JP2003186063A - 電気泳動表示装置及びその製造方法 - Google Patents

電気泳動表示装置及びその製造方法

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JP2003186063A
JP2003186063A JP2001384238A JP2001384238A JP2003186063A JP 2003186063 A JP2003186063 A JP 2003186063A JP 2001384238 A JP2001384238 A JP 2001384238A JP 2001384238 A JP2001384238 A JP 2001384238A JP 2003186063 A JP2003186063 A JP 2003186063A
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JP2001384238A
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Osamu Shinoura
治 篠浦
Noriyuki Yasuda
徳行 安田
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コントラストが改善された電気泳動表示装置
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも表示層41,42と、視認方
向側から表示層41,42を覆う透明層31,32とを
備える電気泳動表示装置であって、透明層31,32
が、実質的に透明である主成分及び主成分に添加された
潤滑性を有する微粒子によって構成されている。これに
より、従来の電気泳動表示装置と比べて透明層31,3
2の潤滑性が大幅に高められるので、表示面に傷がつき
にくく、高いコントラストを得ることが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気泳動表示装置
及びその製造方法に関し、さらに詳細には、視認性(コ
ントラスト)が改善された電気泳動表示装置及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気泳動現象を利用した電気
泳動表示装置が知られている(特開平11−21913
5号公報参照)。電気泳動表示装置は、一般に、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の有機溶媒やシリコーンオイ
ル等からなる媒質とプラス又はマイナスの電荷を帯びた
電気泳動粒子(表示粒子)とが封入された電気泳動表示
パネルを有しており、かかる電気泳動粒子に対し電界を
与えることによってこれを電気泳動表示パネルの表示面
側に集め、若しくは電気泳動表示パネルの表示面側から
遠ざけることで所望の文字・図形等を表示させることが
できる。
【0003】このような電気泳動表示装置は、従来から
知られているCRT(Cathode Ray Tub
e)や液晶ディスプレイ等とは異なり、無電源の状態に
おいて長時間に亘り表示内容を維持することができ、且
つ、表示パネル自体に光源を必要としないことから、紙
に似た使用感を得ることができるという優れた特徴を有
している。このため、電気泳動表示装置は電子紙として
の応用が期待されている。
【0004】一方、電気泳動表示装置は、印刷物とは異
なり、電界の印加によって表示内容を適宜変更すること
ができることから、従来の紙による表示(いわゆるハー
ドコピー)と、CRTや液晶等に代表される電子表示
(いわゆるソフトコピー)の中間に位置づけることがで
きる。したがって、プリンタを用いて紙に印刷するよう
に、専用の書き込み装置を用いて電気泳動表示装置に所
望の文字・図形等を表示させれば、例えば、電子新聞紙
として利用することが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プリン
タを用いて紙に印刷するように、専用の書き込み装置を
用いて電気泳動表示装置に所望の文字・図形等を表示さ
せる場合、電気泳動表示装置が書き込み装置の内部を通
過する際に、表示パネルの表面に傷がつくおそれがあ
る。表示パネルの表面に傷がつくと、視認性(コントラ
スト)が低下するばかりでなく、最悪の場合、電気泳動
表示装置が破損してしまう。
【0006】したがって、本発明の目的は、コントラス
トが改善された電気泳動表示装置及びその製造方法を提
供することである。
【0007】また、本発明の目的は、表示パネルの表面
に傷がつきにくい電気泳動表示装置及びその製造方法を
提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
少なくとも表示層と、視認方向側から前記表示層を覆う
透明層とを備える電気泳動表示装置であって、前記透明
層が、実質的に透明である主成分及び前記主成分に添加
された潤滑性を有する微粒子からなることを特徴とする
電気泳動表示装置によって達成される。
【0009】本発明によれば、透明層が、主成分に潤滑
性を有する微粒子が添加されてなることから、従来の電
気泳動表示装置と比べて潤滑性が大幅に高い。このた
め、表示面に傷がつきにくく、高いコントラストを得る
ことが可能となる。
【0010】本発明の好ましい実施態様においては、前
記微粒子の粒径が0.2〜10μmである。
【0011】本発明の好ましい実施態様によれば、微粒
子によるコントラストの低下を効果的に防止しつつ、十
分な潤滑効果を得ることが可能となる。
【0012】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記微粒子の添加量が前記主成分に対して0.5〜
5体積%である。
【0013】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、微粒子によるコントラストの低下を効果的に防止し
つつ、十分な潤滑効果を得ることが可能となる。
【0014】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透明層の硬度が、鉛筆硬度試験においてH以上
である。
【0015】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、繰り返し書き込みを行った場合であっても、透明層
の表面に傷が付きにくいことから、コントラストの低下
を効果的に防止することが可能となる。
【0016】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記主成分が、硬化可能な透明液体原料を硬化させ
たものである。
【0017】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、表示層内への空気等の混入を効果的に防止すること
ができるので、いわゆる封止、シーリング処理が容易と
なる。
【0018】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透明液体原料が、活性エネルギー重合型樹脂で
ある。
【0019】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透明液体原料の硬化収縮率が5%以下である。
【0020】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記表示層を2層備え、これにより両面表示が可能
に構成されている。
【0021】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、電気泳動表示装置全体にかかる応力が小さいことか
ら歪みの発生や、コントラストの低下を防止することが
できる。
【0022】本発明の前記目的はまた、表示粒子体が分
散された分散溶媒を基板上に塗布することにより表示層
を形成する工程と、潤滑性を有する微粒子が添加された
硬化可能な透明液体原料を前記表示層上に塗布する工程
と、前記透明液体原料を硬化させる工程とを備える電気
泳動表示装置の製造方法によって達成される。
【0023】本発明の好ましい実施態様においては、前
記微粒子の粒径が0.2〜10μmであり、添加量が前
記透明液体原料に対して0.5〜5体積%である。
【0024】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透明液体原料を前記表示層上に塗布した後、前
記透明液体原料を硬化させる前に、前記表示層及び前記
透明液体原料に対して減圧脱気処理を行う工程をさらに
備える。
【0025】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、表示層内への気泡の混入を防止することが可能とな
る。
【0026】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記透明液体原料が紫外線硬化樹脂であり、前記硬
化させる工程を紫外線の照射により行う。
【0027】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記紫外線硬化樹脂上に紫外線透過フィルムを載置
した状態で、前記紫外線の照射を行う。
【0028】本発明のさらに好ましい実施態様によれ
ば、硬化した紫外線硬化樹脂の表面には、紫外線透過フ
ィルムの表面性が転写されるため、通常の樹脂フィルム
と同等の表面性を得ることが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0030】図1は、本発明の好ましい実施態様にかか
る電気泳動表示装置10を部分的に示す透視断面図であ
る。
【0031】図1に示すように、本実施態様にかかる電
気泳動表示装置10は、一部または全部が導電性材料か
らなる中間基板20と、中間基板20の一方及び他方の
側にそれぞれ設けられた透明層31、32と、中間基板
20と透明層31、32との間にそれぞれ設けられた表
示層41、42とを備える。すなわち、本実施態様にか
かる電気泳動表示装置は両面表示が可能であり、図1に
示す(A)及び(B)が視認方向となる。但し、本発明
にかかる電気泳動表示装置が両面表示タイプに限定され
るものではなく、片面表示タイプの電気泳動表示装置に
適用することも可能である。片面表示タイプとするに
は、透明層32及び表示層42を削除すればよい。
【0032】中間基板20は、絶縁材料からなる基体2
1と、基体21の両面に設けられた導電層22及び23
からなる。但し、中間基板20としては、表示層41と
表示層42とを確実に分離することができ、且つ、導電
性を有する層が存在する限り、このような構造に限定さ
れるものではない。中間基板20の詳細については後述
する。
【0033】透明層31、32は、表示層41、42を
封止するとともに、表示面としての役割を果たす。した
がって、透明層31、32としては、透明性が高く、且
つ、表面に傷がつきにくいことが要求される。透明層3
1、32の詳細についても後述する。
【0034】表示層41、42は、いずれも分散溶媒5
0と、分散溶媒50中に分散された表示粒子体60と、
分散溶媒50中にほぼ規則的に配置され、表示粒子体6
0よりも十分に大きな直径、好ましくは10倍以上の直
径を有する球状体70とによって構成される。表示粒子
体60は電気的にプラスまたはマイナスに帯電している
必要がある。球状体70については、特に限定されない
が、表示粒子体60と同じ電荷に帯電していることが好
ましい。球状体70は、中間基板20と透明層31、3
2との間隔を保持するためのスペーサーとしての役割を
果たすとともに、中間基板20側に移動した表示粒子体
60の視認を妨げる隠蔽材としての役割を果たす。
【0035】本実施態様にかかる電気泳動表示装置にお
いては、視認方向に位置する透明層31、32側に表示
粒子体60を移動させるか、或いは、略中央に位置する
中間基板20側に表示粒子体60を移動させるかによっ
て、所望の文字・図形等を表示させることができる。す
なわち、多数の表示粒子体60が透明層31、32側に
集中的に存在している領域においては表示面において表
示粒子体60の明度・色彩が観察され、逆に、多数の表
示粒子体60が中間基板20側に存在している領域にお
いては表示面において球状体70の明度・色彩が観察さ
れる。したがって、表示粒子体60と球状体70及び分
散溶媒50の少なくとも一方とが、互いに異なる明度・
色彩等を有している必要がある。特に、表示粒子体60
と球状体70に対して互いに異なる明度・色彩等を持た
せ、分散溶媒50を無色透明とすることが好ましい。こ
の場合、表示粒子体60は顔料により着色されているこ
とが好ましい。
【0036】上述のとおり、表示粒子体60は電気的に
プラスまたはマイナスに帯電していることから、外部か
ら電界を与えることによって、表示粒子体60を透明層
31、32側或いは中間基板20側に移動させることが
できる。球状体70が表示粒子体60と同じ電荷に帯電
している場合、外部から与えられる電界によって球状体
70にもクーロン力が働くことになるが、球状体70は
表示粒子体60よりも十分に大きいことから、移動速度
は表示粒子体60に比べて大幅に遅い。したがって、球
状体70が中間基板20に固定されていなくても、その
移動が表示に影響を与えることは実質的に無い。
【0037】ここで、外部から電界を与えることによっ
て表示粒子体60を透明層31(32)側に移動させた
後、電界を取り去ると、重力の影響によって表示粒子体
60が中間基板20側に落下する可能性があるが、落下
した表示粒子体60の多くは球状体70の表面にとどま
ることから、中間基板20に到達する表示粒子体60は
非常に少なく、このため、コントラストの劣化は最小限
に抑えられる。同様に、外部から電界を与えることによ
って表示粒子体60を中間基板20側に移動させた後、
電界を取り去ると、重力の影響によって表示粒子体60
が透明層31(32)側に落下する可能性があるが、落
下した表示粒子体60の多くは球状体70の表面にとど
まることから、透明層31(32)に到達する表示粒子
体60は非常に少なく、このため、コントラストの劣化
は最小限に抑えられる。
【0038】分散溶媒50、表示粒子体60及び球状体
70の詳細についても後述する。
【0039】尚、本実施態様においては、中間基板2
0、透明層31、32及び表示層41、42に可撓性を
もたせることによって、電気泳動表示装置10を電子紙
とすることが好ましい。この場合、実際の紙に非常に近
い使用感を得ることができる。
【0040】次に、図1に示した電気泳動表示装置10
に文字・図形等を表示させるための書き込み装置につい
て説明する。
【0041】図2は、電気泳動表示装置10に文字・図
形等を表示させるための書き込み装置100の構造を概
略的に示す断面図である。
【0042】図2に示すように、書き込み装置100
は、電気泳動表示装置10に対して電界を与えるための
電場印加機構110と、電気泳動表示装置10を電場印
加機構110に搬入するための搬入機構120と、電気
泳動表示装置10を電場印加機構110から搬出するた
めの搬出機構130とを備える。図2には、搬入機構1
20及び搬出機構130がいずれもローラである場合を
示しているが、これらがローラであることは必須でな
く、他の機構を有していても構わない。
【0043】また、図2に示す書き込み装置100にお
いては、搬入機構120から搬出機構130に至るまで
電気泳動表示装置10が水平状態に保たれるよう構成さ
れているが、電気泳動表示装置10が可撓性をもつ電子
紙であれば、必ずしもこれを水平に保ったまま搬送する
必要はなく、ローラに巻き付けることにより湾曲させな
がら搬送しても構わない。
【0044】図3は、電場印加機構110の構造をより
詳細に示す図である。
【0045】図3に示すように、電場印加機構110
は、表示層41に対して電界を与えるための第1の電場
印加ヘッド111と、表示層42に対して電界を与える
ための第2の電場印加ヘッド112からなり、これら第
1及び第2の電場印加ヘッド111、112は、いずれ
も複数の電極113及び各電極113に対応して設けら
れたスイッチ114によって構成される。これら複数の
電極113は、ライン状に配置されていてもよいし、2
次元状に配置されていてもよい。
【0046】このような書き込み装置100を用いて電
気泳動表示装置10に対する文字・図形等の書き込みを
行う場合、まず、搬入機構120を用いて電気泳動表示
装置10を電場印加機構110へ搬入し、中間基板20
を構成する導電層21、22の電位を固定しつつ、表示
させたい内容に基づいて各スイッチ114をオンまたは
オフさせる。スイッチ114をオンさせると、表示層4
1、42の対応する位置において電界が生じ、表示粒子
体60が透明層31(32)側または中間基板20側に
移動する。このような操作を電気泳動表示装置10の表
示面の必要な部分に対して行うことにより、表示面に所
望の文字・図形等を表示させることができる。
【0047】尚、電極113がライン状に配置されてい
る場合には、電気泳動表示装置10と第1及び第2の電
場印加ヘッド111、112との相対的な位置関係を一
方向に変化させることで表示面の全面をスキャンし、所
望の文字・図形等を書き込むことができる。この場合、
電極113からなるラインを複数本設けることによっ
て、書き込み速度を向上させることが可能となる。
【0048】また、電気泳動表示装置10の表示面と同
じかそれ以上の面積に亘って電極113が2次元状に配
置されている場合には、電気泳動表示装置10と第1及
び第2の電場印加ヘッド111、112との相対的な位
置関係を固定した状態で所望の文字・図形等を書き込む
ことができる。
【0049】さらに、電気泳動表示装置10の表示面よ
りも小さい面積に亘って電極113が2次元状に配置さ
れている場合には、電気泳動表示装置10と第1及び第
2の電場印加ヘッド111、112との相対的な位置関
係を、X方向及びY方向に変化させることで表示面の全
面をスキャンし、所望の文字・図形等を書き込むことが
できる。
【0050】また、第1及び第2の電場印加ヘッド11
1、112に表面積の大きい電極113と表面積の小さ
い電極113の2種類を設け、初めに表面積の大きい電
極113を用いて書き込むべき文字・図形等のおおよそ
のパターンを描画し、その後、表面積の小さい電極11
3を用いて最終的なパターンを描画することも好まし
い。このようにすれば、より高速に書き込むことが可能
となるばかりでなく、電極113間におけるショートが
生じにくくなる。
【0051】さらに、第1及び第2の電場印加ヘッド1
11、112とは別に、大面積のイニシャライズ電極を
設け、第1及び第2の電場印加ヘッド111、112を
用いた書き込みに先立って、イニシャライズ電極を用い
て電気泳動表示装置10に既に表示されている内容を消
去することも好ましい。この場合、イニシャライズ電極
に、正電圧と負電圧を交互に印加し、最終的に、表示粒
子体60を中間基板20側に移動させればよい。このよ
うな操作を行うことにより、書き込み後における表示粒
子体60の配置が書き込み前の状態にかかわらず一定と
なるので、安定的に高いコントラストを得ることが可能
となる。
【0052】尚、このような書き込み装置100を用い
ることなく、中間基板20に含まれる導電層22、23
に対して電位差が与えられた書き込みペンを用いて、手
書きで直接書き込みを行っても構わない。この場合、書
き込みペンの先端部を半径が50〜1000μmの円弧
形状とすることにより、透明層31、32の損傷を効果
的に防止することができる。
【0053】次に、本実施態様にかかる電気泳動表示装
置を構成する各要素についてより詳細に説明する。
【0054】分散溶媒50 分散溶媒50は、シリコーンオイルと変性シリコーンオ
イルの混合溶媒によって構成される。尚、本明細書にお
いて、単に「シリコーンオイル」とは、ジメチルシリコ
ーンオイル(ジメチルポリシロキサン)、メチルフェニ
ルシリコーンオイル及びフッ素置換アルキル変性シリコ
ーン等のフルオロシリコーンオイルをいい、分散溶媒5
0に用いるシリコーンオイルは、これらのうちいずれか
1種類のシリコーンオイルであってもよく、また、2種
類以上の混合であってもよい。
【0055】シリコーンオイルは、有機溶剤等の他の絶
縁性溶媒に比べて有害性が少ないという利点を有してい
るが、疎水性であることから、シリコーンオイル単独で
表示粒子体60を均一に分散、保持することは困難であ
る。すなわち、シリコーンオイル単独で分散溶媒を構成
した場合、表示粒子体60が均一に分散しないことか
ら、沈降や凝集を生じ、時間の経過とともにコントラス
トが低下するばかりでなく、最悪の場合、表示内容が変
化してしまう。
【0056】このため、本実施態様においては、分散溶
媒50としてシリコーンオイルに変性シリコーンオイル
を添加した液体を用いている。変性シリコーンオイル
は、界面活性剤及び/又は比重調整剤として機能し、表
示粒子体60の分散性を向上させるとともに、沈殿の形
成を防止する。さらに、表示粒子体60の移動速度を向
上させるという効果も有している。表示粒子体60の移
動速度が向上する理由は、変性シリコーンオイルの添加
により分散性が向上し、個々の粒子として移動するため
であるとも考えられる。但し、分散溶媒として有機溶媒
を用い、これに界面活性剤を添加することによって分散
性を向上させた場合には、表示粒子体の移動速度は、変
性シリコーンオイルを添加した場合に比べると、向上の
割合が小さいことを考慮すれば、むしろ、変性シリコー
ンオイルの官能基が表示粒子体60に吸着することによ
って、移動速度の速い[粒子+変性シリコーン]構造体
が形成されることが、移動速度の向上に大きく寄与して
いるものと考えられる。
【0057】このように、シリコーンオイルに変性シリ
コーンオイルを添加した分散溶媒50を用いることによ
り、コントラストが高く、且つ、書き換え速度の速い電
気泳動表示装置を作成することが可能となる。
【0058】本明細書において変性シリコーンオイルと
は、ジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサ
ン)又はメチルフェニルシリコーンオイルのメチル基の
一部を各種官能基(フッ素を除く)に置換した構造を有
するものをいい、他の溶媒との相溶性、繊維への親和
性、親水性、乳化性、帯電防止性、潤滑性、さらには化
学反応性などの性質をもつことが知られている。変性シ
リコーンオイルとしては、アルコール変性シリコーンオ
イル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシ
ル変性シリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイ
ルの1又は2種以上を用いることが好ましく、その中で
も、ポリエーテル変性シリコーンオイルを用いることが
特に好ましい。尚、フルオロシリコーンオイルを変性シ
リコーンオイルの1種とする分類方法もあるが、本明細
書においては、変性シリコーンオイルとはフルオロシリ
コーンオイルは含まない。
【0059】アルコール変性シリコーンオイルは、ジメ
チルシリコーンオイルのメチル基の一方又は両方を水酸
基含有アルキル基に置き換えた構造を有し、ポリエーテ
ル変性シリコーンオイルは、親水性のポリオキシアルキ
レンを疎水性のジメチルシリコーンオイルに導入した構
造を有し、カルボキシル変性シリコーンオイルは、ジメ
チルシリコーンオイルのメチル基の一方又は両方をカル
ボキシル基に置き換えた構造を有し、アミノ変性シリコ
ーンオイルは、ジメチルシリコーンオイルのメチル基の
一方又は両方をアミノアルキル基に置き換えた構造を有
する。
【0060】変性シリコーンオイルの含有量は、表示粒
子体60に対して0.1〜100重量%が好ましく、特
に好ましくは0.5〜30重量%である。変性シリコー
ンオイルの含有量が表示粒子体60に対して0.1重量
%未満であると、本発明の効果が顕著でない。また変性
シリコーンオイルの含有量が表示粒子体60に対して3
0重量%を越えると、分散溶媒50を流れる電流が増加
し、耐絶縁性も低下し、さらに100重量%を越える
と、寿命が急激に短くなり、実用基準である500回を
達成できなくなる。さらに、一般に変性シリコーンオイ
ルは反応性に富んでいるため種々の不具合を生じる。例
えば、アミノ変性シリコーンオイルは空気中に放置する
と、表面に皮膜を形成してしまうため、表示粒子体60
に対して100重量%を越える量を添加することは好ま
しくない。但し、表示層41、42が外気から完全に遮
断されるように処置を施し、且つ、特に分散性の低い表
示粒子体60を用いる場合には、表示粒子体60に対し
て100重量%を越える量を添加しても構わない。
【0061】変性シリコーンオイルは、シリコーンオイ
ルに直接添加するのではなく、表示粒子体60を予め変
性シリコーンオイルで表面処理しておくことにより添加
してもよい。例えば、アルコール変性シリコーンオイル
とトルエンとを混合し、その中に表示粒子体60を投
入、加熱還流した後、未反応物を除去すれば、表示粒子
体60の表面にアルコール変性シリコーンオイルをエス
テル化反応等により結合させることが可能である。
【0062】また、フルオロシリコーンオイルは、その
誘電率が例えば約6.8であり、代表的なジメチルシリ
コーンオイルの誘電率である約2.8よりも大幅に高い
という特徴を有している。そのため、シリコーンオイル
の一部ないし全部をフルオロシリコーンオイルとした場
合、表示粒子体60の移動速度を高めることも可能とな
る。
【0063】さらに、上記シリコーンオイルと変性シリ
コーンオイルの混合溶媒に対し、さらにドデセン、エチ
ルビフェニル、トルエン、キシレン、ヘキサン等の有機
溶媒を1〜20重量%添加することも好ましい。これら
炭化水素系溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合
わせて用いても良い。
【0064】また、分散溶媒50に対しては、予め減圧
脱気及び水分除去を行っておくことが好ましい。減圧脱
気及び水分除去は、特に40℃〜80℃での攪拌を伴う
加熱減圧処理により行うことが好ましい。減圧脱気及び
水分除去を行わないと、絶縁特性が劣化すると同時に、
表示粒子体60に過剰な水分が含有されてしまう原因と
なる。
【0065】なお、分散溶媒50の体積抵抗率は、10
11Ωcm以上であることが好ましく、1013Ωcm
以上であることが特に好ましい。分散溶媒50の体積抵
抗率が1011Ωcm未満であると、駆動のための電流
量が増加しエネルギーロスになると同時に、表示層4
1、42が発熱してしまうため、製品寿命が短くなる。
【0066】また、分散溶媒50中には、必要に応じ
て、電解質、界面活性剤、高分子分散剤(例えば、窒素
原子および/または酸素原子を有し、且つ重合性の不飽
和結合を含む重合性高分子に多官能重合性単量体または
その他の重合性単量体からなる単量体成分を重合して得
られる高分子分散剤)、金属石けん、樹脂、ゴム、ワニ
ス、コンパウンドなどからなる荷電制御剤、潤滑剤、安
定化剤等を添加しても構わない。さらに酸化防止剤(ジ
ブチルフェノール等)、腐食防止剤(ベンゾトリアゾー
ル等)、摩擦調製剤、極圧剤、消泡剤、紫外線吸収剤等
を適宜選択し、適量(例えば、表示粒子体60に対し
て、0.1〜10重量%)添加しても構わない。
【0067】尚、表示層41、42の形成においては、
予め球状体70が配置された中間基板20上に、分散溶
媒50に表示粒子体60が分散された分散体をスクリー
ン印刷法、ブレード塗布法、ロール塗布法、スプレー塗
布法、ギャップコート塗布法、バーコート塗布法、電子
写真法、静電塗装法などのいわゆる印刷法を用いること
が好ましい。これらの方法によれば、高価な真空装置を
用いる必要が無く、安価に電気泳動表示装置10を製造
することが可能となる。また、上記分散体として、表示
粒子体60のみならず球状体70を分散させたものを用
いても構わない。この場合、中間基板20上に予め球状
体70を配置しておく必要はない。
【0068】尚、シリコーンオイルの比重は0.90程
度であり、一般的な表示粒子体(例えば、1.1)より
小さい。これに対して、変性シリコーンオイルの比重は
0.98〜1.10程度であることから、保持特性を高
めることも可能となる。
【0069】表示粒子体60 表示粒子体60は、その体積の20%以上90%以下が
中空であることが好ましい。ここで中空とは、多孔質状
態等も含む概念である。この中空部分は、その大部分が
密閉状態ではなく、外部に通じている必要があり、特
に、貫通孔からなることが好ましい。したがって、表示
粒子体60内に多数の中空部分が存在する場合、各中空
部分において外部に通じている箇所が2箇所以上存在す
ることが好ましい。この様な形態とすることで、表示粒
子体60を分散溶媒50中に分散した場合に、分散溶媒
50が容易に中空部分に侵入し、中空部分は、ほぼ分散
溶媒50で満たされる。その結果、表示粒子体60の見
かけ上の比重が分散溶媒50に近くなり、重力による表
示粒子体60の移動を抑制することが可能となる。
【0070】図4(a)、(b)は、表示粒子体60の
一例を示す断面図である。
【0071】図4(a)に示す表示粒子体60では、中
心部分が全て空洞61となっており、表面部分には空洞
61に通じる複数の開口部62が設けられている。ま
た、図4(b)に示す表示粒子体60においては、内部
に多数の貫通孔63が設けられている。
【0072】表示粒子体60の中空部分が20%未満で
あると、表示粒子体60の見かけ上の比重を十分に分散
溶媒50の比重に近づけることができず、重力による移
動(沈降)を効果的に抑制することができない。一方、
表示粒子体60の中空部分が90%を越えると、表示粒
子体60の明度・色彩が確認しにくくなり、コントラス
トが低下してしまう。
【0073】なお、表示粒子体60に中空部分が存在す
る場合であっても、外部に通じている箇所がない場合に
は、中空部分に分散溶媒50が侵入しないので、上記効
果を得ることができないばかりか、中空部分には気体
(空気)が存在したままとなることから、見かけ上の比
重が分散溶媒50の比重と比べて軽くなりすぎ、重力の
影響で逆に浮いてしまうため、好ましくない(特開20
01−56653号公報参照)。
【0074】表示粒子体60の材料としては、酸化チタ
ン、カーボンブラック、紺青又はフタロシアニングリー
ンや周知の有色粒子のほか、種々の有機・無機質顔料、
染料、金属粉、着色ガラスあるいは樹脂、アジリジン化
合物の重合体等の粒子等の微粉末などを適宜使用でき
る。たとえば、顔料としては無機顔料や有機顔料を用い
ることができ、無機顔料としては、鉛白、亜鉛華等が挙
げられる。有機顔料としては、ファストイエロー、銅ア
ゾメチンイエローが挙げられる。
【0075】表示粒子体60としては、イオン交換樹脂
等のスルホン酸基を有する粒子が好ましく、スルホン酸
基を含有した重合体粒子を用いることがより好ましく、
スルホン酸基含有ポリスチレン系重合体粒子またはイオ
ン性重合体(イオン交換樹脂)を用いることが特に好ま
しい。これによれば、中間基体20を構成する導電層2
2、23から電荷の供給を受けることにより、高速で移
動が可能となる。スルホン酸基は遊離された状態であっ
ても、塩として中和された状態であっても良いが、1価
(例えばリチウム)と3価(例えばアルミニウム)の混
合塩が特に好ましい。
【0076】イオン交換樹脂としては、スチレンとジビ
ニルベンゼンの高分子重合体にイオン交換基を結合した
ものが好ましく、イオン交換基はわずかな水分存在下で
解離する。ここで、スルホン基を固定イオンとして有す
ることで、大きな荷電を生じる。
【0077】表示粒子体60をスルホン化する反応は、
乾燥した表示粒子体60をスルホン化剤と混合して、例
えば−20〜250℃の範囲内の温度で0.3〜100
時間程度保持することにより行われるが、好ましくは−
20〜90℃で10〜50時間程度保持することにより
行われる。例えばポリスチレン粒子を発煙硫酸で処理す
ることで表面にスルホン酸基を導入することが可能であ
る。
【0078】スルホン化剤としては、公知のスルホン化
剤から選択すればよく、例えば硫酸、発煙硫酸、クロロ
硫酸、三酸化硫黄等を挙げることができ、これらの中か
ら一種または二種以上用いることができる。
【0079】表示粒子体60の平均粒径としては、0.
1〜100μmであることが好ましく、0.5〜30μ
mであることが特に好ましい。表示粒子体60の平均粒
径が0.1μm未満であると凝集や付着が生じやすく、
100μmを越えると沈降が生じやすくなってしまう。
【0080】さらに、表示粒子体60中の水分量(含水
率)を0.5〜5重量%に調製することが好ましい。本
実施態様にかかる表示粒子体60は、中空部分の存在に
より表面積が大きいため、表面および内部に特定量の水
分を含有している。この水分が表示粒子体60の移動速
度、沈降・凝集そして、付着に大きな影響を及ぼすため
である。このため、表示粒子体60中の水分をいったん
除去してから、再度、水分を加えることで含水率を調整
することが特に好ましい。具体的には、これらの表示粒
子体を適当な有機溶媒(例えばプロピレンカーボネート
(PC))に浸積し、分留することで水分をある程度除
去可能なレベルまで一度低下させる。その後、所定量の
水分を加えて含水率を調製する。尚、含水率が0.5重
量%未満であると帯電しにくくなるとともに移動速度が
遅くなり、逆に、含水率5重量%を越えると凝集、付着
が発生しやすくなってしまう。
【0081】尚、表示粒子体60に対する水分除去にお
いて有機溶媒を使用することなく、真空乾燥器等を用い
て直接乾燥させると、表示粒子体60同士が凝集してし
まい、分散溶媒50中における均一な分散が妨げられる
おそれがある。
【0082】表示粒子体60を着色するには、公知の染
料、顔料が使用可能であるが、好ましくは顔料であり、
カーボンブラック、チタンブラック等が好適である。
【0083】球状体70 球状体70は、上述のとおり、中間基板20側に移動し
た表示粒子体60の視認を妨げる隠蔽材としての役割を
果たすことから、表示粒子体60とは異なる明度・色彩
を有している必要があり、その材料としては、テフロン
(登録商標)を用いることが好ましい。
【0084】また、球状体70は、上述のとおり、中間
基板20と透明層31、32との間隔を保持するための
スペーサーとしての役割を果たすことから、表示層4
1、42内において、2次元的に最密充填構造をとるこ
とが好ましい。但し、その他の充填構造であっても、ス
ペーサーとしての効果を発揮する充填構造で有れば差し
支えない。例えば、球状体70の直径をR、粒状体の直
径をr、中間基板20と透明層31(32)との間隔を
Dした時に、100r>R>10r、5R>D>2Rの
関係を満たすように表示粒子体60及び球状体70のサ
イズを選定し、2次元最密充填構造の球状体70を2層
から6層程度積層した3次元最密充填構造とすることも
好ましい。尚、図1には、2次元最密充填構造の球状体
70を2層積層した3次元最密充填構造が示されてい
る。
【0085】尚、球状体70が中間基板20に固定され
ている必要はないが、電界の印加による球状体70の移
動を確実に防止するためには、これが中間基板20に固
定されていることが好ましい。固定の方法としては、中
間基板20上に球状体70を配置した後、紫外線硬化性
樹脂を塗布し、その後硬化させればよい。
【0086】上述のように、球状体70は、表示粒子体
60の視認を妨げる隠蔽材としての役割を有している
が、隠蔽効果の補助のために、分散溶媒50にさらに超
微粒子を分散させておくことも好ましい。このような超
微粒子としては、粒径が0.05μm以下であることが
好ましく、添加量は1〜10体積%であることが好まし
い。超微粒子自体は透明であっても、これが分散してい
る分散溶媒50はやや白く濁って見える。このため、例
えば表示粒子体60が黒色である場合、表示粒子体60
が表示面である透明層31、32から僅かに離れただけ
で、表示面の当該部分の黒色度が低下する。
【0087】透明層31,32 透明層31,32の材料としては、実質的に透明である
樹脂やセラミックからなる主成分に潤滑性を有する微粒
子(潤滑性粒子)、例えばシリコーンゴム系微粉末やテ
フロン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E),ポリビニリデンフルオライド(PVDF),パー
フルオロアルコキシアルカン(PFA),テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FE
P)等)系粉末を添加したものを用いることが好まし
い。
【0088】本実施態様においては、透明層31,32
を構成する主成分に潤滑性粒子が添加されていることか
ら、表面の滑り性が良く、傷がつきにくいという利点を
有している。このため、搬入機構120や搬出機構13
0による搬送をスムーズに行うことできるとともに、搬
送時に生じる傷を低減することができることから、表示
面の傷に起因するコントラストの低下を防止することが
可能となる。また、中間基板20、透明層31、32及
び表示層41、42に可撓性をもたせることによって電
気泳動表示装置10を電子紙とした場合、上述のとお
り、搬入機構120及び/又は搬出機構130において
ローラに巻き付けられ、湾曲した状態で搬送されること
が考えられる。このような場合、搬送時に特に傷が生じ
やすくなるが、本実施態様にかかる電気泳動表示装置1
0では、透明層31,32を構成する主成分に潤滑性粒
子が添加されていることから、このような状況であって
も、透明層31,32への傷を効果的に防止することが
可能となる。これを考慮すれば、本発明は電子紙への適
用がより好適である。特に、両面表示タイプの電子紙
は、実際の紙と同じように使用時において重ねられる
等、非常に傷がつきやすい環境で使用されることから、
本発明は両面表示タイプの電子紙への適用が最も好適で
ある。
【0089】潤滑性粒子の粒径としては、0.2〜10
μmであることが好ましい。潤滑性粒子の粒径が0.2
μm未満であると、潤滑性が十分に高められないことか
ら傷が生じやすく、逆に、潤滑性粒子の粒径が10μm
を越えると、透明層31,32の表面が荒れることから
透明性が低下するとともに、電場印加機構110による
電圧印加の妨げとなる。
【0090】また、潤滑性粒子の添加量としては、主成
分である樹脂やセラミックに対して0.5〜5体積%で
あることが好ましい。潤滑性粒子の添加量が0.5体積
%未満であると、潤滑性が十分に高められないことから
傷が生じやすく、逆に、潤滑性粒子の添加量が5体積%
を越えると、透明性が低下し、初期コントラストが悪化
してしまう。
【0091】また、透明層31,32の膜厚は、潤滑性
粒子の粒径の0.5〜10倍であることが好ましい。上
述のとおり、潤滑性粒子の粒径としては、0.2〜10
μmであることが好ましいことから、透明層31,32
の好ましい膜厚は、0.1〜100μmとなる。透明層
31,32の膜厚が0.1μm未満であると、潤滑性粒
子が透明層31、32から脱離しやすく、逆に、透明層
31,32の膜厚が100μmを越えると、透明性が低
下してしまう。
【0092】尚、透明層31,32としては、最初から
固体フィルムを用いるのではなく、硬化可能な透明液体
原料(溶媒を含む場合もある)に上記潤滑性粒子を添加
した材料を表示層41、42上にコーティングした後、
硬化処理等を行うことで、フィルム状とすることが特に
好ましい。なぜなら、表示層41、42には液体からな
る分散溶媒50が含まれていることから、表示層41、
42上に固体フィルムとしての透明層31,32を貼り
付けると、表示層41、42内に空気等が混入してしま
うからである。これに対し、上述した方法によれば、表
示層41、42内への空気等の混入を効果的に防止する
ことができるので、いわゆる封止、シーリング処理が容
易となる。
【0093】硬化可能な透明液体原料としては、例え
ば、紫外線硬化および電子線硬化樹脂等の活性エネルギ
ー重合型樹脂や、熱やレーザーによるゾルゲル反応で重
合するセラミック原料を用いることができる。これらの
中でも、紫外線硬化型樹脂を用いることが特に好まし
い。また、上記方法により透明層31,32を形成する
ためには、硬化可能な透明液体原料としては、分散溶媒
50よりも低比重で、且つ、分散溶媒50と相互溶解性
のない材料を選択する必要がある。上述のとおり、本実
施態様においては、分散溶媒50がジメチルシリコーン
オイルと変性シリコーンオイルとの混合溶媒からなるこ
とから、硬化可能な透明液体原料としては、シリコーン
オイルよりも比重が軽く、シリコーンオイルと相互溶解
性のない材料を選択する必要がある。尚、硬化可能な透
明液体原料として紫外線硬化樹脂を用いた場合、紫外線
硬化樹脂の表面性改善のために、紫外線透過フィルム等
を未硬化の樹脂層表面に密着させ、硬化後に紫外線透過
フィルム等を剥離することが好ましい。これにより、紫
外線硬化樹脂の表面性が改善されるとともに、酸素によ
る硬化阻害が抑制される。
【0094】紫外線硬化性樹脂はプレポリマー、モノマ
ーに光開始剤、増感剤などを配合した公知のものが使用
可能である。プレポリマーは硬化物の基本物性を与える
もので、樹脂骨格をなす重要成分であるが、構造からポ
リエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレ
タンアクリレート、シリコン樹脂(オルガノポリシロキ
サン化合物)、ポリエステルメタクリレート、ウレタン
メタクリレート等が知られている。本実施態様において
使用されるプレポリマーはこのいずれのプレポリマーで
も良いし、これらのブレンド品も使用可能である。
【0095】さらに、上記方法により透明層31,32
を形成するためには、紫外線硬化性樹脂の硬化時におけ
る際の収縮率が5%以下であることが好ましく、3%以
下であることがより好ましい。収縮率が5%を越える
と、電気泳動表示装置全体に応力による歪みが生じ、カ
ールやコントラストの低下の原因となる。
【0096】なお、硬化可能な透明液体原料をコーティ
ングする前に、分散溶媒50に対して減圧脱気を行うこ
とで、表示層41、42への気泡の混入を防止すること
が可能となる。より効果的に脱気を行うためには、振動
加えながら300torr以下に減圧することが好まし
く、100torr以下に減圧することがより好まし
い。また、よりいっそう効果的に脱気を行うためには、
分散溶媒50を加熱しながら減圧状態とすることが好ま
しい。したがって、例えば、80℃、600秒間、80
torrの条件下で、外部スピーカーを用いて250H
zの音圧振動を与えながら減圧加熱処理をすればよい。
なお、減圧速度が速すぎると、急激な発泡が発生し、分
散溶媒50を構成するシリコーンオイル等が飛び散って
しまうので注意を要する。
【0097】さらに、硬化可能な透明液体原料をコーテ
ィングした後、これを硬化させる前に、分散溶媒50と
未硬化の透明液体原料に対して減圧脱気を行えば、表示
層41、42への気泡の混入をより効果的に防止するこ
とが可能となる。この場合も、減圧脱気の条件として
は、上述した条件で行うことが好ましい。
【0098】また、透明層31、32は、JIS K−
5400(鉛筆硬度試験)においてH以上であることが
好ましい。鉛筆硬度がH未満であると使用時、特に、電
場印加機構110を構成する電極113や書き込みペン
との接触により容易に傷がつき、コントラストを低下さ
せる原因となるからである。
【0099】さらに、透明層31,32の透明性を高く
保つためには、潤滑性粒子の屈折率が主成分である樹脂
やセラミックの屈折率に近いほど好ましい。具体的に
は、両者の屈折率の差が0.3以内であることが好まし
い。例えば、主成分としてエポキシ系紫外線硬化樹脂
(屈折率:1.5)を用いた場合、潤滑性粒子としては
シリコーンゴム(屈折率:1.6)や、非晶質フッ素系
樹脂(例えば、屈折率:1.3)を用いることが好まし
い。
【0100】中間基板20 中間基板20は、絶縁材料からなる基体21と、基体2
1の両面に設けられた導電層22及び23によって構成
することが好ましいが、表示層41と表示層42とを確
実に分離することができ、且つ、導電性を有する層が存
在する限り、このような構造に限定されるものではな
い。したがって、例えば、中間基板20の全体を金属に
よって構成しても構わないし、また、基体21を金属に
よって構成し、その両面に絶縁層を設けた構造としても
構わない。
【0101】基体21としては、厚さ10〜500μm
のポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォ
ン等のポリマーフィルムあるはガラス、石英等の無機材
料、あるいはこれらの複合材料を用いることができる。
また、導電層22、23としては、導電性樹脂や金属を
用いることが好ましい。中間基板20の全体を金属によ
って構成する場合には、厚さ1〜100μmの可撓性金
属箔、特に圧延銅箔等を用いることが好ましい。尚、電
気泳動表示装置自体に可撓性を持たせることにより電子
紙とする場合、中間基板20の材料としても、可撓性を
有する材料を選択する必要がある。
【0102】導電層22、23の形成は、蒸着法、スパ
ッタ法、めっき法、導電性インクの塗布、導電性樹脂の
塗布等により行うことができる。例えば、ポリエチレン
テレフタレートフィルム上に、膜厚1μmの導電性樹脂
をコートすることにより、基体21の両面に導電層2
2、23を容易に導電化することが可能である。
【0103】また、中間基板20には、他の各種の機能
層を含んでいても構わない。
【0104】尚、透明層31、32上についても、表示
層41、42側に導電性材料からなる層を持たせれば、
表示内容の保持特性が向上するが、この場合、かかる導
電性材料はITO(酸化インジウムスズ)に代表される
実質的に透明な材料である必要がある。一般に、透明性
を有する導電性材料は高価であることから、コスト面を
考慮すれば、透明層31、32の表面に導電性材料から
なる層を設けることは必ずしも適切ではない。
【0105】
【実施例】実施例1 まず、膜厚30μmのポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを用意し、その両面に白色の導電性樹脂を5μmを
塗布することにより、中間基板20を作製した。
【0106】次に、球状体70として、直径100μm
の白色テフロン製球状体を用意し、これを中間基板20
の一方の面に最密充填構造で2層に配設し、紫外線硬化
樹脂を用いて中間基板20に固定した。ここで、球状体
70の色は、電気泳動表示装置における表示の基本色、
すなわち、イニシャライズ後の表示色となる。
【0107】次に、以下の方法により、スルホン化ポリ
スチレン微粒子からなる黒色の表示粒子体60を作製し
た。まず、98重量%硫酸500gを0℃に冷却し、そ
の中に、市販のカーボンブラック含有多孔質ポリスチレ
ン粒子50gを投入した。その後、、昇温し100℃で
12時間攪拌することでスルホン化反応を進行させ、得
られた表示粒子体を徐々に濃度の薄い硫酸へ繰り返し浸
積し、硫酸濃度を低下させた。さらに10重量%水酸化
リチウム水溶液で中和した後、水で十分に洗浄した。次
いで、80℃の真空乾燥機中で10時間乾燥させ、分級
して球状の直径2.5μmのスルホン化ポリスチレン微
粒子を得た。得られたスルホン化ポリスチレン微粒子の
カーボンブラック含有率は約10%重量であり、中空率
は約50%であった。次に、得られたスルホン化ポリス
チレン微粒子を、PC溶液に分散し、60℃にて分留処
理して脱水し、含水率を測定した。その結果、含水率は
0.05重量%であった。その後、スルホン化ポリスチ
レン微粒子に水を加え、含水率を0.75重量%に調製
した(水分調整処理)。このようにして、スルホン化ポ
リスチレン微粒子からなる黒色の表示粒子体60を作製
した。
【0108】次に、4.0重量%の表示粒子体60を、
ジメチルシリコーンオイル(信越化学製KF96−5)
95.6重量%、ポリエーテルシリコーンオイル0.4
重量%からなる分散溶媒50中に分散した後、75to
rrにて30分間脱気処理して、分散体(1)を得た。
【0109】次に、スプレー法にて、上記分散体(1)
を球状体70を敷き詰めた中間基板20上に塗布した。
さらに80torrにて5分間の脱気処理を行い、表示
層41を作製した。
【0110】次に、表示層41上に、スプレー法にて、
エポキシ系紫外線硬化樹脂(PTFEフッ素系樹脂粉末
(粒径1μm)を1体積%添加)を塗布、さらに80t
orrにて5分間の脱気処理を行った。その上にフッ素
コーティング処理を行った膜厚100μmの紫外線透過
フィルムをのせ、その後、メタルハライドランプを用い
て、積算光量80mJ/cmの紫外線を照射した。こ
れにより、紫外線硬化樹脂が硬化し、膜厚が3μmであ
る透明層31が形成された。
【0111】硬化処理後、紫外線透過フィルムを剥離し
た。硬化した紫外線硬化樹脂の表面性は、紫外線透過フ
ィルムの表面が転写されているため、通常の樹脂フィル
ムと同等の表面性を有していた。
【0112】上述した工程を中間基板20の裏面に対し
ても行い、これにより実施例1にかかる電気泳動表示装
置が完成した。
【0113】なお、別途上記エポキシ系紫外線硬化樹脂
をガラス基板に塗布し、硬化して評価したところ、収縮
率は1.3%、硬化後の鉛筆硬度は2Hであった。
【0114】実施例2 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂のP
TFEフッ素系樹脂粉末(粒径1μm)の添加量を4.
5体積%に変更した他は、実施例1と同じ方法を用いて
実施例2による電気泳動表示装置を作製した。
【0115】実施例3 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂に添
加されていた1体積%のPTFEフッ素系樹脂粉末(粒
径1μm)を、3体積%のPTFEフッ素系樹脂粉末
(粒径0.21μm)に変更した他は、実施例1と同じ
方法を用いて実施例3による電気泳動表示装置を作製し
た。
【0116】実施例4 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂に添
加されていた1体積%のPTFEフッ素系樹脂粉末(粒
径1μm)を、2体積%のPTFEフッ素系樹脂粉末
(粒径9.5μm)に変更した他は、実施例1と同じ方
法を用いて実施例4による電気泳動表示装置を作製し
た。
【0117】実施例5 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂(P
TFEフッ素系樹脂粉末(粒径1μm)を1体積%添
加)を、ウレタン系紫外線硬化樹脂(PTFEフッ素系
樹脂粉末(粒径3μm)を1体積%添加)に変更した他
は、実施例1と同じ方法を用いて実施例5による電気泳
動表示装置を作製した。
【0118】実施例6 分散体(1)の製造時における脱気処理を省略した分散
体(2)を作製し、分散体(1)に代えて分散体(2)
を用いた他、実施例1と同じ方法によって実施例6によ
る電気泳動表示装置を作製した。
【0119】実施例7 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂(P
TFEフッ素系樹脂粉末(粒径1μm)を1体積%添
加)を、アクリル系汎用紫外線硬化樹脂(PTFEフッ
素系樹脂粉末(粒径3μm)を1重量%添加)に変更し
た他は、実施例1と同じ方法を用いて実施例7による電
気泳動表示装置を作製した。
【0120】比較例1 膜厚20μmのPETフィルムを表示層41上に貼り付
け、周囲をエポキシ系紫外線硬化樹脂で封止することに
より透明層31を形成した他は、実施例1と同じ方法を
用いて比較例1による電気泳動表示装置を作製した。
【0121】比較例2 実施例1において用いたエポキシ系紫外線硬化樹脂(P
TFEフッ素系樹脂粉末(粒径1μm)を1体積%添
加)を、エポキシ系紫外線硬化樹脂(フッ素系樹脂粉末
未添加)に変更した他は、実施例1と同じ方法を用いて
比較例2による電気泳動表示装置を作製した。
【0122】評価 電場印加機構110を構成する電極113がフォトリソ
グラフィ法にて製作した薄膜チタン電極からなり、搬入
機構120及び搬出機構130が搬送ロールからなる書
き込み装置100を用意した。電極113のピッチは2
00μmであり、50個の電圧印加部が2列に分けてラ
イン状に配置されている。すなわち、25×2の配置
で、1度に2列の記録が可能となっている。スイッチ1
14は、TFTによって構成されている。
【0123】次に、搬入機構120を構成する搬送ロー
ルを用いて、実施例1〜7及び比較例1、2による電気
泳動表示装置を速度10mm/秒の速度で電場印加機構
110に搬送しながら、第1の電場印加ヘッド111を
用いて、電気泳動表示装置の一方の表示面に幅が1cm
である白黒のストライプが表示されるように、電極11
3と電気泳動表示装置の中間基板20間に250Vの電
圧を印加した。また、電気泳動表示装置の他方の表示面
には、幅が7mmである白黒のストライプが表示される
ように、第2の電場印加ヘッド112を用いて、電極1
13と電気泳動表示装置の中間基板20間に250Vの
電圧を印加した。
【0124】上記書き込みが完了してから1分後、電気
泳動表示装置の表示面のうち、白色に表示されている部
分と黒色に表示されている部分の反射率を反射率計でそ
れぞれ測定し、その比を初期コントラストとした。1分
後としたのは、書き込み直後に、大きく変化する装置が
あり、評価困難だったからである。
【0125】さらに、繰り返しの書き込み(搬送)を行
い、コントラストが初期のコントラストの半分になる回
数を、寿命とした。
【0126】測定の結果を表1に示す。尚、表1には、
実施例1と同様の方法にて評価した、透明層31、32
の硬度及び収縮率が併せて示されている。
【0127】
【表1】 表1に示すように、比較例1による電気泳動表示装置に
おいては、PETフィルムには潤滑微粒子が含まれてい
ないことから、繰り返しの書き込みによって表示面に傷
が付き、短寿命であった。また、PETフィルムを張り
付ける際に、表示層41、42内に泡が混入してしまっ
たため、初期コントラストが低い。また、比較例2によ
る電気泳動表示装置については、初期コントラストは高
いが、透明層に潤滑微粒子が潤滑微粒子が含まれていな
いことから、繰り返しの書き込みによって表示面に傷が
付き、短寿命であった。
【0128】これに対して、実施例1〜7による電気泳
動表示装置は、初期コントラスト10以上、寿命500
回以上の特性が得られている。
【0129】しかし、実施例2では潤滑性粒子の添加量
が多く、また、実施例4では潤滑性粒子の粒径が大きい
ため、実施例1に比べて、初期コントラストが低かっ
た。また、実施例3では潤滑性粒子の粒径が小さいため
潤滑効果が十分ではなく、実施例1に比べて短寿命であ
った。さらに、実施例5では透明層の硬度が低いため表
面に傷が付きやすく、実施例1に比べて短寿命であっ
た。さらに、実施例6では分散体に対して予め脱気処理
を行わなかったため、繰り返しの書き込みによって表面
に泡が付着し、結果としてコントラストの低下が早くな
った。さらに、実施例7では収縮率が大きいため、電気
泳動表示装置全体に歪みが入り、初期コントラスト、寿
命とも、実施例1に比べて良くなかった。
【0130】以上説明したように、本実施態様による電
気泳動表示装置10においては、表示面を構成する透明
層31、32として、実質的に透明である樹脂やセラミ
ックからなる主成分に潤滑性を有する微粒子(潤滑性粒
子)を添加したものを用いていることから、従来の電気
泳動表示装置と比べて、透明層31の潤滑性が大幅に高
められている。このため、表示面に傷がつきにくく、高
いコントラストを得ることが可能となる。
【0131】また、本実施態様による電気泳動表示装置
10においては、表示層41、42に含まれる分散溶媒
50として、ジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリ
シロキサン)と変性シリコーンオイルの混合溶媒を用い
ていることから、従来の電気泳動表示装置と比べて、表
示粒子体60の分散性が大幅に高められている。このた
め、高いコントラストを得ることができるばかりでな
く、高い書き換え速度を得ることが可能となる。
【0132】さらに、本実施態様による電気泳動表示装
置10においては、表示層41、42に含まれる表示粒
子体60として、外部に通じている中空部分を有する表
示粒子体60を用いていることから、表示粒子体60を
分散溶媒50中に分散した場合に、分散溶媒50が容易
に中空部分に侵入する。これにより、表示粒子体60の
見かけ上の比重が分散溶媒50に近くなり、重力による
表示粒子体60の移動が抑制されることから、高いコン
トラストを得ることが可能となる。
【0133】さらに、本実施態様による電気泳動表示装
置10においては、中間基板20、表示層41、42、
透明層31、32をいずれも印刷法によって形成するこ
とかできることから、安価に製造することが可能とな
る。
【0134】本発明は、以上の実施態様に限定されるこ
となく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種
々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含
されるものであることはいうまでもない。
【0135】例えば、上記実施態様にかかる電気泳動表
示装置10においては、表示層41、42内に球状体7
0を配置しているが、本発明においてこのような球状体
70を用いることは必須でなく、これを省略しても構わ
ない。また、球状体70の代わりに、スペーサとしての
機能を有するメッシュ構造体を用いたり、中間基板20
と透明層31、32との間に多数の円柱・三角柱等の棒
状体を介在させても構わない。この場合、メッシュ構造
体や棒状体は、表示粒子体60とは異なる明度・色彩を
有していることが好ましい。メッシュ構造体として、具
体的には工業用の網ふるい素材である糸が十字に織り上
げられたメッシュ生地を好ましく用いることが出来る。
開口率が高すぎる場合には、45度面内方向で回転させ
たもう1枚の生地と重ねる等工夫をし、数枚重ねにする
ことで、開口率を下げ、表示装置のコントラストを向上
させることが可能となる。
【0136】また、上記実施態様にかかる電気泳動表示
装置10においては、表示粒子体60と球状体70に対
して互いに異なる明度・色彩を持たせることによって表
示を可能としているが、表示粒子体60と分散溶媒50
に対して互いに異なる明度・色彩を持たせたり、互いに
明度・色彩の異なり、且つ、互いに逆の極性に帯電して
いる2種類の粒状体を用いることによって表示を行って
も構わない。さらに、数種類の異なる電気泳動速度をも
つ(ゼータ電位の異なる)表示粒子体60を用い、これ
ら表示粒子体60をそれぞれ着色しておくことにより、
駆動電圧に基づいてカラー表示させることも可能であ
る。
【0137】さらに、透明層31、32及び中間基板2
0の少なくとも一方にマトリックス状の電極を設け、こ
れら各電極をTFTあるいはMIM(Metal−In
sulator―Metal)等のスイッチによって駆
動することにより、書き込み装置100を用いることな
く、表示内容を変更可能に構成しても構わない。
【0138】また、透明層31、32と中間基板20と
の間に、表示粒子体60および分散溶媒50が封入され
た直径30〜200μm程度のマイクロカプセルを多数
配列することによって表示層41、42を構成しても構
わない。
【0139】さらに、透明層31、32の表面に、印刷
法やフィルム張り付け法により他の透明層を付加しても
構わない。この場合、付加すべき透明層としては、耐磨
耗性・潤滑性が高いことが望ましい。また、紫外線を遮
断する機能を有していることも望ましい。また、付加す
べき透明層として、カラーフィルター(RGBフィルタ
ー)を用いれば、本来白黒である表示内容をカラー化す
ることが可能となる。
【0140】また、上述した書き込み装置100におい
ては、電極113が複数個備えられているが、これが1
個であっても構わない。この場合、表示面に対して電極
113をX方向及びY方向にスキャンすることにより、
所望の文字・図形等を書き込むことができる。
【0141】さらに、公知の各種の技術を用い、本発明
にかかる電気泳動表示装置をさらに高機能化することも
可能である。例えば、アモルファス太陽電池を裏面及び
/又は表示面の周辺部に形成することによってエネルギ
ー供給を可能としたり、シート状2次電池及び平面コイ
ルを内蔵することによってワイヤレス充電を可能とした
り、平面アンテナ等を内蔵することによってワイヤレス
通信機能を付加し、外部信号により表示内容を制御する
ことも可能である。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
コントラストの高い電気泳動表示装置を提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様にかかる電気泳動表
示装置10を部分的に示す透視断面図である。
【図2】電気泳動表示装置10に文字・図形等を表示さ
せるための書き込み装置100の構造を概略的に示す断
面図である。
【図3】電場印加機構110の構造をより詳細に示す図
である。
【図4】(a)、(b)はいずれも、表示粒子体60の
一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 電気泳動表示装置 20 中間基板 21 基体 22,23 導電層 31,32 透明層 41,42 表示層 50 分散溶媒 60 表示粒子体 61 空洞 62 開口部 63 貫通孔 70 球状体 100 書き込み装置 110 電場印加機構 111 第1の電場印加ヘッド 112 第2の電場印加ヘッド 113 電極 114 スイッチ 120 搬入機構 130 搬出機構

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表示層と、視認方向側から前
    記表示層を覆う透明層とを備える電気泳動表示装置であ
    って、前記透明層が、実質的に透明である主成分及び前
    記主成分に添加された潤滑性を有する微粒子からなるこ
    とを特徴とする電気泳動表示装置。
  2. 【請求項2】 前記微粒子の粒径が0.2〜10μmで
    あることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装
    置。
  3. 【請求項3】 前記微粒子の添加量が前記主成分に対し
    て0.5〜5体積%であることを特徴とする請求項1ま
    たは2に記載の電気泳動表示装置。
  4. 【請求項4】 前記透明層の硬度が、鉛筆硬度試験にお
    いてH以上であることを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
  5. 【請求項5】 前記主成分が、硬化可能な透明液体原料
    を硬化させたものであることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれか1項に記載の電気泳動表示装置。
  6. 【請求項6】 前記透明液体原料が、活性エネルギー重
    合型樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の電気
    泳動表示装置。
  7. 【請求項7】 前記透明液体原料の硬化収縮率が5%以
    下であることを特徴とする請求項5または6に記載の電
    気泳動表示装置。
  8. 【請求項8】 表示粒子体が分散された分散溶媒を基板
    上に塗布することにより表示層を形成する工程と、潤滑
    性を有する微粒子が添加された硬化可能な透明液体原料
    を前記表示層上に塗布する工程と、前記透明液体原料を
    硬化させる工程とを備える電気泳動表示装置の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記微粒子の粒径が0.2〜10μmで
    あり、添加量が前記透明液体原料に対して0.5〜5体
    積%であることを特徴とする請求項8に記載の電気泳動
    表示装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記透明液体原料を前記表示層上に塗
    布した後、前記透明液体原料を硬化させる前に、前記表
    示層及び前記透明液体原料に対して減圧脱気処理を行う
    工程をさらに備えることを特徴とする請求項8または9
    に記載の電気泳動表示装置の製造方法。
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