JP2003242947A - 電池パックの製造方法 - Google Patents

電池パックの製造方法

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智志 片岡
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Koichi Toriyama
幸一 鳥山
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雅博 水田
Tatsuhisa Chikada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次電池と回路基板とを樹脂モールドにより
一体化した電池パックを提供する。 【解決手段】 二次電池2と回路基板3との間をリード
板4、5により接続して二次電池2と回路基板3との間
に樹脂充填した一次モールド体11により一体化した
後、外周の所要部位に樹脂成形して二次モールド体12
を形成し、周面上に巻着シート13を貼着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型の携帯電子機
器等の電池電源に適するように構成要素を樹脂充填によ
り一体化し、小型化並びに堅牢性の向上を図った電池パ
ックの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機やPDAなどの携帯電子機器
の小型化あるいは薄型化、更には高機能化の進展は著し
く、それに対応してその電源となる電池に小型、薄型で
高容量化が要求されている。小型で高容量化を可能にす
る電池としてリチウムイオン二次電池が有効であり、中
でも扁平な角形のものは機器の薄型化に好適であり、繰
り返し使用ができる二次電池として携帯電子機器への適
用が増加している。
【0003】前記リチウムイオン二次電池はエネルギー
密度が高く、電解液として可燃性の有機溶媒を用いてい
るため、安全性への配慮が重要となる。何らかの原因に
よって異常が生じたときにも人体や機器に損傷を与えな
いように安全性を確保する必要がある。例えば、電池の
正極端子と負極端子との間が何らかの原因によって短絡
した場合、エネルギー密度の高い電池では過大な短絡電
流が流れ、内部抵抗によってジュール熱が発生して電池
は温度上昇する。電池が高温になると正極板活物質と電
解液との反応や電解液の気化、分解などが生じて電池内
部のガス圧が急上昇し、電池は破裂や発火に至る恐れが
ある。電池が高温状態に陥る原因は上記外部短絡だけで
なく、二次電池を過充電した場合や、電池を装填した携
帯電子機器を暖房機の傍らに置いたり、炎天下に駐車し
た車内に放置した場合なども該当する。
【0004】電池が異常な状態に陥る原因は、電気的、
機械的、熱的など種々の要因が考えられ、リチウムイオ
ン二次電池をはじめとする非水電解質二次電池では、電
池が異常状態に陥ることを防止すると共に、異常状態に
陥った場合にも危険な状態にならないようにする機能が
設けられる。電池自体の機能として、極板の活物質や電
解液が過剰な反応を起こしにくいように工夫され、セパ
レータとして用いられるポリオレフィン系微多孔膜は異
常な高温になると軟化して細孔が塞がれることによるシ
ャットダウン機能が備わっている。また、円筒形のリチ
ウムイオン二次電池では、封口部に入出力回路と直列に
接続したPTC(Positive Thermal
Coeffcient)素子を配設して、外部短絡によ
る過大電流を制限する保護機能が設けられている。電池
内に前記PTC素子が設けられていない電池では、外付
けの回路部品としてPTC素子や温度ヒューズが配線接
続され、更に過充電や過放電等から電池を保護する電池
保護回路を設けるのが必須要件となっており、これらの
構成要素を二次電池と共にパックケース内に収容して電
池パックの形態に構成されのが一般的である。
【0005】しかし、前記パックケースを形成するため
の樹脂成形金型は、その製作費用が高く、開発期間も長
くなるので、新機種の投入期間が短い携帯電子機器など
に対応できない。また、前述のように携帯電子機器の小
型化、薄型化に対応する電池パックを構成するには、樹
脂成形の成形可能な肉厚の限度があり、樹脂成形による
外装ケースに限界がある。
【0006】また、電池パックは、それを分解して間違
った使用や興味本位で使用されることを防ぐために、分
解し難いように構成することや、分解したことが分かる
ように構成することが安全確保上で重要である。また、
携帯電子機器に適用されることを考慮すると、落下等に
よる衝撃や振動に耐え得る堅牢な構造や電子回路部位の
耐湿性が要求される。このような分解し難く堅牢且つ耐
湿性を有する構造を実現すべく、電池保護回路等を構成
した回路基板と電池とを樹脂モールディングにより一体
化することが構想されている。
【0007】上記樹脂モールディングによる電池パック
は、本願出願人により特願2000−320166号、
特願2000−363518号として提案したものがあ
り、電池と回路基板とを接続部材により接続した中間完
成品を金型内に配置し、回路基板に形成した外部接続端
子が外部露出するようにして中間完成品の周囲に樹脂を
充填して二次電池と回路基板とを一体化している。
【0008】また、特開2000−315483号に開
示されたものでは、電池と回路基板とを接続部材により
接続したものを金型内に配置し、回路基板を樹脂封止し
て電池上又はパックケース(電池蓋体)に固定する構
成、あるいは回路基板と電池とを樹脂封止する構成が開
示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記特開2000−3
15483号に開示された構成は、樹脂封止された中の
回路基板から外に引き出したリード線の先端にコネクタ
が設けられており、機器との接続は機器側のコネクタと
雄雌間の嵌合によってなされる。この外部接続構造は比
較的大型の機器で電池収容スペースに余裕がある場合に
は問題はないが、本願発明の電池パックが主目的とする
小型の機器では電池収容スペースに余裕が少ないのが当
然で、この接続構造を適用することは困難である。本願
発明の電池パックの機器側との接続構造は、機器側の電
池収容スペースに電池パックを収納したとき、そこに設
けられた機器側接触端子(プローブ)が電池パックの所
定位置に外部露出する外部接続端子に圧接するようにし
たものである。
【0010】外部接続端子を形成した回路基板と電池と
を樹脂モールディングして電池パックに構成し、機器側
の電池収容スペースに設けられた機器側接続端子と前記
外部接続端子とが接触抵抗が小さい状態に圧接させるに
は、電池パックの外形寸法及び外部接続端子の位置は高
精度に形成する必要がある。このような接触による接続
の場合に、形成精度が低いと、機器側接続端子と外部接
続端子との接触抵抗が大きくなり、接触不良や電圧降下
などの異常を来すことになる。
【0011】特に、回路基板に外部接続端子を形成し、
この回路基板を電池の封口板と並行になる位置に配設し
た構成では、図19に示すように、電池パック100の
底面から回路基板102の外部接続端子103の形成面
までの寸法Lが精度よく仕上げられることが必要であ
る。しかし、電池101の高さ寸法hにはバラツキがあ
り、回路基板102は接続部材104によって電池10
1と接続されているだけで、その位置、角度は変動しや
すい状態にある。一般的に採用される電池パックの構成
では、電池101及び回路基板102はパックケースに
位置決め固定されるので、前記寸法Lは規制することが
できる。樹脂モールディングによって電池101と回路
基板102とを一体化する構成では、電池101の高さ
寸法hのバラツキを吸収し、回路基板102を位置決め
して樹脂モールディングする必要がある。
【0012】従来は樹脂モールディングにより電池パッ
クを形成した場合に、その高さ寸法を精度よく成形する
ことが困難であるため、前述のコネクタによる接続構造
や、機器の電池収容スペースにバネ等の付勢手段を設け
て収納された電池パックを機器の接続端子側に付勢し、
寸法のバラツキを吸収する構造や、電池パックの長側面
の端部に外部接続端子を露出させ、機器の電池収容スペ
ースに電池パックを挿入したとき、弾性構造の機器側接
続端子が外部接続端子に摺動接触することにより接触不
良を解消する構造が採用されていた。しかし、これらの
構造は機器側の電池パックの収容スペースが増加し、電
池パック接続のための部材が増え、機器の小型化を損な
うことになるため、携帯電話機のようにスペースに余裕
がない小型の電子機器では適用し難い構造であった。
【0013】本発明が目的とするところは、電池と回路
基板とを樹脂モールディングにより一体化して電池パッ
クに構成するとき、その外形寸法及び外部接続端子の位
置が精度よく仕上がるようにした電池パックの製造方法
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本願第1発明に係る電池パックの製造方法は、一方面
に外部接続端子を形成した回路基板を接続部材により二
次電池に接続すると共に、回路基板をその他方面が封口
板に対向するように二次電池と間隙を隔てて配置して樹
脂充填対象物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池
及び回路基板を所定位置に位置決めして金型内に配置
し、二次電池と回路基板との間の間隙に樹脂を充填する
樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一体化した中
間完成品に形成し、この中間完成品の少なくとも外部接
続端子を外部露出させて外装被覆を形成することを特徴
とするものである。
【0015】上記第1発明の製造方法によれば、回路基
板を二次電池に接続した樹脂充填対象物を、金型内の所
定位置に回路基板及び二次電池を位置決めして収容し、
二次電池と回路基板とに間の間隔内に樹脂を充填する
と、二次電池と回路基板とを一体化して二次電池の底面
から回路基板の外部接続端子の形成面までの寸法を所定
値にした中間完成品に形成することができる。この中間
完成品に外装被覆を形成すると、分解し難く堅牢構造の
電池パックを構成することができる。
【0016】また、本願第2発明に係る電池パックの製
造方法は、扁平角形に形成された二次電池の封口板側
に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続部
材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封口
板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対象
物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板側
もしくは底面側が金型内に形成された電池位置決め用壁
面に当接するように付勢して位置決めし、回路基板を前
記電池位置決め用壁面と並行に対向して金型内に形成さ
れた基板位置決め用壁面に真空吸着した状態にして金型
内に配置し、二次電池と回路基板との間の間隙に樹脂を
充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一体
化した中間完成品に形成し、この中間完成品の少なくと
も外部接続端子を外部露出させ、外形寸法が一定になる
ように二次成形して外装被覆を形成することを特徴とす
るものである。
【0017】上記第2発明の製造方法によれば、二次電
池の底面側が電池位置決め用壁面に当接するように付勢
し、回路基板を基板位置決め用壁面に真空吸着した状態
にして、二次電池と回路基板とをその間の間隙に樹脂を
充填して一体化すると、二次電池の高さ寸法のバラツキ
及び位置規制されない状態にある回路基板の位置のバラ
ツキは、充填された樹脂の高さ寸法の変化によって吸収
され、中間完成品の高さ寸法は一定に仕上げられる。こ
の中間完成品の外部接続端子を含む所定部位を外部露出
させて外装被覆を形成すると、外部接続端子の位置が精
度よく位置決めされ、分解し難く堅牢構造の電池パック
に形成できる。また、二次電池の封口板側が電池位置決
め用壁面に当接するように付勢し、回路基板を基板位置
決め用壁面に真空吸着した状態にして、二次電池と回路
基板とをその間の間隙に樹脂を充填して一体化すると、
二次電池と回路基板とは樹脂により一定間隔に結合され
た状態が得られる。二次電池の高さ寸法のバラツキは中
間完成品の高さ寸法の変化となるが、外装被覆を行う二
次成形時に外形寸法が一定になるように樹脂成形すると
き、二次電池の底面側の厚さ変化によって吸収される。
【0018】また、本願第3発明に係る電池パックの製
造方法は、扁平角形に形成された二次電池の封口板側
に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続部
材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封口
板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対象
物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板側
もしくは底面側が金型内の電池位置決め用壁面に当接す
るように付勢して位置決めし、回路基板の両端が前記電
池位置決め用壁面と並行に形成された基板位置決め用壁
面に当接するように付勢して位置決めした状態で金型内
に配置し、二次電池と回路基板とを隔てる間隙内に樹脂
を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一
体化した中間完成品に形成し、この中間完成品の少なく
とも外部接続端子を外部露出させ、外形寸法が一定にな
るように二次成形して外装被覆を形成することを特徴と
するものである。
【0019】上記第3発明の製造方法によれば、金型内
に形成された基板位置決め用壁面に回路基板が当接する
ように付勢し、電池位置決め用壁面に二次電池の封口板
側が当接するように付勢すると、二次電池と回路基板と
の間の間隙は一定の寸法に位置決めされ、この間隙内に
樹脂が充填成形されることにより二次電池と回路基板と
が一体化される。このように形成された中間完成品は二
次電池の高さ寸法のバラツキにより高さ寸法にバラツキ
が生じる。この高さ寸法のバラツキは、外装被覆を行う
二次成形時に外形寸法が一定になるように樹脂成形する
とき、二次電池の底面側の厚さ変化によって吸収され
る。また、基板位置決め用壁面に二次電池の底面側が当
接するように付勢した場合には、回路基板は基板位置決
め用壁面に当接するように付勢して、二次電池と回路基
板とをその間の間隙に樹脂を充填して一体化すると、二
次電池の高さ寸法のバラツキ及び位置規制されない状態
にある回路基板の位置のバラツキは、充填された樹脂の
高さ寸法の変化によって吸収され、中間完成品の高さ寸
法は一定に仕上げられる。
【0020】また、本願第4発明に係る電池パックの製
造方法は、扁平角形に形成された二次電池の封口板側
に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続部
材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封口
板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対象
物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板側
もしくは底面側が金型内に形成された電池位置決め用壁
面に当接するように付勢して位置決めし、回路基板の縁
部が前記電池位置決め用壁面と並行に形成された基板位
置決め用溝内に嵌入するようにして位置決めした状態で
金型内に配置し、二次電池と回路基板とを隔てる間隙内
に樹脂を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基板
とを一体化した中間完成品に形成し、この中間完成品の
少なくとも外部接続端子を外部露出させ、外形寸法が一
定になるように二次成形して外装被覆を形成することを
特徴とするものである。
【0021】上記第4発明の製造方法によれば、金型内
に電池位置決め用壁面と基板位置決め用溝との形成方向
を平行に形成して、金型内に回路基板はその縁部が基板
位置決め用溝に嵌入するようにして位置決めし、二次電
池はその底面側が電池位置決め用壁面に当接するように
付勢した場合には、二次電池と回路基板とをその間の間
隙に樹脂を充填して一体化するので、回路基板は位置規
制され、二次電池の高さ寸法のバラツキは充填された樹
脂の高さ寸法の変化によって吸収され、中間完成品の高
さ寸法は一定に仕上げられる。この中間完成品の外部接
続端子を含む所定部位を外部露出させて外装被覆を形成
すると、外部接続端子の位置が精度よく位置決めされ、
分解し難く堅牢構造の電池パックに形成できる。また、
基板位置決め用壁面に回路基板が当接するように付勢
し、電池位置決め用壁面に二次電池の封口板側が当接す
るように付勢すると、二次電池と回路基板との間の間隙
は一定の寸法に位置決めされ、この間隙内に樹脂が充填
成形されることにより二次電池と回路基板とが一体化さ
れる。このように形成された中間完成品は二次電池の高
さ寸法のバラツキにより高さ寸法にバラツキが生じる。
この高さ寸法のバラツキは、外装被覆を行う二次成形時
に外形寸法が一定になるように樹脂成形するとき、二次
電池の底面側の厚さ変化によって吸収される。
【0022】また、本願第5発明に係る電池パックの製
造方法は、扁平角形に形成された二次電池の封口板側
に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を封口板
と間隙を隔てて配置すると共に、弾性により回路基板を
二次電池から離反させる方向に付勢する接続部材により
回路基板を二次電池に接続して樹脂対象物を形成し、二
次電池の底面から回路基板の外部接続端子の形成面まで
の寸法を規制した内部空間が形成された金型内に、前記
樹脂充填対象物を前記接続部材の付勢に抗して配置し、
二次電池と回路基板とを隔てる間隙内に樹脂を充填する
樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一体化した中
間完成品に形成し、この中間完成品の少なくとも外部接
続端子を外部露出させて外装被覆を形成することを特徴
とするものである。
【0023】上記第5発明の製造方法によれば、回路基
板が接続部材により二次電池から離反する方向に付勢さ
れた状態の樹脂充填対象物を、二次電池の底面から回路
基板の外部接続端子の形成面までの寸法を規制した内部
空間が形成された金型内に配置するので、接続部材はそ
の弾性により二次電池と回路基板とを内部空間の対向壁
面に押し付けて二次電池の高さ寸法のバラツキを吸収す
ると同時に回路基板を一定位置に固定して、二次電池の
底面から回路基板までの寸法を一定の状態にすることが
できる。この状態で二次電池と回路基板とに間の間隔内
に樹脂を充填すると、二次電池と回路基板とを一体化し
て二次電池の底面から回路基板の外部接続端子の形成面
までの寸法を所定値にした中間完成品に形成することが
できる。この中間完成品に外装被覆を形成して電池パッ
クに完成させることができる。
【0024】上記各製造方法において、二次電池の封口
板に回路基板方向にアンダーカット部位を形成すること
により、回路基板との間の間隙に充填された樹脂はアン
ダーカット部位に入り込んで二次電池と強固に接合さ
れ、分解し難く堅牢な構造に形成される。
【0025】また、外装被覆は、中間完成品に対して、
回路基板の外部接続端子形成面から二次電池の封口板上
までの間を少なくとも外部接続端子を外部露出させて形
成した上部成形部と、二次電池の底面に所定高さに形成
した下部成形部と、上部成形部と下部成形部との間を二
次電池の短側面でつなぐ連結成形部とを二次成形し、二
次電池の側周面と、上部成形部及び下部成形部の側周部
の一部と、連結成形部とを被覆してシートを巻着させる
ことにより、厚さ寸法が二次電池にシート厚さを加えた
薄型の電池パックに形成することができる。前記連結成
形部は、横断面形状が長円形に形成された二次電池の両
端の円弧部にそれを囲む矩形線内に入るように形成する
と、電池パックの幅寸法を二次電池の幅寸法にシートの
厚さを加えて無駄な寸法増加を防ぐことができ、円弧を
囲む矩形線内の一方にのみ連結成形部を形成すると電池
パックの横断面形状が非対称となり、機器への装填方向
を規制すると共に、円弧部分は機器ケースの角部に形成
されるアール形状に対応させることができる。
【0026】また、外装被覆は、中間完成品に所定高さ
寸法に形成された筒状体又は有底筒状体を被せ、回路基
板の外部接続端子形成面側及び/又は二次電池の底面側
に形成された開口端に、外部接続端子を含む所定部位を
外部露出させて樹脂を充填成形すると、開口端に樹脂を
充填成形することにより中間完成品の全周面を外部接続
端子を含む所定部位を外部露出させて容易に被覆するこ
とができる。
【0027】また、外装被覆は、中間完成品の全外周面
を外部接続端子を含む所定部位を外部露出させて樹脂で
被覆するように成形することができ、中間完成品を密閉
状態に被覆することができ、耐湿性に優れた電池パック
が構成できる。
【0028】また、一次成形及び二次成形に用いる金型
内の樹脂充填対象物又は中間完成品から外部露出する活
電部位と接触する部位には、絶縁性被覆を施すことによ
り、樹脂充填成形時あるいは外装被覆時に短絡や漏電が
発生することが防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。
尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であ
って、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】本実施形態は、扁平角形のリチウムイオン
二次電池を用いて携帯電話機に適用する電池パックを構
成した例を示すものである。携帯電話機に適用する電池
パックは、小型、軽量、薄型に加えて高機能化に対応す
る高エネルギー密度、携帯機器として避けられない落下
等による衝撃に耐え得る機械的強度、分解され難い構
造、短絡や過充電、高温等から二次電池を保護する安全
機能など備えることが要求されており、以下に示す電池
パックはこれらの要件を満たすように構成されている。
【0031】図1は、実施形態に係る電池パック1の外
観を示すもので、一方端面に正極端子及び負極端子、温
度検出端子からなる外部接続端子6を外部露出させ、後
述するテスト端子30上に水没シール9を貼着し、扁平
な非対称形状に構成されている。図2は、この電池パッ
ク1を分解して各構成要素を示したもので、以下に各構
成要素の詳細と、各構成要素を用いた電池パック1の製
造方法について説明する。
【0032】リチウムイオン二次電池(以下、二次電
池)2は、図3に示すように、横断面形状が長円形の有
底筒状に形成されたアルミニウム製の電池缶22内に発
電要素を収容し、その開口端は封口板23がレーザー溶
接されることによって封口されている。電池缶22に接
合して電池正極となる封口板23には、その中央に上ガ
スケット24a及び下ガスケット24bで絶縁して電池
負極25が凸形成されている。また、封口板23の両側
には封口板23をプレス加工してキノコ状の係合突起
(アンダーカット部位)26、26が形成されている。
尚、27は電解液注入口を閉じる封栓で、電池缶22内
に電解液を注入した後、電解液注入口は封栓27によっ
て閉じられ、封栓27は封口板23に溶接される。
【0033】前記係合突起26は、封口板23の所定位
置にプレス加工により円筒状の突出部を形成し、これの
頭部が周囲に開くようにプレス加工すると、図示するよ
うなキノコ状に形成される。尚、係合突起26の形成は
プレス加工によらず、キノコ状の部材や逆L字状の部材
を封口板上に溶接することによっても形成することがで
きる。
【0034】上記二次電池2には、図3(c)に示すよ
うに、電池負極25に温度ヒュ−ズ10の一方接続片1
0aが溶接される。温度ヒューズ10の上面には破線で
示すように断熱シート16が貼着され、後述する樹脂充
填時に温度ヒューズ10が溶断することを防止してい
る。温度ヒューズ10の他方接続片10bは封口板23
上に貼着された絶縁紙21上に配置され、後述する負極
リード板5の一端にスポット溶接により接合される。ま
た、温度ヒューズ10と二次電池2との間には両者を接
合して熱伝導性の接着剤が塗布され、温度ヒューズ10
は二次電池2に熱結合した状態にしている。
【0035】二次電池2を過充電や過放電、過電流から
保護する保護回路を構成した回路基板3は、その外面側
となる一方面に、図4(a)に示すように、前記外部接
続端子6やテスト端子30が形成され、二次電池2側と
なる他方面に、図4(b)に示すように、集積回路部品
をはじめとする電子部品31が実装され、両側に二次電
池2に接続するための正極半田付けランド32、負極半
田付けランド33が形成されている。尚、各図において
回路基板3に形成されている回路パターンやスルーホー
ル等の表示は省略している。
【0036】図4(c)に示すように、前記正極半田付
けランド32には電子部品31との間に絶縁紙34を介
した正極リード板(接続部材)4の一端が半田付けさ
れ、負極半田付けランド33には負極リード板(接続部
材)5の一端が半田付けされる。
【0037】この接続加工を終えた回路基板3は、図5
(a)に示すように、二次電池2に対し、正極リード板
32の他端は封口板23の板面に、負極リード板33の
他端は前記温度ヒューズ10の他方接続片10b上に、
それぞれスポット溶接される。この接続状態では、回路
基板3は封口板23の板面に対して直交する方向になっ
ているので、図5(b)に示すように、正極及び負極の
各リード板4、5を折り曲げ、回路基板3の板面と封口
板23の板面との間に間隙を設け、略並行になる状態に
整形する。このように二次電池2に回路基板3を接続し
て、図11(a)に示すような樹脂充填対象物7が形成
される。
【0038】上記樹脂充填対象物7の二次電池2と回路
基板3との間の間隙に樹脂を充填成形して二次電池2と
回路基板3とを一体化する。このとき、二次電池2の底
面から回路基板3の外部接続端子6の形成面までの高さ
Hが所定寸法になるように樹脂成形することが重要で、
それを実現する第1〜第4の製造方法について以下に説
明する。 (第1の製造方法)図6(a)に示すように、一次モー
ルド金型35の下型36は、可動部41が付勢手段45
によって固定部42側に移動可能に構成され、可動部4
1には真空吸着部43が設けられている。前記可動部4
1を後退させた状態にして下型36内に樹脂充填対象物
7(図6では二次電池2と回路基板3のみを表示)を配
置し、可動部41を前進させると二次電池2はその底面
が固定部42の内壁面に押し付けられて位置決めされ
る。一方、回路基板3は真空吸着部43からの真空吸引
により真空吸着部43の壁面に密着して位置決めされ
る。
【0039】前記二次電池2の底面から回路基板3の外
部接続端子6の形成面までの高さ寸法Hは、二次電池2
の高さ寸法hのバラツキ及び回路基板3が一定位置に固
定されていないことが原因で変動するが、回路基板3は
真空吸引によって一定位置に固定され、可動部41は二
次電池2の高さ寸法hに応じて、その前進量が変化する
ので、下型36内に位置決めされた二次電池2と回路基
板3とは、それらの間の間隙の高さ寸法Gの変化によ
り、二次電池2の底面から回路基板3の外部接続端子6
の形成面までの高さ寸法Hは一定の状態になる。
【0040】樹脂充填対象物7に対して樹脂充填成形す
るときの二次電池2と回路基板3との位置決めは、一次
モールド金型35の下型36aを図6(b)に示すよう
に構成することもできる。回路基板3は真空吸着により
基板位置決め用壁面75に密着し、二次電池2は押圧軸
85が付勢手段76によって付勢されることにより電池
位置決め用壁面77に両肩部分が当接する。この構成で
は、二次電池2と回路基板3との間隔Gは一定に位置決
めされ、二次電池2の高さ寸法hのバラツキは二次電池
2の底面から回路基板3の外部接続端子6の形成面まで
の高さ寸法H4の変動となるが、この高さ寸法H4の変
動は後述する二次モールドによって吸収される。
【0041】上記のように二次電池2と回路基板3とを
位置決めした下型36、36a上に、図7に示す上型3
7を下降させ、上型37に設けられたゲート44から二
次電池2と回路基板3との間の間隙に樹脂を注入する。
注入された樹脂は、図8に示すように、回路基板3に実
装された電子部品31や正極及び負極の各リード板4、
5の周囲にも回り込んで回路基板3に接合し、二次電池
2の封口板23上に形成された係合突起26のアンダー
カット部分にも回り込んで封口板23に接合した一次モ
ールド体11に成形される。樹脂は電子部品31や二次
電池3、あるいは温度ヒューズ10に悪影響を与えない
程度の温度で流動化し、温度低下により硬化するホット
メルトが好適である。
【0042】樹脂の温度が比較的低くても200℃を越
える温度であるため、溶断温度が104℃に設定されて
いる温度ヒューズ10に触れると、温度ヒューズ10は
溶断して電池パック1自体の機能を停止させてしまうこ
とになる。その対策は、断熱シートにより温度ヒューズ
10と樹脂との間を熱的に遮蔽する方法や樹脂と直接触
れない位置に温度ヒューズ10を配設する方法などを別
途発明により提案しているが、ここでは、前述したよう
に温度ヒューズ10上に断熱シート16を貼着して、樹
脂の熱が温度ヒューズ10に伝熱することを抑えてい
る。また、一次モールド金型35の温度ヒューズ10の
配設位置に対応する部位を熱伝導性のよい材質(例え
ば、アルミニウム)で形成し、樹脂の熱を金型側に放散
させ、温度ヒューズ10への熱伝導を抑制することによ
っても解決することができる。
【0043】樹脂充填対象物7は二次電池2の正極、負
極に接続された活電部分が外部露出しているため、一次
モールド金型35内に収容されたときに短絡や漏電が発
生しないように、一次モールド金型35の露出した活電
部分が接触する恐れのある部位には、アルミナ処理ある
いはフッ素樹脂処理による絶縁被覆が施されている。ま
た、金型をアルミニウムで形成し、所要部位をアルマイ
ト処理することにより前記絶縁被覆が形成されると同時
に、熱伝導性の向上により温度ヒューズ10に対する充
填樹脂による熱影響が抑制される。
【0044】充填された樹脂を硬化させた後、上型37
を上昇させ、真空吸引を解除し、可動部41又は付勢手
段76を後退させると、図8に示すように二次電池2と
回路基板3とが樹脂の硬化により形成された一次モール
ド体11により一体化され、図11(b)に示すような
中間完成品8として下型36から取り出すことができ
る。この中間完成品8の周囲に外装被覆を施すことによ
って電池パック1に形成することができる。
【0045】ここでは、外装被覆は、二次モールディン
グと巻着シートの貼着によって施される。二次モールデ
ィングを実施する前に、二次電池2の底面にインシュレ
ータ14を貼着する。
【0046】二次モールディングは、図9に示すよう
に、二次モールド金型46に前記中間完成品8を配置し
て、中間完成品8の所要部位に樹脂を成形する。二次モ
ールド金型46の下型47には中間完成品8を収容する
凹部50が形成されており、凹部50の一側壁面には内
方に進出付勢される3個の外部接続端子用突起51とテ
スト端子用突起52とが設けられ、対向する他側壁面に
は内方に進出付勢される底面用突起54が設けられてい
る。凹部50内に中間完成品8を配置し、前記外部接続
端子用突起51及びテスト端子用突起52、底面用突起
54を進出させると、外部接続端子用突起51は回路基
板3上に形成された3か所の外部接続端子6に圧接し、
テスト端子用突起52はテスト端子30に圧接し、底面
用突起54は二次電池2に底面に貼着されたインシュレ
ータ14に圧接する。
【0047】中間完成品8を収容した下型47上を上型
48で閉じ、上型48に設けられたゲート53から二次
モールド金型46内に樹脂を充填する。樹脂は4か所か
ら二次モールド金型46内に射出され、図10に示すよ
うに、中間完成品8の外部接続端子6及びテスト端子3
0を外部露出させて回路基板3及び一次モールド体11
を被覆し、図11(c)に示すように二次電池2の封口
板23上に固着した上部成形部17を形成すると共に、
二次電池2の底面にインシュレータ14の周囲を包み込
んで所定厚さに固着した下部成形部18を形成し、更に
前記上部成形部17と下部成形部18とを二次電池の側
面コーナーで連結する連結成形部19が形成される。前
記連結成形部19は、図12に示すように、横断面形状
が長円形の二次電池2の円弧側面の一方側90度部位が
直角に形成されるように樹脂が成形される。前記上部成
形部17及び下部成形部18、連結成形部19によっ
て、図2に示すした二次モールド体12が形成される。
【0048】尚、図6(b)に示した下型36aを用い
て樹脂充填成形された中間完成品8の場合は、前述した
ように二次電池2の高さ寸法hのバラツキにより中間完
成品8の高さ寸法H4が変動するが、二次モールド体1
2が一定の高さ寸法に成形されることによって高さ寸法
H4の変動は吸収される。
【0049】また、中間完成品8においても外部接続端
子6などの二次電池2の正極、負極に接続された活電部
分が外部露出しているため、一次モールド金型35と同
様に二次モールド金型46においても中間完成品8に短
絡や漏電が発生しないように、二次モールド金型46の
露出した活電部分が接触する恐れのある部位、即ち外部
接続端子6やテスト端子30などに当接する外部接続端
子用突起51及びテスト端子用突起52には、アルミナ
処理あるいはフッ素樹脂処理による絶縁被覆が施されて
いる。
【0050】前記上部成形部17の周面の二次電池寄り
には段差部38が形成されており、これを貼着位置決め
線として、二次電池2の側周面を巻回して巻着シート2
0が巻着される。この後、テスト端子30を用いて動作
状態が検査され、検査合格品にはテスト端子30周囲の
凹部内に水没シール9が貼着され、図1に示したような
電池パック1に形成される。
【0051】このように形成された電池パック1は、図
1に示すように、扁平な一方面の両肩部分が二次電池2
の両側面の円弧が表面に現れる円弧コーナーに形成さ
れ、他方面の両肩部分が連結成形部19によって角形コ
ーナーに形成されるので、外部接続端子6が非対称位置
に形成されていることと相まって機器への逆装填が防止
できる。また、円弧コーナーは機器ケースの角部のアー
ル形状に対応し、無駄な空間が形成されることなく機器
への収納が可能となる。
【0052】また、二次電池2の底面に貼着されたイン
シュレータ14の中央部位には前記下型47の底面用突
起54が当接して樹脂が成形されないので、中間完成品
8の底面側には、図13に示すように凹部39が形成さ
れる。前述のように電池パック1は機器の狭い電池パッ
ク収容空間に装填されるので、電池パックを収容空間か
ら取り出すときに手がかりになるものがないと取り出し
が困難であるが、前記凹部39が形成されていることに
よって電池パック1の底面に爪先を掛けることができ、
凹部39は所謂ネイルフックとなって電池パック1の取
りだしを容易にする。 (第2の製造方法)本第2の製造方法は、前述の樹脂充
填対象物7に樹脂充填して一次モールド体11を成形す
る方法を異にするものである。以下、第1の製造方法と
共通する構成要素には同一の符号を付し、同一の製造方
法の説明は省略して、第2の製造方法について説明す
る。
【0053】図11(a)に示したように形成された樹
脂充填対象物7は、図14(a)に示す一次モールド金
型の下型56内に配置される。回路基板3は下型56の
一方壁面に設けられた押圧軸57が付勢手段59によっ
て押し出されることにより基板位置決め壁面60に両端
部が当接して位置決めされる。また、二次電池は下型5
6の他方壁面に設けられた押圧軸58が付勢手段62に
よって押し出されることによって電池位置決め用壁面6
1に封口板23の両端部が当接して位置決めされる。こ
の位置決めにより、回路基板3が一定位置にない状態
は、二次電池2の底面から回路基板3の外部接続端子6
形成面までの高さ寸法H2に規制される。このように二
次電池2と回路基板3とが位置決めされた下型56上に
上型(図示せず)を下降させ、二次電池2と回路基板3
との間に一定間隔に形成された間隙G2に樹脂が充填さ
れ、二次電池2と回路基板3とを充填された樹脂が硬化
した一次モールド体11により一体化した中間完成品8
に形成される。
【0054】上記一次モールディングによって形成され
た中間完成品8は、二次電池2の高さ寸法hのバラツキ
によって全体の高さ寸法H2が変動する。この高さ寸法
H2の変動は、図9に示した二次モールド金型46によ
る二次モールディング時に、二次電池2の底面に成形さ
れる下部成形部18の厚さが変化することによって吸収
され、一定高さ寸法の電池パック1に形成される。この
外装被覆の形成方法は、上記第1の製造方法によるもの
と同様なので、その説明は省略する。
【0055】上記下型56を用いた二次電池2の位置決
めにおいて、二次電池2の高さ寸法hのバラツキによる
中間完成品8の高さ寸法H2の変動は、図14(b)に
示すように構成された下型56aを用いることによって
一定の高さ寸法H5の中間完成品8に形成することが可
能である。
【0056】図14(b)において、二次電池2は電池
付勢手段81によって付勢されることにより下型56a
の電池位置決め用壁面83に当接して位置決めされ、回
路基板3は基板付勢手段80によって付勢されることに
より下型56aに形成された基板位置決め用壁面82に
当接して位置決めされる。この下型56aの構成によ
り、回路基板3は一定位置に位置決めされ、二次電池2
の高さ寸法hのバラツキは二次電池2と回路基板3との
間の間隙G5の変化によって吸収され、一定高さ寸法H
5の中間完成品8として完成される。 (第3の製造方法)本第3の製造方法は、前述の樹脂充
填対象物7に対する樹脂充填の方法を異にするもので、
以下、第1及び第2の各製造方法と共通する構成要素に
は同一の符号を付し、同一製造方法の説明は省略して、
第3の製造方法について説明する。
【0057】本第3の製造方法においては、図15に示
すように、回路基板3を二次電池2に接続する正極リー
ド板4a及び負極リード板5aを折り曲げに対して弾性
を有する材料によって形成する。この正極リード板4a
及び負極リード板5aの一端側を回路基板3に半田付け
した後、図5(a)に示したように二次電池2に他端を
スポット溶接して、図5(b)に示したように、回路基
板3が二次電池3の封口板23と略並行になるように折
り曲げたとき、正極リード板4a及び負極リード板5a
が折り曲げに対して弾性を有しているため封口板23と
並行にならず、図15に示すように、回路基板3は傾斜
した角度になって二次電池2に接続された状態になった
樹脂充填対象物7が形成される。
【0058】この樹脂充填対象物7を、図16に示すよ
うに、回路基板3の外部接続端子6形成面と二次電池2
の底面との間の寸法H3が規制された一次モールド金型
の下型64内に配置する。このとき、回路基板3は二次
電池2の封口板23と並行になっていないため下型64
内に圧入されることになるが、圧入されると高さ寸法H
3が規制された下型64の壁面に密着して封口板23と
並行した状態に収まると同時に、正極リード板4及び負
極リード板5の弾性による付勢によって二次電池2は対
向壁面に押し付けられる。このように樹脂充填対象物7
を下型64内に収容することによって、二次電池2の高
さ寸法hのバラツキや回路基板3が一定位置にない状態
を正極リード板4及び負極リード板5の曲げ弾性によっ
て吸収して、回路基板3の外部接続端子6の形成面と二
次電池2の底面との間の寸法H3を一定に規制した状態
が得られる。
【0059】上記のように樹脂充填対象物7を収容した
下型64上に上型(図示せず)を下降させ、二次電池2
と回路基板3との間の間隙Gに樹脂を充填すると、二次
電池2と回路基板3とは充填された樹脂によって一体に
固定され、図11(b)に示すような中間完成品8に形
成される。
【0060】この中間完成品8に対する外装被覆の形成
は、第1及び第2の各製造方法と同様に実施することが
できるので、その説明は省略する。 (第4の製造方法)本第4の製造方法は、前述の樹脂充
填対象物7に樹脂充填して一次モールド体11を成形す
る方法を異にするものである。以下、第1及び第2の製
造方法と共通する構成要素には同一の符号を付し、同一
の製造方法の説明は省略して、第3の製造方法について
説明する。
【0061】図11(a)に示したように形成された樹
脂充填対象物7は、図17(a)に示す一次モールド金
型の下型91内に配置される。回路基板3は下型91に
形成された基板位置決め用溝92に両端部を嵌入させる
ことにより位置決めされる。また、二次電池は下型91
に設けられた付勢手段94によって押し出されることに
よって電池位置決め用壁面93に封口板23の両端部が
当接して位置決めされる。この位置決めにより回路基板
3が一定位置にない状態は、二次電池2の底面から回路
基板3の外部接続端子6形成面までの高さ寸法H6に規
制される。このように二次電池2と回路基板3とが位置
決めされた下型56上に上型(図示せず)を下降させ、
二次電池2と回路基板3との間に一定間隔に形成された
間隙G6に樹脂が充填され、二次電池2と回路基板3と
を充填された樹脂が硬化した一次モールド体11により
一体化した中間完成品8に形成される。
【0062】上記一次モールディングによって形成され
た中間完成品8は、二次電池2の高さ寸法hのバラツキ
によって全体の高さ寸法H2が変動する。この高さ寸法
H2の変動は、図9に示した二次モールド金型46によ
る二次モールディング時に、二次電池2の底面に成形さ
れる下部成形部18の厚さが変化することによって吸収
され、一定高さ寸法の電池パック1に形成される。この
外装被覆の形成方法は、上記第1の製造方法によるもの
と同様なので、その説明は省略する。
【0063】上記下型91を用いた二次電池2の位置決
めにおいて、二次電池2の高さ寸法hのバラツキによる
中間完成品8の高さ寸法H6の変動は、図17(b)に
示すように構成された下型91aを用いることによって
一定の高さ寸法H7の中間完成品8に形成することが可
能である。
【0064】図17(b)において、二次電池2は電池
付勢手段97によって付勢されることにより下型91a
の電池位置決め用壁面96に当接して位置決めされ、回
路基板3は基板位置決め用溝95に両端部が嵌入して位
置決めされる。この下型91aの構成により、回路基板
3は一定位置に位置決めされ、二次電池2の高さ寸法h
のバラツキは二次電池2と回路基板3との間の間隙G7
の変化によって吸収され、一定高さ寸法H7の中間完成
品8として完成される。
【0065】上記第1〜第4の各製造方法によって製造
された電池パック1について、落下高さ1.5mでコン
クリート上に6面各2サイクル落下させる自由落下試
験、落下高さ1.0mで鉄板上に50回落下させて機械
的性能を見て、200回落下させて電気特性を見るラン
ダム落下試験を実施し、更に−40℃から80℃の温度
変化を複数回加えるヒートショック試験、3方向の振動
を加える振動試験、外部接続端子に荷重を加える端子強
度試験を実施した。この試験後の電池パック1を機器に
装着し、装着の異常がないか、正常に作動するか、変形
や緩みがないかなどについて検証した。この結果、各試
験後にも障害の発生は見られず、堅牢な構造であること
が立証された。
【0066】また、200℃を越える温度の樹脂を充填
成形することによる二次電池2への影響、あるいは樹脂
充填部位に配設された温度ヒューズ10の損傷について
検証したが、異常発生はなかった。
【0067】また、完成した電池パック1を分解した場
合の状態を検証するために、故意に分解を試みたとこ
ろ、分解は一般的なパックケースを用いた構造に比して
極めて困難であることが明らかであり、一次モールド体
11を破壊すると封口板23の両端に設けられた係合突
起26が破壊され、充填成形された中に存在する正極及
び負極のリード板4、5や接続部分が破壊されて、分解
されたことが容易に判断できる状態となった。
【0068】また、仕上がり外形寸法の精度は、各部の
寸法が±0.1〜0.2mmの誤差範囲に収まり、特に
精度が要求される底面から外部接続端子6までの寸法も
同誤差内であり、機器との接続に支障がない状態になる
ことが確認された。
【0069】以上説明した構成において、中間完成品8
に対する外装被覆は、所要部位に樹脂成形した二次モー
ルド体12と巻着シート13とによって形成している
が、これに限定されるものでなく、図18(a)に示す
ような筒状の外装ケース71に中間完成品8を挿入し、
下方の開口部を樹脂充填により封口し、上方の開口部に
外部接続端子6及びテスト端子30が外部露出するよう
に樹脂充填すると、外形は電池パック1と同様に構成す
ることができる。
【0070】また、図18(b)に示すように、外部接
続端子6及びテスト端子30に対応する位置に開口部を
形成した有底筒状の外装ケース72に中間完成品8を挿
入し、下方の開口部に樹脂充填して封口することによっ
ても電池パック1と同様の外形形状に構成することがで
きる。前記外装ケース72は下方開放の有底筒状体であ
るが、上方を開放した有底筒状に形成して、上部開口部
に外部接続端子6及びテスト端子30が外部露出するよ
うに樹脂充填しても外形は電池パック1と同様に構成す
ることができる。
【0071】また、中間完成品8の外周面に外部接続端
子6及びテスト端子30が外部露出するようにして樹脂
成形することによっても、図1に示したような電池パッ
ク1に構成することができる。
【0072】
【発明の効果】以上の説明の通り本発明によれば、底面
からその対向面にある外部接続端子までの寸法を一定に
して、二次電池と回路基板とを樹脂モールディングによ
り一体化した電池パックを構成することができ、小型の
携帯電子機器に適した電池電源として接続の確実性や落
下等の衝撃に耐え得る堅牢性を備えた電池パックを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る電池パックの外観を示す斜視
図。
【図2】同上電池パックの各構成要素を示す分解斜視
図。
【図3】二次電池の構成を示す(a)は平面図、(b)
は封口板側の断面図、(c)は温度ヒューズを取り付け
た状態での平面図。
【図4】回路基板の構成を(a)は外面側、(b)は内
面側、(c)はリード板取付け状態でそれぞれ示す斜視
図。
【図5】回路基板の二次電池への取付け状態を示す斜視
図。
【図6】第1の製造方法による樹脂充填を説明する模式
図。
【図7】同上一次モールド金型の構成を示す斜視図。
【図8】一次モールド体を形成した状態を示す断面図。
【図9】二次モールド金型の構成を示す斜視図。
【図10】二次モールド体を形成した状態を示す断面
図。
【図11】製造工程の各段階での形成状態を順に示す斜
視図。
【図12】連結成形部の形成位置を説明する断面図。
【図13】中間完成品の底面に形成された凹部を示す斜
視図。
【図14】第2の製造方法による樹脂充填を説明する模
式図。
【図15】第3の製造方法による二次電池への回路基板
の接続状態を示す斜視図。
【図16】第3の製造方法による樹脂充填を説明する模
式図。
【図17】第4の製造方法による樹脂充填を説明する模
式図。
【図18】外装被覆の別態様を示す外装ケースの構成を
示す斜視図。
【図19】電池パックの外部接続端子の形成位置の精度
を説明する模式図。
【符号の説明】
1 電池パック 2 二次電池 3 回路基板 4 正極リード板(接続部材) 5 負極リード板(接続部材) 6 外部接続端子 7 樹脂充填対象物 8 中間完成品 10 温度ヒューズ 11 一次モールド体 12 二次モールド体 13 巻着シート 16 断熱シート 17 上部成形部 18 下部成形部 19 連結成形部 23 封口板 26 係合突起(アンダーカット部位) 35 一次モールド金型 36、47、56、64 下型 41 可動部 42 固定部 43 真空吸着部 45、59、62 付勢手段 46 二次モールド金型 51 外部接続端子用突起 57、58 押圧軸 60、75、82 基板位置決め用壁面 61、77、83 電池位置決め用壁面 92、95 基板位置決め用溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大澤 善樹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 片岡 智志 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 森 猪一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 鳥山 幸一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 水田 雅博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 近田 辰久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5H040 AA07 AA19 AS12 AT02 AY06 CC24 DD02 DD08 DD13 JJ03 LL06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方面に外部接続端子を形成した回路基
    板を接続部材により二次電池に接続すると共に、回路基
    板をその他方面が封口板に対向するように二次電池と間
    隙を隔てて配置して樹脂充填対象物に形成し、この樹脂
    充填対象物を二次電池及び回路基板を所定位置に位置決
    めして金型内に配置し、二次電池と回路基板との間の間
    隙に樹脂を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基
    板とを一体化した中間完成品に形成し、この中間完成品
    の少なくとも外部接続端子を外部露出させて外装被覆を
    形成することを特徴とする電池パックの製造方法。
  2. 【請求項2】 扁平角形に形成された二次電池の封口板
    側に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続
    部材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封
    口板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対
    象物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板
    側もしくは底面側が金型内に形成された電池位置決め用
    壁面に当接するように付勢して位置決めし、回路基板を
    前記電池位置決め用壁面と並行に対向して金型内に形成
    された基板位置決め用壁面に真空吸着した状態にして金
    型内に配置し、二次電池と回路基板との間の間隙に樹脂
    を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一
    体化した中間完成品に形成し、この中間完成品の少なく
    とも外部接続端子を外部露出させて外装被覆を形成する
    ことを特徴とする電池パックの製造方法。
  3. 【請求項3】 扁平角形に形成された二次電池の封口板
    側に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続
    部材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封
    口板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対
    象物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板
    側もしくは底面側が金型内の電池位置決め用壁面に当接
    するように付勢して位置決めし、回路基板の両端が前記
    電池位置決め用壁面と並行に形成された基板位置決め用
    壁面に当接するように付勢して位置決めした状態で金型
    内に配置し、二次電池と回路基板とを隔てる間隙内に樹
    脂を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを
    一体化した中間完成品に形成し、この中間完成品の少な
    くとも外部接続端子を外部露出させて外装被覆を形成す
    ることを特徴とする電池パックの製造方法。
  4. 【請求項4】 扁平角形に形成された二次電池の封口板
    側に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を接続
    部材により二次電池に接続すると共に、その他方面が封
    口板に対向するように間隙を隔てて配置した樹脂充填対
    象物に形成し、この樹脂充填対象物を二次電池の封口板
    側もしくは底面側が金型内に形成された電池位置決め用
    壁面に当接するように付勢して位置決めし、回路基板の
    縁部が前記電池位置決め用壁面と並行に形成された基板
    位置決め用溝内に嵌入するようにして位置決めした状態
    で金型内に配置し、二次電池と回路基板とを隔てる間隙
    内に樹脂を充填する樹脂成形を行って二次電池と回路基
    板とを一体化した中間完成品に形成し、この中間完成品
    の少なくとも外部接続端子を外部露出させて外装被覆を
    形成することを特徴とする電池パックの製造方法。
  5. 【請求項5】 扁平角形に形成された二次電池の封口板
    側に、一方面に外部接続端子を形成した回路基板を封口
    板と間隙を隔てて配置すると共に、弾性により回路基板
    を二次電池から離反させる方向に付勢する接続部材によ
    り回路基板を二次電池に接続して樹脂対象物を形成し、
    二次電池の底面から回路基板の外部接続端子の形成面ま
    での寸法を規制した内部空間が形成された金型内に、前
    記樹脂充填対象物を前記接続部材の付勢に抗して配置
    し、二次電池と回路基板とを隔てる間隙内に樹脂を充填
    する樹脂成形を行って二次電池と回路基板とを一体化し
    た中間完成品に形成し、この中間完成品の少なくとも外
    部接続端子を外部露出させて外装被覆を形成することを
    特徴とする電池パックの製造方法。
  6. 【請求項6】 二次電池の封口板に回路基板方向にアン
    ダーカット部位を形成して、回路基板との間に充填され
    た樹脂を二次電池に係合させる請求項1〜5いずれか一
    項に記載の電池パックの製造方法。
  7. 【請求項7】 外装被覆は、中間完成品に対して、回路
    基板の外部接続端子形成面から二次電池の封口板上まで
    の間を少なくとも外部接続端子を外部露出させて樹脂成
    形した上部成形部と、二次電池の底面に所定高さに形成
    した下部成形部と、上部成形部と下部成形部との間を二
    次電池の短側面でつなぐ連結成形部とを二次成形し、二
    次電池の側周面と、上部成形部及び下部成形部の側周部
    の一部と、連結成形部とを被覆してシートを巻着させた
    請求項1〜5いずれか一項に記載の電池パックの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 二次電池はその横断面形状が長円形に形
    成され、両端の円弧部にそれを囲む矩形線内に入るよう
    に連結形成部を成形する請求項7に記載の電池パックの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 外装被覆は、中間完成品に所定高さ寸法
    に形成された筒状体又は有底筒状体を被せ、回路基板の
    外部接続端子形成面側及び/又は二次電池の底面側に形
    成された開口端に、少なくとも外部接続端子を外部露出
    させて樹脂を充填成形する請求項1〜5いずれか一項に
    記載の電池パックの製造方法。
  10. 【請求項10】 外装被覆は、中間完成品の全外周面に
    対して外部接続端子を含む所定部位を外部露出させて樹
    脂で被覆するように成形する請求項1〜5いずれか一項
    に記載の電池パックの製造方法。
  11. 【請求項11】 一次成形及び二次成形に用いる金型内
    の樹脂充填対象物又は中間完成品から外部露出する活電
    部位と接触する部位には、絶縁性被覆が施されてなる請
    求項1〜10いずれか一項に記載の電池パックの製造方
    法。
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