JP2003238864A - フタロシアニン着色微粒子分散物を含有するインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

フタロシアニン着色微粒子分散物を含有するインク及びインクジェット記録方法

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JP2003238864A
JP2003238864A JP2002043491A JP2002043491A JP2003238864A JP 2003238864 A JP2003238864 A JP 2003238864A JP 2002043491 A JP2002043491 A JP 2002043491A JP 2002043491 A JP2002043491 A JP 2002043491A JP 2003238864 A JP2003238864 A JP 2003238864A
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group
ink
preferable
phthalocyanine
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JP2002043491A
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English (en)
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Yoshiharu Yabuki
嘉治 矢吹
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相と堅牢性(特に耐オゾン性)に優れた着
色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの印刷
用のインク組成物、感熱転写型画像形成材料におけるイ
ンクシート、電子写真用のトナー、LCD、PPDやCCDで用
いられるカラーフィルター用着色組成物、各種繊維の染
色の為の染色液などの各種着色組成物を提供すること。 【解決手段】 特定の構造式で表されるフタロシアニン
着色剤の固体微粒子分散物を含有することを特徴とする
インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なフタロシア
ニン着色微粒子分散物を含むインク、並びにインクジェ
ット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、画像記録材料としては、特にカラ
ー画像を形成するための材料が主流であり、具体的に
は、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録
材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン
化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用さ
れている。また、ディスプレーではLCDやPDPにおいて、
撮影機器ではCCDなどの電子部品においてカラーフィル
ターが使用されている。これらのカラー画像記録材料や
カラーフィルターでは、フルカラー画像を再現あるいは
記録する為に、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原
色の着色剤(染料や顔料)が使用されているが、好まし
い色再現域を実現出来る吸収特性を有し、且つさまざま
な使用条件に耐えうる堅牢な着色剤がないのが実状であ
り、改善が強く望まれている。
【0003】インクジェット記録方法は、材料費が安価
であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少
ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速
に普及し発展しつつある。インクジェット記録方法に
は、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と
画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方
式が有る。またその吐出方式にはピエゾ素子により圧力
を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気
泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた
方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式
がある。また、インクジェット記録用インクとしては、
水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)イン
クが用いられる。
【0004】このようなインクジェット記録用インクに
用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性ある
いは分散性が良好なこと、高濃度記録が可能であるこ
と、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス
(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対し
て堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れてい
ること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこ
と、インクとしての保存性に優れていること、毒性がな
いこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できるこ
とが要求されている。しかしながら、現状ではこのよう
な要求性能を全て満たす着色剤が無く、屋外に展示され
るような堅牢性が要求される場合には顔料が使用され、
高画質やインクの長期安定性が要求される場合には、染
料が使用されている。
【0005】インクジェット記録用インクに用いられる
シアン着色剤の色素骨格としてはフタロシアニンが代表
的である。水溶性のフタロシアニン染料を用いたインク
ジェット印刷物がオゾン等の酸化性ガスによって著しく
褪色する問題が、昨今大きな問題になってきているが、
従来堅牢といわれてきたフタロシアニン顔料を用いたイ
ンクジェット印刷物においても、多孔質のシリカゲルや
アルミナなどの白色無機顔料粒子を含有するインク受像
層を有する受像材料上に印字された印刷物では、水溶性
フタロシアニン染料と比較すれば軽微ではあるが無視で
きないレベルの褪色を示すことが、本発明者らの研究か
ら明らかになった。
【0006】今後、着色画像や着色材料の使用用途が一
層拡大して、屋外の広告等の展示物に広く使用される
と、環境中の活性ガスに曝される場合が多くなるため、
特に良好な色相を有し、環境中のオゾン等の酸化性ガス
に対して堅牢な優れたシアン着色剤及びインク組成物が
ますます強く望まれるようになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、1)色相と堅牢性(特に耐オ
ゾン性)に優れた着色画像や着色材料を与える、インク
ジェットなどの印刷用のインク組成物、感熱転写型画像
形成材料におけるインクシート、電子写真用のトナー、
LCD、PPDやCCDで用いられるカラーフィルター用着色組
成物、各種繊維の染色の為の染色液などの各種着色組成
物を提供し、2)特に、フタロシアニン化合物誘導体の
固体微粒子分散物の使用により良好な色相を有し、光及
び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性の
高い画像を形成することができるインク及びインクジェ
ット記録方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、良好な色
相と光堅牢性及びガス堅牢性(特に、オゾンガス)の高
いフタロシアニン化合物誘導体を詳細に検討したとこ
ろ、従来知られていない特定の色素構造(特定の性質を
有する置換基種を特定の置換位置に特定の置換基数導
入)、すなわち前記一般式(I)、より好ましくは(I
I)で表されるフタロシアニン着色剤の固体微粒子分散
物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明
を完成するに至った。前記課題を解決するための手段
は、以下の通りである。即ち、 (1) 下記一般式(I)で表されるフタロシアニン着
色剤の固体微粒子分散物を含有することを特徴とするイ
ンク。 一般式(I)
【化2】 一般式IにおいてX1、X2、X3およびX4はそれぞれ独
立にσpが0.30以上の電子吸引性基を表す。 Y1
2、Y3およびY4はそれぞれ一価基を表す。a1
4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、Y1〜Y4の置換
基数を表す。 a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数
を表し、 b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表
す。ただしa1〜a4の総和は2以上である。 (2) 一般式(I)で表されるフタロシアニン着色剤
が、下記一般式(II)で表されることを特徴とする上
記(1)に記載のインク。 一般式(II)
【化3】 一般式(II)において、X11〜X14、Y11〜Y18、M
1は一般式(I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4、Mとそれぞ
れ同義である。a11〜a14はそれぞれ独立に1または2
の整数を表す。 (3) 上記(1)又は(2)に記載のインクがインク
ジェット記録用であることを特徴とするインクジェット
記録用インク。 (4) 支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク
受像層を有する受像材料上に、上記(3)に記載のイン
クジェット記録用インクを用いて画像形成することを特
徴とするインクジェット記録方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。 [フタロシアニン着色剤]本発明においては、一般式
(I)で表されるフタロシアニン着色剤の固体微粒子分
散物を用いる。
【0010】一般式(I)
【化4】
【0011】前記一般式(I)において、X1、X2、X
3およびX4はそれぞれ独立にσpが0.30以上の電子吸引
性基を表す。 Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ一価
の置換基を表す。a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1
〜X4、Y1〜Y4の置換基数を表す。 a1〜a4はそれぞ
れ独立に0〜4の整数を表し、 b1〜b4はそれぞれ独
立に0〜4の整数を表す。ただしa1〜a4の総和は2以
上である。また、一般式(I)は置換基としてイオン性
親水性基を有しない。
【0012】X1、X2、X3およびX4は、σpが0.30以
上の電子吸引性基を表すが、σpは0.40以上のものがよ
り好ましく、0.45以上のものが更に好ましい。具体的な
置換基としては、σpが0.40以上の電子吸引性基に
ついては、Chem. Rev. 91, 165-195 (1991)の表1に記
載された置換基より選択することができる。好ましい具
体例としては、0.70以上の置換基としてはニトロ基
およびスルホニル基(アルキル,アリールおよびヘテロ
環の各スルホニル基)を、0.60以上の置換基として
は上記に加えシアノ基、及び置換もしくは無置換のスル
ファモイル基を、0.50以上の置換基としては、上記
に加えホスホリル基およびパーフルオロアルキル基を、
0.40以上の置換基としては、上記に加えホルミル
基、非解離状態のカルボキシル基、スルフィニル基(ア
ルキル,アリールおよびヘテロ環の各スルホニル基)、
アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、N−アリールカルバモイル基等を挙げるこ
とができる。尚、置換基に更に電子吸引性置換基が置換
した場合には、σp値が大きくなって上記分類において
更に上の分類ランクに該当する場合があるが、それらも
好ましく用いることができる。中でも好ましいものとし
ては−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−C
ONR12、CO21を挙げることができる。特に好ま
しいものは、−SO2−Z、−SO2NR12、である。
Zはそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基、
置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは
無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキ
ル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは
無置換のヘテロ環基を表し、特に置換もしくは無置換の
アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換も
しくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも総炭
素数が10個以下の、置換もしくは無置換アルキル基及
び置換もしくは無置換のアリール基が最も好ましい。
【0013】R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
シクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル
基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは
無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基
を表し、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル
基、置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、その
中でも水素原子、総炭素数が10個以下の、置換もしくは
無置換アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基が
最も好ましい。
【0014】Y1、Y2、Y3およびY4で表される一価の
基としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
クロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリー
ル基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ
基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド
基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリー
ルチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンア
ミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニ
ル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、ア
ゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリル
オキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホ
スホリル基、またはアシル基を挙げる事ができ、各々は
さらに置換基を有していてもよい。
【0015】中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド
基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、
スルファモイル基、およびアルコキシカルボニル基が好
ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、およびシアノ基
が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0016】Z、R1、R2、Y1、Y2、Y3およびY4
更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下
に挙げるような置換基を更に有してもよい。
【0017】ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原
子)、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭
素数7〜10のアラルキル基、炭素数2〜10のアルケニル
基、炭素数2〜10の直鎖または分岐鎖アルキニル基、炭
素数3〜10の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、炭素
数3〜10の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基で、詳
しくは(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フ
ェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチ
ル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチル
フェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ
環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリ
ル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2
−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニ
トロ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキ
シ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスル
ホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノ
キシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキ
シ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカル
バモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、ア
シルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、
4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブ
タンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミ
ノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミ
ノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロ
ロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、
メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルフ
ァモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルフ
ァモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチ
オ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリ
ールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5
−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニル
チオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、
メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例え
ば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、
p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例え
ば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバ
モイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスル
ファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−
フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メ
タンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホ
ニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニ
ル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカル
ボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテ
トラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオ
キシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシ
フェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2
−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシ
ルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキ
シ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フ
ェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例え
ば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオ
キシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、
フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N
−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ
基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−
フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2
−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェ
ノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例え
ば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニ
ル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル
基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例え
ば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイ
ル)が挙げられる。
【0018】a1〜a4、b1〜b4は、それぞれX1
4、Y1〜Y4の置換基数を表し、 a1〜a4はそれぞれ
独立に0〜4の整数を表し、 b1〜b4はそれぞれ独立
に0〜4の整数を表す。
【0019】a1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす
それぞれ独立の0〜4の整数を表し、特に好ましいの
は、a1が1または2を表し、b1が3または2を表す組
み合わせであり、その中でもa1が1を表し、b1が3を
表す組み合わせが最も好ましい。
【0020】a2,b2、 a3,b3、 a4,b4 の各
組み合わせにおいても、a1,b1と同様の関係であり、
好ましい組み合わせも同様である。
【0021】Mは、水素原子、金属元素またはその酸化
物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
【0022】Mとして好ましい物は、水素原子、金属原
子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、P
t、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、S
n、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。酸化物としては、VO、G
eO等が挙げられる。 また、水酸化物としては、Si(O
H)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。さらに、
ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOC
l、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。なかでも特に、C
u、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0023】また、L(2価の連結基)を介してPc
(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L
-M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時の
Mはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよ
い。
【0024】Lで表される2価の連結基は、オキシ基−
O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニ
ル基−SO2−、イミノ基−NH−、アリーレン基、メ
チレン基−CH2−、又はこれらの群を組み合わせてで
きる2価の基が好ましい。
【0025】前記一般式(I)で表される化合物の好ま
しいものとしては、置換基の組み合わせとしては、種々
の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化
合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好まし
い基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記
好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0026】本発明においては、化学構造としてスルフ
ィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、カルバモ
イル基、アルコキシカルボニル基のようなσpが0.30以
上電子吸引性基を、フタロシアニンの各ベンゼン環に少
なくとも一つずつ、σp値の合計で1.2以上となるよう
に導入することが、堅牢性を高める上で好ましい。σp
値の合計は大きい方がより好ましく、1.6以上となるこ
とがより好ましく、1.8以上であることは更に好まし
い。具体的なσp値については以下の通りである。−S
O−Z(Z=Me:0.49;Z=CF3:0.69)、−SO2−Z(Z=
Me:0.73;Z=CF3:0.95)、−SO2NR12(SO2NH2
0.57;SO2NMe2:0.65)、−CONR12(−CONH2:0.
31;−CONHCH3:0.36;−CONHPh:0.41)、−CO21
(R=Me:0.39;Ph:0.44)。上記の理由としては、各ベ
ンゼン環上に電子吸引性基を導入することで、オゾンと
反応しやすい部位をなくすことができるためと考えられ
る。従って、前記一般式(I)で表されるフタロシアニ
ン着色剤の中でも、下記一般式(II)で表される構造
のフタロシアニン着色剤が更に好ましい。以下に本発明
の一般式(II)で表されるフタロシアニン着色剤につ
いて詳しく述べる。
【0027】一般式(II)
【化5】
【0028】前記一般式(II)において、X11
14、Y11〜Y18は一般式(I)の中のX1〜X4、Y1
〜Y4とそれぞれ同義であり、好ましい例も同じであ
る。また、M 1は一般式(I)中のMと同義であり、好
ましい例も同様である。
【0029】一般式(II)中、a11〜a14はそれぞれ
独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦
11+a12+a13+a14≦6であり、その中でも特に好
ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
【0030】一般式(II)で表されるフタロシアニン
着色剤の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、
以下の通りである。
【0031】X11〜X14としては、それぞれ独立に−S
2−Zまたは−SO2NR12が好ましい。中でも−S
2−Zが特に好ましい。
【0032】Zはそれぞれ独立に、置換もしくは無置換
のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換
もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基が最も好ましい。
【0033】R1、R2はそれぞれ独立に、水素原子、置
換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の
アリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好まし
く、その中でも水素原子、置換もしくは無置換のアルキ
ル基、置換もしくは無置換のアリール基が最も好まし
い。
【0034】Y11〜Y18は水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミ
ド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル
基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基が好ま
しく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基が好まし
く、水素原子が最も好ましい。a11〜a14はそれぞれ独
立に1または2であることが好ましく、特に全てが1で
あることが好ましい。Mは、水素原子、金属元素または
その酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表し、特
にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCu
が最も好ましい。
【0035】前記一般式(II)で表される化合物の好
ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の
少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ま
しく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である
化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基
である化合物が最も好ましい。
【0036】ハメットの置換基定数σp値について説明
する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に
及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年
L.P.Hammettにより提唱された経験則である
が、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット
則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、
これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる
が、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s
Handbook of Chemistry」第12
版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学
の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年
(南光堂)に詳しい。
【0037】前記一般式(I)で表されるフタロシアニ
ン誘導体は、その合成法によって不可避的に置換基Xn
(n=1〜4)およびYm(m=1〜4)の導入位置お
よび導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的
であり、これら類縁体混合物を統計的に平均化して表し
ている場合が多い。本発明においては、これらの類縁体
混合物を以下に示す三種類に分類すると、特定の混合物
が特に好ましいことを見出した。すなわち前記一般式
(I)および(II)で表されるフタロシアニン着色剤
類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の三種類に分類
して定義する。
【0038】(1)β-位置換型:(2及びまたは3
位、6及びまたは7位、10及びまたは11位、14及
びまたは15位に特定の置換基を有するフタロシアニン
化合物)
【0039】(2)α-位置換型:(1及びまたは4位、
5及びまたは8位、9及びまたは12位、13及びまた
は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合
物)
【0040】(3)α,β-位混合置換型:(1〜16位
に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン化
合物)
【0041】本明細書中において、構造が異なる(特
に、置換位置が異なる)フタロシアニン着色剤の誘導体
を説明する場合、上記β-位置換型、α-位置換型、α,
β-位混合置換型を使用する。
【0042】本発明に用いられるフタロシアニン誘導体
は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行
「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、
C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共
著、VCH発行‘Phthalocyanines−P
roperties and Application
s’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに
類似の方法を組み合わせて合成することができる。
【0043】本発明の一般式(I)で表されるフタロシ
アニン化合物は、世界特許00/17275号、同00
/08103号、同00/08101号、同98/41
853号、特開平10−36471号などに記載されて
いるように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のス
ルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経
て合成することができる。この場合、スルホン化がフタ
ロシアニン核のどの位置でも起こり得る上にスルホン化
される個数も制御が困難である。従って、このような反
応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入さ
れたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の
個数や置換位置の異なる混合物を与える。従ってそれを
原料として本発明に用いられる着色剤を合成する時に
は、置換基の個数や置換位置は特定できないので、本発
明の着色剤としては置換基の個数や置換位置の異なる化
合物が何種類か含まれるα,β-位混合置換型混合物と
して得られる。
【0044】前述したように、例えばスルファモイル基
のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入
すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。
上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている
個数が少ない、即ち酸化電位がより卑であるフタロシア
ニン着色剤が混入してくることが避けられない。従っ
て、オゾン堅牢性を向上させるためには、酸化電位がよ
り卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いる
ことがより好ましい。
【0045】それに対して、本発明の一般式(II)で
表されるフタロシアニン着色剤は、例えば下記式で表さ
れるフタロニトリル誘導体(化合物P)および/または
ジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を一般式
(III)で表される金属誘導体と反応させるか、或いは
下記式で表される4-スルホフタル酸誘導体(化合物
R)と一般式(III)で表される金属誘導体を反応させ
て得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導
することができる。
【0046】
【化6】
【0047】式中pとqは、p=11〜14、q、q’
=11〜18である。
【0048】一般式(III):M−(Y)d (一般式(III)中、Mは前記一般式(I)および(I
I)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオ
ン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の
配位子を示し、dは1〜4の整数である)
【0049】即ち、上記の合成法に従えば望みの置換基
を特定の数だけ導入することができるのである。特に本
発明のように酸化電位を高くするために電子求引性基を
数多く導入したい場合には、上記の合成法は一般式
(I)の合成法と比較して極めて優れたものである。
【0050】かくして得られる前記一般式(II)で表
されるフタロシアニン化合物は、通常、Xpの各置換位
置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)
−4で表される化合物の混合物、すなわちβ-位置換型
となっている。
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】本発明は、σpが0.30以上の置換基を好ま
しい位置に好ましい数だけ導入したフタロシアニン化合
物が、オゾン堅牢性の向上に非常に重要であることが見
出されたものであり、その効果の大きさは前記先行技術
から全く予想することができないものであった。また、
原因は詳細には不明であるが、中でもα,β-位混合置
換型よりはβ-位置換型の方が色相・オゾンガス堅牢性
において明らかに優れている傾向にあった。
【0056】前記一般式(I)および(II)で表され
るフタロシアニン着色剤の具体例(例示化合物I-1〜I
-4およびII-1〜II-36)を下記に示すが、本発明に
用いられるフタロシアニン着色剤は、下記の例に限定さ
れるものではない。なお、一般式(I)に該当する着色
剤はI-1からI-4であり、一般式(II)に該当する
着色剤はII-1〜II−36である。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】前記一般式(I)で表されるフタロシアニ
ン着色剤は、前述した特許に従えば合成することが可能
である。また、一般式(II)で表されるフタロシアニ
ン着色剤は、特願2001−024352号、同2001-096610号、
同2001-057063号、同2001-226275号、および同2001-047
013号に記載の方法により合成することができる。ま
た、出発物質、着色剤の中間体及び合成ル−トについて
はこれらにより限定されるものでない。本発明におい
て、前記一般式(I)で表されるフタロシアニン着色剤
は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、本発明で用いられる固体微粒子分散物は、単一の
化合物であってもよいし混合物であってもよい。
【0062】一般式(I)および(II)で表されるフタ
ロシアニン着色剤は、イオン親水性基を含まず、微粉末
(微結晶粒子)の固体分散物として用いる。微(結晶)
粒子固体分散物は、所望により適当な溶媒(水、アルコ
ールなど)を用い、分散剤の存在下での公知の微細化方
法(例えば、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボール
ミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロー
ラーミル)を用い機械的に調製することができる。染料
の微(結晶)粒子である場合、分散剤を用いて、染料を
適当な溶媒中で溶解させた後、染料の貧溶媒に添加して
微結晶を析出させる方法や、pHをコントロールさせる
ことによってまず染料を溶解させ、その後pHを変化さ
せて微結晶化する方法などを利用してを得ることができ
る。あるいはまた、特開2001-113159号に記載のレーザ
ー光照射による微粒子調整法も用いることができる。
【0063】分散剤としては公知の界面活性剤を用いる
ことができ、米国特許第4006025号、特開昭62
−215272号、特開平1−201655号、同4−
125548号、米国特許第5104776号、欧州特
許EP678771A2号、特開昭63−11935
号、同63−60446号に記載の如きアニオン系界面
活性剤、ノニオン系界面活性剤及びこれらの単独又は複
数の併用、米国特許第3542581号、欧州特許EP
569074A1号に記載の如き両性界面活性剤や、欧
州特許EP602428A1号に記載の如き含フッ素界
面活性剤も用いることができる。特にアニオン性及び/
またはノニオン性界面活性剤の使用が好ましく、さらに
好ましくは特開平4−324858号に記載の如きアニ
オン性ポリマー、特開昭60−158437号や特開平
7−13300号に記載の如きオリゴマー型ポリマー、
米国特許第3860425号に記載の如きノニオン性ポ
リマーを用いることができる。これらは分散後に加える
こともできる。これらの分散剤の使用量は、分散される
着色剤に対し重量比で1ないし200%である。
【0064】本発明において、インクジェット記録液の
被記録媒体への定着性を良好にするため、あるいは分散
剤として、水溶性高分子を加えることもできる。これら
水溶性高分子としては、合成高分子類(例えば、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルア
ミド、ポリアミンサルホン、ビニルアルコール−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、
ポリ(4-ビニルピリジン)塩、ポリアリルアミン塩、縮
合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−メタクリル酸塩
重合体、スチレン−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸
エステル−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル
−メタクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル−メタ
クリル酸塩共重合体、メタクリル酸エステル−メタクリ
ル酸塩共重合体、スチレン−イタコン酸塩共重合体、イ
タコン酸エステル−イタコン酸塩共重合体、ビニルナフ
タレン−イタコン酸塩共重合体等)、セルロース誘導体
(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース塩、ビスコース
等)、でんぷん誘導体(例えば、ヒドロキシアルキルで
んぷん、酢酸でんぷん、架橋でんぷん、デキストリン、
カチオンでんぷん、りん酸でんぷん、カルボキシメチル
でんぷん塩等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸
塩、ゼラチン、アルブミン、ガゼイン、アラビアゴム、
トンガンゴム、リグニンスルホン酸塩等)が挙げられ
る。
【0065】インクジェット記録液中での安定性を付与
し被記録媒体への定着性を良好にするために、着色剤の
固体微粒子分散物を被覆する形で高分子類を加えること
が好ましい。これらの高分子およびその被覆方法につい
ては、特開2001-115065号、同2001-81390号、同2000-32
7968号、同2000-239594号、同2000-219749号、同2000-2
19841号、特開平11-166145号、同10-292143、同10-1400
65、同9-316353、特開平9-151342号、同9-217619号、同
9-104834、同9-31360、同8-183920、同3-221137、欧州
特許1059341号、同505648号、米国特許5741591号等に記
載が有る。
【0066】分散剤の固体微粒子表面への吸着を強める
為、固体微粒子に表面処理を施しても良い。表面処理の
技法とては、溶剤処理、ロジン処理、界面活性剤処理、
顔料誘導体処理、ポリマー処理、トポケミカル処理(低
温プラズマ処理等)などが知られているが、可溶性のフ
タロシアニン誘導体を用いた顔料誘導体処理が好まし
い。具体的な表面処理の方法については、WO 01/10963
号、欧州特許1061106号、同1061107号、特開2000-30301
4号、同2000-81732号、特表2000-512670号、同2000-513
396号、特開平10-95946号、同8-73788号などに記載が有
る。
【0067】上記の合成方法、分散方法、処理方法を用
いる過程で、異なる種々の結晶形が得られることがある
が(結晶多形)、本発明では、いかなる結晶形をも使用
することができる。また、2種以上の異なる結晶を用い
て固溶体として用いても良い。本発明の着色剤は、染
料、顔料のどちらでもよい。固体分散物中の着色剤の微
粒子は、平均粒径0.005μm〜1μmが好ましく、
さらに好ましくは0.005μm〜0.5μmであり、
特に0.01μm〜0.2μmであることが好ましい。
【0068】[インクジェット記録用インク]本発明の
インクはインクジェット記録用インクとして用いること
が好ましい。インクジェット記録用インクは、親油性媒
体や水性媒体中に前記フタロシアニン着色剤を固体状態
で分散させることによって作製することができる。好ま
しくは、水性媒体を用いる場合である。必要に応じてそ
の他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内におい
て含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥
防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進
剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面
張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定
剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ
る。
【0069】前記乾燥防止剤はインクジェット記録方式
に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェッ
ト用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目
的で好適に使用される。
【0070】前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の
低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコー
ル、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチ
レングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプ
ロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリ
コールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレン
グリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエ
チレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等
の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロ
リドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチ
ル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の
複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−ス
ルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジ
エタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げ
られる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコー
ル等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥
防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良
い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50重量%
含有することが好ましい。
【0071】前記浸透促進剤は、インクジェット用イン
クを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。
前記浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノー
ル、ブタノール,ジ(トリ)エチレングリコールモノブ
チルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコー
ル類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム
やノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これ
らはインク中に5〜30重量%含有すれば通常充分な効
果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起
こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0072】前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上
させる目的で使用される。前記紫外線吸収剤としては特
開昭58−185677号公報、同61−190537
号公報、特開平2−782号公報、同5−197075
号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾ
トリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、
特開平5−194483号公報、米国特許第32144
63号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭
48−30492号公報、同56−21141号公報、
特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系
化合物、特開平4−298503号公報、同8−534
27号公報、同8−239368号公報、同10−18
2621号公報、特表平8−501291号公報等に記
載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージ
ャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベ
ン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線
を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も
用いることができる。
【0073】前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上さ
せる目的で使用される。前記褪色防止剤としては、各種
の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することが
できる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、
アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、
フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、ク
ロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあ
り、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがあ
る。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.
17643の第VIIのIないしJ項、同No.1516
2、同No.18716の650頁左欄、同No.36
544の527頁、同No.307105の872頁、
同No.15162に引用された特許に記載された化合
物や特開昭62−215272号公報の127頁〜13
7頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に
含まれる化合物を使用することができる。
【0074】前記防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウ
ム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−
1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステ
ル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびそ
の塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜
1.00重量%使用するのが好ましい。
【0075】前記pH調整剤としては前記中和剤(有機
塩基、無機アルカリ)を用いることができる。前記pH
調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上さ
せる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10
と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10となるよ
うに添加するのがより好ましい。
【0076】前記表面張力調整剤としてはノニオン、カ
チオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。尚、
本発明のインクジェット用インクの表面張力は25〜7
0mN/mが好ましい。さらに25〜60mN/mが好
ましい。また本発明のインクジェット用インクの粘度は
30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以
下に調整することがより好ましい。界面活性剤の例とし
ては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸
塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エス
テル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリ
オキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系
界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキ
シエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エ
ステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポ
リマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、ア
セチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であ
るSURFYNOLS(AirProducts&Ch
emicals社)も好ましく用いられる。また、N,
N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなア
ミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、
特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサ
ーチ・ディスクロージャーNo.308119(198
9年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことが
できる。
【0077】前記消泡剤としては、フッ素系、シリコー
ン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要
に応じて使用することができる。
【0078】本発明のフタロシアニン着色剤を水性媒体
に分散させる場合は、分散時に分散剤や界面活性剤を使
用することができる。分散装置としては、簡単なスター
ラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル
方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミ
ル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル
等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイ
ザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザ
ー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)
を使用することができる。
【0079】前記水性媒体は、水を主成分とし、所望に
より、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いること
ができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール
(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec
−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサ
ノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、
多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリ
コール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセ
リン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリ
コール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングル
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレン
グリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジ
アセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例え
ば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタ
ノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エ
チルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモル
ホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメ
チルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例え
ば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピ
ロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾ
リドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ア
セトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和
性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0080】本発明のインクジェット記録用インク10
0重量部中は、前記フタロシアニン着色剤を0.1重量
部以上20重量部以下含有するのが好ましい。また、本
発明のインクジェット用インクには、前記フタロシアニ
ン着色剤とともに、他の着色剤を併用してもよい。2種
類以上の着色剤を併用する場合は、着色剤の含有量の合
計が前記範囲となっているのが好ましい。
【0081】本発明のインクジェット記録用インクは、
単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用
いることができる。フルカラー画像を形成するために、
マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー
色調インクを用いることができ、また、色調を整えるた
めに、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0082】適用できるイエロー着色剤としては、染料
でも顔料でも任意のものを使用する事が出来るが、固体
微粒子分散物として使用することが好ましい。例えばC.
I.Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 74, 83, 93, 1
09, 110, 128, 138, 139, 150, 154, 155, 180等の市販
の顔料をはじめ、カップリング成分(以降カプラー成分
と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン
類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖
型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしく
はヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分として開鎖型
活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン色素;例
えばベンジリデン色素やモノメチンオキソノール色素等
のようなメチン色素;例えばナフトキノン色素、アント
ラキノン色素等のようなキノン系色素、その他キノフタ
ロン色素、ニトロ・ニトロソ色素、アクリジン色素、ア
クリジノン色素等を固体微粒子分散しても良い。
【0083】適用できるマゼンタ着色剤としては、染料
でも顔料でも任意のものを使用する事が出来るが、固体
微粒子分散物として使用することが好ましい。例えばC.
I.Pigment Red 57:1,81,122,184, C.I.Pigment Violet
1,19,23,37などの市販顔料をはじめ、例えばカプラー成
分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類など
を有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカ
プラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール
類などを有するアゾメチン色素;例えばアリーリデン色
素、スチリル色素、メロシアニン色素、シアニン色素、
オキソノール色素などのようなメチン色素;ジフェニル
メタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素
などのようなカルボニウム色素、例えばナフトキノン、
アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン
色素、例えばジオキサジン色素等のような縮合多環色素
等を固体微粒子分散しても良い。
【0084】適用できる本発明以外のシアン色素として
は、染料でも顔料でも任意のものを使用する事が出来る
が、固体微粒子分散物として使用することが好ましい。
例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール
類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリル
アゾ色素;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナ
フトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類な
どを有するアゾメチン色素;シアニン色素、オキソノー
ル色素、メロシアニン色素などのようなポリメチン色
素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、
キサンテン色素などのようなカルボニウム色素;アント
ラキノン色素; インジゴ・チオインジゴ色素などを固
体微粒子分散しても良い。
【0085】前記の各着色剤は、クロモフォアの一部が
解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈
するものであっても良く、その場合のカウンターカチオ
ンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチ
オンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウ
ム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらには
それらを部分構造に有するポリマーカチオンであっても
よい。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスア
ゾ、テトラアゾ色素のほか、カーボンブラックの分散体
を挙げることができる。
【0086】[インクジェット記録方法]インクジェッ
ト記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネ
ルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂
コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8
−27693号公報、同2−276670号公報、同7
−276789号公報、同9−323475号公報、特
開昭62−238783号公報、特開平10−1539
89号公報、同10−217473号公報、同10−2
35995号公報、同10−337947号公報、同1
0−217597号公報、同10−337947号公報
等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、
電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像
を形成することが好ましい。
【0087】画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与
えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化
合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に
付与する時期については、着色剤を付与する前であって
も,後であっても、また同時であってもよく、したがっ
て添加する場所も受像紙中であっても、インク中であっ
てもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物と
して使用しても良い。具体的には、特願2000−36
3090、同2000−315231、同2000−3
54380、同2000−343944、同2000−
268952に記載された方法を好ましく用いることが
出きる。
【0088】以下に、本発明のインクを用いてインクジ
ェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フ
ィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにお
ける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、G
P、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CG
P等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、
必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、
定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、
長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの
等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プ
ラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支
持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g
/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層
及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリ
ビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層
を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けて
もよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレ
ンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平
坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、
両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリス
チレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及び
それらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチ
ックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィ
ン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又
は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化
ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0089】本発明においては、支持体上に白色無機顔
料粒子を含有するインク受像層を有する受像材料上に、
本発明のインクをインクジェット記録用インクとして用
いて画像形成することが好ましい。支持体上に設けられ
るインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有され
る。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料とし
ては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪
藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグ
ネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アル
ミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カル
シウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無
機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメン
ト、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられ
る。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔
性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶
質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製
造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって
得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含
水珪酸を使用することが望ましい。
【0090】インク受容層に含有される水性バインダー
としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリ
ビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カ
ゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ
アルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導
体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、
アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられ
る。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用し
て用いることができる。本発明においては、これらの中
でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビ
ニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の
耐剥離性の点で好適である。インク受容層は、顔料及び
水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界
面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0091】インク受容層中に添加する媒染剤は、不動
化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー
媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤について
は、特開昭48−28325号、同54−74430
号、同54−124726号、同55−22766号、
同55−142339号、同60−23850号、同6
0−23851号、同60−23852号、同60−2
3853号、同60−57836号、同60−6064
3号、同60−118834号、同60−122940
号、同60−122941号、同60−122942
号、同60−235134号、特開平1−161236
号の各公報、米国特許2484430号、同25485
64号、同3148061号、同3309690号、同
4115124号、同4124386号、同41938
00号、同4273853号、同4282305号、同
4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−
161236号公報の212〜215頁に記載のポリマ
ー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記
載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得
られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0092】前記耐水化剤は、画像の耐水化に有効であ
り、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望
ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミド
ポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、
ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムク
ロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイ
ダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で
特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適で
ある。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層
の全固形分に対して1〜15重量%が好ましく、特に3
〜10重量%であることが好ましい。
【0093】前記耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸
化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノ
ン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げら
れる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0094】前記界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良
剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能す
る。 界面活性剤については、特開昭62−17346
3号、同62−183457号の各公報に記載がある。
界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよ
い。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好まし
い。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性
剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び
固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹
脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公
昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−2
0994号、同62−135826号の各公報に記載が
ある。その他のインク受容層に添加される添加剤として
は、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、
防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられ
る。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0095】記録紙及び記録フィルムには、バックコー
ト層を設けることもでき、この層に添加可能な成分とし
ては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げ
られる。バックコート層に含有される白色顔料として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サ
チンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カ
ルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロ
イダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水
酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、
加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシ
ウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメ
ント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレ
ン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有
機顔料等が挙げられる。
【0096】バックコート層に含有される水性バインダ
ーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレ
ン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シ
ラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオ
ン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテ
ックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が
挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分
としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐
剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0097】インクジェット記録紙及び記録フィルムの
構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテッ
クスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安
定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のよう
な膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックス
については、特開昭62−245258号、同62−1
36648号、同62−110066号の各公報に記載
がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマ
ーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび
割れやカールを防止することができる。また、ガラス転
移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添
加しても、カールを防止することができる。
【0098】本発明のインクはインクジェットの記録方
式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用
してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振
動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パル
ス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射し
て、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジ
ェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じ
た圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用い
られる。インクジェット記録方式には、フォトインクと
称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方
式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用
いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方
式が含まれる。
【0099】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0100】実施例1 インクジェット用インクの製造
と評価 (例示化合物(II−1)の固体微粒子分散物の調製)
例示化合物(II−1)4g、分散剤としてp-tert-オ
クチルフェニルポリオキシエチレンスルホン酸ナトリウ
ム1g、水70gを加えてスラリーとした。その後、
0.3mmのジルコニアビーズを450g用意し,スラ
リーと共にベッセルに入れ、分散機(サンドグラインダ
ーミル:アイメックス(株)製)で20時間分散した後
ジルコニアビーズを取り除いて例示化合物(II−1)
の固体微粒子分散物を得た。得られた固体微粒子の粒子
径は、粒子の80質量%が0.05μm以上0.18μ
m以下であった。 実施例2 実施例1の例示化合物(II−1) の代わりに、表5
に記載した本発明の顔料を使用する以外は同様にして、
固体微粒子分散物を調製した。また、比較としてC.
I.ピグメントブルー15:3とアルミニウムフタロシ
アニン顔料Aの固体微粒子分散物も調製した。 得られた固体微粒子の粒子径を表5に示す。
【0101】
【化11】
【0102】(インク液の調製)得られた顔料固体微粒
子分散物に下記に示す添加物を加え、室温で20分間撹
拌した。5μmのメンブランフィルターでろ過して、下
表のインク組成物を得た。
【0103】 <インク組成物> 着色微粒子分散物 2.1質量% 分散剤(スチレン−アクリル酸共重合体) 0.53質量%(固形分) グリセリン 18質量% ジエチレングリコール 7質量% トリエタノールアミン 0.7質量% サーフィノール TG 1質量% プロキセル XL2 0.2質量% 純水 残量
【0104】(画像記録及び評価)以上の各実施例及び
比較例のインクジェット用インクについて、下記評価を
行った。その結果を表5に示した。なお、表5におい
て、「色調」、「耐光性」及び「耐オゾン性」は、各イン
クジェット用インクを、インクジェットプリンター(E
PSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙
(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PS
K、EPSON)に画像を記録した後で評価したもので
ある。
【0105】<色調>前記フォト光沢紙に形成した画像
をJNCのJAPAN Color の標準シアンのカ
ラーサンプルと比較して目視にて判断した。なお、表中
の○はほぼ同等の色調、△はややずれた色調を意味す
る。 <耐光性>前記画像を形成したフォト光沢紙に、ウェザ
ーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン
光(85000lx)を28日間照射し、キセノン照射
前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite310TR)を
用いて測定し、色素残存率(%;(照射後/照射前)×
100)として評価した。なお、サンプルは耐光性試験
前の反射濃度が1.0のものを用いた。
【0106】<耐オゾン性>前記画像を形成したフォト
光沢紙を、オゾンガス濃度が0.5±0.1ppm、室
温、暗所に設定されたボックス内に14日間放置し、オゾ
ンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X-Rite3
10TR)を用いて測定し、色素残存率(%;(放置後
/放置前)×100)として評価した。なお、サンプル
濃度は耐オゾンガス性試験前の反射濃度が1のサンプル
を用いた。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLI
CS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−0
1)を用いて設定した。
【0107】
【表5】
【0108】本発明のフタロシアニン着色微粒子分散物
を含有するインクは、比較例の着色剤と比較すると、緑
色味を帯びることなく色調がよい。耐光性において本願
発明のインクは他の顔料よりも着色剤が残存する割合が
高い。耐オゾンガス性において本願発明のインクは他の
顔料よりも顕著な優れた効果を有していることが分か
る。
【発明の効果】色相と堅牢性(特に耐オゾン性)に優れ
た着色画像や着色材料を与える、インクジェットなどの
印刷用のインク組成物、感熱転写型画像形成材料におけ
るインクシート、電子写真用のトナー、LCD、PPDやCCD
で用いられるカラーフィルター用着色組成物、各種繊維
の染色の為の染色液などの各種着色組成物を提供でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09B 47/26 B41J 3/04 101Y

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるフタロシア
    ニン着色剤の固体微粒子分散物を含有することを特徴と
    するインク。 一般式(I) 【化1】 一般式(I)においてX1、X2、X3およびX4はそれぞ
    れ独立にσpが0.30以上の電子吸引性基を表す。 Y1
    2、Y3およびY4はそれぞれ一価基を表す。a1
    4、b1〜b4は、それぞれX1〜X4、Y1〜Y4の置換
    基数を表す。 a1〜a4はそれぞれ独立に0〜4の整数
    を表し、 b1〜b4はそれぞれ独立に0〜4の整数を表
    す。ただしa1〜a4の総和は2以上である。
  2. 【請求項2】 支持体上に白色無機顔料粒子を含有する
    インク受像層を有する受像材料上に、請求項1に記載の
    インクを用いて画像形成することを特徴とするインクジ
    ェット記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114364755A (zh) * 2019-08-23 2022-04-15 富士胶片株式会社 染料油墨组合物、青色染料油墨、喷墨记录用染料油墨、喷墨记录方法及染料水溶液

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