JP2003231586A - 貯槽とその貯槽を備えた船舶 - Google Patents

貯槽とその貯槽を備えた船舶

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JP2003231586A JP2002029003A JP2002029003A JP2003231586A JP 2003231586 A JP2003231586 A JP 2003231586A JP 2002029003 A JP2002029003 A JP 2002029003A JP 2002029003 A JP2002029003 A JP 2002029003A JP 2003231586 A JP2003231586 A JP 2003231586A
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Yoshiyuki Nakajima
喜之 中島
Fusashi Kanayama
維史 金山
Norihiro Niihara
慶弘 新原
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 貯槽を構成する構造体の重量を増すことな
く、液体を貯留する貯槽の共振周波数を広いレンジで調
整できる貯槽を提供する。 【解決手段】 従来の液体を貯蔵する貯槽にかわって、
液体1に接する少なくとも一対の対面する壁板11と、
前記一対の対面する壁板11に挟まれて下方が開口し上
方及び周囲が閉じた所定の高さの筒状空隙Xとを備え、
前記筒状空隙Xの上部が貯槽の満タン時液面2よりも低
い位置にあるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体を貯蔵する貯
槽とその貯槽を備えた船舶に係る。特に貯槽の内部構造
に特徴のある貯槽とその貯槽の設置構造に特徴の有る船
舶に関する。
【0002】
【従来の技術】液体を貯蔵するのに貯槽が用いられる。
例えば、船舶は、長い距離を運航できるように大容量の
燃料油槽を備えている。その燃料油槽はエンジンルーム
の左右の船側部分や貨物倉の船底部分や船側部分やビル
ジ部や横隔壁部に設けられる。船舶の燃料油槽がエンジ
ンの振動により加振されるように、貯槽が何らかの加振
源に加振される場合は、貯槽の固有振動数を加振源の加
振周波数と一致しないように工夫し、貯槽が加振源の加
振周波数により共振しないようにする。一般には、貯槽
の剛性を高めて低次の固有振動数を加振周波数よりも高
くする。ところで、貯槽が液体を貯蔵している際には、
液体による仮性質量の影響をうけて、貯槽の構造体の固
有振動数よりも低い振動数により共振する事が知られて
いる。貯槽が大型化すると、内部に貯蔵する液体の総質
量が大きくなるので、この現象が顕著となる。
【0003】以下に、液体を貯蔵した貯槽とその液体関
係について、昭和34年11月造船協会秋季講演会にお
ける鬼頭史城氏の講演原稿「矩形水槽壁の接水振動につ
いて」を引用して、簡単に説明する。尚、説明の便宜の
ため文章の一部を省略する。講演原稿中に、「船の外
板、船の中に設けられた水槽、油槽などの構成部分をな
している矩形平板が、その片側または両側に水や油など
の液体が接している場合が多い。平板が振動するときに
は液体もまた振動する。その結果、平板の固有振動数に
対して、いわゆる仮性質量の効果があらわれる。」、
「ここに一個の矩形平板があって、長さがL、幅がH、
厚さをhm、密度をρmとするとき、その質量は、Mm
=ρmhmLHである。」、
【0004】「Mwvを水の振動に対する仮性質量とよ
ぶことにしよう。本報告では、矩形水槽の場合に対し、
2,3の振動型にたいして、このMwvの値を求めよう
とするものである。」、「弾性矩形平板が空気中で振動
しているときの自由振動数をfとし、同じ板が同じ振動
模様で水に接して振動しているときの自由振動数をf’
とするとき、
【数1】 となる筈である。しかし、これは厳密解でなく、一種の
実用公式である。」、「直方体水槽の場合に、水が完全
に満たされている場合と、少しの空所を残してほとんど
みたされている場合とに対して、−−A、B、C、Dの
4つの振動状態に対する仮性質量の値を求めた。これら
の結果を要約すると下のようになる。すなわち水の動エ
ネルギーを矩形板の一枚当たりの値に表して、
【数2】 の形にするとき、Mwvはいわゆる仮性質量であるが、
その値は、
【数3】 ここにV=水槽の実体積(=LBH)である。Mは仮性
質量を表す係数であり、便宜上振動質量係数を名付ける
ことにしよう。」とあり、振動質量係数Mの値を数値的
に求めたものを図17に示している。
【0005】Aは、水で完全に満たされた直方体貯槽に
おいて2つの側面が同相振動をする場合である。Bは、
水で完全に満たされた直方体貯槽において2つの側面が
反相振動をする場合である。Cは、上面に僅かの空間を
残して水で満たされた直方体貯槽において2つの側面が
反相振動をする場合である。Dは、上面に僅かの空間を
残して水で満たされた直方体貯槽において2つの側面が
同相振動をする場合である。図17からわかるように、
それぞれの場合に貯槽に貯留する液体の仮性質量の影響
で貯槽の固有振動数が低下することがわかる。特にCの
場合には、液面の高さHに比べて、2つの側面の距離が
小さくなると、貯槽を形成する構造体に液体による大き
な仮性質量が付加されることにより固有振動数が極めて
小さくなることが分かる。
【0006】上記の問題を、船舶の燃料油槽の場合につ
き、より具体的に詳述する。船舶は運航時には海に浮か
んでおり、自由空間に浮かんでいる梁とみなせる。船舶
を運航するとエンジンからの加振力が、船舶を構成する
船体構造を振動させる。例えば、コンテナ船のエンジン
は巡航時、100rpm程度の回転数(これを、巡航回
転数という。)で回転する。従って、巡航回転数にエン
ジンシリンダ数を乗じた振動数、または巡航回転数にプ
ロペラ翼数を乗じた振動数を持った加振力が船体を加振
している。船体の設計時には、船体構造を構成する各部
の板の固有振動数が、これらの加振力の振動数に一致し
ないようにし、船体が共振することを避けている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、船舶の内部の
狭い空間に燃料を搭載すると問題が生じることが判明し
た。例えば、船舶の横隔壁を燃料油槽の壁板に兼用し、
その燃料油槽に燃料をためると、横隔壁がエンジンの加
振力により共振する。発明者らは、この現象を解析した
結果、上述した「矩形水槽壁の接水振動について」で説
明した液体(燃料油)の仮性質量による固有振動数の低
下が原因であることを発見した。特に、上述のCの場合
の仮性質量が大きな影響を与えていた。すなわち、燃料
油槽を形成する一対の壁板の間隔は、従来の横隔壁の強
め板の前後長とほぼ同じであり、高さに比べて極めて幅
の狭い燃料油槽となる。ここで、一対の壁板が逆位相の
同一モードで振動する場合(Cの場合)が問題となる。
この場合、一対の壁板が変形する度に、燃料油槽の内容
積がわずかに変動する。燃料油は圧縮性がないので、燃
料油が上下運動をし、液表面が壁板の変形に伴って上下
する。
【0008】燃料油槽の壁板が振動により変形する度に
燃料油が上下運動をすると、その上下移動量は小さい
(例えば、数mm)が、振動数が高いために加速度が大
きく、燃料油の総量が多いので、慣性能率が極めて大き
い。そのために、壁板に大きな質量の重りが付加されて
いるのと同じ状態になる。これが「仮性質量」となり、
横隔壁の固有振動が低下し、横隔壁の固有振動数がエン
ジンの加振周波数に近づき、エンジンの加振力により共
振した。
【0009】固有振動数を大きくする古典的な手法とし
ては、壁板の板厚を増加したり、又は強め材を増加させ
たりして、横隔壁のばね定数を大きくし、上記の振動系
のばね定数を振動系の質量で除した値の平方根を大きく
する。しかし、この手法では、横隔壁の重量が大きくな
るという欠点を有していた。発明者らは、さらに工夫を
重ね、液体を貯槽した貯槽の固有振動数を広いレンで変
化させることができ、液体を貯留しても固有振動数が加
振振動数にかさならない貯槽の構造を発明した。さら
に、この発明を船舶の貯槽(例えば、横隔壁の空間を利
用してつくられた燃料油槽)に適用し、燃料を満載して
もエンジン振動により共振しない燃料油槽を発明した。
【0010】本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出さ
れたもので、従来の貯槽にかわって、貯槽を構成する構
造体の重量を増すことなく、液体を貯留する貯槽の共振
周波数を広いレンジで調整できる貯槽を提供しようとす
る。また、従来の船舶に変わって、船舶の外形形状と寸
法を変化させず、荷役搭載能力を低下させずに、燃料搭
載量を増加させた荷役船舶を提供しようとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る液体を貯蔵する貯槽は、液体に接する
少なくとも一対の対面する壁板と、前記一対の対面する
壁板に挟まれて下方が開口し上方及び周囲が閉じた所定
の高さの筒状空隙とを備え、前記筒状空隙の上部が貯槽
の満タン時液面よりも低い位置にあるものとした。
【0012】上記本発明の構成により、少なくとも一対
の対面する壁板が液体に接し、下方が開口し上方及び周
囲が閉じた所定の高さの筒状空隙が前記一対の対面する
壁板に挟まれて設けられ、前記筒状空隙の上部が貯槽の
満タン時液面よりも低い位置にあるので、液体の液面が
前記筒状空間の上にある際に、前記筒状空間にガスが溜
まって自由液面を形成し、その自由液面の液面高さが満
タン液面より低いので、一対の壁板が逆位相で振動して
も、上下運動する液体の総量が少なく、液体の上下運動
に起因して壁板へ付加する液体の仮性質量が少なく、貯
槽の固有振動数の低下を抑制できる。
【0013】さらに、本発明に係る貯槽は、前記壁板が
前記筒状空隙の前記周囲の一部を閉じる板を兼ねている
ものとした。上記本発明の構成により、前記壁板が前記
筒状空隙の前記周囲の一部を閉じる板を兼ねているの
で、筒状空隙を形成する構造が簡単である。
【0014】また、本発明に係る液体を貯蔵する貯槽
は、液体に接する少なくとも一対の対面する壁板と、前
記一対の対面する壁板に挟まれて内部にガスが封入され
少なくとも一部が弾性材料製のガス封入体とを備え、前
記ガス封入体の上面が貯槽の満タン時液面よりも低い位
置にあるものとした。上記本発明の構成により、少なく
とも一対の対面する壁板が液体に接し、内部にガスが封
入され少なくとも一部が弾性材料製のガス封入体が前記
一対の対面する壁板に挟まれて設けられ、前記ガス封入
体の上面が貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあるの
で、液体の液面が前記筒状空間の上にある際に、一対の
壁板が逆位相で振動しても、ガス封入体が膨張収縮して
液体の上下運動を吸収し、上下運動する液体の総量が減
り、液体の上下運動に起因して壁板へ付加する液体の仮
性質量が少なく、貯槽の固有振動数の低下を抑制でき
る。
【0015】また、本発明に係る貯槽は、前記ガス封入
体がガスの封入されたゴム袋であるものとした。上記本
発明の構成により、前記ガス封入体がガスの封入された
ゴム袋であるので、ガス封入体を簡単な構造で実現でき
る。
【0016】また、本発明に係る貯槽は、前記一対の壁
板の対面距離が貯槽の底部から前記満タン時液面までの
高さの1.5倍以下であるものとした。上記本発明の構
成により、前記一対の壁板の対面距離が貯槽の底部から
前記満タン時液面までの高さの1.5倍以下である貯槽
は液体の仮性質量が大きいので、筒状空隙またはガス封
入体がない場合に比べ筒状空隙またはガス封入体がある
際の貯槽の固有振動数の低下を顕著に抑制できる。
【0017】また、上記目的を達成するため、本発明に
係る液体を貯蔵する貯槽を備えた船舶は、貯槽が、液体
に接する少なくとも一対の対面する壁板と、前記一対の
対面する壁板に挟まれて下方が開口し上方及び周囲が閉
じた所定の高さの筒状空隙とを有し、前記筒状空隙の上
部が貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあるものとし
た。
【0018】上記本発明の構成により、船舶の貯槽にお
いて、少なくとも一対の対面する壁板が液体に接し、下
方が開口し上方及び周囲が閉じた所定の高さの筒状空隙
が前記一対の対面する壁板に挟まれて設けられ、前記筒
状空隙の上部が貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあ
るので、液体の液面が前記筒状空間の上にある際に、前
記筒状空間にガスが溜まって自由液面を形成し、その自
由液面の液面高さが満タン液面より低いので、一対の壁
板が逆位相で振動しても、上下運動する液体の総量が少
なく、液体の上下運動に起因して壁板へ付加する液体の
仮性質量が少なく、貯槽の固有振動数の低下を抑制で
き、船舶の貯槽を共振しにくくすることできる。
【0019】さらに、本発明に係る船舶は、貯槽が、前
記一対の対面する壁板で挟まれた内部空間を左右方向に
複数の左右空間に間仕切る板である左右分離板と、前記
左右分離板と前記壁板とで囲まれた小空間を上下に水密
に区画する水平板とを有し、前記水平板と前記壁板の一
部と前記左右分離板の一部とが前記小空間の一部を囲っ
て前記筒状空隙を形成するものとした。上記本発明の構
成により、船舶の貯槽において、左右分離板が前記一対
の対面する壁板で挟まれた内部空間を左右方向に複数の
左右空間に間仕切り、水平板が前記左右分離板と前記壁
板とで囲まれた小空間を上下に水密に区画し、前記筒状
空隙が前記水平板と前記壁板の一部と前記左右分離板の
一部とにより小空間に形成されるので、貯槽の構造部材
を兼ねた左右分離板と可部板と水平板とで筒状空隙を形
成し、船舶の重量を増さずに、船舶の貯槽を共振しにく
くすることできる。
【0020】さらに、本発明に係る船舶は、貯槽が、液
体に接する少なくとも一対の対面する壁板と、前記一対
の対面する壁板に挟まれて内部にガスが封入され少なく
とも一部が弾性材料製のガス封入体とを有し、前記ガス
封入体の上面が貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあ
るものとした。上記本発明の構成により、船舶の貯槽に
おいて、少なくとも一対の対面する壁板が液体に接し、
内部にガスが封入され少なくとも一部が弾性材料製のガ
ス封入体が前記一対の対面する壁板に挟まれて設けら
れ、前記ガス封入体の上面が貯槽の満タン時液面よりも
低い位置にあるので、液体の液面が前記筒状空間の上に
ある際に、一対の壁板が逆位相で振動しても、ガス封入
体が膨張収縮して液体の上下運動を吸収し、上下運動す
る液体の総量が減り、液体の上下運動に起因して壁板へ
付加する液体の仮性質量が少なく、貯槽の固有振動数の
低下を抑制でき、船舶の貯槽を共振しにくくすることが
できる。
【0021】さらに、本発明に係る船舶は、前記ガス封
入体がガスの封入されたゴム袋であるものとした。上記
本発明の構成により、船舶の貯槽において、前記ガス封
入体がガスの封入されたゴム袋であるので、ガス封入体
を簡単な構造で実現でき、重量を増加させずに、船舶の
貯槽を共振しにくくすることができる。
【0022】さらに、本発明に係る船舶は、荷役区画の
前後方向を複数に間仕切る横隔壁を備え、前記横隔壁が
貯槽を構成する壁板を兼ねているものとした。上記本発
明の構成により、横隔壁が荷役区画の前後方向を複数に
間仕切り、前記横隔壁が貯槽を構成する壁板を兼ねてい
るので、貯槽の重量の増加を抑えて貯槽を共振しにくく
でき、船舶の貯槽能力が増加する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい第一の
実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図にお
いて、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説
明を省略する。
【0024】本発明の実施形態に係る船舶の構造を説明
する。図1は、本発明の第一の実施形態を透視した鳥瞰
図である。貯槽10は、一対の壁板11(11a、11
b)と底板12と上板13と水平板14と縦板15と一
対の側板18とを備える。説明の便宜のために、一方の
壁板11を前部壁板11aと、他方の壁板11を後部壁
板11bと呼ぶ。
【0025】一対の壁板11(前部壁板11a、後部壁
板11b)は、一つの貯槽10の内部空間の前後面を形
成するものであり、互いに前後距離Bを隔てて設けられ
た幅方向長さLと高さhmの板構造板である。壁板11
(11a、11b)は起立し、その左右端が後述する側
板18に当接して液密に溶接され、その下端が後述する
底板12に当接して液密に溶接され、その上端が、後述
する上板13に当接して液密に溶接されている。
【0026】底板12は貯槽10の空間の底面を形成す
るもので、L×Bの略四角形の板である。底板12は水
平になり、その前端が前部壁板11aの下端と当接して
液密に溶接され、その後端が後部壁板11bの下端と当
接して液密に溶接され、その左右端が側板18に当接し
て液密に溶接される。
【0027】上板13は、貯槽10の内部空間の上面を
形成するもので、L×Bの略四角形の板である。燃料油
槽上板13は水平になり、その前端が前部壁板11aの
上端と当接して液密に溶接され、その後端が後部壁板1
1bの上端に当接して液密に溶接されている。
【0028】一対の側板18は、貯槽10の内部空間の
左右側面を形成するもので、幅B高さhmの略四角形の
板である。側板18は起立し、その前端が前部壁板11
aに当接して液密に溶接され、その後端が後部壁板11
bに当接して液密に溶接され、その下端が底板12内に
当接して液密に溶接され、その上端が上板13に当接し
て液密に溶接されている。
【0029】水平板14は、前部壁板11aと後部壁板
11bとで挟まれた空間に下方が開口した筒状空隙を形
成するために、その筒状空隙の上方を閉じるものであ
り、前記燃料油槽の満タン時液面よりも低い位置に設け
られ前記一対の壁板11(11a、11b)に前後端を
固定された板である。満タン時液面と底板12の間隔が
Hである時に、水平板14は底板からh1の高さに設け
られ、水平板14と満タン時液面との距離はh2にな
る。H=h1+h2の関係にある。水平板14はL1×
Bの板であり、水平になって、その前端が前部壁板11
aに当接して溶接され、その後端が後部壁板11bに当
接して溶接され、その左右端が後述する一対の縦板18
の上端に当接して溶接される。
【0030】縦板15は、前部壁板11aと後部壁板1
1bとで挟まれた空間に下方が開口した筒状空隙を形成
するために、その筒状空隙の左右を閉じるものであり、
前記水平板14の両端に液密に固定された板である。縦
板15は、h3×Bの板であり、垂直になって、その前
端が前部壁板11aに当接して溶接され、その後端が後
部壁板11bに当接して溶接され、その上端が水平板1
4の左右端に当接して溶接される。
【0031】水平板14と縦板15と前部壁板11aと
後部壁板11bとが下方に開口した略6面体の筒状空隙
Xを形成する。複数の筒状空隙Xが貯槽内に形成される
のが好ましく、例えば、貯槽を前後方向から眺めた時
に、筒状空隙Xが左右方向に間隔を空けずに千鳥状に配
置されるのが好ましい。液体を空の貯槽に注入すると、
ガスが筒状空隙Xに取り残され、自由液面が筒増空隙X
にできる。
【0032】次に、本発明の第一の実施形態の作用を、
図を基に説明する。 液面が水平板14の上にある時:液体1が貯槽10に貯
蔵されている。筒状空隙は、燃料油の液面の下に隠れて
いる。筒状空隙の内部には、ガスが閉じこめられて自由
液面が存在する。貯槽10が加振され、合い対向する壁
板が逆位相の同一モードで振動すると、貯槽のなかの液
体が、上下運動をする。筒状空隙の中に自由液面が存在
するので、その自由液面によって貯槽の底から液面間で
の高さが上下に分離され、上下移動する液体の総量が少
なくなる。上下移動する液体の総量が少なくなると、燃
料油の慣性能率が筒状空隙がなかった際の慣性能率にく
らべて小さくなる。従って、壁板に付加される液体の仮
性質量が、水平板がなかった際の仮性質量にくらべて小
さくなり、貯槽の固有振動数が水平板がなかった際の固
有振動するよりも大きくなり、振動に共振することがな
い。
【0033】液面が水平板の下にある場合:水平板は、
液面に上に現れている。貯槽が振動により加振され、合
い対向する壁板が逆位相の同一モードで振動すると、貯
槽のなかの液体が、上下運動をする。上下移動量に対応
する上下加速度も生ずるので、燃料油の慣性能率生じ
る。従って、壁板に付加する液体の仮性質量が大きくな
るので、横隔壁の固有振動数が小さくなり、振動に共振
する。
【0034】液体が空の時:貯槽が空になる。貯漕の固
有振動数が、貯漕の構造体の固有振動数と同じになる。
【0035】上述のように、水平板14を取り付ける高
さにより、上下する液体の総量が変化し、貯槽に液体が
貯蔵された際の貯槽の共振振動数をコントロールでき
る。
【0036】次に、本発明の好ましい第二の実施形態
を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共
通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略
する。
【0037】本発明の実施形態に係る船舶の構造を説明
する。図2は、本発明の第二の実施形態を透視した鳥瞰
図である。貯槽10は、一対の壁板11(11a、11
b)と底板12と上板13とゴム袋16(ガス封入体に
相当する。)と係留チェーン19と一対の側板18とを
備える。説明の便宜のために、一方の壁板11を前部壁
板11aと、他方の壁板11を後部壁板11bと呼ぶ。
【0038】一対の壁板11と底板12と一対の側板
は、第一の実施形態の同じなので説明を省略する。
【0039】ゴム袋16は、ガスが封入されたゴム製の
袋であり、前記燃料油槽の満タン時液面よりも低い位置
に浮かぶように係留チェーン19で底板12と繋がれて
いる。満タン時液面と底板12の間隔がHである時に、
ゴム袋16の頂部は底板からh1の高さに浮かび、ゴム
袋16と満タン時液面との距離はh2になる。H=h1
+h2の関係にある。
【0040】次に、本発明の第二の実施形態の作用を、
図を基に説明する。 液面がゴム袋の上にある時:液体1が貯槽10に貯蔵さ
れている。ゴム袋は、燃料油の液面の下に隠れている。
貯槽10が加振され、合い対向する壁板が逆位相の同一
モードで振動すると、ゴム袋が膨張伸縮し、貯槽のなか
の液体の上下運動を抑制するので、液面の上下移動量が
少なくなる。上下移動量が少なくなると、上下加速度も
小さくなるので、燃料油の慣性能率がゴム袋がなかった
際の慣性能率にくらべて小さくなる。従って、壁板に付
加される液体の仮性質量が、ゴム袋がなかった際の仮性
質量にくらべて小さくなり、貯槽の固有振動数がゴム袋
がなかった際の固有振動するよりも大きくなり、振動に
共振することがない。
【0041】液面がゴム袋の下にある場合:液体が半分
になる。ゴム袋は、液面に浮かんでいる。貯槽が振動に
より加振され、合い対向する壁板が逆位相の同一モード
で振動すると、貯槽のなかの液体が、上下運動をする。
上下移動量に対応する上下加速度も生ずるので、燃料油
の慣性能率生じる。従って、壁板に付加する液体の仮性
質量が大きくなるので、横隔壁の固有振動数が小さくな
り、振動に共振する。
【0042】液体が空の時:貯槽が空になる。貯漕の固
有振動数が、貯漕の構造体の固有振動数と同じになる。
【0043】上述のように、ゴム袋を取り付ける高さに
より、貯槽に液体が貯蔵された際の貯槽の共振振動数を
コントロールできる。
【0044】次に、本発明の好ましい第三の実施形態
を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共
通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略
する。第三の実施例は、第一の実施例で説明した構造を
船舶の燃料油槽に適用した例である。船舶の燃料油槽
は、その船形の内部に工夫して設けられる。船舶に搭載
できる燃料の搭載量が多くなれば、無給油で運航できる
航路長が延び、給油する港の選択の幅が広がる。そこ
で、発明者らは横隔壁が船体に占有する空間に着目し
て、この空間を燃料を搭載する空間とし、本発明をその
燃料油槽に適用した。船舶は、細長のお椀形状をしてお
り、その剛性を確保するために、長手方向に所定ピッチ
で横隔壁を設けられている。横隔壁は、いわゆるバルク
ヘッドと呼ばれ、船体の内部を前後に間仕切るように設
置された垂直壁状の板とその板の面座屈を補強するため
の強め材で構成される。その強め材は、水平板と垂直板
とが碁盤の目状に組み合わされ、板を小さな略四角形の
面に区切っている。
【0045】本発明の第三の実施形態に係る船舶の構造
を説明する。図3は、本発明の実施形態の全体側面図で
ある。図4は、本発明の実施形態の部分正面断面図であ
る。図5は、本発明の実施形態の部分側面断面図であ
る。図6、図7、図8、及び図9は、本発明の実施形態
の部分平面断面図である。
【0046】説明の便宜のため、船101の荷役を搭載
する区画を荷役用区画102と呼び、燃料を貯蔵する空
間を燃料油槽103,109と呼び、上部を甲板104
と呼び、船の下部を船底105と、船の両側を船側10
6と、船体の前部分を船首107と呼び、後部分を船尾
108と呼ぶ。船尾108から船首106を見て前方を
前、後方を後ろ、右手側を右、左手側を左とする。
【0047】燃料油槽103,109は、主燃料油槽1
03と複数の副燃料油槽109とで構成される。主燃料
油槽103は、船舶101が搭載する燃料油のほとんど
を貯蔵する燃料槽である。副燃料油槽109は、主燃料
槽103にくらべわずかな量の燃料油を貯蔵する燃料槽
である。例えば、巡航速度で航行の際に、副燃料油槽か
らのみの燃料油でエンジンを回したとすると、約30時
間程度で、副燃料油槽は空になる。
【0048】船舶101の主構造は、外板120と内板
130と横隔壁110とを備える。外板120は、船舶
の外側形状を形づくる板で、船底外板121と船側外板
122と甲板外板123とを有する。船底外板121
は、船底の外形を形づくる板であり。船側外板122は
船の周囲の形状を形作る板である。船底外板121の外
周と船側外板122の下端とは、なめらかに繋がり、一
体となって船舶の下部構造を形づくる。甲板外板123
は略水平な板であり、外周部が船側外板の上端と繋が
り、船舶の上部構造を形づくる。
【0049】内板130は、船舶の内側形状を形づくる
板で、内底板131と内側板132とを有する。内底板
131は、船底外板121の上方に所定の隙間ができる
ように設けられた板であり、荷役区画の内側底面を形成
する。内側板132は、船側外板122の内方に所定の
隙間ができるように設けられた板であり、荷役区画の内
側側面を形成する。
【0050】横隔壁110は、荷役区画の前後方向を複
数の貨物倉に間仕切るものであり、一対の壁板11(前
部壁板11a、後部壁板11b)と燃料油槽底板12と
燃料油槽上板13と水平板14と左右分離板15と燃料
油槽側板18とを有する。前部壁板11aと後部壁板1
1bと燃料油槽底板12と燃料油槽上板13と燃料油槽
側板18と内側板132とで囲まれた略6面体の空間が
一つの副燃料油槽9を形成する。左右一対の副燃料油槽
109が、一つの横隔壁110内の空間に設けられる。
以下、左舷の副燃料油槽109に着目して説明する。
【0051】一対の壁板11(前部壁板11a、後部壁
板11b)は、一つの燃料油槽109(以下、副燃料油
槽109とよぶ。)の内部空間の前後面を形成するもの
であり、互いに前後距離を隔てて設けられた板である。
壁板11(11a、11b)は起立した板であり、その
左端が内側板132に当接して液密に溶接され、その下
端が後述する燃料油槽底板12に当接して液密に溶接さ
れ、その右端が後述する燃料油槽側板18に当接して液
密に溶接され、その上端が、後述する燃料油槽上板13
に当接して液密に溶接されている。さらに、左舷の前部
壁板11aと右舷の前部壁板11aとは、中間壁板11
cを介してつながり、一体の前部壁板11aを形成して
いる。
【0052】燃料油槽底板12は、副燃料油槽109の
空間の底面を形成するもので、略四角形の板である。燃
料油槽底板12は水平の板であり、その前端が前部壁板
11aの下端と当接して液密に溶接され、その後端が後
部壁板11bの下端と当接して液密に溶接され、その左
端が内側板132に当接して液密に溶接され、その右端
が後述する燃料油槽側板18に当接して液密に溶接され
ている。
【0053】燃料油槽上板13は、副燃料油槽109の
空間の上面を形成するもので、略四角形の板である。燃
料油槽上板13は水平の板であり、その前端が前部壁板
11aの上端と当接して液密に溶接され、その後端が後
部壁板11bの上端と当接して液密に溶接され、その左
端が内側板132に当接して液密に溶接され、その右端
が後述する燃料油槽側板18に当接して液密に溶接され
ている。
【0054】燃料油槽側板18は、副燃料油槽109の
空間の右側面を形成するもので、略四角形の縦長板であ
る。燃料油槽側板18は起立し、その前端が前部壁板1
1aに当接して液密に溶接され、その後端が後部壁板1
1bに当接して液密に溶接され、その下端が燃料油槽底
板12内に当接して液密に溶接され、その上端が燃料油
槽上板13に当接して液密に溶接されている。
【0055】水平板14は、後述する左右分離板15と
前記壁板11(前部壁板11a、後部壁板11b)とで
囲まれた縦長の空間を上下に水密に区画する板である。
水平板と前記壁板の一部と前記壁板の一部とが筒状空隙
を形成している。筒状空隙は、所定の高さを有し、下方
が開口し上方及び周囲が閉じた空隙である。複数(図示
では2個)の水平板が、左右分離板と前記壁板とで囲ま
れた空間を上下に水密に区画する。水平板が2枚である
ばあい、燃料油槽底板12と下の水平板との間隔と上下
の水平板の間隔は略等しくするのが好ましい。また、隣
り合う左右空間に設けられる水平板は、千鳥に配置する
のが好ましい。水平板14は水平に配置された板であ
り、その前端が前部壁板11aに当接し液密に溶接さ
れ、その後端が後部壁板11bに当接し液密に溶接さ
れ、その右端が右側の左右分離板15または燃料油槽側
板18に当接し液密に溶接され、その左端が左側の左右
分離板15または内側板132に当接し液密に溶接され
る。燃料油槽に燃料油が貯蔵されると、筒状空隙の上部
に内部ガス(例えば窒素ガス)が所定の厚みを持ったガ
ス層として残り、下に自由液面ができる。
【0056】左右分離板15は、前記一つの燃料油槽の
前記内部空間を左右方向に複数の左右区画に間仕切るも
のであり、前記一対の壁板に前後端を固定された板であ
る。左右分離板15は、第一の実施例での縦板に相当す
る。 図示では、4枚の左右分離板15が、左側の副燃
料油槽109を5つの左右区画に間仕切っている。左右
分離板15は垂直に立てられ、その前端が前部壁板11
aに当接して溶接され、その後端が後部壁板11bに当
接して溶接され、その下端が燃料油槽底板12に当接し
て溶接され、その上端が燃料油層上板13に当接して溶
接される。さらに、左右分離板14は、複数の孔(以
下、左右連通孔17と呼ぶ。)を垂直方向に所定の間隔
で設けられている。左右連通孔17(左右連通手段に相
当する。)は、左右区画とを互いに連通する孔であり、
水平板14が左右分離板15に当接する位置から所定の
高さh3だけ下がった位置に設けられる。
【0057】次に、本発明の第三の実施形態の作用を、
図を基に説明する。図10は、本発明の実施形態の作用
説明図である。 満タン時:副燃料油槽の体積の90%の量の燃料油が、
燃料油槽に貯蔵されている。水平板は、燃料油の液面の
下に隠れている。横隔壁がエンジン振動により起振さ
れ、合い対向する壁板が逆位相の同一モードで振動する
と、副燃料油槽のなかの燃料油が、上下運動をする。筒
状空隙の中に自由液面が存在するために、自由液面の下
で上下運動をする燃料油の液面高さが小さい(例えば、
1/3〜1/2程度)。燃料油の上下運動に起因して壁
板に追加される仮性質量は液面高さの3乗に比例するの
で、液面高さが低くなったことにより付加質量が小さく
なり、横隔壁の固有振動数が水平板がなかった際の固有
振動するよりも大きくなり、エンジン振動に共振するこ
とがない。例えば、一例のモデルを対象とした数値解析
によれば、水平板がなかった際の固有振動数が200c
pmであったのに比較して、水平板がある場合の固有振
動数が400cpmとなる。
【0058】半分使用時:船舶が巡航中に、副燃料油槽
に貯蔵された燃料を使用すると、約15時間経過後に、
副燃料油槽に貯蔵されていた燃料油は半分になる。一部
の水平板は、燃料油の液面の上に現れて、一部の水平板
は燃料油の液面の下に隠れている。横隔壁がエンジン振
動により起振され、合い対向する壁板が逆位相の同一モ
ードで振動すると、副燃料油槽のなかの燃料油が、上下
運動をする。上下移動量に対応する上下加速度も生ずる
ので、燃料油の慣性能率が生じる。従って、壁板に付加
する液体の仮性質量が付加されて、横隔壁の固有振動数
が小さくなり、エンジン振動に共振する。例えば、一例
のモデルを対象とした数値解析によれば、固有振動数
が、水平分離板がなかった際の固有振動数と同じ350
cpmとなる。
【0059】空タン時:約30時間、巡航すると副燃料
油槽が空になる。横隔壁の振動は、副燃料油槽の燃料油
の影響を受けない。従って、横隔壁に振動は、エンジン
振動と共振しない。例えば、一例のモデルを対象とした
数値解析によれば、固有振動数2500cpmとなり、
エンジン振動との共振の恐れはなくなる。
【0060】上述のとおり、満タン時には、横隔壁は共
振しないが、燃料油を使用しはじめて、燃料油の液面が
水平板よりも下回ると横隔壁が共振をし始める。従っ
て、副燃料油槽から燃料油を消費し始めてから、約30
分間だけ横隔壁が共振することとなる。この共振の時間
は、横隔壁の全体耐用年数に比べて極めて短い時間なの
で、横隔壁の寿命には大きな影響はなく、許容できる。
【0061】次に、本発明の好ましい第四の実施形態
を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共
通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略
する。第四の実施例は、第二の実施例で説明した構造を
船舶の燃料油槽に適用した例である。
【0062】本発明の第四の実施形態に係る船舶の構造
を説明する。図11は、本発明の実施形態の部分正面断
面図である。図12は、本発明の実施形態の部分側面断
面図である。図13、図14、図15は、本発明の実施
形態の部分平面断面図である。
【0063】船舶1の主構造は、第三の実施形態のもの
と同じなので、説明を省略する。
【0064】横隔壁10は、荷役区画の前後方向を複数
の貨物倉に間仕切るものであり、一対の壁板11(前部
壁板11a、後部壁板11b)と燃料油槽底板12と燃
料油槽上板13と燃料油槽側板18とゴム袋16(ガス
封入体に相当する。)と繋留索19とを有する。前部壁
板11aと後部壁板11bと燃料油槽底板12と燃料油
槽上板13と燃料油槽側板18と内側板132とで囲ま
れた略6面体の空間が一つの副燃料油槽9を形成する。
左右一対の副燃料油槽109が、一つの横隔壁10内の
空間に設けられる。以下、左舷の副燃料油槽109に着
目して説明する。
【0065】一対の壁板11、燃料油槽底板12、燃料
油槽上板13、及び燃料油槽側板18の構造は、第三の
実施形態のものと同じなので、説明を省略する。
【0066】ゴム袋16は、ガスが封入されて一対の壁
板の間に設けらており、内部にガスが封入され少なくと
も一部の壁が弾性材料製のガス封入体に相当する。ゴム
袋16は、ゴム製の球形の袋であり、その下端を繋留索
19により燃料油槽底部12に繋留されている。
【0067】左右分離板15は、前記一つの燃料油槽の
前記内部空間を左右方向に複数の左右区画に間仕切るも
のであり、前記一対の壁板に前後端を固定された板であ
る。図示では、4枚の左右分離板15が、左側の副燃料
油槽109を5つの左右区画に間仕切っている。左右分
離板15は垂直に立てられた細長板であり、その前端が
前部壁板11aに当接して溶接され、その後端が後部壁
板11bに当接して溶接され、その下端が燃料油槽底板
12に当接して溶接され、その上端が燃料油層上板13
に当接して溶接される。さらに、左右分離板14は、複
数の孔(以下、左右連通孔17と呼ぶ。)を垂直方向に
所定の間隔で設けられている。左右連通孔17(左右連
通手段に相当する。)は、隣り合う左右区画とを互いに
連通する孔である。
【0068】次に、本発明の第四の実施形態の作用を、
図を基に説明する。図16は、本発明の実施形態の作用
説明図である。ゴム袋が燃料油槽に貯蔵された燃料油の
液面高さの略半分の位置に浮かぶように設けられている
ものとする。 満タン時:副燃料油槽の体積の90%の量の燃料油が、
燃料油槽に貯蔵されている。ゴム袋16は、燃料油の液
面の下に隠れている。横隔壁がエンジン振動により起振
され、合い対向する壁板が逆位相の同一モードで振動す
ると、ゴム袋が膨張収縮を繰り返し、副燃料油槽のなか
の燃料油の上下運動しようとする圧力変動を吸収するの
で、上下移動量が少なくなる。上下移動量がすくなくな
ると、上下加速度も小さくなるので、燃料油の慣性能率
がゴム袋がなかった際の慣性能率にくらべて小さくな
る。従って、壁板付加する液体の仮性質量が、ゴム袋が
なかった際の仮性質量にくらべて小さくなり、横隔壁の
固有振動数がゴム袋がなかった際の固有振動するよりも
大きくなり、エンジン振動に共振することがない。例え
ば、一例のモデルを対象とした数値解析によれば、ゴム
袋がなかった際の固有振動数が200cpmであったの
に比較して、ゴム袋がある場合の固有振動数が300c
pmとなる。
【0069】半分使用時:船舶が巡航中に、副燃料油槽
に貯蔵された燃料を使用すると、約15時間経過後に、
副燃料油槽に貯蔵されていた燃料油は半分になる。ゴム
袋の一部が、燃料油の液面に浮いている。横隔壁がエン
ジン振動により起振され、合い対向する壁板が逆位相の
同一モードで振動すると、副燃料油槽のなかの燃料油
が、上下運動をする。上下移動量に対応する上下加速度
も生ずるので、燃料油の慣性能率生じる。従って、壁板
の見かけも付加質量が付加されて、横隔壁の固有振動数
が小さくなり、エンジン振動に共振する。例えば、一例
のモデルを対象とした数値解析によれば、固有振動数
が、水平分離板がなかった際の固有振動数と同じ350
cpmとなる。
【0070】空タン時:約30時間、巡航すると副燃料
油槽が空になる。横隔壁の振動は、副燃料油槽の燃料油
の影響を受けない。従って、横隔壁に振動は、エンジン
振動と共振しない。例えば、一例のモデルを対象とした
数値解析によれば、固有振動数2500cpmとなり、
エンジン振動との共振の恐れはなくなる。
【0071】上述のとおり、満タン時には、横隔壁は共
振しないが、燃料油を使用しはじめて、燃料油の液面が
ゴム袋よりも下回ると横隔壁が共振し始める。従って、
副燃料油槽から燃料油を消費し始めてから、約30分間
だけ横隔壁が共振することとなる。この共振の時間は、
横隔壁の全体耐用年数に比べて極めて短い時間なので、
横隔壁の寿命には大きな影響はなく、許容できる。
【0072】上述の実施形態の船舶を用いれば、主燃料
油槽の他に、副燃料油槽を横隔壁の空間を利用して設け
ることができ、副燃料油槽の満タン時または空タン時に
横隔壁の共振を防止でき、船舶の無給油航行距離を長く
することができる。
【0073】本発明は以上に述べた実施形態に限られる
ものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変
更が可能である。第一の実施形態の構造または第二の実
施形態の構造を船舶の貯槽に適用したがこれに限定され
ない。また、燃料油槽を例に説明したがこれに限定され
ない。また、横隔壁への適用を例に説明したがこれに限
定されず、例えば、船側部やビルジ部を貯槽としてこれ
に適用してよい。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明の船舶は、そ
の構成により、以下の効果を有する。貯槽に筒状空隙を
設けたので、液体の液面が前記筒状空間の上にある際
に、前記筒状空間にガスが溜まって自由液面を形成し、
その自由液面の液面高さが低いので、一対の壁板が逆位
相で振動しても、上下運動する液体の総量が減り、液体
の上下運動に起因して壁板へ付加する液体の仮性質量が
少なく、貯槽の固有振動数の低下を抑制できる。また、
筒状空間を囲う板を壁板が兼ねているので、筒状空隙を
形成する構造が簡単である。また、貯槽にガス封入体を
設けたので、液体の液面が前記筒状空間の上にある際
に、一対の壁板が逆位相で振動しても、ガス封入体が膨
張収縮して液体の上下運動を吸収し、上下運動する液体
の総量が減り、液体の上下運動に起因して壁板へ付加す
る液体の仮性質量が少なく、貯槽の固有振動数の低下を
抑制できる。また、ガス封入体がガス袋であるので、ガ
ス封入体を簡単な構造で実現できる。また、前記一対の
壁板の対面距離が貯槽の底部から前記満タン時液面まで
の高さの1.5倍以下である貯槽は液体の仮性質量が大
きいので、筒状空隙またはガス封入体がない場合に比べ
筒状空隙またはガス封入体がある際の貯槽の固有振動数
の低下を顕著に抑制できる。
【0075】また、船の貯槽に筒状空隙を設けたので、
液体の液面が前記筒状空間の上にある際に、前記筒状空
間にガスが溜まって自由液面を形成し、その自由液面の
液面高さが低いので、一対の壁板が逆位相で振動して
も、上下運動する液体の総量が減り、液体の上下運動に
起因して壁板へ付加する液体の仮性質量が少なく、貯槽
の固有振動数の低下を抑制でき、船舶の貯槽を共振しに
くくすることできる。また、筒状空隙が壁板と左右分離
板で囲うので、水平板と貯槽の構造部材を兼ねた左右分
離板と壁板とで筒状空隙を形成し、船舶の重量を増さず
に、船舶の貯槽を共振しにくくすることできる。また、
船舶の貯槽にガス封入体を設けたので、液体の液面が前
記筒状空間の上にある際に、一対の壁板が逆位相で振動
しても、ガス封入体が膨張収縮して液体の上下運動を吸
収し、上下運動する液体の総量が減り、液体の上下運動
に起因して壁板へ付加する液体の仮性質量が少なく、貯
槽の固有振動数の低下を抑制でき、船舶の貯槽を共振し
にくくすることができる。また、前記ガス封入体がガス
の封入されたゴム袋であるので、ガス封入体を簡単な構
造で実現でき、重量を増加させずに、船舶の貯槽を共振
しにくくすることができる。また、横隔壁が荷役区画の
前後方向を複数に間仕切り、前記横隔壁が貯槽を構成す
る壁板を兼ねているので、貯槽の重量の増加を抑えて貯
槽を共振しにくくでき、船舶の貯槽能力が増加する。従
って、従来の貯槽にかわって、貯槽を構成する構造体の
重量を増すことなく、液体を貯留する貯槽の共振周波数
を自由に調整できる貯槽を提供できる。また、従来の船
舶に変わって、船舶の外形形状と寸法を変化させず、荷
役搭載能力を低下させずに、燃料搭載量を増加させた荷
役船舶を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を透視した鳥瞰図であ
る。
【図2】本発明の第二の実施形態を透視した鳥瞰図であ
る。
【図3】本発明の第三と第四の実施形態の全体側面図で
ある。
【図4】本発明の第三の実施形態の部分正面断面図であ
る。
【図5】本発明の第三の実施形態の部分側面断面図であ
る。
【図6】本発明の第三の実施形態の部分平面断面図であ
る。
【図7】本発明の第三の実施形態の部分平面断面図であ
る。
【図8】本発明の第三の実施形態の部分平面断面図であ
る。
【図9】本発明の第三の実施形態の部分平面断面図であ
る。
【図10】本発明の第三の実施形態の作用説明図であ
る。
【図11】本発明の第四の実施形態の部分正面断面図で
ある。
【図12】本発明の第四の実施形態の部分側面断面図で
ある。
【図13】本発明の第四の実施形態の部分平面断面図で
ある。
【図14】本発明の第四の実施形態の部分平面断面図で
ある。
【図15】本発明の第四の実施形態の部分平面断面図で
ある。
【図16】本発明の第四の実施形態の作用説明図であ
る。
【図17】振動質量係数のグラフである。
【符号の説明】
X 筒状空隙 1 液体 2 液面 11 壁板 11a前部壁板 11b後部壁板 11c 中央壁板 12 底板(燃料油槽底板) 13 上板(燃料油槽上板) 14 水平板 15 左右分離板 16 ゴム袋(ガス封入体) 18 側板(燃料油槽側板) 19 繋留チェーン 101 船舶 102 荷役区画 103 主燃料油槽(燃料油槽) 104 デッキ 105 船底 106 船側 107 船首 108 船尾 109 副燃料油槽(燃料油槽) 110 横隔壁 120 外板 121 船底外板 122 船側外板 123 甲板 130 内板 131 内底板 132 内側板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新原 慶弘 東京都江東区豊洲2丁目1番1号 石川島 播磨重工業株式会社東京第一工場内 Fターム(参考) 3E070 AA09 AB03 DA01 RA01 TA05 VA30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を貯蔵する貯槽であって、液体に接
    する少なくとも一対の対面する壁板と、前記一対の対面
    する壁板に挟まれて下方が開口し上方及び周囲が閉じた
    所定の高さの筒状空隙とを備え、前記筒状空隙の上部が
    貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあることを特徴と
    する貯槽。
  2. 【請求項2】 前記壁板が前記筒状空隙の前記周囲の一
    部を閉じる板を兼ねていることを特徴とする請求項1に
    記載の貯槽。
  3. 【請求項3】 液体を貯蔵する貯槽であって、液体に接
    する少なくとも一対の対面する壁板と、前記一対の対面
    する壁板に挟まれて内部にガスが封入され少なくとも一
    部が弾性材料製のガス封入体とを備え、前記ガス封入体
    の上面が貯槽の満タン時液面よりも低い位置にあること
    を特徴とする貯槽。
  4. 【請求項4】前記ガス封入体がガスの封入されたゴム袋
    であることを特徴とする請求項3に記載の貯槽。
  5. 【請求項5】 前記一対の壁板の対面距離が貯槽の底部
    から前記満タン時液面までの高さの1.5倍以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のひとつに記載
    の貯槽。
  6. 【請求項6】 液体を貯蔵する貯槽を備えた船舶であっ
    て、貯槽が、液体に接する少なくとも一対の対面する壁
    板と、前記一対の対面する壁板に挟まれて下方が開口し
    上方及び周囲が閉じた所定の高さの筒状空隙とを有し、
    前記筒状空隙の上部が貯槽の満タン時液面よりも低い位
    置にあることを特徴とする船舶。
  7. 【請求項7】 貯槽が、前記一対の対面する壁板で挟ま
    れた内部空間を左右方向に複数の左右空間に間仕切る板
    である左右分離板と、前記左右分離板と前記壁板とで囲
    まれた小空間を上下に水密に区画する水平板とを有し、
    前記水平板と前記壁板の一部と前記左右分離板の一部と
    が前記小空間の一部を囲って前記筒状空隙を形成するこ
    とを特徴とする請求項6に記載の船舶。
  8. 【請求項8】 液体を貯蔵する貯槽を備えた船舶であっ
    て、貯槽が、液体に接する少なくとも一対の対面する壁
    板と、前記一対の対面する壁板に挟まれて内部にガスが
    封入され少なくとも一部が弾性材料製のガス封入体とを
    有し、前記ガス封入体の上面が貯槽の満タン時液面より
    も低い位置にあることを特徴とする船舶。
  9. 【請求項9】 前記ガス封入体がガスの封入されたゴム
    袋であることを特徴とする請求項8に記載の船舶。
  10. 【請求項10】 荷役区画の前後方向を複数に間仕切る
    横隔壁を備え、前記横隔壁が貯槽を構成する壁板を兼ね
    ていることを特徴とする請求項6乃至請求項9に記載の
    船舶。
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