JP2003204800A - 糖代謝異常疾患マーカーおよびその利用 - Google Patents

糖代謝異常疾患マーカーおよびその利用

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JP2003204800A
JP2003204800A JP2002006281A JP2002006281A JP2003204800A JP 2003204800 A JP2003204800 A JP 2003204800A JP 2002006281 A JP2002006281 A JP 2002006281A JP 2002006281 A JP2002006281 A JP 2002006281A JP 2003204800 A JP2003204800 A JP 2003204800A
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glucose metabolism
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disease
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Junji Ichihara
準二 市原
Hidehito Sugaru
英仁 須軽
Koji Hayashi
浩司 林
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Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】糖代謝異常疾患を反映する疾患マーカー、該疾
患マーカーを利用した糖代謝異常疾患の検出法、該疾患
の改善に有用な薬物のスクリーニング法を提供する。 【解決手段】特定の配列で示されるいずれかの塩基配列
において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌク
レオチドおよび/または該ポリヌクレオチドに相補的な
ポリヌクレオチドを糖代謝異常疾患の疾患マーカーとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖代謝異常疾患の
診断に有用な疾患マーカーに関する。より詳細には、本
発明は糖代謝異常疾患、例えば糖尿病、特に2型糖尿
病、高脂血症、肥満症などの疾患の遺伝子診断におい
て、プライマーまたは検出プローブとして有効な疾患マ
ーカーに関する。また本発明は、かかる疾患マーカーを
利用した糖代謝異常疾患の検出方法(診断方法)に関す
る。
【0002】さらに本発明は、上記疾患マーカーを利用
して、糖代謝異常疾患の予防薬、改善薬または治療薬と
して有効な物質をスクリーニングする方法、並びに該方
法で調製される上記物質を有効成分とする糖代謝異常疾
患の予防薬、改善薬または治療薬に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、食生活の西洋化、社会的ストレス
の増加などにより、例えば肥満、それに付随する生活習
慣病などの糖代謝異常疾患、特に2型糖尿病に罹患する
患者が著しく増加している。
【0004】現在、この2型糖尿病の治療では、まず運
動療法および食事療法によって摂食量および体重が管理
され、これらの療法によっても体重コントロールなどが
不十分な場合には、更に薬物療法が行われている。この
薬物療法には、特に血糖値を十分に低下させることがで
きかつ安全な治療薬が望まれている。
【0005】一方、筋肉および脂肪は、インスリンなど
の糖代謝調節因子により制御されており、全身の糖代謝
に重要な役割を演じている。特に、ヒトでは、筋肉の全
身に対する割合は大きく、従って、筋肉の糖代謝の変化
(異常)が血糖値変化に与える影響は非常に大きいと考え
られる。このことは、2型糖尿病患者において筋肉のイ
ンスリン抵抗性(インスリンの感受性が低下している状
態)が観察されることからも明らかである。このように
筋肉の状態変化は、糖尿病などの糖代謝異常疾患の病態
に大きく影響していると考えられる。
【0006】肝臓も糖代謝、血糖調節などに重要な影響
を与える。このことは、通常インスリンの作用により抑
制されている肝糖新生、肝糖放出などが、糖尿病患者で
は亢進した状態になっていることからも知ることができ
る。
【0007】このような観点から、筋肉におけるインス
リン抵抗性の解除もしくは筋肉および肝臓における糖代
謝の改善などを行うことができる薬剤は、糖尿病の病態
改善に大きく貢献すると考えられる。
【0008】しかしながら、このような作用機序面から
開発され且つ安全性などの面で問題なく使用できる薬剤
は、現在のところ上市されておらず、このような薬剤の
開発が望まれている。
【0009】また、現在、糖尿病などの糖代謝異常疾患
の診断は、被験者の個人差を考慮することなく、総じて
例えば経口糖負荷試験などの安価な健診により行われて
いる。
【0010】しかるに、最近の医療現場では、糖代謝異
常疾患に限らず、各種の疾患のそれぞれについて、個々
の患者毎の症状の診断、該症状に合わせた的確な治療法
の選択が望まれるようになってきている。高齢化社会で
のQOL(Quality of life)向上の必要性が認識されてきた
近年では、特に、万人に共通した診断および治療ではな
く、個々の患者毎の診断(症状の診断)および治療が施さ
れることが強く求められている。このような所謂テイラ
ーメイド診断および治療を行うためには、個々の疾患に
ついて患者の症状やその原因(遺伝的背景)を的確に反映
する疾患マーカーが有用であり、その探索並びに開発を
目指した研究が精力的に行われているのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、糖代謝異常
疾患の診断および治療に有用な疾患マーカーを提供する
ことを目的とする。より詳細には、本発明は糖代謝異常
疾患を正確に反映する疾患マーカーを提供することを目
的とする。さらに本発明は該疾患マーカーを利用した糖
代謝異常疾患の検出方法(遺伝子診断方法)、該疾患の予
防、改善または治療に有用な薬物をスクリーニングする
方法、並びに該疾患の予防、改善または治療に有用な薬
物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、まず2型糖尿病患者の筋肉および肝臓
に観察されるインスリン抵抗性、即ちインスリンに対す
る感受性が低下している状態に着目し、この病態に関連
して患者の筋肉および肝臓でその発現が変動する遺伝子
を探索した。
【0013】その結果、配列番号:1、2、3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、2
0、21および22で示されるいずれかの塩基配列(以下、本
明細書において「配列番号:1-22」ともいう)を有する
遺伝子が、2型糖尿病患者の肝臓において特異的に検出
されるかもしくはその検出量が正常者に比して有意に増
大されることを見出した。
【0014】また、本発明者は、配列番号:23、24、2
5、26、27、28、29および30(以下、本明細書において
「配列番号:23-30」ともいう)で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子が、2型糖尿病患者の筋肉におい
て特異的に検出されるかもしくはその検出量が正常者に
比して有意に増大されることを見出した。
【0015】これらのことから、本発明者は、かかる遺
伝子が糖代謝異常疾患の疾患マーカーとなり得るとの確
信を得た。本発明はかかる知見を基礎として完成された
ものである。
【0016】即ち、本発明の要旨は、下記項1-項12とし
て掲げる点にある。
【0017】項1. 配列番号:1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、
21、22、23、24、25、26、27、28、29および30(以下、
本明細書において「配列番号:1-30」ともいう)で示さ
れるいずれかの塩基配列において、連続する少なくとも
15塩基を有するポリヌクレオチドおよび/または該ポリ
ヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドである糖代謝
異常疾患の疾患マーカー。
【0018】項2. 糖代謝異常疾患の検出においてプロ
ーブまたはプライマーとして使用される項1に記載の疾
患マーカー。
【0019】項3. 肝臓における疾患マーカーであっ
て、配列番号:1-22で示されるいずれかの塩基配列に基
づく疾患マーカーである項1または2に記載の疾患マーカ
ー。
【0020】項4. 筋肉における疾患マーカーであっ
て、配列番号:23-30で示されるいずれかの塩基配列に
基づく疾患マーカーである項1または2に記載の疾患マー
カー。
【0021】項5. 下記の工程(a)、(b)および(c)を含
む糖代謝異常疾患の検出方法: (a) 被験者の生体試料から調製されたRNAまたは該RNAか
ら転写された相補的ポリヌクレオチドと項1-4のいずれ
かに記載の疾患マーカーとを結合させる工程、(b) 該疾
患マーカーに結合した生体試料由来のRNAまたは該RNAか
ら転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記疾患マー
カーを指標として測定する工程、(c)上記(b)の測定結果
に基づいて、糖代謝異常疾患の罹患を判断する工程。
【0022】項6. 糖代謝異常疾患の罹患を判断する
工程が、被験者について得られる測定結果を正常者につ
いて得られる測定結果と対比して、疾患マーカーへの結
合量が増大していることを指標として判断するものであ
る項5に記載の糖代謝異常疾患の検出方法。
【0023】項7. 生体試料が肝臓由来の組織または細
胞であり且つ疾患マーカーが項3に記載のものである項5
または項6に記載の方法。
【0024】項8. 生体試料が筋肉由来の組織または細
胞であり且つ疾患マーカーが項4に記載のものである項5
または項6に記載の方法。
【0025】項9. 下記の工程(a)、(b)および(c)を含
む配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有す
る遺伝子の発現を制御する物質のスクリーニング方法: (a) 被験物質と配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる
工程、(b) 被験物質を接触させた細胞における上記遺伝
子の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させな
い対照細胞における同一遺伝子の発現量と比較する工
程、(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、上記遺伝子の
発現量を変動させる被験物質を選択する工程。
【0026】項10. 糖代謝異常疾患の予防、改善また
は治療剤の有効成分を探索するための方法である項9に
記載のスクリーニング方法。
【0027】項11. 配列番号:1-30で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子の発現を制御する物質を有
効成分とする糖代謝異常疾患の予防、改善または治療
剤。
【0028】項12. 遺伝子の発現を制御する物質が項9
に記載のスクリーニング法により得られるものである項
11に記載の糖代謝異常疾患の予防、改善または治療剤。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本明細書において、アミノ
酸、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチドなどの略号に
よる表示は、IUPAC-IUBの規定〔IUPAC-IUB Communicati
on on Biological Nomenclature, Eur. J. Biochem., 1
38: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明
細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)
および当該分野における慣用記号に従う。
【0030】本明細書において「遺伝子」または「DN
A」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス
鎖およびアンチセンス鎖という各1本鎖DNAを包含する趣
旨で用いられる。またその長さによって特に制限される
ものではない。従って、本明細書において遺伝子(DNA)
とは、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖
DNAおよびcDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)並びに該正鎖と相
補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)およびこれらの断
片のいずれもが含まれる。なお、遺伝子またはDNAは、
機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領
域、コード領域、エキソンまたはイントロンを含むこと
ができる。
【0031】本明細書において「ポリヌクレオチド」と
は、RNAおよびDNAのいずれをも包含する趣旨で用いられ
る。なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DN
Aのいずれもが含まれる。また上記RNAには、total RN
A、mRNA、rRNAおよび合成のRNAのいずれもが含まれる。
【0032】本明細書において「蛋白質」または「(ポ
リ)ペプチド」には、特定の塩基配列で示される「蛋白
質」または「(ポリ)ペプチド」だけでなく、これらと
生物学的機能が同等であることを限度として、その断
片、同族体(ホモログ)、誘導体および変異体が包含され
る。なお、上記変異体には、天然に存在するアレル変異
体、天然に存在しない変異体および人為的に欠失、置
換、付加および挿入がなされることによって改変された
アミノ酸配列を有する変異体が包含される。上記変異体
としては、変異のない蛋白質または(ポリ)ペプチドと、
少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95
%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げること
ができる。
【0033】本明細書でいう「抗体」には、ポリクロー
ナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗
体、並びにFabフラグメントおよびFab発現ライブラリー
によって生成されるフラグメントのような抗原結合性を
有する上記抗体の一部が包含される。
【0034】さらに本明細書において「疾患マーカー」
とは、糖代謝異常疾患の罹患の有無もしくは罹患の程度
を診断するために、直接または間接的に利用されるもの
であり、例えば、糖代謝異常疾患に関連して生体内での
発現が変動する(亢進される)遺伝子または蛋白質を特異
的に認識し、またこれらと結合することのできる(ポリ)
(オリゴ)ヌクレオチドまたは抗体が包含される。これら
の(ポリ)(オリゴ)ヌクレオチドおよび抗体は、上記性質
に基づいて、生体内で発現した上記遺伝子および蛋白質
を検出するためのプローブとして、また(オリゴ)ヌクレ
オチドはさらに生体内で発現した上記遺伝子を増幅する
ためのプライマーとして、有効に利用することができ
る。
【0035】本発明は、前述するように、配列番号:
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、1
5、16、17、18、19、20、21および22で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子(以下、これらの遺伝子を
総称して遺伝子群Iともいう)が、糖代謝異常疾患患者の
肝臓においてその発現レベルが有意に上昇しているこ
と、並びに配列番号:23、24、25、26、27、28、29およ
び30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子(以
下、これらの遺伝子を総称して遺伝子群IIともいう)
が、糖代謝異常疾患患者の筋肉においてその発現レベル
が有意に上昇しているとの知見を基礎として完成されて
いる。即ち、本発明は、これらの遺伝子の発現の有無お
よび発現の程度を検出することによって、糖代謝異常疾
患の罹患の有無および罹患の程度を検出でき、該疾患の
診断を正確に行うことができるという発想に基づいてい
る。
【0036】これらの遺伝子およびその発現産物[蛋白
質、(ポリ)(オリゴ)ペプチド]は、糖代謝異常疾患の解
明、診断、予防および治療に有効に利用することがで
き、かかる利用によって医学並びに臨床学上、有用な情
報や手段を得ることができる。また、これらの遺伝子お
よびその発現産物並びにそれらからの派生物(例えば、
抗体など)は、上記糖代謝異常疾患の治療、並びに該治
療に有効に用いられる薬剤の開発に好適に利用すること
ができる。さらに、個体または肝臓もしくは筋肉組織に
おける上記遺伝子の発現またはその発現産物の検出、ま
たは該遺伝子の変異またはその発現不全の検出は、糖代
謝異常疾患の解明や診断に有効に利用することができ
る。
【0037】以下、これらの遺伝子(ポリヌクレオチド)
並びにこれらの発現産物およびそれらの派生物について
具体的に説明する。
【0038】(1)糖代謝異常疾患の疾患マーカーおよび
その応用 (1-1)ポリヌクレオチド 本発明ポリヌクレオチドは、被験者における上記遺伝子
の発現の有無およびその程度を検出することによって、
被験者が糖代謝異常疾患に罹患しているか否かおよびそ
の疾患の程度を診断するツール(疾患マーカー)として
有用である。
【0039】本発明疾患マーカーは、配列番号:1-30で
示されるいずれかの塩基配列において、連続する少なく
とも15塩基を有するポリヌクレオチドおよび/または該
ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドであるこ
とを特徴とする。
【0040】ここで相補的なポリヌクレオチド(相補
鎖、逆鎖)とは、上記各配列番号で示される塩基配列か
らなるポリヌクレオチドの全長配列または該塩基配列に
おいて少なくとも連続した15塩基長の部分配列(ここで
は便宜上、これらを「正鎖」ともいう)に対して、A:Tお
よびG:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補
的な関係にあるポリヌクレオチドを意味する。ただし、
かかる相補鎖は、対象とする正鎖の塩基配列と完全に相
補配列を形成する場合に限らず、対象とする正鎖とスト
リンジェントな条件でハイブリダイスすることができる
程度の相補関係を有するものであってもよい。なお、こ
こでストリンジェントな条件は、Berger andKimmel (19
87, Guide to Molecular Cloning Techniques Methods
in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego
CA)に教示されるように、複合体或いはプローブを結合
する核酸の融解温度(Tm)に基づいて決定することができ
る。例えば、ハイブリダイズ後の洗浄条件として、通常
「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の条件を挙げることが
できる。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正
鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが好
ましい。特に好まして相補鎖は、より厳しいハイブリダ
イズ条件、例えば「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度、
さらに厳しいハイブリダイズ条件、例えば「0.1×SSC、
0.1%SDS、65℃」程度、の洗浄条件で洗浄しても対象と
する正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものである。
具体的には、このような相補鎖として、対象の正鎖の塩
基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖
並びに該鎖と少なくとも90%、好ましくは95%の相同性
を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
【0041】また、正鎖側のポリヌクレオチドには、配
列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列またはその
部分配列を有するものだけでなく、上記相補鎖の塩基配
列に対してさらに相補的な関係にある塩基配列からなる
鎖を含めることができる。
【0042】さらに正鎖のポリヌクレオチドおよび相補
鎖(逆鎖)のポリヌクレオチドは、各々一本鎖の形態で疾
患マーカーとして使用されても、また二本鎖の形態で疾
患マーカーとして使用されてもよい。
【0043】本発明の糖代謝異常疾患の疾患マーカー
は、具体的には配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列(全長配列)からなるポリヌクレオチドであっても
よいし、その相補配列からなるポリヌクレオチドであっ
てもよい。また、配列番号:1-30で示されるいずれかの
遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチドを
選択的に(特異的に)認識するものであれば、上記全長配
列もしくはその相補配列の部分配列からなるポリヌクレ
オチドであってもよい。この場合、部分配列としては、
上記全長配列もしくはその相補配列の塩基配列から任意
に選択される少なくとも15個の連続した塩基長を有する
ポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0044】なお、ここで「選択的に(特異的に)認識す
る」とは、例えばノーザンブロット法においては、配列
番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝
子またはこれらの遺伝子に由来するポリヌクレオチドが
特異的に検出できること、またRT-PCR法においては、配
列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺
伝子またはこれらの遺伝子に由来するポリヌクレオチド
が特異的に生成されることを意味するが、それらに限定
されることなく、当業者が上記検出物または生成物がこ
れらの遺伝子に由来するものであると判断できるもので
あればよい。
【0045】本発明疾患マーカーは、検出(認識)する対
象の遺伝子(配列番号:1-30)に応じて、配列番号:1-30
のいずれかに示される塩基配列をもとにして、例えばpr
imer3(http://www.genome.wi.mit.edu/cgi-bin/primer/
primer3.cgi)あるいはベクターNTI(Infomax社製)を利用
して設計することができる。具体的には上記検出対象と
する遺伝子の塩基配列をprimer 3またはベクターNTIの
ソフトウエアにかけて得られる、プライマーまたはプロ
ーブの候補配列もしくは少なくとも該配列を一部に含む
配列をプライマーまたはプローブとして使用して設計す
ることができる。
【0046】本発明疾患マーカーは、上述するように連
続する少なくとも15塩基の長さを有するものであればよ
く、具体的には該マーカーの用途に応じて、その長さを
適宜選択し設定することができる。
【0047】(1-2)プローブまたはプライマーとしての
ポリヌクレオチド 本発明疾患マーカーは、上記各遺伝子の発現によって生
じたRNAまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異
的に認識し増幅するためのプライマーとしてまたは該RN
Aまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に検
出するためのプローブとして利用することができる。
【0048】糖代謝異常疾患の検出(遺伝子診断)にプラ
イマーとして用いる本発明疾患マーカーは、通常15-100
bp、好ましくは15-50bp、より好ましくは15-35bpの塩基
長を有するものとすることができる。また検出プローブ
として用いる本発明疾患マーカーは、通常15bp-全配列
の塩基数、好ましくは15bp-1kb、より好ましくは100bp-
1kbの塩基長を有するものとすることができる。
【0049】本発明の疾患マーカーは、ノーザンブロッ
ト法、RT-PCR法、in situハイブリダーゼーション法な
どの、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法におい
て、常法に従ってプライマーまたはプローブとして利用
することができる。該利用によって糖代謝異常疾患に関
連する配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を
有する遺伝子の発現の有無または発現レベル(発現量)を
評価することができる。
【0050】測定対象試料としては、使用する検出法の
種類に応じて適宜選択することができる。例えば被験者
の筋肉または肝臓の一部をバイオプシなどで採取し、そ
こから常法に従って調製したtotal RNAであってもよい
し、さらに該RNAをもとにして調製される各種のポリヌ
クレオチドであってもよい。
【0051】配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基
配列を有する遺伝子の生体組織における発現レベルは、
DNAチップを利用して検出あるいは定量することができ
る。この場合、本発明疾患マーカーは当該DNAチップの
プローブとして使用することができる。かかるDNAチッ
プを、生体組織から採取したRNAをもとに調製される標
識DNAまたはRNAとハイブリダイズさせることにより、本
発明疾患マーカー(プローブ)と標識DNAまたはRNAとの複
合体が形成されるので、該複合体を該標識DNAまたはRNA
の標識を指標として検出することにより、配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列からなる遺伝子の生体
組織中での発現の有無または発現レベル(発現量)が評価
できる。
【0052】なお、上記DNAチップは、配列番号:1-30
で示される塩基配列を有する遺伝子と結合し得る1種ま
たは2種以上の本発明疾患マーカーを含んでいればよ
い。複数の疾患マーカーを含むDNAチップの利用によれ
ば、ひとつに生体試料について、同時に複数の遺伝子の
発現の有無または発現レベルの評価が可能である。
【0053】本発明疾患マーカーは、糖代謝異常疾患の
診断および検出(罹患の有無、罹患の程度の診断など)
に有用である。具体的には、該疾患マーカーを利用した
糖代謝異常疾患の診断は、被験者と正常者との、それぞ
れの肝臓または筋肉における配列番号:1-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベル
の違いを判定することによって行うことができる。
【0054】この場合、遺伝子発現レベルの違いには、
発現のある/なしの違いだけでなく、被験者と正常者と
を対比して、両者ともに発現がある場合でも、両者間の
発現量に有意な格差がある場合、例えばその格差が2倍
以上、好ましくは3倍以上ある場合が含まれる。
【0055】より具体的には、配列番号:1-22の塩基配
列を有する遺伝子は、糖代謝異常疾患患者の肝臓におい
てその発現の有意な上昇が認められ、また配列番号:23
-30の塩基配列を有する遺伝子は、糖代謝異常疾患患者
の筋肉においてその発現の有意な上昇が認められるの
で、被験者の肝臓または筋肉試料において特異的に発現
しているか或いは該発現量が正常な肝臓または筋肉試料
における発現量と比べて、好ましくは2倍以上、より好
ましくは3倍以上上昇していれば、被験者について糖代
謝異常疾患の罹患が疑われる。この場合の糖代謝異常疾
患の検出(診断)には、上記遺伝子に対応するいずれか
の塩基配列(配列番号:1-30)において、連続する少なく
とも15塩基長を有するポリヌクレオチド/または該ポリ
ヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドからなる本発
明疾患マーカーが有用である。
【0056】なかでも、配列番号:1、2、3、12、13ま
たは14で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
は、正常な肝臓に比べて糖代謝異常疾患患者の肝臓にお
いて、ほぼ5倍以上の発現増大を示す。従って、これら
の塩基配列において少なくとも15塩基長を有するポリヌ
クレオチドまたはそれに相補的なポリヌクレオチドから
なる本発明疾患マーカーは特に有用である。
【0057】また、配列番号:23または27で示される塩
基配列を有する遺伝子は、正常な筋肉に比べて糖代謝異
常疾患患者の筋肉において、ほぼ5倍以上の発現増大を
示す。従って、これらの塩基配列において少なくとも15
塩基長を有するポリヌクレオチドまたはそれに相補的な
ポリヌクレオチドからなる本発明疾患マーカーは特に有
用である。
【0058】本発明における糖代謝異常疾患の検出(診
断)は、被験者の生体試料、特に肝臓または筋肉におけ
る配列番号:1-30のいずれかの塩基配列を有する遺伝子
の少なくとも1つの発現の有無または発現レベル(発現
量)を評価することによって行われる。検出(診断)の精
度、正確性などを高めるためには、肝臓および筋肉のそ
れぞれに対して、上記遺伝子のうち2以上、好ましくは
複数個、より好ましくは上記遺伝子群の4分の1以上、さ
らに好ましくは上記遺伝子群の半数以上の遺伝子につい
て、その発現の有無または発現レベル(発現量)を評価す
るのが望ましい。
【0059】(1-3)抗体 また本発明は、糖代謝異常疾患の疾患マーカーとして配
列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺
伝子の発現産物(これらの塩基配列を有する遺伝子によ
りコードされるアミノ酸配列からなる蛋白質)を特異的
に認識することができる抗体を提供する。
【0060】本発明抗体は、その形態に特に制限はな
く、上記蛋白質を免疫抗原とするポリクローナル抗体で
あっても、またモノクローナル抗体であってもよい。さ
らに当該蛋白質を構成するアミノ酸配列のうち少なくと
も連続する、通常8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、
より好ましくは20アミノ酸からなるポリペプチドに対し
て抗原結合性を有する抗体も、本発明の抗体に含まれ
る。
【0061】これらの抗体は、周知の方法により製造で
きる(Current protocols in Molecular Biology edit.
Ausubel et al.(1987) Publish. John Wiley and Son
s. Section 11.12-11.13)。具体的には、ポリクローナ
ル抗体は、常法に従って大腸菌などで発現し、精製した
上記蛋白質を用いて、あるいは常法に従って当該蛋白質
の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成し
て、家兎などの非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清
から常法に従って得ることが可能である。一方、モノク
ローナル抗体は、常法に従って大腸菌などで発現し、精
製した上記蛋白質または該蛋白質の部分アミノ酸配列を
有するオリゴペプチドをマウスなどの非ヒト動物に免疫
し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて
調製したハイブリドーマ細胞から得ることができる(Cur
rent protocols in Molecular Biology edit. Ausubel
et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Sectio
n 11.4-11.11)。
【0062】抗体の作製に免疫抗原として使用される蛋
白質は、本発明により提供される遺伝子の配列情報(配
列番号:1-30)に基づいて、DNAクローニング、各プラス
ミドの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換
体の培養および培養物からの蛋白質の回収の操作により
得ることができる。これらの操作は、当業者に既知の方
法あるいは文献記載の方法(Molecular Cloning, T. Man
iatis et al., CSH Laboratory (1983); DNA Cloning,
DM. Glover, IRL PRESS (1985))などに準じて行うこと
ができる。
【0063】より具体的には、配列番号:1-30で示され
るいずれかの塩基配列を有する遺伝子が宿主細胞中でこ
れらの塩基配列を有する遺伝子によりコードされる所望
の蛋白質を発現できる組換えDNA(発現ベクター)を作製
し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、該形質転換
体を培養して、得られる培養物から、目的蛋白質を回収
することによって、本発明抗体の製造のための免疫抗原
としての蛋白質を得ることができる。また、これらの蛋
白質は、本発明により提供される遺伝子情報から常法に
よって得られるアミノ酸配列情報に従って、一般的な化
学合成法(ペプチド合成)によって製造することもでき
る。
【0064】なお、上記蛋白質には、配列番号:1-30の
いずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされる
アミノ酸配列を有する蛋白質のみならず、これらの相同
物も包含される。該相同物としては、上記遺伝子によっ
てコードされる蛋白質のアミノ酸配列において、1もし
くは複数(通常数個)のアミノ酸が欠失、置換または付加
されたアミノ酸配列からなり且つ各アミノ酸配列の蛋白
質の機能(公知)と同等の生物学的機能を有する蛋白質お
よび/または同等の免疫学的活性を有する蛋白質を挙げ
ることができる。
【0065】ここで、「同等の生物学的機能」を有する
蛋白質としては、各々対応する蛋白質(具体的には、配
列番号:1-30で示される塩基配列によりコードされるア
ミノ酸配列を有する蛋白質)と、生化学的または薬理学
的機能において同等の機能を有する蛋白質を挙げること
ができる。また、「同等の免疫学的活性」を有する蛋白
質としては、適当な動物あるいはその細胞において特定
の免疫反応を誘発し、かつ各対応する蛋白質に対する抗
体と特異的に結合する能力を有する蛋白質を挙げること
ができる。
【0066】なお、蛋白質におけるアミノ酸の変異数お
よび変異部位は、その生物学的機能および/または免疫
学的活性が保持される限り制限はない。生物学的機能ま
たは免疫学的活性を消失することなくアミノ酸残基が、
どのように、何個置換、挿入あるいは欠失され得るかを
決定する指標は、当業者に周知のコンピュータプログラ
ム、例えばDNA Star softwareを用いて見出すことがで
きる。例えば、変異数は、典型的には、全アミノ酸の10
%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であ
り、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内である。ま
た置換されるアミノ酸は、置換後に得られる蛋白質が、
置換前の蛋白質の生物学的機能および/または免疫学的
活性を保持している限り、特に制限されないが、この置
換されるアミノ酸は、蛋白質の構造保持の観点から、ア
ミノ酸の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、両親媒
性などにおいて置換前のアミノ酸と似た性質を有するア
ミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Le
u、Ile、Pro、Met、PheおよびTrpは、互いに非極性アミ
ノ酸に分類されるアミノ酸である。Gly、Ser、Thr、Cy
s、Tyr、AsnおよびGlnは互いに非荷電性アミノ酸に分類
されるアミノ酸である。AspおよびGluは互いに酸性アミ
ノ酸に分類されるアミノ酸である。また、Lys、Argおよ
びHisは互いに塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸で
ある。ゆえに、これらを指標として同群に属するアミノ
酸を適宜選択することができる。
【0067】本発明抗体は、また、配列番号:1-30で示
されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコード
される蛋白質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチ
ドを用いて調製されるものであってもよい。かかる抗体
の製造のために用いられるオリゴペプチドは、機能的な
生物活性を有することは要しないが、各々対応する蛋白
質と同様の免疫原特性を有するものであることが望まし
い。好ましくはこの免疫原特性を有し且つ配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子により
コードされる蛋白質のアミノ酸配列において、少なくと
も連続する、通常8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、
より好ましくは20アミノ酸からなるオリゴペプチドを例
示することができる。
【0068】かかるオリゴペプチドに対する抗体の製造
は、宿主に応じて種々のアジュバントを用いて免疫学的
反応を高めることによって行うこともできる。限定はさ
れないが、そのようなアジュバントには、フロイントア
ジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲ
ル、並びにリゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリ
アニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘ
モシアニンおよびジニトロフェノールのような表面活性
物質、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)、コリネバクテリ
ウム-パルヴムなどのヒトアジュバントが含まれる。
【0069】本発明抗体は、配列番号:1-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされる
蛋白質に特異的に結合する性質を有することから、該抗
体を利用することによって、被験者の組織内に発現した
上記蛋白質を特異的に検出することができる。すなわ
ち、当該抗体は被験者の組織内における上記蛋白質の発
現の有無および発現の程度を検出するためのプローブと
して有用である。
【0070】具体的には、患者の肝臓または筋肉の一部
(生体試料)をバイオプシなどで採取し、そこから常法
に従って蛋白質を調製して、例えばウェスタンブロット
法、ELISA法などの公知の検出方法において、上記抗体
を常法に従ってプローブとして使用することによって、
上記生体試料中に存在する蛋白質を検出することができ
る。
【0071】糖代謝異常疾患の診断に際しては、被験者
の肝臓または筋肉に存在する、配列番号:1-30で示され
るいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされ
る蛋白質のいずれか少なくとも1つの量を、正常な肝臓
または筋肉に存在する、対応する蛋白質量と対比して、
その違いを判定すればよい。この場合、蛋白質量の違い
には、蛋白質が存在する/存在しないの相違とともに、
蛋白質量の差が2倍以上、好ましくは3倍以上の場合が含
まれる。
【0072】配列番号:1-22で示される塩基配列を有す
る遺伝子は、糖代謝異常疾患患者の肝臓で有意にその発
現が増大するので、被験者の肝臓由来の組織または細胞
における上記遺伝子の発現産物(上記遺伝子によってコ
ードされる蛋白質、具体的には配列番号:1-22で示され
る塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋
白質)の量が正常な肝臓における同遺伝子発現産物量と
比べて2倍以上、好ましくは3倍以上多いことが判定され
れば、糖代謝異常疾患の罹患が疑われる。この場合、糖
代謝異常疾患の検出(診断)には、各々の遺伝子がコード
する蛋白質(配列番号:1-22で示される塩基配列により
コードされるアミノ酸配列を有する蛋白質)を特異的に
認識する抗体である本発明疾患マーカーが有用である。
【0073】なかでも、配列番号:1、2、3、12、13ま
たは14で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
は、正常な肝臓に比べて糖代謝異常疾患患者の肝臓にお
いて、ほぼ5倍以上の発現増大を示す。従って、これら
の塩基配列を有する遺伝子によってコードされるアミノ
酸配列を有する蛋白質を特異的に認識する抗体は、本発
明疾患マーカーとして糖代謝異常疾患の検出(診断)に特
に有用である。
【0074】また、配列番号:23-30で示される塩基配
列を有する遺伝子は、糖代謝異常疾患患者の筋肉で有意
にその発現が増大するので、被験者の筋肉由来の組織ま
たは細胞における上記遺伝子の発現産物(上記遺伝子に
よってコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質)の量
が正常な筋肉における同遺伝子発現産物量と比べて2倍
以上、好ましくは3倍以上多いことが判定されれば、糖
代謝異常疾患の罹患が疑われる。この場合、糖代謝異常
疾患の検出(診断)には、各々の遺伝子がコードする蛋白
質(配列番号:23-30で示される塩基配列によりコードさ
れるアミノ酸配列を有する蛋白質)を特異的に認識する
抗体である本発明疾患マーカーが有用である。なかで
も、配列番号:23または27で示される塩基配列を有する
遺伝子は、正常な筋肉に比べて糖代謝異常疾患患者の筋
肉において、ほぼ5倍以上の発現増大を示す。従って、
これらの塩基配列を有する遺伝子によってコードされる
アミノ酸配列を有する蛋白質を特異的に認識する抗体
は、本発明疾患マーカーとして糖代謝異常疾患の検出
(診断)に特に有用である。
【0075】(2)糖代謝異常疾患の検出方法(診断方法) 本発明は、前述した本発明疾患マーカーを利用した糖代
謝異常疾患の検出方法(診断方法)を提供する。
【0076】本発明の検出方法は、具体的には、被験者
の肝臓の一部をバイオプシなどで採取し、そこに含まれ
る糖代謝異常疾患に関連する配列番号:1-22で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベ
ル、またはこれらの遺伝子に由来する蛋白質を検出し、
その発現量またはその蛋白質量を測定することにより、
糖代謝異常疾患の罹患の有無またはその程度を検出(診
断)するものである。
【0077】また、本発明の検出方法は、被験者の筋肉
の一部をバイオプシなどで採取し、そこに含まれる糖代
謝異常疾患に関連する配列番号:23-30で示されるいず
れかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベル、ま
たはこれらの遺伝子に由来する蛋白質を検出し、その発
現量またはその蛋白質量を測定することにより、糖代謝
異常疾患の罹患の有無またはその程度を検出(診断)す
るものである。
【0078】本発明の検出方法は、次の(a)、(b)および
(c)の工程を含むものである: (a) 被験者の生体試料と本発明疾患マーカーを接触さ
せる工程、(b) 生体試料中の配列番号:1-30で示され
るいずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベ
ル、または配列番号:1-30で示される塩基配列によりコ
ードされるアミノ酸配列を有する蛋白質の量を、上記疾
患マーカーを指標として測定する工程、(c) 上記(b)の
結果をもとに、糖代謝異常疾患の罹患を判断する工程。
【0079】ここで用いられる生体試料は、被験者の肝
臓または筋肉由来の組織または細胞から調製されるRNA
もしくはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドま
たは上記組織などから調製される蛋白質である。かかる
RNA、ポリヌクレオチドまたは蛋白質は、被験者の組織
または細胞の一部をバイオプシーなどで採取し、そこか
ら常法に従って調製することができる。
【0080】本発明の診断方法は、測定対象として用い
る生体試料の種類に応じて、具体的には下記のようにし
て実施される。
【0081】(2-1) 生体試料としてRNAを利用する場合 診断に用いる生体試料としてRNAを利用する場合、本発
明検出方法(診断方法)は、該RNA中の配列番号:1-22(生
体試料が肝臓由来のものである場合)および23-30(生体
試料が筋肉由来のものである場合)で示されるいずれか
の塩基配列を有する遺伝子の発現レベルを検出し、測定
することによって実施される。
【0082】この場合、本発明検出方法は、次の(a)、
(b)および(c)の工程を含む: (a) 被験者の生体試料と本発明疾患マーカーとを接触
させる工程、(b) 上記(a)工程によって本発明疾患マー
カーに結合した生体試料由来のRNAまたはそれから転写
された相補的なポリヌクレオチドを上記疾患マーカーを
指標として測定する工程、および(c) 上記(b)において
得られる結果をもとに、糖代謝異常疾患の罹患を判断す
る工程。
【0083】本発明糖代謝異常疾患の検出方法(診断方
法)は、特に測定対象の生体試料としてRNAを利用して、
該RNA中の配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配
列を有する遺伝子の発現レベルを検出し、測定すること
によって実施される。具体的には、上記検出する遺伝子
の塩基配列に応じて、前述する本発明疾患マーカー(配
列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列において連
続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチドおよ
び/または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオ
チド)をプライマーまたはプローブとして用いて、ノー
ザンブロット法、RT-PCR法、DNAチップ解析法、in situ
ハイブリダイゼーション解析法などの公知の方法を行う
ことにより実施できる。
【0084】ノーザンブロット法を利用する場合、本発
明疾患マーカーをプローブとして用いることによって、
RNA中の配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列
を有する遺伝子の発現の有無および発現レベルを検出、
測定することができる。具体的には、本発明疾患マーカ
ー(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33Pなど:RI)、蛍光
物質などで標識する。次いで、得られる標識疾患マーカ
ーを常法に従ってナイロンメンブレンなどにトランスフ
ァーした被験者の肝臓または筋肉に由来するRNAとハイ
ブリダイズさせる。その後、形成された標識疾患マーカ
ー(DNA)とRNAとの二重鎖を、該疾患マーカーの標識物(R
I、蛍光物質など)に由来するシグナルを放射線検出器(B
AS−1800II、富士フィルム社製)、蛍光検出器などで検
出、測定する方法を例示できる。
【0085】また、AlkPhos Direct Labelling and Det
ection System (Amersham PharamciaBiotech社製)を用
いて、該プロトコールに従って疾患マーカー(プローブD
NA)を標識し、被験者の肝臓または筋肉に由来するRNAと
ハイブリダイズさせた後、疾患マーカーの標識物に由来
するシグナルをマルチバイオイメージャーSTORM860(Ame
rsham Pharmacia Biotech社製)で検出、測定する方法を
使用することもできる。
【0086】RT-PCR法を利用する場合、本発明疾患マー
カーをプライマーとして用いて、RNA中の配列番号:1-3
0で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発現
の有無および発現レベルを検出、測定することができ
る。具体的には、被験者の肝臓または筋肉由来のRNAか
ら常法に従ってcDNAを調製し、これを鋳型として標的の
遺伝子の領域が増幅できるように、本発明疾患マーカー
から調製した一対のプライマー(上記cDNA(−鎖)に結合
する正鎖、+鎖に結合する逆鎖)をこれとハイブリダイ
ズさせる。その後、常法に従ってPCR法を行い、得られ
た増幅二本鎖DNAを検出する方法を例示することができ
る。
【0087】増幅された二本鎖DNAの検出には、上記PCR
を予めRI、蛍光物質などで標識しておいたプライマーを
用いて行うことによって産生される標識二本鎖DNAを検
出する方法、産生された二本鎖DNAを常法に従ってナイ
ロンメンブレンなどにトランスファーさせて、標識した
疾患マーカーをプローブとして使用してこれとハイブリ
ダイズさせて検出する方法などを用いることができる。
なお、生成された標識二本鎖DNA産物はアジレント2100
バイオアナライザ(横河アナリティカルシステムズ社製)
などで測定することができる。また、SYBR Green RT-PC
R Reagents (Applied Biosystems社製)で該プロトコー
ルに従ってRT-PCR反応液を調製し、ABI PRIME 7700 Seq
uence Detection System (Applied Biosystems 社製)で
反応させて、該反応物を検出することもできる。
【0088】また、DNAチップ解析を利用する場合、本
発明疾患マーカーをDNAプローブ(1本鎖または2本鎖)と
して貼り付けたDNAチップを用意し、これに被験者の肝
臓または筋肉由来のRNAから常法によって調製されたcRN
Aをハイブリダイズさせ、形成されたDNAとcRNAとの二本
鎖を、本発明疾患マーカーから調製される標識プローブ
と結合させて検出する方法を挙げることができる。上記
DNAチップとして配列番号:1-30で示される塩基配列を
有する遺伝子の遺伝子発現レベルの検出、測定が可能な
DNAチップを用いることもできる。かかる遺伝子の発現
レベルを検出、測定することができるDNAチップとして
は、Affymetrix社のGene Chip Human Genome U95 A, B,
C, D, Eを挙げることができる。かかるDNAチップを用
いた、被験者RNA中の配列番号:1-30で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベルの検
出、測定については、実施例において詳細に説明する。
【0089】(2-2)生体試料として蛋白質を用いる場合 生体試料(測定対象物)として蛋白質を用いる場合、本発
明検出方法(診断方法)は、生体試料中に存在する配列番
号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
によってコードされる蛋白質を検出し、その発現蛋白量
(レベル)を測定することによって実施される。より詳
細には、上記蛋白質を認識する抗体を疾患マーカーとし
て用いてウエスタンブロット法などの公知方法で、該蛋
白質レベルを検出、定量する。
【0090】ウエスタンブロット法は、一次抗体として
本発明疾患マーカーを用いた後、二次抗体として一次抗
体に結合する抗体を125Iなどの放射性同位元素、蛍光物
質などで標識した標識抗体を用い、得られる標識された
蛋白質における放射性同位元素もしくは蛍光物質由来の
シグナルを、放射線測定器(BAS-1800II:富士フィルム
社製など)、蛍光検出器などで検出、測定することによ
って実施できる。また、一次抗体として本発明疾患マー
カーを用いた後、ECL Plus Western BlottingDetction
System (Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて、
該プロトコールに従って検出し、マルチバイオイメージ
ャーSTORM860(Amersham Pharmacia Biotech社製)で測定
することもできる。
【0091】(2-3)糖代謝異常疾患の診断 糖代謝異常疾患の診断は、具体的には、被験者の肝臓に
おける配列番号:1-22で示されるいずれかの塩基配列を
有する遺伝子の遺伝子発現レベルまたは該配列番号:1-
22で示される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列
を有する蛋白質の量(レベル)を、正常な肝臓における
当該遺伝子発現レベルまたは当該蛋白質量(レベル)と
比較し、両者の違いを判定することによって行うことが
できる。
【0092】また、糖代謝異常疾患の診断は、具体的に
は、被験者の筋肉における配列番号:23-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現レベル
または該配列番号:23-30で示される塩基配列によりコ
ードされるアミノ酸配列を有する蛋白質の量(レベル)
を、正常な筋肉における当該遺伝子発現レベルまたは当
該蛋白質量(レベル)と比較し、両者の違いを判定する
ことによっても行うことができる。
【0093】これらの場合、正常な組織などから採取調
製した生体試料(RNAまたは蛋白質)が必要であるが、こ
れは糖代謝異常疾患に罹患していない人の肝臓または筋
肉の一部をバイオプシなどで採取することによって取得
することができる。なお、ここで「糖代謝異常疾患に罹
患していない人」とは、少なくとも糖代謝異常疾患の自
覚症状がなく、好ましくは他の検査方法、例えば経口糖
負荷試験法などによる検査の結果、糖代謝異常疾患でな
いと診断された人をいう。当該「糖代謝異常疾患に罹患
していない人」を以下、本明細書では単に正常者という
場合もある。
【0094】被験者の生体試料と正常者の生体試料との
遺伝子発現レベルまたは蛋白質レベルの比較は、両者の
生体試料を対象とした測定を並行して行うことで実施で
きる。また、並行して行なわなくても、複数(少なくと
も2、好ましくは3以上、より好ましくは5以上)の正常者
の生体試料を用いて均一な測定条件で測定して得られた
上記遺伝子発現レベルもしくはこれらの遺伝子の発現産
物である蛋白質レベルの平均値または統計的中間値を予
め求めて正常レベルもしくは正常値とし、これらを被験
者における測定レベルもしくは測定値と比較することも
できる。
【0095】被験者が、糖代謝異常疾患であるかどうか
の判断は、生体試料として肝臓由来組織乃至細胞を利用
する場合、該被験者の生体試料における配列番号:1-22
で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子
発現レベル、または該配列番号:1-22で示される塩基配
列によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質のレ
ベルが、正常者のそれらと比較して有意に多いか否かを
指標として行われる。具体的には、上記被験者の遺伝子
発現レベルまたは蛋白質レベルが正常者のそれらと比較
して、2倍以上、好ましくは3倍以上多い場合に、該被験
者について糖代謝異常疾患が疑われる。
【0096】また、生体試料として筋肉由来組織乃至細
胞を利用する場合、被験者の生体試料における配列番
号:23-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝
子の遺伝子発現レベル、または該配列番号:23-30で示
される塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を有す
る蛋白質のレベルが、正常者のそれらと比較して有意に
多い場合、具体的には、2倍以上、好ましくは3倍以上多
い場合には、該被験者について糖代謝異常疾患が疑われ
る。
【0097】なお、前記(2-1)に示す方法に従い、生体
試料としてRNAを利用して糖代謝異常疾患を検出(診断)
する場合、すなわち遺伝子発現の有無または遺伝子発現
レベル(発現量)から糖代謝異常疾患を検出(診断)する場
合、検出(診断)の精度、正確性などを高めるために、肝
臓由来の生体試料については、配列番号:1-22に示され
る遺伝子のうち2以上、好ましくは複数個の遺伝子、よ
り好ましくは上記遺伝子群の4分の1以上、さらに好まし
くは半数以上の遺伝子について、発現の有無または発現
レベル(発現量)を評価し、その結果から糖代謝異常疾患
を検出(診断)することが望ましい。また、筋肉由来の生
体試料については、配列番号:23-30に示される遺伝子
のうち2以上、好ましくは複数個の遺伝子、さらに好ま
しくは半数以上の遺伝子について、発現の有無または発
現レベル(発現量)を評価し、その結果から糖代謝異常疾
患を検出(診断)することが望ましい。前記(2-2)に示す
方法に従って測定対象物として蛋白質を利用して糖代謝
異常疾患を検出(診断)する場合も、上記と同様に、生体
試料について、配列番号:1-30に示される遺伝子によっ
てコードされる蛋白質のうち2以上、好ましくは複数個
の蛋白質のレベル(発現量)を評価し、その結果から糖代
謝異常疾患を検出(診断)することが望ましい。
【0098】このように、複数個の遺伝子または蛋白質
について評価する場合には、個々の遺伝子または蛋白質
での評価をスコア化し、総合的に糖代謝異常疾患を診断
することが可能である。この場合、評価する遺伝子また
は蛋白質の数、スコアあるいは診断基準は限定されな
い。
【0099】(3)候補薬のスクリーニング方法 (3-1)遺伝子発現レベルを指標とするスクリーニング方
法 本発明は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配
列を有する遺伝子の発現を制御する物質をスクリーニン
グする方法を提供する。
【0100】本発明スクリーニング方法は、次の工程
(a)、(b)および(c)を含む: (a) 被験物質と配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる
工程、(b) 被験物質を接触させた細胞における配列番
号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
の遺伝子発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触さ
せない対照細胞における同一遺伝子の発現量と比較する
工程、(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、上記遺伝子
の遺伝子発現量を変動させる被験物質を選択する工程。
【0101】本発明スクリーニング法に用いられる細胞
としては、配列番号:1-30で示される塩基配列を有する
遺伝子の少なくともひとつを発現する細胞であって且つ
肝臓もしくは筋肉に由来する細胞を挙げることができ
る。
【0102】肝臓に由来する上記細胞は、具体的には、
配列番号:1-22で示される塩基配列を有する遺伝子の少
なくともひとつを発現し得る細胞であり、例えば、高脂
肪食を負荷して作製した高脂肪食負荷マウス、または肥
満糖尿病モデルマウスであるC57BL/Ksj-db/dbJcIマウス
もしくはKKAy/Ta Jclマウス(日本クレア)から単離、調
製した初代肝臓培養細胞などが包含される。また、HepG
2細胞(肝癌細胞株、ATCC寄託株)なども本発明スクリー
ニング法に肝臓由来細胞として用いることができる。
【0103】また、筋肉に由来する上記細胞は、具体的
には、配列番号:23-30で示される塩基配列を有する遺
伝子の少なくともひとつを発現し得る細胞であり、例え
ば、高脂肪食を負荷して作製した高脂肪食負荷マウス、
または肥満糖尿病モデルマウスであるC57BL/Ksj-db/dbJ
cIマウスもしくはKKAy/Ta Jclマウス(日本クレア)から
単離、調製した初代筋肉培養細胞などを挙げることがで
きる。また、L6筋筒細胞(筋培養株、ATCC寄託株)なども
本発明スクリーニング法に筋肉由来細胞として用いるこ
とができる。
【0104】なお、本発明スクリーニングに用いられる
細胞の範疇には、細胞の集合体である組織も含まれる。
【0105】本発明スクリーニング法によってスクリー
ニングされ得る被検物質(候補物質)は、制限されない
が、核酸、ペプチド、蛋白質、有機化合物、無機化合物
などである。本発明のスクリーニング法は、具体的には
これらの候補物質またはこれらの候補物質を含む試料
(被験試料)を、上記細胞および/または組織と接触させ
ることにより実施される。被験試料としては、被験物質
を含む、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、
合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物などが挙
げられるが、これに制限されない。
【0106】本発明スクリーニングに際して、被験物質
と細胞とを接触させる条件は、該細胞が死滅せず且つ所
望の遺伝子を発現できる条件(培養温度、培養pH、培地
組成など)を適宜選択することができる。
【0107】実施例に示すように、糖代謝異常疾患に罹
患した患者の肝臓および/または筋肉では、配列番号:
1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発
現が有意に上昇している。本発明スクリーニング法は、
この特定遺伝子の発現の上昇が糖代謝異常疾患と関連す
ることを利用するものである。即ち、本発明のスクリー
ニング方法には、これらの遺伝子の発現レベルの上昇を
指標として、その発現レベルを制御(抑制/亢進)する物
質を探索する方法が含まれる。この本発明スクリーニン
グ方法によって、糖代謝異常疾患の緩和/抑制作用を有
する候補物質(糖代謝異常疾患に対して改善/治療効果
を発揮する候補物質)が提供できる。
【0108】より具体的には、当該スクリーニング方法
としては: (a) 被験物質と配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる
工程、(b) 被験物質を接触させた細胞における配列番
号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
の遺伝子発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触さ
せない対照細胞における同一遺伝子の発現量と比較する
工程、(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、上記遺伝子
の遺伝子発現量を低下させる被験物質を選択する工程、
を含むものが例示される。
【0109】上記の本発明スクリーニング方法は、配列
番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝
子の発現レベルの上昇が、糖代謝異常疾患に基づく異常
と判断される場合に、糖代謝異常の緩和/抑制作用を有
する候補物質の探索に有効である。なお、配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発現
レベルの上昇が、糖代謝異常疾患に基づく異常に対する
生体防御などの機能に基づくものと判断される場合、糖
代謝異常の緩和/抑制作用を有する候補物質のスクリー
ニングは、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配
列を有する遺伝子の発現レベルを更に上昇させる作用
(亢進作用)もしくは該遺伝子の発現誘導作用を奏する
物質の探索によって行い得る。
【0110】本発明スクリーニング法によれば、上記特
定遺伝子の発現を制御(代表的には抑制)する物質を探
索することができ、かくして、糖代謝異常疾患の予防
薬、改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提
供することができる。
【0111】候補物質は、被験物質(候補物質)の存在下
で培養した細胞における上記特定遺伝子の発現レベル
を、被験物質(候補物質)の非存在下で培養した対照細胞
における同一遺伝子の発現レベルと対比して、これが有
意に変動する場合に、代表的には発現レベルが有意に低
下する場合に、その選別を行うことができる。
【0112】より具体的には、例えば、高脂肪食負荷マ
ウス、C57BL/Ksj-db/db JclマウスもしくはKKAy/Ta Jcl
マウスから単離・調製した初代肝臓培養細胞を用いて糖
代謝異常疾患の改善剤または治療薬の有効成分となる候
補物質をスクリーニングする場合は、被験物質を加えた
前記初代肝臓培養細胞における配列番号:1-22で示され
るいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発現レベルを、
溶媒のみを加えた前記初代肝臓培養細胞(対照細胞)にお
ける同遺伝子の発現レベルと比較し、その発現の変動
(代表的には減少)を指標として、候補物質を選別するこ
とができる。
【0113】また、例えば高脂肪食負荷マウス、C57BL/
Ksj-db/db JclマウスもしくはKKAy/Ta Jclマウスから単
離・調製した初代筋肉培養細胞を用いて糖代謝異常疾患
の改善剤または治療薬の有効成分となる候補物質をスク
リーニングする場合は、被験物質を加えた前記初代筋肉
培養細胞における配列番号:23-30で示されるいずれか
の塩基配列を有する遺伝子の発現レベルを、溶媒のみを
加えた前記初代筋肉培養細胞(対照細胞)における同遺伝
子の発現レベルと比較し、その発現の変動(代表的には
減少)を指標として、候補物質を選別することができ
る。
【0114】上記遺伝子の発現レベルの検出および定量
は、前記細胞から調製したRNAまたはそれから転写され
た相補的なポリヌクレオチドを用いて、前記(2-1)項に
記述したような、ノーザンブロット法、RT-PCR法など公
知の方法、およびDNAチップなどを利用する方法に従い
実施できる。候補物質の選別の指標である遺伝子発現の
変動(例えば抑制)の程度(有意差)としては、被験物質
(候補物質)の存在下で培養した細胞における特定遺伝子
の発現が、被験物質(候補物質)の非存在下で培養した対
照細胞における同一遺伝子の発現と比較して、10%、好
ましくは30%、特に好ましくは50%以上変動する程度、
通常低下もしくは減少する程度を例示することができ
る。
【0115】上記特定遺伝子の発現レベルの検出および
定量は、該特定遺伝子の発現を制御する遺伝子領域(発
現制御領域)に、例えばルシフェラーゼ遺伝子などのマ
ーカー遺伝子をつないだ融合遺伝子を導入した細胞株を
用いて、該マーカー遺伝子由来の蛋白質の活性を測定す
ることによっても実施することができる。本発明スクリ
ーニング方法には、かかるマーカー遺伝子の発現量を指
標として標的物質を探索する方法も包含される。この意
味において、本発明でいう配列番号:1-30で示されるい
ずれかの塩基配列を有する遺伝子の概念には、該遺伝子
の発現制御領域とマーカー遺伝子との融合遺伝子が含ま
れる。
【0116】なお、上記マーカー遺伝子としては、発光
反応、呈色反応などを触媒する酵素の構造遺伝子が好ま
しい。具体的には、上記ルシフェラーゼ遺伝子のほか、
クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺
伝子、βグルクロニダーゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ
遺伝子、およびエクオリン遺伝子などのレポーター遺伝
子を挙げることができる。ここで遺伝子の発現制御領域
としては、例えば該遺伝子の転写開始部位上流約1kb、
好ましくは約2kbを用いることができる。融合遺伝子の
作成およびマーカー遺伝子由来の活性測定は、公知の方
法で行うことができる。
【0117】本発明スクリーニング法は、配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発現
を有意に変動させる物質、代表的には抑制(減少)させる
物質を探索することによって、糖代謝異常疾患の予防、
改善乃至治療薬の有効成分となる候補化合物を提供する
ものである。当該方法に従うスクリーニングの精度、正
確性などを高めるためには、上記遺伝子の2以上、好ま
しくは複数個、より好ましくは上記遺伝子群の4分の1以
上、さらに好ましくは半数以上について、被験物質によ
る遺伝子発現レベルを評価して、候補物質を選別するこ
とが望ましい。このように複数個の遺伝子について評価
を行う場合には、個々の遺伝子での評価をスコア化し、
総合的に糖代謝異常疾患を診断することが可能である。
この場合、評価する遺伝子数、スコアあるいは判断基準
は限定されない。
【0118】本発明スクリーニング法により、被験物質
から選別される物質には、配列番号:1-30で示されるい
ずれかの塩基配列を有する遺伝子の遺伝子発現制御剤
(抑制剤)として位置づけられる物質が含まれる。これら
の物質は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配
列を有する遺伝子の発現を制御(抑制、減少)することに
よって糖代謝異常疾患を緩和、抑制(改善、治療)する薬
物の有力な候補物質となる。
【0119】(3-2) 蛋白質の発現量を指標とするスクリ
ーニング方法 本発明は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配
列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を有
する蛋白質の発現量を制御する物質をスクリーニングす
る方法を提供する。
【0120】本発明スクリーニング方法は、次の工程
(a)、(b)および(c)を含む: (a) 被験物質と配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列
を有する蛋白質を含む細胞または該細胞から調製した細
胞画分とを接触させる工程、(b) 被験物質を接触させた
細胞または細胞画分における配列番号:1-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされる
アミノ酸配列を有する蛋白質の発現量を測定し、該発現
量を被験物質を接触させない対照細胞もしくは細胞画分
における同一蛋白質の発現量と比較する工程、(c) 上記
(b)の比較結果に基づいて、当該蛋白質の発現量を変動
させる(例えば、代表的には抑制する)被験物質を選択す
る工程。
【0121】本発明スクリーニングに用いられる細胞
は、内来性および外来性を問わず、配列番号:1-30で示
されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコード
されるアミノ酸配列を有する蛋白質を発現し得る細胞を
挙げることができる。配列番号:1-30で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ
酸配列を有する蛋白質を発現し得る細胞としては、具体
的には、前記(3-1)項に記載したような肝臓由来の細
胞、筋肉由来の細胞などを用いることができる。細胞画
分とは、上記細胞に由来する各種の画分を意味し、これ
には、例えば、細胞膜画分、細胞質画分、細胞核画分な
どが含まれる。
【0122】実施例に示すように、糖代謝異常疾患の一
種である糖尿病に罹患した患者の肝臓乃至筋肉では配列
番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝
子の発現上昇が観察され、該遺伝子の発現産物である蛋
白質の増加がみられる。この知見から、当該遺伝子がコ
ードする蛋白質の発現量は、糖代謝異常疾患に関連する
と考えられる。本発明スクリーニング方法は、当該遺伝
子がコードする蛋白質の発現量が、糖代謝異常疾患と関
連することを利用するものである。即ち、本発明スクリ
ーニング方法は、上記蛋白質の発現量を指標として、糖
代謝異常疾患の緩和/抑制作用を有する(糖代謝異常疾
患の改善/治療効果を発揮する)物質を探索するもので
ある。本発明スクリーニング方法によれば、上記特定蛋
白質の発現を制御(主として抑制)する物質を探索で
き、かくして、糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療薬
の有効成分となる候補物質が提供される。
【0123】なお、配列番号:1-30で示されるいずれか
の塩基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸
配列を有する蛋白質の発現レベルの上昇が、糖代謝異常
疾患に基く異常と判断される場合、糖代謝異常疾患の緩
和/抑制作用を有する候補物質のスクリーニングは、配
列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺
伝子によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質の
発現レベルを抑制、低下させる作用を奏する物質の探索
によって行い得る。また配列番号:1-30で示されるいず
れかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされるアミ
ノ酸配列を有する蛋白質の発現レベルの上昇が、糖代謝
異常疾患に基く異常に対する生体防御などの機能に基く
ものと判断される場合、糖代謝異常疾患の緩和/抑制作
用を有する候補物質のスクリーニングは、配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子により
コードされるアミノ酸配列を有する蛋白質の発現レベル
を更に上昇させる作用(亢進作用)もしくは該蛋白質の発
現誘導作用を奏する物質の探索によって行い得る。
【0124】上記蛋白質の発現量は、前述したように、
例えば、本発明疾患マーカーとして抗体(例えば、配列
番号:1-30で示される各塩基配列によりコードされるア
ミノ酸配列からなる蛋白質を認識する抗体)を用いたウ
エスタンブロット法などの公知方法に従って定量でき
る。ウエスタンブロット法は、一次抗体として本発明疾
患マーカーを用いた後、二次抗体として125Iなどの放射
性同位元素、蛍光物質などで標識した一次抗体に結合す
る抗体を用いて標識し、これら標識物質由来のシグナル
を放射線測定器(BAS-1800II:富士フィルム社製など)、
蛍光検出器などで測定することによって実施できる。ま
た、一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、EC
L Plus Western Blotting Detction System (Amersham
PharmaciaBiotech 社製)を利用して、該プロトコールに
従って検出し、マルチバイオイメージャーSTORM860(Ame
rsham Pharmacia Biotech 社製)で測定することもでき
る。
【0125】本発明スクリーニング方法によってスクリ
ーニングされる被験物質(候補物質)は、制限されない
が、核酸、ペプチド、蛋白質、有機化合物、無機化合物
などであり、本発明スクリーニングは、具体的にはこれ
らの被験物質またはこれらを含む試料(被験試料)を上記
細胞または細胞画分と接触させることにより行われる。
被験試料としては、被験物質を含む、細胞抽出液、遺伝
子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペ
プチド、天然化合物などが挙げられるが、これらに制限
されない。
【0126】(3-3) 蛋白質の機能(活性)を指標とするス
クリーニング方法 本発明は、また配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列
を有する蛋白質の機能(活性)を制御する物質をスクリー
ニングする方法を提供する。
【0127】本発明スクリーニング方法は、次の工程
(a)、(b)および(c)を含む: (a) 被験物質と配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列
を有する蛋白質を含む水溶液、細胞または該細胞から調
製した細胞画分とを接触させる工程、(b) 被験物質を接
触させた水溶液、細胞または細胞画分の、配列番号:1-
30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子により
コードされるアミノ酸配列を有する蛋白質に由来する機
能(活性)を測定し、該機能(活性)を被験物質を接触させ
ない対照水溶液または対照細胞もしくは細胞画分におけ
る同一蛋白質に由来する機能(活性)と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、配列番号:1-30で
示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコー
ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質に由来する機能
(活性)を変動させる(例えば、代表的には抑制する)被験
物質を選択する工程。
【0128】本発明スクリーニングに用いられる特定蛋
白質を含む水溶液は、配列番号:1-30で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ
酸配列を有する蛋白質を含むものであればよく、特に制
限されない。その具体例としては、例えば所定の蛋白質
の水溶液の他、所定の蛋白質を含む細胞溶解液、核抽出
液あるいは細胞の培養上清などを例示することができ
る。
【0129】また、本発明スクリーニングに用いられる
細胞は、内来性および外来性を問わず、配列番号:1-30
で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコ
ードされるアミノ酸配列を有する蛋白質を発現し得る細
胞を挙げることができる。該細胞としては、具体的に
は、前記(3-1)項に示されるような肝臓由来の細胞、筋
肉由来の細胞などを用いることができる。細胞画分と
は、上記細胞に由来する各種の画分を意味し、これに
は、例えば、細胞膜画分、細胞質画分、細胞核画分など
が含まれる。
【0130】前記(3-2)項に記載したように、糖代謝異
常疾患の一種である糖尿病に罹患した患者の肝臓乃至筋
肉組織では、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基
配列を有する遺伝子の発現上昇が観察され、該遺伝子の
発現産物である蛋白質の増加と共に、該蛋白質の機能の
亢進、活性化がみられる。この知見から、当該蛋白質の
機能(活性)は、糖代謝異常疾患に関連すると考えられ
る。本発明スクリーニング方法は、当該蛋白質の機能
(活性)が、糖代謝異常疾患と関連することを利用するも
のである。即ち、本発明スクリーニング方法は、上記蛋
白質の機能または活性を指標として、糖代謝異常疾患の
緩和/抑制作用を有する(糖・脂質代謝異常疾患の改善
/治療効果を発揮する)物質を探索するものである。本
発明スクリーニング方法によれば、配列番号:1-30で示
されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコード
されるアミノ酸配列を有する蛋白質の機能または活性を
制御(主として抑制)する物質を探索でき、かくして、
糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療薬の有効成分とな
る候補物質が提供される。
【0131】なお、配列番号:1-30で示されるいずれか
の塩基配列を有する遺伝子によりコードされるアミノ酸
配列を有する蛋白質の機能または活性の亢進が、糖代謝
異常疾患に基く異常と判断される場合、糖代謝異常疾患
の緩和/抑制作用を有する候補物質のスクリーニング
は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有
する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋
白質の機能または活性を抑制(低下)させる作用を奏す
る物質の探索によって行い得る。また配列番号:1-30で
示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコー
ドされるアミノ酸配列を有する蛋白質の機能または活性
の亢進が、糖代謝異常疾患に基く異常に対する生体防御
などの機能に基くものと判断される場合、糖代謝異常疾
患の緩和/抑制作用を有する候補物質のスクリーニング
は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有
する遺伝子によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋
白質の機能または活性を更に亢進させる作用を奏する物
質の探索によって行い得る。
【0132】上記蛋白質のアミノ酸配列は、本発明によ
り提供される遺伝子の塩基配列情報(配列番号:1-30)
に基づいて遺伝子クローニングを行うことにより、得る
ことができる。また、上記蛋白質の機能または活性は、
当該蛋白質の公知の機能または活性に基づく適当なスク
リーニング系を構築することによって測定することがで
きる。なお、特定塩基配列によってコードされる蛋白質
ならびに当該蛋白質が有する機能、活性などは、例えば
GenBankなどの公知のデータベースや文献検索用のデー
タベースを用いて容易に調べることができる。
【0133】本発明スクリーニング方法によってスクリ
ーニングされる被験物質(候補物質)は、制限されない
が、核酸、ペプチド、蛋白質、有機化合物、無機化合物
などであり、本発明スクリーニングは、具体的にはこれ
らの被験物質またはこれらを含む試料(被験試料)を上記
細胞または細胞画分と接触させることにより行われる。
被験試料としては、被験物質を含む、細胞抽出液、遺伝
子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペ
プチド、天然化合物などが挙げられるが、これらに制限
されない。
【0134】上記(3-1)乃至(3-3)に記載する本発明スク
リーニング方法によって選別された候補物質は、さらに
糖代謝異常疾患モデル動物、例えば高脂肪食負荷マウ
ス、C57BL/Ksj-db/dbJclマウス、KKAy/Ta Jclマウスな
どを用いた薬効試験、安全性試験、糖代謝異常疾患患者
への臨床試験に供してもよく、これらの試験を実施する
ことによって、より実用的な糖代謝異常疾患の予防、改
善または治療薬を取得することができる。このようにし
て選別された物質は、さらにその構造解析結果に基づい
て、化学的合成、生物学的合成(発酵)または遺伝子学
的操作によって、工業的に製造することができる。
【0135】尚、本発明スクリーニング方法の実施の前
に、配列番号:1-30のいずれかの塩基配列を有する遺伝
子や該遺伝子によりコードされる蛋白質に関して、該遺
伝子の発現を抑制、減少させる物質や該遺伝子によりコ
ードされる蛋白質の発現量、機能または活性を抑制、低
下させる物質が、糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療
薬の有効成分として有用であるのか、或いは該遺伝子の
発現を誘導、増大させる物質や該遺伝子によりコードさ
れる蛋白質の発現量、機能または活性を増大、亢進させ
る物質が、糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療薬の有
効成分として有用であるのかを判断することは、例えば
下記に示す実験などによって可能である。
【0136】このような既知の実験によって上記遺伝子
の発現を抑制する物質や該遺伝子によりコードされる蛋
白質の発現量、機能または活性を抑制、低下させる物質
が候補物質となる可能性が高いと判断される場合は、当
該遺伝子の発現レベルの低下、抑制や当該蛋白質の発現
量、機能または活性の低下、抑制を指標として、より高
い精度で候補物質を選別することができる。また上記実
験によって上記遺伝子の発現レベルを誘導、上昇させる
物質や該遺伝子によりコードされる蛋白質の発現量、機
能または活性を上昇、亢進させる物質が候補物質となる
可能性が高いと判断される場合は、当該遺伝子の発現レ
ベルの亢進、上昇や当該蛋白質の発現量、機能または活
性の上昇、亢進を指標とすることにより、より高い精度
で候補物質を選別することができる。
【0137】上記実験としては、例えば前記(3-1)項に
記載したような肝臓由来の細胞や筋肉由来の細胞に対し
て、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有
する遺伝子のアンチセンスオリゴDNAを導入し、糖代謝
機能(例えば細胞内への糖取り込み活性、グリコーゲン
合成能など)を測定する方法を挙げることができる。本
実験において、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列を有する遺伝子のアンチセンスオリゴDNAを導入
することによって当該遺伝子やその発現産物の発現・機
能を低下させた際に、糖代謝機能(活性)が上昇する場
合には、当該遺伝子の発現抑制物質や機能抑制物質が治
療薬になる可能性が高いと考えられる。逆に、配列番
号:1-30で示されるいずれかの塩基配列を有する遺伝子
のアンチセンスオリゴDNAを導入することによって当該
遺伝子やその発現産物の発現・機能を低下させた際に、
糖代謝機能(活性)が低下した場合には、当該遺伝子の
発現上昇物質や機能亢進物質が治療薬になる可能性が高
いと考えられる。
【0138】また上記実験としては、アンチセンスオリ
ゴDNAを導入する代わりに、配列番号:1-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子を前記細胞において
強制発現させて、糖代謝機能を測定する方法も挙げるこ
とができる。この場合、配列番号:1-30で示されるいず
れかの塩基配列を有する遺伝子の強制発現によって当該
遺伝子やその発現産物の発現・機能を上昇させた際に、
糖代謝機能(活性)が低下した場合には、当該遺伝子の
発現抑制物質や機能抑制物質が治療薬になる可能性が高
いと考えられる。一方、配列番号:1-30で示されるいず
れかの塩基配列を有する遺伝子の強制発現によって当該
遺伝子やその発現産物の発現・機能を上昇させた際に、
糖代謝機能(活性)が上昇した場合には、当該遺伝子の
発現上昇物質や機能亢進物質が治療薬になる可能性が高
いと考えられる。
【0139】また、前記実験としては、上記糖代謝機能
を測定する方法に加えて、脂質代謝機能測定(脂肪酸取
り込み活性、中性脂肪蓄積測定、β酸化活性測定など)
を併せて行う方法も含まれる。この方法によれば、治療
薬となり得る候補物質をより詳細に評価することができ
る。
【0140】(4)糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治
療剤 本発明は、糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療剤を提
供する。特に、高脂血症、肥満症、糖尿病などの糖代謝
異常疾患の予防、改善乃至治療剤を提供する。
【0141】本発明は配列番号:1-30で示されるいずれ
かの塩基配列を有する遺伝子の発現が糖代謝異常疾患と
関連しているという新たな知見から、該遺伝子の発現を
制御する物質(代表的には該遺伝子の発現を抑制するか
もしくは減少させる物質)が、上記疾患の予防、改善ま
たは治療に有効であるという考えに基づくものである。
すなわち、本発明の糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治
療剤は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩基配列
を有する遺伝子の発現を制御する物質(代表的には抑制
するかもしくは減少させる物質)を有効成分とする。
【0142】また、本発明は配列番号:1-30で示される
いずれかの塩基配列を有する遺伝子によりコードされる
アミノ酸配列を有する蛋白質の発現量、機能または活性
が糖代謝異常疾患と関連しているという新たな知見か
ら、該蛋白質の発現量、機能または活性を制御する物質
(代表的には該蛋白質の発現量、機能または活性を抑制
するかもしくは減少させる物質)が、上記疾患の予防、
改善または治療に有効であるという考えに基づくもので
ある。すなわち、本発明の糖代謝異常疾患の予防、改善
乃至治療剤は、配列番号:1-30で示されるいずれかの塩
基配列によりコードされるアミノ酸配列を有する蛋白質
の発現量、機能または活性を制御する物質(代表的には
抑制するかもしくは減少させる物質)を有効成分とす
る。
【0143】当該糖代謝異常疾患の予防、改善乃至治療
薬の有効成分とする配列番号:1-30で示されるいずれか
の塩基配列を有する遺伝子の発現を制御する物質(代表
的には抑制もしくは減少させる物質)、および当該遺伝
子によりコードされる蛋白質の発現量、機能または活性
を制御する物質(代表的には抑制もしくは減少させる物
質)は、本発明スクリーニング法を利用して選別された
もののみならず、この選別された物質に関する情報に基
づいて常法に従って化学的に、生化学的にもしくは工業
的に製造されたものであってもよい。
【0144】かかる特定遺伝子の発現を制御する物質や
特定遺伝子によりコードされる特定蛋白質の発現量、機
能または活性を制御する物質は、そのままもしくは自体
公知の薬学的に許容される担体(賦形剤、増量剤、結合
剤、滑沢剤などが含まれる)、慣用の添加剤などと混合
して医薬組成物として調製することができる。当該医薬
組成物は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散
剤、顆粒剤、シロップ剤などの経口投与剤;注射剤、点
滴剤、外用剤、坐剤などの非経口投与剤)に応じて経口
投与または非経口投与することができる。当該医薬組成
物の投与量は、用いる有効成分の種類、投与経路、投与
対象または患者の年齢、体重、症状などによって異なり
一概に規定できないが、通常有効成分量換算で1日の投
与用量は数mg-2g程度、好ましくは数十mg程度とすれば
よい。この投与量、1日1回である必要はなく、1日に数
回にわけて行ってもよい。
【0145】上記有効成分物質がDNAによりコードされ
るものである場合は、該DNAを遺伝子治療用ベクターに
組み込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。この場
合も、投与量、投与方法などは患者の体重、年齢、症状
などにより変動し、当業者であれば適宜選択することが
可能である。
【0146】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。しかし、本発明はこれらの実施例になんら限
定されるものではない。
【0147】実施例1 DNAチップ解析 ヒト2型糖尿病患者の肝臓組織6サンプルと、ヒトの正常
な肝臓組織39サンプルとからそれぞれ調製したtotal RN
Aを用いて、DNAチップ解析を行った。また、ヒト2型糖
尿病患者の筋肉組織4サンプルと、ヒトの正常な筋肉組
織25サンプルとからそれぞれ調製したtotal RNAを用い
て、DNAチップ解析を行った。
【0148】DNAチップ解析は、Affymetrix社Gene Chip
Human Genome U95A, B, C, D, Eを用いて行った。具体
的には、解析は、(1) total RNAからのcDNAの調製、(2)
該cDNAからのラベル化cRNAの調製、(3) ラベル化cRNA
のフラグメント化、(4)フラグメント化cRNAとプローブ
アレイとのハイブリダイズ、(5) プローブアレイの染
色、(6) プローブアレイのスキャンおよび(7) 遺伝子発
現解析の手順で行った。
【0149】(1) total RNAからのcDNAの調製 2型糖尿病患者の肝臓組織6サンプル、ヒトの正常な肝臓
組織39サンプル、2型糖尿病患者の筋肉組織4サンプルお
よびヒトの正常な筋肉組織25サンプルからそれぞれ調製
した各total RNA 10μg、T7-(dT)24プライマー(Amersha
m社製) 100pmolを含む11μLの混合液を、70℃、10分間
加熱後、氷上で冷却した。冷却後、該混合液に、SuperS
cript Choice System for cDNA Synthesis (Gibco-BRL
社製)に含まれる5×First Strand cDNA Buffer 4μL、
該キットに含まれる0.1M DTT 2μLおよび該キットに含
まれる10mM dNTP Mix 1μLを添加し、42℃で2分間加熱
した。更に、該キットに含まれるSuper ScriptII RT 2
μL(400U)を添加し、42℃で1時間加熱後、氷上で冷却し
た。冷却後、DEPC処理水(ナカライテスク社製)91μL、
該キットに含まれる5×Second Strand Reaction Buffer
30μL、10mM dNTP Mix 3μL、該キットに含まれるE. c
oli DNA Ligase 1μL(10U)、該キットに含まれるE. col
i DNA Polymerase I 4μL(40U)、該キットに含まれるE.
coli RNaseH 1μL(2U)を更に添加し、16℃で2時間反応
させた。次いで、該キットに含まれるT4DNA Polymerase
2μL(10U)を加え、16℃で5分間反応させた後、0.5M ED
TA 10μLを添加した。次いで、フェノール/クロロホル
ム/イソアミルアルコール溶液(ニッポンジーン社製)16
2μLを添加して混合した。
【0150】得られた混合液を、予め室温、14000rpm、
30秒間遠心分離しておいたPhase Lock Gel Light (エッ
ペンドルフ社製)に移し、室温、14000rpm、2分間遠心分
離した後、145μLの水層をエッペンドルフチューブに移
した。得られた溶液に、7.5M酢酸アンモニウム溶液72.5
μLおよびエタノール362.5μLを加えて混合した後、4
℃、14000rpm、20分間遠心分離した。遠心分離後、上清
を捨て、作製したcDNAを含むDNAペレットを得た。その
後、該ペレットに80%エタノール0.5mLを添加し、4℃、
14000rpm、5分間遠心分離した後、上清を捨てた。再度
同様の操作を行った後、該ペレットを乾燥させ、DEPC処
理水12μLに溶解した。
【0151】以上の操作によって、ヒト2型糖尿病患者
の肝臓組織6サンプル、ヒトの正常な肝臓組織39サンプ
ル、ヒト2型糖尿病患者の筋肉組織4サンプルおよびヒト
の正常な筋肉組織25サンプルからそれぞれ調製したtota
l RNAから、cDNAを取得した。
【0152】(2) cDNAからのラベル化cRNAの調製 上記(1)で調製した各cDNA溶液5μLに、DEPC処理水17μ
L、BioArray High Yield RNA Transcript Labeling Kit
(ENZO社製)に含まれる10×HY Reaction Buffer4μL、
該キットに含まれる10×Biotin Labeled Ribonucleotid
es 4μL、該キットに含まれる10×DTT 4μL、該キット
に含まれる10×RNase Inhibitor Mix 4μLおよび該キッ
トに含まれる20×T7 RNA Polymerase 2μLを混合し、37
℃で5時間反応させた。反応後、反応液にDEPC処理水60
μLを加え、次いでRNeasy Mini Kitを用いて添付プロト
コールに従うことにより、調製したラベル化cRNAを精製
した。
【0153】(3) ラベル化cRNAのフラグメント化 上記(2)で精製した各ラベル化cRNA 20μgを含む溶液
に、5×Fragmentation Buffer(200mMトリス-酢酸 pH8.1
(Sigma社製)、 500mM酢酸カリウム(Sigma社製)、150mM
酢酸マグネシウム(Sigma社製))8μLを加えた反応液40μ
Lを、94℃で35分間加熱した後、氷中に置いた。これに
よって、ラベル化RNAをフラグメント化した。
【0154】(4) フラグメント化cRNAとプローブアレイ
とのハイブリダイズ 上記(3)で得た各フラグメント化cRNA 40μLに、5nM Con
trol Oligo B2(Amersham社製)4μL、100×Control cRNA
Cocktail 4μL、Herring sperm DNA(Promega社製)40μ
g、Acetylated BSA(Gibco-BRL社製)200μg、2×MES Hyb
ridization Buffer(200mM MES、2M[Na+]、40mM EDTA、
0.02% Tween20 (Pierce社製)、pH6.5-6.7)200μLおよ
びDEPC処理水144μLを混合し、400μLのハイブリカクテ
ルを得た。得られた各ハイブリカクテルを99℃で5分間
加熱し、更に45℃で5分間加熱した。加熱後、室温、140
00rpm、5分間遠心分離し、ハイブリカクテル上清を得
た。
【0155】一方、1×MESハイブリダイゼーションバッ
ファーで満たしたHuman genome U95プローブアレイ(Aff
ymetrix社製)を、ハイブリオーブン内で、45℃、60rp
m、10分間回転させた後、1×MESハイブリダイゼーショ
ンバッファーを除去してプローブアレイを調製した。上
記で得られたハイブリカクテル上清200μLを該プローブ
アレイにそれぞれ添加し、ハイブリオーブン内で45℃、
60rpm、16時間回転させて、フラグメント化cRNAとハイ
ブリダイズしたプローブアレイを得た。
【0156】(5) プローブアレイの染色 上記(4)で得られたハイブリダイズ済みプローブアレイ
のそれぞれからハイブリカクテルを回収除去した後、No
n-Stringent Wash Buffer(6×SSPE(20×SSPE (ナカライ
テスク社製)を希釈)、0.01%Tween20、0.005%Antifoam
0-30(Sigma社製))で満たした。次に、Non-Stringent Wa
sh BufferおよびStringent Wash Buffer(100mM MES、0.
1M NaCl、0.01%Tween20)をセットしたGeneChip Fluidi
cs Station 400(Affymetrix社製)の所定の位置にフラグ
メント化cRNAとハイブリダイズしたプローブアレイを装
着した。その後、染色プロトコールEuKGE-WS2に従っ
て、1次染色液(10μg/mL Streptavidin Phycoerythrin
(SAPE)(MolecμLar Probe社製)、2mg/mL Acetylated BS
A、100mM MES、1M NaCl(Ambion社製)、0.05%Tween20お
よび0.005%Antifoam0-30)および2次染色液(100μg/mL
Goat IgG (Sigma社製)、3μg/mL Biotinylated Anti-St
reptavidin antibody(Vector Laboratories社製)、2mg/
mL Acetylated BSA、100mM MES、1M NaCl、0.05%Tween
20および0.005%Antifoam0-30)により染色した。
【0157】(6) プローブアレイのスキャンおよび(7)
遺伝子発現解析 上記(5)で染色した各プローブアレイをHP GeneArray Sc
anner(Affymetrix社製)に供し、染色パターンを読み取
った。染色パターンをもとにGeneChip Workstation Sys
tem(Affymetrix社製)によってプローブアレイ上の遺伝
子の発現を解析した。次に、解析プロトコールに従って
Normalizationおよび遺伝子発現の比較解析を行った。
【0158】実施例2 ヒト2型糖尿病患者の肝臓組織と
ヒト正常肝臓組織での遺伝子発現の変動解析 実施例1で行ったDNAチップ解析による遺伝子発現の比較
解析結果から、正常肝臓組織に比べて2型糖尿病患者の
肝臓組織で3倍以上の発現増を示したプローブを選抜し
た。
【0159】選抜した該プローブの中から、さらにヒト
2型糖尿病患者の肝臓組織で高頻度に発現が上昇してい
るプローブを選抜した。具体的には、DNAチップ解析結
果から得られるAbs Callを指標にして、ヒト2型糖尿病
患者の肝臓組織でのAbs CallがPresentである例数が4例
以上であるプローブを選抜した。
【0160】各選抜したプローブについて、発現上昇の
倍率を「変動倍率」として、下記表1に示す。なお、表
中の変動倍率は、Human Genome U95 Chipで解析した正
常肝臓組織の遺伝子発現量を1とした場合における2型糖
尿病患者の肝臓組織での該遺伝子の発現量の増加を比で
示すものである。
【0161】
【表1】
【0162】表1には各選抜されたプローブに対応する
遺伝子の塩基配列の配列番号を合わせて示す。
【0163】表1に示す結果からわかるように、配列番
号:4、5、6、7、8、9、10、11、15、16、17、18、19、
20、21および22で示される塩基配列を有する遺伝子は、
正常な肝臓組織に比べて2型糖尿病患者の肝臓組織で3倍
以上、4倍未満の発現増大を示した。
【0164】また、配列番号:1、2、3、12、13および1
4で示される塩基配列を有する遺伝子は、正常な肝臓組
織に比べて2型糖尿病患者の肝臓組織で4倍以上、ほぼ8
倍までの発現増大を示した。
【0165】以上の通り、配列番号:1-22で示される塩
基配列を有する遺伝子は、正常な肝臓組織に比して、2
型糖尿病患者の肝臓組織で特異的にその発現が上昇して
おり、このことから、これらは糖代謝異常疾患に関する
マーカー遺伝子として応用可能であると考えられる。ま
た、これらの遺伝子を用いることによって糖代謝異常疾
患を緩和、抑制する治療薬の候補薬をスクリーニングす
ることが可能である。
【0166】実施例3 ヒト2型糖尿病患者の筋肉組織と
ヒト正常筋肉組織での遺伝子発現の変動解析 実施例1で行ったDNAチップ解析による遺伝子発現の比較
解析結果から、正常筋肉組織に比べて2型糖尿病患者の
筋肉組織で3倍以上の発現増を示したプローブを選抜し
た。
【0167】選抜した該プローブの中から、さらにヒト
2型糖尿病患者の筋肉組織で高頻度に発現が上昇してい
るプローブを選抜した。具体的には、DNAチップ解析結
果から得られるAbs Callを指標にして、ヒト2型糖尿病
患者の筋肉組織でのAbs CallがPresentである例数が2例
以上であるプローブを選抜した。
【0168】各選抜したプローブについて、発現上昇の
倍率を「変動倍率」として、下記表2に示す。なお、表
中の変動倍率は、Human Genome U95 Chipで解析した正
常筋肉組織の遺伝子発現量を1とした場合における2型糖
尿病患者の筋肉組織での該遺伝子の発現量の増加を比で
示すものである。
【0169】
【表2】
【0170】表2には各選抜されたプローブに対応する
遺伝子の塩基配列の配列番号を合わせて示す。
【0171】表2に示す結果からわかるように、配列番
号:24、25、26、28、29および30で示される塩基配列を
有する遺伝子は、正常な筋肉組織に比べて2型糖尿病患
者の筋肉組織で3〜4倍の発現増大を示した。
【0172】また、配列番号:23および27で示される塩
基配列を有する遺伝子は、正常な筋肉組織に比べて2型
糖尿病患者の筋肉組織で約6倍程度の発現増大を示し
た。
【0173】以上の通り、配列番号:23-30で示される
塩基配列を有する遺伝子は、正常な筋肉組織に比して、
2型糖尿病患者の筋肉組織で特異的にその発現が上昇し
ており、このことから、これらは糖代謝異常疾患に関す
るマーカー遺伝子として応用可能であると考えられる。
また、これらの遺伝子を用いることによって糖代謝異常
疾患を緩和、抑制する治療薬の候補薬をスクリーニング
することが可能である。
【0174】実施例4 配列番号:1-22で示される塩基
配列を有する遺伝子の発現を制御する薬剤のスクリーニ
ング 高脂肪食負荷マウス、C57BL/Ksj-db/db Jclマウスもし
くはKKAy/Ta Jclマウスから、初代肝臓培養細胞を単離
・調製する。本培養液に、それぞれ100μM、10μMおよ
び1μMの濃度になるように被験物質を添加し、37℃、CO
2濃度5%で2日間培養する。なお、対照(コントロール)
として、被験物質を添加しない本培養液についても同様
に細胞を培養する。
【0175】得られた各培養細胞より抽出したRNAを用
いて、実施例1に記載された方法に従って、配列番号:1
-22で示される塩基配列を有する遺伝子の発現量を調べ
る。コントロールと比べて、配列番号:1-22で示される
塩基配列を有する遺伝子の発現量が10%、好ましくは30
%、特に好ましくは50以上変動している系について、添
加した被験物質を糖代謝異常疾患の緩和、抑制(改善、
治療)する候補物質として選択する。
【0176】実施例5 配列番号:23-30で示される塩基
配列を有する遺伝子の発現を制御する薬剤のスクリーニ
ング 高脂肪食負荷マウス、C57BL/Ksj-db/db Jclマウスもし
くはKKAy/Ta Jclマウスから、初代筋肉培養細胞を単離
・調製する。本培養液に、それぞれ100μM、10μMおよ
び1μMの濃度になるように被験物質を添加し、37℃、CO
2濃度5%で2日間培養する。なお、対照(コントロール)
として、被験物質を添加しない本培養液についても同様
に細胞を培養する。
【0177】得られた各培養細胞より抽出したRNAを用
いて、実施例1に記載された方法に従って、配列番号:2
3-30で示される塩基配列を有する遺伝子の発現量を調べ
る。コントロールと比べて、配列番号:23-30で示され
る塩基配列を有する遺伝子の発現量が10%、好ましくは
30%、特に好ましくは50%以上変動している系につい
て、添加した被験物質を糖代謝異常疾患の緩和、抑制
(改善、治療)する候補物質として選択する。
【0178】
【発明の効果】本発明によって、糖代謝異常疾患、例え
ば糖尿病、高脂血症、肥満症などの疾患で、発現が有意
に上昇する遺伝子(配列番号:1-30で示される塩基配列
を有する遺伝子)が明らかになった。これらの遺伝子は
糖代謝異常疾患の遺伝子診断に用いられるマーカー遺伝
子(プローブ、プライマー)として有用である。これらの
マーカー遺伝子によれば、糖代謝異常疾患の原因を明ら
かにすることができ(診断精度の向上)、これによってよ
り適切な治療を施すことが可能となる。即ち、本発明の
マーカー遺伝子は、糖代謝異常疾患の適切な治療のため
のツールとして利用することができる。
【0179】また、上記遺伝子(配列番号:1-30)の発現
上昇と糖代謝異常疾患との関連性から、該遺伝子の発現
を制御する物質は、糖代謝異常疾患の治療薬として有用
であると考えられる。従って、本発明遺伝子(配列番
号:1-30)によれば、その発現の制御を指標にすること
によって、糖代謝異常疾患の治療薬となり得る候補薬を
スクリーニングし選別することが可能である。即ち、本
発明のスクリーニング法は、糖代謝異常疾患の治療薬の
開発に有用である。
【0180】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Sumitomo Pharmaceuticals <120> A marker of abnormal sugar metabolism disorders and its use <130> 43101JP <140> <141> <160> 30 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 597 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 1 gggtttttta aagataggca taaatagttg tccttagact tattcataca aatatagtca 60 tttacttcta tgtagtttga gattctgaga gttattccaa ctttatgaag attgatttca 120 atgtgcctgc taagtcctaa aagattcaga aagaaaattt atatattatt gatttaaata 180 tcatccttta aatatgttgt ataacattca atatagttta tgtatcagtg attgtatttt 240 attctgaatg catgatctca agccttaact actataatct ttttctgccc ctcagaaatt 300 gaataaccta accaagatgc ctttagggga tgccctaagt aaatgtaatt tcagatttca 360 gggttttttt tttttcctct ctaagtgttc cttccctttt cttctcctgc tctccatcat 420 gttatggaga ccagtgagga accagtgtta acttggtgac aatgtgacag ctggtgcttt 480 atctaagctc cgttttctat ttcttgggaa tgctttattg tggaaactgc ttcagatact 540 taaattgaat cataacttgc ttctgtaaat tgcgtaaaga caacaaactg attttag 597 <210> 2 <211> 324 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 2 tttagcgggg aggattgaag agagtgaggt ttggggatcc ttctcggaga gagaaaggcg 60 ggcgtcgtcc cttgtgcccc gcgcaggccg acgcgcttag ccgattccgc acgttgggca 120 agtgggggca cagcgtcccc gggcactccg gtcccggcag gtcagcctct cccgggcagc 180 gctcacaccc agtcctccga gcctggggtt ccacggccga aatgcctaat gcaaagattg 240 caaattgctt ttcaggcaca tttaacagcg actgtagctg ttccttaatc caggcaggga 300 actgtgctga taatcactct gcaa 324 <210> 3 <211> 397 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 3 ggttcaaagt taatgaacta cgactttgtg gacagctagt agactttcta aaacataact 60 ctggtactgg tattgctgtt ggtctagtga actgggtgaa aacacaatga gcttaagagg 120 gaatttcacg aaaaataata tataatagga gatgagggaa gttgggaatg tcagaagatg 180 ttcctgagat tctaaggtta tttctgatct tcaaaaatgt tcatctgggg aaggtgccat 240 tattgtaggg aaaatgctcc tactgaactg actagagata caacagacca tagctctctg 300 acccagagtg gcgtttctta agttctggaa gaaaatactt aacagtccag ctaaatagta 360 ccagtggaga taatgctcca aattcttcta gatttct 397 <210> 4 <211> 535 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 4 tttacagaga tctaaaaatt taatgattta aaaatagcct ctacatacaa gatggcaaag 60 agtaatacag attgaacatt tggttttaaa aatgtgaaat gtctccactt agcgtagatc 120 aatcaagtca gccatctcct aagaaataca cattatacaa tgaaatctac aaagacacac 180 tttttaactt caagcgttgt tgattttcag caaccctctt cccacatgaa catttccttg 240 taatgtaatg tatgactttt aatcttcttt tggcagagta ggactttgag aattataata 300 gcagttgttt tgaaaagcac cttctatgat catttatttc cactgatttt ttttttaatc 360 acgctgagat catgcattct tgttttttaa atccttttct gttccaatga tttggttgtt 420 taaaacaagc aagcttaatt cagtcaggca tatattgcaa ataaaaacat gtttccaagt 480 aggctggaat aaaaatgcta aataagaact gggccaaaga tcatagataa tgtgc 535 <210> 5 <211> 410 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 5 tttttttttt tattttttat agttgtcaaa tatcacaatg acacgaagga ggaagtaacg 60 ctcaagctgt gtcattgttc ttccctgtag acccggacta ttaaacgtta ggttgcagaa 120 actttgtgtg aaacttttgc ctctgcctta atctcatccc tcggatagga tgaaactcaa 180 aagtgaggag tcagagccaa ttttaaacaa gtccattcag acctcataaa tttcaagttt 240 cctaaagata tttcagagat ccctgtgatt tcatggacat aatttcaaac acattgctct 300 aactgcttct accaaccttc 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tgttaaaaaa taaacggaat agggggccgt gggttttctc ccgccttttt cgggggcctn 780 aaaaaaaggg ncttgcggtt ttaagactac ctggttggaa ccccgttttt tggcacc 837 <210> 7 <211> 516 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 7 gattcaggca cgaaggggaa gaacatttga attgaattca gaatttttct gaaggtgtag 60 atactttttt tttttttttt aacagaaaac ctgatgtcaa gaggtgggca atagaaatgg 120 aaacaaattg tcttcctcaa taattaagct actttctctt tttcccttct tgttttaatc 180 tagtgggttt tttattttat tttttcttag aaatatgtag gtaaggttta tcttgaatct 240 taattgcctt aattttaagg acgtcaaagg ctctcgaggc aagctgtcaa cgtcttgttg 300 aaaacaaaaa tcaagaaaga attgaaatac tgtgccggct ttcactggca cagaagttta 360 agactatgag tttttagggt gaagaaaaaa ctgtacagtt taaatgaaaa tgtttttctt 420 catttgaaga aaatttgttg ataaccatgg caactgcaag aattggaaaa atgctgggac 480 ttttcatgaa ctttgtctta agtgttgaca tgaatc 516 <210> 8 <211> 395 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 8 atttttgaga caaatctcac tctgtcaccc agtctggagg gcagtggtgc aatctcagct 60 cactgcagcc tcgagcaccc aggctcaagc gatcctgtat ccttagtctc cctcggagct 120 gggaccactg 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atttttgcag ttaattttat 360 catgattagt ctagaatacg actgcctttc attttgcatt caccttcttc gtctaataat 420 gattaatgcc ttctgtcagt tttttctctt tgccattatg aatggaaaat gaaaaattgt 480 gaattcccat cggtgttcag tgaaagctaa aagtagacaa caggtatgat gtcttgaaag 540 atgatgatga aatactttgg acaatacaat gagaaaacta atatcttaaa aactatttag 600 ttatttttag catagttgag aataatgaat tataaataat gaattataaa taatgaacta 660 ttaaaaacta ttaaaaaaca acagttttta catttgtttc aaaatgtagg gaaaaaatac 720 gctcactagg attccatcat atttcttaga tttataagag ttcagtggac tcatttgata 780 attgcaagat agcatgagtt ttagtctgtt cttttaaaaa ataagttttc tctttgttct 840 ttggaagact tttaagaaag aataaaagta atgacatctc aatcctaaca agtaactaga 900 actgct 906 <210> 23 <211> 425 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 23 cgctntnctt aagtggcaaa gagaatgaga ttaaagagtt gcagcaagtt atcagccagc 60 agaaacagat cttcaggtga ggggtctggg cccggctggg ggttgttgat gacactgggg 120 agccagacct ctggccccta cctacccttg gctgtccaca gccaccacca gccggctccg 180 ttgcaggaat cacatgtctg acttccggat ccagaagcag caggagagct acatggccca 240 ggtgctggac cagaagcata agaaagcctc agggacacgt caggcccgca gccaccagca 300 tcccagggaa aaataaaatg gccgccgctt tcctgttctc tgggtgtaat ccccagcctc 360 tgccttctct gctctgggag tccccagcct ctagcccctg ctacttccct ccctcttgga 420 tagtg 425 <210> 24 <211> 546 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 24 aaaaggctag tcaagtgaag cagcaggact ggagaagaaa caaagtctgt aactggttgt 60 gatcaattag ttgtaaacac cactgcactc ggaccagcca gattttcaaa tattggtgga 120 tgtctcctct agaagcataa tgcaatacca acatgtttat gatggtggtg acatgctatt 180 atgcagagga actcaagtaa acacagagtc ggttcaaggt taataatgtg gtttatgacc 240 tccaacaaag ctaattagaa ttaactaaac tctgtaaata tgagattaaa ctagacttga 300 taaaattagc cacaaatgac gagcattttt agaatatgtg aatccaatac tcttgcattg 360 cctcagacat aaatgagcat attctgatgt actctttgga tctgaactca tcttcacagg 420 taggactcac tgtggggaaa atttctatct tatttagtag cgttgtttgt tttggactga 480 ccttcctcag gttcgcatgt agttaattgt ggcagttaac tgttcagatg gagtccagta 540 ttcagt 546 <210> 25 <211> 422 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 25 ctagttcatt tagagacaac ttaactgctg tttaggctca atgtatgttg aaaatgtttt 60 tatcaagtgt actttgttct tccactgacc aataacccct ttgtagaaag acacataaaa 120 gcacagtgct caaagaaata tgcctcagca ttgaaaagta aaactgtaaa aagaactctc 180 ctgaagcaaa tactcaacta tggtatttgc catggccaaa cagaaattat aaagacgaaa 240 atccttcact tcacctttac ccgaaatact ttaaaatgca aagccaattg ccacctccaa 300 ttgctgaacc tcaaaaagtt ggaattaagg tgattctggg tatggcttgg gctgtccaca 360 tagcattcat gccatgagca agcacactga agaagtctta ctctttcact ttatcatatt 420 tt 422 <210> 26 <211> 514 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 26 tttttgtcag aaaataactt tttattatta tcttaaaata atagcattgg aaggacatat 60 gatttaaaca atcaatgttg gaaacagtgg ctttaggatt attatctggc tgcccctcaa 120 caataacaag tgattcgatc gacattcctt agccaaaaac aaaaggcaaa acaaaaaaaa 180 ccaaaaaaca aaaaaacccc aaaaaactgt acaaatatgt atttttccct gagggatcaa 240 ggtacacccg caagtgctct atgtacatat tgcactagag aggaatgaag aacatgtgca 300 aaaaagcaac aatgagagaa gcttacatac tacttaaacc ttttcatgaa agatactact 360 aggttgtttt gcattttgga atgtcggaac acaacaacta gctattcctt agtctaaaac 420 taaaaacaca catttctact atggcacatt caatgaaata aaaagttttc caaagacaga 480 tagacaaatt ccatcaagaa aataatacaa agtt 514 <210> 27 <211> 2418 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 27 ccgccccgcc cgaggatgcc gtgggggtca ccgcgcctta aagcggccgc gtccactcct 60 gagccagcgg cgccggcagc agaaaagacc tgggccctgc acccttccct gtccagcccc 120 catgcccaac taaccccctt ctcaggcaca agccggagta cctggggtgg gctccaagct 180 ttggctgaca ggcaggtgag ggaatggcag gcccaacttt caaagccttg gagccaggag 240 ttaggcccaa ctccacctat cacaggtgag gaaactgaag cccagcaggg atccgcctga 300 agtcaggcac tgctgtgtgc agttcaggct gtgagcgggt gaaccagacc ttcaggccag 360 gagactcagg tagggccagc aatttcatct tcccctcagc cccgggtgcc ttagcatcac 420 tgcaggggac ccccattgcc attgctggcc tcagctagag ctcttaaggg tgcacacacc 480 acctttcttg accccagtta cactcttcct gatccccttc agtagagtga ggagcaccgc 540 tagaggcttc cctgactcct cagggcctca ggaaggtact accactggct ggacccactg 600 ccctcggtgg gacctattgg aaggagctgg agtggacagc tctagctttc agtctgcctc 660 agcacctaga acaggccctg gataccgatg tggggtccta caggaagctt cgaagtagct 720 tgtggtccca gctccaaagg cccctgcggc cagaacagcc ctgtgctccc ccaggtattc 780 acaaggccct aacttcagcc cccacagcct taggacctgc cctggggaca ggcgctggtg 840 gggaggcaac caccacctgt cattgtctta caactgtggg caccacttgc ccttaaactt 900 ctggcttcaa ggtcctgcta tgactcaggc cccagctggc cctggagcaa gagcactgcc 960 ccctcctgtg cacttggcct caaaccgacc caggacaggc tacactgggc taatctgacc 1020 cctgaagtgg gtcctctgcc tgggtgtgtc cccatgatca cctagggggc actcggtgat 1080 ggcttcgtga aaaaatgttg ctgctccatc ccatccagcc ctgcctgtgc aacttgtgca 1140 aatcgaggtc ccttcccaga ttgtttctcc accttaaaac cacacacagc attgtctttt 1200 ctcttcctcc cattgtgaag ctcccgtttg ggggaggtgt cagcaggtgc aaatgcaatt 1260 tgcaggtata acattattgt catgtgatgg aaactgactt cccaaattcc ttgtggttct 1320 ggaacccact gtctttgaag tttctggtca gggcttccgg ccctgtagtc aagttgggaa 1380 gttaaattta ccaggacact gggagtgggg tggaatatta ctgggtaacc agggctgttt 1440 atataggaag ggattaaata cccaaaggaa gcggtggtgc ctaccagaca acaaagaccc 1500 agctcctccc ctaggctaca agcccccacc ttgtggaccc ctaccactat ccaagaggga 1560 gggaagtagc aggggctaga ggctggggac tcccagagca gagaaggcag aggctgggga 1620 ttacagccag agaacaggaa agcggcggcc attttatttt tccctgggat gctggtggct 1680 gcgggcctga cgtgtccctg aggctttctt atgcttctgg tccagcacct gggccatgta 1740 gctctcctgc tgcttctgga tccggaagtc agacatgtga ttcctgcaac ggagccggct 1800 ggtggtgggc tgtggacagc caagggtagg taggggccag aggtctggct ccccagtgtc 1860 atcaacaacc cccagccggg cccagacccc tcacctgaag atctgtttct gctggctgat 1920 aacttgctgc aactctttaa tctcattctc tttgccatta agtatatctt cttgctttat 1980 aatgtgagac tcaatctctg tgggggagag aggcagggag gaggggtggt tcccatccca 2040 gggctccttc ctgagataag gcattccctc acggggcttt tcagagcttg gctccccacc 2100 caagagttct ccatgaagaa ctgctaatac cttagtatga atgagtttat tatgcagtct 2160 tgggggagtg cagtgtttga ggattgttgt caatgacttc acaagtctat tctggaccag 2220 aggacccaca tgagggcagg agaaggtcct tggagagaag tgggcaggcc tgcccaaagg 2280 ctggaagatg aatggcgcct gccctcaact cctgcaggtc tttacagatg ttgcctcctt 2340 ggagaaactc tccctcatca aaaaattaca tttcccagta cttcctgttc cctcttcctg 2400 ctttctcttt tttttttt 2418 <210> 28 <211> 814 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 28 gtattggatt cacatattct aaaaatgctc gtcatttgtg gctaatttta tcaagtctag 60 tttaatctca tatttacaga gtttagttaa ttctaattag ctttgttgga ggtcataaac 120 cacattatta accttgaacc gactctgtgt ttacttgagt tcctctgcat aatagcatgt 180 caccaccatc ataaacatgt tggtattgca ttatgcttct agaggagaca tccaccaata 240 tttgaaaatc tnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn 300 nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnnnnnnn nnnnacttga ctagcctttt aaaaaaaaga 360 aagaaaatag agaaaatctt aacttatatt tacttactgt atgttgtgat tagtttaata 420 gaagggagtt taatccttaa taattaagtt agtcctcaac gtttattgac ttagttctga 480 tgtagtcctt gtgtactatt gtataatgta gactacttgg ccatacttga ttttgtctaa 540 aagttaatgc ataaattaat attaaatatg gccaaatata aaagtttaat gagtcatttg 600 aggtcattta gccagaaaac tgcatttatg ttcctggtga atttttttca atgtcctttt 660 ccaaaagtgg cagtaagcag ctgtcttaaa ataaggagac agtgggaatg atgttgttaa 720 agtcttttat acaatgtatt gtctgtctgt tccataaaaa gtaaaactac tctattcgtg 780 accagcttgg gcaacatagt gagactgtct cttt 814 <210> 29 <211> 2580 <212> DNA <213> Homo sapiens <400> 29 cacacacaca cacattaata tctatcttgg gggaggcctc gtgccataat tcccaagttc 60 atgtctcaga ctgctgcatt gcagcatgag gcagggcaaa cactttccct ctagatccct 120 ggggcctcac cctgtatttg aggttctcac caccctcagc agggagaagg gctgaagttc 180 gccattttgg aaccttacag aacatttctg agccaaagta atcttccttc tggggcctga 240 gttccccaaa ctaccccaca gcagtccctc aaagacagcc ctcaatccat gtagggacat 300 ctgagtatgc ctctttctat tgaaatgtca attcaatccc agctttctca ccaccgttcc 360 cctttgattc tttctcaatt gtctttttgc ctttagctcc cacctataca tctcatgctc 420 agagaaaaac aagttcctta gaggttgtat tctttattct ccaagaatct gtctgaaact 480 tgtacagcta gttcctgtcc cacaactatt aagtggttta ttaagtacat taggcagaat 540 gtgcacttca tcaccaggtt ctagctctgg caaaggagtg ctgtctacag caagattttt 600 gcttttagaa ttttattaac tacatctttt gggttcatcc atctacaaac actgattaag 660 ggcccctggg gcaaccaatt gatcagatta ctaaaaggac ttgggaaaaa gcaaaaaggt 720 cccattgtac tggactgagg attagaagca attgaaatac aagcctgtac caagcaagca 780 gcctggcccc acacaggtat tagcaaatat gtggtaacca aggttttagg ccttggcctt 840 taggtttcct gttttttttt tgtttttgtt tttgtttttg tttttctgca acaggttatt 900 cttatctcac tggctttcac tgatcatgtt tagaccttct ggtagaagaa ataatatcca 960 gacaggggat gatttggctt cagcaggctg caggtgttca aaggttgcca tgtggctggc 1020 agtggttcaa gcccacattt gacactgctg ctctagagga aagataatga tggtaacaca 1080 gctaataata cataataata acaaacaata atgataaagt gaaagagtaa gacttcttca 1140 gtgtgcttgc tcatggcatg aatgctatgt ggacagccca agccataccc agaatcacct 1200 taattccaac tttttgaggt tcagcaattg gaggtggcaa ttggctttgc attttaaagt 1260 atttcgggta aaggtgaagt gaaggatttt cgtctttata atttctgttt ggccatggca 1320 aataccatag ttgagtattt gcttcaggag agttcttttt acagttttac ttttcaatgc 1380 tgaggcatat ttctttgagc actgtgcttt tatgtgtctt tctacaaagg ggttattggt 1440 cagtggaaga acaaagtaca cttgataaaa acattttcaa catacattga gcctaaacag 1500 cagttaagtt gtctctaaat gaactagcaa aaaaaaacaa ttgtagtttt ggtttgtaac 1560 ggaaggggag gtatttcctg agaatgaatt tttttttttt tggattactg tttttctctc 1620 catatacctt gacttggatt ttgacaggag ggagtctggg aaaataattt tttcctccaa 1680 gattctcaga tccaggttag gaaaggattc agcactacag catacccctc tacaacatac 1740 agccctgtca cattgagatc ataatccctc ctgtcccact cctctctacc aaccccaccc 1800 tactagctag gtcttcagtg ttttacattg aatattggta cattttaatt attttttctc 1860 ataaatgggt tatttataga aattttgtta actcttgagc catatgcatg tgtagatact 1920 ggcagggcta tgtttgttta tgatgctctg caaacatttc atattggcca ataaacagaa 1980 atatatccaa aaaccttgtt tattcctcta ctttcagaga acctggtgaa tcattttgct 2040 catgtgtctt ttcttagtga gcacagcaaa acaatgtgtt tctgatcatt ggacatggca 2100 tcagtagtga tgggattcac tgacttgtca cacaggagat ctgggttata gttcaagctc 2160 tctttctttt tctaaaatgt tttatgccat gttatattct cctctgagat aaggatctac 2220 tagaaattgt tgtgttctaa actaatactt atcaaacagg gttccatggt cctaagggaa 2280 ccgtgcactg cacatcttct gaggtctgca aaatctttag gaatttcagt gtgtgtgtgt 2340 gttttcattt tgatcataat gtcttaaaat acaagcatat tctagctaga cctgttaaga 2400 gtactgcctt gccatttcaa ggtctgtatt tgtgttgata 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───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z 33/53 33/53 M (72)発明者 林 浩司 大阪府大阪市此花区春日出中3丁目1番98 号 住友製薬株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA35 BB10 BB46 BB50 CB01 DA13 FB02 4B063 QA18 QA19 QA20 QQ08 QQ42 QQ53 QR08 QR42 QR56 QR62 QS25 QS34 QX02 4C084 AA17 NA05 NA06 NA07 ZC352

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、
    10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、2
    2、23、24、25、26、27、28、29および30で示されるい
    ずれかの塩基配列において、連続する少なくとも15塩基
    を有するポリヌクレオチドおよび/または該ポリヌクレ
    オチドに相補的なポリヌクレオチドである糖代謝異常疾
    患の疾患マーカー。
  2. 【請求項2】 糖代謝異常疾患の検出においてプローブ
    またはプライマーとして使用される請求項1に記載の疾
    患マーカー。
  3. 【請求項3】 肝臓における疾患マーカーであって、配
    列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、1
    3、14、15、16、17、18、19、20、21および22で示され
    るいずれかの塩基配列に基づく疾患マーカーである請求
    項1または2に記載の疾患マーカー。
  4. 【請求項4】 筋肉における疾患マーカーであって、配
    列番号:23、24、25、26、27、28、29および30で示され
    るいずれかの塩基配列に基づく疾患マーカーである請求
    項1または2に記載の疾患マーカー。
  5. 【請求項5】 下記の工程(a)、(b)および(c)を含む糖代
    謝異常疾患の検出方法: (a) 被験者の生体試料から調製されたRNAまたは該RNAか
    ら転写された相補的ポリヌクレオチドと請求項1-4のい
    ずれかに記載の疾患マーカーとを結合させる工程、(b)
    該疾患マーカーに結合した生体試料由来のRNAまたは該R
    NAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記疾患
    マーカーを指標として測定する工程、(c) 上記(b)の測
    定結果に基づいて、糖代謝異常疾患の罹患を判断する工
    程。
  6. 【請求項6】 糖代謝異常疾患の罹患を判断する工程
    が、被験者について得られる測定結果を正常者について
    得られる測定結果と対比して、疾患マーカーへの結合量
    が増大していることを指標として判断するものである請
    求項5に記載の糖代謝異常疾患の検出方法。
  7. 【請求項7】 生体試料が肝臓由来の組織または細胞で
    あり且つ疾患マーカーが請求項3に記載のものである請
    求項5または6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 生体試料が筋肉由来の組織または細胞で
    あり且つ疾患マーカーが請求項4に記載のものである請
    求項5または6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 下記の工程(a)、(b)および(c)を含む配列
    番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、1
    4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、2
    6、27、28、29および30で示されるいずれかの塩基配列
    を有する遺伝子の発現を制御する物質のスクリーニング
    方法: (a) 被験物質と上記配列番号で示されるいずれかの塩基
    配列を有する遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工
    程、(b) 被験物質を接触させた細胞における上記遺伝子
    の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない
    対照細胞における同一遺伝子の発現量と比較する工程、
    (c) 上記(b)の比較結果に基づいて、上記遺伝子の発現
    量を変動させる被験物質を選択する工程。
  10. 【請求項10】 糖代謝異常疾患の予防、改善または治療
    剤の有効成分を探索するための方法である請求項9に記
    載のスクリーニング方法。
  11. 【請求項11】 配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2
    1、22、23、24、25、26、27、28、29および30で示され
    るいずれかの塩基配列を有する遺伝子の発現を制御する
    物質を有効成分とする糖代謝異常疾患の予防、改善また
    は治療剤。
  12. 【請求項12】 遺伝子の発現を制御する物質が請求項9
    に記載のスクリーニング法により得られるものである請
    求項11に記載の糖代謝異常疾患の予防、改善または治療
    剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010537157A (ja) * 2007-07-17 2010-12-02 メタボロン インコーポレイテッド 糖尿病前症、心血管疾患及びその他のメタボリックシンドローム関連障害のバイオマーカー並びにその使用方法

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