JP2003193326A - 中空モノフィラメントおよびそれを用いた工業用織物 - Google Patents
中空モノフィラメントおよびそれを用いた工業用織物Info
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Abstract
途に最適な中空モノフィラメントおよびそれを用いてな
り、複雑な織り構造による通気度調整を必要とせずとも
汚れの付着を効果的に防止した工業用織物の提供。 【解決手段】 繊維の軸方向に延びる1つ以上の中空孔
を有する中空モノフィラメントであって、圧縮変位率が
20%以上、圧縮変位の回復率が50%以下である中空
モノフィラメント。
Description
整が要求される織物の用途に最適な中空モノフィラメン
トおよびそれを用いた工業用織物に関するものである。
役割は湿紙を乾燥させることである。すなわち、一般に
抄紙機のドライヤーパートにおける脱水量は全体の約
0.6%にすぎないが、湿紙の乾燥コストはプレスパー
トにおける機械的な搾水コストの約5倍を要するといわ
れており、製紙用途によって効率よく乾燥させることが
重要な課題となっている。更に、近年では抄紙機の高速
化が進んでおり、ドライヤーカンバスの通気度調整が重
要視されるようになってきている。
ノフィラメントが主に使用され、特に強度、剛性などの
力学的特性や熱的な特性、耐久性などのバランスがとれ
たポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)モノフ
ィラメントが用いられている。
調整手段としては、平織り、二重織り、三重織り、およ
び緯糸中芯にマルチフィラメントやスパン糸などを打ち
込む方法などのカンバスの織り組織による調整方法があ
るが、熱収縮特性の相違、糸直径や異形断面などの寸法
や形状の相違などのモノフィラメントの特性を利用した
調整方法、あるいはその両方を用いた調整方法がある。
は、経糸に断面正方形のモノフィラメントを使用するこ
とによって、扁平糸より断面積を大きく取ることができ
て、経糸強力の増大により緯糸にクリンプを付けやすく
なり、織り密度増大により広範囲にわたって通気度調整
を可能とした抄紙用ドライヤーカンバスが提案されてい
る。
は、経糸に断面形状が楕円形のモノフィラメント、緯糸
に直径0.6〜1.2mmのモノフィラメントを使用し
た経糸および緯糸密度が4〜15本/2.54cmのド
ライヤーカンバスであって、通気度が35000cc/
min/cm2 以上の抄紙用ドライヤーカンバスが提案
されている。
には、扁平糸を経糸に使用した表面層と裏面層からなる
二層構造からなり、表面層は3/1破れ綾組織とし、緯
糸に乾熱収縮率が高く寸法の異なる大小2種類の糸を少
なくとも表面層に交互に配した抄紙用ドライヤーカンバ
スが提案されている。
報には、抄紙機のドライヤーパートで紙粉減量中に含ま
れる粘着性油分のガム質ピッチや製紙用糊剤・塗工液な
どの汚れがカンバスの表面に付着し通気性が低下するの
を防ぐために、単層の平織り組織に織成した目の粗い多
孔性抄紙用ドライヤーカンバスが提案されている。
チフィラメントの紡績糸を使用した工業用織物に比べ、
織り目に汚れが付着しにくく、通気性に優れているが、
上述した特開平10−317295号公報や特開平11
−269791号公報に記載の抄紙用ドライヤーカンバ
スは、織り組織が複雑なため、織り目に汚れを付着させ
やすく、通気性を低下させる原因になりやすいという問
題があった。
の断面正方形モノフィラメントを経糸に使用した織物
は、扁平糸を使用したものに比べ平面性が劣るばかり
か、織物に厚みが生じるため、製紙工程のペーパードラ
イヤー群で織物の外側を走行する湿紙にストレッチが加
わり、スリップなどによって紙粉が発生しやすくなると
いう問題があった。そして、この紙粉が織り目に付着
し、通気性を低下させる原因になっていた。なお、モノ
フィラメントの糸径を小さくすれば、こうした問題も改
善されるが、逆に糸の強力が低下するため緯糸にクリン
プを付けにくくなるという二律背反の問題があった。
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。
通気度調整が要求される織物の用途に最適な中空モノフ
ィラメントおよびそれを用いることにより複雑な織り構
造による通気度調整を必要とせずに、汚れの付着を効果
的に防止した工業用織物を提供することにある。
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の圧縮変位
率および圧縮変位の回復率を有する中空モノフィラメン
トが、織物とした場合に幅広く通気性をコントロールで
きるモノフィラメントであり、さらにはこのモノフィラ
メントからなる工業用織物が、織り密度を幅広くコント
ロールして適度な通気性を得ることができ、複雑な織り
構造による通気度調整を必要とせずとも汚れの付着を効
果的に防止可能であることを見出し、本発明に到達し
た。
る1つ以上の中空孔を有する中空モノフィラメントであ
って、圧縮変位率が20%以上、圧縮変位の回復率が5
0%以下であることを特徴とする中空モノフィラメント
を提供するものである。
復率は、(株)島津製作所「島津粉体圧縮試験機 PC
T−200」を使用して次の条件で測定した値である。
すなわち、20℃、65%RHの環境下で24時間以上
放置した中空モノフィラメントの側面を、直径500μ
mの平面を有するダイヤモンド製円盤状加圧子で原点荷
重15gf、最大荷重200gf、荷重付加速度1.4
4gf/秒の条件で圧縮・回復させた時の糸直径変位を
読み取り、次式から圧縮変位率および圧縮変位の回復率
を求めた。なお、同一の中空モノフィラメントから3本
の試料を採取し、n3の測定を行って平均を求めた。
率)×100 ここで、上記式中におけるDは試験に供する前の原糸の
直径あるいは代表径(μm)、L1は最初に試料に与え
た原点荷重15gf時点での変位と最大荷重200gf
における変位との変位差の絶対値(μm)、L2は前記
L1と荷重を最大荷重200gfから原点荷重15gf
にまで減じた時の復元変位との差(残留変位)の絶対値
(μm)であり、復元率は前記D、L1、L2から式
[(L1−L2)/D]×100で算出した値(%)で
ある。)なお、本発明の中空モノフィラメントにおいて
は、糸断面の総断面積に対し前記中空孔が占める総面積
の比率が20〜80%であること、および糸断面に存在
する前記中空孔の数が1〜10であることが、いずれも
好ましい条件として挙げられる。
モノフィラメントを緯糸の少なくとも一部に使用したこ
とを特徴とする。
明する。
は、繊維の軸方向に延びる1つ以上の中空孔を持ち、織
物の緯糸の少なくとも1部に使用された場合に、幅広く
通気性をコントロールすることができるモノフィラメン
トである。
を緯糸の少なくとも1部に使用した工業用織物は、人為
的に糸を潰して中空構造を破壊し、形状を変形させるこ
とによって、織り密度を幅広くコントロールして適度な
通気性が得られるというこれまでにない画期的な特徴を
有するものである。
合成樹脂としては、6ナイロン、66ナイロン、610
ナイロン、612ナイロン、6/66共重合体などのポ
リアミド樹脂およびその共重合体、ポリエチレンテレフ
タレート(以下、PETという)、ポリブチレンテレフ
タレート(以下、PBTという)、ポリエチレンナフタ
レート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート
などのポリエステル類およびその共重合体、ポリフッ化
ビニリデン、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合
体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレ
ン・フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂類、ポ
リフェニレンスルフィド(以下、PPSという)、ポリ
エチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類など
が挙げられるが、強度や剛性などの力学的特性、熱的な
特性および耐久性などにバランスのとれた上記ポリエス
テル類のなかでもPETや、耐熱性と耐湿熱性を併せ持
ったPPSが、抄紙用ドライヤーカンバスの素材として
特に好ましいポリマーである。
およびPBTには、そのジカルボン酸成分であるテレフ
タル酸の一部を、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ア
ジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸およびスルホン酸金
属塩置換イソフタル酸などで置き換えたものでもよく、
またグリコール成分であるエチレングリコールまたは
1,4−ブタンジオールの一部を、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび
ポリアルキレングリコールなどで置き換えたものであっ
てももよい。
は、使用条件下によって加水分解反応を起こしやすい。
そこで1分子中に1個または2個以上のカルボジイミド
基を有する化合物、例えば、N,N´−ジ−o−トリイ
ルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミ
ド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,
N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、
N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、
N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチル
フェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニ
ルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニル
カルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカ
ルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニル
カルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボ
ジイミド、N,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミ
ド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジ
イミド、p−フェニレン−ビス−ジシクロヘキシルカル
ボジイミド、ヘキサメチレン−ビス−ジシクロヘキシル
カルボジイミド、エチレン−ビス−ジフェニルカルボジ
イミド、および芳香族ポリカルボジイミドなどの1種ま
たは2種以上の化合物を任意に選択し含有させ、ポリエ
ステル末端基カルボキシル基濃度を低下させることによ
り耐加水分解性を向上させることもできる。
ヤーカンバスとして使用する場合には、製紙原液中に添
加されている填料、サイズ剤、紙力増強剤など各種製紙
原料やその他からなる汚れが表面に付着・蓄積して、通
気性を低下させる場合がある。そこで、テトラフルオロ
エチレンとエチレンとを主たる構成成分とするランダム
共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニ
リデンフルオライド、ビニリデンフルオライド・テトラ
フルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビ
ニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、ポリパーフルオロアル
キル・アクリレート、ポリパーフルオロアルキル・メタ
アクリレート、パーフルオロアルキル・アルキレートお
よび/またはパーフルオロアルキル・メタアクリレート
とヒドロキシアルキル基を含有する場合を含めたアクリ
レートおよび/またはメタアクリレートとのランダムま
たはブロック共重合体、o−またはm−パーフルオロオ
キシイソフタル酸をジカルボン酸成分の少なくとも一部
に含むポリエステルまたはポリエーテルポリエステルな
どのポリマー分子の側鎖にフッ素原子を有するフッ素系
重合体などの1種または2種以上の化合物を任意に選択
し含有させる方法も有効である。
酸化ケイ素、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、クレー、タ
ルク、カオリンおよびジリコニウム酸などの各種無機粒
子や架橋高分子粒子および各種金属粒子などの粒子類の
ほか、従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン
交換剤、着色防止剤、帯電防止剤、各種着色剤、ワック
ス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強
化繊維類などが添加されていてもよい。
何等特殊な方法を必要とせず公知の中空紡糸方法で行う
ことができる。例えばエクストルーダーのような混練押
出機、あるいはプレッシャーメルター型などの溶融紡糸
機を用いてポリマ樹脂を中空紡糸口金から溶融押出し、
引き続き冷却、熱延伸、熱セットすることにより成型さ
れる。
空モノフィラメントは、次に示す特性を有することが必
要である。
よって適宜選択され特に限定されるものではないが、
0.05〜3mmの範囲が最もよく使用される。
面形状は特に指定されるものではなく、モノフィラメン
トの軸方向に延びる中空孔が少なくとも1つ以上あれ
ば、円形、正方形、扁平、楕円形、半月状、三角形、5
角以上の多角形、多葉状、繭型などもよく、例えば図1
(a)〜(p)に示すような各種断面形状のモノフィラ
メントが挙げられる。
空孔が多すぎる場合には、口金の吐出孔が複雑となるた
め、樹脂が溶融押出されるとき圧力が急上昇して、作業
上問題が生じる場合がある。また、口金孔から溶融押出
された直後は、バラス効果により中空孔が塞がる場合も
ある。
トにおいては、糸断面に存在する中空孔の数がモノフィ
ラメント1本当たり1〜10個、特に1〜6個であるこ
とが好ましい。
いて、糸断面の総断面積に対し中空孔が占める総面積の
比率が小さすぎると、中空構造の潰れが小さいため、本
発明が意図する特徴と効果が発揮されない。また、中空
孔が占める総面積の比率が大きすぎても、中空構造の潰
れが大きいために、織物に使用した場合に目崩れが起こ
りやすくなり、さらには引張特性が低下する傾向とな
る。こうした理由から、糸断面の総断面積に対し中空孔
が占める総面積の比率は20〜80%の範囲にあること
が好ましく、さらには30〜70%の範囲にあることが
好ましい。
の組成や中空孔の数、さらには糸断面の総断面積に対す
る中空孔が占める総面積の比率により、中空構造の潰れ
方や糸の硬さが異なることになるが、さらに本発明の目
的に合った評価規準として、(株)島津製作所「島津粉
体圧縮試験機 PCT−200」を使用して測定した圧
縮変位率および圧縮変位の回復率が特定の値を満たすこ
とが必要である。
率の測定は次の条件で測定するものとする。
24時間以上放置した中空モノフィラメントの側面を、
直径500μmの平面を有するダイヤモンド製円盤状加
圧子で原点荷重15gf、最大荷重200gf、荷重付
加速度1.44gf/秒の条件で圧縮・回復させた時の
糸直径変位を読み取り、次式から圧縮変位率および圧縮
変位の回復率を求めた。なお、同一の中空モノフィラメ
ントから3本の試料を採取し、n3の測定を行って平均
を求めた。
率)×100 ここで、上記式中におけるDは試験に供する前の原糸の
直径あるいは代表径(μm)、L1は最初に試料に与え
た原点荷重15gf時点での変位と最大荷重200gf
における変位との変位差の絶対値(μm)、L2は前記
L1と荷重を最大荷重200gfから原点荷重15gf
にまで減じた時の復元変位との差(残留変位)の絶対値
(μm)であり、復元率は前記D、L1、L2から式
[(L1−L2)/D]×100で算出した値(%)で
ある。
は、上記の圧力変位率が20%以上、および/または圧
縮変位の回復率が50%以下であることが重要であり、
圧力変位率が上記の範囲未満および/または圧縮変位の
回復率が上記の範囲を越える場合には、中空構造の潰れ
が小さくなるため、本発明が意図する特徴と効果が発揮
されない傾向となる。
を、工業用織物、特に抄紙用ドライヤーカンバスの緯糸
の少なくとも1部に使用した場合には、人為的に糸を潰
して中空構造を破壊し、形状を変形させることにより、
織り密度を幅広くコントロールして適度な通気性を得る
ことができる。さらには、糸の潰れ方、太さや形状の異
なるモノフィラメントを同一の織物に混合使用すること
により、一層微小な織り密度コントロールが可能とな
る。
るが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例
に何ら限定されるものではない。
空モノフィラメントの物性などは、以下の方法により測
定した値である。 [圧縮変位率および圧縮変位の回復率]上記のとおり。 [中空部の総面積の比率および代表径]モノフィラメン
ト試料をミクロトームで厚さ15μmに輪切りにし、そ
の切片の断面を(株)KEYENCE製デジタルHDマ
イクロスコープVH−7000の面積測定機能を使用し
て測定した。楕円形、半月状、多葉状、繭型など少なく
とも一部に曲線部や複雑な形状を有する異形断面の面積
測定は三十角形以上の多角形に近似してn:3個の測定
値の平均値を各々のサンプルの中空部の総面積の比率と
した。
VH−7000を使用し、断面形状に外接する円の直径
を3回測定し、その平均値を代表径とした。 [織物の通気度調整の容易度]各実施例および比較例で
得られた中空モノフィラメントを、図2に示した三重織
りの織物の中ヨコ糸1として使用し、その織物の通気度
をJIS−L−1096のフラジール法に準じて測定し
た。なお、織物のタテ糸3および表面・裏面ヨコ糸2と
しては、中ヨコ糸1と同じ線径の丸断面中実モノフィラ
メントを使用し、織密度はタテ糸63本/インチ、ヨコ
糸36本/インチ×3段とした。製織後、タテ方向に6
0N/cmの張力を1時間加えることにより織物をセッ
トし、その後Ain Penmeability Te
sten FX3300(スイスTEXTEST AG
製)を使用して通気度を測定し、未セットの織物と比較
評価した。 [実施例1]乾燥したPET樹脂(東レ(株)製、T7
50M)を、φ40mmの1軸エクストルーダ型溶融紡
糸機に供給し、285℃の温度で溶融混練した後、紡糸
口金から紡出した。次いで、溶融状態の紡出糸を温水中
に導いて冷却固化せしめた後、巻き取ることなく、88
℃および180℃の2段で合計5.50倍に延伸し、引
き続き230℃、0.9倍で熱処理し、公知の油剤を付
与しボビンに巻き取ることによって、図1(l)に示す
ような中空孔の数が4つ、中空部の総面積比率が34%
の中空モノフィラメントを得た。得られた中空モノフィ
ラメントの物性とこれを用いた織物の通気度測定結果を
表1に示す。
れに対して良好であった。また、織物の通気度は、未セ
ットの織物に比べて60%減少し、抄紙機ドライヤーパ
ートのウェットエンド部で使用可能な通気度にコントロ
ールすることができた。 [実施例2]乾燥した6ナイロン樹脂(東レ(株)製、
M1021T)を、φ40mmの1軸エクストルーダ型
溶融紡糸機に供給し、260℃の温度で溶融混練した
後、紡糸口金から紡出した。次いで、溶融状態の紡出糸
を水中に導いて冷却固化せしめた後、巻き取ることな
く、60℃および130℃の2段で合計4.70倍に延
伸し、引き続き180℃、0.95倍で熱処理し、公知
の油剤を付与しボビンに巻き取ることによって、図1
(e)に示すような中空孔の数が5つ、中空部の総面積
比率が60%の中空モノフィラメントを得た。得られた
中空モノフィラメントの物性とこれを用いた織物の通気
度測定結果を表1に示す。
位率はいたって良好であった。また、織物の通気性は、
未セットの織物に比べて55%減少し、通気度を大幅に
コントロールすることができた。 [実施例3]乾燥したPPS樹脂(東レ(株)製、E2
080)を、φ40mmの1軸エクストルーダ型溶融紡
糸機に供給し、320℃の温度で溶融混練した後、紡糸
口金から紡出した。次いで、溶融状態の紡出糸を温水中
に導いて冷却固化せしめた後、巻き取ることなく、10
0℃および140℃の2段で合計4.20倍に延伸し、
引き続き150℃、0.95倍で熱処理し、公知の油剤
を付与しボビンに巻き取ることによって、図1(d)に
示すような中空孔の数が4つ、中空部の総面積比率が4
0%の中空モノフィラメントを得た。得られたモノフィ
ラメントの物性とこれを用いた織物の通気度測定結果を
表1に示す。
施例1の中空モノフィラメントと実質的に同等であっ
た。また、織物の通気性は、未セットの織物に比べて6
0%減少し、通気度を大幅にコントロールすることがで
きた。 [実施例4]実施例1に記載の樹脂と製造方法により、
図1(o)に示すような中空孔の数が6つ、中空孔の総
面積比率が52%の中空モノフィラメントを得た。得ら
れた中空モノフィラメントの物性とこれを用いた織物の
通気度測定結果を表1に示す。
ントに比べて高圧縮変位率、低回復率で、同じ素材であ
っても、断面形状により、実施例1の中空モノフィラメ
ントと品質的に異なる中空モノフィラメントが得られ
た。また、織物の通気性についても、大幅にコントロー
ルすることができた。 [実施例5]実施例1に記載の樹脂と製造方法により、
図1(n)に示すような中空孔の数が5つ、中空孔の総
面積比率が25%の中空モノフィラメントを得た。得ら
れた中空モノフィラメントの物性とこれを用いた織物の
通気度測定結果を表1に示す。
例1の中空モノフィラメントに比べて、圧縮変位率がや
や小さく、回復率がやや高く、織物の通気量の変化はや
や小さくなったが、通気度を一層微細にコントロールす
ることができた。 [実施例6]実施例2に記載の樹脂と製造方法により、
図1(f)に示すような中空孔の数が8つ、中空孔の総
面積比率が18%の中空モノフィラメントを得た。得ら
れた中空モノフィラメントの物性とこれを用いた織物の
通気度測定結果を表1に示す。
変位率が小さく、回復率が高いため、織物の通気量の変
化も小さいが、通気度を一層微細にコントロールするこ
とができた。 [比較例1]実施例1に記載の樹脂と製造方法により、
直径が0.5mmの丸断面中実モノフィラメントを得
た。得られた中実モノフィラメントの物性とこれを用い
た織物の通気度測定結果を表1に示す。
め、実施例1の中空モノフィラメントを用いた織物に比
べて通気量の変化が極めて小さく、本発明の意図する性
能が発揮されない。 [比較例2]実施例2に記載の樹脂と製造方法により、
直径0.5mmの真円断面の中実モノフィラメントを得
た。得られた中実モノフィラメントの物性とこれを用い
た織物の通気度測定結果を表1に示す。
め、実施例2の中空モノフィラメントを用いた織物に比
べて通気量の変化が極めて小さく、本発明の意図する性
能が発揮されない。 [比較例3]実施例1に記載の樹脂と製造方法により、
外接円半径0.5mmの六角断面中実モノフィラメント
を得た。得られた中実モノフィラメントの物性とこれを
用いた織物の通気度測定結果を表1に示す。
め、実施例4の中空モノフィラメントを用いた織物に比
べて通気量の変化が極めて小さく、本発明の意図する性
能が発揮されない。
フィラメントは、繊維の軸方向に延びる1つ以上の中空
孔を有し、潰れによる変形が大きく、かつ回復性が小さ
いため、この中空モノフィラメントを工業用織物の緯糸
の少なくとも一部に使用した場合に、人為的に織物を圧
縮して中空モノフィラメントを潰し中空構造を破壊する
ことにより、織り組織、つまり織り密度を変えて、目的
にあった通気性を有する織物とすることができる。
は、一般にマルチフィラメントの紡績糸を使用した工業
用織物に比べて比表面積が小さいため、織物表面に汚れ
が付着しにくく通気性に優れているが、通気性を得るた
め織り構造を複雑にすると汚れが付着しやすくなる。こ
れに対し、本発明の中空モノフィラメントを使用した織
物は、そうした織り構造を必要とせずに汚れが付着しに
くいという優れた特性を発揮する。
トを緯糸の少なくとも一部に使用した工業用織物は、抄
紙用ドライヤーカンバスに代表される各種工業用途に極
めて有用である。
メントの断面形状を示す断面説明図である。
度の評価に使用する三重織の織り構造を示す説明図であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 繊維の軸方向に延びる1つ以上の中空孔
を有する中空モノフィラメントであって、圧縮変位率が
20%以上、圧縮変位の回復率が50%以下であること
を特徴とする中空モノフィラメント。(ただし、圧縮変
位率および圧縮変位の回復率は、(株)島津製作所「島
津粉体圧縮試験機 PCT−200」を使用して次の条
件で測定した値である。すなわち、20℃、65%RH
の環境下で24時間以上放置した中空モノフィラメント
の側面を、直径500μmの平面を有するダイヤモンド
製円盤状加圧子で原点荷重15gf、最大荷重200g
f、荷重付加速度1.44gf/秒の条件で圧縮・回復
させた時の糸直径変位を読み取り、次式から圧縮変位率
および圧縮変位の回復率を求めた。なお、同一の中空モ
ノフィラメントから3本の試料を採取し、n3の測定を
行って平均を求めた。 (1)圧縮変位率(%)=(L1/D)×100 (2)圧縮変位の回復率(%)=(復元率/圧縮変位
率)×100 ここで、上記式中におけるDは試験に供する前の原糸の
直径あるいは代表径(μm)、L1は最初に試料に与え
た原点荷重15gf時点での変位と最大荷重200gf
における変位との変位差の絶対値(μm)、L2は前記
L1と荷重を最大荷重200gfから原点荷重15gf
にまで減じた時の復元変位との差(残留変位)の絶対値
(μm)であり、復元率は前記D、L1、L2から式
[(L1−L2)/D]×100で算出した値(%)で
ある。) - 【請求項2】 糸断面の総断面積に対し前記中空孔が占
める総面積の比率が20〜80%であることを特徴とす
る請求項1に記載の中空モノフィラメント。 - 【請求項3】 糸断面に存在する前記中空孔の数が1〜
10であることを特徴とする請求項1または2に記載の
中空モノフィラメント。 - 【請求項4】 請求項1〜3の少なくとも1項に記載の
中空モノフィラメントを緯糸の少なくとも一部に使用し
たことを特徴とする工業用織物。
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