JP2003238281A - 爆薬組成物 - Google Patents

爆薬組成物

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JP2003238281A
JP2003238281A JP2002031145A JP2002031145A JP2003238281A JP 2003238281 A JP2003238281 A JP 2003238281A JP 2002031145 A JP2002031145 A JP 2002031145A JP 2002031145 A JP2002031145 A JP 2002031145A JP 2003238281 A JP2003238281 A JP 2003238281A
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Atsuya Tokita
淳哉 鴇田
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 威力が高く、幅広い環境下で使用できる爆薬
組成物を提供すること。 【解決手段】 粒状硝安の吸油率を15〜24%とし、
爆薬100g当たりの酸素バランスを−3.6〜−5.
2gとすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、砕石、採掘、トン
ネル掘削などの産業発破に用いられる爆薬組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】粒状硝安を主成分とする爆薬組成物とし
て硝安油剤爆薬(以下ANFOと略記する)がある。A
NFOは、多くは多孔質の粒状硝安と軽油からなる爆薬
であり、比較的簡単な装置で容易に製造できること、ま
た流動性に優れているため発破孔へ直接流し込み装薬が
可能であること、ANFOローダーによる装填が可能で
あること、さらに衝撃感度が低く安全であること、安価
であること等から広く消費されている。
【0003】このANFOを高威力化する方法として、
吸油率の高い粒状硝安を使用する方法がある。一般に吸
油率が高いということは、硝安内部の空隙の容積が大き
いということであり、このような粒状硝安を使用するこ
とにより、爆薬の反応性が高まり、威力が増大すること
が知られている。しかし、吸油率の高い粒状硝安は爆薬
の反応性を向上させると同時に衝撃感度も増大させると
いう問題があった。例えば、ANFOにおいては日本工
業規格K4810に規定されている塩ビ法やカートン法
において不合格になるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決し、高威力かつ温暖地から寒冷地まで比較的幅広
い環境下で安全に使用することのできる爆薬組成物を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
行った結果、粒状硝安を含む爆薬組成物において、吸油
率が高い粒状硝安を用い、かつ爆薬100g当たりの酸
素バランスを調整することによって前記問題が解決でき
ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0006】すなわち本発明の態様は、次の通りであ
る。 (1) 吸油率が14〜24%の粒状硝安を含有し、爆
薬100g当たりの酸素バランスが−3.6〜−5.2
gである爆薬組成物。 (2) 粒状硝安の平均粒径が1〜2mmである上記
(1)に記載の爆薬組成物。 (3) 油剤を含んでなる上記(1)または(2)に記
載の爆薬組成物 (4) 硝安油剤爆薬である上記(1)〜(3)のいず
れかに記載の爆薬組成物。 (5) 低比重物質を添加した上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の爆薬組成物。 (6) グアガムかつ/またはローカストビーンガムを
添加した上記(1)〜(5)のいずれかに記載の爆薬組
成物。
【0007】本発明における粒状硝安の吸油率とは、粒
状硝安をガラスフィルターに入れて2号軽油を加えた時
の、粒状硝安に吸着した2号軽油の外割重量%である。
詳しくは、まず予め重量をはかっておいた直径40mm
φ、内容量60ccのブフナーロート型ガラスフィルタ
ーにフィルター板上面から40mmの高さまで粒状硝安
を入れて全体重量をはかる。次いで、ガラスフィルター
の先にピンチコックで穴を塞いだゴム管を装着し、粒状
硝安が完全に沈むまで2号軽油を加えて5分間放置す
る。放置後、ゴム管を外して2号軽油を2分間自然落下
させ、真空ポンプをつないで5分間吸引する。吸引終了
後、真空ポンプから取り外して全体重量をはかり、次式
により吸油量(外割重量%)を算出する。 吸油量 =(W2−(W1−W0)−W0−0.1)/(W
1−W0)×100 この式におけるW0はガラスフィルターの重量(g)、
1は粒状硝安を入れた時の全体重量(g)、W2は真空
ポンプ吸引後にはかった全体重量(g)であり、0.1
はガラスフィルターの壁面に付着する2号軽油の補正値
である。
【0008】爆薬の酸素バランス(OB)とは、100
gの爆薬に含まれている可燃性成分が完全燃焼するため
の酸素の過不足量をgで表した数値であり、例えば、平
成11年日本火薬工業会資料編集部により発行された
「一般火薬学」9〜12頁に述べられている。酸素バラ
ンスは、ゼロに近い方が可燃成分が完全燃焼し易い。特
に酸素バランスがゼロに近い方がCOやNOx等のガス
の発生も少なく、後ガスが良い場合が多い。
【0009】以下、本発明について具体的に説明する。
爆薬組成物において、吸油率の高い粒状硝安を用いると
爆薬組成物の威力が向上するが、24%を超えると感度
が高くなり、前記塩ビ法による感度試験で完爆し易い。
本発明の爆薬組成物において、粒状硝安のより好ましい
吸油率は15〜23%であり、更に好ましくは16〜2
2%、更に好ましくは16.5〜19.5%、更に好ま
しくは17〜19%である。
【0010】より望ましい酸素バランスは爆薬100g
当たり−3.8〜−5.0gであり、更に好ましくは−
4.0〜−4.8gである。粒状硝安の平均粒径とはメ
ディアン径(50%粒径)のことである。詳しくは、一
定量の硝安を目開きの異なる各種篩を通し、各篩に残っ
た試料重量から、累積粒度分布曲線を作成し、累積重量
が試料全重量の50%となる粒径のことである。
【0011】本発明の爆薬組成物において、硝安粒子の
平均粒径は、1.0〜2.0mmとすることがより好ま
しい。これを1.3mmとすることは好適な例である。
本発明の爆薬組成物に用いられる燃料としては、液状の
油剤が望ましい。液状の油剤としては、例えば軽油、灯
油、重油、スピンドル油、パラフィンオイル等の鉱物油
や植物油等が使用できるが、低粘度で硝安内部に含浸し
易く、安価である軽油が望ましい。粒状硝安と引火点5
0℃以上の油剤を混合し、起爆感度と爆轟速度の条件を
満たせば、硝安油剤爆薬として扱われる。
【0012】粒状硝安の硬度は、2〜12が良く、5を
超えて9までが更に良い。ここで粒状硝安の硬度とは、
一定量の粒状硝安を硬度測定装置で機械的に圧潰し、篩
い分けした時の篩を通った重量%である。具体的には、
硬度の測定装置は、直径200mmφの回転する受け皿
と直径190mmφの回転しない挽き皿(重量1715
g)から成る。所定の篩で粉末を除いた試料硝安50g
を受け皿に均一に拡げ、挽き皿を重ねて受け皿を一定時
間回転後、試料を所定の篩に入れ、振盪機を使用し、1
分間振盪させる。篩を通過した試料を秤量し、元の粒状
硝安50gに対する圧潰量(g)の比率(%)を硬度
(%)とする。計算式は、硬度(%)=圧潰量(g)/
試料50g×100である。
【0013】本発明の爆薬組成物には、爆薬の低比重化
のため低比重物質を添加することができる。低比重物質
としては、発泡スチロールなどの有機低比重物質、パー
ライト、シラスバルーン、バーミキュライト、アタパル
ジャイトなどの無機低比重物質がある。これらの一種類
以上を添加すると良い。無機低比重物質は、安価で入手
しやすく、貯蔵時に爆薬成分と反応することがほとんど
ないので経時安定性に優れ良い。シラスバルーン、アタ
パルジャイトは硬度が高く優れている。無機低比重物質
の嵩比重は、0.1〜0.65のものがよく、更によく
は0.2〜0.6のものがよい。添加量は0を超えて3
5未満重量%がよく、更によくは5〜30重量%がよ
い。
【0014】また、本発明の爆薬組成物には耐水性を付
与するため増粘剤を添加することができる。増粘剤は、
グアガムや冷水可溶型のローカストビーンガムがよく、
特にグアガムが安価で良い。増粘剤粒子の粒径は、10
0ミクロン以下のものがよく、0.2重量%水溶液の2
0℃における粘度は20mPa・s以上のものがよい。
爆薬組成物への添加量は0を超えて12未満%がよく、
更によくは2〜10%がよい。これを5%とすることは
好適な例である。本発明の爆薬組成物には、耐ブロッキ
ング剤、及び流動性向上剤として炭酸カルシウム、シリ
カ、タルク、カーボンブラック、またはグラファイト、
金属酸化物を添加してよい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明について更に実施例を用い
て説明するが、本発明は、これらの具体例によって限定
されるものではない。表1は、爆薬温度15℃において
行った実施例と比較例の実験条件と実験結果を比較して
まとめたものである。
【0016】
【爆轟速度測定】爆轟速度の測定は、JISのK481
0の火薬類性能試験法に規定されている爆速試験、光フ
ァイバー法に従った。なお、ブースターとして2号榎ダ
イナマイト30gを使用した。
【0017】
【起爆感度試験】起爆感度の測定は、JISのK481
0の火薬類性能試験法に規定されている硝安油剤爆薬の
起爆感度試験方法A(塩ビ法)に従い、6号電気雷管で
起爆した。
【0018】
【実施例1】表1に示すように、粒状硝安93.3重量
%と2号軽油6.7重量%を均一に混合した。この爆薬
組成物について前記試験法により評価を行った。
【0019】
【比較例1】表1に示すように、粒状硝安94.5重量
%と2号軽油5.5重量%を均一に混合した。この爆薬
組成物について前記試験法により評価を行った。
【0020】
【比較例2】表1に示すように、粒状硝安93.3重量
%と2号軽油6.7重量%を均一に混合した。この爆薬
組成物について前記試験法により評価を行った。
【0021】
【比較例3】表1に示すように、粒状硝安93.3重量
%と2号軽油6.7重量%を均一に混合した。この爆薬
組成物について前記試験法により評価を行った。
【0022】
【表1】
【0023】表1より、本発明の爆薬組成物は、威力が
高く感度も低いことが分かる。表1に示す実施例と比較
例について、爆薬温度5℃より25℃までの広い温度範
囲において多数回繰り返して行った。爆薬温度が20℃
を超えると感度が高くなる傾向はあったが、いずれの温
度においてもおよそ表1と同様の結果が得られた。
【0024】
【発明の効果】本発明は、爆薬組成物の感度増加の問題
を解決し、幅広い環境下で安全に使用できる爆薬組成物
を得たものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月18日(2002.2.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の問題
を解決し、高威力かつ20℃を超えない温暖地から寒冷
地まで比較的幅広い環境下で安全に使用することのでき
る爆薬組成物を提供することを目的とする。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸油率が14〜24%の粒状硝安を含有
    し、爆薬100g当たりの酸素バランスが−3.6〜−
    5.2gである爆薬組成物。
  2. 【請求項2】 粒状硝安の平均粒径が0.8〜2.5m
    mである請求項1に記載の爆薬組成物。
  3. 【請求項3】 油剤を含んでなる請求項1または2に記
    載の爆薬組成物
  4. 【請求項4】 硝安油剤爆薬である請求項1〜3のいず
    れかに記載の爆薬組成物。
  5. 【請求項5】 低比重物質を添加した請求項1〜4のい
    ずれかに記載の爆薬組成物。
  6. 【請求項6】 グアガムかつ/またはローカストビーン
    ガムを添加した請求項1〜5のいずれかに記載の爆薬組
    成物。
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