JP2003248963A - 光ピックアップ装置、および光学素子 - Google Patents

光ピックアップ装置、および光学素子

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JP2003248963A
JP2003248963A JP2002370507A JP2002370507A JP2003248963A JP 2003248963 A JP2003248963 A JP 2003248963A JP 2002370507 A JP2002370507 A JP 2002370507A JP 2002370507 A JP2002370507 A JP 2002370507A JP 2003248963 A JP2003248963 A JP 2003248963A
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optical element
pickup device
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JP2002370507A
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Seino Ikenaka
清乃 池中
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モードホップに起因する焦点のずれを抑え、
光情報記録媒体へのデータの書き込み時のエラーを防止
でき、さらに、使用波長が異なる二種類の光情報記録媒
体に対して用いられ、温度変化による球面収差等を補正
できる光ピックアップ装置及び光学素子を提供する。 【解決手段】 光ピックアップ装置に、光軸を中心とす
る輪帯が形成され、一つの輪帯を通過する光線の光路長
をこの輪帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光
路長より使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする第
1の光学素子と、使用基準波長λ0の光束が入射する時
に情報記録面上の集光スポットの球面収差を最適にする
第2の光学素子とを配置する。また、使用基準波長λ0
とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<5(2)[n
m])の光束によって形成される集光スポットの光軸方
向の変動量ΔfBを、2000(λ−λ0)(150(λ
−λ0))より小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体の
情報記録面に光束を集光させる光ピックアップ装置、お
よび光ピックアップ装置に用いられる光学素子(レン
ズ)に関する。
【0002】
【従来の技術】MO、CD、DVDなどの光ディスク
(光情報記録媒体)に対してデータを記録し、また再生
するための光ピックアップ装置が開発され、様々な用途
で用いられている。これらの光ピックアップ装置では、
波面が均一にそろえられた光束(レーザ光束)が用いら
れている。MOをはじめとする光磁気記録方式の光ディ
スクや、DVD−Rなどの有機色素記録方式の光ディス
ク、DVD−RWなどの相変化記録方式の光ディスクで
は、データの書き込み時には、レーザ発振器へ注入する
電流量を増加させてレーザビームのエネルギー密度(パ
ワー)を上げ、読み出し時には、レーザ発振器へ注入す
る電流量を減少させてレーザビームのエネルギー密度を
下げている。
【0003】例えば、MOにデータを書き込むには、M
Oの磁性層にレーザビームを照射して150℃〜300
℃のキュリー点まで温度を上げ、データの書き換えが可
能な状態を作り出す。この部位に、バイアスマグネット
で磁力を与えると、データの書き込みを行うことができ
る。
【0004】MOのライト時の動作は、ディスクが3回
転するうちに、消去、書き込み、ベリファイ(照合)の
3つの動作を行う。まず1周目では、高速回転している
MOディスクの裏側にバイアスマグネットを近づけると
同時に、データを書き込むセクタに対して強いレーザ光
束を照射して温度を上げ、磁化方向を一定にそろえる。
これが消去動作で、すべて0のデータを書き込んだこと
になる。次の2周目では、バイアスマグネットの方向を
逆向きにして、1のデータを書き込む場所にだけ断続的
に強いレーザ光束を照射して温度を上げ、磁性体の磁化
方向を変化させる。そして3周目では、弱いレーザ光束
を磁性層に当てて、その反射光の偏向角度を調べること
により、書き込んだデータを読み出して、正しく書き込
めたかどうかを確認する。
【0005】DVD−RWにデータを書き込むには、そ
の記録層に強いレーザ光束を照射して400℃まで温度
を上昇させると、記録層の分子が一方向に整列した結晶
状態となる。また、さらに強いレーザ光束を照射して6
00℃以上に温度を上昇させると、記録層が溶けて分子
がバラバラな状態となり、その後ディスクが回転してレ
ーザ光束が当たらなくなって温度が下がると、非結晶
(アモルファス)状態で固まる。結晶状態の部分と非結
晶状態の部分とでは、光の反射率が異なるので、ディス
クに弱いレーザ光束を当てて反射光の強弱を調べること
により、書き込んだデータの読み出しを行う。
【0006】以上のように、MOやDVD−RWなど、
データの書き込みが可能な光ディスクでは、データの読
み出しと書き込みとが交互に繰り返して行われる。そし
て、読み出し状態から書き込み状態に切り替わるとき
に、レーザ発振器から出射されるレーザ光束のパワーが
上昇するのに伴い、レーザ光束の波長が瞬間的に長くな
る(「モードホップ」)。レーザ光束の波長が長くなる
と、レンズの分散によって、光軸上に形成される集光ス
ポットの位置が、対物レンズから遠い方に移動する
(「軸上色収差」)。すなわち、集光スポットの位置
が、光ディスクの記録面からずれてしまい、光ディスク
に情報を書き込む際にエラーが発生する恐れがある。
【0007】MOに適用されるレーザ光束の波長は60
0〜700nmであり、モードホップによる波長の変動
は、0.数nm程度である。この程度の波長の変動につ
いて、軸上色収差の補正を行う必要がある。また、現在
市場に供給されているDVDよりも記録密度の大きい高
密度DVD(HD−DVD)およびその光ピックアップ
装置の開発が、現在進められている。HD−DVDに適
用されるレーザ光束の波長は400〜500nmであ
り、モードホップによる波長の変動は、数nm程度であ
る。また、HD−DVDに適用されるレーザ光束の波長
は、MOに用いられるレーザ光束の波長より短いため、
軸上色収差が大きくなる。したがって、MOよりも、軸
上色収差の補正を行う必要性が高い。
【0008】また、近年、二種類の光ディスクの情報記
録面に対して二種類の異なる波長の光束を一つの対物レ
ンズにより収束させる、いわゆる互換性を有する光ピッ
クアップ装置が各種提案されている。互換性を有する光
ピックアップ装置として、対物レンズの表面や対物レン
ズとは別体に配置した光学素子の表面に、階段状の不連
続面からなる段差構造(回折構造)を形成したものが知
られている。(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】特許文献1には、階段状の段差からなる回
折構造を備える平板状のホログラム光学素子と屈折型の
対物レンズとを別体に備える光ピックアップ装置が開示
されている。この装置は、コリメータレンズにより平行
光化された二種類の波長のうち、一方の波長の光束に関
してはホログラム光学素子を透過させた後、対物レンズ
を介して所定のディスク上に集光させ、他方の波長の光
線に関してはホログラム光学素子を通過する際に発散す
るように回折させた後、回折光のうちの−1次回折光を
対物レンズを介して所定の光ディスク上に集光させるこ
とにより、一つの対物レンズで2種類の光ディスクに対
して情報の記録/再生を行なうものである。
【0010】
【特許文献1】特開平9−54973号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特許文献1
に開示された装置は、光源からの波長が異なる2種類の
出射光束をコリメータレンズにより平行光化させた後
に、回折構造を備えるホログラム光学素子や対物レンズ
に入射させるいわゆる無限系の光ピックアップ装置であ
る。このような無限系の光ピックアップ装置において
は、光源と対物レンズの間に光束を平行光化させるコリ
メータレンズ等の光学素子を配置する必要があるため、
装置の大型化や高コスト化を招くという問題があった。
【0012】また、発散光を対物レンズに入射させるい
わゆる有限系の光ピックアップ装置では、無限系の装置
と比較して温度変化により発生する球面収差が大きくな
るという問題があった。
【0013】本発明の課題は、上述の問題を考慮したも
のであり、モードホップに起因する焦点のずれを抑え、
光情報記録媒体へのデータの書き込み時のエラーを防止
できる、光ピックアップ装置、および光ピックアップ装
置に用いられる光学素子を提供することである。さら
に、使用する波長が異なる二種類の光情報記録媒体に対
する情報の再生及び/又は記録に用いられ、温度変化に
よる球面収差等を補正できる光ピックアップ装置及び光
学素子を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、光情報記録媒体の情報記録面に光束を集光させる光
ピックアップ装置であって、この光ピックアップ装置の
光学系における光軸上に配置され、光軸を中心とする同
心円で複数の輪帯に区分され、これら各輪帯は、互いに
異なる光軸方向の厚みを持つように形成されているとと
もに、ある一つの輪帯を通過する光線の光路長を、この
輪帯に隣接し、かつこの輪帯より光軸に近い他の輪帯を
通過する光線の光路長よりも、使用基準波長λ0のほぼ
整数倍だけ長くする光路差付与機能を有する第1の光学
素子と、同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ
0の光束が入射する際に前記情報記録面上に形成される
集光スポットの球面収差を最適にする屈折機能を有する
第2の光学素子とを備え、使用基準波長λ0の入射光束
は、前記情報記録面にほぼ収差なく集光し、使用基準波
長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<1[n
m])の光束が入射する際に、軸上色収差が補正される
ことを特徴とする。ここで、第1の光学素子と第2の光
学素子とは、プラスチックやガラスなど、所定の屈折率
を持つ材料から形成されたレンズなどである。また、こ
こで言う「最適」とは、光線収差がほぼ無収差(縦球面
収差の変動幅が0.01mm程度より小)であることを
意味する。また、使用基準波長λ0のほぼ整数倍とは、
光路差付与量をΔL、kを任意の整数とすると、(k−
0.2)λ0≦ΔL≦(k+0.2)λ0の範囲を示す。
また、情報記録面にほぼ収差なく集光するとは、波面収
差が0.030[λrms]以下であることをいう。
【0015】請求項1に記載の発明によれば、使用基準
波長λ0の入射光束は、情報記録面にほぼ収差なく集光
し、使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0
|<1[nm])の光束が入射する際にも、軸上色収差
が補正されるので、光情報記録媒体のデータ読出し状態
からデータ書込み状態に切り替わる瞬間に生じるモード
ホップなどにより入射光束の波長が使用基準波長λ0
らこれとは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<1[n
m])に変化しても、光情報記録媒体の情報記録面にデ
ータを書き込む際にエラーが発生するのを防止できる。
【0016】請求項2に記載の発明は、光情報記録媒体
の情報記録面に光束を集光させる光ピックアップ装置で
あって、この光ピックアップ装置の光学系における光軸
上に配置され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に
区分され、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚
みを持つように形成されているとともに、ある一つの輪
帯を通過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつ
この輪帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路
長よりも、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする
光路差付与機能を有する第1の光学素子と、同光学系の
光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束が入射する
際に前記情報記録面上に形成される集光スポットの球面
収差を最適にする屈折機能を有する第2の光学素子とを
備え、使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面
にほぼ収差なく集光し、使用基準波長λ0とは異なる使
用波長λ(|λ−λ0|<1[nm])の入射光束と、
使用基準波長λ0の入射光束とによって形成される両集
光スポットの間の光軸方向の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<2000 を満たすことを特徴とする。ここで、第1の光学素子と
第2の光学素子とは、プラスチックやガラスなど、所定
の屈折率を持つ材料から形成されたレンズなどである。
【0017】請求項2に記載の発明によれば、使用基準
波長λ0の光束が入射する際に、第1の光学素子の光路
差付与機能によって付与される位相差はなく、第2の光
学素子は、その入射面と出射面とが、光線収差が無収差
になるような非球面に設計される。したがって、第1の
光学素子と第2の光学素子とを通過する光束は、ほぼ収
差なく集光する。
【0018】使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ
(|λ−λ0|<1[nm])の光束が入射すると、第
2の光学素子の分散の影響で、屈折機能により、使用基
準波長λ0で最適な集光スポットとなる位置で、波面収
差が生じる。第1の光学素子の光路差付与機能による位
相差付与量Ψ(λ0)と、輪帯の厚みの差dとの関係
は、n(λ0)を屈折率、kを整数として、次式
【数1】 と表される。ここで言う、輪帯の厚みの差dとは、図1
に示すように、ある輪帯と、光軸を含む第1輪帯の延長
との、光軸方向の厚みの差を意味している。第1輪帯
は、非球面式で表され、その式にしたがって延長され
る。入射光束の波長が使用基準波長λ0から使用波長λ
に変化することによる、位相差付与量の変化量ΔΨ
(λ)は、波長の変化に伴う第2の光学素子の屈折率の
変化をδとして、次式
【数2】 と表される。これは、入射波長の変化によって、輪帯の
厚みの差dによる位相差変化量と、第1の光学素子の屈
折率の色分散による位相差変化量の両方により生じるも
のである。この位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)と第2
の光学素子の分散の影響で屈折機能により生じた波面収
差とが打ち消し合う方向に、輪帯の厚みを形成すると、
光軸から遠ざかるにつれて、光線の光路長が長くなる。
また、輪帯の厚みの差dと、各輪帯の、光軸に垂直な方
向の内径および外径は、対象とする光学系の使用基準波
長λ0、光学素子を構成する素材、開口数によって決ま
る。
【0019】また、使用基準波長λ0から使用波長λに
波長が変化する際、必ずしも光軸上の同じ位置で波面収
差がほぼ無収差になるように補正しなくても、光軸上に
形成される集光スポットの位置の変動量ΔfBが、 |ΔfB/(λ−λ0)|<2000 ………(3) の範囲内に収まっていれば、MOにおいてモードホップ
時に書き込みエラーを防止することができる。幾何光学
的な集光スポットの径が(λ0/2NA)以下となる集
光スポットの位置の光軸方向の幅を、焦点深度(λ0
2NA2)という。集光スポットの径が(λ0/2NA)
以下であれば、光ディスクを読み取るために必要な集光
スポットの強度が得られる。MOの光ピックアップ装置
では、使用基準波長λ0は600〜700nm程度、開
口数NAは0.5〜0.6程度であるので、この光学系
の焦点深度(λ0/2NA2)は、1.4〜2.0λ0
度となる。また、MOの光ピックアップ装置で発生する
モードホップ時の波長の変動量|λ−λ0|は、0.数
nm程度である。したがって、(3)式が満たされ、集
光スポットの位置の変動量ΔfBは、焦点深度の2分の
1の範囲内に収まる。
【0020】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の光ピックアップ装置において、前記使用基準波長λ0
は、 600nm<λ0<700nm であることを特徴とする。
【0021】請求項3に記載の発明によれば、使用基準
波長λ0は、600nm<λ0<700nmであるので、
MOにデータを読み書きするのに用いられる波長600
nm〜700nmのレーザ光束について、請求項1に記
載の発明と同様の効果が得られる。
【0022】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の光ピックアップ装置において、前記第1の光学素子に
形成された輪帯の数は、3〜30のうちのいずれかであ
ることを特徴とする。
【0023】請求項4に記載の発明においては、使用基
準波長λ0の光束が入射したときに波面収差が最小とな
る集光スポットの位置において、波長変化時に屈折機能
によって生じる波面誤差は開口数が大きくなるにつれて
増大する。ここで言う「波面誤差」とは、近軸光線の波
面のずれと特定の開口数に相当する光線の波面のずれと
の差のことである。開口数が小さいと、波面誤差を補正
するのに必要となる輪帯の数は、波面誤差の最大値を位
相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割ったものにほぼ等し
い。使用基準波長λ0の光束が入射したときに波面収差
が最小となる集光スポットの位置における、波長変化時
の波面収差が、光情報記録媒体にデータを読み書きする
のに必要な範囲に収まっていれば、輪帯の数が波面誤差
の最大値を位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割った数
より小さくても、モードホップ時に読み取りエラーを生
じることはない。MOにデータを読み書きするために
は、輪帯の数が3〜30であるのが望ましい。請求項4
に記載の発明によれば、この輪帯の数について、請求項
3に記載の発明と同様の効果が得られる。また、一般
に、輪帯数が少ないほど波面収差は大きくなるが、光学
素子の加工が容易になるという利点がある。
【0024】請求項5に記載の発明は、請求項3または
4に記載の光ピックアップ装置において、 前記光学系
の開口数NAが0.65以下であることを特徴とする。
【0025】請求項5に記載の発明によれば、光学系の
開口数NAが0.65以下であるので、MOにデータを
読み書きするために必要な開口数0.5〜0.6につい
て、請求項2または3に記載の発明と同様の効果が得ら
れる。この光学系の焦点深度(λ0/2NA2)は、1.
2λ0以上になるため、光学系への入射光束のモードホ
ップによる波長の変動率|(λ−λ0)/λ0|が、 |(λ−λ0)/λ0|<5.9×10-4 ………(4) であるとき、(3)式が満たされ、集光スポットの位置
の変動量ΔfBが焦点深度の2分の1の範囲内に収ま
る。MOの場合、使用基準波長λ0は600〜700n
m程度であり、モードホップによる波長の変動量|λ−
λ0|は、0.数nm程度であるため、(4)式はほぼ
満たされ、モードホップによるMOの書き込み時のエラ
ーを防止できる。
【0026】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載
の光ピックアップ装置において、前記第1の光学素子と
前記第2の光学素子のうち少なくとも一つの光学素子が
互換用構造を有し、前記互換用構造を通過した前記波長
λ0の光束が、前記光情報記録媒体のうち第1の光情報
記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可
能な状態で集光され、前記互換用構造を通過した使用波
長λ1(λ1>λ0)の光束が、前記第1の光情報記録媒
体とは異なる第2の光情報記録媒体の情報記録面に情報
の再生及び/又は記録が可能な状態で集光されることを
特徴とする。
【0027】請求項6に記載の発明によれば、請求項2
と同様の効果を得られると共に、前記第1の光学素子と
前記第2の光学素子のうち少なくとも一つの光学素子が
前記互換用構造を有するので、例えば、DVDとCDの
組み合わせなど、使用波長及び保護基板厚が異なる2種
類の光情報記録媒体に対する互換性を持つことができ
る。
【0028】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の光ピックアップ装置において、前記互換用構造は回折
構造であることを特徴とする。
【0029】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
と同様の効果を得られると共に、回折構造により互換用
構造を構成するので、使用基準波長λ0及び使用波長λ1
の光束の回折光を利用することが可能となり、収差補正
の自由度を増大させることができる。また、温度変化に
よる球面収差の発生を抑えることができる。
【0030】請求項8に記載の発明は、請求項6に記載
の光ピックアップ装置において、前記互換用構造は、光
軸を中心とした輪帯状光学機能面が段差面を介して連続
的に複数形成された構造であり、前記輪帯状光学機能面
を通過した前記使用基準波長λ0及び使用波長λ1の各光
束は、前記輪帯状光学機能面によって屈折する方向へ出
射され、かつ、集光スポットにおける波面収差が最小と
なる像面位置において、各輪帯を通過した前記各光束の
波面の位相φが、−0.5π≦φ≦0.5πを満たすよ
うに形成されることを特徴とする。
【0031】請求項8に記載の発明によれば、請求項6
と同様の効果を得られる。
【0032】請求項9に記載の発明は、請求項2又は6
に記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光学
素子及び前記第2の光学素子のうち、光源側に配置され
る光学素子に前記使用基準波長λ0の光束の発散光が入
射することを特徴とする。
【0033】請求項9に記載の発明によれば、請求項6
と同様の効果を得られると共に、前記第1の光学素子及
び前記第2の光学素子に使用基準波長λ0の光束の発散
光が入射するので、光源からの出射光束を平行光化させ
るためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、
装置の小型化や低コスト化を達成できる。
【0034】請求項10に記載の発明は、請求項6〜9
のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置において、
前記使用波長λ1は、750nm≦λ1≦800nmであ
ることを特徴とする。
【0035】請求項10に記載の発明によれば、請求項
6〜9のいずれか一項と同様の効果を得られると共に、
使用波長λ1は、750nm≦λ1≦800nmであるの
で、CDに対して互換性を持つことができる。
【0036】請求項11に記載の発明は、光情報記録媒
体の情報記録面に、光源から出射される光束を集光させ
る光ピックアップ装置であって、この光学系の光軸上に
配置され、使用基準波長λ0の光束が入射する際に前記
情報記録面上に形成される集光スポットの球面収差を最
適にする屈折機能を有する第1の光学素子と、同光学系
の光軸上に配置され、光軸を中心とする同心円で複数の
輪帯に区分され、これら各輪帯は、光軸方向に互いに異
なる厚みに形成されるとともに、ある一つの輪帯を通過
する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪帯
より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
も、前記使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光
路差付与機能を有する第2の光学素子とを備え、使用基
準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面に収差なく集
光し、使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−
λ0|<2[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0
入射光束とによって形成される両集光スポットの間の光
軸方向の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<150 を満たすことを特徴とする。
【0037】請求項11に記載の発明によれば、使用基
準波長λ0の光束が入射する際に、第1の光学素子の光
路差付与機能によって付与される位相差はなく、第2の
光学素子は、その入射面と出射面とが、光線収差が無収
差になるような非球面に設計される。したがって、第1
の光学素子と第2の光学素子とを通過する光束は、ほぼ
収差なく集光する。
【0038】使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ
(|λ−λ0|<2[nm])の光束が入射すると、第
2の光学素子の分散の影響で、屈折機能により、使用基
準波長λ0で最適な集光スポットとなる位置で、波面収
差が生じる。第1の光学素子の光路差付与機能による位
相差付与量Ψ(λ0)と、輪帯の厚みの差dとの関係
は、n(λ0)を屈折率、kを整数として、前記(数
1)式で表される。入射光束の波長が使用基準波長λ0
から使用波長λに変化することによる、位相差付与量の
変化量ΔΨ(λ)は、波長の変化に伴う光学素子の屈折
率の変化をδとして、前記(数2)式で表される。これ
は、入射波長の変化によって、輪帯の厚みの差dによる
位相差変化量と、第1の光学素子の屈折率の色分散によ
る位相差変化量の両方により生じるものである。この位
相差付与量の変化量ΔΨ(λ)と第2の光学素子の分散
の影響で屈折機能により生じた波面収差とが打ち消し合
う方向に、輪帯の厚みを形成すると、光軸から遠ざかる
につれて、光線の光路長が長くなる。また、輪帯の厚み
の差dと、各輪帯の、光軸に垂直な方向の内径および外
径は、対象とする光学系の使用基準波長λ0、光学素子
を構成する素材、開口数によって決まる。
【0039】また、使用基準波長λ0から使用波長λに
波長が変化する際、必ずしも光軸上の同じ位置で波面収
差がほぼ無収差になるように補正しなくても、光軸上に
形成される集光スポットの位置の変動量ΔfBが、 |ΔfB/(λ−λ0)|<150 ………(5) の範囲内に収まっていれば、HD−DVDにおいてモー
ドホップ時に書き込みエラーを防止することができる。
幾何光学的な集光スポットの径が(λ0/2NA)以下
となる集光スポットの位置の光軸方向の幅を、焦点深度
(λ0/2NA2)という。集光スポットの径が(λ0
2NA)以下であれば、光ディスクを読み取るために必
要な集光スポットの強度が得られる。HD−DVDの光
ピックアップ装置では、使用基準波長λ0は400〜5
00nm程度、開口数NAは0.65〜0.85程度で
あるので、この光学系の焦点深度(λ0/2NA2)は、
0.69λ0〜1.2λ0程度となる。また、HD−DV
Dの光ピックアップ装置で発生するモードホップ時の波
長の変動量|λ−λ0|は、数nm程度である。したが
って、(5)式が満たされ、集光スポットの位置の変動
量ΔfBは、焦点深度の2分の1の範囲内に収まる。
【0040】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載の光ピックアップ装置において、前記使用基準波長
λ0は、 400nm<λ0<500nm であることを特徴とする。
【0041】請求項12に記載の発明によれば、使用基
準波長λ0は、400nm<λ0<500nmであるの
で、HD−DVDにデータを読み書きするのに用いられ
る波長400nm〜500nmのレーザ光束について、
請求項11に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0042】請求項13に記載の発明は、請求項12に
記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光学素
子に形成された輪帯の数は、20〜60のうちのいずれ
かであることを特徴とする。
【0043】請求項13に記載の発明においては、使用
基準波長λ0の光束が入射したときに波面収差が最小と
なる集光スポットの位置において、波長変化時に屈折機
能によって生じる波面誤差は開口数が大きくなるにつれ
て増大する。ここで言う「波面誤差」とは、近軸光線の
波面のずれと特定の開口数に相当する光線の波面のずれ
との差のことである。開口数が小さいと、波面誤差を補
正するのに必要となる輪帯の数は、波面の最大誤差量を
位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割ったものにほぼ等
しい。使用基準波長λ0の光束が入射したときに波面収
差が最小となる集光スポットの位置における、波長変化
時の波面収差が、光情報記録媒体にデータを読み書きす
るのに最低必要な範囲に収まっていれば、輪帯の数が波
面の最大誤差量を位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割
って定まる数より小さくても、モードホップ時に読み取
りエラーを生じない。HD−DVDにデータを読み書き
するためには、輪帯の数が20〜60であるのが望まし
く、請求項13に記載の発明によれば、この輪帯の数に
ついて、請求項12に記載の発明と同様の効果が得られ
る。また、一般に、輪帯数が少ないほど波面収差は大き
くなるが、光学素子の加工が容易になるという利点があ
る。
【0044】請求項14に記載の発明は、請求項12ま
たは13に記載の光ピックアップ装置において、前記光
学系の開口数NAが0.9以下であることを特徴とす
る。
【0045】請求項14に記載の発明によれば、請求項
12または13に記載の発明と同様の効果が得られると
ともに、光学系の開口数NAが0.9以下であるので、
HD−DVDにデータを読み書きするために必要な開口
数0.65〜0.85について、請求項7または8に記
載の発明と同様の効果が得られる。この光学系の焦点深
度(λ0/2NA2)は、0.62λ0以上になるため、
光学系への入射光束のモードホップによる波長の変動率
|(λ−λ0)/λ0|が、 |(λ−λ0)/λ0|<4.1×10-3 ………(6) であるとき、(5)式が満たされ、集光スポットの位置
の変動量ΔfBが焦点深度の2分の1の範囲内に収ま
る。HD−DVDの場合、使用基準波長λ0は400〜
500nm程度であり、モードホップによる波長の変動
量|λ−λ0|は、数nm程度であるため、(6)式は
ほぼ満たされ、モードホップによるHD−DVDのデー
タ書き込み時のエラーを防止できる。
【0046】請求項15に記載の発明は、請求項11に
記載の光ピックアップ装置において、前記第1の光学素
子と前記第2の光学素子のうち少なくとも一つの光学素
子が互換用構造を有し、前記互換用構造を通過した前記
波長λ0の光束が、前記光情報記録媒体のうち第1の光
情報記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録
が可能な状態で集光され、前記互換用構造を通過した使
用波長λ1(λ1>λ0)の光束が、前記第1の光情報記
録媒体とは異なる第2の光情報記録媒体の情報記録面に
情報の再生及び/又は記録が可能な状態で集光されるこ
とを特徴とする。
【0047】請求項15に記載の発明によれば、請求項
11と同様の効果を得られると共に、前記第1の光学素
子と前記第2の光学素子のうち少なくとも一つの光学素
子が前記互換用構造を有するので、例えば、DVDとC
Dの組み合わせなど、使用波長及び保護基板厚が異なる
2種類の光情報記録媒体に対する互換性を持つことがで
きる。
【0048】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の光ピックアップ装置において、前記互換用構造は
回折構造であることを特徴とする。
【0049】請求項16に記載の発明によれば、請求項
15と同様の効果を得られると共に、回折構造により互
換用構造を構成するので、使用基準波長λ0及び使用波
長λ1の光束の回折光を利用することが可能となり、収
差補正の自由度を増大させることができる。また、温度
変化による球面収差の発生を抑えることができる。
【0050】請求項17に記載の発明は、請求項15に
記載の光ピックアップ装置において、前記互換用構造
は、光軸を中心とした輪帯状光学機能面が段差面を介し
て連続的に複数形成された構造であり、前記輪帯状光学
機能面を通過した前記使用基準波長λ0及び使用波長λ1
の各光束は、前記輪帯状光学機能面によって屈折する方
向へ出射され、かつ、集光スポットにおける波面収差が
最小となる像面位置において、各輪帯を通過した前記各
光束の波面の位相φが、−0.5π≦φ≦0.5πを満
たすように形成されることを特徴とする。
【0051】請求項17に記載の発明によれば、請求項
15と同様の効果を得られる。
【0052】請求項18に記載の発明は、請求項11又
は15に記載の光ピックアップ装置において、前記第1
の光学素子及び前記第2の光学素子のうち、光源側に配
置される光学素子に前記使用波長λ1の光束の発散光が
入射することを特徴とする。
【0053】請求項18に記載の発明によれば、請求項
11または15と同様の効果を得られると共に、前記第
1の光学素子または前記第2の光学素子に使用波長λ1
の光束の発散光が入射するので、光源からの出射光束を
平行光化させるためのコリメータレンズ等の光学素子が
不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
【0054】請求項19に記載の発明は、請求項15〜
18のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置におい
て、前記使用波長λ1は、630nm≦λ1≦680nm
であることを特徴とする。
【0055】請求項19に記載の発明によれば、請求項
15〜18のいずれか一項と同様の効果を得られると共
に、使用波長λ1は、630nm≦λ1≦680nmであ
るので、DVDに対して互換性を持つことができる。
【0056】請求項20に記載の発明は、光情報記録媒
体の情報記録面に光束を集光させる光ピックアップ装置
に用いられる光学素子であって、この光ピックアップ装
置の光学系における光軸上に配置され、光軸を中心とす
る同心円で複数の輪帯に区分され、これら各輪帯は、互
いに異なる光軸方向の厚みを持つように形成されている
とともに、ある一つの輪帯を通過する光線の光路長を、
この輪帯に隣接し、かつこの輪帯より光軸に近い他の輪
帯を通過する光線の光路長よりも、使用基準波長λ0
ほぼ整数倍だけ長くする光路差付与機能と、同光学系の
光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束が入射する
際に前記情報記録面上に形成される集光スポットの球面
収差を最適にする屈折機能とを備え、使用基準波長λ0
の入射光束は、前記情報記録面にほぼ収差なく集光し、
使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
1[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<2000 を満たすことを特徴とする。
【0057】請求項20に記載の発明においては、使用
基準波長λ0の光束が入射する際に、この光学素子の屈
折機能による球面収差はオーバーになるように設計され
る。しかしながら、この光学素子は、屈折機能と光路差
付与機能との双方を有するため、入射光線に対して、実
質的に光学素子が厚くなった場合と同様の効果が生じ
る。図1に示すように、屈折機能のみを備える光学素子
を通過する光線に比べて、光学素子が屈折機能と光路差
付与機能とを備える光学素子を通過する光線の、光学素
子内における光路長は長くなり、その結果として、光学
素子の屈折機能によりオーバーであった球面収差が、ア
ンダーとなる作用を受け、ほぼ無収差になるのである。
ここで言う「アンダー」とは、オーバーの逆であり、入
射光線が光軸から離れるにつれて、入射光線が光軸と交
わる位置が光学素子に近づくことを意味する。ただし、
局所的に、あるいは開口数の高い一部の領域において、
光学素子より遠い側で光軸と交わる場合も含む。
【0058】請求項20に記載の光学素子の面形状は、
基本的には、屈折機能を有する非球面の面形状を、単に
光路長差分だけ光軸方向にシフトさせることにより、屈
折機能と光路差付与機能とを兼ね備える光学素子となる
ことがある。しかしながら、開口数が大きくなり、光学
素子の面の曲率半径が小さくなると、光路長を厳密に考
慮する必要が生じるため、屈折機能を有する非球面の面
形状を、光路長差分だけ光軸方向にシフトさせるだけで
は、上記の機能を達成できない場合がある。このような
場合には、屈折機能を果たす屈折面の形状をも変化させ
ることで、屈折機能と光路差付与機能とを兼ね備える光
学素子となる。このように、請求項20に記載の発明に
よれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られ
る。
【0059】請求項21に記載の発明は、請求項20に
記載の光学素子において、前記使用基準波長λ0は、 600nm<λ0<700nm であることを特徴とする。
【0060】請求項21に記載の発明によれば、請求項
20に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0061】請求項22に記載の発明は、請求項21に
記載の光学素子において、前記光学素子に形成された輪
帯の数は、3〜30のうちのいずれかであることを特徴
とする。
【0062】請求項22に記載の発明においては、使用
基準波長λ0の光束が入射したときに波面収差が最小と
なる集光スポットの位置において、波長変化時に屈折機
能によって生じる波面誤差は開口数が大きくなるにつれ
て増大する。ここで言う「波面誤差」とは、近軸光線の
波面のずれと特定の開口数に相当する光線の波面のずれ
との差のことである。開口数が小さいと、波面誤差を補
正するのに必要となる輪帯の数は、波面誤差の最大値を
位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割ったものにほぼ等
しい。しかし、光学素子が光路差付与機能と屈折機能と
を兼ね備えている場合には、特に開口数が大きくなるに
つれて、その値からのずれが大きくなる。使用基準波長
λ0の光束が入射したときに波面収差が最小となる集光
スポットの位置における、波長変化時の波面収差が、光
情報記録媒体にデータを読み書きするのに必要な範囲に
収まっていれば、輪帯の数が波面誤差の最大値を位相差
付与量の変化量ΔΨ(λ)で割った数より小さくても、
モードホップ時に読み取りエラーを生じることはない。
MOにデータを読み書きするためには、輪帯の数が3〜
30であるのが望ましい。請求項22に記載の発明によ
れば、この輪帯の数について、請求項21に記載の発明
と同様の効果が得られる。また、一般に、輪帯数が少な
いほど波面収差は大きくなるが、光学素子の加工が容易
になるという利点がある。
【0063】請求項23に記載の発明は、請求項21ま
たは22に記載の光学素子において、前記光学素子の開
口数が0.65以下であることを特徴とする。
【0064】請求項23に記載の発明によれば、請求項
5に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0065】請求項24に記載の発明は、請求項21〜
23のいずれか一項に記載の光学素子において、前記光
束のうち、最も光軸から離れた位置で前記光学素子を通
過する光線が、前記屈折機能により光軸と交わる位置
と、近軸光線が前記屈折機能により光軸と交わる位置と
の距離が0.02mm以下であることを特徴とする。こ
こで言う、「最も光軸から離れた位置でこの光学素子を
通過する光線」とは、光学素子の開口数に相当する光線
のことを示す。
【0066】請求項24に記載の発明によれば、請求項
21〜23のいずれか一項に記載の発明と同様の効果が
得られるとともに、入射光束のうち、最も光軸から離れ
た位置でこの光学素子を通過する光線が屈折機能により
光軸と交わる位置と、近軸光線が屈折機能により光軸と
交わる位置との距離が0.02mm以下であるので、使
用基準波長λ0の光束は、屈折機能と光路差付与機能と
により、ほぼ無収差となる。
【0067】請求項25に記載の発明は、請求項20に
記載の光学素子において、互換用構造を有し、前記互換
用構造を通過した前記波長λ0の光束が、前記光情報記
録媒体のうち第1の光情報記録媒体の情報記録面に情報
の再生及び/又は記録が可能な状態で集光され、前記互
換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の光束
が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光情報
記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可
能な状態で集光されることを特徴とする。
【0068】請求項25に記載の発明によれば、請求項
20と同様の効果を得られると共に、互換用構造を有す
るので、例えば、DVDとCDの組み合わせなど、使用
波長及び保護基板厚が異なる2種類の光情報記録媒体に
対する互換性を持つことができる。
【0069】請求項26に記載の発明は、請求項25に
記載の光学素子において、前記互換用構造は回折構造で
あることを特徴とする。
【0070】請求項26に記載の発明によれば、請求項
25と同様の効果を得られると共に、回折構造により互
換用構造を構成するので、使用基準波長λ0及び使用波
長λ1の光束の回折光を利用することが可能となり、収
差補正の自由度を増大させることができる。また、温度
変化による球面収差の発生を抑えることができる。
【0071】請求項27に記載の発明は、請求項25に
記載の光学素子において、前記互換用構造は、光軸を中
心とした輪帯状光学機能面が段差面を介して連続的に複
数形成された構造であり、前記輪帯状光学機能面を通過
した前記使用基準波長λ0及び使用波長λ1の各光束は、
前記輪帯状光学機能面によって屈折する方向へ出射さ
れ、かつ、集光スポットにおける波面収差が最小となる
像面位置において、各輪帯を通過した前記各光束の波面
の位相φが、−0.5π≦φ≦0.5πを満たすように
形成されることを特徴とする。
【0072】請求項27に記載の発明によれば、請求項
25と同様の効果を得られる。
【0073】請求項28に記載の発明は、請求項20又
は25に記載の光学素子において、前記使用基準波長λ
0の光束の発散光が入射することを特徴とする。
【0074】請求項28に記載の発明によれば、請求項
20または25と同様の効果を得られると共に、前記第
1の光学素子及び前記第2の光学素子に使用基準波長λ
0の光束の発散光が入射するので、光源からの出射光束
を平行光化させるためのコリメータレンズ等の光学素子
が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成でき
る。
【0075】請求項29に記載の発明は、請求項25〜
28のいずれか一項に記載の光学素子において、前記使
用波長λ1は、750nm≦λ1≦800nmであること
を特徴とする。
【0076】請求項29に記載の発明によれば、請求項
25〜28のいずれか一項と同様の効果を得られると共
に、使用波長λ1は、750nm≦λ1≦800nmであ
るので、CDに対して互換性を持つことができる。
【0077】請求項30に記載の発明は、光情報記録媒
体の情報記録面に光束を集光させる光ピックアップ装置
に用いられる光学素子であって、この光ピックアップ装
置の光学系における光軸上に配置され、光軸を中心とす
る同心円で複数の輪帯に区分され、これら各輪帯は、互
いに異なる光軸方向の厚みを持つように形成されている
とともに、ある一つの輪帯を通過する光線の光路長を、
この輪帯に隣接し、かつこの輪帯より光軸に近い他の輪
帯を通過する光線の光路長よりも、使用基準波長λ0
ほぼ整数倍だけ長くする光路差付与機能と、同光学系の
光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束が入射する
際に前記情報記録面上に形成される集光スポットの球面
収差を最適にする屈折機能とを備え、使用基準波長λ0
の入射光束は、前記情報記録面にほぼ収差なく集光し、
使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
2[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<150 を満たすことを特徴とする。
【0078】請求項30に記載の発明においては、使用
基準波長λ0の光束が入射する際に、この光学素子の屈
折機能による球面収差はオーバーになるように設計され
る。しかしながら、この光学素子は、屈折機能と光路差
付与機能との双方を有するため、入射光線に対して、実
質的に光学素子が厚くなった場合と同様の効果が生じ
る。図1に示すように、屈折機能のみを備える光学素子
を通過する光線に比べて、光学素子が屈折機能と光路差
付与機能とを備える光学素子を通過する光線の、レンズ
物質内における光路長は長くなり、その結果として、光
学素子の屈折機能によりオーバーであった球面収差が、
アンダーとなる作用を受け、ほぼ無収差になるのであ
る。ここで言う「アンダー」とは、オーバーの逆であ
り、入射光線が光軸から離れるにつれて、入射光線が光
軸と交わる位置が光学素子に近づくことを意味する。た
だし、局所的に、あるいは開口数の高い一部の領域にお
いて、光学素子より遠い側で光軸と交わる場合も含む。
【0079】請求項30に記載の光学素子の面形状は、
基本的には、屈折機能を有する非球面の面形状を、単に
光路長差分だけ光軸方向にシフトさせることにより、屈
折機能と光路差付与機能とを兼ね備える光学素子となる
ことがある。しかしながら、開口数が大きくなり、光学
素子の面の曲率半径が小さくなると、光路長を厳密に考
慮する必要が生じるため、屈折機能を有する非球面の面
形状を、光路長差分だけ光軸方向にシフトさせるだけで
は、上記の機能を達成できない場合がある。このような
場合には、屈折機能を果たす屈折面の形状をも変化させ
ることで、屈折機能と光路差付与機能とを兼ね備える光
学素子となる。このように、請求項30に記載の発明に
よれば、請求項11に記載の発明と同様の効果が得られ
る。
【0080】請求項31に記載の発明は、請求項30に
記載の光学素子において、前記使用基準波長λ0は、 400nm<λ0<500nm であることを特徴とする。
【0081】請求項31に記載の発明によれば、請求項
12に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0082】請求項32に記載の発明は、請求項31に
記載の光学素子において、前記光学素子に形成された輪
帯の数は、20〜60のうちのいずれかであることを特
徴とする。
【0083】請求項32に記載の発明においては、使用
基準波長λ0の光束が入射したときに波面収差が最小と
なる集光スポットの位置において、波長変化時に屈折機
能によって生じる波面誤差は開口数が大きくなるにつれ
て増大する。ここで言う「波面誤差」とは、近軸光線の
波面のずれと特定の開口数に相当する光線の波面のずれ
との差のことである。開口数が小さいと、波面誤差を補
正するのに必要となる輪帯の数は、波面誤差の最大値を
位相差付与量の変化量ΔΨ(λ)で割ったものにほぼ等
しい。しかし、光学素子が光路差付与機能と屈折機能と
を兼ね備えている場合には、特に開口数が大きくなるに
つれて、その値からのずれが大きくなる。使用基準波長
λ0の光束が入射したときに波面収差が最小となる集光
スポットの位置における、波長変化時の波面収差が、光
情報記録媒体にデータを読み書きするのに必要な範囲に
収まっていれば、輪帯の数が波面誤差の最大値を位相差
付与量の変化量ΔΨ(λ)で割った数より小さくても、
モードホップ時に読み取りエラーを生じることはない。
HD−DVDにデータを読み書きするためには、輪帯の
数が20〜60であるのが望ましい。請求項32に記載
の発明によれば、この輪帯の数について、請求項31に
記載の発明と同様の効果が得られる。また、一般に、輪
帯数が少ないほど波面収差は大きくなるが、光学素子の
加工が容易になるという利点がある。
【0084】請求項33に記載の発明は、請求項31ま
たは32に記載の光学素子において、前記光学素子の開
口数が0.9以下であることを特徴とする。
【0085】請求項33に記載の発明によれば、請求項
14に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0086】請求項34に記載の発明は、請求項31〜
33のいずれか一項に記載の光学素子において、前記光
束のうち、最も光軸から離れた位置でこの光学素子を通
過する光線が前記屈折機能により光軸と交わる位置と、
近軸光線が前記屈折機能により光軸と交わる位置との距
離が0.03mm以下であることを特徴とする。
【0087】請求項34に記載の発明によれば、請求項
31〜33のいずれか一項に記載の発明と同様の効果が
得られるとともに、入射光束のうち、最も光軸から離れ
た位置でこの光学素子を通過する光線が屈折機能により
光軸と交わる位置と、近軸光線が屈折機能により光軸と
交わる位置との距離が0.03mm以下であるので、使
用基準波長λ0の光束は、屈折機能と光路差付与機能と
により、ほぼ無収差となる。
【0088】請求項35に記載の発明は、請求項30に
記載の光学素子において、互換用構造を有し、前記互換
用構造を通過した前記波長λ0の光束が、前記光情報記
録媒体のうち第1の光情報記録媒体の情報記録面に情報
の再生及び/又は記録が可能な状態で集光され、前記互
換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の光束
が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光情報
記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可
能な状態で集光されることを特徴とする。
【0089】請求項35に記載の発明によれば、請求項
30と同様の効果を得られると共に、前記第1の光学素
子と前記第2の光学素子のうち少なくとも一つの光学素
子が前記互換用構造を有するので、例えば、DVDとC
Dの組み合わせなど、使用波長及び保護基板厚が異なる
2種類の光情報記録媒体に対する互換性を持つことがで
きる。
【0090】請求項36に記載の発明は、請求項35に
記載の光学素子において、前記互換用構造は回折構造で
あることを特徴とする。
【0091】請求項36に記載の発明によれば、請求項
35と同様の効果を得られると共に、回折構造により互
換用構造を構成するので、使用基準波長λ0及び使用波
長λ1の光束の回折光を利用することが可能となり、収
差補正の自由度を増大させることができる。また、温度
変化による球面収差の発生を抑えることができる。
【0092】請求項37に記載の発明は、請求項35に
記載の光学素子において、前記互換用構造は、光軸を中
心とした輪帯状光学機能面が段差面を介して連続的に複
数形成された構造であり、前記輪帯状光学機能面を通過
した前記使用基準波長λ0及び使用波長λ1の各光束は、
前記輪帯状光学機能面によって屈折する方向へ出射さ
れ、かつ、集光スポットにおける波面収差が最小となる
像面位置において、各輪帯を通過した前記各光束の波面
の位相φが、−0.5π≦φ≦0.5πを満たすように
形成されることを特徴とする。
【0093】請求項37に記載の発明によれば、請求項
35と同様の効果を得られる。
【0094】請求項38に記載の発明は、請求項30ま
たは35に記載の光学素子において、前記使用波長λ1
の光束の発散光が入射することを特徴とする。
【0095】請求項38に記載の発明によれば、請求項
30または35と同様の効果を得られると共に、前記第
1の光学素子及び前記第2の光学素子に使用波長λ1
光束の発散光が入射するので、光源からの出射光束を平
行光化させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不
要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
【0096】請求項39に記載の発明は、請求項35〜
38のいずれか一項に記載の光学素子において、前記使
用波長λ1は、630nm≦λ1≦680nmであること
を特徴とする。
【0097】請求項39に記載の発明によれば、請求項
35〜38のいずれか一項と同様の効果を得られると共
に、使用波長λ1は、630nm≦λ1≦680nmであ
るので、DVDに対して互換性を持つことができる。
【0098】
【発明の実施の形態】本発明の光ピックアップ装置、お
よび光学素子の実施の形態を、図面を参照して説明す
る。図2は、後述する第1および第2の実施の形態の光
ピックアップ装置1,2の全体構成の概略図である。第
1および第2の実施の形態の光ピックアップ装置1,2
は、それぞれレーザ発振器L1から出射される、使用基
準波長λ0が685nm、または405nmのレーザ光
束(光束)を、コリメータレンズ12,22、後述する
多輪帯位相差レンズ11,21を通過させて、光軸6上
でMO8、またはHD−DVD9(光情報記録媒体)の
情報記録面8a,9aに集めて集光スポットを形成し、
MOの情報記録面8aまたはHD−DVDの反射面9b
からの反射光を、偏光ビームスプリッタ13で取り込
み、検出器L2の受光面に再びビームスポットを形成す
るものである。
【0099】図3、図4は、第1および第2の実施の形
態における多輪帯位相差レンズ11,21の概略を示す
側面図、正面図である。第1および第2の実施の形態に
おける多輪帯位相差レンズは、本発明における第2の光
学素子(対物レンズ)と第1の光学素子(光学素子)と
が一体に形成されたものである。
【0100】〔第1の実施の形態〕本実施の形態の光ピ
ックアップ装置1は、MOの読み書きを行うために設計
されたものであって、使用基準波長λ0=685nm、
光学系の開口数NA=0.55、焦点距離2.7mmと
して設計されている。
【0101】この光ピックアップ装置1に用いられてい
る多輪帯位相差レンズ11は、その屈折面(第1面11
A、第2面11B)の形状、屈折率が、以下のように設
定されている。
【0102】多輪帯位相差レンズ11のレンズデータを
表1に示す。
【表1】 表1において、面番号1,2はそれぞれ、多輪帯位相差
レンズ11の第1面11A、第2面11Bである。面番
号3,4はそれぞれ、MOのディスク表面、記録層であ
る。
【0103】多輪帯位相差レンズ11の第1面11Aと
第2面11Bの形状を以下に示す。第1面11Aは、図
3に破線で示す母非球面(図3に破線で図示)11a
を、光軸方向に、光軸6を中心とした同心円上の輪帯1
01〜119に分割されていて、光軸6から離れるにし
たがって、厚みが増すように形成されている。隣り合う
2つの輪帯の間の段差は、一の輪帯を通過する光線と、
その隣の輪帯を通過する光線との間に使用基準波長λ0
のほぼ整数倍の光路差を生じ、かつ波面のずれが生じな
い長さに設定されている。
【0104】多輪帯位相差レンズ11の第1面11Aの
母非球面と、第2面11Bとは、それぞれ、次式に、表
2に示す係数を代入した数式で規定される、光軸6の周
りに軸対称な非球面に形成されている。
【数3】
【表2】
【0105】多輪帯位相差レンズ11の第1面11Aに
形成された、各輪帯101〜119の母非球面11aに
対する光軸方向の変位量を、表3に示す。表3におい
て、光軸6方向の変位量は、多輪帯位相差レンズ11の
第1面11Aから第2面11Bに向かう方向を正として
いる。
【表3】
【0106】このように、多輪帯位相差レンズ11は、
1つの非球面式で表される光学面形状(母非球面)を光
軸を中心とする同心円により複数の輪帯に分割し、隣り
合う輪帯を通過する光線が使用基準波長λ0のほぼ整数
倍の光路差を生じるように、各輪帯の面を光軸方向にシ
フトすることによって得られる形状のレンズである。使
用基準波長λ0の入射光束に対しほぼ無収差となるレン
ズを、表6に示すように、第0014段落で述べた方法
に従って、各輪帯の内径および外径を決定し、各輪帯の
面を光軸方向に平行移動させる。輪帯を形成することに
よって光束の光路長が変化するが、使用基準波長λ0
使用波長λの光束に対して波面収差が最小となるよう
に、各輪帯の変位量、面形状を調整する(レンズを再設
計する)。これを繰り返し行うことにより、使用基準波
長λ0、使用波長λの光束に対して最適な各輪帯の変位
量、内径、外径、および母非球面の形状が決定される。
【0107】この多輪帯位相差レンズ11に使用基準波
長λ0(685nm)のレーザ光束が入射したときの縦
球面収差図を図5に示す。また、MOのデータ書き込み
時のモードホップを想定して、レーザ光束の波長が、使
用基準波長λ0(685nm)の前後1nmの範囲で変
動したときの、光軸6上に形成される集光スポットの、
光軸方向の変動を、多輪帯位相差レンズ11に輪帯が設
けられていない「母非球面レンズ」の場合と比較して、
図6に示す。
【0108】この光学系の焦点深度(λ0/2NA2)
は、1132nm程度であり、幾何光学的には、この焦
点深度の2分の1の範囲内に、波面収差が最小となる集
光スポットの光軸方向の変動量ΔfBが収まっていれ
ば、集光スポットの径が、MOにデータを読み書きする
のに適した径(λ0/2NA以下)となる。図6に示す
ように、入射するレーザ光束の波長の変動幅が使用基準
波長λ0の前後0.5nmの範囲である場合の集光スポ
ットの光軸方向の変動量ΔfBは、「母非球面レンズ」
については、最大で50nm程度であるのに対し、多輪
帯位相差レンズ11については、数nm程度に収まって
いる。
【0109】〔第2の実施の形態〕本実施の形態の光ピ
ックアップ装置2は、HD−DVDの読み書きを行うた
めに設計されたものであって、使用基準波長λ0=40
5nm、光学系の開口数NA=0.85、焦点距離1.
76mmとして設計されている。
【0110】この光ピックアップ装置2に用いられてい
る多輪帯位相差レンズ21は、その屈折面(第1面21
A、第2面21B)の形状、屈折率が、以下のように設
定されている。
【0111】多輪帯位相差レンズ21のレンズデータを
表4に示す。
【表4】 表4において、面番号1,2はそれぞれ、多輪帯位相差
レンズ21の第1面21A、第2面21Bである。面番
号3,4はそれぞれ、HD−DVDのディスク表面、記
録層である。
【0112】多輪帯位相差レンズ21の第1面21Aと
第2面21Bの形状を以下に示す。第1面21Aは、図
3に破線で示す母非球面(図3に破線で図示)21a
を、光軸方向に、光軸6を中心とした同心円上の輪帯2
01〜230に分割されていて、光軸6から離れるにし
たがって、厚みが増すように形成されている。隣り合う
2つの輪帯の間の段差は、一の輪帯を通過する光線と、
その隣の輪帯を通過する光線との間に使用基準波長λ0
のほぼ整数倍の光路差を生じ、かつ波面のずれが生じな
い長さに設定されている。
【0113】多輪帯位相差レンズ21の第1面21Aの
母非球面と、第2面21Bとは、それぞれ、前記(数
3)式に、表5に示す係数を代入した数式で規定され
る、光軸6の周りに軸対称な非球面に形成されている。
【表5】
【0114】多輪帯位相差レンズ21の第1面21Aに
形成された、各輪帯201〜230の母非球面21aに
対する光軸方向の変位量を、表6に示す。表6におい
て、光軸6方向の変位量は、多輪帯位相差レンズ21の
第1面21Aから第2面21Bに向かう方向を正として
いる。
【表6】
【0115】このように、多輪帯位相差レンズ21は、
第1の実施の形態に記載の多輪帯位相差レンズ11と同
様に、1つの非球面式で表される光学面形状(母非球
面)を光軸を中心とする同心円により複数の輪帯に分割
し、隣り合う輪帯を通過する光線が使用基準波長λ0
ほぼ整数倍の光路差を生じるように、各輪帯の面を光軸
方向にシフトすることによって得られる形状のレンズで
ある。使用基準波長λ0の入射光束に対しほぼ無収差と
なるレンズを、図7に示すように、第0014段落で述
べた方法に従って、各輪帯の内径および外径を決定し、
各輪帯の面を光軸方向に平行移動させる。輪帯を形成す
ることによって光束の光路長が変化するが、使用基準波
長λ0、使用波長λの光束に対して波面収差が最小とな
るように、各輪帯の変位量、面形状を調整する(レンズ
を再設計する)。これを繰り返し行うことにより、使用
基準波長λ0、使用波長λの光束に対して最適な各輪帯
の変位量、内径、外径、および母非球面の形状が決定さ
れる。
【0116】また、HD−DVDのデータ書き込み時の
モードホップを想定して、レーザ光束の波長が、使用基
準波長λ0(405nm)の前後2nmの範囲で変動し
たときの、光軸6上に形成される集光スポットの、光軸
方向の変動を、多輪帯位相差レンズ21に輪帯が設けら
れていない「母非球面レンズ」の場合と比較して、図8
に示す。
【0117】この光学系の焦点深度(λ0/2NA2)
は、280nm程度であり、幾何光学的には、この焦点
深度の2分の1の範囲内に、波面収差が最小となる集光
スポットの光軸方向の変動量ΔfBが収まっていれば、
集光スポットの径が、HD−DVDにデータを読み書き
するのに適した径(λ0/2NA以下)となる。図8に
示すように、入射するレーザ光束の波長の変動幅が使用
基準波長λ0の前後2nmの範囲である場合の集光スポ
ットの光軸方向の変動量ΔfBは、「母非球面レンズ」
については、最大で750nm程度であるのに対し、多
輪帯位相差レンズ21については、数十nm程度に収ま
っている。
【0118】また、図3及び図4には、第1の光学素子
と第2の光学素子とを一体に形成した多輪帯位相差レン
ズを示したが、これに限らず、図9に示すとおり、光路
差付与機能を有する第1光学素子30と、屈折機能を有
する第2光学素子31とを別体で構成しても良い。かか
る構成によれば、光路差付与機能と屈折機能とを各々独
立して考慮した光学素子設計を行なえるため、設計の自
由度が広がる。なお、図9中、符合40は情報記録面を
示す。
【0119】また、図10に示した本発明の対物レンズ
50を用いて、図11に示した光ピックアップ装置60
を構成することが可能である。なお、図11及び後述す
る図12中の符合70、71は、シリンドリカルレン
ズ、凹レンズである。また、光源L1として、780n
mの波長のレーザを出射する光源72と、650nmの
波長のレーザを出射する光源73とを、同一のパッケー
ジに収めた、いわゆる2レーザー1パッケージの光源ユ
ニットを用いている。
【0120】図10の対物レンズ50は、図3及び図4
に示した、第1の光学素子と第2の光学素子とを一体に
形成したレンズに互換用構造51を設けたものである。
そして、この互換用構造を通過した波長λ0の光束(例
えば、DVD用として使用される使用基準波長650n
mの光束)が、第1の光情報記録媒体としてのDVDの
情報記録面40aに情報の再生及び/又は記録が可能な
状態で集光し、また、この互換用構造51を通過した使
用波長λ1(λ1>λ0)の光束(例えば、CD用として
使用される使用基準波長780nmの光束)が、第2の
光情報記録媒体としてのCDの情報記録面40bに情報
の再生及び/又は記録が可能な状態で集光するようにな
っている。
【0121】互換用構造51は、光軸を中心とした輪帯
状光学機能面(図示略)が段差面(図示略)を介して連
続的に複数形成された構造であり、輪帯状光学機能面を
通過した使用基準波長λ0及び使用波長λ1の各光束が、
輪帯状光学機能面によって屈折する方向へ出射され、か
つ、集光スポットにおける波面収差が最小となる像面位
置において、各輪帯を通過した前記各光束の波面の位相
φが、−0.5π≦φ≦0.5πを満たすように形成さ
れている。互換用構造としては、他にも、例えば光軸を
中心とした同心円状に形成される回折輪帯や、回折格子
等の回折構造を用いることができる。以上のように、一
方の光源に780nmの波長のレーザを出射する光源7
2を用い、他方の光源に650nmの波長のレーザを出
射する光源73を用いることで、CDとDVDに対する
情報の再生及び/又は記録が可能となる。
【0122】さらに、図10に示した本発明の対物レン
ズ50を用いて、図12に示した光ピックアップ装置8
0を構成することも可能である。各光源は図11に示し
た光源L1と同様のものを用い、CDとDVDに対する
情報の再生及び/又は記録が可能となっている。図11
の光ピックアップ装置60との違いは、対物レンズ50
に有限光が入射するように構成されている点である。本
構成により、図12の光ピックアップ装置80は図11
に示したコリメータレンズ12(22)を用いる必要が
なくなり、光ピックアップ装置80全体を小型化するこ
とが可能となる。また、以上のような構成を備える光ピ
ックアップ装置及び対物レンズを、使用基準波長λ0
405nm、使用波長λ1が650nmの2種類の光束
を用いたHD−DVDとDVDとの互換用に適用するこ
ともできる。
【0123】
【発明の効果】本発明によれば、光情報記録媒体のデー
タ読出し状態からデータ書込み状態に切り替わる瞬間に
生じるモードホップなどにより入射光束の波長が使用基
準波長λ0からこれとは異なる使用波長λ(|λ−λ0
<1[nm])に変化しても、光情報記録媒体の情報記
録面にデータを書き込む際にエラーが発生するのを防止
できる。また、例えば、DVDとCD、HD−DVDと
DVDとの組み合わせなど、使用波長及び保護基板厚が
異なる2種類の光情報記録媒体に対する互換性を持つこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ピックアップ装置における、第
1の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光
学素子の、屈折機能による光線の光路と、屈折機能と光
路差付与機能とによる光線の光路の概略図である。
【図2】本発明に係る光ピックアップ装置の一例の全体
構成の概略図である。
【図3】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の一例である多輪帯位相差レンズの概略を示す、側
面図である。
【図4】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の一例である多輪帯位相差レンズの概略を示す、正
面図である。
【図5】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の一例である多輪帯位相差レンズに、使用基準波長
λ0の光束が入射したときの縦球面収差図である。
【図6】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の他の一例である多輪帯位相差レンズに入射する光
束の波長が、使用基準波長λ0の前後で変動したとき
の、光軸上に形成される集光スポットの位置の光軸方向
の変動を示す図である。
【図7】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の一例である多輪帯位相差レンズに、使用基準波長
λ0とは異なる波長のλの光束が入射したときの縦球面
収差の概略図である。
【図8】本発明に係る光ピックアップ装置における第1
の光学素子と第2の光学素子、または本発明に係る光学
素子の他の一例である多輪帯位相差レンズに入射する光
束の波長が、使用基準波長λ0の前後で変動したとき
の、光軸上に形成される集光スポットの位置の光軸方向
の変動を示す図である。
【図9】第1の光学素子と第2の光学素子とを別体に配
置した場合を示す平面図である。
【図10】DVDとCD互換用の有限光/無限光用の対
物レンズの断面図である。
【図11】図10の対物レンズを組み込み、無限光を用
いた光ピックアップ装置の概略図である。
【図12】図10の対物レンズを組み込み、有限光を用
いた光ピックアップ装置の概略図である。
【符号の説明】
L1 光源L1 1,2 光ピックアップ装置 6 光軸 7 光束(レーザ光束) 7a 集光スポット 8 光情報記録媒体(MO) 9 光情報記録媒体(HD−DVD) 8a,9a 情報記録面 11,21 (第1の/第2の)光学素子(多輪帯位
相差レンズ) 111〜119,211〜230 輪帯 30 第1光学素子 31 第2光学素子 40a DVDの情報記録面 40b CDの情報記録面 50 対物レンズ 60 光ピックアップ装置 80 光ピックアップ装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H087 KA13 LA01 NA03 PA01 PA17 PB01 QA02 QA07 QA14 QA34 RA00 RA05 RA12 RA13 RA42 RA46 RA47 5D119 AA17 AA23 AA41 BA01 BB03 BB04 CA16 DA01 EC01 EC03 EC45 EC47 FA08 JA44 JA46 JA70 JB02 JB10

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光情報記録媒体の情報記録面に光束を集
    光させる光ピックアップ装置であって、 この光ピックアップ装置の光学系における光軸上に配置
    され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に区分さ
    れ、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚みを持
    つように形成されているとともに、ある一つの輪帯を通
    過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪
    帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
    も、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光路差
    付与機能を有する第1の光学素子と、 同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束
    が入射する際に前記情報記録面上に形成される集光スポ
    ットの球面収差を最適にする屈折機能を有する第2の光
    学素子とを備え、 使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面にほぼ
    収差なく集光し、 使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
    1[nm])の光束が入射する際に、軸上色収差が補正
    されることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 【請求項2】 光情報記録媒体の情報記録面に光束を集
    光させる光ピックアップ装置であって、 この光ピックアップ装置の光学系における光軸上に配置
    され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に区分さ
    れ、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚みを持
    つように形成されているとともに、ある一つの輪帯を通
    過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪
    帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
    も、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光路差
    付与機能を有する第1の光学素子と、 同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束
    が入射する際に前記情報記録面上に形成される集光スポ
    ットの球面収差を最適にする屈折機能を有する第2の光
    学素子とを備え、 使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面にほぼ
    収差なく集光し、 使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
    1[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
    束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
    の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<2000 を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光ピックアップ装置に
    おいて、 前記使用基準波長λ0は、 600nm<λ0<700nm であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光ピックアップ装置に
    おいて、 前記第1の光学素子に形成された輪帯の数は、3〜30
    のうちのいずれかであることを特徴とする光ピックアッ
    プ装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の光ピックアッ
    プ装置において、 前記光学系の開口数が0.65以下であることを特徴と
    する光ピックアップ装置。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の光ピックアップ装置に
    おいて、 前記第1の光学素子と前記第2の光学素子のうち少なく
    とも一つの光学素子が互換用構造を有し、 前記互換用構造を通過した前記使用基準波長λ0の光束
    が、前記光情報記録媒体のうち第1の光情報記録媒体の
    情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可能な状態で
    集光され、 前記互換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の
    光束が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光
    情報記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録
    が可能な状態で集光されることを特徴とする光ピックア
    ップ装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の光ピックアップ装置に
    おいて、 前記互換用構造は回折構造であることを特徴とする光ピ
    ックアップ装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の光ピックアップ装置に
    おいて、 前記互換用構造は、光軸を中心とした輪帯状光学機能面
    が段差面を介して連続的に複数形成された構造であり、
    前記輪帯状光学機能面を通過した前記使用基準波長λ0
    及び使用波長λ1の各光束は、前記輪帯状光学機能面に
    よって屈折する方向へ出射され、かつ、集光スポットに
    おける波面収差が最小となる像面位置において、各輪帯
    を通過した前記各光束の波面の位相φが、 −0.5π≦φ≦0.5π を満たすように形成されることを特徴とする光ピックア
    ップ装置。
  9. 【請求項9】 請求項2又は6に記載の光ピックアップ
    装置において、 前記第1の光学素子及び前記第2の光学素子のうち、光
    源側に配置される光学素子に前記使用基準波長λ0の光
    束の発散光が入射することを特徴とする光ピックアップ
    装置。
  10. 【請求項10】 請求項6〜9のいずれか一項に記載の
    光ピックアップ装置において、 前記使用波長λ1は、 750nm≦λ1≦800nm であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  11. 【請求項11】 光情報記録媒体の情報記録面に光束を
    集光させる光ピックアップ装置であって、 この光ピックアップ装置の光学系における光軸上に配置
    され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に区分さ
    れ、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚みを持
    つように形成されているとともに、ある一つの輪帯を通
    過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪
    帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
    も、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光路差
    付与機能を有する第1の光学素子と、 同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束
    が入射する際に前記情報記録面上に形成される集光スポ
    ットの球面収差を最適にする屈折機能を有する第2の光
    学素子とを備え、 使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面にほぼ
    収差なく集光し、 使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
    2[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
    束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
    の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<150 を満たすことを特徴とする光ピックアップ装置。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の光ピックアップ装
    置において、 前記使用基準波長λ0は、 400nm<λ0<500nm であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の光ピックアップ装
    置において、 前記第1の光学素子に形成された輪帯の数は、20〜6
    0のうちのいずれかであることを特徴とする光ピックア
    ップ装置。
  14. 【請求項14】 請求項12または13に記載の光ピッ
    クアップ装置において、 前記光学系の開口数が0.9以下であることを特徴とす
    る光ピックアップ装置。
  15. 【請求項15】 請求項11に記載の光ピックアップ装
    置において、 前記第1の光学素子と前記第2の光学素子のうち少なく
    とも一つの光学素子が互換用構造を有し、 前記互換用構造を通過した前記波長λ0の光束が、前記
    光情報記録媒体のうち第1の光情報記録媒体の情報記録
    面に情報の再生及び/又は記録が可能な状態で集光さ
    れ、 前記互換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の
    光束が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光
    情報記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録
    が可能な状態で集光されることを特徴とする光ピックア
    ップ装置。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の光ピックアップ装
    置において、 前記互換用構造は回折構造であることを特徴とする光ピ
    ックアップ装置。
  17. 【請求項17】 請求項15に記載の光ピックアップ装
    置において、 前記互換用構造は、光軸を中心とした輪帯状光学機能面
    が段差面を介して連続的に複数形成された構造であり、
    前記輪帯状光学機能面を通過した前記使用基準波長λ0
    及び使用波長λ1の各光束は、前記輪帯状光学機能面に
    よって屈折する方向へ出射され、かつ、集光スポットに
    おける波面収差が最小となる像面位置において、各輪帯
    を通過した前記各光束の波面の位相φが、−0.5π≦
    φ≦0.5πを満たすように形成されることを特徴とす
    る光ピックアップ装置。
  18. 【請求項18】 請求項11又は15に記載の光ピック
    アップ装置において、 前記第1の光学素子及び前記第2の光学素子のうち、光
    源側に配置される光学素子に前記使用波長λ1の光束の
    発散光が入射することを特徴とする光ピックアップ装
    置。
  19. 【請求項19】 請求項15〜18のいずれか一項に記
    載の光ピックアップ装置において、 前記使用波長λ1は、 630nm≦λ1≦680nm であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  20. 【請求項20】 光情報記録媒体の情報記録面に光束を
    集光させる光ピックアップ装置に用いられる光学素子で
    あって、 この光ピックアップ装置の光学系における光軸上に配置
    され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に区分さ
    れ、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚みを持
    つように形成されているとともに、ある一つの輪帯を通
    過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪
    帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
    も、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光路差
    付与機能と、 同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束
    が入射する際に前記情報記録面上に形成される集光スポ
    ットの球面収差を最適にする屈折機能とを備え、 使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面にほぼ
    収差なく集光し、 使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
    1[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
    束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
    の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<2000 を満たすことを特徴とする光学素子。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載の光学素子におい
    て、 前記使用基準波長λ0は、 600nm<λ0<700nm であることを特徴とする光学素子。
  22. 【請求項22】 請求項21に記載の光学素子におい
    て、 前記光学素子に形成された輪帯の数は、3〜30のうち
    のいずれかであることを特徴とする光学素子。
  23. 【請求項23】 請求項21または22に記載の光学素
    子において、 前記光学素子の開口数が0.65以下であることを特徴
    とする光学素子。
  24. 【請求項24】 請求項21〜23のいずれか一項に記
    載の光学素子において、 前記光束のうち、最も光軸から離れた位置でこの光学素
    子を通過する光線が、前記屈折機能により光軸と交わる
    位置と、近軸光線が前記屈折機能により光軸と交わる位
    置との距離が0.02mm以下であることを特徴とする
    光学素子。
  25. 【請求項25】 請求項20に記載の光学素子におい
    て、 互換用構造を有し、前記互換用構造を通過した前記波長
    λ0の光束が、前記光情報記録媒体のうち第1の光情報
    記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可
    能な状態で集光され、 前記互換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の
    光束が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光
    情報記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録
    が可能な状態で集光されることを特徴とする光学素子。
  26. 【請求項26】 請求項25に記載の光学素子におい
    て、 前記互換用構造は回折構造であることを特徴とする光学
    素子。
  27. 【請求項27】 請求項25に記載の光学素子におい
    て、 前記互換用構造は、光軸を中心とした輪帯状光学機能面
    が段差面を介して連続的に複数形成された構造であり、
    前記輪帯状光学機能面を通過した前記使用基準波長λ0
    及び使用波長λ1の各光束は、前記輪帯状光学機能面に
    よって屈折する方向へ出射され、かつ、集光スポットに
    おける波面収差が最小となる像面位置において、各輪帯
    を通過した前記各光束の波面の位相φが、 −0.5π≦φ≦0.5π を満たすように形成されることを特徴とする光学素子。
  28. 【請求項28】 請求項20又は25に記載の光学素子
    において、 前記使用基準波長λ0の光束の発散光が入射することを
    特徴とする光学素子。
  29. 【請求項29】 請求項25〜28のいずれか一項に記
    載の光学素子において、 前記使用波長λ1は、 750nm≦λ1≦800nm であることを特徴とする光学素子。
  30. 【請求項30】 光情報記録媒体の情報記録面に光束を
    集光させる光ピックアップ装置に用いられる光学素子で
    あって、 この光ピックアップ装置の光学系における光軸上に配置
    され、光軸を中心とする同心円で複数の輪帯に区分さ
    れ、これら各輪帯は、互いに異なる光軸方向の厚みを持
    つように形成されているとともに、ある一つの輪帯を通
    過する光線の光路長を、この輪帯に隣接し、かつこの輪
    帯より光軸に近い他の輪帯を通過する光線の光路長より
    も、使用基準波長λ0のほぼ整数倍だけ長くする光路差
    付与機能と、 同光学系の光軸上に配置され、使用基準波長λ0の光束
    が入射する際に前記情報記録面上に形成される集光スポ
    ットの球面収差を最適にする屈折機能とを備え、 使用基準波長λ0の入射光束は、前記情報記録面にほぼ
    収差なく集光し、 使用基準波長λ0とは異なる使用波長λ(|λ−λ0|<
    2[nm])の入射光束と、使用基準波長λ0の入射光
    束とによって形成される両集光スポットの間の光軸方向
    の距離をΔfBとして、 |ΔfB/(λ−λ0)|<150 を満たすことを特徴とする光学素子。
  31. 【請求項31】 請求項30に記載の光学素子におい
    て、 前記使用基準波長λ0は、 400nm<λ0<500nm であることを特徴とする光学素子。
  32. 【請求項32】 請求項31に記載の光学素子におい
    て、 前記光学素子に形成された輪帯の数は、20〜60のう
    ちのいずれかであることを特徴とする光学素子。
  33. 【請求項33】 請求項31または32に記載の光学素
    子において、 前記光学素子の開口数が0.9以下であることを特徴と
    する光学素子。
  34. 【請求項34】 請求項31〜33のいずれか一項に記
    載の光学素子において、 前記光束のうち、最も光軸から離れた位置でこの光学素
    子を通過する光線が前記屈折機能により光軸と交わる位
    置と、近軸光線が前記屈折機能により光軸と交わる位置
    との距離が0.03mm以下であることを特徴とする光
    学素子。
  35. 【請求項35】 請求項30に記載の光学素子におい
    て、 互換用構造を有し、前記互換用構造を通過した前記波長
    λ0の光束が、前記光情報記録媒体のうち第1の光情報
    記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録が可
    能な状態で集光され、 前記互換用構造を通過した使用波長λ1(λ1>λ0)の
    光束が、前記第1の光情報記録媒体とは異なる第2の光
    情報記録媒体の情報記録面に情報の再生及び/又は記録
    が可能な状態で集光されることを特徴とする光学素子。
  36. 【請求項36】 請求項35に記載の光学素子におい
    て、 前記互換用構造は回折構造であることを特徴とする光学
    素子。
  37. 【請求項37】 請求項35に記載の光学素子におい
    て、 前記互換用構造は、光軸を中心とした輪帯状光学機能面
    が段差面を介して連続的に複数形成された構造であり、
    前記輪帯状光学機能面を通過した前記使用基準波長λ0
    及び使用波長λ1の各光束は、前記輪帯状光学機能面に
    よって屈折する方向へ出射され、かつ、集光スポットに
    おける波面収差が最小となる像面位置において、各輪帯
    を通過した前記各光束の波面の位相φが、 −0.5π≦φ≦0.5π を満たすように形成されることを特徴とする光学素子。
  38. 【請求項38】 請求項30または35に記載の光学素
    子において、 前記使用波長λ1の光束の発散光が入射することを特徴
    とする光学素子。
  39. 【請求項39】 請求項35〜38のいずれか一項に記
    載の光学素子において、 前記使用波長λ1は、 630nm≦λ1≦680nm であることを特徴とする光学素子。
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