JP2003217494A - 荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】観察対象となる微細部品を取り扱うことの可能
な荷電粒子ビーム装置を提供すること。 【解決手段】先端部に部品を把持する支持機構と、この
支持機構を移動する移動手段を備えるようにした荷電粒
子ビーム装置。移動手段の一例には、積層型圧電ブロッ
ク3を連結したものがある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、荷電粒子ビーム装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、荷電粒子ビームの観察対象になる
ような微細部品の取り扱いは、対象が微細であるが故に
部品の位置合わせが困難であった。また、微細部品であ
るが故に表面張力や静電気の吸引力等の影響が支配的で
あり、部品の移送や特定個所への部品の位置付けが困難
であった。
【0003】荷電粒子ビームの観察の場合ではないが、
微細な物品、例えば半導体ペレット等を支持する支持機
構は、特公昭56−52448号公報に記載されている
ように、真空吸着するための開孔を備えた支持具を有
し、これに半導体ペレット等を真空吸着していた。この
支持機構により、微細な物品を損傷を与えることなく支
持することが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術は、大
気中での使用を前提としたものであり、荷電粒子ビーム
装置内での使用は原理的に不可能であるという問題があ
った。それ故、荷電粒子ビーム装置では、微細な部品の
位置合わせ、部品の移送や特定個所への部品の位置付け
は困難であった。
【0005】本発明の目的は、観察対象となる微細部品
を取り扱うことの可能な荷電粒子ビーム装置を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の荷電粒子ビーム装置は、収束した荷電粒子
ビームを照射するための荷電粒子ビーム光学系と、荷電
粒子ビームの照射対象から発生する二次荷電粒子を検出
するための検出器と、この検出器で得られた二次荷電粒
子に基づいて荷電粒子像を形成する画像表示装置と、先
端部に部品を支持する支持機構と、この支持機構を移動
する移動手段を備えるようにしたものである。
【0007】この荷電粒子ビーム装置の移動手段は、支
持機構を微動させるための微動手段及びこの微動手段を
移動させるための粗動手段を備えたものでもよい。この
微動手段は、積層型圧電素子を連結した多軸マニピュレ
ーターであってもよい。
【0008】また、上記目的を達成するために、本発明
の荷電粒子ビーム装置は、収束した荷電粒子ビームを照
射するための荷電粒子ビーム光学系と、荷電粒子ビーム
の照射対象から発生する二次荷電粒子を検出するための
検出器と、この検出器で得られた二次荷電粒子に基づい
て荷電粒子像を形成する画像表示装置と、先端部に部品
を支持する支持機構と、この支持機構を移動する移動手
段を備え、この移動手段をバイモルフ型圧電素子を連結
した多軸マニピュレーターとするようにしたものであ
る。
【0009】また、上記目的を達成するために、本発明
の荷電粒子ビーム装置は、収束した荷電粒子ビームを照
射するための荷電粒子ビーム光学系と、荷電粒子ビーム
の照射対象から発生する二次荷電粒子を検出するための
検出器と、この検出器で得られた二次荷電粒子に基づい
て荷電粒子像を形成する画像表示装置と、先端部に部品
を支持する支持機構と、この支持機構を移動する移動手
段を備え、この移動手段を積層型圧電素子を連結した多
軸マニピュレーターとするようにしたものである。
【0010】
【作用】バイモルフ型圧電素子は、電圧を印加すること
により撓み運動をする。それ故、二枚の板状体の少なく
とも一方をバイモルフ型圧電素子とし、両者を重ね合わ
せ、該素子に電圧を印加すれば一端が近接、離隔し、開
閉運動をする。よって支持機構として作用する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を用いて説明す
る。 実施例 1 第1図は本発明の支持機構の一実施例であるピンセット
機構を示す構成図である。ここで用たバイモルフ型圧電
素子は、第1図(a)に示すように、3枚の電極板の間
に2枚の圧電材料102(ジルコン酸チタン酸塩)を挾
み込んだもので、中間電極100と外側の側壁電極10
1との間に電源2から電圧を印加すると圧電素子はわん
曲する。第1図(b)及び(c)に示すように、くさび
型に加工した一対のバイモルフ型圧電素子1a、1bを
重ね合わせ、ピンセット機構を形成した。すなわち、圧
電素子板一枚から、くさび型図形を線対象に一組切り抜
き、印加電圧の極性に対するわん曲方向が相反するよう
に重ね合わせ、ピンセット先端の開閉運動を可能とし
た。第1図(b)は電源2の出力電圧を0Vとし、ピン
セットが閉じた状態を示したものである。この場合、圧
電素子の弾性力により、ピンセットは閉じている。試料
を挾む力が不足する場合は、電源2の出力電圧極性を変
えて、圧電素子を内側にわん曲させ、挾む力を増大させ
る。第1図(c)は中間電極に+30Vの電圧を印加
し、ピンセットを開いた様子を示したものである。ピン
セット長30mmで500μmの開口距離が得られた。
より大きな試料を掴みたい場合やピンセットと試料との
接触状態を最適化したい場合は、ピンセットを構成する
2枚の板の間にスペーサを挿入すれば良い。本実施例の
ピンセット機構は構成がシンプルで軽量小型であり、特
に真空中で微細部品をソフトに掴む用途に好適である。
【0012】実施例 2 第2図に、ピンセット機構をバイモルフ型圧電素子を連
結した3軸マニピュレーター先端に装着し、試料の3次
元移動を可能とした支持システムを示す。バイモルフ型
圧電素子1c、1d、1eを90度ずつ曲げて接続し、
x、y、zの3軸の駆動を可能とし、先端に実施例1で
示したピンセット機構を装着した。圧電素子寸法は10
mm×30mm、厚みは0.5mmである。中間電極と
側壁電極との間に±30V印加すると約±500μmの
変位が得られる。本実施例では、各圧電素子1c、1
d、1eに3個の電源(図示せず)を直接接続した。バ
イモルフ型圧電素子はたわみ運動するため、各素子の先
端部は一軸の変位とはならない。つまり、圧電素子1c
に印加する出力電圧を変えることで、ピンセット機構先
端はx軸とy軸の2軸変化する。このような構成でも、
試料を顕微鏡等で観察しながら電源を操作することによ
り、マニピュレーターとして十分実用になる。各軸単独
に操作したい場合は、直交座標系の移動データー信号か
ら各圧電素子の駆動電圧を発生する補正回路を用いれば
よい。この補正回路を実現する手法として、演算による
ものと対応表によるものとがある。
【0013】本実施例の支持システムは、バイモルフ型
圧電素子を利用しているため、小型軽量にもかかわらず
移動距離が大きく、例えば、半導体チップ等の軽量部品
をソフトに運搬する用途に適している。
【0014】実施例 3 第3図は、積層型圧電素子ブロック3を変位の方向を各
90度傾けて3個積み重ねて構成した3軸マニピュレー
ターに、実施例1に示したピンセット機構を搭載した支
持システムの例である。積層型圧電素子は移動距離が小
さい欠点を有するが、ドリフトやヒステリシスが小さ
く、位置精度が高く振動にも強いため、高精度の位置決
めが要求される用途に好適である。
【0015】実施例 4 実用的な駆動距離を確保するために、第3図に示した3
軸マニピュレーターを別の広範囲に移動できるマニピュ
レーターにさらに連結して装置構成した例を示す。本実
施例の支持システムは、第4図に示すように、実施例1
に示したピンセット機構20を、実施例3に示した積層
型圧電ブロックを連結した3軸マニピュレーターよりな
る微動手段21に搭載し、この微動手段21をさらにス
テッピングモーターとウォームギヤを用いた粗動手段2
2に連結し、これらを制御する制御手段23を設けたも
のである。積層型圧電ブロックを用いた3軸マニピュレ
ーターは高精度の位置決めが可能であるが、変位量が1
0〜100μmと小さいので本実施例のように粗動手段
と組み合わせて用いることが好ましい。また微動手段2
1として変位量が大きいものを用いれば粗動手段はなく
てもよい。
【0016】実施例 5 第5図に、実施例1に示したピンセット機構を有する組
立て装置を示す。この組立て装置は、真空装置(図示せ
ず)内に、試料台40、集束した荷電粒子ビームを試料
台上の試料41に照射するための集束イオンビーム光学
系30、試料41から発生する二次荷電粒子を検出する
2次荷電粒子検出器33、試料を保持し、移動させるた
めのピンセット機構20、ピンセット機構20を移動さ
せる微動手段21及びガスを導入するノズル9を配置
し、さらにピンセット機構20と微動手段21を制御す
る制御手段23、試料からビーム掃引に同期して発生し
た二次荷電粒子を検出して画像でモニターするための画
像表示装置(CRT)32及び集束イオンビーム光学系
を制御する偏向制御装置31を設けてある。また、上記
ピンセット機構を介して試料に電圧を印加するための電
源(図示せず)が設けられている。なお、本実施例にお
いて、微動手段21として、実施例2に記載のバイモル
フ型圧電素子を連結した3軸マニピュレーターを用い
た。
【0017】次にこの装置を用いて半導体レーザーを実
装した例を示す。第6図は、実装する試料近傍の斜視図
である。半導体レーザーチップ5を導波路6端面に実装
する場合、良好な結合効率を得るためには正確な位置合
わせが必要である。これを行なうには、(1)半導体レ
ーザーを実際に発光させ、導波路に入射した光の強度を
測定しながら位置合わせを行なう方法と、(2)導波路
の出力端から逆に光を入射し、半導体レーザーを光セン
サーとして動作させて、光強度を測定しながら位置合わ
せを行なう方法がある。本実施例は前者の方法を用いた
もので、ピンセット機構20を介して半導体レーザーチ
ップ5に電源11を接続し、位置合わせを行なった。半
導体レーザーチップ5の固定及び配線はW(CO)6金属
ガス10雰囲気中での集束イオンビーム(FIB)4照
射によるW堆積膜7により電源ライン8に接続すること
で行なった。ガスはノズル9により加工部に局所照射し
た。本実施例のように、ピンセット機構を介して、試料
と外部回路との電気的接続を行なうと、試料を動作させ
ながら運搬することが可能となる。
【0018】本実施例のように、FIBを利用して試料
の固定や配線を行なう場合、デバイスの状況を、FIB
掃引に同期して検出した二次荷電粒子(二次電子、二次
イオン)による画像でモニターする。二次荷電粒子は低
エネルギー粒子であり、それらの運動軌道は1次ビーム
照射部近傍の電界及び磁界に影響されやすい。従って、
ピンセット機構の電位は、二次電子を検出する場合0V
以下の負電位に、正の二次イオンを検出する場合0V以
上の正電位にする必要があり、これにより荷電粒子が捕
獲されず、検出感度の低下を防ぐことができる。試料に
異なる電位を供給する必要のない場合や、ピンセット先
端部でコンタクト点を有する配線を這わせ、試料に電源
供給等を行なう場合は、圧電素子側壁を接地電位とする
ことで、1次ビーム及び2次ビームへの影響を無くすこ
とができる。バイモルフ型圧電素子は積層構造の見える
端面に中間電極が露出する。これにより、周囲に電界が
しみだし、これがビーム照射部近傍にある場合、二次電
子等に影響を与える。従って、中間電極を側壁電極より
小さくする等により、側壁電極で中間電極により発生す
る電界をシールドすることが望ましい。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、真空中で微細部品をソ
フトに保持することができる。また、試料を電気的動作
させながら運搬することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる支持機構の基本構成を示す一実
施例の構成図。
【図2】本発明に用いる3軸マニピュレーターと支持機
構とを組み合わせた一実施例の構成図。
【図3】本発明に用いる3軸マニピュレーターと支持機
構とを組み合わせた一実施例の構成図。
【図4】本発明に用いる支持システムの一実施例の構成
図。
【図5】本発明に用いる組立装置の一実施例の構成図。
【図6】第5図に示した組立装置の試料近傍の斜視図。
【符号の説明】
1a、1b、1c、1d、1e…バイモルフ型圧電素子 2…電源 3…積層型圧電素子ブロック 4…集束イオンビーム 5…半導体レーザーチップ 6…導波路 7…堆積膜 8…電源ライン 9…ノズル 10…ガス 11…電源 20…ピンセット機構 21…微動手段 22…粗動手段 23…制御手段 30…集束イオンビーム光学系 31…偏向制御装置 32…画像表示装置 33…2次荷電粒子検出器 40…試料台 41…試料 100…中間電極 101…側壁電極 102…圧電材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 助田 裕史 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5C001 AA03 AA04 CC08 5C034 DD09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】収束した荷電粒子ビームを照射するための
    荷電粒子ビーム光学系と、 上記荷電粒子ビームの照射対象から発生する二次荷電粒
    子を検出する検出器と、 該検出器で得られた二次荷電粒子に基づいて荷電粒子像
    を形成する画像表示装置を備えた荷電粒子ビーム装置に
    おいて、 試料を載置する試料台と、 当該試料台上に位置し、先端部に部品を把持するピンセ
    ット機構と、 該ピンセット機構を移動する移動手段と、 前記荷電粒子ビーム照射個所をガス雰囲気とするための
    ガス銃を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ピンセット機構に
    は、前記部品に電圧を印加するための電源が接続されて
    いることを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2のいずれかにおいて、前記
    ガス銃は、W(CO)6金属ガスを導入するものである
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム装置。
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