JP2003210065A - 模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法 - Google Patents
模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法Info
- Publication number
- JP2003210065A JP2003210065A JP2002014044A JP2002014044A JP2003210065A JP 2003210065 A JP2003210065 A JP 2003210065A JP 2002014044 A JP2002014044 A JP 2002014044A JP 2002014044 A JP2002014044 A JP 2002014044A JP 2003210065 A JP2003210065 A JP 2003210065A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seaweed
- reef
- seabed
- simulated
- ground
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A40/00—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
- Y02A40/80—Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
- Y02A40/81—Aquaculture, e.g. of fish
Landscapes
- Artificial Fish Reefs (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】事業規模での藻場造成に際して、長期に亘って
海底での安定設置を実現するとともに、安定した藻場形
成の実現を可能にする。 【解決手段】藻場増殖礁を、海藻類を増殖するための藻
場礁と、その藻場礁を載置して海底地盤に安定設置され
る模擬海底地盤とに分離し、模擬海底地盤を藻場礁が潮
流から受ける受動圧力に抗し得る程度の重量物として、
藻場礁を模擬海底地盤に載置するに際して、藻場礁に形
成した被取付部を模擬海底地盤に形成した取付部に取り
付けるように構成した。
海底での安定設置を実現するとともに、安定した藻場形
成の実現を可能にする。 【解決手段】藻場増殖礁を、海藻類を増殖するための藻
場礁と、その藻場礁を載置して海底地盤に安定設置され
る模擬海底地盤とに分離し、模擬海底地盤を藻場礁が潮
流から受ける受動圧力に抗し得る程度の重量物として、
藻場礁を模擬海底地盤に載置するに際して、藻場礁に形
成した被取付部を模擬海底地盤に形成した取付部に取り
付けるように構成した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海底において継続
的に安定した藻場を形成するための模擬海底地盤とそれ
を利用した藻場増殖礁に関するものである。
的に安定した藻場を形成するための模擬海底地盤とそれ
を利用した藻場増殖礁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海藻類のうちアラメやホンダワラ等の根
を有するものは、海底の岩場や石等にしっかりと根を張
って着床して生育し、群落を形成して海底に藻場をつく
る性質がある。しかしながら、砂地盤の海底にはそもそ
も岩場や石等が少ないために海底に藻場が形成されにく
い。そのため、砂地盤を主体とする沿岸海域では、藻場
に集まるプランクトンを捕食するとともに藻場を隠れ家
とする小魚、アワビやサザエ等の貝類、イセエビ等の甲
殻類、小魚等を捕食する中型大型の魚類などが集まって
こず、それらの水産資源が極めて乏しいという問題が存
在する。そこで、コンクリートブロックや自然石等を投
石するなどの藻場が形成されやすいと考えられている方
法で、砂地盤の海底環境を改善しようとする試みが従来
より種々なされている。
を有するものは、海底の岩場や石等にしっかりと根を張
って着床して生育し、群落を形成して海底に藻場をつく
る性質がある。しかしながら、砂地盤の海底にはそもそ
も岩場や石等が少ないために海底に藻場が形成されにく
い。そのため、砂地盤を主体とする沿岸海域では、藻場
に集まるプランクトンを捕食するとともに藻場を隠れ家
とする小魚、アワビやサザエ等の貝類、イセエビ等の甲
殻類、小魚等を捕食する中型大型の魚類などが集まって
こず、それらの水産資源が極めて乏しいという問題が存
在する。そこで、コンクリートブロックや自然石等を投
石するなどの藻場が形成されやすいと考えられている方
法で、砂地盤の海底環境を改善しようとする試みが従来
より種々なされている。
【0003】しかしながら、単に海底に投入しただけの
コンクリートブロック等では、それと砂地盤との間の摩
擦係数が小さいため、コンクリートブロック等が潮流・
波浪から受ける受動圧力によって海底を滑動してしまう
という問題がある。このようにコンクリートブロックが
海底で動いてしまうと、海底に安定した藻場を造成する
ことができなくなってしまう。このような問題を解決す
るための一手段としては、投入するコンクリートブロッ
ク等を受動圧力で滑動しない程度まで重量の重いものと
する方法が考えられるが、コンクリートブロック等を大
きくするとそれに対応して表面積も大きくなり、それだ
け受動圧力も増大することになる。したがって、現実問
題としては極めて巨大なコンクリートブロック等を海底
に投入するほかなく、このような巨大なコンクリートブ
ロックを製造して運搬し、海底に投入するためには大が
かりな設備と莫大な費用が掛かることになる。
コンクリートブロック等では、それと砂地盤との間の摩
擦係数が小さいため、コンクリートブロック等が潮流・
波浪から受ける受動圧力によって海底を滑動してしまう
という問題がある。このようにコンクリートブロックが
海底で動いてしまうと、海底に安定した藻場を造成する
ことができなくなってしまう。このような問題を解決す
るための一手段としては、投入するコンクリートブロッ
ク等を受動圧力で滑動しない程度まで重量の重いものと
する方法が考えられるが、コンクリートブロック等を大
きくするとそれに対応して表面積も大きくなり、それだ
け受動圧力も増大することになる。したがって、現実問
題としては極めて巨大なコンクリートブロック等を海底
に投入するほかなく、このような巨大なコンクリートブ
ロックを製造して運搬し、海底に投入するためには大が
かりな設備と莫大な費用が掛かることになる。
【0004】特に、現実的な事業として海底に人工構造
物からなる藻場を形成する際には、数十年に亘ってその
海底に留まり継続的な藻場造成に耐え得るだけの重量や
構造等の厳しい設計条件が課されている。特に潮流の激
しい海域では、この設計条件はとりわけ厳しくなる。
物からなる藻場を形成する際には、数十年に亘ってその
海底に留まり継続的な藻場造成に耐え得るだけの重量や
構造等の厳しい設計条件が課されている。特に潮流の激
しい海域では、この設計条件はとりわけ厳しくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、以上の問題を
解決するために、例えば、底面側にスパイク状をなして
突出させた突起を有する藻場礁を海底に直接設置して、
小型の礁であってもその突起を海底の砂地盤に突き立て
ることによって潮流による滑動を防止し、長期間に亘り
海底に安定した藻場を形成する方法が考えられている。
しかし、海底に岩等がある場合など、地盤が部分的に隆
起していると、砂地盤に突き刺さらない突起がある可能
性があり、潮流による滑動防止をスパイク状の突起をも
った構造のみに頼ることは困難であると考えられる。従
って、スパイク状の突起を有する前述の藻場礁を用いる
場合においても、所定の設計条件をクリアするために
は、藻場礁そのものが巨大となって、所定海域まで運搬
しさらに海底へ沈設する作業を行うには、莫大な費用を
要してしまう。このように、藻類の増殖機能を有する大
型礁を例えば工期の定まった公共事業等として実施しよ
うとした場合、その工期が藻類の胞子や遊走子等が放出
される好適な時期と一致するとは限らず、好ましい結果
が得られない可能性がある。また、大型礁を大量に製造
・運搬・沈設するための設備や費用が嵩み、事業として
採算が取れないことにもなりかねない。逆に、このよう
な藻場礁を小型化した場合は、短期間の試験礁としては
適しているが、長期間の使用に耐えうる実用には適して
いない。
解決するために、例えば、底面側にスパイク状をなして
突出させた突起を有する藻場礁を海底に直接設置して、
小型の礁であってもその突起を海底の砂地盤に突き立て
ることによって潮流による滑動を防止し、長期間に亘り
海底に安定した藻場を形成する方法が考えられている。
しかし、海底に岩等がある場合など、地盤が部分的に隆
起していると、砂地盤に突き刺さらない突起がある可能
性があり、潮流による滑動防止をスパイク状の突起をも
った構造のみに頼ることは困難であると考えられる。従
って、スパイク状の突起を有する前述の藻場礁を用いる
場合においても、所定の設計条件をクリアするために
は、藻場礁そのものが巨大となって、所定海域まで運搬
しさらに海底へ沈設する作業を行うには、莫大な費用を
要してしまう。このように、藻類の増殖機能を有する大
型礁を例えば工期の定まった公共事業等として実施しよ
うとした場合、その工期が藻類の胞子や遊走子等が放出
される好適な時期と一致するとは限らず、好ましい結果
が得られない可能性がある。また、大型礁を大量に製造
・運搬・沈設するための設備や費用が嵩み、事業として
採算が取れないことにもなりかねない。逆に、このよう
な藻場礁を小型化した場合は、短期間の試験礁としては
適しているが、長期間の使用に耐えうる実用には適して
いない。
【0006】そこで本発明は、海藻類を増殖するための
機能と、その藻場礁部分を保持して海底地盤に安定設置
するための機能とを分離して考え、以上のような問題を
一挙に解決することができる模擬海底地盤、藻場増殖礁
及びそれの海底への設置方法並びに移設方法を提供する
ものである。
機能と、その藻場礁部分を保持して海底地盤に安定設置
するための機能とを分離して考え、以上のような問題を
一挙に解決することができる模擬海底地盤、藻場増殖礁
及びそれの海底への設置方法並びに移設方法を提供する
ものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の模擬
海底地盤は、海底に設置して使用されるものであり、被
取付部を有する一又は複数の藻場礁に対する取付部を備
え、被取付部及び取付部を通じて取り付けられ載置され
た藻場礁が潮流により受けた受動圧力に抗し得る重量を
有することを特徴としている。
海底地盤は、海底に設置して使用されるものであり、被
取付部を有する一又は複数の藻場礁に対する取付部を備
え、被取付部及び取付部を通じて取り付けられ載置され
た藻場礁が潮流により受けた受動圧力に抗し得る重量を
有することを特徴としている。
【0008】このように、海藻類を増殖する機能を有す
る藻場礁とは分離した重量の大きい模擬海底地盤であれ
ば、藻場礁を取り付ける機能さえ有していれば構造を単
純化しても海中構造物として求められる設計条件をクリ
アすることができるうえに、海底の地盤が砂地であるか
否かを問わず、藻場造成が求められる様々な海底におい
て長期間に亘り低コストで藻場を形成することができ
る。そして、このような模擬海底地盤によって、海藻類
を増殖するための藻場礁に対する安定した地盤を供給す
ることができる。さらに、藻場造成を公共事業等として
実施する場合、所定の工期に、運搬・沈設作業に多大な
費用や手間を要する重量物である模擬海底地盤の沈設作
業を済ませておき、その後、藻類が胞子や遊走子等を放
出する藻場形成に適した時期を見計らって重量の軽い藻
場礁を運搬・沈設するというように、作業時期を分割す
ることができるので、良い藻場を造成するという好まし
い結果を得ることができる。また、取付部又は被取付部
の形状は特に問わないので、これまで単独で海底に安定
設置し難かったような形状の藻場礁に対して、この模擬
海底地盤を適用することができる。なお、模擬海底地盤
の重量は、一以上の藻場礁が模擬海底地盤上で潮流から
受ける受動圧力に耐え得る程度又はそれ以上あればよ
く、例えば数トン以上とすることが望ましい。
る藻場礁とは分離した重量の大きい模擬海底地盤であれ
ば、藻場礁を取り付ける機能さえ有していれば構造を単
純化しても海中構造物として求められる設計条件をクリ
アすることができるうえに、海底の地盤が砂地であるか
否かを問わず、藻場造成が求められる様々な海底におい
て長期間に亘り低コストで藻場を形成することができ
る。そして、このような模擬海底地盤によって、海藻類
を増殖するための藻場礁に対する安定した地盤を供給す
ることができる。さらに、藻場造成を公共事業等として
実施する場合、所定の工期に、運搬・沈設作業に多大な
費用や手間を要する重量物である模擬海底地盤の沈設作
業を済ませておき、その後、藻類が胞子や遊走子等を放
出する藻場形成に適した時期を見計らって重量の軽い藻
場礁を運搬・沈設するというように、作業時期を分割す
ることができるので、良い藻場を造成するという好まし
い結果を得ることができる。また、取付部又は被取付部
の形状は特に問わないので、これまで単独で海底に安定
設置し難かったような形状の藻場礁に対して、この模擬
海底地盤を適用することができる。なお、模擬海底地盤
の重量は、一以上の藻場礁が模擬海底地盤上で潮流から
受ける受動圧力に耐え得る程度又はそれ以上あればよ
く、例えば数トン以上とすることが望ましい。
【0009】単一の模擬海底地盤上において、大きい規
模の藻場を形成できるようにすれば、さらに藻場造成に
係るコストを低減することができるため、模擬海底地盤
には、複数の藻場礁に対する取付部を設けることが好ま
しい。
模の藻場を形成できるようにすれば、さらに藻場造成に
係るコストを低減することができるため、模擬海底地盤
には、複数の藻場礁に対する取付部を設けることが好ま
しい。
【0010】また、載置された藻場礁が潮流による揚圧
力を受けて模擬海底地盤から容易に離脱し得ないように
するには、藻場礁の底面における少なくとも外周を密接
させた状態で載置するように構成するとよい。すなわ
ち、藻場礁の底面における外周を模擬海底地盤に密接さ
せておくと、藻場礁と模擬海底地盤との間に海水が進入
し難くなるため、藻場礁に揚圧力が作用しにくくなる。
この場合、藻場礁との密着性を容易に高めるためには、
藻場礁の底面における少なくとも外周と密接する部位に
弾性体からなるシール部材を配設することも考えられ
る。
力を受けて模擬海底地盤から容易に離脱し得ないように
するには、藻場礁の底面における少なくとも外周を密接
させた状態で載置するように構成するとよい。すなわ
ち、藻場礁の底面における外周を模擬海底地盤に密接さ
せておくと、藻場礁と模擬海底地盤との間に海水が進入
し難くなるため、藻場礁に揚圧力が作用しにくくなる。
この場合、藻場礁との密着性を容易に高めるためには、
藻場礁の底面における少なくとも外周と密接する部位に
弾性体からなるシール部材を配設することも考えられ
る。
【0011】さらに、簡素な構造で藻場礁を取り付けら
れるようにするには、取付部を、上方に開口する孔部か
ら構成するとよい。例えばこの模擬海底地盤をコンクリ
ートを主体とした構造物とする場合、仮に取付部が上方
に突出するものであれば、コンクリートに固定した鋼材
等でその突部を構成しないと突部自体の強度を高いもの
とすることができないが、取付部が凹部であれば、例え
ばコンクリートの硬化前にその上面を部分的に窪ませる
だけで当該凹部を形成することができるため、模擬海底
地盤の製造コストや手間を削減するとともに構造の簡素
化も図ることができる。
れるようにするには、取付部を、上方に開口する孔部か
ら構成するとよい。例えばこの模擬海底地盤をコンクリ
ートを主体とした構造物とする場合、仮に取付部が上方
に突出するものであれば、コンクリートに固定した鋼材
等でその突部を構成しないと突部自体の強度を高いもの
とすることができないが、取付部が凹部であれば、例え
ばコンクリートの硬化前にその上面を部分的に窪ませる
だけで当該凹部を形成することができるため、模擬海底
地盤の製造コストや手間を削減するとともに構造の簡素
化も図ることができる。
【0012】また、本発明に係る藻場増殖礁は、海藻類
の増殖機能を有する藻場礁と、一以上の藻場礁を載置し
た状態で該藻場礁が受ける潮流による受動圧力に抗し得
る重量を有し海底に設置される模擬海底地盤とを具備す
るものであり、藻場礁に被取付部を設け、模擬海底地盤
に前記被取付部を着脱可能に取り付け得る取付部を設け
たことを特徴としている。なお、この場合においても、
藻場礁の形状や数、模擬海底地盤の形状、被取付部及び
取付部の構成等は、何れかのものに限定されるものでは
ない。
の増殖機能を有する藻場礁と、一以上の藻場礁を載置し
た状態で該藻場礁が受ける潮流による受動圧力に抗し得
る重量を有し海底に設置される模擬海底地盤とを具備す
るものであり、藻場礁に被取付部を設け、模擬海底地盤
に前記被取付部を着脱可能に取り付け得る取付部を設け
たことを特徴としている。なお、この場合においても、
藻場礁の形状や数、模擬海底地盤の形状、被取付部及び
取付部の構成等は、何れかのものに限定されるものでは
ない。
【0013】したがって上述のように、この藻場増殖礁
は、藻場礁とそれを保持する模擬海底地盤とを分離した
構造を有しているため、それぞれの取り扱いが容易とな
るうえに、海底に安定した藻場を長期間に亘って形成す
ることができる。そしてこの藻場増殖礁を、複数の藻場
礁とそれらを被取付部及び取付部を介して載置し得る一
つの模擬海底地盤から構成することで、単一の藻場増殖
礁における藻場の規模を拡大することができるようにな
り、また、各藻場礁に複数の被取付部を形成する一方、
模擬海底地盤に各藻場礁ごとの被取付部の数に対応する
数の取付部を形成することで、各藻場礁の模擬海底地盤
に対する載置の安定性を向上することができる。また、
藻場礁は模擬海底地盤によって海底から嵩上げされるこ
とになるため、海底が砂地盤である場合に舞い上がる砂
が藻場礁を覆う覆砂現象を防止できるので、海藻類を健
全に育成させることも可能である。また、上述のとお
り、模擬海底地盤と藻場礁の運搬・沈設作業の時期を、
それぞれに適した時に分けて行うことができるので、優
れた藻場を形成するという望ましい結果が得られる可能
性を飛躍的に高めることができる。特に藻場礁を、模擬
海底地盤と比して軽量なものとすれば、小型の漁船を用
いて低コストで運搬・沈設作業を行うことが可能であ
る。
は、藻場礁とそれを保持する模擬海底地盤とを分離した
構造を有しているため、それぞれの取り扱いが容易とな
るうえに、海底に安定した藻場を長期間に亘って形成す
ることができる。そしてこの藻場増殖礁を、複数の藻場
礁とそれらを被取付部及び取付部を介して載置し得る一
つの模擬海底地盤から構成することで、単一の藻場増殖
礁における藻場の規模を拡大することができるようにな
り、また、各藻場礁に複数の被取付部を形成する一方、
模擬海底地盤に各藻場礁ごとの被取付部の数に対応する
数の取付部を形成することで、各藻場礁の模擬海底地盤
に対する載置の安定性を向上することができる。また、
藻場礁は模擬海底地盤によって海底から嵩上げされるこ
とになるため、海底が砂地盤である場合に舞い上がる砂
が藻場礁を覆う覆砂現象を防止できるので、海藻類を健
全に育成させることも可能である。また、上述のとお
り、模擬海底地盤と藻場礁の運搬・沈設作業の時期を、
それぞれに適した時に分けて行うことができるので、優
れた藻場を形成するという望ましい結果が得られる可能
性を飛躍的に高めることができる。特に藻場礁を、模擬
海底地盤と比して軽量なものとすれば、小型の漁船を用
いて低コストで運搬・沈設作業を行うことが可能であ
る。
【0014】また、前記藻場礁の底面における外周と、
藻場礁が載置される模擬海底地盤の上面とを密着させる
構成とし、特にその密着部位に弾性体からなるシール部
材を配設することで、藻場礁に揚圧力をさせないように
して、藻場礁の模擬海底地盤に対する滑動を簡単且つ確
実に防止することができる。
藻場礁が載置される模擬海底地盤の上面とを密着させる
構成とし、特にその密着部位に弾性体からなるシール部
材を配設することで、藻場礁に揚圧力をさせないように
して、藻場礁の模擬海底地盤に対する滑動を簡単且つ確
実に防止することができる。
【0015】また、被取付部及び取付部における簡素な
構成の具体例としては、被取付部を藻場礁においてその
底面から下方に突出する突部とし、取付部を模擬海底地
盤の上面に形成され上方に開口する孔部としたものが挙
げられる。
構成の具体例としては、被取付部を藻場礁においてその
底面から下方に突出する突部とし、取付部を模擬海底地
盤の上面に形成され上方に開口する孔部としたものが挙
げられる。
【0016】この場合、藻場礁が潮流により受ける受動
圧力を低減して、簡素な取付構造で安定的に藻場礁を模
擬海底地盤に載置できるようにするためには、藻場礁
を、模擬海底地盤の上面に載置される台座部と、その底
面から下方に突出させた突部と、台座部から上方に向け
て突出させた柱状部と、柱状部の台座部よりも高位置に
おいて台座部との間に一定の空間を形成して配設される
藻場増殖部とを具備するものとすることが有効である。
すなわち、藻場礁をこのように構成することで、藻場増
殖部と台座部との間に形成された空間を潮流が通り抜け
ることになるため、実質的に藻場礁が受ける受動圧力を
極めて小さいものとすることが可能であり、また覆砂現
象の防止にも有効である。さらにこのような藻場礁の構
成を有効に利用して、模擬海底地盤に装着するための被
取付部たる突部を簡単に形成するには、柱状部を、台座
部を上下方向に貫通した状態で台座部に固定されるもの
として、その柱状部の台座部から下方に突出する下端部
を突部として利用するとよい。
圧力を低減して、簡素な取付構造で安定的に藻場礁を模
擬海底地盤に載置できるようにするためには、藻場礁
を、模擬海底地盤の上面に載置される台座部と、その底
面から下方に突出させた突部と、台座部から上方に向け
て突出させた柱状部と、柱状部の台座部よりも高位置に
おいて台座部との間に一定の空間を形成して配設される
藻場増殖部とを具備するものとすることが有効である。
すなわち、藻場礁をこのように構成することで、藻場増
殖部と台座部との間に形成された空間を潮流が通り抜け
ることになるため、実質的に藻場礁が受ける受動圧力を
極めて小さいものとすることが可能であり、また覆砂現
象の防止にも有効である。さらにこのような藻場礁の構
成を有効に利用して、模擬海底地盤に装着するための被
取付部たる突部を簡単に形成するには、柱状部を、台座
部を上下方向に貫通した状態で台座部に固定されるもの
として、その柱状部の台座部から下方に突出する下端部
を突部として利用するとよい。
【0017】さらに、台座部と藻場増殖部との間に好適
な空間を形成し得る具体的構成としては、台座部に所定
間隔で立設した複数の前記柱状部を設け、隣接する柱状
部同士を横架材によって連結し、その横架材によって前
記藻場増殖部を構成したものが挙げられる。また、藻場
増殖部において例えば海藻類が枯死した場合などに、新
たに海藻類を育成し直す等のメンテナンスの便を容易な
ものとするためには、藻場増殖部に、前記横架材に着脱
可能に設けられる相互に分割された複数の藻類着床部材
を設けることが望ましい。
な空間を形成し得る具体的構成としては、台座部に所定
間隔で立設した複数の前記柱状部を設け、隣接する柱状
部同士を横架材によって連結し、その横架材によって前
記藻場増殖部を構成したものが挙げられる。また、藻場
増殖部において例えば海藻類が枯死した場合などに、新
たに海藻類を育成し直す等のメンテナンスの便を容易な
ものとするためには、藻場増殖部に、前記横架材に着脱
可能に設けられる相互に分割された複数の藻類着床部材
を設けることが望ましい。
【0018】また、本発明に係る上述のような藻場増殖
礁を海底に設置する方法は、模擬海底地盤を所定海域の
海底に予め沈設しておき、その後、その所定海域に運搬
した藻場礁を海面から沈降させて前記被取付部を取付部
に装着して模擬海底地盤に載置するようにしたことを特
徴としている。すなわち、藻場礁と模擬海底地盤とを分
離したことにより、それらを別個に運搬し海底に沈設す
ることが可能となる。詳述すれば、重量の重い模擬海底
地盤は、費用が高い台船と呼ばれる作業船で所定海域ま
で運搬してクレーンで吊り下げて運搬・沈設しておき、
その後で、重量の軽い藻場礁を一般的な漁船や小型のク
レーン船等で運搬して沈設する、というように、運搬及
び沈設の工程を分離することで、全体的なコストダウン
を図りつつ、それぞれに適した時期に作業することによ
り作業性を向上することができ、特に藻場礁の設置を海
藻胞子の放出時期にタイミングを合わせて行うことがで
きるようになり、確実な海藻の着床が可能となる。
礁を海底に設置する方法は、模擬海底地盤を所定海域の
海底に予め沈設しておき、その後、その所定海域に運搬
した藻場礁を海面から沈降させて前記被取付部を取付部
に装着して模擬海底地盤に載置するようにしたことを特
徴としている。すなわち、藻場礁と模擬海底地盤とを分
離したことにより、それらを別個に運搬し海底に沈設す
ることが可能となる。詳述すれば、重量の重い模擬海底
地盤は、費用が高い台船と呼ばれる作業船で所定海域ま
で運搬してクレーンで吊り下げて運搬・沈設しておき、
その後で、重量の軽い藻場礁を一般的な漁船や小型のク
レーン船等で運搬して沈設する、というように、運搬及
び沈設の工程を分離することで、全体的なコストダウン
を図りつつ、それぞれに適した時期に作業することによ
り作業性を向上することができ、特に藻場礁の設置を海
藻胞子の放出時期にタイミングを合わせて行うことがで
きるようになり、確実な海藻の着床が可能となる。
【0019】さらに、模擬海底地盤と藻場礁を分離する
ことで、藻場として極めて良好な海域で、本技術による
藻場を造成・維持し、新たに藻場を造成したい場所に上
部の藻場礁のみを移設することも可能となる。この方法
によれば、移設完了時に新しい藻場を瞬時に造ることが
できる。さらに、移設により空いた元の海域における模
擬海底地盤上の空間に、新たな藻場礁を胞子放出時期等
のタイミングをはかって再設置すれば、確実に海藻類が
生育し、この場所が新たな藻場造成の供給地となり得
る。一方、藻場礁が移設される新しい海域においては、
その藻場礁を模擬海底地盤に設置するか否かは当該海域
や海底の条件による。したがって、例えば潮流が穏やか
で藻場礁のみでも安定設置が可能な海域であれば藻場礁
を直接海底に設置すればよいし、潮流が激しい等の安定
設置には厳しい条件の海域であれば予め海底に設置した
模擬海底地盤上に藻場礁を設置すればよい。このよう
に、藻場礁と模擬海底地盤とを分離することにより、海
藻類が十分に生育するまではそれに適した海域の海底で
藻場増殖礁上にて育成を行い、その後運搬の容易な藻場
礁のみを藻場造成の目的地となる海域に移設して、海藻
類の生育の確実性を高めるとともに、藻場育成及び藻場
造成のトータルでのコストダウンを容易に図ることがで
きる。
ことで、藻場として極めて良好な海域で、本技術による
藻場を造成・維持し、新たに藻場を造成したい場所に上
部の藻場礁のみを移設することも可能となる。この方法
によれば、移設完了時に新しい藻場を瞬時に造ることが
できる。さらに、移設により空いた元の海域における模
擬海底地盤上の空間に、新たな藻場礁を胞子放出時期等
のタイミングをはかって再設置すれば、確実に海藻類が
生育し、この場所が新たな藻場造成の供給地となり得
る。一方、藻場礁が移設される新しい海域においては、
その藻場礁を模擬海底地盤に設置するか否かは当該海域
や海底の条件による。したがって、例えば潮流が穏やか
で藻場礁のみでも安定設置が可能な海域であれば藻場礁
を直接海底に設置すればよいし、潮流が激しい等の安定
設置には厳しい条件の海域であれば予め海底に設置した
模擬海底地盤上に藻場礁を設置すればよい。このよう
に、藻場礁と模擬海底地盤とを分離することにより、海
藻類が十分に生育するまではそれに適した海域の海底で
藻場増殖礁上にて育成を行い、その後運搬の容易な藻場
礁のみを藻場造成の目的地となる海域に移設して、海藻
類の生育の確実性を高めるとともに、藻場育成及び藻場
造成のトータルでのコストダウンを容易に図ることがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を、図
面を参照して説明する。
面を参照して説明する。
【0021】図1に示すこの実施形態の藻場増殖礁A
は、例えば砂地盤からなる水深約5〜10mの海底Pに
藻場Xを造成するために設置して用いられるものであ
り、多年生の海藻であるアラメBを育成するための複数
(図示例では4つ)の藻場礁A1と、それら藻場礁A1
を着脱可能に載置して保持し得る模擬海底地盤A2から
構成したものである。
は、例えば砂地盤からなる水深約5〜10mの海底Pに
藻場Xを造成するために設置して用いられるものであ
り、多年生の海藻であるアラメBを育成するための複数
(図示例では4つ)の藻場礁A1と、それら藻場礁A1
を着脱可能に載置して保持し得る模擬海底地盤A2から
構成したものである。
【0022】具体的にこの藻場礁A1は、図2及び図3
に示すように、コンクリート製の重量物である台座部1
と、台座部1を貫通して設けられ上端部側に藻場増殖部
Xaを形成するとともに下端部側にスパイク状の突部2
1を形成した4本の柱状部2と、その柱状部2の上端部
同士を連結する一に取り付けられる4本の横架材3とか
ら構成される礁本体10に加えて、藻場増殖部Xaに取
り付けられる複数の藻類着生部材4とを具備する構成を
有している。
に示すように、コンクリート製の重量物である台座部1
と、台座部1を貫通して設けられ上端部側に藻場増殖部
Xaを形成するとともに下端部側にスパイク状の突部2
1を形成した4本の柱状部2と、その柱状部2の上端部
同士を連結する一に取り付けられる4本の横架材3とか
ら構成される礁本体10に加えて、藻場増殖部Xaに取
り付けられる複数の藻類着生部材4とを具備する構成を
有している。
【0023】台座部1は、例えば一辺が140cm程度
の平面視正方形状をなし、約40cmの厚みを有する重
量約2000kgの板状コンクリートブロックであり、
その底面1aはほぼ平らである。柱状部2は、台座部1
の四隅から内寄りの位置にそれぞれ約90cmの間隔で
台座部1を略垂直に貫通する長さ約100cmのL字型
鋼材からなるものである。ここで、L字型鋼材として
は、横断面の一辺が約10cmで厚さが約1cmの汎用
のものを使用している。この柱状部2は、その下端部を
台座部1の裏面から下方に約20cm突出させており、
その部位を模擬海底地盤A2の取付部5に取り付けるた
めの被取付部たる突部21としている。また、台座部1
の上面から上方に約40cm突出する柱状部2の上端部
に横架材3を溶接等により取り付けている。この横架材
3は、柱状部2に用いたものと同様の約100cmの長
さを有するL字型鋼材であり、二つの面をそれぞれ上方
及び側方に向けた姿勢で、隣接する柱状部2の上端部間
を接続している。そして、柱状部2の取り付けた横架材
3の上面及び側面には、それぞれ所定間隔で2本及び3
本の藻類着床部材4の取付用のボルト31を各面と直交
する方向に溶接などして取り付けている。すなわち、こ
の横架材3によって藻場増殖部Xaを形成するようにし
ている。このような構成において、台座部1と藻場増殖
部Xaとの間には、各柱状部2及び横架材3によって包
囲された高さが約30cm、幅及び奥行きがそれぞれ約
80cmの大きさの空間Sが形成されることになる。
の平面視正方形状をなし、約40cmの厚みを有する重
量約2000kgの板状コンクリートブロックであり、
その底面1aはほぼ平らである。柱状部2は、台座部1
の四隅から内寄りの位置にそれぞれ約90cmの間隔で
台座部1を略垂直に貫通する長さ約100cmのL字型
鋼材からなるものである。ここで、L字型鋼材として
は、横断面の一辺が約10cmで厚さが約1cmの汎用
のものを使用している。この柱状部2は、その下端部を
台座部1の裏面から下方に約20cm突出させており、
その部位を模擬海底地盤A2の取付部5に取り付けるた
めの被取付部たる突部21としている。また、台座部1
の上面から上方に約40cm突出する柱状部2の上端部
に横架材3を溶接等により取り付けている。この横架材
3は、柱状部2に用いたものと同様の約100cmの長
さを有するL字型鋼材であり、二つの面をそれぞれ上方
及び側方に向けた姿勢で、隣接する柱状部2の上端部間
を接続している。そして、柱状部2の取り付けた横架材
3の上面及び側面には、それぞれ所定間隔で2本及び3
本の藻類着床部材4の取付用のボルト31を各面と直交
する方向に溶接などして取り付けている。すなわち、こ
の横架材3によって藻場増殖部Xaを形成するようにし
ている。このような構成において、台座部1と藻場増殖
部Xaとの間には、各柱状部2及び横架材3によって包
囲された高さが約30cm、幅及び奥行きがそれぞれ約
80cmの大きさの空間Sが形成されることになる。
【0024】このような礁本体10の製造に際しては、
まず上述の構成のように予め溶接などで組み立てた柱状
部2及び横架材3をコンクリート用型枠等で構成した所
定の大きさの有底枠体内に載置し、その枠体内に突部2
1の長さである約20cmの高さまで砂や発泡スチロー
ル等を投入して嵩上げを行ったうえで、砂等の上に仕切
り板を載置し、その上方から台座部1となるコンクリー
トを打設し、さらにこのコンクリートが硬化した後、枠
体、砂等、仕切り板を取り除くと、台座部1と柱状部2
及び横架材3からなる礁本体10が完成する。
まず上述の構成のように予め溶接などで組み立てた柱状
部2及び横架材3をコンクリート用型枠等で構成した所
定の大きさの有底枠体内に載置し、その枠体内に突部2
1の長さである約20cmの高さまで砂や発泡スチロー
ル等を投入して嵩上げを行ったうえで、砂等の上に仕切
り板を載置し、その上方から台座部1となるコンクリー
トを打設し、さらにこのコンクリートが硬化した後、枠
体、砂等、仕切り板を取り除くと、台座部1と柱状部2
及び横架材3からなる礁本体10が完成する。
【0025】なお、このような礁本体10は、海底Pの
模擬海底地盤A2に取り付けできるように、その吊り下
げ用の金属製フック33を、横架材3の適宜箇所に溶接
等により取り付けている。
模擬海底地盤A2に取り付けできるように、その吊り下
げ用の金属製フック33を、横架材3の適宜箇所に溶接
等により取り付けている。
【0026】一方、藻類着床部材4は、図2〜図4に示
すように、約10cmX25cmの平面視概略長方形状
をなし5cm程度の厚みを有する一体成型品であるコン
クリート板を主体としてなるもので、その重量は約1.
5〜2kgである。この藻類着床部材4には、中央部に
厚み方向に貫通する直径2cm程度の貫通孔41を設け
ており、上面における前記貫通孔41の両側端部側にそ
れぞれ瘤状に表面を隆起させた隆起部42を形成してい
る。さらにこの隆起部42の裾部分には、一般的なボル
トの頭部及び軸部の形状を模した第1突起部43をそれ
ぞれ4つずつ上方に突出させて設けており、また、この
第1突起部43よりも高位置となる隆起部42の表面に
自然石の形状を模した凹凸形状からなる複数の第2突起
部44を上方に突出させて設けている。第1突起部43
は、ボルトの頭部に相当する上端部が軸部に相当する下
端部よりも平面視形状が大きいものであるため、上端部
の下向面が隆起部の表面と対向する逆勾配43aとなっ
ている。さらに、この藻類着床部材4の上面における両
側端部には、例えば木製の小片45をコンクリートの成
型時にそれぞれ予め埋め込んで固定している。この小片
45には、藻類着床部材4の長手方向と略合致する方向
に上方に開口する切り込み部45aを二つ形成してい
る。これら切り込み部45aには、中間育成されたアラ
メBが活着した種糸(いわゆるクレモナ糸)46の両端
部を差し込んだ状態で固定している。さらに種糸46
は、その両端部の間の部位を第1突起部43の逆勾配4
3aに巻回し、その第1突起部43と第2突起部44の
間及び第2突起部44同士の間を隆起部42の表面に沿
わせている。なお、図4にはアラメBが胞子の段階にあ
り成長していない状態で種糸46を取り付けた状態を示
しているが、中間育成されたアラメBは、図1及び図2
に示すように、種糸46から第1突起部43や第2突起
部44に根を伸ばしてそれら突起部43、44を抱くよ
うに根付いており、また一部のアラメBは種糸46から
前記各突起部43、44に乗り移った状態で藻類着床部
材4に活着した状態にある。そして、このような藻類着
床部材4を、その貫通孔41に横架材3に設けたボルト
31を挿入した状態で、ボルト31の先端部に樹脂製蝶
型ナット32を螺着することによって、礁本体10に取
り付けている。そして、各藻場礁A1は、礁本体10に
20枚の藻類着床部材4を取り付けた状態で総重量2t
程度となる。
すように、約10cmX25cmの平面視概略長方形状
をなし5cm程度の厚みを有する一体成型品であるコン
クリート板を主体としてなるもので、その重量は約1.
5〜2kgである。この藻類着床部材4には、中央部に
厚み方向に貫通する直径2cm程度の貫通孔41を設け
ており、上面における前記貫通孔41の両側端部側にそ
れぞれ瘤状に表面を隆起させた隆起部42を形成してい
る。さらにこの隆起部42の裾部分には、一般的なボル
トの頭部及び軸部の形状を模した第1突起部43をそれ
ぞれ4つずつ上方に突出させて設けており、また、この
第1突起部43よりも高位置となる隆起部42の表面に
自然石の形状を模した凹凸形状からなる複数の第2突起
部44を上方に突出させて設けている。第1突起部43
は、ボルトの頭部に相当する上端部が軸部に相当する下
端部よりも平面視形状が大きいものであるため、上端部
の下向面が隆起部の表面と対向する逆勾配43aとなっ
ている。さらに、この藻類着床部材4の上面における両
側端部には、例えば木製の小片45をコンクリートの成
型時にそれぞれ予め埋め込んで固定している。この小片
45には、藻類着床部材4の長手方向と略合致する方向
に上方に開口する切り込み部45aを二つ形成してい
る。これら切り込み部45aには、中間育成されたアラ
メBが活着した種糸(いわゆるクレモナ糸)46の両端
部を差し込んだ状態で固定している。さらに種糸46
は、その両端部の間の部位を第1突起部43の逆勾配4
3aに巻回し、その第1突起部43と第2突起部44の
間及び第2突起部44同士の間を隆起部42の表面に沿
わせている。なお、図4にはアラメBが胞子の段階にあ
り成長していない状態で種糸46を取り付けた状態を示
しているが、中間育成されたアラメBは、図1及び図2
に示すように、種糸46から第1突起部43や第2突起
部44に根を伸ばしてそれら突起部43、44を抱くよ
うに根付いており、また一部のアラメBは種糸46から
前記各突起部43、44に乗り移った状態で藻類着床部
材4に活着した状態にある。そして、このような藻類着
床部材4を、その貫通孔41に横架材3に設けたボルト
31を挿入した状態で、ボルト31の先端部に樹脂製蝶
型ナット32を螺着することによって、礁本体10に取
り付けている。そして、各藻場礁A1は、礁本体10に
20枚の藻類着床部材4を取り付けた状態で総重量2t
程度となる。
【0027】模擬海底地盤A2は、図1、図2及び図5
に示すように、概略平板状をなすコンクリート板を主体
とするものである。具体的にこの模擬海底地盤A2は、
一辺約3.5m、厚さ約40cm、重量約11tの平ら
な上面A2aを有し、底面の周縁部を除く部位を断面視
台形状にくり抜いた形状を有するコンクリート板5に、
吊り下げ用の金属製フック53を固定した構成を有して
いる。さらに本実施形態においては、模擬海底地盤A2
に4つの藻場礁A1を載置して取り付けるようにしてい
るので、それら藻場礁A1を略均等に配置するように、
コンクリート板5には、各藻場礁A1ごとに4つ、合計
16の取付部たる孔部51を上下に貫通させて形成して
いる。そして、これら孔部51を補強するために、各孔
部51の内壁には円筒状の塩ビ管52を取り付けてい
る。また、前記フック53は、コンクリート板5の上面
5aにおける各辺の略中央部に埋設されている。なお、
このような模擬海底地盤A2は、簡単なコンクリート型
枠用パネルを用いて製造することができ、前記孔部51
を形成するにはコンクリートの硬化前に予め塩ビ管52
を突き立てておけばよく、フック53もコンクリートの
硬化前に埋め込んでおけばよい。
に示すように、概略平板状をなすコンクリート板を主体
とするものである。具体的にこの模擬海底地盤A2は、
一辺約3.5m、厚さ約40cm、重量約11tの平ら
な上面A2aを有し、底面の周縁部を除く部位を断面視
台形状にくり抜いた形状を有するコンクリート板5に、
吊り下げ用の金属製フック53を固定した構成を有して
いる。さらに本実施形態においては、模擬海底地盤A2
に4つの藻場礁A1を載置して取り付けるようにしてい
るので、それら藻場礁A1を略均等に配置するように、
コンクリート板5には、各藻場礁A1ごとに4つ、合計
16の取付部たる孔部51を上下に貫通させて形成して
いる。そして、これら孔部51を補強するために、各孔
部51の内壁には円筒状の塩ビ管52を取り付けてい
る。また、前記フック53は、コンクリート板5の上面
5aにおける各辺の略中央部に埋設されている。なお、
このような模擬海底地盤A2は、簡単なコンクリート型
枠用パネルを用いて製造することができ、前記孔部51
を形成するにはコンクリートの硬化前に予め塩ビ管52
を突き立てておけばよく、フック53もコンクリートの
硬化前に埋め込んでおけばよい。
【0028】次に、本実施形態の藻場増殖礁Aの使用方
法、すなわち、アラメBの育成から模擬海底地盤A2及
び藻場礁A1の海底への運搬、設置方法、並びにメンテ
ナンス方法について説明する。
法、すなわち、アラメBの育成から模擬海底地盤A2及
び藻場礁A1の海底への運搬、設置方法、並びにメンテ
ナンス方法について説明する。
【0029】まず、模擬海底地盤A2は、一般的な漁船
のウィンチや小型の台船では吊り降ろすことができない
重量であるので、台船(図示省略)と呼ばれる作業船に
て藻場Xを造成すべき海域まで運搬し、その台船に備え
られたクレーンのワイヤに前記フック53を引っ掛けて
吊り下げた状態で、海底Pに沈設する。なお、この模擬
海底地盤A2は平板状をなすものであるため、多数の模
擬海底地盤A2を重積して台船に積載することができ、
少ないスペースで多量の模擬海底地盤A2を運搬するこ
とが可能である。また、模擬海底地盤A2の運搬・沈設
作業時期は、例えば公共事業の場合、予め定められた時
期に行っておけばよい。
のウィンチや小型の台船では吊り降ろすことができない
重量であるので、台船(図示省略)と呼ばれる作業船に
て藻場Xを造成すべき海域まで運搬し、その台船に備え
られたクレーンのワイヤに前記フック53を引っ掛けて
吊り下げた状態で、海底Pに沈設する。なお、この模擬
海底地盤A2は平板状をなすものであるため、多数の模
擬海底地盤A2を重積して台船に積載することができ、
少ないスペースで多量の模擬海底地盤A2を運搬するこ
とが可能である。また、模擬海底地盤A2の運搬・沈設
作業時期は、例えば公共事業の場合、予め定められた時
期に行っておけばよい。
【0030】一方、藻類着床部材4において予めアラメ
Bを中間育成し活着させておく方法について説明する
と、まず、アラメBの育成に適した時期に、種糸46を
海底から採取してきたアラメと共に海水を満たした所定
の水槽内に入れ、その水槽内でアラメから放出された胞
子を種糸46に付着させる。しかる後、種糸46を水槽
内から引き揚げて所定の長さに切断し、上述のように藻
類着床部材4に取り付ける。そして、種糸46を取り付
けた藻類着床部材4を、実海域において図6に示すよう
に漁業用ロープ6を介して海面Qに浮かべた筏7等の浮
体から海中に吊り下げた状態に保持する。この吊り下げ
に際しては、二枚の藻類着床部材4を裏合わせにすると
ともに、それらの厚み方向を水深方向に略一致させた縦
向きの姿勢として、部分的に撚りを解いたロープ6を前
記隆起部42同士の間に添接させて挟み込むようにして
いる。さらに藻類育成部材4のロープ6からの脱落を防
止するために、前記貫通孔41に挿通した結束バンド
(図示省略)でロープ6を拘束する。このようにするこ
とで、藻類着床部材4の裏面へのフジツボ等の付着防止
を図るとともに、より多数の藻類着床部材4を同時に吊
り下げられるようにしている。しかして二枚一組の藻類
育成部材4を一本のロープ6に高さを異ならせて複数取
り付け、さらに筏7には多数のロープ6を結わえること
によって、約2000枚の藻類育成部材4を海中に吊り
下げる。このようにして、アラメBを、胞子の段階から
葉長1cm〜数10cmの大きさとなるまで中間育成を
行う。この程度の大きさまでアラメBが成長すれば、根
が藻類育成部材4にしっかりと活着し胞子を放出できる
状態となり、また海底Pにおけるアワビやウニ等の植食
生物に対する忌避成分である苦みのあるフロロタンニン
等を自ら分泌して自己防衛機能を発揮できるようになっ
ている。このような実海域でのアラメBの中間育成によ
れば、陸上水槽でのアラメの中間育成と比較して、大規
模な装置や海水の交換などに要する費用やコストを削減
できるだけでなく、海面からの藻類育成部材4の吊り下
げ深度を一定に保って適当な日光量と海水温をアラメB
に与えるとともに、海底Pの植食生物による食害被害を
予防することができる。以上のような中間育成方法によ
ってアラメBが活着した藻類育成部材4を海中から引き
揚げる。そして、漁船等の小型の船上にて礁本体10の
藻場増殖部Xaに藻類育成部材4を取り付ける。
Bを中間育成し活着させておく方法について説明する
と、まず、アラメBの育成に適した時期に、種糸46を
海底から採取してきたアラメと共に海水を満たした所定
の水槽内に入れ、その水槽内でアラメから放出された胞
子を種糸46に付着させる。しかる後、種糸46を水槽
内から引き揚げて所定の長さに切断し、上述のように藻
類着床部材4に取り付ける。そして、種糸46を取り付
けた藻類着床部材4を、実海域において図6に示すよう
に漁業用ロープ6を介して海面Qに浮かべた筏7等の浮
体から海中に吊り下げた状態に保持する。この吊り下げ
に際しては、二枚の藻類着床部材4を裏合わせにすると
ともに、それらの厚み方向を水深方向に略一致させた縦
向きの姿勢として、部分的に撚りを解いたロープ6を前
記隆起部42同士の間に添接させて挟み込むようにして
いる。さらに藻類育成部材4のロープ6からの脱落を防
止するために、前記貫通孔41に挿通した結束バンド
(図示省略)でロープ6を拘束する。このようにするこ
とで、藻類着床部材4の裏面へのフジツボ等の付着防止
を図るとともに、より多数の藻類着床部材4を同時に吊
り下げられるようにしている。しかして二枚一組の藻類
育成部材4を一本のロープ6に高さを異ならせて複数取
り付け、さらに筏7には多数のロープ6を結わえること
によって、約2000枚の藻類育成部材4を海中に吊り
下げる。このようにして、アラメBを、胞子の段階から
葉長1cm〜数10cmの大きさとなるまで中間育成を
行う。この程度の大きさまでアラメBが成長すれば、根
が藻類育成部材4にしっかりと活着し胞子を放出できる
状態となり、また海底Pにおけるアワビやウニ等の植食
生物に対する忌避成分である苦みのあるフロロタンニン
等を自ら分泌して自己防衛機能を発揮できるようになっ
ている。このような実海域でのアラメBの中間育成によ
れば、陸上水槽でのアラメの中間育成と比較して、大規
模な装置や海水の交換などに要する費用やコストを削減
できるだけでなく、海面からの藻類育成部材4の吊り下
げ深度を一定に保って適当な日光量と海水温をアラメB
に与えるとともに、海底Pの植食生物による食害被害を
予防することができる。以上のような中間育成方法によ
ってアラメBが活着した藻類育成部材4を海中から引き
揚げる。そして、漁船等の小型の船上にて礁本体10の
藻場増殖部Xaに藻類育成部材4を取り付ける。
【0031】そして、このように海底Pに沈設された模
擬海底地盤A2に、上述の方法でアラメBが活着した藻
類育成部材4を礁本体10に取り付けた藻場礁A1を装
着する際には、その所定海域まで漁船や小型のクレーン
船等を進め、図7に示すように、当該漁船等に設けられ
たウィンチのワイヤRにフック33を引っ掛けて海底P
まで吊り降ろし、スパイク状の突部21を模擬海底地盤
A2の孔部51、厳密には塩ビ管52の中空内部に挿入
する。その際、予め潜水したダイバーの補助等を得ても
よい。このようにして各藻場礁A1を模擬海底地盤A2
に載置した状態では、図2に示すように、コンクリート
板5の上面5aと台座部1の底面1aとが共に平らであ
るので、藻場礁A1は模擬海底地盤A2上に殆ど隙間な
く載置されることになる。
擬海底地盤A2に、上述の方法でアラメBが活着した藻
類育成部材4を礁本体10に取り付けた藻場礁A1を装
着する際には、その所定海域まで漁船や小型のクレーン
船等を進め、図7に示すように、当該漁船等に設けられ
たウィンチのワイヤRにフック33を引っ掛けて海底P
まで吊り降ろし、スパイク状の突部21を模擬海底地盤
A2の孔部51、厳密には塩ビ管52の中空内部に挿入
する。その際、予め潜水したダイバーの補助等を得ても
よい。このようにして各藻場礁A1を模擬海底地盤A2
に載置した状態では、図2に示すように、コンクリート
板5の上面5aと台座部1の底面1aとが共に平らであ
るので、藻場礁A1は模擬海底地盤A2上に殆ど隙間な
く載置されることになる。
【0032】以上のように沈設された藻場増殖礁Aで
は、藻場礁A1を、各4箇所において突部21を模擬海
底地盤A2の孔部51に略垂直に挿入した状態で模擬海
底地盤A2に載置しているため、藻場礁A1が潮流から
側面に受けた受動圧力に抗して載置状態を維持すること
ができるので、藻場礁A1が模擬海底地盤A2上を活動
して位置がずれたり落下するような不具合は生じない。
また、藻場礁A1自体も、台座部1と藻場増殖部Xaと
の間に大きな隙間Sを有しているので側面において潮流
を受ける面積が小さいので、受動圧力そのものも小さく
することができる。さらに、藻場礁A1における台座部
1の底面1aの略全体が、模擬海底地盤A2におけるコ
ンクリート板5の上面5aに密接しており、その間には
隙間が殆ど生じないため、台座部1に下方から潮流によ
る揚圧力を受けて模擬海底地盤A2から脱落することを
容易に防止することができる。さらに、藻類着床部材4
は、前記空間Sや台座部1、模擬海底地盤A2の存在に
よって海底Pから嵩上げされた位置に設けられているた
め、海底Pから舞い上がった砂に覆われる覆砂現象を有
効に防止することができるうえに、各藻類着床部材4は
相互に間隔を開けて設けられているので、その間から砂
やゴミ等を簡単に落とすことも可能である。
は、藻場礁A1を、各4箇所において突部21を模擬海
底地盤A2の孔部51に略垂直に挿入した状態で模擬海
底地盤A2に載置しているため、藻場礁A1が潮流から
側面に受けた受動圧力に抗して載置状態を維持すること
ができるので、藻場礁A1が模擬海底地盤A2上を活動
して位置がずれたり落下するような不具合は生じない。
また、藻場礁A1自体も、台座部1と藻場増殖部Xaと
の間に大きな隙間Sを有しているので側面において潮流
を受ける面積が小さいので、受動圧力そのものも小さく
することができる。さらに、藻場礁A1における台座部
1の底面1aの略全体が、模擬海底地盤A2におけるコ
ンクリート板5の上面5aに密接しており、その間には
隙間が殆ど生じないため、台座部1に下方から潮流によ
る揚圧力を受けて模擬海底地盤A2から脱落することを
容易に防止することができる。さらに、藻類着床部材4
は、前記空間Sや台座部1、模擬海底地盤A2の存在に
よって海底Pから嵩上げされた位置に設けられているた
め、海底Pから舞い上がった砂に覆われる覆砂現象を有
効に防止することができるうえに、各藻類着床部材4は
相互に間隔を開けて設けられているので、その間から砂
やゴミ等を簡単に落とすことも可能である。
【0033】また、藻場増殖礁Aのメンテナンスに際し
ては、藻場礁A1が模擬海底地盤A2に載置されている
だけという簡単な構成を有していることから、例えば藻
場増殖礁AにおいてアラメBが十分に生育すると、藻場
礁A1のみを海上へ引き上げて他の藻場造成の目的地と
なる海域に移設する一方、元の海域の模擬海底地盤A2
の空いた空間には新たな藻場礁A1と交換して再育成す
ることが容易であるし、藻類育成部材4も礁本体10に
おける横架材3に着脱可能に取り付けられる構造として
いるので、例えばアラメBが枯死した藻類着床部材4の
みを海底Pに潜ったダイバーの手によって部分的に交換
することも可能である。
ては、藻場礁A1が模擬海底地盤A2に載置されている
だけという簡単な構成を有していることから、例えば藻
場増殖礁AにおいてアラメBが十分に生育すると、藻場
礁A1のみを海上へ引き上げて他の藻場造成の目的地と
なる海域に移設する一方、元の海域の模擬海底地盤A2
の空いた空間には新たな藻場礁A1と交換して再育成す
ることが容易であるし、藻類育成部材4も礁本体10に
おける横架材3に着脱可能に取り付けられる構造として
いるので、例えばアラメBが枯死した藻類着床部材4の
みを海底Pに潜ったダイバーの手によって部分的に交換
することも可能である。
【0034】なお、本発明は上述した実施形態に限られ
るものではない。例えば図8に示すように、模擬海底地
盤A2におけるコンクリート板5の上面5aにおいて、
藻場礁A1における台座部1の底面1aの少なくとも外
周が載置される箇所に、ゴム等の弾性体からなるシール
部材54を貼り付け又は埋設するなどして設けておく
と、そのシール部材54が藻場礁A1によって押し潰さ
れるために、台座部1の底面1aとコンクリート板5の
上面5aとの密着性が向上し、台座部1の底面1aに潮
流による揚圧力がより作用しにくくなるようにすること
ができる。また、図示しないが、揚圧力を排除するとい
う観点からは、模擬海底地盤A2に形成した孔部を、コ
ンクリート板の底面まで貫通しないものとすることも有
効な手段である。
るものではない。例えば図8に示すように、模擬海底地
盤A2におけるコンクリート板5の上面5aにおいて、
藻場礁A1における台座部1の底面1aの少なくとも外
周が載置される箇所に、ゴム等の弾性体からなるシール
部材54を貼り付け又は埋設するなどして設けておく
と、そのシール部材54が藻場礁A1によって押し潰さ
れるために、台座部1の底面1aとコンクリート板5の
上面5aとの密着性が向上し、台座部1の底面1aに潮
流による揚圧力がより作用しにくくなるようにすること
ができる。また、図示しないが、揚圧力を排除するとい
う観点からは、模擬海底地盤A2に形成した孔部を、コ
ンクリート板の底面まで貫通しないものとすることも有
効な手段である。
【0035】また、例えば図9に示すように、コンクリ
ート板5の上面5aと台座部1の底面1aにおける外周
とは直接密接させるが、その内側において台座部1の底
面1aと対向するコンクリート板5の上面5aの部位を
部分的に没入させた陥没部55を形成しておいてもよ
い。このようにすることで、藻場礁A1の模擬海底地盤
A2への載置時に、それらの間に挟まったゴミを陥没部
55で受けることができるため、藻場礁A1の安定性を
高めることが可能となる。
ート板5の上面5aと台座部1の底面1aにおける外周
とは直接密接させるが、その内側において台座部1の底
面1aと対向するコンクリート板5の上面5aの部位を
部分的に没入させた陥没部55を形成しておいてもよ
い。このようにすることで、藻場礁A1の模擬海底地盤
A2への載置時に、それらの間に挟まったゴミを陥没部
55で受けることができるため、藻場礁A1の安定性を
高めることが可能となる。
【0036】さらに、本発明では、突部や凹部の数や形
状の形状を任意に変更することができるのは勿論のこ
と、藻場礁や模擬海底地盤の形状や大きさも任意であ
り、一の模擬海底地盤に載置される藻場礁の数も自由に
設定することができる。さらに、模擬海底地盤に、海底
に打ち付けられるアンカーを設けると、海底での安定設
置性を向上することができる。また、藻類着床部材は、
海藻類の胞子をその周囲に対して拡散させて、胞子の供
給源としての機能を奏するものに限らず、海中に漂う海
藻類の胞子や遊走子をキャッチして育成するような機能
を奏するものでもよい。その場合は、藻場礁の沈設時期
を、海藻類が胞子等を多く放出する時期に合わせると良
い。また、模擬海底地盤の取付部を突部として藻場礁の
被取付部を凹部とすることも可能である。その他、藻場
礁において柱状部を台座部に対して斜めに貫通させた
り、突部を凹部に斜めに挿入したり、突部部と柱状部と
を別部材とするなど、上記実施形態は本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で種々変形することができる。
状の形状を任意に変更することができるのは勿論のこ
と、藻場礁や模擬海底地盤の形状や大きさも任意であ
り、一の模擬海底地盤に載置される藻場礁の数も自由に
設定することができる。さらに、模擬海底地盤に、海底
に打ち付けられるアンカーを設けると、海底での安定設
置性を向上することができる。また、藻類着床部材は、
海藻類の胞子をその周囲に対して拡散させて、胞子の供
給源としての機能を奏するものに限らず、海中に漂う海
藻類の胞子や遊走子をキャッチして育成するような機能
を奏するものでもよい。その場合は、藻場礁の沈設時期
を、海藻類が胞子等を多く放出する時期に合わせると良
い。また、模擬海底地盤の取付部を突部として藻場礁の
被取付部を凹部とすることも可能である。その他、藻場
礁において柱状部を台座部に対して斜めに貫通させた
り、突部を凹部に斜めに挿入したり、突部部と柱状部と
を別部材とするなど、上記実施形態は本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で種々変形することができる。
【0037】
【発明の効果】本発明は、以上に詳述したように、藻場
造成に際して、海藻類を増殖する機能と海底への安定設
置機能とを、それぞれ藻場礁と模擬海底地盤とに分離
し、藻場礁に設けた被取付部を模擬海底地盤に設けた取
付部に取り付けることによって、藻場礁を模擬海底地盤
に載置して藻場増殖礁を構成するようにしている。そし
て、模擬海底地盤には、藻場礁が潮流から受ける受動圧
力に抵抗し得る重量を有するものを適用している。
造成に際して、海藻類を増殖する機能と海底への安定設
置機能とを、それぞれ藻場礁と模擬海底地盤とに分離
し、藻場礁に設けた被取付部を模擬海底地盤に設けた取
付部に取り付けることによって、藻場礁を模擬海底地盤
に載置して藻場増殖礁を構成するようにしている。そし
て、模擬海底地盤には、藻場礁が潮流から受ける受動圧
力に抵抗し得る重量を有するものを適用している。
【0038】その結果、海底に数十年という長期に亘っ
て継続的に藻場を形成することが簡単にできるようにな
るばかりでなく、藻場礁、模擬海底地盤のそれぞれを別
個に製造、運搬、沈設することができるため、海藻類の
増殖を望ましい時期に行って優れた藻場を造成すること
ができるだけでなく、藻場造成事業全体のコストダウン
も図ることが容易である。また、藻場礁のみを交換する
ことで、藻場のメンテナンスと他海域への藻場移設が可
能となる。
て継続的に藻場を形成することが簡単にできるようにな
るばかりでなく、藻場礁、模擬海底地盤のそれぞれを別
個に製造、運搬、沈設することができるため、海藻類の
増殖を望ましい時期に行って優れた藻場を造成すること
ができるだけでなく、藻場造成事業全体のコストダウン
も図ることが容易である。また、藻場礁のみを交換する
ことで、藻場のメンテナンスと他海域への藻場移設が可
能となる。
【図1】本発明の一実施形態に係る藻場増殖礁全体を示
す斜視図。
す斜視図。
【図2】同藻場増殖礁の縦断面図。
【図3】同藻場増殖礁に適用される藻場礁を示す斜視
図。
図。
【図4】同藻場礁に適用される藻類着床部材を示す斜視
図。
図。
【図5】同藻場増殖礁に適用される模擬海底地盤を示す
斜視図。
斜視図。
【図6】同藻類着床部材を用いた藻類の中間育成方法を
説明する概念的な斜視図。
説明する概念的な斜視図。
【図7】同模擬海底地盤に藻場礁を取り付ける態様を説
明する概略斜視図。
明する概略斜視図。
【図8】同実施形態に係る藻場増殖礁の一変形例を示す
部分縦断面図。
部分縦断面図。
【図9】同実施形態に係る藻場増殖礁の他の変形例を示
す部分縦断面図。
す部分縦断面図。
【符号の説明】
A…藻場増殖礁
A1…藻場礁
A2…模擬海底地盤
S…空間
X…藻場
Xa…藻場増殖部
1…台座部
1a…底面
2…柱状部
3…横架材
4…藻類着床部材
5a…上面
21…被取付部(突部)
51…取付部(孔部)
54…シール部材
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 橘 紀久夫
東京都千代田区六番町6番地28 住友大阪
セメント株式会社内
Fターム(参考) 2B003 AA01 BB02 CC04 DD01 EE04
Claims (12)
- 【請求項1】被取付部を有し海藻類を増殖し得る藻場礁
を載置して海底に設置されるものであって、一以上の藻
場礁を載置して取付可能な取付部を具備し、前記被取付
部を取付部に取り付けた状態で載置された藻場礁が潮流
による外力を受けた場合に、被取付部に対して作用する
受動圧力に抗し得る重量を有することを特徴とする模擬
海底地盤。 - 【請求項2】複数の藻場礁に対する取付部を具備してい
る請求項1記載の模擬海底地盤。 - 【請求項3】藻場礁の底面における少なくとも外周を密
接させた状態で載置し得るようにしている請求項1又は
2記載の模擬海底地盤。 - 【請求項4】前記取付部が、上方に開口する孔部からな
るものである請求項1、2又は3記載の模擬海底地盤。 - 【請求項5】海藻類を増殖し得る藻場礁と、一以上の藻
場礁を載置した状態で該藻場礁が受ける潮流による受動
圧力に抗し得る重量を有し海底に設置される模擬海底地
盤とを具備してなり、前記藻場礁が被取付部を有し、模
擬海底地盤が前記被取付部を着脱可能に取り付け得る取
付部を有していることを特徴とする藻場増殖礁。 - 【請求項6】複数の前記藻場礁と、それら複数の藻場礁
を前記被取付部及び取付部を介して載置し得る一の模擬
海底地盤からなる請求項5記載の藻場増殖礁。 - 【請求項7】各藻場礁に複数の被取付部を形成し、模擬
海底地盤に各藻場礁ごとの被取付部の数に対応する数の
取付部を形成している請求項5又は6記載の藻場増殖
礁。 - 【請求項8】前記藻場礁の底面における外周と、該藻場
礁が載置される模擬海底地盤の上面とを密着させている
請求項5、6又は7記載の藻場増殖礁。 - 【請求項9】前記被取付部が、藻場礁においてその底面
から下方に突出する突部であり、前記取付部が、模擬海
底地盤の上面に形成され上方に開口する孔部である請求
項5、6、7又は8記載の藻場増殖礁。 - 【請求項10】藻場礁が、模擬海底地盤の上面に載置さ
れる台座部と、該台座部の底面から下方に突出させた前
記突部と、台座部から上方に向けて突出させた柱状部
と、該柱状部の台座部よりも高位置において該台座部と
の間に一定の空間を形成して配設される藻場増殖部とを
具備するものである請求項9記載の藻場増殖礁。 - 【請求項11】請求項5乃至10記載の藻場増殖礁を海
底に設置する方法であって、前記模擬海底地盤を所定海
域の海底に予め沈設しておき、その後、該所定海域に運
搬した前記藻場礁を海面から沈降させて前記被取付部を
取付部に装着して模擬海底地盤に載置することによっ
て、藻場増殖礁を海底に設置することを特徴とする藻場
増殖礁の設置方法。 - 【請求項12】請求項5乃至10記載の藻場増殖礁を移
設する方法であって、所定海域の海底に沈設された藻場
増殖礁において、当該藻場増殖礁の藻場礁上で海藻類が
生育した後、当該藻場礁を、模擬海底地盤から取り外し
他の海域における海底に移動して設置することを特徴と
する藻場増殖礁の移設方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002014044A JP2003210065A (ja) | 2002-01-23 | 2002-01-23 | 模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002014044A JP2003210065A (ja) | 2002-01-23 | 2002-01-23 | 模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003210065A true JP2003210065A (ja) | 2003-07-29 |
Family
ID=27650841
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002014044A Pending JP2003210065A (ja) | 2002-01-23 | 2002-01-23 | 模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003210065A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006055047A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | コンクリートベース |
KR100997022B1 (ko) * | 2008-07-08 | 2010-11-25 | 관동대학교산학협력단 | 해조부착 기질판 |
KR101001828B1 (ko) | 2010-09-01 | 2010-12-15 | 최태봉 | 해중림 조성용 기둥형 해중림초 |
CN113728910A (zh) * | 2021-09-30 | 2021-12-03 | 山东省海洋科学研究院(青岛国家海洋科学研究中心) | 一种海底海藻场的构建方法 |
-
2002
- 2002-01-23 JP JP2002014044A patent/JP2003210065A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006055047A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | コンクリートベース |
KR100997022B1 (ko) * | 2008-07-08 | 2010-11-25 | 관동대학교산학협력단 | 해조부착 기질판 |
KR101001828B1 (ko) | 2010-09-01 | 2010-12-15 | 최태봉 | 해중림 조성용 기둥형 해중림초 |
CN113728910A (zh) * | 2021-09-30 | 2021-12-03 | 山东省海洋科学研究院(青岛国家海洋科学研究中心) | 一种海底海藻场的构建方法 |
CN113728910B (zh) * | 2021-09-30 | 2022-09-16 | 山东省海洋科学研究院(青岛国家海洋科学研究中心) | 一种海底海藻场的构建方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7827937B1 (en) | Marine line form habitat | |
US9403287B2 (en) | Process for forming an artificial reef | |
JP2017176082A (ja) | アワビ類育成用海底設置型網生け簀 | |
US10138610B2 (en) | Artificial reef and process for forming such an artificial reef | |
US9744687B2 (en) | Artificial reef and process for forming such an artificial reef | |
US5860392A (en) | Artificial habitat for lobster | |
CN108617560B (zh) | 一种抗风浪晃动又能避开浮冰的牡蛎浅海养殖方法 | |
KR20160094669A (ko) | 홍해삼 해중 양식틀 | |
JP2003047363A (ja) | 藻場増殖礁 | |
JP2003210065A (ja) | 模擬海底地盤、藻場増殖礁、及び藻場増殖礁の設置方法並びに移設方法 | |
KR102500637B1 (ko) | 수중저연승 시설물 | |
JP5264644B2 (ja) | 海藻ブロック、海藻ブロックを設置する台座、海藻ブロックを組み込んだ構造体および藻場造成方法 | |
KR19990055863A (ko) | 양식설비 | |
KR101748240B1 (ko) | 계단식 피라미드형 해중림초 | |
KR20090096576A (ko) | 속이 빈 도자기 관들이 밀집되게 관통하거나 박혀있는기둥형태의 인공어초를 형성하는 방법과 기둥형태의 세우는인공어초군락을 조성하는 방법. | |
KR200392536Y1 (ko) | 해중림 조성용 하우스형 인공어초 | |
KR102149503B1 (ko) | 해삼을 포함한 바다생물 서식장 기능을 겸비한 잠제 | |
KR20200135238A (ko) | 해삼 중간육성 및 수산생물 성육 다기능 모듈 | |
JP6802728B2 (ja) | 浮遊幼生の育成用装置 | |
KR20160093324A (ko) | 연안지역 목장화와 어민 소득증대를 위한 대상(帶狀) 배치 인공어초 | |
KR20130034122A (ko) | 외해 중층식 전복 양식 설비 | |
JPH0965795A (ja) | 海中林造成用構造物 | |
KR200477377Y1 (ko) | 바다숲 조성용 상자형 해중림초 | |
KR200405697Y1 (ko) | 인공 중층 부어초 | |
JP2000300109A (ja) | 藻礁兼用貝礁 |