JP2003227937A - 偏光分離素子およびその製造方法 - Google Patents
偏光分離素子およびその製造方法Info
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Abstract
証され得る範囲で作製しやすい形状とし、生産性を向上
させ得る構成の偏光分離素子とその作製方法を提供す
る。 【解決手段】透明基板8上に、周期的凹凸格子部を有す
る複屈折膜9を、周期的凹凸格子部が外方に向くように
接着し、且つ、複屈折膜9の周期的凹凸格子部側に等方
性のオーバーコート層11を備えた偏光分離素子であっ
て、周期的凹凸格子部における凸部最小幅:Wminと凸
部最上部幅:Wtopの比:T=Wmin/Wtopが、0.6
<T<1.0を満たす。
Description
で、且つ、信頼性の高い偏光分離素子およびその製造方
法に関する。
る偏光素子として種種のものが提案されており、中でも
光ディスク用ピックアップの小型化を目的とする薄型の
「ピックアップ用偏光分離素子」として、複屈折回折格
子型偏光分離素子が数種提案されている。
て、特開昭63−314502号公報に示すものがあ
り、これは、複屈折光学結晶であるニオブ酸リチウム
(LiNbO3)を基板として使用し、該基板に周期パ
ターンに従ってプロトン交換を施し、さらにプロトン交
換領域上に誘電体膜を装荷した構造を形成し、プロトン
交換領域において、屈折率が、異常光線に対しては増加
し、常光線に対しては減少するように構成したものであ
る。従って、該公報記載の偏光分離素子では、プロトン
交換領域での常光線の位相差を誘電体膜で相殺し、常光
線は直進的に透過させ、異常光線のみを回折させること
ができる。
型化、量産化が可能で、且つ、高い偏光分離度が得られ
る反面、結晶に対して周期的プロトン交換を行なうだけ
で数時間を要するため、製造に時間がかかるという問題
があり、さらに基板に光学結晶を用いるため製造コスト
が高くなるという問題を有している。
開平10−302291号公報、特開2000−751
30号公報には、偏光分離素子を簡単な工程で安価に作
製し得るよう、透明基板の同一平面上に、周期的凹凸格
子部を有する複屈折膜を、周期的凹凸格子部が外方を向
くように備え、且つ、複屈折膜上に等方性のオーバーコ
ート層を被覆あるいは装荷してなる複屈折回折格子型偏
光分離素子の構成が提案されている。中でも高分子複屈
折膜を複屈折材料に用いた構成のものは、材料コストも
比較的安価で、大量生産が比較的容易になっている。
素子両面の平坦性および素子の強度向上を目的として、
図1に示す如き断面構造を持つ偏光分離素子が提案され
ている。この偏光分離素子1は、ガラスやプラスチック
等の透明基板2の同一平面に、周期的凹凸格子部を形成
した複屈折膜3を接着層5により接着し、複屈折膜3を
等方性のオーバーコート層4で覆い、さらにオーバーコ
ート層4が接着層を兼ねるようにして、オーバーコート
層4に他の透明基板6を接着した構成となっている。こ
のような構成のものは光学素子として強度があり、かつ
生産性が良い構成となっている。
報記載の技術は、周期的凹凸格子部の格子形状に関する
詳細な記述がなく、断面が完全な矩形形状である周期的
凹凸格子部をもつ複屈折回折格子型偏光分離素子を図解
により提案しているが、実際に、完全な矩形形状の凹凸
格子を、複屈折膜にドライエッチング等の手法を用いて
形成することは、サイドエッチング等が発生するため技
術的に非常に困難であり、生産性も良好ではない。
されたもので、周期的凹凸格子部の格子形状を、光学特
性が保証され得る範囲でできるだけ作製しやすい形状と
し、且つ、生産性を向上させ得る構成の偏光分離素子、
およびその作製方法の提供を課題とする。
素子は「透明基板上に、周期的凹凸格子部を有する複屈
折膜を、周期的凹凸格子部が外方に向くように接着し、
且つ、複屈折膜の周期的凹凸格子部側に等方性のオーバ
ーコート層を備えた偏光分離素子」であって、周期的凹
凸格子部における凸部最小幅:Wminと凸部最上部幅:
Wtopとの比:T=Wmin/Wtopが、 0.6<T<1.0 を満たすことを特徴とする。
の上面側に、オーバーコート層を介して「他の透明基
板」を積層することができる(請求項2)。
オーバーコート層の材料をアクリル系もしくはエポキシ
系の材料から選択することができる(請求項3)。
素子は、周期的凹凸格子部を形成する複屈折膜を高分子
複屈折膜とすることができる(請求項4)。
素子は、周期的凹凸格子部を形成する複屈折膜を「分子
鎖を配向させた高分子複屈折膜」とすることができ(請
求項5)、この場合「分子鎖を配向させた高分子複屈折
膜」は、延伸により分子鎖を配向させた高分子膜である
ことができる(請求項6)。
請求項1〜6の任意の1に記載の偏光分離素子を製造す
る方法であって、以下の点を特徴とする(請求項7)。
即ち、この製造方法は、金属膜による周期パターンを複
屈折膜上に形成する工程と、金属膜による周期パターン
をマスクとするドライエッチングにより、複屈折膜に周
期的凹凸格子部を形成する工程と、金属膜による周期パ
ターンをエッチングにより除去する工程とを有する。
による周期パターンをマスクとするドライエッチング」
は、酸素ラジカルを用いて行うことができる(請求項
8)。
「金属膜による周期パターン」の膜厚は100〜100
0Åとすることが好ましい(請求項9)。
における「周期パターンを形成するべき金属膜の材料」
としてはAlを好適に用いることができる(請求項1
0)。上記周期パターンを形成する金属膜の材料として
はAlの他に、CrやNiを好適に用いることができ
る。
は、光学特性が良好で且つ生産性がよく、信頼性が高
い。
2は、複屈折膜における「周期的凹凸格子部」の格子形
状の1例を示す概略断面図、図3は、複屈折膜における
「周期的凹凸格子部」の格子形状の他の例を示す概略断
面図、図4は「偏光分離素子」の実施の1形態を示す断
面図である。
板8上の同一平面に、周期的凹凸格子部が形成されてい
る複屈折膜9を、周期的凹凸格子部が外方を向くように
して接着層10を介して接着し、複屈折膜9の周期的凹
凸格子部側に等方性オーバーコート層11を被覆あるい
は装荷してなり、周期的凹凸格子部に形成される格子形
状の凸部最小幅(図2、3において「最小幅」):Wmi
nと、凸部最上部幅(図2、3において「最上部
幅」):Wtopの比:T=Wmin/Wtop が、0.6<
T<1.0 を満たしている。
を例示する図2、図3において、オーバーコート剤が
「凹凸の凹部」に充填されて硬化すると、格子形状の凹
部の断面形状が「凸部の上部へ向って幅が狭まる」形状
となっているため「アンカー効果」を発揮し、複屈折膜
9とオーバーコート層11との接着・結合力が向上し、
信頼性の高い光学素子となる。
を考慮すると、上記比:Tは「0.65<T<0.9」
の範囲であることがより好ましく、さらには「0.7<
T<0.9」の範囲であることがより好ましい。
は、複屈折回折格子型偏光分離素子としての光学特性が
保証されず、光学素子としての機能が不十分となる。
比:Tが1.0以上の場合は製造が困難となり生産性が
悪くなるのみならず、格子垂直方向への接着強度が悪く
なり、オーバーコート層11と複屈折膜9との界面で剥
がれが生じる。
離素子7は、オーバーコート層11が接着層を兼ねて他
の透明基板12が積層されていることが好ましく、この
ようにすることにより、素子強度が向上し、偏光分離素
子両面の平行度が良好となり、安定した光学特性を得る
ことが容易になる。
1に使用する材料としては粘性や屈折率等の特性の制御
の容易さ、接着力および透明性の点から、アクリルもし
くはエポキシ系であることが好ましい。さらに硬化後の
収縮率を考慮すると、一般的に低収縮率のエポキシ系が
より好ましい。
大面積で且つ大量に低コストで作成することを考慮する
と、ポリカーボネイト(PC)、ポリビニルアルコール
(PVA)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリス
チレン、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルフ
ォン(PES)、ポリイミドなどの高分子複屈折膜である
ことが好ましい。
適であり、生産性を考慮すると「延伸により分子鎖が配
向された有機高分子膜」であることが特に好ましい。
ライエッチングの手法」を用いて行うことが好ましい。
ドライエッチングの場合は、エッチング時の条件(アン
テナ電力、バイアス電力、ガス種、ガス流量、サンプル
冷却温度等)を変えることで0.6<T<1.0の範囲
での形状の制御が可能となる。
り矩形に近い形状」に作製するためにエッチングマスク
として金属マスクを用いることで、Tを「0.6<T<
1.0」の範囲にすることが容易となる。
カルを用いたドライエッチングを行うことで、高い選択
比でのエッチングを行うことができ、複屈折膜上に不純
物が堆積すること無く、また、複屈折膜にダメージを与
えること無く、周期的凹凸格子部を形成できる。
0〜1000Åであることが好ましい。膜厚が100Å
以下になると「エッチングマスクとして機能」が不十分
となり、1000Å以上の場合には「エッチング後の周
期パターンの除去」が困難になる。
てはAlを好適に用い得るほか、Cr、Niを好適に使
用できる。これらの金属材料を用いることにより、周期
パターンを形成すべき金属膜を「均一な膜厚」に形成で
き、除去も容易であり、偏光分離素子を簡便・低コスト
に製造できる。
の発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例
及び比較例の説明において図5(5−a〜5―f)を参
照する。
を用いて厚さ:20μmの接着層10を設けることによ
り、複屈折膜9として厚さ:100μmの高分子複屈折
膜を貼り合わせ、減圧下にて一体化させた後、紫外線を
照射し、100℃の温度で10分間のベーキングを行な
い、接着層10を完全に硬化させた(5−a)。
を、500Åの厚さで均一に蒸着し(5−b)、さら
に、Al膜13上にフォトレジストを塗布し、フォトリ
ソグラフィーにより、フォトレジストによる周期パター
ン14(□3.0×3.0mm/3.0μmピッチ D
uty:0.5)を形成した(5−c)。
エッチングマスクとしてAlエッチャントによるウエッ
トエッチング、アセトンを用いたレジスト除去により、
高分子複屈折膜9上にAl膜による周期パターン15を
形成した(5−d)。
グマスクとして、NLD(磁気中性線放電)ドライエッ
チング装置により、下記の条件でエッチングを行なった
後、Al膜によるエッチングマスクを除去し、高分子複
屈折膜9に周期的凹凸格子部16を形成した(5−
e)。
時間:100秒、 エッチング時サンプル冷却温度:−30℃ 。
子部16が形成されている側に、オーバーコート層11
となるエポキシ系紫外線硬化樹脂をボッティングし、そ
の上に厚さ:500μmの他の透明基板12を載せて適
度に加圧し、凹凸格子内にオーバーコート剤を充填した
(5−f)。
のベーキングを行ない、オーバーコート剤を完全に硬化
させた後、ダイシング装置により「□5.0mm×5.
0mm」に切り出し、図4に示すような構成の偏光分離
素子7を作製した。
EM(走査型電子顕微鏡)観察で確認したところ、T=
(凸部最小幅:Wmin=1.0μm)/(凸部最上部
幅:Wtop=1.5μm)=0.67であった。
同様の方法で、図4に示す構成の偏光分離素子7を製造
した。
時間:100秒、 エッチング時サンプル冷却温度:−30℃ 上記条件でのエッチング後の断面形状をSEM観察で確
認したところ、T=(凸部最小幅:Wmin=1.2μ
m)/(凸部最上部幅:Wtop=1.5μm)=0.
80であった。
化樹脂を用いた以外は、実施例2と同様の方法で、図4
に示す構成の偏光分離素子7を作製した。
同様の方法で、図4に示す構成の偏光分離素子7を作製
した。
間:120秒、 エッチング時サンプル冷却温度:20℃ 上記条件でのエッチング後の断面形状をSEM観察で確
認したところ、T=(凸部最小幅:Wmin=0.8μ
m)/(凸部最上部幅:Wtop=1.5μm)=0.
53であった。
を用いて厚さ:20μmの接着層10を設けることによ
り、厚さ:100μmの高分子複屈折膜9を貼り合わ
せ、減圧下にて一体化させた後、紫外線を照射し、10
0℃の温度で10分間のベーキングを行ない、接着層1
0を完全に硬化させた。
スト14を塗布し、フォトリソグラフィーによりフォト
レジストの周期パターン(□3.0×3.0mm/3.
0μmピッチ Duty:0.5)を形成した。
て、NLD(磁気中性線放電)ドライエッチング装置に
より、下記条件でエッチングを行なった後、エッチング
マスクである「フォトレジストの周期パターン」を除去
し、高分子複屈折膜9に周期的凹凸格子部16を形成し
た(図5−e)。
屈折膜9側にオーバーコート層11となるエポキシ系紫
外線硬化樹脂をボッティングし、その上に厚さ:500
μmの他の透明基板12をのせ適度に加圧し、凹凸格子
16内にオーバーコート剤を充填した(図5−f)。紫
外線照射後、100℃の温度で10分間のベーキングを
行ない、オーバーコート剤を完全に硬化させた後、ダイ
シング装置にて「□5.0mm×5.0mm」に切り出
し偏光分離素子を作製した。
EM観察で確認したところ、凸部最上部幅:0.8μ
m、凸部最小幅(凹部の底部の幅):1.5μmの「テ
ーパのついた凸部形状」であった。T=(凸部最小幅:
Wmin=0.8μm)/(凸部最上部幅:Wtop=
1.5μm)=1.875 光学特性に関し、波長:660nm、780nmにおけ
る一次光の回折効率が30%以上のものを「○」、30
%以下のものを「×」として評価を行った。結果を以下
に一覧として示す。
ば新規な偏光分離素子およびその製造方法を実現でき
る。
期的凹凸格子部の形状に関する比:Tが所定の範囲内に
制限されることにより、光学特性を満足し、生産性が高
い。また請求項2記載の偏光分離素子は、高い物理的強
度を持ち、偏光分離素子両面の平行度が良好で、光学特
性が安定している。
コート層の粘性や屈折率等の特性を制御し易く、接着力
・透明性が高い。また、請求項4〜6の任意の1に記載
の偏光分離素子は、大面積の複屈折膜を大量且つ低コス
トで得られるため、低コストで製造できる。
良好な偏光分離素子を容易且つ低コストで製造できる。
請求項8記載の製造方法では、偏光分離素子の周期的凹
凸格子部の格子形状を制御でき、高分子複屈折膜の特性
に変化を与えることなく製造でき、請求項9または10
記載の発明によれば、金属マスクを簡便に形成・除去で
き、低コスト化を促進できる。
T<1.0を満たすときの、周期的凹凸格子部の形状の
1例を示す図である。
T<1.0を満たすときの、周期的凹凸格子部の形状の
別例を示す図である。
断面図である。
ある。
Claims (10)
- 【請求項1】透明基板上に、周期的凹凸格子部を有する
複屈折膜を、前記周期的凹凸格子部が外方に向くように
接着し、且つ、前記複屈折膜の周期的凹凸格子部側に等
方性のオーバーコート層を備えた偏光分離素子であっ
て、 前記周期的凹凸格子部における凸部最小幅:Wminと凸
部最上部幅:Wtopの比:T=Wmin/Wtopが、 0.6<T<1.0 を満たすことを特徴とする偏光分離素子。 - 【請求項2】複屈折膜の上面側に、オーバーコート層を
介して他の透明基板を積層したことを特徴とする請求項
1記載の偏光分離素子。 - 【請求項3】オーバーコート層の材料が、アクリル系も
しくはエポキシ系の材料から選択されたことを特徴とす
る請求項1または2記載の偏光分離素子。 - 【請求項4】周期的凹凸格子部を形成する複屈折膜が、
高分子複屈折膜であることを特徴とする請求項1〜3の
任意の1に記載の偏光分離素子。 - 【請求項5】周期的凹凸格子部を形成する複屈折膜が、
分子鎖を配向させた高分子複屈折膜であることを特徴と
する請求項1〜4の任意の1に記載の偏光分離素子。 - 【請求項6】高分子複屈折膜が、延伸により分子鎖を配
向させた高分子膜であることを特徴とする請求項5記載
の偏光分離素子。 - 【請求項7】請求項1〜6の任意の1に記載の偏光分離
素子を製造する方法であって、 金属膜による周期パターンを複屈折膜上に形成する工程
と、 前記金属膜による周期パターンをマスクとするドライエ
ッチングにより、前記複屈折膜に周期的凹凸格子部を形
成する工程と、 前記金属膜による周期パターンをエッチングにより除去
する工程と、を有することを特徴とする偏光分離素子の
製造方法。 - 【請求項8】請求項7記載の偏光分離素子の製造方法に
おいて、 金属膜による周期パターンをマスクとするドライエッチ
ングを、酸素ラジカルを用いて行うことを特徴とする偏
光分離素子の製造方法。 - 【請求項9】請求項7または8記載の偏光分離素子の製
造方法において、 周期パターンの形成される金属膜の膜厚を、100〜1
000Åとすることを特徴とする偏光分離素子の製造方
法。 - 【請求項10】請求項7〜9の任意の1に記載の偏光分
離素子の製造方法において、 周期パターンを形成される金属膜の材料として、Alを
用いることを特徴とする偏光分離素子の製造方法。
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JP2001-365108 | 2001-11-29 | ||
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JP2010156956A (ja) * | 2008-12-05 | 2010-07-15 | Jsr Corp | 偏光性回折素子および偏光性回折素子の製造方法 |
-
2002
- 2002-04-30 JP JP2002128630A patent/JP4116324B2/ja not_active Expired - Fee Related
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