JP2003227795A - 灰中未燃分計測装置 - Google Patents

灰中未燃分計測装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイラ火炉から発生する排ガス中の未燃分を
計測する装置において、排ガス中の未燃分の平均的な値
を計測する。 【解決手段】 火炉内で発生した排ガスは、煙道内空間
102の異なる位置に配置された複数のイジェクタ10
3a,103b,103cにてサンプリングされてから
合流され、サンプリングラインL1を介し、三方バルブ
105を経てサイクロン106に送られる。サイクロン
106にて捕集・分離した灰分はLIBS装置107に
て分析され、未燃分が計測される。煙道内空間102に
おける排ガス中の未燃分濃度が位置によって異なってい
ても、多点サンプリングをしているため、複数位置でサ
ンプリングして合流した排ガス中の未燃分濃度は平均的
なものとなり、正確に未燃分の計測ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力プラント等の
ボイラに用いて好適な灰中未燃分計測装置に関し、排ガ
ス中の灰中未燃分の平均的な値を計測することができる
ように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、微粉炭,フライアッシュ
(灰)等の発熱量,未燃分,成分組成を計測する装置と
して、化学分析装置が良く知られている。ところが、こ
れらの分析装置は試料を採取してから分析結果が得られ
るまでに、かなりの時間(20〜120分)を必要とす
るため、計測結果を用いてボイラー等(火力プラントの
場合)の制御を行うことは困難であった。
【0003】そこで、本発明者等は先に、特開平10−
185817号公報等で提案したレーザ誘起ブレークダ
ウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy :LI
BS法)を採用し、装置化することを想起した。
【0004】このLIBS法は、例えば図7に示すよう
に装置化される。即ち、各種プラント等の配管1内に
は、測定対象物が存在(流通)している。測定対象物と
しては、微粉炭,フライアッシュ等がある。この配管1
のうち測定場2の部分には、パージ空気通路3aを備え
た計測窓3が設置されている。
【0005】そして、LIBS装置4を構成するパルス
レーザ装置5から出力されたレーザ光は、レンズ6及び
計測窓3を介して測定場2に集光される。このため、測
定場2に存在する微粒子がプラズマ化し、プラズマ化し
た成分物質からはプラズマ光が発生する。
【0006】発生したプラズマ光は、測定場2の計測窓
3から外部に出力され、ミラー7で反射され、さらにレ
ンズ8で集光されて分光器9に入射される。分光器9
は、波長が190nm〜500nm(或いはこの範囲内の
一部の波長域)のプラズマ光を分光し、分光した光成分
をCCDカメラ10に入力する。
【0007】高速ゲートが可能なCCDカメラ10は、
分光器9にて分光された分光プラズマ光を検出し、この
分光プラズマ光に応じた信号をコンピュータ11に転送
する。なお、CCDカメラ10は、同期ライン12を介
してパルスレーザ装置5と接続されており、CCDカメ
ラ10のゲート制御と、パルスレーザ装置5の発振とを
同期させている。
【0008】コンピュータ11は、転送されてきた信号
(各成分からの発光強度情報を有している)を情報処理
演算することにより、測定場2に存在する組成成分の種
類や濃度を検出することができ、この組成成分の種類・
濃度から微粉炭,フライアッシュの発熱量,未燃分,成
分組成等をリアルタイムで算出する。
【0009】このようにLIBS装置4は、測定現場に
てリアルタイムで測定対象物の組成成分の計測ができる
ので、計測結果に基づき、プラント等の運転制御を良好
に実行することができるようになる。
【0010】そこで、本発明者は、前述したLIBS装
置を用いてボイラにおける灰中の未燃分をリアルタイム
で計測することができる新規な灰中未燃分計測システム
を開発して出願した(特願2001−184516)。
【0011】ここで、先に出願した特願2001−18
4516の内容を、説明する。図4は先に出願した灰中
未燃分計測システムの概略構成図、図5はその作用説明
図で同図(a)は通常モードの流路説明図、同図(b)
は流量計測モードの流路説明図、図6は同じく作用説明
図で同図(a)はパージモードの流路説明図、同図
(b)はサンプルモードの流路説明図である。
【0012】図4に示すように、図示しないボイラの燃
焼ガス(排ガス)ラインから適宜弁装置を介して分岐し
た主サンプリングラインA中に、灰の入ったサンプルガ
スを吸引する第1のイジェクタ20a,20bと、該第
1イジェクタ20a,20bで吸引されたサンプルガス
中から灰分を分離・捕集する第1のサイクロン21と、
該第1サイクロン21で分離・捕集された灰分を吸引す
る第2のイジェクタ22とがライン上流側から下流側に
順次介装されている。
【0013】前記第1サイクロン21と第2イジェクタ
22との間のライン中には、当該ラインを流れる灰分に
レーザを照射してその組成成分をプラズマ化し、該プラ
ズマから発生するプラズマ光を分光器に入射し、分光器
にて分光したスペクトル光から灰中の未燃分を計測する
LIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy)装
置4が介装される。
【0014】尚、前記第1サイクロン21で遠心分離さ
れたガス成分は、第1の副サンプリングラインA1 を通
って、前記第2イジェクタ22下流の主サンプリングラ
インA中に合流される。
【0015】また、前記第1イジェクタ20a,20b
の上流の主サンプリングラインAの途中には、三方弁2
3a,23bを介して第2の副サンプリングラインA2
が分離形成され、この第2副サンプリングラインA2
途中にサンプルガスの流量を計測する流量計24が介装
される。
【0016】また、前記第1イジェクタ20a,20b
は前,後二段に亙って設けられ、これら前段のイジェク
タ20aと後段のイジェクタ20bとの間の主サンプリ
ングラインA中に、必要時に当該ラインを遮断する遮断
弁25が介装される。
【0017】また、前記第2イジェクタ22下流の主サ
ンプリングラインAからは、三方弁26を介して第3の
副サンプリングラインA3 が分岐され、この第3副サン
プリングラインA3 中に灰分を分離・捕集する第2のサ
イクロン28がポット29とともに介装される。前記第
3副サンプリングラインA3 の下流端は必要時に当該ラ
インを遮断する遮断弁27を介して前記三方弁26下流
の主サンプリングラインAに接続される。
【0018】前記三方弁23a,23b,26及び遮断
弁25,27は、例えば電磁弁で構成され、図示しない
制御装置により後述する各種モードに応じて切換(開
閉)制御されるようになっている。また、前記第1イジ
ェクタ20a,20b及び第2イジェクタ22と主サン
プリングラインAの第1サイクロン21直下及びLIB
S装置4計測部の5箇所には図示しない流量計が設置さ
れ、当該部位を流れるサンプルガス及び灰の流量が適正
になるよう監視している。
【0019】このように構成されるため、先ず、図5の
(a)に示す通常モードでは、三方弁23a,23b,
26は主サンプリングラインA側に切り換えられると共
に、遮断弁25は開かれる一方遮断弁27は閉じられ
る。
【0020】これにより、第1イジェクタ20a,20
bで主サンプリングラインA中に吸引されたサンプルガ
スは第1サイクロン21に導かれ、ここでガス中の灰分
が分離・捕集される。分離・捕集された灰分は第2イジ
ェクタ22により吸引されてその後第1副サンプリング
ラインA1 を通ってきたガスと合流して主サンプリング
ラインA外へと排出される。
【0021】そして、前記第1サイクロン21で分離・
捕集された灰分は、同第1サイクロン21から第2イジ
ェクタ22に至る間に、LIBS装置4により、その灰
中未燃分が計測される。即ち、LIBS装置4では、灰
中の主成分であるSi,Al,Ca,Fe 及び未燃分に起因するC
成分を計測し、Si,Al,Ca,Fe とC の比より未燃分を算出
するのである。
【0022】ボイラでは、前記LIBS装置4の計測結
果に基づいて、例えば微粉炭の粉砕度を増減する等ボイ
ラ火炉における燃焼条件を変化させて未燃分を制御す
る。
【0023】次に、図5の(b)に示す流量計測モード
では、三方弁23a,23bが第2副サンプリングライ
ンA2 側に切り換えられ、その他は図5の(a)の状態
と同様である。
【0024】これにより、第1イジェクタ20a,20
bで吸引されるサンプルガスは第2副サンプリングライ
ンA2 を通り、流量計24でその流量を計測されつつ第
1サイクロン21に導かれる。
【0025】この結果、サンプルガスの流量をモニタリ
ングしながら灰中の未燃分を計測することができる。
尚、この流量計測モードは通常1時間位運転され、それ
以上の運転は流量計24の詰まりなどの原因となるの
で、回避される。
【0026】次に、図6の(a)に示すパージモードで
は、遮断弁25は閉じられると共に、三方弁23a,2
3b,26は主サンプリングラインA側に切り換えられ
る一方遮断弁27は閉じられる。
【0027】これにより、前段のイジェクタ20aより
導入されたエアは同イジェクタ20a上流の主サンプリ
ングラインAを逆流し(図中矢印参照)、同ラインの管
内壁や三方弁23a,23bの部品等に付着した灰をパ
ージする一方、後段のイジェクタ20bより導入された
エアは同イジェクタ20b下流の主サンプリングライン
Aと第1副サンプリングラインA1 とを流れ、同ライン
の管内壁や各種機器の部品等に付着した灰をパージす
る。
【0028】尚、このパージモードにおいて、三方弁2
3a,23b,26と遮断弁27を逆に切り換えること
で、第2副サンプリングラインA2 と第3副サンプリン
グラインA3 の灰もパージすることができる。また、こ
のパージモードはシステムのエラー発生時に自動的に当
該モードになると好適である。
【0029】最後に、図6の(b)に示すサンプルモー
ドでは、三方弁23a,23bは主サンプリングライン
A側に切り換えられて遮断弁25が開かれる一方、三方
弁26は第3副サンプリングラインA3 側に切り換えら
れて遮断弁27が開かれる。
【0030】これにより、第1イジェクタ20a,20
bで主サンプリングラインA中に吸引されたサンプルガ
スは第1サイクロン21に導かれ、ここでガス中の灰分
が分離・捕集される。分離・捕集された灰分は第2イジ
ェクタ22により吸引されてその後第3副サンプリング
ラインA3 に導かれ、第2サイクロン28で再びガス中
の灰分が分離されてポット29内に捕集される。第2サ
イクロン28で分離されたガス成分は遮断弁27を経て
主サンプリングラインAに合流される。
【0031】前記モードで約2時間運転した後、ポット
29内に捕集・取得された灰は、化学分析装置やX線分
析装置で成分分析され、未燃分が計測される。この計測
結果と前記LIBS装置4の計測結果とを比較し、計測
値が異なっていればLIBS装置4の計測値に較正をか
ければ良い。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】ところで先に出願した
特願2001−184516の灰中未燃分計測システム
では、排ガスをサンプリングする点が一点であるため、
排ガス中の灰中未燃分や灰組成成分の平均的な値を正確
に測定することができない虞があった。
【0033】本発明は、上記従来技術に鑑み、排ガス中
の灰中未燃分や灰組成成分の平均的な値を正確に測定す
ることができる灰中未燃分計測装置を提供することを目
的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、ボイラの火炉から発生する排ガスが存在す
る煙道内の複数箇所から、前記排ガスをサンプリングし
て搬送するサンプリングラインと、このサンプリングラ
インが接続されて排ガスが供給されており、搬送空気が
供給されると排ガスを吸引して搬送空気と共に下流側に
送り出すイジェクタと、前記煙道内を通過してから前記
イジェクタに接続されるように配管されており、搬送空
気を前記イジェクタに供給する搬送空気供給ラインと、
前記イジェクタから送り出された排ガスが供給され、排
ガス中から灰分を分離・捕集するサイクロンと、前記サ
イクロンで分離・捕集した灰分が供給され、この灰分に
レーザを照射してその組成成分をプラズマ化し、このプ
ラズマから発生するプラズマ光を分光器に入射し、分光
器にて分光したスペクトル光から灰中の未燃分を計測す
る計測装置とを備えたことを特徴とする。
【0035】また本発明の構成は、ボイラの火炉から発
生する排ガスが存在する煙道内の複数箇所から、前記排
ガスをサンプリングして搬送するサンプリングライン
と、このサンプリングラインが接続されて排ガスが供給
されており、搬送空気が供給されると排ガスを吸引して
搬送空気と共に下流側に送り出すイジェクタと、前記煙
道内を通過してから前記イジェクタに接続されるように
配管されており、搬送空気を前記イジェクタに供給する
搬送空気供給ラインと、前記煙道内を通過してから煙道
外に出る状態で配管されて粉体用搬送空気を搬送する粉
体用搬送空気供給ラインと、この粉体用搬送空気供給ラ
インに介装・接続されており組成成分の種類と組成成分
の濃度が予め分かっている粉体を粉体用搬送空気に混入
する粉体フィーダと、前記イジェクタから送り出された
排ガスと、前記粉体用搬送空気供給ラインから粉体が混
入した粉体用搬送空気が供給され、イジェクタから送り
出された排ガスと粉体が混入した粉体用搬送空気の一方
を切換・選択して送り出す三方バルブと、前記三方バル
ブから供給された、排ガスまたは粉体用搬送空気の中か
ら灰分または粉体を分離・捕集するサイクロンと、前記
サイクロンで分離・捕集した灰分または粉体が供給さ
れ、この灰分または粉体にレーザを照射してその組成成
分をプラズマ化し、このプラズマから発生するプラズマ
光を分光器に入射し、分光器にて分光したスペクトル光
から灰中の未燃分または組成成分を計測する計測装置と
を備えたことを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る灰中未燃分計
測装置の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0037】<第1の実施の形態>図1及び図2は本発
明の第1の実施の形態にかかる灰中未燃分計測装置を示
す。図1において、101はボイラの煙道であり、10
2は煙道内部の煙道内空間である。
【0038】図1に示すように、煙道101の外部に
は、イジェクタ103,粉体フィーダ104,三方バル
ブ105,サイクロン106,LIBS装置107,イ
ジェクタ108,109が備えられている。
【0039】サンプリングラインL1の入口には、図2
に示すサンプリングプローブ121,122,123に
よりサンプリングした煙道101内に存在する排ガスが
供給され、この排ガスGはサンプリングラインL1を介
して煙道内空間102を通ってから、煙道外のイジェク
タ103に搬送される。このイジェクタ103には、搬
送空気供給ラインL2を介して搬送空気A1が供給され
る。
【0040】図2において排ガスGは、紙面の表面側か
ら裏面側に流れており、煙道101には複数本のサンプ
リングプローブ121,122,123が挿入されてい
る。
【0041】サンプリングプローブ121には3つのサ
ンプリング孔121a,121b,121cが、サンプ
リングプローブ122には3つのサンプリング孔122
a,122b,122cが、サンプリングプローブ12
3には3つのサンプリング孔123a,123b,12
3cが形成されている。つまり、9個のサンプリング孔
が、煙道101の面内に均一に分散して配置されてい
る。このため、煙道101内において、排気ガスG中に
含まれている灰分に濃度分布が存在していたとしても、
複数のサンプリング孔から排気ガスGをサンプリングす
るため、サンプリングした排気ガスG中の灰分は平均的
なものとなる。
【0042】各サンプリングプローブ121,122,
123にてサンプリングした排ガスGは、合流してか
ら、図1におけるサンプリングラインL1に接続され、
煙道内空間102にて加熱されてから、イジェクタ10
3に吸引される。
【0043】図1に戻り説明をすると、搬送空気供給ラ
インL2は、煙道外空間から煙道内空間102に入り、
煙道内空間102にて反転してから煙道外空間に出るよ
うに、即ち、煙道内空間102を通過してからイジェク
タ103に接続するように配管されている。煙道内空間
102は300°C程度の高温になっているため、搬送
空気A1は、煙道内空間102内に存在する搬送空気供
給ラインL2を通過する際に加熱され、100°C以上
(例えば150°C)となって、イジェクタ103に供
給される。
【0044】イジェクタ103は、搬送空気A1が供給
されると、サンプリングラインL1からの排ガスGを吸
引して、排ガスGを搬送空気A1と共に、三方バルブ1
05に向かって搬送する。
【0045】粉体用搬送空気供給ラインL3は、煙道内
空間102を通過してから煙道外に出て、三方バルブ1
05に接続されている。このため、搬送空気A2は、煙
道内空間102内に存在する粉体用搬送空気供給ライン
L3を通過する際に加熱され、100°C以上(例えば
150°C)となって、三方バルブ105に供給され
る。
【0046】粉体供給フィーダ104は、粉体用搬送空
気供給ラインL3に介装・接続されており、組成成分の
種類と組成成分の濃度が予め分かっている、校正用の粉
体を搬送空気A2に混入する。
【0047】三方バルブ105は、通常の計測モード
(未燃分計測モード)の時には、イジェクタ103から
送られてくる、搬送空気A1が混入した排ガスGを、サ
イクロン106に送るように、バルブの切換・選択をす
る。一方、校正モードの時には、粉体用搬送空気供給ラ
インL3から供給されてくる、搬送空気A2に混入した
粉体(粉体フィーダ104から供給された粉体)を、サ
イクロン106に送るように、バルブの切換・選択をす
る。
【0048】サイクロン106は、搬送空気A1が混入
した排ガスGが供給された場合には、排ガスG中の灰分
を分離・捕集して灰分をLIBS装置107に送る。ま
た、搬送空気A2に混入した粉体が供給された場合に
は、搬送空気A2から粉体を分離・捕集して粉体をLI
BS装置107に送る。なお、灰分や粉体が分離された
気体は、イジェクタ109が介装された排出ラインL4
を介して煙道内空間102に送られる。なお、イジェク
タ109には、煙道内空間102を通過する状態で配置
された搬送空気供給ラインL5により、搬送空気A3が
供給される。この搬送空気A3は、煙道内空間102に
存在する搬送空気供給ラインL5を通過する際に加熱さ
れる。
【0049】LIBS(Laser Induced Breakdown Spec
troscopy)装置107は、分離・捕集された灰分や粉体
に、レーザを照射してその組成成分をプラズマ化し、該
プラズマから発生するプラズマ光を分光器に入射し、分
光器にて分光したスペクトル光から灰中の未燃分を計測
したり、粉体の組成の同定や組成濃度を計測する。
【0050】LIBS装置107を通過した灰分や粉体
は、イジェクタ108が介装された排出ラインL6を介
して煙道内空間102に送られる。なお、イジェクタ1
08には、煙道内空間102を通過する状態で配置され
た搬送空気供給ラインL7により、搬送空気A4が供給
される。この搬送空気A4は、煙道内空間102に存在
する搬送空気供給ラインL7を通過する際に加熱され
る。
【0051】通常の計測モードの時(未燃分計測時)に
は、イジェクタ103から送られてくる、搬送空気A1
が混入した排ガスGを、サイクロン106に送るよう
に、三方バルブ105の切換・選択をする。このため、
サイクロン106にて捕集・分離した灰分がLIBS装
置107に送られて、灰中の未燃分の計測ができる。こ
のとき、イジェクタ103に供給する搬送空気A1は、
煙道内空間102内に存在する搬送空気供給ラインL2
を通過する際に加熱され、100°C以上(例えば15
0°C)となっている。このため、排ガスGに混入して
も排ガスGの温度を下げることはない。したがって、灰
分が水分を吸収することはなく、灰分が凝固することも
ない。これにより、LIBS装置107にて正確に未燃
分の計測ができる。この場合、排ガスGに含まれている
灰分は平均的なものであるため、平均的な未燃分の計測
ができる。
【0052】一方、校正モードの時には、粉体用搬送空
気供給ラインL3から供給されてくる、搬送空気A2に
混入した粉体(粉体フィーダ104から供給された粉
体)を、サイクロン106に送るように、三方バルブ1
05の切換・選択をする。このため、サイクロン106
にて捕集・分離した粉体がLIBS装置107に送られ
て、粉体の組成の同定や組成濃度が計測される。この粉
体の組成や濃度は予め分かっているため、測定した組成
同定や組成濃度を、予め分かっている実際の組成や濃度
と合わせるようにLIBS装置107の計測値に校正を
かけることができる。この校正調整はリアルタイムで行
うことができる。
【0053】また校正調整をするためには、粉体フィー
ダ104や粉体用搬送空気供給ラインL3を付加するだ
けでよいため、校正用の余分なサイクロン等が不要にな
り、校正用の装置構成が簡単になる。
【0054】<第2の実施の形態>図3は、図1に示す
第1の実施の形態を改良した第2の実施の形態にかかる
灰中未燃分計測装置を示す。第2の実施の形態では、サ
ンプリングラインL1が、煙道内空間102にて3分岐
されて、分岐サンプリングラインL1a,L1b,L1
cとなっており、各分岐サンプリングラインL1a,L
1b,L1cの入口は、煙道内空間102の異なる位置
に開口している。そして各分岐サンプリングラインL1
a,L1b,L1cには、イジェクタ103a,103
b,103cが介装されている。
【0055】各イジェクタ103a,103b,103
cには、搬送空気供給ラインL2a,L2b,L2cを
介して、搬送空気A1a,A1b,A1cがそれぞれ供
給される。この搬送空気A1a,A1b,A1cは、搬
送空気供給ラインL2a,L2b,L2cのうち煙道内
空間102に存在する部分を通過する際に加熱されてか
ら、イジェクタ103a,103b,103cに供給さ
れる。しかも、搬送空気A1a,A1b,A1cの供給
量を調整して、各分岐サンプリングラインL1a,L1
b,L1cからの吸引ガス量を等しくしているので、イ
ジェクタ103a,103b,103cは等速吸引で排
ガスGを吸引する。吸引された排ガスGは、サンプリン
グラインL1にて合流して三方バルブ105に搬送され
る。なお、各分岐サンプリングラインL1a,L1b,
L1cよりサンプリングした排ガスを合流した排ガスの
成分は、多点サンプリングした排ガスのため、この煙道
内空間102に存在する排ガスの成分と同じになってい
る。
【0056】他の部分の構成は、図1に示す第1の実施
の形態と同様である。
【0057】第2の実施の形態では、煙道内空間102
の異なる位置から排ガスGを吸引(多点吸引)するた
め、煙道内のサンプリング点での灰性状が異なっていて
も、煙道内の平均的な灰中未燃分の測定をすることがで
きる。
【0058】尚、本発明は上記実施例に限定されず、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であるこ
とはいうまでもない。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、ボイ
ラの火炉から発生する排ガスが存在する煙道内の複数箇
所から、前記排ガスをサンプリングして搬送するサンプ
リングラインと、このサンプリングラインが接続されて
排ガスが供給されており、搬送空気が供給されると排ガ
スを吸引して搬送空気と共に下流側に送り出すイジェク
タと、前記煙道内を通過してから前記イジェクタに接続
されるように配管されており、搬送空気を前記イジェク
タに供給する搬送空気供給ラインと、前記イジェクタか
ら送り出された排ガスが供給され、排ガス中から灰分を
分離・捕集するサイクロンと、前記サイクロンで分離・
捕集した灰分が供給され、この灰分にレーザを照射して
その組成成分をプラズマ化し、このプラズマから発生す
るプラズマ光を分光器に入射し、分光器にて分光したス
ペクトル光から灰中の未燃分を計測する計測装置とを備
えた構成とした。このような構成としたため、複数の各
サンプリング点における灰性状が異なっていても、合流
した排ガスの灰性状は平均的なものとなり、計測精度が
向上する。
【0060】また本発明では、ボイラの火炉から発生す
る排ガスが存在する煙道内の複数箇所から、前記排ガス
をサンプリングして搬送するサンプリングラインと、こ
のサンプリングラインが接続されて排ガスが供給されて
おり、搬送空気が供給されると排ガスを吸引して搬送空
気と共に下流側に送り出すイジェクタと、前記煙道内を
通過してから前記イジェクタに接続されるように配管さ
れており、搬送空気を前記イジェクタに供給する搬送空
気供給ラインと、前記煙道内を通過してから煙道外に出
る状態で配管されて粉体用搬送空気を搬送する粉体用搬
送空気供給ラインと、この粉体用搬送空気供給ラインに
介装・接続されており組成成分の種類と組成成分の濃度
が予め分かっている粉体を粉体用搬送空気に混入する粉
体フィーダと、前記イジェクタから送り出された排ガス
と、前記粉体用搬送空気供給ラインから粉体が混入した
粉体用搬送空気が供給され、イジェクタから送り出され
た排ガスと粉体が混入した粉体用搬送空気の一方を切換
・選択して送り出す三方バルブと、前記三方バルブから
供給された、排ガスまたは粉体用搬送空気の中から灰分
または粉体を分離・捕集するサイクロンと、前記サイク
ロンで分離・捕集した灰分または粉体が供給され、この
灰分または粉体にレーザを照射してその組成成分をプラ
ズマ化し、このプラズマから発生するプラズマ光を分光
器に入射し、分光器にて分光したスペクトル光から灰中
の未燃分または組成成分を計測する計測装置とを備えた
構成とした。このような構成としたため、複数の各サン
プリング点における灰性状が異なっていても、合流した
排ガスの灰性状は平均的なものとなり、計測精度が向上
する。更に、既知の粉体を用いて校正をするため、計測
装置の校正をリアルタイムで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる灰中未燃分
計測装置を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる灰中未燃分
計測装置の要部を示す構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる灰中未燃分
計測装置を示す構成図である。
【図4】先に出願した灰中未燃分計測システムを示す構
成図。
【図5】先に出願した灰中未燃分計測システムの作用説
明図で同図(a)は通常モードの流路説明図、同図
(b)は流量計測モードの流路説明図である。
【図6】先に出願した灰中未燃分計測システムの作用説
明図で同図(a)はパージモードの流路説明図、同図
(b)はサンプルモードの流路説明図である。
【図7】LIBS装置の説明図である。
【符号の説明】
101 煙道 102 煙道内空間 103 イジェクタ 104 粉体フィーダ 105 三方バルブ 106 サイクロン 107 LIBS装置 108,109 イジェクタ 121,122,123 サンプリングプローブ L1 搬送空気供給ライン L2 サンプリングライン L2a,L2b,L2c 分岐サンプリングライン L3 粉体用搬送空気供給ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪澤 祥規 長崎県長崎市飽の浦町1番1号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 (72)発明者 樽井 仁 宮城県仙台市青葉区一番町三丁目7番1号 東北電力株式会社本店火力部内 Fターム(参考) 2G043 AA01 CA06 DA01 DA05 EA10 GA07 GB21 HA01 JA01 KA02 KA03 KA05 KA09 LA03 2G052 AA02 AC23 AD24 AD55 BA03 BA21 CA03 CA04 CA11 CA14 CA35 EA03 GA14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイラの火炉から発生する排ガスが存在
    する煙道内の複数箇所から、前記排ガスをサンプリング
    して搬送するサンプリングラインと、 このサンプリングラインが接続されて排ガスが供給され
    ており、搬送空気が供給されると排ガスを吸引して搬送
    空気と共に下流側に送り出すイジェクタと、 前記煙道内を通過してから前記イジェクタに接続される
    ように配管されており、搬送空気を前記イジェクタに供
    給する搬送空気供給ラインと、 前記イジェクタから送り出された排ガスが供給され、排
    ガス中から灰分を分離・捕集するサイクロンと、 前記サイクロンで分離・捕集した灰分が供給され、この
    灰分にレーザを照射してその組成成分をプラズマ化し、
    このプラズマから発生するプラズマ光を分光器に入射
    し、分光器にて分光したスペクトル光から灰中の未燃分
    を計測する計測装置とを備えたことを特徴とする灰中未
    燃分計測装置。
  2. 【請求項2】 ボイラの火炉から発生する排ガスが存在
    する煙道内の複数箇所から、前記排ガスをサンプリング
    して搬送するサンプリングラインと、 このサンプリングラインが接続されて排ガスが供給され
    ており、搬送空気が供給されると排ガスを吸引して搬送
    空気と共に下流側に送り出すイジェクタと、 前記煙道内を通過してから前記イジェクタに接続される
    ように配管されており、搬送空気を前記イジェクタに供
    給する搬送空気供給ラインと、 前記煙道内を通過してから煙道外に出る状態で配管され
    て粉体用搬送空気を搬送する粉体用搬送空気供給ライン
    と、 この粉体用搬送空気供給ラインに介装・接続されており
    組成成分の種類と組成成分の濃度が予め分かっている粉
    体を粉体用搬送空気に混入する粉体フィーダと、 前記イジェクタから送り出された排ガスと、前記粉体用
    搬送空気供給ラインから粉体が混入した粉体用搬送空気
    が供給され、イジェクタから送り出された排ガスと粉体
    が混入した粉体用搬送空気の一方を切換・選択して送り
    出す三方バルブと、 前記三方バルブから供給された、排ガスまたは粉体用搬
    送空気の中から灰分または粉体を分離・捕集するサイク
    ロンと、 前記サイクロンで分離・捕集した灰分または粉体が供給
    され、この灰分または粉体にレーザを照射してその組成
    成分をプラズマ化し、このプラズマから発生するプラズ
    マ光を分光器に入射し、分光器にて分光したスペクトル
    光から灰中の未燃分または組成成分を計測する計測装置
    とを備えたことを特徴とする灰中未燃分計測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008175483A (ja) * 2007-01-19 2008-07-31 Chugoku Electric Power Co Inc:The 石炭ボイラの灰中未燃分増加時におけるユニット対応操作方法
CN101694430B (zh) * 2009-10-13 2011-08-24 北京金隅红树林环保技术有限责任公司 一种原煤的检测方法
CN112345527A (zh) * 2020-10-23 2021-02-09 济宁学院 一种煤热解废气检测设备及工作方法

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