JP2003235574A - 新規クニッツ型プロテアーゼインヒビター - Google Patents

新規クニッツ型プロテアーゼインヒビター

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JP2003235574A
JP2003235574A JP2002038074A JP2002038074A JP2003235574A JP 2003235574 A JP2003235574 A JP 2003235574A JP 2002038074 A JP2002038074 A JP 2002038074A JP 2002038074 A JP2002038074 A JP 2002038074A JP 2003235574 A JP2003235574 A JP 2003235574A
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dna
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JP2002038074A
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Minoru Kato
穣 加藤
Naoki Ogawa
直樹 尾川
Takao Isogai
隆夫 磯貝
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Mochida Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Mochida Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規なセリンプロテアーゼ阻害蛋白質の遺伝
子及び蛋白質と、該蛋白質に対する活性調節剤の効率的
な評価方法を提供する。 【解決手段】ヒト由来の特定な塩基配列からなるDNA
及び該DNAにコードされるクニッツ型セリンプロテア
ーゼ阻害蛋白質に関する。また本発明は該DNA配列に
対するアンチセンス核酸、該蛋白質の活性調節物質の評
価方法に関する。本発明の蛋白質は、炎症性疾患の発症
あるいは進行に対してその原因となり得る蛋白質であ
り、炎症性疾患等の予防あるいは治療のための医薬品の
開発において、極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なセリンプロ
テアーゼ阻害蛋白質、該蛋白質をコードするDNA及び
その断片、該DNAを含む発現ベクター、該発現ベクタ
ーで形質転換された形質転換細胞、該蛋白質若しくはそ
の断片に反応性を有する抗体、該蛋白質の活性または発
現を調節する物質のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロテアーゼが生体における種々の制御
機構において重要な役割を担っていることは、これまで
の精力的な研究で多数報告されてきている。例えば、ト
ロンビンに見られる血液凝固反応系の制御、キモトリプ
シンに見られる消化酵素の発現制御、カリクレインに見
られる血管拡張反応制御、キャスパーゼやカテプシンD
に見られる細胞死の制御など、個体レベルから細胞レベ
ルに至るまで、プロテアーゼは多種多様な生体制御機構
の一員として重要な役割を果たしている。
【0003】そのため、これまでに報告されることのな
い新規なプロテアーゼの存在を確認し、その生化学的特
性やそれが関与する生理学的作用機序を解明する試みが
注目されている。この解明は、学術的意義のみならず、
新規プロテアーゼと特定の疾患との関連も明らかにされ
得ることで、医薬開発においても大変興味深いと言え
る。
【0004】プロテアーゼは、その標的となる蛋白質を
(特異的に)加水分解することで制御機構における重要
な役割を発揮していると考えられる。一般に、生理的条
件下での蛋白質の加水分解反応は不可逆的であり、また
この加水分解反応がいわゆるカスケード反応を誘起する
契機となることも十分に予想される。従って、プロテア
ーゼ活性が不用意に発揮される、あるいは適切な時機に
発現されない等の事象は、その加水分解反応から始まる
一連の生化学的反応の制御に異常をきたすと推察され
る。その為、プロテアーゼそれ自体の活性発現も厳格な
制御下に置かれていることは、想像に難くない。
【0005】凝固系、線溶系、補体系などで機能する種
々のセリンプロテアーゼの活性は、セリンプロテアーゼ
阻害活性を有する蛋白質によって制御されている。蛋白
性プロテアーゼ阻害剤によるプロテアーゼの制御機構
は、プロテアーゼと蛋白性プロテアーゼ阻害剤が可逆的
あるいは不可逆的に不活性な複合体を形成して安定化す
ることによる。クニッツ型のプロテアーゼ阻害剤は、可
逆的な阻害剤であり、ミカエリス型の複合体を形成して
プロテアーゼの活性を阻害する(Laskowski
ら, Ann.Rev.Biochem.,Vol.4
9;593−626(1980))。組織因子経路イン
ヒビター(TFPI)、インターαトリプシンインヒビ
ター、アプロチニン、アルツハイマーアミロイドβプロ
テイン前駆体(APPI)などがクニッツ型プロテアー
ゼ阻害剤として知られている。
【0006】インターαトリプシンインヒビターは、1
本の軽鎖と2本の重鎖、計3本のポリペプチドがコンド
ロイチン硫酸型O結合型糖鎖で架橋された構造をとる
が、そのプロテアーゼ阻害活性は軽鎖であるBikun
inが担っている。Bikuninは2つのクニッツド
メインを有し、トリプシンを強く阻害するほかにキモト
リプシン、白血球エラスターゼ、カテプシンG、プラス
ミンなどを阻害する(Gebhardら,Protea
se Inhibitors.Edited by B
arrett and Salvesen.Amste
rdam,Elsevier,p389−401(19
86))。Bikuninは尿中トリプシンインヒビタ
ー(以下UTI)として、この分子が阻害するプロテア
ーゼ群が病態に関与する膵炎、ショックの治療薬として
用いられている。TFPIは3つのクニッツドメインを
有する一本鎖のポリペプチドであり、第1クニッツドメ
インで組織因子−VII(a)因子複合体と結合し、第
2クニッツドメインでXa因子に結合することによっ
て、外因系血液凝固機構を阻害する(Broseら,P
rogress in Hemostasis and
Thrombosis,Vol.10.Edited
by CollerBS,Philadelphi
a,WB Saunders,p243−268(19
91))。TFPIはその外因系凝固の制御活性によ
り、血液凝固が病態に関与する敗血症や虚血性心疾患へ
の治療応用が検討されている。以上の例のように、クニ
ッツ型プロテアーゼ阻害剤は特定のプロテアーゼおよび
プロテアーゼ活性化複合体を阻害することにより、正常
および病態における生体内プロテアーゼとそのプロテア
ーゼが関わるプロテアーゼカスケードの生理活性を調節
する機能を有している。ここで言うプロテアーゼカスケ
ードの例としては、血液凝固系、線溶系の他に、キニン
−カリクレイン系、補体系などが挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような背景から、
プロテアーゼの活性を制御している新規な生体分子及び
それらをコードする遺伝子を見出すこと、そして該制御
機構に作用する新しい機序に基づく医薬をスクリーニン
グする方法等の、活性調節剤、特異的抗体、あるいはア
ンチセンス核酸の開発が切望されている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規な遺伝子
(ki316とする)、当該遺伝子にコードされる新規
なセリンプロテアーゼ阻害蛋白質(KI316)に関す
る。また、当該遺伝子を用いて形質転換した宿主細胞、
該形質転換細胞を用いた組換えKI316の生産方法を
提供する。
【0009】(核酸)本発明は、KI316(後に詳し
く述べる)をコードする遺伝子ki316を提供する。
遺伝子ki316とは具体的には、配列番号2に示すア
ミノ酸配列からなるセリンプロテアーゼ阻害蛋白質をコ
ードするDNAのことであり、配列番号1に示すcDN
Aのほか該cDNAの由来するゲノムDNAも含まれ
る。該遺伝子はヒト肺から単離同定することができる
が、本明細書に開示された配列を基に、一般的なハイブ
リダイゼーション等の遺伝子工学的手法を用いたクロー
ニングやホスホアミダイト法などの化学合成的手法によ
り調製されるDNAであってもよい。その形態としては
cDNA、ゲノムDNAの他、化学合成DNAなどが含
まれるが、特に制限はない。本発明のDNAは1本鎖で
あっても、それに相補的な配列を有するDNAやRNA
と結合して2重鎖、3重鎖を形成していても良い。ま
た、当該DNAは、ホースラディッシュペルオキシダー
ゼ(HRPO)等の酵素や放射性同位体、蛍光物質、化
学発光物質等で標識されていてもよい。
【0010】また、ki316の塩基配列が提供されれ
ば、これより導かれるRNAの配列や、相補的なDNA
およびRNAの配列などは一義的に決定されるので、本
発明は、本発明のDNAに対応するRNAあるいは本発
明のDNAと相補的な配列を有するDNAおよびRNA
もまた提供するものと理解すべきである。本明細書中に
おいて、「DNA」は「ポリヌクレオチド」と同義であ
る。
【0011】さらに、本発明のDNAには、配列番号1
に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな
条件でハイブリダイズするDNAをも含むものである。
【0012】配列番号1に記載の塩基配列からなるDN
Aに対しては、これとストリンジェントな条件でハイブ
リダイズし、かつ該DNAにコードされる蛋白質がセリ
ンプロテアーゼ阻害蛋白質であれば、塩基配列のバリエ
ーションが許容される。例えば、いわゆるコドン縮重に
よる同一アミノ酸残基をコードする複数のコドンの存在
や、種々の人為的処理例えば部位特異的変異導入、変異
剤処理によるランダム変異、制限酵素切断によるDNA
断片の変異・欠失・連結等により、部分的にDNA配列
が変化したものであっても、これらDNA変異体が配列
番号1に記載のDNAとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、かつセリンプロテアーゼ阻害蛋白質を
コードするDNAであれば、配列番号1に示したDNA
配列との相違に関わらず、本発明の範囲内のものであ
る。
【0013】上記のDNA変異の程度は、配列番号1に
記載のDNA配列と70%以上、好ましくは80%以
上、更に好ましくは90%以上の同一性を有するもので
あれば許容範囲内である。DNA配列の同一性の判断に
は、BLAST(J.Mol.Evol.,Vol.3
6;290−300(1993)、J.Mol.Bio
l.,Vol.215;403−10(1990))を
用いることができる。また、ハイブリダイズする程度と
しては、ストリンジェントな条件下、例えばDIG D
NA Labeling kit(ロシュ・ダイアグノ
スティックス社製Cat No.1175033)でプ
ローブをラベルした場合に、例えば32℃、好ましくは
37℃、より好ましくは42℃のDIG Easy H
yb溶液(ロシュ・ダイアグノスティックス社製Cat
No.1603558)中でハイブリダイズさせ、例
えば50℃、好ましくは65℃の0.5×SSC溶液
(0.1%(w/v)SDSを含む)中でメンブレンを
洗浄する条件(1×SSCは0.15M NaCl、
0.015M クエン酸ナトリウムである)でのサザン
ハイブリダイゼーションで、配列番号1に記載の核酸に
ハイブリダイズする程度であればよい。
【0014】配列番号1に記載の塩基配列からなるDN
Aあるいはその部分断片は、炎症性疾患等本発明の蛋白
質が関与する疾患の特異的プローブとして有用であると
考えられる。
【0015】本発明のDNAは、KI316を大量に生
産するために使用することができる。該DNAはまた、
酵素等で標識して、組織における本発明の蛋白質の発現
状況を検査するために使用することができる。すなわ
ち、該DNAをプローブとして使用し、細胞における本
発明の蛋白質の発現量を、mRNA発現量を指標として
確認することにより、本発明の蛋白質の製造に適した細
胞やその培養条件を決定することができるほか、本発明
の蛋白質が関連する疾患、特に炎症性疾患等の診断を行
うことも可能である。
【0016】また、本発明のDNAの一部をプライマー
として使用したPCR−RFLP(Restricti
on fragment length polymo
rphism)法、PCR−SSCP(Single
strand conformation polym
orphism)法、シークエンシング等の方法によ
り、核酸配列上の異常あるいは多型を検査・診断するこ
とができる。
【0017】また、本発明のDNAを生体内の細胞に導
入し、本発明の蛋白質の発現または活性が損なわれてい
ることによる疾患の遺伝子治療にも使用する事ができ
る。
【0018】本発明のDNAは、形質転換細胞の調製、
さらには該形質転換細胞を用いた組換え蛋白質KI31
6の生産方法、あるいはKI316の発現を特異的に抑
制する化合物の探索に大いに有用である。
【0019】本発明における形質転換細胞は当業者に公
知の技術を適用して調製することが可能であり、例え
ば、市販されあるいは当業者が一般に入手容易な様々な
ベクターを利用して、適当な宿主細胞へ本発明のDNA
を組み入れることが可能である。その際、遺伝子ki3
16をプロモーターやエンハンサーに代表される発現制
御遺伝子の影響下におくことで、遺伝子ki316の宿
主細胞内での発現を任意にコントロールすることが可能
である。この手法は、形質転換された宿主細胞を用いた
KI316の生産において好適に用いられる他、遺伝子
ki316の発現制御機構の研究あるいは該遺伝子の発
現を調節し得る物質の探索などにも応用することが可能
となる。
【0020】例えば、任意の候補物質と遺伝子ki31
6を含むベクターで形質転換された細胞とを適当な条件
下で接触させることで、候補物質の遺伝子ki316の
発現を促進あるいは抑制する作用を有する物質を探索
し、あるいは評価を行うことができる。
【0021】また、本発明であるDNAと公知の方法と
を組み合わせて、マウスまたはその他の適当な動物を基
にトランスジェニック動物を作製することが出来る。さ
らに、本発明の遺伝子ki316を利用すれば、ヒト以
外の動物からヒトki316に相当する遺伝子を破壊し
たいわゆるノックアウト動物を作製することも可能であ
る。このモデル動物の物理学的、生物学的、病理学的及
び遺伝子的特徴を分析することにより、本発明に係る遺
伝子及び蛋白質の機能を解明することが可能となる。さ
らに、そのようにして内在性遺伝子が破壊された該動物
に本発明のヒトki316を導入することにより、ヒト
ki316のみを有するモデル動物を作製することも可
能となる。
【0022】かかるトランスジェニック動物、特に本発
明である遺伝子ki316あるいは蛋白質KI316を
大量に発現しているあるいは逆にこれらを欠いた動物を
観察すれば、遺伝子ki316あるいは蛋白質KI31
6の機能を特定することが可能となる。さらに、このモ
デル動物は、該導入されたヒトKI316をターゲット
とした薬剤の開発、評価に有用である。遺伝子ki31
6あるいは蛋白質KI316に特異的に作用しあるいは
機能を補完する物質等を、生体レベルで調べることが可
能となり、この様にして得た物質は、KI316が特異
的に機能する生体制御に働く薬物となることが期待され
る。
【0023】(蛋白質KI316)ki316にコード
される蛋白質KI316は、配列番号2に示すアミノ酸
配列からなるセリンプロテアーゼ阻害蛋白質である。
【0024】KI316はクニッツ型セリンプロテアー
ゼ阻害蛋白質に特徴的なクニッツドメインを有する。ク
ニッツドメインは2個あるいは3個のジスルフィド結合
(従って、4個あるいは6個のシステイン残基)を含む
51〜61アミノ酸からなるドメインである。クニッツ
ドメインのアミノ酸残基の保存性については、特表平9
−509048の表14に詳細に記載されている。特表
平9−509048の表14に示される配列に対して3
以下のミスマッチ(置換、挿入、欠失を1個のミスマッ
チとして数える)の場合にクニッツドメインと考えられ
る。配列番号2に示すアミノ酸配列の386〜436番
目の残基は表14に示される条件を1つのミスマッチ
(X22=TyrまたはPheのところAla)以外は
すべて満たしている。従って、このドメインはセリンプ
ロテアーゼ阻害活性を有するクニッツドメインであるこ
とは疑い無い。一方、配列番号2に示すアミノ酸配列の
328〜378番目の残基は特表平9−509048の
表14に示される条件を4つのミスマッチ(X12=T
yrまたはPheのところGlu,X22=Tyrまた
はPheのところHis、X36=GlyまたはSer
のところHis,X40=GlyまたはAlaのところ
Arg)で満たしている。このドメインは、その独特な
配列から従来のクニッツ型プロテアーゼ阻害剤にないプ
ロテアーゼ阻害スペクトルを示す可能性があり、また、
後述するようにプロテアーゼ阻害以外の機能を有する可
能性もある。なお、一般に、プロテアーゼにより切断を
受ける基質アミノ酸配列において、切断により新たに生
じるC末端のアミノ酸残基をP1と呼び、その残基から
N末端側に伸長する残基をP2、P3、P4…、C末端
側に伸長する残基をP1’、P2’…と呼ぶ。クニッツ
ドメインにおいてもプロテアーゼの活性中心に結合する
残基をP1とし、その他の残基を同様に定義する。クニ
ッツドメインの活性中心(P1)がArgまたはLys
のものはトリプシンを阻害し、P1=Tyr、Phe、
Trp、LeuまたはMetのものはキモトリプシンを
阻害し、P1=AraまたはSerのものはエラスター
ゼを阻害することが示唆されている(Laskowsk
iら, Ann.Rev.Biochem.,Vol.
49;593−626(1980))。配列番号2に示
すアミノ酸配列の386〜436番目の残基においては
P1=Lysであり、トリプシンタイプのセリンプロテ
アーゼを阻害することが示唆された。一方、配列番号2
に示すアミノ酸配列の328〜378番目の残基におい
てはP1=Glyである点が特徴的であり、エラスター
ゼタイプのようなオキシアニオンホールが狭いタイプの
セリンプロテアーゼを阻害する可能性が示唆された。
【0025】この様に、KI316はクニッツ型のセリ
ンプロテアーゼ阻害蛋白質ファミリーに認められる特徴
を高度に保持している一方、そのアミノ酸レベルの相同
性は、最も相同性の高いAE006464 ヒト未知遺
伝子産物との間でも68%、次に相同性の高いUTIと
の間でも51%にとどまる。また、KI316は配列番
号2に示すアミノ酸配列の223〜294番目のアミノ
酸配列部位にイムノグロブリンドメインを有する。また
KI316は、配列番号2に示すアミノ酸配列の297
〜299番目と460〜462番目にインテグリンファ
ミリーが認識するRGD配列に類似したArg−Ala
−AspおよびArg−Ser−Aspといった配列を
有する。このようなイムグロブリンドメインやRGD類
似配列を有するクニッツ型セリンプロテアーゼ阻害蛋白
質は、上述の機能不明のAE006464以外にはこれ
まで知られていない。これらのイムノグロブリンドメイ
ン、RGD類似配列、および前述の328〜378番目
のクニッツ様ドメインは、いずれも特定の標的蛋白、標
的細胞へのターゲッティングや、他の蛋白からの認識部
位といった機能を有することが示唆される。また、32
8〜378番目のクニッツ様ドメインに関しては、ベー
ターブンガロトキシンB鎖との類似性(53%)を有し
ており、このB鎖では電位依存性外向きカリウムチャネ
ル抑制作用が報告されていることから(Pei−Fun
gら、Eur.J.Biochem.267、4668
−4675、(2000))、何らかのチャネルの機能
抑制に関与する可能性もある。
【0026】本発明のセリンプロテアーゼ阻害蛋白質
は、活性化白血球および白血球に特に多く発現している
ほか、脾臓、肺、膵臓、大腸、小腸、副腎などの重要な
臓器に発現していることが確認されており(実施例2参
照)、白血球が関わる炎症性疾患、腫瘍、冠動脈疾患、
呼吸器疾患、炎症性腸疾患の制御に関与する蛋白質であ
ると理解される。このことから、KI316は、内因性
のプロテアーゼ/プロテアーゼ阻害剤のバランスが崩れ
ないような生体の恒常性を担っていることが推定され、
また、そのバランスが崩れた病態においては、その病態
の発現あるいは進展に深く関わっていることが推定され
る。
【0027】以上の蛋白構造上のおよび発現組織の特徴
から、本発明のセリンプロテアーゼ阻害蛋白質は他のセ
リンプロテアーゼ阻害蛋白質分子にはない特徴的な役割
を果たしていることが強く推認される。従って、KI3
16を標的とした医薬化合物は、従来にはない特徴を備
えた医薬となり得るものと期待される。
【0028】なお、セリンプロテアーゼ阻害蛋白質であ
る限り、配列番号2に示す蛋白質のアミノ酸配列におい
て、1以上のアミノ酸が置換、欠失、および/もしくは
付加したアミノ酸配列からなるポリペプチドあるいは蛋
白質も本発明の範囲内である。
【0029】蛋白質の構成要素となるアミノ酸残基側鎖
は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なる
が、実質的に蛋白質全体の三次元構造(立体構造とも言
う)に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つか
の関係が知られている。例えば、アミノ酸残基の置換に
ついては、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、
Glyとアラニン(Ala)またはバリン(Val)、
ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタ
ミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギ
ン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン
(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン
(Ser)またはAla、リジン(Lys)とアルギニ
ン(Arg)、等が挙げられる。また、Ala、Va
l、Leu、Ile、Pro、メチオニン(Met)、
フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Tr
p)、Gly、Cysは、共に非極性アミノ酸に分類さ
れるため、互いに似た性質を有すると考えられる。非荷
電極性アミノ酸としては、Ser、Thr、チロシン
(Tyr)、Asn、Glnが挙げられる。酸性アミノ
酸としては、AspおよびGluが挙げられる。塩基性
アミノ酸としてはLys、Arg、ヒスチジン(Hi
s)が挙げられる。また、上述の意味の保存性を損なう
場合でも、なおその蛋白質の本質的な機能、本発明にお
いてはセリンプロテアーゼ阻害蛋白質としての機能を失
わない変異も当業者に多く知られている。さらに、異な
る生物種間に保存される同種の蛋白質が、幾つかのアミ
ノ酸が集中あるいは分散して欠失あるいは挿入されてい
てもなお本質的な機能を保持している例も多く認められ
ている。
【0030】従って、配列番号2に示したアミノ酸配列
上の幾つかのアミノ酸残基の置換、挿入、欠失等による
変異蛋白質であっても、その変異蛋白質がセリンプロテ
アーゼ阻害蛋白質としての活性を有する限り、これらは
本発明の範囲内にあるものと言うことができる。ここに
いうセリンプロテアーゼ阻害蛋白質の活性とは、セリン
プロテアーゼと結合することによって該セリンプロテア
ーゼの活性発現を調節する蛋白質をいい、幾つかのアミ
ノ酸残基が異なっていても、配列番号2に記載のアミノ
酸配列からなるKI316と実質的に同質の機能を有す
るものは、本発明の範囲内であるといえる。従って、セ
リンプロテアーゼへの結合能または阻害活性が性質的に
同質であればよく、該活性の強弱の変動、または糖鎖結
合の相違などによる該蛋白質の分子量の量的変化などは
許容されると解されるべきである。KI316のセリン
プロテアーゼ阻害蛋白質としての活性は、例えば実施例
6に示す方法で確認することが出来る。
【0031】このようなアミノ酸の改変は、遺伝子多型
等によって生ずる変異の様に自然界において認められる
他、当業者に公知の方法、例えばNTGなどの変異誘発
剤を用いた突然変異誘発法や種々の組換え遺伝子手法を
用いた部位特異的変異法を利用して、人為的に行うこと
ができる。アミノ酸の変異部位および個数は、変異蛋白
質がセリンプロテアーゼ阻害蛋白質である限り特に制限
はないが、変異個数は通常数十アミノ酸以内、好ましく
は10アミノ酸以内、さらに好ましくは1または数個以
内である。
【0032】また本発明では、KI316を上述のよう
な全てのドメイン構造を有する分子全体として理解でき
るほか、特徴的なドメイン、特にセリンプロテアーゼと
の結合能を担うドメインを保持した部分ペプチドとして
理解することもできる。クニッツドメインは非常に安定
であり、全長蛋白質に比べて遺伝子工学的に生産するこ
とが容易であるという利点を有し、かつそれ自体でセリ
ンプロテアーゼ阻害活性を有する。KI316における
部分ペプチドも、そのセリンプロテアーゼ結合能または
阻害活性を有する限り、実質的には本発明と同等の物質
であると理解すべきである。KI316のクニッツドメ
インは配列番号2に示すアミノ酸配列の386〜436
番目までのアミノ酸配列からなり、この部分においてセ
リンプロテアーゼを阻害すると考えられる。配列番号2
に示すアミノ酸配列の386〜436番目のアミノ酸配
列からなる部分ペプチド、配列番号2に示すアミノ酸配
列の328〜378番目のアミノ酸配列からなる部分ペ
プチド、配列番号2に示すアミノ酸配列の328〜43
6番目のアミノ酸配列からなる部分ペプチドなども本発
明の範囲内のものである。なお、ドメインとしての活性
を保持する限りにおいてアミノ酸配列の改変が許容され
る。またシグナル配列を有する蛋白質ではシグナル配列
が切断されたものが成熟蛋白として機能している場合も
ある。よって本発明の蛋白質からシグナル配列が除かれ
た成熟ペプチドも、実質的には本発明と同等の物質であ
ると理解すべきである。KI316の場合、配列番号2
に示されるアミノ酸配列の13〜41番目のアミノ酸残
基付近にシグナル配列の存在が予測されている。上記に
述べた蛋白質は、いわゆる当業者における通常の認識の
範囲にある塩の形態であっても差し支えないことは言う
までもない。
【0033】本発明の蛋白質またはその部分断片ペプチ
ドは、該蛋白質の活性を調節する物質の探索に使用する
ことが出来る。探索を通じて得られる化合物等は、本発
明の蛋白質が関連する疾患、例えば炎症性疾患等に対す
る有効な治療薬または予防薬となることが期待される。
【0034】(抗体)本発明はさらにKI316に結合
する抗体を提供する。本発明の抗体は、KI316全体
あるいはその部分ペプチドを抗原として特異的に認識す
る抗体であり、モノクローナル抗体及び/またはポリク
ローナル抗体が含まれる。また、免疫グロブリンの構
造、物理化学的性質や免疫学的性質として分類される5
つのクラス(IgG,IgA,IgM,IgD,Ig
E)、あるいはH鎖のタイプによるサブクラスのいずれ
に属するものであってもよい。さらに、免疫グロブリン
を例えばペプシンで分解したときのF(ab’)、パ
パインで分解したときのFabなどのフラグメントであ
っても、またキメラ抗体やヒト化抗体であってもよい。
またKI316全体あるいはその部分ペプチドを抗原と
して特異的に認識するのみでなく、KI316の活性を
調節する機能を有する抗体も本発明に含まれる。KI3
16の活性を調節する機能を有する抗体とは、例えば、
KI316とセリンプロテアーゼの結合を阻害する中和
抗体のことである。これらの抗体は、KI316の研究
的あるいは臨床的な検出等に有用である。
【0035】(アンチセンス核酸)本発明は、生体内に
おいて核酸レベルでのKI316生合成を抑制すること
のできる、いわゆるアンチセンス核酸を提供する。かか
るアンチセンス核酸は、KI316をコードするmRN
Aを作り出すのに必要なゲノム領域からpre−mRN
Aへの転写段階、pre−mRNAから成熟mRNAへ
のプロセッシング段階、核膜通過段階、蛋白への翻訳段
階のいずれかで、遺伝子情報を担うDNAもしくはRN
Aに結合し、遺伝情報の伝達の正常な流れに影響を与え
て蛋白質の発現を調節するものを意味し、遺伝子ki3
16の核酸配列の全体あるいはいずれかの部分に相補す
る配列からなるものであってもよい。好ましくは、配列
番号1に記載の核酸配列に相当あるいは相補する配列か
ら成る核酸(DNA、RNAを含む)である。また、ゲ
ノム領域から転写されるmRNAがイントロン構造ある
いは5’末端や3’末端に非翻訳領域を含む形であると
きは、かかる非翻訳部分の配列に相当あるいは相補する
アンチセンス核酸も本発明のアンチセンス核酸と同等の
機能を有するものとなろう。
【0036】本発明のアンチセンス核酸は、DNAやR
NAの他、その立体構造や機能がDNAあるいはRNA
と類似する各種誘導体のすべてを含むものである。例え
ば、3’末端もしくは5’末端に他の物質が結合した核
酸、オリゴヌクレオチドの塩基、糖、リン酸の少なくと
もいずれか1つにおいて置換や修飾が生じた核酸、天然
には存在しないような塩基、糖あるいはリン酸を有する
核酸、糖−リン酸骨格以外の骨格(バックボーン)を有
する核酸等が挙げられる。これらの核酸は、ヌクレアー
ゼ耐性、組織選択性、細胞透過性、結合力の少なくとも
1つが高められた誘導体として好適である。すなわち、
KI316の活性発現を抑制し得る機能を有する限り、
核酸の形態に制限はない。
【0037】また本発明では、一般的には、ステム・ル
ープを形成しているmRNAのループ部分にハイブリダ
イズするような塩基配列、すなわちステム・ループを形
成している領域の塩基配列に相補的な塩基配列をもつア
ンチセンス核酸が好適である。あるいは、翻訳開始コド
ン付近、リボソーム結合部位、キャッピング部位、スプ
ライス部位に結合するようなアンチセンス核酸、すなわ
ちこれらの部位の配列に相補的な配列を有するアンチセ
ンス核酸も、一般に高い発現抑制効果が期待できる点で
好ましい。
【0038】この様なアンチセンス核酸を細胞内に取り
込ませ、効率的に作用させるためには、本発明のアンチ
センス核酸の鎖長は15塩基以上30塩基以下、好まし
くは15塩基以上25塩基以下、より好ましくは18塩
基以上22塩基以下の塩基数からなる塩基配列からなる
ものが好適である。
【0039】本発明のアンチセンス核酸の発現抑制効果
は、公知の手法、例えば本発明の遺伝子の発現制御領
域、5’非翻訳領域、翻訳開始部位近傍領域または翻訳
領域の一部等を含むDNAとルシフェラーゼ等のレポー
ター遺伝子を連結した発現プラスミドを作製し、in
vitro transcription反応(プロメ
ガ社:Ribo max system等)とin v
itro translation反応(プロメガ社:
Rabbit Reticulocyte Lysat
e System等)を併用する系のような本発明の遺
伝子が転写または翻訳される環境下で候補物質を系に添
加し、該レポーター遺伝子の発現量を測定することによ
り評価することができる。
【0040】本発明のアンチセンス核酸は、生体内にお
けるki316の発現を抑制することができるので、K
I316が関連する疾患の予防・治療剤として有用であ
る。
【0041】
【発明の実施の形態】(核酸)本発明のDNAをDNA
ライブラリーから得る例としては、適当なゲノムDNA
ライブラリーやcDNAライブラリーを、ハイブリダイ
ゼーションによるスクリーニング法や、抗体を用いたイ
ムノスクリーニング法等でスクリーニングし、目的のD
NAを有するクローンを増殖させ、そこから制限酵素等
を用いて切り出す方法がある。ハイブリダイゼーション
法によるスクリーニングは、配列番号1に記載の塩基配
列もしくはその一部を有するDNAを32P等でラベル
してプローブとし、任意のcDNAライブラリーまたは
ゲノムDNAライブラリーに対して、公知の方法で(例
えば、Maniatis T.等,Molecular
Cloning,a Laboratory Manu
al,Cold Spring harbor Lab
oratory,New York,1982年)行う
ことができる。イムノスクリーニング法で用いる抗体
は、後述する本発明の抗体を使用することができる。本
発明の新規DNAはまた、ゲノムDNAライブラリーも
しくはcDNAライブラリーを鋳型とするPCR(Po
lymerase Chain Reaction)に
よっても得る事ができる。PCRは、配列番号1に記載
の塩基配列をもとに、センスプライマー、アンチセンス
プライマーを作製し、任意のDNAライブラリーに対
し、公知の方法(例えばMichael A.I.等,
PCR Protocols,a Guide to
Methods and Applications,
Academic Press、1990年参照)等を
行って、本発明のDNAを得る事もできる。上記各種方
法で使用するDNAライブラリーは、本発明のDNAを
有するDNAライブラリーを選択して使用する。当該D
NAライブラリーは、本発明のDNAを有するライブラ
リーであれば、いかなるものも使用可能であり、市販の
DNAライブラリーを使用したり、本発明のDNAを有
する細胞からDNAライブラリーを作製するのに適した
細胞を選び公知の方法(J.Sambrook 等、M
olecular Cloning,a Labora
tory Manual 2nd ed.,Cold
Spring Harbor Laboratory,
New York,1989年参照)に従って、DNA
ライブラリーを作製し、利用することができる。
【0042】また、本明細書に開示された配列を基にホ
スホアミダイト法などの化学合成的手法により調製する
ことも可能である。
【0043】本発明のDNAを含む組換えベクターは、
環状、直鎖状等いかなる形態のものであってもよい。か
かる組換えベクターは、本発明のDNAの全部または一
部に加え、必要ならば他の塩基配列を有していてもよ
い。他の塩基配列とは、エンハンサーの配列、プロモー
ターの配列、リボゾーム結合配列、コピー数の増幅を目
的として使用される塩基配列、シグナルペプチドをコー
ドする塩基配列、他のポリペプチドをコードする塩基配
列、ポリA付加配列、スプライシング配列、複製開始
点、選択マーカーとなる遺伝子の塩基配列等のことであ
る。本発明の組換えベクターの好ましい一例は、発現ベ
クターである。
【0044】遺伝子組換えに際しては、適当な合成DN
Aアダプターを用いて翻訳開始コドンや翻訳終止コドン
を本発明のDNAに付加したり、あるいは塩基配列内に
適当な制限酵素切断配列を新たに発生させあるいは消失
させることも可能である。これらは当業者が通常行う作
業の範囲内であり、本発明のDNAを基に任意かつ容易
に加工することができる。
【0045】また本発明のDNAを保持するベクター
は、使用する宿主に応じた適当なベクターを選択して使
用すればよく、プラスミドの他にバクテリオファージ、
バキュロウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイル
ス等の種々のウイルスを用いることも可能であり、特に
制限はない。
【0046】本発明の遺伝子の発現は、該遺伝子固有の
プロモーター配列の制御下に発現させることができる。
かかる発現系を用いれば、本発明の遺伝子の転写を促進
あるいは抑制する物質の探索がより有利に行える。ある
いは、本発明の遺伝子の上流に別の適当な発現プロモー
ターを該遺伝子固有のプロモーター配列に接続あるいは
置き換えて使用することもできる。この場合に使用する
プロモーターは、宿主及び発現の目的に応じて適宜選択
すればよく、例えば宿主が大腸菌である場合にはT7プ
ロモーター、lacプロモーター、trpプロモータ
ー、λPLプロモーターなどが、宿主が酵母である場合
にはPHO5プロモーター、GAPプロモーター、AD
Hプロモーター等が、宿主が動物細胞である場合にはS
V40由来プロモーター、レトロウイルスプロモーター
等を例示できるが、当然ながらこれらには限定されな
い。
【0047】DNAをベクターに導入する方法は公知で
ある(J.Sambrook等、Molecular
Cloning,a Laboratory Manu
al2nd ed.,Cold Spring Har
bor Laboratory,ニューヨーク(New
York),1989年、参照)。すなわち、DNA
とベクターをそれぞれ適当な制限酵素で消化し、得られ
たそれぞれの断片を、DNAリガーゼを用いてライゲー
ションさせればよい。
【0048】(蛋白質)本発明の蛋白質は、該蛋白質を
発現している細胞や組織から調製することができ、また
ペプチド合成機(例えば、ペプチドシンセサイザー43
3A型、アプライドバイオシステムズ ジャパン株式会
社製)を使用した化学合成法でも、また原核生物あるい
は真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた組換
え方法によっても調製することができる。しかしなが
ら、その純度の面から遺伝子工学的な手法による生産な
らびに組換え型蛋白質が好ましい。
【0049】前項の組換えベクターを用いて形質転換さ
せる宿主細胞には特に制限はなく、大腸菌(E.col
i)、枯草菌(B.subtilis)あるいは酵母
(S.cerevisiae)に代表される遺伝子工学
手法において利用可能な下等細胞、昆虫細胞、COS7
細胞、CHO細胞、HeLa細胞に代表される動物細胞
など多くの細胞が、本発明に対しても利用可能である。
【0050】本発明の形質転換細胞は、適当な宿主細胞
を本発明の組換えベクターにより形質転換させることで
得ることができる。前項の組換えベクターを宿主細胞に
導入する方法としては、エレクトロポレーション法、プ
ロトプラスト法、アルカリ金属法、リン酸カルシウム沈
澱法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクシ
ョン法、ウイルス粒子を用いる方法等の公知方法(実験
医学臨時増刊、遺伝子工学ハンドブック1991年3月
20日発行、羊土社、参照)があるが、いずれの方法を
用いても構わない。
【0051】当該蛋白質を遺伝子工学的に生産するに
は、上述の形質転換細胞を培養して培養混合物を回収
し、当該蛋白質を精製する。形質転換細胞の培養は、一
般的な方法で行うことができる。形質転換細胞の培養に
ついては各種の成書(例、「微生物実験法」社団法人日
本生化学会編、株式会社東京化学同人、1992年)が
あるので、それらを参考にして行うことができる。
【0052】培養混合物から本発明の蛋白質を精製する
方法としては、蛋白質の精製に通常使用されている方法
の中から適切な方法を適宜選択して行うことができる。
すなわち、塩析法、限外濾過法、等電点沈澱法、ゲル濾
過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、疎
水性クロマトグラフィーや抗体クロマトグラフィー等の
各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォ
ーカシング法、吸着クロマトグラフィーおよび逆相クロ
マトグラフィー等、通常使用され得る方法の中から適切
な方法を適宜選択し、必要によりHPLCシステム等を
使用して適当な順序で精製を行えば良い。
【0053】また、本発明の蛋白質を他の蛋白質(例、
免疫グロブリンのFc断片)やタグ(例、グルタチオン
Sトランスフェラーゼ、プロテインA、ヘキサヒスチジ
ンタグ、FLAGタグその他)との融合蛋白質として発
現させることも可能である。発現させた融合型は、適当
なプロテアーゼ(例、トロンビン、エンテロカイネース
その他)を用いて切り出すことが可能であり、ときとし
て蛋白質の調製をより有利に行うことが可能となる。ま
た、免疫グロブリンのFc断片を用いた場合などは、二
量体形成能を賦与するなど、本発明の蛋白質の活性また
は機能を向上または修飾することが可能である。本発明
の蛋白質の精製は当業者に一般的な手法を適宜組み合わ
せて行えばよく、特に融合蛋白質の形態で発現させたと
きは、その形態に特徴的な精製法を採用することが好ま
しい。
【0054】また、組換えDNA分子を利用して無細胞
系の合成方法(J.Sambrook, et a
l.:Molecular Cloning 2nd
ed.(1989年))で得る方法も、遺伝子工学的に
生産する方法の1つである。
【0055】この様に本発明の蛋白質は、それ単独の形
態でも別種の蛋白質との融合蛋白質の形態でも調製する
ことができるが、これらのみに制限されるものではな
く、本願発明の蛋白質を更に種々の形態へと変換させる
ことも可能である。例えば、蛋白質に対する種々の化学
修飾、ポリエチレングリコール等の高分子との結合、不
溶性担体への結合など、当業者に知られている多種の手
法による加工が考えられる。また、用いる宿主によって
は糖鎖の付加の有無あるいはその程度にも違いが認めら
れる。かかる場合にあっても、KI316としてのセリ
ンプロテアーゼへの結合能または阻害活性を有する限り
において、なお、本発明であると理解されたい。KI3
16のAsn319およびAsn519がN型糖鎖結合
部位と予測される。
【0056】本発明の蛋白質は、抗体を作製するための
抗原として使用し、あるいは該蛋白質に結合する物質や
該蛋白の活性を調節する物質のスクリーニングに使用す
ることができ、有用である。
【0057】本発明のKI316は、上述のような形質
転換細胞、特に動物細胞を培養することにより、培養上
清中に分泌させることが可能である。一方、KI316
が形質転換細胞のペリプラズムまたは細胞質内に存在す
る場合は、適当な緩衝液に懸濁した細胞に対して、例え
ば超音波処理、凍結融解処理、あるいはリゾチーム処理
などを行って細胞壁および/または細胞膜を破壊した
後、遠心分離やろ過などの方法で本発明の蛋白質を含有
する膜画分を得、さらに該膜画分を適当な界面活性剤を
用いて可溶化して粗溶液を調製する。そして、当該粗溶
液から定法により目的蛋白質を単離、精製することがで
きる。
【0058】(トランスジェニック動物)本発明のki
316を用いれば、トランスジェニック非ヒト哺乳動物
を作製することができる。このトランスジェニック非ヒ
ト哺乳動物も本願の発明に属する。該トランスジェニッ
ク非ヒト哺乳動物は、トランスジェニック動物の製造に
おいて通常使用されるような定法(例、発生工学実験マ
ニュアル、講談社サイエンティフィク発行、勝木元也
編、野村達次監修、1987年)に従って作製すること
ができる。すなわち、本発明の遺伝子または組換えベク
ターを非ヒト動物の全能性細胞に導入し、この細胞を個
体へと発生させ、体細胞のゲノム中に導入遺伝子が組み
込まれた個体を選別する。
【0059】具体的には、例えば、トランスジェニック
マウスの場合には、正常C57Black/6マウスか
ら取得した前核期受精卵にki316遺伝子が発現可能
なように構築されたDNAを直接注入する。より具体的
には、適切なプロモーターの下流にki316遺伝子を
接続して導入したコンストラクトを作製し、その後必要
であれば原核生物由来の配列を可能な限り除去した直鎖
状DNAを得て、これを前核期受精卵前核に微細なガラ
ス針を用いて直接注入する。該受精卵を仮親として別の
偽妊娠マウスの子宮に移植する。偽妊娠マウスは一般的
にICR雌マウスを、精管を切断または結紮した雄マウ
スと交配して作製する。移植胚由来の仔の組織よりゲノ
ムDNAを抽出し、PCR法またはサザンブロッティン
グ法にてki316遺伝子の導入の有無を確認しトラン
スジェニックマウスを得る。
【0060】また、ki316(またはki316のマ
ウス相同遺伝子)の塩基配列に基づいて、いわゆる「ノ
ックアウトマウス」を作製することができる。本発明に
おける「ノックアウトマウス」とは、本発明のマウス由
来の蛋白質をコードする内在性遺伝子がノックアウト
(不活性化)されたマウスであり、例えば相同組換えを
応用したポジティブネガティブセレクション法(米国特
許第5,464,764号公報、同5,487,992
号公報、同5,627,059号公報 、Proc.N
atl.Acad.Sci.USA,Vol.86,8
932−8935,1989、Nature,Vol.
342,435−438,1989など)を用いて作製
することができ、このようなノックアウトマウスも本発
明の一態様である。
【0061】または、最近中大動物においても核移植に
よるクローン動物の作出が可能となった。これに伴い本
技術を用いたTGおよびKO動物の作出も実際に行われ
るようになった。すなわち体細胞、あるいは生殖系列の
細胞に対しki316(または各動物におけるki31
6の相同遺伝子)の塩基配列に基づいて、ES細胞に対
して行うのと同様に相同組換えを行い、得られた細胞か
ら核を得て、その核を用いてクローン動物を得ることが
できる。該動物はki316(または各動物におけるk
i316の相同遺伝子)が失われたノックアウト動物で
ある。または、上述の方法と同様、任意の動物の任意の
細胞にki316(または各動物におけるki316の
相同遺伝子)遺伝子を導入し、その核を用いてクローン
動物を得る事によりTG動物を作製する事も可能であ
る。このようなノックアウト非ヒト動物およびトランス
ジェニック非ヒト動物はその種に関わらず本発明の一態
様である。
【0062】(抗体)本発明の抗体は、ポリクローナル
抗体、モノクローナル抗体いずれも公知方法を参考にし
て得ることができる(例えば、免疫実験操作法、日本免
疫学会編、日本免疫学会発行、参照)。以下に簡単に説
明する。
【0063】当該新規抗体を得るには、まず動物に、免
疫抗原として本発明の蛋白質を必要に応じてフロイント
の完全アジュバント(FCA)や不完全アジュバント
(FIA)等の適切なアジュバントとともに接種し、必
要があれば2〜4週間の間隔で追加免疫する。追加免疫
後、採血を行い、抗血清を得る。抗原として用いる本発
明の蛋白質は、それが抗体の作製に使用しうる精製度の
ものであればいかなる方法で得られたものであってもよ
い。本発明の蛋白質の部分ポリペプチドも免疫抗原とし
て好適に使用しうる。免疫抗原として使用するポリペプ
チドが、低分子のポリペプチド、すなわち約10〜20
アミノ酸からなるポリペプチドである場合には、それを
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)等のキャ
リアと結合させて抗原として使用すればよい。免疫する
動物はいかなるものであっても良いが、好ましくは通常
当業者で免疫学的な実験に使用されるラット、マウス、
ウサギ、ヒツジ、ウマ、ニワトリ、ヤギ、ブタ、ウシ等
から、目的の抗体を産生しうる動物種を選択して使用す
ることが好ましい。
【0064】ポリクローナル抗体は、得られた抗血清を
精製することによって得る事が出来る。精製は、塩析、
イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマ
トグラフィー等の公知方法を適宜組み合わせて行えば良
い。
【0065】モノクローナル抗体を得るには以下のよう
に行う。すなわち、免疫した動物から脾細胞もしくはリ
ンパ球等の抗体産生細胞を採取し、ポリエチレングリコ
ール、センダイウイルス、電気パルス等を用いる公知方
法によって、ミエローマ細胞株等と融合し、ハイブリド
ーマを作製する。その後、本発明の蛋白質に結合する抗
体を産生しているクローンを選択して培養し、その選択
されたクローンの培養上清を精製することによって得れ
ば良い。精製は、塩析、イオン交換クロマトグラフィ
ー、アフィニティークロマトグラフィー等の公知方法を
適宜組み合わせて用いれば良い。
【0066】また、遺伝子工学的な方法を用いても当該
新規抗体が得られる。例えば、本発明蛋白質またはその
部分ポリペプチドで免疫した動物の脾細胞、リンパ球あ
るいは、本発明蛋白質またはその部分ポリペプチドに対
するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマから
mRNAを採取し、これをもとにcDNAライブラリー
を作製する。抗原と反応する抗体を産生しているクロー
ンをスクリーニングし、得られたクローンを培養し、培
養混合物から目的とする抗体を公知方法を組み合わせて
精製することができる。抗体を治療に使用する場合に
は、免疫原性の点からヒト化抗体が好ましい。ヒト化抗
体は、免疫系をヒトのものと入れ替えたマウス(例 N
at.Genet.15;146−156(199
7))を免疫することにより調製することが出来る。ま
た、モノクローナル抗体の超可変領域を用いて遺伝子工
学的に調製することもできる(Method in E
nzymology 203;99−121(199
1))。
【0067】(アンチセンス核酸)アンチセンス核酸
は、公知方法で製造することができる(例えば、Sta
nley T.CrookeおよびBernald L
ebleu編、in Antisense Resea
rch and Applications,CRC出
版、フロリダ、1993年)。天然のDNAやRNAで
あれば、化学合成機を使用して合成し、あるいはki3
16を鋳型としてPCR法により本発明のアンチセンス
核酸を得ることができる。また、メチルフォスフォネー
ト型やフォスフォロチオエート型等、誘導体の中には化
学合成機(たとえばアプライドバイオシステムズ ジャ
パン株式会社製、Expedite Model 89
09)を使用して合成できるものもある。この場合に
は、化学合成機に添付されたマニュアルに従って操作を
行い、得られた合成産物を、逆相クロマトグラフィー等
を用いたHPLC法により精製することによっても、ア
ンチセンス核酸を得ることができる。
【0068】本発明のDNAやアンチセンス核酸を診断
用のプローブとして使用する場合には、それらを公知の
方法に従い、ラジオアイソトープ、酵素、蛍光物質、あ
るいは発光物質等で標識する。次に、検体からDNAも
しくはmRNAを公知方法で調製し、これを被検物質と
して、前記標識プローブを加えて反応させた後、洗浄し
て未反応の前記標識プローブを除去する。被検物質中
に、遺伝子ki316もしくはRNAが含まれていれ
ば、当該アンチセンス核酸はそれらと結合する。結合形
成の有無は、標識した酵素、蛍光物質、発光物質、ある
いは放射性同位元素等による発光、蛍光、放射能等を指
標として知ることができる。
【0069】本発明のDNA、アンチセンス核酸または
組換えベクターを医薬用途に使用する場合には、医薬品
として使用するのに適した純度のものを、薬理学的に許
容されうる使用方法で使用することが好ましい。
【0070】本発明のDNA、アンチセンス核酸または
組換えベクターは、それらを直接適当な溶媒に溶解もし
くは懸濁して使用してもよいし、リポソーム中に封入し
たり、適当なベクターに組み込んだ形にして使用しても
よい。また、必要に応じて、薬理学的に許容され得る補
助成分を添加し、注射剤、錠剤、カプセル剤、点眼剤、
クリーム剤、座剤、噴霧剤、パップ剤等適当な剤型にし
て使用してもよい。薬理学的に許容され得る補助成分と
は、溶媒、基剤、安定化剤、防腐剤、溶解剤、賦形剤、
緩衝剤等のことである。
【0071】本発明のDNA、アンチセンス核酸または
組換えベクターは、上述のような剤型とした場合、患者
の年齢や、性別、疾患の種類、程度に応じて、その投与
方法、その投与量を設定して使用することができる。す
なわち、病態を改善するのに適した量を、経口投与、あ
るいは、吸入、経皮投与、点眼、膣内投与、関節内投
与、直腸投与、静脈内投与、局所投与、筋肉内投与、皮
下投与、腹腔内投与等から適当な方法を選んで投与すれ
ばよい。
【0072】(スクリーニング方法)本発明は、本発明
の蛋白質、該蛋白質を発現している形質転換細胞、本発
明のDNA、該DNAを含む組換えベクターまたは該組
換えベクターで形質転換された形質転換細胞を用いるこ
とを特徴とし、本発明の蛋白質の機能または発現を調節
する物質をスクリーニング方法に関する。より具体的に
は、(1)候補物質を用意し、本発明の蛋白質または該
蛋白質を発現している形質転換細胞に該候補物質を接触
させ、該候補物質が本発明の蛋白質の活性を調節する作
用を有するかどうかを判定することからなる方法、
(2)候補物質を用意し、本発明のDNAを含む組換え
ベクターまたは該組換えベクターで形質転換された形質
転換細胞に該候補物質を接触させ、該候補物質がki3
16遺伝子の発現を調節する作用を有するかどうかを判
定することからなる方法などが挙げられる。(1)の例
としては、実施例6に示す系において、候補物質存在下
/非存在下における本発明の蛋白質の活性を測定し、非
存在下に比べて存在下において本発明の蛋白質の活性を
増加または減少させる候補物質を選択する方法が挙げら
れる。(2)の例としては、ki316遺伝子の発現制
御領域、5’非翻訳領域、翻訳開始部位近傍領域または
翻訳領域の一部等を含むDNAとルシフェラーゼ等のレ
ポーター遺伝子を連結した発現プラスミドを作製し、本
発明の遺伝子が転写または翻訳される環境下で該レポー
ター遺伝子の発現量を候補物質の存在下/非存在下で測
定し、候補物質の転写促進活性または転写抑制活性を確
認する方法が挙げられる。本発明の蛋白質の活性を調節
する作用を示す物質とは、KI316の活性を増強(ア
ゴニスト)あるいは阻害する(アンタゴニスト)作用を
有する物質のいずれでも良い。本発明のDNAの発現調
節作用を示す物質とは、遺伝子ki316の発現を促進
あるいは抑制する作用を有する物質のいずれでもよく、
好ましくは発現を抑制する物質である。候補物質が本発
明の蛋白質の活性調節作用または本発明のDNAの発現
調節作用を示すかどうかは、蛋白質の活性を確認できる
系またはDNAの発現を確認できる系に候補物質を添加
した場合と無添加の場合の蛋白質の活性またはDNAの
発現レベルに差があるかどうかを調べればよい。DNA
の発現レベルとは、ki316遺伝子のmRNAの発現
強度、蛋白質の発現強度のいづれにより検出しても良
い。また、ki316遺伝子またはKI316蛋白質自
体の発現レベルではなく、代替としてレポーター遺伝子
の発現レベルを検出しても良い。レポーターアッセイ系
は、転写調節領域の下流に配置したレポーター遺伝子の
発現量を指標として、該転写調節領域に作用する物質を
スクリーニングするアッセイ系をいう。転写調節領域と
しては、プロモーター、エンハンサー、通常プロモータ
ー領域に見られるCAATボックス、TATAボックス
等を例示することができる。またレポーター遺伝子とし
ては、CAT(chloramphenicol ac
etyltransferase)遺伝子、ルシフェラ
ーゼ(luciferase)遺伝子、β−ガラクトシ
ダーゼ(β−galactosidase)遺伝子等を
利用することができる。本発明の遺伝子の発現制御領域
や5’非翻訳領域は公知の方法で取得することが可能で
ある(新細胞工学実験プロトコール(秀潤社)、199
3年)。阻害(または抑制)する作用を有する、あるい
は増強(または促進)する作用を有するとは、蛋白質の
活性またはDNAの発現レベルの測定値が、候補物質添
加群と、候補物質無添加群との間に差があることをい
う。たとえば、下記の式で計算される阻害(または抑
制)率あるいは増強(または促進)率が10%以上、好
ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、更に
好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上であ
ることをいう。 阻害(抑制)率あるいは増強(促進)率=(候補物質無
添加群の測定値−候補物質添加群の測定値)の絶対値/
無添加群の測定値*100 ここで、測定値は蛋白質の活性を確認できる系またはD
NAの発現を確認できる系の種類によって適宜定められ
る。たとえば、蛋白質の活性を確認できる系が実施例6
に示す測定系の場合には、測定値としては吸光度を用い
ることができ、候補物質添加群の測定値>候補物質無添
加群の測定値となる場合、候補物質にはKI316蛋白
質活性阻害作用があるといえる。測定系にバックグラウ
ンドやノイズの値が含まれる場合には、そのようなもの
を差し引いた値を測定値とすることは言うまでもない。
【0073】上述のスクリーニング方法あるいはトラン
スジェニック動物を用いた探索を通じて得られる化合物
等は、炎症性疾患等に対する有効な治療薬または予防薬
となることが期待される。候補物質としては蛋白質、ペ
プチド、オリゴヌクレオチド、合成化合物、天然由来化
合物、醗酵生成物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織
抽出液などが挙げられるがこれに限定されず、新規物質
でも公知物質でもよい。
【0074】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳述する
が、本発明はこれら実施例に限定して理解されるべきも
のではない。
【0075】実施例1 新規クニッツ型プロテアーゼイ
ンヒビターKI316のクローニング
【0076】 (1)舌組織由来クローンC−NTONG200331
6のクローニング (1−1)オリゴキャップ法によるcDNAライブラリ
ーの作製 (1−1−1)mRNA抽出 ヒト正常舌(Tongue)組織より、文献(J.Sa
mbrook,E.F.Fritsch&T.Mani
atis,Molecular Cloning Se
cond edition,Cold Spring
harborLaboratory Press,19
89)記載の方法により全RNAとしてmRNAを抽出
した。
【0077】(1−1−2)cDNAライブラリーの作
製 RNAよりオリゴキャップ法[M.Maruyama
and S.Sugano,Gene,138:171
−174(1994)]を改良した方法(WO01/0
4286)によりcDNAライブラリーを作製した。オ
リゴ−キャップリンカー(5’−agcaucgagu
cggccuuguu ggccuacugg−
3’)およびオリゴdTプライマー(5’−gcggc
tgaagacggcctatg tggcctttt
t tttttttttt tt−3’)を用いて、W
O01/04286に記載したようにBAP(Bact
erial Alkaline Phosphatas
e)処理、TAP(Tobacco Acid Pyr
ophosphatase)処理、RNAライゲーショ
ン、第一鎖cDNAの合成とRNAの除去を行った。次
いで、5’(5’−agcatcgagt cggcc
ttgtt g−3’)と3’(5’−gcggctg
aag acggcctatg t−3’)のPCRプ
ライマーを用いPCR(polymerase cha
in reaction)により2本鎖cDNAに変換
し、SfiI切断した。次いで、通常は2kb以上(場
合によっては3kb以上)に分画したcDNA断片をD
raIIIで切断したベクターpME18SFL3(G
enBank AB009864,Expressio
nvector)にcDNAの方向性を決めてクローニ
ングし、cDNAライブラリー(NTONG)を作製し
た。
【0078】オリゴキャップ法を改良した方法で作製し
た高全長率cDNAライブラリーは、真核細胞での発現
が可能な発現ベクターpME18SFL3を用いて作製
した。pME18SFL3にはクローニング部位の上流
にSRαプロモーターとSV40 small tイン
トロンが組み込まれており、またその下流にはSV40
ポリA 付加シグナル配列が挿入されている。pME1
8SFL3のクローン化部位は非対称性のDraIII
サイトとなっており、cDNA断片の末端にはこれと相
補的なSfiI部位を付加しているので、クローン化し
たcDNA断片はSRαプロモーターの下流に一方向性
に挿入される。したがって、全長cDNAを含むクロー
ンでは、得られたプラスミドをそのままCOS細胞など
に導入することにより、一過的に遺伝子を発現させるこ
とが可能である。すなわち、非常に容易に、遺伝子産物
である蛋白質として、あるいはそれらの生物学的活性と
して実験的に解析することが可能となっている。
【0079】(1−2)cDNAクローン末端配列解析
と全長塩基配列解析クローンの選択 各cDNAライブラリーより得たクローンのプラスミド
DNAについて、cDNAの5’末端の塩基配列をDN
Aシーケンシング試薬(Dye Terminator
Cycle Sequencing FS Read
y Reaction Kit, dRhodamin
e Terminator CycleSequenc
ing FS Ready Reaction Kit
またはBigDye Terminator Cycl
e Sequencing FS Ready Rea
ction Kit, PE Biosystems社
製)を用い、マニュアルに従ってシーケンシング反応
後、DNAシーケンサー(ABI PRISM 370
0, PE Biosystems社製)で解析した。
得られたデータについてはデータベース化を行った。
【0080】解析されたcDNAクローンの5’末端配
列については、GenBank、UniGeneのco
mplete cdsの表記があるデータを対象にした
BLASTによる相同性検索を行い、ヒトのmRNA配
列に同一なものは除いた。次にクラスタリングを行い、
相同性90%以上かつコンセンサス配列が50塩基対以
上の場合、同一グループと見なし、グループを形成させ
た。グループ内の、より5’−側に長いクローンを選択
し、選択されたクローンについては必要に応じ3’末端
配列を5’末端配列と同様の方法で解析取得した。取得
された末端配列のデータを解析し、5’末端と3’末端
の配列でコンティグを作るクローンは除いた。更に再度
前記と同様にBLASTによる相同性検索により公知の
ヒトのmRNA配列に同一なものは除いた。こうして選
択したクローンより全長塩基配列解析を行うクローンを
得た。
【0081】(1−3) 全長塩基配列解析 全長塩基配列解析に選抜されたクローンについて各々全
長cDNAの塩基配列を決定した。塩基配列は、主にカ
スタム合成DNAプライマーを用いたダイデオキシター
ミネーター法によるプライマーウォーキング法によって
決定した。すなわち、カスタム合成DNAプライマーを
用い、PE Biosystem社製のDNAシーケン
シング試薬でマニュアルに従ってシーケンシング反応
後、同社製のシーケンサーを用いてDNA塩基配列を解
析した。一部のクローンについては、Licor社製D
NAシーケンサーも利用した。
【0082】また、一部のクローンについてはカスタム
プライマーを用いずcDNA が含まれるプラスミドを
ランダムに切断するショットガン法を用いて同様にDN
AシーケンサーでDNA塩基配列を決定した。全長塩基
配列は上記方法により決定された部分塩基配列を完全に
オーバーラップさせ最終的に確定した。
【0083】次に、決定された全長塩基配列から、蛋白
質への翻訳領域を推定しアミノ酸配列を求めた。
【0084】(2)C−NTONG2003316塩基
配列 上述の方法で取得したプラスミドC−NTONG200
3316には、283個のアミノ酸配列(配列番号4)
からなる新規な蛋白質をコードする、849塩基の塩基
配列からなるオープンリーディングフレームを含む、全
長2036塩基対の塩基配列(配列番号3)からなるc
DNAが含まれていた。
【0085】(3)C−NTONG2003316推定
蛋白質の相同性解析とモチーフ解析 相同性の検索にはBLAST(J.Mol.Evo
l.、Vol.36;290−300(1993)、
J.Mol.Biol.、Vol.215;403−1
0(1990))を用いて、局部的な配列の一致を検索
した。配列番号4で表されるアミノ酸配列を、相同性検
索を行うblastpプログラムを用いてGenban
k蛋白質データベース(http://www.ncb
i.nlm.nih.gov/)に対しBLAST相同
性検索を行った。その結果、56番から146番の91
アミノ酸にわたりラットalpha−1−microg
lobulin/bikunin(GenBank A
ccession:NP_037033)との相同性が
65%および同一性が45%、93番から143番の5
1アミノ酸にわたりラット tissue facto
r pathway inhibitor(GenBa
nk Accession:NP_058896)との
相同性が64%および同一性が43%みられた。またP
SI−BLASTアルゴリズムを用いたPfam,SM
ARTデータベース検索(Nucleic Acids
Res.25:3389−3402.;http:/
/www.ncbi.nlm.nih.gov/Str
ucture/cdd/cdd.shtml)によりド
メイン解析を行うことで、C−NTONG200331
6の93−143アミノ酸領域にクニッツ型セリンプロ
テアーゼ阻害ドメインが認められた。また30−85ア
ミノ酸領域にも偽クニッツ配列が認められたが、その配
列は一般的なクニッツドメインに比べ5アミノ酸長く、
システイン残基が2個余分に含まれていた。
【0086】(4)C−NTONG2003316cD
NA配列によるEST情報検索 C−NTONG2003316の5’側塩基配列1−1
60をblastnプログラムを用いてヒトESTデー
タベース(http://www.ncbi.nlm.
nih.gov/)に対しBLAST相同性検索を行っ
た。その結果、さらに5’側が延長されたESTクロー
ン(AL537450)が認められ、C−NTONG2
003316が部分長であることが示唆された。またC
−NTONG2003316の偽クニッツドメインを含
む塩基配列1−560を同様にblastnプログラム
を用いてヒトESTデータベースに対しBLAST相同
性検索を行った結果、C−NTONG2003316と
は異なるESTクローン(AL540240)が認めら
れた。この配列はC−NTONG2003316には認
められないII型のイムノグロブリンドメインと新たな
クニッツドメインを含んでおり、新規クニッツ型プロテ
アーゼインヒビターKI316の部分cDNA配列と予
想された。
【0087】(5)完全長KI316cDNAのクロー
ニング (5−1)KI316N末端側cDNAクローニング 上述のEST情報検索により得られたAL537450
配列をもとにセンスプライマー316−S1(5’−C
AG GTG TCC CAC CGT GCC AG
−3’)を、C−NTONG2003316配列をもと
にアンチセンスプライマー316−A1(5’−CTG
TTG TAA GCC CAG CGA GG−
3’)を合成し、ヒト肺組織由来MTCパネル(CLO
NTECH)を鋳型にPLATINUN Taq DN
A Polymerase(Invitrogen)に
より94℃で30秒、55℃で30秒、72℃で2分の
サイクルを35回繰り返し、1st−PCR反応を行っ
た。得られたPCR産物の希釈液を鋳型とし、AL53
7450配列由来のセンスプライマー316−S2
(5’−GCT GCC TAA ACT GCT T
CC AG−3’)とC−NTONG2003316配
列由来のアンチセンスプライマー316−A2(5’−
AAG TGG TTG AGG TTA CGG T
G−3’)を用いて、上述と同条件で2nd−PCR反
応を行った。得られた増幅断片はpGEM−T Eas
y Vector(Promega)に定法に従いTA
クローニングし、シークエンスによりKI316のN末
端cDNAであることを確認した。 (5−2)KI316C末端側cDNAクローニング C−NTONG2003316配列由来のセンスプライ
マー316−S6(5’−TGG CGG CCC G
CT ACA TGG AC−3’)とアンチセンスプ
ライマー316−A6(5’−TTG ATG TTT
CCC TGC TGT CC−3’)を合成し、ヒ
ト肺組織由来MTCパネル(CLONTECH)を鋳型
にPLATINUN Taq DNA Polymer
ase(Invitrogen)により94℃で30
秒、55℃で30秒、72℃で2分のサイクルを35回
繰り返し、1st−PCR反応を行った。得られたPC
R産物の希釈液を鋳型とし、C−NTONG20033
16配列由来のセンスプライマー316−S7(5’−
ATG CCC AAG GAG GCC ACA−
3’)とアンチセンスプライマー316−A5(5’−
AGT TTG CTGAGA GGC ATT GG
−3’)を用いて、上述と同条件で2nd−PCR反応
を行い、目的とする増幅DNA断片を得た。さらに制限
酵素サイトを付加する目的で、2nd−PCRで得られ
た増幅DNA断片を鋳型とし、C−NTONG2003
316配列由来のセンスプライマー316−S7(5’
−ATGCCC AAG GAG GCC ACA−
3’)とXhoIサイトを付加したアンチセンスプライ
マー316−A4(5’−CCT CCT CGA G
CG TGC AAG CCA AGA AAC TC
C TTG−3’)を用いて、上述と同条件で3rd−
PCR反応を行った。得られた増幅DNA断片はpGE
M−T Easy Vector(Promega)に
定法に従いTAクローニングし、シークエンスによりK
I316のC末端側cDNAであることを確認した。 (5−3)KI316発現ベクターの構築 N末端側とC末端側に2分割してクローニングしたcD
NAは重複領域中の制限酵素サイトPciIを利用し、
発現ベクター上に完全長cDNAとして組み込んだ。す
なわち、N末端側cDNAが組み込まれたpGEM−T
Easyを制限酵素AlwNI消化、bluntin
g Kit(宝酒造)による末端平滑化、制限酵素Pc
iI消化の順で処理することでN末端側cDNA断片を
得るとともに、C末端側cDNAが組み込まれたpGE
M−T Easyを制限酵素PciIとXhoIで消化
し、C末端側cDNA断片を得た。両cDNA断片は発
現ベクターpcDNA3.1(+)(CLONTEC
H)の制限酵素サイトEcoRV−XhoI間に3者ラ
イゲーションにより組み込むことで、完全長cDNAと
して再構築した。さらにpcDNA3.1(+)ベクタ
ー上のXhoI−BlnIサイト間の配列をpSecT
ag2−A(CLONTECH)のXhoI−BlnI
サイト間の配列と入れ替えることでC末端にHisタグ
配列を付与した。こうして得られたKI316(C末端
Hisタグ)発現ベクターpcDNA3.1(+)MH
−KI316Ig(+)には、全長2235塩基対の塩
基配列からなるcDNAが含まれていたが、人為的に付
加したHisタグ配列等を除くと、KI316蛋白質は
576アミノ酸配列(配列番号2)からなり、1728
塩基の塩基対からなるオープンリーディングフレームを
含む、全長2154塩基対の塩基配列(配列番号1)に
コードされていた。このKI316発現プラスミドpc
DNA3.1(+)MH−KI316Ig(+)は、国
際微生物寄託機関である独立行政法人産業技術総合研究
所特許生物寄託センターに、寄託番号FERM P−1
8590として寄託されている。 (5−4)KI316蛋白質の相同性解析とモチーフ解
析 相同性の検索にはBLAST(J.Mol.Evo
l.、Vol.36;290−300(1993)、
J.Mol.Biol.、Vol.215;403−1
0(1990))を用いて、局部的な配列の一致を検索
した。配列番号2で表されるKI316アミノ酸配列
を、相同性検索を行うblastpプログラムを用いて
Genbank蛋白質データベース(http://w
ww.ncbi.nlm.nih.gov/)に対しB
LAST相同性検索を行った。その結果、71番目から
572番の500アミノ酸残基にわたって、ヒト未知遺
伝子(GenBank Accession:AE00
6464)との相同性が68%および同一性が55%認
められ、301番目から439番の139アミノ酸残基
にわたって、UTI(GenBank Accessi
on:NP_001624.1)との相同性が51%お
よび同一性が34%みられた。また、重み行列を用いた
膜貫通予測プログラムtmap (PerssonB,
Argos P.、J Mol Biol.、Vol.
237;182−192 (1994))により膜貫通
ヘリックスの予測をおこなったところ、13番目から4
1番目のアミノ酸残基の計29残基においてシグナルペ
プチドと想定される膜貫通領域が予測された。また、P
SI−BLASTのアルゴリズムを用いて、Pfam、
SMARTデータベースを検索し(Nucleic A
cids Res.25:3389−3402.;ht
tp://www.ncbi.nlm.nih.gov
/Structure/cdd/cdd.shtm
l)、ドメインの予測を行ったところ、223番から2
94番目のアミノ酸残基、計72残基においてイムノグ
ロブリンドメインが、328番から378番目と386
番から436番のアミノ酸残基、各々50残基にわたっ
てクニッツドメインが予測された。以上に述べたKI3
16およびC−NTONG2003316の構造の特徴
を図1に示す。
【0088】実施例2 RT−PCRを用いた発現プロ
ファイルの解析 定法に従いRT−PCRによるKI316の組織発現プ
ロファイル解析を行った。解析に用いたヒトRNAは以
下の通りである。ヒト冠状動脈血管内皮細胞(HCAE
C;TAKARA社)及びヒト冠状動脈血管平滑筋細胞
(CASMC;TAKARA社)から定法により全RN
Aを抽出し、さらにmRNAを調製した。また、ヒト末
梢血由来白血球を50μg/mlのPHA存在下あるい
は非存在下で5時間培養した後に全RNAを定法により
抽出し、mRNAを調製した。さらにヒトの肺、膵臓、
心臓、副腎、精巣、胎児肝臓、胎児腎臓、脳のmRNA
および腎臓、肝臓、小腸、胸腺、脾臓の全RNAをCL
ONTECH社より購入し、全RNAで購入したものは
mRNAを調製した。大腸のmRNAはSTRATAG
ENE社より購入した。次に、これら各mRNA0.1
2μg(白血球については全RNA6μg)よりオリゴ
dTプライマーを用いて1本鎖cDNAの合成を定法に
従って行った。逆転写酵素としてはSuperScri
ptIIRNase HReverse Trans
criptase(Invitrogen)を用いた。
また、PCRに用いたKI316特異的なプライマーの
配列はセンスプライマーMCD030−F3(5’−C
TT ACA ACA GCCAGA CGG G−
3’)、アンチセンスプライマーMCD030−R3
(5’−TGT GCA TGA CCT CAC G
AA GC−3’)である。解析した結果、KI316
は白血球・活性化白血球で強く発現していた。以上に述
べた結果を図2に示す。
【0089】実施例3 KI316の分泌発現 実施例1で得られた発現プラスミドpcDNA3.1
(+)MH−KI316Ig(+)を、以下の方法でC
OS細胞に導入した。即ち、FuGENE6(ロシュ・
ダイアグノスティックス社)50μlと上記プラスミド
DNA12.5μgとを添付プロトコールに従い混合
し、150cmフラスコにセミコンフルエントに増殖
したCOS細胞に添加した。5%CO存在下、37℃
で3日間培養した後に培養上清を回収した。培養上清中
に含まれるKI316分泌タンパクをSDS−PAGE
電気泳動後、抗His抗体(Penta・His An
tibody;QIAGENおよびペルオキシダーゼ標
識抗マウスイムノグロブリン抗体;DAKO)を用いて
ウエスタンブロッティングにて検出することで、KI3
16の分泌発現を確認した。以上に述べた結果を図3に
示す。
【0090】実施例4 KI316の精製 KI316の精製を行うため、上述と同様の方法でKI
316を発現させた培養上精を用意し、Ni−NTA
(QIAGEN)による精製を行った。すなわち、培養
上清をNi−NTAカラムにアプライしたのち、PBS
(−)(SIGMA)、5mMイミダゾール/PBS
(−)、10mMイミダゾール/PBSの順でカラム洗
浄を行い、50mMイミダゾール/PBS(−)にてK
I316を溶出した。各精製段階で得られた画分を定法
に従いSDS−PAGE電気泳同に供し、銀染色IIキ
ットワコー(和光純薬工業)にて銀染色を行い、KI3
16の精製を確認した。得られたKI316蛋白質溶液
はビバポア10/20(7500MWCO;ザルトリウ
ス)を用いて濃縮し、PBS(−)、生理食塩水(大塚
製薬)に対して十分な透析を行い、最終精製標品とし
た。以上に述べた結果を図4に示す。
【0091】実施例5 抗KI316抗体の作製
【0092】(1)KI316の部分ペプチドの調製 KI316に対する抗体を作製するため、KI316の
N末端及びC末端の配列あるいはChou−Fasma
n及びRobsonの2次構造予測プログラムを用いて
解析を行い、親水性が高く構造的にはαヘリックスを含
むなど蛋白質表面に露出しているであろう配列を選び出
し、合成を行う。ペプチドの合成はModel 433
Aペプチドシンセサイザー(アプライドバイオシステム
ズ ジャパン株式会社)を用いて、キャリア蛋白と結合
できるようにするため、C端にシステインを付加し合成
する。定法により樹脂よりペプチドの切り出し脱保護を
行い、C18逆相HPLC(CAPDELL−PAK、
資生堂)を用いて精製を行う。
【0093】(2)KI316のペプチド免疫抗原の調
製 合成したペプチドを蒸留水で10mg/mlに溶解し、
10mg/mlのマレイミド化キーホールリンペットヘ
モシアニン(PIERCE)と等量混合を行う。室温で
2時間反応後、NAP−10カラム(アマシャム ファ
ルマシアバイオテク)で脱塩する。蛋白濃度は使用した
KLH量を液量で割ったものを用い、算出する。
【0094】(3)KI316抗体の作製 (3−1)ポリクローナル抗体の作製 KI316に対するウサギポリクローナル抗体を作製す
るため、調製した各ペプチド抗原をそれぞれ各40μg
ずつ混合し、0.5mlとする。その後、等量のフロイ
ンド完全アジュバント(DIFCO)と混合し、ウサギ
の背部皮下に投与を行う。2週間後、同量をフロインド
不完全アジュバント(DIFCO)と混合したものを投
与し、2週間後耳静脈より採血し抗血清を調製する。同
様に実施例4で精製したKI316を30μg/bod
yで投与し、抗血清を作製する。 (3−2)ペプチド抗体の作製 調製した各ペプチドキャリア抗原20μgを100μl
の生理食塩水に溶解し、フロインド完全アジュバントと
等量混合を行う。BALB/cマウス5週齢メスの腹腔
に投与し、2週間後ペプチドキャリア抗原20μgを1
00μlの生理食塩水に溶解し、フロインド不完全アジ
ュバントと等量混合し同様に腹腔に投与する。1週間後
眼底より採血を行い、抗体価の上昇をウエスタンブロッ
ティングにより確認する。すなわち組換えKI316蛋
白質を4−20%SDS−ポリアクリルアミドゲル(T
EFCO)にて電気泳動し、ミリポア社の方法にしたが
ってPVDF膜に転写する。転写後5%スキンミルク、
0.05%ツイーン20を含む0.076Mリン酸緩衝
液(pH6.4)(以下T−PBSと記載)にてブロッ
キングを行う。採血した抗血清を0.5%BSAを含む
T−PBSで500倍に希釈し、転写したPVDF膜と
4℃で一夜反応させる。メンブレンをT−PBSで3回
洗浄し、ペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリ
ン抗体(DAKO)を0.5%BSAを含むT−PBS
で500倍に希釈し、メンブレンと室温で1時間反応さ
せる。その後、メンブレンをT−PBSで3回洗浄後、
ECL(アマシャム ファルマシアバイオテク)で検出
する。以上の操作で抗体価の上昇を確認し、抗原の最終
投与3日後、脾細胞よりリンパ球を分離し、Sp2/O
−Ag14(ATCC No.CRL1581)と混合
後、ポリエチレングリコールを用いて安東民衛・千葉丈
/著「単クローン抗体実験操作入門」(講談社)にした
がって細胞融合を行う。HAT培地によりハイブリドー
マを選択し、1週間後に目的の抗体を産生しているハイ
ブリドーマのスクリーニングを行う。0.01M炭緩衝
液(pH9.5)を用い、実施例4で精製したKI31
6を1μg/mlに希釈し、イムノプレート(Maxi
sorb、NUNC)に50μl/ウエル添加する。3
7℃で1時間反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.
5%BSAを含む0.076Mリン酸緩衝液(pH6.
4)(以下PBSと記載)を各ウエルに100μl添加
し、ブロッキングを行う。次に培養上清を各ウエルに添
加し、37℃で1時間反応させた後、0.05%ツイー
ン20を含む生理食塩水で3回洗浄する。ペルオキシダ
ーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体を10%ウサギ
血清を含むPBSで1000倍に希釈し各ウエルに50
μl添加した。37℃で1時間反応後、0.05%ツイ
ーン20を含む生理食塩水で5回洗浄し0.01%過酸
化水素を含むテトラメチルベンジジン溶液を各ウエルに
添加する。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で
反応を停止する。プレート分光光度計(NJ−210
0、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定
する。この結果をもとに、KI316と反応する細胞を
選択し、限界希釈法によりクローニングを行う。10日
後、同様にスクリーニングを行い、KI316と反応す
る抗体を産生するクローンを取得することができる。選
択したハイブリドーマは10%FCS/RPMI164
0培地(Invitrogen)で培養後、Hybri
doma−SFM培地(Invitrogen)で培養
し抗体を産生させ、Prosep−Aカラム(ミリポ
ア)を用いて抗体を精製する。 (3−3)抗KI316モノクローナル抗体の作製 BALB/cマウス(メス、6週令)の腹腔に精製した
KI316蛋白質20μgをフロインド完全アジュバン
トと等量混合して投与する。初回投与2週間後に抗原2
0μgを生理食塩水に溶解し、フロインド不完全アジュ
バントと等量混合後腹腔に投与する。さらに1週間後、
抗体価の上昇を上記(3−2)記載の方法により確認
し、最終投与を行う。マウスの腹腔に抗原100μgを
投与し、3日後、脾臓を摘出する。脾臓よりリンパ球を
分離し、P3×63−Ag.8.U・1と10:1で混
合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行
う。HAT培地によりハイブリドーマを選択し、1週間
後目的の抗体を産生しているハイブリドーマのスクリー
ニングを行う。(3−2)に記載の方法により抗KI3
16抗体産生ウエルのスクリーニングを行い、KI31
6と反応したウエルを限界希釈法によりクローニング
し、再度スクリーニングを行って抗KI316モノクロ
ーナル抗体1を取得することができる。ハイブリドーマ
を10%FCS/RPMI1640培地(Invitr
ogen)で培養後、Hybridoma−SFM培地
(Invitrogen)で培養し、抗体を産生させ、
Prosep−Aカラム(ミリポア)を用いて抗体を精
製する。
【0095】実施例6 KI316の活性測定 KI316の生物活性は以下に示す活性測定系(現在実
施中)によって観察できる。これらの方法は、KI31
6が作用する因子、生理機構等の解明、KI316類似
蛋白質の探索・同定に有用であるのみならず、KI31
6の生物活性を阻害する物質、例えば中和抗体や、KI
316の生物活性を模倣する物質、例えばプロテアーゼ
阻害化合物等の医薬品候補物質の発見にも有用である。 セリンプロテアーゼ類の酵素阻害アッセイ セリンプロテアーゼ類は、その活性中心ポケット(オキ
シアニオンホール)の形状からエラスターゼ型、キモト
リプシン型、トリプシン型に分類できる。KI316が
どのタイプのセリンプロテアーゼを阻害するかを検討す
るために、合成基質を用いた酵素阻害アッセイを実施し
た。ヒト喀痰エラスターゼ(フナコシ)、ヒト膵キモト
リプシン(コスモバイオ)、ヒト膵トリプシン(コスモ
バイオ)に対する阻害活性を、合成エラスターゼ基質
(MeOSuc−Ala−Ala―Pro―Val−p
NA、コスモバイオ)、合成キモトリプシン基質(S−
2586、第一化学薬品)、合成トリプシン基質(S−
2222、第一化学薬品)を用いてそれぞれ検討した。
酵素濃度は,エラスターゼ20ng/mL、キモトリプ
シン3ng/mL、トリプシン3ng/mLとし、合成
基質濃度は全て0.1mMとした。エラスターゼ基質の
みは溶解性が低いため50%DMSO溶液として調製
し、アッセイ時のDMSO終濃度が5%となるように添
加した。KI316は、130mM NaCl、20m
M Tris/HCl pH7.5、5mM CaCl
、0.1%牛血清アルブミンを含む緩衝液(以下、緩
衝液A)の溶液として終濃度3〜100μg/mLに調
製し、酵素添加後37℃、5分間プレインキュベーショ
ンしたのち、各合成基質を添加して37℃、90分間イ
ンキュベートした。90分後にアッセイ系と等量の20
%酢酸を添加して反応を停止し、405nmでの吸光度
を測定した。KI316の酵素阻害率(%)はKI31
6非存在下での吸光度を100%、酵素非存在下での吸
光度を0%として、2点測定の平均値として算出した。
以上より得られた濃度〜阻害率曲線からプロビット法を
用いてKI316の50%阻害濃度(μg/mL)を求
め、さらにSDS−PAGEの結果から得られた推定分
子量70kDaで除して50%阻害モル濃度(IC50
値、nM)を求めた。各酵素に対するIC50値を表1
に示す。KI316はエラスターゼ、キモトリプシン、
トリプシンのいずれに対しても阻害活性を示した。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明のKI316は、炎症性疾患の発
症あるいは進行に対してその原因となり得る蛋白質であ
り、炎症性疾患等の予防あるいは治療のための医薬品の
開発において、極めて有用である。
【0098】また、遺伝子ki316は、アンチセンス
医薬品として、また遺伝子治療において利用することが
でき、蛋白質KI316は、それ自体あるいはその断片
(クニッツドメイン)を作製することにより可溶性蛋白
医薬品として有用である。さらに、KI316またはそ
の断片に反応性を有する抗体及びその抗体の一部、ま
た、KI316のセリンプロテアーゼ阻害活性を修飾す
る低分子化合物は、生体内でのKI316機能を制御す
る医薬品として有用である。
【0099】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <120> Mochida Pharmaceutical Co., Ltd. <120> Helix Research Instutute Co., Ltd. <130> Kunitz Type Serine Protease Inhibitor <160> 8 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 2154 <212> DNA <400> 1 gctgcctaaa ctgcttccag cttctttttt ttttttcccc ccttctgcaa taagtctgtg 60 atcagccacg ggacagaggc gccagcagcc tgcctgtgac aggcatcagg ttagctggct 120 cccactcggg tggcgcgccc aggatataaa tccgggcgcg ggcccctgct gtggctcctc 180 tccctgcaca ctcaggagag ggagcttcct tctaaagacc tttcttttat ctgaagccgc 240 acagcccggc aggctgtgct gacttggtgg aggcagcagc ggcagagcag cctgagcagc 300 agcctgagca ggaaacctgc tggggtgggg agggcaggtg tctgcagccc ctgagaagaa 360 ggccctggtg ggccccagac cctggcatcg tttcagggga ggtctttagc cgccccagcc 420 tgcaccatgt gggccccaag gtgtcgccgg ttctggtctc gctgggagca ggtggcagcg 480 ctgctgctgc tgctgctact gctcggggtg cccccgcgaa gcctggcgct gccgcccatc 540 cgctattccc acgccggcat ctgccccaac gacatgaatc ccaacctctg ggtggacgca 600 cagagtacct gcaggcggga gtgtgaggcg gaccaggagt gtgagaccta tgagaagtgc 660 tgccccaacg tatgtgggac caagagctgc gtggcggccc gctacatgga cgtgaaaggg 720 aagaagggcc cagtgggcat gcccaaggag gccacatgtg accacttcat gtgtctgcag 780 cagggctctg agtgtgacat ctgggatggc cagcccgtgt gtaagtgcaa agaccgctgt 840 gagaaggagc ccagctttac ctgcgcctcg gacggcctca cctactataa ccgctgctac 900 atggatgccg aggcctgctc caaaggcatc acactggccg ttgtaacctg ccgctatcac 960 ttcacctggc ccaacaccag ccccccacca cctgagacca ccatgcaccc caccacagcc 1020 tccccagaga cccctgagct ggacatggcg gcccctgcgc tgctcaacaa ccctgtgcac 1080 cagtcggtca ccatgggtga gacagtgagc ttcctctgtg atgtggtggg ccggccccgg 1140 cctgagatca cctgggagaa gcagttggag gatcgggaga atgtggtcat gcggcccaac 1200 catgtgcgtg gcaacgtggt ggtcaccaac attgcccagc tggtcatcta taacgcccag 1260 ctgcaggatg ctgggatcta cacctgcacg gcccggaacg tggctggggt cctgagggct 1320 gatttcccgc tgtcggtggt caggggtcat caggctgcag ccacctcaga gagcagcccc 1380 aatggcacgg ctttcccggc ggccgagtgc ctgaagcccc cagacagtga ggactgtggc 1440 gaagagcaga cccgctggca cttcgatgcc caggccaaca actgcctgac cttcaccttc 1500 ggccactgcc accgtaacct caaccacttt gagacctatg aggcctgcat gctggcctgc 1560 atgagcgggc cgctggccgc gtgcagcctg cccgccctgc aggggccctg caaagcctac 1620 gcgcctcgct gggcttacaa cagccagacg ggccagtgcc agtcctttgt ctatggtggc 1680 tgcgagggca atggcaacaa ctttgagagc cgtgaggcct gtgaggagtc gtgccccttc 1740 cccaggggga accagcgctg tcgggcctgc aagcctcggc agaagctcgt taccagcttc 1800 tgtcgcagcg actttgtcat cctgggccga gtctctgagc tgaccgagga gcctgactcg 1860 ggccgcgccc tggtgactgt ggatgaggtc ctaaaggatg agaaaatggg cctcaagttc 1920 ctgggccagg agccattgga ggtcactctg cttcacgtgg actgggcatg cccctgcccc 1980 aacgtgaccg tgagcgagat gccgctcatc atcatggggg aggtggacgg cggcatggcc 2040 atgctgcgcc ccgatagctt tgtgggcgca tcgagtgccc gccgggtcag gaagcttcgt 2100 gaggtcatgc acaagaagac ctgtgacgtc ctcaaggagt ttcttggctt gcac 2154 <210> 2 <211> 576 <212> PRT <400> 2 Met Trp Ala Pro Arg Cys Arg Arg Phe Trp Ser Arg Trp Glu Gln Val 1 5 10 15 Ala Ala Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Leu Gly Val Pro Pro Arg Ser 20 25 30 Leu Ala Leu Pro Pro Ile Arg Tyr Ser His Ala Gly Ile Cys Pro Asn 35 40 45 Asp Met Asn Pro Asn Leu Trp Val Asp Ala Gln Ser Thr Cys Arg Arg 50 55 60 Glu Cys Glu Ala Asp Gln Glu Cys Glu Thr Tyr Glu Lys Cys Cys Pro 65 70 75 80 Asn Val Cys Gly Thr Lys Ser Cys Val Ala Ala Arg Tyr Met Asp Val 85 90 95 Lys Gly Lys Lys Gly Pro Val Gly Met Pro Lys Glu Ala Thr Cys Asp 100 105 110 His Phe Met Cys Leu Gln Gln Gly Ser Glu Cys Asp Ile Trp Asp Gly 115 120 125 Gln Pro Val Cys Lys Cys Lys Asp Arg Cys Glu Lys Glu Pro Ser Phe 130 135 140 Thr Cys Ala Ser Asp Gly Leu Thr Tyr Tyr Asn Arg Cys Tyr Met Asp 145 150 155 160 Ala Glu Ala Cys Ser Lys Gly Ile Thr Leu Ala Val Val Thr Cys Arg 165 170 175 Tyr His Phe Thr Trp Pro Asn Thr Ser Pro Pro Pro Pro Glu Thr Thr 180 185 190 Met His Pro Thr Thr Ala Ser Pro Glu Thr Pro Glu Leu Asp Met Ala 195 200 205 Ala Pro Ala Leu Leu Asn Asn Pro Val His Gln Ser Val Thr Met Gly 210 215 220 Glu Thr Val Ser Phe Leu Cys Asp Val Val Gly Arg Pro Arg Pro Glu 225 230 235 240 Ile Thr Trp Glu Lys Gln Leu Glu Asp Arg Glu Asn Val Val Met Arg 245 250 255 Pro Asn His Val Arg Gly Asn Val Val Val Thr Asn Ile Ala Gln Leu 260 265 270 Val Ile Tyr Asn Ala Gln Leu Gln Asp Ala Gly Ile Tyr Thr Cys Thr 275 280 285 Ala Arg Asn Val Ala Gly Val Leu Arg Ala Asp Phe Pro Leu Ser Val 290 295 300 Val Arg Gly His Gln Ala Ala Ala Thr Ser Glu Ser Ser Pro Asn Gly 305 310 315 320 Thr Ala Phe Pro Ala Ala Glu Cys Leu Lys Pro Pro Asp Ser Glu Asp 325 330 335 Cys Gly Glu Glu Gln Thr Arg Trp His Phe Asp Ala Gln Ala Asn Asn 340 345 350 Cys Leu Thr Phe Thr Phe Gly His Cys His Arg Asn Leu Asn His Phe 355 360 365 Glu Thr Tyr Glu Ala Cys Met Leu Ala Cys Met Ser Gly Pro Leu Ala 370 375 380 Ala Cys Ser Leu Pro Ala Leu Gln Gly Pro Cys Lys Ala Tyr Ala Pro 385 390 395 400 Arg Trp Ala Tyr Asn Ser Gln Thr Gly Gln Cys Gln Ser Phe Val Tyr 405 410 415 Gly Gly Cys Glu Gly Asn Gly Asn Asn Phe Glu Ser Arg Glu Ala Cys 420 425 430 Glu Glu Ser Cys Pro Phe Pro Arg Gly Asn Gln Arg Cys Arg Ala Cys 435 440 445 Lys Pro Arg Gln Lys Leu Val Thr Ser Phe Cys Arg Ser Asp Phe Val 450 455 460 Ile Leu Gly Arg Val Ser Glu Leu Thr Glu Glu Pro Asp Ser Gly Arg 465 470 475 480 Ala Leu Val Thr Val Asp Glu Val Leu Lys Asp Glu Lys Met Gly Leu 485 490 495 Lys Phe Leu Gly Gln Glu Pro Leu Glu Val Thr Leu Leu His Val Asp 500 505 510 Trp Ala Cys Pro Cys Pro Asn Val Thr Val Ser Glu Met Pro Leu Ile 515 520 525 Ile Met Gly Glu Val Asp Gly Gly Met Ala Met Leu Arg Pro Asp Ser 530 535 540 Phe Val Gly Ala Ser Ser Ala Arg Arg Val Arg Lys Leu Arg Glu Val 545 550 555 560 Met His Lys Lys Thr Cys Asp Val Leu Lys Glu Phe Leu Gly Leu His 565 570 575 <210> 3 <211> 2036 <212> DNA <400> 3 gttttctcgg tgtgtcgatg gaagagggag gaatgtgatc cgtcccagcc gccggcgggg 60 ccagagcata tctggagtgt gagacctatg agaagtgctg ccccaacgta tgtgggacca 120 agagctgcgt ggcggcccgc tacatggacg tgaaagggaa gaagggccca gtgggcatgc 180 ccaaggaggc cacatgtgac cacttcatgt gtctgcagca gggctctgag tgtgacatct 240 gggatggcca gcccgtgtgt aagtgcaaag gatggggcag ctcgtcgatg atttttttgt 300 gtttccaggc ttcctgtgtg atcctgacct tcaccttcgg ccactgccac cgtaacctca 360 accactttga gacctatgag gcctgcatgc tggcctgcat gagcgggccg ctggccgcgt 420 gcagcctgcc cgccctgcag gggccctgca aagcctacgc gcctcgctgg gcttacaaca 480 gccagacggg ccagtgccag tcctttgtct atggtggctg cgagggcaat ggcaacaact 540 ttgagagccg tgaggcctgt gaggagtcgt gccccttccc cagggggaac cagcgctgtc 600 gggcctgcaa gcctcggcag aagctcgtta ccagcttctg tcgcagcgac tttgtcatcc 660 tgggccgagt ctctgagctg accgaagagc ctgactcggg ccgcgccctg gtgactgtgg 720 atgaggtcct aaaggatgag aaaatgggcc tcaagttcct gggccaggag ccattggagg 780 tcactctgct tcacgtggac tgggcatgcc cctgccccaa cgtgaccgtg agcgagatgc 840 cgctcatcat catgggggag gtggacggcg gcatggccat gctgcgcccc gatagctttg 900 tgggcgcatc gagtgcccgc cgggtcagga agcttcgtga ggtcatgcac aagaagacct 960 gtgacgtcct caaggagttt cttggcttgc actgaagccc cccacccctc cctgccccct 1020 ccctggcctt cttccaccta tccaccccaa tgcctctcag caaactgggc gaggtcagat 1080 tagacaggct tgggacagca gggaaacatc aaccgacgtg tcacagaaaa agccacagaa 1140 ggtctcagat cagcatctat tctttgggtt caataagggg ttcatatctt ttttagctga 1200 gggggacaag aggagaagcc agtggacaca tggaagttac tcgtgaccac cagcttgctc 1260 agatattctc ctcctcccct cactggcacc acagcctccc cagagacccc tgagctggac 1320 atggcggccc ctgcgctgct caacaaccct gtgcaccagt cggtcaccat gggtgagaca 1380 gtgagcttcc tctgtgatgt ggtgggccgg ccccggcctg agatcacctg ggagaagcag 1440 ttggaggatc gggagaatgt ggtcatgcgg cccaaccatg tgcgtggcaa cgtggtggtc 1500 accaacattg cccagctggt catctataac gcccagctgc aggatgctgg gatctacacc 1560 tgcacggccc ggaacgtggc tggggtcctg agggctgatt tcccgctgtc ggtggtcagg 1620 ggtcatcagg ctgcagccac ctcagagagc agccccaatg gcacggcttt cccggcggcc 1680 gagtgcctga agcccccaga cagtgaggac tgtggcgaag agcagacccg ctggcacttc 1740 gatgcccagg ccaacaactg cctgaccttc acctttccca cagcctcctc gattgctgtg 1800 agcagaggcc actcggagtt aggggcatgg gcaatagcaa gctggcggca gagtccagcc 1860 cagcatatga cttgccctga atggaagctg ctgaaacggg tgcctttggg tggtggtcgg 1920 cttgcctctg ccctattctg tccctgcccc tccaagctga agaaggtcct tgtggggcgt 1980 cctcatttct tcctcaaata taaggaggaa gataccaatt aaaagctcat agtatc 2036 <210> 4 <211> 283 <212> PRT <400> 4 Met Asp Val Lys Gly Lys Lys Gly Pro Val Gly Met Pro Lys Glu Ala 1 5 10 15 Thr Cys Asp His Phe Met Cys Leu Gln Gln Gly Ser Glu Cys Asp Ile 20 25 30 Trp Asp Gly Gln Pro Val Cys Lys Cys Lys Gly Trp Gly Ser Ser Ser 35 40 45 Met Ile Phe Leu Cys Phe Gln Ala Ser Cys Val Ile Leu Thr Phe Thr 50 55 60 Phe Gly His Cys His Arg Asn Leu Asn His Phe Glu Thr Tyr Glu Ala 65 70 75 80 Cys Met Leu Ala Cys Met Ser Gly Pro Leu Ala Ala Cys Ser Leu Pro 85 90 95 Ala Leu Gln Gly Pro Cys Lys Ala Tyr Ala Pro Arg Trp Ala Tyr Asn 100 105 110 Ser Gln Thr Gly Gln Cys Gln Ser Phe Val Tyr Gly Gly Cys Glu Gly 115 120 125 Asn Gly Asn Asn Phe Glu Ser Arg Glu Ala Cys Glu Glu Ser Cys Pro 130 135 140 Phe Pro Arg Gly Asn Gln Arg Cys Arg Ala Cys Lys Pro Arg Gln Lys 145 150 155 160 Leu Val Thr Ser Phe Cys Arg Ser Asp Phe Val Ile Leu Gly Arg Val 165 170 175 Ser Glu Leu Thr Glu Glu Pro Asp Ser Gly Arg Ala Leu Val Thr Val 180 185 190 Asp Glu Val Leu Lys Asp Glu Lys Met Gly Leu Lys Phe Leu Gly Gln 195 200 205 Glu Pro Leu Glu Val Thr Leu Leu His Val Asp Trp Ala Cys Pro Cys 210 215 220 Pro Asn Val Thr Val Ser Glu Met Pro Leu Ile Ile Met Gly Glu Val 225 230 235 240 Asp Gly Gly Met Ala Met Leu Arg Pro Asp Ser Phe Val Gly Ala Ser 245 250 255 Ser Ala Arg Arg Val Arg Lys Leu Arg Glu Val Met His Lys Lys Thr 260 265 270 Cys Asp Val Leu Lys Glu Phe Leu Gly Leu His 275 280 <210> 5 <211> 22 <212> DNA <400> 5 agcacgagcg gccgggccac gg 22 <210> 6 <211> 42 <212> DNA <400> 6 gcggctgaag acggcctatg tggccttttt tttttttttt tt 42 <210> 7 <211> 21 <212> DNA <400> 7 agcatcgagt cggccttgtt g 21 <210> 8 <211> 21 <212> DNA <400> 8 gcggctgaag acggcctatg t 21
【図面の簡単な説明】
【図1】KI316及びNTONG2003316の構
造の特徴を表す。
【図2】KI316の組織発現プロファイル解析の結果
を示す。
【図3】KI316のウェスタンブロッティングの結果
を示す。
【図4】KI316の精製過程を銀染色により確認した
結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 43/00 111 4C085 43/00 111 C07K 14/81 4H045 C07K 14/81 16/38 16/38 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/02 5/10 G01N 33/15 Z C12Q 1/02 33/50 Z G01N 33/15 A61K 39/395 D 33/50 N // A61K 38/48 45/00 39/395 48/00 C12N 9/99 45/00 15/00 ZNAA 48/00 5/00 A C12N 9/99 A61K 37/547 (72)発明者 磯貝 隆夫 茨城県稲敷郡阿見町大室511−12 Fターム(参考) 2G045 AA29 AA40 BA13 BB03 BB20 CA25 CB01 CB17 CB21 DA12 DA13 DA14 DA20 DA36 DA37 FB01 FB02 FB03 FB04 FB07 4B024 AA01 AA11 BA19 BA44 DA02 EA04 GA11 HA12 4B063 QA18 QQ79 QQ95 QR59 QR77 QR80 QS24 QS28 4B065 AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA46 4C084 AA02 AA07 AA13 AA16 DC34 NA14 ZA36 ZA59 ZA66 ZA68 ZB11 ZB26 ZC20 4C085 AA13 AA14 CC12 CC29 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA56 EA22 EA50 FA71 FA74 GA23 GA26

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)または(b)のDNA; (a)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA; (b)配列番号:1のDNAとストリンジェントな条件
    でハイブリダイズし、かつセリンプロテアーゼ阻害蛋白
    質をコードするDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDNAにコードされる
    蛋白質。
  3. 【請求項3】 以下の(a)または(b)の蛋白質; (a)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる蛋白
    質; (b)配列番号:2のアミノ酸配列においてアミノ酸が
    欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるセ
    リンプロテアーゼ阻害蛋白質。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のDNAを含む組換えベ
    クター。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の組換えベクターにより
    形質転換された形質転換細胞。
  6. 【請求項6】 請求項2または請求項3に記載の蛋白質
    の発現を抑制するアンチセンス核酸。
  7. 【請求項7】 塩基配列が、請求項1に記載のDNAの
    全部または一部に相補する配列である、請求項6に記載
    のアンチセンス核酸。
  8. 【請求項8】 請求項2または請求項3に記載の蛋白質
    もしくはその部分ペプチドに対する抗体。
  9. 【請求項9】 請求項2または請求項3に記載の蛋白質
    あるいは該蛋白質を発現している形質転換細胞と候補物
    質とを接触させ、候補物質存在下と非存在下における該
    蛋白質の活性を検出し、非存在下に比べて該蛋白質の活
    性を増加または減少させる物質を選択することを特徴と
    する、該蛋白質の活性調節作用を示す物質の検索方法。
  10. 【請求項10】 請求項4に記載の組換えベクターまた
    は請求項5に記載の形質転換細胞と候補物質とを接触さ
    せ、候補物質存在下と非存在下における請求項1に記載
    のDNAの発現レベルを検出し、非存在下に比べて該D
    NAの発現を増加または減少させる物質を選択すること
    を特徴とする、請求項1に記載のDNAの発現調節作用
    を示す物質の検索方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111808922A (zh) * 2019-04-12 2020-10-23 四川大学 一种细菌核糖体抑制剂筛选方法及其抑制剂

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