JP2003249069A - 電子装置およびそれに用いる衝撃吸収材 - Google Patents

電子装置およびそれに用いる衝撃吸収材

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JP2003249069A
JP2003249069A JP2002043718A JP2002043718A JP2003249069A JP 2003249069 A JP2003249069 A JP 2003249069A JP 2002043718 A JP2002043718 A JP 2002043718A JP 2002043718 A JP2002043718 A JP 2002043718A JP 2003249069 A JP2003249069 A JP 2003249069A
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electronic device
housing
case
absorbing material
shock absorbing
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JP2002043718A
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Yuichi Matsumoto
裕一 松本
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下でも有機物等による磁気ディスクの汚
染がない、耐衝撃性に優れた電子装置を提供すること。 【解決手段】 磁気ディスク(1)と磁気ヘッド(2)
と前記磁気ヘッド((2)を保持して位置決めする位置
決め機構(3)とを収納するケース(4)と、前記ケー
ス(4)を収納する筐体(5)とからなり、前記ケース
(4)と前記筐体(5)との空間に、下記[1]および
[2]の特性を満足する衝撃吸収材(6)を設けてなる
電子装置。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
きの空気中への放出有機物量が1gあたり500μg以
下である。 [2]損失係数が0.7以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子装置および電子
装置用衝撃吸収材に関し、詳しくは、高温下でも有機物
によって磁気ディスクが汚染されない、高耐衝撃性の電
子装置および電子装置用衝撃吸収材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、記憶装置としての磁気ディスク装
置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等のディスク
装置を有する電子装置は、コンピュータを中心として急
速に進歩し、広く活用されるようになった。とりわけ、
ノートブック型パーソナルコンピュータ(パーソナルコ
ンピュータを以下、「パソコン」と記すことがある。)
に代表される携帯型パソコンは、小型化並びに軽量化が
進行している。これに伴って磁気ディスク装置(ハード
ディスク装置)も小型化が進み、同時に、記憶容量も飛
躍的に増大したため、携帯型パソコンは一層手軽に持ち
運びされて使用されるようになった。
【0003】ハードディスク装置(Hard Disk
Drive:以下、「HDD」と記すことがある。)
は、通常、データ等の情報の記録媒体である磁気ディ
スクと、情報を記録、再生するための磁気ヘッドと、
磁気ヘッドを保持、位置決めする位置決め機構とを、
主要素として箱型ケースに収容して構成されている。H
DDは塵埃や水蒸気が内部に侵入して記録媒体の記録精
度や記憶容量を低下させないために、密閉に近い構造
(ウインチェスター型)になっている。電子装置の置か
れた環境の気圧の高低によってケースに歪みが生じて磁
気ヘッドの位置決め精度に影響が出ないよう、通常、ケ
ースには呼吸穴が設けられている。
【0004】磁気ディスクには情報が高密度に記録され
ているので、ディスクに傷ができると情報が消滅し、読
み込み不能になる。また、磁気ヘッドの位置決めによっ
て読み書きするので正確な位置決めが必要である。HD
Dを搭載した電子装置が携帯される機会が多くなり、携
行中の衝撃によって磁気ディスクに傷が生じたり、磁気
ヘッドの正確な位置決めができないということが起きる
ようになってきた。衝撃対策として、HDDのケース外
面とHDDを収納する電子装置の筺体の内面との間にブ
チルゴムと熱可塑性樹脂を組み合わせた防振ゴムを設け
る技術(特開平3−241583号公報)、電子装置の
HDD収納部の蓋部材とHDDとの間に柔らかいエーテ
ル系ポリウレタン(Sorbothane)や圧縮永久
歪3.9%の高密度ウレタンフォームなどの振動及び/
又は衝撃吸収材を設ける技術(特開平11−24288
1号公報)、HDDの総ての外面とそれらと筺体内面と
の間に厚さ5mm以下のSorbothaneなどの粘
弾性ポリマー製緩衝パッドを設置する技術(特表200
1−502103号公報)等が提案されている。しか
し、これらの技術を採用しても、携帯型パソコン等を直
射日光のもとなどの高温下に置いておくと、HDD内の
記録媒体の記録精度や記憶容量が低下することがあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高温
下に放置しても、記録制度や記録容量の低下がなく、耐
衝撃性に優れた電子装置、および、それに用いる衝撃吸
収材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、高温下に晒してお
くと、衝撃吸収材から有機物が出てきてこれがディスク
表面を覆って記録制度や記録容量を低下させることを見
出した。そして、HDDとそれを収納する筐体との間に
低汚染性の衝撃吸収材を設置することにより、高温下で
も正常に作動可能な高耐衝撃性の電子装置が得られるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。かくして本発明によれば、下記(イ)〜(ニ)が
提供される。 (イ) 磁気ディスク(1)と磁気ヘッド(2)と前記
磁気ヘッド(2)を保持して位置決めする位置決め機構
(3)とを収納するケース(4)と、前記ケース(4)
を収納する筐体(5)とからなり、前記ケース(4)と
前記筐体(5)との空間に、下記[1]および[2]の
特性を満足する衝撃吸収材(6)を設けてなる電子装
置。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
きの空気中への放出有機物量が1gあたり500μg以
下である。 [2]損失係数が0.7以上である。 (ロ) 前記衝撃吸収材の流動域での極大損失係数を示
す温度が80℃以上である上記(イ)記載の電子装置。 (ハ) 前記衝撃吸収材の圧縮永久歪が40%以下であ
る上記(イ)または(ロ)記載の電子装置。 (ニ) 磁気ディスク(1)と磁気ヘッド(2)と前記
磁気ヘッド(2)を保持して位置決めする位置決め機構
(3)とを収納したケース(4)を筐体(5)に収納し
て電子装置(200)を形成する際に、前記ケース
(4)と前記筐体(5)との間に介在させるための、下
記[1]および[2]の特性を満足する電子装置用衝撃
吸収材。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
きの空気中への放出有機物量が1gあたり500μg以
下である。 [2]損失係数が0.7以上である。
【0007】
【作用】本発明の電子装置は、磁気ディスク、磁気ヘッ
ド、および、前記磁気ヘッドを保持して位置決めする位
置決め機構を収納したケースと、前記ケースを収納する
筐体との間に、有機物をほとんど揮散しない、振動吸収
性の大きな衝撃吸収材を設けた電子装置である。そのた
め、例えば、本発明の電子装置を組み込んだノートパソ
コンが直射日光のもとで使用されても衝撃吸収材から有
機物が揮散して磁気ディスクを汚染する可能性は極めて
小さい。また、例えば、本発明の電子装置を組み込んだ
ノートパソコンが搬送時や設置時に衝撃を受けても、ハ
ードディスク装置内の磁気ヘッドが磁気ディスクに接触
してデータを破損したり、浮動磁気ヘッドが読み取りエ
ラーを起こす危険性は極めて低い。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係
る電子装置の概略分解斜視図、図2は同実施形態の電子
装置の説明断面図、図3(A)、同(B)はそれぞれ同
実施形態におけるHDDの角部および面部での衝撃吸収
材の形状を示す説明図である。図1に示すように、本発
明の電子装置(200)はケース(4)を筐体(5)に
収納して形成されており、ケース(4)の外面と筐体
(5)の内面の間には随所に小片状の衝撃吸収材(6)
が配置されている。本発明において、ケース(4)は、
その中に磁気ディスク(図示せず)と磁気ヘッド(図示
せず)と位置決め機構(図示せず)とを収納してなるも
のである。上記、磁気ディスク、磁気ヘッドおよび位置
決め機構は、従来のHDDに収容されている公知のもの
である。ケース(4)の形状は必ずしも限定されない
が、通常、直方体で、縦×横×高さ(厚さ)の外寸は、
好ましくはそれぞれ、(40〜150)mm×(30〜
120)mm×(5〜30)mmである。ただし、ケー
ス(4)は、概ね直方体であればよく、HDDの機能に
応じた凹凸等が形成されていても構わない。
【0009】ケース(4)は、通常、磁気ディスク、磁
気ヘッドおよび位置決め機構を収容することができる、
上方に開口部を有する受容器と、天面となる蓋とから形
成され、両者はシール性のガスケットを介して接合部に
おいてネジ止めされている。また、受容器の底面、すな
わち開口部と反対側の面には、通常、磁気ディスク、磁
気ヘッド、および位置決め機構等を作動させたり、記録
の読み書きを行うための回路基板等が取り付けられてい
る。また、ケース(4)の小さい方の側壁の一方には、
回路基板を経由して磁気ディスク、磁気ヘッドまたは位
置決め機構と外部との間で電子情報を授受するための接
続端子が設けられている。接続端子(41)は、絶縁体
であるプラスチック製の部材に、導電体である金属製端
子が嵌め込まれている。ケース(4)の小さい方の側壁
の一方側に延出している金属製端子はHDD外部の電気
信号入出力端子と接続し得るようになっている。
【0010】ケース(4)の受容器を構成する素材とし
ては、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属;シクロ
オレフィンポリマー、ビニル脂環式ポリマー、ポリカー
ボネート、ポリブチレンテレフタレートなどのプラスチ
ック;などが挙げられるが、アルミニウムが最も好まし
い。
【0011】本実施形態の典型例における、磁気ディス
クと、磁気ヘッドと、位置決め機構とを収納したケース
(4)は、2.5インチウインチェスター型で、外寸7
0mm×100mm×9.5mmの直方体で、アルミニ
ウム製である。このものはHDDとして知られているも
のである。
【0012】図1および2に示すように、ハードディス
ク装置(100)は、筐体(5)に収納されて電気信号
の保存や入出力が可能な電子装置(200)が形成され
る。筐体(5)の形状は必ずしも限定されないが、通
常、直方体で、縦×横×高さ(厚さ)の外寸は、上記ケ
ース(4)の外寸よりそれぞれ2〜20mm大きくなっ
ている。また、筐体(5)を構成する壁の厚さは、好ま
しくは1〜10mmである。本実施形態では、筐体
(5)は上方に開口部を有する受容器(51)と蓋(5
2)とからなる略直方体であり、受容器(51)と蓋
(52)はシール性のガスケット(7)を介してネジ止
めされる。
【0013】筐体(5)を構成する素材としては、アル
ミニウム、ステンレス鋼、チタン、マグネシウムなどの
金属;シクロオレフィンポリマー、ビニル脂環式ポリマ
ー、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂などのプラスチック;などが挙げられ、金属で
はアルミニウム、プラスチックではポリカーボネート
が、それぞれ十分な衝撃強度や剛性を持たせることがで
き、かつ、高温下での放出有機物量が少ないので好適で
ある。また、プラスチックを用いる場合は、ガラスファ
イバーやカーボンファイバー等の強化材で強化されたも
のを用いることもできる。
【0014】筐体(5)を簡易密閉構造とする場合に
は、筐体(5)の小さい方の側面の一面に接続端子を設
置すると好適である。該接続端子とケース(4)の接続
端子(41)とが、直接嵌合されるかまたはコネクタ
(8)を介して接続され、電気信号を授受できる。コネ
クタ(8)は、絶縁体であるプラスチック部材に導電体
である金属製端子が嵌め込まれ、金属製端子はプラスチ
ック部材を貫通している。プラスチック部材の材料は、
液晶ポリマー、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェ
ニレンサルファイド、シクロオレフィンポリマー、ビニ
ル脂環式ポリマーなどの樹脂が好ましい。特にシクロオ
レフィンポリマーやビニル脂環式ポリマーは、直射日光
などで加温されても有機物などを揮散しないので好適で
ある。
【0015】筐体(5)を簡易密閉構造としない場合に
は、ケース(4)の接続端子(41)が筐体(5)の小
さい方の側面の一方に形成された貫通孔を通して筐体
(5)の外部に延出されていてもよい。
【0016】筐体(5)の接続端子もしくはコネクタ
(8)または筐体(5)の外部に延出されたケース
(4)の接続端子を外部衝撃や有機物等による汚染から
保護するためにコネクタカバーを設置してもよい。コネ
クタカバーは、厚みが1〜3mm程度で、大きさは筐体
(5)の接続端子もしくはコネクタ(8)の設置面、ま
たは、ケース(4)の接続端子延出面と同じであればよ
い。コネクタカバーは、筐体(5)と同様の材料を使用
するのが好ましく、端子の部分のみ開口されたものや、
シャッター状に完全に端子を隠すものでよい。
【0017】本実施形態の典型例における筐体(5)の
外寸は、コネクタ(8)を装着した状態で(コネクタカ
バーはない)、83mm×130mm×20mmで、壁
の厚さは2mmである。また、コネクタ(8)は液晶ポ
リマー製で、大きさは60mm×5mm×4mmであ
る。
【0018】本発明の電子装置(200)には、ハード
ディスク装置(100)と筐体(5)との間に、衝撃吸
収材(6)が設置される。衝撃吸収材(6)の形状およ
び大きさは限定されないが、ハードディスク装置(10
0)が筐体(5)の中で固定されるように、少なくとも
ケース(4)の外側の角部8つの内4箇所以上に設ける
ことが好ましく、さらに、ケース(4)の6つの面を各
々5〜50%覆う程度に小片状として各面1〜10個設
置することがより好ましい。
【0019】衝撃吸収材の設置法は、接着剤によらず
に、物理的に固定することが好ましい。例えば、ケース
(4)の各角部では、図3(A)に示す衝撃吸収材を、
図1に示すようにケース(4)の角の頂点部分を3つの
面で囲む形状で設置するとよい。また、ケース(4)の
各面においては、図3(B)に示す衝撃吸収剤を、図1
に示すように、対面する筐体(5)の面に衝撃吸収材の
小片が収まる凹部(9)を設けて固定するとよい(該凹
部は、筐体の外部から見れば凸部である。)。本実施形
態の典型例においては、小片状の衝撃吸収材をケース
(4)の8つの角部に各1個と、6つの面に各2個設置
している。衝撃吸収材の固定は、角部においては、図3
(A)の形状の小片をあてがうだけで済む。6つの面に
おいては、図3(B)の形状の小片をそれぞれの面に対
面する筐体(5)の内面に設けた凹部(9)に嵌合させ
て固定している。衝撃吸収材の小片の寸法は、図3
(A)の角部用の小片ではa、bおよびcは1〜40m
mが好ましく、4〜30mmがより好ましい。dは1〜
5mmが好ましく、3〜4mmがより好ましい。図3
(B)の面部用の小片では、eおよびfは1〜40mm
が好ましく、4〜30mmがより好ましい。gは1〜5
mmが好ましく、3〜4mmがより好ましい。本実施形
態の典型例においては、a、bおよびcはいずれも4m
m、dは3mm、eおよびfはいずれも8mm、gは4
mmである。
【0020】本発明において、衝撃吸収材(6)は次の
2つの特性を満足する高分子材料である。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
きに、空気中への放出有機物量が1gあたり500μg
以下、好ましくは300μg以下である。 [2]損失係数(tanδ)が0.7以上、好ましくは
1.0以上である。 放出有機物量が500μg/gより多いと、電子装置が
直射日光のもとに置かれた場合に、揮散する有機物のた
めに磁気ディスクが汚染されて記録精度や記録容量が低
下するおそれがある。また、損失係数が0.7より小さ
いと、電子装置が衝撃を受けても効果的に制振できず
に、磁気ヘッドが磁気ディスクに接触して記録が破損す
るおそれがある。
【0021】次に、衝撃吸収材から放出される有機物量
を測定する方法について説明する。試験片は、成形直後
の衝撃吸収材、あるいは成形後に超純水で10分間超音
波洗浄し、高純度窒素でパージして精密洗浄を行ってク
リーンルーム中に保存した衝撃吸収材から切り出す。試
験片の切り出し作業および切り出した試験片の保管は、
相対湿度20〜85%、好ましくは35〜60%の環境
下で行う。試験片は、任意の方向の長さの最大値が50
〜300mmで、重量が0.1〜20gとなるよう切り
出す。切り出した試験片は、クラス100のクリーンル
ーム中に保管し、通常、48時間以内、好ましくは24
時間以内で測定する。放出有機物量の測定は、上記試験
片を用い、熱脱着ガスクロマトグラフィー−質量分析計
(以下、「TDS−GC−MS」と記す。)を用いて、
80℃、30分で、衝撃吸収材から空気中に放出される
有機物積算放出量を測定する。
【0022】衝撃吸収材から放出される有機物は、未
反応モノマーやオリゴマーまたはそれらの分解物、配
合された酸化防止剤またはそれらの分解物〔例えば、ブ
チルヒドロキシトルエン(BHT)、ジラウリルチオジ
プロピオネートなど〕、可塑剤〔例えば、フタル酸ジ
オクチル(DOP)などのフタル酸エステル、リン酸ト
リブチル(TBP)などのリン酸エステル、オレイン酸
ブチルなどの脂肪酸エステル、アジピン酸ジオクチル
(DOA)などのアジピン酸エステルなど〕、ゴムま
たはプラスチック中の残留溶剤(例えば、アセトン、ト
ルエン、キシレン、ジクロロベンゼン、シクロヘキサン
など)、光安定剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤などの
添加剤である。
【0023】衝撃吸収材の損失係数の測定は、JIS
K 7198に基づき、試験片として幅3.5mm、厚
さ2.5mmの短冊状試験片を用いて、つかみ具間距
離:20mm、温度:−50℃〜250℃、昇温速度:
2℃/分、試験振動数:10Hz、静的ひずみ:3%、
ひずみ振幅0.4mmで行う。
【0024】高分子材料の損失係数は、該高分子の2次
転移温度と分子構造により大きく左右される。高分子材
料が衝撃力として受ける弾性力(E’)と粘性力
(E”)には、2次転移温度周辺の流動域に転移領域が
あり、この領域で高分子間の束縛力が働いて動的な損失
係数(E”/E’、tanδ)は極大値を示して発熱
し、制振効果が高くなる。本発明において、衝撃吸収材
の耐熱性の観点から、流動域で極大損失係数を与える温
度は80℃以上が好ましく100℃以上がより好まし
い。高分子材料の分子構造としては、適度な架橋構造を
有するものが制振作用に優れる。そのため、衝撃吸収材
がゴムの場合は加硫ゴムの方が制振効果は大きい。しか
し、硫黄加硫による架橋は高温下で残留成分が揮散しや
すいので好ましくなく、電子線架橋による架橋構造が好
ましい。
【0025】また、衝撃吸収材には、衝撃吸収能の長期
的な信頼性の観点から、圧縮永久歪が小さいものが望ま
れる。衝撃吸収材として好ましい圧縮永久歪は40%以
下であり、30%以下であるとより好ましい。ここで、
圧縮永久歪の数値は、JIS K 6301規定の測定
による。
【0026】衝撃吸収材(6)の具体的な材質として
は、ゴム材料ではアクリロニトリルブタジエンゴムが挙
げられる。アクリロニトリルブタジエンゴムは未架橋の
ものでも使用できるが、電子線架橋処理をしたものがよ
り好ましい。この場合において、電子線架橋の際の加速
電圧は、500kV以上であることが好ましい。プラス
チック材料ではシクロオレフィンポリマー、特にノルボ
ルネン系開環重合体水素添加物が好ましい。
【0027】本発明の電子装置(200)は、ポータブ
ルコンピュータの記憶装置、画像・映像記録メディアな
ど、可搬性に優れた電子装置として利用される。
【0028】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。な
お、下記において、「%」は重量基準である。実施例お
よび比較例における試験は下記による。 (イ) 有機物放出量 温度25℃、相対湿度50%の室内で、厚さ5mm、縦
60mm、横8mmの試験片2本(総表面積32.8c
)を切り出し、重量を精秤してクラス100のク
リーンルーム中に保管し、試験片切り出しから24時間
以内に次の測定を行った。表面に吸着していた有機物を
除去したステンレス製の試料室に試験片を入れ、温度8
0℃で30分間、市販の活性炭チューブを用いて気体を
連続的に捕集した後TDS−GC−MSで分析し、有機
物の積算放出量を測定した。定量はn−ヘキサデカン換
算にて行った。単位はμg(有機物)/g(試験片)で
ある。
【0029】(ロ)損失係数 JIS K 7198に基づき、試験片として幅3.5
mm、厚さ2.5mmの短冊状試験片を用いて、つかみ
具間距離:20mm、温度:−50℃〜200℃、昇温
速度:2℃/分、試験振動数:10Hz、静的ひずみ:
3%、ひずみ振幅:0.4mmで行った。動的貯蔵弾性
率(E’)、動的損失弾性率(E”)の温度依存性を測
定し、転移温度域での損失係数(E”/E’、tan
δ)を算出した。
【0030】(ハ)耐熱性 (ロ)と同様の方法にて損失係数を算出し、流動域での
極大損失係数を与える温度を耐熱性の指標とした。
【0031】(ニ)圧縮永久歪 JIS K 6301に準拠し測定を行った。試験片は
厚さ12.7mm、直径29.0mmの直円柱形を用い
て、70℃、22時間の熱処理条件にて行った。
【0032】(ホ)電子装置の衝撃試験 HDD(ウインチェスター型2.5インチHDDで、大
きさ70mm×100mm×9.5mmのアルミニウム
製)を外寸83mm×130mm×20mm(接続端子
以外はPPS製)の筐体に収納し、その際、HDDのケ
ースの角部8箇所と、ケースの6つの面に対面する筐体
の内面各2箇所の凹部に、衝撃吸収材(図3参照。a、
bおよびcは4mm、dは3mm、eおよびfは8m
m、gは4mm)を挟んで固定し、重力加速度センサを
HDD側面の衝撃吸収材間の隙間に組み込んだ。次いで
HDD等を収納した筐体を固定具で挟持させて落下試験
装置の落下ユニットにセットし、20インチの高さから
自然落下させ、HDDに加わる最大加速度(G値)を測
定した。室温(25℃)での測定と、高温(65℃)雰
囲気下での測定とを行った。評価を下記により表記し
た。 ○: 600未満 △: 600以上、650未満 ×: 650G以上
【0033】(ヘ)電子装置の加熱試験 電子装置を、温度65℃のオーブン内で100時間保持
した後、磁気ディスクを取り出して光学顕微鏡にて観察
し、ディスク表面に有機物皮膜等が付着していなければ
○、付着していれば×の記号で表記した。
【0034】(ト)電子装置の長期信頼性試験 電子装置を、温度65℃のオーブン内で100時間保持
した後、室温にて上記(ホ)と同様の衝撃試験を行い、
650G以下なら○、650G以上なら×の記号で表記
した。
【0035】実施例1〜3、比較例1〜2 本発明の実施態様の典型例(図1〜3)において、表1
に示す材料の衝撃吸収材について、放出有機物量、損失
係数、耐熱性および圧縮永久歪の試験を行った。また、
それらの衝撃吸収材を用いた電子装置について衝撃試
験、加熱試験および長期信頼性試験を行った。試験結果
を表1に記す。
【0036】
【表1】
【0037】注 *1.電子線架橋NBR1:アクリロニトリルブタジエ
ンゴム(結合アクリロニトリル量22%、ムーニー粘度
32)を加速電圧800kV、照射線量200kGyの
条件にて電子線架橋して作成した衝撃吸収材。 *2.電子線架橋NBR2:上記電子線架橋NBR1に
おいて、電圧300kVとした他は、電子線架橋NBR
1と同様に行って作成した衝撃吸収材。 *3.未加硫NBR:上記NBRにおいて特に架橋操作
を実施せずに作成した衝撃吸収材 *4.BR/NRブレンド:ブタジエンゴム(ニポール
BR−1220、日本ゼオン社製、ムーニー粘度43)
と、天然ゴム(RSS3号)の重量比50/50でブレ
ンドしてロール混練したゴムにて作成した衝撃吸収材。
150℃×15分の条件にて硫黄加硫を実施した。 *5.フッ素ゴム(Viton A、デュポンダウエラ
ストマー社製)フッ化ビニリデン−パーフルオロプロピ
レン共重合体)を使用し、ジアミン系加硫剤(Diak
3、デュポンダウエラストマー社製)にて160℃×
30分の条件にてアミン加硫を行った後、200℃にて
24時間オーブン中で保持する事により二次加硫を施し
て作成した衝撃吸収材。
【0038】表1が示すように、衝撃吸収材として放出
有機物量が500μg/g以下で損失係数が1以上のも
のを使用した電子装置の場合は、耐衝撃性が大きく、ま
た、高温下でも磁気ディスク表面に有機物等の付着は見
られなかった(実施例1〜3)。圧縮永久歪が40%以
下であると電子装置の長期信頼性向上するので好ましい
(実施例1と、2および3との対比)。また、耐熱性の
目安として、損失係数の極大温度が80℃以上であると
高温時(65℃)においても耐衝撃能力が維持されるこ
とが示された(実施例1および2と、3との対比)。一
方、放出有機物量が1156μg/gで損失係数が1.
00であるBR/NRブレンドゴムで作成した衝撃吸収
材を使用した電子装置は、衝撃試験では不具合が見られ
ないものの、加熱試験で磁気ディスクに有機物の皮膜が
観察された(比較例1)。また、放出有機物量が28μ
g/gで損失係数が0.5であるフッ素ゴムで作成した
衝撃吸収材を使用した電子装置は、加熱試験では良好な
結果が得られたが、衝撃試験では不良であった(比較例
2)。
【0039】
【発明の効果】本発明により、高温下でも有機物等によ
る磁気ディスクの汚染がない、耐衝撃性に優れた電子装
置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る電子装置の概
略分解斜視図である。
【図2】図2は図1に示す電子装置の説明断面図であ
る。
【図3】図3(A)は同実施形態におけるHDDの角部
に使用する衝撃吸収材の形状を示す説明図、図3(B)
は同HDDの面部に使用する衝撃吸収材の形状の説明図
である。
【符号の説明】
4… ケース 5… 筐体 51・・・ 受容器 52・・・ 蓋 6… 衝撃吸収材 7… ガスケット 8… コネクタ 9… 凹部 100 … ハードディスク装置 200 … 電子装置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ディスク(1)と磁気ヘッド(2)
    と前記磁気ヘッド(2)を保持して位置決めする位置決
    め機構(3)とを収納するケース(4)と、前記ケース
    (4)を収納する筐体(5)とからなり、 前記ケース(4)と前記筐体(5)との空間に、下記
    [1]および[2]の特性を満足する衝撃吸収材(6)
    を設けてなる電子装置。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
    きの空気中への放出有機物量が1gあたり500μg以
    下である。 [2]損失係数が0.7以上である。
  2. 【請求項2】 前記衝撃吸収材の流動域での極大損失係
    数を示す温度が80℃以上である請求項1記載の電子装
    置。
  3. 【請求項3】 前記衝撃吸収材の圧縮永久歪が40%以
    下である請求項1または2記載の電子装置。
  4. 【請求項4】 磁気ディスク(1)と磁気ヘッド(2)
    と前記磁気ヘッド(2)を保持して位置決めする位置決
    め機構(3)とを収納したケース(4)を筐体(5)に
    収納して電子装置(200)を形成する際に、 前記ケース(4)と前記筐体(5)との間に介在させる
    ための、下記[1]および[2]の特性を満足する電子
    装置用衝撃吸収材。 [1]衝撃吸収材を80℃の空気中に30分間置いたと
    きの空気中への放出有機物量が1gあたり500μg以
    下である。 [2]損失係数が0.7以上である。
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