JP2003234601A - フィルタ - Google Patents

フィルタ

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JP2003234601A
JP2003234601A JP2002029676A JP2002029676A JP2003234601A JP 2003234601 A JP2003234601 A JP 2003234601A JP 2002029676 A JP2002029676 A JP 2002029676A JP 2002029676 A JP2002029676 A JP 2002029676A JP 2003234601 A JP2003234601 A JP 2003234601A
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JP
Japan
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waveguide
coupling degree
filter
adjusting means
dielectric
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JP2002029676A
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Jun Hayashi
潤 林
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Soshin Electric Co Ltd
Original Assignee
Soshin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】誘電体共振器の結合度を外部より調整可能とす
ることで、周波数特性を容易に調整可能なフィルタを提
供する。 【解決手段】カットオフ導波管12と入力端子14と出
力端子16と誘電体18と複数の誘電体共振器20と導
電板24と周波数調整手段26とを備える導波管フィル
タ10において、カットオフ導波管12の内部に挿入可
能な結合度調整手段22を配設する。結合度調整手段2
2はカットオフ導波管12の内部を伝搬する信号方向、
すなわち、入力端子14から出力端子16の方向に対し
て垂直な方向であり、かつ、誘電体共振器20の間に複
数個配設する。結合度調整手段22は、カットオフ導波
管12に穿孔された孔38と導電性媒体40と固定部材
42から構成されるネジ送り機構とする。さらに、カッ
トオフ導波管12の電磁損失を低下させないために、結
合度調整手段22は、カットオフ導波管12と同じ機能
を持つ材質で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導波管の内部に複
数の誘電体共振器を有して構成され、前記複数の誘電体
共振器の結合度を外部から調整可能とするフィルタに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、衛星通信、業務用電話のバッ
クアップ回線等においては、MHz帯〜GHz帯の通信
信号を効率よく送受信する目的で、不要信号除去用のバ
ンドパスフィルタが用いられている。前記バンドパスフ
ィルタのうち、導波管の中に複数の誘電体共振器を備え
た導波管フィルタは、MHz帯〜GHz帯の高周波領域
における好適なフィルタとして広く用いられている。
【0003】図7は導波管フィルタ100の縦断面図を
示す。導波管フィルタ100は、カットオフ導波管10
2と誘電体104と複数の誘電体共振器106と周波数
調整手段108とから構成される。
【0004】カットオフ導波管102は電磁損失を抑え
るため、導電率σの高い材料から構成されている。例え
ば、Ag、Cu、Auのいずれか一種の金属、又は導体
に前記金属が被覆された材料等が好適に使用される。
【0005】また、複数の誘電体共振器106は、間隔
sにより導波管フィルタ100の内部に配置されてい
る。
【0006】そして、これら複数の誘電体共振器106
は誘電体104によってカットオフ導波管102の内部
に支持されている。これは、誘電体共振器106がカッ
トオフ導波管102と近接すると、誘電体共振器106
のQ値が減少し、誘電体共振器106が有するフィルタ
としての機能が低下するからである。なお、誘電体共振
器106の誘電率ε1は大きく、誘電体104の誘電率
ε2に対してε1>ε2とする。
【0007】また、周波数調整手段108は、カットオ
フ導波管102に設けられた孔110と、導電性媒体1
12から構成される。孔110には雌ネジが形成され、
導電性媒体112には雄ネジが形成されている。従っ
て、周波数調整手段108はネジ送り機構であり、導電
性媒体112は孔110を介してカットオフ導波管10
2に挿入可能である。
【0008】そして、導電性媒体112の挿入深さによ
って誘電体共振器106の共振周波数を調整することが
できる。なお、カットオフ導波管102の電磁損失を低
下させないために、導電性媒体112はカットオフ導波
管102と同じ機能を有する材質で構成されている。
【0009】ところで、複数の誘電体共振器106同士
の間には、電磁結合に基づく結合度kが発生する。その
ため、導波管フィルタ100は、複数の誘電体共振器1
06が前記電磁結合によって構成された多段式のバンド
パスフィルタとして機能する。例えば、2つの誘電体共
振器106を有する導波管フィルタ100において、一
方の誘電体共振器106の共振周波数をf1、他方の誘
電体共振器106の共振周波数をf2と定義した場合、
1<f2であれば、結合度kは下記の(1)式で求ま
る。
【0010】 k=(f2 2−f1 2)/(f2 2+f1 2) …(1)
【0011】図8は、2つの誘電体共振器106を有す
る導波管フィルタ100の周波数特性114を示す。
【0012】図8より、導波管フィルタ100が共振周
波数f1、f2の零点116を有し、かつ、周波数特性1
14のうち、f1〜f2の間の周波数帯域が通過帯域11
8となる2段のバンドパスフィルターであることが分か
る。なお、誘電体共振器106が複数個だけ導波管フィ
ルタ100に配置されている場合、周波数特性114
は、複数個の零点116を持つ周波数特性となることは
勿論である。
【0013】図9は、間隔sに対する結合度kの変化の
一例を示す。この場合、カットオフ導波管102の断面
の幅は18.0mm、前記断面の高さは12.0mmに
それぞれ設定されている。
【0014】図9に示すように、間隔sが大きくなる
と、誘電体共振器106同士の電磁結合は弱まり、結合
度kは指数関数的に減少する。結合度kの減少によっ
て、図8に示した周波数特性114における通過帯域1
18の幅は狭まる。従って、間隔sを調整することによ
って、所望の通過帯域118を有する導波管フィルタ1
00を設計することができる。すなわち、図7の導波管
フィルタ100は、通過帯域118を有するバンドパス
フィルターとして機能する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】導波管フィルタ100
が搭載される衛星通信機器、業務用電話のバックアップ
回線機器等の性能に応じて、導波管フィルタ100の中
心周波数及び通過帯域幅を変更する必要がある。そのた
めには、周波数調整手段108を用いての導波管フィル
タ100における前記中心周波数の調整や、誘電体共振
器106の間隔sを可変し、結合度kを変化させること
が必要である。例えば、導波管フィルタ100の通過帯
域118の幅を狭くするためには、誘電体共振器106
の間隔sを広げることによって、結合度kを低下させる
必要がある。
【0016】しかしながら、間隔sを広げると、それに
対応して導波管フィルタ100のサイズも大きくなる。
導波管フィルタ100の大型化によって、衛星通信機
器、業務用電話のバックアップ回線機器等も大型化する
おそれがある。そのため、間隔sを固定しつつ、結合度
kを可変させるフィルタの出現が期待されていた。
【0017】図10は、上記した問題を解決するため
に、誘電体共振器106同士の間に導電板120を挿入
し、結合度調整窓122を構成した導波管フィルタ10
0の変形例を示す。結合度調整窓122を構成すること
によって、誘電体共振器106同士の電磁結合が弱ま
り、結合度kが低下する。
【0018】図11は、結合度調整窓122を形成する
導電板120の高さbの変化に伴う結合度kの変化の一
例を示す。この場合、カットオフ導波管102の断面の
幅は10mm、前記断面の高さは9mmに設定されてい
る。また、誘電体共振器106はその形状がドーナツ型
であり、その内径は3mm、その外径は8mmに設定さ
れている。さらに、誘電体共振器106の中心から導電
板120までの距離は5mmに設定されている。
【0019】図11において、高さbの増減によって結
合度kが指数関数的に変化することが分かる。このよう
に、所望の通過帯域118を有する導波管フィルタ10
0を実現するためには、結合度調整窓122を構成し
て、高さbを可変すればよいことになる。
【0020】しかしながら、当初の設計どおりに高さb
を設定し、結合度調整窓122を構成しても、所望どお
りの周波数特性114が得られるケースは少ない。その
ため、実際には、導電板120を機械加工等で切削する
ことにより高さbを広げ、所望の周波数特性114に近
づけるように調整を行っている。
【0021】このような調整方法では、導電板120を
削りすぎて所定の高さbよりも大きくなり、所望の通過
帯域118が得られないおそれがある。特に、導電板1
20とカットオフ導波管102が一体的に構成されてい
る場合、所定の高さbよりも大きくなれば、導波管フィ
ルタ100そのものを交換する必要があり、経済的にも
不利である。
【0022】また、前記機械加工等を行いながら通過帯
域118の調整を同時に行うため、所望の通過帯域11
8を有する周波数特性114を得られるまで、相当な時
間を要してしまうという問題もあった。
【0023】本発明は、このような課題を考慮してなさ
れたものであり、結合度の外部調整を可能とすること
で、機械加工が不要で、短時間かつ低コストで周波数特
性の調整が可能となる導波管型のフィルタを提供するこ
とを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、カットオフ導
波管と、前記カットオフ導波管の一端に形成された入力
端子と、前記カットオフ導波管の他端に形成された出力
端子と、前記入力端子と前記出力端子との間の前記カッ
トオフ導波管の内部において誘電体を介して支持される
少なくとも2以上の誘電体共振器から構成されるフィル
タにおいて、信号伝搬方向に対して垂直方向に挿入可能
である結合度調整手段が設けられていることを特徴とし
ている。
【0025】なお、前記信号伝搬方向とは、前記カット
オフ導波管の内部を伝搬する電磁波信号の伝搬方向をい
う。また、前記垂直方向とは、前記電磁波信号を構成し
ている磁界の伝搬方向に対して垂直方向であることをい
う。
【0026】前記結合度調整手段は前記誘電体共振器同
士の結合度kを外部から調整可能とする手段である。従
って、前記結合度調整手段の配設によって、前記フィル
タを機械加工することなく、結合度kを調整することが
でき、フィルタの周波数特性を調整することが可能とな
る。
【0027】ここで、前記結合度調整手段は、前記2以
上の誘電体共振器の間に挿入可能な導電性媒体を有す
る。結合度kを調整するために、前記導電性媒体の挿入
深さdが可変できるように前記導電性媒体を形成する。
【0028】このように、前記導電性媒体の挿入深さd
を可変自在とすることで、前記2以上の誘電体共振器に
よる結合度kを指数関数的に変化させることが可能とな
る。
【0029】このような結合度kの指数関数的な変化を
奏するために、前記導電性媒体の表面にネジ山を形成
し、前記結合度調整手段をネジ送り機構として構成する
ことが望ましい。そのように前記結合度調整手段を構成
することによって、結合度kを円滑に調整することが可
能となる。
【0030】ここでいう導電性媒体とは、金属材料又は
導電性高分子材から構成されていることが好ましい。ま
た、前記導電性媒体は、前記金属材料又は前記導電性高
分子材をベースマテリアルとし、該ベースマテリアルの
表面にメッキを施したものでもよい。また、前記導電性
媒体は、導電性を有しないプラスチック等の電気絶縁材
料をベースマテリアルとし、該ベースマテリアルの表面
にメッキを施したものでもよい。
【0031】そして、これらの導電性媒体の導電率σ
は、σ>1.0×105S/mであることが望ましい。
【0032】前記金属材料としては、黄銅、Cu、A
l、Ag、Fe、ステンレス・スチールが好ましい。ま
た、前記メッキは、少なくともAg、Au、Cuのいず
れか一種から構成されている金属材料が好ましい。
【0033】また、前記2以上の誘電体共振器は、前記
カットオフ導波管の中心軸に沿って配置するとよい。前
記誘電体共振器が前記カットオフ導波管に近づく程、前
記誘電体共振器の損失が増大するので、その影響を回避
させるためである。なお、この場合、必ずしも前記2以
上の誘電体共振器を前記中心軸に対して一列に配置する
必要はなく、それぞれの誘電体共振器が前記中心軸から
異なる距離だけ離間して配置されていても構わない。
【0034】そして、前記誘電体共振器を支持する前記
誘電体の誘電率ε2は、前記誘電体共振器の誘電率ε1
の関連において、ε1>ε2とする。
【0035】また、前記フィルタに、前記2以上の誘電
体共振器の間に導電板を挿入することによって結合度調
整窓を設けるようにしても構わない。この場合、前記結
合度調整窓で結合度kを決定し、結合度kの微調整を前
記結合度調整手段で行う。その際、前記導電板の面積
は、前記カットオフ導波管の縦断面積に対して80%以
下に設定する。
【0036】そして、前記フィルタに周波数調整手段を
設けるようにしても構わない。この場合、前記周波数調
整手段に前記結合度調整手段を組み合わせてもよく、又
は、前記周波数調整手段に前記結合度調整手段と前記結
合度調整窓を組み合わせるようにしても構わない。いず
れにせよ、前記周波数調整手段を前記フィルタに備える
ことで、該フィルタの通過帯域を自由に調整することが
可能となる。
【0037】さらに、前記周波数調整手段は、前記導電
性媒体の挿入方向に対して垂直方向に挿入可能な導電性
媒体であり、かつ、前記信号伝搬方向に対して垂直方向
に挿入可能な導電性媒体であることが望ましい。前記周
波数調整手段は、前記2以上の誘電体共振器のうち、任
意の誘電体共振器に対向して前記カットオフ導波管の内
部に挿入可能である。この場合、前記2以上の誘電体共
振器のうち、1の誘電体共振器に対向して前記周波数調
整手段を前記カットオフ導波管の内部に挿入してもよい
し、全ての誘電体共振器に対向して前記周波数調整手段
を配置して挿入するようにしてもよい。
【0038】このように、前記周波数調整手段を前記カ
ットオフ導波管の内部に挿入可能とするために、前記周
波数調整手段の表面にネジ山を形成する。すなわち、前
記周波数可変手段はネジ送り機構を備えたものとなる。
【0039】さらに、前記フィルタにおいて、前記入力
端子及び前記出力端子を同軸型の端子とし、前記カット
オフ導波管の内部においては中心導体と外部導体とを電
気的に接続して、ループを形成させるようにしても構わ
ない。前記入力端子の前記ループの形成によって、電磁
波信号を前記カットオフ導波管の内部に伝搬させること
が可能になる。そして、前記出力端子の前記ループの形
成により、前記2以上の誘電体共振器は、特定の周波数
領域のみ有する電磁波信号を前記出力端子の前記ループ
で受信することが可能となる。
【0040】また、前記入力端子と前記出力端子をカッ
トオフ導波管で構成すれば、他の導波管と容易に接続す
ることが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るフィルタの好
適な実施の形態を、図1〜図6を参照しながら説明す
る。
【0042】この実施の形態に係るフィルタの一例であ
る導波管フィルタ10を図1に示す。
【0043】導波管フィルタ10は、図1に示すよう
に、カットオフ導波管12と入力端子14と出力端子1
6と誘電体18と複数の誘電体共振器20と結合度調整
手段22と導電板24と周波数調整手段26とから構成
されている。
【0044】カットオフ導波管12は例えば箱型の容器
部28と板状の蓋部30から構成される。カットオフ導
波管12は、電磁損失を低下させないため、1.0×1
5S/mより大きな導電率σを有する高導電率の材料
から構成されている。なお、カットオフ導波管12は後
述する導電性媒体40と同じ機能を持つ材質であること
が好ましい。
【0045】また、入力端子14は同軸構造であり、内
部導体32と外部導体34から構成される。そして、高
周波の電磁波は、カットオフ導波管12の内部で信号と
して伝搬させるため、内部導体32と外部導体34との
間は電気的に接続され、ループ36が形成されている。
従って、ループ36はループアンテナとして機能する。
なお、図1では図示しないが、入力端子14は、前記同
軸構造に替えてカットオフ導波管12のような構造で形
成されていても構わない。この場合には、他の導波管と
の接続が容易となるので、好適である。
【0046】また、複数の誘電体共振器20は、誘電体
18を介してカットオフ導波管12の内部に支持されて
いる。そして、個々の誘電体共振器20はそれぞれ異な
る共振周波数を有する。
【0047】また、誘電体共振器20の誘電率ε1は大
きく、誘電体18の誘電率ε2に対してε1>ε2であ
る。これは、誘電体共振器20がカットオフ導波管12
と近接すると、誘電体共振器20のQ値が減少し、誘電
体共振器20が有するフィルタとしての機能が低下する
からである。
【0048】そして、複数の誘電体共振器20同士の間
には、電磁結合に基づく結合度kが発生する。そのた
め、導波管フィルタ10は、複数の誘電体共振器20が
前記電磁結合によって構成される多段式のバンドパスフ
ィルタとして機能する。
【0049】また、出力端子16は同軸構造であり、内
部導体32と外部導体34から構成され、入力端子14
と同様に、内部導体32と外部導体34との間にループ
36が形成されている。そして、複数の誘電体共振器2
0を通過した信号をループ36で受信し、出力信号とし
て出力する。なお、入力端子14の場合と同様に、出力
端子16についても、前記同軸構造に替えてカットオフ
導波管12のような構造で形成すれば、他の導波管との
接続が容易となり、好適である。
【0050】図2は、導波管フィルタ10の横断面図を
示す。結合度調整手段22は前記信号の伝搬方向、すな
わち、入力端子14から出力端子16の方向と垂直な方
向であり、かつ、誘電体共振器20の間に複数個形成さ
れている。なお、前記伝搬方向とは、カットオフ導波管
12の内部を伝搬する電磁波信号の伝搬方向をいう。ま
た、前記垂直な方向とは、前記電磁波信号を構成してい
る磁界の伝搬方向に対して垂直な方向であることをい
う。
【0051】結合度調整手段22は、カットオフ導波管
12に穿孔された孔38と導電性媒体40と固定部材4
2から構成されている。孔38には雌ネジが形成され、
導電性媒体40には雄ネジが形成されている。固定部材
42としてはナットを用いることができる。従って、結
合度調整手段22はネジ送り機構であり、導電性媒体4
0は孔38を介してカットオフ導波管12の内部に挿入
可能である。また、導電性媒体40をカットオフ導波管
12へ挿入したとき、導電性媒体40の挿入深さdによ
り複数の誘電体共振器20の結合度kを自在に変化する
ことが可能である。なお、カットオフ導波管12の電磁
損失を低下させないために、導電性媒体40と固定部材
42は、カットオフ導波管12と同じ機能を有する材質
で構成されている。
【0052】導電性媒体40と固定部材42とは、一種
類の材質から構成されている金属材料又は導電性高分子
材から構成されることが好ましい。また、金属材料又は
導電性高分子材に替えて、前記金属材料又は前記導電性
高分子材をベースマテリアルとして構成された材料でも
使用可能である。また、前記金属材料の表面、前記導電
性高分子材の表面、導電性を有しないプラスチック等の
電気絶縁材料の表面のいずれかに、導電性が良好である
金属材料のメッキを被覆して構成された材料を用いて導
電性媒体40と固定部材42を構成することも可能であ
る。
【0053】前記金属材料としては、黄銅、Cu、A
l、Ag、Fe、ステンレス・スチールが好ましい。ま
た、前記メッキは、少なくともAg、Au、Cuのいず
れか一種から構成されている金属材料が好ましい。
【0054】そして、導電性媒体40と固定部材42の
導電率σは、σ>1.0×105S/mであることが望
ましい。
【0055】導電板24は、誘電体共振器20の間に配
設されている。導電板24の材質は、導体であればどの
ような材料でも構わないが、導電性媒体40と同じ機能
を持つ材質であることが望ましい。
【0056】また、誘電体共振器20の配設の仕方とし
ては、挿入の他にも、押圧による方法、カットオフ導波
管12との一体的な構成であっても構わない。
【0057】図3は、図1に示した容器部28と蓋部3
0とを嵌合させてカットオフ導波管12を組み立てるこ
とにより形成された導波管フィルタ10の縦断面図を示
す。
【0058】図3において、カットオフ導波管12を組
み立てることにより、導電板24と蓋部30の間の空間
には結合度調整窓44が構成される。導電板24によっ
て結合度調整窓44が構成されたとき、誘電体共振器2
0同士の電磁結合が弱まり、結合度kが減少する。な
お、この場合、導電板24の面積は、カットオフ導波管
12の縦断面積に対して80%以下となるように設定さ
れる。
【0059】周波数調整手段26は、蓋部30に設けら
れた孔38と、導電性媒体40と、固定部材42から構
成される。孔38には雌ネジが形成され、導電性媒体4
0には雄ネジが形成されている。固定部材42としては
ナットを用いることができる。従って、周波数調整手段
26はネジ送り機構であり、導電性媒体40は孔38を
介してカットオフ導波管12の内部に挿入可能である。
そして、導電性媒体40をカットオフ導波管12に挿入
する深さ(d)によって、導波管フィルタ10の中心周
波数を自在に変化することが可能である。なお、カット
オフ導波管12の電磁損失を低下させないために、導電
性媒体40と固定部材42とは、導電性媒体40と同じ
機能を有する材質で構成されている。
【0060】次に、このようにして構成されている導波
管フィルタ10の組立方法と、前記中心周波数の調整方
法と、結合度kの調整方法についてそれぞれ説明する。
【0061】最初に、導波管フィルタ10の組立方法の
一例について説明する。まず、図1に示すように、容器
部28の一側面の中央部に入力端子14を取り付ける。
次いで、容器部28の前記一側面に対向する他方の側面
の中央部に出力端子16を取り付ける。
【0062】次いで、容器部28の内部に複数の導電板
24を等間隔に挿入する。導電板24は、切削加工によ
って容器部28と一体的に形成されることが最も好適で
あるが、容器部28と別体にして、導電性接着剤によっ
て容器部28の底部48に接着させることも可能であ
る。
【0063】その後、複数の導電板24の間に誘電体1
8を配置し、誘電体18の上部に誘電体共振器20を配
置する。
【0064】次いで、容器部28の上方から、周波数調
整手段26が取り付けられた蓋部30を被せ、カットオ
フ導波管12を形成させる。カットオフ導波管12の形
成によって、導電板24と蓋部30との間の空間に結合
度調整窓44が形成される。なお、蓋部30と容器部2
8とを固着する方法としては、ネジ止め、導電性接着剤
による接着等が好適であるが、カットオフ導波管12の
内部を伝搬する信号が外部に漏れないような方法であれ
ばよい。
【0065】最後に、結合度調整手段22をカットオフ
導波管12に配設して導波管フィルタ10として完成さ
せる。なお、前記組立方法はこの方法に限定されず、種
々選択可能であることは勿論である。
【0066】次に、このようにして組み立てられた導波
管フィルタ10の中心周波数の調整方法の一例について
説明する。
【0067】まず、入力端子14から入力される入力信
号と、出力端子16から出力される出力信号とを、例え
ば、ネットワーク・アナライザに入力する。
【0068】そして、前記ネットワーク・アナライザの
画面上に出力された周波数特性を観測しながら、周波数
調整手段26の導電性媒体40をドライバー等を用い、
導電性媒体40をカットオフ導波管12に挿入する挿入
深さdを調整する。前記挿入深さdを調整することによ
って、導波管フィルタ10が所望の中心周波数をもつフ
ィルタとなるように調整する。
【0069】次に、結合度kの調整方法の一例について
説明する。
【0070】まず、始めに前記中心周波数の調整方法と
同様に、入力端子14から入力される入力信号と、出力
端子16から出力される出力信号とを、例えば、ネット
ワーク・アナライザに入力する。
【0071】次いで、前記ネットワーク・アナライザの
画面上に出力された周波数特性を観測しながら、結合度
調整手段22の導電性媒体40を可変してカットオフ導
波管12に対する挿入深さdを調整し、所望の周波数特
性となるように調整する。
【0072】次に、2個の誘電体共振器20を内蔵する
導波管フィルタ10の結合度kと周波数特性との関係に
ついてシミュレーションを行った結果を説明する。
【0073】図4は、前記シミュレーションのモデルと
なった導波管フィルタ10を示す。この導波管フィルタ
10では、入力端子14と出力端子16の代わりに導波
管46がカットオフ導波管12と嵌合されている。
【0074】前記シミュレーションにおいて、カットオ
フ導波管12のサイズは、長さ30mm、幅10mm、
高さ9mmである。誘電体18はドーナツ型であり、そ
の直径は3.5mm、内径は2mm、また、その高さは
1.5mmである。2個の誘電体共振器20はドーナツ
型であり、その直径は8mm、内径は2mm、また、そ
の高さは3mmである。導電板24の高さは4mmであ
り、その幅は2mmである。誘電体共振器20の間隔は
12mm、誘電体共振器20から導電板24までの距離
は1mmに設定されている。さらに、結合度調整手段2
2の導電性媒体40は直径1mmの円筒であり、カット
オフ導波管12の底部48から導電性媒体40の中心ま
で6.5mmの高さにおいて挿入深さdの距離だけ外部
より挿入されている。
【0075】図5は、結合度kと挿入深さdの関係を示
すシミュレーション結果である。挿入深さdの増加に対
して結合度kは指数関数的に増加する。これは、前記電
磁波信号は導電性媒体40を介して伝搬し、その結果、
結合度kが増加するためである。
【0076】図6は挿入深さdを変化させたときの周波
数特性の変化を示すシミュレーション結果である。挿入
深さdを増加することによって通過帯域が広がり、結合
度kが増加する。
【0077】以上のシミュレーション結果より、導電性
媒体40をカットオフ導波管12に挿入することによっ
て、誘電体共振器20の結合度kは変化し、導波管フィ
ルタ10の周波数帯域も変化することが明らかとなっ
た。さらに、結合度調整手段22と周波数調整手段26
とを組み合わせることによって、導波管フィルタ10の
中心周波数と周波数帯域とを同時に調整することが可能
となる。
【0078】また、結合度調整手段22と周波数調整手
段26と結合度調整窓44とを組み合わせることによっ
て、結合度調整窓44によって決定された誘電体共振器
20の結合度kを結合度調整手段22によって微調整
し、前記中心周波数を調整できると同時に、前記周波数
帯域をより精密に調整させることが可能となる。従っ
て、誘電体共振器20の間隔を変更することなく、誘電
体共振器20の結合度kと導波管フィルタ10の中心周
波数と周波数特性を調整することができる。
【0079】本実施の形態では、導波管フィルタ10に
ついて説明したが、結合度調整手段22による結合度k
の調整方法は、導波管フィルタ10に限定されず、一般
的な導波管フィルタにも適用可能であることは勿論であ
る。また、導波管フィルタ10がカットオフ導波管12
で構成される場合について説明したが、カットオフ導波
管12に限定されることはなく、一般的な導波管にも適
用可能であることは勿論である。さらに、カットオフ導
波管12の内部における信号のモードについても、TE
01δモードが好適であるが、前記モードに限定されるも
のでなく、他の高次TEモード、例えば、TE02δモー
ド、TE03δモードにも対応可能であることは勿論であ
る。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るフィ
ルタによれば、結合度調整手段により外部より導波管の
内部の結合度が調整可能であるため、前記フィルタを組
み立てた後に行われる前記フィルタの周波数特性の調整
を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る導波管フィルタを示す分解
斜視図である。
【図2】図1の導波管フィルタを示す横断面図である。
【図3】図1の導波管フィルタを示す縦断面図である。
【図4】本実施の形態に係る導波管フィルタのシミュレ
ーションモデルを示す斜視図である。
【図5】図4のシミュレーション結果を示すグラフであ
る。
【図6】図4のシミュレーション結果を示す周波数特性
図である。
【図7】従来技術に係る導波管フィルタを示す縦断面図
である。
【図8】図7の導波管フィルタにおける周波数特性を示
す図である。
【図9】図7の導波管フィルタにおける結合度と間隔と
の関係を示すグラフである。
【図10】従来技術に係る導波管フィルタを示す縦断面
図である。
【図11】図10の導波管フィルタにおける結合度と高
さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10…導波管フィルタ 12…カットオフ導波
管 14…入力端子 16…出力端子 18…誘電体 20…誘電体共振器 22…結合度調整手段 24…導電板 26…周波数調整手段 28…容器部 30…蓋部 32…内部導体 34…外部導体 36…ループ 38…孔 40…導電性媒体 42…固定部材 44…結合度調整窓

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カットオフ導波管と、前記カットオフ導波
    管の一端に形成された入力端子と、前記カットオフ導波
    管の他端に形成された出力端子と、前記入力端子と前記
    出力端子との間の前記カットオフ導波管の内部において
    誘電体を介して支持される少なくとも2以上の誘電体共
    振器から構成されるフィルタにおいて、 信号伝搬方向に対して垂直方向に挿入可能である結合度
    調整手段が設けられていることを特徴とするフィルタ。
  2. 【請求項2】請求項1記載のフィルタにおいて、 前記結合度調整手段は、前記2以上の誘電体共振器の間
    に挿入可能な導電性媒体を有することを特徴とするフィ
    ルタ。
  3. 【請求項3】請求項2記載のフィルタにおいて、 前記導電性媒体の挿入深さdは可変であることを特徴と
    するフィルタ。
  4. 【請求項4】請求項3記載のフィルタにおいて、 挿入深さdの増加に対して、前記2以上の誘電体共振器
    による結合度kは、指数関数的に増加することを特徴と
    するフィルタ。
  5. 【請求項5】請求項2〜4のいずれか1項に記載のフィ
    ルタにおいて、 前記導電性媒体は、黄銅、Cu、Al、Ag、Fe、ス
    テンレス・スチール、導電性高分子材のいずれか一種か
    ら構成されている導電性媒体、又は黄銅、Cu、Al、
    Ag、Fe、ステンレス・スチール、導電性高分子材の
    いずれか一種をベースマテリアルとする導電性媒体であ
    ることを特徴とするフィルタ。
  6. 【請求項6】請求項2〜5のいずれか1項に記載のフィ
    ルタにおいて、 前記導電性媒体は、少なくともAg、Au、Cuのいず
    れか一種からなるメッキが被覆されていることを特徴と
    するフィルタ。
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