JP2003245753A - 多数個取り用鋳型 - Google Patents

多数個取り用鋳型

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JP2003245753A
JP2003245753A JP2002045810A JP2002045810A JP2003245753A JP 2003245753 A JP2003245753 A JP 2003245753A JP 2002045810 A JP2002045810 A JP 2002045810A JP 2002045810 A JP2002045810 A JP 2002045810A JP 2003245753 A JP2003245753 A JP 2003245753A
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casting
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molten metal
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JP2002045810A
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Hideki Furukawa
秀樹 古川
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KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK
KOTOBUKI METAL
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KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK
KOTOBUKI METAL
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造時の鋳型温度の不均衡状態を抑え、鋳造
不良の少ない多数個取り用鋳型を提供することを課題と
する。 【解決手段】 多数個取り用鋳型1は、第一型2及び第
二型3より構成され、それぞれの第一型2及び第二型3
には、キャビティ4が型彫られた入れ子5と、入れ子5
が嵌設される嵌設部6を有する主型7とを備えている。
さらに、主型7の嵌設部6には、四個の入れ子5が並列
して嵌設されており、キャビティ4は、溶湯Mを充填す
るため主型7に形成された湯口ランナー8とそれぞれ連
通している。また、互いに隣接する入れ子5の間には、
上下に二つずつ位置固定ピン9が挿入され、これにより
嵌設部6に入れ子5が固定された状態となっている。そ
して、この位置固定ピン9によって互いに隣接する入れ
子5の間には、空隙10が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多数個取り用鋳型
に関するものであり、特に鋳造の際の鋳型の局所的な過
熱状態を抑え、鋳造不良の少ない多数個取り用鋳型に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルミニウムなどの合金をは
じめとする軽金属を高温で溶解し、流動性を有する液状
の溶湯にし、該溶湯をキャビティが型彫りされた鋳型に
充填し、鋳型内で凝固させることによって鋳物製品を製
造することが古くから行なわれている。さらに、近年に
おいては鋳物製品の一種として、鋳型内に前述の高温状
態にある溶湯を高圧で圧入充填することによって製造さ
れるダイカスト製品も一般に知られるようになってい
る。
【0003】これらの方法により、古来から仏像や寺院
の鐘などの鋳物製品が鋳造されてきているとともに、今
日の産業活動においても種々の分野で鋳物製品が利用さ
れている。例えば、シリンダ、シリンダヘッド、マニホ
ールド、及びピストンなどの自動車用部品をはじめと
し、各種産業機械器具、鋳鉄管、電気通信機器、継手、
農機具、港湾・船舶用などとして幅広く用いられてい
る。すなわち、現代生活を支えるための根幹を為す不可
欠な技術及び製品の一つであるといえる。
【0004】ところで、上述した鋳物製品を工業的に鋳
造しようとする場合、予め得ようとする製品の形状に合
わせた鋳型を作り、それに溶湯を流し込んでいた。その
ため、鋳造作業の効率性を鑑みれば、これらの型を複数
並べて、一回の作業で複数の型内のキャビティに溶湯を
充填することによって、一度に多数個の鋳物製品を鋳造
することが望ましかった。そこで、同型または異型の鋳
物製品を一回の鋳造で多数個製造することができるよう
な、いわゆる多数個取り用鋳型が多く用いられることが
あった。
【0005】ここで、多数個取り用鋳型とは、一度の鋳
造で多数個の鋳物製品を鋳造することが可能な工業的に
量産を可能とするものである。一般に、鋳物製品を鋳造
する際に利用される鋳型には、分割可能な二つの型に直
接キャビティを型彫りした直彫り型と、入れ子にキャビ
ティを型彫りし、これを主型に嵌込んで組立てる組立て
式(嵌込み式)と呼ばれるものがある。
【0006】さらに、鋳型を型込め数によって分類する
と、一度の鋳造で一個の鋳物製品を鋳造する一個取り鋳
型(一個込め鋳型)、及び一度の鋳造で多数個の鋳物製
品を鋳造する多数個取り鋳型(多数個取り鋳型)に分け
ることが可能である。なお、多数個取り鋳型は、さらに
多数の同型のキャビティを型彫りした同型多数個取り鋳
型と、寸法及び形状などの異なった異型のキャビティを
一つの鋳型に型彫りした異型多数個取り鋳型に分類する
こともできる。
【0007】また、鋳型にはこれ以外の構成として、互
いに分割面で分割可能なそれぞれの型の位置を合わせる
ためガイドピン及びガイドピン穴や、鋳造後の鋳物製品
を鋳型から取り出すための押出ピン及び押出板などから
構成される押出装置が設けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た多数個取り用鋳型を用いる場合、以下のような問題が
あった。すなわち、複数のキャビティが型彫りされた鋳
型に溶湯を充填すると、高温状態にある溶湯からはキャ
ビティ表面を介して鋳型に熱が伝達する。これにより、
鋳型の温度は溶湯の充填前よりも高温となる。このと
き、複数のキャビティを有する多数個取り用鋳型では、
熱が伝達する面積(キャビティ表面積に相当)が多く、
かつ多方向から該熱が伝わるため、型の中心部付近が特
に高温過熱した状態となる。一方、鋳型の端部付近は、
中心部と比べてそれほど高温となることがない。これに
より、鋳造時に鋳型の各部位の温度が異なる値を示す、
換言すれば温度不均衡の状態になることがあった。その
結果、キャビティが型彫られた入れ子が熱膨張すること
により、鋳造された鋳物製品の形状がひずんだり、変形
するなどの鋳造不良が発生することがあった。さらに、
鋳型の温度不均衡の状態により、いわゆる「湯周り不
良」や「トラレ」、「曲がり」、「ヒケ」などの鋳物製
品の鋳造作業で発生する不良が多発することがあった。
これにより、鋳物製品の歩留まりが悪化し、安定した品
質を有する鋳物製品を量産することが困難となる場合が
あった。
【0009】そこで、本発明は、上記実状に鑑み、鋳造
時の鋳型が温度不均衡の状態になることを抑え、熱膨張
による鋳造不良の発生が少ない多数個取り用鋳型の提供
を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1の発明にかかる多数個取り用鋳型は、キャ
ビティが型彫りされた入れ子と、少なくとも二つ以上の
前記入れ子が嵌設される嵌設部、及び前記キャビティに
連通し溶湯を前記キャビティに充填するための湯口ラン
ナーを有する主型と、前記嵌設部に嵌設された互いに隣
接する前記入れ子の間に設けられ、前記溶湯が前記キャ
ビティに充填される際の前記入れ子間の熱の伝達を抑制
する熱伝達抑制手段とを具備するものである。
【0011】ここで、熱伝達抑制手段とは、嵌設部に嵌
設された複数の入れ子間での熱伝達を抑制するためもの
であり、例えば、嵌設された入れ子の間に、入れ子を形
成する素材より熱伝導度の小さい素材を挿入して熱の伝
わりを阻害するものなどが挙げられる。
【0012】したがって、請求項1の発明の多数個取り
用鋳型によれば、嵌設部に嵌設された複数の入れ子にお
いて、互いに隣接する入れ子の間での熱伝達が熱伝達抑
制手段によって抑えられる。すなわち、高温の溶湯が湯
口ランナーを通してキャビティに充填されると、高温の
溶湯の熱がキャビティ表面を介して入れ子内部に伝達さ
れ、さらに周囲に熱を伝播しようとする作用が働く。つ
まり、熱伝導が入れ子内で発生する。このとき、互いに
隣接する入れ子間に熱伝達抑制手段によって熱の伝達が
阻害される。これにより、多方向からの熱の伝達が抑え
られるため、特に多数個取り用鋳型の中央部付近におい
て、高温状態となることが少ない。したがって、鋳造時
におけるキャビティ及び入れ子の熱膨張、熱変形の発生
が抑えられ、鋳造される鋳物製品に鋳造不良が発生する
ことが少なくなる。
【0013】請求項2の発明にかかる多数個取り用鋳型
は、請求項1に記載の多数個取り鋳型において、前記熱
伝達抑制手段は、互いに隣接する前記入れ子の間に挿入
され、前記入れ子の間に空隙を形成可能な位置固定ピン
をさらに有するものである。
【0014】したがって、請求項2の発明の多数個取り
用鋳型は、請求項1の発明の多数個取り用鋳型の作用に
加え、隣接する入れ子の間に位置固定ピンを挿入するこ
とによって空隙が形成される。すなわち、隣接する入れ
子同士の接触面積を最小に抑えられる。ここで、空気の
熱伝導度は一般の固体物質よりも非常に低いものであ
り、例えば、約300℃(絶対温度約573K)におい
て、乾燥空気の熱伝導度λは、0.0449W/(m・
K)程度しかないことが知られている。これにより、入
れ子の間の空隙によって熱を伝えにくい空気が介在する
ため、直接接してしている状態と比較すると、熱伝導度
の値は小さくなる。
【0015】請求項3の発明にかかる多数個取り用鋳型
は、少なくとも二つ以上のキャビティが型彫りされ、互
いに隣接する前記キャビティの間に空隙が設けられた入
れ子と、前記入れ子が嵌設される嵌設部及び前記キャビ
ティに連通し、溶湯を前記キャビティに充填するための
湯口ランナーを有する主型とを具備するものである。
【0016】したがって、請求項3の発明の多数個取り
用鋳型によれば、複数のキャビティが型彫られた入れ子
であって、互いに隣接するキャビティ間に空隙が設けら
れている。これにより、熱伝導度の小さい空気が各キャ
ビティ間に常時介在しているため、鋳造時における入れ
子を伝達する熱が小さく抑えられる。そのため、多数個
取り用鋳型の中央部付近が特に高温の過熱状態になるこ
とがなく、鋳型が熱変形し、鋳造時に熱が原因となる不
具合の発生を抑制する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第一実施形態であ
る多数個取り用鋳型1について図1乃至図3に基づいて
説明する。図1は本発明の第一実施形態における多数個
取り用鋳型1の構成を示す展開図であり、図2は多数個
取り用鋳型1における溶湯Mを充填した状態を示すC−
C断面図であり、図3は多数個取り用鋳型1における溶
湯Mを充填した状態を示すD−D断面図である。
【0018】第一実施形態の多数個取り用鋳型1は、図
1乃至図3に示すように、第一型2及び第二型3より構
成されているものであって、それぞれの第一型2及び第
二型3には、鋳物製品Sの形状に型彫られたキャビティ
4を有する入れ子5と、複数の入れ子5が嵌設可能な嵌
設部6を有する主型7とを備えている。なお、図1は説
明を簡略化するため、第一型2及び第二型3を分割面
A,Bで分割した状態を示している。
【0019】さらに、具体的に説明すると、主型7の嵌
設部6には、四個の入れ子5が横に並列した状態で嵌設
されており、各々のキャビティ4は、アルミニウム合金
などを高温で溶解し、流動性を有する液状にした溶湯M
を充填するための充填口として主型7に形成された湯口
ランナー8とそれぞれ連通している。また、互いに隣接
する入れ子5の間には、上下にそれぞれ二つずつ断面円
形状を呈する位置固定ピン9が挿入され、これにより、
嵌設部6に入れ子5が固定された状態となっている。こ
の位置固定ピン9によって入れ子5の間には、空隙10
が形成されている。ここで、位置固定ピン9及び空隙1
0が本発明における熱伝達抑制手段に相当する。なお、
位置固定ピン9は、挿入された先端が主型7の一面を貫
通した状態で固定されている。そのため、位置固定ピン
9の挿入した状態を容易に解除することはできない。そ
して、位置固定ピン9によってそれぞれの入れ子5は嵌
設部6の周壁面と密着した状態にして固定されている。
【0020】さらに、一方の主型7には、第一型2及び
第二型3を型合わせする際の位置を決定するガイドピン
11が分割面Aから上方に突出して設けられ、さらに他
方の主型7には、ガイドピン11に対向する位置、及び
ガイドピン11の外形状と略一致する内形状を有するガ
イドピン穴12が分割面Bに穿設されている。これによ
り、第一型2及び第二型3を互いの分割面A,Bを当接
させて型合わせをしたときに、型ズレが発生することが
ない。また、入れ子5の後部(図1における紙面奥に相
当)には、油圧シリンダ(図示しない)などの押出力を
利用して鋳造後の鋳物製品Sを多数個取り鋳型1から取
出すための押出板13が取付けられている。この押出板
13は、キャビティ4の数カ所から先端を突出可能な押
出ピン14と、押出動作後の押出ピン14を元の状態
(位置)に戻すためのリターンピン15と接続してい
る。なお、リターンピン15の上面は型合わせの状態の
時は、各々の分割面A,Bと一致しており、押出ピン1
4の動作とともに分割面A,Bから突出した状態にな
る。
【0021】ここで、入れ子5及び主型7の材質は、特
に限定されるものでなく、従来の鋳型を形成する際に一
般的に用いられている材質をそのまま用いることができ
る。例えば、高温の溶湯に直接晒されるキャビティ4を
含む入れ子5には、熱処理ひずみの少ない空気焼入鋼の
SKD6,SKD61などのCr−Mo−V鋼が一般に
用いられ、主型7などの直接溶湯に接しない部分には機
械構造用炭素鋼、鋳鉄、鋳鋼などが用いられることが多
い。また、この他の位置固定ピン9、押出板13、押出
ピン14、及びリターンピン15なども従来から使用さ
れている材質を利用可能である。
【0022】次に、本発明の第一実施形態における多数
個取り用鋳型1の使用方法について説明する。ここで、
本実施形態における説明では、重力鋳造によって鋳物製
品Sを鋳造する際に使用する多数個取り用鋳型について
行なうものとする。また、一般に重力鋳造において使用
される装置、例えば、鋳型を傾斜させる傾斜装置や押出
板13の作動圧を供給する押出し装置などについては、
簡略化のためここでは説明を省略する。
【0023】はじめに、第一型2及び第二型3を分割面
A,B同士で型合わせをし、双方向から力を加え型締め
する。このとき、第一型2及び第二型3は、ガイドピン
11及びガイドピン穴12によって型合わせの際の位置
が決定されている。これにより、型ズレをすることな
く、互いに対向する入れ子5に型彫りされた一対のキャ
ビティ4によって空間が形成され、係る空間に溶湯Mを
充填することが可能となる。そして、主型7に設けられ
た湯口ランナー8から高温状態にある溶湯Mを充填す
る。このとき、充填に際しては溶湯Mに圧力は加えられ
ず、例えば、水平に設置された多数個取り用鋳型1を垂
直方向に傾斜させながら立設されることによって、重力
に従って溶湯Mをキャビティ4の空間に充填することが
行なわれる。これにより、嵌設部6内に嵌設されたそれ
ぞれの入れ子5のキャビティ4内に溶湯が充填された状
態となる(図2及び図3参照)。
【0024】このとき、キャビティ4に充填される溶湯
Mの温度は、液状を呈するために溶湯Mの融点以上の高
温にある。一方、充填前のキャビティ4及び入れ子5の
温度は、これよりもはるかに低温にある。具体的な数値
を一例として挙げると、充填される溶湯Mは約720〜
750℃の間に保たれ、一方、充填前のキャビティ4等
の温度は約300〜360℃前後にある。そこで、溶湯
Mがキャビティ4に充填されると、高温の溶湯Mからキ
ャビティ4の表面を介して入れ子5の内部に熱が伝達さ
れる。そして、高温になった入れ子5は、さらに隣接す
る入れ子5及び主型7に熱を伝播し、多数個取り用鋳型
1全体の温度を上げようとする。
【0025】しかしながら、本発明の第一実施形態の多
数個取り用鋳型1によれば、互いに隣接する各入れ子5
間の二箇所に位置固定ピン9が挿入され、これにより空
隙10が形成されている。すなわち、各入れ子5同士は
直接接しておらず、しかも位置固定ピン9によって入れ
子5間の熱を伝える面積が抑えられている。加えて、入
れ子5を形成する材質(固体)よりも、熱伝導度のはる
かに小さい空気(気体)が介在しているため、入れ子5
間の熱伝達を抑制する効果が非常に大きい。そのため、
鋳造の際に多数個取り用鋳型1の中央部付近に熱が集中
し、過熱状態になることを防ぐことができる。換言する
と中央部付近の温度(図1における5a,5b付近に相
当)と、端部付近の温度(図1における5c、5d付近
に相当)との温度差がそれほど大きくならない。そのた
め、特に中央付近の入れ子5a,5bが過熱状態となっ
て熱膨張や、熱変形を引起こすことがなくなる。
【0026】その後、温度が低下すると、溶湯Mは液体
から固体に相転移し、凝固する。そして、完全に凝固し
た状態で第一型2及び第二型3を開放する。このとき、
鋳造された鋳物製品Sは、溶湯Mの凝固によって固体収
縮することがある。そのため、キャビティ4の形状によ
っては鋳物製品Sがキャビティ4を抱きしめる力が発生
し、容易に鋳物製品Sを取出すことが困難な場合があ
る。そこで、この力に抗してキャビティ4から鋳物製品
Sを取出すために、押出板13を作動させ押出ピン14
の先端で鋳物製品Sを押出す。これにより、鋳物製品S
を変形させることなく取出され、鋳物製品Sの鋳造が完
了する。上述した工程を繰返すことにより、同形状及び
同品質の鋳物製品Sが安定して大量に生産される。加え
て、多数個取りが可能であるため、鋳造効率の向上が見
込まれる。
【0027】一般に、鋳物製品Sを鋳造する際に、溶湯
Mの温度と鋳型の温度との関係、及び凝固の際の温度が
鋳物製品Sの品質や性状に大きな影響を及ぼすことが知
られている。したがって、第一実施形態で示した多数個
取り用鋳型1を用いることにより、従来の多数個取りの
鋳造時に問題となっていた、鋳型の中央部付近での過熱
状態を抑えることができる。これにより、鋳造不良など
の不具合の発生が少なくなり、安定した品質の鋳物製品
Sを歩留まりよく量産することができる。
【0028】さらに、各入れ子5間の位置固定ピン9を
外すことによって、嵌設部6からそれぞれの入れ子5を
分離して引抜くことができる。従来の多数個取り用鋳型
では、一つの入れ子に複数のキャビティが型彫りされて
いる場合がほとんどである。したがって、複数回の鋳造
を繰返すことによって、キャビティが磨耗等により損傷
を受け、それぞれの寸法が微妙に異なってくることがあ
る。すなわち、鋳造する鋳物製品Sを同一の寸法精度に
保つことが難しかった。このような場合、従来は入れ子
全体を新しいものに交換する必要があった。しかしなが
ら、本発明の第一実施形態における入れ子5は、それぞ
れに分離することができるため、一個取り用の鋳型の場
合と同じように、精度の低下したキャビティ4を有する
入れ子5だけを一個ずつ交換することができる。すなわ
ち、入れ子5の製作費やメンテナンス費などに係るコス
トを低減化することができる。さらに、鋳物製品Sの歩
留まりを向上させることができる。
【0029】次に、本発明の第二実施形態における多数
個取り用鋳型16について、図4及び図5に基づいて説
明する。図4は第二実施形態における多数個取り用鋳型
16の構成を示す展開図であり、図5は多数個取り用鋳
型16における溶湯Mを充填した状態を示すE−E断面
図である。なお、第二実施形態の多数個取り鋳型16に
おいて、第一実施形態の多数個取り鋳型1と同一の機能
及び構成を示すものは、同一番号を付し、ここでは詳細
な説明は省略する。また、図3は第一実施形態における
図1と同様に第一型17及び第二型18を分割面A,B
で分割した状態を示している。
【0030】第二実施形態の多数個取り用鋳型16は、
図4及び図5に示すように、第一型17及び第二型18
より構成され、第一型17及び第二型18はそれぞれ鋳
物製品Sの形状に型彫られた四つのキャビティ19を有
する入れ子20と、入れ子20が嵌設される嵌設部6を
有する主型7とを備えている。
【0031】さらに、具体的に説明すると、四つのキャ
ビティ19のうち互いに隣接するキャビティ19の間に
は空隙21が形成されている。すなわち、入れ子20の
一部が刳抜かれた状態となっている。つまり、第一実施
形態の多数個取り用鋳型1と比較すると、第二実施形態
の多数個取り用鋳型16は一つの入れ子20から構成さ
れ、さらに第一実施形態の多数個取り用鋳型1における
位置固定ピン9による空隙10の代替として、直接入れ
子20の一部が刳抜いて空隙21を形成している。ここ
で、空隙21が本発明における熱伝達抑制手段に相当す
る。
【0032】なお、第二実施形態における多数個取り用
鋳型16の使用方法及び効果については、第一実施形態
の多数個取り用鋳型1と同様であるため、ここでは詳細
な説明を省略する。
【0033】上記構成により、入れ子20に形成された
空隙21が各キャビティ19間の鋳造時における熱の伝
達を抑制するため、第二実施形態の多数個取り用鋳型1
6は、第一実施形態の多数個取り用鋳型1において示し
たものと同様の効果を奏することができる。
【0034】以上述べたように、第一及び第二実施形態
で示した多数個取り用鋳型1,16により、互いに隣接
する入れ子5またはキャビティ19の間に空隙10,2
1を設けることにより、熱伝導度の小さい空気を入れ子
5間またはキャビティ19間に介在させることにより、
鋳造時の熱伝達を抑制することができる。したがって、
鋳造作業中の多数個取り用鋳型1,16において、特に
中央部付近が高温状態となると防ぎ、多数個取り用鋳型
1,16が熱変形及び熱膨張などを引起こすことを抑制
する。したがって、鋳造された鋳物製品Sの品質の安定
化、及び湯回りの低下による鋳造不良などの歩留まりの
改善を図ることができる。
【0035】以上、本発明について好適な実施形態を挙
げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定され
るものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸
脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可
能である。
【0036】すなわち、第一及び第二実施形態の多数個
取り用鋳型1,16において、重力鋳造(グラビティ)
法を用いて、鋳物製品Sを鋳造するものを示したが、こ
れに限定されるものでなく、例えば、その他の低圧鋳造
(LP:ロープレッシャー)法や、より高圧で溶湯Mを
充填するダイカスト鋳造法などにおいて、本発明の多数
個取り用鋳型1,16を用いるものであっても構わな
い。
【0037】さらに、熱伝達抑制手段として、第一実施
形態において位置固定ピン9により入れ子5間に空隙1
0を形成するものを示したが、これに限定されるもので
はなく、例えば、入れ子5を形成する素材よりも、熱伝
導度の小さい断熱性を有する素材で形成した断熱部材
(図示しない)を介在させることにより、入れ子5間の
熱移動を抑え、同様の効果を得てもよい。
【0038】さらに、第一及び第二実施形態において、
入れ子5またはキャビティ19を主型7の嵌設部6に、
横に並べて嵌設するもの示したが、これに限定されるも
のではなく、例えば、主型7の嵌設部6内に縦列したも
のや、或いは並列及び縦列を組合せたものであってもよ
い。この際は、それぞれの入れ子5またはキャビティ1
9間に位置固定ピン9による空隙10、または入れ子2
0を刳抜いて空隙21を設ける必要がある。また、位置
固定ピン9として断面円形状を呈するものを示したが、
これに限定されるものではなく、入れ子5を固定し、空
隙10を形成可能なものであれば構わない。
【0039】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の多数個
取り用鋳型は、熱伝達抑制手段により、入れ子間の熱伝
達を妨げ、鋳造時の多数個取り用鋳型の中央部付近と端
部付近の温度不均衡を解消することができる。これによ
り、鋳造不良の発生を低下させ、安定した品質の鋳物製
品を歩留まりよく鋳造することができる。
【0040】請求項2の発明の多数個取り用鋳型は、位
置固定ピンによって入れ子間に空隙を形成することによ
り、熱伝導度の小さい空気を介在させ、請求項1と同様
の効果を奏させることができる。
【0041】請求項3の発明の多数個取り用鋳型は、複
数のキャビティが型彫りされた入れ子を刳抜いて空隙を
形成することにより、キャビティ間の熱伝達を抑えるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態における多数個取り用鋳型の構成
を示す展開図である。
【図2】多数個取り用鋳型における溶湯を充填した状態
を示すC−C断面図である。
【図3】多数個取り用鋳型における溶湯を充填した状態
を示すD−D断面図である。
【図4】第二実施形態における多数個取り用鋳型の構成
を示す展開図である。
【図5】多数個取り用鋳型における溶湯を充填した状態
を示すE−E断面図である。
【符号の説明】
1,16 多数個取り用鋳型 2,17 第一型 3,18 第二型 4,19 キャビティ 5,5a,5b,5c,5d,20 入れ子 6 嵌設部 7 主型 8 湯口ランナー 9 位置固定ピン(熱伝達抑制手段) 10,21 空隙(熱伝達抑制手段) A,B 分割面 M 溶湯 S 鋳物製品

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビティが型彫りされた入れ子と、 少なくとも二つ以上の前記入れ子が嵌設される嵌設部、
    及び前記キャビティに連通し溶湯を前記キャビティに充
    填するための湯口ランナーを有する主型と、 前記嵌設部に嵌設された互いに隣接する前記入れ子の間
    に設けられ、前記溶湯が前記キャビティに充填される際
    の前記入れ子間の熱の伝達を抑制する熱伝達抑制手段と
    を具備することを特徴とする多数個取り用鋳型。
  2. 【請求項2】 前記熱伝達抑制手段は、 互いに隣接する前記入れ子の間に挿入され、前記入れ子
    の間に空隙を形成可能な位置固定ピンをさらに有するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の多数個取り用鋳型。
  3. 【請求項3】 少なくとも二つ以上のキャビティが型彫
    りされ、互いに隣接する前記キャビティの間に空隙が設
    けられた入れ子と、 前記入れ子が嵌設される嵌設部、及び前記キャビティに
    連通し溶湯を前記キャビティに充填するための湯口ラン
    ナーを有する主型とを具備することを特徴とする多数個
    取り用鋳型。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013082138A (ja) * 2011-10-11 2013-05-09 Toyota Motor Corp インサート成形方法、および射出成形機

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JP2013082138A (ja) * 2011-10-11 2013-05-09 Toyota Motor Corp インサート成形方法、および射出成形機

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