JP2003201206A - 植物の生育制御方法 - Google Patents

植物の生育制御方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は植物の生育を阻止する技術に関するも
のであり、詳しくは、ウッドチップと重曹を用いて雑草
の生育を抑制(制御)し、更にはウッドチップの有効利
用を可能としたものである。 【解決手段】十分に乾燥されたウッドチップに対し、重
曹の(過)飽和状態の水溶液中に含浸させ、十分に水切
りしたかかるウッドチップを植物の生育する土壌表面に
敷き詰めることを特徴とし、ウッドチップは、ハンマ−
ナイフで叩き割った如き裂裁状の長さ10cm以下で太
さ1cm以下の大きさとした植物の生育制御方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物の生育を阻止す
る技術に関するものであり、詳しくは、ウッドチップと
重曹を用いて雑草の生育を抑制(制御)し、更にはウッ
ドチップの有効利用を可能としたものである。
【0002】
【従来の技術】近来、除草剤や農薬等が土壌、水(地下
水・河川・湖沼等)、微生物、昆虫、水棲昆虫、魚、
鳥、人間、と連鎖して広がり、環境に与える影響が余り
にも大きいとして問題とされ、一部では国や都道府県か
ら規制される以前から自粛の動きがあった。特に河川
敷、鉄道敷き、道路法面等の広大な土地面積を管理して
いる国土交通省・自治体は巨額の除草費用を出費してい
る。しかし、この厄介な雑草と言えども法面保護や小動
物、鳥獣の生育場所として、又、美観の点からも枯らさ
ずに緑を保つことも要求されている。
【0003】さて、従来の技術として、環境に全く悪影
響を与えない重曹を用いて雑草の生育を制御し、枯死さ
せたり矮化させたりする技術は知られていない。しかる
に、本発明者等はかかる重曹を用いた植物の矮化方法を
既に提供した。この既提案の技術は重曹粉体或いは重曹
水溶液を植物に付着させ、植物の生育部を枯死させると
ともに、根を生かしたまま次世代における矮化を促進さ
せる矮化方法であり、その植物への付着は具体的には、
重曹粉体ブラスト法、高水圧ブラスト法、スチームジェ
ツトブラスト法等の吹付法、予め植物に定着剤を撒き次
いで重曹を噴霧する方法、定着剤と重曹を同時に又は混
合して噴霧する方法、重曹水溶液中に植物の種子を浸漬
し、次いで圃場あるいは培土に撒種して栽培する方法、
重曹を固定化した担体あるいはこれを含んだ培土を直接
矮化させたい種子と混合し、次いで圃場或いは培土に撒
種して栽培する方法等を提供するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、農薬
等における安全性の問題を回避し、かつ地球環境に配慮
しつつ植物の生育を抑制(制御)しようとするにあり、
しかも長時間に渡って抑制(制御)可能とするものであ
って、ほとんど用途のない森林の間伐材等から生じるウ
ッドチップと上記重曹とを組み合わせた植物の生長抑制
方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、十分に
乾燥されたウッドチップに対し、重曹の(過)飽和状態
の水溶液中に含浸させ、十分に水切りしたかかるウッド
チップを植物の生育する土壌表面に敷き詰めたことを特
徴とする植物の生育制御方法であり、ウッドチップは、
例えばハンマ−ナイフで叩き割った如き裂裁状の長さ1
0cm以下で太さ1cm以下の大きさのものである。
【0006】
【発明の実施の形態】雑草や他の植物に対する除草や生
育抑制には通常は農薬が使用されているが、前記したよ
うに農薬の安全性問題とも相俟って地球環境保全の指向
とは逆の方向にある。そして、この種の薬剤は殆どが天
然には存在しない合成化合物を主成分とするものであ
り、例えば、植物の矮化に使用される薬剤として、アン
シミドール剤、ジケグラック剤、ダミノジット剤、メフ
ルイジド剤、クロルメコート液剤、バクロブトラゾール
粒剤、イナベンフィド粒剤等いずれも合成化合物が主成
分である。そして、その多くが使用濃度に依存する薬効
成分であるため、薬害の回避方法や使用時期の選定等に
知識と経験が必要とされ、地球環境汚染を伴うことが避
けられないのが現状である。
【0007】本発明にて用いられる重曹(NaHCO
3 )は水溶性であり、飽和水溶液でもほぼ中性(pH
8.2)なので、土質に影響を及ぼすことが殆んどな
い。また植物への処理後は雨とともに流れ去るので、地
球環境に害を与えることなく処理することができること
は言うまでもない。かかる重曹は炭酸水素ナトリウムを
主成分とするものであれば特に限定なく公知のものを使
用でき、本発明の目的から逸脱して環境に悪影響を与え
ない限り不純物を含んでいても良い。例えば、Na2
3 、SiO3 、Ca、Mgが含まれていてもよい。本
発明に使用できる市販品の重曹は例えば商品名「ARM
EX」、Church&Dwight Co.,In
c.の製品があるが、これらに限定されるものではな
い。
【0008】本発明はかかる重曹を雑草及び他の植物の
生育抑制(制御)に利用したものであり、これの坦体と
して間伐材等から得られるウッドチップ(おがくずを含
む)を利用するものである。従来、ウッドチップの利用
としては、例えばゴルフ場や公園等の道やその周辺に雑
草等が生えないように表面に敷き詰めることが行われて
いる。しかるに、ウッドチップが敷き詰められた土壌表
面は日光が遮られるために雑草の生育は少ないが、ウッ
ドチップは必然的に土に同化するものであり、雑草の生
育の制御はそれほど長い期間ではなく、かえって、土に
同化した後にはこれが栄養分となり植物の生長が増すよ
うな現象も起こる。
【0009】本発明はこのような観点からなされたもの
であり、ウッドチップに重曹を含浸させ、これを土壌表
面に敷き詰めることにより植物の生育を長期間に渡り制
御(制御)することが可能となったものである。用いら
れるウッドチップは森林の間伐材が利用できるため、安
価でかつその実用性は極めて高いものである。ここで用
いられるウッドチップの大きさはとくには限定されない
が、通常は長さ10cm以下で太さ1cm以下程度の大
きさである。更に詳しくは、木材をハンマーナイフで叩
き割った裂イカ状にしたものがよく、平均的には長さ1
0cm以下、径1cm以下のものがよい。ウッドチップ
同士が絡み合い、風による飛散や雨天時の法面でも流出
を防げるからである。
【0010】そして、ウッドチップを充分に乾換させ、
これを重曹水を含浸させるものであり、重曹水は水に1
0%以上の重曹を入れた過飽和水溶液とするのがよい。
この含浸させたウッドチップは十分に水切りをしてから
使用することとなるが、散布量は地表を軽く覆う位でよ
く、1m2 当たり2kg(0.008m3 )を目安とす
る。
【0011】勿論、土壌表面にウッドチップを多量に敷
き詰めることによって植物の生育をほとんど完全に阻止
することも可能であるが、その重曹の量によっては生育
する植物の生育量を制御(抑制)することも可能であ
る。例えば、河川や公園、更には飛行場等において、除
草は必須のことであるが、完全に枯死させてしまうこと
は不都合な場合もあり、特に飛行場等にあっては砂塵の
舞い上がりを防ぐために背丈の低い雑草が適当量生育し
ていることが望まれるが、本発明のウッドチップの量、
即ち重曹の量を加減することにより、生育の抑制(制
御)が可能となったものである。例えば、飛行場等にあ
っては植物の背丈が余り高くならないように、毎年3〜
4回程度雑草の刈り込みをする必要がありその費用は莫
大なものとなる。このため、本発明におけるような植物
の生育の抑制(制御)が可能な方法が雑草対策には大き
な寄与をなすこととなる。
【0012】尚、撒いてから1週間以上も雨が降らない
時等に、直に効き目を出したい時は水を撒き、早く植物
の茎や根に有る生長点に重曹水を浸透させ生長を抑制す
るのがよい。一方、雨の多いときは希釈速度が速いので
追加的に8%〜10%濃度の重曹水を散布するか、追加
的に重曹水を含浸させたウッドチップを散布するのがよ
い。効果的な散布時期は散布する重曹水を含浸させたウ
ッドチップ等の抑制材を雑草等を刈り取った後〜発芽し
て丈が5cm程度伸びた頃までが最もよい。そして、豪
雨等で抑制材が流出しないよう考慮すべきであり、特に
傾斜地で利用する時は雑草等の茎がある程度の長さで残
っているか又は発芽を待って抑制材散布するべきであ
る。
【0013】抑制効果は天侯にも左右(雨の量)される
が、1回の散布処理で1〜3ケ月持続する効果があり、
植生している植物にもよるが、初年度に3〜6回の処理
をすると翌年は抑制が効き処理回数が半減できる。
【0014】尚、多年草の場合、根を枯らさないように
散布回数のコントロールをするべきであり、抑制が効き
過ぎたときは水を散布したり雨をあてて重曹の濃度を希
釈して生長を回復させるのがよい。
【0015】2回目以降の散布の際、重曹にて処理した
ウッドチップを更に散布することもよいが、上記したよ
うに重曹水溶液をウッドチップ上に散布するだけでもよ
く、その重曹成分としては、取扱上更には効果の持続性
を考慮して、ジェル(gel)状、泡状、ペレット(p
ellet)状、これらのミキシング物を散布すること
もよい手段である。尚、ジェル状とは水溶液を過飽和状
態にしてポンプで練ったものであり、濃度がコントロ−
ルできる特徴がある。泡状とは重曹を練る過程で出る炭
酸ガスやポンプから出る空気が泡状となったところを空
気圧で吹き飛ばして散布するものであり、ペレット状と
は前記ジェル状の状態を燒結又は結晶させ粒塊及び粒状
としたものである。ミキシングとはジェル状・泡状にペ
レットをミックスしたもので、ジェル状・泡状を散布す
る時に散布機やノズルでペレットを混入して同時又は直
後に散布することになる。
【0016】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
ウッドチップは公園や造林造園業者から排出された間伐
材から得られるものであり、その大きさは大小様々なも
のであるが、平均的には長さが10cm以下で太さが1
cm程度である。用いられた粉末重曹は、Church
&DwightCo.,Inc.の製のコンポジットフ
ォ−ミュラ(粒径100μm級)である。かかる重曹を
(過)飽和水溶液となし、これをウッドチップに含浸さ
せ、乾燥させた。そして、通常ではチガヤが成長する土
壌表面に得られたウッドチップを敷き詰めた。尚、ウッ
ドチップに対し10重量%含浸させたものであり、これ
を土壌表面に散布した。
【0017】図1はチガヤの生長状況を示す写真であ
り、(a)はチガヤを刈取った直後にウッドチップを散
布した状態を示す。散布日は平成13年9月29日であ
る。(b)は34日後(11月2日)におけるチガヤの
成育状況を示すものである。左側が無処理の状態(コン
トロ−ル)で、右側がウッドチップを散布したものであ
る。図1にて分かるように処理した側の土壌からはチガ
ヤの生長が抑制されていることが分かる。即ち、34日
経過後にチガヤの量を約70%抑制することができた。
【0018】図2はチガヤの生長抑制を示すグラフであ
り、縦軸がチガヤの背丈、横軸が処理日を示す。1はチ
ガヤのコントロ−ル、2が10%処理による結果であ
る。このグラフからも本発明の生育制御の効果が判明し
た。
【0019】図3は同様に芝状にウッドチップを散布し
たものである。この例も又芝の生長が抑制されているこ
とが分かる。この例も又、約70% 以上の抑制が証明
された。
【0020】図4はシバの生長抑制を示すグラフであ
り、縦軸が芝の背丈、横軸が処理日を示す。3はシバの
コントロ−ル、4が10%処理による結果である。この
グラフからも本発明の生育制御の効果が判明した。
【0021】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の植物の抑
制(制御)方法は、土壌表面に重曹を含浸させたウッド
チップを敷き詰めることによりなるものであり、植物の
生育抑制(制御)剤として優れたものであり、低コスト
で水溶性であると共に環境に対して無害であるので、河
川、道路、空港、公園等の植物の処理に対し特に有効で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はチガヤの生長状況を示す写真である。
【図2】図2はチガヤの生長抑制を示すグラフである。
【図3】図3はシバの生長状況を示す写真である。
【図4】図4はシバの生長抑制を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年3月11日(2002.3.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 十分に乾燥されたウッドチップに対し、
    重曹の(過)飽和状態の水溶液中に含浸させ、十分に水
    切りしたかかるウッドチップを植物の生育する土壌表面
    に敷き詰めることを特徴とする植物の生育制御方法。
  2. 【請求項2】 ウッドチップは、ハンマ−ナイフで叩き
    割った如き裂裁状の長さ10cm以下で太さ1cm以下
    の大きさである請求項1記載の植物の生育制御方法。
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