JP2003210172A - Nmda受容体サブユニット遺伝子調節領域を用いた精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検出方法 - Google Patents

Nmda受容体サブユニット遺伝子調節領域を用いた精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検出方法

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JP2003210172A JP2002010344A JP2002010344A JP2003210172A JP 2003210172 A JP2003210172 A JP 2003210172A JP 2002010344 A JP2002010344 A JP 2002010344A JP 2002010344 A JP2002010344 A JP 2002010344A JP 2003210172 A JP2003210172 A JP 2003210172A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸(NMD
A)受容体の遺伝子構造を解析することにより、精神分
裂病との関連性を解明し、その結果得られた知見に基づ
いて、精神分裂病の診断に有用な方法やその方法に使用
するプライマー及びキットを提供することを目的とす
る。 【解決手段】ヒト核酸試料からヒトN−メチル−D−ア
スパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子を得、その
上流のプロモーター領域に存在する2塩基(GT)
(CA)反復配列の繰返し数を測定することを特徴と
する精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検
出方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトN−メチル−
D−アスパラギン酸(NMDA)受容体2Aサブユニッ
ト(NR2A)遺伝子の調節領域及びその検出方法に関
し、より詳細には、ヒトNR2A遺伝子上流に存在する
2塩基(GT)/(CA)反復配列の繰返し数を測
定することを特徴とする精神分裂病の発症危険度及び/
又は重症化因子の検出方法及びそのためのキットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】精神分裂病は、複雑な遺伝的背景を有す
る一般的且つ重篤な精神的疾患である。薬理学的又は他
の生物学的研究によって種々の発症機構の仮説や原因と
なる遺伝子の候補が提唱されているが、精神分裂病の正
確な病因については未だ明らかではない(Gainetdinov
R.R. et al. Trends Neurosci. 24, 527-533 (2001)及
びGlenthoj B.Y. & Hemmingsen R. Acta Psychiatr Sca
nd Suppl. 395, 105-112(1999)参照)。
【0003】これまで、精神分裂病の罹患しやすさと関
連する遺伝子多型としては、ドーパミンD3受容体の9
番目のセリン/グリシンの多型が報告されている(Will
iamsJ. et al., Mol. Psychiatry, 1998, 3, 141-14
9)。しかしながら、上記一塩基多型では、罹患危険率
が1.15倍上昇するという弱い効果しかもたないこと
と、細胞実験レベルでの病態への関与が不明であること
が問題である。
【0004】また、カテコールアミンの生合成経路の律
速酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)遺伝子
の第一イントロン内に存在するマイクロサテライトDN
Aの特定の対立遺伝子が精神分裂病と関連していること
が報告されている(特表平11−504809号公報参
照)。該特定の対立遺伝子は、精神分裂病の1つの決定
因子と考えられるが、極めて頻度が低いため、その他の
重要な危険因子についても検討する必要がある。
【0005】さらに、精神分裂病では、NMDA型グル
タミン酸受容体の機能低下を示唆する間接証拠があり、
「NMDA受容体機能低下説」が唱えられている。これ
は、フェンシクリジン(PCP)やケタミン等のNMD
A受容体複合体の非競合型アンタゴニストを正常人に投
与した場合に、精神分裂病の臨床的特徴と極めて類似し
た行動及び認識の欠如が認められることに基づいてい
る。これらの症状は、正常な機能の過剰やひずみとして
概念化され、典型的には、幻覚や妄想を含む陽性症状(P
ositive symptoms)と、正常な機能の減少や欠損を反映
すると考えられている感情鈍麻や自閉性等からなる陰性
症状(Negative symptoms)を含んでいる。NMDA受容
体のアンタゴニスト(拮抗薬)は精神分裂病患者の症状
を悪化させることもできる(Javitt D.C. & Zukin SR. A
m.J. Psychiatr. 148, 1301-1308 (1991)及びMalhotra
A.K. et al. Neuropsychopharmacology 17, 141-150 (1
997)参照)。
【0006】ヒトNMDA受容体複合体は、陽イオンチ
ャンネル型の受容体であって、活性化されるとナトリウ
ム、カリウムイオンだけでなくカルシウムイオンに対し
ても高い透過性を示す。この受容体複合体を構成するサ
ブユニットには、NR1、NR2A、NR2B、NR2
C、NR2D、NR3A及びNR3Bという7種類が存
在し、NR1と4種類のNR2サブユニット及び2種類
のNR3サブユニットの何れか1つとでヘテロダイマー
を形成する(Dingledine R. et al. Pharmacol.Rev. 51,
7-61 (1991)参照)。NR2Aサブユニットは思春期以
降に発現し、成人期を通じて安定して維持される(Watan
abe M. et al. Neuroreport 3, 1138-1140 (1992)参
照)。精神分裂病の患者の4分の3は16〜25歳の間
に発病し、上述したNMDA受容体複合体の非競合型ア
ンタゴニストは、思春期以前の個体には精神異常の特徴
を誘導しない(Baldridge E. B. & Bessen H.A. Emerg.
Med. Clin. North Am. 8, 541-550 (1990)及びReich D.
L. & Silvag G. Can. J. Anaesth. 36, 186-197 (1989)
参照)。
【0007】しかし、このように精神分裂病との関連性
が示唆されるヒトNMDA受容体については、これまで
具体的な分子異常は同定されておらず、特にNR2Aサ
ブユニットは精神分裂病の病態生理学にとって重要な候
補であるだけでなく、分子的レベルでの解析が必要とさ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、NMDA受
容体の遺伝子構造を解析することにより、精神分裂病と
の関連性を解明することを目的とする。また、その結果
得られた知見に基づいて、精神分裂病の診断に有用な方
法やその方法に使用するプライマー及びキットを提供す
ることを目的とする。
【0009】さらに、このような遺伝子の解析に基づい
て、精神分裂病の新規な治療薬をスクリーニングする方
法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】精神分裂病は思春期以降
に発病することから、本発明者等はNMDA受容体のう
ち思春期以降に発現する2Aサブユニットに注目し、こ
のNR2A遺伝子の構造を詳細に研究した。その結果N
R2A遺伝子上流のプロモーター領域に存在するマイク
ロサテライト反復配列(2塩基(GT)/(CA)
反復配列)が多型性を有し、このマイクロサテライト反
復配列多型の種類と、精神分裂病の罹患しやすさ、及び
/又は症状の重症化との間に顕著な相関関係があること
を見出すことによって本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の第1の視点において、
ヒト核酸試料からヒトN−メチル−D−アスパラギン酸
受容体2Aサブユニット遺伝子を得、その上流のプロモ
ーター領域に存在する2塩基(GT)/(CA)
復配列の繰返し数を測定することを特徴とする精神分裂
病の発症危険度及び/又は重症化因子の検出方法が提供
される。
【0012】前記検出方法の好ましい実施形態におい
て、ヒト核酸試料がヒト血液から抽出したDNAである
ことを特徴とする。
【0013】更に好ましい実施形態において、前記検出
方法は、ヒト核酸試料から得られたヒトN−メチル−D
−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の上流
領域を増幅し、増幅されたDNAの2塩基GT反復配列
の繰返し数を測定することを特徴とする。
【0014】別の好ましい実施形態において、前記ヒト
N−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニッ
ト遺伝子の上流領域の増幅が、配列番号5に示す塩基配
列のうち連続する10〜30の塩基配列からなるセンス
プライマーと、配列番号6に示す塩基配列のうち連続す
る10〜30の塩基配列からなるアンチセンスプライマ
ーとを用いたポリメラーゼ連鎖反応により増幅を行うこ
とを特徴とする。
【0015】更に別の好ましい実施形態において、前記
センスプライマーと、前記アンチセンスプライマーとを
用いて増幅されたDNA断片は80〜200塩基対であ
ることを特徴とする。
【0016】本発明の第2の視点において、配列番号3
に示す塩基配列からなるセンスプライマーと、配列番号
4に示す塩基配列からなるアンチセンスプライマーとか
らなるプライマー対が提供される。このプライマー対
は、前記精神分裂病の発症危険度、及び/又は重症化因
子の検出に用いることができる。
【0017】本発明の第3の視点において、配列番号5
に示す塩基配列のうち連続する10〜30の塩基配列か
らなるセンスプライマーと、配列番号6に示す塩基配列
のうち連続する10〜30の塩基配列からなるアンチセ
ンスプライマーとを含むことを特徴とする、ヒトN−メ
チル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝
子の上流領域に存在する2塩基(GT)/(CA)
反復配列の繰返し数を測定するためのキットが提供され
る。
【0018】好ましい実施形態において、前記キットに
含まれるセンスプライマーが配列番号3に示す塩基配列
からなり、アンチセンスプライマーが配列番号4に示す
塩基配列からなることを特徴とする。
【0019】本発明の第4の視点において、下記一般式
(1) 5’X(GT)Y3’ (1) (式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配
列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数
である)で表される塩基配列からなるDNA断片と、こ
れと機能的に連結されたレポーター遺伝子とを含むこと
を特徴とする組換えベクターが提供される。この組換え
ベクターを用いて、ヒトN−メチル−D−アスパラギン
酸受容体2Aサブユニット遺伝子の転写促進物質及び/
又は抑制物質をスクリーニングすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本明細書において使用する「対立
遺伝子」(allele)とは、特定の遺伝形質に関する2つ或
はそれ以上の遺伝子の択一的な型の一つ一つの遺伝子型
のことをいう。被験者が2つの同一の対立遺伝子を持つ
場合には「ホモ接合性」(homozygous)と呼ばれ、2つの
異なる対立遺伝子を持つ場合には「ヘテロ接合性」(het
erozygous)と呼ばれる。また、「遺伝子型」(genotype)
とは、着目する遺伝子座の対立遺伝子の組合せをいう。
対立遺伝子型及び遺伝子型の統計的解析には、例えばモ
ンテカルロ法(CLUMPプログラム、Sham P.C. & Cur
tis P. Ann. Hum. Genet. 59, 97-105 (1995)参照)を
用いて行うことができ、CLUMPプログラムは、htt
p://linkage.rockefeller.edu/.から入手できる。
【0021】「連鎖不平衡」(linkage disequilibrium)
とは、2つの対立遺伝子が所定の母集団において非独立
的に遺伝することが認められるような場合をいう。2つ
の対立遺伝子が独立して遺伝する場合の予想される頻度
は、第1の対立遺伝子の頻度と第2の対立遺伝子の頻度
との積となるが、このような場合を「連鎖平衡」(linka
ge equilibrium)という。「ハプロタイプ」(haplotype)
とは、2以上の対立遺伝子が一緒に遺伝する(連鎖不平
衡)一組の対立遺伝子のことをいう。連鎖不平衡の強さ
を調べるにはハプロタイプの構築、頻度の推定が必要で
ある。連鎖不平衡係数D(disequilibrium coefficient)
は、D=h−p1p2で表され、hはハプロタイプの頻
度、p1、p2は2つの遺伝子座における2つの対立遺
伝子の頻度である。Dは正の値になったときに連鎖不平
衡が強いということができる。Hardy-Weinberg平衡、2
つの遺伝子座の連鎖不平衡及びハプロタイプ頻度の推定
は、Arlequinソフトウエア(Schneider等)を用いて行う
ことができ、http://anthropologie.unige.ch/arlequin
/methods.htmlから入手することができる。
【0022】「多型」(polymorphism)とは、遺伝子又は
その一部において2以上の型が存在することをいう。多
型部位は一塩基対の場合(SNP)も、或は一定の長さ
の塩基対の場合もある。「マイクロサテライト」(micro
satellite)とは、ゲノム上で比較的豊富に存在する1〜
6塩基程度の反復配列をいう。ヒトゲノムには多くの場
所に分散して2塩基の反復配列(GT)/(CA)
存在が知られており、個体によってこの反復回数に相違
が見られるケース(多型)が多く観察されている。これ
らのマイクロサテライト反復配列は、遺伝子の転写活性
を調節する機能的役割を有することも報告されている。
【0023】(NR2A遺伝子上流に存在するマイクロ
サテライト反復配列を含むDNA断片)本発明に係るマ
イクロサテライト反復配列を含むDNA断片は、ヒト1
6番染色体(16p13.3)におけるNR2A遺伝子上流のプ
ロモーター領域に存在する。図1はこのNR2A遺伝子
の構造とマイクロサテライト反復配列及びその他の一塩
基多型の存在する位置を示したものである。このマイク
ロサテライト反復配列(GT)の繰返し数は、本発明
者等の調べた被験者集団においては、11〜39回の範
囲内で変動し、最も高頻度で見出される対立遺伝子は2
4回の繰返し数を有していた。本明細書の以下の実施例
において詳細に説明するように、(GT) の繰返し数
が25回以上の対立遺伝子を有する被験者は精神分裂病
に罹患しやすく、及び/又は症状の重症化を示す。ま
た、上記繰返し数が増加するに従って、NMDA受容体
遺伝子の転写活性が低下することが、この2塩基GT反
復配列を含むDNA断片と機能的に結合したレポーター
遺伝子の発現量を測定することによって示された。これ
らの結果は、精神分裂病の診断や治療或は新規な治療薬
の開発においても、上記2塩基GT反復配列を含むDN
A断片の有用性を示すものである。
【0024】これらのDNA断片としては、例えば、ヒ
トN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニ
ット遺伝子上流に存在する2塩基GT反復配列を含むD
NA断片であって、下記一般式(1) 5’X(GT)Y3’ (1) (式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配
列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数
である)で表される塩基配列からなるDNA断片があ
る。上記一般式(1)において、配列番号1に示した塩
基配列Xは、2塩基GT反復配列の上流の単一なゲノム
塩基配列であり、配列番号2に示した塩基配列Yは、2
塩基GT反復配列の下流の単一なゲノム塩基配列であ
る。配列Yは、ヒトNMDA受容体遺伝子のプロモータ
ー配列と転写開始部位(mRNAの5’末端に対応する
配列)を含む。(GT)が25回以上繰返す反復配列
は精神分裂病患者において多く認められることから病気
との関連性が示唆される。このDNA断片の下流に種々
のレポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼ遺伝子や緑
色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子等を連結し、脳由来
の培養細胞に導入することにより、これらのレポーター
遺伝子の発現産物(例えば、蛍光強度)に基づいて、精
神分裂病と関連性の高いNR2A遺伝子の発現調節機構
を容易に解析することができる。
【0025】上記レポーター遺伝子を含むベクターは、
当業者において公知のものの中から適宜選択して使用す
ることができる。例えば、真核細胞のプロモーター配列
とエンハンサー配列を除去したプラスミドに組換えホタ
ルルシフェラーゼ遺伝子とポリアデニル化部位等を備え
たベクターが市販されている(プロメガ社製、ルシフェ
ラーゼレポーターベクター等)。これらのベクターのマ
ルチクローニング部位に上記一般式(1)で表された塩
基配列からなるDNA断片を挿入することによって、N
R2A遺伝子の発現に関わる制御因子の機能を迅速且つ
簡単に解析することができる。これらの組換えベクター
をトランスフェクトした細胞では、レポーター遺伝子上
流に適切な方向性で挿入したNR2A遺伝子のプロモー
ター活性を、発現させたレポーター遺伝子産物の量(例
えばルシフェラーゼの酵素活性量)として測定すること
ができる。
【0026】このプロモーター活性の評価は、精神分裂
病の診断や治療の方針を作成するにあたり、或は新規な
医薬品の開発にとって極めて重要な手がかりとなる。例
えば、試験管内の培養細胞系において、該DNA断片に
含まれるNR2A受容体遺伝子の発現調節領域に働いて
その転写を促進又は抑制するような物質(薬剤)のスク
リーニングが可能となる。これによって精神分裂病の新
規な治療薬を探索することができる可能性がある。
【0027】具体的なスクリーニング方法としては、
(a)候補化合物の存在下で培養した脳由来の細胞に、
上記一般式(1)で表された塩基配列からなるDNAを
ルシフェラーゼ遺伝子と機能的に結合させた組換えベク
ターで形質転換し、一定時間培養後に該形質転換細胞の
蛍光強度を検出する工程、(b)前記工程(a)で検出
された蛍光強度を、前記候補化合物非存在下での蛍光強
度と比較して、その蛍光強度を増強したり低下させたり
する候補化合物を選択する工程、を含む。前記候補化合
物としてはタンパク質、ペプチド、アミノ酸又はその誘
導体、合成又は天然化合物などが挙げられるがこれらに
限定されない。上記培養細胞の種類や培養方法、或はレ
ポーター遺伝子の種類やそれに対応した検出方法等は当
業者において容易に最適化することができる。
【0028】(2塩基GT反復配列の繰返し数の測定方
法、その方法に用いるプライマー対及びキット)以下の
実施例において詳細に説明するように、本発明は、ヒト
NR2A遺伝子上流のプロモーター領域に存在する2塩
基GT反復配列の繰返し数と精神分裂病との関連性に関
する知見に基づいて、精神分裂病の発症危険度(罹患し
やすさ)及び/又は症状の重症化因子を検出する方法、
その方法に用いるプライマー対及びキットを提供する。
【0029】一つの実施形態において、上記精神分裂病
の発症危険度及び/又は症状の重症化因子の検出方法
は、(a)被験者から核酸を含む試料を取得する工程、
(b)該試料中におけるヒトNMDA受容体2Aサブユ
ニット(NR2A)遺伝子の上流領域を増幅する工程、
及び(c)該上流領域に存在する2塩基GT反復配列の
繰返し数を測定する工程を含み、該2塩基GT反復配列
が、少なくとも一方の対立遺伝子において25回以上繰
り返すと、被験者が精神分裂病に罹患しやすく、及び/
又は症状が重症化しやすいことを示唆する。
【0030】本発明の検出方法は、被験者のゲノムDN
Aを含む核酸試料を用いて行う。これらの試料は被験者
の組織、細胞、血液等を含む。特に、簡単な採血によっ
て容易に得られる血液細胞(例えば静脈血から得られる
白血球)が好ましい。その他、繊維芽細胞、上皮細胞、
ケラチノサイトなどのような他の細胞も使用できる。更
に、毛髪や皮膚等の乾燥試料を用いて行うこともでき
る。
【0031】本発明の検出方法によれば、被験者からの
核酸試料はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)や連結酵素
連鎖反応(LCR)等の適当な方法により増幅される。
DNAを増幅するための種々の方法は当業者に公知であ
り、例えば、所望のDNA断片をクローン化したり、P
CR、LCR、鎖置換増殖方法(Walker G. et al. Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA. 89, 392-396 (1992))、転写
反応に基づいた増殖方法( Kwoh D. et al. Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA. 86, 1173-1177 (1989))、自己持続
複製反応(Guatelli J. et al. Proc. Natl. Acad. Sci.
USA. 87, 1874-1878 (1990))、Q−βレプリカーゼシ
ステム(Lizardi P. et al. Bio/Technology 6, 1197-12
02 (1988))、核酸配列に基づいた増殖反応(NASB
A)(LewisR. Genetic Engineering News 12, 1 (199
2))、修復連鎖反応(RCK)等により行うことができ
るがこれらに限定されない。
【0032】増殖反応産物は、種々の方法により検出す
ることができ、例えば、塩基配列の決定、一本鎖立体配
置の解析、分子量の測定、及び制限酵素切断後の分子量
測定等が含まれる。これらの2以上の技術を組合せて行
う事もまた可能である。分子量の測定は最も簡便な方法
として特に好ましく、当業者に公知の種々の方法があ
る。例えば、ポリアクリルアミド電気泳動やキャピラリ
ー電気泳動、或は質量分析法(WO 94/16101, Cohen et a
l. Adv. Chromatogr. 36, 127-162 (1996), Griffin et
al. Appl. Biochem. Biotechnol. 38, 147-159 (199
3))によっても行うことができる。
【0033】一本鎖立体配置多型(SSCP)による検
出技術もまた、アクリルアミドゲル等に基づく分離方法
であるが、非変性条件下で行われる。好適なキャピラリ
ー電気泳動によって行うこともできる。この技術は、種
々のDNA断片をそれらの立体配置(コンフォメーショ
ン)に従って識別し得る(Orita et al. Proc. Natl.Aca
d. Sci. USA. 86, (1989), Cotton Mutat. Res. 285, 1
25-144 (1993), Hayashi Genet. Anal. Tech. Appl. 9,
73-79 (1992))。
【0034】本発明の好ましい実施形態において、以下
の配列番号3及び配列番号4に示した塩基配列のプライ
マー対を用いるPCR法により、2塩基GT反復配列を
含むDNA断片を増幅する。 5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番号3) 5'-GCTGGGTACAGTTATCCCCCT-3'(配列番号4) このプライマー対はそれぞれ23塩基及び21塩基の一
本鎖DNAであって、本発明に係る2塩基GT反復配列
の上流及び下流領域と特異的に結合し、その結果、約1
30塩基対のDNA断片が増幅される。増幅されたDN
A断片は塩基配列の決定又はDNA分子量の解析の何れ
の方法によっても2塩基GT反復配列の繰返し数を測定
することができる。増幅されたDNA断片の長さはプラ
イマー対の設計によって任意の長さにすることができる
が、DNA断片の長さがあまりに短いと塩基配列の決定
が難しく、又その長さがあまり長いと分子量の解析が困
難となる。増幅反応は、当業者にとって公知の技術であ
る4種類のデオキシヌクレオチドリン酸(dNTPs)
及びTaqポリメラーゼ等の耐熱性DNAポリメラーゼ
を含む。
【0035】PCR法によるDNA断片の増幅は、2ヶ
所以上のゲノム領域を同時に増幅する複合増幅(multipl
ex amplification)を含む。例えば、PCR産物の大き
さが異なるようにプライマーを設計することによってD
NA断片を同時に増幅し、及び解析することは当業者に
とって公知である。或は、異なるDNA断片を増幅する
際に、異なった標識(例えば蛍光波長の異なる色素)を
持ったプライマーを用いることでもそれぞれを別々に検
出することができる。その他、当業者において公知の技
術を用いて2ヶ所以上のゲノム領域を同時に増幅するこ
とができる。
【0036】本発明の特に好ましい態様において、増幅
されたDNA断片は、その長さを測定することによって
検出され得る。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、こ
のような方法として当業者において周知であり、電気泳
動用のゲルはポリアクリルアミドゲルの他にも適当なも
のを選択して使用することができる。アクリルアミドを
使用する場合は、変性条件で3〜8%、好ましくは4-5%
濃度のゲルが使用できる。その他、高性能ポリマーで作
成されたキャピラリー電気泳動装置を用いることも可能
である。適切な分子量マーカーを使用することによっ
て、このような電気泳動の結果からそのDNA断片の大
きさを正確に測定することは当業者において容易に行う
ことができる。
【0037】質量分析法は、増幅されたDNA断片の分
子量を検出する方法であり、大量の試料を高速で処理で
きる方法として、MALDI−TOF/MS (matrix
assisted laser desorption ionization time-of-fligh
t/mass spectrometry)がある。増幅されたDNA断片か
ら塩、緩衝液、界面活性剤、タンパク質等の不純物を除
去した後、MALDIプレートへスポットして質量分析
される。即ち、DNA断片はレーザー光照射によりイオ
ン化される。電荷を帯びた産物は質量分析機内に作られ
た電場内へ遊離し加速される。加速された電荷分子は真
空空間を飛行し、測定板へと到達する。計測されるのは
レーザー光照射から測定板までの飛行時間(time of fli
ght)であり、この飛行時間は定められた電場空間、飛行
空間においては荷電分子の質量/電荷により一義的に決
まる。
【0038】本発明に係るNR2A遺伝子の上流領域に
存在する2塩基GT反復配列を含むDNA断片を増幅す
るためのプライマー対は、2塩基GT反復配列の両端の
単一な塩基配列部分にハイブリダイズするオリゴヌクレ
オチドプライマー対を公知の方法で化学合成して用いる
ことができる。これらの各プライマーは、25〜250
0塩基対離れた領域においてハイブリダイズすることが
できるが、増幅産物の塩基配列の決定又は分子量の解析
を容易にするため、増幅産物の大きさが100〜500
塩基対であることが好ましい。より好ましくは、増幅産
物の大きさは80〜200塩基対である。配列番号5に
示した塩基配列は、2塩基GT反復配列の5’上流領域
の塩基配列であり、この配列の中から連続する10〜3
0塩基の任意の一本鎖のDNA配列を選択してセンスプ
ライマーとすることができる。配列番号6に示した塩基
配列は、2塩基GT反復配列の3’下流領域の塩基配列
であり、この配列の中から連続する10〜30塩基の任
意の一本鎖のDNA配列を選択してアンチセンスプライ
マーを合成することができる。これらのオリゴヌクレオ
チドプライマーの長さは10〜30塩基の範囲内であれ
ば良いが、好ましくは18〜25塩基のものを、更に好
ましくは配列番号3及び配列番号4に示したそれぞれ2
3塩基及び21塩基のオリゴヌクレオチドプライマーを
用いることができる。これらのプライマーは増幅された
DNA断片の検出を容易にするために標識することがで
きる。標識としては、例えば、放射性同位元素、酵素、
蛍光色素、ストレプトアビジン、アビジン、磁気ビー
ズ、抗原及び抗体等が用いられる。
【0039】ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容
体2Aサブユニット遺伝子上流に存在する2塩基(G
T)/(CA)反復配列の繰返し数を測定するため
のキットには、これらのプライマー対を含むことができ
る。これらのプライマー対のほかに当業者にとって公知
の他の構成試薬、例えば、DNAの抽出や精製用の試薬
を含んでいても良い。その他、4種類のデオキシヌクレ
オチドリン酸(dNTPs)やTaqポリメラーゼ等の
耐熱性DNAポリメラーゼ等も含まれ得る。
【0040】(2塩基GT反復配列の繰返し数と精神分
裂病との関連性)精神分裂病患者及び対照被験者の各対
立遺伝子について測定された2塩基GT反復配列の繰返
し数の結果から、この2塩基GTが25回以上繰り返す
と、精神分裂病に罹患しやすいことが分かる。例えば、
図2は、本発明の実施例において解析された精神分裂病
患者と対照者における(GT)の対立遺伝子の分布を
表すが、被験者対立遺伝子の中で最も頻度が高いのは2
4回の繰返しであること及び25回以上の繰返しを有す
る対立遺伝子は、対象者よりも精神分裂病患者に多いこ
とが理解される。
【0041】本発明の検出方法を用いた精神分裂病の診
断は、1つの対立遺伝子型だけでも、または複数の対立
遺伝子からなる遺伝子型を調べることによってもでき
る。例えば、(GT)の繰返し数の測定や、この繰返
し数が一定の範囲内にあるものをグループとして同定す
ることもできる。(GT)の繰返し数は一定の範囲に
わたって分布するため、多くの種類の対立遺伝子が存在
することになるが、これらをその繰返し数が25回以上
のL型と、24回以下のS型に分類することによって、
便宜上2つの対立遺伝子として解析することができ、更
に連鎖不平衡やハプロタイプの解析を行うために適して
いる。このような2つの対立遺伝子型に分類することが
遺伝学的に妥当であることは後述する実施例において詳
細に示される。実施例に示した表2はこのような分類に
従って行った症例対照法の結果を示す。表2に示したデ
ータに基づいて説明すると、遺伝子型がL/Lというタ
イプの個人は、健常人対照群では10%の頻度である
が、精神分裂病の患者では19%の頻度で存在すること
から、L/Lという遺伝子型を有する個人は他の遺伝子
型に比べて精神分裂病の発症の可能性が約1.9倍高い
ということができる。
【0042】本発明に係るマイクロサテライト反復配列
の多型と精神分裂病患者の症状の重症度については、本
発明の方法により測定された精神分裂病患者の2塩基G
T反復配列の繰返し数と、臨床的な症状を観察すること
によって明らかにすることができる。臨床的症状の観察
は、精神科の医師により、米国精神医学会の精神疾患の
診断・統計マニュアル第4版(DSM−IV)に基づいて
診断され、例えば、PANSS法を用いて行うことがで
きる。
【0043】また、本発明の検出方法は、他の任意の測
定方法と組合せて診断の正確性を向上することができ
る。他の方法は、遺伝子検査であっても血清タンパク質
の検査であっても何れでも良い。例えば、同じNR2A
遺伝子の近傍に存在する一塩基多型との組合せでもよい
し、他の遺伝子(NMDA受容体遺伝子であるか否かを
問わない)であっても良い。或は、血清中の神経伝達物
質の濃度測定と組み合わせることもできる。
【0044】(薬理遺伝学)また、すでに精神分裂病を
発症している患者にとっては、その病因を解析すること
により、適切な治療方針の可能性を見出すことができ、
個人の遺伝的背景に基づいた薬理遺伝学を可能とする。
例えば、本発明に係るマイクロサテライト反復配列につ
いてL/L型の遺伝子型を有する精神分裂病患者または
患者グループは、NMDA受容体の機能低下が病因とな
っている可能性があり、また、他の遺伝子型の患者に比
べて症状が重症化しやすいことを予見でき、これらの知
見に基づいて適切な治療薬や治療方針を計画することが
できる。例えば、神経伝達物質の1つであるグリシン
は、アロステリック様の作用でNMDA受容体を活性化
し、精神分裂病のある種の陰性症状を改善することが知
られている。本発明の方法により、精神分裂病の病因と
してNMDA受容体の機能の低下を検出することができ
れば、NMDA受容体を活性化することによる治療方法
等が考えられ得る。
【0045】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0046】[実施例1] 被験者 精神分裂病の診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断
・統計マニュアル第4版(DSM−IV)に基づいた。少
なくとも2人の経験豊かな精神科医が診察を行って、一
致した結果を基に患者と診断した。血縁関係のない精神
分裂症の患者は、175人の男性(平均年齢44.9±12.4)
と128人の女性(平均年齢46.2±13.9)から構成され
た。対照被験者は、精神病でないことが文書で証明され
た病院のスタッフ、及び精神科医の簡単な面接によって
精神医学的に問題の無いことが示された企業勤務者から
集められ、121人の男性(平均年齢42.9±8.8)と184人
の女性(平均年齢42.7±15.1)を含んだ。家系に基づい
た関連性の検討を行うため、49人の精神分裂病患者とそ
の両親を別に収集した。すべての被験者は日本中部に在
住した。本発明における遺伝子解析は、理化学研究所と
東京医科歯科大学の倫理委員会によって許可されたもの
であり、すべての被験者はインフォームドコンセントを
与えた。
【0047】[実施例2] NR2A遺伝子の構造と多型
の解析 NR2AcDNAの5’末端を決定するためにMarathon
-Ready cDNA kit (クロンテック社、Palo Alto, Califo
rnia)と、NR2AcDNAに特異的な2種類のプライ
マーGSP1: 5'-TCATCTCCAGGGCTGATGGCTGCGG-3'(配
列番号7)及びGSP2:5'-ATTCTCAGCGCTCACCCGGTCCC
AT-3' (配列番号8)とを用いてcDNAの5’末端の
高速増幅(RACE)を行い、5’−RACE断片をクロ
ーニング及び塩基配列を決定した。さらに、26人の精神
分裂病患者のNMDA、NR2Aサブユニット遺伝子の
すべてのエクソン、スプライシングの境界領域及び5’
上流領域をPCR直接塩基配列決定(PCR-direct sequen
cing)することによってDNA多型のスクリーニングを
行った。プロモーター上流領域に存在する(GT)
復配列は、PCR産物をTAベクター(インビトロジェ
ン社、Carlsbad, California)にクローン化し、それら
の塩基配列を決定した。
【0048】マイクロサテライト反復配列多型を含むゲ
ノムDNA断片を増幅するために、非標識の上流プライ
マー:5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番号3)
と蛍光標識した下流プライマー:5'-GCTGGGTACAGTTATCC
CCCT-3'(配列番号4)とを用いた。ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)は、ExTaq DNAポリメラーゼ
(宝酒造株式会社製)を用いて、初期変性を94℃で1
分間行ったあと、94℃で15秒間、63℃で30秒
間、72℃で45秒間のサイクルを40回、最後に72
℃で2分間の伸長反応を1回行った。PCR産物はジー
ンスキャン(GeneScan)ソフトウエアを搭載したABI
3700DNAシーケンサー(PEアプライドバイオシ
ステム社)を用いて塩基配列を決定した。-1245位のC
からTへの一塩基多型、1275位のGからAへの一塩基多
型、及びイントロン10の101位のCからTへの一塩基
多型は、PCRに基づいた制限酵素断片長多型(RFL
P)によって解析した。
【0049】その結果、NR2AcDNAの5’末端
は、これまで報告されていた塩基配列(GenBank Acc. N
o. NM_000833.2)よりも135塩基対(bp)長いことを見
出した。NR2A遺伝子のゲノム構造はcDNAの塩基
配列と、GenBankに登録された対応するゲノム領域を含
むBAC(bacterial artificial chromosome)クローン
の塩基配列とを比較して決定した。これらのBACクロ
ーンの登録番号はAC007596(エクソン1〜3を含む)、
AC026423(エクソン4を含む)及びAC006531(エクソン
5〜14を含む)である。NR2Aゲノム遺伝子は、図
1に示したように14個のエクソンからなり、ヒト16
番染色体の16p13.3に少なくとも131キロ塩基対(kb)
にわたって存在する。翻訳開始コドン(ATG)はエク
ソン3にあり、終止コドンはエクソン14にある。この
NR2Aゲノムの遺伝子構造に基づいて、血縁関係のな
い26人の精神分裂病患者のNMDA、NR2Aサブユ
ニット遺伝子のすべてのエクソン、スプライシングの境
界領域及び第1エクソンの上流1094塩基対までの領域に
ついて変異のスクリーニングを行った。その結果、以下
の5ヶ所の多型部位が認められた:-1245位のCからT
への一塩基多型(-1245C>T)、5’調節領域の(GT)
の反復配列、-351位のGからAへの一塩基多型(-351G
>A)、1275位のGからAへの一塩基多型(1275G>A)、及び
イントロン10の101位のCからTへの一塩基多型(IVS1
0+101C>T)である(塩基配列の番号は翻訳開始コドンの
Aを+1とし、イントロン部分は除いて計数した。但
し、5’調節領域の(GT)の反復回数はn=26と
した。図1参照)。(GT)の3’末端は-679位に位
置した。調べた試料の中で、(GT)の反復回数は1
1個から39個であった。-351位のGからAへの一塩基
多型は、26人の患者のうち1人のヘテロ対立遺伝子に
存在する稀な多型であった。
【0050】[実施例3] マイクロサテライト反復配列
多型及びSNPsの遺伝子型と精神分裂病との相関性の
統計的解析 -351G>Aを除き、すべての塩基配列の変異を日本人の精
神分裂病患者303人と対照者305人の試料について分類し
た。-1245C>T、1275G>A、及びIVS10+101C>Tの一塩基多
型についての遺伝子型及び対立遺伝子型を比較したが、
精神分裂病と対照群とで有意な差は認められなかった
(それぞれ、P=0.36、0.73及び0.97)。すべての
遺伝子型分布は、Hardy-Weinberg平衡の範囲内であっ
た。これらの一塩基多型の間の連鎖不平衡解析の結果
は、1275G>AとIVS10+101C>Tとの間には強い連鎖不平衡
(精神病患者について:D=0.036、D’(標準化した
D)=0.708、P<0.00001;対照者について:D=
0.038、D’=0.702、P=0.00001)を示したが、-1
245C>Tと1275G>A(P>0.05)及び-1245C>TとIVS10+10
1C>T(P>0.05)との間には連鎖不平衡は認められな
かった。
【0051】
【表1】NR2A遺伝子内に存在する一塩基多型の分布
【0052】ヒトNR2A遺伝子の5’上流調節領域に
存在するマイクロサテライト反復配列の対立遺伝子型(a
llele)及び遺伝子型(genotype)の比較は、モンテカルロ
法により、CLUMPのプログラムを用いて行った。そ
の結果、これらの対立遺伝子型と精神分裂病との間に顕
著な相関(P=0.0178)が認められた。
【0053】精神分裂病患者及び対照正常人の5’上流
のプロモーター領域における2塩基GT反復配列の繰返
し数の分布を図2に示した。繰返し数が24回よりも多
い対立遺伝子の頻度は、対照群よりも精神分裂病患者の
方が大きいことから、このマイクロサテライト対立遺伝
子をその長さによって2つのクラスに分類した。すなわ
ち、その繰返し数が25回以上のL型と、その繰返し数
が24回以下のS型である(図2参照)。L型とS型の
対立遺伝子は、それぞれ-1245Cと-1245Tの一塩基多型
と連結していた(精神分裂病患者についてD(D’)=
0.011(0.500)、P=0.015;対照者についてD
(D’)=0.011(0.778)、P=0.004)。これらの
結果は、マイクロサテライト反復配列について上記L型
及びS型という2種類の対立遺伝子への分類が遺伝学的
に妥当であることを示し、このことは更に後述する機能
的解析によっても支持される。
【0054】L型及びS型の2種類の対立遺伝子の分類
に従って行った症例対照法の結果を表2に示した。その
結果、この2種類の対立遺伝子に関する遺伝子型の分布
は、精神分裂病の患者と対照群とで著しく異なっていた
(CLUMP P=0.0035)。精神分裂病患者の試料の遺伝子型
は、L/L型(P=0.004、χ=8.42、df=1、
オッズ比=1.98、95%信頼区間=1.24〜3.11)、及
び(L/L+L/S)型(P=0.007、χ=7.22、
df=1、オッズ比=1.55、95%信頼区間=1.12〜
2.13)の数が著しく多く、Cochran-Armitage直線性傾
向テストの結果、少なくとも1つのL型の対立遺伝子の
存在によって、精神分裂病の危険性が著しく増加するこ
とが分かった(P=0.003、χ=9.07、df=
2)。更に、精神分裂病患者におけるL型の対立遺伝子
の頻度は、対照群のそれと明らかに異なった(P=0.0
004、及びBonferroni相関後のP=0.0008、χ=12.
5、df=1、オッズ比=1.54、95%信頼区間=1.21
〜1.95)(表2参照)。
【0055】
【表2】マイクロサテライト反復配列の遺伝子型及び対
立遺伝子型の分布
【0056】-1245C>Tの一塩基多型と(GT)の2種
類の対立遺伝子によって規定されるハプロタイプの分布
は、精神分裂病と対照群とで著しく異なった(CLUM
P通常のカイ二乗P=0.0016)。-1245CとL型の(G
T)からなるハプロタイプは精神分裂病において過度
に存在していた(P=0.001、χ=10.2、df=
1)。このことは、マイクロサテライト反復配列の周辺
のゲノム領域が精神分裂病の素因を与えることが確認さ
れた。
【0057】被験者である日本人集団は均一であると考
えられるが、内在的な層別化のために症例対照法の結果
に問題があり擬陽性の結果が得られる恐れもある。そこ
で、これを検証するため49の精神分裂病家系(精神分裂
病患者とその両親)を用いて系統不平衡テスト(PD
T、Martin E.R. et al. Am. J. Hum. Genet. 67, 147-
154 (2000)参照)を行い、その結果を下記表3に示し
た。PDTを行うためのソフトウエアはhttp://wwwchg.
mc.duke.edu.から入手した。系統不平衡テスト(PD
T:pedigree disequilibrium test)は、多くの対立遺
伝子の分析から生ずる統計的数値の上昇を、包括値(glo
bal score)を計算することにより是正することができ
る。この包括値を求めた結果、マイクロサテライト反復
配列多型は全体として精神分裂病と関連していることが
分かった(P=0.026、χ=24.6、df=13)。表
3に示したように、L型に分類される(GT)25
(GT)27の2つの対立遺伝子は、両親から患者であ
る子孫に過度に伝達され、統計的な有意性(P=0.00
3)と傾向(P=0.070)を示した。
【0058】
【表3】マイクロサテライト反復配列の系統不平衡テス
ト(PDT)結果
【0059】[実施例4] プロモーター活性の測定のた
めのルシフェラーゼアッセイ 上記マイクロサテライト反復配列はNR2A遺伝子の上
流の発現調節領域に存在していたため、この2塩基(G
T)がプロモーター活性に及ぼす影響を、試験管内に
おけるレポーターアッセイシステムを用いて検討した。
(GT)の繰返しが12、24及び39であるホモ接
合体DNAから、以下のプライマー対を用いて2塩基
(GT)を含むプロモーター領域のDNA断片を増幅
した。
【0060】5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番
号3) 5'-AAGCCCTAGGAGCTCCCCTCCA-3'(配列番号9)
【0061】増幅したそれぞれのDNA断片は、エンハ
ンサーのないpGL3−basicプラスミド(プロメ
ガ社、Madison, Wisconsin)に結合した。マイクロサテ
ライト反復配列のない組換え体も同時に構築した。ヒト
神経芽細胞腫細胞を24穴プレートにそれぞれ1×10
個ずつプレーティングし、10%牛胎児血清添加した
ダルベッコ最小必須培地(シグマ社製、St. Louis, Mis
souri)で増殖させた。この培養細胞に、各プロモータ
ー断片を持ったpGL3−basicプラスミド1μg
を、内部標準として用いたpRL−TKプラスミド0.
1μgと共にLipofectAMINE 2000(Invitrogen社製)を
用いて共形質転換(co-transfection)した。48時間
後、細胞を収集し、溶解してPicagene Dual Seapansy k
it reagents (Toyo B-Net社製)とLumat LB 9507蛍光光
度計(Berthold Direct, Chicago,Illinois)を用いて
蛍光強度を測定した。
【0062】その結果を図3に示した。図3の横軸に示
した繰返し数の(GT)反復配列を含むプロモーター
の転写活性を、レポーター遺伝子の発現産物であるルシ
フェラーゼ活性を指標として縦軸にプロットした。レポ
ーター遺伝子の転写活性は、(GT)の長さが長くな
るに従って抑制されていることが分かった。最も一般的
な繰返し回数である24回の反復回数を有するプラスミ
ドのプロモーター活性は、(GT)繰返し配列を持た
ない組換え体の約半分であった。(GT)39の組換え
体の活性は(GT)繰返し配列を持たない組換え体の
活性の約39%であった。
【0063】[実施例5] MK801結合アッセイ 脳内において、NMDA受容体は皮質層で最も大量に発
現されており、皮質層における受容体調節不全が精神分
裂病の病理と関係づけられている。従って、遺伝子型の
決定された死後脳の皮質層におけるNMDA受容体の結
合部位の数を、トリチウム標識したMK801リガンド
を用いて調べた。MK801((+)-5-methyl-10,11-dih
ydro-5H-dibenzo[a,d]cycloheptane-5,10-imine)はN
MDA受容体のチャンネル孔に結合する非競合的なアン
タゴニストであって高い親和性を有する。脳の解剖は、
Toru等の方法(Toru M et al. Acta. Psychiatr. Scand.
78, 121-137 (1988))に従って行った。トリチウム標識
したMK801結合実験はKornhuber等の方法の変法に
より行った。即ち、神経細胞膜の標品(0.2 mg/ml)を1 m
lのアッセイバッファー中で、3 nM [3H]MK801 (Perkin
Elmer, Boston, MA),10μM glycine (シグマ社)及び10
μMの非標識MK801と共に30℃、15時間インキ
ュベートした。その後、反応液をワットマンGF/B濾
紙(ケント社、UK)で濾過することによってインキュベ
ートを停止した。
【0064】その結果を図4に示した。図4に示したよ
うに、2つのL型対立遺伝子を有する被験者(L/L)
は、S型のホモ接合性対立遺伝子を有する被験者(S/
S)に比べて、図中の(a)前頭皮質、(b)頭頂皮
質、(c)側頭皮質、及び(d)後頭皮質における[3H]
MK801への特異的結合が11%〜5%減少していた。全
皮質層のデータをまとめると、図4(e)に示したよう
にL/L遺伝子型の被験者試料はS/S遺伝子型の被験
者試料よりも著しく結合部位が少なかった。
【0065】[実施例6]精神分裂病の臨床症状と(G
T)の長さとの相関 本発明者等は次に、(GT)の繰返し数によって規定
される遺伝子型と精神分裂病の臨床的表現型との関係に
ついて調べた。精神分裂病の症状の重症度を評価するた
めに、患者の遺伝子型を知らない2人の精神科医の一致
した診断によるPANSS法を用いた。その結果を図5
に示した。図5に示したように、より長い繰返し数を有
するホモ接合性の対立遺伝子を持つ被験者は、陽性及び
陰性症状共に大きなスコアを示した。(GT)23
(GT)23、(GT)24/(GT)24、及び(G
T)25/(GT)25のホモ接合性の対立遺伝子を持
った患者は、(GT)22/(GT)22のホモ接合性
の対立遺伝子を持った患者に比べて、それぞれ50%、69
%及び106%の陽性症状の増加を示した。(GT)
長さと陽性症状の相関係数(r)は0.986(P=0.00
7)であった。同様に、(GT)の繰返し数と陰性症
状の重症度とのあいだにも正の相関性が認められた(r
=0.882、P=0.05)。
【0066】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ヒトNR2A遺
伝子のプロモーター領域にある2塩基(GT)/(C
A)反復配列の繰返し数を調べることにより、被験者
が精神分裂病に罹患しやすく、及び/又は症状が重症化
しやすいか否かが示される。この方法は精神分裂病の診
断や治療薬の選択等、個人の遺伝的素因に基づいた医療
の提供を可能とする。また、本発明の一般式(1)で表
される塩基配列からなるDNA断片は、精神分裂病患者
におけるNR2A遺伝子の発現調節機構の研究や、NR
2A遺伝子の発現調節に効果のある薬剤のスクリーニン
グに有用である。
【0067】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> RIKEN <120> Method for detecting an increased risk and/or symptom severity for schizophrenia using regulatory region of NMDA receptor 2A subunit gene <130> RJH13-157N <140> <141> <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 80 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 attctggctc cctgagatca gaggagtggg ttcccgtacg ggggtggcga ggcacaggga 60 gaagcattgg agcagactct 80 <210> 2 <211> 807 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 cggcgcgcct gtgcgtggag ggggataact gtacccagcg cgaggcactg ggggaggagg 60 aagcggtagc agagatctga ataattgatt cttcagccgc accagacgcc cgggagcggg 120 cggagagcgt ggttccaaca ccacggacag cagcgcgcgc cgccgcaggc gcccccgtcg 180 ccagccagcc acctatcctg gccttatttg ccgccgtgcg ctctcggaac gggtggccgc 240 gctccgcgtc gccgccgagg gactgcgggg tctgtctcga cccacctagg agagaggctg 300 cgggcaggag acgctttcgc ccgccggagc tcgaagcctc ttgggcttga gcgggggcta 360 ctgcgtctcg ccggctgaga acaagtccct aagttggtgt ggagggcgcc gctaccttcc 420 ttctcctctt cctcggaggc gaccgcagca gaaagacgcc ccgggaaccc ggctttgcca 480 gtgctgtgaa ccagggtgtc caggcgctca ccggactccc gctgggaagt ggggagccga 540 acgcccggcg cggagctggc ccagcagcga agggcccgga gggagctgcc tttccccgcc 600 cgcgcctctc tcggccgggg accgcgggga tccccggcca cacgcgagcg cgctcccaca 660 ctcacacaca cactcgccct caaacacacc agcccggagc tgggttgcgg agagggtgct 720 ccggcgcgct cagaggaccg ggcagttgcc gtccggagtg gggcaggaag cggagctagg 780 gatcttggag gggagctcct agggctt 807 <210> 3 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:non-labeled upstream primer <400> 3 attctggctc cctgagatca gag 23 <210> 4 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:fluorescently labeled downstream primer <400> 4 gctgggtaca gttatccccc t 21 <210> 5 <211> 364 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 5 gcaaaacctc ttagaattta agaccccttt ccttccaagg cctgaaaggc agacaggcgt 60 tggagataca ggtgaatata aaaggggcag agctcctccc ttgaccatgt atttcatgcc 120 cagtcgctag aattcaagtc aaccaagccc tcacacaccc gggccgtccc atgttctctg 180 gctcacctct tctggtagct tagaagtggc agcctcaggg aggcttctgt ttggtagaac 240 ttagaaggaa gcatgtggga aatgcagatg tctttgcttt taggattctg gctccctgag 300 atcagaggag tgggttcccg tacgggggtg gcgaggcaca gggagaagca ttggagcaga 360 ctct 364 <210> 6 <211> 492 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 6 ggttcacagc actggcaaag ccgggttccc ggggcgtctt tctgctgcgg tcgcctccga 60 ggaagaggag aaggaaggta gcggcgccct ccacaccaac ttagggactt gttctcagcc 120 ggcgagacgc agtagccccc gctcaagccc aagaggcttc gagctccggc gggcgaaagc 180 gtctcctgcc cgcagcctct ctcctaggtg ggtcgagaca gaccccgcag tccctcggcg 240 gcgacgcgga gcgcggccac ccgttccgag agcgcacggc ggcaaataag gccaggatag 300 gtggctggct ggcgacgggg gcgcctgcgg cggcgcgcgc tgctgtccgt ggtgttggaa 360 ccacgctctc cgcccgctcc cgggcgtctg gtgcggctga agaatcaatt attcagatct 420 ctgctaccgc ttcctcctcc cccagtgcct cgcgctgggt acagttatcc ccctccacgc 480 acaggcgcgc cg 492 <210> 7 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:GSP1 <400> 7 tcatctccag ggctgatggc tgcgg 25 <210> 8 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:GSP2 <400> 8 attctcagcg ctcacccggt cccat 25 <210> 9 <211> 22 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:downstream primer <400> 9 aagccctagg agctcccctc ca 22
【図面の簡単な説明】
【図1】NMDA受容体のNR2Aサブユニット遺伝子
の構造と多型部位を示した図である。塩基配列の位置
は、翻訳開始コドンのAを+1として計数し、表示し
た。箱型はエクソンを表示し、内部の数字はエクソンの
大きさ(塩基対)を示す。水平方向の矢印は、該当領域
の塩基配列がGenBankに登録されているBACクローン
の番号を示す。
【図2】精神分裂病患者と対照者における(GT)
対立遺伝子の分布を表す。対立遺伝子の大きさ(横軸)
はGT反復配列の繰返し数を示す。
【図3】(GT)のプロモーター活性に及ぼす影響を
示す。ルシフェラーゼ活性(縦軸)は、24回の繰返し
数を有する組換え体の蛍光強度に対する相対値で示す。
それぞれの値は、4回の独立した形質転換実験(3重測
定)の平均値±平均値の標準誤差(SEM)を示す。
【図4】死後脳の大脳皮質におけるトリチウム標識MK
801の結合を表す。結合部位の数は、S/S遺伝子型
(5人の精神分裂病患者及び7人の正常人)及びL/L
遺伝子型(1人の精神分裂病患者及び1人の正常人)の
個人の(a)前頭部、(b)頭頂部、(c)側頭部、
(d)後頭部及び(e)全体の皮質について測定した。
結合部位の数は、それぞれの部位について14人の被験
者平均値に対する百分率(%)で表した。P=0.0054
【図5】症状の重症度とGT反復配列の長さの関係を表
す。データ(縦軸)は、PANSS法による陽性及び陰
性度の平均値±SEMを表す。診断された患者の数は、
(GT)22/(GT)22遺伝子型については1人、
(GT)23/(GT) 23遺伝子型については2人、
(GT)24/(GT)24遺伝子型については5人、
及び(GT)25/(GT)25遺伝子型については5
人である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/50 C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G045 AA40 4B024 AA11 CA02 CA05 HA14 4B063 QA18 QA19 QQ03 QQ43 QR38 QR62 QS25 QS34

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト核酸試料からヒトN−メチル−D−ア
    スパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子を得、その
    上流のプロモーター領域に存在する2塩基(GT)
    (CA)反復配列の繰返し数を測定することを特徴と
    する精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検
    出方法。
  2. 【請求項2】前記ヒト核酸試料がヒト血液から抽出した
    DNAである、請求項1記載の検出方法。
  3. 【請求項3】ヒト核酸試料から得られたヒトN−メチル
    −D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の
    上流領域を増幅し、増幅されたDNAの2塩基GT反復
    配列の繰返し数を測定する、請求項1又は2に記載の検
    出方法。
  4. 【請求項4】配列番号5に示す塩基配列のうち連続する
    10〜30の塩基配列からなるセンスプライマーと、配
    列番号6に示す塩基配列のうち連続する10〜30の塩
    基配列からなるアンチセンスプライマーとを用いたポリ
    メラーゼ連鎖反応により増幅を行う請求項1〜3何れか
    一項に記載の検出方法。
  5. 【請求項5】前記センスプライマーと、前記アンチセン
    スプライマーとを用いて増幅されたDNA断片が80〜
    200塩基対である請求項4に記載の検出方法。
  6. 【請求項6】配列番号3に示す塩基配列からなるセンス
    プライマーと、配列番号4に示す塩基配列からなるアン
    チセンスプライマーとからなるプライマー対。
  7. 【請求項7】請求項6記載のプライマー対を用いた請求
    項1〜5何れか一項に記載の検出方法。
  8. 【請求項8】配列番号5に示す塩基配列のうち連続する
    10〜30の塩基配列からなるセンスプライマーと、配
    列番号6に示す塩基配列のうち連続する10〜30の塩
    基配列からなるアンチセンスプライマーとを含むことを
    特徴とするヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体
    2Aサブユニット遺伝子の上流領域に存在する2塩基
    (GT)/(CA)反復配列の繰返し数を測定する
    ためのキット。
  9. 【請求項9】前記センスプライマーが配列番号3に示す
    塩基配列からなり、前記アンチセンスプライマーが配列
    番号4に示す塩基配列からなることを特徴とする請求項
    8に記載のキット。
  10. 【請求項10】下記一般式(1) 5’X(GT)Y3’ (1) (式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配
    列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数
    である)で表される塩基配列からなるDNA断片と、こ
    れと機能的に連結されたレポーター遺伝子とを含むこと
    を特徴とする組換えベクター。
  11. 【請求項11】請求項10記載の組換えベクターを用い
    た、ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサ
    ブユニット遺伝子の転写促進物質及び/又は抑制物質の
    スクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020182435A (ja) * 2019-05-07 2020-11-12 学校法人慶應義塾 アトピー性皮膚炎の診断方法
CN115710600A (zh) * 2022-11-29 2023-02-24 新乡医学院 用于精神分裂症检测的引物组、试剂盒及检测方法

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