JP2003247797A - 砲口制退器を有する兵器砲身 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発射の際に従来のような高い負荷が、砲口制
退器の、兵器砲身と取り外し可能に結合されている部分
に作用することのないようにする。 【解決手段】 砲口制退器（２）は、その周面の回りに
開口（１６）を備えた管片と、その管片を包囲する、直
径砲口に対向し、腔線軸（１５）に対して垂直に延びる
ガス流出開口（１７）を備えたジャケット管（４）を有
する。発射の際に砲口制退器（２）の、兵器砲身（１）
と取り外し可能に結合されている部分にできるだけ小さ
い負荷しか作用しないように、兵器砲身の砲口領域
（３）自体を砲口制退器の一部として形成し、すなわち
兵器砲身の回りにリング状に配置された多数の開口（１
６）を設け、かつ、この砲口領域の上に、スリット形状
のガス流出開口（１７）を備えたジャケット管を固定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特に大口径の砲身
兵器のための、砲口制退器を有する兵器砲身に関する。

【０００２】

【従来の技術】欧州特許第８５７５４号明細書（ＥＰ０
０８５７５４Ｂ１）からは兵器砲身が知られており、そ
の兵器砲身においては逆行エネルギを減少させるため
に、兵器砲身の砲口端部に別体の砲口制退器が固定され
ている。この砲口制退器は、兵器砲身と整合する、その
周面の回りに半径方向の孔を備えた、口径の等しい内径
を有する管片と、この管片を包囲するジャケット管を有
しており、そのジャケット管は直径方向に対向する、砲
腔軸に対して垂直に延びるガス流出開口を有している。

【０００３】この公知の配置において、欠点として明ら
かにされているのは、この種の砲口制退器の使用は、そ
れぞれの兵器砲口の複雑な加工を必要とすることであ
る。というのは、発射の際に砲口制退器に比較的高い負
荷（高い加速力、制動作用による高い引っ張り力）が作
用するので、砲口制退器を兵器砲身へ固定するねじ結合
もこの負荷に応じて設計しなければならないからであ
る。さらに、飛翔体のために兵器砲身の砲口径と砲口制
退器の間の衝撃のない移行を得るために、砲口制退器の
複雑な加工が必要である。このことは特に、施条された
兵器砲身に言えることであって、それにおいてはさらに
兵器砲身の腔線−フィールド−プロフィールと砲口制退
器の間の衝撃のない移行に留意しなければならない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、発射
の際に従来の兵器砲身と同等な高い負荷が、砲口制退器
の、兵器砲身と取り外し可能に結合されている部分に作
用することのない、兵器砲身と砲口制退器からなる配置
を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この課題は、本発明によ
れば、請求項１の特徴によって解決される。本発明の他
の、特に好ましい形態を、従属請求項が開示している。

【０００６】本発明は、大体において、兵器砲身の砲口
側の端部自体を砲口制退器の一部として形成する、すな
わち兵器砲身の回りにリング状に配置された多数の孔を
設ける、という考えに基づいている。この砲口側の兵器
砲身部分の上に、ジャケット管が固定され、そのジャケ
ット管は直径方向に対向する、周方向に延びるスリット
形状のガス流出開口を有している。

【０００７】好ましくはジャケット管は、その内側の表
面に多数の円形の溝を有しており、その溝はそれぞれ、
対向するスリット形状のガス流出開口内で終了してお
り、かつその溝内へそれぞれ兵器砲身の面内にある孔が
連通している。

【０００８】兵器砲身と砲口制退器の本発明に基づく配
置においては、発射の際に制動力の８０％までは直接兵
器砲身へ伝達され、制動力の約２０％だけをジャケット
管から兵器砲身へ伝達すればよいので、ジャケット管と
それに応じた固定ねじなどを、完全に別体の砲口制退器
を備えた、比較し得る兵器砲身配置よりもずっと小さい
寸法に設計することができる。従って本発明に基づく配
置は、比較し得る公知の配置に比べて小さい重量を有し
ている。

【０００９】さらに、兵器砲身と砲口制退器の本発明に
基づく配置は、兵器砲身の砲口を極めて簡単に加工でき
ることを特徴としている。さらに、砲口制退器の領域内
での飛翔体の衝撃のない通過、発射エラー角度のネガテ
ィブな影響のないこと、従って高い命中精度が保証され
る。

【００１０】兵器砲身の、砲口の領域において軸方向に
隣接する開口は、好ましくは互いに変位して配置され
る。それによって一方では、兵器砲身に対する強度要請
が考慮され、他方ではこの砲身領域における飛翔体の衝
撃のない通過が保証される。

【００１１】砲口領域における兵器砲身の開口の断面
は、円形またはスリットの形状も、多角形の形状も有す
ることができる。

【００１２】開口の大きさと形状も、開口の数も、そし
て兵器砲身の砲口領域における開口の、腔線軸に関する
位置も（半径方向または角度をもって）、それぞれ砲口
制退器の所望の作用に依存する。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の他の詳細と利点は、以下
で図面を用いて説明する実施例から明らかにされる。

【００１４】図１から３には、戦車兵器の大口径の兵器
砲身が符号１で示されており、その兵器砲身の前側には
砲口制退器２が設けられている。砲口制退器２は兵器砲
身１の砲口領域３と砲口領域３の上に配置されているジ
ャケット管４を有しており、そのジャケット管は後ろ側
において兵器砲身１のリング状のストッパ５に支持さ
れ、前側においては砲身兵器１のねじ６上に螺合可能な
ねじリング７によって保持される。

【００１５】ジャケット管４を回動しないように固定す
るために、ジャケット管４内に、嵌め合いばね９を有す
る嵌め合いばね溝８が形成されており、その嵌め合いば
ねは兵器砲身１のリング状のストッパ５内の図示されて
いない溝へ嵌入する。

【００１６】ジャケット管４の迅速な取り付けも兵器砲
身１上での固定的な嵌め合いも保証するために、兵器砲
身１の外側表面１０も、ジャケット管４の内側表面１１
も、兵器砲身１の砲口１２へ向かってやや円錐状に細く
なる推移を有している。

【００１７】さらに、ジャケット管４には、前側に固定
された固定片１３が設けられており、その固定片はねじ
リング７の切欠き歯切り１４内へ相補形状で嵌入して、
このねじリングをゆるまないように固定する。

【００１８】兵器砲身１の砲口領域３内において、多数
の相前後している、腔線軸１５に対して垂直に配置され
た面内に、半径方向に延びる孔１６が設けられており、
隣り合った面の孔１６は、互いに対してずれて配置され
ている。

【００１９】兵器砲身１の孔１６上に配置されているジ
ャケット管４は、孔面の数に相当する数の、直径方向に
対向して周方向に延びるスリット形状のガス流出開口１
７を有している。さらに、ジャケット管４は、その内側
表面１１上に円形に一周する溝１８を有しており、それ
らの溝はそれぞれ２つの対向するスリット形状のガス流
出開口１７内で終了しており、かつそれらの溝１８内へ
兵器砲身１の面内にある、直接ガス流出開口１７へ連通
しない孔１６が連通している。

【００２０】側方のガス流出開口１７の配置は、弛緩す
る発射薬ガスの定められた流出を保証する。さらに、ガ
ス流出開口１７の大きさと位置が、流出する発射薬ガス
と爆鳴ガスの大きさと範囲を調節する。

【００２１】弾薬筒（図示されていない）の点火後に、
飛翔体に追従する高圧にされた発射薬ガスは、砲口制退
器２の領域へ達して、兵器砲身１の孔１６（反跳面）を
介してジャケット管４の一周する溝１８の壁（付加的な
反跳面）へ達し、それによって逆行エネルギの減少がも
たらされる。

【００２２】ジャケット管４の前側上には、さらに砲口
レファレンスシステム１９が固定されている。

【００２３】本発明は、もちろん、上述した実施例に限
定されるものではない。すなわち、兵器砲身の砲口側の
開口は必ずしも孔である必要はなく、これら開口はたと
えばスリット形状に形成することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】砲口制退器を有する兵器砲身の砲口側領域を示
す縦断面図である。

【図２】図１に示す兵器砲身の側面図である。

【図３】図１に示す兵器砲身の斜視図である。

【符号の説明】

１…兵器砲身 ２…砲口制退器 ３…砲口領域 ４…ジャケット管 ５…ストッパ ６…ねじ ７…ねじリング ８…嵌め合いばね溝 ９…嵌め合いばね １０…外側の表面 １１…内側の表面 １２…砲口 １３…固定片 １４…切欠き歯切り １５…腔線軸 １６…開口 １７…ガス流出開口 １８…溝 １９…砲口レファレンスシステム

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ａ）兵器砲身（１）の砲口領域（３）内
   において、多数の相前後している、兵器砲身（１）の腔
   線軸（１５）に対して垂直な面内に、半径方向または角
   度をもって延びる、兵器砲身（１）の壁を貫通して成る
   開口（１６）が設けられており； ｂ）兵器砲身（１）の開口（１６）を有する砲口領域
   （３）の上に、ジャケット管（４）が配置されており、
   前記ジャケット管は、直径方向に対向する、周方向に延
   びるスリット形状のガス流出開口（１７）を有してお
   り； ｃ）ジャケット管（４）は、その内側の表面（１１）に
   多数の円形に一周する溝（１８）を有しており、前記溝
   はそれぞれ、対応するスリット形状のガス流出開口（１
   ７）内で終了しており、かつ前記溝内へ、砲身兵器
   （１）の面内にある開口（１６）が連通している；こと
   を特徴とする、特に大口径の砲身兵器のための、砲口制
   退器（２）を有する兵器砲身。
2. 【請求項２】 隣り合った面の開口（１６）は、互いに
   ずらして配置されていることを特徴とする請求項１に記
   載の兵器砲身。
3. 【請求項３】 兵器砲身（１）の開口（１６）が、孔ま
   たはスリットであることを特徴とする請求項１または２
   に記載の兵器砲身。
4. 【請求項４】 ジャケット管（４）を固定するために、
   兵器砲身（１）はリング状のストッパ（５）を有してお
   り、前記ストッパにジャケット管（４）の後方が支持さ
   れ、かつ、 砲口側にねじリング（７）が設けられており、前記ねじ
   リングによってジャケット管（４）がストッパ（５）に
   対して押圧されることを特徴とする請求項１から３のい
   ずれか１項に記載の兵器砲身。
5. 【請求項５】 兵器砲身（１）の外側表面（１０）も、
   ジャケット管（４）の内側表面（１１）も、やや円錐状
   に、兵器砲身（１）の砲口（１２）へ向かって細くなる
   推移を有していることを特徴とする請求項３に記載の兵
   器砲身。