモノマーの内の一種を単独で重合する単独重合で
あってもよいし、二種以上を共重合する多元共重合であ
っても良い。本発明の方法は、多元共重合の場合に、従
来の方法に比べてより効率的に重合体の製造条件を決定
することができ、好適である。
上記のモノマーの内の一種を単独で重合する単独重合で
あってもよいし、二種以上を共重合する多元共重合であ
っても良い。本発明の方法は、多元共重合の場合に、従
来の方法に比べてより効率的に重合体の製造条件を決定
することができ、好適である。
【0012】上記のラジカル発生剤とは、熱反応、光化
学反応、触媒反応又は酸化還元反応などによりラジカル
を発生する化合物である。その具体的な例としては、フ
ェニルアゾトリフェニルメタンなどのアゾ化合物、ター
シャリブチルパーオキサイドなどのアルキル過酸化物、
ベンゾイルパーオキサイドなどのアシル過酸化物、クメ
ンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイ
ド類及びパーサルフェイトカリウムなどのパーサルフェ
イト類などを挙げることができる。
学反応、触媒反応又は酸化還元反応などによりラジカル
を発生する化合物である。その具体的な例としては、フ
ェニルアゾトリフェニルメタンなどのアゾ化合物、ター
シャリブチルパーオキサイドなどのアルキル過酸化物、
ベンゾイルパーオキサイドなどのアシル過酸化物、クメ
ンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイ
ド類及びパーサルフェイトカリウムなどのパーサルフェ
イト類などを挙げることができる。
【0013】ラジカル重合反応においては、連鎖移動剤
が使用されることが多い。連鎖移動剤は、ラジカル重合
反応において、その成長反応点のラジカルと反応してラ
ジカルを消失させることにより重合体の成長を停止さ
せ、同時に新たに反応点であるラジカルを生成すること
により新たな重合体の成長を開始することができる化合
物である。そのような連載移動剤の具体的な例として
は、ラジカル重合に使用される公知の連鎖移動剤を挙げ
ることができる。具体的な連鎖移動剤の例としては、タ
ーシャリドデシルメルカプタンなどを挙げることができ
る。連鎖移動剤を用いる場合には、連鎖移動剤に関係す
る反応素過程が増えるため、反応が複雑となるが、その
ような場合にも本発明の方法は、効率よく、重合体の製
造条件を決定することができ好適である。
が使用されることが多い。連鎖移動剤は、ラジカル重合
反応において、その成長反応点のラジカルと反応してラ
ジカルを消失させることにより重合体の成長を停止さ
せ、同時に新たに反応点であるラジカルを生成すること
により新たな重合体の成長を開始することができる化合
物である。そのような連載移動剤の具体的な例として
は、ラジカル重合に使用される公知の連鎖移動剤を挙げ
ることができる。具体的な連鎖移動剤の例としては、タ
ーシャリドデシルメルカプタンなどを挙げることができ
る。連鎖移動剤を用いる場合には、連鎖移動剤に関係す
る反応素過程が増えるため、反応が複雑となるが、その
ような場合にも本発明の方法は、効率よく、重合体の製
造条件を決定することができ好適である。
【0014】<反応素過程>以下に反応素過程と反応速
度式について説明する。反応速度は反応速度定数と関与
する活性種の濃度の積として記述することができる。例
えば、分子Aと分子Bが反応することにより分子Cを生
成する場合、反応式は A + B → C と記述するが、この反応の反応速度Rは R=k[A][B] と記述することができる。ここで、kは反応速度定数、
[A]と[B]はそれぞれAとBの濃度である。以下、
括弧[X]はXの濃度を意味するものとする。反応速度
定数は、更にアレニウスの表示により、 k=A exp(−ΔEキ/kBT) と書くことができる。ここで、Aは頻度因子、ΔEキは
活性化エネルギー、kBはボルツマン定数、Tは温度で
ある。
度式について説明する。反応速度は反応速度定数と関与
する活性種の濃度の積として記述することができる。例
えば、分子Aと分子Bが反応することにより分子Cを生
成する場合、反応式は A + B → C と記述するが、この反応の反応速度Rは R=k[A][B] と記述することができる。ここで、kは反応速度定数、
[A]と[B]はそれぞれAとBの濃度である。以下、
括弧[X]はXの濃度を意味するものとする。反応速度
定数は、更にアレニウスの表示により、 k=A exp(−ΔEキ/kBT) と書くことができる。ここで、Aは頻度因子、ΔEキは
活性化エネルギー、kBはボルツマン定数、Tは温度で
ある。
【0015】単独重合の典型的な、反応素過程と反応速
度式を説明する。起こりうる反応素過程は以下のとおり
である。 ・開始剤の反応 I→fR (熱分解型の開始剤の場合) I+Y→fR+Z (触媒反応型の開始剤の場合) I+Fe2+→fR+Fe3+ (酸化還元型の開始剤の場合) Fe3++S→Fe2++Z (同上) ・成長反応 R+M→P1 M+Pn→Pn+1 ・モノマーへの連鎖移動反応 Pn+M→Dn+P1 ・連鎖移動剤への連鎖移動反応 Pn+T→Dn+R ・短鎖分岐 Pn→Pn ・長鎖分岐 Pn+Dm→Dn+Pm ・不均化停止反応 Pn+Pm→Dn+Dm ・再結合停止反応 Pn+Pm→Dn+m ここで、Iは開始剤、fは開始剤効率、Rはラジカル、
Yは触媒、Zは反応副生物、Sは還元剤、Mはモノマ
ー、Piは重合度iで末端に成長反応点を持つ重合体、
Diは重合度iで末端に成長反応点を持たない重合体、
Tは連鎖移動剤である。
度式を説明する。起こりうる反応素過程は以下のとおり
である。 ・開始剤の反応 I→fR (熱分解型の開始剤の場合) I+Y→fR+Z (触媒反応型の開始剤の場合) I+Fe2+→fR+Fe3+ (酸化還元型の開始剤の場合) Fe3++S→Fe2++Z (同上) ・成長反応 R+M→P1 M+Pn→Pn+1 ・モノマーへの連鎖移動反応 Pn+M→Dn+P1 ・連鎖移動剤への連鎖移動反応 Pn+T→Dn+R ・短鎖分岐 Pn→Pn ・長鎖分岐 Pn+Dm→Dn+Pm ・不均化停止反応 Pn+Pm→Dn+Dm ・再結合停止反応 Pn+Pm→Dn+m ここで、Iは開始剤、fは開始剤効率、Rはラジカル、
Yは触媒、Zは反応副生物、Sは還元剤、Mはモノマ
ー、Piは重合度iで末端に成長反応点を持つ重合体、
Diは重合度iで末端に成長反応点を持たない重合体、
Tは連鎖移動剤である。
【0016】反応速度式は以下の様になる。
d[I]/dt=k1[I] (熱分解型の開始剤の場合)
d[R]/dt=fk1[I]+k5Σi[Pi][T]−k2[R][M]
(同上)
d[I]/dt=k1’[I][Y] (触媒反応型の開始剤の場合)
d[R]/dt=fk1’[I][Y]+k5Σi[Pi][T]−k2[R
][M] (同上)
d[I]/dt=k1’’[I][Fe2+] (酸化還元型の開始剤の
場合)
d[Fe2+]/dt=−k1’’[I][Fe2+]+k1’’’[S][
Fe3+] (同上)
d[Fe3+]/dt=k1’’[I][Fe2+]−k1’’’[S]
[Fe3+] (同上)
d[S]/dt=k1’’’[S][Fe3+] (同上)
d[R]/dt=fk1’’[I][Fe2+]+k5Σi[Pi][T]−
k2[R][M] (同上)
[M]/dt=−k2[R][M]−k3Σi[Pi][M]−k4Σi[P i
][M]
[P1]/dt=k2[R][M]+k4Σi[Pi][M]−k3[P1]
[M]
[Pn]/dt=k3[Pn−1][M]−k3[Pn][M]+k7Σi[
Dn][Pi]−k7Σi[Pn][Di]−k4[Pn][M]−k5[Pn
][T]−k8Σi[Pn][Pi]−k9Σi[Pn][Pi] (n=
2、3、4・・・)
d[T]/dt=−k5[Pn][T]
[Dn]/dt=k4[Pn][M]+k5[Pn][T]+k7Σi[Pn
][Di]−k7Σi[Dn][Pi]+k8Σi[Pn][Pi]+k9Σi
[Pi][Pn−i] (n=2、3、4・・・)
[BS]=k6Σi[Pi]
[BL]=k7ΣiΣj[Pi][Dj]
ここで、[I]、[R]、[Y]、[S]、[M]、
[Pi]、[Di]、[T]はそれぞれ対応する化合物
の濃度である。[BS]、[BL]は短鎖分岐点、長鎖
分岐点の濃度である。また、k1、k1’、k1’’、
k1’’’は開始反応に関与する反応の反応速度定数、
k2、k3は成長反応の反応速度定数、k 4、k5はモ
ノマー、連鎖移動剤への連鎖移動反応の反応速度定数、
k6、k7は短鎖分岐、長鎖分岐反応の反応速度定数、
k8、k9は停止反応の反応速度定数である。なお、反
応途中に開始剤、モノマー、連鎖移動剤が添加されても
良く、その場合は単位時間当たりの添加量の項を追加す
ればよい。
[Pi]、[Di]、[T]はそれぞれ対応する化合物
の濃度である。[BS]、[BL]は短鎖分岐点、長鎖
分岐点の濃度である。また、k1、k1’、k1’’、
k1’’’は開始反応に関与する反応の反応速度定数、
k2、k3は成長反応の反応速度定数、k 4、k5はモ
ノマー、連鎖移動剤への連鎖移動反応の反応速度定数、
k6、k7は短鎖分岐、長鎖分岐反応の反応速度定数、
k8、k9は停止反応の反応速度定数である。なお、反
応途中に開始剤、モノマー、連鎖移動剤が添加されても
良く、その場合は単位時間当たりの添加量の項を追加す
ればよい。
【0017】二元共重合の典型的な、反応素過程と反応
速度式を説明する。起こりうる反応素過程は以下のとお
りである。 ・開始剤の反応 I→fR (熱分解型の開始剤の場合) I+Y→fR+Z (触媒反応型の開始剤の場合) I+Fe2+→fR+Fe3+ (酸化還元型の開始剤の場合) Fe3++S→Fe2++Z (同上) ・成長反応 R+MA→PA1 R+MB→PB1 MA+PAn→PAn+1 MA+PBn→PAn+1 MB+PAn→PBn+1 MB+PBn→PBn+1 ・モノマーへの連鎖移動反応 PAn+MA→Dn+PA1 PBn+MA→Dn+PA1 PAn+MB→Dn+PB1 PBn+MB→Dn+PB1 ・連鎖移動剤への連鎖移動反応 PAn+T→Dn+R PBn+T→Dn+R ・短鎖分岐 PAn→PAn PAn→PBn PBn→PAn PBn→PBn ・長鎖分岐 PAn+Dm→Dn+PAm PAn+Dm→Dn+PBm PBn+Dm→Dn+PAm PBn+Dm→Dn+PBm ・不均化停止反応 PAn+PAm→Dn+Dm PAn+PBm→Dn+Dm PBn+PAm→Dn+Dm PBn+PBm→Dn+Dm ・再結合停止反応 PAn+PAm→Dn+m PAn+PBm→Dn+m PBn+PBm→Dn+m ここで、MA、MBはモノマーA、モノマーB、
PAi、PBiは重合度iで末端に成長反応点を持ち成
長反応点がモノマーA、モノマーBである重合体、D i
は重合度iで末端に成長反応点を持たない重合体、Tは
連鎖移動剤である。
速度式を説明する。起こりうる反応素過程は以下のとお
りである。 ・開始剤の反応 I→fR (熱分解型の開始剤の場合) I+Y→fR+Z (触媒反応型の開始剤の場合) I+Fe2+→fR+Fe3+ (酸化還元型の開始剤の場合) Fe3++S→Fe2++Z (同上) ・成長反応 R+MA→PA1 R+MB→PB1 MA+PAn→PAn+1 MA+PBn→PAn+1 MB+PAn→PBn+1 MB+PBn→PBn+1 ・モノマーへの連鎖移動反応 PAn+MA→Dn+PA1 PBn+MA→Dn+PA1 PAn+MB→Dn+PB1 PBn+MB→Dn+PB1 ・連鎖移動剤への連鎖移動反応 PAn+T→Dn+R PBn+T→Dn+R ・短鎖分岐 PAn→PAn PAn→PBn PBn→PAn PBn→PBn ・長鎖分岐 PAn+Dm→Dn+PAm PAn+Dm→Dn+PBm PBn+Dm→Dn+PAm PBn+Dm→Dn+PBm ・不均化停止反応 PAn+PAm→Dn+Dm PAn+PBm→Dn+Dm PBn+PAm→Dn+Dm PBn+PBm→Dn+Dm ・再結合停止反応 PAn+PAm→Dn+m PAn+PBm→Dn+m PBn+PBm→Dn+m ここで、MA、MBはモノマーA、モノマーB、
PAi、PBiは重合度iで末端に成長反応点を持ち成
長反応点がモノマーA、モノマーBである重合体、D i
は重合度iで末端に成長反応点を持たない重合体、Tは
連鎖移動剤である。
【0018】反応速度式は以下の様になる。
d[I]/dt=k1[I] (熱分解型の開始剤の場合)
d[R]/dt=fk1[I]+k12Σi[PAi][T]+k13Σi[
PBi][T]−k2[R][MA]−k3[R][MB] (同上)
d[I]/dt=k1’[I][Y] (触媒反応型の開始剤の場合)
d[R]/dt=fk1’[I][Y]+k12Σi[PAi][T]+k1 3
Σi[PBi][T]−k2[R][MA]−k3[R][MB] (同
上)
d[I]/dt=k1’’[I][Fe2+] (酸化還元型の開始剤の
場合)
d[Fe2+]/dt=−k1’’[I][Fe2+]+k1’’’[S][
Fe3+] (同上)
d[Fe3+]/dt=k1’’[I][Fe2+]−k1’’’[S][F
e3+] (同上)
d[S]/dt=k1’’’[S][Fe3+] (同上)
d[R]/dt=fk1’’[I][Fe2+]+k12Σi[PAi][T
]+k13Σi[PBi][T]−k2[R][MA]−k3[R][MB]
(同上)
[MA]/dt=−k2[R][MA]−k4Σi[PAi][MA]−k5
Σi[PBi][MA]−k8Σi[PAi][MA]−k9Σi[PBi][
MA]
[MB]/dt=−k3[R][MB]−k6Σi[PAi][MB]−k7
Σi[PBi][MB]−k10Σi[PAi][MB]−k11Σi[PBi
][MB]
[PA1]/dt=k2[R][MA]+k8Σi[PAi][MA]+k9
Σi[PBi][MA]−k4[PA1][MA]−k6[PA1][MB]
[PB1]/dt=k3[R][MB]+k10Σi[PAi][MB]+k 11
Σi[PBi][MB]−k5[PB1][MA]−k7[PB1][MB
]
[PAn]/dt=k4[PAn−1][MA]−k4[PAn][MA]+
k5[PBn−1][MA]−k6[PAn][MB]+k18Σi[Dn][
PAi]−k18Σi[PAn][Di]+k20Σi[Dn][PBi]−k 19
Σi[PAn][Di]−k8[PAn][MA]−k10[PAn][M B
]−k12[PAn][T]−k15[PAn]+k16[PBn]−k22
Σi[PAn][PAi]−k23Σi[PAn][PBi]−k24Σi[P An
][PBi]−k26Σi[PAn][PAi]−k27Σi[PAn][
PBi] (n=2、3、4・・・)
[PBn]/dt=k7[PBn−1][MB]−k7[PBn][MB]+
k6[PAn−1][MB]−k5[PBn][MA]+k21Σi[Dn][
PBi]−k21Σi[PBn][Di]+k19Σi[Dn][PAi]−k 20
Σi[PBn][Di]−k11[PBn][MB]−k9[PBn][M A
]−k13[PBn][T]−k16[PBn]+k15[PAn]−k25
Σi[PBn][PBi]−k24Σi[PBn][PAi]−k23Σi[P Bn
][PAi]−k28Σi[PBn][PBi]−k27Σi[PBn][
PAi] (n=2、3、4・・・)
d[T]/dt=−k12[PAn][T]−k13[PBn][T]
[Dn]/dt=k8[PAn][MA]+k9[PBn][MA]+k10
[PAn][MB]+k11[PBn][MB]+k12[PAn][T]+k 13
[PBn][T]+k18Σi[PAn][Di]+k19Σi[PAn]
[Di]+k20Σi[PBn][Di]+k21Σi[PBn][Di]−k 18
Σi[Dn][PAi]−k19Σi[Dn][PAi]−k20Σi[D n
][PBi]−k21Σi[Dn][PBi]+k22Σi[PAn][PA i
]+k23Σi[PAn][PBi]+k23Σi[PBn][PAi]+k 24
Σi[PAn][PBi]+k24Σi[PBn][PAi]+k25Σi
[PBn][PBi]+k26Σi[PAi][PAn−i]+k27Σi[P Ai
][PBn−i]+k28Σi[PBi][PBn−i] (n=2、
3、4・・・)
[BS]=k14Σi[PAi]+k15Σi[PAi]+k16Σi[PB i
]+k17Σi[PBi]
[BL]=k18ΣiΣj[PAi][Dj]+k19ΣiΣj[PAi][
Dj]+k20ΣiΣj[PBi][Dj]+k21ΣiΣj[PBi][Dj
]
ここで、[I]、[R]、[Y]、[S]、[MA]、
[MB]、[PAi]、[PBi]、[Di]、[T]
はそれぞれ対応する化合物の濃度である。[BS]、
[BL]は短鎖分岐点、長鎖分岐点の濃度である。ま
た、k1、k1’、k1’’、k1’’’は開始反応に
関与する反応の反応速度定数、k2、k3、k4、
k5、k6、k7は成長反応の反応速度定数、k8、k
9、k10、k1 1、k12、k13はモノマー、連鎖
移動剤への連鎖移動反応の反応速度定数、k14、k
15、k16、k17、k18、k19、k20、k
21鎖分岐、長鎖分岐反応の反応速度定数、k22、k
23、k24、k25、k26、k27、k28は停止
反応の反応速度定数である。なお、反応途中に開始剤、
モノマー、連鎖移動剤が添加されても良く、その場合
は、単位時間当たりの添加量の項を追加すればよい。
[MB]、[PAi]、[PBi]、[Di]、[T]
はそれぞれ対応する化合物の濃度である。[BS]、
[BL]は短鎖分岐点、長鎖分岐点の濃度である。ま
た、k1、k1’、k1’’、k1’’’は開始反応に
関与する反応の反応速度定数、k2、k3、k4、
k5、k6、k7は成長反応の反応速度定数、k8、k
9、k10、k1 1、k12、k13はモノマー、連鎖
移動剤への連鎖移動反応の反応速度定数、k14、k
15、k16、k17、k18、k19、k20、k
21鎖分岐、長鎖分岐反応の反応速度定数、k22、k
23、k24、k25、k26、k27、k28は停止
反応の反応速度定数である。なお、反応途中に開始剤、
モノマー、連鎖移動剤が添加されても良く、その場合
は、単位時間当たりの添加量の項を追加すればよい。
【0019】さらに、3元共重合の場合は、反応素過程
とそれに対応した反応速度式は多くなる。また、上述の
例は典型的な例であり、反応に寄与する他の成分が存在
する場合には、それらの寄与も算入する必要があり、反
応に寄与する成分が上述の典型的な例よりも少ない場合
には、それらの寄与は除外すればよい。採りあげようと
する重合反応に対して、必要な全ての反応素過程をとそ
れに対応した反応速度式を算入する。そして、反応速度
式の各定数を求め、初期条件としての重合反応制御因子
を設定し、時間発展的に連立方程式を解くことにより、
重合体の特性値を計算で求めること(以下、シミュレー
ションともいう。)により、本発明の重合体の製造条件
を決定する方法を実現することができる。反応速度式の
各定数を決定するためには、各反応素過程の、頻度因子
と活性化エネルギーを求める必要がある。一般に、頻度
因子と活性化エネルギーを求める方法には、分子軌道計
算による方法と実験的手法による方法がある。本発明の
重合体の製造条件を決定する方法においては、頻度因子
と活性化エネルギーを求めるのに、分子軌道計算、また
は分子軌道計算及び実験的手法の両方を用いる。
とそれに対応した反応速度式は多くなる。また、上述の
例は典型的な例であり、反応に寄与する他の成分が存在
する場合には、それらの寄与も算入する必要があり、反
応に寄与する成分が上述の典型的な例よりも少ない場合
には、それらの寄与は除外すればよい。採りあげようと
する重合反応に対して、必要な全ての反応素過程をとそ
れに対応した反応速度式を算入する。そして、反応速度
式の各定数を求め、初期条件としての重合反応制御因子
を設定し、時間発展的に連立方程式を解くことにより、
重合体の特性値を計算で求めること(以下、シミュレー
ションともいう。)により、本発明の重合体の製造条件
を決定する方法を実現することができる。反応速度式の
各定数を決定するためには、各反応素過程の、頻度因子
と活性化エネルギーを求める必要がある。一般に、頻度
因子と活性化エネルギーを求める方法には、分子軌道計
算による方法と実験的手法による方法がある。本発明の
重合体の製造条件を決定する方法においては、頻度因子
と活性化エネルギーを求めるのに、分子軌道計算、また
は分子軌道計算及び実験的手法の両方を用いる。
【0020】分子軌道計算を用いて、頻度因子と活性化
エネルギーを求める方法を説明する。アレニウスの表示
による反応速度定数 k=Aexp(−ΔEキ/kBT) において、遷移状態理論によると、頻度因子Aは A=kBT/hQキ/QA(単位:s−1、単分子反応
の場合) A=kBT/hQキ/QAQB(単位:m3kmol
−1s−1、2分子反応の場合) で表すことができる。ここで、kBはボルツマン定数、
Tは温度、hはプランク定数、Qキは反応の遷移状態の
分配関数、QA、QBは反応物の分配関数である。分子
分配関数は、並進、回転、振動に分けることができる。
並進、回転は、それぞれ分子の質量、慣性モーメントか
ら求めることができる。振動については、分子軌道法を
用い振動準位を計算することにより求めることができ
る。活性化エネルギーΔEキは、 ΔEキ=E(TS)−E(A)(単分子反応の場合) ΔEキ=E(TS)−E(A)−E(B)(2分子反応
の場合) により求めることができる。ここで、E(TS)、E
(A)、E(B)はそれぞれ遷移状態、反応物の基底状
態のエネルギーである。基底状態のエネルギーは電子エ
ネルギーと零点振動エネルギーの和であるが、前者は分
子軌道法の電子エネルギーとして、後者は分子軌道法を
用いて振動準位計算することにより求めることができ
る。
エネルギーを求める方法を説明する。アレニウスの表示
による反応速度定数 k=Aexp(−ΔEキ/kBT) において、遷移状態理論によると、頻度因子Aは A=kBT/hQキ/QA(単位:s−1、単分子反応
の場合) A=kBT/hQキ/QAQB(単位:m3kmol
−1s−1、2分子反応の場合) で表すことができる。ここで、kBはボルツマン定数、
Tは温度、hはプランク定数、Qキは反応の遷移状態の
分配関数、QA、QBは反応物の分配関数である。分子
分配関数は、並進、回転、振動に分けることができる。
並進、回転は、それぞれ分子の質量、慣性モーメントか
ら求めることができる。振動については、分子軌道法を
用い振動準位を計算することにより求めることができ
る。活性化エネルギーΔEキは、 ΔEキ=E(TS)−E(A)(単分子反応の場合) ΔEキ=E(TS)−E(A)−E(B)(2分子反応
の場合) により求めることができる。ここで、E(TS)、E
(A)、E(B)はそれぞれ遷移状態、反応物の基底状
態のエネルギーである。基底状態のエネルギーは電子エ
ネルギーと零点振動エネルギーの和であるが、前者は分
子軌道法の電子エネルギーとして、後者は分子軌道法を
用いて振動準位計算することにより求めることができ
る。
【0021】上記の分子軌道計算を用いて、頻度因子と
活性化エネルギーを求める方法は、具体的には市販のソ
フトウェアによって実現することができる。そのような
ソフトウェアの例としては、Gaussian社の商品
名Gaussian98などを挙げることができる。こ
のようなソフトウェアでは、以下のような手順により、
頻度因子と活性化エネルギーが求められている。 入力項目:分子の初期構造(3次元) 計算手順: 1.生成物の計算 ア)構造最適化により最安定構造を求める。 イ)最安定構造について振動解析を行う 2.遷移状態の計算 ア)反応により結合が生成する原子間の距離を適当な長
さに固定し、他の部分について構造最適化を行う。 イ)この構造において振動計算を行い、虚の振動数が唯
一存在することを確認する。さらにこの虚の振動数が結
合が生成する原子間に局在していることを確認する。振
動計算で得られた2次微分行列(Hessian)を初
期値として用い、遷移状態構造の構造最適化を行う。 ウ)遷移状態構造について振動解析を行う 3.活性化エネルギーを求める 反応物、遷移状態について、電子エネルギーと零点振動
エネルギーの和を求め、 E(TS)−E(A)(単分子反応の場合) E(TS)−E(A)−E(B)(2分子反応の場合) により活性化エネルギーを求める。 4.頻度因子を求める 計算から得られた分配関数に単位を考慮して kBT/hQキ/QA(単位:s−1、単分子反応の場
合) kBT/hQキ/QAQB(単位:m3kmol−1s
−1、2分子 反応の場合)により頻度因子を求める。
活性化エネルギーを求める方法は、具体的には市販のソ
フトウェアによって実現することができる。そのような
ソフトウェアの例としては、Gaussian社の商品
名Gaussian98などを挙げることができる。こ
のようなソフトウェアでは、以下のような手順により、
頻度因子と活性化エネルギーが求められている。 入力項目:分子の初期構造(3次元) 計算手順: 1.生成物の計算 ア)構造最適化により最安定構造を求める。 イ)最安定構造について振動解析を行う 2.遷移状態の計算 ア)反応により結合が生成する原子間の距離を適当な長
さに固定し、他の部分について構造最適化を行う。 イ)この構造において振動計算を行い、虚の振動数が唯
一存在することを確認する。さらにこの虚の振動数が結
合が生成する原子間に局在していることを確認する。振
動計算で得られた2次微分行列(Hessian)を初
期値として用い、遷移状態構造の構造最適化を行う。 ウ)遷移状態構造について振動解析を行う 3.活性化エネルギーを求める 反応物、遷移状態について、電子エネルギーと零点振動
エネルギーの和を求め、 E(TS)−E(A)(単分子反応の場合) E(TS)−E(A)−E(B)(2分子反応の場合) により活性化エネルギーを求める。 4.頻度因子を求める 計算から得られた分配関数に単位を考慮して kBT/hQキ/QA(単位:s−1、単分子反応の場
合) kBT/hQキ/QAQB(単位:m3kmol−1s
−1、2分子 反応の場合)により頻度因子を求める。
【0022】本発明では、頻度因子と活性化エネルギー
の少なくとも一部を分子軌道計算により求める。少なく
とも成長反応の頻度因子及び活性化エネルギーを分子軌
道計算により求めることが好ましく、成長反応、連鎖移
動反応及び分岐反応の頻度因子及び活性化エネルギーを
分子軌道計算により求めることが更に好ましい。従来の
方法に比べて、効率よく、重合体の製造条件を決定する
ことができるからである。
の少なくとも一部を分子軌道計算により求める。少なく
とも成長反応の頻度因子及び活性化エネルギーを分子軌
道計算により求めることが好ましく、成長反応、連鎖移
動反応及び分岐反応の頻度因子及び活性化エネルギーを
分子軌道計算により求めることが更に好ましい。従来の
方法に比べて、効率よく、重合体の製造条件を決定する
ことができるからである。
【0023】本発明の重合体の製造条件を決定する方法
においては、反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギ
ーの一部を必要に応じて実験的手法により求める。実験
的手法には、アレニウスプロットによる手法と、試行錯
誤的手法がある。
においては、反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギ
ーの一部を必要に応じて実験的手法により求める。実験
的手法には、アレニウスプロットによる手法と、試行錯
誤的手法がある。
【0024】アレニウスの表示による反応速度定数を変
形すると、 lnk=−ΔEキ/kBT+lnA となる。従って、未知の速度定数が一つである場合に
は、温度を変えた反応実験を数回以上行い、各温度にお
ける反応速度定数の対数を1/Tに対してプロット(ア
レニウスプロットという)することにより、その傾きか
ら活性化エネルギー、縦軸切片から頻度因子が求められ
る。
形すると、 lnk=−ΔEキ/kBT+lnA となる。従って、未知の速度定数が一つである場合に
は、温度を変えた反応実験を数回以上行い、各温度にお
ける反応速度定数の対数を1/Tに対してプロット(ア
レニウスプロットという)することにより、その傾きか
ら活性化エネルギー、縦軸切片から頻度因子が求められ
る。
【0025】分子軌道法によっても実験的にも求めるこ
とが困難な頻度因子及び活性化エネルギーの値について
は、試行錯誤的な手法により求める。この手法は、多く
の反応実験を行い、それらの値を未知数としたまま、シ
ミュレーションを行った結果(反応時間に対する重合体
の特性値の変化)が実際の反応実験の結果値とできるだ
け一致するように試行錯誤的に求めるものである。
とが困難な頻度因子及び活性化エネルギーの値について
は、試行錯誤的な手法により求める。この手法は、多く
の反応実験を行い、それらの値を未知数としたまま、シ
ミュレーションを行った結果(反応時間に対する重合体
の特性値の変化)が実際の反応実験の結果値とできるだ
け一致するように試行錯誤的に求めるものである。
【0026】<シミュレーション>上記で求めた反応速
度式の各定数を入力し、初期条件としての重合反応制御
因子を設定し、時間発展的に連立方程式を解くことによ
り、重合時間と当該重合体の特性値の関係を計算で求め
ることがシミュレーションである。シミュレーション
は、多くの数値積分計算と、多元連立方程式の解を求め
る計算である。通常は、コンピュータを用いて計算を行
う。そのような計算は、例えば、AspenTech社
の商品名PolymersPlus等のソフトウェアに
よって行うことができる。
度式の各定数を入力し、初期条件としての重合反応制御
因子を設定し、時間発展的に連立方程式を解くことによ
り、重合時間と当該重合体の特性値の関係を計算で求め
ることがシミュレーションである。シミュレーション
は、多くの数値積分計算と、多元連立方程式の解を求め
る計算である。通常は、コンピュータを用いて計算を行
う。そのような計算は、例えば、AspenTech社
の商品名PolymersPlus等のソフトウェアに
よって行うことができる。
【0027】<重合反応制御因子>重合反応制御因子と
は、重合反応を行う者が積極的に制御できる因子をい
う。実際の重合反応では、重合反応制御因子を変えるこ
とにより、得られる重合体の特性値が変化し、シミュレ
ーションにおいては重合反応制御因子は初期条件又は反
応途中で積極的に変更できる因子である。具体的な重合
反応制御因子としては、モノマーの種類及び量(濃
度);初期のラジカル発生剤量;連鎖移動剤量;反応温
度;反応圧力;溶媒の量;モノマー、ラジカル発生剤、
連鎖移動剤又は溶媒を途中添加する場合には、その添加
方法(添加速度、添加量);などを挙げることができ
る。
は、重合反応を行う者が積極的に制御できる因子をい
う。実際の重合反応では、重合反応制御因子を変えるこ
とにより、得られる重合体の特性値が変化し、シミュレ
ーションにおいては重合反応制御因子は初期条件又は反
応途中で積極的に変更できる因子である。具体的な重合
反応制御因子としては、モノマーの種類及び量(濃
度);初期のラジカル発生剤量;連鎖移動剤量;反応温
度;反応圧力;溶媒の量;モノマー、ラジカル発生剤、
連鎖移動剤又は溶媒を途中添加する場合には、その添加
方法(添加速度、添加量);などを挙げることができ
る。
【0028】<重合体の特性値>重合体の特性値とは、
モノマー反応率(転化率)、多元共重合体の場合の重合
体中の組成、分子量(Mn、Mw、MWD)、分岐密度
などである。
モノマー反応率(転化率)、多元共重合体の場合の重合
体中の組成、分子量(Mn、Mw、MWD)、分岐密度
などである。
【0029】<所望の重合体の特性値に合致する演算値
をもたらす重合制御因子の組み合わせを選択する>上記
で説明した、シミュレーションにより、重合反応制御因
子を変えた場合、重合体の特性値がどのように変化する
かを求める。このサイクルを繰り返すことにより、目的
の特性値に合致するよう重合反応制御因子の組み合わせ
を求めることができる。
をもたらす重合制御因子の組み合わせを選択する>上記
で説明した、シミュレーションにより、重合反応制御因
子を変えた場合、重合体の特性値がどのように変化する
かを求める。このサイクルを繰り返すことにより、目的
の特性値に合致するよう重合反応制御因子の組み合わせ
を求めることができる。
【0030】<効果>従来の方法では、実験的手法のみ
により全ての頻度因子及び活性化エネルギーを求めてい
たが、本発明の方法では、分子軌道法により少なくとも
一部の頻度因子及び活性化エネルギーを求めることとし
た。その効果として、これまでシミュレーションの適用
が不可能であった複雑な系に対してもシミュレーション
が可能となり、また、より適正な頻度因子と活性化エネ
ルギーの値を用いてシミュレーションを行うことができ
るようになった。その効果、従来の方法に比べて、重合
体の製造条件を精度良く、効率的に決定することができ
るようになった。
により全ての頻度因子及び活性化エネルギーを求めてい
たが、本発明の方法では、分子軌道法により少なくとも
一部の頻度因子及び活性化エネルギーを求めることとし
た。その効果として、これまでシミュレーションの適用
が不可能であった複雑な系に対してもシミュレーション
が可能となり、また、より適正な頻度因子と活性化エネ
ルギーの値を用いてシミュレーションを行うことができ
るようになった。その効果、従来の方法に比べて、重合
体の製造条件を精度良く、効率的に決定することができ
るようになった。
【0031】<重合体の製造方法>上記のようにして、
決定した製造条件で当該重合体を製造することにより、
所望の重合体を効率よく得ることができる。本発明はそ
のような重合体の製造方法も提供する。
決定した製造条件で当該重合体を製造することにより、
所望の重合体を効率よく得ることができる。本発明はそ
のような重合体の製造方法も提供する。
【0032】<乳化重合>本発明の方法の、一つの形態
として、乳化重合について以下に説明する。乳化重合
は、ラジカル重合の一種であり、複雑な系であるため、
本発明の方法がより有効であり、好ましい実施態様であ
る。
として、乳化重合について以下に説明する。乳化重合
は、ラジカル重合の一種であり、複雑な系であるため、
本発明の方法がより有効であり、好ましい実施態様であ
る。
【0033】乳化重合は、水溶性若しくは非水溶性のモ
ノマー、水及び乳化剤の混合状態に、ラジカル発生剤を
添加することにより非水溶性の重合体を製造する方法で
ある。
ノマー、水及び乳化剤の混合状態に、ラジカル発生剤を
添加することにより非水溶性の重合体を製造する方法で
ある。
【0034】乳化重合により得られる重合体としては、
ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴ
ム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ア
クリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリルゴ
ムやポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
ポリスチレン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴ
ム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ア
クリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリルゴ
ムやポリ塩化ビニルなどを挙げることができる。
【0035】乳化重合においては、乳化剤を用いる。乳
化剤は、親水部と疎水部からなる両親媒性分子であり、
水溶性若しくは非水溶性のモノマーと水とを乳化状態に
しうる物質を言い、界面活性剤とも言う。その具体的な
例としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤のそれぞれ各種のものを挙げる
ことができる。
化剤は、親水部と疎水部からなる両親媒性分子であり、
水溶性若しくは非水溶性のモノマーと水とを乳化状態に
しうる物質を言い、界面活性剤とも言う。その具体的な
例としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤のそれぞれ各種のものを挙げる
ことができる。
【0036】乳化重合のシミュレーションにおいては、
上記の一般的な乳化重合のシミュレーションの場合に比
べて、生成する重合体粒子への単位表面積当たりのラジ
カル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積当た
りのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃度、
当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水への
溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度;更に連鎖
移動剤や反応停止剤を用いる場合には、必要に応じてこ
れらの添加剤の水や重合体への溶解度など(以下、これ
らをまとめて乳化重合パラメータともいう。)を用い
る。
上記の一般的な乳化重合のシミュレーションの場合に比
べて、生成する重合体粒子への単位表面積当たりのラジ
カル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積当た
りのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃度、
当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水への
溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度;更に連鎖
移動剤や反応停止剤を用いる場合には、必要に応じてこ
れらの添加剤の水や重合体への溶解度など(以下、これ
らをまとめて乳化重合パラメータともいう。)を用い
る。
【0037】<乳化重合パラメータの算出方法>乳化重
合パラメータは、実験的手法により求める場合もある
し、理論的な計算により求める場合もある。 重合体粒子への単位表面積当たりのラジカル侵入速度
の算出方法 重合体粒子の生成は、ミセル粒子にラジカルが侵入し重
合を開始するものと、水中に溶解したモノマーが重合し
析出するものの2通りがある。ミセルは重合反応初期に
のみ存在し、ミセル消失後の粒子数増加は後者の機構に
よる。水中に溶解したモノマーの重合反応は、モノマー
の水への溶解度と水中のラジカル濃度に依存するが、後
者はラジカル発生速度と重合体粒子へのラジカル侵入の
差分となる。よって、重合体粒子への単位表面積当たり
のラジカル侵入速度は、ミセル消失後の粒子数増加挙動
が重合結果と一致するようにフィッティングすることに
より決定する。ここでフィッティングとは、試行錯誤的
な実験的手法であり、多くの反応実験を行い、実際の反
応実験の結果値と理論的計算結果ができるだけ一致する
ように試行錯誤的にパラメータを決定するものである。 ミセル粒子への単位表面積当たりのラジカル侵入速度
の算出方法 上述の通り、重合体粒子の生成は、ミセル粒子にラジカ
ルが侵入し重合を開始するものと、水中に溶解したモノ
マーが重合し析出するものの2通りがある。ミセル粒子
が存在する間は前者が支配的であるので、ミセル粒子へ
の単位表面積当たりのラジカル侵入速度は、ミセル消失
前の粒子数が重合結果と一致するようにフィッティング
により決定する。 当該乳化剤の臨界ミセル濃度の算出方法 乳化剤の濃度に対する表面張力の変化において、表面張
力が一定となるときの濃度として、実験により求める。 当該乳化剤1分子当たりの被覆面積の算出方法 密度から1分子当たりの体積を実験的に求める。分子を
球形と仮定し半径を求め、この球を2次元に射影したと
きの面積である。 モノマーの水への溶解度の算出方法 種々の状態方程式モデル、活量係数モデルから与えられ
た温度圧力におけるモノマーの水への溶解度を近似的に
計算により求めることができる。これらの方法には、実
験的手法により測定値からモデル式で用いられるパラメ
ータを決定する手法(例えばNRTL)と、分子構造か
ら原子団寄与法や分子軌道計算などによりモデル式で用
いられるパラメータを決定する手法(例えばUNIFA
Q、COSMO-RS)がある。 モノマーの重合体への溶解度の算出方法 非(難)水溶性モノマーの場合、重合体粒子分散水(ラ
テックス)とモノマーを混合攪拌後静置し、水相側のモ
ノマー量をガスクロマトグラフ等の化学的分析手段によ
り定量し、そこから水に溶解していたモノマー量を差し
引き、重合体中に溶解していたモノマー量を求めるとい
う実験的手法により求めることが一般的である。水溶性
モノマーの場合、実験的手法により測定値から決定した
パラメータもしくは、分子構造から原子団寄与法や分子
軌道計算などにより決定したパラメータを用い、種々の
状態方程式モデル、活量係数モデルからモノマーの重合
体への溶解度を近似的に計算して求めることができる。
合パラメータは、実験的手法により求める場合もある
し、理論的な計算により求める場合もある。 重合体粒子への単位表面積当たりのラジカル侵入速度
の算出方法 重合体粒子の生成は、ミセル粒子にラジカルが侵入し重
合を開始するものと、水中に溶解したモノマーが重合し
析出するものの2通りがある。ミセルは重合反応初期に
のみ存在し、ミセル消失後の粒子数増加は後者の機構に
よる。水中に溶解したモノマーの重合反応は、モノマー
の水への溶解度と水中のラジカル濃度に依存するが、後
者はラジカル発生速度と重合体粒子へのラジカル侵入の
差分となる。よって、重合体粒子への単位表面積当たり
のラジカル侵入速度は、ミセル消失後の粒子数増加挙動
が重合結果と一致するようにフィッティングすることに
より決定する。ここでフィッティングとは、試行錯誤的
な実験的手法であり、多くの反応実験を行い、実際の反
応実験の結果値と理論的計算結果ができるだけ一致する
ように試行錯誤的にパラメータを決定するものである。 ミセル粒子への単位表面積当たりのラジカル侵入速度
の算出方法 上述の通り、重合体粒子の生成は、ミセル粒子にラジカ
ルが侵入し重合を開始するものと、水中に溶解したモノ
マーが重合し析出するものの2通りがある。ミセル粒子
が存在する間は前者が支配的であるので、ミセル粒子へ
の単位表面積当たりのラジカル侵入速度は、ミセル消失
前の粒子数が重合結果と一致するようにフィッティング
により決定する。 当該乳化剤の臨界ミセル濃度の算出方法 乳化剤の濃度に対する表面張力の変化において、表面張
力が一定となるときの濃度として、実験により求める。 当該乳化剤1分子当たりの被覆面積の算出方法 密度から1分子当たりの体積を実験的に求める。分子を
球形と仮定し半径を求め、この球を2次元に射影したと
きの面積である。 モノマーの水への溶解度の算出方法 種々の状態方程式モデル、活量係数モデルから与えられ
た温度圧力におけるモノマーの水への溶解度を近似的に
計算により求めることができる。これらの方法には、実
験的手法により測定値からモデル式で用いられるパラメ
ータを決定する手法(例えばNRTL)と、分子構造か
ら原子団寄与法や分子軌道計算などによりモデル式で用
いられるパラメータを決定する手法(例えばUNIFA
Q、COSMO-RS)がある。 モノマーの重合体への溶解度の算出方法 非(難)水溶性モノマーの場合、重合体粒子分散水(ラ
テックス)とモノマーを混合攪拌後静置し、水相側のモ
ノマー量をガスクロマトグラフ等の化学的分析手段によ
り定量し、そこから水に溶解していたモノマー量を差し
引き、重合体中に溶解していたモノマー量を求めるとい
う実験的手法により求めることが一般的である。水溶性
モノマーの場合、実験的手法により測定値から決定した
パラメータもしくは、分子構造から原子団寄与法や分子
軌道計算などにより決定したパラメータを用い、種々の
状態方程式モデル、活量係数モデルからモノマーの重合
体への溶解度を近似的に計算して求めることができる。
【0038】<乳化重合の反応速度式、単独重合の場合
> ・重合体粒子の生成 d[Np]/dt=kaF[E][Rw]+k
b[Mw][Rw] ここで、Npは重合体粒子の濃度、Fは乳化剤の被覆面
積、[E]は乳化剤の濃度、[Rw]は水相中のラジカ
ル濃度、[Mw]は水相中のモノマー濃度、k aはミセ
ル単位面積あたりのラジカル侵入速度定数、kbは水相
中の成長反応速度定数である。 ・乳化剤濃度 [E]=[Etot]−[Ecmc]−[Epol] ここで、[Etot]は反応初期の乳化剤濃度、[E
cmc]はCMC、[E pol]は重合体粒子表面を被
覆するのに使われている乳化剤濃度である。 ・水相中ラジカルバランス fkc[I]=kaF[E][Rw]+kd[Rw]
[H] ここで、[H]は重合体粒子の全表面積、kcは開始剤
の分解反応速度、kdは重合体粒子単位面積あたりのラ
ジカル侵入速度定数である。 ・重合体粒子中ラジカルバランスkaF[E][Rw]
+(ke+kf)[N3]3*2=kd[Rw]
[H1] kd[Rw][Hn−1]+(ke+kf)
[Nn+2](n+2)(n+1)=kd[Rw][H
n]+(ke+kf)[Nn]n(n−1) (n
>2) ここで、[Hi]はラジカルをi個含む重合体粒子の全
表面積、[Ni]はラジカルをi個含む重合体粒子の濃
度、ke、kfは不均化停止反応、再結合停止反応の反
応速度定数である。 ・重合体粒子内の反応 d[P]/dt=kfn[Mp][Np] ここで、[P]はトータルの重合体濃度、nは1重合体
粒子当たりの平均ラジカル数、[Mp]は重合体粒子内
のモノマー濃度、kfは成長反応速度定数である。 ・重合体粒子内のモノマー濃度(非(難)水溶性モノマ
ーの場合) [Mp’]=[M]/[P] 重合体へのモノマーの溶解度を[Mpmax]として、 [Mp’]>[Mpmax]の場合、[Mp]=[M
pmax] [Mp’]<[Mpmax]の場合、[Mp]=[Mp
’] ・重合体粒子内のモノマー濃度(水溶性モノマーの場
合) 上述の通り種々の状態方程式モデル、活量係数モデルか
らモノマーの重合体への溶解度を近似計算する。上記の
〜のパラメータは、本発明の方法を実施しようとす
る者が独自に求めてもよいし、乳化剤やモノマーの供給
者らや当該分野の研究者らが既に求めた値を用いること
もできる。
> ・重合体粒子の生成 d[Np]/dt=kaF[E][Rw]+k
b[Mw][Rw] ここで、Npは重合体粒子の濃度、Fは乳化剤の被覆面
積、[E]は乳化剤の濃度、[Rw]は水相中のラジカ
ル濃度、[Mw]は水相中のモノマー濃度、k aはミセ
ル単位面積あたりのラジカル侵入速度定数、kbは水相
中の成長反応速度定数である。 ・乳化剤濃度 [E]=[Etot]−[Ecmc]−[Epol] ここで、[Etot]は反応初期の乳化剤濃度、[E
cmc]はCMC、[E pol]は重合体粒子表面を被
覆するのに使われている乳化剤濃度である。 ・水相中ラジカルバランス fkc[I]=kaF[E][Rw]+kd[Rw]
[H] ここで、[H]は重合体粒子の全表面積、kcは開始剤
の分解反応速度、kdは重合体粒子単位面積あたりのラ
ジカル侵入速度定数である。 ・重合体粒子中ラジカルバランスkaF[E][Rw]
+(ke+kf)[N3]3*2=kd[Rw]
[H1] kd[Rw][Hn−1]+(ke+kf)
[Nn+2](n+2)(n+1)=kd[Rw][H
n]+(ke+kf)[Nn]n(n−1) (n
>2) ここで、[Hi]はラジカルをi個含む重合体粒子の全
表面積、[Ni]はラジカルをi個含む重合体粒子の濃
度、ke、kfは不均化停止反応、再結合停止反応の反
応速度定数である。 ・重合体粒子内の反応 d[P]/dt=kfn[Mp][Np] ここで、[P]はトータルの重合体濃度、nは1重合体
粒子当たりの平均ラジカル数、[Mp]は重合体粒子内
のモノマー濃度、kfは成長反応速度定数である。 ・重合体粒子内のモノマー濃度(非(難)水溶性モノマ
ーの場合) [Mp’]=[M]/[P] 重合体へのモノマーの溶解度を[Mpmax]として、 [Mp’]>[Mpmax]の場合、[Mp]=[M
pmax] [Mp’]<[Mpmax]の場合、[Mp]=[Mp
’] ・重合体粒子内のモノマー濃度(水溶性モノマーの場
合) 上述の通り種々の状態方程式モデル、活量係数モデルか
らモノマーの重合体への溶解度を近似計算する。上記の
〜のパラメータは、本発明の方法を実施しようとす
る者が独自に求めてもよいし、乳化剤やモノマーの供給
者らや当該分野の研究者らが既に求めた値を用いること
もできる。
【0039】<シミュレーション>上記の乳化重合パラ
メータを考慮した上で、上述のラジカル重合についての
シミュレーションと同様に、時間に関する微分方程式を
連立して数値積分することにより、重合体粒子数、各成
分の時間に対する濃度変化を求めて、重合時間と生成す
る当該重合体の特性値の関係を計算により求める。この
ようなシミュレーションは通常はコンピュータを用いて
行われ、例えばAspenTech社の商品名Poly
mersPlus等のソフトウェアを用いて計算するこ
とができる。このようなシミュレーションにおいて
は、、上述のラジカル重合の反応の場合と同様に全ての
反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギーと重合反応
制御因子を入力する他、上記の乳化重合パラメータを入
力して計算を行う。この場合の重合反応制御因子には、
上述のラジカル重合反応における重合反応制御因子の
他、乳化剤の種類、量及び水の量などがある。また、こ
の場合の重合体の特性値には、上述のラジカル重合反応
における重合体の特性値の他に、重合体粒子数や粒子径
などがある。所望の重合体の特性値に合致する演算値を
もたらす重合制御因子の組み合わせを選択する方法は、
上述のラジカル重合反応の場合と同様である。
メータを考慮した上で、上述のラジカル重合についての
シミュレーションと同様に、時間に関する微分方程式を
連立して数値積分することにより、重合体粒子数、各成
分の時間に対する濃度変化を求めて、重合時間と生成す
る当該重合体の特性値の関係を計算により求める。この
ようなシミュレーションは通常はコンピュータを用いて
行われ、例えばAspenTech社の商品名Poly
mersPlus等のソフトウェアを用いて計算するこ
とができる。このようなシミュレーションにおいて
は、、上述のラジカル重合の反応の場合と同様に全ての
反応素過程の頻度因子及び活性化エネルギーと重合反応
制御因子を入力する他、上記の乳化重合パラメータを入
力して計算を行う。この場合の重合反応制御因子には、
上述のラジカル重合反応における重合反応制御因子の
他、乳化剤の種類、量及び水の量などがある。また、こ
の場合の重合体の特性値には、上述のラジカル重合反応
における重合体の特性値の他に、重合体粒子数や粒子径
などがある。所望の重合体の特性値に合致する演算値を
もたらす重合制御因子の組み合わせを選択する方法は、
上述のラジカル重合反応の場合と同様である。
【0040】<効果>乳化重合は、複数のそうからなる
複雑な系の中での重合反応であり、従来の方法ではシミ
ュレーションの適用が不可能であった。本発明の方法に
より、シミュレーションが可能となり、また、より適正
な頻度因子と活性化エネルギーの値を用いてシミュレー
ションを行うことができるようになった。その効果、従
来の方法に比べて、重合体の製造条件を精度良く、効率
的に決定することができるようになった。更にこのよう
にして、決定した製造条件で当該重合体を製造すること
により、所望の重合体を効率よく得ることができる。
複雑な系の中での重合反応であり、従来の方法ではシミ
ュレーションの適用が不可能であった。本発明の方法に
より、シミュレーションが可能となり、また、より適正
な頻度因子と活性化エネルギーの値を用いてシミュレー
ションを行うことができるようになった。その効果、従
来の方法に比べて、重合体の製造条件を精度良く、効率
的に決定することができるようになった。更にこのよう
にして、決定した製造条件で当該重合体を製造すること
により、所望の重合体を効率よく得ることができる。
【0041】
<実施例1>(二元共重合のラジカル重合の例)
ブチルアクリレート(BA)15.83重量部とスチレ
ン(ST)84.17重量部の共重合で、開始剤として
パーブチルオキサイド(PBO)5重量部、連鎖移動剤
としてターシャリドデシルメルカプタン(TDM)1.
9重量部を用い、反応液の温度を昇温しながら行ったラ
ジカル重合の例を示す。表1には、用いた頻度因子と活
性化エネルギーの値と算出方法を示す。図1は、重合時
間と温度の関係を示し、点は実測値、実線はシミュレー
ションに入力した値を示す。図2は重合時間とモノマー
転化率の関係を示し、点は実測値、実線はシミュレーシ
ョン計算値である。
ン(ST)84.17重量部の共重合で、開始剤として
パーブチルオキサイド(PBO)5重量部、連鎖移動剤
としてターシャリドデシルメルカプタン(TDM)1.
9重量部を用い、反応液の温度を昇温しながら行ったラ
ジカル重合の例を示す。表1には、用いた頻度因子と活
性化エネルギーの値と算出方法を示す。図1は、重合時
間と温度の関係を示し、点は実測値、実線はシミュレー
ションに入力した値を示す。図2は重合時間とモノマー
転化率の関係を示し、点は実測値、実線はシミュレーシ
ョン計算値である。
【0042】
【表1】
【0043】<実施例2>(二元共重合の乳化重合の
例) アクリロニトリル(AN)31.5重量部とブタジエン
(BD)68.5重量部の共重合で、開始剤としてp−
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(DI
P)0.0185重量部、活性剤としてFe−EDTA
0.003重量部と次亜塩素酸フォルムアルデヒドナト
リウム(SFS)0.018重量部、連鎖移動剤として
ターシャリドデシルメルカプタン(TDM)0.6重量
部、乳化剤としてオレイン酸カリ1.5重量部、水25
0重量部を用いた例を示す。表2には、用いた頻度因子
と活性化エネルギーの値と算出方法を示す。それぞれ重
合温度は一定とし、10℃、20℃、30℃で実験を行
った。表3には用いた乳化重合パラメータの値を示す。
図3は重合時間とモノマー転化率の関係、図4はモノマ
ー転化率と重量平均分子量の関係、図5はモノマー転化
率と分岐度の関係を示し、それぞれ点は実測値、実線は
シミュレーション計算値である。分岐度は実測困難であ
るため、計算値のみを記した。
例) アクリロニトリル(AN)31.5重量部とブタジエン
(BD)68.5重量部の共重合で、開始剤としてp−
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド(DI
P)0.0185重量部、活性剤としてFe−EDTA
0.003重量部と次亜塩素酸フォルムアルデヒドナト
リウム(SFS)0.018重量部、連鎖移動剤として
ターシャリドデシルメルカプタン(TDM)0.6重量
部、乳化剤としてオレイン酸カリ1.5重量部、水25
0重量部を用いた例を示す。表2には、用いた頻度因子
と活性化エネルギーの値と算出方法を示す。それぞれ重
合温度は一定とし、10℃、20℃、30℃で実験を行
った。表3には用いた乳化重合パラメータの値を示す。
図3は重合時間とモノマー転化率の関係、図4はモノマ
ー転化率と重量平均分子量の関係、図5はモノマー転化
率と分岐度の関係を示し、それぞれ点は実測値、実線は
シミュレーション計算値である。分岐度は実測困難であ
るため、計算値のみを記した。
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】シミュレーションを行うのに必要な、反応
速度定数とパラメータを決定するのに、従来は数ヶ月か
ら1年の期間を要していたが、本発明の方法では、シミ
ュレーションを1週間〜2週間で行えるようになり、効
率的に重合体の製造条件を決定できるようになった。ま
た、分岐度は得られる重合体の加工性を左右すると言わ
れているが、測定することは困難であり、従来の方法で
はシミュレーションで求めることができなかった。本発
明の方法では、分岐度を求めることができるようにな
り、より精度良く重合体の設計ができるようになった。
速度定数とパラメータを決定するのに、従来は数ヶ月か
ら1年の期間を要していたが、本発明の方法では、シミ
ュレーションを1週間〜2週間で行えるようになり、効
率的に重合体の製造条件を決定できるようになった。ま
た、分岐度は得られる重合体の加工性を左右すると言わ
れているが、測定することは困難であり、従来の方法で
はシミュレーションで求めることができなかった。本発
明の方法では、分岐度を求めることができるようにな
り、より精度良く重合体の設計ができるようになった。
【図1】重合時間と温度の関係(実施例1)
【図2】重合時間とモノマー転化率の関係(実施例1)
【図3】重合時間とモノマー転化率の関係(実施例2)
【図4】モノマー転化率と重量平均分子量の関係(実施
例2)
例2)
【図5】モノマー転化率と分岐度の関係(実施例2)
Claims (6)
- 【請求項1】 ラジカル重合反応による重合体の製造に
おいて、少なくとも、(1−1)分子軌道計算により得
られる、その重合反応の反応素過程の頻度因子及び活性
化エネルギー、並びに(2)重合反応制御因子をコンピ
ュータに入力して、重合時間と生成する当該重合体の特
性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合致
する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせを
選択することにより、当該重合体の製造条件を決定する
方法。 - 【請求項2】 ラジカル重合反応による重合体の製造に
おいて、少なくとも、(1−1)分子軌道計算により得
られる、その重合反応の反応素過程の頻度因子及び活性
化エネルギー、(1−2)実験的手法により得られる、
その重合反応の反応素過程の頻度因子及び活性化エネル
ギー、並びに(2)重合反応制御因子をコンピュータに
入力して、重合時間と生成する当該重合体の特性値の関
係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合致する演算
値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせを選択する
ことにより、当該重合体の製造条件を決定する方法。 - 【請求項3】 乳化剤を用いた乳化重合反応による重合
体の製造において、少なくとも、(1−1)分子軌道計
算により得られる、その重合反応の反応素過程の頻度因
子及び活性化エネルギー、(2)重合反応制御因子、並
びに(3)生成する重合体粒子への単位表面積当たりの
ラジカル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積
当たりのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃
度、当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水
への溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度をコン
ピュータに入力して、重合時間と生成する当該重合体の
特性値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合
致する演算値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせ
を選択することにより、当該重合体の製造条件を決定す
る方法。 - 【請求項4】 乳化剤を用いた乳化重合反応による重合
体の製造において、少なくとも、(1−1)分子軌道計
算により得られる、その重合反応の反応素過程の頻度因
子及び活性化エネルギー、(1−2)実験的手法により
得られる、その重合反応の反応素過程の頻度因子及び活
性化エネルギー、(2)重合反応制御因子、並びに
(3)生成する重合体粒子への単位表面積当たりのラジ
カル進入速度、生成するミセル粒子への単位表面積当た
りのラジカル進入速度、当該乳化剤の臨界ミセル濃度、
当該乳化剤1分子当たりの被覆面積、モノマーの水への
溶解度及びモノマーの当該重合体への溶解度をコンピュ
ータに入力して、重合時間と生成する当該重合体の特性
値の関係を演算し、所望の当該重合体の特性値に合致す
る演算値をもたらす重合反応制御因子の組み合わせを選
択することにより、当該重合体の製造条件を決定する方
法。 - 【請求項5】重合体が二元共重合以上の多元共重合体で
ある請求項1乃至4のいずれかに記載の製造条件を決定
する方法。 - 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載の方法で
決定した製造条件により、当該重合体を製造する方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002052548A JP2003252910A (ja) | 2002-02-28 | 2002-02-28 | 重合体の製造条件を決定する方法およびこれを用いた重合体の製造方法 |
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=28664212
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008047399A1 (fr) * | 2006-10-16 | 2008-04-24 | Mitsubishi Rayon Co., Ltd. | procédé de production de polymères, compositions de résine de chlorure vinylique et moulages |
JP6564950B1 (ja) * | 2018-03-27 | 2019-08-21 | 三井化学株式会社 | 光学材料の製造方法 |
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