JP2003192951A - インクジェットプリンター用インク、同インクを用いた画像形成方法および画像形成装置 - Google Patents

インクジェットプリンター用インク、同インクを用いた画像形成方法および画像形成装置

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JP2003192951A
JP2003192951A JP2001394029A JP2001394029A JP2003192951A JP 2003192951 A JP2003192951 A JP 2003192951A JP 2001394029 A JP2001394029 A JP 2001394029A JP 2001394029 A JP2001394029 A JP 2001394029A JP 2003192951 A JP2003192951 A JP 2003192951A
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JP
Japan
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ink
dye
solvent
organic
surfactant
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JP2001394029A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Ogawa
美紀 小川
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙や紙以外の媒体に対しても、高速かつ
高精細、高画質のフルカラー印刷が可能であり、さらに
耐候性、耐水性にも優れたインクジェットプリンター用
インクを提供する。 【解決手段】 少なくとも金属アルコキシドまたはその
加水分解生成物、色素、界面活性剤、溶媒を含む組成物
からなるインク液滴を、インクジェットプリンターで吐
出した後に、該インク液滴中の溶媒が乾燥し、色素が取
り込まれた有機領域が規則性を持って配置された有機無
機複合体を形成する構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを吐出口か
ら小液滴として吐出、飛翔させ、この小液滴を被記録材
表面へ付着させて記録を行うインクジェット記録におい
て使用するインクに関し、更に詳しくは、インクジェッ
ト記録用に特別に調製された塗工紙は勿論のこと、オフ
ィスや家庭で一般に使用されている電子写真用紙、レポ
ート用紙、ノート、便箋、ボンド紙、連続伝票用紙等の
非塗工紙である普通紙や紙以外の媒体に対しても、高速
かつ高精細、高画質のフルカラー記録が可能であり、さ
らに耐光性、耐水性にも優れたインクに関する。また、
同インクを用いる画像形成方法および画像形成装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】液体吐出ヘッドの吐出口から記録液(イ
ンク)を吐出することにより記録を行うインクジェット
記録装置が、低騒音、小型などの点で優れた記録装置と
して知られおり、近年さらなる高速化かつ高精細化、高
画質化が期待されている。
【0003】特に、一般のオフィスや家庭で使用される
電子写真用紙、ノート、レポート用紙、便箋、ボンド
紙、連続伝票用紙などの非塗工紙(以下、これらの紙を
総称して普通紙という。)に対する記録においても高精
細、高画質化が望まれている。さらに、紙以外の媒体へ
も記録可能な技術が強く望まれている。
【0004】これらを達成するためのインクジェット記
録技術のひとつにインク技術がある。
【0005】このインクジェットプリンター用インクに
は、ノズル詰まりを起こさず吐出安定性に優れているこ
と、記録媒体への定着速度が早いこと、記録媒体上で均
一なドットを形成できること(即ち、にじみ、混色が少
ないこと)、発色性能が優れていること、褪色が少ない
こと(即ち、耐侯性、耐環境性、耐光性に優れるこ
と)、耐擦傷性、耐水性がよいことなどが求められてお
り、これらに対する提案も数多くなされている。
【0006】例えば、耐水性、耐候性向上を目的とし
て、あらかじめ染料を吸着(吸蔵)させた多孔質微粒子
を利用するという方法がある。
【0007】特開2001−64533号公報では、シ
リカとシリカ以外の無機酸化物からなる複合酸化物微粒
子からシリカ以外の無機酸化物を選択的に除去すること
により多孔質化した微粒子が提案されている。
【0008】また、特開平09−157560号公報お
よび特開平09−71732号公報には、ゾルゲル法で
多孔質セラミック微粒子を製造し、染料が吸着した多孔
質セラミック微粒子をあらかじめ製造して着色剤とし、
該着色剤を溶媒中に分散させてインクを調整する方法が
開示されている。
【0009】他に、インク自体にゾルゲル反応を利用し
て、耐水性、耐光性だけではなく、さらに記録媒体への
密着性を向上する方法も開示されている。
【0010】例えば、特開平09−188837号公
報、特開平09−211219号公報、特開平09−2
79075号公報等には、出発物質として金属アルコキ
シド、色素(即ち、染料、顔料)を含むインクを用いる
ことで、金属アルコキシドから生成する金属酸化物また
は水酸化物のマトリクス中に色素の微粒子を固定する方
法が提案されている。
【0011】上記方法では、記録媒体上への微粒子の固
定を、インクジェットプリンターからインクが吐出され
た後のインク滴中の水分蒸発によりインク滴のゲル化を
進行させることで行っており、密着性向上を図ってい
る。
【0012】特に、特開平09−211219号公報で
は、ガラス、金属、金属酸化物薄膜等無機質材料に密着
性に優れると記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、染料を吸着
(吸蔵)させた多孔質微粒子を利用するという方法で
は、染料の発色性に問題が残されている。
【0014】つまり、上記方法では細孔の大きさや分布
が制御されていないのである。
【0015】細孔が小さすぎる場合は染料が細孔内に吸
着せず細孔外に存在することで染料の凝集が起き、大き
すぎる場合は細孔内で染料の凝集が起き、発色性が低下
してしまう場合がある。
【0016】また、細孔部分と非細孔部分の分布が不均
一であると染料の分布も不均一になってしまう。
【0017】また、最終的には上記方法で調整された多
孔質微粒子を溶媒に分散し、エチレングリコール、水を
混合してインクジェット用インクとしているが、記録媒
体への定着速度向上、記録媒体へのインク滴着弾時のに
じみ防止についての改善の記述はない。
【0018】また、インク自体にゾルゲル反応を利用す
る方法では、記録媒体上への密着性は向上しているもの
の、多孔質微粒子を利用した場合と同様に、細孔の大き
さや細孔部分と非細孔部分の分布は制御されていないた
め、染料の凝集、発色性の低下の可能性は大きい。
【0019】上述のように、インクジェット記録特性を
改善する数々の提案がなされてきたが、吐出安定性に優
れ、高速記録が可能であり、普通紙や紙以外の媒体に対
しても発色性が良好、かつ、にじみ、混色の少ない高画
質記録が可能で、褪色も少ないインクは今なお切望され
ている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題点に鑑
みなされたもので、インクジェットプリンター用インク
において、インク滴を吐出した後に、該インク滴内の溶
媒が蒸発することで、色素が取り込まれた有機領域が規
則性を持って配置された有機無機複合体を少なくとも部
分的に形成することを特徴とする。
【0021】また、上記有機無機複合体がメソ構造体で
あることを特徴とする。
【0022】また、上記有機領域が界面活性剤の自己組
織化により、規則性を持って配置されることを特徴とす
る。
【0023】また、上記インクに金属アルコキシドまた
はその加水分解生成物、色素、界面活性剤、溶媒を含有
してなることを特徴とする。
【0024】また、上記金属アルコキシドにおける金属
がケイ素、アルミニウム、チタン、スズ、ジルコニウム
のうち少なくともひとつであることを特徴とする。
【0025】また、上記溶媒がアルコールと水を含むこ
とを特徴とする。
【0026】また、上記色素が染料であることを特徴と
する。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施態様により本発明を説
明する。
【0028】本発明のインクジェットプリンター用イン
クは溶媒に金属アルコキシド、界面活性剤、染料を添加
し製造される。
【0029】そして、該インクがインクジェットプリン
ターのノズルより吐出されると、インク滴中の溶媒が蒸
発し、界面活性剤の自己組織化により均一な径のミセル
がインク滴内に形成され始め、その中に染料が取り込ま
れる。
【0030】また、この溶媒の蒸発によりインクのゲル
化も始まり記録媒体上に着弾後固定化される。
【0031】この際、前記均一な径のミセルは安定部位
に規則性を持って配置される。
【0032】その結果、インクジェット記録における高
速定着、高精細化、高画質化を可能にし、また、記録物
の耐水性、耐候性等の向上も可能としたものである。
【0033】まず、インクに含まれる溶媒について説明
する。
【0034】後に説明する金属アルコキシド、界面活性
剤、染料は有機溶媒、水、若しくはこれらの混合物に溶
解する。
【0035】有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の
一価のアルコール、エチレングリコール、プロピレング
リコール、グリセリン等の多価アルコール、多価アルコ
ールのエーテルおよびエステル、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド等のアミド、2‐ピロリド
ン、N‐メチル‐2‐ピロリドン等の環状アミド等が例
示される。常温で液体であり、後に説明する界面活性剤
及び金属アルコキシドを溶解できればこれらに限らな
い。
【0036】前記溶媒に界面活性剤が臨界ミセル濃度よ
り低い濃度で添加される。
【0037】界面活性剤は、4級アルキルアンモニウム
のようなカチオン性界面活性剤、ポリエチレンオキシド
等を親水基として含む非イオン性界面活性剤等の中から
適宜選択される。
【0038】後に細孔形成について説明するが、界面活
性剤は細孔を形成するばかりでなく、その形状により細
孔径及び形状を決定することができる。
【0039】例えば、ポリオキシエチレン(10)ドデ
シルエーテル〔C1225O(CH2CH2O)10OH〕、
ポリオキシエチレン(10)テトラデシルエーテル〔C
1429O(CH2CH2O)10OH〕、ポリオキシエチレ
ン(10)ヘキサデシルエーテル〔C1633O(CH2
CH2O)10OH〕、ポリオキシエチレン(10)ステ
アリルエーテル〔C1837O(CH2CH2O)10OH〕
を使えば、アルキル鎖長の減少とともに細孔径を減少さ
せることが可能である。
【0040】また、逆に、HO(CH2CH2O)20(C
2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20Hのような
トリブロックコポリマーを用いれば大きな細孔を形成す
ることも可能である。
【0041】よって、界面活性剤は使用する色素にあわ
せて適宜選択すればよい。
【0042】さらに、前記溶媒に酸やアルカリを混合
し、pHを調整することで、金属酸化物の縮合速度を小
さくする。
【0043】例えば、ケイ素アルコキシドを用いる場合
は、塩酸等を加えて溶液を酸性側、特にSiO2の等電
点(pH=2)付近のpHに調整することで、金属酸化
物の縮合速度を小さくする。これは、吐出前のインク状
態での沈殿物の生成をおさえるためであり、塩基性条件
の下での反応の場合のようにケイ素アルコキシドを添加
した後瞬間的に沈殿が発生することはない。
【0044】このように、金属アルコキシドの種類にあ
わせて適宜溶液のpHを調整することで、インク状態で
は低粘度でノズル詰まりも起こさない吐出安定性に優れ
た状態を維持できる。
【0045】次に、インクに用いる金属アルコキシドに
ついて説明する。
【0046】金属アルコキシドは、一般式:M(OR)
n(ただし、Mは金属元素、Rはアルキル基、nは金属
元素の酸化数である。)により表される。
【0047】具体例として、テトラメトキシシラン 、
テトラエトキシシラン 、テトライソプロポキシシラ
ン、トリメトキシアルミニウム 、トリエトキシアルミ
ニウム、トリイソプロポキシアルミニウム等の金属アル
コキシドが挙げられるが 、その他、チタン、スズ、ジ
ルコニウム、亜鉛、セリウム、マグマグネシウム、カル
シウム、バリウム等他の金属のアルコキシドも利用でき
る。
【0048】また、これらの金属アルコキシドを2種以
上混合して用いても構わない。
【0049】染料としては、染色的用途別の分類におけ
る直接染料、酸性染料、塩基性染料を用いることができ
る。
【0050】また、別の分類である発色団または色原体
に基づく化学構造による分類によれば、アゾ染料、アン
トラキノン染料、フタロシアニン染料、インジゴ染料、
カルボニウム染料、ニトロ染料、キノリン染料、ナフト
キノン染料などを用いることができる。
【0051】また別の分類によれば、ブラック系、イエ
ロー系、マゼンタ系、シアン系等、水その他の溶剤に可
溶の染料を用いることができる。
【0052】具体的には、アシッド・イエロー、アシッ
ド・レッド、アシッド・ブルー、アシッド・ブラック、
フード・イエロー、フード・レッド、フード・ブラッ
ク、ダイレクト・イエロー、ダイレクト・レッド、ダイ
レクト・オレンジ、ダイレクト・ブルー、ダイレクト・
ブラック、ベーシック・イエロー、ベーシック・レッ
ド、ベーシック・ブルー、ベーシック・ブラック、ベー
シック・グリーン、リアクティブ・ブラック、リアクテ
ィブ・イエロー、リアクティブ・レッド、リアクティブ
・ブルー、モーダント・ブルー、モーダント・レッド等
の染料が挙げられる。
【0053】また、使用する染料、溶媒、界面活性剤、
金属アルコキシドの種類や量により異なるが、染料のイ
ンク中での含有量は、インク中の重量百分率として0.
1%以下であると発色性が不足し、また20%以上であ
ると界面活性剤の自己組織化により形成されたミセル内
に取り込まれない染料分子が増えミセル外で凝集するこ
とで発色性を損なうという可能性がある。
【0054】よって、染料のインク中での含有量はイン
ク中の重量百分率として、0.1〜20%が好適であ
り、より好ましくは0.2〜10%である。
【0055】以上説明した、金属アルコキシド、界面活
性剤を溶媒に添加し、室温〜80℃の温度で数時間以上
放置しておけば金属アルコキシドの加水分解はほぼ完了
する。
【0056】加水分解により、金属アルコキシドは金属
の水酸化物及び/又は酸化物のゾルとなり、染料を添加
すればインクとして用いることが可能となる。
【0057】なお、染料の添加は加水分解前後のどちら
でも構わない
【0058】次にインク滴の記録媒体への定着、及び、
細孔構造形成について説明する。
【0059】なお、一般的には多孔質材料の空隙部分を
細孔と称するが、本件では界面活性剤のミセルから形成
される有機領域も細孔と称し、説明する。
【0060】インク滴がインクジェットプリンターのノ
ズルより吐出されると、インク飛翔時から、溶媒の蒸発
が起こり、界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度を超え、
界面活性剤の自己組織化が始まる。
【0061】この際、染料はミセル内に取り込まれる。
【0062】さらに溶媒が蒸発することで加水分解生成
物‐界面活性剤の自己組織化が促進され、染料を取り込
んだ界面活性剤ミセルは有機領域、金属酸化物は無機領
域となり、インク滴は有機無機複合体となって、記録媒
体上に固定される。
【0063】この際、有機領域の大きさ、つまり細孔径
は界面活性剤と染料の種類や濃度等で決定されるため、
非常に均一となる。
【0064】そして、界面活性剤の自己組織化より形成
される細孔のサイズはメソ領域(IUPACの分類によ
れば細孔径が2〜50nm)であり、染料分子の吸着に
非常に適している。なお、本明細書では、界面活性剤の
自己組織化より形成される細孔のサイズがメソ領域にあ
る有機無機複合体をメソ構造体と称する。
【0065】なお、細孔のサイズを上記した様にメソ領
域とすることにより、染料が細孔内に入った安定した構
造を形成することができ、しかも発色性能を低下させる
場合がある細孔内での染料の凝集をも有効に抑えること
ができる。
【0066】また、凝集による発色性低下を防ぐこと
で、必要な染料の量も少なくて済む。
【0067】また、均一な径を持ったミセルが安定部位
に配置することで、有機領域は規則性を持って配置され
る。
【0068】つまり、均一に分布する均一な径の細孔に
適量の染料が分散性よく保持されるため、発色性に非常
に優れた印刷物を得ることが可能となる。
【0069】また、溶媒の蒸発によって同時に、金属水
酸化物および/または酸化物ゾルのゲル化がインク滴表
面から始まる。
【0070】そのため、記録媒体着弾後のインクのにじ
み、フェザリングが抑制される。
【0071】これは特に普通紙への印刷において有効で
ある。
【0072】さらに、にじみが少ないことで記録媒体上
に非常に小さなドットを形成することができる。
【0073】印刷物の高精彩、高画質化には小ドット化
が非常に有効であり、飛翔インク滴の1滴の少量化がイ
ンクジェット記録ヘッド技術等の工夫によりなされてい
るが、本発明によるインクを用いれば同量のインク滴で
も印刷物のドット径を小さくすることが可能である。
【0074】また、2色以上のインクが打ち込まれる場
合でも、インク滴表面からゲル化が始まるため、混色、
にじみを防ぐことができ、フルカラー記録時の高速記録
に非常に有効である。
【0075】従来のインクジェットプリンター用のイン
クは水溶性の染料を水等溶媒に単に溶解したものが多
く、溶媒と染料が紙の繊維もしくは繊維間に染み込むこ
とで紙上に印刷が可能となっていた。
【0076】よって、紙以外の記録媒体に印刷を行うに
は、繊維に代わるような受容層を設ける等別途処理をし
ない限り非常に困難であった。
【0077】しかし、本発明のインクは最終的には染料
が内含された金属酸化物ゲルが記録媒体上に定着するの
で、紙以外の媒体への印刷も可能になる。
【0078】例えば、プラスチックはもちろん、ガラ
ス、金属、金属酸化物等無機質材料等にも良好な印刷が
行える。
【0079】さらに、本発明によるインクは、褪色も少
なく、耐摩傷性、耐水性にも優れた印刷物を提供するこ
とができる。
【0080】従来使用されてきたインクジェットプリン
ター用のインクは前述のように水溶性の染料を水等に単
に溶解したものが基本であり、印字物の耐光性、耐水性
が劣るという問題があった。
【0081】しかし、本発明に使用されるインクにおい
ては、染料は有機無機複合体の細孔中に固定され、無機
領域によって外界、つまり、水、油、酸素、オゾン等か
ら保護されるため、耐水性はもちろん、耐油性にも優れ
るとともに、耐候性、耐擦傷性にも優れる。
【0082】また無機領域、つまり金属酸化物ゲルは紫
外線を吸収するので、耐光性が不充分な染料であっても
印字物は耐光性が著しく改善される。
【0083】以上説明した本発明の要旨は、インクジェ
ットプリンターでインク滴を吐出した後に、該インク滴
内の溶媒が乾燥し、色素が取り込まれた有機領域が規則
性を持って配置された有機無機複合体を少なくとも部分
的に形成することで吐出安定性に優れ、高速記録が可能
であり、普通紙や紙以外の媒体に対しても発色性が良
好、かつ、にじみ、混色の少ない高画質記録が可能で、
褪色も少ないインクを得るというものである。
【0084】
【実施例】実施例1 本実施例は、4色のインクを調整し、インクジェットプ
リンターによりガラス基板上に印刷を行い、得られた印
刷物の構造を分析した例である。
【0085】まず、テトラエトキシシラン(TEO
S):エタノール:純水:塩酸をモル比で1:3.8:
1:5×10-5の割合で混合し、60℃で90分還流し
た。
【0086】こうして得られたシリカゾル溶液を2倍の
エタノールで希釈し、ポリオキシエチレン(10)ヘキ
サデシルエーテル〔C1633O(CH2CH2O10
H〕を加え、さらにエタノール、水、塩酸を加えて希釈
し、最終的にTEOS:エタノール:純水:塩酸:ポリ
オキシエチレン(10)ヘキサデシルエーテルがモル比
で1:22:5:0.004:0.075になるように
調整し、インク前駆体溶液を調整した。
【0087】さらにこの前駆体溶液に対して2.0重量
%になるようにC.I.フード・ブラック2を加えてブ
ラックインクを調整した。
【0088】また、イエローインクは上記インク前駆体
溶液にC.I.ダイレクト・イエロー86を1.5重量
%加えて調整した。
【0089】また、マゼンタインクは上記インク前駆体
溶液に、C.I.アシッド・レッド35を2.0重量%
加えて調整した。
【0090】また、シアンインクは上記インク前駆体溶
液にC.I.ダイレクト・ブルー199を2.0重量%
加えて調整した。
【0091】記録密度が600DPI(ドット/イン
チ)で256本のノズルを有し、インクへの熱エネルギ
ーの作用によってインク滴を形成するタイプのインクジ
ェット記録ヘッド4個(ブラックインク用、イエローイ
ンク用、マゼンタインク用、シアンインク用の計4個)
を、ヘッドの主走査方向に1列に並べてなるインクジェ
ット記録装置を用い、該記録装置の各色用記録ヘッドに
インク供給系チューブを介して、調整した4色のインク
をそれぞれ充填し、ガラス基板に対してインクジェット
記録を行った。
【0092】なお、各色のフルベタ印字部のインク打込
量は10nl/mm2である。
【0093】その結果、連続印刷によってもブラック、
イエロー、マゼンタ、シアン各色ともノズル詰まりを起
こすことなく安定して印刷を行うことができた。
【0094】また、発色性についてもそれぞれ鮮明な黒
色、黄色、赤色、青色のパターンが印刷された。
【0095】次に、この基板上に形成された印刷物に対
してX線回折分析を行った。その結果、面間隔6.1n
mの、ヘキサゴナル構造のシリカメソ構造体の(10
0)面に帰属される回折ピークが確認され、印刷物がヘ
キサゴナルな細孔構造を有するシリカメソ構造体である
ことが確かめられた。また、該回折ピークは強く、鋭い
ことから、規則性が高く、また、細孔径の揃ったシリカ
メソ構造体が得られていることが確かめられた。つま
り、有機領域と無機領域が規則性を持って配置された有
機無機複合体が形成されたことが確認された。
【0096】実施例2 本実施例は、4色のインクを調整し、インクジェットプ
リンターにより普通紙上に印刷を行った例である。
【0097】実施例1と同様に調整した4色のインクを
用い、実施例1と同様な方法で普通紙に対しインクジェ
ット記録を行った。
【0098】なお、各色のフルベタ印字部のインク打込
量は10nl/mm2である。
【0099】その結果、連続印刷によってもブラック、
イエロー、マゼンタ、シアン各色ともノズル詰まりを起
こすことなく安定して印刷を行うことができた。
【0100】また、発色性についてもそれぞれ鮮明な黒
色、黄色、赤色、青色のパターンが印刷された。
【0101】実施例2で得られた印刷物の、定着性(耐
擦傷性)、印字にじみ、耐光性および耐水性の評価を行
った。
【0102】評価法について以下に示す。
【0103】1.定着性(耐擦傷性) 市販の電子写真用紙(普通紙)にフルベタ印字(シアン
インクとマゼンタインクを各々100%デューティのベ
タで重ね印字)して、10秒後、20秒後及び30秒後
に印字部をろ紙(商品名:No.5C、東洋濾紙(株)
製)にて擦り、以下の様に評価した。 ○・・・10秒後、ろ紙へのインク移りほとんど無し △・・・20秒後、ろ紙へのインク移りほとんど無し ×・・・30秒後、ろ紙へのインク移り有り
【0104】2.印字にじみ ブラックインクでキャラクター印字を行った上に、イエ
ローインク100%デューティベタ印字を行い、キャラ
クターの印字品位を評価し、以下の様にランク付けた。 ○・・・にじみはほとんど無し △・・・にじみが発生し、文字の輪郭がやや崩れる ×・・・にじみがひどく、文字が全く判読できない
【0105】3.耐光性の評価 4色全てのインクを用いたカラー画像を普通紙上に印字
した印刷物に、サンシャインウェザーメーター(スガ試
験機(株)製)を使用し、降雨なし240時間の暴露時間
の条件でテストし、以下のように評価した。 ○・・・非常に良い(240時間後に褪色が認められな
かった) △・・・良い(240時間後に褪色が僅かに認められ
た) ×・・・普通(240時間後に通常のインクジェットプ
リンターの印刷物と同程度の褪色が認められた)
【0106】4.耐水性 1.定着性の評価と同様に普通紙に印字した印刷物を水
に1時間浸漬してインクのにじみ、退色を観察し、以下
のように評価した。 ○・・・印字物の退色が全く起こらない △・・・印字物の退色が若干起こる ×・・・印字物の退色が有り、浸漬した水がにじみ出た
インクで着色する
【0107】以上の4項目に関する評価結果を、表1に
示す。
【0108】
【表1】
【0109】実施例3 本実施例は、4色のインクを調整し、インクジェットプ
リンターによりガラス基板に印刷を行った例である。
【0110】実施例1と同様に調整した4色のインクを
用い、実施例1と同様な方法でガラス基板に対しインク
ジェット記録を行った。
【0111】尚、各色のフルベタ印字部のインク打込量
は10nl/mm2である。
【0112】その結果、連続印刷によってもブラック、
イエロー、マゼンタ、シアン各色ともノズル詰まりを起
こすことなく安定して印刷を行うことができた。
【0113】また、発色性についてもそれぞれ鮮明な黒
色、黄色、赤色、青色のパターンが印刷された。
【0114】実施例3で得られた印字物の、ドット径お
よび密着性の評価を行った。
【0115】評価について以下に示す。
【0116】5.ドット径 ガラス板上に1ドットずつ着弾ドットが約0.5mm間
隔に配置されるように印字し、以下のように評価した。 ○:隣り合った着弾ドットは重ならず、ドットの輪郭も
はっきりしている(小径である) △:隣り合った着弾ドットが重なりあってはいないが、
ドットの輪郭がやや崩れる ×:隣り合った着弾ドットが重なりあい、ドット径も判
別できない
【0117】6.密着性 ガラス基板上に印字したサンプルについて、カッターナ
イフで1mm間隔に切れ目を入れて100個の枡目を形
成し、セロハンテープを貼付した後で剥離し、残留した
枡目をカウントした(クロスハッチテスト法)。この方
法による密着力の評価は以下の通りである。 ○:非常に良い(残留枡目90個以上) △:良い(残留枡目50〜90個) ×:普通(残留枡目50個未満)
【0118】上記密着性評価の結果を表2に示す。
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】以上説明したように本発明のインクを用
いれば吐出安定性を損なうことなく、普通紙に対しても
高速定着、高画質化を可能にする。また、従来のインク
ジェット用インクに比べて、発色性、耐候性、耐光性、
耐水性等を向上させることができる。さらに、密着性が
向上したことで紙以外の媒体への印刷も可能となる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェットプリンターでインク滴を
    吐出した後に、該インク滴内の溶媒が蒸発することで、
    色素が取り込まれた有機領域が規則性を持って配置され
    た有機無機複合体を少なくとも部分的に形成することを
    特徴とするインクジェットプリンター用インク。
  2. 【請求項2】 有機無機複合体がメソ構造体であること
    を特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ
    ー用インク。
  3. 【請求項3】 界面活性剤の自己組織化により、有機領
    域が規則性を持って配置されることを特徴とする請求項
    1または2に記載のインクジェットプリンター用イン
    ク。
  4. 【請求項4】 金属アルコキシドまたはその加水分解生
    成物、色素、界面活性剤、溶媒を含有してなることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェッ
    トプリンター用インク。
  5. 【請求項5】 金属アルコキシドにおける金属がケイ
    素、アルミニウム、チタン、スズ、ジルコニウムのうち
    少なくともひとつであることを特徴とする請求項4に記
    載のインクジェットプリンター用インク。
  6. 【請求項6】 溶媒がアルコールと水を含むことを特徴
    とする請求項4または5に記載のインクジェットプリン
    ター用インク。
  7. 【請求項7】 色素が染料であることを特徴とする請求
    項4〜6のいずれかに記載のインクジェットプリンター
    用インク。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のインク
    ジェットプリンター用インクを用いることを特徴とする
    画像形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載のインク
    ジェットプリンター用インクを用いることを特徴とする
    画像形成装置。
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