JP2003201625A - ポリベンザゾール繊維およびその製造方法 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維およびその製造方法

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JP2003201625A JP2001397186A JP2001397186A JP2003201625A JP 2003201625 A JP2003201625 A JP 2003201625A JP 2001397186 A JP2001397186 A JP 2001397186A JP 2001397186 A JP2001397186 A JP 2001397186A JP 2003201625 A JP2003201625 A JP 2003201625A
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一好 上森
Kazunori Kawamura
和典 河村
Keiko Toyosawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マトリックスであるゴムおよび樹脂との接着
性が劣るという問題点を解消し、高強度、高弾性率とマ
トリックスとの接着性を兼ね備えたポリベンザゾール繊
維を提供する。 【解決手段】 繊維表面に凹凸を有し、当該繊維表面の
AFM観察視野範囲1×1μm2における表面積率が
1.03以上であることを特徴とするポリベンザゾール
繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ、ホースお
よびベルト等のゴム補強材または樹脂補強材として用い
られる、ゴムおよび樹脂との接着性が良好なポリベンザ
ゾール繊維およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、タイヤ、ホースおよびベルト等の
ゴム補強材として使用される繊維に関しては、ナイロン
繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維およびスチール繊
維が中心であったが、近年、高強度、高弾性率を有す
る、芳香族ポリアミド繊維が各種ゴム補強材として用い
られている。
【0003】この芳香族ポリアミド繊維と比較しても遥
かに高い強度および弾性率を有し、また、耐熱性や寸法
安定性にも優れるポリベンザゾール繊維は、繊維強化複
合材料として注目されており、ゴム資材や樹脂補強分野
で従来の有機繊維では性能的に不十分であった、より高
強度、高負荷耐久性が要求される用途での補強用繊維と
して使用が検討されている。
【0004】しかしながら、このポリベンザゾール繊維
は上記の優れた機械的特性を有するのに対し、ゴムマト
リックスや樹脂マトリックスとの接着性が他の有機繊維
と比較してやや劣るという欠点を有していた。
【0005】このため、ゴムマトリックスとの接着性を
改善するための方法として、特開平7−026029号
公報、特開平6−280169号公報、特開平6−28
0167号公報および特開平6−287866号公報
に、接着処方の方法が開示されているが、実用的な接着
性が得られていない。またゴムマトリックスおよび樹脂
マトリックスとの接着性改善を目的とした表面処理技術
として、コロナ処理(特開平7−102473号公報)
等が検討されているが、十分に表面特性が改善されてい
るとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決しようとするものであり、その目的は、マトリ
ックスであるゴムおよび樹脂との接着性が劣るという問
題点を解消し、高強度、高弾性率とマトリックスとの接
着性を兼ね備えたポリベンザゾール繊維を提供せんとす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を鑑み、鋭意研究した結果、表面に微細な凹凸を有す
るポリベンザゾール繊維が上記課題を達成することを見
出し、発明を完成するに到った。即ち、本発明は以下の
通りである。 (1) 繊維表面に凹凸を有し、当該繊維表面のAFM観
察視野範囲1×1μm2における表面積率が1.03以
上であることを特徴とするポリベンザゾール繊維。 (2) 繊維表面の酸素原子(O)数の炭素原子(C)数
に対する比(O/C)が0.25以上である、上記(1)
記載のポリベンザゾール繊維。 (3) 引張強度が35g/d以上である、上記(1)記載の
ポリベンザゾール繊維。 (4) 破断伸度が4.0%以下である、上記(1)記載のポ
リベンザゾール繊維。 (5) 引張弾性率が1000g/d以上である、上記(1)
記載のポリベンザゾール繊維。 (6) ポリベンザゾール繊維を、雰囲気圧が0.1〜1
50Pa、電源周波数が400kHz〜54.24MH
z、交流電力が0.01〜10W/cm2、交流電力と
処理時間との積が1〜300W・sec/cm2の条件
で、高周波スパッタエッチング処理を施すことを特徴と
する上記(1)記載のポリベンザゾール繊維の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における、ポリベンザゾール繊維(PBZ)と
は、ベンザゾール単位を有するポリマーからなる繊維を
いい、ポリベンザゾールとしては、例えば、下記一般式
(I)で表されるAA−PBZモノマーと下記一般式
(II)で表されるBB−PBZモノマーとを脱水重縮
合してなるポリマーが挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】(式中、Arは四価の芳香族有機残基を示
し、XはO、SまたはNHを示す。)
【0011】
【化2】
【0012】(式中、Zは置換されていてもよい二価の
芳香族有機残基を示し、Wはカルボキシル基またはカル
ボキシル基から誘導されるAA−PBZモノマー中の−
XHと反応し得る基を示す。)
【0013】上記一般式(I)において、Arは四価の
芳香族有機残基であり、例えば、ベンゼンテトライル
基、ビフェニルテトライル基等が挙げられ、中でも特に
ベンゼンテトライル基が好ましい。XはO、SまたはN
Hである。
【0014】上記一般式(I)で表されるAA−PBZ
モノマーの具体例としては、4,6−ジアミノレゾルシ
ノール、2,4−ジアミノ−1,5−ベンゼンジチオー
ル、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール、
1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラミン等が挙げられる。ま
た、これらのモノマーの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の
無機酸塩を使用することも可能である。
【0015】上記一般式(II)において、Zは置換さ
れていてもよい二価の芳香族有機残基であり、例えば、
フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等が挙げ
られ、中でも特にフェニレン基が好ましい。当該芳香族
有機残基の置換基としては、水酸基、炭素数1〜4のア
ルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子
またはスルホン酸基等が挙げられる。これら置換基は1
つでもそれ以上でもよい。
【0016】Wはカルボキシル基またはカルボキシル基
から誘導される上記一般式(I)のAA−PBZモノマ
ー中の−XHと反応し得る基であり、具体的には、カル
ボキシル基、カルボン酸エステル基、カルボン酸ハライ
ド基が挙げられる。
【0017】上記一般式(II)で表されるBB−PB
Zモノマーの具体例としては、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸等のジカルボン酸;テレフタル酸
ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、4,4’−
ビフェニルジカルボン酸ジクロライド、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジクロライド等のジカルボン酸ジハラ
イド;テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、
4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチル等のジカルボン酸ジエ
ステル等が挙げられる。
【0018】従って、ポリベンザゾールとしては、ポリ
パラフェニレンベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニ
レンベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンベン
ゾビスイミダゾール等の他に、下記一般式(1)−
(3)で表される繰り返し単位を有するポリマーが挙げ
られる。これらの繰り返し単位は1種のみでも2種以上
であってもよい。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、X、Zは前記と同義である。) Zの具体例としては、例えば、以下の下記一般式(4)
−(7)が挙げられる。
【0021】
【化4】
【0022】(式中、R1 ,R2 は同一または異なって
もよく、それぞれ水素原子、水酸基、炭素数1〜4のア
ルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子
またはスルホン酸基等を表す。)
【0023】本発明においてはポリベンザゾールは共重
合体であってもよく、その形態はランダム、シーケンシ
ャルあるいはブロックのいずれでもよい。また、50重
量%を超えない範囲でポリアラミドまたはポリイミドと
共重合しても良い。
【0024】本発明においては、繊維の強度、弾性率等
の点から、ポリベンザゾールとして、ポリパラフェニレ
ンベンゾビスチアゾール、ポリパラフェニレンベンゾビ
スオキサゾール、ポリパラフェニレンベンゾビスイミダ
ゾールが好ましい。
【0025】本発明においては、ポリベンザゾールの数
平均重合度は、好ましくは30以上であり、より好まし
くは100以上、特に好ましくは200以上である。数
平均重合度が30未満であると、高強度、高弾性率の繊
維を得ることができないおそれがあり、好ましくない。
なお、数平均重合度は、ポリマーをメタンスルホン酸に
溶解し、強アニオン交換樹脂カラムを用いたゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーにより決定することがで
きる。
【0026】本発明においては、ポリベンザゾールの極
限粘度は、メタンスルホン酸中で25℃で測定した場
合、好ましくは10dl/g以上、より好ましくは15
dl/g以上、特に好ましくは20dl/g以上であ
る。極限粘度が10dl/g未満であると、高強度、高
弾性率の繊維を得ることができないおそれがあり、好ま
しくない。
【0027】ポリベンザゾールは、ポリベンゾビスオキ
サゾールの場合、例えば、4,6−ジアミノレゾルシノ
ールと芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と反応させ
ることにより、ポリベンゾビスチアゾールの場合、例え
ば、2,5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオールと
芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と反応させること
により、ポリベンゾビスイミダゾールの場合、例えば、
1,2,4,5−テトラアミノベンゼンと芳香族ジカル
ボン酸またはその誘導体と反応させることにより、それ
ぞれ製造される。
【0028】当該反応は、ポリリン酸中、または五酸化
リンを加えたポリリン酸中で行われる。通常、ポリリン
酸の濃度はリン酸換算で110〜130重量%のものが
反応に用いられる。ポリマードープに好ましいポリリン
酸の最終的な濃度は105〜120重量%であり、より
好ましくは112〜118重量%、さらに好ましくは1
15〜117重量%である。
【0029】繊維に望ましい物理的特性を発現させるた
めに、ポリマードープは液晶性を示すことが必要であ
る。そのためには、ポリマー濃度は約7重量%以上、よ
り好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは14重
量%以上が好適である。最大ポリマー濃度はポリマーの
溶解度やドープ粘度によって実施可能性の制約を受ける
ため、ポリマー濃度30重量%以上のドープを用いるこ
とはほとんど無く、通常20重量%以下の濃度のドープ
を使用する場合がほとんどである。
【0030】このようにして得られたポリマードープ
を、紡糸部に供給し、直径0.1〜0.3mmの紡糸口
金から通常100℃以上の温度で非凝固性の気体中、例
えば、窒素中に吐出する。吐出されたドープ糸条(ポリ
リン酸を抽出する前の状態にある糸条)は、ゴデットロ
ールなどの応力隔離装置により200m/min以上の
一定の速度で引き取られ、非凝固性の気体中で延伸され
る。
【0031】糸条吐出後の冷却により固化したドープ糸
条は、水系もしくはアルコール系の溶液が用いられた凝
固浴に導かれる。凝固浴を通過した糸条はゴデットロー
ルを通過し、最終的に水、メタノール等の抽出浴中にお
いて、糸条が含有するリン酸が1.0重量%以下、好ま
しくは0.5重量%以下となるまで洗浄される。さらに
水酸化ナトリウム水溶液などで中和、次いで水洗され
る。
【0032】このような処理の後、高温空気などを用い
た乾燥機により乾燥される。かくして得られるポリベン
ザゾール繊維は、好ましくは35g/d以上、より好ま
しくは40g/d以上の十分な引張強度と、好ましくは
4.0%以下、より好ましくは3.5%以下の十分な破
断伸度と、好ましくは1000g/d以上、より好まし
くは1100g/d以上の十分な引張弾性率を有するも
のとなる。なお、本発明でいう「繊維」とは、マルチフ
ィラメント、ステープルファイバー、カットファイバー
およびモノフィラメントを含む。
【0033】本発明のポリベンザゾール繊維は、その繊
維表面に微細な凹凸を有するものである。本発明におい
ては、この微細な凹凸を有するポリベンザゾール繊維の
表面形態は、原子間力顕微鏡AFMを用いて、AFM観
察視野範囲1×1μm2における表面積率により評価さ
れ、本発明では1.03以上、好ましくは1.05以
上、より好ましくは1.10以上である。当該表面積率
が1.03未満であるようなポリベンザゾール繊維は、
アンカー効果が得られず、マトリックスとの接着性を期
待できない。
【0034】本発明では、AFMとして、Seiko
Instruments社製SPI3800N−SPA
300を使用した。スキャナーはFS−20A、カンチ
レバーはSI−DF20(シリコン製:ばね定数20N
/m程度)を使用した。観察モードはDFMモードとし
た。観察に際して分解能低下を防ぐため、カンチレバー
は探針の汚染、磨耗がない新品を使用した。また、探針
−試料表面間に働く力は必要最小限の力に設定し、走査
中の試料の破損、探針の磨耗を防いだ。また観察雰囲気
は20℃、65%の恒温恒室状態で行った。
【0035】観察は、探針が繊維中心部にコンタクトす
るようにし、探針走査方向が繊維軸と一致するように観
察視野1×1μm2で行った。走査速度は0.5〜1H
zとした。分解能は256×256pixels以上と
した。繊維は曲率を持っているため、AFM観察後、装
置に付属している傾き補正ソフト等を用いて繊維が有す
る曲率、マクロな形態上のうねりをキャンセルした。傾
き補正は、探針が完全に繊維中心部にコンタクトし、走
査方向と繊維軸方向が一致した場合は二次傾き補正を行
ったが、そうでない場合は三次傾き補正処理、フラット
処理を行った。傾き補正後、装置付属の表面粗さ解析を
行い、表面積率を算出した。表面積率とは、観察面が理
想的にフラットであると仮定したときの面積S0に対す
る実際の表面積Sの比率Sratioのことであり、Sratio
=S/S0で表わされる。ここで、観察視野1×1μm2
で最大高低差(PV値)が70nm以上の視野は評価対
象外とした。これは、スパッタエッチング処理等の処理
を行っていない未処理の繊維表面には、凹凸が全く存在
しないわけではなく、通常、マクロなスケールの凹凸
(ほとんどの場合70nm以上)が存在している。本発
明では、後述するように、スパッタエッチング処理等の
処理により、繊維表面に微細な凹凸をつけているが、繊
維表面に未処理前から存在するこのマクロなスケールの
凹凸は考慮しない。評価はランダムに行った観察視野2
0点以上の平均値をもって行った。
【0036】また、本発明のポリベンザゾール繊維は、
その繊維表面は活性化されており、酸素原子(O)数の
炭素原子(C)数に対する比(O/C)は、好ましくは
0.25以上、より好ましくは0.3以上である。当該
比(O/C)が0.25未満であるようなポリベンザゾ
ール繊維は、その表面活性が低いため、マトリックスと
の濡れ性が不足し、凹凸部にマトリックスが入り込まず
接着不足となるおそれがある。
【0037】本発明において、繊維表面の酸素原子
(O)数の炭素原子(C)数に対する比(O/C)の測
定は以下のように行った。X線電子分光装置(島津製作
所ESCA850型)を用い、サンプルを試料台へ導入
し、真空度5×10-6Paにした後、光源としてMgK
α(1254eV)を用いて、C1sおよびO1sの測定を
行った。測定後、波形処理を行った後、それぞれのピー
ク面積を算出し、O/Cを求めた。
【0038】このように、ポリベンザゾール繊維は、そ
の繊維表面に微細な凹凸を有することにより、アンカー
効果を有し、またその表面活性が高いことにより、マト
リックスとの濡れ性が良好であり、従って、マトリック
スとの接着性が著しく良好となるのである。
【0039】上記のようなポリベンザゾール繊維は、そ
の繊維表面に、例えば、スパッタエッチング処理を施す
ことにより得られるが、コロナ処理や大気圧プラズマ処
理等の従来の繊維表面の処理方法では得られない。スパ
ッタエッチング処理について以下に詳しく述べる。
【0040】本発明におけるスパッタエッチング処理
は、内部に陰極および陽極を配した減圧容器内で両電極
間に交流電力を印加し、陰極上にポリベンザゾール繊維
を接触させた状態で放電処理することにより行われる。
このため、放電域のイオンエネルギーの極めて高い陰極
暗部で処理が行われ、プラズマ中で放電処理を行うグロ
ー放電のイオンエネルギーと比較して、非常に高いイオ
ンエネルギーにより処理されることとなる。
【0041】スパッタエッチング処理時の雰囲気圧は、
常温で0.1〜150Pa、好ましくは0.5〜50P
aである。0.1Pa未満ではスパッタエッチング処理
を行う放電が持続されず、また、150Paを超える
と、エッチング速度が著しく低下すると共に放電自体が
不安定となる。
【0042】スパッタエッチング処理時の周波数は、高
周波(400kHz〜54.24MHz)を用いること
ができるが、好ましくは6.78MHz〜27.12M
Hzである。実用上、工業用割当周波数の13.56M
Hzを用いる。放電電力(交流電力)は、通常0.01
〜10W/cm2、好ましくは0.1〜5W/cm2であ
る。
【0043】放電電力と処理時間の積は処理程度を表
し、通常1〜300W・sec/cm 2、好ましくは1
0〜200W・sec/cm2ある。
【0044】上記雰囲気ガスには、非重合性ガス単体、
汎用の炭化水素ガス等の有機化合物ガス単体、または有
機化合物ガスと希釈用非重合性ガスとの混合物を使用で
きる。希釈用非重合性ガスには、He、Ne、Ar、C
O、N2、H2、O2、CO2、CF4、H2Oを使用でき
る。
【0045】本発明のポリベンザゾール繊維は、ゴムマ
トリックスとの接着性を向上させるため、ディップ処理
が施されてもよい。当該処理液としては、(A)エポキ
シ樹脂の水分散液、(B)ブロックドイソシアネートの
水分散液、(C)ゴムラテックスの水分散液、(D)レ
ゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂−ゴムラテックス混合
液、の組み合わせもしくは単独で、一段または二段以上
の多段処理により施される場合が一般的であるが、その
他の処方であってもよい。
【0046】かくして得られるポリベンザゾール繊維
は、高い機械的特性を保持したまま、コロナ処理や大気
圧プラズマ処理等の従来の繊維表面の処理方法では全く
発現しなかった微細な凹凸が表面に形成されているの
で、マトリックスであるゴムや樹脂との非常に優れた接
着性を兼ね備えることが可能となった。よって、高強
度、高弾性率、高耐熱性を有するポリベンザゾール繊維
の接着性を著しく改善することにより、未だかつて存在
しなかった、優れた機械的特性と接着性の両方を兼ね備
えた繊維強化複合材料の設計が実現可能となった。
【0047】本明細書中おける引張強度[g/d]、破
断伸度[%]および引張弾性率[g/d]の測定は、A
STM D2101に準拠した。
【0048】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明の具体的に説
明する。もちろん本発明は実施例に限定されるものでは
ない。
【0049】<ポリベンザゾール繊維の製造>14重量
%のポリリン酸中に、固有粘度25dl/g(メタンス
ルホン酸溶液、25℃)のシス−ポリパラフェニレンベ
ンゾビスオキサゾールポリマーを、14重量%の濃度で
含有する紡糸ドープを、直径0.3mmの紡糸孔を有
し、160℃に加熱された紡糸金口から空気中に紡出
し、凝固浴槽を通過せしめた後、ポリリン酸の抽出工
程、乾燥工程、熱処理工程を経た後巻き取った。この工
程中、実質的に延伸は行っていない。得られたマルチフ
ィラメントは、引張強度5.8GPa(42g/d)、
破断伸度2.5%の高い機械的特性を有していた。
【0050】<コードおよび織物の処理>ポリベンザゾ
ール繊維1670dtexの糸、ポリベンザゾール繊維
1670dtexに320tpmの下撚りを掛けた糸を
2本合せて、320tpmの上撚りを掛けて1670d
tex/2のコードを作製し、また、これとは別にポリ
ベンザゾール繊維1670dtexを用いて平織物を作
製し、これらをサンプルとした。上記サンプルにスパッ
タエッチング処理を行った(実施例1、2)。その放電
処理条件は、陽極と陰極との距離を150mm、印加電
圧の周波数を13.56MHzとし、放電電力、処理時
間、真空度をそれぞれ表1記載の通りとした。雰囲気ガ
スには酸素ガスを用いた。また、比較例2は上記サンプ
ルに印可電圧の周波数を5kHzとし、雰囲気ガスにH
e/Ar/CO2の混合ガスを用いたプラズマ処理を行っ
た。該プラズマ処理における放電電力、処理時間、真空
度はそれぞれ表1記載の通りとした。比較例1は上記サ
ンプルをそのまま(未処理)とした。
【0051】<樹脂接着評価用サンプル作製>マトリッ
クスとしてエポキシ樹脂を用いた。エポン91.03
A、エポン91.03B、エポン91.03C(油化シ
ェル製)を、100/76/1の重量比で混合した。上
記の処理後のサンプルおよび未処理のサンプルにおける
織物を用い、これを樹脂に含浸し、130℃で2時間硬
化した。得られたFRPは、厚み0.88mm、Vf4
3%であった。これを評価用サンプルとした。また、上
記処理後のサンプルおよび未処理のサンプルにおける繊
維から単繊維を抜き取り、上記エポキシ樹脂のドロップ
レットを単繊維に付与して硬化させ、引抜き試験を行
い、引抜き応力とドロップレットサイズとの傾きから界
面せん断接着力を算出した。
【0052】<ゴム接着評価用サンプル作製>SBRゴ
ムを用いた。上記の処理後のサンプルおよび未処理のサ
ンプル(コード、織物)に二段のディップ処理を施し
た。一段目のディップ処理液はエポキシ樹脂の水分散液
であり、処理温度は200℃、二段目のディップ処理液
はRFL液であり、処理温度は200℃であった。ディ
ップ処理サンプルを加硫前のSBRゴム3枚でサンドイ
ッチし、150℃、30分加硫し、評価用サンプルとし
た。
【0053】<剥離接着力の測定>上記作製した評価用
サンプルを用いて剥離接着力を測定した。剥離接着力は
JIS K6854に準じて、試験片幅を2.5cm、
長さを10cmとし、クロスヘッドの移動速度を100
mm/minとして接着力を測定した。
【0054】
【表1】
【0055】表1中のコード剥離接着力はコードのゴム
剥離接着力であり、ゴム剥離接着力は織物のゴム剥離接
着力を意味する。また、表中の繊維物性(引張強度[g
/d]、破断伸度[%]および引張弾性率[g/d])
は、サンプルを構成する糸での測定値であり、測定方法
はASTM D2101に準拠した。
【0056】表1から、実施例1、2は、比較例1、2
と比較して、ゴムおよび樹脂マトリックスに対する接着
力が著しく改善され、しかも、十分な引張強度、破断伸
度および引張弾性率を保持していることが分かる。すな
わち、本発明では、従来技術では到達できなかったポリ
ベンザゾール繊維の高い機械的強度を保持しつつ、ゴム
マトリックスおよび樹脂マトリックスとの良好な接着性
が実現されている。
【0057】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によれば、ポリベンザゾール繊維の高い機械的強度を
保持しつつ、繊維表面に微細な凹凸を発現させることに
よって、従来到達できなかったレベルのゴムおよび樹脂
マトリックスに対する接着力を実現し、ゴム補強の分野
でポリベンザゾール繊維の優れた力学的特性を活かすこ
とが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一柳 隆治 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社内 (72)発明者 佐々 和明 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 上森 一好 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 河村 和典 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 豊澤 圭子 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J043 PA02 PA04 QB15 QB34 QB35 QB41 RA42 RA52 RA57 SA06 SA08 SA71 SA83 TA12 TA32 TA43 UA121 UA122 UA131 UA132 UA262 VA02 ZA02 ZB04 4L031 AA20 AB01 CB04 DA11 4L035 BB04 BB07 BB15 DD06 EE08 FF01 MD07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面に凹凸を有し、当該繊維表面の
    AFM観察視野範囲1×1μm2における表面積率が
    1.03以上であることを特徴とするポリベンザゾール
    繊維。
  2. 【請求項2】 繊維表面の酸素原子(O)数の炭素原子
    (C)数に対する比(O/C)が0.25以上である、
    請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  3. 【請求項3】 引張強度が35g/d以上である、請求
    項1記載のポリベンザゾール繊維。
  4. 【請求項4】 破断伸度が4.0%以下である、請求項
    1記載のポリベンザゾール繊維。
  5. 【請求項5】 引張弾性率が1000g/d以上であ
    る、請求項1記載のポリベンザゾール繊維。
  6. 【請求項6】 ポリベンザゾール繊維を、雰囲気圧が
    0.1〜150Pa、電源周波数が400kHz〜5
    4.24MHz、交流電力が0.01〜10W/c
    2、交流電力と処理時間との積が1〜300W・se
    c/cm2の条件で、高周波スパッタエッチング処理を
    施すことを特徴とする請求項1記載のポリベンザゾール
    繊維の製造方法。
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