JP2003250885A - 中空糸膜およびそれを用いたモジュール - Google Patents

中空糸膜およびそれを用いたモジュール

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JP2003250885A JP2002060094A JP2002060094A JP2003250885A JP 2003250885 A JP2003250885 A JP 2003250885A JP 2002060094 A JP2002060094 A JP 2002060094A JP 2002060094 A JP2002060094 A JP 2002060094A JP 2003250885 A JP2003250885 A JP 2003250885A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】過酸化脂質を選択的に吸着除去できる過酸化脂
質吸着用中空糸膜を提供する。 【解決手段】中空糸膜素材にカチオン性ポリビニルピロ
リドンが含有されていることを特徴とする中空糸膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、過酸化脂質吸着用
中空糸膜およびそれを用いたモジュールに関する。特
に、血漿分離膜または人工腎臓として好適に用いられ、
血中の過酸化脂質を吸着除去できる中空糸膜に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、体外血液循環の分野、とくに
血液透析や血漿分離等には中空糸膜を用いた中空糸膜型
血液処理器が広く使用され、近年、特に透析膜、血液成
分分離膜等の分野においては、高分子製中空糸膜が広く
利用されている。しかしながら、長期的に血液透析を行
っている患者の中には、血中抗酸化作用の低下や過酸化
脂質が高値であることが報告されており、これに起因す
ると思われる長期透析患者の動脈硬化性疾患等が増加し
ている。
【0003】粥状動脈硬化巣の形成に重要な役割を演じ
ている泡沫細胞は、酸化的変質を受けた脂質特に低密度
リポ蛋白がマクロファージに取り込まれた結果、そのマ
クロファージが泡沫化したものである。
【0004】これらの問題を解決するため、生体内抗酸
化作用、生体膜安定化作用、血小板凝集抑制作用などの
種々の生理作用を有するビタミンEの被膜を透析膜の表
面に被覆する膜型血液浄化器が提案されている(特公昭
62−41738号公報)が、いったん生成した患者の
血中の過酸化脂質を除去することはできない。
【0005】過酸化脂質の中でも、特に酸化低密度リポ
蛋白は様々な生物作用をもっており、内皮細胞から一酸
化窒素(NO)産生を抑制するなどの作用以外にも、単
球を内皮下に遊送、集積させ、そのものをマクロファー
ジとさせ、酸化低密度リポ蛋白それ自身を取り込み泡沫
細胞とさせ、動脈壁のプラーク形成を促進するほか、内
皮細胞や平滑筋細胞傷害を促進するなど、動脈硬化の発
症、進展に重要な役割を果たしている。従って、血中か
ら過酸化脂質、特に酸化低密度リポ蛋白を除去すること
が望ましい。
【0006】高脂血症の患者の場合には血中の低密度リ
ポ蛋白量が多いため、低密度リポ蛋白を除去することは
動脈硬化の進展予防などに有効である。そこで現在、低
密度リポ蛋白の吸着ビーズカラムとして鐘淵化学のリポ
ソーバ(商標)が使用されている。この吸着材の使用に
より酸化低密度リポ蛋白も同時に除去されると考えられ
るが、透析患者の場合は、血中の低密度リポ蛋白濃度は
透析患者も健常者と同レベルであり、本カラムを使用す
れば、栄養不足などの状態に陥る可能性があるので、透
析患者に対しては使用することはできない。
【0007】また、高密度リポ蛋白質は動脈硬化防御因
子としての機能を有するため、透析患者の血中の高密度
リポ蛋白濃度を下げてはいけない。
【0008】これまで市販されているセルロース膜、ポ
リメチルメタクリレート膜、エチレンービニルアルコー
ル膜、ポリスルホン/ポリビニルピロリドンブレンド膜
などに代表される透析膜では過酸化脂質を除去すること
はできない。むしろ、透析後に透析膜による刺激のた
め、血中の過酸化脂質の値が増加する傾向にある(腎と
透析別冊、38:125(1995))。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を改良し、特に、過酸化脂質を選択的
に吸着除去できる中空糸膜およびそれを用いたモジュー
ルを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次の構成を有する。
【0011】(1) 中空糸膜素材にカチオン性ポリビ
ニルピロリドンが含有されていることを特徴とする中空
糸膜。
【0012】(2) (1)に記載の中空糸膜が過酸化
脂質を吸着することを特徴とする中空糸膜。
【0013】(3) 素材表面積1m2あたりの血漿量
が2.8×102ml/m2である条件で灌流操作を施
したときに、該血漿中に含まれている初期濃度2μg/
mlの酸化低密度リポ蛋白の吸着除去率が20%以上で
あることを特徴とする(1)または(2)に記載の中空
糸膜。
【0014】(4) 低密度リポ蛋白の吸着除去率が5
%未満であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
かに記載の中空糸膜。
【0015】(5) 高密度リポ蛋白の吸着除去率が5
%未満であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれ
かに記載の中空糸膜。
【0016】(6) 前記中空糸膜がポリスルホンを含
むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の
中空糸膜。
【0017】(7) 前記中空糸膜がポリスルホンとポ
リビニルピロリドン含むことを特徴とする(1)〜
(6)のいずれかに記載の中空糸膜。
【0018】(8) 前記中空糸膜が体外循環用モジュ
ールに内蔵されることを特徴とする(1)〜(7)のい
ずれかに記載の中空糸膜。
【0019】(9) 前記中空糸膜が中空糸膜モジュー
ルに内蔵されて用いられるとき、血漿分離膜用としての
特徴を有する(1)〜(8)のいずれかに記載の中空糸
膜。
【0020】(10) 前記中空糸膜が中空糸膜モジュ
ールに内蔵されて用いられるとき、人工腎臓としての特
徴を有する(1)〜(9)のいずれかに記載の中空糸
膜。
【0021】(11) (1)〜(10)のいずれかに
記載の中空糸膜を内蔵してなることを特徴とするモジュ
ール。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の中空糸膜は、中空糸膜素
材にカチオン性ポリビニルピロリドンを含有することを
特徴とする。
【0023】本発明でいうカチオン性ポリビニルピロリ
ドンとは、ビニルピロリドンとアミンを含む化合物をい
う。特に限定されるものではないが、pH4.5のとき
の電荷が1meq/g以上あることが望ましい。また、
アミンとしては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級ア
ミノ基、ピロール基、ピラゾール基、イミダゾール基、
インドール基、ピリジン基、ピリダジン基、キノリン
基、ピペリジンン基、ピロリジン基、チアゾール基、プ
リン基および、それらの誘導体などが挙げられる。ビニ
ルピロリドンとビニルイミダゾールの共重合ポリマー
や、ビニルピロリドンと3−メチル−1−ビニルイミダ
ゾールメチルスルホン酸塩の共重合ポリマーがBASF
社などから市販されているので、好適に用いられる。ま
た、カチオン性ポリビニルピロリドンや支持体となる素
材(例えば、ポリスルホン)以外に、ポリビニルピロリ
ドンなど他のポリマーが、本発明の効果を妨げない範囲
で混合されていても良い。特に限定されるわけではない
が、そのようなその他の素材は、中空糸膜全重量中、1
0重量%以下であることが好ましい。なお、前記分子量
は原料段階での分子量であり、最終製品においては、放
射線架橋などにより分子量は前記値よりの遙かに大きな
ものとなっている場合もある。
【0024】本発明でいう過酸化脂質とは、過酸化した
脂質のことをいい、過酸化した構造としては、過酸、過
酸エステル、ヒドロペルオキシド、エンドペルオキシ
ド、ペルオキシラジカル、およびこれらの分解物も含め
た構造体のことをいう。また低密度リポ蛋白(以下LD
Lという)とは血漿中リポタンパク質の一つで、比重
1.063の食塩水中での浮上係数Sfが0〜20で、
密度(g/ml)が1.006〜1.063の画分に存
在するリポタンパク質のことをいい、高密度リポ蛋白
(以下HDLという)とは血漿中リポタンパク質の一つ
で、密度(g/ml)が1.063〜1.210の画分
に存在するリポタンパク質のことをいう。また酸化低密
度リポ蛋白(以下、酸化LDLという)とは過酸化した
脂質もしくはタンパク質が含まれている低密度リポタン
パク質のことをいう。
【0025】カチオン性ポリビニルピロリドンを含有す
る中空糸膜は、LDLやHDLをあまり吸着せずに、酸
化LDLなどの過酸化脂質を選択的に吸着するという特
徴を有する。
【0026】血中のLDL濃度が健常者と同レベルであ
る場合は、LDLを除去すると栄養不足などの状態に陥
る可能性があるので、LDLが取り除かれることは好ま
しくない。また、HDLは動脈硬化防御因子としての機
能を有するため、血中のHDL濃度を下げてはいけな
い。HDLもしくはLDLの吸着除去率は5%未満であ
ることが好ましい。
【0027】酸化LDLはLDLに比べ、陰性荷電を帯
びており、生体内でもコラーゲンやスカベンジャーレセ
プターなどカチオン性の部位によく吸着する。したがっ
て、カチオン性ポリビニルピロリドンを含有する中空糸
膜が、酸化LDLを吸着するための重要な因子のひとつ
に、静電相互作用が関与していると考えられる。また、
糖化最終生成物(AGE)も陰性荷電を帯びていること
から、AGEの吸着除去も期待できる。
【0028】本発明においては、カチオン性ポリビニル
ピロリドンと支持体となる素材との構成・複合方法は特
に限定されるものではなく、支持体となる素材とカチオ
ン性ポリビニルピロリドンが積層されていても良いし、
混合乃至は相溶されていても良い。
【0029】カチオン性ポリビニルピロリドンを素材に
含有させる方法には、素材の成形前の原液にカチオン性
ポリビニルピロリドンを混和しておいて、成形する方法
や、反応性を有する官能基を導入した素材を混和してお
いて、素材を成形後、カチオン性ポリビニルピロリドン
を官能基に対して表面反応により固定化する方法、通常
の素材をカチオン性ポリビニルピロリドンの溶液に浸漬
し、放射線照射、熱処理などによりカチオン性ポリビニ
ルピロリドンを不溶化、固定化する方法、素材をカチオ
ン性ポリビニルピロリドンの溶液に浸漬させ、溶液を除
去し、湿潤状態にする方法(これは、多孔質膜の場合は
空気や窒素などの気体で表面をブローすることにより得
られる。)、さらには、素材をカチオン性ポリビニルピ
ロリドンの溶液に浸漬させ、溶液を水洗除去し、カチオ
ン性ポリビニルピロリドンを素材に吸着させた状態にす
る方法などが挙げられ、さらに湿潤状態や吸着状態で、
放射線照射、熱処理などにより不溶化、固定化すること
も可能である。放射線照射を行う場合には、PVPの架
橋をコントロールするために公知の抗酸化剤を用いても
良い。
【0030】本発明の支持体となる素材は、特に限定し
ないが、医療用に用いられている素材が好ましく、例え
ば、ポリ塩化ビニル、セルロース系ポリマー、ポリスチ
レン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、
ポリスルホン、ポリウレタンなどが挙げられる。この中
でも特にポリスルホンは成形が容易で、膜に成形したと
きの膜性能に優れているため、好適に用いられる。
【0031】本発明で用いられるポリスルホンは、主鎖
に芳香環、スルフォニル基およびエーテル基をもつもの
で、例えば、次式(1)、(2)の化学式で示されるポ
リスルホンが好適に使用されるが、本発明ではこれらに
限定されない。式中のnは、例えば50〜80の如き整
数である。
【0032】
【化1】
【0033】ポリスルホンの具体例としては、ユーデル
ポリスルホンP−1700、P−3500(テイジンア
モコ社製)、ウルトラソンS3010、S6010(B
ASF社製)、ビクトレックス(住友化学)、レーデル
A(テイジンアモコ社製)、ウルトラソンE(BASF
社製)等のポリスルホンが挙げられる。又、本発明で用
いられるポリスルホンは上記式(1)及び/又は(2)
で表される繰り返し単位のみからなるポリマーが好適で
はあるが、本発明の効果を妨げない範囲で他のモノマー
と共重合していても良い。特に限定するものではない
が、他の共重合モノマーは10重量%以下であることが
好ましい。
【0034】また、ポリスルホンは疎水性の高分子であ
るため、血液と接触するような場合は、その接触面を親
水化することが好ましい。親水化の方法としては、ポリ
ビニルピロリドンやカチオン性ポリビニルピロリドン、
ポリエチレングリコールなどのポリスルホン系高分子と
の相溶性に優れる親水性高分子を分離膜の製膜原液に添
加したり、血液との接触面を親水性の化合物でコーティ
ングすることにより達成できる。
【0035】本発明の中空糸膜は、体外循環用モジュー
ルとして、血漿分離、人工腎臓等に好適に用いられる。
【0036】血漿分離膜に用いる場合には、酸化LD
L、LDL、HDLなどは濾過されるが、膜全体に過酸
化脂質と選択的に相互作用できるようにカチオン性ポリ
ビニルピロリドンを含有させてやれば、膜全体の面積を
有効に使えるため過酸化脂質を効率よく除去するには有
効である。ただし、濾過されたLDLやHDLは体内に
戻すか、新たに新鮮血漿を補充することが好ましい。
【0037】人工腎臓に用いるような場合は、酸化LD
L、LDL、HDLのような大分子は透析・濾過されな
い。従って、膜内表面に過酸化脂質と選択的に相互作用
するようなリガンドを含有させてやれば、過酸化脂質は
吸着除去され、LDL、HDLは吸着されず、患者の体
内に戻される。ここで、人工腎臓としての機能を有する
というのは人工腎臓の機能分類でいうところのI型また
はII型に属するものであることをいう(透析会誌、32
(12):1465〜1469,1999)。本発明に
おいては、孔の大きさが大きいほうが好ましく、II型に
属するものは孔の大きさも大きく、好ましい。
【0038】本発明の中空糸膜は、従来知られている中
空糸膜の製造方法などにおいて、前記したカチオンポリ
マーを導入する方法を適宜用いることにより製造され
る。中空糸膜の製法の一例として次のような方法があ
る。
【0039】ポリスルホンとカチオン性ポリビニルピロ
リドン(重量比率20:1〜1:5が好ましく、5:1
〜1:1がより好ましい)を良溶媒(N,N−ジメチル
アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、N−メチルピロリドン、ジオキサンなどが好ま
しい)および良溶媒の混合溶液に溶解させた原液(濃度
は、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量%が
より好ましい)を二重環状口金から吐出する際に内側に
注入液を流し、乾式部を走行させた後凝固浴へ導く。こ
の際、乾式部の湿度が影響を与えるために、乾式部走行
中に膜外表面からの水分補給によって、外表面近傍での
相分離挙動を速め、孔径拡大し、結果として透析の際の
透過・拡散抵抗を減らすことも可能である。ただし、相
対湿度が高すぎると外表面での原液凝固が支配的にな
り、かえって孔径が小さくなり、結果として透析の際の
透過・拡散抵抗を増大する傾向がある。そのため、相対
湿度としては60〜90%が好適である。また、注入液
組成としてはプロセス適性から原液に用いた溶媒を基本
とする組成からなるものを用いることが好ましい。注入
液濃度としては、例えばジメチルアセトアミドを用いた
ときは、45〜80重量%、さらには60〜75重量%
の水溶液が好適に用いられる。
【0040】モジュールの製造方法としては、特に限定
されないが、一例を示すと次の通りである。まず、中空
糸膜を必要な長さに切断し、必要本数を束ねた後、筒状
ケースに入れる。その後両端に仮のキャップをし、中空
糸膜両端部にポッティング剤を入れる。このとき遠心機
でモジュールを回転させながらポッティング剤を入れる
方法は、ポッティング剤が均一に充填されるために好ま
しい方法である。ポッティング剤が固化した後、中空糸
膜の両端が開口するように両端部を切断し、中空糸膜モ
ジュールを得る。
【0041】以下、本発明の性能測定条件を記載する。 (1)抗酸化LDL抗体の作製 板部らが作製したものを用いた(H.Itabe et
al.,J.Biol.Chem.269:1527
4、1994)。すなわち、ヒト粥状硬化病巣ホモジェ
ネートをマウスに注射して免疫、そのマウスの脾臓から
ハイブリドーマを作製し、硫酸銅処理LDLと反応する
ものを選別した。抗体クラスは、マウスIgMで、未処
理LDL、アセチルLDL、マロンジアルデヒドLDL
とは反応しない。フォスファチジルコリンのアルデヒド
誘導体やヒドロペルオキシドを含めていくつかのフォス
ファチジルコリン過酸化反応生成物と反応する。150
mMのNaClを含む10mMほう酸緩衝液(pH8.
5)に溶解したものを用いた(蛋白濃度0.60mg/
ml)。 (2)酸化LDLの調製 市販のLDL(フナコシ製)を脱塩した後、0.2mg
/mlとなるようにリン酸緩衝液(PBS)で希釈後、
0.5mM硫酸銅水溶液を1wt%添加し、37℃で1
6時間反応させた。25mMのエチレンジアミン四酢酸
(EDTA)を1wt%、10wt%アジ化ナトリウム
を0.02wt%となるように添加したものを酸化LD
L標品とした。 (3)灌流操作 健常者血漿(日本人、30歳、LDL(βリポ蛋白)濃
度275mg/dl,HDL−コレステロール濃度70
mg/dl)に上記酸化LDLを2μg/mlとなるよ
うに添加した。
【0042】内径200μm、膜厚40μmの中空糸膜
から、長さ12cm、本数70本のミニモジュール(内
表面積53cm2)を作成し、内径7mm(外径10m
m)、長さ2cmのシリコーンチューブ(製品名ARA
M)と異形コネクターを介して、内径0.8mm(外径
1mm)のシリコーンチューブ(製品名ARAM、37
cmのものを両端に2本)でつなぎ、上記血漿1.5m
lを0.5ml/分の流量で25℃、4時間中空糸内に
灌流した(素材表面積1m2あたりの血漿量は2.8×
102ml/m2)。
【0043】さらにミニモジュールをつけずに内径0.
8mm(外径1mm)のシリコーンチューブ(長さ74
cm)のみで灌流操作も行った。
【0044】灌流前後の血漿中の酸化LDL、LDL、
HDL濃度を定量することにより、それぞれの吸着除去
率を下記式により算出した。
【0045】吸着除去率(%)=100×(灌流前の濃
度−灌流後の濃度)/灌流前の濃度酸化LDL、LD
L、HDLの吸着除去率(%)=ミニモジュールでの吸
着除去率(%)−シリコーンチューブのみでの吸着除去
率(%) (4)酸化LDL、LDL、HDL濃度の測定 抗酸化LDL抗体をPBSで5μg/mlに希釈し、9
6穴のプレートに100μl/ウェルずつ分注し、室温
で2時間震盪した後、4℃にて一晩以上壁に吸着させ
た。
【0046】ウェル中の抗体溶液を捨て、1wt%Bo
vine Serum Albmin(BSA、フラク
ションV、生化学工業、ケミカルグレード)を含むトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)を200μl/ウェルず
つ分注し、室温で2時間震盪して壁をブロッキングした
後、ウェル中のBSA溶液を捨て、酸化LDLを含んだ
血漿および検量線作成用のスタンダード(0〜2μg/
mlの酸化LDLを含むPBS緩衝液)100μl/ウ
ェルずつ分注した。その後、室温で30分震盪した後、
4℃で一晩放置した。
【0047】室温に戻し、ウェル中の溶液を捨て、0.
05wt%トゥイーン−20(片山化学)を含むトリス
−塩酸緩衝液(pH8.0)でウェルを3回洗浄した。
洗浄したウェルにPBSで2000倍に希釈したヒツジ
抗アポB抗体(THE BINDING SITE)1
00μl/ウェルずつ分注し、室温で2時間震盪した
後、ウェル中の抗アポB抗体を捨て、0.05wt%ト
ゥイーン−20を含むトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)でウェルを3回洗浄した。洗浄したウェルに2wt
%ブロックエース(大日本製薬)を含むトリス−塩酸緩
衝液(pH8.0)で2000倍に希釈したアルカリ性
フォスファターゼ標識ロバ抗ヒツジIgG抗体(CHE
MICON)を100μl/ウェルずつ分注し、室温で
2時間震盪した。その後、ウェル中の標識抗体を捨て、
0.05wt%トゥイーン−20を含むトリス−塩酸緩
衝液(pH8.0)でウェルを3回洗浄し、さらにトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)で2回洗浄した。続い
て、p−ニトロフェニルリン酸(Boehringer
Mannheim GmbH)の1mg/ml溶液
(0.0005M MgCl2、1Mジエタノールアミ
ン緩衝液、pH9.8)を100μl/ウェルずつ分注
し、適当な時間室温で反応させた後、415nmの吸光
度をプレートリーダーで測定した。スタンダードの結果
から検量線を引き、酸化LDL濃度を決定した。
【0048】LDLの定量はβ−リポ測定キット(和光
純薬)を用いて行った。
【0049】HDLの定量はHDL−C測定キット(和
光純薬)を用いて行った。
【0050】
【実施例】(実施例1)ポリスルホン(テイジンアモコ
社製ユーデルP−3500)18重量部、カチオン性ポ
リビニルピロリドン(BASF社製“ルビカット”FC
905)9重量部をN,N−ジメチルアセトアミド72
重量部、水1重量部に加え、90℃14時間加熱溶解し
た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmの
オリフィス型二重円筒型口金より吐出し芯液としてジメ
チルアセトアミド58重量部、水42重量部からなる溶
液を吐出させ、乾式長350mmを通過した後、水10
0%の凝固浴に導き中空糸を得た。本中空糸膜を用い
て、有効長さ19cm、膜面積1.6m2の人工腎臓を
作成し、人工腎臓のモジュール内を水で満たし、γ線照
射を行ったところ、限外濾過量は50ml/mmHg/
hr、尿素クリアランス188ml/min、クレアチ
ニンクリアランス186ml/min、β2ミクログロ
ブリンクリアランスは55ml/minであった。ポリ
スルホン中空糸分離膜を70本束ね、中空糸中空部を閉
塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガ
ラス管モジュールケースに固定し、ミニモジュールを作
成し、水を充填して、25kGyにてγ線照射した。該
ミニモジュールの直径は約7mm、長さは12cmであ
った。放射線処理した膜は、再度蒸留水で37℃、30
分間洗浄した後、吸着実験に供した。
【0051】実験結果は、表1に示した。 (実施例2)ポリスルホン(テイジンアモコ社製ユーデ
ルP−3500)18重量部、ポリビニルピロリドン
(BASF社製“Kollidon 30”)9重量部
をN,N−ジメチルアセトアミド72重量部、水1重量
部に加え、90℃14時間加熱溶解した。その後、実施
例1と同様にして中空糸分離膜を得た後、ミニモジュー
ルを作成した。ミニモジュール内を、カチオン性ポリビ
ニルピロリドン(BASF社製“ルビカット”FC90
5)1重量%水溶液で充填し、25kGyにてγ線照射
したものを作成した。 (比較例1)実施例2と同様にしてミニモジュールを作
成し、1重量%のカチオン性ポリビニルピロリドン水溶
液の代わりに水を充填して、25kGyにてγ線照射し
たものを作成した。 (比較例2)市販のポリメチルメタクリレート透析膜
(東レ社製“フィルトライザー”、BG)を用いてミニ
モジュールを作成した。 (比較例3)市販のビタミンEコーティングセルロース
膜(テルモ社製“エクセブレン”、CL−E15N)を
用いてミニモジュールを作成した。
【0052】実施例および比較例1〜3における酸化L
DL、LDL、HDLの吸着除去率の結果を表1に示し
た。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】本発明により、膜型血液浄化器などの用
途に用いられ、特に透析患者において動脈硬化の進展を
予防したり、その発症を未然に防ぐような場合に好適に
用いられる過酸化等質吸着用中空糸膜を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 71/44 B01D 71/44 71/68 71/68 B01J 20/26 B01J 20/26 H 20/28 20/28 A Z C08L 39/06 C08L 39/06 81/06 81/06 D01F 6/76 D01F 6/76 D Fターム(参考) 4C077 AA05 AA12 BB03 EE01 KK11 LL05 MM03 NN04 NN07 PP02 PP09 PP15 4D006 GA06 GA13 HA01 MA01 MA06 MB14 MC11 MC24 MC27 MC37 MC40X MC49 MC53 MC62X MC78 NA04 NA10 NA42 NA45 NA54 PA01 PB09 PB42 PC47 4G066 AC31C AC33B AD08B AD10B BA03 BA21 BA36 BA38 CA54 DA12 EA04 FA21 FA25 FA31 4J002 BJ002 CN031 GT00 4L035 BB04 BB07 DD03 FF07 MF01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空糸膜素材にカチオン性ポリビニルピ
    ロリドンが含有されていることを特徴とする中空糸膜。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の中空糸膜が過酸化脂質
    を吸着することを特徴とする中空糸膜。
  3. 【請求項3】 素材表面積1m2あたりの血漿量が2.
    8×102ml/m2である条件で灌流操作を施したと
    きに、該血漿中に含まれている初期濃度2μg/mlの
    酸化低密度リポ蛋白の吸着除去率が20%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜。
  4. 【請求項4】 低密度リポ蛋白の吸着除去率が5%未満
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の中空糸膜。
  5. 【請求項5】 高密度リポ蛋白の吸着除去率が5%未満
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の中空糸膜。
  6. 【請求項6】 前記中空糸膜がポリスルホンを含むこと
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸
    膜。
  7. 【請求項7】 前記中空糸膜がポリスルホンとポリビニ
    ルピロリドンを含むことを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載の中空糸膜。
  8. 【請求項8】 前記中空糸膜が体外循環用モジュールに
    内蔵されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに
    記載の中空糸膜。
  9. 【請求項9】 前記中空糸膜が中空糸膜モジュールに内
    蔵されて用いられるとき、血漿分離膜用としての特徴を
    有する請求項1〜8のいずれかに記載の中空糸膜。
  10. 【請求項10】 前記中空糸膜が中空糸膜モジュールに
    内蔵されて用いられるとき、人工腎臓としての特徴を有
    する請求項1〜9のいずれかに記載の中空糸膜。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の中
    空糸膜を内蔵してなることを特徴とするモジュール。
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JP2008534274A (ja) * 2005-04-07 2008-08-28 ガンブロ・ルンディア・エービー 濾過膜
JP2011139806A (ja) * 2010-01-07 2011-07-21 Pharmit Co Ltd 生物由来塩基性物質およびその誘導体を利用した体液浄化装置
JP2011139805A (ja) * 2010-01-07 2011-07-21 Pharmit Co Ltd 生体内塩基性物質を利用した体液浄化装置

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