JP2003186934A - 集積回路の設計方法及び集積回路の設計支援装置 - Google Patents

集積回路の設計方法及び集積回路の設計支援装置

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JP2003186934A JP2001383993A JP2001383993A JP2003186934A JP 2003186934 A JP2003186934 A JP 2003186934A JP 2001383993 A JP2001383993 A JP 2001383993A JP 2001383993 A JP2001383993 A JP 2001383993A JP 2003186934 A JP2003186934 A JP 2003186934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種集積回路の設計に際して、より適切なクロ
ストークノイズ対策をより容易に行うことのできる集積
回路の設計方法及び同設計を支援する設計支援装置を提
供する。 【解決手段】クロストークノイズ上限値設定部40で
は、グリッチに起因して誤動作が引き起こされる順序回
路への入力配線等について、ノイズ上限値を格別に予め
設定するとともに、この上限値が設定される箇所以外の
箇所について、ノイズ上限値を仮設定する。自動配置部
24では、これらノイズ上限値に基づいて仮配線を行
う。そして、タイミング解析部30にて、クロストーク
ノイズを加味して解析される動作周波数と所望とする動
作周波数との差が予め定められた許容範囲にないと判断
された場合、クロストークノイズ上限値設定部40で
は、仮設定された上限値を段階的に低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集積回路の設計方
法及び同設計を支援する集積回路の設計支援装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、集積回路、特に半導体集積回路に
あっては、その微細加工技術の進展により、半導体集積
回路内の配線幅や隣接する配線間の間隔は縮小される傾
向にある。これに対し、同半導体集積回路内の配線の膜
厚については、配線抵抗の増加抑制やエレクトロマイグ
レーション等に起因する断線の防止を図る必要があるこ
とから、上記配線幅や隣接する配線間の間隔ほどには縮
小が図られない。このため、集積回路の微細化につれ
て、絶縁層を介して配線と基板との間に形成される静電
容量(カップリング容量)よりも、絶縁物を介して隣接
する配線間に形成される静電容量(カップリング容量)
の影響が大きなものとなりつつある。
【0003】この隣接配線間に形成される静電容量の影
響としては、一方の配線の電位変化が他方の配線の電位
を変化させるクロストークノイズがある。そしてこのク
ロストークノイズの影響が大きくなると半導体集積回路
が誤動作を起こす可能性が増大する。すなわち、グリッ
チ(ひげ)と呼ばれるノイズの発生によって順序回路の
出力論理信号が論理反転を引き起こしたり、信号伝播速
度の変化である遅延変動が生じることに起因して実際の
動作速度が所望の動作速度からずれたものとなったりす
る。
【0004】ところで、このクロストークノイズは、狭
い配線間隔で長距離に渡って隣接している同層配線のう
ち、それを駆動するドライバの駆動能力が小さかった
り、あるいは電荷保持能力が弱い配線について特に生じ
やすい。よって、半導体集積回路の配置配線を実施する
ときには、問題箇所を抽出して対策することが不可欠と
なる。
【0005】そこで従来は、セルの配置及び配線を所定
間隔のグリッドを用いて行う汎用の自動配置配線ツール
においても、こうしたクロストークノイズの対策とし
て、 (1)設計者側でクロストークノイズの上限値を設定す
る。 (2)カップリング容量及び配線の抵抗を自動抽出す
る。 (3)全配線についてクロストークノイズを算出する。 (4)上記算出されたノイズが上記設定された上限値を
超える場合に違反と判定する。 (5)違反と判定された箇所の両側の配線をグリッド所
定間隔の2倍若しくはそれ以上に引き離して配線する。 といった手順による設計手法がよく用いられている。
【0006】ちなみに、クロストークノイズ対策として
はこの他にも、上記(5)の工程に代えて、 (6)配線の電位保持能力を上げるために、ドライバの
駆動能力を上げたり中継バッファを挿入したりする(例
えば特開平10−27194号公報参照)。あるいは (7)クロストークノイズによる遅延変動を相殺できる
ように、中継インバータを挿入して、一方の配線の電位
変化と他方の配線の電位変化とが同相及び逆相を繰り返
すようにする(特開平2001−148426号公報参
照)。といった手法が用いられることもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記自動配
置配線ツールを用いた設計手法における上記(1)の工
程においては、半導体集積回路に生じる誤動作の原因に
ついて詳しく解析されることなく、クロストークノイズ
の上限値が一律に設定されるのが常であった。すなわ
ち、 (a)クロストークノイズに起因するグリッチによって
順序回路の出力信号が論理反転してしまう等、クロスト
ークノイズそのものによる集積回路の誤動作。 (b)クロストークノイズに起因した配線の信号遷移時
間の変動(遅延変動)によって、集積回路の実際の動作
速度が所望の動作速度からずれることによる誤動作。 といった2つのいずれの要因に起因する誤動作をも回避
し得るようにノイズの上限値が一律に設定されていた。
【0008】しかし、このようにノイズの上限値が一律
に設定されてクロストークノイズ対策が施されると、対
象となる集積回路によっては、必ずしも適切な対策が施
されないことがある。すなわち、例えばノイズの影響を
過大に評価してしまうことがある。そしてこの場合に
は、過剰にバッファを挿入したり、配線同士の間隔を過
剰に大きくしたりすることによる半導体集積回路として
の回路面積の増大等も避けられないものとなる。
【0009】一方、こうしたノイズの影響についての過
大な評価を回避するためには、上記ノイズの上限値の設
定を集積回路を構成する各箇所毎に個別に行うことも考
えられる。そして実際に、このようなかたちで上記設計
が行われることもある。しかしこれでは、ノイズ上限値
の設定作業に膨大な時間を要するのみならず、設計担当
者自身の相当の熟練を必要ともする。
【0010】また、たとえ上記ノイズ上限値の設定が一
律になされる場合であれ、該設定された上限値に基づく
上記(6)〜(7)のクロストークノイズ対策は通常、
熟練者によって行われている。ただし、たとえ熟練者と
はいえ、違反と判定される箇所毎に適切な対策を施すこ
とは容易ではなく、そのために費やす時間も膨大なもの
となっている。特に、セル配置や配線経路の予想できる
バス配線やセミカスタムの度合いの大きなレイアウト設
計手法以外では、たとえ熟練者といえども、上記違反箇
所に対して適切な対処を施すことは難しい。
【0011】本発明はこうした実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、各種集積回路の設計に際して、
より適切なクロストークノイズ対策をより容易に行うこ
とのできる集積回路の設計方法及び同設計を支援する設
計支援装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。請求
項1記載の発明は、集積回路のレイアウト設計に際し、
配線間に生じるクロストークノイズについてその上限値
を設定するに、a.前記集積回路の予め分類された複数
の箇所について前記上限値を定める工程、及びb.配置
の終了した集積回路に対して前記定められた上限値に基
づき自動配線ツールにて仮配線を行う工程、及びc.前
記仮配線の行われた集積回路各部について、クロストー
クノイズを加味して解析される動作周波数と所望とする
動作周波数との差が予め定められた許容範囲にあるか否
かを判断する工程、の各工程を備え、前記分類された複
数の箇所のうち、前記各動作周波数の差が許容範囲にな
いと判断される箇所については同箇所に定められている
上限値を低減して前記b及び前記cの工程を繰り返し実
行し、前記各動作周波数の差が許容範囲にあると判断さ
れる箇所についてはそのときに同箇所に定められている
上限値を前記クロストークノイズの上限値として確定す
ることをその要旨とする。
【0013】上記設計方法では、集積回路の予め分類さ
れた複数の箇所のそれぞれについてクロストークノイズ
の上限値が設定される。このため、集積回路が誤動作を
起こす各別の要因毎に上記上限値を設定することが可能
となり、ひいては、これら個別の要因毎に適切なクロス
トークノイズ対策を施すことができるようになる。した
がって、各種集積回路の設計に際し、より適切な上限値
を設定することができるようになる。
【0014】更に、上記設計方法によれば、工程a〜c
を経た後、クロストークノイズを加味して解析される動
作周波数と所望とする動作周波数との差が予め定められ
た許容範囲にないと判断される箇所についてその上限値
を低減して前記b及びcの工程が繰り返される。このた
め、定められたクロストークノイズの上限値が所望とす
る動作周波数にとって適切なものでない場合であれ、上
限値の変更がなされつつ工程b及びcが繰り返されるこ
とで、所望とする動作周波数にとって適切な上限値が自
動的に抽出されるようになる。
【0015】なお、工程aにおいて、クロストークノイ
ズの上限値を定める際には、その上限値を大きめな値
に、換言すればクロストークノイズを許容する側の値に
定めることが望ましい。これにより、上限値を低減しつ
つ工程b及びcを繰り返すことで、クロストークノイズ
の上限値が所望とする動作周波数にとって適切な値であ
って極力大きな値へと絞り込まれていくようになる。
【0016】請求項2記載の発明は、集積回路のレイア
ウト設計に際し、配線間に生じるクロストークノイズに
ついてその上限値を設定するに、a.前記集積回路の予
め分類された複数の箇所について前記上限値を定める工
程、及びb.配置の終了した集積回路に対して前記定め
られた上限値に基づき自動配線ツールにて仮配線を行う
工程、及びc.前記仮配線の行われた集積回路各部につ
いて、クロストークノイズを加味して解析される動作周
波数と所望とする動作周波数との差が予め定められた許
容範囲にあるか否かを判断する工程、の各工程を備え、
前記各動作周波数の差が許容範囲にあると判断されると
き、前記分類された複数の箇所について定められている
上限値のうちの少なくとも1つを増加して前記b及び前
記cの工程を繰り返し実行し、前記各動作周波数の差が
許容範囲にないと判断される直前の工程において用いら
れた上限値を前記クロストークノイズの上限値として確
定することをその要旨とする。
【0017】上記設計方法では、集積回路の予め分類さ
れた複数の箇所のそれぞれについてクロストークノイズ
の上限値が設定される。このため、集積回路が誤動作を
起こす各別の要因毎に上記上限値を設定することが可能
となり、ひいては、これら個別の要因毎に適切なクロス
トークノイズ対策を施すことができるようになる。した
がって、各種集積回路の設計に際し、より適切な上限値
を設定することができるようになる。
【0018】更に、上記設計方法によれば、工程a〜c
を経た後、クロストークノイズを加味して解析される動
作周波数と所望とする動作周波数との差が予め定められ
た許容範囲にあると判断された場合に、定められた上限
値のうちの少なくとも1つを増大させて前記b及びcの
工程が繰り返される。そして、各動作周波数の差が許容
範囲にないと判断される直前の工程において用いられた
上限値を前記クロストークノイズの上限値として確定す
る。このため、定められたクロストークノイズの上限値
が所望とする動作周波数にとって適切なものでない場合
であれ、上限値が増加されつつ工程b及びcが繰り返さ
れることで、所望とする動作周波数にとって適切な上限
値が自動的に抽出されるようになる。
【0019】なお、工程aにおいて、クロストークノイ
ズの上限値を定める際には、その上限値を小さめの値
に、換言すればクロストークノイズを許容しない側の値
に定めることが望ましい。これにより、上限値を変更し
つつ工程b及びcを繰り返すことで、クロストークノイ
ズの上限値が所望とする動作周波数にとって適切な値で
あって極力大きな値へと絞り込まれていくようになる。
【0020】請求項3記載の発明は、前記上限値は、ア
ナログ素子を含む回路であるアナログマクロへの入力配
線、及び順序回路への入力配線、及びメモリへの入力配
線の少なくとも1つに対して、当該集積回路の他の部分
とは別に定められることをその要旨とする。
【0021】例えばD/AコンバータやA/Dコンバー
タ等、アナログ素子を含んで構成されるアナログマクロ
では、その入力信号のわずかな変動によって誤動作が引
き起こされる。また、フリップフロップ等の順序回路で
は、上述したグリッチによって論理反転する等、その出
力信号がノイズに応答して非可逆的に変化し、誤動作が
引き起こされる。更に、高速メモリ等のメモリの入力配
線にグリッチが生じると、これに起因して例えばメモリ
のクロックが反転したときのようにメモリの動作が切り
替えられる等、メモリの動作が非可逆的に変化し、誤動
作が生じる。
【0022】このように、アナログマクロへの入力配線
や、順序回路への入力配線、メモリへの入力配線につい
ては、配線の遅延変動に起因する誤動作のみならず、グ
リッチに起因して誤動作が引き起こされるようになる。
【0023】この点、上記設計方法によれば、これらの
少なくとも1つに対して集積回路の他の部分と別に上限
値を設定することで、これらの少なくとも1つと、集積
回路の他の部分とでクロストークノイズの上限値を異な
らしめることが可能となる。したがって、自動抽出され
るクロストークノイズの上限値をより適切な値とするこ
とができるようになる。
【0024】なお、アナログマクロへの入力配線や、順
序回路への入力配線、メモリへのクロック入力配線につ
いては、通常、グリッチによる誤動作を起こさないノイ
ズ上限値が規定されている。したがって、請求項1又は
2の上記aの工程において、これら規定されているノイ
ズ上限値を用いるようにしてもよい。この際、この組み
合わせ論理回路の上限値は、アナログマクロへの入力配
線や、順序回路への入力配線、メモリへのクロック入力
配線について規定されている上記上限値よりも大きな値
に定めるのが望ましい。これは、組み合わせ論理回路部
分の入力配線にグリッチが生じた場合、その出力信号
は、ノイズに対して可逆的な変化をするため、すなわ
ち、上記グリッチに応じたノイズを含むのみであるた
め、この組み合わせ論理回路部分に対しては、遅延変動
量のみを加味すればよいためである。
【0025】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれかに記載の発明において、前記クロストークノイズ
を加味して行われる動作周波数の解析は、隣接する配線
の一方と他方との電位遷移が互いに同一方向にあるとき
と反対方向にあるときとの双方について算出される遅延
変動量に基づいて行われることをその要旨とする。
【0026】隣接する配線の一方と他方とでの電位遷移
が互いに同一方向であるときには、クロストークノイズ
がない場合と比較して信号遷移時間が短くなる。これに
対し、隣接する配線の一方と他方とでの電位遷移が互い
に逆方向であるときには、クロストークノイズがない場
合と比較して信号遷移時間が長くなる。
【0027】ここで、上記設計方法では、クロストーク
ノイズがない場合からの信号遷移時間の変動量(遅延変
動量)を、隣接する配線の一方と他方との電位遷移が互
いに同一方向にあるときと反対方向にあるときとの双方
について算出する。このため、隣接する配線の一方と他
方との様々な電位遷移によって生じる遅延変動を反映し
て動作周波数の解析を行うことができるようになる。
【0028】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発
明において、前記遅延変動量は、前記隣接する配線間で
の電位遷移のタイミングの重複度合いを考慮して算出さ
れることをその要旨とする。
【0029】実際の集積回路においては、隣接する配線
の一方と他方との電位が互いに同一方向又は反対方向に
同時期に遷移するとは限らない。この点、上記設計方法
では、レイアウト設計対象の集積回路において、隣接す
る配線間での電位遷移のタイミングの重複度合いを考慮
して遅延変動量が算出される。このため、上記集積回路
内で実際に生じ得る遅延変動量についてより正確に算出
することができ、ひいては、同集積回路についてより正
確な動作周波数の解析を行うことができる。
【0030】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれかに記載の発明において、前記クロストークノイズ
を加味して行われる動作周波数の解析に先立ち、同クロ
ストークノイズを加味しない動作周波数の解析を行い、
この解析の結果、解析された動作周波数と所望とする動
作周波数との差が予め定められた許容範囲にないときに
は、前記aの工程の上流工程である当該集積回路の回路
設計及び同回路の配置のいずれかの工程から前記各工程
を再実行することをその要旨とする。
【0031】集積回路が所望の動作周波数を満たせない
要因としては、クロストークノイズに限らず、回路設計
そのものに問題がある場合に加え、回路間の距離が過剰
に離間されて配置されることによるものなどがある。
【0032】ここで、上記設計方法では、クロストーク
ノイズを加味しない動作周波数の解析に基づき、集積回
路の回路設計及び同回路の配置のいずれかの工程からや
り直しが行われる。これにより、回路設計や回路の配置
に起因して所望とする動作周波数を得ることが困難な場
合には、この要因を解消した後、クロストークノイズに
ついての上限値が設定されることとなる。したがって、
所望の動作周波数を満たすためのクロストークノイズの
上限値をより適切に設定することができる。
【0033】請求項7記載の発明は、請求項1〜6のい
ずれかに記載の発明において、前記配置の終了した集積
回路について、予め設定された配線間隔及び前記確定さ
れたクロストークノイズの上限値を用いて自動配線ツー
ルにて配線を行う工程と、前記自動配線ツールによる配
線工程によってその実行条件を満たす当該集積回路の自
動配線が完了したか否かを判断する判断工程とを更に備
え、前記自動配線が完了したと判断されるまで、前記設
定された配線間隔を拡大させつつ前記配線工程及び前記
判断工程を繰り返し実行することをその要旨とする。
【0034】自動配線に際しては、配線間隔が狭い方が
未結線箇所が残る可能性が減少する。この反面、配線間
隔が狭いほどクロストークノイズが大きくなりやすく、
同ノイズの上限値を超えやすい。
【0035】この点、上記設計方法では、請求項1〜6
のいずれかに記載の発明によって設定された上限値と予
め設定された配線間隔とを用いて自動配線が行われ、こ
れによって配線が完了しないと判断される毎に段階的に
配線間隔を拡大するようにする。このように段階的に配
線間隔を拡大することで、未結線を防止しつつクロスト
ークノイズの上限値を満たす適切な配線を行うことがで
きるようになる。
【0036】なお、予め設定される配線間隔は、自動配
線ツールによって行うことのできる配線間隔の最小値に
設定しておくことが望ましい。請求項8記載の発明は、
配置の終了した集積回路に対し自動配線ツールを用いて
配線を行うに、前記配線の終了した集積回路について、
予め設定された配線間隔及びクロストークノイズの上限
値を用いて自動配線ツールにて配線を行う配線工程と、
前記自動配線ツールによる配線工程によってその実行条
件を満たす当該集積回路の自動配線が完了したか否かを
判断する判断工程とを備え、前記自動配線が完了したと
判断されるまで、前記設定された配線間隔を拡大させつ
つ前記配線工程及び前記判断工程を繰り返し実行するこ
とをその要旨とする。
【0037】自動配線に際しては、配線間隔が狭い方が
未結線箇所が残る可能性が減少する。この反面、配線間
隔が狭いほどクロストークノイズが大きくなりやすく、
同ノイズの上限値を超えやすい。
【0038】この点、上記設計方法では、設定された上
限値と設定された配線間隔とを用いて自動配線が行わ
れ、これによって配線が完了しないと判断される毎に段
階的に配線間隔を拡大するようにする。このように段階
的に配線間隔を拡大することで、未結線を防止しつつク
ロストークノイズの上限値を満たす適切な配線を行うこ
とができるようになる。
【0039】なお、予め設定される配線間隔は、自動配
線ツールによって行うことのできる配線間隔の最小値に
設定しておくことが望ましい。請求項9記載の発明は、
請求項7又は8記載の発明において、前記自動配線ツー
ルによる配線工程に先立ち、この配線工程による自動配
線よりも配線にかかる演算処理量の小さい仮の配線を行
う概略配線工程と、この概略配線工程によっては前記配
線間隔及び前記上限値を用いた自動配線の完了が困難で
あると判断されると前記配線間隔を段階的に拡大させる
工程とを更に備えることをその要旨とする。
【0040】与えられた条件下での自動配線ツールによ
る配線によっては、配線混雑度が大きくなるなどして、
同ツールによる配線処理が長期化することがある。この
点、上記設計方法では、自動配線ツールにて配線を行う
工程に先立ち、この工程における配線よりも配線にかか
る演算処理量の小さな仮の配線を行う概略配線工程を備
える。そして、この概略配線工程によって前記配線間隔
及び上限値を用いた配線の完了が困難であると判断され
ると前記配線間隔を段階的に拡大させる。このように配
線の完了が困難であると判断される場合に配線間隔を段
階的に拡大することで、この後に行われる自動配線ツー
ルによる配線にかかる処理時間を低減することができ
る。
【0041】なお、この配線の完了が困難であるとの判
断は、概略配線を行ったのち、未結線箇所等の違反箇所
が所定数を超えるか否かによって行ってもよい。なお、
上記各請求項1〜9記載の発明は、請求項10記載の発
明によるように、前記自動配線ツールは、配線形成可能
な領域として予め定められたグリッドを用いて前記自動
配線を行うようにしてもよい。これにより、自動配線ツ
ールによる配線処理にかかる演算負荷を低減することが
できるようになる。
【0042】請求項11記載の発明は、集積回路のレイ
アウト設計に際して配線間に生じるクロストークノイズ
についての上限値の設定を支援する集積回路の設計支援
装置であって、前記集積回路の予め分類された複数の箇
所について定められた前記クロストークノイズについて
の上限値に基づいて、配置の終了した集積回路に対し仮
配線を行う自動配線ツールと、前記仮配線の行われた集
積回路について、前記クロストークノイズを加味して解
析される動作周波数と所望とする動作周波数との差が予
め定められた許容範囲にあるか否かを判断するタイミン
グ解析部と、前記分類された複数の箇所のうち、前記各
動作周波数の差が許容範囲にないと判断される箇所につ
いては同箇所に定められている上限値を低減し、前記各
動作周波数の差が許容範囲にあると判断される箇所につ
いてはそのときに同箇所に定められている上限値を前記
クロストークノイズの上限値として確定する上限値設定
部とを備えることをその要旨とする。
【0043】上記構成では、集積回路の予め分類された
複数の箇所のそれぞれについてクロストークノイズの上
限値が設定される。このため、集積回路が誤動作を起こ
す各別の要因毎に上記上限値を設定することができ、ひ
いては、これら個別の要因毎に適切なクロストークノイ
ズ対策を施すことができるようになる。したがって、各
種集積回路の設計に際し、より適切な上限値を設定する
ことができるようになる。
【0044】また、上記構成では、自動配線ツールにて
仮配線が行われた後、タイミング解析部によって、クロ
ストークノイズを加味して解析される動作周波数と所望
とする動作周波数との差が予め定められた許容範囲にあ
るか否かが判断される。そして、タイミング解析部で許
容範囲にないと判断された箇所については、上限値設定
部にて、この箇所の上限値を低減する。また、上記タイ
ミング解析部にて前記許容範囲にあると判断された箇所
については、上限値設定部にて、その上限値がクロスト
ークノイズの上限値として確定される。
【0045】このため、定められたクロストークノイズ
の上限値が所望とする動作周波数にとって適切なもので
ない場合であれ、上限値の低減がなされつつ仮配線及び
タイミング解析が繰り返されることで、集積回路の各箇
所毎に適切な上限値が自動的に抽出されるようになる。
【0046】なお、クロストークノイズの上限値を定め
る際には、その上限値を大きめの値に、換言すればクロ
ストークノイズを許容する側の値に定めることが望まし
い。請求項12記載の発明によれば、集積回路のレイア
ウト設計に際して配線間に生じるクロストークノイズに
ついての上限値の設定を支援する集積回路の設計支援装
置であって、前記集積回路の予め分類された複数の箇所
について定められた前記クロストークノイズについての
上限値に基づいて、配置の終了した前記集積回路に対し
仮配線を行う自動配線ツールと、前記仮配線の行われた
集積回路について、前記クロストークノイズを加味して
解析される動作周波数と所望とする動作周波数との差が
予め定められた許容範囲にあるか否かを判断するタイミ
ング解析部と、前記各動作周波数の差が許容範囲にある
と判断されるとき、前記分類された複数の箇所について
定められている上限値の少なくとも1つを増加させると
共にその増加前の上限値を保持しておき、前記動作周波
数の差が許容範囲にないと判断されるとき、前記保持し
た増加直前の値を前記クロストークノイズの上限値とし
て確定する上限値設定部とを備えることをその要旨とす
る。
【0047】上記構成では、集積回路の予め分類された
複数の箇所のそれぞれについてクロストークノイズの上
限値が設定される。このため、集積回路が誤動作を起こ
す各別の要因毎に上記上限値を設定することができ、ひ
いては、これら個別の要因毎に適切なクロストークノイ
ズ対策を施すことができるようになる。したがって、各
種集積回路の設計に際し、より適切な上限値を設定する
ことができるようになる。
【0048】また、上記構成では、自動配線ツールにて
仮配線が行われた後、タイミング解析部によって、クロ
ストークノイズを加味して解析される動作周波数と所望
とする動作周波数との差が予め定められた許容範囲にあ
るか否かが判断される。そして、タイミング解析部で許
容範囲にないと判断された場合には、上限値設定部に
て、上限値の少なくとも1つを増大する。また、上記タ
イミング解析部にて前記許容範囲にないと判断されたと
きには、上限値設定部にて、その直前に許容範囲にある
と判断されたときに用いられた上限値がクロストークノ
イズの上限値として確定される。
【0049】このため、定められたクロストークノイズ
の上限値が所望とする動作周波数にとって適切なもので
ない場合であれ、上限値の低減がなされつつ仮配線及び
タイミング解析が繰り返されることで、集積回路の各箇
所毎に適切な上限値が自動的に抽出されるようになる。
【0050】なお、クロストークノイズの上限値を定め
る際には、その上限値を小さめの値に、換言すればクロ
ストークノイズを許容しない側の値に定めることが望ま
しい。
【0051】請求項13記載の発明は、配置の終了した
集積回路に対する自動配線を支援する集積回路の設計支
援装置であって、前記配置の終了した集積回路につい
て、予め設定された配線間隔及びクロストークノイズの
上限値を用いて自動配線を行う自動配線ツールと、前記
予め設定された配線間隔による自動配線では前記自動配
線ツールによる配線が完了しないと判断されるとき、前
記設定された配線間隔を適宜に拡大する配線間隔設定手
段とを備えることをその要旨とする。
【0052】自動配線に際しては、配線間隔が狭い方が
未結線箇所が残る可能性が減少する。この反面、配線間
隔が狭いほどクロストークノイズが大きくなりやすく、
同ノイズの上限値を超えやすい。
【0053】この点、上記構成では、自動配線ツールに
て集積回路について、設定された配線間隔及び予め設定
されたクロストークノイズの上限値を用いて配線が行わ
れ、配線間隔設定手段にて集積回路の配線が完了しない
と判断される毎に、設定された配線間隔が拡大される。
【0054】このように段階的に配線間隔を拡大するこ
とで、未結線を防止しつつクロストークノイズの上限値
を満たす適切な配線を行うことができるようになる。な
お、予め設定される配線間隔は、自動配線ツールによっ
て行うことのできる配線の線幅の最小値に設定しておく
ことが望ましい。
【0055】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明
にかかる集積回路の設計方法及び設計支援装置をスタン
ダードセル方式の半導体集積回路の設計方法及び設計支
援装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照
しつつ説明する。
【0056】図1は、本実施形態にかかる設計支援装置
の構成を示すブロック図である。なお、この支援装置は
スタンダードセル方式の設計を支援する装置として構成
されている。
【0057】はじめに、同支援装置を構成する各部の機
能について説明する。まず、設計仕様格納部10は、例
えばハードウェア記述言語(HDL)で記述された半導
体集積回路の機能及び構造に関する情報が格納される部
分であり、ハードディスク装置等の記憶装置によって構
成されている。
【0058】また、ライブラリ12は、半導体集積回路
を構成すべき各種機能セルのセル情報や、それら機能セ
ルの遅延情報、セットアップ及びホールドタイムに関す
る制約情報等、それら機能セルの性能情報が格納される
部分である。このライブラリ12も、ハードディスク装
置等の記憶装置によって構成されている。なお、上記各
種機能セルは、論理演算子(論理積、論理和、排他的論
理和、排他的論理積、否定等)やフリップフロップ回路
等又はそれらを用いて形成される回路である。
【0059】一方、レイアウト14は、上記各機能セル
の面積情報等、同機能セルのレイアウトに関する情報が
格納される部分であり、これについてもハードディスク
装置等の記憶装置によって構成されている。
【0060】また、プロセスパラメータ16は、指定さ
れたデザインルール(素子サイズや最小配線間隔等を規
定するルール)に応じた素子特性や、材質毎の配線特性
等に関する情報が格納される部分であり、これについて
もハードディスク装置等の記憶装置によって構成されて
いる。
【0061】また、論理合成部20は、設計仕様格納部
10に格納されている回路情報に基づいてゲートレベル
の回路を生成する(回路設計)部分である。ここで、上
記回路情報に基づくゲートレベルの回路の生成は、上記
ライブラリ12に登録されている機能セルを用いて行な
われる。
【0062】これに対し、自動配置部22及び自動配線
部24は、生成した回路に対応してレイアウト設計を行
う部分である。すなわち、自動配置部22は、生成され
た回路に対応し上記機能セルの自動配置を行う部分であ
り、自動配線部24は、それら配置された機能セル間の
配線を行う部分である。これら上記機能セルの自動配
置、及びそれら配置された機能セル間の配線は、上記回
路設計に用いられた機能セルに対応する上記レイアウト
14の有するレイアウトデータを用いて行なわれる。な
お、上記自動配線部24は、ハードディスク装置、ある
いはROMやRAM等の半導体メモリに配線実行手順に
関するプログラムが記録された記憶装置によって構成さ
れている。
【0063】この自動配置部22及び自動配線部24で
生成された回路のネットリストが次のタイミング解析部
30に供給される。このネットリストは、階層構造を保
持しており、各機能セルから構成される機能ブロック内
のネットリストと機能ブロック間のネットリストとから
なる。
【0064】タイミング解析部30は、上記ネットリス
トに表される全ての論理回路の構造(ネットリスト情
報)と各論理回路間の全ての接続情報(ファンアウト
数)とを解析して、当該回路各部のタイミング解析を行
う部分である。このタイミング解析に際しては、上記プ
ロセスパラメータ16の有する情報も用いられる。この
タイミング解析部30は、ハードディスク装置、あるい
はROMやRAM等の半導体メモリに解析実行手順に関
するプログラムが記録された記憶装置によって構成され
ている。
【0065】また、クロストークノイズ上限値設定部
(以下、上限値設定部)40は、上記タイミング解析部
30の解析結果に基づいてクロストークノイズの上限値
を設定する部分である。本実施形態では、この上限値
を、一例として、対象となる半導体集積回路におけるデ
ィジタル信号の高電位側の電位に対するパーセンテージ
で定義する。この上限値設定部40も、ハードディスク
装置、あるいはROMやRAM等の半導体メモリに設定
実行手順に関するプログラムが記録された記憶装置によ
って構成されている。
【0066】その他、入力部50は、タッチペンやキー
ボード、マウス等の入力装置からなって、回路設計のた
めの各種情報や命令を入力する部分である。また、フロ
ア表示部60は、上記入力情報や設計、あるいは設計変
更された回路のレイアウト図等を可視表示する部分であ
る。一方、制御部70は、このフロア表示部60をはじ
め、上述した設計仕様格納部10、ライブラリ12、レ
イアウト14、プロセスパラメータ16、論理合成部2
0、自動配置部22、自動配線部24、タイミング解析
部30、及び上限値設定部40の動作を統轄する部分で
ある。
【0067】上記構成を有する設計支援装置を用いて、
半導体集積回路の設計が行われる。特に、本実施形態で
は、レイアウト設計に際してクロストークノイズの上限
値を設定する。
【0068】ここで、こうした設計支援装置を用いて行
われる本実施形態にかかるクロストークノイズの上限値
の設定方法について説明する。図2に、本実施形態にお
けるクロストークノイズの上限値の設定手順を示す。同
図2に示すように、この一連の手順においては、論理合
成部20にて回路設計が行われた集積回路に関するデー
タ(回路図情報)が、まずステップ100にて自動配置
部22に入力される。これに対し、自動配置部22で
は、この入力されたデータに対応する集積回路の自動配
置が行われる(ステップ110)。
【0069】こうして配置された集積回路に対して仮配
線を行うための条件として、クロストークノイズの上限
値の設定が行われる。すなわち、上述した要因(a)に
当たるクロストークノイズそのものによって集積回路に
誤動作が生じるおそれのあるところについて予め上限値
を設定する(ステップ120)。具体的には、本実施形
態では、例えばD/AコンバータやA/Dコンバータ
等、アナログ素子を含んで構成されるアナログマクロへ
の入力配線や、フリップフロップ等の順序回路への入力
配線、メモリへの入力配線について、予め上限値を設定
する。
【0070】すなわち、D/AコンバータやA/Dコン
バータ等、アナログ素子を含んで構成されるアナログマ
クロでは、その入力信号のわずかな変動によって誤動作
が引き起こされる。また、フリップフロップ等の順序回
路では、上述したグリッチによって保持されている信号
が論理反転する等、その出力信号がノイズに応答して非
可逆的に変化し、誤動作が引き起こされる。更に、高速
メモリ等のメモリの入力配線にグリッチが生じると、こ
れに起因して例えばメモリのクロックが反転したときの
ようにメモリの動作が切り替えられる等、メモリの動作
が非可逆的に変化し、誤動作が生じる。
【0071】このように、アナログマクロへの入力配線
や、順序回路への入力配線、メモリへの入力配線につい
ては、配線の遅延変動に起因する誤動作のみならず、グ
リッチに起因して誤動作が引き起こされるようになる。
そこで、本実施形態では、これらについてはグリッチに
起因する誤動作を生じないような上限値を予め各別に設
定しておく。なお、これら各上限値については、上記上
限値設定部40が備える構成としてもよく、上記入力部
50から入力される構成としてもよい。
【0072】次に、上記上限値の設定されなかった部分
について、クロストークノイズの上限値を仮に設定する
(ステップ130)。この上限値の仮設定については、
これまでの半導体集積回路の設計時等に得た経験値等に
基づき行うことが望ましい。なお、これら各上限値につ
いても、上記上限値設定部40が備える構成としてもよ
く、上記入力部50から入力される構成としてもよい。
【0073】図3に、こうした各上限値の設定及び仮設
定について例示する。同図3では、アナログマクロAN
Aの入力配線についてはノイズ上限値を「a%」に、ま
た、順序回路としてのフリップフロップFFの入力配線
についてはノイズ上限値を「b%」に、それ以外の配線
についてはノイズ上限値を「c%」にそれぞれ設定され
ている。ここで、「c」は、「a」以上であり且つ
「b」以上とする。なお、上記「c」は、同様に、メモ
リの入力配線に対するノイズ上限値以上の値とする。
【0074】このように、ノイズ上限値の設定及び仮設
定がなされた後、これに基づいて自動配線部24によっ
て仮配線が行われる(ステップ140)。この自動配線
部24による仮配線は、配線可能な領域を予め設定する
グリッドを用いて行う。本実施形態では、半導体集積回
路を多層配線構造にて形成する場合を想定しているた
め、図4(a)に破線にて例示するように、平行に走る
配線可能領域であるグリッドが各層毎に互いに直行する
ように設定されている。こうしたグリッドを用いること
で、自動配線部24では、図4(b)に例示するよう
に、配線を行うことができる(図中、実線部が配線)。
【0075】なお、この仮配線は、未結線箇所や、複数
の配線が同一のグリッド上に形成されるショートが、必
ずしも全てなくなるようなものでなくてもよい。例えば
配線同士がショートすることを許容したり、未結線箇所
を許容したりするようにするなら、ノイズの上限値の設
定にかかるこの一連の処理を迅速に行うことができる。
【0076】そして、この仮配線の終了した半導体集積
回路について、タイミング解析部30では、隣接する配
線間のカップリング容量や配線及び基板間のカップリン
グ容量、更には配線抵抗を抽出する(ステップ15
0)。ここでは、自動配置部22及び自動配線部24に
よってレイアウトの行われた半導体集積回路のデータに
加えて、上記プロセスパラメータ16の有するデータを
用いて上記カップリング容量及び配線抵抗の抽出を行
う。なお、このプロセスパラメータ16の有する情報に
ついては、例えば設計対象となる半導体集積回路毎に、
デザインルールや、配線の材質等が入力部50を介して
指定されることで特定の情報が選択されて用いられるよ
うにすればよい。
【0077】こうしてカップリング容量や配線抵抗の抽
出がなされると、タイミング解析部30では、まずクロ
ストークノイズを考慮しないでタイミング解析を行う
(ステップ160)。これは、レイアウト設計の終了し
た上記半導体集積回路が、回路設計や回路の配置段階で
既に所望とする動作周波数を得ることが困難なものとな
っているか否かを判定するためのものである。この要因
として例えば、回路設計そのものに問題がある場合に加
え、回路間の距離が過剰に離間されて配置されることな
どによる。
【0078】そして、クロストークノイズを加味せずに
行われるタイミング解析に基づき、当該集積回路の動作
周波数と所望とする動作周波数との差が許容範囲を超え
る場合には、半導体集積回路の回路配置工程からやり直
しが行われる。なお、これに代えて、図2に破線で示す
ように、回路設計からやり直しを行うようにしてもよ
い。このタイミング解析は、例えば、設計対象となる半
導体集積回路内の各順序回路間の信号の遷移時間を算出
し、この遷移時間が上記許容範囲に対応する所定の期間
内に収まるか否かを判断するなどして行うことができ
る。
【0079】ちなみに、このタイミング解析は、例えば
図5に例示するように対象となる配線に等価容量Ceff
を設定して行えばよい。すなわち、図5に模式的に示す
ように、対象となる配線及び基板間のカップリング容量
をC0、上記対象となる配線及びこれに隣接する配線間
のカップリング容量をCmとすると、対象となる配線の
等価容量Ceffは、対象となる配線の電位遷移のみを考
慮すればよいことから、C0+Cmとなる。
【0080】そして、このクロストークノイズを加味せ
ずに行われるタイミング解析に基づき、当該集積回路の
動作周波数と所望とする動作周波数との差が許容範囲内
にあると判断されると、タイミング解析部30では、ク
ロストークノイズを考慮したタイミング解析を行う(ス
テップ170)。このタイミング解析も、基本的には、
設計対象となる半導体集積回路内の各順序回路間の信号
の遷移時間を算出し、この遷移時間が上記許容範囲に対
応する所定の期間内に収まるか否かを判断するなどして
行うことができる。以下、これについて更に詳述する。
【0081】このタイミング解析は、基本的には隣接す
る配線の一方と他方とでの電位遷移について、それらが
互いに同一方向であるときと反対方向にあるときとの双
方にて算出される遅延変動量に基づいて行う。すなわ
ち、隣接する配線の一方と他方とでの電位遷移が互いに
同一方向であるときには、クロストークノイズがない場
合と比較して信号遷移時間が短くなる。これに対し、隣
接する配線の一方と他方とでの電位遷移が互いに逆方向
であるときには、クロストークノイズがない場合と比較
して信号遷移時間が長くなる。そこで、隣接する配線の
一方と他方とでの様々な電位遷移によって生じる遅延変
動を反映させるために、上記双方にて算出される遅延変
動量に基づいてタイミング解析を行うようにする。
【0082】具体的には、隣接する配線の一方と他方と
での電位遷移が互いに同一方向であるときには、図6
(a)に模式的に示すようにして対象となる配線の等価
容量C effをC0とすることでタイミング解析を行う。こ
れに対し、隣接する配線の一方と他方とでの電位遷移が
互いに逆方向であるときには、図6(b)に模式的に示
すようにして対象となる配線の等価容量CeffをC0+2
mとすることでタイミング解析を行う。
【0083】なお、上述したように仮配線時には、配線
同士のショートを許容する設定とすることもある。この
場合、ショートしている配線同士の配線間隔を、自動配
線部24の配線において用いられる最小の配線間隔(最
小グリッド幅)であると仮定して、先の図5や図6に示
したカップリング容量Cmの設定を行うなどすればよ
い。
【0084】そして、隣接する配線の一方と他方とでの
電位遷移が互いに同一方向及び逆方向の双方について、
こうして設定された等価容量を用いることで、図7に示
すように、対象となる配線の一端から入力される信号が
他端に到達するまでの経過時間を算出する。この図7で
は、隣接する配線の一方と他方とでの電位遷移が互いに
同一方向のときの経過時間をTminで、また、隣接す
る配線の一方と他方とでの電位遷移が互いに逆方向のと
きの経過時間をTmaxで、それぞれ示してある。そし
て、クロストークノイズに起因する遅延変動量を考慮し
た場合の上記経過時間は、これら経過時間Tmax及び
経過時間Tmin間にあるとして動作周波数を算出する
ことができる。
【0085】更に、本実施形態では、互いに同一方向で
あるときと反対方向にあるときとの双方にて遅延変動量
を算出する際、隣接する配線間での電位遷移のタイミン
グの重複度合いを考慮する。これは、実際の半導体集積
回路においては、隣接する配線の一方と他方とでの電位
が互いに同一方向又は反対方向に同時期に変化するとは
限らないためである。
【0086】図8に、本実施形態における電位遷移のタ
イミングの重複度合いの考慮の仕方について例示する。
この図8では、隣接する配線の一方と他方とでの電位遷
移が互いに同一方向のときを例示してある。図8(a)
示されるように、配線1には、フリップフロップFF1
〜FF3の出力信号が入力される。また、この図8
(a)に示されるように、配線2には、フリップフロッ
プFF4〜FF6の出力信号が入力される。
【0087】一方、図8(b)には、各フリップフロッ
プFF1〜FF6から出力される立ち上がり信号が配線
1又は配線2に入力されるタイミングを示す。ここで、
フリップフロップFF1〜FF3から出力される立ち上
がり信号の配線2への入力は、同フリップフロップFF
1〜FF3からの信号の出力タイミングを基準とする
と、次の期間に行われるようになる。すなわち、これら
各フリップフロップFF1〜FF3からの立ち上がり信
号が配線2に入力される時間のうち、最小値と最大値と
の間の期間に行われる。
【0088】これに対し、フリップフロップFF4〜F
F6から出力される立ち上がり信号の配線1への入力
は、同フリップフロップFF4〜FF6からの信号の出
力タイミングを基準とすると、次の期間に行われるよう
になる。すなわち、これら各フリップフロップFF4〜
FF6からの立ち上がり信号が配線1に入力される時間
のうち、最小値と最大値との間の期間に行われる。
【0089】図7(b)に、これらフリップフロップF
F1〜FF3から出力される立ち上がり信号が配線2へ
入力されるまでの期間と、フリップフロップFF4〜F
F6から出力される立ち上がり信号が配線1へ入力され
るまでの期間との重複期間を示す。この電位遷移タイミ
ングの重複期間が配線1及び配線2にある場合には、ク
ロストークノイズを考慮したタイミング解析を行う。
【0090】こうしてクロストークノイズを考慮して行
われるタイミング解析の結果、設計対象である半導体集
積回路の実際の動作周波数と所望の動作周波数との差が
許容範囲にない場合には、上記上限値設定部40では、
上記仮設定したノイズ上限値を削減する(ステップ18
0)。すなわち、ここでは上記ステップ130で仮設定
したノイズ上限値では、クロストークノイズに起因する
遅延変動によって所望の動作周波数を満たすことができ
ないとして、仮設定したノイズ上限値を低減する。
【0091】そして、この再度仮設定されたノイズ上限
値に基づいて、上記ステップ140と同様にして仮配線
を行う(ステップ190)。そして、この仮配線の終了
された半導体集積回路について、上記ステップ200同
様、カップリング容量及び配線抵抗を抽出する(ステッ
プ200)。そして、これら抽出されたカップリング容
量や配線抵抗を用いて、再度クロストークノイズを考慮
したタイミング解析を行う(ステップ170)。これら
ステップ170〜ステップ200までの処理は、設計対
象である半導体集積回路の実際の動作周波数と所望の動
作周波数との差が許容範囲に収まるまで繰り返される。
【0092】そして、設計対象である半導体集積回路の
実際の動作周波数と所望の動作周波数との差が許容範囲
に収まると、上記上限値設定部40では、このときに用
いられた仮のノイズ上限値を、ノイズの上限値として確
定する(ステップ210)。
【0093】このようにして確定されたノイズ上限値
は、所望とする動作周波数を満たしつつも極力大きな値
に設定することができる。よって、ノイズ上限値を過剰
に小さな値とした場合に生じるクロストークノイズの過
剰な対策を回避することができる。すなわち、このノイ
ズ上限値は、動作周波数の相当値として先の図7に示す
経過時間(遷移時間)を用いた場合、 ・図9(a)に示す、隣接する配線の一方と他方とで互
いに逆方向に電位が遷移する場合のノイズ上限値と遷移
時間(遅延変動量が最大となる遷移時間)の関係(概略
図)において、同遷移時間が許容範囲内となる極力大き
なノイズ上限値 ・図9(b)に示す、隣接する配線の一方と他方とで互
いに同一方向に電位が遷移する場合のノイズ上限値と遷
移時間(遅延変動量が最小となる遷移時間)の関係(概
略図)において、同遷移時間が許容範囲内となる極力大
きなノイズ上限値の2つのノイズ上限値のうちの小さい
方の値とされる。
【0094】以上説明した本実施形態によれば、以下の
効果が得られるようになる。 (1)配線の遅延変動に起因する誤動作のみならず、グ
リッチに起因して誤動作が引き起こされるアナログマク
ロへの入力配線や、順序回路への入力配線、メモリへの
入力配線について、グリッチに起因する誤動作を回避す
る上限値を各別に予め設定した。これにより、グリッチ
に起因する誤動作を的確に回避することができるように
なる。
【0095】(2)上記予め上限値が設定される箇所以
外の箇所について、上限値を仮設定しこれに基づいて仮
配線を行った。そして、クロストークノイズを加味して
解析される動作周波数と所望とする動作周波数との差が
予め定められた許容範囲にないと判断された場合に仮設
定された上限値を段階的に低減した。このため、所望と
する動作周波数にとって適切な上限値が自動的に抽出さ
れるようになる。
【0096】(3)クロストークノイズがない場合から
の信号遷移時間の変動量(遅延変動量)を、隣接する配
線の一方と他方とでの電位遷移についてそれらが互いに
同一方向であるときと反対方向であるときとの双方につ
いて算出した。このため、隣接する配線の一方と他方と
での様々な電位遷移によって生じる遅延変動を反映して
動作周波数の解析を行うことができるようになる。
【0097】(4)レイアウト設計対象の半導体集積回
路において、隣接する配線間での電位遷移のタイミング
の重複度合いを考慮して遅延変動量を算出した。このた
め、上記半導体集積回路内で実際に生じ得る遅延変動量
についてより正確に算出することができ、ひいては、同
半導体集積回路についてより正確な動作周波数の解析を
行うことができる。
【0098】(5)クロストークノイズを加味した動作
周波数の解析に先立ち、クロストークノイズを加味しな
い動作周波数の解析に基づき、半導体集積回路の回路設
計及び同回路の配置のいずれかの工程からやり直しを行
った。これにより、回路設計や回路の配置に起因して所
望とする動作周波数を得ることが困難な場合には、この
要因を解消した後、クロストークノイズについての上限
値が設定されることとなる。したがって、所望の動作周
波数を満たすためのクロストークノイズの上限値をより
適切に設定することができる。
【0099】(6)配線形成可能な領域として予め定め
られたグリッドを用いて配線を行った。これにより、自
動配線ツールによる配線処理にかかる演算負荷を低減す
ることができるようになる。
【0100】(第2の実施形態)以下、本発明にかかる
集積回路の設計方法及び設計支援装置の第2の実施形態
について、上記第1の実施形態との相違点を中心として
図面を参照しつつ説明する。
【0101】上記第1の実施形態では、レイアウト設計
に際し、仮配線を行いつつ配線間で発生するクロストー
クノイズの上限値を設定した。勿論、この仮配線につい
て、未結線やショートを許容しないようにするなら、先
の図2のステップ210でノイズ上限値が確定した際に
は、このノイズ上限値を満たすような配線が完了したこ
とになる。ただし、このように未結線やショートを許容
しないかたちで全ての配線を行いつつノイズ上限値を設
定するには膨大な時間がかかる。
【0102】そこで、本実施形態では、未結線やショー
トを許容しつつ先の図2の一連の処理によってノイズ上
限値を確定した後、これと最小のグリッド幅を配線間隔
とすることを条件として自動配線を行う。そして、これ
によって配線が完了しないと判断される毎に用いる配線
間隔を段階的に拡大するようにする。このように用いる
配線間隔を段階的に拡大することで、未結線を防止しつ
つクロストークノイズの上限値を満たす適切な配線を自
動的に行うことができるようになる。
【0103】図10は、こうして自動配線を行う本実施
形態にかかる半導体集積回路の設計支援装置の構成を示
すブロック図である。この支援装置もスタンダードセル
方式の設計を支援する装置として構成されている。な
お、この設計支援装置において、先の図1に示した部材
と同一の部材については同一の符号を付し、これについ
ての説明は割愛することとする。
【0104】図10に示すように、この設計支援装置
は、先の図2の一連の処理によって確定されたノイズ上
限値や、先の図2のステップ120によって設定された
ノイズ上限値が適宜の記憶装置に記憶されている(図
中、クロストークノイズ上限値18)。また、自動配線
部24によって設計対象となる半導体集積回路に配線を
行う際に、配線間隔として許容される値を設定するグリ
ッド幅設定部80を備えている。このグリッド幅設定部
80は、ハードディスク装置、あるいはROMやRAM
等の半導体メモリに設定実行手順に関するプログラムが
記録された記憶装置によって構成されている。そして、
制御部70bでは、フロア表示部60をはじめ、設計仕
様格納部10、ライブラリ12、レイアウト14、プロ
セスパラメータ16、論理合成部20、自動配置部2
2、自動配線部24、タイミング解析部30に加えて、
クロストークノイズ上限値18、グリッド幅設定部80
の動作を統轄する。
【0105】ここで、こうした設計支援装置を用いて行
われる本実施形態にかかる自動配線手順について、図1
1に基づいて説明する。図11は、上記自動配線手順を
示すフローチャートである。
【0106】この一連の処理においては、自動配置部2
2にて配置の終了した半導体集積回路についての情報を
自動配線部24に入力する(ステップ300)。また、
自動配線部24には、先の図2に示した処理によって確
定したノイズ上限値や、先の図2のステップ120によ
って設定されたノイズ上限値が、クロストークノイズ上
限値18から取り込まれる(ステップ310)。更に、
自動配線部24は、配線間隔として許容される値の上限
値がグリッド幅設定部80によって指定される(ステッ
プ320)。このグリッド幅設定部80では、ステップ
320において、最小のグリッド幅を、配線間隔として
許容される値の上限値として指定する。
【0107】これに対し、自動配線部24では、ステッ
プ310において取り込まれたノイズ上限値と、ステッ
プ320にて指定された配線間隔を条件として概略配線
を行う(ステップ330)。この概略配線は、指定され
た配線間隔とノイズ上限値とに基づいて結線ポイント間
を最短で結線する簡易的な配線処理である。この概略配
線では、複数の配線に同一のグリッドが重複して用いら
れるショートや、ノイズ上限値を満たさない等のために
配線しない未結線箇所を許容する。なお、上記自動配線
部24では、必ずしもこの概略配線という特別の処理機
能を有していなくてもよい。この場合であっても、自動
配線部24がトライアンドエラーを繰り返しつつ配線を
行う演算装置であるなら、トライアンドエラーの初期の
段階を概略配線と定義して、例えば所定時間の経過をも
って概略配線の終了とすればよい。
【0108】そして、この概略配線が終了すると、上記
グリッド幅設定部80では、この概略配線の結果、ショ
ートや未結線等の違反箇所がカウントされ、同違反箇所
が所定の閾値以内であるか否かを判断する(ステップ3
40)。
【0109】すなわち、これらステップ330及びステ
ップ340の処理では、指定された配線間隔では配線混
雑度が大きいなどの理由によって配線を完了することが
困難であるか否かを判断する。したがって、上記所定の
閾値は、配線を完了することが困難であると判断できる
値に設定される。そして、ステップ340において、違
反箇所が所定の閾値以内にないと判断されると、グリッ
ド幅設定部80では許容される配線間隔の上限値を拡大
して、その旨自動配線部24に通知する(ステップ35
0)。これらステップ330〜ステップ350にかかる
処理は、ステップ330の概略配線の結果、違反箇所が
所定の閾値以内となるまで繰り返される。
【0110】そして、ステップ340において、違反箇
所が所定の閾値以内となったと判断されると、ステップ
310において取り込まれたノイズ上限値と、ステップ
340にて違反箇所が所定の閾値以内となったと判断さ
れた時点の許容される配線間隔の上限値を条件として配
線を行う(ステップ360)。このステップ360にお
ける配線にかかる処理は、自動配線部24における処理
としては、必ずしも上記概略配線にかかる処理と異なる
演算プログラムを用いなくてもよい。要は、概略配線に
おけるトライアンドエラーにかかる演算処理量がこのス
テップ360の配線のトライアンドエラーにかかる演算
処理量よりも小さければよい。
【0111】そして、ステップ360の配線後、上記グ
リッド幅設定部80では、ステップ370において、未
結線やショートがなくなったか否かを判断する(ステッ
プ370)。そして、未結線やショートがあると判断さ
れると、上記ステップ350に戻る。これらステップ3
30〜ステップ370にかかる処理は、未結線やショー
トがなくなるまで繰り返される。
【0112】そして、ステップ370において未結線や
ショートがなくなったと判断されると、上記タイミング
解析部30にて最終的なタイミング解析が行われる(ス
テップ380)。そして、こうして配線の終了された半
導体集積回路の動作周波数と所望とする動作周波数との
差が許容範囲内にない等、問題箇所が残っていれば、バ
ッファやリピータの挿入や、セルの局所的な配置変更
等、局所変更を行う(ステップ390)。こうしてステ
ップ380にて最終的なタイミング解析によって問題箇
所がないと判断されるとこの一連の処理を終了する。
【0113】以上説明した本実施形態によれば、先の第
1の実施形態の上記(1)〜(6)の効果に加えて、更
に以下の効果が得られるようになる。 (7)先の図2の処理によって確定された上限値と予め
設定された配線間隔とを用いて自動配線が行われ、これ
によって配線が完了しないと判断される毎に段階的に配
線間隔を拡大した。このように段階的に配線間隔を拡大
することで、未結線を防止しつつクロストークノイズの
上限値を満たす適切な配線を行うことができるようにな
る。
【0114】(8)ステップ360の配線に先立ち、こ
れよりも演算処理量の小さな仮の配線を行う概略配線工
程をステップ330として備えた。そして、この概略配
線工程によって前記配線間隔及び上限値を用いた配線の
完了が困難であると判断されると配線間隔を段階的に拡
大させた。このように配線の完了が困難であると判断さ
れる場合に配線間隔を段階的に拡大し、配線の完了が困
難でないと判断された後にステップ360に移行するた
めに、このステップ360にかかる処理時間を低減する
ことができる。
【0115】なお、上記各実施形態は、以下のように変
更して実施してもよい。 ・図2のステップ160については、必ずしもこの処理
を行わなくても、ノイズ上限値の自動抽出を行うことは
できる。
【0116】・ステップ120において設定される上限
値によって、ステップ170におけるタイミング解析で
不都合が生じたなら、これを更に低減するなどしてもよ
い。 ・ステップ130におけるノイズ上限値の仮設定に関し
ても、半導体集積回路を複数の箇所に分類し、これら各
箇所毎にノイズ上限値を仮設定するようにしてもよい。
これにより、ステップ210において確定されるノイズ
上限値を、回路の正常な動作を可能とする範囲でいっそ
う大きな値とすることができる。
【0117】・先の図2のステップ170及びステップ
180において、実際の動作周波数と所望の動作周波数
との差が許容範囲にあるときに、仮設定されたノイズ上
限値を増加させるようにしてもよい。この場合、上記許
容範囲にないと判断されたときに、その直前に用いたノ
イズ上限値を上限値として確定する。この際、ノイズ上
限値を小さめの値に仮設定しておくことで、一連の処理
によって、クロストークノイズの上限値が所望とする動
作周波数にとって適切な値であって極力大きな値へと絞
り込まれていくようになる。
【0118】・隣接する配線の一方と他方とでの電位遷
移のタイミングについての重複度合いの考慮の仕方は、
図7(b)に例示したものに限らない。特に、図7
(b)において、たとえ配線1及び配線2間に電位遷移
タイミングの重複期間があったとしても、配線1及び配
線2での電位が遷移するタイミングが重ならず、クロス
トークノイズの影響が顕著とならないことがある。した
がって、例えば、各フリップフロップFF1〜FF3の
出力信号の配線2への各入力タイミングと、各フリップ
フロップFF4〜FF6の出力信号の配線1への各入力
タイミングとについて、個別に重複するか否かを考慮す
るなどしてもよい。
【0119】・自動配線部24は、必ずしもグリッドを
用いて配線を行うものでなくてもよい。 ・自動配線部24、タイミング解析部30、クロストー
クノイズ上限値設定部40、グリッド幅設定部80を、
ハードウェアやミドルウェアにて構成してもよい。
【0120】・半導体集積回路の設計手法として、例え
ばゲートアレイ等、スタンダードセル方式以外の方式を
用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる集積回路の設計支援装置をスタ
ンダードセル方式の設計支援装置に適用した第1の実施
形態について、その全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるクロストークノイズの上限
値の設定手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態におけるノイズ上限値の設定態様を
例示する回路図。
【図4】同実施形態におけるグリッドを用いた自動配線
を例示する図。
【図5】同実施形態においてクロストークノイズを考慮
しないタイミング解析を説明する図。
【図6】同実施形態においてクロストークノイズを考慮
したタイミング解析を説明する図。
【図7】同実施形態においてクロストークノイズを考慮
した配線の信号遷移を例示する図。
【図8】同実施形態において隣接する配線間での信号の
遷移タイミングの重複度合いの考慮の仕方を説明する
図。
【図9】同実施形態においてクロストークノイズの上限
値の設定態様を例示する図。
【図10】本発明にかかる集積回路の設計支援装置をス
タンダードセル方式の設計支援装置に適用した第2の実
施形態について、その全体構成を示すブロック図。
【図11】同実施形態における自動配線手順を示すフロ
ーチャート。
【符号の説明】
10…設計仕様格納部、12…ライブラリ、14…レイ
アウト、16…プロセスパラメータ、20…論理合成
部、22…自動配置部、24…自動配線部、30…タイ
ミング解析部、40…クロストークノイズ上限値設定
部、50…入力部、60…フロア表示部、70、70b
…制御部、80…グリッド幅設定部。
フロントページの続き Fターム(参考) 5B046 AA08 BA06 5F038 CD05 CD09 CD12 CD13 EZ09 EZ10 EZ20 5F064 AA04 EE02 EE03 EE13 EE14 EE42 EE43 EE46 EE47 HH06 HH08 HH10 HH12

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】集積回路のレイアウト設計に際し、配線間
    に生じるクロストークノイズについてその上限値を設定
    するに、 a.前記集積回路の予め分類された複数の箇所について
    前記上限値を定める工程、及び b.配置の終了した集積回路に対して前記定められた上
    限値に基づき自動配線ツールにて仮配線を行う工程、及
    び c.前記仮配線の行われた集積回路各部について、クロ
    ストークノイズを加味して解析される動作周波数と所望
    とする動作周波数との差が予め定められた許容範囲にあ
    るか否かを判断する工程、の各工程を備え、前記分類さ
    れた複数の箇所のうち、前記各動作周波数の差が許容範
    囲にないと判断される箇所については同箇所に定められ
    ている上限値を低減して前記b及び前記cの工程を繰り
    返し実行し、前記各動作周波数の差が許容範囲にあると
    判断される箇所についてはそのときに同箇所に定められ
    ている上限値を前記クロストークノイズの上限値として
    確定することを特徴とする集積回路の設計方法。
  2. 【請求項2】集積回路のレイアウト設計に際し、配線間
    に生じるクロストークノイズについてその上限値を設定
    するに、 a.前記集積回路の予め分類された複数の箇所について
    前記上限値を定める工程、及び b.配置の終了した集積回路に対して前記定められた上
    限値に基づき自動配線ツールにて仮配線を行う工程、及
    び c.前記仮配線の行われた集積回路各部について、クロ
    ストークノイズを加味して解析される動作周波数と所望
    とする動作周波数との差が予め定められた許容範囲にあ
    るか否かを判断する工程、の各工程を備え、前記各動作
    周波数の差が許容範囲にあると判断されるとき、前記分
    類された複数の箇所について定められている上限値のう
    ちの少なくとも1つを増加して前記b及び前記cの工程
    を繰り返し実行し、前記各動作周波数の差が許容範囲に
    ないと判断される直前の工程において用いられた上限値
    を前記クロストークノイズの上限値として確定すること
    を特徴とする集積回路の設計方法。
  3. 【請求項3】前記上限値は、アナログ素子を含む回路で
    あるアナログマクロへの入力配線、及び順序回路への入
    力配線、及びメモリへの入力配線の少なくとも1つに対
    して、当該集積回路の他の部分とは別に定められる請求
    項1又は2記載の集積回路の設計方法。
  4. 【請求項4】前記クロストークノイズを加味して行われ
    る動作周波数の解析は、隣接する配線の一方と他方との
    電位遷移が互いに同一方向にあるときと反対方向にある
    ときとの双方について算出される遅延変動量に基づいて
    行われる請求項1〜3のいずれかに記載の集積回路の設
    計方法。
  5. 【請求項5】前記遅延変動量は、前記隣接する配線間で
    の電位遷移のタイミングの重複度合いを考慮して算出さ
    れる請求項4記載の集積回路の設計方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の集積回路
    の設計方法において、 前記クロストークノイズを加味して行われる動作周波数
    の解析に先立ち、同クロストークノイズを加味しない動
    作周波数の解析を行い、この解析の結果、解析された動
    作周波数と所望とする動作周波数との差が予め定められ
    た許容範囲にないときには、前記aの工程の上流工程で
    ある当該集積回路の回路設計及び同回路の配置のいずれ
    かの工程から前記各工程を再実行することを特徴とする
    集積回路の設計方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の集積回路
    の設計方法において、 前記配置の終了した集積回路について、予め設定された
    配線間隔及び前記確定されたクロストークノイズの上限
    値を用いて自動配線ツールにて配線を行う工程と、 前記自動配線ツールによる配線工程によってその実行条
    件を満たす当該集積回路の自動配線が完了したか否かを
    判断する判断工程とを更に備え、 前記自動配線が完了したと判断されるまで、前記設定さ
    れた配線間隔を拡大させつつ前記配線工程及び前記判断
    工程を繰り返し実行することを特徴とする集積回路の設
    計方法。
  8. 【請求項8】配置の終了した集積回路に対し自動配線ツ
    ールを用いて配線を行うに、 前記配線の終了した集積回路について、予め設定された
    配線間隔及びクロストークノイズの上限値を用いて自動
    配線ツールにて配線を行う配線工程と、 前記自動配線ツールによる配線工程によってその実行条
    件を満たす当該集積回路の自動配線が完了したか否かを
    判断する判断工程とを備え、 前記自動配線が完了したと判断されるまで、前記設定さ
    れた配線間隔を拡大させつつ前記配線工程及び前記判断
    工程を繰り返し実行することを特徴とする集積回路の設
    計方法。
  9. 【請求項9】請求項7又は8記載の集積回路の設計方法
    において、 前記自動配線ツールによる配線工程に先立ち、この配線
    工程による自動配線よりも配線にかかる演算処理量の小
    さい仮の配線を行う概略配線工程と、この概略配線工程
    によっては前記配線間隔及び前記上限値を用いた自動配
    線の完了が困難であると判断されると前記配線間隔を段
    階的に拡大させる工程とを更に備えることを特徴とする
    集積回路の設計方法。
  10. 【請求項10】前記自動配線ツールは、配線形成可能な
    領域として予め定められたグリッドを用いて前記自動配
    線を行うものである請求項1〜9のいずれかに記載の集
    積回路の設計方法。
  11. 【請求項11】集積回路のレイアウト設計に際して配線
    間に生じるクロストークノイズについての上限値の設定
    を支援する集積回路の設計支援装置であって、 前記集積回路の予め分類された複数の箇所について定め
    られた前記クロストークノイズについての上限値に基づ
    いて、配置の終了した集積回路に対し仮配線を行う自動
    配線ツールと、前記仮配線の行われた集積回路につい
    て、前記クロストークノイズを加味して解析される動作
    周波数と所望とする動作周波数との差が予め定められた
    許容範囲にあるか否かを判断するタイミング解析部と、
    前記分類された複数の箇所のうち、前記各動作周波数の
    差が許容範囲にないと判断される箇所については同箇所
    に定められている上限値を低減し、前記各動作周波数の
    差が許容範囲にあると判断される箇所についてはそのと
    きに同箇所に定められている上限値を前記クロストーク
    ノイズの上限値として確定する上限値設定部とを備える
    ことを特徴とする集積回路の設計支援装置。
  12. 【請求項12】集積回路のレイアウト設計に際して配線
    間に生じるクロストークノイズについての上限値の設定
    を支援する集積回路の設計支援装置であって、 前記集積回路の予め分類された複数の箇所について定め
    られた前記クロストークノイズについての上限値に基づ
    いて、配置の終了した前記集積回路に対し仮配線を行う
    自動配線ツールと、前記仮配線の行われた集積回路につ
    いて、前記クロストークノイズを加味して解析される動
    作周波数と所望とする動作周波数との差が予め定められ
    た許容範囲にあるか否かを判断するタイミング解析部
    と、前記各動作周波数の差が許容範囲にあると判断され
    るとき、前記分類された複数の箇所について定められて
    いる上限値の少なくとも1つを増加させると共にその増
    加前の上限値を保持しておき、前記動作周波数の差が許
    容範囲にないと判断されるとき、前記保持した増加直前
    の値を前記クロストークノイズの上限値として確定する
    上限値設定部とを備えることを特徴とする集積回路の設
    計支援装置。
  13. 【請求項13】配置の終了した集積回路に対する自動配
    線を支援する集積回路の設計支援装置であって、 前記配置の終了した集積回路について、予め設定された
    配線間隔及びクロストークノイズの上限値を用いて自動
    配線を行う自動配線ツールと、 前記予め設定された配線間隔による自動配線では前記自
    動配線ツールによる配線が完了しないと判断されると
    き、前記設定された配線間隔を適宜に拡大する配線間隔
    設定手段とを備えることを特徴とする集積回路の設計支
    援装置。
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