JP2003215287A - 共晶析現象を利用した使用済核燃料の再処理方法 - Google Patents

共晶析現象を利用した使用済核燃料の再処理方法

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JP2003215287A
JP2003215287A JP2002008320A JP2002008320A JP2003215287A JP 2003215287 A JP2003215287 A JP 2003215287A JP 2002008320 A JP2002008320 A JP 2002008320A JP 2002008320 A JP2002008320 A JP 2002008320A JP 2003215287 A JP2003215287 A JP 2003215287A
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plutonium
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nuclear fuel
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Kimihiko Yano
公彦 矢野
Atsuhiro Shibata
淳広 柴田
Kazunori Nomura
和則 野村
Hiroyasu Hirano
弘康 平野
Atsushi Aoshima
厚 青嶋
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Japan Nuclear Cycle Development Institute
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    • G21C19/42Reprocessing of irradiated fuel
    • G21C19/44Reprocessing of irradiated fuel of irradiated solid fuel
    • G21C19/46Aqueous processes, e.g. by using organic extraction means, including the regeneration of these means
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃液発生量を低減でき、レッドオイルが生成
せず、しかも核不拡散抵抗性を強化できるようにする。 【解決手段】 6価のUとPuの共晶析現象を利用し
て、使用済核燃料の硝酸溶液からU及びU−PuとFP
やTRU等を粗分離する使用済核燃料の再処理方法であ
る。例えば、使用済核燃料を剪断し、硝酸に溶解し、溶
液中の不溶解残渣を除去する。次に酸濃度及び溶液中の
プルトニウムの原子価を4価に調整し、溶液を冷却して
硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、結
晶をウラン製品として回収する。そして、分離した母液
について、酸濃度及び溶液中のウランとプルトニウムの
原子価を6価に調整し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・
プルトニウム結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、分
離した結晶をウラン・プルトニウム混合製品として回収
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウラン・プルトニ
ウムの共晶析現象を利用して、使用済核燃料からウラン
・プルトニウム等の核燃料物質を回収する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】使用済核燃料には、ウラン(U)やプル
トニウム(Pu)等、再び燃料として使用できる物質が
含まれている。従って、それらを回収し再利用すること
によりエネルギー資源の有効利用を図ることができる。
【0003】現在、実用化されている使用済核燃料の再
処理方法としては、ピューレックス(PUREX)法が
ある。この方法では、まず燃料集合体を剪断し、硝酸に
溶解する。次に、硝酸溶液を清澄し酸濃度等の調整を行
い、リン酸トリブチル(TBP)を溶媒としてUとPu
を抽出する。更に試薬を用いて価数調整等を行い、それ
ぞれを水相に逆抽出することで核分裂生成物(FP)や
超ウラン元素(TRU)、腐食生成物(CP)等からU
やPuを選択的に分離回収する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなPUREX
法は、U及びPuの選択的回収、臨界管理、安全性、ハ
ンドリング等の面で優れた再処理方法である。しかし、
環境的負荷低減の観点から、工程の簡素化及び廃液発生
量の低減が求められている。また、硝酸の存在下での有
機溶媒の使用は、爆発性有機化合物(レッドオイル)が
生成してしまう可能性があり、補助的な操作並びに管理
が必要となる。更に、Puが単独で存在する工程がある
ことから、核不拡散という点に関しては若干不利といえ
る。
【0005】本発明の目的は、廃液発生量を低減でき、
レッドオイルが生成せず、しかも核不拡散抵抗性を強化
できる使用済核燃料の再処理方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、6価のUとP
uの共晶析現象を利用して、使用済核燃料の硝酸溶液か
らU及びU−PuとFPやTRU等を粗分離する方法で
ある。
【0007】本発明は、使用済核燃料を剪断し、硝酸に
溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃度及
び溶液中のウランとプルトニウムの原子価を6価に調整
し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・プルトニウム結晶を
析出させ、母液と結晶を分離する工程、その結晶を再度
硝酸に溶解し、プルトニウムの原子価を4価に調整し、
溶液を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結
晶を分離して、結晶をウラン製品として回収し、母液を
ウラン・プルトニウム混合製品として回収する工程、を
具備している共晶析現象を利用した使用済核燃料の再処
理方法である。
【0008】また本発明は、使用済核燃料を剪断し、硝
酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃
度及び溶液中のプルトニウムの原子価を4価に調整し、
溶液を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結
晶を分離し、結晶をウラン製品として回収する工程、分
離した母液について、酸濃度及び溶液中のウランとプル
トニウムの原子価を6価に調整し、溶液を冷却して硝酸
ウラニル・プルトニウム結晶を析出させ、母液と結晶を
分離し、分離した結晶をウラン・プルトニウム混合製品
として回収する工程、を具備している共晶析現象を利用
した使用済核燃料の再処理方法である。
【0009】
【実施例】図1は、本発明に係る共晶析現象を利用した
使用済核燃料の再処理方法の一実施例を示す工程説明図
である。
【0010】まず工程Aでは、使用済核燃料を剪断し、
硝酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する。更に詳
しく述べると、 (a)使用済核燃料(燃料ピン束)を剪断機で小片に剪
断する。 (b)剪断片を硝酸で溶解する。これには、例えば13
N以下、110℃程度の沸騰硝酸を用いる。 (c)そして、清澄した溶液を次工程に移送する。これ
によって、溶液中の不溶解残渣が除去される。
【0011】次に工程Bでは、酸濃度及び溶液中のウラ
ンとプルトニウムの原子価を6価に調整し、溶液を冷却
して硝酸ウラニル・プルトニウム結晶を析出させ、母液
と結晶を分離し、分離した結晶を洗浄する。これによっ
て、FP,TRU,CP等が取り除かれる。更に詳しく
述べると、 (d)溶液の酸濃度を6M程度に調整し、溶液中のU,
Puの原子価を電解により4価から6価に調整する。 (e)溶液を冷却することにより、硝酸ウラニル(UN
H)及び硝酸ウラニル・プルトニル((U,Pu)N
H)結晶を析出させ、母液とそれらの結晶を分離する。 (f)得られた結晶を、母液と同程度の酸濃度の硝酸で
洗浄する。
【0012】更に工程Cでは、それらの結晶を再度硝酸
に溶解し、プルトニウムの原子価を4価に調整し、溶液
を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を
分離し、結晶を洗浄して、該結晶をウラン製品として回
収し、母液をウラン・プルトニウム混合製品として回収
する。詳しく述べると、 (g)得られたUNH結晶及び(U,Pu)NH結晶を
再度硝酸に溶解する。これらの結晶は水及び希硝酸に易
溶性であり、濃度4M程度で温度40℃程度の硝酸で溶
解する。 (h)溶液中のPuの原子価を4価に調整する。この調
整は、NOxガスの吹き込みによって行う。また、次の
ステップ(i)の冷却過程において水(H2 O)や硝酸
3水和物(HNO3 ・3H2 O)の結晶が生成しないよ
うに、酸濃度の調整を行う。酸濃度は6M程度とする。 (i)溶液を40℃から10℃程度まで冷却することに
より、UNH結晶を析出させ、母液と結晶を分離する。 (j)結晶を母液と同程度の酸濃度の硝酸で洗浄し、結
晶をU製品、母液及び洗浄液をU−Pu混合製品として
回収する。
【0013】図2は、本発明に係る共晶析現象を利用し
た使用済核燃料の再処理方法の他の実施例を示す工程説
明図である。
【0014】まず工程Dでは、使用済核燃料を剪断し、
硝酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する。この工
程は、前記実施例と同様である。詳しく述べると、 (k)使用済核燃料(燃料ピン束)を剪断機で小片に剪
断する。 (l)剪断片を硝酸で溶解する。これには、例えば13
N以下、110℃程度の沸騰硝酸を用いる。 (m)そして、清澄した溶液を次工程に移送する。これ
によって、溶液中の不溶解残渣が除去される。
【0015】次に工程Eでは、酸濃度及び溶液中のプル
トニウムの原子価を4価に調整し、溶液を冷却して硝酸
ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、結晶を
洗浄してウラン製品として回収する。更に詳しく述べる
と、 (n)溶液の酸濃度を6M程度に調整し、溶液中のPu
の原子価を4価から6価に調整する。この原子価の調整
は、NOxガスの吹き込みにより行う。酸濃度の調整
は、次のステップ(o)の冷却過程において水(H
2 O)や硝酸3水和物(HNO3 ・3H2 O)の結晶が
生成しないようにするためである。 (o)溶液を40℃から10℃程度まで冷却することに
より、UNH結晶を析出させ、母液と結晶を分離する。 (p)結晶を母液と同程度の酸濃度の硝酸で洗浄し、結
晶をU製品として回収する。
【0016】更に工程Fでは、分離した母液について、
酸濃度及び溶液中のウランとプルトニウムの原子価を6
価に調整し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・プルトニウ
ム結晶を析出させ、母液と結晶を分離して、分離した結
晶を洗浄し、結晶をウラン・プルトニウム混合製品とし
て回収する。その際、FP,TRU,CP等が取り除か
れる。更に詳しく述べると、 (q)分離した母液について、酸濃度及び溶液中のU,
Puの原子価を6価に調整する。 (r)溶液を40℃から−30℃程度に冷却することに
より、硝酸ウラニル・プルトニル((U,Pu)NH)
結晶を析出させ、母液と該結晶を分離する。 (s)母液と同程度の酸濃度の硝酸で結晶を洗浄し、結
晶をU−Pu混合製品として回収する。
【0017】上記の各実施例において、晶析や洗浄の過
程で発生する母液や洗浄液の全部あるいは一部を蒸留す
ること等によって硝酸を分離すると、溶解、調整、又は
洗浄に再利用することができる。
【0018】ステップ(i)又は(o)において、晶析
温度や時間によって回収するU量を調節することによ
り、最終的に回収されるU−Pu混合製品のU/Pu比
を調整することができる。Uの溶解度曲線(硝酸溶液濃
度をパラメータとしたときの溶液温度に対するU濃度)
は既知であり、従ってその溶解度曲線から収率を冷却温
度や濃度調整で制御できるからである。例えば、上記実
施例のように、40℃から10℃に冷却することによ
り、Uのおよそ60%が回収でき、U/Puは3:1に
なる。
【0019】
【発明の効果】本発明は上記のように、ウラン・プルト
ニウムの共晶析現象を利用して、使用済核燃料からUと
Puを回収する方法であるから、従来のPUREX法と
比較して工程中で使用する試薬や溶媒の量を減らすこと
ができ、廃液発生量の低減を図ることができる。また、
TBP等の有機溶媒を使用しないことから、可燃性のレ
ッドオイルが生成することもない。更に、UとPuを同
時に回収し、Pu単体での回収を行わないために、核不
拡散抵抗性を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る使用済核燃料の再処理方法の一実
施例を示す工程説明図。
【図2】本発明に係る使用済核燃料の再処理方法の他の
実施例を示す工程説明図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年8月28日(2002.8.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 共晶析現象を利用した使用済核燃料の
再処理方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウラン・プルトニ
ウムの共晶析現象を利用して、使用済核燃料からウラン
・プルトニウム等の核燃料物質を回収する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】使用済核燃料には、ウラン(U)やプル
トニウム(Pu)等、再び燃料として使用できる物質が
含まれている。従って、それらを回収し再利用すること
によりエネルギー資源の有効利用を図ることができる。
【0003】現在、実用化されている使用済核燃料の再
処理方法としては、ピューレックス(PUREX)法が
ある。この方法では、まず燃料集合体を剪断し、硝酸に
溶解する。次に、硝酸溶液を清澄し酸濃度等の調整を行
い、リン酸トリブチル(TBP)を溶媒としてUとPu
を抽出する。更に試薬を用いて価数調整等を行い、それ
ぞれを水相に逆抽出することで核分裂生成物(FP)や
超ウラン元素(TRU)、腐食生成物(CP)等からU
やPuを選択的に分離回収する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなPUREX
法は、U及びPuの選択的回収、臨界管理、安全性、ハ
ンドリング等の面で優れた再処理方法である。しかし、
環境的負荷低減の観点から、工程の簡素化及び廃液発生
量の低減が求められている。また、硝酸の存在下での有
機溶媒の使用は、爆発性有機化合物(レッドオイル)が
生成してしまう可能性があり、補助的な操作並びに管理
が必要となる。更に、Puが単独で存在する工程がある
ことから、核不拡散という点に関しては若干不利といえ
る。
【0005】本発明の目的は、廃液発生量を低減でき、
レッドオイルが生成せず、しかも核不拡散抵抗性を強化
できる使用済核燃料の再処理方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、6価のUとP
uの共晶析現象を利用して、使用済核燃料の硝酸溶液か
らU及びU−PuとFPやTRU等を粗分離する方法で
ある。
【0007】本発明は、使用済核燃料を剪断し、硝酸に
溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃度及
び溶液中のウランとプルトニウムの原子価を6価に調整
し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・プルトニ結晶を析
出させ、母液と結晶を分離する工程、その結晶を再度硝
酸に溶解し、プルトニウムの原子価を4価に調整し、溶
液を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶
を分離して、結晶をウラン製品として回収し、母液をウ
ラン・プルトニウム混合製品として回収する工程、を具
備している共晶析現象を利用した使用済核燃料の再処理
方法である。
【0008】また本発明は、使用済核燃料を剪断し、硝
酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃
度及び溶液中のプルトニウムの原子価を4価に調整し、
溶液を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結
晶を分離し、結晶をウラン製品として回収する工程、分
離した母液について、酸濃度及び溶液中のウランとプル
トニウムの原子価を6価に調整し、溶液を冷却して硝酸
ウラニル・プルトニ結晶を析出させ、母液と結晶を分
離し、分離した結晶をウラン・プルトニウム混合製品と
して回収する工程、を具備している共晶析現象を利用し
た使用済核燃料の再処理方法である。
【0009】
【実施例】図1は、本発明に係る共晶析現象を利用した
使用済核燃料の再処理方法の一実施例を示す工程説明図
である。
【0010】まず工程Aでは、使用済核燃料を剪断し、
硝酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する。更に詳
しく述べると、 (a)使用済核燃料(燃料ピン束)を剪断機で小片に剪
断する。 (b)剪断片を硝酸で溶解する。これには、例えば13
N以下、110℃程度の沸騰硝酸を用いる。 (c)そして、清澄した溶液を次工程に移送する。これ
によって、溶液中の不溶解残渣が除去される。
【0011】次に工程Bでは、酸濃度及び溶液中のウラ
ンとプルトニウムの原子価を6価に調整し、溶液を冷却
して硝酸ウラニル・プルトニ結晶を析出させ、母液と
結晶を分離し、分離した結晶を洗浄する。これによっ
て、FP,TRU,CP等が取り除かれる。更に詳しく
述べると、 (d)溶液の酸濃度を6M程度に調整し、溶液中のU,
Puの原子価を電解により4価から6価に調整する。 (e)溶液を冷却することにより、硝酸ウラニル(UN
H)及び硝酸ウラニル・プルトニル((U,Pu)N
H)結晶を析出させ、母液とそれらの結晶を分離する。 (f)得られた結晶を、母液と同程度の酸濃度の硝酸で
洗浄する。
【0012】更に工程Cでは、それらの結晶を再度硝酸
に溶解し、プルトニウムの原子価を4価に調整し、溶液
を冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を
分離し、結晶を洗浄して、該結晶をウラン製品として回
収し、母液をウラン・プルトニウム混合製品として回収
する。詳しく述べると、 (g)得られたUNH結晶及び(U,Pu)NH結晶を
再度硝酸に溶解する。これらの結晶は水及び希硝酸に易
溶性であり、濃度4M程度で温度40℃程度の硝酸で溶
解する。 (h)溶液中のPuの原子価を4価に調整する。この調
整は、NOxガスの吹き込みによって行う。また、次の
ステップ(i)の冷却過程において水(H2 O)や硝酸
3水和物(HNO3 ・3H2 O)の結晶が生成しないよ
うに、酸濃度の調整を行う。酸濃度は6M程度とする。 (i)溶液を40℃から10℃程度まで冷却することに
より、UNH結晶を析出させ、母液と結晶を分離する。 (j)結晶を母液と同程度の酸濃度の硝酸で洗浄し、結
晶をU製品、母液及び洗浄液をU−Pu混合製品として
回収する。
【0013】図2は、本発明に係る共晶析現象を利用し
た使用済核燃料の再処理方法の他の実施例を示す工程説
明図である。
【0014】まず工程Dでは、使用済核燃料を剪断し、
硝酸に溶解し、溶液中の不溶解残渣を除去する。この工
程は、前記実施例と同様である。詳しく述べると、 (k)使用済核燃料(燃料ピン束)を剪断機で小片に剪
断する。 (l)剪断片を硝酸で溶解する。これには、例えば13
N以下、110℃程度の沸騰硝酸を用いる。 (m)そして、清澄した溶液を次工程に移送する。これ
によって、溶液中の不溶解残渣が除去される。
【0015】次に工程Eでは、酸濃度及び溶液中のプル
トニウムの原子価を4価に調整し、溶液を冷却して硝酸
ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、結晶を
洗浄してウラン製品として回収する。更に詳しく述べる
と、 (n)溶液の酸濃度を6M程度に調整し、溶液中のPu
の原子価を価から価に調整する。この原子価の調整
は、NOxガスの吹き込みにより行う。酸濃度の調整
は、次のステップ(o)の冷却過程において水(H
2 O)や硝酸3水和物(HNO3 ・3H2 O)の結晶が
生成しないようにするためである。 (o)溶液を40℃から10℃程度まで冷却することに
より、UNH結晶を析出させ、母液と結晶を分離する。 (p)結晶を母液と同程度の酸濃度の硝酸で洗浄し、結
晶をU製品として回収する。
【0016】更に工程Fでは、分離した母液について、
酸濃度及び溶液中のウランとプルトニウムの原子価を6
価に調整し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・プルトニ
結晶を析出させ、母液と結晶を分離して、分離した結晶
を洗浄し、結晶をウラン・プルトニウム混合製品として
回収する。その際、FP,TRU,CP等が取り除かれ
る。更に詳しく述べると、 (q)分離した母液について、酸濃度及び溶液中のU,
Puの原子価を6価に調整する。 (r)溶液を40℃から−30℃程度に冷却することに
より、硝酸ウラニル・プルトニル((U,Pu)NH)
結晶を析出させ、母液と該結晶を分離する。 (s)母液と同程度の酸濃度の硝酸で結晶を洗浄し、結
晶をU−Pu混合製品として回収する。
【0017】上記の各実施例において、晶析や洗浄の過
程で発生する母液や洗浄液の全部あるいは一部を蒸留す
ること等によって硝酸を分離すると、溶解、調整、又は
洗浄に再利用することができる。
【0018】ステップ(i)又は(o)において、晶析
温度や時間によって回収するU量を調節することによ
り、最終的に回収されるU−Pu混合製品のU/Pu比
を調整することができる。Uの溶解度曲線(硝酸溶液濃
度をパラメータとしたときの溶液温度に対するU濃度)
は既知であり、従ってその溶解度曲線から収率を冷却温
度や濃度調整で制御できるからである。例えば、上記実
施例のように、40℃から10℃に冷却することによ
り、Uのおよそ60%が回収でき、U/Puは3:1に
なる。
【0019】
【発明の効果】本発明は上記のように、ウラン・プルト
ニウムの共晶析現象を利用して、使用済核燃料からUと
Puを回収する方法であるから、従来のPUREX法と
比較して工程中で使用する試薬や溶媒の量を減らすこと
ができ、廃液発生量の低減を図ることができる。また、
TBP等の有機溶媒を使用しないことから、可燃性のレ
ッドオイルが生成することもない。更に、UとPuを同
時に回収し、Pu単体での回収を行わないために、核不
拡散抵抗性を強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る使用済核燃料の再処理方法の一実
施例を示す工程説明図。
【図2】本発明に係る使用済核燃料の再処理方法の他の
実施例を示す工程説明図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 625 B01D 9/02 625Z (72)発明者 野村 和則 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 核 燃料サイクル開発機構東海事業所内 (72)発明者 平野 弘康 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 核 燃料サイクル開発機構東海事業所内 (72)発明者 青嶋 厚 茨城県那珂郡東海村大字村松4番地33 核 燃料サイクル開発機構東海事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用済核燃料を剪断し、硝酸に溶解し、
    溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃度及び溶液中
    のウランとプルトニウムの原子価を6価に調整し、溶液
    を冷却して硝酸ウラニル・プルトニウム結晶を析出さ
    せ、母液と結晶を分離する工程、その結晶を再度硝酸に
    溶解し、プルトニウムの原子価を4価に調整し、溶液を
    冷却して硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を分
    離して、結晶をウラン製品として回収し、母液をウラン
    ・プルトニウム混合製品として回収する工程、を具備し
    ている共晶析現象を利用した使用済核燃料の再処理方
    法。
  2. 【請求項2】 使用済核燃料を剪断し、硝酸に溶解し、
    溶液中の不溶解残渣を除去する工程、酸濃度及び溶液中
    のプルトニウムの原子価を4価に調整し、溶液を冷却し
    て硝酸ウラニル結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、
    結晶をウラン製品として回収する工程、分離した母液に
    ついて、酸濃度及び溶液中のウランとプルトニウムの原
    子価を6価に調整し、溶液を冷却して硝酸ウラニル・プ
    ルトニウム結晶を析出させ、母液と結晶を分離し、分離
    した結晶をウラン・プルトニウム混合製品として回収す
    る工程、を具備している共晶析現象を利用した使用済核
    燃料の再処理方法。
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