JP2003248918A - 磁気転写用マスター担体 - Google Patents

磁気転写用マスター担体

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JP2003248918A
JP2003248918A JP2002346871A JP2002346871A JP2003248918A JP 2003248918 A JP2003248918 A JP 2003248918A JP 2002346871 A JP2002346871 A JP 2002346871A JP 2002346871 A JP2002346871 A JP 2002346871A JP 2003248918 A JP2003248918 A JP 2003248918A
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JP2002346871A
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Kazuhiro Niitsuma
一弘 新妻
Shoichi Nishikawa
正一 西川
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マスター担体とスレーブ媒体を密着させ転写
用磁界を印加して磁気転写を行う際の、マスター担体の
熱膨張変形に基づく転写信号の位置精度を、雰囲気温度
を厳密に管理することなく確保する。 【解決手段】 マスター担体3は基板31に形成したパ
ターン上に磁性層32を備え、基板31の熱膨張係数が、
5〜25×10-6/℃の範囲であり、異方向の熱膨張係
数の差が8×10-6/℃以下である。基板31は、純Ni
または僅かにCoを含むNi−Coよりなるものが、熱
膨張係数が13×10-6/℃前後で安定して得られ、F
e−Co−NiよりなりNiの含有量が60%以上であ
るものが、熱膨張係数が12×10-6/℃前後で安定し
て得られ好適である。また、マスター担体3の基板の熱
膨張係数Aと、スレーブ媒体2の基板の熱膨張係数Bと
の比B/Aが、0.3〜2.1の範囲にあることが望ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スレーブ媒体に磁
気転写する転写情報を担持した磁気転写用マスター担体
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気転写方法は、基板の表面に転写情報
に対応するパターンが磁性体によって形成されたマスタ
ー担体の表面を、磁気記録部を有するスレーブ媒体の表
面に密着させ、この状態で転写用磁界を印加し、マスタ
ー担体に担持した情報(例えばサーボ信号)に対応する
磁化パターンをスレーブ媒体の磁気記録部に転写記録す
るものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】磁気転写に使用されるマスター担体は、シ
リコン基板、ガラス基板等に、フォトファブリケーショ
ン、スパッタリング、エッチングなどの処理を施して磁
性体による凹凸パターンを形成したもので構成されてい
る。
【0004】また、半導体などで使用されているリトグ
ラフィー技術、あるいは光ディスクスタンパー作成に使
用されているスタンパー作成技術を応用し、磁気転写用
マスター担体を作成することが考えられている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−269566号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な磁気転写においては、この磁気転写によってスレーブ
媒体に記録された信号が、記録再生を行うドライブに装
填された際に、正確に読み取られることが重要である。
【0007】上記点から、磁気転写においてはスレーブ
媒体とマスター担体との位置決めを正確に行って転写信
号の位置精度を高めることが要求されると共に、磁気転
写時の温度変化によってマスター担体およびスレーブ媒
体が熱膨張変形した際にも、転写された信号の位置精度
がドライブ側での読み取り許容範囲にあることが要求さ
れる。
【0008】磁気転写が行われるスレーブ媒体として
は、フレキシブルディスクおよびハードディスクが一般
的であり、フレキシブルディスクの基板(支持体)とし
てはPET、PEN、アラミド等のプラスチックフィル
ムが使用され、ハードディスクの基板としてはガラス、
アルミニウム等の硬質板が使用され、それぞれの熱膨張
係数はドライブ側の要求に適合されている。
【0009】そして、マスター担体への転写パターン形
成時(マスタリング時)の環境温度と、スレーブ媒体へ
の転写時の環境温度との変動等に基づき、マスター担体
の寸法が変わるため、スレーブ媒体に転写された信号の
位置精度が変化するものであり、これを一定とするため
には、磁気転写時の環境温度を所定温度とすることが要
求されるが、転写装置を含む工程の温度管理を厳密に行
うことは実施上の困難性を伴い、コスト面でも不利とな
る。
【0010】具体的には、磁気転写用マスター担体の製
造工程は、まず、マスタリング工程で、シリコン原板に
レジスト塗布、電子ビームによる描画露光、現像、洗浄
等を行い、原盤マスターを作製する。次に電鋳工程にて
この原盤マスターにNi等をメッキしてパターンを複製
したNi基板等の基板を作製する。その後、所望のサイ
ズに打ち抜き、パターン表面に磁性層を成膜し、マスタ
ー担体を得る。
【0011】ここで、特に上記マスタリング工程では、
レジストの塗布厚み、厚み分布が最終マスター担体にお
けるパターンの凹凸深さとなり、描画位置がディスクの
正規位置となるため、精度よく形成することが必要であ
る。そのために、この重要なマスタリング工程の環境温
度を、例えば25℃±0.1℃等になるよう温調設備を
導入し制御する必要があり、設備費が高額となる。
【0012】一方、マスター担体とスレーブ媒体とを密
着させて転写用磁界を印加する磁気転写工程では、製造
時における磁気転写装置内部の温度が、連続した転写動
作により装置温度が上昇する傾向にある。これは、装置
自身の機器から発生する熱や、繰り返し密着による熱な
どの影響による。このとき、磁気転写装置のホルダーに
取り付けられたマスター担体も同様の温度環境下により
昇温する。
【0013】磁気転写工程とその前後工程の一定温度化
を図り、前述の設定温度に対し、温度変化が0.1℃以
下で制御できれば問題ないが、この温度制御には設備コ
ストが高くなり、実際は、1日の変動で±2.5℃、年
間の変動で±5℃程度になる可能性もあり、この程度の
温度変化があっても精度を維持することが望まれる。
【0014】スレーブ媒体は例えばハードディスクであ
れば、基板にスパッタリング等で磁性層を形成してか
ら、バーニッシュ、磁気転写等の工程を流れる。スレー
ブ媒体はこの環境下を搬送されることで、生産速度やラ
イン長さにも関係するが、一般的には磁気転写工程の直
前では十分その環境になれた状態、すなわちマスター担
体とほぼ同じ温度となっている。
【0015】しかし、前述のように磁気転写工程やライ
ン全体を高精度で温度制御したり、また機器の発熱など
すべてを押さえたりして温度管理を厳密にすることは実
現困難である。そのため、例えば、磁気転写工程の環境
温度が30℃の場合、前述のマスタリング工程との温度
差が5℃となり、25℃で作製した原盤マスターに対
し、熱膨張による寸法変化が発生してしまう。
【0016】また、スレーブ媒体の基板は、ハードディ
スクではアルミニウムやガラスであり、フレキシブルデ
ィスクではPETフィルムなどであり、これらの基板も
磁気転写工程の温度で同様に熱膨張する。この環境下で
磁気転写した場合、マスター担体とスレーブ媒体との熱
膨張差により、本来あるべき信号位置が転写したスレー
ブ媒体上でずれてしまう問題が発生する。
【0017】本発明はこのような問題に鑑みなされたも
ので、マスター担体とスレーブ媒体を密着させて転写用
磁界を印加して磁気転写を行う際の、マスター担体の熱
膨張変形に基づく転写信号の位置精度を、環境温度を厳
密に管理することなく確保できるようにした磁気転写用
マスター担体を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気転写用マス
ター担体は、基板に形成したパターン上に磁性層を備
え、転写を受けるスレーブ媒体と密着させて磁気転写を
行うための磁気転写用マスター担体であって、前記マス
ター担体の基板の熱膨張係数が、5〜25×10-6/℃
の範囲であり、異方向の熱膨張係数の差が8×10-6
℃以下であることを特徴とするものである。
【0019】前記基板の熱膨張係数が、10〜15×1
-6/℃の範囲であることがより好適である。
【0020】前記基板は、純Niまたは僅かにCoを含
むNi−Coよりなるものが、熱膨張係数が13×10
-6/℃前後で安定して得られ好適である。また。前記基
板は、Fe−Co−Niよりなり、Niの含有量が60
%以上であるものが、熱膨張係数が12×10-6/℃前
後で安定して得られ好適である。
【0021】また、前記マスター担体の基板の熱膨張係
数Aと、前記スレーブ媒体の基板の熱膨張係数Bとの比
B/Aが、0.3〜2.1の範囲にあることが望まし
い。
【0022】異方向の熱膨張係数の差とは、スレーブ媒
体との密着面に平行な面における異なる方向での熱膨張
係数の最大値と最小値との差である。
【0023】
【発明の効果】上記のような本発明のマスター担体によ
れば、パターンが形成された基板の熱膨張係数を、5〜
25×10-6/℃の範囲で、異方向の熱膨張係数の差が
8×10-6/℃以下に規定したために、マスタリング時
と磁気転写時との温度差に起因するマスター担体とスレ
ーブ媒体との熱膨張差に基づく転写信号位置ズレが小さ
くなり、スレーブ媒体への磁気転写時の温度管理を厳密
に行うことなくスレーブ媒体に転写記録された信号の位
置精度をドライブ側の要求に適合させることができ、転
写信号の読み取りの信頼性が高まると共に、転写装置を
含む工程の環境温度管理が緩和されてコスト面で有利と
なる。
【0024】特に、マスター担体の基板の熱膨張係数A
と、スレーブ媒体の基板の熱膨張係数Bとの比B/A
を、0.3〜2.1の範囲に設定して、マスター担体の
基板の熱膨張係数をスレーブ媒体の熱膨張係数に近似さ
せると、より精度の高い磁気転写を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。図1は本発明の一つの実施の形態にかかる
マスター担体を使用した磁気転写方法の工程を示す図で
ある。なお、図1に示す形態は面内記録方式である。ま
た、図は模式図であり各部の寸法は実際とは異なる比率
で示している。
【0026】面内記録による磁気転写方法の概要は次の
ようなものである。まず図1(a)に示すように、最初に
スレーブ媒体2の基板上に形成された磁性層(不図示)
に初期静磁界Hinをトラック方向の一方向に印加して予
め初期磁化(直流消磁)を行う。その後、図1(b)に示す
ように、このスレーブ媒体2の磁気記録面と、マスター
担体3の基板31の微細凹凸パターンに磁性層32が被
覆されてなる情報担持面の凸部パターンの頂面とを密着
させ、スレーブ媒体2のトラック方向に前記初期磁界H
inとは逆方向に転写用磁界Hduを印加して磁気転写を行
う。転写用磁界Hduが凸部パターンの磁性層32に吸い
込まれてこの部分の磁化は反転せず、その他の部分の磁
界が反転する結果、図1(c)に示すように、スレーブ媒
体2のトラックにはマスター担体3の情報担持面の磁性
層32の密着凸部パターンと凹部空間との形成パターン
に応じた磁化パターンが転写記録される。
【0027】マスター担体3はディスク状に形成され、
その片面にサーボ信号等に対応した磁性層32による微
細凹凸パターンが形成された転写情報担持面を有し、こ
れと反対側の面が不図示のホルダーに保持され、スレー
ブ媒体2と密着される。図示のように、スレーブ媒体2
の片面にマスター担体3を密着させて片面逐次転写を行
う場合と、スレーブ媒体2の両面にそれぞれマスター担
体3を密着させて両面同時転写を行う場合とがある。
【0028】上記のようなマスター担体3において、パ
ターンが形成された基板31の熱膨張係数が、5〜25
×10-6/℃の範囲に、好ましくは10〜15×10-6
/℃の範囲に、また、スレーブ媒体2との密着面に平行
な面における異なる方向での熱膨張係数の最大値と最小
値との差が8×10-6/℃以下に規定されている。
【0029】さらに、マスター担体3の基板31の熱膨
張係数Aと、スレーブ媒体2の基板の熱膨張係数Bとの
比B/Aが、0.3〜2.1の範囲に設定されて、基板
31の熱膨張係数をスレーブ媒体2の熱膨張係数に近似
させている。
【0030】上記のような熱膨張特性を有する基板31
の材料は、第1の例としては、純Niまたは僅かにCo
を含むNi−Co合金よりなるものが、熱膨張係数が1
3(12.8〜13.3)×10-6/℃前後で安定して
得られる。例えば、Ni−Co合金の組成をNi:9
9.87%、Co:0.13%としたものが、熱膨張係
数が13.3×10-6/℃となる。
【0031】また、第2の例としては、基板31の材料
が、Fe−Co−Ni合金よりなり、Niの含有量が6
0at%以上であるものが、熱膨張係数が12×10-6
℃前後で安定して得られる。つまり、図2にFe−Co
−Ni合金におけるNi原子濃度(at%)と熱膨張係数
の関係を示すように、Ni量が60at%以上の範囲で、
熱膨張係数が12×10-6/℃前後で安定して得られ
る。例えば、Niの含有量が60〜99.87%で、熱
膨張係数は12〜13.3×10-6/℃である。
【0032】一方、スレーブ媒体2の熱膨張係数は、ハ
ードディスクの場合のガラス基板は5〜8×10-6
℃、アルミニウム基板は20〜23×10-6/℃であ
り、フレキシブルディスクの場合のPET基板は10〜
25×10-6/℃であり、上記の膨張比B/Aの範囲を
満たすものである。また、PET基板の異方性は0.1
〜8×10-6/℃である。
【0033】上記のようにマスター担体3の基板31の
熱膨張係数を上記の範囲に設定することにより、磁気転
写時にその環境温度に応じた熱膨張状態にあるマスター
担体3とスレーブ媒体2とを密着させて転写用磁界を印
加して磁気転写を行っても、その温度差に起因するマス
ター担体3とスレーブ媒体2との熱膨張差に基づく転写
信号位置ズレが小さくなり、転写された信号の位置精度
が確保でき、信頼性が高められる。これにより、マスタ
リング時と磁気転写時との温度差がある程度許容でき、
磁気転写時の環境温度への要求が緩和され、温度管理が
容易となる。さらに、マスター担体3の熱膨張係数はド
ライブ側の要求に適合し、同様に信号が転写されたスレ
ーブ媒体2の熱膨張係数もドライブ側の要求に適合して
いるために、ドライブでの読み取りが良好に行えること
になる。
【0034】マスター担体3の基板31としては、前述
のようなニッケル系金属によるものが好適であるが、ア
ルミニウム、その他合金等を使用することができ、それ
らの場合についても、前記と同様の熱膨張係数を有する
もので構成される。
【0035】凹凸パターンの形成は、スタンパー法等に
よって行われる。例えば、スタンパー法は、表面が平滑
なガラス板(または石英板)の上にスピンコート等でフ
ォトレジストを形成し、このガラス板を回転させながら
サーボ信号に対応して変調したレーザー光(または電子
ビーム)を照射し、所定のパターン、例えばサーボ信号
に相当するパターンを露光する。その後、フォトレジス
トを現像処理し、露光部分を除去しフォトレジストによ
る凹凸形状を有する原盤を得る。次に、原盤の表面の凹
凸パターンをもとに、この表面に所定の組成のメッキ
(電鋳)を施し、ポジ状凹凸パターンを有する基板を作
成し、原盤から剥離する。基板の凹凸パターンの深さ
(突起の高さ)は、80nm〜800nmの範囲が好ま
しく、より好ましくは100nm〜600nmである。
【0036】また、前記原盤にメッキを施して第2の原
盤を作成し、この第2の原盤を使用してメッキを行い、
ネガ状凹凸パターンを有する基板を作成してもよい。さ
らに、第2の原盤にメッキを行うか樹脂液を押し付けて
硬化を行って第3の原盤を作成し、第3の原盤にメッキ
を行い、ポジ状凹凸パターンを有する基板を作成しても
よい。一方、前記ガラス板にフォトレジストによるパタ
ーンを形成した後、エッチングしてガラス板に穴を形成
し、フォトレジストを除去した原盤を得て、以下前記と
同様に基板を形成してもよい。
【0037】前記磁性層32の形成は、磁性材料を真空
蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等
の真空成膜手段、メッキ法などにより成膜する。その磁
性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNi
Zr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeC
o、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、Fe
Al、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)が用
いることができる。特に好ましくはFeCo、FeCo
Niである。磁性層32の厚みは、50nm〜500n
mの範囲が好ましく、さらに好ましくは100nm〜4
00nmである。
【0038】垂直記録方式の場合にも、上記面内記録と
ほぼ同様のマスター担体3が使用される。この垂直記録
の場合には、スレーブ媒体2の磁化を、予め垂直方向の
一方に初期直流磁化しておき、マスター担体3と密着さ
せてその初期直流磁化方向と略逆向きの垂直方向に転写
用磁界を印加して磁気転写を行うものであり、この転写
用磁界がマスター担体3の凸部パターンの磁性層32に
吸い込まれ、凸部パターンに対応する部分の垂直磁化が
反転し、凹凸パターンに対応した磁化パターンがスレー
ブ媒体2に記録できる。
【0039】初期磁界および転写用磁界を印加する磁界
生成手段は、面内記録の場合には、例えば、スレーブ媒
体2の半径方向に延びるギャップを有するコアにコイル
が巻き付けられたリング型電磁石装置が上下両側に配設
されてなり、上下で同じ方向にトラック方向と平行に発
生させた転写用磁界を印加する。磁界印加時には、スレ
ーブ媒体2とマスター担体3とを密着保持したホルダー
を回転させつつ磁界生成手段によって転写用磁界を印加
する。磁界生成手段を回転移動させるように設けてもよ
い。前記磁界生成手段は、片側にのみ配設するようにし
てもよく、永久磁石装置を両側または片側に配設しても
よい。
【0040】垂直記録の場合の磁界生成手段は、極性の
異なる電磁石または永久磁石をホルダーの上下に配置
し、垂直方向に磁界を発生させて印加する。部分的に磁
界を印加するものでは、ホルダーを移動させるか磁界を
移動させて全面の磁気転写を行う。
【0041】スレーブ媒体2は、両面または片面に磁性
層が形成されたハードディスク、高密度フレキシブルデ
ィスクなどの磁気記録媒体が使用され、フレキシブルデ
ィスクの基板はPET、PEN、アラミド等のプラスチ
ックフィルムが使用され、ハードディスクの基板として
はガラス、アルミニウム等の硬質板が使用され、それぞ
れの熱膨張係数はドライブ側の要求に適合されている。
また、その磁気記録部は塗布型磁性層あるいは金属薄膜
型磁性層で構成される。金属薄膜型磁性層の磁性材料と
しては、Co、Co合金(CoPtCr、CoCr、C
oPtCrTa、CoPtCrNbTa、CoCrB、
CoNi等)、Fe、Fe合金(FeCo、FePt、
FeCoNi)を用いることができる。これは磁束密度
が大きいこと、磁界印加方向と同じ方向(面内記録なら
面内方向、垂直記録なら垂直方向)の磁気異方性を有し
ていることが、明瞭な転写が行えるため好ましい。そし
て磁性材料の下(基板側)に必要な磁気異方性をつける
ために非磁性の下地層を設けることが好ましい。結晶構
造と格子定数を磁性層に合わすことが必要である。その
ためにはCr、CrTi、CoCr、CrTa、CrM
o、NiAl、Ru等を用いる。
【0042】次に、マスター担体のマスタリング時と磁
気転写時の温度差に起因する転写信号の位置ズレ量を、
各種基板材料で求めた実験例を説明する。この実験例に
おいては、マスタリング工程温度が25℃±0.1以
内、マスター担体の半径40mm位置に信号パターンを
作製し、その信号を外径95mmのスレーブ媒体へ磁気
転写する。その際、転写された信号を磁気現像液で現像
処理し、そのトラック信号半径を2次元形状測定器にて
計測した。このときの測定温度環境条件は25℃±0.
1であり、基準の40mm半径位置に対するズレ量を求
めたものであり、その結果を下記表1に示す。なお、P
ETフィルムの熱膨張係数は、ディスク1周の異なる方
向での熱膨張係数の平均値であり、その最大値と最小値
の差を異方向の差としている。
【0043】[実験例1〜3]マスター担体の基板がN
i(100%)で、前述のスタンパ法による電鋳品であ
り、その熱膨張係数は表1に示す通りである。スレーブ
媒体はフレキシブルディスクで、PETフィルム(厚さ
62μm)に両面磁性層を塗布形成してなり、その熱膨
張係数は表1に示す通りで、マスター担体と同一であ
る。実験例1〜3では、転写工程温度を23℃、25
℃、30℃にそれぞれ設定して磁気転写を行った。
【0044】表1の結果、マスター担体とスレーブ媒体
の熱膨張係数が同じため、転写工程温度が変わっても、
両者とも同じ率で膨張するため、正規位置に信号が転写
され、信号位置ズレ量は0であった。
【0045】[実験例4]スレーブ媒体の基板が、実験
例1〜3とはロットが異なるPETフィルムで、かつ、
原反の端部より打ち抜かれたものを用いて構成されてい
る。その熱膨張係数は、表1に示す通り大きくなり、異
方向の熱膨張係数の差が7×10-6/℃である。原反よ
りの幅方向の打抜位置でPET延伸処理の影響により熱
膨張係数および異方性が異なっている。その他は実験例
3と同様に転写工程温度は30℃である。
【0046】表1の結果、マスター担体とスレーブ媒体
の熱膨張係数が異なり、マスタリング時(25℃)と転
写工程温度との5℃の温度差により、その膨張差で転写
された信号は正規位置に対し、平均2.2μmずれた位
置であった。
【0047】[実験例5〜6]スレーブ媒体がハードデ
ィスクで、実験例5ではガラス基板、実験例6ではアル
ミニウム基板によるものであり、それらの熱膨張係数は
表1に示す通りである。マスター担体その他の条件は実
験例3と同様である。
【0048】表1の結果、マスター担体とスレーブ媒体
の熱膨張係数が異なり、マスタリング時(25℃)と転
写工程温度との5℃の温度差により、その膨張差で転写
された信号は正規位置に対し、それぞれ平均1.04μ
m、1.8μmずれた位置であった。
【0049】[実験例7]マスター担体の基板材質がニ
ッケル合金FeCoNiで、Niの含有量が60%であ
り、その熱膨張係数は表1に示す通りである。スレーブ
媒体はガラス基板でその他の条件は実験例3と同様であ
る。
【0050】表1の結果、マスター担体とスレーブ媒体
の熱膨張係数が異なり、マスタリング時(25℃)と転
写工程温度との5℃の温度差により、その膨張差で転写
された信号は正規位置に対し、平均0.84μmずれた
位置であった。
【0051】[実験例8〜10]マスター担体の基板材
質がSiでリソグラフィー法によりパターンが作製され
たもので、その熱膨張係数は表1に示す通りである。ス
レーブ媒体は、実験例8ではガラス基板のハードディス
ク、実験例9ではアルミニウム基板のハードディスク、
実験例10がPETによるフレキシブルディスクであ
り、それらの熱膨張係数は表1に示す通りであり、その
他の条件は実験例3と同様である。
【0052】表1の結果、マスター担体とスレーブ媒体
の熱膨張係数が特に実験例9,10で大きく異なり、マ
スタリング時(25℃)と転写工程温度との5℃の温度
差により、その膨張差で転写された信号は正規位置に対
し、それぞれ平均1.06μm、3.9μm、4.3μ
mずれた位置であった。
【0053】上記実験例における実験例1〜7が本発明
による磁気転写である。つまり、本発明の磁気転写用マ
スター担体では、熱膨張係数が5〜25×10-6/℃の
範囲であり、Ni基板、FeCoNi基板などで構成さ
れ、Si基板によるものは使用しない。
【0054】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係るマスター担体
を使用した磁気転写方法の工程を示す図
【図2】FeCoNi合金におけるNi原子濃度と熱膨
張係数の関係を示す図
【符号の説明】
2 スレーブ媒体 3 マスター担体 31 基板 32 磁性層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板に形成したパターン上に磁性層を備
    え、転写を受けるスレーブ媒体と密着させて磁気転写を
    行うための磁気転写用マスター担体であって、 前記マスター担体の基板の熱膨張係数が、5〜25×1
    -6/℃の範囲であり、異方向の熱膨張係数の差が8×
    10-6/℃以下であることを特徴とする磁気転写用マス
    ター担体。
  2. 【請求項2】 前記基板の熱膨張係数が、10〜15×
    10-6/℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気転写用マスター担体。
  3. 【請求項3】 前記基板が、純Niまたは僅かにCoを
    含むNi−Coよりなることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気転写用マスター担体。
  4. 【請求項4】 前記基板が、Fe−Co−Niよりな
    り、Niの含有量が60%以上であることを特徴とする
    請求項1に記載の磁気転写用マスター担体。
  5. 【請求項5】 前記マスター担体の基板の熱膨張係数A
    と、前記スレーブ媒体の基板の熱膨張係数Bとの比B/
    Aが、0.3〜2.1の範囲にあることを特徴とする請
    求項1に記載の磁気転写用マスター担体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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