JP2003203802A - 感温性抵抗素子及びその製造方法並びに熱式流量センサ - Google Patents

感温性抵抗素子及びその製造方法並びに熱式流量センサ

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JP2003203802A
JP2003203802A JP2002002348A JP2002002348A JP2003203802A JP 2003203802 A JP2003203802 A JP 2003203802A JP 2002002348 A JP2002002348 A JP 2002002348A JP 2002002348 A JP2002002348 A JP 2002002348A JP 2003203802 A JP2003203802 A JP 2003203802A
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lead wire
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Fujio Ishiguro
不二男 石黒
Zenji Ishikawa
善治 石川
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価であり、かつ、劣悪な環境下であって
も、リード線端部から腐食の進行を防止し、長期使用が
可能な感温性抵抗素子、及び熱式流量センサを提供す
る。 【解決手段】 絶縁体からなる基体と、この基体の表面
に設けられる感温性抵抗体と、この感温性抵抗体と電気
的に接続され、卑金属を主成分とする芯材の外周部を貴
金属で被覆してなるリード線とを備える感温性抵抗素子
である。リード線における芯材の端部についても、芯材
の外周部に存在する貴金属を芯材の端部に延伸した貴金
属で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、自動車用内燃機
関における吸入空気の流量測定等に用いられる熱式流量
センサを構成する部品として用いられる、感温性抵抗素
子及びそれを用いた熱式流量センサに関する。
【0002】
【従来の技術】 自動車用内燃機関等において燃料噴射
バルブを調整する際に、吸入空気の流量を、熱式流量セ
ンサにより測定することが行われる。
【0003】 この熱式流量センサは、温度上昇に伴っ
て抵抗値が増加する抵抗体を利用した感温性抵抗素子
を、ブリッジ回路に組み込んだものであり(センサ技術
1989年9月号第29頁)、感温性抵抗素子として
は、例えば、絶縁体からなる円筒状の基体と、基体の表
面に設けられる感温性抵抗体と、感温性抵抗体と電気的
に接続され、基体の両端部から突出するリード線とを備
えた構造の抵抗素子が知られている(実開昭56−96
326号公報等)。
【0004】 ところで、このような熱式流量センサ
は、自動車等の吸入空気通路中に設置されるが、当該吸
入空気には、工場から排出される窒化物、又は硫化物等
に起因する酸性物質、或いは冬季に道路に散布される凍
結防止用の化学薬品等の腐食物質が含まれる。このた
め、基体の両端部から突出して、当該吸入空気に曝され
るリード線にあっては、これら腐食性物質が存在する環
境下でも充分な耐食性を備えることが求められる。
【0005】 従来、感温性抵抗素子の一部を構成する
リード線については、白金、金、又はこれらの合金等の
貴金属からなるものが一般に用いられてきたが、これら
貴金属は非常に高価であるため、安価で耐食性にも優れ
る抵抗素子が求められている。
【0006】 これに対して、鉄、ニッケル、鉄−ニッ
ケル合金、鉄−クロム合金、ステンレス等の安価な卑金
属からなる芯材を、白金、金、又はこれらの合金等から
なる貴金属で被覆した長尺な線材を、必要長さに切断し
たリード線が提案されている。ここで、貴金属で芯材を
被覆した後に線材を切断することは、リード線の寸法を
簡易に調整する上で事実上必須であり、切断は、生産効
率等の点から、通常カッターナイフ等の鋭利な刃物で行
われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 このような状況下、
従来のリード線では、切断により芯材が露出する端部
が、腐食性物質が存在する環境下での耐食性においての
弱点となっており、当該端部からの腐食の進行により、
早期に使用不可能になることが多いという現状にあっ
た。
【0008】 また、リード線の端部を、更に、真空蒸
着、化学メッキ、スパッタリング等の方法により、貴金
属で被覆することも考えられるが、外径がせいぜい10
0〜200μm程度であるリード線にあっては、その端
部を、貴金属で完全に被覆するには特別の設備を要する
ため、製造コストが増大し、たとえ被覆した場合でも、
剥離してしまう場合が多かった。従って、現実には、リ
ード線の端部についても貴金属で被覆している感温性抵
抗素子は、未だ開発されていない状況にあった。
【0009】 本発明は、このような問題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、安価であ
り、かつ、劣悪な環境下であっても、リード線端部から
腐食の進行がなく、長期使用が可能な感温性抵抗素子、
及び熱式流量センサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】 本発明者は、上記問題
に鑑み、鋭意検討した結果、芯材の外周部を貴金属で被
覆してなる線材を、敢えて鋭利な刃物を用いずに、径方
向に押し切りして、芯材の外周部に存在する貴金属を芯
材の端部側に延伸させたところ、リード線の芯材が露出
する端部の殆どを、貴金属で強固に被覆することができ
ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0011】 即ち、本発明によれば、絶縁体からなる
基体と、この基体の表面に設けられる感温性抵抗体と、
この感温性抵抗体と電気的に接続され、卑金属を主成分
とする芯材の外周部を貴金属で被覆してなるリード線と
を備える感温性抵抗素子であって、リード線における芯
材の端部が、芯材の外周部に存在する貴金属を芯材の端
部側に延伸させた貴金属により被覆されてなることを特
徴とする感温性抵抗素子が提供される。
【0012】 本発明においては、芯材の端部が、当該
端部の端面のうち、60%以上を貴金属で被覆されてな
るものが好ましい。また、芯材の外周部及び端部を被覆
する貴金属としては、白金、金、若しくはこれらの合金
又はこれらと他の金属との合金であることが好ましく、
当該貴金属の含有量は、99%以上であることが好まし
い。
【0013】 また、本発明によれば、このような感温
性抵抗素子を、ブリッジ回路に組み込むことで、耐食性
に優れる熱式流量センサが提供される。
【0014】 更に、本発明によれば、セラミックの粉
末を、成形、焼成して基体を作製する工程と、この基体
の表面に、感温性抵抗体を配設する工程と、卑金属から
なる芯材を貴金属で被覆した線材を、径方向に切断して
リード線を作製する工程と、このリード線を、感温性抵
抗体に電気的に接続する工程とを備える感温性抵抗素子
の製造方法であって、線材を径方向に押し切りすること
により、芯材の外周部に存在する貴金属を、芯材の端部
に延伸させて、端部を当該貴金属で被覆することを特徴
とする感温性抵抗素子の製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0016】 図1に示すように、本発明の感温性抵抗
素子1は、絶縁体からなる基体3と、基体3の表面に設
けられる感温性抵抗体2と、感温性抵抗体2と電気的に
接続され、特定の被覆を施したリード線4とを備えるも
のである。以下、各構成要素毎に具体的に説明する。
【0017】 まず、本発明における基体3は、絶縁体
からなるものであるが、当該絶縁体としては、アルミ
ナ、カルシア、ジルコニア、スピネル等のセラミックス
を挙げることができ、中でも、化学的安定性の点で、ア
ルミナが好ましい。
【0018】 また、本発明における基体3は、絶縁体
からなるものであることの他は特に制限はなく、板状の
もの、円筒状のものいずれでもよい。但し、熱式流量セ
ンサに組み込む際に方向性を問わないことに加え、抵抗
素子の取付が容易であり、曲げ応力や熱衝撃に対する強
度が高い点で、円筒状のものが好ましい。また、円筒状
の基体3は、中実円筒であっても、中空円筒であっても
よい。但し、熱的応答性を向上させるべく熱容量を小さ
くする必要上から、外径0.4〜1.0mmφ程度、軸
方向長さ1.5〜3mm程度とすることが好ましい。な
お、基体3は、アルミナ等のセラミックの粉末をプレス
成形、押出しなど従来公知の成形法で成形し、焼成する
ことにより製造することができる。
【0019】 次に、本発明における感温性抵抗体2
は、温度上昇に伴って抵抗値が増加する特性を有するも
のであり、通常、基体3の両端部に至る範囲で基体3の
表面に設けられる。
【0020】 感温性抵抗体2を構成する材質として
は、温度上昇に伴って抵抗値が増加する材質であればよ
いが、例えば、白金属金属(白金、ロジウム、パラジウ
ム、イリジウム)、金、銀、銅、ニッケル、又はこれら
を含む混合物を挙げることができる。中でも、融点が高
く、化学的安定性が高い点において、白金又は白金を含
む混合物が好ましい。
【0021】 感温性抵抗体2の形状についても特に限
定されないが、例えば、薄膜、厚膜等の膜状のもの、又
はワイヤ等の線状部材を基体3に巻回した形態のものを
挙げることができる(図1には前者を示す。)。
【0022】 また、膜状の感温性抵抗体2は、真空蒸
着、スパッタリング、メッキ、ディッピング等の従来公
知の膜形成法により上記の材質(例えば、白金)の膜を
形成した後、熱処理を行って形成することが好ましい。
膜を形成した後、熱処理を行うことにより、膜を構成す
る材質を結晶化させ、抵抗値と抵抗温度係数を安定にす
るという利点を有するとともに、基体と強固に付着させ
ることもできる。
【0023】 感温性抵抗体2の抵抗値の調整は、例え
ば、膜厚により電流の流路の断面積を調整することによ
り、又は感温性抵抗体2に絶縁物を混合せしめる方法に
より行うことができる。但し、抵抗値の調整が容易な点
では、基体外周面の膜をレーザトリミング等の方法によ
り螺旋状に切除して抵抗体を長尺とし、その幅及び長さ
を調整することによって行う方法が好ましい。
【0024】 一方、ワイヤ等の線状部材を、基体に巻
回した形態の感温性抵抗体2は、既述した基体に、線径
20μm程度のワイヤを数十回ほど巻回し、その両端部
を後述する導通部材に溶接することで形成することがで
きる。
【0025】 次に、図1及び2に示すように、本発明
におけるリード線4は、感温性抵抗体2と電気的に接続
されるものであり、卑金属を主成分とする芯材12の外
周部14を、貴金属11で被覆してなるものである。ま
た、本発明においては、このようなリード線4にあっ
て、芯材12の端部15についても、芯材12の外周部
14に存在する貴金属11を、芯材12の端部15に延
伸して被覆されていることを特徴とする。
【0026】 これにより、工場から排出される窒化
物、又は硫化物等に起因する酸性物質、或いは冬季に道
路に散布される凍結防止用の化学薬品等の存在する劣悪
な使用環境下であっても、リード線4の端部15から腐
食が進行することがなく、長期間の使用が可能となる。
また、延伸した貴金属により芯材の端部を被覆するた
め、真空蒸着、化学メッキ、スパッタリング等による場
合に比べ、簡易かつ低コストで、しかも強固な被覆が可
能となる。
【0027】 本発明において、このような端部は、線
材(リード線)を径方向に押し切りすることにより、芯
材の外周部に存在する貴金属を、芯材の端部側に延伸さ
せて、端部を貴金属で被覆する方法で形成することがで
きる。
【0028】 この際、押し切りは、芯材の端部を所望
の範囲以上で被覆する点と、生産効率の点を考慮して、
線材を押し切る切断部材と線材又はリード線を支える部
材(以下、「線材支持部材」という。)との相対位置、
並びに線材(リード線)を押し切る切断部材(以下、単
に「切断部材」という。)の移動速度を適宜変えて行う
ことが好ましい。
【0029】 具体的には、図3、図4(a)(b)に
示すように、切断部材18と線材支持部材16、17と
の間隔が大きい程、芯材の外周部に存在する貴金属が延
伸され、芯材端部を被覆する面積が大きくなる。但し、
切断部材18と線材支持部材16、17との間隔が大き
くなると、図4(a)に示すように、押し切り時に発生
するバリも大きくなる。従って、図4(a)(b)に示
すように、相反する方向による2回の押し切りを行う押
し切り手段、又は図5に示すように、切断部材挿入側の
線材支持部材16を、切断部材18に対して比較的大き
く間隔を設けて配設し、切断部材解放側の線材支持部材
17を、切断部材18に対して間隔を設けずに配設する
押し切り手段を適用することが好ましい。前者の押し切
り手段では、芯材端部を略完全(85%以上)に貴金属
で被覆することができ、後者の押し切り手段では、1回
の押し切りにより、しかも比較的大きな面積(70%以
上)で、芯材端部を被覆することができる。
【0030】 一方、切断部材の移動速度は、生産効率
を重視する必要がある場合は速くし、芯材端部の被覆範
囲を広くしたいときは遅くすればよい。もっとも、切断
部材の移動速度は、切断部材と線材支持部材との相対位
置に比べ、芯材端部の被覆範囲に対する影響は小さいの
で、芯材端部の被覆範囲を若干調整する際の微調整手段
として好ましい。なお、押し切りは、リード線を、感温
性抵抗体に電気的に接続した後に行ってもよいが、作業
効率の点からは、リード線を、感温性抵抗体に電気的に
接続する前に、線材を所望の長さに切断することも兼ね
て行うことが好ましい。
【0031】 本発明においては、芯材の端部について
充分な耐食性を付与して、当該部位からの腐食の進行を
予防するためには、当該芯材の端部について、端面の4
0%以上を貴金属で被覆してなるものが好ましく、端面
の50%以上を貴金属で被覆してなるものがより好まし
く、端面の60%以上を貴金属で被覆してなるものが特
に好ましい。
【0032】 また、素子が特に腐食され易い使用環境
では、70%以上を貴金属で被覆してなるものが好まし
く、80%以上を貴金属で被覆してなるものがより好ま
しく、90%以上を貴金属で被覆してなるものが更に好
ましく、100%貴金属で被覆してなるものが特に好ま
しい。
【0033】 本発明において、芯材の端部を被覆する
貴金属11としては、化学的安定性の高いもの程好まし
く、例えば、白金、金、若しくはこれらの合金又はこれ
らと他の金属との合金等を挙げることができる。また、
当該貴金属11は、化学的安定性の点で、貴金属の含有
量が、99%以上であるものが好ましく、貴金属の含有
量が、99.9%以上であるものがより好ましい。
【0034】 本発明において、芯材の外周部は、芯材
の端部と同様に貴金属で被覆する。但し、芯材の外周部
の被覆は、例えば、真空蒸着、化学メッキ、スパッタリ
ング、溶融メッキ、又はクラッド等の従来の方法で行え
ばよい。また、芯材の外周部を被覆する貴金属は、前述
したリード線の押し切りにより、芯材の端部を所望の範
囲以上で被覆できるように、リード線の線径に応じて好
適な厚さとすることが好ましい。具体的には、例えば、
リード線の線径が、100μm程度であれば、厚さ1.
5μm以上であることが好ましく、150μm程度であ
れば、厚さ2.2μm以上であることが好ましく、20
0μm程度であれば、厚さ3.0μm以上であることが
好ましい。
【0035】 本発明において、芯材12を構成する卑
金属としては、リード線4に求められる特性上、電導
性、及び耐熱性が大きく、熱伝導性が小さいものが好ま
しく、例えば、鉄、ニッケル、鉄−ニッケル合金、鉄−
クロム合金、ステンレス等を挙げることができる。
【0036】 また、本発明において、リード線4の外
径については特に制限はないが、基体3からの伝熱によ
る熱の逃げが少なく、センサの測定精度や応答性を確保
できる点で、直径0.1〜0.2mm程度の外径とする
ことが好ましい。
【0037】 リード線4を、感温性抵抗体2に電気的
に接続する方法としては、例えば、金属とガラスとを混
合してなる導体ペースト5を、基体3の一部に塗布した
後、そこにリード線4を挿入し、導体ペースト5を乾燥
した後、導体ペースト5中のガラスが半溶融する温度よ
り高い温度で焼成することにより、両者を固着する方法
を挙げることができる。
【0038】 なお、本発明の感温性抵抗素子1におい
ては、必ずしも設けることを要しないが、吸入空気中の
塵、埃、砂による摩耗、又は酸性ガス(NOX、SOX
による腐食から感温性抵抗体2を保護し、所定の抵抗特
性を維持するためには、感温性抵抗体2を被覆する保護
被膜6を形成することが好ましい。
【0039】 また、この保護被膜6は、例えば、ペー
スト状にした軟化点650℃のガラスを、基体3の端面
も含む抵抗体全体を被覆するように塗布し、800℃で
焼成する操作を複数回繰り返すことにより形成すること
ができる。
【0040】 以上、本発明の感温性抵抗素子について
説明してきたが、図6に示すように、当該素子は、熱式
流量センサ21の発熱抵抗素子RH、温度補償抵抗素子
Cとして好適に用いることができる。より具体的に
は、例えば、発熱抵抗素子RH(抵抗値10〜30Ω程
度)、温度補償抵抗素子RC(抵抗値400〜1000
Ω程度)という、抵抗値が異なる2種の感温性抵抗素子
と、これらとともにブリッジ回路27を構成する通常の
抵抗素子R1及びR2、更にはトランジスタ23、比較器
24、及びセンサ駆動電圧が印加される端子25により
熱式流量センサ21を構成することができる。
【0041】 この際、通常の抵抗素子R1及びR2を吸
気管22の外部に、発熱抵抗素子RH及び温度補償抵抗
素子RCを吸入空気に接触する吸気管12内部に配置
し、温度補償抵抗素子RCが吸気管22内の空気温度と
同温度に、発熱抵抗素子RHが前記空気温度に対して所
定の温度(例えば200℃)だけ高温に、各々保持され
た状態でブリッジ回路27がバランスするように構成さ
れている。
【0042】 即ち、吸気管22内への吸入空気により
発熱抵抗素子RHが冷却されると、その温度を一定に保
持するため、温度低下に応じた電流がブリッジ回路27
に供給される。抵抗素子R1の両端電圧は、ブリッジ回
路27への電流供給量に応じて変化するため、これを電
気的出力26として取り出すことにより、吸入空気の流
量を測定することができる。
【0043】 なお、本発明の感温性抵抗素子は、既述
のように、耐食性に優れ、腐食物質を含む吸入空気中に
配置されても、長期間に亘って、所望の特性を維持する
ことができるので、これを組み込んだ熱式流量センサ2
1にあっては、過酷な環境下、長期間の使用が可能とな
る。
【0044】
【実施例】 以下、本発明を実施例により具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもの
ではない。
【0045】(実施例1)まず、アルミナ含有量92.
0質量%のアルミナ粉末に、バインダとしてアルミナ粉
末の2質量%のポリビニルアルコール、分散媒として適
量の水を添加・混合し、スプレードライヤで造粒してな
る造粒物を、プレス成形し、乾燥後、1650℃で焼成
し、外径0.5mm、内径0.3mm、長さ2.0mm
の中空円筒体の基体を作製した。
【0046】 次に、この基体の表面全体に、スパッタ
リング法により、厚さ0.2μmの白金薄膜を形成した
後、700℃で熱処理を施して、白金を結晶化して抵抗
体を基体の表面全体に形成した。更に、結晶化した白金
薄膜全体を、アルミナパイプの円筒軸を中心軸としてレ
ーザトリミングして、螺旋状の白金薄膜帯に加工して抵
抗体を作製した。
【0047】 次に、鉄48質量%と、ニッケル52質
量%とを含有する合金からなる芯材を、平均厚さ5μm
の白金層により、クラッド法で被覆し、直径150μm
の線材を作製した後、この線材を、鋭利な刃物で切断し
て長さ5.0mmのリード線を作製した。
【0048】 次に、中空円筒状の基体における中空部
に、白金とガラスとを混合して得られるペーストを充填
しておき、このペースト中に、作製したリード線を挿入
した。その後、ペーストを120℃で乾燥し、更に80
0℃で15分間焼成することにより、リード線を、基体
に電気的な接続を確保して固着した。
【0049】 次に、ガラスペーストを基体上に塗った
後、同様に焼成して保護被膜を形成し、図4(a)
(b)に示す押し切り手段を用いて、リード線を押し切
りすることにより、芯材の端部における端面の100%
を貴金属で被覆した全長7mmの感温性抵抗素子を製造
した。
【0050】(実施例2)図5に示す押し切り手段を用
いて、リード線を押し切りすることにより、芯材の端部
における端面の80%を貴金属で被覆したリード線を作
製したこと以外は実施例1と同様にして、全長7mmの
感温性抵抗素子を製造した。
【0051】(実施例3)図3に示す押し切り手段を用
いて、リード線を押し切りすることにより、芯材の端部
における端面の60%を貴金属で被覆したリード線を作
製したこと以外は実施例1と同様にして、全長7mmの
感温性抵抗素子を製造した。
【0052】(比較例1)図8に示す切断手段(切断部
材が鋭利なカッターである。)を用いてリード線を切断
することにより、芯材の端部における端面の12%を貴
金属で被覆したリード線を作製したこと以外は実施例1
と同様にして、全長7mmの感温性抵抗素子を製造し
た。
【0053】(実施例4)SUS304からなる芯材を
用いてリード線を作製したこと、並びに図4(a)
(b)に示す押し切り手段を用いて、リード線を押し切
りすることにより、芯材の端部における端面の95%を
貴金属で被覆したリード線を作製したこと以外は実施例
1と同様にして、全長7mmの感温性抵抗素子を製造し
た。
【0054】(実施例5)SUS304からなる芯材を
用いてリード線を作製したこと、並びに図5に示す押し
切り手段を用いて、リード線を押し切りすることによ
り、芯材の端部における端面の72%を貴金属で被覆し
たリード線を作製したこと以外は実施例1と同様にし
て、全長7mmの感温性抵抗素子を製造した。
【0055】(実施例6)SUS304からなる芯材を
用いてリード線を作製したこと、並びに図3に示す押し
切り手段を用いて、リード線を押し切りすることによ
り、芯材の端部における端面の55%を貴金属で被覆し
たリード線を作製したこと以外は実施例1と同様にし
て、全長7mmの感温性抵抗素子を製造した。
【0056】(比較例2)SUS304からなる芯材を
用いてリード線を作製したこと、並びに図8に示す切断
手段(切断部が鋭利なカッターである。)を用いてリー
ド線を切断することにより、芯材の端部における端面の
11%を貴金属で被覆したリード線を作製したこと以外
は実施例1と同様にして、全長7mmの感温性抵抗素子
を製造した。
【0057】(評価) (1)評価方法 ドイツ規格DIN50018に基づく、加速腐食試験を
行って評価した。具体的には、各実施例及び比較例で得
られた感温性抵抗素子を、SOX3300ppm雰囲気
中で、8時間放置後、通常雰囲気(空気)中で、16時
間放置し、このサイクルを3回行った後、リード端面か
ら長さ方向への侵食深さを測定した。また、侵食深さ
は、各実施例及び比較例の感温性抵抗素子を5個作製し
て平均値として評価した。また、侵食深さの測定は、研
磨によりリード線の長さ方向の断面を露出させ、当該断
面を光学顕微鏡による写真撮影することにより行った。
【0058】(2)評価結果 図7に示すように、鉄−ニッケル合金からなる芯材を用
いた場合では、芯材の端部における端面の12%を貴金
属で被覆した比較例1では、侵食が0.28mmの深さ
まで生じていたのに対し、芯材の端部における端面の6
0%を貴金属で被覆した実施例3では、侵食深さが0.
07mmと激減した。また、芯材の端部における端面の
80%を貴金属で被覆した実施例2では、侵食深さが
0.04mmとなり、更に、芯材の端部における端面の
100%を貴金属で被覆した実施例1では、侵食深さが
0.005mmとなり、貴金属被覆面積が大きくなるに
したがって侵食深さも小さくなった。
【0059】 また、図7に示すように、SUSからな
る芯材を用いた場合にも、鉄−ニッケル合金からなる芯
材を用いた場合と、略同様の結果が得られた。
【0060】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の感温性
抵抗素子は、リード線を卑金属からなる芯材を貴金属で
被覆する構成としたので安価であり、しかも、永続的な
被覆が困難な端部についても貴金属で被覆するため、劣
悪な使用環境下であっても、当該リード線端部から腐食
が進行するのを防止することができる。加えて、延伸し
た貴金属により芯材の端部を被覆するため、簡易かつ低
コストで、強固な被覆が可能となり、所定の特性を維持
して長期に亘って使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の感温性抵抗素子の一の実施形態を示
す概略断面図である。
【図2】 本発明の感温性抵抗素子におけるリード線の
一部を示す概略断面図である。
【図3】 本発明における感温性抵抗素子の製造方法に
おいて、線材(リード線)を径方向に押し切りする手段
の一例を示す模式図である。
【図4】 本発明における感温性抵抗素子の製造方法に
おいて、線材(リード線)を径方向に押し切りする手段
の他の一例を示す模式図である。
【図5】 本発明における感温性抵抗素子の製造方法に
おいて、線材(リード線)を径方向に押し切りする手段
の他の一例を示す模式図である。
【図6】 本発明の熱式流量センサにおける電気回路の
構成を示す回路図である。
【図7】 本発明の実施例及び比較例において、貴金属
被覆面積と、侵食深さとの関係を示すグラフである。
【図8】 従来の感温性抵抗素子の製造方法において、
線材(リード線)を径方向に切断する手段の一例を示す
模式図である。
【符号の説明】
1…感温性抵抗素子、2…感温性抵抗体、3…基体、4
…リード線、5…導体ペースト、6…保護被膜、7…中
空部、11…貴金属、12…芯材、13…線材、14…
外周部、15…端部、16、17…支持部材、18…切
断部材、19…バリ、21…熱式流量センサ、22…吸
気管、23…トランジスタ、24…比較器、25…端
子、26…電気的出力、27…ブリッジ回路。
フロントページの続き Fターム(参考) 2F035 AA02 EA05 EA06 EA07 EA08 2F056 NA04 NA05 NA06 NA09 5E034 BB01 DA01 DB05 DC02 GA05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁体からなる基体と、該基体の表面に
    設けられる感温性抵抗体と、該感温性抵抗体と電気的に
    接続され、卑金属を主成分とする芯材の外周部を貴金属
    で被覆してなるリード線とを備える感温性抵抗素子であ
    って、 該リード線における該芯材の端部が、該芯材の外周部に
    存在する該貴金属を該芯材の端部に延伸した貴金属で被
    覆されていることを特徴とする感温性抵抗素子。
  2. 【請求項2】 前記芯材の端部が、該端部の端面のう
    ち、60%以上を該貴金属で被覆されてなる請求項1に
    記載の感温性抵抗素子。
  3. 【請求項3】 前記芯材の外周部及び端部を被覆する貴
    金属が、白金、金、若しくはこれらの合金又はこれらと
    他の金属との合金である請求項1又は2に記載の感温性
    抵抗素子。
  4. 【請求項4】 前記貴金属の含有量が、99%以上であ
    る請求項1〜3のいずれか一項に記載の感温性抵抗素
    子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載の感
    温性抵抗素子を、ブリッジ回路に組み込んだことを特徴
    とする熱式流量センサ。
  6. 【請求項6】 セラミックの粉末を、成形、焼成して基
    体を作製する工程と、 該基体の表面に、感温性抵抗体を配設する工程と、 卑金属からなる芯材を貴金属で被覆した線材を、径方向
    に切断してリード線を作製する工程と、 該リード線を、該感温性抵抗体に電気的に接続する工程
    とを備える感温性抵抗素子の製造方法であって、 該線材を径方向に押し切りすることにより、該芯材の外
    周部に存在する該貴金属を、該芯材の端部側に延伸させ
    て、該端部を該貴金属で被覆することを特徴とする感温
    性抵抗素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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