JP2003251193A - アノード・カソード分離型光触媒 - Google Patents

アノード・カソード分離型光触媒

Info

Publication number
JP2003251193A
JP2003251193A JP2002062189A JP2002062189A JP2003251193A JP 2003251193 A JP2003251193 A JP 2003251193A JP 2002062189 A JP2002062189 A JP 2002062189A JP 2002062189 A JP2002062189 A JP 2002062189A JP 2003251193 A JP2003251193 A JP 2003251193A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
anode
photocatalyst
inorganic electrolyte
electrolyte
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002062189A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Tatsuma
徹 立間
Yoshihisa Oko
善久 大古
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kenichiro Inai
健一郎 井内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Foundation for the Promotion of Industrial Science
Original Assignee
Foundation for the Promotion of Industrial Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Foundation for the Promotion of Industrial Science filed Critical Foundation for the Promotion of Industrial Science
Priority to JP2002062189A priority Critical patent/JP2003251193A/ja
Publication of JP2003251193A publication Critical patent/JP2003251193A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 気相での光触媒反応系で酸化反応部位と還元
反応部位を分離したアノード・カソード分離型光触媒を
提供する。 【解決手段】 光触媒からなるアノードと、カソードの
いずれか一方が、他方の面上に互いに所定の間隔をあけ
て縞状または島状に設けられ、少なくとも光触媒とカソ
ードの接合部およびその近傍が、無機電解質で被覆され
たアノード・カソード分離型光触媒、光触媒と、カソー
ドとが貼り合わされた積層体の一部に光触媒とカソード
が離間されて空間が形成され、該空間が外部への開口部
を有し、該空間に面する光触媒とカソードが無機電解質
で被覆されたアノード・カソード分離型光触媒、及びカ
ソードと、内部及び表面に無機電解質を有する多孔質光
触媒が積層され、カソードに可逆変・退色性色素と電解
質とを含有する層が設けられ、光触媒と色素含有層が電
解質により電気化学的に結合されてなるアノード・カソ
ード分離型光触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒をアノードと
するアノード・カソード分離型光触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒にそのバンドギャップ以上のエネ
ルギーの光子が照射されると光触媒はその光子を吸収
し、電子と正孔のペアを生成する。正孔は酸化力を有
し、電子は還元力を示すので、光触媒は光照射下におい
て、酸化力と還元力を同時に示す。しかし、光で励起さ
れて酸化反応を生じる場所と(アノード)と還元反応が
起こる場所(カソード)が近接しているため、酸化力の
元である正孔と還元力の元である電子との再結合による
消滅が起こりやすく、また、アノードで正孔が化合物を
攻撃して酸化生成物ができ、カソードで電子が化合物を
攻撃して還元生成物ができても、アノードでできた酸化
生成物とカソードでできた還元生成物が反応して元の物
質に戻ってしまうため、効率が低いという問題があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光触媒を電解液の中に
おいた場合、同じ電解液の中にカソードとして金属や導
電性金属酸化物をおき、これと光触媒とを電気的に接続
すると、光照射により光触媒内で生成した正孔は光触媒
表面に移動して、光触媒表面に吸着された水などの分子
を酸化する。一方電子はカソード側に移動して、カソー
ド表面に吸着された酸素などの分子を還元する。しか
し、気相中や非電解質の液体(淡水など)中ではこのよ
うな手法をとることはできず、これらの媒体中での光触
媒反応系で酸化反応を生じる場所(アノード)と還元反
応が起こる場所(カソード)を分離することができなか
った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は気相中の光
触媒反応においてアノードとカソードを分離する方法を
検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明に
おける第1の発明の要旨は、光触媒からなるアノード
と、カソードのいずれか一方が他方の面上に互いに所定
の間隔をあけて縞状または島状、あるいは格子状に設け
られ、少なくともアノードとカソードの接合部およびそ
の近傍が少なくとも部分的に無機電解質で被覆されてい
ることを特徴とするアノード・カソード分離型光触媒に
ある。
【0005】また、本発明における第2の発明の要旨
は、少なくとも一方の面に光触媒からなるアノードを担
持し、片面にカソードを担持させた導電体メッシュであ
って、導電体メッシュの少なくとも一方の面の全面を無
機電解質で被覆してなるアノード・カソード分離型光触
媒。
【0006】また、本発明における第3の発明の要旨
は、光触媒からなるアノードと、カソードとが貼り合わ
された積層体の一部においてアノードとカソードが離間
されてアノードカソード間に空間が形成され、前記空間
が外部につながる開口部を有し、前記空間に面するアノ
ードとカソードの全面に無機電解質層が設けられてなる
ことを特徴とするアノード・カソード分離型光触媒にあ
る。
【0007】また、本発明における第4の発明の要旨
は、カソードと、該カソードの一方の面に設けられた多
孔質光触媒からなるアノードの、それぞれの表面が無機
電解質で被覆され、多孔質光触媒の細孔内面が無機電解
質で被覆、または細孔内部が無機電解質で満たされ、そ
れぞれの面にある無機電解質が電気化学的に結合されて
なることを特徴とするアノード・カソード分離型触媒に
ある。
【0008】さらに、本発明における第5の発明の要旨
は、カソードと、カソードの一方の面に設けられた多孔
質光触媒からなるアノードと、カソードのアノードが設
けられた面と異なる面に酸化状態と還元状態で色が異な
るかあるいは酸化または還元状態の一方で無色となる色
素を含有する層が設けられ、多孔質光触媒内部及び表面
には無機電解質が含まれ、色素含有層には電解質が含ま
れ、アノード面の無機電解質と色素含有層の電解質が電
気化学的に結合されてなることを特徴とするアノード・
カソード分離型光触媒にある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における第1〜第5の発明
のいずれにおいても、光触媒としては、可視光や紫外線
の照射により酸化力、還元力を示すものであればどのよ
うなものも使用でき、酸化チタン、チタン酸ストロンチ
ウム、チタン酸の酸素を部分的に窒素置換したもの、酸
化スズ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化
鉄、酸化ビスマス、硫化カドミウム、、酸化銅、金属ド
ープタンタル酸インジウム、金属ドープタンタル酸ナト
リウム、金属ドープ硫化亜鉛などを例示できる。これら
の中では、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタ
ン酸の酸素を部分的に窒素置換したものが好ましく用い
られる。光触媒として酸化チタンやチタン酸ストロンチ
ウムを用いた場合は紫外線を照射して酸化力、還元力を
発揮させることができ、酸化チタンの酸素の少なくとも
一部を窒素に置換したものを光触媒として用いた場合は
可視光を照射して酸化力、還元力を発揮させることがで
きる。
【0010】カソードとしては、導電性を有し、化学的
に安定なものであればどのようなものも用いることがで
きるが、金、銀及び白金、パラジウム、ルテニウム、ロ
ジウム、オスミウム、イリジウムなどの白金属からなる
貴金属や、銅、ニッケル、チタンなどの金属あるいは酸
化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、種々の酸化
数のニッケル酸化物などの導電性金属酸化物を好ましく
用いることができる。
【0011】本発明で用いられる無機電解質は、無機電
解質として知られているものはいずれも用いることがで
きるが、無機電解質からなる被覆層を形成後は水などで
容易に洗い流されないことが好ましい。無機電解質の一
部を例示すると、リンタングステン酸塩、ケイタングス
テン酸塩などのヘテロポリタングステン酸塩;リンモリ
ブデン酸塩、ケイモリブデン酸塩、リンタングストモリ
ブデン酸塩、リンバナドモリブデン酸塩などのヘテロポ
リモリブデン酸塩などのヘテロポリ酸;β−アルミナ
類;NASICON類;各種金属酸化物系無機電解質;
各種金属ハロゲン化物などが挙げられる。光触媒表面を
被覆する無機電解質は可視光あるいは紫外線の照射時
に、光触媒への光照射を実質的に妨げず、空気中の水分
の吸着によりイオン伝導性を発現する程度の材質及び塗
布量とするのが好ましい。
【0012】無機電解質による光触媒表面、カソード表
面の被覆は無機電解質の水溶液を例えばスピンコーティ
ング、ディップコーティングなどによる塗布、乾燥でも
よいが、単純な塗布・乾燥では、多量の水がかかると溶
けて流れる場合も多いので、固定化することが好まし
い。固定化法としては、 1)塗布・乾燥後、電気炉などで、例えば100℃で1
0〜20分加熱処理する方法、 2)無機電解質と例えばテトラアルコキシシランのよう
なアルコキシシランとの混合水溶液を塗布、乾燥した
後、例えば、100℃で1時間加熱処理する方法などを
挙げることができる。
【0013】本発明における第1の発明につき説明す
る。第1の発明においては、図1及び図2に示すよう
に、光触媒からなるアノード1と、上記の金属あるいは
導電性金属酸化物からなるカソード2の一方が連続面を
形成し、他方が縞状または島状、あるいは格子状に設け
られ、アノード1とカソード2が接合している。図1は
カソード2上に光触媒からなるアノード1が縞状に設け
られた例であり、図2は光触媒からなるアノード1上に
カソード2が縞状に形成された例である。いずれもその
全面が無機電解質3で被覆されている。上記アノードと
カソードの接合状態としては、酸化チタンなどの光触媒
からなるアノードの上に、上記のカソードを互いに所定
の間隔をあけた縞状または島状に、あるいは格子状に担
持してもよく、膜状のカソード上に光触媒からなるアノ
ードを互いに所定の間隔をあけた縞状または島状に、あ
るいは格子状に担持してもよい。縞または島の間隔、格
子の空間部分の寸法としてはその表面に被覆する無機電
解質の量によっても異なるが、通常は1μm〜数mm程
度とすることが好ましい。表面に露出するアノード部分
とカソード部分の面積比も使用目的によって異なるが、
1/5〜5であることが好ましい。
【0014】第1の発明においては、少なくともアノー
ド1とカソード2の接合部およびその近傍が少なくとも
部分的に無機電解質3で被覆されている必要があり、ア
ノードとカソードの露出部分が全て無機電解質で覆われ
ていることが好ましい。アノードとカソードの接合部が
少なくとも部分的に電解質で覆われていないとアノード
とカソードが分離できない。アノードとカソードの接合
部及びその近傍を無機電解質で覆うのは、電解質が空気
中の水分を吸着し、この吸着水により電解質が解離し
て、光触媒からなるアノード、カソード及び電解質で光
電気化学セルを形成させるためであり、縞または島ある
いは格子の間隔が充分広い場合は、表面に被覆する無機
電解質の量によっても異なるが、数μm〜数mmが光電
気化学セルを形成する幅であり、それ以上の幅で電解質
を被覆しても効率は向上しない。逆に、光電気化学セル
を形成する幅の2倍程度の間隔になるように縞、島、格
子の間隔を小さくすると、光電気化学セルの数あるいは
面積が増加するので、このように表面に形成する縞、
島、格子の数を増加させて、全面を無機電解質で覆うが
好ましい。無機電解質の代わりに有機電解質を用いても
光電気化学セルは形成されるが有機電解質の分解が生じ
やすく、安定性に欠けるものとなる。このような構成に
することにより、光照射により、光触媒表面には正孔が
溜まり、カソード表面には電子が溜まる。光触媒表面に
易酸化性化学種が存在すると、この正孔により攻撃され
て、その酸化反応生成物ができる。カソードでは電子が
例えば酸素に捕捉されてO2 -・または過酸化水素となる
(酸素を還元する)。アノードとカソードのうち、連続
面を形成する方をガラス、シリコン、石英などの基板の
上に形成すると、光化学電池セルが機械的に安定になる
ので好ましい。
【0015】次に本発明における第2の発明につき説明
する。図3は導電体からなるメッシュ4の表面の上半分
を光触媒からなるアノード1で、下半分をカソード2で
被覆し、その全面を無機電解質3で覆った導電体からな
るメッシュ4の断面図である。本発明における第2の発
明では、導電体メッシュ4の一方の面の全面を光触媒か
らなるアノード1で覆ってもよく、この場合はカソード
2が光触媒からなるアノード1の一方の面の上に形成さ
れる。そして、この場合は導電体からなるメッシュ4は
アノード・カソード分離型光触媒の機械的強度を高める
補強部材としての役割をはたす。メッシュ4を構成する
線の断面方向においてその表面を光触媒からなるアノー
ド1が部分的に被覆する場合はこの線の断面方向におい
て、カソード2で被覆された部分の反対側が光触媒1で
被覆されている必要がある。第2の発明で用いられる導
電体としては、導電性を有するものであればどのような
ものも用いることができるが、メッシュの形成し易さ、
強度、安定性、価格などの点から、チタン、銅、ニッケ
ルなどを好ましく用いることができる。メッシュの目の
大きさとしては特に限定されるものではないが、形成さ
れる光電気化学セルの幅を考慮して、10〜1メッシュ
/mmのものを好ましく用いることができる。一方の面
に光触媒からなるアノードを担持し、他方の面にカソー
ドを担持させた導電体メッシュを、カソード側が基板側
にあるようにして電解質層を表面に有する基板上に固定
してもよい。このようなメッシュ状アノード・カソード
分離型光触媒も光照射により光触媒表面で酸化反応が、
カソード側で還元反応が行われる。
【0016】本発明における第3の発明を説明する。図
4は光触媒からなるアノード1と、カソード2とが貼り
合わされ、その一部においてアノードとカソードが離間
されてアノードカソード間に空間5が形成されたアノー
ド・カソード分離型光触媒をしめす。この空間5には外
部につながる開口部6が設けられており、、空間5に面
するアノード1とカソード2の全面が無機電解質3によ
り被覆されている。この空間6内に還元され易い化学種
Aと酸化され易い化学種Bを入れておき光を照射する
と、アノード1とカソード2と空気中の水分を吸着した
無機電解質3で光化学電池が形成されており、この空間
内のカソード2に電子が発生し、還元され易い化学種A
を還元して還元生成物A-が発生し、光触媒であるアノ
ード1には正孔が発生して酸化され易い化学種Bを酸化
して酸化生成物B+が生成する。そしてこの空間6内で
-とB+とが反応して光電気化学反応生成物Cが生成す
るので、開口部6から適当な手段で生成物Cを取得する
ことにより効率よくCを得ることができる。
【0017】このような反応の例として、カソード2で
の酸素からスーパーオキサイドへの還元、アノード1で
の水からヒドロキシラジカルへの酸化、それらの活性酸
素種の協奏的反応による有機物の分解反応を挙げること
ができるが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
なく、この反応スキームで該当する反応を全て含むもの
である。
【0018】次に本発明における第4の発明につき説明
する。図5はカソードと多孔質光触媒からなるアノード
とが互いに貼り合わされ、それぞれの表面が無機電解質
で被覆され、多孔質光触媒の細孔内面が無機電解質で被
覆、または細孔内部が無機電解質で満たされたアノード
・カソード分離型光触媒の一例を示す図である。この多
孔質光触媒は導電体、半導体または絶縁体などからなる
線状物で補強されていると、機械的強度が向上するので
好ましい。光触媒を多孔質にし、その多孔部分を無機電
解質で被覆または満たすことによりアノードカソード間
でのイオンの移動がより容易になる。このような光触媒
に光を当てると、多孔質光触媒表面から酸化され易い化
学種の酸化生成物B+が生成し、カソード表面では還元
され易い化学種の還元生成物A-が生成し、酸化生成物
と還元生成物が別の場所から出てくるので、分離の手間
が不要になる。
【0019】光触媒を多孔質にする方法としては、例え
ば、有機繊維質からなる膜に光触媒の原料を含浸させて
焼結する方法、有機ポリマーや繊維を光触媒原料にブレ
ンドして焼結する方法、均質な光触媒を多孔性マスクを
用いてエッチングする方法、光触媒微粒子を多孔体にな
る温度条件で焼結する方法、光触媒微粒子を比較的少量
のアルコキシシランで固める方法などを例示できるが、
これらの方法に限定されるものではない。多孔質光触媒
が導電体からなる線状物で補強されているものは、この
線状物の全面に光触媒原料を塗布して、上記の方法で多
孔質化すればよい。
【0020】次に本発明における第5の発明につき説明
する。図6はカソード2と多孔質光触媒からなるアノー
ド6とが互いに貼り合わされ、カソード2のアノード6
と接する面の反対側に酸化状態と還元状態で色が異なる
か、あるいは一方の状態で無色となる色素を含有する無
機または有機電解質層7が設けられ、多孔質光触媒6の
細孔内面が無機電解質で被覆、または細孔内部が無機電
解質で満たされ、多孔質光触媒6の表面も無機電解質3
で被覆されたアノード・カソード分離型光触媒の一例を
示す図である。酸化状態と還元状態で色が異なる、ある
いは一方の状態で無色となる色素の例としては、インジ
ゴカルミン(還元状態で暗青色、酸化状態で無色)、イ
ンドシアニンB(還元状態で紫赤色、酸化状態で紫
色)、キノリンイエロー(還元状態で黄色、酸化状態で
無色)、クリソイジンR(還元状態で黄色、酸化状態で
無色)、メチレンブルー(還元状態で無色、酸化状態で
青色)、プルシアンブルー(還元状態で無色、酸化状態
で青色)、酸化タングステン(還元状態で青色、酸化状
態で無色)、フェナントロリン誘導体鉄錯体(還元状態
で赤色、酸化状態で無色)、ポリアニリン(還元状態で
黄色、酸化状態で青色)等を例示できる。
【0021】このアノード・カソード分離型光触媒に光
を照射すると、多孔質光触媒6の表面から酸化され易い
化学種の酸化生成物B+が生成し、カソード2表面では
色素が還元され、色素の種類に応じて、発色、消色ある
いは変色する。暗所に置くと徐々に酸化されて元の色に
戻る。
【0022】
【実施例】以下に、実施例を用いて、本発明をさらに詳
しく説明する。 (実施例1)ITOをコートしたガラス基板のITO側
表面にスプレーコート法によりビス(2,4−ペンタン
ディオナート)チタニウム酸化物の0.05Mエタノー
ル溶液を塗布し、500℃で焼成することにより約1.
2μmの酸化チタン薄膜を形成した。その上にフォトリ
ソグラフ法によりレジスト剤を50μmの幅でパターニ
ングした後、1mMの塩化パラジウム水溶液中でpH2
で−200mVvsSCEで電析した。次いで500℃
の電気炉中に10時間放置してレジスト剤を消失させ
て、パラジウム担持酸化チタン基板を作成した。得られ
たパラジウム担持酸化チタン基板の表面ににリンタング
ステン酸ナトリウム水溶液をキャストして、次いで真空
乾燥し、100℃で20分間加熱処理してリンタングス
テン酸ナトリウムを固定化した。この基板をガラス容器
内に入れ、容器内に調湿した空気を送り込み、2−プロ
パノール含有ガスを入れて、紫外線を照射し、照射後の
容器内のガスをガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、アセトンが生成しており、パラジウム担持酸化チタ
ン基板が光化学電池として機能し、2−プロパノールを
酸化したことが確認された。
【0023】(実施例2)金属チタンからなるメッシュ
の片面に実施例1と同様にして酸化チタン薄膜を形成
し、次いでこのメッシュをひっくり返して、裏面にパラ
ジウム金属を電析した。得られたメッシュの全面にリン
タングステン酸ナトリウムとテトラメトキシシランの混
合物を塗布し、電気炉中で100℃1時間の加熱処理を
行って、無機電解質を被覆固定化した。このメッシュを
用いて実施例1と同様にして光照射したところ、このメ
ッシュが光化学電池として機能したことが確認された。
【0024】(実施例3)ガラス基板上に直径1μmの
ポリスチレン微粒子を配列させ、基板と微粒子の隙間に
酸化チタンゾルを導入し、乾燥した後、金を蒸着し、さ
らに焼結することにより、ポリスチレン微粒子を消失さ
せ、中央部に球状の空間を有するカソード付き酸化チタ
ン膜を得た。微粒子が酸化されて生じたガスが抜ける際
に、この球状空間を外部に通じさせる隙間ができる。こ
の基板を用いて実施例1と同様にして光照射したとこ
ろ、2−プロパノールの酸化による二酸化炭素の生成が
確認され、この空間内が光電気化学反応装置となること
が確認された。
【0025】(実施例4)金属チタン線からなるメッシ
ュに酸化チタン微粒子に有機繊維マイクロファイバーと
ポリマー微粒子をブレンドしたものをメッシュの空間中
央部が完全に埋まらないようにコートした後、焼成し多
孔質光触媒を得た。この多孔質光触媒の一方の面に実施
例1と同様にしてパラジウムを電析してカソードを形成
した。このカソード付き多孔質光触媒をリンタングステ
ン酸ナトリウム水溶液中に浸漬して多孔内部にまでリン
タングステン酸水溶液を充填させた後乾燥し、100℃
で20分間加熱処理してリンタングステン酸を固定化し
た。この処理により多孔内部表面に無機電解質が存在
し、多孔質光触媒およびカソード表面も無機電解質で被
覆された。得られたカソード付き多孔質光触媒をガラス
容器内に入れ、メチルビオロゲンを純水に溶解させた溶
液を容器内に入れた後、酸化チタン側から紫外線を照射
したところ、酸化チタン側からは酸素が生成し、カソー
ド表面近傍ではメチルビオロゲンの還元による青色が確
認された。
【0026】(実施例5)実施例4と同様にして一方の
面にカソードを形成した多孔質光触媒を得た。この多孔
質光触媒をリンタングステン酸ナトリウム水溶液に含
侵、乾燥後、電気炉で100℃で20分加熱処理し、次
いで、カソード面にリンタングステン酸ナトリウムとメ
チレンブルーの混合水溶液を塗布、乾燥した。この多孔
質光触媒に紫外線を照射したところ、照射前には青色だ
ったカソード面が消色した。これを空気中で暗所に保存
したところ、徐々に青色に戻った。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のアノード・
カソード分離型光触媒は、従来困難とされていた気相中
または非電解質の液体中での光触媒反応での酸化反応が
起こる場所と還元反応が起こる場所の分離を可能とし、
従来この分離ができないため酸化反応生成物と還元反応
生成物同士の反応により出発物質に戻るものが多く、従
って光触媒反応効率が低くならざるを得なかったもの
を、この分離により生成物同士の反応で出発物質に戻る
のを防止して、反応効率を高めることが可能となり、同
じ光触媒を用いても、見かけ上触媒活性の高いものとす
ることが可能となる。また、酸化反応生成物と還元反応
生成物を分離した状態で取得することが可能となる。ま
た、光触媒からなるアノードと、カソードとが貼り合わ
された積層体の一部に空間を設けたアノード・カソード
分離型光触媒を用いると、易酸化性化学種と易還元性化
学種をその空間に入れて光化学反応を行うことにより、
容易に易酸化性化学種の酸化反応生成物と易還元性化学
種の還元反応生成物との反応により得られる反応生成物
を効率的に得ることができる。これらのことから、還元
エネルギー/酸化エネルギー貯蔵型光触媒への応用を可
能とすることがわかる。また、カソードに色素含有層を
設けてなる本発明のアノード・カソード分離型光触媒
は、光触媒への光照射によりカソード面の色素を可逆的
に着色、脱色あるいは変色でき、フォトクロミック表示
材、記憶媒体への適用を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】カソード上に光触媒からなるアノードを縞状に
設けてなるアノード・カソード分離型光触媒の一例を示
す図である。
【図2】光触媒からなるアノード上にカソードを縞状に
設けてなるアノード・カソード分離型光触媒の一例を示
す図である。
【図3】導電体からなるメッシュの表面の上半分を光触
媒で、下半分をカソードで被覆してなるアノード・カソ
ード分離型光触媒の一例を示す図である。
【図4】光触媒からなるアノードと、カソードとが貼り
合わされ、その一部においてアノードとカソードが離間
されてアノードカソード間に空間が形成されたアノード
・カソード分離型光触媒の一例を示す図である。
【図5】カソードと多孔質光触媒からなるアノードとが
互いに貼り合わされてなるアノード・カソード分離型光
触媒の一例を示す図である。
【図6】カソードと多孔質光触媒からなるアノードとが
互いに貼り合わされ、カソードの他の面に色素層を有す
るアノード・カソード分離型光触媒の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1:光触媒(アノード)、2:カソード、3:無機電解
質、4:メッシュ、5:アノードカソード間に形成され
た空間、6:開口部、A-:易還元性化学種の還元反応
生成物、B+:易酸化性化学種の酸化反応生成物、C:
-とB+の反応生成物、6:多孔質光触媒、7:色素含
有電解質層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井内 健一郎 東京都目黒区駒場4丁目6番1号 東京大 学生産技術研究所 立間研究室内 Fターム(参考) 4G069 AA02 BA04A BA04B BA05A BA14A BA14B BA48A BB04A BB06A BB09A BC02A BC12A BC18A BC22A BC25A BC31A BC35A BC36A BC50A BC56A BC60A BC66A CB02 CB07 EA11 EA12 EC29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒からなるアノードと、カソードの
    いずれか一方が他方の面上に互いに所定の間隔をあけて
    縞状または島状、あるいは格子状に設けられ、少なくと
    もアノードとカソードの接合部およびその近傍が少なく
    とも部分的に無機電解質で被覆されていることを特徴と
    するアノード・カソード分離型光触媒。
  2. 【請求項2】 アノードとカソードのいずれか一方が基
    板上に設けられ、その面上に他方が縞状または島状、あ
    るいは格子状に設けられていることを特徴とする請求項
    1記載のアノード・カソード分離型光触媒。
  3. 【請求項3】 少なくとも一方の面に光触媒からなるア
    ノードを担持し、片面にカソードを担持させた導電体メ
    ッシュであって、導電体メッシュの少なくとも一方の面
    の全面を無機電解質で被覆してなるアノード・カソード
    分離型光触媒。
  4. 【請求項4】 光触媒からなるアノードと、カソードと
    が貼り合わされた積層体の一部においてアノードとカソ
    ードが離間されて空間が形成され、前記空間が外部につ
    ながる開口部を有し、前記空間に面するアノードとカソ
    ードの全面に無機電解質層が設けられてなることを特徴
    とするアノード・カソード分離型光触媒。
  5. 【請求項5】 カソードと、該カソードの一方の面に設
    けられた多孔質光触媒からなるアノードの、それぞれの
    表面が無機電解質で被覆され、多孔質光触媒の細孔内面
    が無機電解質で被覆、または細孔内部が無機電解質で満
    たされ、それぞれの面にある無機電解質が電気化学的に
    結合されてなることを特徴とするアノード・カソード分
    離型触媒。
  6. 【請求項6】 カソードと、カソードの一方の面に設け
    られた多孔質光触媒からなるアノードと、カソードのア
    ノードが設けられた面と異なる面に酸化状態と還元状態
    で色が異なるかあるいは酸化または還元状態の一方で無
    色となる色素を含有する層が設けられ、多孔質光触媒内
    部及び表面には無機電解質が含まれ、色素含有層には電
    解質が含まれ、アノード面の無機電解質と色素含有層の
    電解質が電気化学的に結合されてなることを特徴とする
    アノード・カソード分離型光触媒。
  7. 【請求項7】 無機電解質が、アノードおよび/または
    カソードの表面あるいは更に細孔内面に固定化されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の
    アノード・カソード分離型光触媒。
  8. 【請求項8】 多孔質光触媒が導電体、半導体または絶
    縁体からなる線状物で補強されていることを特徴とする
    請求項5乃至7のいずれかに記載のアノード・カソード
    分離型触媒。
JP2002062189A 2002-03-07 2002-03-07 アノード・カソード分離型光触媒 Withdrawn JP2003251193A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002062189A JP2003251193A (ja) 2002-03-07 2002-03-07 アノード・カソード分離型光触媒

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002062189A JP2003251193A (ja) 2002-03-07 2002-03-07 アノード・カソード分離型光触媒

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003251193A true JP2003251193A (ja) 2003-09-09

Family

ID=28670555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002062189A Withdrawn JP2003251193A (ja) 2002-03-07 2002-03-07 アノード・カソード分離型光触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003251193A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013128543A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 独立行政法人産業技術総合研究所 環境耐性のある可視光応答性光触媒膜構造体および光触媒用助触媒
JP2018504621A (ja) * 2014-10-20 2018-02-15 ヤドン イン リライタブルメディアのレドックス画像形成ナノ材料の光触媒カラースイッチング

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013128543A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 独立行政法人産業技術総合研究所 環境耐性のある可視光応答性光触媒膜構造体および光触媒用助触媒
JP2018504621A (ja) * 2014-10-20 2018-02-15 ヤドン イン リライタブルメディアのレドックス画像形成ナノ材料の光触媒カラースイッチング
US10534254B2 (en) 2014-10-20 2020-01-14 The Regents Of The University Of California Photocatalytic color switching of redox imaging nanomaterials of rewritable media

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Erbs et al. Visible-light-induced oxygen generation from aqueous dispersions of tungsten (VI) oxide
De Tacconi et al. Metal hexacyanoferrates: electrosynthesis, in situ characterization, and applications
Luo et al. Photoelectrochemical degradation of naphthol blue black diazo dye on WO3 film electrode
US8802304B2 (en) Bifunctional (rechargeable) air electrodes comprising a corrosion-resistant outer layer and conductive inner layer
EP0164184A2 (en) Electrochemical photocatalytic structure
Hayden et al. Platinum catalysed nanoporous titanium dioxide electrodes in H2SO4 solutions
EP3774027B1 (en) Electrocatalysts, the preparation thereof, and using the same for ammonia synthesis
Ohno et al. Photocatalyzed production of hydrogen and iodine from aqueous solutions of iodide using platinum-loaded TiO2 powder
US9266733B2 (en) Multilayer self-decontaminating coatings
JP2012188683A (ja) ガス生成装置およびガス生成方法
JP2003151567A (ja) 酸素還元用複合電極
Ju et al. Solar-driven on-site H2O2 generation and tandem photo-Fenton reaction on a triphase interface for rapid organic pollutant degradation
JP4406689B2 (ja) 水の光分解反応により水素および酸素を製造する装置
Ramanathan et al. Sol-gel derived ormosil-exfoliated graphite− TiO2 composite floating catalyst: photodeposition of copper
Amano et al. Photoelectrochemical gas–electrolyte–solid phase boundary for hydrogen production from water vapor
EP0157385B1 (en) Fuel cell electrode, process for producing the same and fuel cell using the same
Ngaotrakanwiwat et al. Optimization of energy storage TiO2–WO3 photocatalysts and further modification with phosphotungstic acid
JP2002320862A (ja) 金属を酸化チタン薄膜に担持した光触媒薄膜
Hosseini et al. Evaluation of the Performance of Platinum Nanoparticle–Titanium Oxide Nanotubes as a New Refreshable Electrode for Formic Acid Electro‐oxidation
WO1987003108A1 (en) Photochromic material, photochromic element and method of recording and erasing data
JP2005501177A (ja) 電気化学的反応電極、製造方法、及びその適用機器。
JP2017125242A (ja) 還元反応用電極及びそれを用いた反応デバイス
JP2003251193A (ja) アノード・カソード分離型光触媒
Seta-Wiaderek et al. Photoelectrochemical Reduction of CO2 at Poly (4‐Vinylpyridine)‐Stabilized Copper (I) Oxide Semiconductor: Feasibility of Interfacial Decoration with Palladium Cocatalyst
Horikoshi et al. Enhanced photocurrent generation and photooxidation of benzene sulfonate in a continuous flow reactor using hybrid TiO2 thin films immobilized on OTE electrodes

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050510