JP2003217684A - 車両に搭載された蓄電池の残存容量測定方法と装置 - Google Patents

車両に搭載された蓄電池の残存容量測定方法と装置

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Tooru Mangahara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発電機によって充電される車載の鉛蓄電池の
残存容量を車両の停止後でも正確に検出し、その残存容
量を用いて車両のアイドリングストップ処理を行う。 【解決手段】 事前に基準蓄電池について放電容量ごと
に放電電流と端子電圧の関係を求めておく(ステップ1
A)。車載の鉛蓄電池3の放電電流と端子電圧を測定す
る(ステップ2A)。アイドリングストップ後は、測定
した鉛蓄電池3の端子電圧の時間的変化分ΔVと、前回
と今回の差電圧δVを用いて収束電圧を子算出する(ス
テップ4A)。算出した収束電圧を用いて鉛蓄電池3の
残存容量を推定する(ステップ5A)。このようにして
推定した鉛蓄電池3の残存容量を複数の電池容量の水準
と比較してアイドリングストップの可否を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のアイドリン
グストップ処理などに適用して好適な、車両に搭載した
蓄電池の残存容量を実用的で簡便かつ正確に測定する方
法およびその装置に関する。本発明はまた、上記方法を
適用して、蓄電池を搭載した車両において一時停車時に
内燃機関を停止するアイドリングストップを行うかを処
理する車両のアイドリングストップ処理方法とその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】環境汚染を低減および自動車の燃費の向
上のため、自動車が交差点で信号待ちのために一時停車
したとき、渋滞で停車しているときなど、内燃機関(エ
ンジン)を停止するアイドリングストップ機能を有する
自動車が知られている。このようなアイドリングストッ
プを行う場合、アイドリングストップ後に自動車を再起
動できるだけ車載の蓄電池に残存容量があることが必要
である。そこで、アイドリングストップする際、アイド
リングストップ後に自動車を再起動できるだけの残存容
量が蓄電池にあることを知る必要がある。
【0003】蓄電池の残存容量を測定する方法は種々試
みられている。しかしながら、これまで、アイドリング
ストップの判断に適用する適切な車載の蓄電池の残存容
量を実用的で簡便かつ正確に検出する方法は知られてい
ない。以下これまで知られている蓄電池の残存容量の測
定方法について概観する。
【0004】一番簡単かつ確実な蓄電池の残存容量測定
方法は、蓄電池を完全に放電させて容量を測定し、その
容量から劣化状態を判定する方法である。しかしなが
ら、この方法は実時間でアイドリングストップの判定に
使用することはできない。しかも、この方法は放電する
までに長い時間がかかるので、測定時間が長くなるとい
う問題がある。
【0005】次いで、蓄電池を放電させずに比較的短時
間に蓄電池の残存容量の測定を行なう方法について述べ
る。
【0006】鉛蓄電池は、放電により水を生じ、充電に
より硫酸を生ずるので、放電すると硫酸水溶液の比重が
小さくなり、充電で硫酸水溶液の比重が元に戻る。この
現象を利用して電解液の比重を指標として残存容量を推
定する方法が知られている。しかしながら、鉛蓄電池に
収容されている電解液の濃度分布が不均一になる場合が
しばしばあるので、この方法では鉛蓄電池の残存容量を
常に正確に推定することが出来ない。また、近年、電解
液が極めて少ないシール型鉛蓄電池が採用されている。
このようなシール型鉛蓄電池については電解液の比重の
測定自体が困難なので、鉛蓄電池の残存容量を推定でき
ない。
【0007】特開昭53−127646号公報は、
(1)エンジンのスタートキーを回す際に生じているオ
ルタネータの過渡的な電流値をオルタネータと車載の鉛
蓄電池(バッテリ)との間に介在させた抵抗に流れる電
流として計測し、さらにバッテリの端子電圧も計測し、
これらの計測結果を演算増幅器で演算して走行直前のバ
ッテリの初期残存容量を求めておき、(2)さらに走行
中の充電量あるいは充放電量を求め、(3)初期残存容
量と充放電量とを比較してバッテリの残存容量を算出す
る方法を開示している。しかしながら、この方法は自動
車の起動時というと特定のタイミングにおける初期残存
容量を基準としており、そのままアイドリングストップ
に適用できない。
【0008】特開昭63−27776号公報は、(1)
最初にバッテリを自動車に搭載したときの新品のバッテ
リにおけるエンジン始動中の放電電荷量に対するバッテ
リの端子電圧降下分を実測し、(2)その後、エンジン
停止と始動との間にバッテリ静特性が蘇るのに必要な時
間を経過したこと、および、バッテリ残存容量が所定以
上であることを条件として、自動車走行ごとに、エンジ
ン始動中の放電電荷量に対するバッテリの端子電圧降下
分を実測して、(3)上記初期の電圧降下分と走行後の
電圧降下分を用いて演算してバッテリの寿命を予測する
方法を開示している。しかしながら、この方法も自動車
の起動時という特定のタイミングにおけるバッテリの端
子電圧の降下分を残存容量を検出するための基準として
おり、アイドリングストップの判定には向かない。
【0009】特開平1−39068号公報は、(1)ス
タータの起動時などの大電流放電中における互いに異な
る値を示す複数時点のバッテリの放電電流と、各放電電
流流出時のバッテリの端子電圧を検出し、(2)検出し
た電流と電圧値からバッテリの内部抵抗値と電力を算出
し、(3)予め実験的に求めたバッテリの容量と内部抵
抗と起電力の相関性を表す関数を用いて算出した内部抵
抗と起電力からバッテリの残存容量を算出する方法を開
示している。しかしながら、この方法もスタータの起動
時を条件としているから、アイドリングストップの判断
には適切ではない。さらにこの方法の処理は複雑であ
る。
【0010】特許第2536257号公報(特開平4−
95788号公報)は鉛蓄電池の残存容量を検出するた
め、内部インピーダンスを用いる発明を開示している。
この方法は、(1)鉛蓄電池の内部インピーダンスを測
定し、(2)測定した鉛蓄電池の内部インピーダンス
を、鉛蓄電池のインダクタンス成分L、電解液抵抗R
Ω、電荷移動抵抗Rct、電気二重層容量Cd、ワールブ
ルグ・インピーダンスW、ワールブルグ係数σからなる
等価回路に当てはめて最適解を求め、(3)L、RΩ、
Rct、Cd、W、σの少なくとも一つを初期の値と比較
して、その相違から鉛蓄電池の寿命を判定する。しかし
ながら、この方法を、走行に伴って発電機から鉛蓄電池
に充電される車載の鉛蓄電池の残存容量に適用すること
はできない。その理由は、発電機から鉛蓄電池への影
響、自動車に搭載された装備の負荷変動などの影響を受
けて鉛蓄電池の内部インピーダンスの測定が困難にな
る。鉛蓄電池の内部インピーダンスが測定できなけれ
ば、初期値と比較できず、寿命も判定できない。さらに
この方法を実施すると、測定装置の構成が複雑で寸法も
大きくなり、価格も高くなり、この方法を乗用車などの
通常の自動車に適用するには課題がある。
【0011】蓄電池から放電または充電される電流値を
常時測定し、その電流測定値を積算して蓄電池の残存容
量を求める方法も知られている。以下、この方法を「電
流積算法」と呼ぶ。そのような電流積算法においては、
電流値の測定誤差により積算値の誤差が次第に大きくな
り、蓄電池の状態が正確に求めることができなくなる。
そのため、「電流積算法」を改良した方法が、特許第2
791751号公報(特開平8−19103号公報)、
特開平9−171065号公報などに提案されている。
【0012】特許第2791751号公報に記載の発明
は、電流積算方式と内部抵抗検出方式を併用してデータ
処理して、電気自動車用鉛蓄電池の残存容量を測定す
る。(1)まず、電流積算法で電気自動車に搭載された
鉛蓄電池の残存容量を算出し、(2)さらに、電気自動
車用鉛蓄電池の満充電完了時および自動車の走行中の一
時停止時に鉛蓄電池の内部インピーダンスを測定し、
(3)内部インピーダンスから導出する放電率によって
電流積算法で求めた蓄電池の残存容量の値を補正する。
この方法は自動車用蓄電池の残存容量の検査法として有
用であり、鉛蓄電池の残存容量を正確に知る必要がある
電気自動車においては重要な技術である。しかしなが
ら、この方法は、電流積算法による測定に加えて、内部
インピーダンスによる測定も実施する必要があり、この
方法を実現する測定装置を製造した場合、装置価格が高
くなる。特に、この方法は上述した内部インピーダンス
を測定することが困難な事態があることから、内燃機関
を搭載した自動車のアイドリングストップに適用できな
い。
【0013】特開平9−171065号公報に開示され
た方法は、まず、電流積算法で蓄電池の残存容量を算出
しておき、その残存容量を補正する技術である。その補
正残存容量の算出は、予め特定の放電電流値での定電流
放電における端子電圧と残存容量のデータテーブルを準
備し、自動車走行中に前記特定の放電電流値が一定時間
継続したことを検知し、その時の蓄電池の端子電圧を測
定し、測定した端子電圧を前記データテーブルに参照し
て補正のための蓄電池の残存容量を求める。そして、算
出した補正用残存容量で、事前に求めた電流積算法の残
存容量を補正する。特開平9−171065号公報に開
示された発明は、電気自動車などのような電動車両に搭
載された蓄電池(バッテリ)の残存容量を測定するに適
した技術である。その理由は、電気自動車においては、
その車両が常用する走行速度での放電電流値を、上記の
特定の放電電流値とすることにより蓄電池の残存容量を
求める機会が多いからである。しかしながら、特開平9
−171065号公報に開示された発明は、内燃機関で
動作する自動車(通常の自動車)に搭載した蓄電池の残
存容量に適さない。その理由は、通常の自動車において
は、自動車走行中に、頻繁に、一定時間継続するような
特定の電流値が出現する機会が少ないので、蓄電池の残
存容量を求める機会が極めて少ないので、補正すべき残
存容量を求めることができないからである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上種々の従来技術に
ついて考察したが、それらの技術は、特に、内燃機関を
搭載した自動車のアイドリングストップに適用するに
は、課題があり、そのままでは、適用できない。
【0015】本発明の目的は、車両のアイドリングスト
ップ処理などに適用して好適な、車両に搭載した蓄電池
の残存容量を実用的、簡便で、かつ、正確に測定する方
法およびその装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の観点によ
れば、一時停車時に内燃機関を停止するアイドリングス
トップ処理を行う車両に搭載され、車載の電気機器に給
電を行い、発電機によって充電可能な蓄電池の残存容量
を測定する方法であって、基準蓄電池について放電試験
を行って得られた前記基準蓄電池の各放電容量ごとの放
電電流と端子電圧との関係を示す特性データを事前に準
備する特性データ準備工程と、前記車載の蓄電池の放電
電流および端子電圧を測定する測定工程と、前記測定し
た端子電圧を前記事前に準備した特性データと照合し
て、前記車載の蓄電池の残存容量を推定する工程とを有
し、前記特性データ準備工程は、前記基準蓄電池につい
て前記基準蓄電池の満充電状態から下記の処理を行う下
記の諸工程、すなわち、(1)満充電状態の前記基準蓄
電池を準備する工程と、(2)前記基準蓄電池を所定の
時間率100%状態で、複数の1次放電電流で短時間、
順次、連続的に放電させ、各放電後の前記基準蓄電池の
端子電圧を測定する処理を行う第1放電・測定工程と、
(3)一定の2次放電電流で所定時間、継続して定電流
放電して放電容量を調整する調整工程と、(4)前記2
次放電後の所定のSOC状態で、前記複数の1次放電電
流で短時間、順次、連続的に放電させ、各放電後の前記
基準蓄電池の端子電圧を測定する処理を行う第2放電・
測定工程と、(5)前記基準蓄電池の端子電圧が降下下
限電圧まで低下するまで、前記調整工程と前記第2放電
・測定工程の処理を反復する反復処理工程と、(6)前
記2次放電電流で前記基準蓄電池の端子電圧が前記降下
下限電圧まで低下するまで定電流放電を行う、最終調整
工程と、(7)前記所定時間率の放電容量および各SO
Cでの前記基準蓄電池の残存容量を計算する放電容量演
算工程と、(8)前記基準蓄電池の残存容量ごと、前記
基準蓄電池の放電電流と端子電圧との関係を示す特性デ
ータを算出する工程とを有する、車両に搭載された蓄電
池の残存容量測定方法が提供される。
【0017】本発明の第2の観点によれば、一時停車時
に内燃機関を停止するアイドリングストップ処理を行う
車両に搭載され、車載の電気機器に給電を行い、発電機
によって充電可能な蓄電池の残存容量を測定する方法で
あって、基準蓄電池について放電試験を行って得られた
前記基準蓄電池の各放電容量ごとの放電電流と端子電圧
との関係を示す特性データを事前に準備する特性データ
準備工程と、前記車載の蓄電池の放電電流および端子電
圧を測定する測定工程と、車両がアイドリングストップ
したとき、単位時間を隔てた前回と今回の前記車載の蓄
電池の電圧変化分と、最終の収束電圧と今回測定した前
記車載の蓄電池の差電圧とを用いて収束電圧を推定する
工程と、該推定した収束電圧を、前記特性データ準備工
程において準備した前記端子電圧と比較して前記車載の
蓄電池の残存容量を推定する工程とを有する、車両に搭
載された蓄電池の残存容量測定方法が提供される。
【0018】本発明によれば、上記車両に搭載された蓄
電池の残存容量測定を行う装置が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態とし
て、自動車などの車両に搭載された蓄電池、たとえば、
鉛蓄電池の残存容量を簡単な方法で正確に検出する方法
と装置について述べる。また本発明の第1実施の形態と
して、渋滞または交差点などで一時停車中に内燃機関
(エンジン)を停止する、いわゆるアイドリングストッ
プ機能を有する車両に搭載された蓄電池の残存容量を、
上記蓄電池の残存容量を検出する方法と装置を適用し
て、効果的にアイドリングストップの処理を行う車両の
アイドリングストップ処理方法と装置について述べる。
【0020】図1は本実施の形態の、車両のアイドリン
グストップ処理装置の構成図である。本実施の形態の車
両のアイドリングストップ処理装置20は、メモリ手段
21と、蓄電池の残存容量を測定する残存容量測定手段
22と、アイドリングストップ判定手段23と、アイド
リングストップ処理手段24と、再始動手段25とを有
する。
【0021】メモリ手段21には、下記に述べる水準デ
ータが記憶されている。蓄電池の残存容量測定手段22
は、図3を参照して詳述する蓄電池の残存容量を検出す
る手段である。アイドリングストップ判定手段23は、
蓄電池の残存容量の測定手段22で検出した蓄電池の残
存容量がアイドリングストップ可能な水準にあるか否か
を判定する手段である。アイドリングストップ処理手段
24は、アイドリングストップ判定手段23でアイドリ
ングストップ可能であると判断したとき、エンジンを停
止してアイドリングストップ状態にする手段である。再
始動手段25は、アイドリングストップ終了後、エンジ
ンを再始動して自動車を走行させる手段である。
【0022】メモリ手段21、アイドリングストップ判
定手段23、アイドリングストップ処理手段24、再始
動手段25は、たとえば、自動車の制御を行う制御用コ
ンピュータ内に一体的に構成できる。
【0023】残存容量の判定水準 メモリ手段21に記憶する本発明の残存容量の判定基準
について述べる。本願発明者は、蓄電池の残存容量を判
定する実用的な方法および装置を製作するに際して下記
の判定基準を策定した。本発明は、アイドリングストッ
プ機能を有する自動車など車両の鉛蓄電池の残存容量を
測定するという限定のもとで、図2に図解したように、
鉛蓄電池の残存容量の判定水準を規定し、これらの水準
と該当する蓄電池の電池容量を後述する車両のアイドリ
ングストップ処理装置のメモリに記憶し、蓄電池の残存
容量の判断に使用する。
【0024】(1)第1水準:アイドリングストップ
後、車両の再始動に必要な電池容量 (2)第2水準:アイドリングストップ後、車両の再始
動に必要な電池容量と、所定時間アイドリングストップ
した際に必要とされる消費電力容量を加えた電池容量 (3)第3水準:第2水準の電池容量に第1の所定の電
池容量を加算した電池容量 (4)第4水準:第3水準の電池容量に第2の所定の電
池容量を加算した電池容量 (5)第5水準:第4水準の電池容量に第3の所定の電
池容量を加算した電池容量
【0025】第1水準の意味と規定した理由について述
べる。アイドリングストップ時、車両の一時停止中にエ
ンジンを停止するので、一時停止から再び走行を開始す
る際にエンジンのスタータなどを再始動する必要があ
る。第1水準は再起動の際に必要な電池容量が蓄電池に
残存していることを判断する値である。
【0026】第2水準の意味と規定した理由について述
べる。エンジンを停止する直前にエンジンを停止するこ
との判断を行なう際、エンジン停止後に再び走行を開始
する際の電池容量(第1水準)と、エンジンを停止して
からスタータなどを再始動してエンジンを再び始動する
までの間に、自動車の装備を稼働させるために必要な電
池容量を加えた電池容量が蓄電池に残存している必要が
ある。エンジンを停止してからエンジンを再始動するま
での間に、自動車の電気装備を稼働させるために必要な
電池容量を求めるためには、エンジンを停止してからエ
ンジンを再始動するまでの時間、即ち、アイドリングス
トップ時間を規定する必要がある。さらに、アイドリン
グストップ中に稼働される自動車装備で消費する電力量
を知る必要がある。しかしながら、アイドリングストッ
プ前に、アイドリングストップ時間およびその期間の電
力消費量を求めることは困難である。そこで、本発明の
実施の形態においては、標準的なアイドリングストップ
時間と、その間に消費する電池容量を推定し、これらの
推定した容量をメモリ手段21に記憶しておく。
【0027】アイドリングストップ判定手段23は、蓄
電池の残存容量がどの水準にあるかを監視するが、実際
のアイドリングストップ時間が上記推定した標準アイド
リングストップ時間を越えた場合、および/または、ア
イドリングストップ期間に消費した電池容量が上記推定
した標準的な電池容量を越えた場合、エンジン再始動に
必要な電池容量が不足してエンジンを再起動できない可
能性が起こる。
【0028】そこで、アイドリングストップ時間が上記
特定される時間を越える前、および/または、アイドリ
ングストップ期間に消費した電池容量が標準的な消費電
池容量を越える前に、蓄電池の残存容量の減少を抑え
る、または、蓄電池の電池容量を増加させる方法を適用
することが望ましい。そのため、本実施の形態において
は、アイドリングストップ処理手段24は、たとえば、
標準的なアイドリングストップ時間が経過した直後、ま
たは、アイドリングストップ期間に消費電力が標準的な
電池容量を超過した直後に、エンジンを再始動して発電
機を動作して蓄電池に充電する、あるいは、アイドリン
グストップ期間中に稼働中の装備の一部を停止する。
【0029】アイドリングストップ処理手段24が動作
してアイドリングストップする際は、最低限、第2水準
の電池容量が鉛蓄電池に残存容量として存在していなけ
ればならない。しかしながら、第2水準だけでは十分で
はない。そこで、さらに付加的な水準を設けることが望
ましい。付加的な水準について下記に述べる。
【0030】たとえば、ある情況のとき残存容量が第2
水準にあると判定した蓄電池を搭載した自動車がその
後、交通渋滞などの情況で空調機または暖房機などの電
気装備を使用しながら低速走行したために蓄電池からの
放電状態が長く続き、その後アイドリングストップした
時、その時の蓄電池の残存容量が、第2水準にあるかま
たは第2水準を下回っているかの判定が困難になり、ア
イドリングストップの判断が困難になる。そこで、第2
水準より大きな残存容量を判断するための付加的な水準
を最低1、好ましくは、1〜3水準持つことが望まし
い。これらの水準はメモリ手段21に記憶される。
【0031】第2水準より大きな残存容量を第3水準と
して設定した場合、第3水準にあると判定された蓄電池
を搭載した自動車が、上述した状態で走行して蓄電池か
らの放電状態が長く続き、その後、アイドリングストッ
プした時、第2水準と第3の水準の差の残存容量と、走
行中の放電量の推定値を比較すると第2水準にあるか否
かの判断が、アイドリングストップ判定手段23におい
て可能となる。
【0032】さらに残存容量不足を回避するための安全
を考慮すると、第4水準を設けることが望ましい。付加
的な水準はこのように複数設定できるが、このような付
加的な水準を多く設定すると残存容量測定装置が複雑に
なり、装置の価格も高くなる。さらに、ドライバなど利
用者にとって蓄電池の残存容量の認識が複雑になる。そ
のような観点からは、実用的には、付加的な水準は、1
〜3程度が好ましい。したがって、合計の水準は3〜5
程度である。
【0033】これら水準の値の決定は、蓄電池の容量、
スタータの起動電力、車載の装備の消費電力などを考慮
して決定する。
【0034】アイドリングストップ判定手段23は、蓄
電池の残存容量がどの水準にあるかを判定する。水準の
具体的な例については後述する。
【0035】蓄電池の残存容量測定手段22 アイドリングストップ処理手段24においてアイドリン
グストップを実施するに際して、第2水準以上の残存容
量が車載の鉛蓄電池にあるか否かを決定するため、蓄電
池の残存容量測定手段22により蓄電池の残存容量を知
る必要がある。本実施の形態の蓄電池の残存容量測定手
段22は、実用的で簡便かつ正確に蓄電池の残存容量を
測定する。その好適な方法と装置について図3を参照し
て述べる。
【0036】図3は本発明の蓄電池の残存容量測定手段
22としての第1実施の形態としての車載の鉛蓄電池の
残存容量を測定装置の構成図である。車両には、標準装
備として、スタータ1、発電機2、鉛蓄電池3、空調
機、暖房機、照明器具、運行案内装置、音楽装置、ラジ
オなどの電気装備4および液晶表示器などの結果を表示
する表示器9が搭載されている。蓄電池の残存容量測定
装置22Aは、電流計6、電圧計7、および、演算処理
装置8からなる。蓄電池の残存容量測定装置22Aに、
自動車の種々の制御を行う制御用コンピュータ10を含
めることができる。制御用コンピュータ10は、図1に
図解した車両のアイドリングストップ処理装置20のメ
モリ手段21、アイドリングストップ判定手段23、ア
イドリングストップ処理手段24、再始動手段25と一
体構成にすることもできる。
【0037】鉛蓄電池3の残存容量の算出と、残存容量
がどの水準にあるかを判定するため、電流計6、電圧計
7、演算処理装置8および制御用コンピュータ10は、
常時、鉛蓄電池3から駆動電力が供給され、動作可能に
なっている必要がある。したがって、第2水準に必要な
電池容量としては、上述した電気装備4で消費する電力
に加えて、これら電流計6、電圧計7、演算処理装置8
および制御用コンピュータ10で消費する電力も加える
必要がある。なお、一般に、電流計6、電圧計7、演算
処理装置8および制御用コンピュータ10で消費する電
池容量は、電気装備4などで消費する電力容量より少な
い。本実施の形態においては、便宜的に、第2水準の電
池容量として、電気装備4の電池容量に、電流計6、電
圧計7、演算処理装置8および制御用コンピュータ10
で消費する電池容量を含めたものとする。
【0038】電流計6は鉛蓄電池3の充放電電流を計測
する。電圧計7は鉛蓄電池3の端子電圧を測定する。演
算処理装置8は、鉛蓄電池3の残存容量を算出し、その
結果に基づいて、図2に図解した残存容量の水準を決定
し、制御用コンピュータ10と協動してアイドリングス
トップの判定を行う。演算処理装置8には、本実施の形
態の鉛蓄電池の残存容量の測定方法に関係する自動車の
動作(停止も含む)、運行に関する情報が、自動車の制
御用コンピュータ10から伝達される。したがって、演
算処理装置8は下記に述べる鉛蓄電池3の残存容量の算
出、および、上述した水準の判定に必要な情報は保持さ
れているものとする。演算処理装置8と制御用コンピュ
ータ10とは一体構成にすることもできるが、本実施の
形態においては、それぞれ、演算処理装置8と制御用コ
ンピュータ10とが独立している場合について述べる。
【0039】演算処理装置8はたとえば、メモリと、マ
イクロコンピュータなどのコンピュータと、電流計6お
よび電圧計7の計測信号を入力するためのA/D変換器
などを有する。下記に述べる演算処理は、コンピュータ
で行う。また、下記に述べる鉛蓄電池3の残存容量を算
出するためのデータはメモリに記憶される。
【0040】表示器9はすでに車載のパネルとして搭載
されている表示器と併用することが望ましい。すなわ
ち、下記に述べる表示器9の表示出力は、自動車のパネ
ル部分に、たとえば、スピード表示、故障表示などを行
う既存の表示器の一部に、蓄電池の残存容量表示モード
として表示される場合である。
【0041】蓄電池の残存容量測定の第1実施の形態 図4を参照して、図3に図解した鉛蓄電池の残存容量の
測定の処理方法および装置の第1実施の形態について述
べる。図4は図3に図解した本発明の第1実施の形態と
しての鉛蓄電池の残存容量の測定装置の動作を示すフロ
ーチャートである。図4に図解した処理の概要を述べ
る。
【0042】図4、ステップ1:残存容量算出のための
データ準備 鉛蓄電池3を車両に搭載した自動車の製造者、または、
鉛蓄電池3を交換した技術者は、事前に、第1〜第3水
準、あるいは、第1〜第4水準、または、第1〜5水準
に対応させて、それぞれの水準の電池容量に対応する、
車載の鉛蓄電池3の容量と同じか、または容量が大きい
基準蓄電池について事前に求めた放電電流値と、端子電
圧値を関係づけた放電電流・端子電圧特性(IV)デー
タを求めておき、演算処理装置8のメモリにIVテーブ
ルとして記憶しておく。このように、第1実施の形態の
残存容量の測定方法は、基準蓄電池について事前に求め
た定電流放電時の放電電流値Iと端子電圧Vの関係を用
いる。
【0043】IV関係データの求め方 図4のステップ1における満充電時の電池容量が複数の
水準で規定する放電容量のいずれより大きな電池容量を
有する蓄電池(これを基準蓄電池という)について、放
電電流と端子電圧との関係を求める方法について図5を
参照して述べる。図6は図5を参照して述べる放電試験
の結果を示すグラフである。
【0044】図5のステップ21〜26の処理は、図6
に図解したように、それぞれ一定の複数の1次放電電流
の各放電電流による1次放電、および、一定の2次放電
電流による2次放電を連続して行う。一定の1次放電電
流の値としては、それぞれの水準の電池容量において放
電されると仮定した値である。その具体例を述べると、
車載の鉛蓄電池3から車載の電気装備4に最高30Aが
流れることから、0A〜30Aの間で適切な値、たとえ
ば、5A、10A、20A、30Aが上記一定の複数の
1次放電電流の値である。2次放電電流は、たとえば、
0.2Cの放電を行う3.5Aまたは4Aである。0.
2Cとは放電率を示しており、5時間で放電しきる放電
の速さを意味している。0.2Cは、1/5Cとも表記
される。また、Cは蓄電池の満充電容量を示している。
【0045】図5、ステップ21:満充電処理工程 初期状態として、基準蓄電池を満充電状態にする。
【0046】図5、ステップ22:1次放電工程 図6に図解したように、満充電状態の基準蓄電池につい
て、所定の端子電圧に降下するまで、一定の複数の1次
放電電流の1つで定電流放電(1次放電)を行い、その
時の基準蓄電池の端子電圧を連続して測定し、所定の端
子電圧まで降下した放電経過時間を測定する。上記所定
の端子電圧とは、車両に搭載された鉛蓄電池3が放電し
ても正常に動作可能な端子電圧である。その具体例を述
べると、たとえば、公称定格電圧12Vの鉛蓄電池は、
1セル当たり約2Vの電池を6セル直列に接続し構成さ
れており、1セルの電池が1.75V以下になるまで放
電させた場合、過放電の為に電池自身にダメージを与え
る。したがって、本実施例では、1.75Vの6倍(6
セル分)である10.5Vを定電流放電における降下下
限電圧を意味する所定の端子電圧とする。
【0047】図5、ステップ23:1次放電による放電
容量と端子電圧との関係を求める 一定の1次放電電流値、たとえば、5Aで定電流放電を
行った1次放電電流値Iと放電時間Tとの積I×Tで規
定される放電容量に対する放電経過時間ごとに連続的に
測定した端子電圧との関係を求める。図6の横軸は放電
時間を示しているが、一定の放電電流で定電流放電を実
施しているから、実質的に基準鉛蓄電池の放電容量を示
している。図6の縦軸は基準鉛蓄電池の端子電圧を示
す。図6に図解したグラフは、定電流放電を行う1次放
電電流の大きさによって所定の端子電圧、たとえば、1
0.5Vまで降下するまでの放電容量が異なることを示
している。
【0048】図5、ステップ24、25:降下下限電圧
のチェック、1次放電停止 図6に図解したように、所定の端子電圧、たとえば、1
0.5Vまで降下した時、1次放電電流による定電流放
電(1次放電)を停止する。1次放電を停止すると、基
準蓄電池の端子電圧は上記所定の端子電圧より少し上昇
する。
【0049】図5、ステップ26:2次放電 次いで、一定の2次放電電流、たとえば、4Aで、基準
蓄電池の端子電圧が再び10.5Vまで降下(垂下)す
るまで、定電流放電(2次放電)を行い、所定の端子電
圧まで降下した時までの2次放電時間を測定する。
【0050】図5、ステップ27:2次放電の停止 基準蓄電池の端子電圧が再び、10.5Vまで降下した
時、2次放電を停止する。
【0051】図5、ステップ28:放電容量算出工程 たとえば、上述した水準1の電池容量Aにおける、1次
放電工程における第1の放電容量D1(=Id1×T
1)と、2次放電工程における第2の放電容量D2(=
Id2×T2)とから下記の演算による一定の1次放電
電流における合計放電容量D3を演算する。
【0052】
【数1】 D3=D1+D2−A =(Id1×T1)+(Id2×T2)−A ただし、Id1は1次放電電流の値であり、T1は1次
放電により降下下限電圧まで端子電圧が降下した放電時
間であり、Id2は2次放電電流の値であり、T2は2
次放電により降下下限電圧まで端子電圧が降下した放電
時間である。
【0053】図5、ステップ29:反復処理 上記ステップ21〜30の処理を、1次放電電流5A、
10A、20A、30Aの各々について1次の定電流放
電を行う。2次放電電流は、1次放電電流の値に依存せ
ず、一定の4Aで定電流放電を行う。
【0054】図5、ステップ30:IV特性の整理 各1次放電電流における放電容量D3ごと、ステップ2
2において求めた放電容量・端子電圧(IV)特性を整
理して、各放電容量ごとの放電電流と端子電圧との関係
を示す特性曲線を求める。
【0055】図5、ステップ31:近似処理工程 上記放電電流と端子電圧の関係を示す曲線のデータを全
てテーブルとしてメモリに記憶するとメモリ使用容量が
多くなるから、上記特性曲線を近似式で表すことが望ま
しい。近似式で表すことができれば、演算処理装置8の
メモリには、近似式を表す係数(パラメータ)のみ記憶
するだけで済むので、メモリの使用量が少なくなる。車
載の車両のアイドリングストップ処理装置20は通常、
メモリ容量に限界がある場合が多く、メモリの使用量が
少ないことが望ましい。さらに、近似式が直線のように
簡単な場合、放電電流と端子電圧をテーブルルックアッ
プする時間より、近似式演算処理時間が短くなるという
利点もある。
【0056】本願発明者の実験によれば、基準蓄電池ま
たは車載の鉛蓄電池3として鉛蓄電池を用いた場合、図
8(A)〜(D)に図解したように、放電容量ごとに、
放電電流値と端子電圧との関係は、たとえば、最小二乗
法で近似した場合、直線(一次式)で近似できることが
判った。近似式が直線ならば、演算処理装置8のメモリ
に記憶するデータは、直線の傾きデータと切片データで
よい。
【0057】図5、ステップ32:近似直線パラメータ
の保存 本実施の形態では、放電容量ごと、傾きデータと切片デ
ータとの組を複数組準備して、演算処理装置8のメモリ
に記憶する。一次式で近似できることは、メモリに記憶
するべきデータ数が非常に少なくてすむという利点に加
えて、演算処理を簡単になるという利点がある。ひいて
は、その結果、演算処理装置8の製造が容易になり、低
価格で製造できるという効果を奏する。
【0058】図4のステップ1の処理が終了したら、図
4のステップ2以降の車両に搭載した鉛蓄電池3の残存
容量を、図1に図解した蓄電池の残存容量測定手段22
によって、実際に推定する処理を行う。蓄電池の残存容
量測定手段22は、図3に図解した、電流計6、電圧計
7、演算処理装置8からなる。
【0059】図4、ステップ2:放電電流および端子電
圧の計測 図3に図解した構成において、車載の鉛蓄電池3の充放
電電流を電流計6で計測し、電圧計7で鉛蓄電池3の端
子電圧を連続的に計測する。電流計6で計測した放電電
流、および、電圧計7で検出した鉛蓄電池3の端子電圧
は連続的なアナログ信号、たとえば、電圧信号として出
力される。
【0060】図4、ステップ3:端子電圧の推定 演算処理装置8内のコンピュータは、A/D変換器でデ
ィジタル信号に変換された電流計6の電流計測値および
電圧計7の電圧計測値を所定のサンプリング周期、たと
えば、1秒周期で入力する。演算処理装置8は入力した
電流計6の計測値Amを、図5を参照して述べた処理に
よって、演算処理装置8のメモリに記憶されている各放
電容量Diごとの傾きデータaiと切片データbiとを
用いて、下記式で規定される演算を各放電容量Diにつ
いて行って、アイドリングストップを行っていない状態
の車載の鉛蓄電池3の推定端子電圧Veiを、各放電容
量ごとに、推定する。
【0061】
【数2】Vei=(Am×ai)+bi
【0062】図4、ステップ4:残存容量の推定 演算処理装置8は、電圧計7で計測した端子電圧Va
を、上記推定した複数の推定端子電圧Veiと比較し
て、計測した端子電圧Vaがどの推定端子電圧Veiに
近いかを判断する。電流計6で測定した電流は、必ずし
も、基準蓄電池について1次放電試験を行ったときの
5、10、20、30Aではない場合が多い。鉛蓄電池
3の残存容量も図8(A)〜(D)に例示した値ではな
い。したがって、演算処理装置8は、電圧計7で測定し
た鉛蓄電池3の端子電圧が最も近似する推定端子電圧V
eiに対応する放電容量Diを、鉛蓄電池3の残存容量
として推定する。
【0063】このようにして推定した鉛蓄電池3の残存
容量は、上述した複数の水準を規定した電池容量に対応
している。したがって、演算処理装置8で算出した残存
容量は図1に図解した車両のアイドリングストップ処理
装置20のアイドリングストップ判定手段23における
鉛蓄電池3の残存容量からアイドリングストップ可能か
否かの判定に利用できる。
【0064】蓄電池の放電電流値は、蓄電池の寿命、季
節、時刻、天候、運転者、走行状態によって、多様な値
をとる。そのため、本発明の第1実施の形態のように、
広範囲な電流値において蓄電池の残存容量の判定ができ
ることは、実用上、極めて有用である。
【0065】第1実施の形態の実施例(具体例) 以下、蓄電池の残存容量測定の第1の実施の形態の実施
例、および、その実施例を適用した、本発明の実施の形
態の車両のアイドリングストップ処理装置20実施例を
述べる。車両のアイドリングストップ処理装置20の実
施例として、アイドリングストップ機能を有し、かつ、
バッテリーとして鉛蓄電池を有する自動車において、蓄
電池の残存容量測定手段22として図3に示した鉛蓄電
池の残存容量測定装置22Aを用いて、各種温度条件
で、エンジン始動に必要な鉛蓄電池の容量を試験した。
【0066】第1水準の決定 車載の鉛蓄電池3の具体例として満充電時の容量が20
アンペア・アワー(Ah)のものを用いた。実測の結
果、スタータ1を起動してエンジン始動に必要な鉛蓄電
池3の容量は余裕をみて8Ahであった。したがって、
本実施例では第1水準の放電容量を8Ahとした。第1
水準の電池容量は、鉛蓄電池3の満充電時の電池容量の
40%である。
【0067】第2水準の決定 アイドリングストップを行なう標準時間を3分間と仮定
し、アイドリングストップ期間、鉛蓄電池3から車載の
電気装備4に最高30Aの電流が流れると仮定した。ア
イドリングストップ時の電気装備4で消費する電池容量
の標準値は、30A×(3分/60分)=1.5(A
h)となる。第1水準の電池容量が8Ahと、アイドリ
ングストップ期間の電気装備4の消費電力が1.5Ah
との合計は9.5Ahであるが、本実施例では余裕をみ
て、第2水準の電池容量を10Ahとした。
【0068】第3、4水準の決定 第2水準の10Ahと満充電時の電池容量20Ahとの
間に、本実施例では、第3水準の電池容量として13A
h、第4水準の電池容量として18Ahを設定した。本
実験例では、付加的な水準は第3および第4の水準だけ
にした。
【0069】基準蓄電池についてのIV特性データの採
以下、図5を参照して述べた、図4のステップ1の処理
による、図6、図7の特性データの採取方法についての
実施例を述べる。
【0070】(1)基準蓄電池の満充電状態からの1次
放電電流による定電流放電における端子電圧の測定 満充電時の電気容量が鉛蓄電池3の容量20Ahと同じ
20Ahの鉛蓄電池を基準蓄電池とし、公知の方法によ
って1次放電電流による定電流放電を行ない、放電の際
の基準蓄電池の端子間電圧を連続的に実測した。定電流
放電における各1次放電電流として、鉛蓄電池3の容量
と同じ基準鉛蓄電池に対して、5A、10A、20A、
30Aで1次放電試験を行った。このような1次定電流
放電値は、車載の鉛蓄電池3から車載の電気設備に最高
30Aが流れることから、0A〜30Aの間で適切な値
として仮定したものである。
【0071】図7は上記実験で求められた基準鉛蓄電池
の1次放電電流による定電流放電における各放電電流値
に対する端子電圧の関係を示したグラフである。図7の
横軸は基準鉛蓄電池の放電容量Dを示し、縦軸は基準鉛
蓄電池の端子電圧を示す。1次放電電流で定電流放電し
た場合、1次放電電流値の相違により端子電圧の垂下特
性が異なる。
【0072】図6に図解したように、蓄電池に対し、そ
の端子電圧が所定の降下下限電圧、たとえば、10.5
Vに低下するまで複数の放電電流Ii、たとえば、5
A、10A,20A、30Aで1次定電流放電を継続
し、それぞれの定電流放電を行った1次放電時間T1i
を測定した。ここで、インデックスiは各放電電流を識
別するために用いる。1次放電時間T1iとそれぞれの
定電流放電の電流値Iiを乗じて、各定電流放電におけ
る第1の放電容量D1i(=Ii×T1i)を求めた。
【0073】降下下限電圧10.5Vの根拠について述
べる。公称定格12Vの鉛蓄電池は、1セル当たり約2
Vの電池を6セル直列に接続し構成されている。1セル
の電池が1.75V以下になるまで放電させた場合、過
放電の為に電池自身にダメージを与えることとなる。し
たがって、本実施例では、1.75Vの6倍(6セル
分)である10.5Vを定電流放電における降下下限電
圧とした。
【0074】(2)2次放電電流による定電流放電にお
ける端子電圧の測定 1次放電電流における定電流放電によって端子電圧が1
0.5Vに達した基準鉛蓄電池について、引き続き、一
定の2次放電電流、たとえば、4Aで2次定電流放電を
行なった。図6に図解したように、1次放電を停止する
と、基準蓄電池の端子電圧は上記電圧10.5Vより少
し上昇するが、再び端子電圧が降下下限電圧10.5V
に低下するまで放電を継続した。4Aで2次定電流放電
を開始して端子電圧が降下下限電圧10.5Vに低下す
るまでの2次放電時間T2jを測定した。
【0075】(3)放電容量の計算 2次放電時間T2jと放電電流値=4Aを乗じて第2の
放電容量D2j(=4×T2j)を求めた。
【0076】第1の放電容量D1i(=Ii×T1i)
と、第2の放電容量D2j(=4×T2j)との値は、
それぞれ1次定電流放電の電流値Iiによって異なる値
となった。
【0077】1次定電流放電値5A、10A、20A、
30Aのそれぞれの実験結果について、下記の演算を行
った。
【0078】
【数3】D1i+D2j−8=D38
【0079】記号D38 は、第1水準の電池容量8Ah
に対する第3の放電容量D3を意味する。図7から演算
した放電容量D38 に相当する端子電圧Vd8 を読みと
った。ここで読みとった定電流放電の電流値と電圧Vd
8 をプロットして、図8(A)の特性を得た。
【0080】第2水準の電池容量10Ahについての第
3の放電容量D310については下記の演算を行って求め
る。
【0081】
【数4】D1i+D2j−10=D310
【0082】図7から演算した放電容量D310に相当す
る端子電圧Vd10を読みとった。ここで読みとった定電
流放電の電流値と電圧Vd10をプロットして、図8
(B)の特性を得た。同様にして、放電容量D320に相
当する端子電圧Vd20を読み取り、その結果をプロット
して図8(C)の特性を求めた。さらに、放電容量D3
30に相当する端子電圧Vd30を読み取り、その結果をプ
ロットして図8(D)の特性を得た。
【0083】図8(A)は、基準鉛蓄電池の残存容量が
第1水準の電池容量である8Ahの放電電流値と鉛蓄電
池の端子電圧との関係を示す特性曲線(直線)L1を図
解したグラフである。直線L1は、傾きa1 と切片b1
とで規定される。図8(B)は、基準鉛蓄電池の残存容
量が第2水準の電池容量である10Ahの放電電流値と
鉛蓄電池の端子電圧との関係を示す特性曲線(直線)L
2を図解したグラフである。直線L2は、傾きa2 と切
片b2 とで規定される。図8(C)は、基準鉛蓄電池の
残存容量が第3水準の電池容量である13Ahの放電電
流値と鉛蓄電池の端子電圧との関係を示す特性曲線(直
線)L3を図解したグラフである。直線L3は、傾きa
3 と切片b3 とで規定される。図8(D)は、基準鉛蓄
電池の残存容量が第4水準の電池容量である18Ahの
放電電流値と鉛蓄電池の端子電圧との関係を示す特性曲
線(直線)L4を図解したグラフである。直線L4は、
傾きa4 と切片b4 とで規定される。
【0084】図8(A)〜(D)に示した特性曲線(直
線)L1〜L4は、放電電流値と端子電圧との関係(I
V特性、または第1の特性)を、たとえば、最小二乗法
による近似した結果であり、それぞれがほぼ直線として
表すことが出来た。図8(A)〜(D)に図解した放電
電流値Ii と端子電圧Vi の関係を示す曲線Liは、傾
きをai 、縦軸の切片をbi で示したとき、下記式で表
すことができる。
【0085】
【数5】 Li: Vi =ai ・I+bi ・・・(1)
【0086】図8(A)〜(D)の曲線について具体的
に述べると下記式で表すことができる。
【0087】
【数6】 L1 : V1 =a1 ・I+b1 ・・・(1a) L2 : V2 =a2 ・I+b2 ・・・(1b) L3 : V3 =a3 ・I+b3 ・・・(1c) L4 : V4 =a4 ・I+b2 ・・・(1d)
【0088】このようにして求めた、放電電流と端子電
圧との関係(IV特性または第1の特性)を、具体的に
は、傾きai と切片の値bi とを対にして、電池容量ご
とに整理して、図3に図解した演算処理装置8のメモリ
にテーブルの形式でIVテーブルとして記憶させた。メ
モリに記憶させるデータは、上述したパラメータだけな
ので、演算処理装置8のメモリの使用量は非常に少なく
てすんだ。以上の処理が、図4に図解したステップ1の
準備作業に該当する。
【0089】上述した準備作業の後、実際に鉛蓄電池3
を自動車などの車両に搭載して、図4のステップ2以降
の動作を行った。
【0090】鉛蓄電池3の搭載 満充電容量が20Ahである鉛蓄電池3を車両に搭載し
た。自動車に搭載した鉛蓄電池3としては、公知の方法
で鉛蓄電池の放電を行ない、残存容量を17Ahに調整
したものを用いた。なお、上記データの採取に用いた基
準蓄電池の容量は20Ahであった。
【0091】アイドリングストップ状態における測定 自動車のエンジンを停止した状態で、すなわち、アイド
リングストップ状態で、電流計6で鉛蓄電池3の放電電
流を計測しながら電流値Amの定電流放電を、短時間、
たとえば、2秒間行ない、鉛蓄電池3の端子電圧を電圧
計7で測定して電圧値Vmを得た。
【0092】アイドリングストップ状態における推定端
子電圧の演算 演算処理装置8のコンピュータにおいて、メモリから上
述した直線L1〜L4のそれぞれの傾きデータa1 〜a
4 と切片データb1 〜b4 を読み出し、電流計6で測定
した放電電流値Amを代入して、第1〜第4水準に対応
する端子電圧の推定値Um1 〜Um4 を計算した。
【0093】水準の判定 その後、電圧計7で測定した電圧値Vmと、各水準を示
す端子電圧の推定値Umj について下記の電圧範囲の判
定を行った。
【0094】
【数7】Vm>Um4 Um4 >Vm>Um3 Um3 >Vm>Um2 Um2 >Vm>Um1
【0095】この電圧比較判定により、電圧計7で測定
した端子電圧Vmがどこに位置するかが判る。たとえ
ば、Um4 >Vm>Um3 であれば、鉛蓄電池3は第3
水準の残存容量を持つ。
【0096】アイドリングストップ状態の放電容量の測
次に、アイドリングストップにおけるエンジンを停止し
た状態で、すなわち、発電機2を停止させた状態で、電
気装備4を動作させておき、ある時間だけ、鉛蓄電池3
を放置して放電させた。この期間は、鉛蓄電池3の電力
のみで電気装備4が動作しているアイドリングストップ
状態である。その後、電気装備4の動作を停止した。
【0097】アイドリングストップ期間の電流積算 以上の期間、演算処理装置8は、電流計6による放電電
流の計測値を連続的に読み取り、電流計測値を累積して
鉛蓄電池3から放電された電流値の積算を行なった。実
験によればその値は7Ahに相当した。
【0098】エンジンを停止した状態で、電流値Anの
定電流放電を短時間、たとえば、3秒間行ない、電圧計
7で鉛蓄電池3の端子電圧を測定して電圧値Vnを得
た。
【0099】アイドリングストップ期間の容量推定 演算処理装置8のコンピュータにおいて、メモリから上
述した直線L1〜L4のそれぞれの傾きデータa1 〜a
4 と切片データb1 〜b4 を読み出し、電流計6で測定
した電流値Anを代入して、鉛蓄電池3の端子電圧の推
定値電圧Un1〜Un4 を計算した。
【0100】その後、電圧計7で実際に測定した鉛蓄電
池3の電圧値Vnについて下記の電圧範囲の判定を行っ
た。
【0101】
【数8】Vn>Un4 Un4 >Vn>Un3 Un3 >Vn>Un2 Un2 >Vn>Un1
【0102】この電圧比較判定により、アイドリングス
トップ期間に電圧計7で実際に測定した端子電圧Vnが
どこの水準に位置するかが判る。たとえば、Un3 >V
n>Un2 であれば、鉛蓄電池3は第2水準の残存容量
を持つ。
【0103】鉛蓄電池3の残存容量が第2水準にある場
合、アイドリングストップ期間でも、エンジン始動に必
要な残存容量が鉛蓄電池3に存在していることになる。
その後、エンジンの始動実験を行なったところ、エンジ
ンの始動を行なうことができた。
【0104】エンジン始動後、一定時間経過した後にエ
ンジンを停止した。エンジンを停止した状態で、電流値
Apの定電流放電を、短時間、たとえば、5秒間行な
い、鉛蓄電池3の端子電圧を電圧計7で測定し、電圧V
pを得た。
【0105】推定端子電圧の計算 演算処理装置8のコンピュータにおいて、メモリから上
述した直線L1〜L4のそれぞれの傾きデータa1 〜a
4 と、切片データb1 〜b4 を読み出し、電流計6で測
定した電流値Apを代入して、端子電圧の推定値電圧U
1 〜Up4 を計算した。
【0106】その後、電圧計7で測定した電圧値Vpに
ついて下記の電圧範囲の判定を行った。
【0107】
【数9】Vp>Up4 Up4 >Vp>Up3 Up3 >Vp>Up2 Up2 >Vp>Up1
【0108】この比較判定により、電圧計7で測定した
端子電圧Vpがどこの水準に位置するかが判る。たとえ
ば、Up3 >Vp>Up2 であれば、アイドリングスト
ップ後の鉛蓄電池3は第2水準の残存容量を持つ。
【0109】評価 この後、鉛蓄電池3の残存容量を、公知の鉛蓄電池の残
存容量の測定方法、たとえば、電流積算法を改良した特
開平9−171065号公報に記載された発明で測定を
行なったところ、鉛蓄電池3の残存容量は11Ahであ
った。この残存容量は上述した第2水準の電池容量以上
であり、第3水準の電池容量以下であるから、鉛蓄電池
3は第2水準の残存容量を示していた。
【0110】上述した実施例をまとめると下記になる。
(1)事前に、基準の蓄電池について、特定の放電容量
ごと放電試験を行い、放電電流と基準蓄電池の端子電圧
との関係を近似処理して直線で表して、それらの直線を
示す傾きデータと切片データとを求めて、各放電容量ご
と演算処理装置8のメモリに記憶させておき、(2)実
際に車載の鉛蓄電池3を用いて、電流計6および電圧計
7の計測値を演算処理装置8に入力し、演算処理装置8
において、メモリに記憶させた傾きデータと切片データ
に電流計6で計測した放電電流を代入して端子電圧の予
測値を算出し、(3)算出した端子電圧の予測値と電圧
計7で計測した電圧値の大小比較を行って、電圧計7で
測定した鉛蓄電池3の端子電圧が予測した端子電圧のど
こに位置するかによって鉛蓄電池3の残存容量の水準を
推定する。また、電流計6で連続して計測した放電電流
値を演算処理装置8において累積して、累積した積算電
流値を用いて蓄電池の残存容量の水準を判定することも
できる。
【0111】このようにした決定した水準は、演算処理
装置8から車両のアイドリングストップ処理装置20の
メモリ手段21に送出される。車両のアイドリングスト
ップ処理装置20のアイドリングストップ判定手段23
は残存容量を水準データを参照して、自動車の一時停止
時にアイドリングストップを行うか否かを判断し、アイ
ドリングストップ処理手段24はアイドリングストップ
を行う。
【0112】鉛蓄電池3の残存容量は演算処理装置8か
ら表示器9に表示され、ドライバに対する情報を提供す
ることができる。
【0113】本発明の第1実施の形態は、鉛蓄電池3の
残存容量の絶対値を算出するものではないが、アイドリ
ングストップを行うか否かの判断のための鉛蓄電池3の
残存容量の状態が水準として判るので、アイドリングス
トップ機能を有する自動車に適用できる。第1実施の形
態の方法は、図4に示したステップ1に示した準備作業
の後の、電流計6と電圧計7の測定結果を用いた演算処
理装置8で行う処理は、簡単であり、実施が容易であ
る。したがって、図3に図解した電流計6、電圧計7お
よび演算処理装置8を有する第1実施の形態の鉛蓄電池
の残存容量の測定装置は低価格で容易に大量生産できる
ので、種々の自動車などに搭載して適用することができ
る。
【0114】以上、蓄電池として鉛蓄電池3を用いた場
合について述べたが、第1実施の形態は、電解液の比重
を指標にしないし、内部インピーダンスを用いないし、
鉛蓄電池に特定した処理を行わないので、二次電池とし
て、鉛蓄電池以外の蓄電池についても適用できる。
【0115】変形態様 温度または劣化状態により、鉛蓄電池3の残存容量の水
準における、放電電流量と端子電圧値の関係が変化する
特性を有する鉛蓄電池を用いた場合、必要に応じて、判
定すべき残存容量のそれぞれの水準において、温度及び
/または劣化状態に応じた、放電電流値と端子電圧値の
データテーブルを用意して、その結果で上述した値を補
正することが望ましい。温度及び/または劣化状態に応
じてデータテーブルを追加して用意する場合、用意する
べきデータテーブルが多くなることによって、装置のコ
ストが高くなるという問題が起こる可能性がある。その
場合、予め、温度及び/または劣化状態による補正パラ
メータを求めておき、補正パラメータにより、鉛蓄電池
の残存容量の水準ごとの、放電電流値と端子電圧値の関
係の補正を行なうことが望ましい。こうすることによっ
て、判定すべき水準ごとに一つのデータテーブルを用意
すればいいことになり、装置の価格を低減することが可
能になる。
【0116】蓄電池の残存容量測定の第2実施の形態 上述した蓄電池の残存容量測定の第1実施の形態におい
ては、下記に詳述するように、蓄電池が満充電状態から
離れた時に、蓄電池の残存容量の推定が不正確になるこ
とを見いだした。第2実施の形態は、第1実施の形態を
改良したものである。
【0117】第1実施の形態の改善事項の考察 第1実施の形態の残存容量の測定方法は、(1)まず、
図9(A)〜(D)に例示したように、アイドリングス
トップ中の放電電流として想定した1次放電電流(たと
えば、5,10,15,20A)で降下下限電圧(たと
えば、10.5V)まで放電させた時の第1放電容量D
1と、2次放電電流である0.2Cである3.2A(ま
たは4A)で再び降下下限電圧まで定電流放電させた時
の第2放電容量D2を合計した第3放電容量D3=Dl
+D2を求め、第3放電容量D3から、各水準における
残存容量A(たとえば、5Ah、10Ah)などを差し
引いた放電容量、たとえば、D3−5(Ah)における
「放電電流」と「端子電圧」をIV特性として採用し
た。
【0118】表1は、図9(A)〜(D)に図解した状
態で放電を行ったときに実測した放電容量を示す。
【0119】
【表1】 放電電流値 放電容量 1次放電→ 2次放電 1次放電量 2次放電量 合計放電容量 5ADC → 3.2ADC 12310 + 560 =12870 mAh 10ADC → 3.2ADC 11609 + 2133 =13642 mAh 15ADC → 3.2ADC 11373 + 2635 =14026 mAh 20ADC → 3.2ADC 11089 + 3822 =14911 mAh
【0120】表1の実測データから明らかなように、1
次放電電流値の大きさによって合計放電容量が異なるこ
とが判った。1次放電電流が大きいほど、合計放電容量
が大きくなる傾向があり、その合計放電容量は5時間率
の電流である3.2Aで放電し続けて求める5時間率容
量よりも大きくなる。したがって、蓄電池の残存容量が
満充電状態に近い状態で、かつ、放電電流が大きいほ
ど、残存容量推定値と実測した放電容量値との間の差
(誤差)が大きくなる。換言すれば、蓄電池が満充電状
態に近い第5水準または第4水準のときよりも、エンジ
ン始動可否の判定として考慮する第1水準または第2水
準のときの上記誤差は小さく、上述した方法を使用して
もアイドリングストップの可否の判定について実用上は
問題はない。しかしながら、蓄電池の充電状態、放電電
流の大きさに依存せず、より正確な残存容量を判断する
方法を第2実施の形態として下記に述べる。
【0121】第2実施の形態は正確に蓄電池の残存容量
を算出する、第1実施の形態のIV法を改良した方法を
提示する。なお、第1実施の形態のIV法は簡単である
という利点を有するので、第2実施の形態はその基本内
容を活用しつつ、より正確な残存容量の算出を行う。
【0122】図10は第2実施の形態の処理を示すフロ
ーチャートである。図10を参照して、第2実施の形態
の蓄電池の残存容量測定の概要を述べる。
【0123】ステップ1A:パラメータの事前準備 ステップ1Aの処理は、図4のステップ1の処理に対応
するが、その詳細は図11を参照して述べる。ステップ
1Aにおいて、車載の鉛蓄電池3の容量と同じ基準蓄電
池を用いて、所定の時間率、および、各SOCについ
て、図12に例示したように、複数の1次放電電流によ
る1次放電、その後、2次放電電流による定電流放電を
行い、1次放電における放電電流と蓄電池の基準蓄電池
の端子電圧との関係を求め、好ましくは、その関係を曲
線または直線近似し、その結果を演算処理装置8のメモ
リに記憶する。上記処理は、図4のステップ1の処理と
は、基準蓄電池を用いる点では共通するが、ステップ1
においては満充電状態の基準蓄電池を用いること、およ
び、1次放電が複数の1次放電電流のそれぞれについて
別個に、かつ、定電流放電を行い、その後、2次放電電
流で定電流放電を行ったので、ステップ1Aとは全く異
なる。
【0124】ステップ2A:車載の鉛蓄電池3について
放電電流と端子電圧の測定 この処理自体は、第1実施の形態(図4、ステップ2)
と同様であり、電流計6および電圧計7を用いて鉛蓄電
池3の放電電流と端子電圧を測定する。
【0125】ステップ3A:アイドリングストップ(I
S)が行われたか否かのチェック 車載の鉛蓄電池3は、エンジンが動作して発電機2が動
作しているときは発電機2から充電されているから、通
常、アイドリングストップ直後は、鉛蓄電池3の端子電
圧は高い電圧になっている。アイドリングストップ時間
が経過すると、図18に例示したように、鉛蓄電池3の
端子電圧は電気装備4などによる放電により減少してい
く。スイッチをオフしてエンジンを停止した状態で電気
装備4を動作させている場合も、鉛蓄電池3の残存容量
は減少する。しかしながら、このような状態はアイドリ
ングストップではないので、本発明の対象から外す。
【0126】ステップ4A,5A:アイドリングストッ
プ中の処理 図21を参照して詳述するが、この場合、鉛蓄電池3の
収束電圧を算出して、鉛蓄電池3の残存容量を推定す
る。詳細は後述するが、本願発明者の検討によれば、車
載の鉛蓄電池3の端子電圧および放電電流を測定した結
果から、アイドリングストップ後、事前に算出しておい
た推定残存容量のどれに該当するかを判定する際、鉛蓄
電池3の端子電圧の収束電圧を用いると正確に鉛蓄電池
3の残存容量を推定できることが判った。
【0127】ステップ6A:第3実施の形態の処理 後述する電流積算による鉛蓄電池3の残存容量を推定を
行う。
【0128】以下、第2実施の形態の詳細について述べ
る。前提条件 第2実施の形態における残存容量の推定のための前提条
件を述べる。 (1)蓄電池の残存容量の推定は、車載の鉛蓄電池3の
残存容量の推定であり、スタータ1でエンジンを始動す
るために必要な下限容量や、アイドリングストップ中に
電気装備4などで消費される電力容量が鉛蓄電池3に存
在するか否かを判断するために使用する。 (2)IV法で求めた推定端子電圧を参照して堆定する
残存容量は、所定時間率、たとえば、5時間率での残存
容量(0.2Cでの放電容量)で表すこととする。 (3)エンジン始動時に必要な下限容量を求める試験で
SOCを変化させる時の放電電流値を0.2Cで行って
いるとすれば、IV法で求めた推定端子電圧を参照して
推定した5時間率での残存容量は、そのままエンジン始
動時の下限容量値と比較することが可能であり、上述し
た第1実施の形態における問題は起きない。また、同様
にアイドリングストップ中に電気装備4などで消費され
る電力容量についても5時間率の残存容量で考えて差し
支えない。
【0129】改良型IVテーブル取得方法の基本 上記前提条件のもと、図11〜図13を参照して第2実
施の形態の改良型IVテーブルの取得方法の基本につい
て述べる。図11は、第2実施の形態の改良型IVテー
ブルの取得方法を述べるフローチャートである。図12
(A)〜(C)は、第2実施の形態における改良型IV
テーブルの取得方法における蓄電池の放電状態と端子電
圧を測定する状態を示したグラフである。図13は図1
2(A)〜(D)の動作処理を示すフローチャートであ
る。
【0130】図11に図解した残存容量の推定データの
採取方法の概要を述べる。
【0131】ステップ31:5時間率100%状態での
1次放電試験 基準蓄電池について、たとえば、5時間率容量100%
の状態での第1回の1次放電を、各1次放電電流値に対
する端子電圧測定を行う。具体的には、図13、ステッ
プ101、102の処理を行う。ステップ101:基準蓄電池の満充電処理 SOC100%の状態(満充電状態)で、アイドリング
ストップ中の放電電流として想定した、たとえば、公称
定格電圧12V、容量20Ahの基準蓄電池を満充電状
態にする。ステップ102:第1回の1次放電試験 図12(A)に図解したように、順次連続的に、(1)
5Aで極短時間放電し、放電後の基準蓄電池の端子電圧
V51 を測定し、(2)10Aで極短時間放電し、放電
後の基準蓄電池の端子電圧V101 を測定し、(3)2
0Aで極短時間放電し、放電後の基準蓄電池の端子電圧
V201 を測定し、(4)30Aで極短時間放電し、放
電後の基準蓄電池の端子電圧V301 を測定する。各放
電電流5,10,20,30Aによる放電後に測定した
基準蓄電池の端子電圧V51 、V101 、V201 、V
301 が5時間率容量100%の状態での各電流値5,
10,20,30Aに対する電圧となる。このように第
2実施の形態の放電電流と基準蓄電池の端子電圧との測
定は、5時間率100%での放電試験であり、図6を参
照して述べた第1実施の形態とは異なる。
【0132】ステップ32:各SOC状態での2次放電
試験 各SOC状態での一定の2次放電電流で所定時間、定電
流放電を行う。具体的には、図13、ステップ103の
処理を行う。ステップ103:2次定電流放電試験 図12(B)に図解したように、2次放電電流0.2C
の電流、たとえは、4Aで、所定時間、基準蓄電池につ
いて定電流放電を行い第1のSOCまで基準蓄電池の充
電状態を下げる。この試験はn回反復される。
【0133】ステップ33:1次放電試験 ステップ32の処理の後、ステップ31と同様、基準蓄
電池について、第2回以降の1次放電試験を行い、各1
次放電電流値に対する端子電圧を測定する。具体的に
は、図13、ステップ104の処理を行う。ステップ104 :図12(C)に図解したように、ステ
ップ103後のSOC状態から、順次、(1)5Aで極
短時間放電し、放電後の基準蓄電池の端子電圧V52
測定し、(2)10Aで極短時間放電し、放電後の基準
蓄電池の端子電圧V102 を測定し、(3)20Aで極
短時間放電し、放電後の基準蓄電池の端子電圧V202
を測定し、(4)30Aで極短時間放電し、放電後の基
準蓄電池の端子電圧V302 を測定する。この放電試験
により、各放電電流5,10,20,30Aによる放電
後に測定した基準蓄電池の端子電圧V52 、V102
V202 、V302 が第2のSOC状態での各電流値
5,10,20,30Aに対する電圧となる。この試験
はm回反復される。
【0134】ステップ34:反復処理 図12(A)〜(D)および図13を参照して述べるよ
うに、基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧まで低下す
るまでステップ32〜33の処理を反復する。具体的に
は、図13、ステップ105の処理を行う。
【0135】これにより、各放電電流5,10,20,
30Aによる放電後に測定した基準蓄電池の端子電圧V
k 、V10k 、V20k 、V30k が第kのSOC状
態での各電流値5,10,20,30Aに対する電圧と
して求められる。以上により、k個のSOC状態の各電
流値5,10,20,30Aに対する基準蓄電池の端子
電圧が得られる。
【0136】なお、基準蓄電池の放電が進んでいき基準
蓄電池のSOCが低い状態になったとき、高い電流値、
たとえば、30Aで放電させたときに基準蓄電池の端子
電圧が降下下限電圧(たとえば、10.5V)を下回る
ことが予想される場合には、そのような高い電流値での
放電は行わず、30A以下の低い電流、たとえば、20
A、10A、5Aのみで放電を行う。20Aでの放電で
降下下限電圧を下回る場合も上記同様である。
【0137】ステップ35:最終の2次放電試験 ステップ33の1次放電により、基準蓄電池の端子電圧
が降下下限電圧まで低下したら1次放電試験を停止す
る。これにより、基準蓄電池の端子電圧が少し上昇す
る。ステップ32と同様、一定の2次電流で定電流試験
を行い、再び、基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧ま
で低下する最終2次放電時間を測定する。具体的には、
図13、ステップ106の処理を行う。
【0138】ステップ36:放電停止 ステップ107のごとく、放電を停止する。
【0139】ステップ37:5時間率の放電容量、各S
OCでの残存容量を計算 最終の2次放電を停止し、5時間率の放電容量、各SO
Cでの基準蓄電池の残存容量を計算する。具体的には、
図13、ステップ107,108の処理を行う。ステップ107:放電容量、残存容量の計算 放電時間の合計値と0.2Cの電流を掛け合わせたもの
が基準蓄電池の5時間率による放電容量となる。放電容
量と各SOCを掛け合わせた値が、各SOC状態での基
準の蓄電池の残存容量を示す。このようにして、各SO
C状態での蓄電池の残存容量が測定される。ステップ108:整理および近似処理 各SOC状態での基準蓄電池の残存容量ごと、放電電流
と端子電圧との関係を曲線(直線)で表すし、たとえ
ば、最小2乗法などの曲線近似技法を用いて、残存容量
ごと、放電電流と端子電圧との関係を示す曲線、好まし
くは、直線を近似してパラメータ、たとえば、傾き、切
片のパラメータを得る。
【0140】ステップ38:データの保存 ステップ110のごとく、残存容量ごと、近似して得ら
れたパラメータを、演算処理装置8のメモリに記憶す
る。
【0141】上記処理が終了した後、図1に図解した装
置において、車両に搭載した鉛蓄電池3の残存容量の推
定に基づくアイドリングストップ処理が行われる。
【0142】第2実施の形態の実施例 第2実施の形態の具体例(実施例)について述べる。
【0143】放電試験 (a)満充電時の電池容量が20Ahの鉛蓄電池を基準
蓄電池とし、公知の方法によって満充電状態とする。 (b)図12(A)に図解した方法で、5AをT11
(秒)間の短時間、10A、20A、30Aをそれぞれ
T12(秒)間の短時間連続して放電させて、それぞれ
の時の基準蓄電池の端子間電圧V51 、V101 、V2
1 、V301 を実測した。 (c)次いで、図12(B)に図解した方法、たとえ
ば、公知の方法により0.2Cでの定電流放電に対応す
る4Aで定電流放電をT21(時間)行った。 (d)その後、図12(A)に図解した方法で、再度、
5AでTll(秒)短時間放電し、10A、15A、2
0AをそれぞれT12(秒)間短時間連続して放電させ
て、それぞれの時の基準蓄電池の端子間電圧V52 、V
102 、V20 2 、V302 を実測した。 (e)上記処理(b)、(c)を、4Aで定電流放電し
たときに端子電圧が10.5Vに低下するまで反復し
た。 (f)最終的に、放電試験を4Aで定電流放電を行って
いる時に、端子電圧が10.5Vに低下するまで行っ
た。そのときの放電時間はT22(時間)であった。
【0144】放電容量の計算 5AをT11(秒)間、10A、20A、30Aをそれ
ぞれT12(秒)間連続して放電させた時の放電容量D
11は下記式で表すことができる。放電容量D11の単
位はAhであり、3600(60秒×60分)で割って
単位の変換を行っている。
【0145】
【数10】D11(Ah)={5×T11+(10+2
0+30)×T12}/3600
【0146】上記した放電試験、すなわち、5AでT1
1(秒)間、10A、20A、30AでそれぞれT12
(秒)間連続して放電させ、その放電の際の基準蓄電池
の端子間電圧の測定をn回実施した。n回短時間放電を
行ったときの合計の放電容量D12(Ah)は下記にな
る。
【0147】
【数11】D12=D11×n
【0148】2次放電として4Aでの定電流放電をT2
1時間行った時の1回ごとの放電容量D2(Ah)は下
記式で表される。
【0149】
【数12】D21=4×T21
【0150】2次定電流放電の回数をmとすると、その
合計放電容量は、m×D21となる。4Aで定電流放電
を行っていて供試蓄電池の端子電圧が10.5Vに低下
した時の2次定電流放電を実施した時間をT22(時
間)とすると、そのときの放電容量D22は下記式で表
すことができる。
【0151】
【数13】D22=4×T22
【0152】したがって、4Aで2次定電流放電させた
ときの合計の放電容量D23(Ah)は下記式で表すこ
とができる。
【0153】
【数14】 D23=m×D21+D22 =m×(4×T21)+(4×T22)
【0154】放電容量D12とD23を合計した放電容
量が基準蓄電池の全放電容量D3(Ah)となる。
【0155】
【数15】 D3=D12+D23 =(n×D11)+(m×D21)+(4×T22)
【0156】図11、ステップ31の5時間率容量10
0%の状態での各放電電流値に対する蓄電池の端子電圧
は、上述したように、図12(A)に図解した、5Aで
T11(秒)間、10A、20A、30AでそれぞれT
12(秒)間連続して放電させて、その際の基準蓄電池
の端子間電圧を実測したものである。その測定の過程の
前までに実施された、5AでT11(秒)間、10A、
20A、30AでそれぞれT12(秒)間連続して放電
させて、その際の基準蓄電池の端子間電圧を実測する過
程の放電容量D12と、図12(B)に図解した、基準
蓄電池から4Aの定電流放電で放電された放電容量D2
3の総和をD4とする。 D4=D12+D22
【0157】放電容量D12について述べる。5AをT
11(秒)間、10A、20A、30AをそれぞれT1
2(秒)間、連続して放電させて、そのときのSOC状
態における基準蓄電池の端子間電圧を実測する各過程
(図12(A))における電池容量は、各放電電流5
A、10A、20A、30Aについての複数(i)の放
電容量D5i(Ah)として表される。
【0158】
【数16】D5i=D3i−D4i
【0159】各放電電流についての複数の電池容量D5
iのそれぞれの電池容量において測定された30A、2
0A、10A、5Aに対応する端子間電圧の関係を、図
14(A)〜(D)に示す。図14(A)〜(D)は図
8(A)〜(D)に図解したグラフと類似しており、電
池容量に応じて放電電流と端子電圧との関係を示す曲線
のプロファイルが異なる。図14(A)〜(D)に図解
した曲線は、放電電流値と端子電圧との関係を、曲線近
似技法、たとえば、最小二乗法による近似した結果であ
り、L11〜L14のそれぞれがほぼ直線として表すこ
とが出来る。
【0160】収束電圧 通常のエンジンの動作中は図3に図解した発電機(オル
タネータ)2によって鉛蓄電池3が充電されており、鉛
蓄電池3の端子電圧も発電機2による充電電圧に一致す
ることとなる。しかしながら、鉛蓄電池3の公称定格電
圧が12V程度のとき、発電機2の発電電圧は約14.
5V程度に設定されていることが多く、エンジンを停止
した直後、つまり、アイドリングストップを開始した直
後の車載の鉛蓄電池3の端子電圧は発電機2によって充
電されていたから、鉛蓄電池3の開放状態の端子電圧
(12V)よりも上昇している場合がある。したがっ
て、アイドリングストップ中に鉛蓄電池3から放電電流
が流れている場合でも、鉛蓄電池3の端子電圧は放電電
流と残存容量の関係で決定される端子電圧に向かって比
較的ゆっくり下降して収束するという現象が見られる。
【0161】評価試験:鉛蓄電池3の放電電流および端
子電圧の測定 このように、発電機2によって充電される車載の鉛蓄電
池3の動特性は、発電機2によって充電されている蓄電
池の静特性と異なる。車載の鉛蓄電池3の残存容量を推
定する正確さを期するため、図15、ステップ201に
示したように、満充電時の車載の鉛蓄電池3の電池容量
が20Ahの鉛蓄電池を基準蓄電池の電池容量とし、鉛
蓄電池3を自動車に搭載して、エシジンを停止した直
後、つまり、アイドリングストップを開始した直後の鉛
蓄電池3の端子電圧と放電電流を測定した。放電電流
は、稼働させる自動車の電気装備4を変えることにより
数種の値として実施した。
【0162】図16(A)、(B)は、に各放電電流に
ついて測定した車載の鉛蓄電池3の端子電圧の単位時間
ごとの最終収束電圧との差電圧ΔVと、前回の測定端子
電圧と単位時間経過後の今回の測定端子電圧との変化分
δVの関係を整理した結果を示すグラフである。図16
(A)、(B)に図解したように、横軸に示した変化分
δVと、縦軸に示した差電圧△Vの関係は、原点Oを通
る直線として表されることが分かる。また、放電電流が
異なっていてもこの原点Oを通る直線の関係は成り立っ
ていることが分かる。図17は放電電流を横軸にとり、
直線の式の係数aを縦軸として整理したグラフである。
図17において放電電流が大きくなるに従い、直線の係
数aの値が小さくなる傾向にある。このように、放電電
流をパラメータとして、放電電流と端子電圧との間の相
関性が深い関係にあることが分かった。
【0163】電流計6および電圧計7を用いて計測した
放電電流と端子電圧を用いて鉛蓄電池3の残存容量を算
出する際に、図18に図解したように、電圧計7で実測
した鉛蓄電池3の実測端子電圧Va をプロットした。図
18は、横軸に時間をとり、縦軸に測定した端子電圧を
所定時間Δtごとにプロットしたグラフである。最終的
な収束電圧をVconvで示した。最終的な収束電圧Vconv
は事前に求められている。図18において、単位時間ご
との端子電圧Va の最終収束電圧電圧Vconvとの差電圧
ΔVn と、前回測定した端子電圧と単位時間経過後に測
定した今回の端子電圧との変化分δVn との関係から、
時間経過に伴う端子電圧変化分δVn と差電圧ΔVn
特性式に適用すると、単位時間後の次回に収束電圧が算
出できることが判る。したがって、第2実施の形態にお
いて、電圧変化分ΔVn と差電圧δVn を特性式に適用
して収束電圧を算出した。
【0164】図19は端子電圧と、端子電圧の変化分δ
Vと端子電圧と差電圧ΔVの関係を示す特性式を用いて
算出した収束電圧を示す結果の一例を図解したグラフで
ある。図19において、横軸は時間経過を示し、縦軸は
電圧を示す。黒丸は端子電圧を示し、白丸は第2実施の
形態で算出した収束電圧を示し、三角は最終的な収束電
圧Vconvを示す。記号tid0 はアイドリングストップ開
始時刻を示す。複数の放電容量毎に求めた放電電流と端
子電圧の関係を示す複数の近似式に代入して求めた複数
の推定端子電圧(図19、黒丸)と、第2実施の形態に
おいて算出した収束電圧(白丸)を比較した。算出した
収束電圧が収束電圧に近似している。
【0165】図20は、各近似式の間の電池容量が等分
であると仮定して、第2実施の形態で算出した収束電圧
から残存容量の推定を行った結果(白丸)と、第1実施
の形態の残存容量の推定結果(黒丸)を図解したグラフ
である。図20において横軸は時間経過を示し、縦軸は
残存容量を示す。黒丸は第1実施の形態のように収束電
圧を用いないで算出した残存容量を示し、白丸は第2実
施の形態による収束電圧を用いて算出した残存容量を示
す。記号tid0 はアイドリングストップ開始時刻を示
す。図20の図解から明らかなように、第2実施の形態
による収束電圧を用いて残存容量(白丸)を推定した残
存容量が、収束電圧を用いないで推定した残存容量(黒
丸)よりも精度良く算出できたことが判る。
【0166】すなわち、図18に図解したように、所定
のサンプリング周期で、電圧計7で鉛蓄電池3の端子電
圧を測定し、上記時間経過に伴う端子電圧変化分δVn
と上記差電圧ΔVn を算出し、ΔVn とδVn との特性
式に適用して収束電圧を算出し、この収束電圧を用いて
残存容量を推定することが望ましいことが判る。
【0167】以上から、第2実施の形態は、図21に図
解したように、ステップ4Aにおいて、上述した方法で
収束電圧を算出し、ステップ5Aにおいて、各近似式の
間の電池容量が等分であると仮定して、算出した収束電
圧から鉛蓄電池3の残存容量を算出する。
【0168】図21は、図10のステップ1A、2A、
3A、4A、5A、6Aを図解したものであり、特に、
ステップ4A、5Aの処理を詳述したものである。
【0169】第2実施の形態によって、このようにして
求めた鉛蓄電池3の残存容量をアイドリングストップの
判定に使用すれば、より正確なアイドリングストップ処
理を行うことができる。
【0170】変形態様 第2実施の形態においても、第1実施の形態における温
度変化に対する補正など各種の補償処理を行うことがで
きる。補償処理は第1実施の形態の変形態様と同じであ
る。
【0171】第3実施の形態 本発明の第3実施の形態として、上述した蓄電池の残存
容量測定についての第1実施の形態または第2実施の形
態による算出した鉛蓄電池の残存容量の水準を判定して
第2水準以上の残存容量が判った時、次の停止における
鉛蓄電池の残存容量の測定装置が上述した水準判定を行
う動作をするまでの間、図10のステップ6Aとして図
解したように、電流計6で連続的に計測した放電電流値
を演算処理装置8において累積して、累積した積算電流
値を用いて蓄電池の残存容量の水準を判定することもで
きる。
【0172】第3実施の形態によれば、最も近くに行な
った残存容量の判定水準に加えて、その判定を行なった
時点からこの判断の時点までの充放電電流の積算値によ
って判断を行なうことによって、判断の精度を高めるこ
とが可能になる。
【0173】
【発明の効果】本発明によれば、車載の蓄電池の残存容
量を正確に検出することができる。
【0174】また本発明によれば、上記検出した残存容
量をアイドリングストップの可否を判定する水準と比較
して、アイドリングストップ後に再起動可能か否かの判
定を確実に行うことができる。
【0175】本発明の方法は比較的簡単であり、実時間
処理に適している。また本発明の装置は小型に、低価格
で製造でき、車両への適用に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の車両のアイドリン
グストップ処理装置の構成図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態としての蓄電池の残
存容量を表す水準を図解した図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態としての車載の蓄電
池の残存容量を算出する装置の構成図である。
【図4】図4は図3に示した鉛蓄電池の残存容量の測定
装置の演算処理装置における、第1実施の形態の処理と
準備動作を示したフローチャートである。
【図5】図5は図4のステップ1における処理を図解し
たフローチャートである。
【図6】図6は各放電電流における放電を行ったときの
蓄電池の放電特性を示すグラフである。
【図7】図7は各放電電流における1次放電と、その
後、2次放電を行ったときの蓄電池の放電特性を示すグ
ラフである。
【図8】図8(A)〜(D)は図3に図解した鉛蓄電池
の残存容量の測定装置に用いる放電電流と端子電圧との
関係を示したグラフである。
【図9】図9(A)〜(D)は各放電電流で放電したと
の放電容量を測定したグラフである。
【図10】図10は図3に示した鉛蓄電池の残存容量の
測定装置の演算処理装置における、第2実施の形態の処
理と準備動作を示したフローチャートである。
【図11】図11は図10のステップ1Aにおける処理
を図解したフローチャートである。
【図12】図12(A)〜(D)は、図11における放
電特性を測定したときの処理方法を図解したグラフであ
る。
【図13】図13は図11の処理の詳細を図解したフロ
ーチャートである。
【図14】図14(A)〜(D)は第2実施の形態によ
る蓄電池の放電電流と端子電圧との関係を示したグラフ
である。
【図15】図15は鉛蓄電池の収束電圧を算出する方法
を図解したフローチャートである。
【図16】図16(A)、(B)は図14(A)〜
(D)に図解したデータを、放電電流ごとに整理して差
電圧δVと電圧差ΔVとの関係を図解したグラフであ
る。
【図17】図17は図16(A)、(B)の結果を放電
電流と直線の係数として整理したグラフである。
【図18】図18は、収束電圧を算出する方法を図解し
たグラフである。
【図19】図19は図16に図解した差電圧δVと電圧
差ΔVとの関係から収束電圧を算出した結果を図解した
グラフである。
【図20】図20は図18に図解した算出した収束電圧
を用いて推定した残存容量を示すグラフである。
【図21】図21は図10の処理を図解したフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1・・スタータ、2・・発電機、3・・鉛蓄電池、4・
・電気装備 6・・電流計、7・・電圧計、8・・演算処理装置、9
・・表示器 10・・制御用コンピュータ、20・・車両のアイドリ
ングストップ処理装置 21・・メモリ手段、22・・蓄電池の残存容量の測定
手段 23・・アイドリングストップ判定手段 24・・アイドリングストップ処理手段 25・・再始動手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 秀人 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 岩花 史和 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 島田 道宏 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 加納 哲也 福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23−6 古河電池株式会社いわき事業所内 (72)発明者 萬ヶ原 徹 福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23−6 古河電池株式会社いわき事業所内 Fターム(参考) 2G016 CA03 CB01 CB02 CB04 CB12 CB23 CB31 CC01 CC02 CC03 CC04 CC06 CC07 CC16 CC23 CC24 CC27 CC28 CE00 CE03 CF07 5G003 AA07 BA01 DA07 EA05 FA06 GC05 5H030 AA04 AS08 BB21 FF41 FF42 FF44

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一時停車時に内燃機関を停止するアイドリ
    ングストップ処理を行う車両に搭載され、車載の電気機
    器に給電を行い、発電機によって充電可能な蓄電池の残
    存容量を測定する方法であって、 基準蓄電池について放電試験を行って得られた前記基準
    蓄電池の各放電容量ごとの放電電流と端子電圧との関係
    を示す特性データを事前に準備する特性データ準備工程
    と、 前記車載の蓄電池の放電電流および端子電圧を測定する
    測定工程と、 前記測定した端子電圧を前記事前に準備した特性データ
    と照合して、前記車載の蓄電池の残存容量を推定する工
    程とを有し、 前記特性データ準備工程は、前記基準蓄電池について前
    記基準蓄電池の満充電状態から下記の処理を行う下記の
    諸工程、すなわち、 (1)満充電状態の前記基準蓄電池を準備する工程と、 (2)前記基準蓄電池を所定の時間率100%状態で、
    複数の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電さ
    せ、各放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処
    理を行う第1放電・測定工程と、 (3)一定の2次放電電流で所定時間、継続して定電流
    放電して放電容量を調整する調整工程と、 (4)前記2次放電後の所定のSOC状態で、前記複数
    の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電させ、各
    放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処理を行
    う第2放電・測定工程と、 (5)前記基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧まで低
    下するまで、前記調整工程と前記第2放電・測定工程の
    処理を反復する反復処理工程と、 (6)前記2次放電電流で前記基準蓄電池の端子電圧が
    前記降下下限電圧まで低下するまで定電流放電を行う、
    最終調整工程と、 (7)前記所定時間率の放電容量および各SOCでの前
    記基準蓄電池の残存容量を計算する放電容量演算工程
    と、 (8)前記基準蓄電池の残存容量ごと、前記基準蓄電池
    の放電電流と端子電圧との関係を示す特性データを算出
    する工程とを有する、 車両に搭載された蓄電池の残存容量測定方法。
  2. 【請求項2】一時停車時に内燃機関を停止するアイドリ
    ングストップ処理を行う車両に搭載され、車載の電気機
    器に給電を行い、発電機によって充電可能な蓄電池の残
    存容量を測定する方法であって、 基準蓄電池について放電試験を行って得られた前記基準
    蓄電池の各放電容量ごとの放電電流と端子電圧との関係
    を示す特性データを事前に準備する特性データ準備工程
    と、 前記車載の蓄電池の放電電流および端子電圧を測定する
    測定工程と、 車両がアイドリングストップしたとき、単位時間を隔て
    た前回と今回の前記車載の蓄電池の電圧変化分と、最終
    の収束電圧と今回測定した前記車載の蓄電池の差電圧と
    を用いて収束電圧を推定する工程と、 該推定した収束電圧を、前記特性データ準備工程におい
    て準備した前記端子電圧と比較して前記車載の蓄電池の
    残存容量を推定する工程とを有する、車両に搭載された
    蓄電池の残存容量測定方法。
  3. 【請求項3】前記特性データ準備工程は、前記基準蓄電
    池について前記基準蓄電池の満充電状態から下記の処理
    を行う下記の諸工程、すなわち、 (1)満充電状態の前記基準蓄電池を準備する工程と、 (2)前記基準蓄電池を所定の時間率100%状態で、
    複数の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電さ
    せ、各放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処
    理を行う第1放電・測定工程と、 (3)一定の2次放電電流で所定時間、継続して定電流
    放電して放電容量を調整する調整工程と、 (4)前記2次放電後の所定のSOC状態で、前記複数
    の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電させ、各
    放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処理を行
    う第2放電・測定工程と、 (5)前記基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧まで低
    下するまで、前記調整工程と前記第2放電・測定工程の
    処理を反復する反復処理工程と、 (6)前記2次放電電流で前記基準蓄電池の端子電圧が
    前記降下下限電圧まで低下するまで定電流放電を行う、
    最終調整工程と、 (7)前記所定時間率の放電容量および各SOCでの前
    記基準蓄電池の残存容量を計算する放電容量演算工程
    と、 (8)前記基準蓄電池の残存容量ごと、前記基準蓄電池
    の放電電流と端子電圧との関係を示す特性データを算出
    する工程とを有する、 請求項2記載の車両に搭載された蓄電池の残存容量測定
    方法。
  4. 【請求項4】前記特性データを算出する工程において、 前記第1および第2の放電・測定工程の間における前記
    基準蓄電池の放電容量と、前記調整工程および前記最終
    調整工程における放電容量との和の容量を前記基準蓄電
    池の全放電容量として算出し、 前記反復して行われた第2放電・測定工程の前まで行わ
    れた前回の第2放電・測定工程、および、前記調整工程
    において放電された放電容量の合計容量を、前記全放電
    容量から減じた放電容量を算出し、 該放電容量について、前記放電・測定工程において測定
    した端子電圧と前記複数の1次放電電流との関係を前記
    特性データとして求める、 請求項1または3記載の車両に搭載された蓄電池の残存
    容量測定方法。
  5. 【請求項5】前記放電容量ごとの放電電流と端子電圧と
    の特性データを直線または曲線に近似して、該直線また
    は曲線を示すパラメータを提供する近似処理工程をさら
    に有し、 前記残存容量を推定する工程において、前記測定した端
    子電圧または算出した収束電圧を前記直線または曲線を
    示すパラメータに適用して推定端子電圧を算出し、該算
    出した推定端子電圧を用いて前記車載の蓄電池の残存容
    量を推定する、 請求項4記載の車両に搭載された蓄電池の残存容量測定
    方法。
  6. 【請求項6】一時停車時に内燃機関を停止するアイドリ
    ングストップ処理を行う車両に搭載され、車載の電気機
    器に給電を行い、発電機によって充電可能な蓄電池の残
    存容量を測定する装置であって、 基準蓄電池について事前に放電試験を行って得られた前
    記基準蓄電池の各放電容量ごとの放電電流と端子電圧と
    の関係を示す特性データを記憶しているメモリ手段と、 前記車載の蓄電池の放電電流を測定する電流計と、 前記車載の蓄電池の端子電圧を測定する電圧計と、 前記電圧計で測定した端子電圧を前記事前にメモリ手段
    に記憶されている特性データと照合して、前記車載の蓄
    電池の残存容量を推定する残存容量測定手段とを有し、 前記メモリ手段に記憶されている特性データは、前記基
    準蓄電池について下記の処理を行う下記の諸工程の処理
    を行って得られたデータである、 (1)満充電状態の前記基準蓄電池を準備する工程と、 (2)前記基準蓄電池を所定の時間率100%状態で、
    複数の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電さ
    せ、各放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処
    理を行う第1放電・測定工程と、 (3)一定の2次放電電流で第1時間、継続して定電流
    放電して放電容量を調整する調整工程と、 (4)前記2次放電後の所定のSOC状態で、前記複数
    の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電させ、各
    放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処理を行
    う第2放電・測定工程と、 (5)前記基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧まで低
    下するまで、前記調整工程と前記第2放電・測定工程の
    処理を反復する反復処理工程と、 (6)前記2次放電電流で前記基準蓄電池の端子電圧が
    前記降下下限電圧まで低下するまで定電流放電を行う、
    最終調整工程と、 (7)前記所定時間率の放電容量および各SOCでの前
    記基準蓄電池の残存容量を計算する放電容量演算工程
    と、 (8)前記基準蓄電池の残存容量ごと、前記基準蓄電池
    の放電電流と端子電圧との関係を示す特性データを算出
    する工程車両に搭載された蓄電池の残存容量測定装置。
  7. 【請求項7】一時停車時に内燃機関を停止するアイドリ
    ングストップ処理を行う車両に搭載され、車載の電気機
    器に給電を行い、発電機によって充電可能な蓄電池の残
    存容量を測定する装置であって、 前記車載の蓄電池より容量の大きな基準蓄電池について
    事前に放電試験を行って得られた前記基準蓄電池の各放
    電容量ごとの放電電流と端子電圧との関係を示す特性デ
    ータを記憶しているメモリ手段と、 前記車載の蓄電池の放電電流を測定する電流計と、 前記車載の蓄電池の端子電圧を測定する電圧計と、 車両がアイドリングストップしたとき、単位時間を隔て
    た前回と今回の前記車載の蓄電池の電圧変化分と、最終
    の収束電圧と今回測定した前記車載の蓄電池の差電圧と
    を用いて収束電圧を推定する収束電圧推定手段と、 該推定した収束電圧を、前記特性データ準備工程におい
    て準備した前記端子電圧と比較して前記車載の蓄電池の
    残存容量を推定する残存容量測定手段と、 を有する、車両に搭載された蓄電池の残存容量測定装
    置。
  8. 【請求項8】前記メモリ手段に記憶されている特性デー
    タは、前記基準蓄電池について下記の処理を行う下記の
    諸工程の処理を行って得られたデータである、 (1)満充電状態の前記基準蓄電池を準備する工程と、 (2)前記基準蓄電池を所定の時間率100%状態で、
    複数の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電さ
    せ、各放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処
    理を行う第1放電・測定工程と、 (3)一定の2次放電電流で第1時間、継続して定電流
    放電して放電容量を調整する調整工程と、 (4)前記2次放電後の所定のSOC状態で、前記複数
    の1次放電電流で短時間、順次、連続的に放電させ、各
    放電後の前記基準蓄電池の端子電圧を測定する処理を行
    う第2放電・測定工程と、 (5)前記基準蓄電池の端子電圧が降下下限電圧まで低
    下するまで、前記調整工程と前記第2放電・測定工程の
    処理を反復する反復処理工程と、 (6)前記2次放電電流で前記基準蓄電池の端子電圧が
    前記降下下限電圧まで低下するまで定電流放電を行う、
    最終調整工程と、 (7)前記所定時間率の放電容量および各SOCでの前
    記基準蓄電池の残存容量を計算する放電容量演算工程
    と、 (8)前記基準蓄電池の残存容量ごと、前記基準蓄電池
    の放電電流と端子電圧との関係を示す特性データを算出
    する工程 請求項7記載の車両に搭載された蓄電池の残存容量測定
    装置。
  9. 【請求項9】前記特性データは、 前記第1および第2の放電・測定工程の間における前記
    基準蓄電池の放電容量と、前記調整工程および前記最終
    調整工程における放電容量との和の容量を前記基準蓄電
    池の全放電容量として算出され、 前記反復して行われた第2放電・測定工程の前まで行わ
    れた前回の第2放電・測定工程、および、前記調整工程
    において放電された放電容量の合計容量を、前記全放電
    容量から減じた放電容量を算出され、、該放電容量につ
    いて、前記放電・測定工程において測定した端子電圧と
    前記複数の1次放電電流との関係を前記特性データとし
    て求められ、 前記放電容量ごとの放電電流と端子電圧との特性データ
    を直線または曲線に近似され、該直線または曲線を示す
    パラメータとして前記メモリ手段に記憶されており、 前記残存容量推定手段は、前記測定した端子電圧または
    算出した収束電圧を前記直線または曲線を示すパラメー
    タに適用して推定端子電圧を算出し、該算出した推定端
    子電圧を用いて前記車載の蓄電池の残存容量を推定す
    る、 請求項6または8記載の車両に搭載された蓄電池の残存
    容量測定装置。
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