JP2003239281A - 構造物の施工方法 - Google Patents

構造物の施工方法

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JP2003239281A
JP2003239281A JP2002040184A JP2002040184A JP2003239281A JP 2003239281 A JP2003239281 A JP 2003239281A JP 2002040184 A JP2002040184 A JP 2002040184A JP 2002040184 A JP2002040184 A JP 2002040184A JP 2003239281 A JP2003239281 A JP 2003239281A
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rock
drilling
concrete
hole
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JP2002040184A
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English (en)
Inventor
Akio Kamishima
昭男 神島
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KAMISHIMAGUMI KK
Kamishimagumi KK
Original Assignee
KAMISHIMAGUMI KK
Kamishimagumi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで、しかも短期間で構造物の基礎部
分を確実に補強することができる構造物の施工方法を提
供する。 【解決手段】 砂防ダムの構築予定箇所の堆積土砂や礫
の除去した後、岩盤掘削等により構築予定個所を整形す
る。そして、構築予定箇所の基礎岩盤R上に型枠を組み
立て、次にコンクリート211を打設する。それに続い
て、この基礎コンクリート211を網状に配置した複数
のロックアンカーRAによって岩盤Rに対して締結固定
する。こうして、ロックアンカーRAによる岩盤Rへの
基礎コンクリート211の締結固定が完了すると、その
基礎コンクリート211の上に更にコンクリートを打ち
継ぐための第二段目の型枠を組み立て、コンクリート2
12を打設する。このような作業を繰り返すことによっ
て、壁状コンクリート構造物が構築される。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、砂防ダム、L型
擁壁、調整池、橋梁など構造物の基礎部分を補強する構
造物の施工方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】コンクリート擁壁、橋梁などの構造物の
基礎部分を補強するために、従来よりルートパイルを用
いることが提案されている。このルートパイルとは、セ
メントモルタルやセメントミルクなどの硬化性充填材と
鋼製芯材よりなる小口径杭を地盤に対して網状に配置し
たものであり、(1)このように網状配置により地盤の変
形、小口径杭間の土のすり抜けなどを抑制するという効
果、および(2)硬化性充填材の硬化膨張により、鋼製芯
材との付着力を高めるとともに、地盤との摩擦力を高
め、鋼製芯材と地盤との一体化を促進する効果、を兼ね
備えることにより、ルートパイルと地盤とが一体化した
合成補強体を構築することができる。そこで、このよう
な効果を狙って上記したようにルートパイルを用いた基
礎部分の補強が従来より施工されている。 【0003】具体的には、次のようにして構造物の施工
が行われている。まず、構造物の基礎部分の表面から地
盤に向けて複数本の削孔を網状に形成する。そして、各
削孔にセメントミルクやセメントモルタル等の硬化性充
填材を孔口まで充填した後、削孔内に鋼製芯材を挿入す
る。その後、硬化性充填材が硬化するのを待って、孔口
においてプレートおよびナットを鋼製芯材の後端に取り
付けて締め付けることにより鋼製芯材を緊結させる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ルート
パイルを用いた構造物の施工方法では上記した2つの効
果(1)、(2)が得られるものの、各小口径杭の引き抜き耐
久性は小さいため、必然的に所望程度まで補強するため
には、地盤に数多くの小口径杭を形成する必要があり、
このことが施工コストの増大や工期の長期化などの主要
因のひとつとなっていた。 【0005】また、従来の施工方法では、硬化性充填材
が硬化した後で鋼製芯材を緊結させていたため、その緊
結処理によって硬化した充填材にクラックが入ることが
あり、このクラック発生により期待した強度が得られな
いという問題が発生することがあった。 【0006】この発明は上記課題に鑑みなされたもので
あり、低コストで、しかも短期間で構造物の基礎部分を
確実に補強することができる構造物の施工方法を提供す
ることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】この発明にかかる構造物
の施工方法は、上記目的を達成するため、下記の第1な
いし第3工程、つまり、 第1工程:構造物の基礎部分の表面から地盤中の岩盤領
域に達する削孔を形成する工程、 第2工程:ロックアンカーを削孔に挿入し、前記岩盤領
域において前記ロックアンカーの先端部を前記岩盤領域
と係合させた後、前記アンカー本体の後端に取り付けた
プレートにより前記基礎部分の表面を締め付けて前記ロ
ックアンカーを緊結させる工程、 第3工程:第2工程後に各削孔に硬化性充填材を充填す
る工程、 を実行することで得られるロックアンカーを網状に配置
して地盤上に形成される構造物の基礎部分を補強してい
る。 【0008】上記のように構成された発明では、構造物
の基礎部分がロックアンカーによって岩盤に対して締結
固定され、しかも複数のロックアンカーが網状に配置さ
れる。このように、ロックアンカーをルートパイル的に
使用することによって、それらのロックアンカーと該ロ
ックアンカーに取り囲まれた岩盤領域を一体物とみなす
ことができ、この一体物に対して構造物が固定される。
そして、このように構造物の基礎部分を補強したことに
よって、構造物に作用する外力(静水圧、堆砂圧、地震
力など)に対する抵抗として構造物の自重のみならず一
体物の自重が加わることとなり、構造物の小型軽量化す
ることが可能となる。したがって、構造物の構造材料
(例えばコンクリート量や鉄筋など)を削減することが
でき、施工期間を短縮し、しかも施工コストを低減する
ことができる。 【0009】また、岩盤領域とで一体物を構成するとと
もに、その一体物に対して構造体の基礎部分に固定する
ために、本発明ではロックアンカーが用いられている。
各ロックアンカーの引き抜き耐力は従来より用いられて
いる小口径杭により遥かに高く、必然的に所望程度まで
補強するために必要となるロックアンカーの本数は小口
径杭で補強する場合に比べて相当に少なくなる。その結
果、施工コストの低減や工期短縮がさらに効果的に推し
進めることができる。 【0010】さらに、この発明では、各ロックアンカー
の先端部を岩盤領域に係合させ、アンカー本体の後端に
取り付けたプレートにより基礎部分の表面を締め付けて
ロックアンカーを基礎部分に対して緊結させた後、各削
孔に硬化性充填材を充填しているので、硬化した後に充
填材に対して余分な外力が作用して硬化済みの充填材に
クラックが発生するのを防止することができ、充填材に
よる強度アップを確実に図ることができる。 【0011】 【発明の実施の形態】A.第1実施形態 この第1実施形態は岩盤上に構造物として砂防ダムを施
工する方法であり、図1ないし図3に示す施工手順で構
築される。まず最初に、図1(a)に示すように、砂防
ダムの構築予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、岩盤
掘削等により構築予定個所を整形する。なお、図面中の
符号RL1,RL2は、それぞれ軟岩Iおよび軟岩IIの
岩線を示している。 【0012】次に、構築予定箇所の基礎岩盤R上に型枠
(図示省略)を組み立て、次に同図(b)に示すように
コンクリート211を打設する。そして、このコンクリ
ート211が所定の強度になるまで硬化して砂防ダムの
基礎コンクリート(基礎部分)211が形成されると、
図2(a)に示すように、この基礎コンクリート211
を、複数本のロックアンカーRAを網状に岩盤Rに対し
て配置して締結固定する。 【0013】それに続いて、その基礎コンクリート21
1の上に更にコンクリートを打ち継ぐための第二段目の
型枠(図示省略)を組み立て、図2(b)を示すように
コンクリート212を打設する。このような作業を繰り
返すことによって、図3(a)に示すような壁状コンク
リート構造物(砂防ダム)213が構築される。そして
最後に、埋め戻し214を行うとともに、山腹腹付け2
15を行う(同図(b))。 【0014】ここで、このコンクリート構造物213は
擁壁213aを複数のバットレス213bで支持するバ
ットレスダムであり、従来の砂防ダムよりに比べて小型
軽量化されている。このように小型軽量化できる理由は
以下のとおりである。 【0015】この実施形態では、基礎コンクリート(基
礎部分)211をロックアンカーRAによって岩盤Rに
対して締結固定しており、しかも複数のロックアンカー
RAを網状に配置している。このようにロックアンカー
RAをルートパイル的に使用することによって、それら
のロックアンカーRAと該ロックアンカーに取り囲まれ
た岩盤領域RRを一体物とみなすことができ、この一体
物に対してコンクリート構造物213を固定している。
したがって、コンクリート構造物213に作用する外力
(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗として構
造物213の自重のみならず一体物(岩盤領域)RRの
自重が加わることとなり、コンクリート構造物213の
小型軽量化を図ることができる。その結果、コンクリー
ト構造物213の構造材料(例えばコンクリート量や鉄
筋など)を削減することができ、施工期間を短縮し、し
かも施工コストを低減することができる。 【0016】ここで、ロックアンカーRAとして、従来
より公知のものを使用してもよいが、本願発明者により
発明された、拡径式ロックアンカー(特開2001−9
0067号)やネジ式ロックアンカー(特開2001−
90492号)あるいは次に詳述する拡径式ロックアン
カーを使用するのが望ましい。というのも、これらのロ
ックアンカーおよびロックアンカーの施工方法によれ
ば、いずれもロックアンカー1本当たりの締結固定力が
公知のものに比べて数倍程度高くなり、さらなる低コス
ト化および工期短縮化が可能となる。というのも、コン
クリート構造体213の基礎部分を補強固定するために
ロックアンカーRAが用いられているが、各ロックアン
カーRAの引き抜き耐力は従来より用いられている小口
径杭により遥かに高く、必然的に所望程度まで補強する
ために必要となるロックアンカーRAの本数を小口径杭
で補強する場合に比べて相当に少なくすることができ、
施工コストの低減や工期短縮がさらに効果的に推し進め
ることができる。 【0017】また、次に詳述するように、これらのロッ
クアンカーの施工方法では、各ロックアンカーRAの先
端部を岩盤領域に係合させ、アンカー本体の後端に取り
付けたプレートにより基礎部分の表面を締め付けてロッ
クアンカーを基礎部分に対して緊結させた後、各削孔に
硬化性充填材を充填しているので、硬化した後に充填材
に対して余分な外力が作用して硬化済みの充填材にクラ
ックが発生するのを防止することができ、充填材による
強度アップを確実に図ることができる。 【0018】なお、このような作用効果については、後
で詳述する他の実施形態においても同様である。 【0019】また、上記実施形態では、基礎コンクリー
ト211が岩盤Rと当接する面を水平面とほぼ平行とな
るように設計しているが、後述する第3実施形態の如く
水平面に対して所定角度だけ傾斜させるのが望ましく、
こうすることでコンクリート構造物213に作用する外
力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗を高め
ることができ、コンクリート構造物213の小型軽量化
にさらに寄与する。 【0020】B.ロックアンカーRAの施工 この発明におけるアンカー施工方法は、大きく分けて次
の工程、(1)地盤表面から所定の削孔形成方向に削孔を
形成する削孔形成工程と、(2)その削孔の一部を径方向
に拡大させて削孔の内壁面に段差部を形成する段差部形
成工程と、(3)アンカーの一部を削孔の内壁面に係合さ
せるアンカー係合工程と、(4)アンカーを地盤に対して
緊結させる緊結工程と、(5)削孔内に硬化性充填材を充
填する充填処理と、で構成されており、この順序で各工
程が行われる。以下、各工程について順番に説明する。 【0021】B-1.削孔形成工程について ここで、削孔形成工程を実行するにあたっては、従来よ
り周知の削岩機が用いられている。すなわち、この削岩
機は、ドリルロッドやシャンクロッド等と称されるロッ
ドの先端部に削岩ヘッドを取り付け、さらにロッドに対
して打撃駆動部によりロッドの長手方向に打撃振動を与
えるとともに、回転駆動部によりロッドを回転させるよ
うに構成されている。そして、ロッドを介して削岩ヘッ
ドに対して回転打撃力を与えながら、その削岩ヘッドを
地盤内部に送り込んで地盤に削孔を形成する。 【0022】B-2.段差部形成工程について 次に、削孔を形成する際に使用した削岩ヘッドの代わり
に、図4に示す削岩ヘッドをロッドに装着して削孔の一
部を径方向に拡大削岩する、つまり削孔内部を部分的に
拡径する。 【0023】図4はこの発明にかかるアンカー施工方法
において用いられる削岩ヘッドの一実施形態を示す斜視
図であり、また図5は図4のA−A線断面図であり、さ
らに図6ないし図5は図4の削岩ヘッドを用いた段差部
形成動作を示す図である。 【0024】この削岩ヘッド2は、図4に示すように、
削岩機のロッド4に着脱可能なヘッド本体6を備えてお
り、ロッド4の先端部に装着された状態で削岩機の打撃
駆動部(図示省略)および回転駆動部(図示省略)から
回転打撃力を受けるように構成されている。また、この
実施形態では、ヘッド本体6は削孔8に挿入可能なサイ
ズの厚肉プレートで構成されており、その両面の一方側
端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(+α)をなすよ
うにガイド溝10が設けられるとともに、その両面の他
方側端部には削孔形成方向Xに対して鋭角(−α)をな
すようにガイド溝12が設けられている。 【0025】そして、ヘッド本体6の一方側端側でガイ
ド溝10に沿ってヘッド可動部材14が(+α)方向に
沿ってスライド自在に設けられるとともに、他方側端側
でガイド溝12に沿ってヘッド可動部材16が(−α)
方向に沿ってスライド自在に設けられている。このた
め、これらのヘッド可動部材14,16はヘッド本体6
を削孔形成方向Xに移動させることによって削孔8の中
心軸を中心として径方向において互いに接近・離間移動
可能となっている。また、各ヘッド可動部材14,16
には、削孔内壁面を向いた側面に削岩ビット18が取り
付けられている。なお、これらの削岩ビット18は後述
するように削孔8の内壁面を部分的に削岩して削孔径を
拡大する、つまり削孔内部を部分的に拡径する拡径用ビ
ットとして機能する。この削岩ビット18の形状、大き
さや数などについては任意であり、図4に示す削岩ビッ
ト18の代わりに後で説明する図19の削岩ビット(ボ
タンビット)を設けてもよく、このことは後で説明する
削岩ビットについても全く同様である。 【0026】また、このヘッド本体6の(+X)方向端
部には、円柱部材20の側面に部分的に突起部22を設
けた先端部材24が取り付けられており、その突起部2
2で中空部材26を係止し、この中空部材26に対して
ヘッド本体6および先端部材24が一体的に削孔形成方
向Xに移動自在となっている。 【0027】なお、この実施形態では、ロッド4、ヘッ
ド本体6および先端部材24には、それぞれ貫通孔4
a,6a,24aが設けられており、これら一直線状に
繋がる貫通孔4a,6a,24aを介して削孔8の内底
面に向けて圧縮空気を供給して後述する段差部を形成す
る際に発生する粉塵や被削物などを削孔8から排出可能
としている。 【0028】次に、上記のように構成された削岩ヘッド
2を用いて削孔8の一部を径方向に拡大させて削孔8の
内壁面に段差部を形成する動作について図6ないし図8
を参照しつつ説明する。まず、上記削孔形成工程の実行
によって地盤表面28から地盤内部に向けて下方向(+
X)に形成された削孔8に対し、ロッド4に削岩ヘッド
2を装着した削岩機をセットする。すなわち、図6に示
すように、削岩ヘッド2を削孔8内に挿入し、中空部材
26を削孔底部に載置して削孔径を拡大する位置、つま
り段差部形成位置にヘッド可動部材14,16を配置す
る。このとき、ヘッド可動部材14,16は自重によっ
て中空部材26の上端部で係止されている。なお、この
実施形態では、中空部材26が削孔底部に達するまで削
岩ヘッド2を削孔8内に挿入しているが、段差部形成位
置を図6の位置よりも上方位置とする場合には、中空部
材26が削孔底部から浮いた状態で削岩ヘッド2を位置
決めするようにしてもよい。 【0029】次に、削岩機の打撃駆動部および回転駆動
部の作動を開始して削岩ヘッド2に回転打撃力を与えな
がら、打撃駆動部、回転駆動部、ロッド4、ヘッド本体
6および先端部材24を一体的に削孔形成方向(+X)
に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給も同時に
開始して貫通孔4a,6a,24aを介して削孔8の内
底面に向けて圧縮空気を送り込んでいる。 【0030】すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッ
ド可動部材14,16が削孔8の中心軸を中心として径
方向において互いに離間移動し、図7に示すように削岩
ビット18が削孔内壁面と接触して段差部形成位置での
地盤の削岩が開始される。さらに、打撃駆動部、回転駆
動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を一
体的に削孔形成方向(+X)に送り込み、この送り込み
動作に応じてヘッド可動部材14,16が削孔内壁面を
削岩しながら、削孔8の中心軸を中心として径方向にお
いて互いにさらに離間移動していく(図8)。これによ
って、削孔径が拡大されて段差部(後で説明する図10
〜図12、図15および図18の符号30)が形成され
る。 【0031】こうして、所望深さ、例えば15mm〜2
0mm程度だけ削孔8の一部を削岩して段差部が形成さ
れると、打撃駆動部および回転駆動部の作動を停止する
とともに、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止さ
せる。そして、それに続いて、打撃駆動部、回転駆動
部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を一体
的に(−X)方向に引上げてヘッド可動部材14,16
を削孔8の中心軸を中心として径方向において互いに近
接移動させて削孔8内に戻した後、さらに、打撃駆動
部、回転駆動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部
材24を一体的に(−X)方向に引上げて削孔機を削孔
8から取り除く。こうして、削孔8の一部を径方向に拡
大削孔して段差部が形成される。 【0032】なお、この実施形態では、図4に示すよう
にガイド溝10,12が逆ハ字状に形成されており、回
転打撃力をヘッド本体6に与えながら打撃駆動部、回転
駆動部、ロッド4、ヘッド本体6および先端部材24を
一体的に削孔形成方向Xに送り込むことでヘッド可動部
材14,16を削孔8の中心軸を中心として径方向にお
いて互いに離間させて削孔8の一部を拡大削孔している
が、ガイド溝10,12をハ字状にヘッド本体6に設
け、上記実施形態とは全く逆に、回転打撃力をヘッド本
体6に与えながら打撃駆動部、回転駆動部、ロッド4、
ヘッド本体6および先端部材24を一体的に方向(−
X)に引上げることでヘッド可動部材14,16を削孔
8の中心軸を中心として径方向において互いに離間させ
て削孔8の一部を拡大削孔するように構成してもよい。 【0033】また、この実施形態ではヘッド本体6に対
して回転駆動力と打撃振動力とを与えて削岩ビット18
により削孔内壁面を削岩しているが、回転駆動力のみを
与えて削孔内壁面を削岩して段差部を形成するようにし
てもよい。 【0034】さらに、削岩ヘッドおよび削岩機の構成に
ついては、上記実施形態に記載のものに限定されるもの
ではなく、例えば後で説明するものを用いてもよい。 【0035】B-3.アンカー係合工程および緊結工程に
ついて 次に、上記のようにして段差部を利用してアンカーを係
合する工程について、まず本発明にかかるアンカーの一
実施形態を説明した上で、このアンカーの一部を削孔8
の内壁面に係合するとともに、アンカーを地盤に対して
緊結する手順について詳述する。 【0036】図9は、この発明にかかるアンカーの一実
施形態を示す図である。また、図10は図9のアンカー
の部分構成を示す分解組立斜視図である。このアンカー
は、地盤表面28から地盤内部に向けて下方向(+X)
に形成された削孔8の内壁面32に対して係合可能とな
っている。このように、この実施形態では下方向(+
X)が削孔形成方向となっている。 【0037】このアンカーは、削孔8の内径よりも小さ
な外径を有し、その外周面にネジが螺刻されたアンカー
本体34を有している。このアンカー本体34として
は、例えば鋼棒で構成することができ、一般的なPC鋼
棒の他、住友電工製の「総ネジPC鋼棒・ゲビンデスタ
ーブ」・「細径異形PC鋼棒・スミツイスト」や、神戸
製鋼所製の「高強度異形棒鋼・ネジコン」などを使用す
ることができる。なお、この実施形態では、アンカー本
体34の中心に貫通孔341が設けられており、後述す
るように貫通孔341を介して硬化性充填材を削孔8内
に注入することができるように構成されている。 【0038】このアンカー本体34の先端部には、削孔
8の内径よりも若干小さな外径を有する鋼球よりなる第
1楔部材36が取り付けられている。より詳しくは、第
1楔部材36に貫通孔が形成されており、この貫通孔に
アンカー本体34の先端部が挿通されている。そして、
アンカー本体34の最先端部にナット70が螺合されて
おり、ワッシャー72を介して第1楔部材36を支持
し、第1楔部材36がアンカー本体34の先端部から落
下しないように取り付けている。もちろん、第1楔部材
36の貫通孔に雌ネジを螺刻してアンカー本体34と螺
合させたり、第1楔部材36を溶接などによりアンカー
本体34に固着するようにしてもよい。 【0039】この第1楔部材36の表面のうち削孔8の
開口を向いた上半分は、アンカー本体34の先端側から
後端側に向かう方向(−X)に進むにしたがって径方向
寸法(ここでは外径)が減少する半球面38となってい
る。そして、この半球面38上に、アンカー本体34を
中心に放射状に配置された3つの可動片40,40,4
0よりなる可動ユニット42が設けられている。また、
各可動片40の一方端面41は上半球面38の曲率と同
一曲率に仕上げられており、上半球面38上をその傾斜
面に沿って摺動可能となっている。一方、各可動片40
の他方端側では、その他方端部の一部が当接部位44と
して削孔8の内壁面32と当接するとともに、その他方
端部の他の部位が切欠部位46となっており、次に説明
する第2楔部材と係合可能となっている。 【0040】また、アンカー本体34には、円錐台形状
に仕上げられた第2楔部材48が遊嵌されている。この
第2楔部材48は、アンカー本体34の先端側から後端
側に向かう方向(−X)に進むにしたがって径方向寸法
(ここでは外径)が増大するテーパ面50を有し、その
テーパ面50を第1楔部材36に向けた状態でアンカー
本体34に沿って移動自在となっている。そして、この
実施形態では、削孔形成方向が下方向(+X)であるた
め、その自重により第1楔部材36に向いて移動し、テ
ーパ面50が各可動片40の切欠部位46に係合して下
方移動が規制されている。したがって、後で説明するよ
うにして各可動片40が削孔8の内壁面32側に移動し
て各切欠部位50同士が相互に離間すると、その自重に
よって該離間動作に連動してテーパ面50が各可動片4
0の切欠部位46と係合しながら、第2楔部材48が下
方移動していく。つまり、可動片40は第2楔部材48
により押え付けられながら第1楔部材36の上半球面3
8上を摺動移動する。なお、この実施形態では、可動片
40が摺動する摺動面は球面であるため、アンカー本体
34の引上に伴いこれらの切欠部位46は、まるで花び
らが開花する如くラッパ状に広がっていくため、この動
作を考慮してテーパ面50を設計するのが望ましい。 【0041】第2楔部材48に続いてアンカー本体34
には、鋼管52が遊嵌されており、その鋼管52の先端
部が第2楔部材48の(−X)方向側端面に当接してい
る。また、鋼管52の後端側にアンカー本体34に沿っ
て移動自在にアンカープレート53が設けられるととも
に、さらにアンカープレート53の表面側(−X方向
側)でナット54がアンカー本体34に螺合されてい
る。このため、ナット54を(+X)方向に送り込んで
いくと、このナット54はアンカープレートを介して鋼
管52を第2楔部材48に向けて押し付ける。 【0042】次に、上記のように構成されたアンカーを
削孔の内壁面に係合し、さらに地盤に対して緊結する動
作について図面を参照しつつ説明する。 【0043】段差部形成工程によって、その一部に段差
部30が形成された削孔8内に、図10に示すように、
第1楔部材36が取り付けられたアンカー本体34を挿
入した後、第1楔部材36の上半球面38上に3つの可
動片40をアンカー本体34を中心に放射状に配置す
る。そして、第2楔部材48をアンカー本体34に沿っ
て下方向(+X)に移動させてテーパ面50を各可動片
40の切欠部位46に係合させる。これによって、各可
動片40の当接部位44を削孔8の内壁面32に当接さ
せた状態で各可動片40を削孔8内で第2楔部材48お
よび第1楔部材36により姿勢制御している。そして、
図11に示すように、この姿勢状態のままアンカー本体
34を下方向(+X)に降下させていき、段差部30に
当接部位44が嵌り込んで係合した時点で深さ方向への
移動を停止される。つまり、当接部位44が係合された
段差部30の(−X)側段差位置が、係合予定位置とな
る。なお、図11では、同図(b)に段差部30を拡大
して図示しているが、図11以外の図面に示された段差
部30も図11(b)と同様に地盤Rに形成されてい
る。 【0044】それに続いて、図12に示すように、アン
カー本体34に対して鋼管52を遊嵌し、その鋼管先端
部を第2楔部材48の上方端面に当接させた後、アンカ
ープレート53をアンカー本体34に挿通させて鋼管5
2の後端部に押し当て、さらにナット54を(+X)方
向に送り込むことによって鋼管52で第2楔部材48を
(+X)方向に押し遣り、各可動片40をテーパ面50
に沿って削孔8の内壁面32に向けて移動させる。これ
により、当接部位44が段差部30における削孔8の内
壁面32に密接することとなり、しかもナット54はア
ンカー本体34に螺合固定されているため、アンカー本
体34を外部から支えることなく次に説明する駆動ユニ
ット56をセットすることができる。 【0045】この駆動ユニット56は地盤表面28上に
アンカー本体34を削孔形成方向Xに沿って駆動するも
のであり、同図に示すように、油圧式の中空ジャッキ
(例えば、株式会社大阪ジャッキ製作所製のO.J.パ
ワージャッキEC100H15)58と、この中空ジャ
ッキ58を支持する支持機構60とで構成されている。
この支持機構60では、水平支持部材62が複数本の油
圧ジャッキ64によって地盤表面28とほぼ平行な状態
で支持されており、各油圧ジャッキ64のピストンの伸
縮量を調整することで地盤表面28の凹凸にかかわらず
水平支持部材62の水平姿勢を容易に確保することがで
きるようになっている。 【0046】そして、この水平支持部材62に中空ジャ
ッキ58が取り付けられている。この中空ジャッキ58
はアンカー本体34の後端部に外挿されており、アンカ
ー本体34の後端側からナット66を螺合させて中空ジ
ャッキ58の可動部68上面を締め付けている。 【0047】こうしてアンカー本体34の駆動準備が完
了すると、図13に示すように、中空ジャッキ58を駆
動してアンカー本体34を引抜方向(−X)へ移動させ
て、アンカー本体34の先端部に取り付けられた第1楔
部材36を一体的に引抜方向(−X)に移動させる。す
ると、第1楔部材36の移動とともに各可動片40が引
抜方向(−X)に移動しながら、第1楔部材36の上半
球面38上を傾斜方向に摺動することとなり、各可動片
40の当接部位44はアンカー本体34の引抜方向(−
X)と鋭角θ、例えば30゜をなす方向で、かつ段差部
30から地盤表面28に向けて移動して削孔8の内壁面
32に係合される。特に、この実施形態では、3本の可
動片40をアンカー本体34を中心として放射状に配置
しており、可動片40が放射状に突出して径方向に削孔
内壁面32と均一に係合してアンカーが係合される(ア
ンカー係合工程)。 【0048】これに続いて、第2楔部材48、鋼管52
およびアンカープレート53に対してナット54が上方
向(−X)に相対的に移動した分だけナット54を下方
向(+X)に送り込む。これによって、図14に示すよ
うに、ナット54がアンカープレート53を地盤表面2
8を押し付けるとともに、アンカーを地盤Rに対して緊
結させる(緊結工程)。なお、この実施形態では、緊結
工程の完了後、アンカー本体34からナット66および
中空ジャッキ58を取り外すとともに、支持機構60も
撤収する。また、必要に応じてアンカー本体34の後端
部(−X側端部)を適当に切断除去する。 【0049】B-4.充填処理について 最後に、図9に示すように、アンカー本体34の貫通孔
341を介して削孔8に硬化性充填材80を充填し、支
持抵抗をさらに高めて引き抜き強度および引き抜き耐久
性をさらに向上させている。なお、この実施形態では、
硬化性充填材80として例えば2種類のものを併用する
ことができる。すなわち、可動片40の当接部位44が
削孔8の内壁面と係合している位置に対して樹脂系接着
剤からなる定着用硬化性充填材を充填する一方、その他
においては、モルタル、セメントミルクやグラウト等の
閉塞用硬化性充填材を用いるようにしてもよい。このよ
うに、係合位置に樹脂系接着剤を定着用硬化性充填材と
して用いることで、モルタル、セメントミルクやグラウ
ト等を用いる場合に比べて、引き抜き強度および引き抜
き耐久性を向上させることができる。しかも、引き抜き
強度や引き抜き耐久性の向上に対してあまり寄与しない
位置においては、安価なモルタルなどを用いることでト
ータルコストを低減させることが可能となる。もちろ
ん、単一種類の硬化性充填材を削孔8内に注入して硬化
性充填材を充填するようにしてもよいことはいうまでも
ない。 【0050】以上のように、この実施形態によれば、可
動片40の当接部位44が削孔形成方向Xと鋭角をなす
方向で、かつ地盤表面28に向けて移動して削孔8の内
壁面に当接するため、アンカーに対して引抜方向(−X
方向)の力が作用したとしても、当接部位44がまるで
釣り針の逆鉤のごとく機能し、引抜方向(−X方向)へ
のアンカーの移動を規制して引き抜きに対する大きな抵
抗となり、優れた引き抜き耐久性を得ることができる。 【0051】また、可動片40をアンカー本体34を中
心に放射状に配置しているので、引き抜きに対する抵抗
力が径方向に均等となり、引き抜き耐久性を向上させる
上で効果的に作用している。 【0052】また、上記実施形態では、アンカー本体3
4に対して鋼管52を遊嵌し、鋼管52の後端側から鋼
管52を第2楔部材48に向けて押し付けるように構成
しているので、可動片40の当接部位44をより確実に
削孔形成方向と鋭角をなす方向で、かつ地盤表面28に
向けて移動させることができ、引き抜き耐久性を確実に
向上させることができる。なお、上記実施形態では、鋼
管52を第2楔部材48に押し付けた状態のまま緊結処
理(工程)および充填処理(工程)を実行しているが、
アンカー係合工程においてのみ鋼管52を使用し、その
後、鋼管52を除去して緊結処理および充填処理を行う
ようにしてもよい。 【0053】また、上記実施形態では、削孔8の一部を
径方向にさらに拡大削岩して削孔8の内壁面に段差部3
0を形成した(段差部形成工程)後、可動片40の当接
部位44を段差部30に係合させているが、これは本発
明の必須構成要件ではなく、任意構成要件である。しか
しながら、特に地盤が岩盤となっており、削孔内壁面3
2の硬度が高い場合には、アンカー係合工程を実行した
際に、当接部位44が所望の方向に移動せず、削孔内壁
面32を滑る可能性があるが、上記実施形態のようにア
ンカー係合工程に先立って段差部形成工程を実行してお
くことで、上記滑りを確実に防止することができる。ま
た、段差部30を設けることで、可動片40の当接部位
44がしっかりと削孔8の内壁面に係止されて引き抜き
耐久性をさらに向上させることができる。 【0054】さらに、削孔8内に硬化性充填材80を充
填することにより、硬化性充填材80により定着力がさ
らに加わるとともに、アンカーの腐食などを防止するこ
とができるため、引き抜き耐久性をさらに向上させるこ
とができる。 【0055】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて
上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であ
る。例えば、上記実施形態では、3つの可動片40をア
ンカー本体34を中心に放射状に配置しているが、可動
片40の個数および配置形態はこれに限定されるもので
はなく、任意であり、例えば図15に示すように2つの
可動片40,40をアンカー本体34を挟んで対向配置
するようにしてもよい。 【0056】また、上記実施形態では、第1楔部材36
を鋼球で構成しているが、例えば半球面体で構成し、そ
の球面を削孔8の開口に向けた状態でアンカー本体34
の先端部に取り付けるようにしてもよい。また、第1傾
斜面を球面とすることは本発明の必須構成要件ではな
く、アンカー本体34の先端側から後端側に向かう方向
(−X)に進むにしたがって径方向寸法が減少する傾斜
面であればよく、例えば円錐状や円錐台状の金属部材に
よって第1楔部材36を構成するようにしてもよい。 【0057】また、図16に示すように、鋼棒74を部
分的に切り出し、この太鼓状切出部材76を第1楔部材
とし、その切出部材76にアンカー本体34を取り付け
るようにしてもよい。特に、このように鋼棒74から第
1楔部材を作り出すようにすれば、鋼球や半球体などに
より第1楔部材を構成する場合に比べて、アンカーのコ
ストを抑制することができる。 【0058】また、上記実施形態では、1本の鋼棒によ
りアンカー本体34を構成しているが、例えば図17に
示すように複数本の鋼棒342によりアンカー本体34
を構成してもよい。また、アンカー本体34は、鋼棒の
代わりに、鋼線や撚り鋼線などにより構成するようにし
てもよい。 【0059】また、上記実施形態では、アンカー本体3
4を方向Xに駆動するための駆動源として油圧式の中空
ジャッキ58を用いているが、これ以外の駆動源や駆動
機構などを用いてもよいことはいうまでもない。 【0060】また、上記実施形態では、アンカー本体3
4を引抜方向(−X)へ移動させた後にナット54を下
方向(+X)に送り込み、再び鋼管52で第2楔部材6
を(+X)方向に押し付けているが、このように第2楔
部材48を(+X)方向に押し付ける機構は本発明の必
須構成要件ではなく、任意の構成要件である。ただし、
鋼管52およびナット54を設けることによって上述し
たように当接部位44を係合予定位置(段差部30)に
位置決めた状態でアンカー本体34を外部から支えるこ
となく駆動ユニット56をセットすることができ、作業
性の向上を図ることができる。 【0061】また、ナット54を送りこんで鋼管52で
第2楔部材48を(+X)方向に押し付ける工程につい
ては、アンカー本体34を引抜方向(−X)へ移動させ
ながら同時にナット54を下方向(+X)に送り込み、
常時鋼管52によって第2楔部材48を(+X)方向に
押し付けるようにしてもよい。こうすることで、第2楔
部材48のテーパ面50を可動片40の切欠部位46に
確実に係合させることができる。また、削孔形成方向X
が下向き以外に形成されている場合には、上記実施形態
と異なり自重によって第2楔部材48を第1楔部材36
側に移動させることが難しくなるが、引抜方向(−X)
へのアンカー本体34の移動と、削孔形成方向(+X)
へのナット54の送り込みとを同時に行うことによって
上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。つ
まり、この発明によれば、削孔形成方向Xが下向きに限
定されず、地盤表面28から任意の削孔形成方向Xに削
孔8が形成された地盤Rに対してアンカーを施工するこ
とができる。 【0062】また、上記実施形態では、可動片40の当
接部位44がアンカー本体34の引抜方向(−X)と3
0゜をなす方向に移動させているが、この角度θはこれ
に限定されるものではない。例えば、図18に示すよう
に可動片40が削孔8の径方向に移動する、つまり角度
θが90゜となっているアンカーを用いてアンカー施工
方法を行うようにしてもよい。以下、図18を参照しつ
つ、本発明にかかるアンカー施工方法の他の実施形態に
ついて説明する。 【0063】ここで、アンカー施工方法を説明する前
に、アンカーの構成について詳述する。このアンカーが
先の実施形態で使用されたアンカー(図9)と大きく相
違する点は、可動片40が楔部材36の上半球面38上
をその傾斜方向に沿って摺動することによって削孔8の
径方向に移動可能となっている点である。すなわち、こ
のアンカーはアンカー本体34の先端部に鋼球よりなる
楔部材36が取り付けられている。より詳しくは、楔部
材36に貫通孔が形成されており、この貫通孔にアンカ
ー本体34の先端部が挿通されている。そして、アンカ
ー本体34の最先端部にナット70を螺合し、そのナッ
ト70で楔部材36を支持することによって、楔部材3
6がアンカー本体34の先端部から落下しないように取
り付けている。 【0064】この楔部材36の表面のうち削孔8の開口
を向いた上半分は、アンカー本体34の先端側から後端
側に向かう方向(−X)に進むにしたがって径方向寸法
(ここでは外径)が減少する半球面38となっている。
そして、この半球面38上に、アンカー本体34を中心
に放射状に配置された複数の可動片40よりなる可動ユ
ニット42が設けられている。また、各可動片40の一
方端面41は上半球面38上をその傾斜面に沿って摺動
し、削孔の径方向に移動可能となっている。 【0065】次に、このように構成されたアンカーを用
いたアンカー施工方法について説明する。この実施形態
においても、先の実施形態と同様に、(1)地盤表面から
所定の削孔形成方向に削孔を形成する削孔形成工程と、
(2)その削孔の一部を径方向に拡大させて削孔の内壁面
に段差部を形成する段差部形成工程と、(3)アンカーの
一部を削孔の内壁面に係合させるアンカー係合工程と、
(4)アンカーを地盤に対して緊結させる緊結工程と、(5)
削孔内に硬化性充填材を充填する充填処理と、をこの順
序で行うが、これらの工程のうちアンカー係合工程を除
く工程は先の実施形態と同一であるため、ここではアン
カー係合工程について詳述し、その他の工程については
説明を省略する。 【0066】この実施形態では、段差部形成工程によっ
て、その一部に段差部30が形成された削孔8内に、図
18(a)に示すように、楔部材36が取り付けられた
アンカー本体34を挿入した後、楔部材36の上半球面
38上に3つの可動片40をアンカー本体34を中心に
放射状に配置する。そして、ガイド部材90をアンカー
本体34に沿って下方向(+X)に移動させ、そのガイ
ド部材90の先端に取り付けられた突起部92を各可動
片40の切欠部位46に係合させる。これによって、各
可動片40の外側面96を削孔8の内壁面32に当接さ
せた状態で各可動片40を削孔8内で突起部92および
楔部材36により姿勢制御している。そして、同図
(b)に示すように、この姿勢状態のままアンカー本体
34を下方向(+X)に降下させていく。すると、各可
動片40が段差部30まで降下すると、各可動片40は
楔部材36の上半球面38を摺動して削孔8の径方向に
移動し、その外側部が段差部30内に嵌り込んで係合す
る。そして、この時点で深さ方向Xへの移動を停止す
る。つまり、段差部30が係合予定位置となる。 【0067】それに続いて、同図(c)に示すように、
ガイド部材90をアンカー本体43から引抜いた後、ア
ンカー本体43の後端側にジャッキ(図示省略)を取り
付けるとともに、そのジャッキを駆動してアンカー本体
34を引抜方向(−X)へ移動させて、アンカー本体3
4の先端部に取り付けられた楔部材36を一体的に引抜
方向(−X)に移動させる。すると、楔部材36の移動
に応じて各可動片40が楔部材36の上半球面38上を
傾斜方向に摺動しながら、削孔8の径方向(θ=90
゜)に移動して削孔8の内壁面32に係合される。特
に、この実施形態では、3本の可動片40をアンカー本
体34を中心として放射状に配置しており、可動片40
が放射状に突出して径方向に削孔内壁面32と均一に係
合してアンカーが係合される(アンカー係合工程)。 【0068】以上のように、この実施形態によれば、ア
ンカーの可動片40を段差部30の内壁面に係合させた
状態でアンカー係合を行っており、可動片40が段差部
30において削孔内壁面にしっかりと係止されることと
なり、アンカーの引き抜き耐久性を向上させることがで
きる。 【0069】また、上記において段差部30および可動
片40の大小関係について特に言及していないが、可動
片40の少なくとも一部が段差部30に嵌入されて削孔
内壁面と係合するように構成することによって上記作用
効果が得られるが、図18に示すように構成するのがよ
り好適である。すなわち、この実施形態では、削孔形成
方向Xにおける、段差部30の幅W30と、可動片40の
幅W40とは、次式 W30≧W40 で示す大小関係が満足されており、削孔形成方向Xにお
いて段差部30が可動片40と同一あるいは可動片40
よりも長くなるように、削孔8の内壁面に段差部30が
形成されているので、上記のように可動片40を径方向
に移動させると、可動片40の外側部が段差部30にす
っぽりと嵌入しており、可動片40全体が段差部30と
係合し、引き抜き耐久性をさらに向上させることができ
る。 【0070】なお、この実施形態では、図18に示す構
成を有するアンカーを用いてアンカー施工を行っている
が、使用可能なアンカーとしては図18に示すものに限
定されるものではなく、可動片を削孔の径方向に移動さ
せて可動片を削孔内壁面に係合させる、いわゆる拡径式
アンカー全般を使用することができる。 【0071】ところで、上記実施形態では、削孔内部を
拡径して段差部を形成するために図4に示す削岩ヘッド
2を用いているが、図19に示す削岩ヘッド100を用
いて段差部を形成するようにしてもよい。以下、図19
および図20を参照しながら、削岩ヘッド100の構成
および動作について詳述する。 【0072】図19は削岩ヘッドの他の実施形態を示す
図であり、同図(a)は正面から見たときの部分断面図
であり、同図(b)は側面から見たときの部分断面図で
あり、同図(c)は同図(a)のB−B線断面図であ
り、いずれも拡径状態を示している。また図20は図1
9の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作(削孔内部の部
分拡径動作)を示す図である。 【0073】この削岩ヘッド100は、図19に示すよ
うに、削岩機に着脱可能なヘッド本体102を備えてお
り、削岩機の先端部に装着された状態で削岩機の回転駆
動部(図示省略)から回転駆動力のみ、あるいは回転駆
動力とともに打撃駆動部(図示省略)から打撃振動力を
受けるように構成されている。また、この実施形態で
は、ヘッド本体102はフランジロッド104にテーパ
ジャック106を装着して形成されているが、これらを
一体的に形成してもよいことは言うまでもない。このテ
ーパジャック106は図4のヘッド本体6と同様に削孔
8に挿入可能なサイズの厚肉プレートで構成されてお
り、その両面の一方側端部には削孔形成方向Xに対して
鋭角(+α)をなすようにガイド溝108が設けられる
とともに、その両面の他方側端部には削孔形成方向Xに
対して鋭角(−α)をなすようにガイド溝110が設け
られている。 【0074】そして、ヘッド本体102の一方側端側で
ガイド溝108に沿ってヘッド可動部材112が(+
α)方向に沿ってスライド自在に設けられるとともに、
他方側端側でガイド溝110に沿ってヘッド可動部材1
14が(−α)方向に沿ってスライド自在に設けられて
いる。このため、これらのヘッド可動部材112,11
4はヘッド本体102を削孔形成方向Xに移動させるこ
とによって削孔8の中心軸を中心として径方向において
互いに接近・離間移動可能となっている。また、各ヘッ
ド可動部材112,114には、削孔内壁面を向いた側
面に削岩ビット116が取り付けられている。なお、こ
れらの削岩ビット116は後述するように削孔8の内壁
面を部分的に削岩して削孔径を拡大する、つまり削孔内
部を部分的に拡径する拡径用ビットとして機能する。 【0075】また、このヘッド本体102の(+X)方
向端部には、スリット118とビット支持体120を相
互に螺合して一体化した先端部材122がX方向に移動
自在に取り付けられるとともに、その先端部材122の
(−X)方向端部が、例えば図20(a)に示すよう
に、テーパジャック106の(+X)方向端部、つまり
先端部124により係止可能となっている。また、先端
部材122の内部空間では、テーパジャック106の面
法線方向に内部空間の内径と同一、あるいは若干短いブ
ロック126がスプリングピン128によってテーパジ
ャック106に取り付けられている。したがって、その
内部空間からテーパジャック106側を見ると、先端部
124とブロック126とで十字形が形成され、その十
字形状の各端部がビット支持体120の内壁面を摺動自
在となっている。このため、ヘッド本体102がビット
支持体120の内壁面によりX方向に案内されながら、
X方向に移動自在となっている。 【0076】この先端部材122の先端には、複数の深
堀用ビット129が削孔内底面を向けた状態で固着され
ており、後述するようにしてヘッド本体102に回転打
撃力が与えられると、削孔内底面をさらに削岩可能とな
っている。 【0077】また、先端部材122の(−X)方向端部
には、図19(b)に示すように、ヘッド可動部材11
2,114を挟み込むように、2つの突起部130が設
けられている。各突起部130はX方向においてヘッド
可動部材112,114よりも若干長くなっており、拡
径状態において、ヘッド可動部材112,114がヘッ
ド本体102と先端部材122とで挟み込まれるのを防
止し、拡径状態から縮径状態(図20(a))に戻すの
を容易としている。 【0078】なお、この実施形態では、ヘッド本体10
2およびビット支持体120には、それぞれ貫通孔13
2,134がそれぞれ設けられており、貫通孔132,
134を介して削孔8内部に向けて圧縮空気を供給して
後述する段差部を形成する際に発生する粉塵や被削物な
どを削孔8から排出可能としている。 【0079】次に、上記のように構成された削岩ヘッド
100を用いて削孔8の一部を径方向に拡大させて削孔
8の内壁面に段差部を形成する動作(削孔内部の部分拡
径動作)について図20を参照しつつ説明する。まず、
上記削孔形成工程の実行によって地盤表面28から岩盤
内部に向けて下方向(+X)に形成された削孔8に対
し、削岩ヘッド100を装着した削岩機をセットする。
すなわち、同図(a)に示すように、削岩ヘッド100
を削孔8内に挿入し、先端部材122を削孔底部に載置
して削孔径を拡大する拡径予定位置、つまり段差部形成
位置にヘッド可動部材112,114を配置する。この
とき、ヘッド可動部材112,114は自重によって下
方に移動し、ビット支持体120の上端部で係止されて
いる。 【0080】次に、削岩機の回転駆動部の作動を開始し
て削岩ヘッド100に回転力を与えながら、ヘッド本体
102および先端部材122を一体的に削孔形成方向
(+X)に送り込んでいく。このとき、圧縮空気の送給
も同時に開始して貫通孔132,134を介して削孔8
内部に向けて圧縮空気を送り込んでいる。 【0081】すると、上記送り込み動作に応じて、ヘッ
ド可動部材112,114が削孔8の中心軸を中心とし
て径方向において互いに離間移動し、同図(b)に示す
ように削岩ビット116が削孔内壁面と接触して段差部
形成位置での岩盤の削岩が開始される。さらに、ヘッド
本体102および先端部材122を一体的に削孔形成方
向(+X)に送り込み、この送り込み動作に応じてヘッ
ド可動部材112,114が削孔内壁面を削岩しなが
ら、削孔8の中心軸を中心として径方向において互いに
さらに離間移動していく。これによって、削孔径が拡大
されて段差部(すでに説明した図10の符号30)が形
成される。 【0082】こうして、所望深さ、例えば15mm〜2
0mm程度だけ削孔8の一部を削岩して段差部が形成さ
れると、先に説明した実施形態と同様に、回転駆動部の
作動を停止させ、削岩ヘッド100を削孔8から取り除
くようにしてもよいが、同図(c)に示すように、回転
駆動部とともに打撃駆動部をさらに作動させて回転打撃
力をヘッド本体102に与えると、段差部30をさらに
(+X)方向に拡張することができる。すなわち、回転
打撃力が加えられることで先端部材122に取り付けれ
た深堀用ビット129が削孔8の内底面をさらに削岩し
て削孔8をさらに掘り下げる。また、これと並行して、
拡径状態のヘッド可動部材112,114に取り付けら
れた削岩ビット116が段差部30の(+X)方向端部
をさらに削岩していき、その結果、段差部30が(+
X)方向に拡張される。 【0083】そして、段差部30が所望のサイズに達す
ると、打撃駆動部および回転駆動部を停止するととも
に、圧縮空気の供給も停止して削岩動作を停止させる。
そして、それに続いて、ヘッド本体102および先端部
材122を一体的に(−X)方向に引上げてヘッド可動
部材112,114を削孔8の中心軸を中心として径方
向において互いに近接移動させて削孔8内に戻した後、
さらに、ヘッド本体102および先端部材122を一体
的に(−X)方向に引上げて削孔機を削孔8から取り除
く。 【0084】このように、この実施形態によれば、ヘッ
ド可動部材112,114のサイズに限定されることな
く、所望サイズの段差部30を形成することが可能とな
っている。 【0085】C.第2実施形態 図21および図22は、この発明にかかる構造物の施工
方法の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態
では、岩盤上にL型擁壁を形成している。以下、これら
の図を参照しながら、発明の詳細について説明する。 【0086】まず最初に、図21(a)に示すように、
L型擁壁の構築予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、
岩盤掘削等により構築予定個所を整形する。ここでは、
山の斜面を切り崩して道路RDを作成するとともに、そ
の道路RDの山側面にL型コンクリート擁壁を構築する
場合を例にとって説明する。 【0087】このように山の斜面を切り崩した場合、そ
の斜面を補強しておくことが望ましく、同図に示すよう
に、斜面にロックアンカーRAが施工されて岩盤補強が
行われている。ここで使用するロックアンカーRAとし
ては従来より公知のものであってもよいが、低コスト
で、補強強度を効果的に高めるためには、既に説明した
拡径式ロックアンカー、ネジ式ロックアンカー、図9や
図18に示すロックアンカーを使用するのが望ましい。 【0088】また、この実施形態では、基礎岩盤Rの表
面が水平面に対して所定角度βだけ傾斜するように岩盤
整形している。しかも、その傾斜方向は、山側に向かっ
て深くなるように整形されている。こうすることで、次
のようにして打設されるコンクリート216も水平面に
対して角度βだけ傾斜している。 【0089】次に、構築予定箇所の基礎岩盤R上に型枠
(図示省略)を組み立て、次に同図(b)に示すように
コンクリート216を打設する。そして、このコンクリ
ート216が所定の強度になるまで硬化してL型擁壁の
基礎コンクリート(基礎部分)216が形成されると、
図22(a)に示すように、この基礎コンクリート21
6を、複数本のロックアンカーRAを網状に岩盤Rに対
して配置して締結固定する。なお、ロックアンカーRA
の施工については第1実施形態のそれと同様であるた
め、ここではその説明を省略する。 【0090】こうして、ロックアンカーRAによる岩盤
Rへの基礎コンクリート216の締結固定が完了する
と、その基礎コンクリート216の上に更にコンクリー
ト217を打ち継ぐための第二段目の型枠(図示省略)
を組み立て、コンクリート217を打設する。このよう
な作業を繰り返すことによって、L型コンクリート擁壁
218が構築される。そして最後に、L型擁壁218を
さらに補強すべく、タイロッドTによって傾斜面に施工
されたロックアンカーRAとL型擁壁218とを連結固
定している(同図(b))。 【0091】以上のように、L型擁壁218を岩盤R上
に構築する場合にも、第1実施形態と同様に、基礎コン
クリート(基礎部分)216をロックアンカーRAによ
って岩盤Rに対して締結固定しており、しかも複数のロ
ックアンカーRAを網状に配置している。このようにロ
ックアンカーRAをルートパイル的に使用することによ
って、それらのロックアンカーRAと該ロックアンカー
に取り囲まれた岩盤領域RRを一体物とみなすことがで
き、この一体物に対してコンクリート構造物216を固
定している。したがって、コンクリート構造物216に
作用する外力(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する
抵抗として構造物216の自重のみならず一体物(岩盤
領域)RRの自重が加わることとなり、コンクリート構
造物216の小型軽量化を図ることができる。その結
果、コンクリート構造物216の構造材料(例えばコン
クリート量や鉄筋など)を削減することができ、施工期
間を短縮し、しかも施工コストを低減することができ
る。また、L型擁壁218の小型化によって、構築予定
箇所を整形するために必要となる掘削領域が狭くなり、
施工期間の短縮化および施工コストの低減にとって有利
である。 【0092】また、この実施形態では、基礎コンクリー
ト216が水平面に対して角度βだけ傾斜して設けられ
ているため、L型擁壁(コンクリート構造物)218に
作用する外力に対する抵抗を高めることができ、L型擁
壁218の小型軽量化にさらに寄与する。 【0093】D.第3実施形態 図23は、この発明にかかる構造物の施工方法の第3実
施形態を示す図である。この第3実施形態では、岩盤上
に調整池を形成している。以下、同図を参照しながら、
発明の詳細について説明する。 【0094】まず最初に、同図(a)に示すように、調
整池の構築予定箇所の堆積土砂や礫の除去した後、さら
に岩盤Rを大きく掘削して凹部RPを形成する。 【0095】この凹部Rpの底面、つまり基礎岩盤R上
に型枠(図示省略)を組み立て、コンクリート219を
打設する。そして、このコンクリート19が所定の強度
になるまで硬化して調整池の基礎コンクリート(基礎部
分)219が形成されると、同図(b)に示すように、
この基礎コンクリート219を、複数本のロックアンカ
ーRAを網状に岩盤Rに対して配置して締結固定する。
なお、ロックアンカーRAの施工については第1実施形
態のそれと同様であるため、ここではその説明を省略す
る。 【0096】こうして、ロックアンカーRAによる岩盤
Rへの基礎コンクリート219の締結固定が完了する
と、その基礎コンクリート219の上に更にコンクリー
ト220を打ち継ぐための型枠(図示省略)を組み立
て、コンクリート220を打設する。このような作業を
繰り返すことによって、調整池が構築される。 【0097】以上のように、調整池を岩盤R上に構築す
る場合にも、第1および第2実施形態と同様に、基礎コ
ンクリート(基礎部分)219をロックアンカーRAに
よって岩盤Rに対して締結固定しており、しかも複数の
ロックアンカーRAを網状に配置している。このように
ロックアンカーRAをルートパイル的に使用することに
よって、それらのロックアンカーRAと該ロックアンカ
ーに取り囲まれた岩盤領域RRを一体物とみなすことが
でき、この一体物に対してコンクリート構造物たる調整
池を固定している。したがって、次に説明する作用効果
が得られる。 【0098】このように構成された調整池に対する外力
として浮力が作用するが、この浮力に対する抵抗とし
て、従来の調整池はその自重のみであった。これに対
し、本実施形態では、その抵抗として、調整池の自重に
加えて、ロックアンカーRAによる締結固定力が加わ
る。その結果、調整池を軽量化することが可能となり、
使用するコンクリート量を削減することができ、施工期
間を短縮し、しかも施工コストを低減することができ
る。また、調整池の基礎コンクリート219を薄肉化す
ることで、凹部Rpの深さを抑制することができる。こ
のため、掘削深さが浅くなり、施工期間の短縮化および
施工コストの低減にとって有利である。 【0099】E.その他 なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものでは
なく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの
以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、本
発明にかかる施工方法を適用可能な実施形態として、砂
防ダム、L型擁壁および調整池を例示しているが、本発
明の適用対象はこれらに限定されるものではなく、コン
クリート橋脚やコンクリート高層建物などにも本発明を
適用することができる。 【0100】また、上記実施形態では、基礎コンクリー
ト(基礎部分)へのロックアンカーの施工本数や施工間
隔などについては一切言及していないが、これらは任意
であり、コンクリート構造物の大きさ、それに作用する
外力の大きさなどに基づき決定することができる。 【0101】さらに、上記実施形態は、新たにコンクリ
ート構造物を形成するものであるが、既に構築されてい
る構造物に対しても本発明を適用することができる。す
なわち、既に構築されている構造物の基礎部分に対して
貫通孔を削孔し、さらに掘り進めて岩盤にも掘削孔を設
けた後で、上記実施形態と同様にしてロックアンカーを
施工することで当該構造物を補強することができる。し
たがって、本件発明は、他の目的として既存構造物の強
度を補強することを含んでいるといえる。 【0102】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、構造
物の基礎部分を網状に配置されたロックアンカーによっ
て岩盤に対して締結固定しているので、ロックアンカー
と該ロックアンカーに取り囲まれた岩盤領域とを一体物
とみなすことができ、その結果、構造物に作用する外力
(静水圧、堆砂圧、地震力など)に対する抵抗として構
造物の自重のみならず一体物の自重が加わることとな
り、構造物の小型軽量化を図ることができる。したがっ
て、構造物の構造材料(例えばコンクリート量や鉄筋な
ど)を削減することができ、施工期間を短縮し、しかも
施工コストを低減することができる。また、構造物の小
型化によって、構築予定箇所を整形するために必要とな
る掘削領域が狭くなり、施工期間の短縮化および施工コ
ストの低減の面で有利なものとなる。また、ロックアン
カーの引き抜き耐力は従来より用いられている小口径杭
により遥かに高く、必然的に所望程度まで補強するため
に必要となるロックアンカーの本数を小口径杭で補強す
る場合に比べて相当に少なく設定することができ、本数
削減分だけ、施工コストの低減や工期短縮をさらに効果
的に推し進めることができる。さらに、ロックアンカー
を基礎部分に対して緊結させた後、各削孔に硬化性充填
材を充填しているので、硬化性充填材に対して余分な外
力が作用せず、充填材による強度アップを効果的に図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明にかかる構造物の施工方法の第1実施
形態を示す図である。 【図2】この発明にかかる構造物の施工方法の第1実施
形態を示す図である。 【図3】この発明にかかる構造物の施工方法の第1実施
形態を示す図である。 【図4】アンカー施工方法で使用される削岩ヘッドの一
実施形態を示す斜視図である。 【図5】図4のA−A線断面図である。 【図6】図4の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。 【図7】図4の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。 【図8】図4の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作を示
す図である。 【図9】この発明にかかる構造物の施工方法で使用され
るロックアンカーの一実施形態を示す図である。 【図10】図9のロックアンカーの部分構成を示す分解
組立斜視図である。 【図11】図9のロックアンカーの施工方法を示す図で
ある。 【図12】図9のロックアンカーの施工方法を示す図で
ある。 【図13】図9のロックアンカーの施工方法を示す図で
ある。 【図14】図9のロックアンカーの施工方法を示す図で
ある。 【図15】この発明にかかる構造物の施工方法で使用さ
れるロックアンカーの他の実施形態を示す図である。 【図16】この発明にかかる構造物の施工方法で使用さ
れるロックアンカーの別の実施形態を示す図である。 【図17】この発明にかかる構造物の施工方法で使用さ
れるロックアンカーのさらに別の実施形態を示す図であ
る。 【図18】アンカー施工方法の他の実施形態を示す図で
ある。 【図19】アンカー施工方法で使用される削岩ヘッドの
他の実施形態を示す斜視図である。 【図20】図19の削岩ヘッドを用いた段差部形成動作
を示す図である。 【図21】この発明にかかる構造物の施工方法の第2実
施形態を示す図である。 【図22】この発明にかかる構造物の施工方法の第2実
施形態を示す図である。 【図23】この発明にかかる構造物の施工方法の第3実
施形態を示す図である。 【符号の説明】 8…削孔 80…硬化性充填材 211,216,219…基礎コンクリート(基礎部
分) 213…砂防ダム(構造物) 218…L型擁壁(構造物) R…岩盤 RA…ロックアンカー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下記の第1ないし第3工程を実行するこ
    とで得られるロックアンカーを網状に配置して地盤上に
    形成される構造物の基礎部分を補強することを特徴とす
    る構造物の施工方法。前記第1工程は、前記基礎部分の
    表面から前記地盤中の岩盤領域に達する削孔を形成する
    工程であり、 前記第2工程は、ロックアンカーを前記削孔に挿入し、
    前記岩盤領域において前記ロックアンカーの先端部を前
    記岩盤領域と係合させた後、前記アンカー本体の後端に
    取り付けたプレートにより前記基礎部分の表面を締め付
    けて前記ロックアンカーを緊結させる工程であり、しか
    も、 前記第3工程は、前記第2工程後に各削孔に硬化性充填
    材を充填する工程である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101361842B1 (ko) * 2011-09-09 2014-02-12 주식회사고려이엔시 경사파일 시공장치 및 이를 이용한 경사파일 시공방법
JP2020153139A (ja) * 2019-03-20 2020-09-24 極東興和株式会社 透過型砂防ダムおよびその構築方法
JP7341579B1 (ja) 2023-07-04 2023-09-11 株式会社地盤リスク研究所 擁壁の補強工法

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