JP2945619B2 - 植物育成効果のある融雪剤及び融雪方法 - Google Patents

植物育成効果のある融雪剤及び融雪方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は植物育成効果のある融
雪剤及び融雪方法に係り、その目的はゴルフ場や牧場等
の積雪時に雪面上に散布すると融雪効果があり、融雪後
はその融雪剤が芝等の植物の葉面に付着して病原菌やカ
ビ等に抵抗力がある丈夫な植物とし、且つ葉等を効率よ
く成育させ、しかも人体や環境にとって安全である植物
育成効果のある融雪剤及び融雪方法を提供することにあ
る。
【0002】
【従来の技術】積雪時に融雪効果を促進するために、雪
上に融雪剤が散布される。例えば、特開昭54−155
184号公報に開示されている「融雪の促進方法」が知
られている。この技術は、黒色顔料や黒色染料を界面活
性剤とともに溶剤に溶解し、これを雪面に散布する技術
である。この技術は、路面等の積雪には有効であるが、
ゴルフ場や牧場などの積雪には有害であった。即ち、融
雪効果を発露する成分である黒色顔料、黒色染料、界面
活性剤などがゴルフ場や牧場などの植物の成長を阻害
し、更にゴルフ場や牧場などが水源の上流などの場合飲
料水に混入する等の弊害があった。一方従来より、ゴル
フ場や牧場などの植物を健康に保つためには各種殺菌
剤、殺虫剤等の農薬が使用されている。しかしながら、
これらの農薬は病原菌や害虫を駆除し植物を健康に保つ
効果が一定認められるものの、特に作物に使用した場合
は、これら作物に散布された農薬等によって却って人々
の健康を害することがあった。更に最近では、過剰に散
布された農薬が水系等を汚染し、環境破壊の大きな原因
の一つとなっていることが問題とされている。特にゴル
フ場は水源の上流などの場合が多く、飲料水に混入する
等の弊害があった。
【0003】また、葉や果実等を肥大化させるための育
成剤としては、各種肥料、或いは植物用の栄養剤等が使
用されている。この各種肥料等の中には、化学肥料、堆
肥等の天然肥料、或いは成長ホルモン等を含有した栄養
剤等が例示できるが、これらは全て土壌に散布し、土壌
から栄養分を吸収させるという育成剤であった。これら
の育成剤は、散布した栄養分が土壌中に吸収され尽くし
てしまい根から吸収されなかったり、吸収されても散布
した量の一部であったり、更には植物が不健康な場合は
根から吸収されなかったりするという欠点があった。従
って、これらの育成剤は確実に葉や果実等を成育させる
という効率のよい育成剤ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記実情に鑑み、この
発明は植物育成効果のある融雪剤及び融雪方法に係り、
その目的はゴルフ場や牧場等の積雪時に雪面上に散布す
ると融雪効果があり、融雪後はその融雪剤が芝等の植物
の葉面に付着して病原菌やカビ等に抵抗力がある丈夫な
植物とし、且つ葉等を効率よく成育させ、しかも人体や
環境にとって安全である植物育成効果のある融雪剤及び
融雪方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
95重量%〜40重量%の300メッシュ以下の微粉炭
と、5重量%〜60重量%の水分とを泥状にしてなり、
更に分散剤としてベントナイトを10重量%以下配合し
てなることを特徴とする植物育成効果のある融雪剤で、
請求項2記載の発明は、前記請求項1の融雪剤を希釈し
て雪上面に霧状で散布することを特徴とする融雪方法で
あるから、上記課題を悉く解決する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて説明する。この発明に係る融雪剤は、300メッシ
ュ以下の微粉炭と水分を泥状にされている。この発明に
使用する微粉炭は、特に限定されるものではなく、その
具体例としてはマツ、スギ、ナラ、クヌギ、ヒノキ、ヤ
シガラ、オガライト等を素材とする黒炭、白炭、活性炭
等の全ての微粉炭が例示できる。
【0007】この微粉炭の粒度としては、300メッシ
ュ以下が好適に使用できる。この理由は、300メッシ
ュ以下の微粉炭であれば特に分散剤を必要としなくとも
水に懸濁し得るが、300メッシュを超える大きさの微
粉炭は分散剤なくして水に分散しえないことをこの発明
者が実験的に知得したのである。また、この発明で微粉
炭を使用する理由は、雪上面に対しての付着性がよいか
らであり、微粉炭は多孔質体で植物に有用な菌や微生物
を繁殖させる環境を作り出し、且つ光合成に必要な光を
吸収し易く、しかも植物に害を与えることが一切ないか
らである。より詳しくは、多孔質体の微粉炭は、雪上面
で広範囲に分散して太陽エネルギーを吸収して融雪作用
を発揮するとともに、雪とともに地中へ吸収されたり、
雪面下の芝などの植物の葉面に付着する。土に吸収され
た微粉炭は、土中で有効菌に立体的な繁殖の場を与え、
その有効菌の作用により病原菌、カビ等に対して抵抗力
のある植物とする。
【0008】また、植物の葉面に付着した微粉炭は空気
中の亜硫酸ガス、二酸化窒素、或いは過剰に散布された
農薬等の有害物質を吸着して、有害物質から植物を護る
作用も有する。更には、これら繁殖した微生物等の呼吸
作用により、土中面での二酸化炭素量が増大して光合成
が活発になり、炭水化物が増大する。従って、この融雪
剤は雪を溶かした後、雪の下にある植物によってその効
果は異なる場合はあるが、果実を肥大充実し甘味等を増
加させたり、葉を青々と丈夫に大きく成育させたり、植
物の発芽時期等を早めたり、或いは植物の活動期間(光
合成を活発に行ない新しく芽を付けたり、葉を青々と成
育させたりする等の時期)を伸ばしたりする。
【0009】この発明の融雪剤は水分を配合して泥状と
されていることを特徴とする。この泥状化の水分として
利用される水は特に限定されるものではなく、極度に塵
等を含んでいなければよく、具体例としては水道水、蒸
留水、電子水等が例示できる。この水分を配合して泥状
とする理由は、後に説明する如く、水等で希釈して植物
に散布する場合に、水溶液中に分散し易くするためであ
る。この水分の配合量は、5〜60重量%が好適に使用
でき、より望ましくは50重量%程度が望ましい。
【0010】この融雪剤には、植物面への展着性をよく
するために、自然分解性の分散剤として、ベントナイト
が10重量%以下配合される。このベントナイトは展着
剤としても水への分散剤としても機能するので好まし
い。また、この融雪剤には、肥料、植物用の栄養剤等の
他の成分、或いは殺菌剤や殺虫剤等も生態、環境に悪影
響の無い成分であれば必要に応じて適宜配合して散布し
てもよい。
【0011】以下にこの融雪剤の使用方法、即ち融雪方
法について説明する。上記説明した泥状の融雪剤は、水
で100倍から3000倍程度に希釈すれば、好適に使
用できる。この際、必要であれば、前記の殺菌剤や殺虫
剤等も必要に応じて適宜配合してもよい。この希釈され
た融雪剤を噴霧機等を用いて、雪上面に散布する。この
散布回数は、時期、時間帯等によって設定すればよく、
明確に規定できるものではないが通常は融雪が完了する
までに6〜8回程度行なうとよい。しかしながら、必ず
しも頻繁に散布することにより融雪時間が短縮されるも
のではない。
【0012】この雪上面に散布された融雪剤は雪上面に
留まり、融雪し、融雪後は一部は土中へ、更に一部は雪
の下の植物の葉面に展着する。前記説明した如く、土中
の融雪剤は、土中では有効菌を繁殖させ、その結果病原
菌等に対して抵抗力のある植物とするとともに、葉面に
付着した融雪剤は葉等の光合成を活発にし、葉や果実等
を肥大に成育させる。
【0013】
【実施例】以下にこの発明に係る融雪剤及び融雪方法の
実施例、比較例及び試験例を示すことにより、この発明
の効果を明確にする。
【0014】(実施例1) 300メッシュ以下の微粉炭(スギ)50重量%に精製
水50重量%を加え、混練して泥状とし、この融雪剤を
作成した。この融雪剤を水で100倍から3000倍ま
でに希釈して試験液とし、次の試験に供した。
【0015】(試験例1) 平成7年12月中旬、奈良県吉野郡の吉野山系の西南斜
面で、積雪30cmの雪面を1m四方で5区画、各2m
ずつ離して試験地AないしEを作成し、融雪試験した。 試験地A 100倍 1リットル 4回/一日 試験地B 500倍 1リットル 4回/一日 試験地C 1000倍 1リットル 4回/一日 試験地D 3000倍 1リットル 4回/一日 試験地E 水のみ 1リットル 4回/一日 試験地A乃至Cは約3日でDは約6日で融雪した。試験
地Eは完全に融雪するのに10日要した。従って、10
00倍程度の希釈率が好適と考えられる。
【0016】(試験例2) 5m×5mの土地3区画に高麗芝の水坪(45cm×1
8cm)を張芝法で張芝した芝生を用意した。(この3
区画の芝は同様の成育状況を示していた。)この3区画
をF区G区H区とし、F区の芝生に平成6年10月から
平成7年2月まで毎月3回、試験例1の1000倍希釈
液を各25リットル散布し、G区の芝生には試験例1の
組成に6重量%のベントナイトを混入した泥状融雪剤を
1000倍に希釈して平成6年10月から平成7年2月
まで毎月3回、それぞれ散布した。H区の芝生には単な
る水を同様に散布した。尚、10月以後、これらの芝生
には追肥、農薬散布等一切行なわなかった。このF区と
G区の芝生の芽を付ける時期を目視で観察した。その結
果F区の芝生は平成7年3月1日には7割程度の芝が芽
を付け、G区の芝生は9割程度の芝が芽を付けて、H区
の芝生の6割程度の芝生が芽を付けたのは平成7年3月
12日であった。
【0017】
【発明の効果】この発明は95重量%〜40重量%の3
00メッシュ以下の微粉炭と、5重量%〜60重量%の
水分とを泥状にしてなり、更に分散剤としてベントナイ
トを10重量%以下配合してなることを特徴とする植物
育成効果のある融雪剤、請求項2記載の発明は、前記請
求項1の融雪剤を希釈して雪上面に霧状で散布すること
を特徴とする融雪方法であるから、ゴルフ場や牧場、果
樹園等の積雪時に雪面上に散布すると融雪効果があり、
融雪後はその融雪剤が芝等の植物の葉面に付着して病原
菌やカビ等に抵抗力がある丈夫な植物とし、且つ葉等を
効率よく成育させ、しかも人体や環境にとって安全であ
る植物育成効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 3/18 A01G 7/00 604 A01N 61/00 A01N 65/00 E01H 10/00 CA(STN) WPI/L(QUESTEL)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 95重量%〜40重量%の300メッシ
    ュ以下の微粉炭と、5重量%〜60重量%の水分とを泥
    状にしてなり、更に分散剤としてベントナイトを10重
    量%以下配合してなることを特徴とする植物育成効果の
    ある融雪剤。
  2. 【請求項2】 前記請求項1の融雪剤を希釈して雪上面
    に霧状で散布することを特徴とする融雪方法。
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