JP2003201257A - 上皮膨隆用の医療用組成物 - Google Patents

上皮膨隆用の医療用組成物

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JP2003201257A
JP2003201257A JP2002320742A JP2002320742A JP2003201257A JP 2003201257 A JP2003201257 A JP 2003201257A JP 2002320742 A JP2002320742 A JP 2002320742A JP 2002320742 A JP2002320742 A JP 2002320742A JP 2003201257 A JP2003201257 A JP 2003201257A
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Shinichi Ishikawa
愼一 石川
Junichi Meya
純一 女屋
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Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 細いカテーテルを通した溶液の注入を容易に
行うことができ、かつ、上皮の膨隆を高く維持できる上
皮膨隆用の医療用組成物を提供する。 【解決手段】 多糖またはその医学的に許容される塩を
含有する溶液からなり、回転粘度計を用いて25℃の測
定条件下、ずり速度7.7〜10.0 s−1、19.
2〜20.0 s−1、および38.3〜40.0 s
−1における見かけ粘度が、それぞれ50〜500mP
a・sの範囲内、45〜300mPa・sの範囲内およ
び40〜200mPa・sの範囲内であることを特徴と
する上皮膨隆用の医療用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多糖またはその塩
を含有する溶液からなり、当該溶液が所定の性質を有す
ることを特徴とする上皮膨隆用の医療用組成物、および
この医療用組成物が充填されたシリンジに関する。
【0002】
【従来の技術】上皮に医学的処置を施す必要がある場
合、例えば上皮を切除することが必要な場合等におい
て、上皮を膨隆させることで処置を容易化できることが
ある。
【0003】例えば内視鏡的粘膜切除術(以下、単にE
MRともいう)は、消化管等における粘膜病変を、開腹
手術をせずに内視鏡を用いた操作によって切除する方法
であり、内視鏡の先端から針金の輪を粘膜病変部位に引
っかけて切り取ることにより行われる。この作業の効率
化、操作性及び安全性の向上等を目的として、病変粘膜
の下層に高分子ポリマーの溶液を注入して病変粘膜部を
膨隆・挙上させる方法が試みられている。
【0004】非特許文献1には、1.0%のヒアルロン酸
ナトリウム溶液をEMRの際の粘膜の膨隆に用いた旨が
記載されており、ディスポーサブルシリンジを用いて投
与した旨が記載されている。
【0005】また同文献には、従来、「高張の塩類溶液
とエピネフリン」や、「エピネフリンと50%グルコース
を含有する高張の塩類溶液」がEMRの際の粘膜の膨隆
に用いられていたことが記載されている。
【0006】また、非特許文献2には、「少量のインジ
ゴカルミンを含有する0.5%ヒアルロン酸ナトリウム溶
液」をEMRの際の粘膜の膨隆に用いた旨が記載されて
おり、5mLのシリンジを用いて投与した旨が記載され
ている。
【0007】
【非特許文献1】Gastrointestinal Endoscopy 50(2) p
251-256 (1999)
【非特許文献2】Gastrointestinal Endoscopy 50(5) p
701-704 (1999)EMRは、内視鏡を用いた操作とはいえ
生体組織の一部を除去する作業であり、また患者の負担
等を考慮すると、可能な限り迅速かつ確実に実施される
ことが好ましい。そこで、このようなEMRを含め、上
皮に対する医学的処置をさらに迅速かつ確実に実施する
ための組成物が求められていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のような背景か
ら、本発明は上皮に対する医学的処置をさらに迅速かつ
確実に実施することができる組成物、より具体的には、
上皮に対する処置の際の溶液注入を迅速に行うことがで
き、上皮の膨隆をある程度の時間高く維持でき、上皮に
対する処置の間に溶液を追加注入する必要性が可及的排
除され、かつ、上皮に対する処置の際の操作性を向上す
ることができる組成物を提供することを課題とする。ま
た本発明は、上皮に対する処置の際の上皮の膨隆に迅速
に供されるシリンジを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の性質を有
する溶液を用いると、細いカテーテルと針を通しても溶
液の注入を容易に行うことができ、かつ、上皮の膨隆が
ある程度の時間高く維持されていることを見出すに至
り、本発明を完成した。
【0010】すなわち本発明は、多糖またはその医学的
に許容される塩を含有する溶液からなり、当該溶液が下
記の性質を有することを特徴とする上皮膨隆用の医療用
組成物(以下、本発明組成物という)を提供する。
【0011】性質:回転粘度計を用いて25℃の条件下
で測定した場合に、以下のずり速度における見かけ粘度
が以下の通りである。
【0012】
【表1】 本発明組成物は、さらに下記の性質を有することが好ま
しい。
【0013】前記溶液が充填された以下のカテーテル注
射針が保持されている注射器において、この注射器のピ
ストンを1mm/秒の一定速度で押すことによって前記
溶液をカテーテル注射針の先端から排出させるために要
する力が、25℃の条件下で測定した場合に以下の通り
である。
【0014】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 6.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G 1
0.0kgfを超えない なお「G」は、「ゲージ(gauge)」(針径の寸法を示
す)を意味する。
【0015】また本発明組成物は、さらに下記の性質を
有することが好ましい。
【0016】ウサギの胃の大彎側幽門部近傍粘膜下に胃
漿膜側から針径が27Gの注射針を用いて前記溶液を
0.5mL投与し、次いで30分間放置した後、当該部
位を急速冷凍して隆起頂点から縦切開したときの断面に
おける粘膜の隆起の特徴が以下の通りである。
【0017】前記溶液が投与されていない部分の粘膜表
面を基準にした場合、そこから粘膜の隆起頂点までの高
さの平均が5.0mmを下回らない。
【0018】本発明組成物において用いる多糖は、グリ
コサミノグリカンであることが好ましく、グリコサミノ
グリカンはヒアルロン酸であることが好ましい。
【0019】またグリコサミノグリカンとしてヒアルロ
ン酸を用いる場合は、その重量平均分子量は60万〜3
90万であることが好ましく、70万〜300万である
ことがより好ましく、70万〜120万または190万
〜300万であることがさらに好ましい。
【0020】また本発明組成物は、さらにコンドロイチ
ン硫酸またはその医学的に許容される塩を含有すること
が好ましい。その場合においては、「コンドロイチン硫
酸またはその医学的に許容される塩」に対する「ヒアル
ロン酸またはその医学的に許容される塩」の含有比が1
/10〜1/20(w/w)であることが好ましい。本
発明組成物により膨隆される上皮は、粘膜であることが
好ましく、消化器粘膜であることがより好ましい。また
本発明組成物は粘膜切除術に用いられることが好まし
い。
【0021】本発明はまた、本発明組成物が充填された
シリンジ(以下、本発明シリンジという)も提供する。
【0022】
【発明の実施の形態】<1>本発明組成物 本発明は、多糖またはその医学的に許容される塩を含有
する溶液からなり、当該溶液が下記の性質を有すること
を特徴とする上皮膨隆用の医療用組成物である。
【0023】性質:回転粘度計を用いて25℃の条件下
で測定した場合に、以下のずり速度における見かけ粘度
が以下の通りである。
【0024】
【表2】 (1)多糖またはその医学的に許容される塩 本発明組成物で用いる多糖は、医療用として適したもの
である限り特に限定されず、種々の多糖を用いることが
できるが、なかでもグリコサミノグリカンが好ましい。
グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸、コンド
ロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸
等が例示されるが、ヒアルロン酸が特に好ましい。
【0025】また、多糖の医学的に許容される塩として
は、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム
塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム
塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩等の無機塩基
との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシル
アミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩のうち、医学
的に許容される塩を用いることができる。これらのなか
でも、アルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が
好ましい。
【0026】以下、多糖としてヒアルロン酸を用いる場
合を例に挙げて具体的に説明する。この場合に用いるヒ
アルロン酸またはその医学的に許容される塩の由来は特
に限定されず、例えば鶏冠、臍帯、ヒアルロン酸を産生
する微生物等から分離、精製されたものを用いることが
できる。特に、高純度に精製され、医薬として混入が許
されない物質を実質的に含まないものが好ましい。ヒア
ルロン酸の医学的に許容される塩としては前記例示のも
のを用いることができ、特にヒアルロン酸ナトリウムが
好ましい。
【0027】本発明において用いるヒアルロン酸または
その医学的に許容される塩の重量平均分子量は特に限定
されないが、60万〜390万であるものが好ましく、
70万〜300万であるものがより好ましく、70万〜
120万または190万〜300万であるものがさらに
好ましい。さらには80万〜100万または190万〜
250万であるものが好ましく、85万〜95万または
200万〜240万であるものがより好ましく、88万
〜92万または210万〜230万であるものが特に好
ましく、90万程度のものまたは220万程度のものが
極めて好ましい。
【0028】なお、本発明に使用されるヒアルロン酸ま
たはその医学的に許容される塩の重量平均分子量は、第
十三改正日本薬局方:一般試験法・粘度測定法に従って
極限粘度を測定し、Laurentらの式(Biochim. Biophys.
Acta, 42, 476(1960))によって算出できる。
【0029】また、重量平均分子量60万〜390万の
ヒアルロン酸またはその医学的に許容される塩の極限粘
度は11.5〜54.5dl/gであり、70万〜30
0万のものは13.0〜44.0dl/g、70万〜1
20万のものは13.0〜20.0dl/g、190万
〜300万のものは30.0〜44.0dl/g、80
万〜100万のものは14.5〜17.0dl/g、1
90万〜250万のものは30.0〜38.0dl/
g、85万〜95万のものは15.0〜16.5dl/
g、200万〜240万のものは31.5〜36.5d
l/g、88万〜92万のものは15.5〜16.0d
l/g、210万〜230万のものは33.0〜35.
5dl/g、90万程度のものは16.0dl/g程
度、220万程度のものは34.0dl/g程度であ
る。
【0030】本発明組成物は、このようなヒアルロン酸
またはその医学的に許容される塩に加え、さらにコンド
ロイチン硫酸またはその医学的に許容される塩を含有す
るものも好ましい。
【0031】ここで用いることができるコンドロイチン
硫酸またはその医学的に許容される塩の由来は特に限定
されず、例えば魚類(サメ等)や哺乳動物(クジラ、ウ
シ等)の軟骨等から分離、精製されたものを用いること
ができる。特に、医薬として混入が許されない物質を実
質的に含まないものが好ましい。コンドロイチン硫酸の
医学的に許容される塩としては前記例示のものを用いる
ことができ、特にコンドロイチン硫酸ナトリウムが好ま
しい。ここで用いるコンドロイチン硫酸またはその医学
的に許容される塩の重量平均分子量は、一般に数千〜5
万程度であるが、1万〜4万程度が好ましく、特に2万
〜3万程度のものが好ましい。
【0032】中でも、下記(1)および(2)の性質を有する
コンドロイチン硫酸ナトリウムが極めて好ましい。 (1) 乾燥したものを定量した場合の窒素含量が2.5〜3.8
%である。 (2) 乾燥したものを定量した場合のイオウ含量が5.5〜
7.5%である。
【0033】また、さらに下記(3)〜(9)の性質を有する
ものが特に好ましい。 (3) このもの1.0gに水100 mLを加えて溶かしたとき、液
は無色〜微黄色澄明である。 (4) 塩化物含量が0.142%以下である。 (5) 硫酸塩含量が0.24%以下である。 (6) 重金属含量が20 ppm以下である。 (7) ヒ素含量が2 ppm以下である。 (8) 乾燥減量が10.0%以下(1 g、105℃、4時間)であ
る。 (9) 強熱残分が23.0〜31.0%(1 g、乾燥後)である。
【0034】なお上記(1)〜(9)は、「第13改正日本薬局
方解説書(廣川書店)」に記載の一般試験法、及び「日
本薬局方外医薬品規格1997」に記載の方法により測定す
ることができる。
【0035】ヒアルロン酸またはその医学的に許容され
る塩に加え、さらにコンドロイチン硫酸またはその医学
的に許容される塩を含有する本発明組成物においては、
「コンドロイチン硫酸またはその医学的に許容される
塩」に対する「ヒアルロン酸またはその医学的に許容さ
れる塩」の含有比が1/10〜1/20(w/w)であ
ることが好ましい。
【0036】以上のような多糖またはその医学的に許容
される塩を溶液とすることにより、本発明組成物として
用いうる溶液とすることができる。溶液は、前記のよう
な多糖やその医学的に許容される塩を、医学的に許容さ
れる適当な溶媒に溶解することにより調製できる。溶媒
の種類は特に限定されず、滅菌した蒸留水や生理的塩類
溶液等を用いることができる。
【0037】本発明組成物としては、以上のような多糖
またはその医学的に許容される塩の溶液のうち、下記の
性質を有するものを用いる。
【0038】性質:回転粘度計を用いて25℃の条件下
で測定した場合に、以下のずり速度における見かけ粘度
が以下の通りである。
【0039】
【表3】 回転粘度計は市販のものを用いることができ、回転速度
とローター(回転子)の型やサイズ等を適宜設定・選択
することによってずり速度(剪断速度)を調整すること
ができる。ローターの具体的な型やサイズは一般的に用
いられているものであればよく特に限定されないが、例
えば、コーンスピンドル型の「角度 1°34′、半径
24mm」のものや「角度3°、半径14mm」のもの
を用いることができる。最も好ましい具体例について
は、後述の実施例を参照されたい。このような機器を用
い、25℃の条件下で、上記の各ずり速度において上記
の各見かけ粘度を示すように多糖またはその医学的に許
容される塩や溶媒の種類および量を適宜調節することに
よって、本発明組成物として用いる溶液とすることがで
きる。
【0040】本発明組成物として用いる溶液中の多糖ま
たはその医学的に許容される塩の濃度は、上記の性質を
有するものである限りにおいて限定されず、多糖または
その医学的に許容される塩の種類、重量平均分子量、組
合せ等に応じて適宜設定することができる。2種以上の
多糖またはその医学的に許容される塩を用いる場合に
は、これらを混合した溶液について同様に考えればよ
い。
【0041】また本発明組成物として用いる溶液は、さ
らに下記の性質を有することが好ましい。
【0042】前記溶液が充填された以下のカテーテル注
射針が保持されている注射器において、この注射器のピ
ストンを1mm/秒の一定速度で押すことによって前記
溶液をカテーテル注射針の先端から排出させるために要
する力が、25℃の条件下で測定した場合に以下の通り
である。。
【0043】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 6.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G 1
0.0kgfを超えない その中でも、以下のものが好ましい。
【0044】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 6.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G
9.0kgfを超えない その中でも、以下のものがより好ましい。
【0045】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 5.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G
7.5kgfを超えない その中でも、以下のものがさらに好ましい。
【0046】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 5.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G
7.0kgfを超えない その中でも、以下のものが特に好ましい。
【0047】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G 4.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G
7.0kgfを超えない この性質は、上記所定のカテーテル長と針径を有するカ
テーテル注射針が保持されている注射器に前記溶液を充
填し、この注射器のピストンを1mm/秒の一定速度で
押してカテーテル注射針の先端から前記溶液を排出させ
るためにピストンに加える力を測定することによって測
定できる。測定は25℃の条件下で行う。注射器の注射
筒の内径(注射筒内に保持された状態におけるピストン
の外径)は、14mm程度とする。この測定方法として
最も好ましい具体例は、後述の実施例を参照されたい。
【0048】また本発明組成物は、さらに下記の性質を
有することが好ましい。
【0049】ウサギの胃の大彎側幽門部近傍粘膜下に胃
漿膜側から針径が27Gの注射針を用いて前記溶液を
0.5mL投与し、次いで30分間放置した後、通常胃
を摘出し、当該部位を急速冷凍して隆起頂点から縦切開
したときの断面における粘膜の隆起の特徴が以下の通り
である。
【0050】前記溶液が投与されていない部分の粘膜表
面を基準にした場合、そこから粘膜の隆起頂点までの高
さの平均が5.0mm(好ましくは5.1mm、より好
ましくは5.2mm)を下回らない。
【0051】この性質を特定するにあたり、注射針の針
径を27Gに特定したのは、針径(太さ)に応じて針を
刺した部位から漏出してしまう前記溶液量が若干異なる
可能性があり、これによる影響を排除するためである。
また急速冷凍にはドライアイスを用いることが好まし
い。
【0052】急速冷凍後、投与部位における隆起頂点か
ら縦切開(前記溶液が投与されていない粘膜表面に対し
て垂直に切開)する。次いで縦切開によって出現した断
面における前記溶液が投与されていない部分の粘膜表面
を基準として、そこから粘膜の隆起頂点(隆起頂点とな
っている粘膜表面)までの高さを測定する。これら一連
の操作は凍結状態が維持されたままで行う必要があり、
さらに測定は正確かつ客観的である必要があることか
ら、縦切開によって出現した断面を写真撮影してこれを
画像解析することによって高さを測定することが好まし
い。また、高さの評価は、複数回の試験に基づく平均値
を用いて行うことが好ましい。試験の回数として4回程
度が例示される。
【0053】この測定方法として最も好ましい具体例
は、後述の実施例を参照されたい。
【0054】以上のような多糖またはその医学的に許容
される塩の溶液を用いることにより、溶液注入が容易、
かつ上皮膨隆の維持能が良好な本発明組成物とすること
ができる。
【0055】本発明組成物に用いる多糖またはその医学
的に許容される塩の溶液として極めて好ましいものとし
て、以下の(a)〜(c)の溶液を例示することができる。
【0056】(a)ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分
子量70万〜120万)0.35〜0.44%(w/v)。
なかでもヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量80
万〜100万)0.35〜0.44%(w/v)が好まし
く、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量85万〜
95万)0.35〜0.44%(w/v)がより好ましく、
ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量85万〜95
万)0.38〜0.42%(w/v)がさらに好ましく、ヒ
アルロン酸ナトリウム(重量平均分子量88万〜92
万)0.38〜0.42%(w/v)が特に好ましく、ヒア
ルロン酸ナトリウム(重量平均分子量88万〜92万)
0.4%(w/v)が非常に好ましく、ヒアルロン酸ナトリ
ウム(重量平均分子量90万)0.4%(w/v)が極めて
好ましい。
【0057】(b)ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分
子量190万〜300万)0.15〜0.34%(w/
v)。なかでも、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子
量190万〜250万)0.15〜0.34%(w/v)が
好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量2
00万〜240万)0.15〜0.34%(w/v)がより
好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量2
10万〜230万)0.15〜0.34%(w/v)がさら
に好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量
210万〜230万)0.18〜0.32%(w/v)が特
に好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量
215万〜225万)0.18〜0.32%(w/v)が非
常に好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子
量215万〜225万)0.2%(w/v)又は0.3%(w/
v)が極めて好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平
均分子量220万)0.2%(w/v)又は0.3%(w/v)が
さらに極めて好ましい。
【0058】(c) ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分
子量190万〜300万)0.05〜0.24%(w/v)
とコンドロイチン硫酸ナトリウム(重量平均分子量2〜
3万)1.5〜2.4%(w/v)との組合せ。なかでもヒ
アルロン酸ナトリウム(重量平均分子量190万〜25
0万)0.05〜0.24%(w/v)とコンドロイチン硫
酸ナトリウム(重量平均分子量2〜3万)1.5〜2.
4%(w/v)との組合せが好ましく、ヒアルロン酸ナトリ
ウム(重量平均分子量200〜240万)0.05〜
0.24%(w/v)とコンドロイチン硫酸ナトリウム(重
量平均分子量2〜3万)1.5〜2.4%(w/v)との組
合せがより好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平
均分子量210〜230万)0.05〜0.24%(w/
v)とコンドロイチン硫酸ナトリウム(重量平均分子量2
〜3万)1.5〜2.4%(w/v)との組合せがさらに好
ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重量平均分子量21
0〜230万)0.08〜0.22%(w/v)とコンドロ
イチン硫酸ナトリウム(重量平均分子量2〜3万)1.
5〜2.4%(w/v)との組合せが特に好ましく、ヒアル
ロン酸ナトリウム(重量平均分子量215〜225万)
0.08〜0.22%(w/v)とコンドロイチン硫酸ナト
リウム(重量平均分子量2〜3万)1.5〜2.4%(w
/v)との組合せが非常に好ましく、ヒアルロン酸ナトリ
ウム(重量平均分子量215〜225万)0.08〜
0.22%(w/v)と、コンドロイチン硫酸ナトリウム
(重量平均分子量2〜3万)1.8〜2.2%(w/v)と
の組合せがさらに非常に好ましく、ヒアルロン酸ナトリ
ウム(重量平均分子量215〜225万)0.1%(w/
v)又は0.2%(w/v)と、コンドロイチン硫酸ナトリウ
ム(重量平均分子量2〜3万)1.8〜2.2%(w/v)
との組合せが極めて好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム
(重量平均分子量215〜225万)0.1%(w/v)又
は0.2%(w/v)と、コンドロイチン硫酸ナトリウム
(重量平均分子量2〜3万)2.0%(w/v)との組合せ
がさらに極めて好ましく、ヒアルロン酸ナトリウム(重
量平均分子量220万)0.1%(w/v)又は0.2%(w/
v)と、コンドロイチン硫酸ナトリウム(重量平均分子量
2〜3万)2.0%(w/v)との組合せが特に極めて好ま
しい。
【0059】なお、これらはあくまで例示であり、これ
以外であっても上記の性質を有する限り本発明組成物に
用いる溶液として採用することができる。
【0060】なお本発明組成物中のエンドトキシン濃度
は0.25EU/mL以下であることが好ましい。エン
ドトキシン濃度は、当業者に周知慣用のエンドトキシン
の測定法を用いて測定することができるが、カブトガニ
・アメボサイト・ライセート成分を用いるリムルス試験
法が好ましい。なおEU(エンドトキシン単位)は、日
本工業規格生化学試薬通則(JIS K8008)に従
って測定・算出できる。また、鉄含量は20ppm以下
であることが好ましい。
【0061】また本発明組成物のpHは、3〜10の範
囲内にあることが好ましく、4〜10の範囲内にあるこ
とがより好ましく、5〜9の範囲内にあることがさらに
好ましく、6〜8の範囲内にあることが特に好ましく、
6.8〜7.8の範囲内にあることが極めて好ましい。
【0062】また本発明組成物の浸透圧比(生理食塩水
に対する比)は、0.7〜1.4の範囲内にあることが
好ましく、0.8〜1.3の範囲内にあることがより好
ましく、0.9〜1.2の範囲内にあることがさらに好
ましい。
【0063】また、本発明組成物に含有される多糖また
はその医学的に許容される塩に悪影響を与えず、本発明
の効果に影響を与えず、かつ本発明組成物としての上記
の性質を具備する限りにおいて、他の医薬活性成分や、
慣用の安定化剤、乳化剤、浸透圧調整剤、緩衝剤、等張
化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑
沢剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を本発明組
成物に含有させることができる。
【0064】本発明組成物によって膨隆される上皮は、
膨隆が望まれる上皮である限りにおいて限定されず、皮
膚、粘膜等が例示される。なかでも粘膜が好ましい。
【0065】粘膜としては、消化器粘膜(例えば口腔粘
膜、消化管粘膜等)、呼吸器粘膜(例えば鼻中隔粘膜
等)、泌尿生殖器粘膜(例えば膀胱粘膜、膣粘膜、子宮
粘膜等)などが例示されるが、消化器粘膜であることが
好ましい。
【0066】消化器粘膜のなかでも消化管粘膜が好まし
い。消化管粘膜としては、食道粘膜、胃粘膜、十二指腸
粘膜、大腸粘膜等が例示される。
【0067】また本発明組成物は、粘膜切除術に用いら
れるものであることが好ましい。粘膜切除術は、粘膜切
除を行う部位や用いる器具・方法等によって種々の術式
が知られている。具体的には、例えば内視鏡的粘膜切除
術(EMR)、腹腔鏡下粘膜切除術、子宮鏡下粘膜切除
術、経尿道的膀胱腫瘍切除術、レーザーを用いた粘膜切
除術等が挙げられるが、本発明組成物はこれらの粘膜切
除術のいずれにも用いることができる。なお、これらの
術式はあくまで例示であって、本発明組成物はこれら以
外の術式に用いることもできるが、これらの中でも内視
鏡的粘膜切除術(EMR)に用いられるものであること
が特に好ましい。
【0068】本発明組成物は、上皮の膨隆を望む箇所の
上皮下に投与することによって使用することができる。
本発明組成物を上皮下に投与すると、投与された本発明
組成物が上皮と筋層との間に滞留し、これによって上皮
が膨隆する。投与され本発明組成物の漏出を防ぐため、
本発明組成物は注射によって投与されることが好まし
い。上皮を膨隆させることによって上皮に対する医学的
処置が施しやすくなることから、より迅速かつ確実な上
皮の処置を行うことができる。
【0069】本発明組成物の投与量は、上皮を処置する
目的、処置が必要な上皮の範囲、投与の方法等によって
適宜設定されるものであり限定されないが、ヒトのEM
Rに使用する場合は概ね5〜100mL程度が例示され
る。
【0070】なお、本発明組成物を注射投与する場合、
医療現場においてシリンジに充填して用いることができ
るが、後述の本発明シリンジを用いることにより現場に
おける充填の手間や汚染のリスクを軽減することができ
る。 <2>本発明シリンジ 本発明シリンジは、本発明組成物が予め充填された薬剤
既充填シリンジである。本発明シリンジは、シリンジ内
に充填された本発明組成物が、ピストン、プランジャ、
ストッパー、キャップ等によって封止されており、本発
明組成物が充填された状態で流通可能なものである。本
発明シリンジは、本発明組成物をシリンジに充填するこ
とにより製造することができる。
【0071】本発明シリンジに充填される本発明組成物
の説明は、前記の通りである。
【0072】本発明組成物が充填されるシリンジの素
材、形状、サイズ等は特に限定されず、公知のものを採
用することができる。
【0073】また本発明組成物をシリンジに充填する方
法等も特に限定されず、公知の方法を採用することがで
きる。
【0074】本発明シリンジを用いれば、医療現場で本
発明組成物を注射器に充填する手間や汚染のリスクを軽
減することができる。
【0075】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、これにより本発明の技術的範囲が限定さ
れるものではない。 1.被験物質 (1)ヒアルロン酸ナトリウム ヒアルロン酸の医学的に許容される塩として、以下のヒ
アルロン酸ナトリウムを用いた。 (a)重量平均分子量90万、極限粘度15.9dl/g(以下、H
A90という) (b)重量平均分子量220万、極限粘度34.0dl/g(以下、H
A220という) (c)市販のヒアルロン酸ナトリウム関節内注射液(商品
名:スベニール(登録商標)、中外製薬株式会社販売。平
均分子量:190万〜250万)(以下、HA-Sという) (d)市販のヒアルロン酸ナトリウム製剤(商品名:Healon
(登録商標)、ファルマシア株式会社販売。平均分子量:
190万〜390万)(以下、HA-Hという) (2)コンドロイチン硫酸ナトリウム コンドロイチン硫酸の医学的に許容される塩として、以
下のコンドロイチン硫酸ナトリウムを用いた。
【0076】常法によりサメの軟骨をタンパク質分解酵
素を用いて処理して抽出し、脂肪・固形分を除去した
後、さらにタンパク質分解酵素を用いて除タンパク処理
し、次いでアルコール沈殿法により精製したコンドロイ
チン硫酸ナトリウム(以下、CSという)このCSの重
量平均分子量は3万であり、これを乾燥したもの(粉
末)は下記の性質を有していた。 (1) 窒素含量:3.40% (2) イオウ含量:6.82% (3) このもの1.0gに水100 mLを加えて溶かしたときの液
の色:無色〜微黄色澄明 (4) 塩化物含量:0.142%以下 (5) 硫酸塩含量:0.24%以下 (6) 重金属含量:20 ppm以下 (7) ヒ素含量:2 ppm以下 (8) 乾燥減量:5.67%(1 g、105℃、4時間) (9) 強熱残分:26.3%(1 g、乾燥後) 2.各種溶液の調製と見かけ粘度 前記のHA90、HA220、HA-S、HA-H及びCSを以下の
組成・濃度(%(w/v))となるように生理食塩水に溶解
して溶液を調製した。また以下のずり速度におけるこれ
ら溶液の見かけ粘度(mPa・s)を、RE80L型回
転粘度計とコーンスピンドル型ローター(角度 1°3
4′;半径24mm)(東機産業(株)社製)を用い、2
5℃の条件下で測定した。この結果を以下に示す。な
お、*は本発明組成物の実施例であることを示し、NDは
測定していないことを示す。
【0077】
【表4】
【表5】 なお以下の溶液については、ローターとしてコーンスピ
ンドル型ローター(角度 3°;半径14mm)(東機
産業(株)社製)を用いたほかは上記と同様の条件で、以
下のずり速度における見かけ粘度(mPa・s)を測定
した。この結果を以下に示す。
【0078】
【表6】 以上の結果から、(3)0.2% HA220、(4)0.3% HA22
0、(5)0.4% HA90、(6)0.5% HA90、(7)0.2% HA
-S、(8)0.25% HA-S、(9)0.3% HA-S、(10)0.2%
HA-H、(11)0.25% HA-H、(12)0.3% HA-H、(18)
2.0%CS+0.1%HA220 および (19)2.0%CS+0.2
%HA220 は以下の条件を満たし、それ以外の溶液は以
下の条件を満たさないことが明らかとなった。
【0079】
【表7】 なお前記の「ND」については測定しておらず、特に(19)
2.0%CS+0.2%HA220 については上記所定のずり速
度において全く測定をしていないが、他のずり速度にお
ける結果と当技術分野における技術常識とに照らせば、
上記の条件を満たすか否かは当業者において容易に判断
することができる。
【0080】これらの溶液におけるエンドトキシン濃度
を、トキシカラー(商品名;生化学工業株式会社製)を
用いて測定した結果、いずれも0.25EU/mL以下
であった。また鉄含量はいずれも20ppm以下であっ
た。
【0081】またこれら溶液のpHはいずれも6.8〜
7.8の範囲内であり、浸透圧比(生理食塩水に対する
比)は0.9〜1.2の範囲内であった。 3.注射針からの排出力 また、これらの溶液を以下のカテーテル注射針が保持さ
れている注射器(注射筒の内径:14mm)に充填し
て、この注射器のピストンを1mm/秒の一定速度で押
すことによって前記溶液をカテーテル注射針の先端から
排出させるために要する力を25℃の条件下でレオメー
ター(商品名:FUDOHレオメーターNRM−202
0J型、株式会社レオテック製)を用いて測定した。
【0082】(1)カテーテル長:1650mm 針径:
21G (製品名:ディスポーザブル注射針 NM NM-
200L-0421、オリンパス製。以下、カテーテル1ともい
う。) (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G (製
品名:ディスポーザブル注射針 NM NM-200U-0625、
オリンパス製。以下、カテーテル2ともいう。) それぞれ1〜3回測定して平均値を求めた結果を、「平
均値±標準誤差(kgf)」として以下に示す。なお、
*は本発明組成物の実施例であることを示し、NDは測定
していないことを示す。
【0083】
【表8】 4.上皮の膨隆(隆起)の維持作用 イソフルラン(大日本製薬)の吸入麻酔下で、体重が2.
60〜3.43kgの雌性JW種ウサギの胃の大彎側幽門近傍粘膜
下に胃漿膜側から針径が27Gの注射針を用いて前記の
溶液を0.5mL投与した。投与後30分間放置した後
に胃を摘出し、投与部位をドライアイスで急速冷凍した
後、投与部位における隆起頂点から縦切開(前記溶液が
投与されていない粘膜表面に対して垂直に切開)した。
凍結状態のまま縦切開によって出現した断面を写真撮影
し、画像解析ソフト(Image proPLUSTM、メディアサイ
バーネティクス社製)を用いて、前記溶液が投与されて
いない部分の粘膜表面を基準として粘膜の隆起頂点(隆
起頂点となっている粘膜表面)までの高さを測定した。
結果を「平均値±標準偏差(mm)(1群4サイト)」
として以下に示す。なお、*は本発明組成物の実施例で
あることを示す。
【0084】
【表9】 以上の結果から、以下の性質を有する多糖の溶液を用い
ることによって、注射器を用いて細いカテーテルと針を
通して溶液を注入する際の排出力が軽減されて投与を容
易に行うことができ(カテーテル長:1650mmで針
径:21Gの場合に6.0kgfを超えず、カテーテル
長:2300mmで針径:25Gの場合に10.0kg
fを超えない)、かつ、上皮の膨隆が上皮の処置を容易
に行うことができる程度の高さ(平均5.0mm以上)
で、ある程度の時間(30分間)高く維持される組成物
が提供できることが見出された。
【0085】性質:回転粘度計を用いて25℃の条件下
で測定した場合に、以下のずり速度における見かけ粘度
が以下の通りである。
【0086】
【表10】
【発明の効果】本発明組成物は、細いカテーテルと針を
通しても溶液の注入を迅速・容易に行うことができ、か
つ、処置の間上皮の膨隆を高く維持することができる。
したがって本発明組成物は、生体組織である上皮に対す
る処置のさらなる容易化、処置時間の短縮化に寄与する
ものである。また処置の間に溶液を追加注入する必要性
も減少でき、処置をより安全かつ確実に行うことができ
る。したがって本発明組成物は上皮に対する処置を受け
る患者の負担を軽減することにもつながり極めて有用で
ある。
【0087】また本発明シリンジは、本発明組成物が既
に充填されていることから、医療現場における充填の手
間や汚染のリスクを軽減することができ極めて有用であ
る。

Claims (14)

    【整理番号】 J200003510 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多糖またはその医学的に許容される塩を
    含有する溶液からなり、当該溶液が下記の性質を有する
    ことを特徴とする上皮膨隆用の医療用組成物。性質:回
    転粘度計を用いて25℃の条件下で測定した場合に、以
    下のずり速度における見かけ粘度が以下の通りである。 ずり速度 見かけ粘度 7.7〜10.0 s−1 50〜500mPa・sの範囲内 19.2〜20.0 s−1 45〜300mPa・sの範囲内 38.3〜40.0 s−1 40〜200mPa・sの範囲内
  2. 【請求項2】 さらに下記の性質を有することを特徴と
    する、請求項1に記載の医療用組成物。前記溶液が充填
    された以下のカテーテル注射針が保持されている注射器
    において、この注射器のピストンを1mm/秒の一定速
    度で押すことによって前記溶液をカテーテル注射針の先
    端から排出させるために要する力が、25℃の条件下で
    測定した場合に以下の通りである。 (1)カテーテル長:1650mm 針径:21G
    6.0kgfを超えない (2)カテーテル長:2300mm 針径:25G 1
    0.0kgfを超えない
  3. 【請求項3】 さらに下記の性質を有することを特徴と
    する、請求項1または2に記載の医療用組成物。ウサギ
    の胃の大彎側幽門部近傍粘膜下に胃漿膜側から針径が2
    7Gの注射針を用いて前記溶液を0.5mL投与し、次
    いで30分間放置した後、当該部位を急速冷凍して隆起
    頂点から縦切開したときの断面における粘膜の隆起の特
    徴が以下の通りである。前記溶液が投与されていない部
    分の粘膜表面を基準にした場合、そこから粘膜の隆起頂
    点までの高さの平均が5.0mmを下回らない。
  4. 【請求項4】 多糖がグリコサミノグリカンである、請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用組成物。
  5. 【請求項5】 グリコサミノグリカンがヒアルロン酸で
    ある、請求項4に記載の医療用組成物。
  6. 【請求項6】 ヒアルロン酸の重量平均分子量が60万
    〜390万である、請求項5に記載の医療用組成物。
  7. 【請求項7】 ヒアルロン酸の重量平均分子量が70万
    〜300万である、請求項6に記載の医療用組成物。
  8. 【請求項8】 ヒアルロン酸の重量平均分子量が70万
    〜120万または190万〜300万である、請求項7
    に記載の医療用組成物。
  9. 【請求項9】 さらにコンドロイチン硫酸またはその医
    学的に許容される塩を含有することを特徴とする、請求
    項5〜8のいずれか1項に記載の医療用組成物。
  10. 【請求項10】 「コンドロイチン硫酸またはその医学
    的に許容される塩」に対する「ヒアルロン酸またはその
    医学的に許容される塩」の含有比が1/10〜1/20
    (w/w)であることを特徴とする、請求項9に記載の
    医療用組成物。
  11. 【請求項11】 上皮が粘膜である、請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 粘膜が消化器粘膜である、請求項11
    に記載の組成物。
  13. 【請求項13】 粘膜切除術に用いられる、請求項11
    または12に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれか1項に記載
    の医療用組成物が充填されたシリンジ。
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