JP2003249712A - 光モジュール - Google Patents

光モジュール

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JP2003249712A
JP2003249712A JP2002361421A JP2002361421A JP2003249712A JP 2003249712 A JP2003249712 A JP 2003249712A JP 2002361421 A JP2002361421 A JP 2002361421A JP 2002361421 A JP2002361421 A JP 2002361421A JP 2003249712 A JP2003249712 A JP 2003249712A
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Hideki Iwaki
秀樹 岩城
Yutaka Taguchi
豊 田口
Tetsuyoshi Ogura
哲義 小掠
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波特性が良好で、基板上に光素子等が安
定して実装されている光モジュールを提供する。 【解決手段】 絶縁層11と、受動素子10と、絶縁層
11の表面に形成された端子電極2とを備えた基板3
と、基板3表面において端子電極2に接続された能動素
子1とを備え、受動素子10は誘電体層9等を有し、端
子電極2の少なくとも1つは受動素子10に接続され、
能動素子1の少なくとも1つは、基板3の主面において
突起電極7を介して端子電極2にフリップチップ実装さ
れ、基板3の主面と平行な面を投影面とした場合、誘電
体層9等の正射影の面積が基板3の主面の正射影の面積
より小さく、かつ、誘電体層9等は、基板3の主面にフ
リップチップ実装されている能動素子1が有する全ての
突起電極7の投影面に対する正射影が、誘電体層9等の
正射影に含まれるように形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光信号を送受信す
る高周波特性に優れた光モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、メタリックケーブルや無線などを
用いる通信に代わって、多量の情報を低損失で送ること
ができる光ファイバ通信が実現されている。
【0003】光ファイバを用いて映像信号を受信する場
合に、受光フロントエンド部には、光受信装置が用いら
れる。光受信装置は、光信号を受けて、その信号に対応
した微少な電流を発生させるフォトダイオード(PD)
などの受光素子と、発生した微少電流を電流−電圧変換
した上で、後段に接続されるテレビ受像器などに必要な
受信感度にまで、信号を増幅し、復調する素子からな
る。
【0004】このような映像信号を受信する光受信装置
の扱う信号の周波数帯域は、CATVなどの場合にはチ
ャンネル数の増加につれて高周波側にのび、現在では1
GHzにまで達しようとしている。
【0005】従来、光ファイバを使用して多チャンネル
の映像信号を配信するシステムにおける、良好な高周波
特性を有する光通信用装置として、例えば、広帯域にお
いて低歪特性に優れた特性を有する容量素子を、基板に
内蔵した広帯域光受信装置が、特許文献1に開示されて
いる。この広帯域光受信装置は、寄生インダクタンスを
低減するために容量素子を内蔵した多層基板上に半導体
素子をフリップチップ実装することで、半導体素子と容
量素子を短距離で接続できるため、高周波特性に優れて
いる。
【0006】しかしながら、従来の光通信用のモジュー
ルにおいては、容量素子の容量値を大きくする場合に、
以下のような問題が生じる。
【0007】図22は、従来の光通信用のモジュールの
構成を示す断面図である。また、図23は、他の従来の
光通信用のモジュールの製造工程を示す断面図である。
【0008】図22に示す光通信用のモジュールは、多
層基板203の表面に形成された端子電極202に、バ
ンプ207を介して光素子201、半導体素子231が
フリップチップ実装されている。多層基板203内に
は、上側電極205と下側電極206が、誘電体層20
9を挟んで構成される容量素子が形成され、上側電極2
05、下側電極206はビア導体208を介して端子電
極202に導電接続されている。このような構成では、
半導体素子231の垂直方向の多層基板203内に容量
素子を形成できる。また、誘電体層209が、その層の
全面にわたって形成されているため、多層基板203表
面の凹凸が無く、安定して多層基板203上に光素子2
01および半導体素子231をフリップチップ実装する
ことが可能である。
【0009】しかし、この容量素子の容量値を大きくす
るため、比誘電率の高い材料を用いて誘電体層209を
形成すればよいが、誘電体層209が広範囲に広がって
いるため、不要な部分に浮遊容量が発生したり、内部の
配線層において、クロストークが生じるといった問題が
ある。
【0010】また、誘電体層209を広範に形成せず
に、多層基板203内の一部の領域にのみ形成した構成
の光通信用のモジュールもある(例えば、特許文献2参
照)。例えば、図23に示す光通信用のモジュールは、
一部の領域に多層基板203の材料とは異なる誘電体層
209を形成することで、必要な領域にのみ容量素子を
形成している上、半導体素子231と容量素子を短距離
で接続している。
【0011】しかし、このような構成だと、多層基板2
03内に誘電体層209を形成した箇所が存在するた
め、誘電体層209を形成していない箇所とで多層基板
203の表面に凹凸が発生する。そのため、図23
(a)の状態から、半導体素子231を、多層基板20
3上にフリップチップ実装する場合に、図23(b)に
示すように、半導体素子231のバンプ207と端子電
極202の間に間隙が発生し、半導体素子231を安定
してフリップチップ実装できない。
【0012】さらに、図24に示しているように、表面
に凹凸が生じていると、多層基板203の所定の位置に
光素子201を実装し、光ファイバ230をV溝271
によって所定の位置に設置するパッシブアライメント法
で位置決めができない。つまり、端子電極202a、2
02bそれぞれの間に高低差が生じることで、フリップ
チップ実装をした場合に、光素子201が傾いて設置さ
れることになり、レーザ出射方向があらかじめ決めた方
向からずれ、あらかじめ決まった位置に配置される光フ
ァイバ230と光学的結合が得られなくなるためであ
る。なお、V溝271は台座261に設置され、光モジ
ュールは、台座261上に接続端子251を介して実装
されている。
【0013】具体的には、端子電極202aと端子電極
202bとの垂直方向に対する差は、数10μm程度生
じる。例えば、バンプ207aとバンプ207bとの、
光軸方向の間隔が、200μmで、端子電極202aと
端子電極202bとの垂直方向に対する差が20μmな
らば、光素子201の出射方向241は、光ファイバ2
30の光軸242に対して5.7度ずれる。
【0014】開口数が0.1の一般的なシングルモード
型の光ファイバ230では、光軸245に対して、5.
7度以下の範囲で入射する光が結合する。しかし、レー
ザー素子である光素子201からの出射光はある程度の
広がり角を持ち、光強度は出射光軸に対してガウス分布
となるため、半値全幅が15度以上のレーザー素子は、
光ファイバ230と光学的に結合することができない。
【0015】
【特許文献1】特開2001−345456号公報
【0016】
【特許文献2】特開平6−164150号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
に鑑みてなされたものであって、高周波特性が良好で、
多層基板上に光素子等の能動素子が安定して実装されて
いる光モジュールを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の光モジュール
は、絶縁層と、前記絶縁層の内部または表面に設けられ
た受動素子と、前記絶縁層の表面に形成された端子電極
とを備えた基板と、少なくとも光素子を含み、前記基板
表面において前記端子電極に接続された能動素子とを備
え、前記受動素子は、誘電体層、抵抗層、または磁性体
層を有し、前記端子電極の少なくとも1つは、前記受動
素子に接続され、前記能動素子の少なくとも1つは、突
起電極を有し、前記基板の主面において前記突起電極を
介して前記端子電極にフリップチップ実装され、前記基
板の主面と平行な面を投影面とした場合、前記誘電体
層、前記抵抗層または前記磁性体層の正射影の面積が前
記基板の主面の正射影の面積より小さく、かつ、前記誘
電体層、前記抵抗層または前記磁性体層は、前記基板の
主面にフリップチップ実装されている前記能動素子が有
する全ての前記突起電極の前記投影面に対する正射影
が、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体層の正
射影に含まれるように形成されている。なお、主面と
は、基板の表面であって最も広い面をいう。
【0019】それにより、各端子電極の各突起電極が接
続される箇所の凹凸の発生を防止する。そのため、基板
に能動素子を安定してフリップチップ実装できる。ま
た、基板主面に形成された能動素子と基板内部の受動素
子を短距離で接続できるので、寄生インダクタンスを低
減でき、高周波特性が優れている。特に、光素子に入射
もしくは光素子から出射する光信号と電気信号との変換
時の周波数特性において、変換利得が半減する遮断周波
数を高周波化して帯域を広げることができる。
【0020】また、前記フリップチップ実装された能動
素子が、前記基板の片側主面のみに存在するようにして
もよい。
【0021】また、前記フリップチップ実装された能動
素子が、前記基板の両側主面に存在するようにしてもよ
い。
【0022】また、前記基板の端面に、端子電極および
この端子電極にフリップチップ実装された能動素子をさ
らに備えるようにしてもよい。
【0023】また、好ましくは、前記基板の主面にフリ
ップチップ実装された光素子の前記突起電極と前記端子
電極との接する領域の中心と、前記誘電体層、前記抵抗
層または前記磁性体層の表面との距離と、前記突起電極
と前記端子電極との接する領域の中心を通る垂線と、前
記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体層の表面との
交点から最も離れた、前記誘電体層、前記抵抗層または
前記磁性体層の端部までの距離との和が、前記光素子で
処理される電気信号の1/2波長の距離よりも小さい。
それにより、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性
体層で形成された容量素子が機能しなくなることを防ぐ
ことができる。
【0024】また、好ましくは、前記誘電体層、前記抵
抗層または前記磁性体層は、前記基板の主面に形成され
た前記一つまたは複数の端子電極ごとに独立して形成さ
れている。それにより、各前記誘電体層、前記抵抗層ま
たは前記磁性体層を小型化することができるためコスト
ダウンが可能となる。
【0025】また、前記能動素子は、半導体素子を含ん
でいてもよい。
【0026】また、好ましくは、前記基板の主面に設置
されている前記半導体素子が有する全ての前記突起電極
の前記投影面に対する正射影が形成されていない領域内
において、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体
層が形成されない領域が存在する。それにより、基板表
面の半導体素子用の端子電極と、基板に内蔵された受動
素子との間の電気配線の自由度を向上させることができ
る。
【0027】また、好ましくは、前記誘電体層、前記抵
抗層または前記磁性体層が形成されていない領域に、ビ
ア導体が形成されている構造とする。それにより、前記
ビア導体を熱伝導率の高い材料で構成し、前記半導体素
子の直下に配置することができるため、半導体素子の熱
を効率よく放熱することができる。
【0028】また、好ましくは、前記受動素子は、前記
誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体層を挟んで形成
された一対の受動素子用電極を備え、前記受動素子用電
極は、前記端子電極の垂直方向の位置に形成され、面内
において複数に分割されているそれにより、能動態素子
の各端子毎に異なる電圧値とすることができ、各端子毎
に任意の容量値のバイパスコンデンサを設けることがで
きる。そのため、半導体素子の高周波特性をさらに良好
にすることができる。
【0029】また、好ましくは、光を導波させる光導波
路と、前記光導波路を固定する溝を有する台座を備えて
いる。それにより、光を前記光導波路を用いて、伝達す
ることができ、さらに、前記光導波路と前記光素子との
位置合わせが容易にできる。
【0030】また、前記溝は、前記光導波路の光軸が前
記基板の主面に対して略平行になるように前記光導波路
を固定するようにしてもよい。
【0031】また、前記溝は、前記光導波路の光軸が前
記基板の主面に対して略垂直になるように前記光導波路
を固定するようにしてもよい。
【0032】また、好ましくは、光を導波させる光導波
路と、前記光導波路を固定する溝とを備え、前記溝は前
記基板上に形成され、前記光導波路の光軸が前記基板の
主面に対して略平行になるように前記光導波路を固定す
る。それにより、台座を用意する必要がなく、コストダ
ウンが実現できる。
【0033】また、前記誘電体層、前記抵抗層または前
記磁性体層は、前記基板の表面に形成されるようにして
もよい。
【0034】また、好ましくは、前記能動素子は、光素
子と半導体素子とを含み、前記光素子は、前記基板の一
方の主面の前記端子電極にフリップチップ実装され、前
記半導体素子は、前記基板の他方の主面の前記端子電極
にフリップチップ実装されている。それにより、光素子
の光結合部と、半導体素子の放熱部が空間的に離れてい
るため、放熱効率が高い。
【0035】また、好ましくは、前記半導体素子の周囲
に無機質フィラーと熱硬化性樹脂組成物を含む混合物が
充填されている。それにより、熱伝導率が高く、放熱効
率が高い。
【0036】さらに、前記無機質フィラーは、アルミ
ナ、窒化アルミ、窒化ケイ素、ベリリア(BeO)、シ
リカのうち少なくとも1つを含むようにすればよい。
【0037】また、前記受動素子が複数形成されていて
もよい。
【0038】また、前記光素子は、受光素子または発光
素子としてもよい。
【0039】また、前記光素子は受光素子であり、前記
半導体素子は前記受光素子の信号を増幅する増幅素子と
してもよい。
【0040】また、前記受光素子は裏面入射型のフォト
ダイオードであり、前記半導体素子はトランスインピー
ダンス型の広帯域増幅器としてもよい。
【0041】また、前記光素子は発光素子とし、前記半
導体素子は前記発光素子を駆動する駆動素子としてもよ
い。
【0042】また、前記発光素子は端面出射型のレーザ
ダイオードもしくは、表面出射型のレーザダイオードの
いずれかであり、前記半導体素子はレーザ駆動用素子で
としてもよい。
【0043】また、前記基板を形成する前記絶縁層は無
機材料の焼結体を主体とする低温焼結性ガラスセラミッ
クスであり、前記受動素子を形成する前記誘電体層は鉛
系ペロブスカイト型化合物を主体としてもよい。
【0044】また、前記基板を形成する前記絶縁層は無
機材料の焼結体を主体とする低温焼結性ガラスセラミッ
クスであり、前記受動素子を形成する前記抵抗層はRu
2を主体としてもよい。
【0045】また、好ましくは、前記能動素子は、光素
子と半導体素子とを含み、前記光素子は、前記基板の端
面に形成された前記端子電極にフリップチップ実装さ
れ、前記半導体素子は、前記基板の主面に形成された前
記端子電極にフリップチップ実装されている。それによ
り、光素子や半導体素子と基板内の受動素子間を短距離
で接続することができるため、高周波特性に優れ、光フ
ァイバと光モジュール内の光素子との光学的接続を容易
に行うことができる。
【0046】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本発明の実施の
形態1にかかる光モジュールについて、図を用いて説明
する。図1は、光モジュールの断面図である。
【0047】図1に示すように実施の形態1の光モジュ
ールは、受動素子10を内蔵している多層基板3の表面
に、光素子1が設置された構成である。受動素子10
は、第1受動素子用電極5と第2受動素子用電極6が受
動素子用誘電体9を上下から挟んだ状態で構成される。
受動素子用誘電体9は、多層基板3の絶縁層11を構成
する絶縁材料とは異なる材料で形成される。なお、多層
基板3は、絶縁層11の内部に受動素子10およびビア
導体8が形成され、絶縁層11の表面に端子電極2が形
成されて構成されている。絶縁層11は、例えば、無機
材料の焼結体を主体とする低温焼結性ガラスセラミック
である。
【0048】光素子1が、例えば、端面入射のフォトダ
イオードまたは端面出射のレーザダイオードの場合は、
光素子1の端面側に光ファイバ30が配置され、光素子
1と光ファイバ30が光学的に結合される。また、例え
ば、光素子1が、例えば、表面もしくは裏面入射のフォ
トダイオードまたは面発光タイプのレーザダイオードの
場合は、図示していないが、光素子1の上面方向に光フ
ァイバ30が配置されて、光素子1と光ファイバ30が
光学的に結合される。
【0049】光素子1は、突起電極であるバンプ7を介
して、多層基板3の表面に形成された端子電極2にフリ
ップチップ接続されている。受動素子10は、ビア導体
8および端子電極2を介して光素子1と接続されてい
る。多層基板3の表面と平行な面を投影面とした場合、
受動素子用誘電体9の正射影の面積が多層基板3の表面
の正射影の面積より小さく、かつ、受動素子用誘電体9
は多層基板3の表面にフリップチップ実装されている光
素子1の全てのバンプ7の投影面に対する正射影が、受
動素子用誘電体9の正射影に含まれるように形成されて
いる。つまり、受動素子用誘電体9は、光素子1の全て
のバンプ7の下方鉛直方向に当たる領域には少なくとも
形成されていて、かつ、多層基板3の全面に広がらずに
部分的に形成されている。
【0050】それにより、受動素子用誘電体9が形成さ
れている領域における多層基板3の表面の凹凸は少ない
ため、光素子1のバンプ7を形成する領域における多層
基板3の表面の凹凸は小さい。したがって、各端子電極
2に接続される各バンプ7を形成する箇所の高低差は少
なく、光素子1を、端子電極2に安定して接続すること
ができる。また、受動素子10の高周波特性も良好であ
る。
【0051】さらに、図3(a)および図3(b)に示
すように、端子電極2とバンプ7との接する領域の中心
と、受動素子用誘電体9との距離aと、端子電極2とバ
ンプ7との接する領域の中心からの垂線が受動素子用誘
電体9と交わる箇所から、受動素子用誘電体9の最も遠
い端部までの距離bとの和が、光素子1で処理される電
気信号の1/2波長の距離よりも小さいことが好まし
い。距離aは、端子電極2と接するバンプ7の領域27
の中心から受動素子用誘電体9までの距離である。距離
bは領域27の中心からの垂線と、受動素子用誘電体9
とが接する点28から最も離れた受動素子用誘電体9の
端部までの距離である。距離aと距離bとの和a+b
が、光素子1で処理される電気信号の波長の1/2以上
である場合には、受動素子10は容量素子として機能し
なくなる。したがって受動素子10が容量素子として機
能するためには、距離a+bが電気信号の波長の1/2
未満であることが好ましい。なお、距離a+bが、電気
信号の波長の1/2未満で1/4よりも大きい場合は、
誘導性を有する場合もあるが、距離a+bが光素子1に
処理される電気信号の波長の1/4以下である場合は、
受動素子は必ず容量性となる。
【0052】電気信号の速度(3×1011(mm/se
c))を比誘電率の平方根で割り、さらに周波数で割っ
たものを1/2にすることで、電気信号の波長の1/2
が得られる。例えば、一秒間に10ギガビットの電気信
号を処理する光素子1の場合、信号の最高周波数は5G
Hzである。多層基板3の絶縁層11は、比誘電率が7
のガラスセラミックス複合材料である場合は、電気信号
の波長の1/2は11.3mmとなる。したがって、距
離a+bは11.3mm未満が好ましい。なお、電気信
号の周波数は、5GHz以外の成分も存在するので、基
本処理速度の信号の周波数を基準にすることが好まし
い。
【0053】各部材について、具体的に説明する。受動
素子用誘電体9の比誘電率は多層基板3の絶縁層11の
比誘電率よりも高いものが用いられる。
【0054】大きな比誘電率を有する誘電体材料として
は、鉛を含む複合ペロブスカイト化合物材料系やチタン
酸バリウム系材料などが用いられる。特に大きな比誘電
率を有し、かつ焼結温度が比較的低温であることから鉛
を含む複合ペロブスカイト化合物材料系を使用すること
が好ましい。鉛系複合ぺロブスカイト化合物は、例え
ば、Pb(B1B2)O3で表される化合物およびこれ
らの化合物を組み合わせたものである。ただし、B1は
Co、Mg、MnまたはNiであり、B2はNb、Ta
またはWである。鉛系複合ぺロブスカイト化合物とし
て、例えば、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−Pb(Ni
1/21/2)O3−PbTiO3などが挙げられる。また、
受動素子用誘電体9の層厚は、特に限定するものではな
いが、通常、5〜50μm程度である。
【0055】また、多層基板3の絶縁層11には、例え
ば、アルミナに代表されるセラミックス材料や、ガラス
セラミックス複合材料等を用いることができる。特に、
焼結温度が比較的低く、銅や銀等の低融点の金属を導体
として使用できることから、ガラスセラミックス複合材
料を使用することが好ましい。ガラスセラミックス複合
材料を構成するガラス成分としては、酸化鉛、酸化亜
鉛、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物など
を含有するほう珪酸塩ガラスおよびほう珪酸ガラスなど
の結晶質ガラスなどがあげられる。なお、ガラスセラミ
ックス複合材料における各成分の組成比は、複合材料の
焼結温度、比誘電率および機械的強度等を考慮して適宜
調整することができる。絶縁層11の層厚は特に限定す
るものではないが、通常30〜300μm程度である。
【0056】光素子1としては、例えば、フォトダイオ
ード等の受光素子を用いることができる。特に、高周波
領域での動作が可能なPINフォトダイオードやアバラ
ンシェフォトダイオードを使用することが好ましい。光
素子1に受光素子を用いた場合、受光素子への電圧印加
用端子を高周波的に接地する必要があるために、多層基
板3内に内蔵する受動素子10としては、容量素子を使
用することが好ましい。この場合、電圧印加用端子に付
随する寄生インダクタンスを小さくできる。これによ
り、受光素子の電圧印加用端子は高周波帯において理想
的に接地状態となるため、受光素子で受光する光信号か
ら電気信号への変換利得が半減する周波数を高周波化す
ることができる。
【0057】次に、実施の形態1の光モジュールの製造
方法について図2を用いて説明する。図2は光モジュー
ルの製造工程を示す断面図である。図2(a)に示すよ
うに、絶縁層11は、第1シート状絶縁体11aと第2
シート状絶縁体11bとが積層されて形成される。第1
シート状絶縁体11aは、少なくとも片面に第2受動素
子用電極6が形成され、容量素子を形成するために、さ
らに、受動素子用誘電体9の層が形成される。受動素子
用誘電体9は、例えば、鉛系ペロブスカイト化合物の原
料粉体に有機バインダをボールミルや3本ロールなどの
慣用の混練機を使用して混合したスラリーを作製し、第
2受動素子用電極6が形成されたシート状絶縁体11a
上に印刷法によりパターニングすることで形成される。
【0058】一方、第2シート状絶縁体11bは、例え
ば、ガラスとアルミナを主成分とする低温焼成基板材料
よりなるグリーンシート(日本電気硝子製MLS−10
00220μm厚み)である。これに、ビア導体8形成
のためにパンチャにより0.2mmφの穴加工を行い貫
通孔を形成し、この貫通孔に銀粉体を主成分とする導電
性ペーストを印刷法により充填し、片面に端子電極2を
含む配線パターンを、他面に第1受動素子用電極5を同
様の導電性ペーストで印刷する。
【0059】多層基板3は、第1シート状絶縁体11a
の受動素子用誘電体9を、第1、第2受動素子用電極
5、6で挟み込むように第2シート状絶縁体11bを積
層したものを、例えば70℃の温度で4.9MPaの圧
力で積層し、さらに850℃〜950℃で0.1〜10
時間の範囲の設定された条件で焼成することで作製され
る。なお、第1シート状絶縁体11aにも、必要に応じ
て、ビア導体8を形成しておく。
【0060】受動素子10を内蔵した多層基板3上に光
素子をフリップチップ実装する方法は、例えば、次のよ
うな方法である。図2(b)に示すように、光素子1の
端子電極上にワイヤボンディング法またはめっき法によ
ってAu等からなる突起電極のバンプ7を形成し、多層
基板3の端子電極2とバンプ7が当接するように位置合
わせを行い、加圧と超音波により光素子1と多層基板3
とを電気的に接続する。
【0061】他の実装方法として、光素子1のバンプ7
を金、銀または銀―パラジウム合金のフレーク状の粒子
が樹脂中に分散された導電性接着剤を介して端子電極2
に接続してもよい。このとき、バンプ7に導電性接着剤
を転写した後、多層基板3の端子電極2に導電性接着剤
が当接するように位置合わせを行い、導電性接着剤を硬
化させることにより、光素子1と多層基板3との電気的
接続を実現してもよい。バンプ7としては、貴金属によ
るもの以外に半田による電極形成も可能であり、熱処理
による半田の溶融を利用してもよい。
【0062】また、半田による突起電極のバンプ7形成
と導電性接着剤の併用も可能である。併用による方法で
は、バンプ7の高さにばらつきがある場合でも、高さの
低いバンプ7が形成された端子が形成されても、導電性
接着剤がバンプ7と端子電極2間の距離のばらつきを吸
収する働きをして安定した実装が可能となる。通常、導
電性接着剤の厚さは10μm程度あるため、これよりも
バンプ7の高さのばらつき量が小さい場合は接続不良な
く安定して接続を行うことができるが、多層基板3表面
の凹凸が10μm以上の場合は安定して接続することが
困難である。
【0063】また、光素子1と端子電極2との接続を補
強するために、光素子1と多層基板3との間に形成され
る隙間空間を液状の樹脂組成物で封止し硬化してもよ
い。この樹脂組成物はエポキシ系の樹脂とシリカなどの
フィラーとを含み、フィラーは樹脂組成物内に均一に分
散されているものである。
【0064】次に、光ファイバ30と光素子1との位置
合わせについて説明する。光ファイバ30と光素子1と
の位置合わせには、アライメントマーク等を用いてあら
かじめ決まった所定の位置に、お互いを設置することで
位置決めがなされるパッシブアライメント法を用いれば
よい。図4は、実施の形態1にかかる光モジュールの実
装体の断面図である。図1で示した光モジュールが、光
ファイバ固定用溝71が設けられた台座61に接続端子
51を介して実装されている。光ファイバ固定用溝71
には、光ファイバ30がはまり込み固定される。
【0065】例えば、半田もしくは導電性樹脂等を用い
たランドグリッドアレーもしくはボールグリッドアレー
により、加熱等によって複数の接続端子51の一括接続
が可能である。このとき台座61および多層基板3等に
複数のアライメントマークを設けておき、位置合わせを
行なう。光ファイバと光素子1が光学的に結合するよう
に、特に、接続端子51が設置される台座61の上面に
対して垂直な軸を回転軸とする回転方向で、多層基板3
の回転角を調整するようにする。
【0066】光ファイバ固定用溝71に光ファイバ30
を設置することで、光ファイバ30は定位置に固定され
る。したがって、あらかじめ、光素子1と光ファイバ3
0との位置を考慮して設計することにより、光ファイバ
30を光ファイバ固定用溝71に設置するだけで、実装
された光素子1と光ファイバ30とが光学的に結合する
ため、位置合わせが容易であり、歩留まりが高く製造す
ることができる。
【0067】上述したように、光素子1は多層基板3に
安定して実装されるため、光素子1の光軸方向が所定の
方向からずれることはない。また、光素子1に設けられ
たアライメントマークと台座61に設けられたアライメ
ントマークの位置を検出して、両者の相対的な位置を調
整することで、光素子1と台座61とは所定の配置とな
る。それにより、光素子1と光ファイバ30とを光学的
に高精度に結合させることができる。このように、高精
度に光結合している光素子1と光ファイバ30を有する
光モジュールを容易に、安定して製造することができ
る。
【0068】光素子1を多層基板3に実装する場合にお
いても、光素子1および多層基板3にアライメントマー
クを設けることで光素子1を所定の位置に実装すること
ができる。例えば、多層基板3側に設けたアライメント
マークは、通常の照明で認識することはできないが、光
素子1を透過する赤外線で認識は可能である。
【0069】また、光ファイバ30の端面にアライメン
トマークを設けて、光素子1に設けられたアライメント
マークとの位置を調整することで、光素子1を所定の位
置に実装することも可能である。
【0070】台座61は、例えば、シリコンで構成する
ことができ、台座61にエッチング等により略V字形状
の光ファイバ固定用溝71を形成すればよい。図5は、
光ファイバ固定用溝の形状を示す断面図である。図5に
示しているように、光ファイバ固定用溝71の断面はV
字形状ではなく、底部に近づくにつれ横幅が小さくなる
台形形状であってもよい。このように、台形形状とする
ことにより、光ファイバ固定用溝71に固定する際に、
光ファイバ固定用溝71の底面部72と光ファイバ30
までの距離が、V字形状に比べて短くなり、光ファイバ
固定用溝71と光ファイバ30で囲まれる空間73の容
積も小さくなる。そのため、光ファイバ30を接着剤を
用いて、光ファイバ固定用溝71に固定する場合に、接
着剤の量が少なくても、安定して光ファイバ30を固定
することができる。光ファイバ30と、光ファイバ固定
用溝71の側面部74は接している方が安定度が高くな
り望ましいが、間に接着剤を介した状態であっても十分
安定している。
【0071】図6は、実施の形態1にかかる光モジュー
ルの実装体の平面図である。なお、図6において、第1
受動素子用電極5は省略している。図に示しているよう
に、受動素子用誘電体9は、一体ではなく分割されてい
て、端子電極2と同一の数とし、各端子電極2と各受動
素子用誘電体9とが接続される構造とすると好ましい。
このようにすることで、受動素子用誘電体9を小さくす
ることができ、高周波特性を良好にすることができる。
なお、受動素子用誘電体9は、多くとも端子電極2と同
数であればよく、それ以下であればよい。受動素子用誘
電体9が少なくとも1つの端子電極2と接続されていれ
ばよい。なお、このときにも、上述したように、距離a
+bが電気信号の波長の1/2未満とすることが好まし
い。
【0072】また、図7に示しているように、光ファイ
バ固定用溝71が設けられた台座61を用いずに、多層
基板3に直接光ファイバ固定用溝71を形成して、光フ
ァイバ30を固定してもよい。この場合は、絶縁層11
がグリーンシートの段階で、突起状の金型によるプレス
成型等で、光ファイバ固定用溝71に対応する部分を形
成してもよいし、もしくは積層後にプレス成型して光フ
ァイバ固定用溝71を形成後に焼成してもよい。
【0073】例えば、多層基板3に設ける溝は、光ファ
イバ固定用溝71だけでなく、光導波路を形成する溝を
形成してもよく、その場合には光ファイバ30の代わり
にその溝に光導波路を形成し、光導波路と光素子1とが
結合するようにする。
【0074】以上のように、実施の形態1の光モジュー
ルによれば、受動素子10を構成する受動素子用誘電体
9が、光素子1のバンプ7の直下に当たる領域に少なく
とも、形成されていて、かつ、多層基板3の全面に広が
らず部分的に形成されるようにしたので、光素子1をフ
リップチップ実装するための端子電極2が形成されてい
る多層基板3表面に凹凸が生じない。それにより、多層
基板3に光素子1を安定してフリップチップ接続するこ
とができるため、パッシブアライメント法を用いること
ができ、歩留まりをよくすることができる。また、受動
素子10の高周波特性は良好である。
【0075】また、端子電極2の直下に接して容量素子
となる受動素子10が形成されるので、端子電極2から
短距離の位置において多層基板3内に容量素子が形成さ
れる。それにより、寄生インダクタンスを小さくできた
め、高周波特性に優れている。
【0076】特に、光素子1に入射もしくは光素子1か
ら出射する光信号と電気信号との変換時の周波数特性に
おいて、高周波領域において変換利得が半減する遮断周
波数が高周波化する光モジュールを実現することができ
る。
【0077】なお、実施の形態1では、多層基板3に内
蔵される受動素子10が容量素子である場合を示した
が、これに限定されるものではなく、例えば、内蔵させ
る受動素子10は、インダクタまたは抵抗素子としても
よい。内蔵される受動素子10をインダクタとするに
は、受動素子用誘電体9の代わりに磁性体を用い、第
1、第2受動素子用電極5、6の位置および形状を変え
るだけでよく、容易に実現できる。
【0078】磁性体としては、特に限定するものではな
く、従来からインダクタ用磁性体として知られているも
のを、焼結温度、透磁率、磁気損失、温度特性などに応
じて適宜選択すればよい。例えば、NiZnCu系、N
iZn系、MnZn系、MgZn系等のスピネルフェラ
イトやガーネットフェライトなどが挙げられる。特に、
電気抵抗率が大きく、焼結温度が比較的低温であること
から、NiZnCu系スピネルフェライトが有用であ
る。また、第1、第2受動素子用電極5、6は、容量素
子の場合と同様の材料を使用することができ、その形状
は、線状、スパイラル状、ミアンダ状など用途に応じて
選択すればよい。
【0079】また、光素子1は、受光素子としたが、例
えば、発光素子や、変調素子としてもよい。光素子1の
種類によって、電極の位置,形状及び内蔵する受動素子
の機能は異なる。発光素子としては、例えば、レーザダ
イオード等が好ましい。特に、高周波領域での動作が可
能な電界吸収型変調器を搭載したレーザダイオードが有
用である。
【0080】(実施の形態2)本発明の実施の形態2に
かかる光モジュールについて図8を用いて説明する。図
8は光モジュールの断面図である。
【0081】実施の形態2の光モジュールは、多層基板
3表面の一部の領域に受動素子12が形成された構成を
有する。
【0082】図8に示すように、多層基板3の表面に受
動素子12が設けられている。受動素子12は、端子電
極2と第2受動素子用電極6a、6bと受動素子用誘電
体9から構成されている。多層基板3上に形成された受
動素子用誘電体9の上面には、端子電極2が被着して形
成されている。端子電極2は、バンプ7を介して光素子
1と接続される電極であるが、受動素子12の電極の役
割を兼用しており、実施の形態1の第1受動素子用電極
5の代りでもある。受動素子用誘電体9は、光素子1の
バンプ7の下方鉛直方向に当たる領域には少なくとも形
成されていて、かつ、全面に広がらずに部分的に形成さ
れているため、各端子電極2同士で凹凸が発生すること
はない。
【0083】第2受動素子用電極6a、6bは、受動素
子用誘電体9の端部と接続するように多層基板3上に形
成されている。その内、第2受動素子用電極6aと一部
の端子電極2とは、直接接続されている。また、端子電
極2と接続されていない第2受動素子用電極6bは、受
動素子用誘電体9上の少なくとも一部を覆うように形成
されている。
【0084】光素子1は、バンプ7を介して端子電極2
にフリップチップ接続され、光ファイバ30は、光素子
1と光学的に結合されるように配置されている。
【0085】次に、実施の形態2の光モジュールの製造
方法について説明する。アルミナやガラスセラミック複
合材料等を絶縁層とする多層基板3上に、受動素子用誘
電体9としてガラス成分を含有した抵抗体ペーストを印
刷法などにより所定の領域に塗布し、乾燥後焼成を行
う。抵抗体ペーストは、例えば、RuO2を主体とする
ルテニウム系サーメット抵抗ペーストなどを用いる。次
に、受動素子用誘電体9の一部を被覆又は重なるよう
に、導体ペーストを印刷法などにより所定の領域に塗布
し、乾燥後焼成を行うことで、端子電極2および第2受
動素子電極6a、6bを形成する。導体ペーストは、例
えば、銀粉末とガラス成分を含有するものとする。
【0086】さらに、受動素子12が形成された多層基
板3上に光素子1が、実施の形態1と同様に、フリップ
チップ実装される。
【0087】以上のように、実施の形態2の光モジュー
ルによれば、各端子電極2同士で、凹凸が発生していな
いので、多層基板3に光素子1を安定してフリップチッ
プ接続することができる。したがって、歩留まりの高い
光モジュール得ることができる。
【0088】また、端子電極2に接して、抵抗素子とな
る受動素子12が形成されるので、受動素子12を多層
基板3の内部に設ける場合に比べてさらに光素子1と受
動素子12を、さらに短い配線で接続することができ
る。そのため、光素子1と受動素子12間の寄生インダ
クタンスを小さくでき、高周波特性に優れる。特に、光
素子1から出射する光信号と電気信号との変換時の周波
数特性において、高周波領域において変換利得が半減す
る遮断周波数が高周波化する光モジュールを実現するこ
とができる。
【0089】具体的には、内蔵抵抗値が45Ωの抵抗素
子を形成したセラミック基板に、直接変調型のレーザダ
イオードを実装した場合、遮断周波数が13GHzまで
平坦な群遅延特性を得ることができた。
【0090】図9は、光モジュールの電気−光信号変換
特性の周波数特性を示す図である。横軸は周波数、縦軸
は電気−光変換利得であって、Aが、実施の形態2の光
モジュールにおける特性、Bが従来の光モジュールにお
ける特性を示す。いわゆる遮断周波数は、電気−光変換
利得が−3dBとなる周波数である。図9中では、実施
の形態2の光モジュールの遮断周波数はf1で、従来の
光モジュールの遮断周波数はf2で表わされていて、f
1は13GHz、f2は12GHzであった。つまり、
実施の形態2では、従来の構成に比べて遮断周波数が高
周波化されて帯域が広くなっていることがわかる。
【0091】また、いわゆる緩和共振周波数は、電気−
光変換利得がピークとなる周波数である。図9中では、
実施の形態2の光モジュールの緩和共振周波数はf3
で、従来の光モジュールの緩和共振周波数はf4で表わ
されていて、そのときの電気−光変換利得をそれぞれ、
P1、P2で表わす。図9より、実施の形態2の電気−
光変換利得のピークP1に比べて、従来の電気−光変換
利得のピークP2の方が大きいことがわかる。電気−光
変換利得の変化は、群遅延特性と相関関係があり、電気
−光変換利得の変化が少ない方が、群遅延特性は良好と
なる。つまり、電気−光変換利得のピークが小さいほど
群遅延特性は良好といえる。したがって、実施の形態2
では、従来の構成に比べて群遅延特性が良好である。
【0092】なお、実施の形態2では、光素子1として
発光素子を、内蔵される受動素子12を抵抗素子とした
が、これに限定されるものではなく、例えば、光素子1
として受光素子を用い、受動素子12として容量素子を
用いてもよい。
【0093】(実施の形態3)実施の形態3にかかる光
モジュールについて、図10を用いて説明する。図10
は実施の形態3にかかる光モジュールの構成を示す断面
図である。
【0094】実施の形態3の光モジュールは、多層基板
3の内部に受動素子10が内蔵され、表面に能動素子で
ある光素子1および半導体素子31が設置された構成で
ある。受動素子10は、第1受動素子用電極5と第2受
動素子用電極6が受動素子用誘電体9を上下から挟んだ
状態で構成される。受動素子用誘電体9は、多層基板3
の絶縁層11を構成する絶縁材料とは異なる材料で形成
される。
【0095】光素子1および半導体素子31は、能動面
を多層基板3側に向けた状態でバンプ7を介して多層基
板3にフリップチップ接続されている。受動素子10
は、ビア導体8および多層基板3の表面に形成された端
子電極2を介して、光素子1および半導体素子31に接
続されている。光素子1と半導体素子31は隣接して配
置されていて、受動素子用誘電体9は、光素子1および
半導体素子31のそれぞれのバンプ7の下方鉛直方向に
当たる領域には少なくとも形成されていて、かつ、全面
に広がらずに部分的に形成されている。つまり、光素子
1および半導体素子31の直下に当たる付近に受動素子
用誘電体9が形成されている。そのため、面内の凹凸が
光素子1および半導体素子31が搭載されていない領域
に比べて小さい。したがって、光素子1および半導体素
子31が搭載される領域の各端子電極2の高低差は少な
く、光素子1を、端子電極2に安定して接続することが
できる。
【0096】光素子1は、例えば、光信号を電気信号に
変換するフォトダイオード等の受光素子や電気信号を光
信号に変換するレーザダイオード等の発光素子である。
半導体素子31は光素子1からの信号を増幅する機能又
は光素子1を駆動する機能を有し、例えば、光素子1が
フォトダイオード等の受光素子の場合、半導体素子31
はフォトダイオードからの電気信号を増幅する広帯域の
トランスインピーダンス型の増幅器を用いることができ
る。また、光素子1が発光素子の場合、発光素子を駆動
する広帯域の駆動素子を用いることができる。
【0097】受動素子用誘電体9は、多層基板3の絶縁
層11の比誘電率よりも大きな比誘電率の材料を用いた
場合には、受動素子10は容量素子となり、多層基板3
の絶縁層の導電率よりも大きな導電率の抵抗体を材料と
して用いた場合には、受動素子10は抵抗素子となる。
【0098】また、光素子1と半導体素子31は隣接し
て配置されていて、受動素子用誘電体9は必要部分のみ
に形成されている。これにより、不要な部分に受動素子
用誘電体9が形成されていないため、内部の配線層にお
いて、クロストークや不要な箇所における浮遊容量を抑
制できる。また、光素子1がレーザダイオード等の発光
素子で半導体素子31がレーザダイオードを駆動する素
子の場合や、光素子1がフォトダイオード等の受光素子
で半導体素子31がフォトダイオードからの電気信号を
増幅する増幅素子の場合、遮断周波数を高周波化して帯
域を広げることができる。
【0099】(実施の形態4)本発明の実施の形態4に
かかる光モジュールについて図面を用いて説明する。図
11は光モジュールの断面図であり、図12は平面図で
ある。
【0100】実施の形態4の光モジュールは、図9に示
す実施の形態3の光モジュールと同様に、受動素子用誘
電体9は、光素子1および半導体素子31のそれぞれの
バンプ7の下方鉛直方向に当たる領域には少なくとも形
成されていて、かつ、全面に広がらずに部分的に形成さ
れている。つまり、光素子1および半導体素子31の直
下に当たる付近にのみ受動素子用誘電体9が形成されて
いる。それにより、その箇所の多層基板3表面の面内の
凹凸が小さく、光素子1と半導体素子31を安定してフ
リップチップ接続することができる。そのため、歩留ま
りの高い光モジュールを得ることができる。また、高周
波特性は良好である。
【0101】図11、図12に示すように、半導体素子
31のバンプ7の直下以外には、受動素子用誘電体9が
形成されていない領域14がある。この領域14を用い
ることで、受動素子10の形成に制限されることなく自
由度の高い配線を行うことができる。また、不要な部分
に受動素子用誘電体9を形成する必要がないため、多層
基板3内部の配線層において、クロストークや不要な箇
所における浮遊容量を抑制でき、遮断周波数を高周波化
して帯域を広げることができる。この構造では、光素子
1がレーザダイオード等の発光素子で半導体素子31が
レーザダイオードを駆動する素子の場合に、熱伝導率の
高い材料で充填されたビア導体8を、受動素子用誘電体
9が形成されていない領域14に配置することが好まし
い。それにより、駆動素子の熱を効率よく放熱すること
ができる。
【0102】(実施の形態5)本発明の実施の形態5に
かかる光モジュールについて、図を用いて説明する。図
13は断面図であって、図14は、製造工程を示す断面
図である。なお、図13と図14の光モジュールでは、
上下が反転している。
【0103】実施の形態5の光モジュールは、受動素子
10が内蔵された多層基板3の一方の面には光素子1
が、他方の面には半導体素子31が実装された構成であ
る。受動素子用誘電体9は、光素子1および半導体素子
31のそれぞれバンプ7の下方もしくは上方鉛直方向に
当たる領域には少なくとも形成されていて、かつ、全面
に広がらずに部分的に形成されている。つまり、光素子
1の直下および直上に当たる付近にのみ受動素子用誘電
体9が形成されている。
【0104】実施の形態5の光モジュールの製造方法に
ついて説明する。なお、図14に示している第1シート
状絶縁体11aと第2シート状絶縁体11bとが積層さ
れて、絶縁層11が形成される。図14(a)に示すよ
うに、第1シート状絶縁体11aは、パンチャによる穴
加工によって貫通孔が形成され、この貫通孔に銀粉体を
主成分とする導電性ペーストが印刷法により充填されて
いる。第1シート状絶縁体11aの一面に第2の受動素
子用電極6が形成され、容量素子を形成するために、さ
らに、受動素子用誘電体9が印刷法等によって形成され
る。
【0105】一方、第2シート状絶縁体11bは、前述
したように、貫通孔が形成され、導電性ペーストが充填
された後に、一面には端子電極2を含む配線パターン
が、他面には第1受動素子用電極5が形成される。
【0106】次に、図14(b)に示すように、第1受
動素子用電極5と第2受動素子用電極6とで受動素子用
誘電体9を挟み込むように第1シート状絶縁体11aと
第2シート状絶縁体11bを加熱加圧により積層し、そ
の後に焼成を行うことで、受動素子10が内蔵された多
層基板3が形成される。この際、受動素子用誘電体9
は、第2シート状絶縁体11bに形成されていた端子電
極2に接続されるバンプ7が形成される位置の直下には
少なくとも形成され、しかも第1シート状絶縁体11a
に形成されていた端子電極2に接続されるバンプ7が形
成される位置の直上には少なくとも形成され、かつ、多
層基板3の全面に形成されずに部分的に形成されてい
る。
【0107】さらに、図14(c)、図14(d)に示
すように、入出力端子にバンプ7が形成された光素子1
と半導体素子31とが対向する面に位置合わせされた後
に、多層基板3上の端子電極2にフリップチップ実装さ
れ、光モジュールが製造される。
【0108】実施の形態5の光モジュールは、受動素子
用誘電体9が設けられた領域は、設けられていない領域
に比べて多層基板3の厚さが厚くなっている。しかし、
光素子1や半導体素子31を搭載するための端子電極2
が形成された面の凹凸は受動素子用誘電体9および多層
基板3の絶縁体の焼成時のばらつき程度であるため、安
定して光素子1や半導体素子31を多層基板3に搭載す
ることができる。また、光素子1や半導体素子31と、
受動素子10とは短距離で接続することができるため、
光モジュールは、高周波特性に優れている。
【0109】また、実施の形態5の光モジュールに対し
て、図13に示すように光ファイバ30が、多層基板3
の積層面に対して、光軸が略垂直方向になるよう配置さ
れる。これは、光素子1が表面出射型のレーザ素子であ
るためである。つまり、光ファイバ30が光素子1と光
学的結合を得ることができる配置とされている。なお。
光素子1が受光素子の場合も同様に、光ファイバ30が
多層基板3の積層面に対して、光軸が略垂直方向になる
よう配置される。なお、光ファイバ30の端面で起こる
戻り光の影響による雑音特性の劣化を防ぐため、光ファ
イバ30の光軸と光素子1(前者の場合)の出射方向と
がなす角度は、1〜2度程度となるように調整される。
【0110】上述した光モジュールは、図15に示すよ
うに、台座61に接続端子51を介して実装することが
できる。特に、光素子1として表面出射型のレーザダイ
オード等を用い、半導体素子31としてレーザダイオー
ドを駆動する素子を用いれば、光素子1と光ファイバ3
0との光学的な結合を行う領域と半導体素子31の裏面
が台座61と接続される領域とが多層基板3を挟んで構
成されるため、光素子1と光ファイバ30とが光学的に
容易に結合できる上、半導体素子31の放熱を容易に行
うことができる。
【0111】また、台座61に、光ファイバ30を固定
するための光ファイバ固定用溝71を設けることで、光
ファイバ固定用溝71に光ファイバ30を設置するだけ
で容易に光軸合わせを行うことができる。
【0112】(実施の形態6)本発明の実施の形態6に
かかる光モジュールについて、図16を用いて説明す
る。図16(a)は平面図であり、図16(b)は断面
図である。
【0113】実施の形態6の光モジュールは、多層基板
3の内部に形成された受動素子用誘電体9に接して設け
られた第1受動素子用電極5が一枚ではなく、複数に分
割されて形成されていることを特徴とする。
【0114】なお、実施の形態6の光モジュールは、図
16(a)の平面図より明らかなように、第1受動素子
用電極5が5つに分割されている。受動素子10を容量
素子として内蔵する場合、第1受動素子用電極5は、光
素子1の電源用端子数と半導体素子31の高周波用電源
端子数との合計数に分割することが望ましい。そうする
ことで、端子ごとに異なる電圧とすることができる。
【0115】例えば、比誘電率4000の材料で厚さが
30μmの受動素子用誘電体9層を設けた場合、第1受
動素子用電極5の寸法を0.95mm×0.95mmの
大きさにすることにより、約1000pFの容量値が得
られる。2mm×2mmの大きさの半導体素子31を用
いた場合では、約1000pFの容量素子である受動素
子10を半導体素子31の直下であって、半導体素子3
1の近傍に4個配置することができ、4種類の電圧値の
異なる電源端子と、多層基板3に内蔵された受動素子1
0を接続することができる。
【0116】容量値は、受動素子用誘電体9層の材料と
厚さと第1受動素子用電極5と第2受動素子用電極6の
寸法により任意に制御することができ、電極の形状を任
意に形成することにより、各端子ごとに容量値の異なる
容量素子を形成することができる。
【0117】また、図16(b)に示されているよう
に、半導体素子31のバンプ7の直下以外には、受動素
子用誘電体9が形成されていない領域14がある。この
領域14を用いることで、受動素子10の形成に制限さ
れることなく自由度の高い配線を行うことができる。ま
た、不要な部分に受動素子用誘電体9を形成する必要が
ないため、多層基板3内部の配線層において、クロスト
ークや不要な箇所における浮遊容量を抑制でき、遮断周
波数を高周波化して帯域を広げることができる。この構
造では、光素子1がレーザダイオード等の発光素子で半
導体素子31がレーザダイオードを駆動する素子の場合
に、熱伝導率の高い材料で充填されたビア導体8を、受
動素子用誘電体9が形成されていない領域14に配置す
ることが好ましい。それにより、駆動素子の熱を効率よ
く放熱することができる。
【0118】以上のように、実施の形態6の光モジュー
ルによれば、光素子1と半導体素子31内の複数の端子
ごとに異なる特性の受動素子10を最短で接続すること
ができるため、端子ごとに最適な回路構成を実現できる
光モジュールが得られる。
【0119】さらに、光素子1がフォトダイオード等の
受光素子で半導体素子31がフォトダイオードからの電
気信号を増幅する増幅素子の場合、遮断周波数を高周波
化して帯域を広げることができる。
【0120】(実施の形態7)本発明の実施の形態7に
かかる光モジュールについて図17を用いて説明する。
図17に示すように、多層基板3の表面に受動素子12
aが設けられている。受動素子12aは、端子電極2と
第2受動素子用電極6a、6bと受動素子用誘電体9か
ら構成されている。多層基板3上に形成された受動素子
用誘電体9の上面には、端子電極2が被着して形成され
ている。端子電極2は、バンプ7を介して光素子1と接
続される電極であるが、受動素子12aの電極の役割を
兼用している。受動素子用誘電体9は、光素子1のバン
プ7の下方鉛直方向に当たる領域には少なくとも形成さ
れていて、かつ、全面に広がらずに部分的に形成されて
いる。つまり、光素子1の直下に当たる付近にのみ受動
素子用誘電体9が形成されているので、バンプが形成さ
れる各端子電極2同士で凹凸が発生することはない。ま
た、光モジュールの高周波特性も良好となる。
【0121】第2受動素子用電極6a、6bは、受動素
子用誘電体9の端部と接続するように多層基板3上に形
成されている。その内、第2受動素子用電極6aと一部
の端子電極2とは、電気的に接続されている。また、端
子電極2と接続されていない第2受動素子用電極6b
は、受動素子用誘電体9上の少なくとも一部を覆うよう
に形成されている。
【0122】さらに、多層基板3には多層基板3の表面
に設けられた受動素子12aとは機能が異なる受動素子
10aが内蔵されている。多層基板3の内部に設けられ
た受動素子10aを構成する第1受動素子用電極5aと
第2受動素子用電極6cの内の少なくとも一方はビア導
体8を介して多層基板3の表面の端子電極2と電気的に
接続されている。さらに、少なくとも、光素子1の端子
電極2に接続されているバンプ7の直下に当たる領域に
は、多層基板3の絶縁層11を構成する絶縁材料および
多層基板3の表面に設けられた受動素子12aを構成す
る受動素子用誘電体9とも異なる材料よりなる受動素子
用誘電体9aが形成されていて、かつ、全面に広がって
受動素子用誘電体9が形成されることはない。
【0123】光素子1が端面入射のフォトダイオード又
は端面出射のレーザダイオードの場合、図17で示して
いるように、光素子1の端面側に光ファイバ30が配置
され光学的に光素子1と光ファイバ30が結合される。
また、表面もしくは裏面入射のフォトダイオード又は面
発光タイプのレーザダイオードの場合、図17では図示
していないが、光素子1の上面方向に光ファイバ30が
配置され光学的に光素子1と光ファイバ30が結合され
る。光素子1としては、レーザダイオード等の発光素子
やフォトダイオード等の受光素子を用いることができ
る。
【0124】以上のように、実施の形態7の光モジュー
ルによれば、多層基板3と光素子1を安定してフリップ
チップ接続することができ、歩留まりの高い光モジュー
ルを得ることができる。また、異なる複数の機能を有す
る受動素子12a、10aを光素子1へ短配線で接続す
ることができるため、光素子1と受動素子12a、10
a間の寄生インダクタンスを小さくでき、高周波特性に
優れる。特に、多層基板3の内部に容量素子(受動素子
10a)を形成し、多層基板の表層に抵抗素子(受動素
子12a)を形成した場合、光素子1から出射する光信
号と電気信号との変換時の周波数特性において、高周波
領域において変換利得が半減する遮断周波数が高周波化
することと、光モジュールを外部からみた入力インピー
ダンスを広い帯域において一定にすることができる。
【0125】(実施の形態8)本発明の実施の形態8に
かかる光モジュールについて、図面を用いて説明する。
図18は断面図であり、図19は光モジュールの実装体
の断面図である。
【0126】図18に示すように、多層基板3の内部に
受動素子10が内蔵され、受動素子10を構成する第1
受動素子用電極5と第2受動素子用電極6は、ビア導体
8を介して多層基板3の表面の端子電極2と接続されて
いる。半導体素子31は多層基板3上の端子電極2に、
バンプ7を介してフリップチップ接続されている。受動
素子10を構成し、多層基板3の絶縁層11を構成する
絶縁材料とは異なる材料で構成されている受動素子用誘
電体9は、半導体素子31のバンプ7の下方鉛直方向に
当たる領域には少なくとも形成されていて、かつ、全面
に広がらずに部分的に形成されている。つまり、半導体
素子31の直下に当たる付近にのみ受動素子用誘電体9
が形成されている。それにより、各端子電極2のバンプ
7が形成されているそれぞれの箇所に凹凸が発生するこ
とはなく、受動素子10の高周波特性は良好である。
【0127】また、多層基板3の端面に形成された端子
電極2に、光素子1がバンプ7を介してフリップチップ
実装されている。多層基板3の表面に形成された端子電
極2と、端面に形成された端子電極2は電気的に接続さ
れている。
【0128】光素子1として例えば、裏面入射のフォト
ダイオード等の受光素子を用いることができ、半導体素
子31としては例えば、フォトダイオードからの電気信
号を増幅する広帯域のトランスインピーダンス型の増幅
器を用いることができる。
【0129】また、光素子1として、面発光型のレーザ
ダイオード等の発光素子を用いた場合、半導体素子31
としては発光素子を駆動する広帯域の駆動素子を用いる
ことができる。
【0130】このような、光モジュールでは、多層基板
3の表面に設けられたそれぞれの端子電極2の面内の凹
凸の発生を防ぐことができるため、多層基板3と半導体
素子31を安定してフリップチップ接続することができ
る。したがって、歩留まりの高い光モジュールを得るこ
とができる。また、光素子1や半導体素子31と受動素
子10を含む受動素子間を短距離で接続することができ
るため、高周波特性に優れた光モジュールを得ることが
できる。
【0131】また、上述の光モジュールを光素子1とし
て、表面出射型のレーザダイオード等の発光素子や裏面
入射型のフォトダイオード等の受光素子を用いて構成
し、この光モジュールを、図19に示すように、光ファ
イバ固定用溝71が設けられた台座61へ接続端子51
を介して実装することで、光ファイバ30と光モジュー
ル内の光素子1との光学的接続を容易に行うことができ
る。
【0132】(実施の形態9)本発明の実施の形態9に
かかる光モジュールについて、図20を用いて説明す
る。
【0133】図20に示すように、実施の形態9の光モ
ジュールは、多層基板3の表面には端子電極2が形成さ
れ、多層基板3の内部に設けられた受動素子10の第1
受動素子用電極5と第2受動素子用電極6とは、ビア導
体8および端子電極2を介してそれぞれ光素子1と半導
体素子31とに接続されている。光素子1と半導体素子
31が、多層基板3の両側主面にそれぞれ形成された端
子電極2に、各バンプ7を介してフリップチップ実装さ
れている。多層基板3を形成する絶縁層11とは異なる
材料からなる受動素子用誘電体9は、光素子1と半導体
素子31のバンプ7の下方または上方鉛直方向に当たる
領域には少なくとも形成されていて、かつ、全面に広が
らずに部分的に形成されている。つまり、光素子1と半
導体素子31の直下または直上に当たる付近にのみ受動
素子用誘電体9が形成されている。
【0134】さらに半導体素子31の周囲には、無機質
フィラーと熱硬化性樹脂組成物を含む電気的に絶縁性の
混合物18が充填されている。混合物18の表面には配
線パターン17が形成されていて、この配線パターン1
7と多層基板3の端子基板2とを接続するためにビア導
体8が形成されている。
【0135】混合物18の熱硬化性樹脂としては、例え
ばエポキシ樹脂、フェノール樹脂を用いることができ、
無機フィラーとしてアルミナ、窒化ケイ素、ベリリア
(BeO)、MgO、窒化アルミ、SiO2等を用いる
ことができる。また必要であれば、カップリング剤、分
散剤、着色剤を添加する事もできる。
【0136】次に、実施の形態9の光モジュールの製造
方法について図21を用いて説明する。光モジュール3
2は、図13に示す実施の形態5の光モジュールと同様
の光モジュールで、受動素子10を内蔵した多層基板3
の一方の面に光素子1が、他方の面に半導体素子31が
実装されている。光素子1と半導体素子31それぞれと
電気的に接続される端子電極2に接続されるバンプ7が
形成される位置の受動素子用誘電体9は、光素子1のバ
ンプ7の下方鉛直方向に当たる領域には少なくとも形成
されていて、かつ、全面に広がらずに部分的に形成され
ている。つまり、光素子1の直下に当たる付近にのみ受
動素子用誘電体9が形成されている。
【0137】この光モジュール32に、無機フィラーと
未硬化状態の熱硬化樹脂の混合物18をシート状に加工
し、貫通孔を形成し、さらに導電性ペーストを貫通孔に
充填してビア導体8を形成したものと、銅箔26を位置
合わせして重ねたシート状混合物33をプレスにより加
熱加圧することで、半導体素子31の周囲に無機フィラ
ーと熱硬化樹脂の混合物18が充填された、実施の形態
9の光モジュールが製造される。
【0138】次に、無機フィラーと未硬化状態の熱硬化
性樹脂の混合物18をシート状に加工する工程について
説明する。無機フィラーと液状の熱硬化樹脂を混合して
ペースト状混練物を作製した後、一定厚みに成形し、後
述する条件で熱処理することで熱硬化樹脂が未硬化状態
のシート状混合物を得る。
【0139】無機フィラーとしては、例えば、アルミナ
粉末を用いることができ、熱硬化樹脂としては、例え
ば、エポキシ樹脂が用いられる。シート状に加工する際
は、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフ
ィルムで混合物18を挟み加熱加圧により所定の厚さに
プレスする。この際、熱硬化樹脂の硬化開始温度以下で
の熱処理を行うことで未硬化状態のシート状混合物を得
る。例えばエポキシ樹脂の硬化開始温度が130℃であ
る場合は熱処理温度を120℃、圧力は0.98MPa
で行う。混合物18の厚さは、半導体素子31の厚さよ
りも厚く形成される。シート状に加工後の混合物18
は、レーザー加工法やパンチング加工により貫通孔を形
成される。例えば、金、銀または銅の粉末の導電材料
と、エポキシ樹脂および硬化剤からなる熱硬化樹脂とを
混練した導電性ペーストが印刷法などにより、貫通孔に
充填される。さらに、混合物18の片側主面に銅箔26
が形成され、シート状混合物33が完成する。
【0140】半導体素子31の周囲を無機フィラーと熱
硬化性樹脂の混合物18で充填する工程は、シート状混
合物33中の熱硬化樹脂が硬化する前の状態で行う。光
モジュール32とシート状混合物33をプレスして加熱
することで温度を175℃に上昇させる。そのまま1時
間保持してシート状混合物33の混合物18および貫通
孔に充填された導電性ペーストを完全に硬化させる。最
後に、表面に銅箔26をエッチング法等により加工して
配線パターン17を形成する。
【0141】なお、光モジュール32とシート状混合物
33をプレスする際に、半導体素子31が多層基板3表
面から突出しているため、シート状混合物18に圧力が
かかり、シート状混合物18中の熱硬化性樹脂が、半導
体素子31の存在しない領域、つまり、多層基板3の両
端の領域に流出される。そのため、半導体素子31の鉛
直方向の領域においては、無機質フィラーの充填率が高
くなる。無機質フィラーは、熱硬化性樹脂よりも大幅に
熱伝導率が高いため、半導体素子31の鉛直方向は熱伝
導性が高い構造となる。それにより、半導体素子31の
下方からの放熱性が向上する。
【0142】以上のように、実施の形態9の光モジュー
ルによれば、半導体素子31の周囲に充填するシート状
混合物18において、熱伝導性の高い任意の無機質フィ
ラーを選択することで放熱性に優れた光モジュールを得
ることができる。
【0143】そして、光素子1が端面出射のレーザダイ
オード等の発光素子の場合、光ファイバ固定用溝が設け
られた台座へ接続端子を介して光モジュールを実装する
と、光ファイバ30と光モジュール内の光素子1との光
学的接続を容易に行うことができる。
【0144】なお、実施の形態1〜9に具体的に示した
材料や各種の数値は、あくまでも一例であり、本発明は
これらの具体例のみに限定されるものではない。
【0145】
【発明の効果】本発明の光モジュールは、光素子等の能
動素子を多層基板上に安定してフリップチップ実装する
ことができ、高周波特性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1にかかる光モジュール
の構成を示す断面図
【図2】 本発明の実施の形態1にかかる光モジュール
の製造工程を示す断面図であって、図2(a)は第1工
程図、図2(b)は第2工程図
【図3】 本発明の実施の形態1にかかる光モジュール
における受動素子用誘電体の配置を示す図であって、図
3(a)は断面図、図3(b)は平面図
【図4】 本発明の実施の形態1にかかる光モジュール
の実装体の断面図
【図5】 本発明の実施の形態1にかかる光ファイバ固
定用溝の断面図
【図6】 本発明の実施の形態1にかかる光モジュール
における分割された受動素子用誘電体を示す平面図
【図7】 本発明の実施の形態1にかかる他の光モジュ
ールの断面図
【図8】 本発明の実施の形態2にかかる光モジュール
の構成を示す断面図
【図9】 本発明の実施の形態2にかかる光モジュール
の電気光変換効率の周波数特性を示す図
【図10】 本発明の実施の形態3にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図11】 本発明の実施の形態4にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図12】 本発明の実施の形態4にかかる光モジュー
ルの構成を示す平面図
【図13】 本発明の実施の形態5にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図14】 本発明の実施の形態5にかかる光モジュー
ルの製造工程を示す断面図であって、図14(a)は第
1工程図、図14(b)は、第2工程図、図14(c)
は第3工程図、図14(d)は第4工程図
【図15】 本発明の実施の形態5にかかる光モジュー
ルの実装体の構成を示す断面図
【図16】 本発明の実施の形態6にかかる光モジュー
ルの構成図であって、図16(a)は平面図、図16
(b)は図16(a)のB−B′断面図
【図17】 本発明の実施の形態7にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図18】 本発明の実施の形態8にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図19】 本発明の実施の形態8にかかる光モジュー
ルの実装体の構成を示す断面図
【図20】 本発明の実施の形態9にかかる光モジュー
ルの構成を示す断面図
【図21】 本発明の実施の形態9にかかる光モジュー
ルの製造方法を示す断面図
【図22】 従来の光通信用のモジュールの構成を示す
断面図
【図23】 他の従来の光通信用のモジュールの製造工
程を示す断面図であって、図23(a)は第1工程図、
図23(b)は第2工程図
【図24】 他の従来の光通信用のモジュールの光軸の
ずれを説明するための断面図
【符号の説明】
1 光素子 2 端子電極 3 多層基板 5、5a 第1受動素子用電極 6、6a、6b、6c 第2受動素子用電極 7 バンプ 8 ビア導体 9、9a 受動素子用誘電体 10、10a、12、12a 受動素子 11a 第1シート状絶縁体 11b 第2シート状絶縁体 14、27 領域 17 配線パターン 18 混合物 26 銅箔 28 点 30 光ファイバ 31 半導体素子 32 光モジュール 33 シート状混合物 51 接続端子 61 台座 71 光ファイバ固定用溝 72 底面部 73 空間 74 側面部 201 光素子 202、202a、202b 端子電極 203 多層基板 205 上側電極 206 下側電極 207、207a、207b バンプ 208 ビア導体 209 誘電体層 230 光ファイバ 231 半導体素子 241 出射方向 242 光軸 251 接続端子 261 台座 271 V溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小掠 哲義 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F073 AB13 AB16 AB28 BA01 EA14 FA02 FA07 FA15 FA30 5F088 AA01 BA02 BA03 BB01 EA09 EA11 EA16 EA20 GA02 JA14 JA20

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層と、前記絶縁層の内部または表面
    に設けられた受動素子と、前記絶縁層の表面に形成され
    た端子電極とを備えた基板と、 少なくとも光素子を含み、前記基板表面において前記端
    子電極に接続された能動素子とを備え、 前記受動素子は、誘電体層、抵抗層、または磁性体層を
    有し、 前記端子電極の少なくとも1つは、前記受動素子に接続
    され、 前記能動素子の少なくとも1つは、突起電極を有し、前
    記基板の主面において前記突起電極を介して前記端子電
    極にフリップチップ実装され、 前記基板の主面と平行な面を投影面とした場合、前記誘
    電体層、前記抵抗層または前記磁性体層の正射影の面積
    が前記基板の主面の正射影の面積より小さく、 かつ、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体層
    は、前記基板の主面にフリップチップ実装されている前
    記能動素子が有する全ての前記突起電極の前記投影面に
    対する正射影が、前記誘電体層、前記抵抗層または前記
    磁性体層の正射影に含まれるように形成されている光モ
    ジュール。
  2. 【請求項2】 前記フリップチップ実装された能動素子
    が、前記基板の片側主面のみに存在する、請求項1に記
    載の光モジュール。
  3. 【請求項3】 前記フリップチップ実装された能動素子
    が、前記基板の両側主面に存在する、請求項1に記載の
    光モジュール。
  4. 【請求項4】 前記基板の端面に、端子電極およびこの
    端子電極にフリップチップ実装された能動素子をさらに
    備えた、請求項1に記載の光モジュール。
  5. 【請求項5】 前記基板の主面にフリップチップ実装さ
    れた光素子の前記突起電極と前記端子電極との接する領
    域の中心と、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性
    体層の表面との距離と、 前記突起電極と前記端子電極との接する領域の中心を通
    る垂線と、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体
    層の表面との交点から最も離れた、前記誘電体層、前記
    抵抗層または前記磁性体層の端部までの距離との和が、
    前記光素子で処理される電気信号の1/2波長の距離よ
    りも小さい請求項1に記載の光モジュール。
  6. 【請求項6】 前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁
    性体層は、前記基板の主面に形成された前記一つまたは
    複数の端子電極ごとに独立して形成されている請求項1
    に記載の光モジュール。
  7. 【請求項7】 前記能動素子は、半導体素子を含んでい
    る請求項1に記載の光モジュール。
  8. 【請求項8】 前記基板の主面にフリップチップ実装さ
    れている前記半導体素子が有する全ての前記突起電極の
    前記投影面に対する正射影が形成されていない領域内に
    おいて、前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁性体層
    が形成されない領域が存在する請求項7に記載の光モジ
    ュール。
  9. 【請求項9】 前記誘電体層、前記抵抗層または前記磁
    性体層が形成されていない領域に、ビア導体が形成され
    ている請求項8に記載の光モジュール。
  10. 【請求項10】 前記受動素子は、前記誘電体層、前記
    抵抗層または前記磁性体層を挟んで形成された一対の受
    動素子用電極を備え、 前記一対の受動素子用電極の少なくとも一方は、面内に
    おいて複数に分割されている請求項1に記載の光モジュ
    ール。
  11. 【請求項11】 光を導波させる光導波路と、前記光導
    波路を固定する溝を有する台座を備えている請求項1に
    記載の光モジュール。
  12. 【請求項12】 前記溝は、前記光導波路の光軸が前記
    基板の主面に対して略平行になるように前記光導波路を
    固定する請求項11に記載の光モジュール。
  13. 【請求項13】 前記溝は、前記光導波路の光軸が前記
    基板の主面に対して略垂直になるように前記光導波路を
    固定する請求項11に記載の光モジュール。
  14. 【請求項14】 光を導波させる光導波路と、前記光導
    波路を固定する溝とを備え、 前記溝は前記基板上に形成され、前記光導波路の光軸が
    前記基板の主面に対して略平行になるように前記光導波
    路を固定する請求項1に記載の光モジュール。
  15. 【請求項15】 前記能動素子は、光素子と半導体素子
    とを含み、 前記光素子は、前記基板の一方の主面の前記端子電極に
    フリップチップ実装され、 前記半導体素子は、前記基板の他方の主面の前記端子電
    極にフリップチップ実装されている請求項3に記載の光
    モジュール。
  16. 【請求項16】 前記半導体素子の周囲に無機質フィラ
    ーと熱硬化性樹脂組成物を含む混合物が充填されている
    請求項15に記載の光モジュール。
  17. 【請求項17】 前記無機質フィラーは、アルミナ、窒
    化アルミ、窒化ケイ素、ベリリア(BeO)、シリカの
    うち少なくとも1つを含む請求項16に記載の光モジュ
    ール。
  18. 【請求項18】 前記受動素子が複数形成されている請
    求項1に記載の光モジュール。
  19. 【請求項19】 前記光素子は、受光素子または発光素
    子である請求項1に記載の光モジュール。
  20. 【請求項20】 前記光素子は受光素子であり、前記半
    導体素子は前記受光素子の信号を増幅する増幅素子であ
    る請求項7に記載の光モジュール。
  21. 【請求項21】 前記受光素子は裏面入射型のフォトダ
    イオードであり、前記半導体素子はトランスインピーダ
    ンス型の広帯域増幅器である請求項20に記載の光モジ
    ュール。
  22. 【請求項22】 前記光素子は発光素子であり、前記半
    導体素子は前記発光素子を駆動する駆動素子である請求
    項7に記載の光モジュール。
  23. 【請求項23】 前記発光素子は端面出射型のレーザダ
    イオードもしくは、表面出射型のレーザダイオードのい
    ずれかであり、前記半導体素子はレーザ駆動用素子であ
    ることを特徴とする請求項22に記載の光モジュール。
  24. 【請求項24】 前記基板を形成する前記絶縁層は無機
    材料の焼結体を主体とする低温焼結性ガラスセラミック
    スであり、前記受動素子を形成する前記誘電体層は鉛系
    ペロブスカイト型化合物を主体とする請求項1に記載の
    光モジュール。
  25. 【請求項25】 前記基板を形成する前記絶縁層は無機
    材料の焼結体を主体とする低温焼結性ガラスセラミック
    スであり、前記受動素子を形成する前記抵抗層はRuO
    2を主体としている請求項1に記載の光モジュール。
  26. 【請求項26】 前記能動素子は、光素子と半導体素子
    とを含み、 前記光素子は、前記基板の端面に形成された前記端子電
    極にフリップチップ実装され、 前記半導体素子は、前記基板の主面に形成された前記端
    子電極にフリップチップ実装されている請求項4に記載
    の光モジュール。
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