JP2003232202A - 回転式流体機械 - Google Patents

回転式流体機械

Info

Publication number
JP2003232202A
JP2003232202A JP2002034042A JP2002034042A JP2003232202A JP 2003232202 A JP2003232202 A JP 2003232202A JP 2002034042 A JP2002034042 A JP 2002034042A JP 2002034042 A JP2002034042 A JP 2002034042A JP 2003232202 A JP2003232202 A JP 2003232202A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
rotor
steam
sliding
rotary valve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002034042A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Matsumoto
謙司 松本
Naoki Ito
直紀 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2002034042A priority Critical patent/JP2003232202A/ja
Publication of JP2003232202A publication Critical patent/JP2003232202A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compressors, Vaccum Pumps And Other Relevant Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転式流体機械に設けられたロータリバルブ
のロータリバルブ本体の外周面とロータの内周面との間
のシール性を高める。 【解決手段】 回転式流体機械の作動部に対する作動媒
体の吸入・排出を制御するロータリバルブは、ロータの
軸線L上に配置したロータリバルブ本体の外周に設けた
シール手段70を備えており、シール手段70は円周方
向に分割された3個の摺動部材91A,91B,91C
と、これら摺動部材91A,91B,91Cをロータの
内周の摺動面に密着させるべく、ロータリバルブ本体の
外周面から半径方向外側に弾発付勢するスパイラルスプ
リング100とを備える。3個の摺動部材91A,91
B,91Cが噛み合う合口92,93は、合口カバー9
6A,96B,96Cで覆われてシールされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケーシングと、ケ
ーシングに回転自在に支持されたロータと、ロータに設
けられた作動部と、ケーシングおよびロータ間に設けら
れ、ロータの軸線を中心とする円筒状の摺動面を介して
作動部に対する作動媒体の吸入・排出を制御するロータ
リバルブとを備えた回転式流体機械に関する。
【0002】
【従来の技術】かかる回転式流体機械は、本出願人が特
願2001−61424号により既に提案している。こ
の回転式流体機械はランキンサイクル装置に用いられる
アキシャル型の膨張機を構成するもので、ロータに設け
た複数のシリンダにロータリバルブを介して蒸気を供給
・排出するようになっている。ロータリバルブは、ロー
タの軸線上に固定した円筒状のロータリバルブ本体を、
ロータに形成した円形断面の内周面に相対回転自在に嵌
合させたもので、その摺動面に開口する蒸気通路を介し
て蒸気の供給・排出を制御するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
ものは、ロータリバルブ本体の外周面に超硬合金やセラ
ミックス等の耐久性に優れた材質で構成した摺動部材を
装着し、この摺動部材の外周面をロータの内周面に摺接
させて蒸気をシールしているが、摺動部材の外周面とロ
ータの内周面との間のクリアランスが熱膨張によって変
化したり、ロータの回転軸が振れたりすることで、摺動
部材およびロータの摺動面を貫通する蒸気通路から蒸気
の漏れが発生する可能性があった。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、回転式流体機械に設けられたロータリバルブのバル
ブ本体部の外周面とロータの内周面との間のシール性を
高めることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明によれば、ケーシング
と、ケーシングに回転自在に支持されたロータと、ロー
タに設けられた作動部と、ケーシングおよびロータ間に
設けられ、ロータの軸線を中心とする円筒状の摺動面を
介して作動部に対する作動媒体の吸入・排出を制御する
ロータリバルブとを備えた回転式流体機械であって、前
記ロータリバルブは、前記軸線上に配置されたバルブ本
体部と、円周方向に分割されてバルブ本体部の外周面に
支持された複数の摺動部材と、複数の摺動部材を前記摺
動面に密着させるべく、バルブ本体部の外周面から半径
方向外側に弾発付勢する弾発部材とを備え、前記摺動部
材に、作動部に作動媒体を吸入・排出する作動媒体通路
を形成したことを特徴とする回転式流体機械が提案され
る。
【0006】上記構成によれば、回転式流体機械の作動
部に対する作動媒体の吸入・排出を制御するロータリバ
ルブが、円周方向に分割した複数の摺動部材をバルブ本
体部の外周面に支持し、これら複数の摺動部材を弾発部
材でバルブ本体部の外周面から半径方向外側に弾発付勢
してロータの摺動面に密着させるので、ロータリバルブ
の熱膨張・熱収縮に伴う摺動面のクリアランス変化や、
ロータが回転する際の芯振れを補償し、摺動部材に形成
した作動媒体通路を介しての作動媒体の吸入・排出を正
確に行うとともに、前記摺動面からの作動媒体の漏れを
最小限に抑えることができる。
【0007】また請求項2に記載された発明によれば、
請求項1の構成に加えて、前記複数の摺動部材を合口を
介して接近・離間自在に接合するとともに、合口の半径
方向外側部分を合口カバーでシールしたことを特徴とす
る回転式流体機械が提案される。
【0008】上記構成によれば、複数の摺動部材を合口
を介して接近・離間自在に接合し、合口の半径方向外側
部分を合口カバーでシールしたので、合口によるシール
作用と合口カバーによるシール作用との相乗効果で作動
媒体の漏れを効果的に防止することができる。
【0009】また請求項3に記載された発明によれば、
請求項1または請求項2の構成に加えて、前記複数の摺
動部材の少なくとも一つを、位置決め部材でバルブ本体
部に対して半径方向に移動可能かつ円周方向に移動不能
に位置決めしたことを特徴とする回転式流体機械が提案
される。
【0010】上記構成によれば、位置決め部材で摺動部
材をバルブ本体部に対して半径方向に移動可能かつ円周
方向に移動不能に位置決めしたので、摺動部材を半径方
向に移動させてロータの摺動面に密着させることを可能
にしながら、バルブ本体部に対する摺動部材の円周方向
の位置を正確に保持して作動媒体通路を介しての作動媒
体の吸入・排出を正確に行うことができる。
【0011】尚、実施例の第2のアキシャルピストンシ
リンダ群57は本発明の作動部に対応し、また実施例の
ロータリバルブ本体62は本発明のバルブ本体部に対応
し、実施例のスパイラルスプリング100は本発明の弾
発部材に対応し、実施例のノックピン103は本発明の
位置決め部材に対応し、実施例の第10蒸気通路P10
および第16蒸気通路P19は本発明の作動媒体通路に
対応する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0013】図1〜図14は本発明の一実施例を示すも
ので、図1は膨張機の縦断面図、図2は図1の2−2線
断面図、図3は図1の3部拡大図、図4は図1の4部拡
大断面図(図8の4−4線断面図)、図5は図4の5−
5線矢視図、図6は図4の6−6線矢視図、図7は図4
の7−7線断面図、図8は図4の8−8線断面図、図9
は図4の9−9線断面図、図10はシール手段の分解斜
視図、図11は出力軸のトルク変動を示すグラフ、図1
2は高圧段の吸入系を示す作用説明図、図13は高圧段
の排出系および低圧段の吸入系を示す作用説明図、図1
4は低圧段の排出系を示す作用説明図である。
【0014】図1〜図3に示すように、本実施例の回転
式流体機械は例えばランキンサイクル装置に使用される
膨張機Mであって、作動媒体としての高温高圧蒸気の熱
エネルギーおよび圧力エネルギーを機械エネルギーに変
換して出力する。膨張機Mのケーシング11は、ケーシ
ング本体12と、ケーシング本体12の前面開口部にシ
ール部材13を介して嵌合して複数本のボルト14…で
結合される前部カバー15と、ケーシング本体12の後
面開口部にシール部材16を介して嵌合して複数本のボ
ルト17…で結合される後部カバー18とから構成され
る。ケーシング本体12の下面開口部にオイルパン19
がシール部材20を介して当接し、複数本のボルト21
…で結合される。またケーシング本体12の上面にブリ
ーザ室隔壁23が重ね合わされ、更にその上面にブリー
ザ室カバー25が重ね合わされ、複数本のボルト26…
で共締めされる。
【0015】ケーシング11の中央を前後方向に延びる
軸線Lまわりに回転可能なロータ27と出力軸28とが
溶接で一体化されており、ロータ27の後部がアンギュ
ラボールベアリング29およびシール部材30を介して
ケーシング本体12に回転自在に支持されるとともに、
出力軸28の前部がアンギュラボールベアリング31お
よびシール部材32を介して前部カバー15に回転自在
に支持される。前部カバー15の後面に2個のシール部
材33,34およびノックピン35を介して嵌合する斜
板ホルダ36が複数本のボルト37…で固定されてお
り、この斜板ホルダ36にアンギュラボールベアリング
38を介して斜板39が回転自在に支持される。斜板3
9の回転軸線は前記ロータ27および出力軸28の軸線
Lに対して傾斜しており、その傾斜角は固定である。
【0016】ロータ27と別部材で構成された7本のス
リーブ41…が、ロータ27の内部に軸線Lを囲むよう
に円周方向に等間隔で配置される。ロータ27のスリー
ブ支持孔27a…に支持されたスリーブ41…の内周に
形成された高圧シリンダ42…に高圧ピストン43…が
摺動自在に嵌合しており、高圧シリンダ42…の前端開
口部から前方に突出する高圧ピストン43…の半球状部
が、斜板39の後面に凹設した7個のディンプル39a
…にそれぞれ突き当てられる。スリーブ41…の後端と
ロータ27のスリーブ支持孔27a…との間には耐熱金
属性のシール部材44…が装着され、この状態でスリー
ブ41…の前端を押さえる単一のセットプレート45が
複数本のボルト46…でロータ27の前面に固定され
る。スリーブ支持孔27a…の底部近傍は僅かに大径に
なっており、スリーブ41…の外周面との間に間隙α
(図3参照)が形成される。
【0017】高圧ピストン43…は高圧シリンダ42…
との摺動面をシールする圧力リング47…およびオイル
リング48…を備えており、圧力リング47…の摺動範
囲とオイルリング48…の摺動範囲とは相互にオーバー
ラップしないように設定されている。高圧ピストン43
…を高圧シリンダ42…に挿入するとき、圧力リング4
7…およびオイルリング48…を高圧シリンダ42…に
スムーズに係合させるべく、セットプレート45に前面
側が広がるようにテーパした開口部45a…が形成され
る。
【0018】以上のように、圧力リング47…の摺動範
囲とオイルリング48…の摺動範囲とが相互にオーバー
ラップしないように設定したので、オイルリング48…
が摺動する高圧シリンダ42…の内壁に付着したオイル
が、圧力リング47…の摺動により高圧作動室82…に
取り込まれないようにし、蒸気にオイルが混入するのを
確実に防止することができる。特に、高圧ピストン43
…は圧力リング47…およびオイルリング48…に挟ま
れた部分が若干小径になっているため(図3参照)、オ
イルリング48…の摺動面に付着したオイルが圧力リン
グ47…の摺動面に移動するのを効果的に防止すること
ができる。
【0019】また7本のスリーブ41…をロータ27の
スリーブ支持孔27a…に装着して高圧シリンダ42…
を構成したので、スリーブ41…に熱伝導性、耐熱性、
耐摩耗性、強度等に優れた材質を選択することができ
る。これにより性能および信頼性の向上が可能になるだ
けでなく、ロータ27に直接高圧シリンダ42…を加工
する場合に比べて加工が容易になり、加工精度も向上す
る。しかも何れかのスリーブ41が摩耗・損傷した場合
に、ロータ27全体を交換することなく、異常のあるス
リーブ41だけを交換すれば良いので経済的である。
【0020】またスリーブ支持孔27a…の底部近傍を
僅かに大径にしてスリーブ41…の外周面とロータ27
との間に間隙αを形成したので、高圧作動室82…に供
給された高温高圧蒸気によりロータ27が熱変形して
も、その影響がスリーブ41…に及び難くして高圧シリ
ンダ42…の歪みを防止することができる。
【0021】前記7本の高圧シリンダ42…と、そこに
嵌合する7本の高圧ピストン43…とは、第1のアキシ
ャルピストンシリンダ群49を構成する。
【0022】ロータ27の外周部に7本の低圧シリンダ
50…が軸線Lおよび高圧シリンダ42…の半径方向外
側を囲むように円周方向に等間隔で配置される。これら
低圧シリンダ50…は高圧シリンダ42…よりも大きな
直径を有しており、かつ低圧シリンダ50…の円周方向
の配列ピッチは高圧シリンダ42…の円周方向の配列ピ
ッチに対して半ピッチ分ずれている。これにより、隣接
する低圧シリンダ50…間に形成される空間に高圧シリ
ンダ42…を配置することが可能になり、スペースを有
効利用してロータ27の直径の小型化に寄与することが
できる。
【0023】7本の低圧シリンダ50…にはそれぞれ低
圧ピストン51…が摺動自在に嵌合しており、これら低
圧ピストン51…はリンク52…を介して斜板39に接
続される。即ち、リンク52…の前端の球状部52aは
斜板39にナット53…で固定した球面軸受54…に揺
動自在に支持され、リンク52…の後端の球状部52b
は低圧ピストン51…にクリップ55…で固定した球面
軸受56…に揺動自在に支持される。低圧ピストン51
…の頂面近傍の外周面には、圧力リング78…およびオ
イルリング79…が隣接して装着される。圧力リング7
8…およびオイルリング79…の摺動範囲は相互にオー
バーラップするので、圧力リング78…の摺動面に油膜
を形成してシール性および潤滑性を高めることができ
る。
【0024】前記7本の低圧シリンダ50…と、そこに
嵌合する7本の低圧ピストン41…とは、第2のアキシ
ャルピストンシリンダ群57を構成する。
【0025】以上のように、第1のアキシャルピストン
シリンダ群49の高圧ピストン43…の前端を半球状に
形成し、その前端を斜板39に形成したディンプル39
a…に当接させたので、高圧ピストン43…を斜板39
に機械的に連結する必要がなくなって、部品点数の削減
と組付性の向上とが可能になる。一方、第2のアキシャ
ルピストンシリンダ群57の低圧ピストン51…はリン
ク52…および前後の球面軸受54…,56…を介して
斜板39に連結されているので、第2のアキシャルピス
トンシリンダ群57に供給される中温中圧蒸気の温度お
よび圧力が不足して低圧作動室84…が負圧になって
も、低圧ピストン51…と斜板39とが離れて打音や損
傷が発する虞がない。
【0026】また斜板39は前部カバー15にボルト3
7…で締結されるが、そのときの斜板39の軸線Lまわ
りの締結位相を変化させることで、第1のアキシャルピ
ストンシリンダ群49および第2のアキシャルピストン
シリンダ群57に対する蒸気の供給・排出タイミングを
ずらして膨張機Mの出力特性を変更することができる。
【0027】また一体化されたロータ27および出力軸
28は、それぞれケーシング本体12に設けたアンギュ
ラボールベアリング29および前部カバー15に設けた
アンギュラボールベアリング31に支持されるが、ケー
シング本体12およびアンギュラボールベアリング29
間に介装するシム58の厚さと、前部カバー15および
アンギュラボールベアリング31間に介装するシム59
の厚さとを調整することにより、軸線Lに沿うロータ2
7の位置を前後方向に調整することができる。このロー
タ27の軸線L方向の位置の調整により、斜板39に案
内される高圧・低圧ピストン43…,51…とロータ2
7に設けられた高圧・低圧シリンダ42…,50…との
軸線L方向の相対的な位置関係が変化し、高圧・低圧作
動室82…,84…における蒸気の膨張比を調整するこ
とができる。
【0028】仮に、斜板39を支持する斜板ホルダ36
が前部カバー15に対して一体に形成されていると、前
部カバー15にアンギュラボールベアリング31やシム
59を着脱するためのスペースを確保するのが困難にな
るが、斜板ホルダ36を前部カバー15に対し着脱可能
にしたことで、上記問題が解消される。また仮に斜板ホ
ルダ36が前部カバー15と一体であると、膨張機Mの
分解・組立時に予め前部カバー15側に組み付けた斜板
39に、ケーシング11内の狭い空間で7本のリンク5
2…を連結・分離する面倒な作業が必要となるが、斜板
ホルダ36を前部カバー15に対し着脱可能にしたこと
で、予めロータ27側に斜板39および斜板ホルダ36
を組み付けてサブアセンブリを構成することが可能とな
り、組付性が大幅に向上する。
【0029】次に、第1のアキシャルピストンシリンダ
群49および第2のアキシャルピストンシリンダ群57
に対する蒸気の供給・排出系統を、図4〜図9に基づい
て説明する。
【0030】図4に示すように、ロータ27の後端面に
開口する円形断面の凹部27bおよび後部カバー18の
前面に開口する円形断面の凹部18aに、ロータリバル
ブ61が収納される。軸線Lに沿うように配置されたロ
ータリバルブ61は、ロータリバルブ本体62と、固定
側バルブプレート63と、可動側バルブプレート64と
を備える。可動側バルブプレート64は、ロータ27の
凹部27bの底面にガスケット65を介して嵌合した状
態で、ノックピン66およびボルト67でロータ27に
固定される。可動側バルブプレート64に平坦な摺動面
68を介して当接する固定側バルブプレート63はノッ
クピン69を介してロータリバルブ本体62に相対回転
不能に結合される。従って、ロータ27が回転すると、
可動側バルブプレート64および固定側バルブプレート
63は摺動面68において相互に密着しながら相対回転
する。固定側バルブプレート63および可動側バルブプ
レート64は、超硬合金やセラミックス等の耐久性に優
れた材質で構成されており、その摺動面68に耐熱性、
潤滑性、耐蝕性、耐摩耗性を有する部材を介在させたり
コーティングしたりすることが可能である。
【0031】ロータリバルブ本体62は、大径部62
a、中径部62bおよび小径部62cを備えた段付き円
柱状の部材であって、その大径部62aの外周に嵌合す
る環状のシール手段70が、ロータ27の凹部27bに
円筒状の摺動面71を介して摺動自在に嵌合するととも
に、その中径部62bおよび小径部62cが後部カバー
18の凹部18aにシール部材72,73を介して嵌合
する。ロータリバルブ本体62の外周に植設されたノッ
クピン74が、後部カバー18の凹部18aに軸線L方
向に形成された長孔18bに係合しており、従ってロー
タリバルブ本体62は後部カバー18に対して相対回転
不能、かつ軸線L方向に移動可能に支持される。
【0032】図8および図10から明らかなように、シ
ール手段70は120°の中心角を有して円周方向に分
割された3個の摺動部材91A,91B,91Cを備え
ており、各々の摺動部材91A,91B,91Cの接合
部はクランク状に屈曲する合口92,93を介して相互
に噛み合っている。摺動部材91A,91B,91Cの
外周面には、合口92,93に対応する部分に切欠9
4,95が形成されており、この切欠94,95に円弧
状の合口カバー96A,96B,96Cが装着される。
摺動部材91A,91B,91Cに合口カバー96A,
96B,96Cを装着した状態で、それらの外周面は円
周方向に段差のない円筒状になる。また摺動部材91
A,91B,91Cの内周面には円周方向に延びる2本
のシールリング溝97,97が形成されており、両シー
ルリング溝97,97の間にスプリング受け部98が形
成される。また一体化した摺動部材91A,91B,9
1Cおよび合口カバー96A,96B,96Cの外周面
の軸線L方向両端に、円周方向に延びる2本のガーター
スプリング溝99,99が形成される。摺動部材91
A,91B,91Cおよび合口カバー96A,96B,
96Cはカーボン等の自己潤滑性に優れた材料で構成さ
れる。
【0033】ロータリバルブ本体62の外周面にはシー
ル手段70を保持する環状溝62eが形成されており、
この環状溝62eの外周面とシール手段70のスプリン
グ受け部98の内周面との間にスパイラルスプリング1
00が装着される。スパイラルスプリング100は断面
長方形のスプリング材をスパイラル状に巻いたもので、
半径方向外側に向けて弾発力を発生するものである。
【0034】またシール手段70の内周面に形成した2
本のシールリング溝97,97には、例えばテフロン
(登録商標)のような低摩擦材で構成した、エンジンの
ピストンリング形状のシールリング101,101が装
着される。シールリング101,101は摺動部材91
A,91B,91Cの内周面を通しての蒸気の漏れを防
止するとともに、それらの対向する二つの側面にスパイ
ラルスプリング100の軸方向両端部を当接させて位置
決めする機能を有している。
【0035】シール手段70の外周面に形成した2本の
ガータースプリング溝99,99に、長方形断面を有す
るスプリング材を円形に巻いた一対のガータースプリン
グ102,102が装着される。ガータースプリング1
02,102は半径方向内向きの弾発力を発生して摺動
部材91A,91B,91Cおよび合口カバー96A,
96B,96Cを一体に保持する機能を有するもので、
その半径方向内向きの弾発力は、スパイラルスプリング
100の半径方向外向きの弾発力よりも弱く設定され
る。そしてシール手段70の2個の摺動部材91B,9
1Cが、ロータリバルブ本体62に半径方向に植設した
ノックピン103,103により、半径方向に移動可能
かつ円周方向および軸方向に移動不能に係止される。
【0036】後部カバー18に軸線Lを囲むように複数
個(例えば、7個)のプリロードスプリング75…が支
持されており、これらプリロードスプリング75…に中
径部62bおよび小径部62c間の段部62dを押圧さ
れたロータリバルブ本体62は、固定側バルブプレート
63および可動側バルブプレート64の摺動面68を密
着させるべく前方に向けて付勢される。後部カバー18
の凹部18aの底面とロータリバルブ本体62の小径部
62cの後端面との間に圧力室76が区画されており、
後部カバー18を貫通するように接続された蒸気供給パ
イプ77が前記圧力室76に連通する。従って、ロータ
リバルブ本体62は前記プリロードスプリング75…の
弾発力に加えて、圧力室76に作用する蒸気圧によって
も前方に付勢される。
【0037】第1のアキシャルピストンシリンダ群49
に高温高圧蒸気を供給する高圧段の蒸気吸入経路が、図
12に網かけして示される。図12と図5〜図9とを併
せて参照すると明らかなように、蒸気供給パイプ77か
ら高温高圧蒸気が供給される圧力室76に上流端が連通
する第1蒸気通路P1が、ロータリバルブ本体62を貫
通して固定側バルブプレート63との合わせ面に開口
し、固定側バルブプレート63を貫通する第2蒸気通路
P2に連通する。ロータリバルブ本体62および固定側
バルブプレート63の合わせ面からの蒸気のリークを防
止すべく、該合わせ面に装着されたシール部材81(図
7および図12参照)により第1、第2蒸気通路P1,
P2の接続部の外周がシールされる。
【0038】可動側バルブプレート64およびロータ2
7にはそれぞれ7本の第3蒸気通路P3…(図5参照)
および第4蒸気通路P4…が円周方向に等間隔に形成さ
れており、第4蒸気通路P4…の下流端は第1のアキシ
ャルピストンシリンダ群49の高圧シリンダ42…およ
び高圧ピストン43間に区画された7個の高圧作動室8
2…に連通する。図6から明らかなように、固定側バル
ブプレート63に形成された第2蒸気通路P2の開口
は、高圧ピストン43の上死点TDCの前後に均等に開
口せずに矢印Rで示すロータ27の回転方向進み側に僅
かにずれて開口している。これにより、できるだけ長い
膨張期間、即ち充分な膨張比を確保でき、かつ上死点T
DCの前後に均等に開口を設定した場合に生じる負の仕
事を極力少なくし、更に高圧作動室82…内に残留する
膨張蒸気を減少して充分な出力(効率)が得られる。
【0039】第1のアキシャルピストンシリンダ群49
から中温中圧蒸気を排出して第2のアキシャルピストン
シリンダ群57に供給する高圧段の蒸気排出経路および
低圧段の蒸気吸入経路が、図13に網かけして示され
る。図13と図5〜図8とを併せて参照すると明らかな
ように、固定側バルブプレート63の前面には円弧状の
第5蒸気通路P5(図6参照)が開口しており、この第
5蒸気通路P5は固定側バルブプレート63の後面に開
口する円形の第6蒸気通路P6(図7参照)に連通す
る。第5蒸気通路P5は、高圧ピストン43の下死点B
DCに対して矢印Rで示すロータ27の回転方向進み側
に僅かにずれた位置から、上死点TDCに対して回転方
向遅れ側に僅かにずれた位置に亘って開口している。こ
れにより、可動側バルブプレート64の第3蒸気通路P
3…は下死点BDCから第2蒸気通路P2と重複しない
(好ましくは第2蒸気通路P2と重複する直前の)角度
範囲に亘って固定側バルブプレート63の第5蒸気通路
P5に連通することができ、その間に第3蒸気通路P3
…から第5蒸気通路P5への蒸気の排出が行われる。
【0040】ロータリバルブ本体62には、軸線L方向
に延びる第7蒸気通路P7と、略半径方向に延びる第
8、第9蒸気通路P8,P9とが形成されており、第7
蒸気通路P7の上流端は前記第6蒸気通路P6の下流端
に連通するとともに、第9蒸気通路P9の下流端はシー
ル手段70の摺動部材91Aを貫通する第10蒸気通路
P10に連通する。そして第10蒸気通路P10は、ロ
ータ27に放射状に形成した7本の第11蒸気通路P1
1…を介して、第2のアキシャルピストンシリンダ群5
7の低圧シリンダ50…および低圧ピストン41…間に
区画された7個の低圧作動室84…に連通する。
【0041】ロータリバルブ本体62と固定側バルブプ
レート63との合わせ面からの蒸気のリークを防止すべ
く、該合わせ面に装着されたシール部材85(図7およ
び図13参照)により第6、第7蒸気通路P6,P7の
接続部の外周がシールされる。
【0042】ロータ27および出力軸28の内部は肉抜
きされて調圧室89が区画されており、この調圧室89
と第8蒸気通路P8とが、ロータリバルブ本体62に形
成した第12蒸気通路P12および第13蒸気通路P1
3と、固定側バルブプレート63に形成した第14蒸気
通路P14と、ボルト67の内部を貫通する第15蒸気
通路P15とを介して連通する。7本の第3蒸気通路P
3…から第5蒸気通路P5に排出される中温中圧蒸気の
圧力はロータ27の1回転につき圧力が7回脈動する
が、その中温中圧蒸気を第2のアキシャルピストンシリ
ンダ群57に供給する途中の第8蒸気通路P8を調圧室
89に連通させたことで、前記圧力の脈動を緩衝して一
定圧の蒸気を第2のアキシャルピストンシリンダ群57
に供給し、低圧作動室84…への蒸気の充填効率を高め
ることができる。
【0043】また調圧室89はロータ27および出力軸
28の中心のデッドスペースを利用して形成されている
ので膨張機Mの大型化を招くこともなく、肉抜きによる
軽量化の効果も持ち、しかも調圧室89の外周は高温高
圧蒸気で作動する第1のアキシャルピストンシリンダ群
49で取り囲まれるので、第2のアキシャルピストンシ
リンダ群57に供給される中温中圧蒸気の熱損失が生じ
ることもない。更に、第1のアキシャルピストンシリン
ダ群49に取り囲まれたロータ27の中心部が温度上昇
した場合には、調圧室89の中温中圧蒸気でロータ27
の冷却を図ることができ、その結果として加熱された中
温中圧蒸気で第2のアキシャルピストンシリンダ群57
の出力向上を図ることができる。
【0044】第2のアキシャルピストンシリンダ群57
から低温低圧蒸気を排出する蒸気排出経路が、図14に
網かけして示される。図14および図8〜図10を併せ
て参照すると明らかなように、シール手段70の1個の
摺動部材91Cの側面と2個の合口カバー96B,96
Cの側面とに、ロータ27に形成した7個の第11蒸気
通路P11…に連通可能な円弧状の第16蒸気通路P1
6が切り欠かれており、この第16蒸気通路P16はロ
ータ27の凹部27b内に形成した空間104を介し
て、ロータリバルブ本体62に形成した第17蒸気通路
P17に連通する。第16蒸気通路P16は、低圧ピス
トン51の下死点BDCに対して矢印Rで示すロータ2
7の回転方向進み側に僅かにずれた位置から、上死点T
DCに対して回転方向遅れ側に僅かにずれた位置に亘っ
て開口している。これにより、ロータ27の第11蒸気
通路P11…は下死点BDCから第10蒸気通路P10
と重複しない(好ましくは第10蒸気通路P10と重複
する直前の)角度範囲に亘ってシール手段70の第16
蒸気通路P16に連通することができ、その間に第11
蒸気通路P11…から第16蒸気通路P16への蒸気の
排出が行われる。
【0045】更に第17蒸気通路P17は、ロータリバ
ルブ本体62の内部に形成された第18蒸気通路P18
〜第20蒸気通路P20および後部カバー18の切欠1
8dを介して、ロータリバルブ本体62および後部カバ
ー18間に形成された蒸気排出室90に連通し、この蒸
気排出室90は後部カバー18に形成した蒸気排出孔1
8cに連通する。
【0046】以上のように、第1のアキシャルピストン
シリンダ群49への蒸気の供給・排出と第2のアキシャ
ルピストンシリンダ群57への蒸気の供給・排出とを共
通のロータリバルブ61で制御するので、各々別個のロ
ータリバルブを用いる場合に比べて膨張機Mを小型化す
ることができる。しかも第1のアキシャルピストンシリ
ンダ群49に高温高圧蒸気を供給するバルブを、ロータ
リバルブ本体62と一体の固定側バルブプレート63の
前端の平坦な摺動面68に形成したので、高温高圧蒸気
のリークを効果的に防止することができる。なぜなら
ば、平坦な摺動面68は高精度の加工が容易なため、円
筒状の摺動面に比べてクリアランスの管理が容易である
からである。
【0047】特に、複数本のプリロードスプリング75
…でロータリバルブ本体62にプリセット荷重を与えて
軸線L方向前方に付勢し、更に蒸気供給パイプ77から
圧力室76に供給した高温高圧蒸気でロータリバルブ本
体62を軸線L方向前方に付勢することにより、固定側
バルブプレート63および可動側バルブプレート64の
摺動68に高温高圧蒸気の圧力に応じた面圧を発生さ
せ、その摺動面68からの蒸気のリークを一層効果的に
抑制することができる。
【0048】また第2のアキシャルピストンシリンダ群
57に中温中圧蒸気を供給し、かつ第2のアキシャルピ
ストンシリンダ群57から低温低圧蒸気を排出すべく、
ロータリバルブ本体62に設けられてロータ27と相対
回転するシール手段70が円周方向に分割した3個の摺
動部材91A,91B,91Cを備え、それら3個の摺
動部材91A,91B,91Cをスパイラルスプリング
100で半径方向外側に付勢してロータ27との間の摺
動面71に密着させるので、温度変化による前記摺動面
71のクリアランスの変動やロータ27の芯振れの影響
を補償して、摺動抵抗の増加を抑えながら蒸気の漏れを
防止することができる。特に、半径方向の厚さが小さい
スパイラルスプリング100を用いて摺動部材91A,
91B,91Cを付勢するので、ロータリバルブ61の
径方向の寸法が大型化するのを防止することができる。
【0049】また3個の摺動部材91A,91B,91
Cをクランク状の合口92,93を介して接合したの
で、それら摺動部材91A,91B,91Cの半径方向
の移動を許容しながら、合口92,93からの蒸気漏れ
を最小限に抑えることができる。しかも合口92,93
の半径方向外側を合口カバー96A,96B,96Cで
覆ったので、合口92,93からの蒸気漏れを一層効果
的に防止することができる。
【0050】また3個の摺動部材91A,91B,91
Cのうちの2個をノックピン103,103でロータリ
バルブ本体62に係止しているので、ロータリバルブ本
体62に対するシール手段70の位相を一定に保持して
蒸気の吸入・排出タイミングのずれを防止することがで
きる。尚、ノックピン103,103は2個の摺動部材
91B,91Cの円周方向および軸方向の移動を規制す
るだけで半径方向の移動を許容するので、3個の摺動部
材91A,91B,91Cの摺動面71に対する密着性
が阻害されることはない。
【0051】またロータリバルブ本体62に内部に、高
温高圧蒸気が流れる第1蒸気通路P1と、中温中圧蒸気
が流れる第7蒸気通路P7および第8蒸気通路P8と、
低温低圧蒸気が流れる第17蒸気通路P17〜第20蒸
気通路P20とを集約して形成したので蒸気温度の低下
を防止できるだけでなく、高温高圧蒸気のシール部(例
えば、シール部材81)を低温低圧蒸気で冷却して耐久
性を高めることができる。
【0052】更に、後部カバー18をケーシング本体1
2から取り外すだけで、ケーシング本体12に対してロ
ータリバルブ61を着脱することができるので、修理、
清掃、交換等のメンテナンス作業性が大幅に向上する。
また高温高圧蒸気が通過するロータリバルブ61は高温
になるが、オイルによる潤滑が必要な斜板39や出力軸
28がロータ27を挟んでロータリバルブ61の反対側
に配置されるので、高温となるロータリバルブ61の熱
でオイルが加熱されて斜板39や出力軸28の潤滑性能
が低下するのを防止することができる。またオイルはロ
ータリバルブ61を冷却して過熱を防止する機能も発揮
する。
【0053】次に、上記構成を備えた本実施例の膨張機
Mの作用を説明する。
【0054】図12に示すように、蒸発器で水を加熱し
て発生した高温高圧蒸気は蒸気供給パイプ77を介して
膨張機Mの圧力室76に供給され、そこからロータリバ
ルブ61のロータリバルブ本体62に形成した第1蒸気
通路P1と、このロータリバルブ本体62と一体の固定
側バルブプレート63に形成した第2蒸気通路P2とを
経て、可動側バルブプレート64との摺動面68に達す
る。そして摺動面68に開口する第2蒸気通路P2はロ
ータ27と一体に回転する可動側バルブプレート64に
形成した第3蒸気通路P3に瞬間的に連通し、高温高圧
蒸気は第3蒸気通路P3からロータ27に形成した第4
蒸気通路P4を経て、第1のアキシャルピストンシリン
ダ群49の7個の高圧作動室82…のうちの上死点に在
る高圧作動室82に供給される。
【0055】ロータ27の回転に伴って第2蒸気通路P
2および第3蒸気通路P3の連通が絶たれた後も高圧作
動室82内で高温高圧蒸気が膨張することで、スリーブ
41の高圧シリンダ42に嵌合する高圧ピストン43が
上死点から下死点に向けて前方に押し出され、その前端
が斜板39のディンプル39aを押圧する。その結果、
高圧ピストン43が斜板39から受ける反力でロータ2
7に回転トルクが与えられる。そしてロータ27が7分
の1回転する毎に、新たな高圧作動室82内に高温高圧
蒸気が供給されてロータ27が連続的に回転駆動され
る。
【0056】図13に示すように、ロータ27の回転に
伴って下死点に達した高圧ピストン43が上死点に向か
って後退する間に、高圧作動室82から押し出された中
温中圧蒸気は、ロータ27の第4蒸気通路P4と、可動
側バルブプレート64の第3蒸気通路P3と、摺動面6
8と、固定側バルブプレート63の第5蒸気通路P5お
よび第6蒸気通路P6と、ロータリバルブ本体62の第
7蒸気通路P7〜第10蒸気通路P10と、摺動面71
とを経て、ロータ27の回転に伴って上死点に達した第
2のアキシャルピストンシリンダ群57の低圧作動室8
4に連なる第11蒸気通路P11に供給される。低圧作
動室84に供給された中温中圧蒸気は第10蒸気通路P
10と第11蒸気通路P11との連通が絶たれた後も低
圧作動室84内で膨張することで、低圧シリンダ50に
嵌合する低圧ピストン51が上死点から下死点に向けて
前方に押し出され、低圧ピストン51に接続されたリン
ク52が斜板39を押圧する。その結果、低圧ピストン
51の押圧力がリンク52を介して斜板39の回転力に
変換され、この回転力は斜板39のディンプル39aを
介して高圧ピストン43からロータ27に回転トルクを
伝える。即ち、斜板39と同期回転するロータ27に回
転トルクが伝達されることになる。尚、リンク52は膨
張行程での負圧発生時に低圧ピストン51が斜板39か
ら離脱するのを防止すべく、低圧ピストン51と斜板3
9との結合を維持する機能を果たすもので、膨張作用に
よる回転トルクは、上述の如く斜板39のディンプル3
9aを介して高圧ピストン43から斜板39と同期回転
するロータ27に伝達される構成となっている。そして
ロータ27が7分の1回転する毎に、新たな低圧作動室
84内に中温中圧蒸気が供給されてロータ27が連続的
に回転駆動される。
【0057】このとき、前述したように、第1のアキシ
ャルピストンシリンダ群49の高圧作動室82…から排
出される中温中圧蒸気の圧力はロータ27の1回転につ
き圧力が7回脈動するが、その脈動を調圧室89で緩衝
することにより、一定圧の蒸気を第2のアキシャルピス
トンシリンダ群57に供給して低圧作動室84…への蒸
気の充填効率を高めることができる。
【0058】図14に示すように、ロータ27の回転に
伴って下死点に達した低圧ピストン51が上死点に向か
って後退する間に、低圧作動室84から押し出された低
温低圧蒸気は、ロータ27の第11蒸気通路P11と、
摺動面71と、シール手段70の第16蒸気通路P16
と、空間104と、ロータリバルブ本体62の第17蒸
気通路P17〜第20蒸気通路P20を経て蒸気排出室
90に排出され、そこから蒸気排出孔18cを経て凝縮
器に供給される。
【0059】上述のようにして膨張機Mが作動すると
き、第1のアキシャルピストンシリンダ群49の7本の
高圧ピストン43…と、第2のアキシャルピストンシリ
ンダ群57の7本の低圧ピストン51…とが共通の斜板
39に接続されるので、第1、第2のアキシャルピスト
ンシリンダ群49,57の出力を合成して出力軸28を
駆動することができ、膨張機Mを小型化しながら高出力
を得ることができる。このとき、第1のアキシャルピス
トンシリンダ群49の7本の高圧ピストン43…と、第
2のアキシャルピストンシリンダ群57の7本の高圧ピ
ストン51…とが円周方向に半ピッチずれて配置されて
いるため、図11に示すように、第1のアキシャルピス
トンシリンダ群49の出力トルクの脈動と、第2のアキ
シャルピストンシリンダ群57の出力トルクの脈動とが
相互に打ち消しあい、出力軸28の出力トルクがフラッ
トになる。
【0060】またアキシャル型の回転式流体機械はラジ
アル式の回転式流体機械に比べてスペース効率が高いと
いう特徴があるが、それを半径方向に2段に配置したこ
とでスペース効率を更に高めることができる。特に、体
積が小さい高圧の蒸気で作動するために小直径で済む第
1のアキシャルピストンシリンダ群49を半径方向内側
に配置し、体積が大きい低圧の蒸気で作動するために大
直径となる第2のアキシャルピストンシリンダ群57を
半径方向外側に配置したので、空間を有効利用して膨張
機Mの一層の小型化が可能となる。しかも円形断面を有
することで加工精度を高くできるシリンダ42…,50
…およびピストン43…,51…を用いたことにより、
ベーンを用いた場合に比べて蒸気のリーク量が少なくな
り、更なる高出力を望むことができる。
【0061】また高温の蒸気で作動する第1のアキシャ
ルピストンシリンダ群49を半径方向内側に配置し、低
温の蒸気で作動する第2のアキシャルピストンシリンダ
群57を半径方向外側に配置したので、第2のアキシャ
ルピストンシリンダ群57とケーシング11の外部との
温度差を最小限に抑え、ケーシング11の外部への熱逃
げを最小限に抑えて膨張機Mの効率を高めることができ
る。また半径方向内側の高温の第1のアキシャルピスト
ンシリンダ群49から逃げた熱を、半径方向外側の低温
の第2のアキシャルピストンシリンダ群57で回収する
ことができるので、膨張機Mの効率を更に高めることが
できる。
【0062】また軸線Lに対して直角方向に見たとき、
第1のアキシャルピストンシリンダ群49の後端は第2
のアキシャルピストンシリンダ群57の後端よりも前方
に位置しているので、第1のアキシャルピストンシリン
ダ群49から軸線L方向後方に逃げた熱を第2のアキシ
ャルピストンシリンダ群57で回収し、膨張機Mの効率
を更に高めることができる。更に、高圧側の摺動面68
が低圧側の摺動面71よりもロータ27の凹部27bの
奥側に在るので、ケーシング11の外部の圧力と低圧側
の摺動面71との差圧を最小限に抑えて低圧側の摺動面
71からの蒸気のリーク量を減少させることができ、し
かも高圧側の摺動面68から漏れた蒸気圧を低圧側の摺
動面71で回収して有効に利用することができる。
【0063】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0064】例えば、本発明の作動部は実施例のアキシ
ャルピストンシリンダ群に限定されず、ラジアルピスト
ンシリンダ式のものやベーン式のものであっても良い。
【0065】また実施例ではシール手段70の摺動部材
91A、91B,91Cを3分割にしているが、その他
の任意の個数に分割することができる。
【0066】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、回転式流体機械の作動部に対する作動媒体の
吸入・排出を制御するロータリバルブが、円周方向に分
割した複数の摺動部材をバルブ本体部の外周面に支持
し、これら複数の摺動部材を弾発部材でバルブ本体部の
外周面から半径方向外側に弾発付勢してロータの摺動面
に密着させるので、ロータリバルブの熱膨張・熱収縮に
伴う摺動面のクリアランス変化や、ロータが回転する際
の芯振れを補償し、摺動部材に形成した作動媒体通路を
介しての作動媒体の吸入・排出を正確に行うとともに、
前記摺動面からの作動媒体の漏れを最小限に抑えること
ができる。
【0067】また請求項2に記載された発明によれば、
複数の摺動部材を合口を介して接近・離間自在に接合
し、合口の半径方向外側部分を合口カバーでシールした
ので、合口によるシール作用と合口カバーによるシール
作用との相乗効果で作動媒体の漏れを効果的に防止する
ことができる。
【0068】また請求項3に記載された発明によれば、
位置決め部材で摺動部材をバルブ本体部に対して半径方
向に移動可能かつ円周方向に移動不能に位置決めしたの
で、摺動部材を半径方向に移動させてロータの摺動面に
密着させることを可能にしながら、バルブ本体部に対す
る摺動部材の円周方向の位置を正確に保持して作動媒体
通路を介しての作動媒体の吸入・排出を正確に行うこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膨張機の縦断面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】図1の3部拡大図
【図4】図1の4部拡大断面図(図8の4−4線断面
図)
【図5】図4の5−5線矢視図
【図6】図4の6−6線矢視図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】図4の8−8線断面図
【図9】図4の9−9線断面図
【図10】シール手段の分解斜視図
【図11】出力軸のトルク変動を示すグラフ
【図12】高圧段の吸入系を示す作用説明図
【図13】高圧段の排出系および低圧段の吸入系を示す
作用説明図
【図14】低圧段の排出系を示す作用説明図
【符号の説明】
11 ケーシング 27 ロータ 57 第2のアキシャルピストンシリンダ群(作
動部) 61 ロータリバルブ 62 ロータリバルブ本体(バルブ本体部) 71 摺動面 91A,91B,91C 摺動部材 92 合口 93 合口 96A,96B,96C 合口カバー 100 スパイラルスプリング(弾発部材) 103 ノックピン(位置決め部材) L 軸線 P10 第10蒸気通路(作動媒体通路) P16 第16蒸気通路(作動媒体通路)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(11)と、 ケーシング(11)に回転自在に支持されたロータ(2
    7)と、 ロータ(27)に設けられた作動部(57)と、 ケーシング(11)およびロータ(27)間に設けら
    れ、ロータ(27)の軸線(L)を中心とする円筒状の
    摺動面(71)を介して作動部(57)に対する作動媒
    体の吸入・排出を制御するロータリバルブ(61)と、
    を備えた回転式流体機械であって、 前記ロータリバルブ(61)は、前記軸線(L)上に配
    置されたバルブ本体部(62)と、円周方向に分割され
    てバルブ本体部(62)の外周面に支持された複数の摺
    動部材(91A,91B,91C)と、複数の摺動部材
    (91A,91B,91C)を前記摺動面(71)に密
    着させるべく、バルブ本体部(62)の外周面から半径
    方向外側に弾発付勢する弾発部材(100)とを備え、 前記摺動部材(91A,91B,91C)に、作動部
    (57)に作動媒体を吸入・排出する作動媒体通路(P
    10,P16)を形成したことを特徴とする回転式流体
    機械。
  2. 【請求項2】 前記複数の摺動部材(91A,91B,
    91C)を合口(92,93)を介して接近・離間自在
    に接合するとともに、合口(92,93)の半径方向外
    側部分を合口カバー(96A,96B,96C)でシー
    ルしたことを特徴とする、請求項1に記載の回転式流体
    機械。
  3. 【請求項3】 前記複数の摺動部材(91A,91B,
    91C)の少なくとも一つを、位置決め部材(103)
    でバルブ本体部(62)に対して半径方向に移動可能か
    つ円周方向に移動不能に位置決めしたことを特徴とす
    る、請求項1または請求項2に記載の回転式流体機械。
JP2002034042A 2002-02-12 2002-02-12 回転式流体機械 Withdrawn JP2003232202A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002034042A JP2003232202A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 回転式流体機械

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002034042A JP2003232202A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 回転式流体機械

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003232202A true JP2003232202A (ja) 2003-08-22

Family

ID=27776661

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002034042A Withdrawn JP2003232202A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 回転式流体機械

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003232202A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7406911B2 (en) Expander
JP3923331B2 (ja) 膨張機
JP2003214101A (ja) 回転式流体機械
US6846163B2 (en) Rotary fluid machine having rotor segments on the outer periphery of a rotor core
US6959638B2 (en) Rotary hydraulic machine
JP2003232202A (ja) 回転式流体機械
US6918336B1 (en) Rotary hydraulic machine
WO2004059130A1 (ja) 回転流体機械
JP4104351B2 (ja) 膨張機
JP2003232201A (ja) 回転式流体機械
WO2004001195A1 (ja) 膨 張 機
JP2004239069A (ja) 回転流体機械
JP2004239067A (ja) 回転流体機械
JP2004239068A (ja) 回転流体機械
JP2003239701A (ja) 膨張機
JP2004270524A (ja) 回転流体機械
JP2005163577A (ja) 回転流体機械
JP2005171954A (ja) 回転流体機械
JP2003239703A (ja) 回転式流体機械
JP2004239066A (ja) 回転流体機械
JP2004204766A (ja) 回転流体機械
JP2005140074A (ja) 回転流体機械

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041129

A761 Written withdrawal of application

Effective date: 20060919

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20070710