JP2003248754A - 資産査定支援システム - Google Patents

資産査定支援システム

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JP2003248754A JP2002047025A JP2002047025A JP2003248754A JP 2003248754 A JP2003248754 A JP 2003248754A JP 2002047025 A JP2002047025 A JP 2002047025A JP 2002047025 A JP2002047025 A JP 2002047025A JP 2003248754 A JP2003248754 A JP 2003248754A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 資産査定の精度向上と事務合理化の両立を図
ること。 【解決手段】 信用リスクに応じた債務者の区分及び債
権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる
基礎データを取り込む基礎データ取込部12と、債務者
を特定した資産査定作業の起票を自動又は作業者の指示
に応じた手動にて随時のタイミングで制御する随時起票
制御部14とを備えている。資産査定システムはさら
に、資産査定作業が起票された場合に、基礎データと、
作業者の知識に応じて入力される入力データと、基礎デ
ータ及び前記入力データから導出する導出データとを含
む当該起票に応じた起票関連日での随時の査定データの
作成を支援する随時査定支援部26と、期末関連日に基
礎データを新たに取り込むと共に当該基礎データと直近
の査定データとに基づいて前記債務者毎に資産査定作業
の起票又は直近の査定データの一部更新を制御する期末
関連日処理部32とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、資産査定システム
に関し、特に、融資等の金融取引に必要な作業を支援す
る資産査定システムに関する。
【0002】
【従来の技術】融資等の「金融取引」は、貨幣あるいは
資金の融通であり、借り手の将来収入を現時点での所得
あるいは購買力に変換させる。貸し手は、利息や配当と
いう資金融通の対価を受け取ることで将来時点の所得を
増加させる。金融取引を通して、経済主体間で資金が融
通され、資金過不足が調整されると、経済活動が一段と
円滑に進む。
【0003】借り手が貸し手に対して確約した利息・配
当という将来における資金(キャッシュフロー)の支払
いは、借り手の将来収入という不確実な資産である。こ
のため、借り手及びその経済環境の状況変化によって
は、貸し手は約定通りの元本の返済及び利息等の対価支
払いを受け取ることができなくおそれがある。借り手が
約定通りの返済等を行わないことで、貸し手が損害を受
ける可能性を、信用リスクという。
【0004】貸し手は、信用リスクを回避し、資産の安
全性を確保すために、借り手の支払能力を審査して融資
の適格性を判断し、その融資の信用リスクに応じて借り
手に担保の提供を求めることとなる。さらに、貸し手
は、融資実行後も、資産の安全性を確保するために、経
済環境の変化が借り手に与える影響を検討し、また、借
り手が約束した条件(約定)に基づいて行動しているか
を監視しなければならない。返済の実効性を担保し、ま
た、借り手が予想外の事項に貸出資金を流用することな
どを防止するには、融資実行時に、法律及び通説・判例
に従った契約を交わすことが必要となる。
【0005】貸し手の融資総額がある特定の性質の分野
(市場)に偏っていると、その分野へ不測の状況変化が
生じた場合には、その分野の借り手の収入が低下するた
め、融資総額の多くが約定通りに返済されない可能性が
高まる。このような分野の偏りによるリスクを回避する
ためには、貸し手は、多種多様な借り手を探し、且つ、
分野に偏りのないようにポートフォーリオの戦略を定め
なければならない。
【0006】このように、貸し手は、借り手の支払能力
の審査と、担保価値の評価と、法的に瑕疵のない契約
と、借り手の動向の監視と、さらにポートフォーリオの
設定など、高度に専門的な作業を行うことで、融資資金
の安全性を保持することができる。借り手が企業であ
り、決算を公表している場合には、借り手の決算内容を
詳細に分析することで、借り手の財務状態や、営業状態
や、返済能力(債務償還能力)を監視することができ
る。
【0007】資金に余裕のある個人や企業が資金の融資
を行おうとしても、その信用リスクを回避しつつ融資の
対価を得るためには、上述のように、多くの事柄を判断
し、また行動しなければならない。貸し手が信用リスク
を管理することに困難が伴うと、経済主体間の資金の過
不足の調整は限定されたものとなり、経済を円滑に進ま
せる金融取引が行われなくなってしまう。
【0008】金融機関は、この金融取引の仲介に特化し
た法人である。証券会社は、借り手の信用に応じた価格
を見積り、その借り手が発行する債券や株式を貸し手に
販売するものであり、直接金融と呼ばれる。近年、この
直接金融も発達してきており、個人や法人が借り手とな
る会社の株式や社債を購入することも増加している。社
債等の購入に際しては、格付機関によって定められた格
付を利用することが行われている。
【0009】格付をコンピュータの利用により使用して
算出する従来例としては、例えば、特開2000−28
2957号公報がある。この従来例では、個人、中小企
業から大企業に至るまで信用リスクをグローバルに分析
することを目的として、産業分類や地域ごとの信用リス
クに関する情報を記憶したデータベースと、このデータ
ベースに格納された情報を統計的に処理し、与えられた
財務データによる株式非公開企業等の信用リスクを評価
する情報処理装置とを備えている。
【0010】金融機関の内、預金等受入金融機関は、貸
し手から預金により調達した資金を融資の原資とするも
のであり、間接金融と呼ばれる。ここでは、預金等受入
金融機関を銀行と呼ぶ。銀行は、貸し手である預金者か
ら預金を受入れ、銀行の負債である預金残高を預金者の
口座に記帳する。銀行は、預金を受け入れ(預金業
務)、これを資金調達原資として、これを借り手に貸し
出す(貸出業務)。預金は、流動性に富み、元本が確実
であるため、経済主体間の決済に利用される。例えば、
我が国では、銀行の事務処理の正確性への信任が厚く、
預金残高を利用した自動的な決済である口座振替が発達
している。口座振替は、借り手が銀行に融資残高を返済
する際にも利用されている。
【0011】当座勘定は、顧客が手形・小切手の支払事
務を銀行に委託するために開設される。顧客が振り出し
た小切手・約束手形または引き受けた為替手形が呈示さ
れると、銀行はそれらを当座勘定の当座預金から支払
う。商業手形(商手)は、取引先が商取引により第三者
から取得した手形である。一般的に、約束手形を用いた
商取引では、対価の支払いを現金ではなく満期日(支払
期日)と金額を特定した手形の振り出しにより行う。受
取人は、例えば、振出人の当座口座のある銀行へその手
形を呈示することで、振出人の当座預金から現金の支払
いを受ける。また、受取人は、この銀行への支払要求を
他の銀行へ委託することができる。このように、手形・
小切手での取引においては、その支払(振出人)及び取
り立て(受取人)のほとんどが金融機関に委託されてい
る。銀行が受け入れた他行払いの手形・小切手などの証
券を銀行相互間において決済するために、手形交換が用
いられている。
【0012】満期日の支払に当座預金残高が不足する場
合、その手形は不渡りとなる。手形交換所では、手形を
不渡りにした振出人を取引停止処分とする。手形交換所
の参加銀行は、取引停止処分を受けたものに対し、取引
停止処分日から一定期間、当座勘定及び貸出の取引をす
ることができない。銀行が、信用力のない相手方に手形
・小切手を交付してしまい、不渡りが乱発することとな
ると取引社会に混乱をもたらす。従って、銀行は、当座
勘定取引を開始するに際しては、相手方の信用状態を十
分に調査し、特に、その相手方が取引停止処分中である
か否かを確認する。取引停止処分中であれば、当座勘定
取引を謝絶しなければならない。銀行取引については、
例えば、・新金融法務読本・石井眞司監修,社団法人金
融財政事情研究会刊,第1刷,ISBN4-322-10137-2
等に一般的な説明が記載されている。債務者の融通手形
の授受が明らかになると、銀行の資産査定に影響する。
融通手形は、商取引によらず、資金繰りのために取引者
双方が商取引の資金決済を目的とせずに発行する手形で
ある。
【0013】銀行は、預金と貸金を同時に扱うため、信
用創造を行っている。預金者が預金を一斉に引き出すこ
とがないという経験や、手形・小切手の発行等により銀
行から現金が流出しないことにより、本源的な預金から
銀行による金融取引を通じた派生的預金が創造される。
例えば、ある預金者の預金の8割を貸し出し、その借り
手が貸金をその銀行又は他の銀行へ預金すると、この派
生的な預金の8割をさらに貸し出すことができる。この
ように、銀行は、預金と貸金を同時に扱うことで、本源
的預金から信用創造された額の貸し出しを行うことがで
きる。
【0014】資金融通による将来所得の増加を希望する
個人や企業が直接金融取引を行う場合と比較して、銀行
が金融取引を仲介する場合には、信用リスクの管理につ
いて、規模が大きいことによる利益と、融資審査や担保
評価などに関する専門性による利益とを得ることができ
る。すなわち、銀行による金融取引ではリスクを分散す
ることができる。銀行は、貸出可能な資金が多いことか
ら、借り手の信用の程度や、借り手の属する分野につい
て運用の調整を行うことで、借り手が返済不能となるこ
とによるリスクを最小限のものとすることができる。
【0015】銀行における信用リスクは、信用供与先の
財務状況の悪化等により、貸金である債権の価値が減少
ないし消滅し、銀行が損失を被るリスクである。与信審
査を厳格に行っても、債務者の破綻により銀行に損失が
生じるリスクを避けることはできない。銀行は、自己責
任原則のもと、借り手である融資先の信用リスクを評
価、監視し、信用リスクに見合った金利収入を確保する
利率等の設定(プライシング)を行うことで、健全経営
を堅持する。
【0016】貸金である銀行所有の債権の価値が減少す
ると、資産の部で控除され、銀行の貸借対照表(B/
S)での資本が減少する。銀行のB/Sでは、次式のよ
うにバランスする。 資産(貸出債権等や固定資産)=負債(預金等)+資本
(株主資本や利益等) 信用リスクが高まり、債権が回収不能となる場合や、今
後回収不能となる可能性が高い場合には、会計上、その
回収不能額や予想損失額をB/Sに償却又は貸倒引当を
計上する。償却は、債権が回収不能の場合、又は回収不
能と見込まれる場合において、その回収不能額又は回収
不能見込額をB/Sの資産項目から直接引き落とすこと
をいう(直接償却)。引当は、回収不能見込額(予想損
失額)を資産勘定に控除項目として計上することをいう
(間接償却)。会計上の引当が税務上の損金になるとは
限らず、会計上と税務上とで引当等の取扱は異なってい
る。企業会計原則では、保守主義の原則により、企業の
財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これ
に備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。
また、会計では、事業年度による期間計算を行うこと
で、継続企業(Going Concern)の利益等を算出する。
この場合、事業年度の期末を基準日として、換金に代わ
る金額算定方法により資産査定を行う。金額算定方法と
しては、取得原価や時価を用いる。
【0017】会計では、決算の当期中に損失が発生して
いないが、将来の発生確率が高い場合に、貸倒引当金を
計上し、実際の損失発生に備える。一般企業では、全額
の回収が見込めない債権については、貸倒償却(貸倒損
失)とする。この貸倒償却は、税法に準拠する。一般債
権については、一般債権についての貸倒実績率に基づい
て貸倒引当金を算出する。貸倒の懸念のある債権につい
ては、担保による処分見込額や保証による回収見込額を
控除し、その後の債権残高に対して実態を考慮して貸倒
引当金に繰り入れる。破産更正債権については、処分見
込額と回収見込額とを控除して、残額を繰り入れる。銀
行の場合、債務者及び債権の信用リスクの程度に応じて
より厳密な資産査定を行い、貸倒引当金の計上等を行
う。
【0018】銀行の健全性を見る指標である自己資本比
率は、信用リスクのある債権等の資産(リスク・アセッ
ト)と、株主資本等の自己資本との比率である。 自己資本比率=自己資本/リスク・アセット 銀行は、例えば国際業務を行うためには一定の自己資本
比率を堅持しなければならない。自己資本比率の算出式
は詳細に定義されているが、変更も予定されており、こ
こでは概要のみとする。詳細は、例えば、・銀行経理の
実務・銀行経理問題研究会編,社団法人金融財政事情研
究会,第5版,ISMB4-322-10200-X等に記載されて
いる。自己資本比率は、端的には、銀行自らの資本が、
信用リスクのある資産に対してどの程度存在するかとい
う比率である。リスク・アセットは、資産のカテゴリー
に信用リスクを考慮したウエイトを掛け、合計したもの
である。
【0019】我が国の金融庁による早期是正処置(銀行
法施行規則21条の2等)では、この自己資本比率が一
定水準以下となった場合に、銀行に経営改善計画の提出
命令等の是正命令を発動することで、金融機関経営の健
全性を確保し、是正措置を迅速かつ適切に講じることと
なっている。
【0020】信用リスクが高まり、銀行による信用創造
や信用供与が収縮していくと、その銀行の倒産のみなら
ず、金融システム全体へ影響する。歴史的にみると、例
えば我が国の昭和2年、昭和金融恐慌時には、金融シス
テムが不安定となり、信用秩序の動揺が起こり、健全な
経営を行っている銀行に対しても、多数の預金者が一斉
に預金の払い戻しを求める取り付け(bank run)等が生
じた。上述したような金融取引の基本からして、銀行は
預かった預金の全てを手元においておくことはできない
ため、どれほど健全で自己資本比率が高くとも、ある一
定以上の金額の一斉の払い戻しに、同時期に応ずること
ができない。アメリカ国では、大恐慌時に銀行の大量破
綻が生じたという事例がある。金融取引や金融システム
に関しては、例えば、・金融システム・酒井良清・鹿野
嘉昭著,有斐閣発行,初版,ISBN4-641-12029-3等
に記載されている。
【0021】金融システムの安全性を確保するために、
金融庁によって、預金等受入金融機関に係る検査マニュ
アル(平成11年7月)が定められている。平成11年
7月の後も、例えば平成13年度には内部監査に関する
記載の充実等の変更が行われている。金融庁は、この検
査マニュアル(以下、金融検査マニュアル)に従って、
金融行政の一環として、銀行の金融検査を行う。
【0022】金融検査マニュアルには、その金融検査の
位置付け及び目的が次のように記載されている。「預金
等受入金融機関は私企業であり、自己責任原則に則った
経営が基本である。しかし、金融機関の主たる債権者
は、一般企業と異なり、預金者つまり一般公衆であり、
その利益は適切に保護されなければならない。また、金
融の特殊性から、一金融機関の破綻であっても、連鎖反
応により、金融システム全体に、さらには信用収縮等を
通じて実体経済全体に重大な影響が及ぶ場合がある。さ
らに、金融機関の資金供給面における機能は一国の経済
活動全体にとって大きな意義を有している。ここに、国
家が金融機関の業務の健全かつ適切な運営に関心を持た
ざるを得ない理由がある。」
【0023】金融検査マニュアルによると、金融検査
は、自己責任原則に基づく金融機関の経営を補強するた
めのものであり、従来の当局指導型から自己管理型への
転換を進め、且つ、従来の資産査定中心の検査から、リ
スク管理重視の検査への転換を図る、とされている。従
って、金融検査では、自己管理状況を検査するため、金
融機関自身の内部管理の適切性を検証するというプロセ
ス・チェックが行われる。また、金融検査マニュアルで
は、銀行の自己責任により管理すべきリスクの種類と、
検査に際しての具体的なチェックリストが定められてい
る。リスクとしては、信用リスク、市場関連リスク、流
動性リスク、事務リスク及びシステムリスクが挙げられ
ている。従って、金融検査では、例えば、信用リスクに
ついて銀行がどのようなプロセスで内部管理しているか
が問われることとなる。
【0024】金融検査マニュアルにより信用リスクにつ
いて検査を行うに際しての留意事項として、このマニュ
アルには次のように記載されている。「本検査マニュア
ルはあくまでも(金融庁の)検査官が金融機関を検査す
る際に用いる手引書として位置付けられるものであり、
各金融機関においては、自己責任原則の下、このマニュ
アル等を踏まえ創意・工夫を十分に生かし、それぞれの
規模・特性に応じたより詳細なマニュアルを自主的に作
成し、金融機関の業務の健全性と適切性の確保に努める
ことが期待される。」
【0025】信用リスクの管理には、いくつかの目的が
あり、その一つは、融資先の信用リスクの状況に応じた
銀行の予想損失額を算出し、これを償却又は引当として
計上し、信用リスクの状況に応じた自己資本比率を算出
することである。銀行が、信用リスクについてどのよう
なプロセスで内部管理するかについて、上記検査マニュ
アルを踏まえた創意・工夫を行う際には、まず、金融検
査マニュアル及びそのチェックリストが前提となる。
【0026】以下、金融検査マニュアルによる信用リス
ク管理の手法を、本発明の前提として、説明する。より
詳細で正確な定義や説明は、金融庁によって公表された
・平成11年7月 預金等受入金融機関に係る検査マニ
ュアル・及びその後の改訂や、例えば・Q&A 金融機
関の信用リスク検査マニュアルハンドブック・,検査マ
ニュアル研究会編,社団法人金融財政事情研究会発行
(平成13年度版),第1版,ISBN4-322-10175-5
等に開示されている。この金融検査マニュアルの記載、
示唆及び課題の指摘は、銀行が上記創意・工夫を行うに
当たって、金融取引に関するシステム開発を行う当業者
の従来例と考えられる。
【0027】早期是正措置制度のもとでは、その金融行
政の基本は銀行の自己資本比率であり、自己資本比率算
定のための財務諸表作成のためには償却・引当が正確に
行われることが必要であり、償却・引当を正確に行うに
は、その準備作業である自己査定が適切に行われること
が必要となる。銀行の保有する資産(ここでは、主に貸
出債権)を個別に検討し、回収の危険性又は価値の毀損
の危険性の度合いに従ってその債権を分類することを資
産査定といい、銀行が自ら行う資産査定を自己査定とい
う。
【0028】銀行は、銀行の決算期の末日(期末)を基
準日として、自己査定を行う。従来より、この自己査定
作業は、銀行決算の決算期末日(期末)を基準日として
行う。しかし、期末前後の数日で全融資先(債務者)の
自己査定作業を完了させることは実質的に不可能であっ
たため、検査マニュアルでは、期末の少なくとも3ヶ月
以内の一定日を仮基準日として自己査定を実施し、仮基
準日から期末までの間に債務者の状況変化に伴う必要な
修正を適正に行う、としている。
【0029】与信債権自己査定は、債務者を区分し、債
権を分類することである。債権は、貸出金及び貸出金に
準ずる債権(貸付有価証券、外国為替、未収利息、未収
金、貸出金に準ずる仮払金、支払承諾見返)をいう。ま
た、信用リスクの管理上、この債権以外に信用リスクを
有する資産及びオフバランス項目を含めて自己査定を行
う。
【0030】債権の自己査定に当たっては、原則とし
て、信用格付を行い、信用格付に基づき債務者区分を行
った上で、債権の資金使途等の内容を個別に検討し、担
保や保証等の状況を勘案の上、債権の回収の危険性又は
価値の毀損の危険性の度合いに応じて分類を行う。信用
格付は、例えばA,B,C・等である。債務者区分は、
融資先である債務者を、その債務者の財務状況や収益力
に応じて「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質
破綻先」及び「破綻先」に区分するものである。例え
ば、その債務者が赤字か、延滞があるか、実質債務超過
であるか等を勘案して上記区分を行う。債権分類は、債
務者区分と、担保や保証による保全状況とを考慮し、回
収の可能性に応じて、I分類(非分類),II分類、I
II分類,IV分類に分類する。
【0031】検査マニュアルによると、信用格付は、債
務者の財務内容、格付機関による格付、信用調査機関の
情報などに基づき、債務者の信用リスクの程度に応じて
行う。また、信用格付は、債務者区分と整合的でなけれ
ばならない。信用リスク管理の観点からは、債務者の財
務状況、担保・保証等の状況等の債務者の状況について
継続的なモニタリングによる与信管理を行い、債務者の
状況の変化に応じて、適宜、信用格付、債務者区分及び
分類区分等の見直しを行うことが望ましく、銀行が仮基
準日を設けずにこのような取扱いを行っている場合は、
信用格付等の見直しが適時適切に行われているかを検証
する、としている。信用格付の段階等の詳細は、上記検
査マニュアルには言及されていない。
【0032】債務者区分は、債務者の実態的な財務内
容、資金繰り、収益力等により、その返済能力を検討
し、債務者に対する貸出条件及びその履行状況を確認の
上、業種等の特性を踏まえ、事業の継続性と収益性の見
通し、キャッシュフローによる債務償還能力、経営改善
計画等の妥当性、金融機関等の支援状況等を総合的に勘
案し判断するものである。
【0033】「正常先」とは、業況が良好であり、か
つ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者
をいう。「要注意先」とは、金利減免・棚上げを行って
いるなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済もしく
は利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題
がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務
者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注
意を要する債務者をいう。「破綻懸念先」とは、現状、
経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、経営
改善計画の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥
る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支
援継続中の債務者を含む)をいう。具体的には、現状、
事業を継続しているが、実質債務超過の状態に陥ってお
り、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど元
本及び利息の最終の回収について重大な懸念があり、従
って損失の発生の可能性が高い状況で、今後、経営破綻
に陥る可能性が大きいと認められる債務者をいう。「実
質破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生
していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の
見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営
破綻に陥っている債務者をいう。具体的には、事業を形
式的には継続しているが、財務内容において多額の不良
資産を内包し、あるいは債務者の返済能力に比して明ら
かに過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の
状態に相当期間陥っており、事業好転の見通しがない状
況で、元金又は利息について実質的に長期間延滞してい
る債務者などをいう。「破綻先」とは、法的・形式的な
経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、
破産、精算、会社整理、会社更正、和議、手形交換所の
取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務
者をいう。
【0034】このように、債務者区分では、債務者の財
務状況、融資返済の延滞の有無や貸出条件変更の有無、
収益力等の事業の状況等に着目して債務者を区分する。
債務者を区分すると、続いて、債権の分類を行う。債権
の分類においては、債務者区分と、債権(与信明細)の
担保等による保全状況により調整する。
【0035】「I分類(非分類)」は、「II分類、I
II分類、IV分類としない資産」であり、回収の危険
性又は価値の毀損の危険性について、問題のない資産で
ある。「II分類」とするものは、「債権確保上の諸条
件が満足に満たされないため、あるいは、信用上疑義が
損する等の理由により、その回収について通常の度合い
を超える危険を含むと認められる債権等の資産」であ
る。なお、II分類とするものには、一般担保・保証で
保全されているものと保全されていないものとがある。
「III分類」とするものは、「最終の回収又は価値に
ついて重大な懸念が存し、従って損失の可能性が高い
が、その損失額について合理的な推計が困難な資産」で
ある。ただし、III分類については、金融機関にとっ
ての推計がまったく不可能とするものではなく、個々の
資産の状況に精通している金融機関自らのルールと判断
により損失額を見積もることが適当とされるものであ
る。「IV分類」とするものは、「回収不能又は無価値
と判定される資産」である。なお、IV分類について
は、その資産が絶対的に回収不能又は無価値であるとす
るものではなく、また、将来において部分的な回収があ
り得るとしても、基本的に、査定基準日において回収不
能額又は無価値と判定できる資産である。
【0036】銀行の債権には、種々のものがある。自己
査定により、その総額を上記各分類に分類する。以下、
「分類する」というときには、対象となる債権の全部又
は該当部分をII分類以下のものと認定し、その額を算
定することをいう。「分類しない」というときには、I
分類とするか、または該当の分類とせず、他の分類とす
ることをいう。
【0037】債権分類に際しては、その担保等による保
全状況によって調整する。貸し手は、借り手の信用リス
クに応じて、融資に見合った担保の提供や、借り手以外
の保証人による保証を求める。仮に、借り手が返済しな
い場合や、倒産する場合には、保証人にその債務を履行
させ、または、裁判上の強制執行により担保を売却し、
弁済を受ける。保証の種類としては、特定債務の保証
と、銀行が手形を買い取る手形割引や当座貸越など継続
的な取引から発生する債務を包括的に保証する根保証と
にわけられる。担保としては、抵当権や質権等の物権の
利用が多い。担保目的物としては、土地、建物等の不動
産担保や、銀行(自行)に対する定期預金等を担保とす
る預金担保や、国債、株式等の有価証券担保などがあ
る。
【0038】金融検査マニュアルでは、優良担保の処分
可能見込額により保全されているものについては、非分
類とし、優良担保を例示している。保証についても、優
良保証を例示している。そして、優良担保が付されてい
る債権や、優良保証付債権や、決済確実な割引手形や、
正常な運転資金と認められる債権は、分類対象外として
いる。分類対象外債権とは、債務者の財務状況、資金繰
り、収益力等にかかわらず、資金使途や担保・保証等の
状況により回収の確実性が極めて高いと判断される債権
である。従って、同じ非分類債権であっても、債務者の
返済能力から非分類(I分類)と判定される債権とは区
別される。分類対象外債権とは、正常な運転資金や、優
良担保・優良保証分等である。債権全額から、分類対象
外債権を除いた額を実務では基礎査定額という。基礎査
定額は、債務者区分や、一般担保、保証等の勘案によ
り、要注意先については非分類又はII分類、破綻懸念
先以下についてはII分類からIV分類とされる。要注
意先のII分類額は、基礎査定額全額が分類対象となる
場合(債務者分類)と、一部が分類対象となる場合(形
式分類等)とがある。
【0039】要注意先に対する債権については、以下の
イからホに該当する債権で、優良担保の処分可能見込額
及び優良保証等による保全措置が講じられていない部分
を、原則としてII分類とする。 イ 不渡手形、融通手形及び期日決済に懸念のある割引
手形。 ロ 赤字・焦付債権等の補填資金、業況不況の関係会社
に対する支援や旧債肩代わり資金等。(どの債権が繰越
欠損等の補填資金に該当するか明確でないときは、債務
者の繰越決算や不良資産等の額と融資金融機関中の自行
の融資シェアを勘案して、繰越決算等の補填に見合う債
権金額を算出することもできる) ハ 金利減免・棚上げ、あるいは、元本の返済猶予など
貸出条件の大幅な軽減を行っている債権、極端に長期の
返済契約がなされているもの等、貸出条件に問題のある
債権。 ニ 元本の返済もしくは利息支払いが事実上延滞してい
るなど履行状況に問題のある債権及び今後問題を生ずる
可能性が高いと認められる債権。 ホ 債務者の財務内容等の状況から回収について通常を
上回る危険性があると認められる債権。
【0040】破綻懸念先に対する債権については、優良
担保の処分可能見込額及び優良担保等により保全されて
いる債権以外の全ての債権を分類することとし、一般担
保の処分可能見込額、一般保証により回収が可能と認め
られる部分及び仮に経営破綻に陥った場合の精算配当額
等により回収が可能と認められる部分をII分類とし、
これ以外の部分をIII分類とする。なお、一般担保の
評価額の制度が十分に高い場合は、担保評価額をII分
類とすることができる。
【0041】実質破綻先及び破綻先に対する債権につい
ては、優良担保の処分可能見込額及び優良保証等により
保全されている債権以外の全ての債権を分類することと
し、一般担保の処分可能見込額及び一般保証による回収
が可能と認められる部分、精算配当により回収が可能と
認められる部分をII分類、優良担保及び一般担保の担
保評価額と処分可能見込額との差額をIII分類、これ
以外の回収の見込みがない部分をIV分類とする。な
お、一般担保の評価額の制度が十分に高い場合は、担保
評価額をII分類とすることができる。また、保証によ
る回収の見込みが不確実な部分はIV分類とし、当該保
証による回収が可能と認められた段階でII分類とす
る。
【0042】金融再生法では、債権区分を定めている。
債権区分は、債権を、正常債権、要管理債権、危険債
権、破産更正債権及びこれに準ずる債権に区分すること
をいう。金融再生法は、担保や保証の状況を考慮せず、
この債権区分に係る資産の合計額等を公表しなければな
らない旨定めている。債務者区分との関係は次の通りで
ある。 正常債権 国及び地方公共団体に対する債権、特別公的
管理銀行及び被管理金融機関に対する債権、正常先に対
する債権、及び要注意先に対する債権のうち要管理債権
に該当する債権以外の債権。 要管理債権 要注意先に対する債権のうち、3ヶ月以上
延滞債権及び貸出条件 緩和債権 危険債権 破綻懸念先に対する債権 破産更正債権及びこれらに準ずる債権 実質破綻先及び
破綻先に対する債権上記「貸出条件緩和債権」は、経済
的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権
の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定
の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権(破
産更正債権及びこれらに準ずる債権,危険債権及び3ヶ
月以上延滞債権を除く)である。
【0043】銀行法21条は、リスク管理債権を営業年
度ごとに業務及び財産の状況に関する事項を記載した説
明書類を講習の縦覧に供しなければならない旨定めてい
る。業務及び財産の状況には、破綻先債権、延滞債権、
3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権の4種類の貸出
金が含まれている。これをリスク管理債権という。
【0044】自己査定での債権分類は、期末を基準日と
して銀行が有する信用リスクに応じて資産を査定したも
のである。続いて、これらの債務者区分と債権分類とに
基づいて、償却・引当を行う。償却・引当は、企業の会
計原則に従って処理する。例えば、償却(貸倒償却)
は、税法に準拠することが多く(有税償却)、会社更生
法による更正計画認可決定等の法律上の手続きによる債
権消滅時に、債権の回収を不能として償却する。従っ
て、破綻懸念先等のIII分類等は、償却とならない。
これらの分類額について、税法上損金とならないが、会
計上償却とすることもある(無税償却)。貸倒引当金
は、経営状況に重大な問題が生じていない一般債権につ
いては、一般貸倒引当金として、税法上の貸倒実績率等
により繰り入れ、貸倒が懸念される債権については、個
別貸倒引当金として、担保処分見込額や回収見込額を控
除した後の債権残高に対して、実態を考慮して繰り入れ
る。
【0045】金融検査マニュアルでは、貸倒引当金に関
して、貸出金等の債権を対象とし、発生の可能性が高い
将来の損失額を合理的に見積もり計上することとしてい
る。そして、貸倒引当金の算定は、原則として、債務者
の信用リスクの程度等を勘案した信用格付に基づき自己
査定を行い、自己査定結果に基づき償却・引当額の算定
を行うなど、信用格付に基づく自己査定と償却・引当と
を一貫性を持って連動して行うことが基本となる旨定め
ている。
【0046】一般貸倒引当金については、正常先に対す
る債権及び要注意先に対する債権について、信用格付の
区分又は債務者区分毎に、償却・引当基準に基づき、予
想損失額を合理的に見積る。予想損失額を求めるには、
その信用格付の区分又は債務者区分毎に、予想損失率を
求める。予想損失率を求めるには、平均残存期間におけ
る貸倒償却等毀損額による貸倒実績率を算出し、または
倒産確率を求める。貸出債権には、残存期間がある。当
座貸越等短期の融資では残存期間が短く、設備投資資金
等の融資では残存期間が長い。当該区分の残存期間の平
均が平均残存期間となる。平均残存期間が判明すると、
過去のその期間についての貸倒償却等毀損額による貸倒
実績率や、倒産確率を求める。貸倒実績率は、平均残存
期間に対応する過去から現在までの期間にて、当該区分
の全債権に対して何割の貸倒が生じたかを示す比率であ
る。平均残存期間が1年の場合の貸倒実績率よりも、平
均残存期間が3年の場合の貸倒実績率の方が大きくな
る。従って、残存期間が長い債権の方が貸倒の可能性が
高くなる。
【0047】金融検査マニュアルでは、予想損失額の算
定に当たっては、少なくとも過去3査定期間の貸倒実績
率又は倒産確率の平均値(今後の一定期間に対する過去
の一定期間における累進の貸倒実績率又は倒産確率の3
期間の平均値)に基づき、過去の損失率の実績を算出す
る旨定めている。平均残存期間が1年の場合、3期間の
平均値は、1年前の貸倒実績率と、2年前の貸倒実績率
と、3年前の貸倒実績率の平均である。平均残存期間が
3年の場合、過去3年を1年ずつずらした3期間での貸
倒実績率の平均となる。正常先及び要注意先に対する債
権は、それぞれの平均残存期間、予想損失率を求め、そ
れぞれの全債権額と予想損失率とから予想損失額を算出
する。
【0048】破綻懸念先に対する債権に係る貸倒引当金
については、イ.III分類とされた債権額に破綻懸念
先についての予想損失率を乗じた額を予想損失額とす
る。ロ.売却可能な市場を有する債権について、合理的
に算出された当該債権の売却可能額を回収見込額とし、
債権額から回収見込額を控除した残額を予想損失額とす
る方法とがある。
【0049】実質破綻先及び破綻先に対する債権に係る
個別貸倒引当金及び直接償却については、個別債務者毎
にIII分類及びIV分類とされた債権額全額を予想損
失額として、予想損失額に相当する額を貸倒引当金とし
て計上するか、直接償却する。
【0050】上述のように、自己査定制度及び早期是正
措置制度の導入により、銀行は、決算にあたって、信用
リスクに応じた資産査定を自己責任原則の下で自ら行
い、債権の分類に応じた償却・引当に基づいて、銀行経
営の健全性を示す指標である自己資本比率を算出し、公
開しなければならない。さらに、銀行は、金融再生法に
よる資産査定や、銀行法第21条によるリスク管理債権
についての規定も遵守する。従って、金融再生法による
債権区分による要管理債権等の額や、銀行法21条によ
るリスク管理債権の額等を把握し、開示しなければなら
ない。また、これらのリスク管理は、制度や法規制等に
よるもののみならず、銀行経営の健全性堅持のために、
内部的な基準により各種のリスク管理及び資産査定を行
い、さらにポートフォーリオの決定や、プライシング
や、営業推進等へ反映させる。
【0051】金融庁は、銀行の自己査定のプロセスをチ
ェックし、自己査定基準の適切性の検証を行うことで、
銀行経営の健全性を補強すべく、上述した金融検査マニ
ュアルを定め、公表している。信用リスクに関する検査
について、金融検査マニュアルでは、各銀行が、金融検
査マニュアルを踏まえ、創意・工夫を生かし、詳細なマ
ニュアルを自主的に作成し、業務の健全性と適切性の確
保に努めることが期待されている、としている。
【0052】従来、銀行では、決算書を徴求できる債務
者について、財務諸表等の登録時に当該債務者の信用格
付を行っている。これは、例えば年1回である。また、
銀行決算の期末に応じた仮基準日の前後に、全債務者の
うち自己査定が必要な債務者について自己査定作業を行
っている。自己査定作業によって、信用格付の見直しを
行う場合もある。この従来の自己査定作業は、予め作成
した帳票上で必要項目をチェックし、また計算を行い、
次の担当者へ当該帳票用紙を送付することで行ってい
た。また、自己査定時に、当該債務者についての融資方
針の策定等を同時に行うこともあった。一方、内部の融
資規定等に基づいて、債務者にリスク管理に対応する動
向の変化があった場合には、営業店担当者が本部の担当
者に状況速報として連絡することが行われていた。ま
た、自己査定時や、融資の実行時には、取引先の組織や
経緯等を取引先要項として所定の帳票用紙へ記入するこ
とが行われていた。
【0053】
【発明が解決しようとする課題】金融検査マニュアルや
上記ハンドブックには、資産査定の課題としては、以下
の事項が指摘されている。自己査定の基準日はあくまで
も決算期末日であるが、実務上は、決算期末日の少なく
とも3ヶ月以内の一定日を仮基準日として自己査定を実
施することになる。ただし、仮基準日から決算期末日ま
での債務者の状況変化に伴う必要な修正を適正に行う必
要がある。そして、今後は、自己査定を効率よく迅速に
実施するための体制整備を進め、仮基準日と決算期末日
をいかに近づけるかが課題の一つである。また、資産査
定上の要請のみならず、信用リスクの管理体制として、
正常債権から問題債権への転化を早期に把握することが
できる体制整備が必要である。
【0054】上記人手による自己査定作業では、状況速
報や、信用格付や、自己査定時や、融資実行時等にそれ
ぞれ別の帳票を用いて書類の作成を行い、複写等により
帳票用紙を回覧するため、その管理が煩雑で、ほぼ同様
の作業を手書きで行う必要があった。また、帳票の読み
方、上述したマニュアルや内部の詳細なマニュアルに沿
った自己査定での判断の仕方や例外への対処、送付に際
しての書式などを、全営業店で均質にするために多大の
労力を要していた。
【0055】このように、人手による自己査定作業で
は、事務合理化に限界があり、このため、仮基準日を期
末に近づけるのが困難で、また、信用格付と自己査定と
を年2度ずつ行うと、この信用リスク管理のために営業
店等での担当者の作業時間が長くなり、大きなコストと
なっていた。
【0056】
【発明の目的】本発明は、資産査定の精度向上と事務合
理化の両立を図ることのできる資産査定システムを提供
することを、その目的とする。資産査定の精度向上に
は、銀行内部の詳細なマニュアルに従ったより均質で厳
格な作業とすることや(均質性)、債務者の債務償還能
力のより安定した分析や(実態分析性)、信用リスク管
理の観点から債務者の動向をより早期に把握することや
(早期把握性)、資産査定作業を種々牽制できる業務プ
ロセスを確立することや(業務プロセス確立)、会計の
原則に従って銀行決算での期末時点での正確性をより向
上させること(期末時点正確性)等の一つ以上を含む。
【0057】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、信用
格付作業や、自己査定作業を含む資産査定作業について
コンピュータ・システムを用いて実施するに際して、資
産査定の精度向上と事務合理化を図るべく、特に、早期
把握性と期末時点正確性の両立を図りつつ、自動化でき
る点を整理することで、事務合理化を実現すべく、下記
構成の資産査定システムを創作した。本発明は、信用リ
スクに応じた債務者の区分及び債権の分類等の自己査定
作業を含む資産査定の基礎となる基礎データを取り込む
基礎データ取込部と、債務者を特定した前記資産査定作
業の起票を自動又は作業者の指示に応じた手動にて随時
のタイミングで制御する随時起票制御部と、資産査定作
業が起票された場合に、前記基礎データと、前記作業者
の知識に応じて入力される入力データと、前記基礎デー
タ及び前記入力データから導出する導出データとを含む
当該起票に応じた起票関連日での随時の査定データの作
成を支援する随時査定支援部と、資産査定主体の財務諸
表等の作成の基準日に応じた期末関連日に前記基礎デー
タを新たに取り込むと共に当該基礎データと前記直近の
査定データとに基づいて前記債務者毎に前記資産査定作
業の起票又は前記直近の査定データの一部更新を制御す
る期末関連日処理部とを備えた、という構成を採ってい
る。これにより前述した課題を解決しようとするもので
ある。
【0058】基礎データ取込部は、勘定系や情報系等の
オンラインシステムや、債務者の財務情報を管理する財
務システム等から、リアルタイム、日次、月次又は半期
等で作成された基礎データを取り込む。随時起票制御部
は、期末や仮基準日等の期末関連日以外にも、予め定め
られた条件等に従って自動的に、また、債務者の動向に
関する知識を得た作業者による任意で、資産査定作業を
起票する。随時起票制御部は、例えば、債務者から債務
者の決算書を徴求している場合には、債務者の新たな財
務情報の登録があった場合に自動的に起票する。随時起
票制御部は、決算書の未徴求先や、消費性個人等につい
て、予め定められた日に自動的に起票するようにしても
良い。随時起票制御部はまた、債務者の延滞や、融通手
形の授受が明らかになった場合などには、直接的に債務
者区分の変更をもたらすとは限らないが、分類額の変更
の可能性があるため、予め定められた内部規定等に従っ
た作業者の任意による資産査定作業の起票を制御する。
このように、随時起票制御部は、従来信用格付の変更を
行う時点にて、自己査定を同時に作業することを促す。
債務者について、自動的に、または手動で資産査定作業
が起票されると、随時査定支援部は、基礎データと、作
業者の知識に応じて入力される入力データと、前記基礎
データ及び前記入力データから導出する導出データとを
含む随時の査定データの作成を支援する。この随時査定
支援部による支援に応じて、随時に起票された資産査定
作業を、起票日に関連した基礎データの基準日や当該資
産査定作業の最終的な決裁日を基準日とした資産査定
を、年間を通じた随時のタイミングで行う。期末関連日
処理部は、資産査定主体(例えば、上記債務者に対する
債権者である銀行)の財務諸表等の作成の基準日に応じ
た期末関連日に、前記基礎データを新たに取り込むと共
に、当該基礎データと前記直近の査定データとに基づい
て、前記債務者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直
近の査定データの一部更新を制御する。期末関連日は、
期末となる日や、期末を基準とした資産査定の仮基準日
である。仮基準日は、1つでもよいし、対象の債務者の
属性毎に2つ以上としても良い。期末関連日処理部は、
期末関連日での基礎データに基づいて、直近の査定デー
タを自動的に見直す。そして、期末関連日処理部は、債
務者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直近の査定デ
ータの一部更新を制御する。期末関連日処理部は、例え
ば、直近の査定データと仮基準日や期末での基礎データ
とで予め定められた項目について相違する場合などは、
期末に向けた資産査定作業の起票を制御する。また、期
末関連日処理部は、起票の必要がないとする条件に合致
した債務者については、直近の査定データによる分類額
等を、期末関連日での最新の分類額に更新する。
【0059】
【発明の実施の形態】
【第1実施形態】第1実施形態では、本発明による随時
起票制御により、債務者の動向の早期把握と期末時点正
確性の向上との両立を図り、且つ、事務合理化を実現す
る点を中心に説明する。図1は本発明による第1実施形
態の構成例を示すブロック図である。本実施形態による
資産査定支援システムは、信用リスクに応じた債務者の
区分及び債権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の
基礎となる基礎データを取り込む基礎データ取込部12
と、債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
御する随時起票制御部14とを備えている。資産査定シ
ステムはさらに、資産査定作業が起票された場合に、前
記基礎データと、前記作業者の知識に応じて入力される
入力データと、前記基礎データ及び前記入力データから
導出する導出データとを含む当該起票に応じた起票関連
日での随時の査定データの作成を支援する随時査定支援
部26を備えている。また、資産査定システムは、銀行
等の資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた
期末関連日に前記基礎データを新たに取り込むと共に当
該基礎データと直近の査定データとに基づいて前記債務
者毎に前記資産査定作業の起票又は直近の査定データの
一部更新を制御する期末関連日処理部32を備えてい
る。
【0060】基礎データ取込部12は、ATM5とネッ
トワークを介して接続された勘定系及び情報系等のオン
ラインシステム4や、債務者財務管理システム等の他の
各種分散系システム4から資産査定の基準となる基礎デ
ータを取り込む。基礎データ取込部12は、通信制御部
6を介してオンラインシステム4や分散系システム3と
接続するようにしても良い。随時起票制御部14は、自
動的に又は手動にて資産査定作業を起票する。資産査定
作業は、債務者を単位として起票される。随時査定支援
部26は、基礎データと、作業者から入力される入力デ
ータと、これらから導出する導出データとを含む査定デ
ータの作成を支援する。随時査定支援部26は、例え
ば、作業者に基礎データの内容を表示し、選択やコメン
トの入力や数値の修正等を促し、信用格付のスコアリン
グ(評点)の合計の算出や、分類額の算出等のデータの
導出を処理する。査定データは、最終的には監査を担当
する作業者による決裁を受ける。
【0061】随時査定支援部26は、債務者の財務情報
の登録時や、予め定められた日等に自動的に資産査定作
業の対象となる債務者を抽出し、資産査定作業を起票す
る。また、営業店の担当者等が、債務者の信用リスクの
変化を認めて手動にて資産査定作業を起票操作した場合
に、随時査定支援部26は、当該債務者の資産査定作業
を起票する。資産査定作業が起票され、作業開始される
と、当該債務者の最新の基礎データに基づいて資産査定
作業用の基礎データを当該資産査定作業用のデータとし
て設定する。
【0062】随時査定制御部26は、年間を通じて随時
のタイミングで、債務者の信用リスクの転換を確認する
ための資産査定を支援する。「資産査定」には、自己査
定による債務者区分と債権分類のみならず、債務者の財
務の分析や、信用格付の評価や、融資方針の策定作業を
含めると良い。資産査定は、銀行の信用リスクを判定す
るための債権の評価であるが、この債権の評価を通じて
判定する内容は、その後の営業推進の方針や、与信管理
等にも役立つものである。従って、「資産査定支援シス
テム」は、「融資支援システム」の性格を有する。第1
実施形態では、「資産査定作業」には、自己査定作業を
必須とし、好ましくは決算検討、信用格付、融資方針策
定、債務者の概況登録等を含むものとする。
【0063】随時起票制御部14が、自動又は手動で任
意のタイミングで自己査定作業を起票し、随時査定支援
部26が、起票された時点での最新の基礎データに基づ
いた資産査定作業を支援するため、年間を通じた随時の
タイミングで自己査定を行うことができる。すると、正
常債権から問題債権へ、または問題債権から正常債権へ
の転換の早期把握を図りつつ、自己査定作業を期末に集
中させずに年間を通じて分散させることで、事務処理負
担の低減を図ることができる。
【0064】資産査定作業で使用する各種のデータは、
査定関連データとして、査定関連データ格納部36に蓄
積する。最終的に決裁された信用格付や債務者区分等
は、オンラインシステム4にリアルタイム又は決裁の翌
日等に反映するようにすると良い。また、過去の自己査
定データを保管用に他のシステムへ転送し、他のシステ
ムに格納するようにしても良い。また、自己査定作業に
て使用したデータ等に基づいて、ある条件を満たす債務
者の抽出や、査定部門毎の自己査定作業の傾向等を分析
するために、査定関連データを分析系の汎用検索システ
ムに登録するようにしても良い。
【0065】図2は、本実施形態等で使用する査定関連
データの一例を示す説明図である。基礎データは、債務
者毎に管理され、債権別の情報については債務者及び債
権をキーとして管理する。基礎データは、債務者の人格
等の債務者属性や、債務者によって公表された財務諸表
等による財務計数や、債務者の債務である貸金明細や、
貸金への担保や保証の明細である保全明細や、不動産担
保がある場合の不動産担保評価システム等から取り込む
不動産担保評価データ等である。
【0066】資産査定では、決算書徴求先については、
その財務諸表をより実態に近づけるための財務計数の検
討及び調整を行う。決算登録時に起票された自己査定作
業では、最新の基礎データである公表財務から、資産性
の検討や、オフバランス資産の検討や、経営分析手法で
の安全性分析(流動比率、当座比率、固定長期適合率
等)と収益性分析(労働生産性や設備投資効率等)の検
討を行う。本実施形態では、公表財務計数を基礎データ
として取り込むため、各種の比率を自動的に導出するこ
とができる。随時査定支援部26は、決算検討の支援と
して、予め定められた正常な水準を超える又は下回る項
目に異常マークを付し、作業者に注意を促すようにして
も良い。作業者は、異常マークなどの情報から財務計数
をより実態に近づけるための分析を行い、実態財務計数
を入力する。実態財務計数は入力データの一例であり、
この実態財務計数から導出する比率等は導出データの一
例である。
【0067】資産査定では、債務者が債務超過であるか
否かではなく、実質債務超過であるか否かを検討するた
め、作業者は、公表財務計数によって債務超過であるか
否かを判定するのではなく、実態財務計数を用いて実際
上債務超過となっているか否かを判定する。随時査定支
援部26は、債務超過であるか否かは予め特定された式
と、入力された入力データ及び必要な基礎データに従っ
て計算することができる。この場合、作業者は、決算検
討作業時に実態財務計数を入力すると、当該債務者が実
質債務超過であるか否かは、自ら計算する必要なく、随
時査定支援部26が自動的に導出する。
【0068】また、信用格付及び自己査定作業を均質で
厳格に実施するには、債務者の種々の特徴と信用格付や
債務者区分とを整合させ、且つ、同様の特徴の債務者が
作業者の判断によって別の債務者区分に区分されること
を業務プロセスとして防止することが望ましい。このた
め、赤字先、延滞先、貸出条件で一定の譲歩をした先等
の抽出基準と、抽出基準と債務者区分の関係を監査部門
が事前に定め、この関係を随時査定支援部26に登録し
ておくと良い。この場合、延滞の有無や公表財務計数の
基礎データと、延滞が一時的なものであるか否か等の作
業者による評価や実態財務情報等の入力データとから、
信用格付の定量評価や、債務者区分を自動的に導出する
ことができる。この場合、債務者区分データは、導出デ
ータである。抽出基準を用いた自己査定支援システムの
詳細及び利点は、第2実施形態として後述する。
【0069】査定データは、資産査定作業の結果として
得られるデータである。自己査定については、債務者区
分と、債権分類と、分類額とが査定結果データである。
この査定結果を導くために使用した各種のデータを、こ
こでは査定作業結果データと呼ぶ。査定作業結果データ
は、例えば、抽出基準に関する入力データ等である。査
定結果データとしては、決算検討を行う場合に入力され
た実態財務計数や、信用格付の値や、債務者の概況及び
融資方針等である。これらのデータは、監査等による決
裁が完了した段階で、オンラインシステム等に反映す
る。
【0070】適正な業務プロセスを確立するためには、
営業店の担当者から開始される自己査定作業の業務を、
本部での二次査定や、監査を経て決裁する仕組みとする
と良い。ここでは、資産査定作業を部門別に承認し、決
裁する経路に従って推移させる制御をワークフロー制御
という。このワークフロー制御では、本部や監査にて資
産査定作業の査定データを精査し、決裁又は差し戻しを
行う。査定データを部門毎に持つこととすると、営業店
での査定作業から、監査による差し戻しや変更等の推移
を債務者毎に管理することができる。このように査定デ
ータを部門毎に管理する場合には、図2に示すように資
産査定作業データや査定結果データ等を部門毎に格納す
ると良い。ワークフロー制御の詳細と利点は、第3実施
形態として後述する。
【0071】図3は、図1等に示した構成での資産査定
支援システムを使用した年間業務フローの一例を示す説
明図である。銀行の事業年度は4月1日を期首、3月末
日を期末とする。中間決算の期末は9月末である。従来
は、期末の3ヶ月前等を仮基準日として、3ヶ月前の基
礎データに基づいて自己査定を行っていた。自己査定の
結果、信用格付の見直しを行うこともあった。そして、
破綻懸念先以下等については、期末に保全状況の見直し
を行い、貸倒引当金の算出の基礎となる分類額を確定し
ていた。また、期末後に明らかになった重大な事項につ
いても、後発事象処理として決算に反映させていた。仮
基準日後期末までに債務者の動向に変化があった場合に
は、これを期末反映させる作業を期末に行っていた。一
方、債務者の決算があると、2,3ヶ月後に税務署等に
提出した財務諸表の控え等を入手し、信用格付の見直し
を行っていた。中間決算がある債務者では、この作業が
年2回となる。債務者の決算時期等によっては、債務者
の動向にリスク管理の観点から着目すべき状況変化がな
い場合であっても、年間に、信用格付の見直しと、自己
査定作業とを行っていた。
【0072】本実施形態では、随時起票制御により、債
務者の決算登録(公表財務登録)があったときに、自己
査定までを完了することができる。この例では、随時起
票制御部14が、基礎データ取込部12によって債務者
の財務諸表等が新たに取り込まれた時に、当該財務諸表
等を基礎データとして資産査定作業を起票する財務登録
時自動起票機能15を備える。この債務者の決算登録時
の随時起票制御により、平準化による事務合理化を図る
ことができる。例えば、すると、年4回の作業が、年2
回となる。財務諸表等は、法人の決算による財務諸表及
び付属書類や、個人事業主の青色申告や確定申告等であ
る。
【0073】また、従来、銀行では、内部の融資規程等
で、信用リスクに影響する債務者の動向についての変化
が明らかになった場合に、本部へ状況速報を行う旨を定
め、早期把握に努めていた。本実施形態による随時起票
制御では、この信用リスクに影響する債務者の動向の状
況速報を、自己査定作業と関連させることができる。す
なわち、状況速報をすべき場合には、銀行の債権の価値
に影響を与えるため、次の期末を待たずに、その動向変
化があったときに状況速報と併せて資産査定を実施する
ことができる。
【0074】この例では、随時起票制御部14が、予め
定められた業況変化があった債務者の一部又は全部につ
いて前記作業者に随時の起票を促す状況速報起票機能1
6を備える。予め定められた業況変化は、例えば、従来
融資規程等にて状況速報すべきとしている業況変化や、
債務者区分又は債権分類に影響を与える事項などであ
る。このように、本実施形態では、債務者の決算登録時
の随時査定と、業況変化に応じた随時査定とを行うこと
で、資産査定の基礎となるデータを例えば月次で把握す
ることができるようになる。
【0075】本実施形態では、信用リスクの変化が生じ
たとき(状況速報)や、信用リスクの分析が可能となっ
たとき(公表財務登録時)に、随時の自己査定作業を行
うことで、年間を通じた随時のリスク管理及び資産査定
を実現することができる。本実施形態では、さらに、銀
行の資産査定を均質かつ厳格に行うことを目的として、
期末関連日処理部32を備えている。銀行は、決算によ
る財務諸表や、自己資本比率や、リスク管理債権の額等
を公表し、銀行経営の健全性を堅持する。銀行決算の基
準日は、あくまでも期末であるため、その期末を基準日
とした資産査定としての正確性が必要である。また、作
業者の事務リスクを回避し、もれのない均質で安定した
資産査定を実現するには、本実施形態等による資産査定
システムを使用した業務プロセスの確立では、期末時点
正確性の確保も必要となる。
【0076】年間を通じた随時の資産査定では、その随
時の資産査定の後、債務者の債務償還能力等が好転した
場合には、これを期末に反映させることが難しい。ま
た、随時査定時には延滞が2ヶ月であったものが、期末
には4ヶ月となり、債務者区分の変更等が必要な事態
で、且つ状況速報がなされない可能性もある。随時査定
を導入しつつ、期末時点正確性を確保するには、営業店
担当者等の人手による管理と、システムによる自動的な
管理との調整と調和とが必要となる。
【0077】本実施形態では、期末関連日処理部32
は、銀行等の資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日
に応じた期末関連日に、基礎データを新たに取り込む。
期末関連日処理部32は、新たに取り込んだ基礎データ
と、直近の査定データとに基づいて、債務者毎に資産査
定作業の起票又は直近の査定データの一部更新を制御す
る。期末関連日は、仮基準日か、又は期末である。直近
の査定データは、仮基準日か期末に最も近い過去に決裁
された随時査定の査定データである。例えば、決算書徴
求先について、直近は、債務者の決算登録時か、また
は、その後に状況速報による資産査定があった場合には
最後の資産査定時である。
【0078】期末関連日処理部32は、第1に、期末関
連日での最新の基礎データと、直近の査定データとに基
づいて、債務者毎に資産査定作業の起票を制御する。こ
のため、直近の査定データと基礎データとに予め定めら
れた相違がある場合には、期末へ向けた査定を起票す
る。一方、直近の随時査定データをそのまま期末にて使
用できる場合には、資産査定作業を起票しないことで、
直近の査定データを自動的に期末に使用する。この起票
の制御は、例えば期末の1ヶ月か2ヶ月前等の仮基準日
に行うと良い。また、随時査定による期末時点正確性が
運用の進展により向上し、期末関連日での自動起票によ
る査定先が少なくなる場合には、期末に行うようにして
も良い。
【0079】この期末関連日処理部32の第1の機能に
応じて、随時起票制御部14が、期末関連日にて、直近
の査定データと前記期末関連日での基礎データとの比較
結果に応じて前記予め定められた業況変化のあった債務
者について自動的に起票する期末関連日自動起票機能1
8を備えるようにしても良い。
【0080】期末関連日処理部32は、第2に、期末関
連日での最新の基礎データと、直近の査定データとに基
づいて、当該直近の査定データの一部更新を制御する。
この一部更新は、例えば、債務者の債務を月次に一定額
返済する約定である場合、随時査定の基準日が数ヶ月前
であると、その後の返済により期末では債権額が減少し
ている。また、商業手形等を用いた融資では、残存期間
(返済完了までの期間)が数ヶ月と短期であることが多
く、随時査定後、期末までに債権が返済により消滅して
いることもある。
【0081】銀行決算等に向けた資産査定は期末を基準
日とするのであるから、債権額(分類額)の減少を期末
での資産査定に反映させることが好ましい。一方、債権
額の減少による債務者区分の変更は生じないため、この
分類額の修正(引き直し、洗い替え)は自動的な処理と
することができる。従って、期末関連日処理部32は、
期末関連日(主に、期末)に、最新の基礎データに基づ
いて債権額の修正を自動的に行う。債権額が増額してい
る場合には、増額の原因となった随時査定後の融資の実
行時に債務者の動向を確認し、状況速報の起動を行わな
いと判断したことから、そのまま自動的に増額するよう
にしても良いし、実態財務登録がある場合には債務超過
となるか否かの判断により、期末関連日の起票制御とし
ても良い。
【0082】直近の査定データの一部更新の制御として
は、他に、不動産担保評価システムを使用している場合
に、随時査定後、期末までに、担保評価額が変更される
ことがある。この場合、債務者区分は変更されないが、
分類額が更新されることがある。期末関連日処理部32
は、これらの最新の保全状況に応じて分類額を更新する
ようにしても良い。
【0083】期末関連日処理部32による効果は、基礎
データの整理状況に依存する。一般的に、融資残高はオ
ンラインシステム4にて管理されているため、期末関連
日処理部32による分類額の自動修正は実施しやすい。
また、延滞の有無は、債務者からの口座引落である場合
には、オンラインシステムにてリアルタイムに把握して
いるため、延滞に関連した再起票等は実施しやすい。貸
出条件の緩和の有無等は、融資実行時や融資方針策定時
に銀行側が当然に知り得ている情報であるため、基礎デ
ータの一部とすることがでる。この場合、随時査定後、
期末までに貸出条件の緩和があったにも関わらず、状況
速報がなされていない場合には、期末に向けた自動的な
再起票を行うことで、もれを防止する業務プロセスを確
立することができる。自動的な債務者区分の変更は行わ
ず、債務者区分の変更の可能性がある場合には必ず資産
査定作業を起票するという運用では、上記のように、再
起票と一部更新とを設定するが、運用方針によっては、
再起票の条件や一部更新の内容を変更しても良い。
【0084】図3に示す例では、状況速報時と、債務者
の公表財務登録時には、随時に、資産査定作業を起票
し、随時査定を促す。そして、期末から2ヶ月前に、期
末関連日処理部32による査定の起票と、未査定先抽出
による起票とを行うことで、期末に向けた資産査定の正
確性を向上させると共に、もれの防止を行う。そして、
全債務者又は対象債務者について、期末に、債権額や保
全額等の引き直し(一部更新)処理を行う。本実施形態
での随時起票制御部14と、期末関連日処理部32との
組み合わせにより、図3に示すような年間業務プロセス
を確立ことができる。これによると、債務者の動向の早
期把握と、期末時点正確性とを確保しつつ、年間を通じ
て自己査定作業を平準化することと、期末関連日での査
定の起票を必要な債務者のみとすることと、期末の査定
データの一部更新を自動化することで、事務処理負担を
軽減することができる。
【0085】また、随時起票制御部14は、財務諸表等
の登録のない債務者等の未査定先を期末関連日に向けて
抽出する未査定先自動起票機能22を備えるようにして
も良い。未査定先は、例えば、前回の期末から今回の期
末までに査定データが登録されていない先である。「期
末関連日へ向けて」というのは、この未査定先自動起票
機能22による資産査定作業は、期末正確性の確保のた
めの処理であることから、図3に示す仮基準日等期末と
の関係で定められる時という意味である。例えば、未査
定先自動起票機能22により、決算登録のない債務者に
ついては、仮基準日に未査定先として一括して抽出し、
自動的に資産査定作業を起票するようにしても良い。未
査定先抽出では、期末時点正確性を確保するために、も
れを防止する観点からは、直近の1年間又は半年に査定
データの登録がない先で、債権額が一定額以上という条
件で抽出するようにしても良い。また、未査定先が少な
い場合には、期末に自動起票するようにしても良い。
【0086】再度図1を参照すると、随時査定支援部2
6は、随時起票に応じて作業した査定データを随時に資
産関連データ格納部26やオンラインシステム4等に登
録する随時データ登録機能28と、予め定められた業況
変化が随時の査定時から次回の期末関連日までに当該債
務者に生じない場合に当該期末に使用する先基準日デー
タを、随時の資産査定作業時に登録する先基準日データ
登録機能30を備えている。随時査定による査定データ
は、決裁後即時に利用されるものであると共に、一定条
件下で次回の期末(先基準日)にて使用するものであ
る。一定条件は、随時の査定(決裁)後、次回の期末関
連日までに、予め定められた業況変化が債務者に生じな
い場合、である。債務者区分の変更は自動的にではなく
監査を含む作業者が行うとする運用では、「予め定めら
れた業況変化」は債務者区分の変更に影響を及ぼす事項
である。また、この業況変化には、その債務者の債権が
リスク管理債権の対象となるか否かに影響する事項を含
める。リスク管理の方針によっては、信用格付の変更に
影響を及ぼす事項としても良い。
【0087】債務者の動向の早期把握性と、期末時点正
確性と、事務合理化を同時に実現することは極めて困難
であるが、随時査定支援部26が、査定データに即時性
と先基準日性の二面性を与えるように資産査定作業を支
援することで、この精度向上と事務合理化を両立させる
ことができる。すなわち、作業者は、随時査定支援部2
6による支援に応じて、起票日に応じた基準日での信用
格付及び債務者区分等を定める(随時処理)と共に、次
回の決算に向けた査定データを作成する(先基準日処
理)。この随時査定作業の二面性により、精度向上と事
務合理化の両立を図る。
【0088】期末関連日処理部32は、直近の査定デー
タと、最新の基礎データとに基づいて資産査定作業の起
票又は一部更新を制御する。直近の査定データには、査
定結果データと、この査定結果データを作成するために
使用した査定作業結果データとがある。査定結果データ
は、その決裁日から有効な信用格付や債務者区分等のデ
ータである。査定作業結果データは、赤字、債務超過、
延滞等の債務者及び債権の特徴を示すデータ(抽出基準
データ)や、分類額を算出するために特定する分類算式
パターン等がある。査定結果データと、査定作業結果デ
ータとは先基準日データでもある。期末関連日処理部3
2は、主に、査定作業結果データと最新の基礎データと
を比較する。そして、査定作業結果データと最新の基礎
データとが一致する場合には、査定結果データを期末に
て使用する。不一致の場合で、債務者区分の変更等の可
能性がある場合には、資産査定の起票を制御する。
【0089】先基準日処理との関係で、随時査定時に、
期末又は仮基準日に見直しを行いたい債務者を随時査定
時や融資実行時に登録し、この指定を基礎データとして
も良い。この場合、随時起票制御部14は、直近の査定
時又は融資実行時等に予め登録された債務者を、期末関
連日へ向けて抽出する事前登録先自動起票機能24を備
える。予め登録された債務者は、例えば、正常先である
が、資産査定主体の関連会社で、コンプライアンスの観
点から期末にて資産査定すべきとした債務者や、金融庁
又は日銀での区分先や分類先や、基礎データで取り扱う
ことが困難な業況を有する債務者や、営業店で特に管理
する債務者等である。この事前登録先自動起票機能24
と、この事前登録を用いた業務プロセスの運用により、
リスク管理等の観点から管理に慎重を要する債務者の動
向を特に厳格に管理することができ、従って、信用リス
クの変化のない債務者については先基準日処理等により
事務合理化を図ることができる。
【0090】図4は、図3に示す年間業務プロセスによ
る処理対象数の推移を示す説明図である。図中、符号4
1で示す随時の公表財務登録時から、符号40で示す期
末関連日の分類額自動引き直しへ向けて時間が流れてい
る。また、縦方向は債務者の数を表している。実際に
は、個人の消費性カードローン等の債務者で、債権額に
応じた資産査定作業非対象先の数が多いが、省略してい
る。債務者群d1は、公表財務登録時に随時査定を行
い、業況変化を認めず状況速報を行わず、仮基準日等の
期末関連日での自動起票の対象として抽出されなかっ
た。このため、債務者群d1は、公表財務登録時の資産
査定作業の内容で、信用格付や債務者区分の変更の必要
なく、その査定データを期末に使用する。分類額の自動
引き直し等は、全ての債権(債務者)を対象に行う。
【0091】債務者群d2は、公表財務登録時の資産査
定の後、業況変化を認め、営業店の作業者等が状況速報
による資産査定作業の起票を行っている。この状況速報
による資産査定作業で、信用格付、債務者区分、債権分
類等の内容の確認及び必要な修正が行われる。状況速報
による資産査定作業では、直近の査定データの内容に基
づいて作業できるため、比較的素早い作業が可能であ
る。債務者群d3は、仮基準日後に業況変化が生じてい
る。この場合、仮基準日で自動抽出しているか否かに関
わらず、営業店作業者は起票することができる。債務者
群d3のうち、d2に属する債務者群は、図4に示す例
では前回の期末から今回の期末までに三回の資産査定作
業を行っている。d2且つd4に属する債務者群は、二
回の資産査定作業となる。
【0092】債務者群d5は、公表財務登録時の資産査
定の後、業況変化を認めず、仮基準日に至り、期末関連
日処理部32の処理により、公表財務登録時の査定デー
タを直近の査定データとして、仮基準日での基礎データ
と比較し、比較結果が相違していることから、自動抽出
を行っている。この自動抽出は、期末に向けた正確な自
己査定を行うための見直しであり、且つ、資産査定先の
もれを防止する。債務者群d6は自動抽出での資産査定
が期末に有効となる。債務者群d7は破綻懸念先以下等
で、期末に必ず見直すとしている債務者である。
【0093】決算書の未徴求先についても、債務者群d
12は未徴求先の一括作業時の資産査定作業による査定
データが期末でも有効であり、債務者群d9については
業況変化があり状況速報の対象となった。債務者群d9
の一部(d11)は状況速報による査定データを期末で
使用する。他の一部(d10と重なる債務者)は、仮基
準日の自動抽出の対象となった。債務者群d8は、業況
変化がないが、仮基準日の自動抽出の対象となってい
る。
【0094】図4に示す組み合わせは一例であり、例え
ば、自動抽出先と、期末関連日内での業況変化による状
況速報先が重なる場合もある。また、未徴求先一括作業
を、仮基準日に実行するようにしても良い。図4に示す
ように、本実施形態では、もれのない債務者の動向の早
期把握の点から、作業者の判断による状況速報と、最新
の基礎データを用いた自動抽出とを組み合わせている。
この組み合わせにより、もれのない資産査定作業の業務
プロセスを確立することができる。
【0095】本実施形態では、随時起票制御部14によ
って自動的に又は作業者の指示に応じて起票された資産
査定作業が同一の債務者について重複する場合には、当
該同一債務者についての当該2以上の起票を許可すると
共に、当該資産査定作業が同一債務者について重複して
いる旨を前記作業者に通知する重複制御部34を備えて
いる。「作業者に通知」は、例えば画面表示や、情報変
更や追加登録の禁止である。
【0096】図4等に示すように、本実施形態では、営
業年度内に、同一の債務者について、状況速報による資
産査定作業と、自動抽出による資産査定作業等が同一の
債務者について重複する仕組みとなっている。資産査定
作業が時期的に前後するのであれば、後の査定データが
有効となる。自動抽出のタイミングによっては、一方の
資産査定作業が完了する前に、他方の資産査定作業が起
票される可能性がある。重複制御部34は、自動的に又
は作業者の指示に応じて起票された資産査定作業が同一
の債務者について重複する場合には、第1に、当該同一
債務者についての当該2以上の起票を許可する。すなわ
ち、システム的に査定データを合成し、一方を削除する
等の処理は行わない。重複制御部34は、第2に、資産
査定作業が同一債務者について重複している旨を前記作
業者に通知する。このように、重複の発見はシステムが
自動的に行い、発見された重複状態の解消については、
作業者に委ねることとした。このシステム化と作業者に
よる作業の調和により、随時起票の実効性を高めてい
る。また、重複制御は、事務リスクの回避にも役立つ。
【0097】図5は、本実施形態による年間業務プロセ
スに応じた自己査定支援方法の構成例を示すフローチャ
ートである。資産査定支援方法は、作業者用の端末1
と、この端末とネットワーク2を介して接続されたサー
バーとを備えた資産査定支援システムを使用して、作業
者による資産査定作業を支援する。この資産査定支援方
法は、まず、債務者の財務諸表等の登録時に端末1によ
る資産査定作業を起票する(ステップS1,債務者財務
諸表登録時起票工程)。図4等に示すように、この債務
者財務諸表登録時起票工程S1に前後して、前記債務者
に予め定められた業況変化があった場合に前記作業者に
前記資産査定作業の起票を促す(S5,状況速報起票工
程)。
【0098】ステップS1又はS5にて資産査定作業が
起票された場合には、まず、債務者及び当該債務者の債
権に関する基礎データを取り込み(ステップS2,S
6)、そして、当該基礎データ及び端末1に作業者から
入力される入力データに基づいて債務者及び債権に関す
る査定データを導出する(ステップS3,S7査定デー
タ導出工程)。
【0099】そして、資産査定作業の作業時に、査定デ
ータ登録工程S4,S8では、入力され又は導出した査
定データを起票日に近い当該査定データの決裁日以降に
有効な査定データとして登録する(即時処理)と共に、
当該決裁日以降で資産査定主体の財務諸表の作成の基準
日となる期末に関連した期末関連日に使用する先基準日
データとして登録する(先基準日処理)。
【0100】仮基準日や期末等の期末関連日に、新たな
基礎データを取り込んで先基準日データと比較すると共
に、当該比較結果が予め定められた起票条件と一致する
か否かを判定する(ステップS9,期末関連日比較工
程)。例えば、先基準日データでは延滞なしとなってい
る場合に、新たな基礎データで延滞ありとなっている場
合には、起票条件に一致すると判定する。起票条件は、
図4に示す自動抽出を行う条件である。
【0101】比較結果が起票条件と一致しない場合に
は、先基準日データを当該期末関連日の査定データとし
て登録し(ステップS11)、一方、比較結果が起票条
件と一致する場合には当該債務者の資産査定作業を起票
する(ステップS12,期末関連日処理工程)。基礎デ
ータと起票条件との関係は、基礎データと信用格付又は
債務者区分との関係に依存する。債務者区分の変更(信
用格付の変更)の可能性がある場合に期末関連日に自動
抽出を行うのであれば、債務者区分の変更をもたらす可
能性のある基礎データの変更を起票条件とする。
【0102】図1に示す構成や、図5等に示す処理は、
サーバーのCPUが所定のプログラムを実行することで
実現することができる。資産査定システムのCPU(図
示せず)は、演算手段として、所定のプログラム(指
令)に従って各種の演算を行う。CPUは、各種の処理
要求に従って端末1に基礎データ等を表示し、入力デー
タの入力を促進し、資産査定作業の進捗を支援する。
【0103】本実施形態では特に、資産査定支援用プロ
グラムは、作業者による随時の資産査定作業を支援し、
年間を通じた業務プロセスの進行を管理するための各種
の指令を備える。すなわち、資産査定支援用プログラム
は、下記指令を備える。債務者の財務諸表等の登録時に
前記端末による資産査定作業を起票させる債務者財務諸
表登録時起票指令。債務者に予め定められた業況変化が
あった場合に資産査定作業の起票を作業者に促す表示を
させる状況速報起票指令。資産査定作業が起票された場
合に、債務者及び当該債務者の債権に関する基礎データ
を取り込ませると共に当該基礎データ及び端末に前記作
業者から入力される入力データに基づいて債務者及び債
権に関する査定データを導出させる査定データ導出指
令。資産査定作業の作業時に、入力され又は導出された
査定データを前記起票日に近い当該査定データの決裁日
以降に有効な査定データとして登録させると共に、当該
決裁日以降で資産査定主体の財務諸表の作成の基準日と
なる期末に関連した期末関連日に使用する先基準日デー
タとして登録させる査定データ登録指令。期末関連日に
基礎データを取り込んで先基準日データと比較させると
共に、当該比較結果が予め定められた起票条件と一致す
るか否かを判定させる期末関連日比較指令。比較結果が
起票条件と一致しない場合には、前記先基準日データを
当該期末関連日の査定データとして登録させ、前記比較
結果が前記起票条件と一致する場合には当該債務者の資
産査定作業を起票させる期末関連日処理指令。
【0104】資産査定システムのCPUは、これらの指
令を実行することで、ステップS1等の起票処理を実行
し、また、図1に示す随時起票制御部14等として動作
する。その他、資産査定システム用プログラムが、資産
査定システムや端末や後述する取引先要項システム等に
て実現すべき各機能や、フローチャートの各工程に応じ
た指令を備えることで、サーバー10のCPUは対応す
る処理を行う。例えば、資産査定用用プログラムが、自
動的に又は作業者の指示に応じて起票された資産査定作
業が同一の債務者について重複している場合には、当該
同一債務者についての当該2以上の起票を許可すると共
に、当該資産査定作業が同一債務者について重複してい
る旨を前記作業者に通知するための重複制御指令を備え
ると、CPUは、図1に示す重複制御部34として動作
することができる。
【0105】この資産査定システム用プログラムは、磁
気テープ(MT)やディスク等の記録媒体11Aに格納
されて搬送され、媒体読取部11によって読み取られ
る。記録媒体に格納されていた資産査定システム用プロ
グラムは、媒体読取部11にて読み取られた後、プログ
ラム記憶部に格納される。また、他のホスト装置から通
信回線を経由してプログラム記憶部に当該プログラムを
提供することもできる。
【0106】プログラムについて、CPUを「動作させ
る指令」というときには、各指令のみでCPUを動作さ
せる指令と、プログラム記憶部に予め格納されているオ
ペレーティングシステム等の他のプログラムに依存して
当該CPUを動作させる指令とのいずれかまたは双方を
含む。ここでは、「オペレーティングシステム」は広義
に解釈している。トランザクションマネージャーや、デ
ータベースマネージャーや、実行環境等を含む。
【0107】上記債務者財務諸表登録時起票指令は、実
際には、査定関連データ格納部36に格納された各種デ
ータのうち、起票対象の債務者に関するデータへのアク
セス権を当該作業者に付与し、データの基礎情報を作業
者の端末1に表示する指令であってもよい。この場合、
データへのアクセス権の制御は、データベースマネージ
ャーが行い、上記債務者財務諸表登録時起票指令が、ア
クセス権を直接調整するための指令を有さず、データベ
ースマネージャーへアクセス権の調整に必要な作業者の
ログイン名や、債務者の顧客番号及び資産査定作業の作
業通番等を引き渡す指令を有することがある。これは、
動作させようとするコンピュータのオペレーティングシ
ステムやデータベースマネージャー等との関係で定ま
る。この点、通信回線を介してプログラム(指令)を提
供する場合も同様である。
【0108】このプログラムとシステム又は方法、搬送
媒体等に関する説明は後述する実施形態、実施例におい
ても同様である。特に、同一の名前が付されている機
能、工程、指令のそれぞれが対応する点は、各実施形態
においても同様である。例えば、資産査定システム用プ
ログラムは、決裁値比較機能を実現するには、その機能
を実現するための決裁値比較指令を備える。
【0109】
【第2実施形態】第2実施形態では、自己査定の債務者
区分及び債権分類に関して、債務者のリスク管理に関す
る属性、事象及び事項を抽出基準として取り扱うこと
で、複雑な資産査定処理のシステム化を図る。また、第
2実施形態では、基礎データと抽出基準とを関係させ、
抽出基準と債務者区分等の関係を予め整理することで、
第1実施形態での随時査定と期末関連日処理による早期
把握と期末時点正確性の確保を図っている。また、基礎
データに基づいて抽出基準データの値を導出し、抽出基
準データの値と債務者区分等を関連させることで、作業
者の経験や知識に依存せずに均質で厳格な資産査定を行
う。
【0110】図6は、第2実施形態による査定支援シス
テムの構成例を示すブロック図である。図6に示す例で
は、資産査定システムは、図1に示す構成と同様に、信
用リスクに応じた債務者区分及び債権の分類等の自己査
定作業を含む資産査定の基礎となる基礎データを取り込
む基礎データ取込部12と、債務者を特定した前記資産
査定作業の起票を自動又は作業者の指示に応じた手動に
て随時のタイミングで制御する随時起票制御部14とを
備えている。第2実施形態では特に、基礎データに基づ
いて債務者の区分又は債権の分類に影響する事実又は指
定の有無を示す抽出基準データの値を設定する抽出基準
データ制御部44を備えている。
【0111】そして、第2実施形態での資産査定システ
ムは、資産査定作業が起票されたときに、抽出基準デー
タ制御部で設定される抽出基準データを表示すると共に
当該作業者の知識による抽出基準データの値の確認及び
変更を促す随時査定支援部26と、資産査定主体の財務
諸表等の作成の基準日に応じた期末関連日に、債務者毎
に、当該期末関連日での新たな基礎データに応じた抽出
基準データの値と直近の抽出基準データの値とを比較す
ると共に、当該比較結果に基づいて当該債務者の査定の
起票を制御する期末関連日処理部32とを備えている。
【0112】抽出基準データは、債務者が赤字か否か、
債務者の債権が延滞か否か等の債務者区分の判定に影響
する抽出基準に応じた値を持つデータであり、図2に示
すように、債務者の属性等を示す債務者別抽出基準デー
タと、債権毎の状態を示す債権別抽出基準データとを備
えている。また、ここでは、抽出基準は、広義には、破
綻懸念先以下に該当する事象である債務者事象と、債権
の分類で使用する分類算式パターンを特定するための分
類算式判定用符号とを含む。
【0113】図7は、第2実施形態で使用する債務者別
抽出基準データの一例を示す説明図である。債務者別抽
出基準データのうち、債権毎にも定義されるものは、債
権毎として丸印を付している。抽出符号は、抽出基準の
内容を漢字一文字で示す符号である。この抽出符号は、
作業者向けの画面(ユーザーインタフェース)等で使用
する。破綻懸念先以下については、別途債務者事象を定
めているが、経営改善計画の進捗状況の精査等個別に作
業者が判断する事項が多く、また、システム的な自動化
が早急に望まれるほどの債務者数ではないことから、本
実施形態では基礎データとの関連は定義していない。
【0114】抽出基準は、狭義には、内部の詳細なマニ
ュアルである与信債権自己査定取扱要領に従って、要注
意先として抽出する際の基準と、正常先ではあるが債務
償還能力を判定し要注意先であるか否かを検証すべき債
務者を抽出する際の基準と、前回の資産査定で破綻懸念
先以下に区分された場合には、その債務者区分とであ
る。広義の抽出基準と区別するため、図7に示す抽出基
準を、以下抽出符号と呼ぶ。「抽出符号がオンである」
場合には、その抽出基準に該当し、対応する債務者区分
への区分となるか否かを判定すべき対象となる。抽出符
号は、基礎データや資産査定作業中の他の入力データ等
から導出できる事項である。オンラインシステム等で管
理されていない事項については、与信管理部、審査部等
の所管部又は営業店の指定としても良い。基礎データか
ら導出できない抽出符号で、指定による抽出符号としな
いものについては、手動抽出符号と呼ぶ。
【0115】図7では、抽出符号を債務者区分と関連さ
せた例としている。しかし、例えば、要注意先を三段階
に区分けし、信用格付を要注意先内で三段階とする等の
場合には、抽出符号は信用リスクと関連することとな
る。要注意先の信用格付を三段階等にする例について
は、同一出願人による別途の出願を参照されたい。本出
願の第2実施形態では、抽出符号利用した年間業務プロ
セスの確立について開示する。そして、その説明を容易
にするために、業務プロセスと直接関連しない債務者区
分や債権分類の支援を行うシステム上の創意・工夫につ
いては言及しない。
【0116】図7に示すように、抽出符号は基礎データ
から導出することができる。例えば、オンラインシステ
ムでは与信明細を管理するコードを保持しており、その
コードの種類によって当該与信債権がリスク管理債権で
あるか否かをシステム的に取り扱うことができる。そし
て、債務の返済に関しては、口座振替や、オンライン端
末のオペレーションにより債務者の口座を用いて決済す
るため、仮に延滞が発生した場合にはその延滞情報をオ
ンラインで管理することができる。そして、延滞日数に
応じて延滞金が発生し、その延滞金の額をオンラインシ
ステムで計算するため、延滞情報もオンラインシステム
で管理している。また、融資の資金使途が利息返済であ
る場合や、融資条件を変更した場合や、当初から返済期
日を極端に長期とした等の与信条件に問題がある場合等
を、融資先管理コードとして管理している。この与信明
細管理コードと、融資先管理コードとにより、抽出符号
のほとんどを導出することができる。
【0117】また、例えば、不動産プロジェクト資金与
信先で、プロジェクトの事業化又は販売の目処が当初計
画より一年以上遅れている先(抽出符号「不」)につい
て、与信債権明細管理コード等による管理を行っていな
い場合には、これを手動抽出符号とし、債務者決算検討
時の資産査定作業で作業者による手動による抽出符号の
設定を促すようにしてもよい。財テク資金(投機資金で
はない)与信先で、含み損がある先等をオンラインシス
テムで管理しない場合にも、抽出符号の内容からして、
債務者の財務諸表の分析時に判明するため、手動抽出符
号として、基礎データからの導出を行わないようにして
も良い。
【0118】抽出符号「赤」や、無配先又は低株価先を
示す「株」は、公表財務計数から導出することができ
る。「赤」は、決算書に欠損金を計上しているが、債務
超過にはなっていない先である。これは、経常損失又は
当期損失を計上している先や、繰越欠損金を計上してい
る先や、償却不足等により実態が欠損となっている先で
ある。債務超過先を示す「債」は、公表財務計数を修正
した実態財務計数や、個人事業主の場合の簡易登録等か
ら導出することができる。当行の役員関連与信先という
のは、金融機関がその役員に融資することはなく、融資
先の取締役が役員の親族である等の場合であり、コンプ
ライアンスの観点から正常先であっても監査の権限によ
り詳細な資産査定を行うものである。
【0119】信用格付は、実態財務計数に基づいて定量
評価を行い、債務者の状況から定性評価を行うことが多
い。この場合、評価の項目毎に内容に応じた評点があ
り、その合計点数で信用格付を定める。「格」のスコア
リングというのは、この信用格付の定量又は定性評価の
評点である。関連融資先「グ」は、例えば親会社が要注
意先以下の場合の子会社等であり、融資先管理コード等
から導出することができる。
【0120】抽出符号と債務者区分等の関係について
は、例えば、赤字先については、赤字先であれば必ず要
注意先に区分されるとは限らない。赤字先は一般的に今
後の管理に注意を要する債務者であり、原則的に要注意
先に債務者区分することとなる。しかし赤字企業でも、
それが一過性の原因によるものや、創業赤字と見られる
場合には、要注意先とする必要はない。一過性の原因と
しては、例えば、不要設備の除却損など、特別な損失の
発生や、一時的な原因によるもので、体質的・構造的な
要因によるものでないこと等である。
【0121】また、営業店の判断は、債務者の状況の検
討不足であるとして監査から差し戻しとなることもあ
る。
【0122】図8は、第2実施形態での資産査定作業の
例を示すフローチャートである。本実施形態による資産
査定作業では、まず、財務諸表等の徴求先について、公
表財務計数を検討する決算検討や、経営分析の手法等を
用いた異常マーク等を参照した財務分析等を行う(ステ
ップS21)。この公表財務計数の検討結果に応じて、
定量評価を行い、さらに、作業者の選択や入力に応じて
定性評価を行う(ステップS22)。ここで信用格付を
一旦確定する。続いて、抽出基準に応じた債務者区分を
行う(ステップS23)。ここでは、まず、抽出基準の
債務者事象等に基づいて破綻懸念先以下であるか否かを
検討する。続いて、抽出基準のうち図7に示す要注意先
の抽出符号に基づいて、要注意先であるか否かの検討を
行う。要注意先でもない場合には、図7に示す正常先の
抽出符号がオンであるか否かに応じて、オンである場合
には、正常先であることの検証を行う。この検証にて債
務償還能力に注意すべき点がある債務者は、財務問題先
「財」の要注意先とする。
【0123】債務者の区分が完了すると、次に、債権の
分類を行う(ステップS24)。債権の分類では、ま
ず、優良担保、優良保証等による分類対象外債権を特定
する。続いて、一般担保、一般保証による保全状況に応
じてII分類額を求める。破綻懸念先以下の場合には、
処分可能額や回収可能額を精査して、III分類及びI
V分類を算出する。この分類の完了により、自己査定作
業が完了する。本実施形態では、自己査定作業の完了
後、上記信用格付と自己査定結果とが整合的であるか否
かを確認し、信用格付を確定する。
【0124】第2実施形態では、自己査定及び信用格付
と同時に、債務者の概況を作成する(ステップS2
5)。この債務者の概況の作成では、決算検討時に入力
したコメント等を自動的にコピーするようにしても良
い。そして、必要に応じて今後の融資方針を作成する
(ステップS26)。融資方針は、今後の与信額の目処
等を検討する。
【0125】図9は、第2実施形態での債務者抽出基準
データを使用したユーザーインタフェースの一例を示す
説明図である。図9に示す例では、債務者であるA産業
は、売上の減少により赤字となり、欠損金を計上した。
そして、ある債権の返済が期日より一ヶ月を経過した。
抽出基準データ制御部44は、延滞情報に基づいて
「延」をオンとし、公表財務情報に基づいて「赤」をオ
ンとした。作業者は、この随時査定時に、延滞していた
債権が完済されたことを知っているため、「延」につい
て営業店での抽出符号をオフとした。基礎データが月次
である場合には、前月末までの延滞情報等は前月末の時
点でのデータであるため、最新の情報は営業店の作業者
が有することもある。作業者は、このオフとした理由を
疎明するコメントを別の画面で入力する。
【0126】抽出基準データ制御部44は、公表財務計
数や、実態財務計数から、売上の減少率を算出し、売上
の減少率が予め定められた値以下であるため、「売」を
オンとした。売上減少は事実であるため、作業者は、営
業店欄の「売」をオンとした。そして、作業者は、図示
しない与信額の詳細等を確認し、さらに、要注意先抽出
符号である「赤」に対して、一時的な欠損である旨をコ
メントとして選択した。この時点では、営業店担当者の
判断としてA産業は正常先となっている。
【0127】図10は、第2実施形態での債権抽出基準
データを使用したユーザーインタフェースの一例を示す
説明図である。作業者は、図示しない与信明細等を確認
し、債権毎抽出基準データ「開」、「延」、「利」等の
有無を与信債権毎に検討する。また、融通手形や、赤字
補填であることが明らかな債権を特定できる場合には、
問題与信債権として特定する。図10に示す例では、営
業店の延滞マークをオフとして、問題与信債権の設定を
オフとする。与信明細の詳細を確認する際に、例えば利
息貸出であることが明らかになった場合には、作業者
は、図9に示す画面に戻り「利」の営業店欄をオンとす
る。また、債権毎抽出基準へのチェック(オン)によ
り、図9に示す債務者単位の抽出符号を自動的に更新す
るようにしても良い。利息貸出があると、A産業は事実
上の延滞があり、要注意先に区分される。また、現に延
滞がなくとも、早晩延滞の発生する可能性が高いと判断
する場合には、営業店欄の「延」をオンとしてもよい。
【0128】抽出基準は、債務者の状態を確認する一覧
であり、且つ、基礎データから自動抽出するために、資
産査定作業の均質化と、厳格化に役立つ。例えば、リス
ク管理債権や、貸出条件緩和債権のある債務者が正常先
に区分されることはない。本実施形態ではさらに、抽出
基準の利用により、随時査定処理による早期把握性と期
末関連日処理による期末時点正確性の向上を、より安定
して実行することができる。例えば、本実施形態では、
期末関連日処理部32が、当該期末関連日の基礎データ
に応じた抽出基準データ(例えば、抽出符号)の値が直
近の査定データでの抽出基準データ(例えば、抽出符
号)の値と異なる場合に、当該抽出基準データの値が変
化した債務者についての資産査定作業を起票する制御を
する変化時起票制御機能46を備える。
【0129】期末関連日処理部32は、仮基準日等に、
全債務者の基礎データから債務者毎に図7に示す抽出符
号のオンオフを自動的に判定する。そして、変化時起票
制御機能46は、図7に示す債務者区分との関係では、
期末関連日の基礎データに応じた例えば、抽出符号の値
が、直近の査定データでの抽出符号の値と異なる場合
に、その債務者の資産査定作業を起票する。融資条件の
変更をしたにも関わらず、状況速報がなされていない場
合には、期末関連日処理部32によって自動抽出され、
資産査定作業が起票される。一方、抽出符号のオンオフ
に変更がない場合には、信用格付区分及び債務者区分の
決裁内容は期末関連日においても有効であるため、資産
査定作業の起票は行わない。
【0130】随時査定時の作業者による作業は、即時性
と先基準日性の二面性がある。抽出基準データとの関係
では、作業者は、抽出基準データの選択に関して当該選
択の有効期間を熟慮することとなる。自己査定では、営
業推進から独立した監査部門が自己査定を監査する等、
部門間等による牽制を行う業務プロセスの確立が望まれ
ている。本実施形態では、作業者に、先基準日での有効
性という従来にない新たな牽制が与えられる。従って、
作業者の判断がより保守的で、より確実な見通しに基づ
くものとなることが期待できる。
【0131】期末関連日処理部32は、直近の資産査定
作業にて自動抽出基準データの値が作業者によって変更
され決裁された場合には、この変更決裁された抽出基準
データの値と期末関連日の基準データに応じて自動設定
された値とを比較する決裁値比較機能48を備えてい
る。例えば、直近の資産査定作業時に、基礎データに基
づいて自動的に「延」をオンとしたが、作業者がオフと
し、監査もオフを了承して決裁したとする。この場合、
期末関連部処理部32は、自動設定した「延」のオンと
ではなく、決裁された「延」のオフと新たな基礎データ
とを比較する。直近の資産査定時に、延滞は早期に解消
するとの見通しでオフとしたが、その後、期末関連日に
おいても延滞の状態が解消していない場合には、システ
ム的に、強制的に、資産査定作業を起票する。一方、直
近の資産査定時における判断が有効で、期末関連日の基
礎データでは延滞が解消している場合には、直近の資産
査定作業が有効で、その査定データを期末に正確なもの
として使用する。
【0132】期末関連日処理部32の決裁値比較機能4
8により、作業者に、随時査定時に次回の基準日での有
効性を鑑みた資産査定作業を促すことができる。本実施
形態による随時査定では、即時に有効で、且つ、次回の
期末においてその有効性が維持されるのかを考慮した作
業となる。この業務プロセスによると、見通しが不確か
な場合には、即時の有効性に基づいて随時査定を行い、
その後、債務者の動向に注意し、変化があった場合には
状況速報を行うことが促される。一方、見通しが確かな
場合には、即時に有効で、且つ、次回の期末にも有効な
判断を行うことで、仮基準日等での資産査定作業を省略
することができる。
【0133】期末関連日処理部32は、基礎データから
自動的な抽出のできない手動の抽出基準データ(手動抽
出符号)について、直近の決裁された査定データ内で正
常値以外の値が選択された査定データがある場合には、
当該債務者についての資産査定作業を自動的に起票する
事前設定時起票制御機能50を備えるようにしても良
い。手動抽出符号は、基礎データから自動的に抽出でき
ないため、期末関連日処理部32では自動的は判断がで
きない。このため、直近の資産査定作業で手動抽出符号
がオンとされた場合には、期末関連日に、債務者のその
後の動向に応じた判断を求めるために、自動的に資産査
定作業を起票する。債務者区分に影響する重要な事項を
手動抽出符号とする場合には、第1に、状況速報すべき
対象とした運用や、第2に、当該重要な事項に該当する
場合の財務計数の比率等を定め、この比率を抽出符号と
する運用や、第3に、監査、審査又は営業店にて期末関
連処理にて必ず自動抽出すべき先として登録する運用等
とすると良い。
【0134】図11は、第2実施形態での期末関連日処
理の一例を示すフローチャートである。図11に示す資
産査定支援方法は、作業者用の端末1と、この端末1と
ネットワーク2を介して接続されたサーバー10とを備
えた資産査定支援システムを使用して前記作業者による
資産査定作業を支援する。この方法では、まず、債務者
を特定した資産査定作業の起票を自動又は作業者の指示
に応じた手動にて随時のタイミングで制御する(ステッ
プS31,随時起票制御工程)。続いて、信用リスクに
応じた債務者区分及び債権の分類等の自己査定作業を含
む資産査定の基礎となる基礎データを取り込む(ステッ
プS32,基礎データ取込工程)。
【0135】資産査定作業が起票されたときに、取り込
んだ基礎データに基づいて債務者の区分又は債権の分類
に影響する事実又は指定の有無を示す抽出基準データを
表示し(ステップS33)、当該作業者の知識による抽
出基準データの値の確認及び変更を促し(ステップS3
4)、作業されたデータを査定データとして格納する
(ステップS35,随時査定支援工程)。これで、随時
査定作業は完了する。
【0136】その後、仮基準日等の期末関連日に、債務
者毎に、当該期末関連日での新たな基礎データに応じた
抽出基準データの値と、直近の査定データのうち決裁さ
れた抽出基準データの値とを比較し(ステップS3
7)、当該比較結果に基づいて当該債務者の査定の起票
を制御する(ステップS38からS40,期末関連日処
理工程)。期末関連日の基礎データと、直近の決裁され
た査定データの抽出基準データとが相違し、予め定めら
れた起票条件と一致する場合には、資産査定作業を起票
する(ステップS38)。
【0137】また、基礎データから自動的な抽出のでき
ない手動の抽出基準データ(例えば、手動抽出符号)に
ついて、直近の決裁された査定データ内で正常値以外の
値(例えば、オン)が選択された査定データがある場合
には(ステップS39)、当該債務者についての資産査
定作業を自動的に起票する(ステップS38,事前設定
時起票制御工程)。直近の決裁で手動抽出符号がオンと
された場合、期末関連日に基礎データから自動的に内容
の判定を行うことはできないので、期末関連日に起票
し、手動抽出符号の変化の確認を作業者に求める。
【0138】直近の決裁された査定データと、期末関連
日での査定データとが一致し、且つ、直近にオンとされ
た手動設定の抽出基準データがない場合には、直近の査
定結果データを期末関連日のデータとして登録する(ス
テップS40)。
【0139】再度図6を参照すると、随時査定支援部2
6は、資産査定作業が起票された場合に、基礎データ
と、作業者の知識に応じて入力される入力データとに基
づいて、当該債務者及び債権の信用リスクの判定及び当
該債権の分類額の算定作業を支援する債権分類支援部5
2を備えている。また、資産査定システムは、資産査定
主体の財務諸表等の作成の基準日となる期末に、当該期
末での新たな基礎データによる債権の種類及び額と、直
近の前記債務者及び債権の信用リスクの判定結果とに基
づいて当該期末を基準日とする分類額を引き直す期末処
理部56を備えている。「債務者及び債権の信用リスク
の判定」というのは、例えば債務者の公表財務及び実態
財務計数から算出した債務者の債務償還能力や、優良担
保及び優良保証の確認や、不動産担保評価システム等か
ら取り込む評価額等である。「分類額の引き直し」は、
随時査定時から返済により減少した債権額に基づいて、
分類額を修正する作業等である。与信債権が追加されて
いる場合には、該当する分類の分類額を増額する。
【0140】債権分類支援部52は、分類額の算定作業
用の債務者及び債権の信用リスクの判定として、当該債
務者の債務償還能力を当該債務者の財務状況及び債務履
行状況等に応じて当該分類額の算出に使用する分類算式
の組み合わせを特定する分類算式パターン特定機能54
を備えている。この場合、そして、期末処理部56が、
直近の分類額算定作業で使用された分類算式パターンで
の分類算式を使用して当該期末引き直しを制御する直近
分類算式パターン使用機能58を備える。
【0141】従来例の欄に要注意先の債権の取扱を説明
したように、要注意先のII分類額は、基礎査定額全額
が分類対象となる場合(債務者分類)と、一部あるいは
全部が分類対象となる場合(形式分類等)とがある。分
類算式パターンは、要注意先の債権分類と、正常先のう
ち要注意先であるかを検証する場合の債務償還能力の検
証に用いる。図12は、本実施形態での分類算式を特定
するためのユーザーインタフェースの例を示す説明図で
ある。図12に示す例では、A方式による算式Iは基礎
査定額全額をII分類額とするもので、債務者分類であ
る。図12に示す例では、債務者分類とすべき事項を抽
出基準データ(分類算式パターン特定符号)としてい
る。財務内容の把握が困難であるか否かは、決算登録時
の異常マークの数等で自動的に抽出しても良い。その
他、要管理債権を有する先については全額をII分類と
する。融資条件変更や、実質債務超過等は、抽出符号で
管理する。
【0142】B方式及びC方式は形式分類と長期固定分
類との比較である。算式2.1は、当初明細書の段落
「0039」に記載した要注意先債権の取扱でのロのか
っこ書きに対応し、問題与信債権を特定できない繰越欠
損先で、自行の融資比率から分類額を算出する。算式
2.2はイ.ロ本文に対応し、問題与信を特定できる先
で、問題与信額から分類額を算出する。「後ろ向き資
金」は、売上の減少あるいは利益の減少などにより発生
した資金需要であり、赤字補填、焦付債権の発生、滞貨
資金返済圧迫等である(貸付用語辞典,昭和62年11
月9日三訂第1刷,新井益太郎他責任編集,銀行研修社
発行,ISBN4-7657-2434-4)。算式3は、上記ホに
対応し、長期固定分類方式である。これは、債務者の固
定資産等に対応した負債額と、税引き後利益等から利益
償還可能額とを算出し、さらに業種や設備の内容に応じ
た年数を掛けて、例えば10年間利益償還可能額を算出
する。そして、固定資産に対応した負債額から10年間
利益償還可能額を引き、これを分類額とするものであ
る。この算式3で分類額が算出される場合、債務者の財
務内容等の状況から回収について通常を上回る危険性が
あると認められる債権となる。D方式は、要注意先の抽
出符号に該当せず、且つ、図12に示すボックス2に該
当しない場合で、算式3での財務内容の検討を行うもの
である。
【0143】この算式3を用いることで、より厳格で保
守的な資産査定を行うことができる。すなわち、正常先
の抽出符号に該当する場合にはこの算式3による分類額
の算出を試み、ここで分類額が算出される場合には、債
務者を、財務問題先「財」として要注意先に区分する。
例えば、公表財務計数から借入急増先を正常先として抽
出し、図12に示すフローに従って算式3による検証を
行うことで、正常先やら要注意先への変化を一律にかつ
早期に把握することができる。
【0144】また、分類算式が特定されていると、期末
処理部56の直近分類算式パターン使用機能58が、直
近の分類額算定作業で使用された分類算式パターンでの
分類算式を使用して当該期末引き直しを制御することが
できる。これは、期末での自動的な引き直しとしつつ、
算式3等を用いる場合には債務償還能力との関係での期
末時点での正確な分類額の算出を可能とする仕組みとな
る。このように、分類算式パターンは、即時の査定作業
データであると共に、先基準日データである。
【0145】なお、随時査定時にB方式又はC方式を使
用していたが、期末関連日にA方式を使うべき状態に業
況が変化している場合には、期末関連日処理部による自
動起票の対象となる。このように、分類算式パターンの
特定と、抽出符号とを関連させることで、期末引き直し
の精度を向上させることができる。
【0146】図13は、本実施形態での期末処理の一例
を示すフローチャートである。図13に示す例では、ま
ず、債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
御する(ステップS51,随時起票制御工程)。次に、
信用リスクに応じた債務者区分及び債権の分類等の自己
査定作業を含む資産査定の基礎となる基礎データを取り
込む(ステップS52,基礎データ取込工程)。そし
て、資産査定作業が起票された場合に、基礎データと、
作業者の知識に応じて入力される入力データとに基づい
て、債務者の債務償還能力を当該債務者の財務状況及び
債務履行状況等に応じて当該分類額の算出に使用する分
類算式の組み合わせを特定すると共に、当該債権の分類
額の算定作業を支援する(ステップS53,債権分類支
援工程)。
【0147】そして、資産査定主体の財務諸表等の作成
の基準日となる期末に、当該期末での新たな基礎データ
による債権の種類及び額と、直近の分類額算定作業で使
用された分類算式パターンでの分類算式とに基づいて、
当該期末を基準日とする分類額を引き直す(ステップS
54,期末処理工程)。
【0148】
【第3実施形態】第3実施形態では、状況速報の詳細
や、査定部門間等のワークフロー制御について説明す
る。顧客情報・取引履歴・取引先履歴等は、自己査定の
ベースとなるのみでなく、与信管理面、営業推進面にお
いても重要かつ不可欠な情報である。ここでは、資産査
定支援システムと連携して顧客情報・取引履歴・取引先
履歴等を管理する取引先要項システムを開示する。資産
査定支援システムと、取引先要項システムとを備えたシ
ステムを、融資支援システムと呼ぶ。本実施形態では、
取引先要項システムと資産査定支援システムとの関連付
けに、主要動向区分を用いる。
【0149】図14は、本実施形態での融資支援システ
ムの構成例を示すブロック図である。融資支援システム
は、債務者の基礎情報及び時系列の動向を随時に管理す
る取引先要項システム60と、前記債務者の区分及び債
権の分類等の自己査定作業を含む資産査定を支援する資
産査定支援システム61とを備えている。取引先要項シ
ステムでの取引先の主な動向の表示及び編集画面を図1
5に示す。
【0150】取引先要項システム60は、前記債務者の
時系列の動向を表す文章によるコメントデータを予め定
められた主要動向区分毎に種類分けする主要動向区分制
御部62を備えている。主要動向区分の例を図16に示
す。主要動向区分は、債務者と資産査定主体との関係を
区分した当行関係区分と、債務者の組織変遷を区分した
組織変遷区分と、債務者の資本異動等の財務会計基礎情
報を区分した財務会計基礎区分と、当該債務者の信用リ
スクに影響するリスク管理区分とを有する。
【0151】図14に示すように、資産査定支援システ
ム61は、債務者を特定した前記資産査定作業の起票を
自動又は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミン
グで制御する随時起票制御部14と、資産査定作業が起
票された場合に、基礎データと、前記作業者の知識に応
じて入力される入力データと、前記基礎データ及び前記
入力データから導出する導出データとを含む当該起票に
応じた起票関連日での随時の査定データの作成を支援す
る随時査定支援部26と、財務諸表等の作成の基準日に
応じた期末関連日に前記基礎データを新たに取り込むと
共に当該基礎データと前記直近の査定データとに基づい
て前記債務者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直近
の査定データの一部更新を制御する期末関連日処理部3
2とを備えている。
【0152】本実施形態では特に、随時起票制御部14
が、主要動向区分のうち当該債務者の信用リスクの変化
に影響するリスク管理項目について取引先要項システム
への登録に前後して、当該債務者の状況速報として当該
債務者の資産査定作業を起票する主要動向区分別状況速
報起票機能70を備えている。
【0153】資産査定システム61は、前記作業者から
当該債務者の概況について当該債務者の動向情報の入力
があった場合には、当該入力データの主要動向区分に応
じて前記取引先要項システムへ自動登録する主要動向自
動登録機能74を備えるようにしても良い。また、取引
先要項システム60が、主要動向区分の内予め定められ
た主要動向区分となるコメントデータの記入があった場
合には、資産査定システムの状況速報での起票を制御す
る主要動向起票機能64を備えるようにしても良い。機
能64と74はどちらか一方としても良いし、両方を備
えるようにしても良い。
【0154】融資の稟議等では、取引先要項の内容を確
認するため、取引先要項システムは日常的に使用するシ
ステムとなる。そして、この取引先の動向について、リ
スク管理に関する主要動向を定めておくと、資産査定シ
ステムで状況速報として起票すべき業況変化を営業店の
作業者が認識しやすくなる。また、状況速報とすべき業
況変化を作業者が完全に記憶していなくても、主要動向
起票機能64が、取引先要項システムへの主要動向区分
を付随するコメントの入力があったときに、資産査定シ
ステムでの状況速報により資産査定作業の起票を自動的
に制御するため、もれの防止及び動向の早期把握の観点
から好ましい業務プロセスを確立することができる。
【0155】また、従来は、信用格付で帳票にコメント
を手書きし、融資稟議で同様のコメントを手書きし、さ
らに自己査定で同一のコメントを再度手書きする等、作
業間で重複が多く、事務合理化が望まれていた。本実施
形態では、主要動向自動登録機能74が、作業者から当
該債務者の概況について当該債務者の動向情報の入力が
あった場合には、当該入力データの主要動向区分に応じ
て取引先要項システムへ自動登録するため、事務処理負
担の軽減を図ることができ、また、資産査定支援システ
ムと取引先要項システムでのデータの矛盾の発生を防止
することができる。
【0156】図16に示すリスク管理に関連する主要動
向区分の内容と本実施形態での業務プロセスの関連を説
明する。基礎データを月次とする場合、3ヶ月超の延滞
の発生を最初に知るのは営業店の担当者であることが多
い。延滞が3ヶ月を越えると、債務者区分の変更に影響
を与えるため、基礎データの登録及び期末関連日での自
動抽出を待たずに、状況速報により信用格付の変更及び
債務者区分等の変更を行う。融通手形の授受が明らかに
なった場合、融通手形は問題債権であるため、分類額は
変更され、また、債務者区分も再検討されることとな
る。債務者の財務状況と、算出する分類額によっては、
債務者の利益による償還能力に問題があると認められる
こともある。このような正常債権から問題債権への転換
は早期に把握すべきであるため、融通手形を主要動向区
分とし、早期の状況速報を促す。融資条件の緩和等は、
リスク管理債権の増加につながるため、やはり、状況速
報を促す。
【0157】その他、法的手続申立や競売の申立等は、
運用としては営業店から審査、監査への電話連絡等によ
る緊急の対応を要するものであるため、取引先要項への
登録等は事後的になることもある。この場合であって
も、再度の資産査定を早期に且つ随時に実施する。この
ように、主要動向区分による取引先要項での取引先の動
向の記録と、資産査定システムでの状況速報とを関連さ
せることで、営業店での作業に資産査定作業を通常の業
務の一部として位置付けることができ、随時査定及び期
末時点正確性をもたらす運用をより行いやすくなる。
【0158】次に、主要動向区分と重複制御の関係を説
明する。基礎データが月次である場合、状況速報と時間
的なズレが生じることがあり、一貫した資産査定作業の
起票制御が困難になる。しかし、資産査定作業の重複の
発見をシステムが自動的に行い、その調整を作業者に委
ねる仕組みとすることで、随時査定と期末時点正確性の
両立に向けて、主要動向区分を利用しつつ、もれの発生
よりは重複後の調整というより安全な運用を行うことが
できる。そして、主要動向区分を用いることで、資産査
定作業の起動条件を明確化することができ、すると、作
業者は、重複した資産査定作業について、起票日によら
ず、より新しい状態で起票された資産査定作業を特定す
ることができる。
【0159】本実施形態による資産査定システムは、基
礎データ取込部12と、抽出基準データ制御部44と、
随時査定支援部26と、随時起票制御部14とを備えて
いる。この例では、資産査定システムは、期末関連日処
理部の構成として、資産査定作業主体の財務諸表等の作
成の基準日に応じた仮基準日に、債務者毎に、当該仮基
準日での新たな基礎データに応じた抽出基準データと直
近の抽出基準データとを比較すると共に、当該債務者毎
の比較結果に基づいて当該債務者の査定の起票を制御す
る仮基準日処理部82を備えている。
【0160】資産査定システム61はさらに、資産査定
作業の決裁後前記財務諸表等の作成の基準日までに、当
該債務者の信用リスクの変化への影響に応じて予め定め
られた主要動向区分のリスク管理項目に区分される債務
者の動向があった場合に、当該主要動向区分のリスク管
理項目による状況速報として、資産査定作業を起票する
状況速報起票制御部72を備えている。この例では、状
況速報すべき事項を予め主要動向区分に定義するため、
業務プロセスの運用を厳格且つ明確にしやすい。
【0161】そして、資産査定システム61は、随時起
票制御部14、状況速報起票制御部72及び仮基準日処
理部82による同一の債務者についての同時期の2以上
の起票を許容すると共に、当該同一債務者について資産
査定作業が重複している旨を作業者に通知する重複制御
部34とを備えている。重複制御部34は、重複の表示
に際して、状況速報である場合にはその主要動向区分を
作業者に通知するようにしても良い。「通知」は、作業
者の端末1への表示を含む。
【0162】次に、ワークフロー制御について説明す
る。図17は、本実施形態によるワークフローの一例を
示す説明図である。各種の起票(S61からS67)が
なされると、まず、資産査定作業の債務者を担当する主
取引店となる営業店の作業振り分け者に起票された資産
査定作業の一覧を通知し、営業店内の担当者への振り分
けを促す。営業店担当者は、決算検討、信用格付、自己
査定、債務者の概況登録、融資方針記入等の資産査定作
業を行い、査定結果を統括者に送信する(S69)。営
業店内では、統括者及び支店長が確認し(S70,S7
1)、支店長決裁のあった資産査定結果は本部の振り分
け担当者に送信される。「送信する」というのは、実際
には、次の作業者にアクセス権を設定する作業等であ
る。審査部等で再査定を実行し(S73からS75)、
続いて、監査を行う。監査では、任意の条件での抽出
や、順序に従った抽出を行っても良い。監査の一審から
監査役員までの作業を債務者の状況等の必要性に応じて
行い、最終的な決裁を行う。
【0163】本実施形態では、営業店、審査及び監査等
の査定部門間及び部門内作業者間等をノードとする資産
査定作業の決裁経路が図17に示すように定められてい
る場合に、随時査定支援部26による前記ノード毎の査
定結果のワークフローを制御するワークフロー制御部8
4を備えている。そして、重複制御部84が、営業店の
ノード内で自己査定作業が重複している場合には一方の
取消を起票する取消起票を促す重複時取消起票機能78
と、営業店のノードと他の査定部門のノードとで自己査
定作業が重複している場合には当該重複した自己査定作
業について前記他の査定部門へ差し戻しを促す重複時差
し戻し制御機能80とを備えている。
【0164】図18は、本実施形態による処理対象選定
を行うユーザーインタフェースの一例を示す説明図であ
る。図18は、営業店担当者のメイン画面であり、資産
査定作業の一覧が表示されている。ここでは、A産業株
式会社について、決算登録による起票と、状況速報によ
る起票とが行われ、重複している。この場合、重複時取
消起票機能78は、営業店のノード内で自己査定作業が
重複している場合には一方の取消を起票する取消起票を
促す。取消起票を行う場合、取り消す対象の選択ボック
スをチェックして、取消起票ボタンをクリックする。す
ると、ワークフロー制御部84は、この取消起票を統括
者に送信する。統括者は、自らの権限で取消を行う。
【0165】同一の担当者内で重複している場合には、
図18に示すように画面上にて作業者がすぐに確認する
ことができるが、図17に示す承認経路があり、第1の
資産査定作業が再査定へ、同一債務者についての第2の
資産査定作業が営業店担当にあるとする。第2の資産査
定作業が新しいものであると、第1の資産査定作業が無
駄となる。重複時差し戻し制御機能80は、営業店のノ
ードと他の査定部門のノードとで自己査定作業が重複し
ている場合には当該重複した自己査定作業について他の
査定部門へ差し戻しを促す。すなわち、第1の資産査定
作業の作業者のメイン画面にて、重複による不可を表示
し、営業店への差し戻しを促す。差し戻された営業店で
は、担当者が同一の場合、その作業者は、どちらの資産
査定作業を取り消すか判断し、重複時取消起票機能78
による取消起票を行う。営業店の複数の担当者間で重複
している場合には、図18に示す店一覧ボタン等を用い
て営業店での一覧を表示し、担当者間等の判断に応じ
て、取消起票を行う。
【0166】図19は、第3実施形態による重複制御の
一例を示すフローチャートである。図19に示す例で
は、まず、債務者を特定した資産査定作業の起票を予め
定められた条件に従った随時のタイミングで自動的に起
票する(ステップS91,自動起票工程)この自動起票
工程S91に前後して、前記債務者の動向に応じた作業
者の起票操作があった場合に、当該作業者の任意による
資産査定作業を起票する(ステップS92,任意起票工
程)。続いて、営業店、審査及び監査等の査定部門及び
部門内毎の作業者がログインした場合に(ステップS9
3)、当該作業者の当該資産査定作業の一覧を表示制御
すると共に(ステップS96,S97,S98)、当該
作業者による資産査定作業を支援する(ステップS10
0,随時査定支援工程)。
【0167】図19に示す例では、営業店のノード内で
自己査定作業が重複している場合には(ステップS9
5)、一方の取消を起票する取消起票を促す(ステップ
S97,重複時取消起票)。一方、営業店のノードと他
の査定部門のノードとで自己査定作業が重複している場
合には前記当該重複した自己査定作業について前記他の
査定部門へ差し戻しを促す(ステップS98,重複時差
し戻し制御工程)。重複しているか否かの判断は、全店
全層CIF番号を用いる場合、異なる資産査定作業の作
業通番でCIF番号が重複しているか否かで判断でき
る。
【0168】各部門の資産査定作業が完了すると、営業
店、審査及び監査等の査定部門間及び部門内作業者間等
をノードとする資産査定作業の決裁経路が定められてい
る場合に、前記随時査定支援工程による前記ノード毎の
査定結果のワークフローを制御する(ステップS10
2,ワークフロー制御工程)。ワークフローの制御で
は、ステップS93に処理が戻るか、又は、決裁された
資産査定データの登録を行う。
【0169】図19に示す各処理や、図14に示す構成
は、対応する資産査定用プログラムをサーバーで実行す
ることで実現できる。図19に対応する資産査定用プロ
グラムでは、下記の指令を備える。債務者を特定した資
産査定作業の起票を予め定められた条件に従った随時の
タイミングで自動的に起票させる自動起票指令。債務者
の動向に応じた作業者の起票操作があった場合に、当該
作業者の任意による資産査定作業を起票させる任意起票
指令。営業店、審査及び監査等の査定部門及び部門内毎
の作業者がログインした場合に、当該作業者の当該資産
査定作業の一覧を表示制御させると共に、当該作業者に
よる資産査定作業を支援させる随時査定支援指令。前記
営業店、審査及び監査等の査定部門間及び部門内作業者
間等をノードとする資産査定作業の決裁経路が定められ
ている場合に、随時査定支援指令に応じたノード毎の査
定結果のワークフローを制御させるワークフロー制御指
令。
【0170】そして、随時査定支援指令は、営業店のノ
ード内で自己査定作業が重複している場合には、一方の
取消を起票する取消起票を促す制御をさせる重複時取消
起票指令と、営業店のノードと他の査定部門のノードと
で自己査定作業が重複している場合には、前記当該重複
した自己査定作業について他の査定部門へ差し戻しを促
す制御をさせる重複時差し戻し制御指令とを備える。
【0171】図18に示す例では、資産査定作業毎に部
店期限が表示されている。本実施形態では、資産査定支
援システムが、この資産査定部門及び担当者毎の期限の
設定や期限に近づいた場合や、期限超過の場合に種々の
処理を行う。この場合、図14に示す例では、随時起票
制御部14によって資産査定作業が起票された場合に、
当該資産査定作業の期限管理を査定部門及び部門内作業
者間毎に制御する期限管理制御部85を備える。期限管
理制御部85が、自動的に資産査定の期限を管理し、各
部門の作業者へ迅速な資産査定作業を促す。この点、従
来は銀行決算の期末へ向けた処理であったものが、本実
施形態等では随時査定処理による即時性が要求される。
この点、即時性の実効性を維持するためにシステムによ
る一律な期限管理を行う。
【00172】図20は、本実施形態による起票条件別
及び査定部門等別の期限管理の一例を示す説明図であ
る。この例では、期限管理制御部85が、状況速報等の
手動起票と、公表財務登録時の起票若しくは期末関連処
理部の制御に応じた期末関連日での起票等の自動起票等
との当該資産査定作業の起票条件に応じて、当該起票条
件毎の資産査定作業の期限を設定する起票条件別期限設
定機能85Aを備える。起票条件は、図17及び図20
等に示す資産査定作業の起票の態様である。サービサー
や海外店からの情報による資産査定作業は、決算検討又
は状況速報に応じて処理する。起算日での「起票後」と
いうのは、システムによる起票日か、又は、営業店等で
振り分けのためにアクセスされた日か、担当者のメイン
画面に表示した日等とする。再査定部門は、例えば審査
部等の所管部である。営業店での作業が完了すると、そ
の日が営業店の作業完了日であり、この営業店の作業完
了日が再査定部門のデータ受取日となる。このように、
期限管理制御部85は、ノード間で資産査定作業を受け
渡す毎に各ノードの期限を算出する。
【0173】本実施形態では、起票と基礎データの基準
日との関係については、起票時に、基礎データの基準日
を固定し、期限を設定する。営業店担当者の資産査定作
業が月をまたいで行われる場合等には、随時査定支援部
26が、直近の月末のデータの取込や、オンラインデー
タの即時取込等の機能を提供するようにしても良い。期
限を超過し、基礎データの基準日から数ヶ月経過した資
産査定作業が再査定部門に到着することは運用上ない
が、システム的には、期限経過による差し戻しとする。
差し戻された営業店担当者は、取消と再起票により資産
査定作業の基礎データの基準日を最新のものに変更す
る。
【0174】また、期限管理制御部85は、期限経過の
資産査定作業がある場合には、営業店担当者や、再査定
部門や、監査部門のメイン画面にて、期間経過の資産査
定作業の合計数を表示する期間経過件数表示制御機能8
5Bを備えると良い。本実施形態では、期限管理制御部
85が、起票条件毎に資産査定作業の期限を自動的に算
出するため、システムによる自動的な起票と、手動によ
る状況速報との起票との調和について、実際の作業の期
限という作業者にとって判りやすい表示を行うことがで
きる。すなわち、種々の前提及び条件で起票される資産
査定作業について、システム的に自動的に期限を設定
し、作業者に表示することで、作業者の作業全体での順
序等を示唆し、これにより、業務プロセス全体での均質
な作業時間を平均的に維持し、管理することができる。
従って、作業者は、各種の起票条件の詳細を知ることな
く、予め定められた業務プロセスでの日程に則った資産
査定作業を行うことができる。
【0175】再度図9,図10及び図12を参照する
と、第2実施形態では、作業者による判断が必要な事項
や、コメントに入力欄等は、査定部門別としている。例
えば、図9の抽出符号のオンオフでは、前回、自動、営
業店、再査定及び監査がそれぞれ抽出符号をオンオフで
きることとしている。そして、第3実施形態では、第2
実施形態と同様に、図17等に示すワークフロー制御と
の関係で、部門別の査定結果を保持することとしてい
る。この例では、資産査定支援システムは、営業店、審
査及び監査等の査定部門毎の資産査定作業の結果を当該
部門毎に格納すると共に、各部門別の査定結果を表とし
て監査等の作業者に表示する部門別査定支援部76を備
えている。
【0176】部門別の査定結果を表として取り扱うこと
で、各部門別の判断が明確となり、監査や外部検査等で
思考の追認を行いやすい。また、部門間の牽制を可能と
する業務プロセスの確立という点からも、部門別の査定
結果を保持することが好ましい。システム的には、資産
査定作業を識別するキーとなる作業通番と、査定部門を
示す部門コードとをキーとして、抽出符号の値やコメン
ト等を格納することとなる。部門別査定支援部76は、
より好ましくは、随時査定支援部26による制御に応じ
て、基礎データ、営業店、審査等所管部及び監査等の査
定部門毎の資産査定作業の結果と、資産査定作業が営業
店に差し戻される場合には差し戻しの対象となった営業
店の当初査定結果とを格納する。営業店の当初の査定結
果を、営業店初期値という。営業店初期値の精度を向上
させることで、資産査定の業務プロセス全体での負荷が
軽減される。
【0177】また、各部門別の自己査定作業の決裁又は
期末へ向けた査定データの変化を作業者又は査定部門若
しくは債務者の信用格付や業種等の種別毎に統計処理す
る査定プロセス統計処理部86を備えると良い。決裁へ
向けた査定データの変化は、査定部門間で抽出符号のオ
ンオフ等で変更や、差し戻しの有無等である。例えば、
資産査定作業の検査を、差し戻しの多い営業店名や、担
当者名や、差し戻したことの少ない本部部門等の統計的
なプロセス・チェックとすることができる。期末へ向け
た査定データの変化は、主に、仮基準日処理部や、期末
関連日処理部での自動抽出の有無である。状況速報とす
べき動向変化についてのもれの件数や、先基準日データ
の整合率等である。査定プロセス統計処理部86は、営
業店初期値を格納する例では、営業店の担当者の査定デ
ータと、最終的に監査等の後に決裁された査定データと
を比較する。これにより、営業店の担当者に研修すべき
内容等を効率的に抽出することができる。これらの営業
店初期値を統計処理した結果に基づく研修を実施するこ
とで、従来査定結果の精度を均質にするために営業店及
び本部で費やした労力を大幅に減少することができる。
また、精度の均質化を比較的容易に実行できるため、種
々の考え方に応じたより高い精度や短い期間での資産査
定を行うことができるようになる。この営業店初期値を
格納する例では、営業店の担当者に、資産査定作業の整
合性や差し戻し率及びその内容に関して、事後的に統計
的な処理がなされる、という牽制が与えられることとな
る。例えば、自ら策定した詳細なマニュアルによる厳格
さに至らない資産査定作業の多い担当者(信用格付が低
く修正される)や、差し戻し理由及び内容が他の担当者
から大きく乖離(分散値の大きい)している担当者等の
抽出も可能となる。また、査定プロセス統計処理部86
の分析対象に、期限管理制御部によって自動設定された
期限の作業者や部店毎の遵守率を加えるようにしても良
い。この場合、精度維持と期限遵守のバランスを例えば
クロス集計等での分布として銀行全体や営業店単位等で
管理することができる。
【0178】このように、各実施形態に開示した手法に
より、例えば、抽出符号を用いて先基準日データの登録
を行い、期末関連日に自動抽出の有無を判定することで
早期把握と期末時点正確性を確保しつつ、査定プロセス
統計処理により、その資産査定業務がどのように実施さ
れているかを検証することができる。また、部門別査定
支援と、査定プロセス統計処理により、営業店でのスキ
ルの向上の程度や、部門別の確認作業の実効性の検証等
を行うことができる。すると、資産査定作業の監査及び
検査を、個別の抽出と、全体的な統計的分析とで厳格に
隅々まで管理することができる。営業店初期値を格納す
る例では、差し戻しの多い営業店担当者や営業店と、基
礎データからの抽出符号等の変更の比率等を分析するこ
とで、営業店や営業店担当者に沿った研修内容を定める
ことができる。例えば、差し戻しの多い営業店担当者
は、基礎データから抽出符号等を変更せずに差し戻しと
なるグループと、基礎データから抽出符号等を変更して
差し戻しとなるグループとに分かれる。この両者に対す
る研修や業務プロセス改善の企画は自ずと異なるものと
なる。また、営業店初期値から、最終的に監査等により
変更された抽出符号の種類の頻度(ヒストグラム)を算
出することで、営業店初期値で誤りやすい抽出符号を特
定することができる。これらを特定することで、ピンポ
イントでの研修の実施や、又は、抽出基準をより細かく
区分けする等のより精緻で詳細な自主的なマニュアル作
りに反映させることができる。また、この差し戻しによ
る修正の多い抽出符号等の頻度を、システムによる自動
化の対象の選定のための基礎資料としてもよい。
【0179】このように、資産査定の作業者には、部門
による牽制と、先基準日による牽制と、査定作業プロセ
スの統計処理による牽制が与えられることとなる。一
方、取引先要項との連携や、年間を通じた平準化によ
り、作業者の事務的な処理負担は大幅に減少する。この
ように、資産査定業務の運用レベルが向上すると、先基
準日データの整合率が向上し、最終的には仮基準日処理
や期末での自動抽出の数を最小限とすることができる。
すると、例えば月次でのリスク管理債権の債権額の算出
や、四半期決算での正確な資産査定や、信用格付や債務
者区分の推移を月単位での把握等を図ることができる。
信用格付等の月単位での推移を把握できると、倒産確率
等の算出を、年単位のみならず、半期や、四半期単位で
算出することができ、経済情勢の推移をより早期に把握
することが可能となる。これらにより、銀行経営の健全
性堅持に役立つ有用な融資支援システム及び資産査定シ
ステムを提供する。
【0180】
【発明の効果】本発明は、その構成によって、随時起票
制御部が、期末や仮基準日等の期末関連日以外にも、自
動的に、または、債務者の動向に関する知識を得た作業
者による任意で、資産査定作業を起票し、随時査定支援
部が、基礎データと、入力データと、導出データとを含
む随時の査定データの作成を、年間を通じた随時のタイ
ミングで支援するため、債務者の決算発表や、予め定め
られた見直し時期や、リスク管理に関する動向変化を認
めた時期に、自己査定データを債務者毎に最新のものへ
更新することができる。従って、従来仮基準日及び期末
に集中していた自己査定作業を、年間を通じて平準化す
ることができ、これにより、作業者の事務処理負担を軽
減することができる。また、自動的又は手動による随時
の起票により、随時の資産査定を行うため、債務者の動
向変化を早期に把握することができる。すなわち、本発
明による資産査定システムを用いると、正常債権から問
題債権への転化を早期に把握することができる。本発明
ではさらに、期末関連日処理部が、資産査定主体の期末
関連日に、基礎データを新たに取り込むと共に、当該基
礎データと直近の査定データとに基づいて、債務者毎に
資産査定作業の起票又は直近の査定データの一部更新を
制御する。従って、資産査定主体の全資産の査定を、当
該資産査定主体の決算期の期末を基準日とした正確さを
確保することができる。さらに、期末関連日での基礎デ
ータと、直近の査定データとに基づいて、債務者の資産
査定の再起票の有無を制御するため、基礎データに基づ
いて信用リスクの変化が認められる債務者については、
自動的に再起票を制御するため、決算に向けて作業者に
よる確認を求めることができ、且つ、直近の査定データ
を使用するため、当該期末関連日での資産査定作業の作
業時間を従来と比較して大幅に削減しつつ、当該期末関
連日での資産査定の正確性を向上させることができる。
このように、本発明では、随時起票制御部と、期末関連
日処理部の組み合わせにより、債務者の動向の早期把握
と、決算の期末時点での資産査定の正確性の向上とを両
立させ、且つ、随時査定制御部による年間を通じた随時
のタイミングでの資産査定により、事務処理負担を平準
化することができる。しかも、本発明では、期末関連日
処理部が、基礎データと直近の査定データとに基づいて
再起票を制御するため、期末での最新データに基づいて
資産査定作業のもれを防止し、資産査定対象の全債務者
について同一時期の基礎データに基づいた均質な資産査
定を行うことができる。さらに、期末関連日として仮基
準日を設定して作業する場合でも、期末時点での正確性
を保ちつつ、債務者に状況変化がない場合には作業者に
よる仮基準日での資産査定作業を省略し、自動化するこ
とができるため、事務処理負担を増加させずに、仮基準
日を期末へ近づけることができる。すなわち、随時資産
査定が、即時での資産査定であると共に、次回の期末関
連日(先基準日)まで債務者の動向に変化がない場合に
は当該期末関連日にて有効な資産査定となる。このた
め、決裁された査定データは、随時の査定結果データで
あると共に、債務者に特定の状況変化がある場合には更
新される一方、特定の状況変化がない場合にはそのまま
期末関連日に利用される先基準日データである。本発明
では、随時査定作業時に、即時性と先基準日性という二
面性のある査定データを作成することで、精度の維持及
び向上を図りつつ、事務合理化を実現することができ
る。従って、本発明によると、債務者の動向の早期把握
と、期末時点での正確性の維持及び向上と、事務処理負
担の低減と一体的に実現することで、資産査定の精度の
向上と事務合理化とを両立することができる資産査定支
援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明による第1実施形態の構成例を示
すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示した構成等で使用するデータ
の例を示す説明図である。
【図3】図3は、図1等に示した構成での資産査定支援
システムを使用した年間業務フローの一例を示す説明図
である。
【図4】図4は、図3に示す年間業務プロセスによる処
理対象数の推移を示す説明図である。
【図5】図5は、本実施形態による年間業務プロセスに
応じた自己査定支援方法の構成例を示すフローチャート
である。
【図6】図6は、第2実施形態による査定支援システム
の構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、第2実施形態で使用する抽出基準デー
タの例を示す説明図である。
【図8】図8は、第2実施形態での資産査定作業の一例
を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第2実施形態での債務者抽出基準デー
タを使用したユーザーインタフェースの一例を示す説明
図である。
【図10】図10は、第2実施形態での債権抽出基準デ
ータを使用したユーザーインタフェースの一例を示す説
明図である。
【図11】図11は、第2実施形態での期末関連日処理
の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本実施形態での分類算式を特定す
るためのユーザーインタフェースの例を示す説明図であ
る。
【図13】図13は、本実施形態での期末処理の一例を
示すフローチャートである。
【図14】図14は、本実施形態での融資支援システム
の構成例を示すブロック図である。
【図15】図15は、取引先要項システムのユーザーイ
ンタフェースの一例を示す説明図である。
【図16】図16は、主要動向区分の一例を示す説明図
である。
【図17】図17は、本実施形態によるワークフローの
一例を示す説明図である。
【図18】図18は、本実施形態による処理対象選定を
行うユーザーインタフェースの一例を示す説明図であ
る。
【図19】図19は、第3実施形態による重複制御の一
例を示すフローチャートである。
【図20】図20は、第3実施形態による起票条件別の
期限管理の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 端末 2 ネットワーク 10 サーバー 12 基礎データ取込部 14 随時起票制御部 26 随時査定支援部 32 期末関連日処理部 34 重複制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋代 章平 長野市大字中御所字岡田178番地8株式会 社八十二銀行内

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 信用リスクに応じた債務者の区分及び債
    権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる
    基礎データを取り込む基礎データ取込部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記基礎データ
    と、前記作業者の知識に応じて入力される入力データ
    と、前記基礎データ及び前記入力データから導出する導
    出データとを含む当該起票に応じた起票関連日での随時
    の査定データの作成を支援する随時査定支援部と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた期末
    関連日に前記基礎データを新たに取り込むと共に当該基
    礎データと前記直近の査定データとに基づいて前記債務
    者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直近の査定デー
    タの一部更新を制御する期末関連日処理部とを備えたこ
    とを特徴とする資産査定支援システム。
  2. 【請求項2】 前記随時査定支援部が、予め定められた
    業況変化が前記随時の査定時から次回の前記期末関連日
    までに当該債務者に生じない場合に当該期末に使用する
    先基準日データを、前記随時の資産査定作業時に登録す
    る先基準日データ登録機能を備えたことを特徴とする請
    求項1記載の資産査定支援システム。
  3. 【請求項3】 前記随時起票制御部が、前記予め定めら
    れた業況変化があった債務者の一部又は全部について前
    記作業者に随時の起票を促す状況速報起票機能と、前記
    期末関連日にて直近の査定データと前記期末関連日での
    基礎データとの比較結果に応じて前記予め定められた業
    況変化のあった債務者について自動的に起票する期末関
    連日自動起票機能とを備えたことを特徴とする請求項2
    記載の資産査定支援システム。
  4. 【請求項4】 前記随時起票制御部は、前記基礎データ
    取込部によって前記債務者の財務諸表等が新たに取り込
    まれた時に当該財務諸表等を前記基礎データとして前記
    資産査定作業を起票する財務登録時自動起票機能と、 前記財務諸表等の登録のない債務者等の未査定先を前記
    期末関連日に向けて抽出する未査定先自動起票機能とを
    備えたことを特徴とする請求項3記載の資産査定支援シ
    ステム。
  5. 【請求項5】 前記随時起票制御部は、直近の査定時又
    は融資実行時等に予め登録された債務者を、前記期末関
    連日又は前記基準日へ向けて抽出する事前登録先自動起
    票機能を備えたことを特徴とする請求項4記載の資産査
    定支援システム。
  6. 【請求項6】 前記随時起票制御部によって自動的に又
    は作業者の指示に応じて起票された資産査定作業が同一
    の債務者について重複する場合には、当該同一債務者に
    ついての当該2以上の起票を許可すると共に、当該資産
    査定作業が同一債務者について重複している旨を前記作
    業者に通知する重複制御部を備えたことを特徴とする請
    求項1、3又は4記載の資産査定支援システム。
  7. 【請求項7】 作業者用の端末と、この端末とネットワ
    ークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定支
    援システムを使用して前記作業者による資産査定作業を
    支援する資産査定支援方法であって、 債務者の財務諸表等の登録時に前記端末による資産査定
    作業を起票する債務者財務諸表登録時起票工程と、 この債務者財務諸表登録時起票工程に前後して、前記債
    務者に予め定められた業況変化があった場合に前記作業
    者に前記資産査定作業の起票を促す状況速報起票工程
    と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記債務者及び
    当該債務者の債権に関する基礎データを取り込むと共に
    当該基礎データ及び前記端末に前記作業者から入力され
    る入力データに基づいて前記債務者及び債権に関する査
    定データを導出する査定データ導出工程と、 前記資産査定作業の作業時に、入力され又は導出した査
    定データを前記起票日に近い当該査定データの決裁日以
    降に有効な査定データとして登録すると共に、当該決裁
    日以降で資産査定主体の財務諸表の作成の基準日となる
    期末に関連した期末関連日に使用する先基準日データと
    して登録する査定データ登録工程と、 前記期末関連日に基礎データを取り込んで前記先基準日
    データと比較すると共に当該比較結果が予め定められた
    起票条件と一致するか否かを判定する期末関連日比較工
    程と、 前記比較結果が起票条件と一致しない場合には前記先基
    準日データを当該期末関連日の査定データとして登録
    し、前記比較結果が前記起票条件と一致する場合には当
    該債務者の資産査定作業を起票する期末関連日処理工程
    とを備えたことを特徴とする資産査定支援方法。
  8. 【請求項8】 作業者用の端末と、この端末とネットワ
    ークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定支
    援システムを使用して前記作業者による資産査定作業を
    支援するための資産査定支援用プログラムであって、 当該プログラムは前記サーバーを動作させる指令とし
    て、 債務者の財務諸表等の登録時に前記端末による資産査定
    作業を起票させる債務者財務諸表登録時起票指令と、 前記債務者に予め定められた業況変化があった場合に前
    記資産査定作業の起票を前記作業者に促す表示をさせる
    状況速報起票指令と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記債務者及び
    当該債務者の債権に関する基礎データを取り込ませると
    共に当該基礎データ及び前記端末に前記作業者から入力
    される入力データに基づいて前記債務者及び債権に関す
    る査定データを導出させる査定データ導出指令と、 前記資産査定作業の作業時に、入力され又は導出された
    査定データを前記起票日に近い当該査定データの決裁日
    以降に有効な査定データとして登録すると共に、当該決
    裁日以降で資産査定主体の財務諸表の作成の基準日とな
    る期末に関連した期末関連日に使用する先基準日データ
    として登録する査定データ登録工程と、 前記期末関連日に基礎データを取り込んで前記先基準日
    データと比較させると共に当該比較結果が予め定められ
    た起票条件と一致するか否かを判定させる期末関連日比
    較指令と、 前記比較結果が起票条件と一致しない場合には、前記先
    基準日データを当該期末関連日の査定データとして登録
    させ、前記比較結果が前記起票条件と一致する場合には
    当該債務者の資産査定作業を起票させる期末関連日処理
    指令とを備えたことを特徴とする資産査定支援用プログ
    ラム。
  9. 【請求項9】 信用リスクに応じた債務者区分及び債権
    の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる基
    礎データを取り込む基礎データ取込部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記基礎データに基づいて債務者の区分又は債権の分類
    に影響する事実又は指定の有無を示す抽出基準データの
    値を設定する抽出基準データ制御部と、 前記資産査定作業が起票されたときに、抽出基準データ
    制御部で設定される抽出基準データを表示すると共に当
    該作業者の知識による抽出基準データの値の確認及び変
    更を促す随時査定支援部と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた期末
    関連日に、債務者毎に、当該期末関連日での新たな基礎
    データに応じた抽出基準データの値と直近の抽出基準デ
    ータの値とを比較すると共に、当該比較結果に基づいて
    当該債務者の査定の起票を制御する期末関連日処理部と
    を備えたことを特徴とする資産査定支援システム。
  10. 【請求項10】 前記期末関連日処理部が、当該期末関
    連日の基礎データに応じた抽出基準データの値が直近の
    査定データでの抽出基準データの値と異なる場合に、当
    該抽出基準データの値が変化した債務者についての資産
    査定作業を起票する変化時起票制御機能を備えたことを
    特徴とする請求項9記載の資産査定支援システム。
  11. 【請求項11】 前記期末関連日処理部は、前記直近の
    資産査定作業にて前記自動抽出基準データの値が前記作
    業者によって変更され決裁された場合には、この変更決
    裁された抽出基準データの値と期末関連日の基準データ
    に応じて自動設定された値とを比較する決裁値比較機能
    を備えたことを特徴とする請求項10記載の資産査定支
    援システム。
  12. 【請求項12】 前記期末関連日処理部は、前記基礎デ
    ータから自動的な抽出のできない手動の抽出基準データ
    について、前記直近の決裁された査定データ内で正常値
    以外の値が選択された査定データがある場合には、当該
    債務者についての資産査定作業を自動的に起票する事前
    設定時起票制御機能を備えたことを特徴とする請求項9
    又は11記載の資産査定支援システム。
  13. 【請求項13】 作業者用の端末と、この端末とネット
    ワークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定
    支援システムを使用して前記作業者による資産査定作業
    を支援する資産査定支援方法であって、 債務者を特定した資産査定作業の起票を自動又は作業者
    の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制御する随
    時起票制御工程と、 信用リスクに応じた債務者区分及び債権の分類等の自己
    査定作業を含む前記資産査定の基礎となる基礎データを
    取り込む基礎データ取込工程と、 前記資産査定作業が起票されたときに、基礎データに基
    づいて債務者の区分又は債権の分類に影響する事実又は
    指定の有無を示す抽出基準データを表示すると共に、当
    該作業者の知識による抽出基準データの値の確認及び変
    更を促し、作業されたデータを査定データとして格納す
    る随時査定支援工程と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた期末
    関連日に、債務者毎に、当該期末関連日での新たな基礎
    データに応じた抽出基準データの値と、直近の査定デー
    タのうち決裁された抽出基準データの値とを比較すると
    共に、当該比較結果に基づいて当該債務者の査定の起票
    を制御する期末関連日処理工程とを備えたことを特徴と
    する資産査定支援方法。
  14. 【請求項14】 記期末関連日処理工程が、前記基礎デ
    ータから自動的な抽出のできない手動の抽出基準データ
    について、前記直近の決裁された査定データ内で正常値
    以外の値が選択された査定データがある場合には、当該
    債務者についての資産査定作業を自動的に起票する事前
    設定時起票制御工程を備えたことを特徴とする請求項1
    3記載の資産査定支援方法。
  15. 【請求項15】 信用リスクに応じた債務者区分及び債
    権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる
    基礎データを取り込む基礎データ取込部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記基礎データ
    と、前記作業者の知識に応じて入力される入力データと
    に基づいて、当該債務者及び債権の信用リスクの判定及
    び当該債権の分類額の算定作業を支援する債権分類支援
    部と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日となる期末
    に、当該期末での新たな基礎データによる債権の種類及
    び額と、直近の前記債務者及び債権の信用リスクの判定
    結果とに基づいて当該期末を基準日とする分類額を引き
    直す期末処理部とを備えたことを特徴とする資産査定支
    援システム。
  16. 【請求項16】 前記債権分類支援部が、前記分類額の
    算定作業用の債務者及び債権の信用リスクの判定とし
    て、当該債務者の債務償還能力を当該債務者の財務状況
    及び債務履行状況等に応じて当該分類額の算出に使用す
    る分類算式の組み合わせを特定する分類算式パターン特
    定機能を備え、 前記期末処理部が、直近の分類額算定作業で使用された
    分類算式パターンでの分類算式を使用して当該期末引き
    直しを制御する直近分類算式パターン使用機能を備えた
    ことを特徴とする請求項15記載の資産査定支援システ
    ム。
  17. 【請求項17】 作業者用の端末と、この端末とネット
    ワークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定
    支援システムを使用して前記作業者による資産査定作業
    を支援する資産査定支援方法であって、 債務者を特定した資産査定作業の起票を自動又は作業者
    の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制御する随
    時起票制御工程と、 信用リスクに応じた債務者区分及び債権の分類等の自己
    査定作業を含む前記資産査定の基礎となる基礎データを
    取り込む基礎データ取込工程と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記基礎データ
    と、前記作業者の知識に応じて入力される入力データと
    に基づいて、債務者の債務償還能力を当該債務者の財務
    状況及び債務履行状況等に応じて当該分類額の算出に使
    用する分類算式の組み合わせを特定すると共に、当該債
    権の分類額の算定作業を支援する債権分類支援工程と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日となる期末
    に、当該期末での新たな基礎データによる債権の種類及
    び額と、直近の分類額算定作業で使用された分類算式パ
    ターンでの分類算式とに基づいて、当該期末を基準日と
    する分類額を引き直す期末処理工程とを備えたことを特
    徴とする資産査定支援方法。
  18. 【請求項18】 債務者の基礎情報及び時系列の動向を
    随時に管理する取引先要項システムと、前記債務者の区
    分及び債権の分類等の自己査定作業を含む資産査定を支
    援する資産査定支援システムとを備え、 前記取引先要項システムが、前記債務者の時系列の動向
    を表す文章によるコメントデータを予め定められた主要
    動向区分毎に種類分けする主要動向区分制御部を備え、 前記資産査定支援システムが、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記資産査定作業が起票された場合に、基礎データと、
    前記作業者の知識に応じて入力される入力データと、前
    記基礎データ及び前記入力データから導出する導出デー
    タとを含む当該起票に応じた起票関連日での随時の査定
    データの作成を支援する随時査定支援部と、 財務諸表等の作成の基準日に応じた期末関連日に前記基
    礎データを新たに取り込むと共に当該基礎データと前記
    直近の査定データとに基づいて前記債務者毎に前記資産
    査定作業の起票又は前記直近の査定データの一部更新を
    制御する期末関連日処理部とを備え、 前記随時起票制御部が、前記主要動向区分のうち当該債
    務者の信用リスクの変化に影響するリスク管理項目につ
    いて前記取引先要項システムへの登録に前後して、当該
    債務者の状況速報として当該債務者の資産査定作業を起
    票する主要動向区分別状況速報起票機能機能を備えたこ
    とを特徴とする融資支援システム。
  19. 【請求項19】 前記主要動向区分が、前記債務者と資
    産査定主体との関係を区分した当行との取引履歴区分
    と、前記債務者の組織変遷を区分した組織変遷区分と、
    前記債務者の資本異動等の財務会計基礎情報を区分した
    財務会計基礎区分と、当該債務者の信用リスクに影響す
    るリスク管理区分とを備えたことを特徴とする請求項1
    8記載の融資支援システム。
  20. 【請求項20】 前記資産査定システムが、前記作業者
    から当該債務者の概況について当該債務者の動向情報の
    入力があった場合には、当該入力データの主要動向区分
    に応じて前記取引先要項システムへ自動登録する主要動
    向自動登録機能を備えたことを特徴とする請求項17又
    は18記載の融資支援システム。
  21. 【請求項21】 前記取引先要項システムが、前記主要
    動向区分の内予め定められた主要動向区分となるコメン
    トデータの記入があった場合には、前記資産査定システ
    ムの状況速報での起票を制御する主要動向起票機能を備
    えたことを特徴とする請求項18、19又は20記載の
    融資支援システム。
  22. 【請求項22】 信用リスクに応じた債務者区分及び債
    権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎となる
    基礎データを取り込む基礎データ取込部と、前記基礎デ
    ータに基づいて債務者の区分又は債権の分類に影響する
    事実又は指定の有無を示す自動抽出基準データの値を設
    定すると共に、作業者の知識に応じて設定される手動抽
    出基準データを管理する抽出基準データ制御部と、 資産査定作業が起票されたときに、前記抽出基準データ
    制御部で設定される自動抽出基準データを表示すると共
    に、当該自動抽出基準データの変更及び前記手動抽出基
    準データの設定を促す随時査定支援部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を予め定
    められた条件に従った随時のタイミングで起票する随時
    起票制御部と、 資産査定作業主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた
    仮基準日に、債務者毎に、当該仮基準日での新たな基礎
    データに応じた抽出基準データと直近の抽出基準データ
    とを比較すると共に、当該債務者毎の比較結果に基づい
    て当該債務者の査定の起票を制御する仮基準日処理部
    と、 資産査定作業の決裁後前記財務諸表等の作成の基準日ま
    でに、当該債務者の信用リスクの変化への影響に応じて
    予め定められた主要動向区分のリスク管理項目に区分さ
    れる債務者の動向があった場合に、当該主要動向区分の
    リスク管理項目による状況速報として前記資産査定作業
    を起票する状況速報起票制御部と、 前記随時起票制御部、状況速報起票制御部及び前記仮基
    準日処理部による同一の債務者についての同時期の2以
    上の起票を許容すると共に、当該同一債務者について資
    産査定作業が重複している旨を前記作業者に通知する重
    複制御部とを備えたことを特徴とする資産査定システ
    ム。
  23. 【請求項23】 営業店、審査等所管部及び監査等の査
    定部門間及び部門内作業者間等をノードとする資産査定
    作業の決裁経路が定められている場合に、前記随時査定
    支援部による前記ノード毎の査定結果のワークフローを
    制御するワークフロー制御部を備え、 前記重複制御部が、前記営業店のノード内で自己査定作
    業が重複している場合には一方の取消を起票する取消起
    票を促す重複時取消起票機能と、 前記営業店のノードと他の査定部門のノードとで自己査
    定作業が重複している場合には前記当該重複した自己査
    定作業について前記他の査定部門へ差し戻しを促す重複
    時差し戻し制御機能とを備えたことを特徴とする請求項
    22記載の資産査定支援システム。
  24. 【請求項24】 営業店、審査等所管部及び監査等の査
    定部門毎の資産査定作業の結果を当該部門毎に格納する
    と共に、各部門別の査定結果を表として監査等の作業者
    に表示する部門別査定支援部を備えたことを特徴とする
    請求項22又は23記載の資産査定支援システム。
  25. 【請求項25】 前記各部門別の自己査定作業の決裁又
    は期末へ向けた査定データの変化を作業者又は査定部門
    若しくは債務者の信用格付や業種等の種別毎に統計処理
    する査定プロセス統計処理部を備えたことを特徴とする
    請求項22又は23記載の資産査定支援システム。
  26. 【請求項26】 信用リスクに応じた債務者の区分及び
    債権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎とな
    る基礎データを取り込む基礎データ取込部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記基礎データ
    と、前記作業者の知識に応じて入力される入力データ
    と、前記基礎データ及び前記入力データから導出する導
    出データとを含む当該起票に応じた起票関連日での随時
    の査定データの作成を支援する随時査定支援部と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた期末
    関連日に前記基礎データを新たに取り込むと共に当該基
    礎データと前記直近の査定データとに基づいて前記債務
    者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直近の査定デー
    タの一部更新を制御する期末関連日処理部と前記随時査
    定支援部による制御に応じて、基礎データ、営業店、審
    査等所管部及び監査等の査定部門毎の資産査定作業の結
    果と、資産査定作業が営業店に差し戻される場合には差
    し戻しの対象となった営業店の当初査定結果とを格納す
    る部門別査定支援部と、 前記各部門別の自己査定作業の決裁へ向けた査定データ
    の変化を作業者又は査定部門毎に統計処理する査定プロ
    セス統計処理部とを備えたことを特徴とする資産査定支
    援システム。
  27. 【請求項27】 信用リスクに応じた債務者の区分及び
    債権の分類等の自己査定作業を含む資産査定の基礎とな
    る基礎データを取り込む基礎データ取込部と、 前記債務者を特定した前記資産査定作業の起票を自動又
    は作業者の指示に応じた手動にて随時のタイミングで制
    御する随時起票制御部と、 前記資産査定作業が起票された場合に、前記基礎データ
    と、前記作業者の知識に応じて入力される入力データ
    と、前記基礎データ及び前記入力データから導出する導
    出データとを含む当該起票に応じた起票関連日での随時
    の査定データの作成を支援する随時査定支援部と、 資産査定主体の財務諸表等の作成の基準日に応じた期末
    関連日に前記基礎データを新たに取り込むと共に当該基
    礎データと前記直近の査定データとに基づいて前記債務
    者毎に前記資産査定作業の起票又は前記直近の査定デー
    タの一部更新を制御する期末関連日処理部と前記随時査
    定支援部による制御に応じて、基礎データ、営業店、審
    査等所管部及び監査等の査定部門毎の資産査定作業の結
    果と、資産査定作業が営業店に差し戻される場合には差
    し戻しの対象となった営業店の当初査定結果とを格納す
    る部門別査定支援部と、 営業店、審査及び監査等の査定部門間及び部門内作業者
    間等をノードとする資産査定作業の決裁経路が定められ
    ている場合に、前記随時査定支援部による前記ノード毎
    の査定結果のワークフローを制御するワークフロー制御
    部と、 前記随時起票制御部によって資産査定作業が起票された
    場合に、当該資産査定作業の期限管理を前記査定部門及
    び部門内作業者間毎に制御する期限管理制御部とを備え
    たことを特徴とする資産査定支援システム。
  28. 【請求項28】 前記期限管理制御部が、状況速報等の
    手動起票と、公表財務登録時の起票若しくは前記期末関
    連処理部の制御に応じた期末関連日での起票等の自動起
    票等との当該資産査定作業の起票条件に応じて当該起票
    条件毎の資産査定作業の期限を設定する起票条件別期限
    設定機能を備えたことを特徴とする請求項27記載の資
    産査定支援システム。
  29. 【請求項29】 作業者用の端末と、この端末とネット
    ワークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定
    支援システムを使用して前記作業者による資産査定作業
    を支援する資産査定支援方法であって、 債務者を特定した資産査定作業の起票を予め定められた
    条件に従った随時のタイミングで自動的に起票する自動
    起票工程と、 この自動起票工程に前後して、前記債務者の動向に応じ
    た作業者の起票操作があった場合に、当該作業者の任意
    による資産査定作業を起票する任意起票工程と、 営業店、審査及び監査等の査定部門及び部門内毎の作業
    者がログインした場合に、当該作業者の当該資産査定作
    業の一覧を表示制御すると共に、当該作業者による資産
    査定作業を支援する随時査定支援工程と、 前記営業店、審査及び監査等の査定部門間及び部門内作
    業者間等をノードとする資産査定作業の決裁経路が定め
    られている場合に、前記随時査定支援工程による前記ノ
    ード毎の査定結果のワークフローを制御するワークフロ
    ー制御工程とを備え、 前記随時査定支援工程が、前記営業店のノード内で自己
    査定作業が重複している場合には一方の取消を起票する
    取消起票を促す重複時取消起票工程と、 前記営業店のノードと他の査定部門のノードとで自己査
    定作業が重複している場合には前記当該重複した自己査
    定作業について前記他の査定部門へ差し戻しを促す重複
    時差し戻し制御工程とを備えたことを特徴とする資産査
    定支援方法。
  30. 【請求項30】 作業者用の端末と、この端末とネット
    ワークを介して接続されたサーバーとを備えた資産査定
    支援システムを使用して前記作業者による資産査定作業
    を支援するための資産査定支援用プログラムであって、 当該プログラムは前記サーバーを動作させる指令とし
    て、 債務者を特定した資産査定作業の起票を予め定められた
    条件に従った随時のタイミングで自動的に起票させる自
    動起票指令と、 前記債務者の動向に応じた作業者の起票操作があった場
    合に、当該作業者の任意による資産査定作業を起票させ
    る任意起票指令と、 営業店、審査及び監査等の査定部門及び部門内毎の作業
    者がログインした場合に、当該作業者の当該資産査定作
    業の一覧を表示制御させると共に、当該作業者による資
    産査定作業を支援させる随時査定支援指令と、 前記営業店、審査及び監査等の査定部門間及び部門内作
    業者間等をノードとする資産査定作業の決裁経路が定め
    られている場合に、前記随時査定支援指令に応じた前記
    ノード毎の査定結果のワークフローを制御させるワーク
    フロー制御指令とを備え、 前記随時査定支援指令が、前記営業店のノード内で自己
    査定作業が重複している場合には、一方の取消を起票す
    る取消起票を促す制御をさせる重複時取消起票指令と、 前記営業店のノードと他の査定部門のノードとで自己査
    定作業が重複している場合には、前記当該重複した自己
    査定作業について前記他の査定部門へ差し戻しを促す制
    御をさせる重複時差し戻し制御指令とを備えたことを特
    徴とする資産査定支援用プログラム。
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